JP2016074849A - ドライフィルム、硬化物およびプリント配線板 - Google Patents
ドライフィルム、硬化物およびプリント配線板 Download PDFInfo
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Abstract
Description
一方、沸点が100℃以上の溶剤を、1種のみ用いた場合や、2種であっても沸点の差が5℃未満の溶剤を用いた場合には、乾燥しても溶剤が残存し過ぎるため、キャリアフィルムを剥がす時に樹脂層も剥がれてしまうため、剥離性に劣る。さらに、気泡が発生しやすく、フラットな樹脂層を形成することが困難になる。また、残存溶剤を減らそうとして高温で乾燥すると、乾燥工程にもかかわらず、熱硬化が進行し過ぎてしまう。
しかしながら、沸点が100℃以上であり、かつ、沸点が5℃以上異なる2種類の溶剤を配合することによって、キャリアフィルムとの剥離性に優れ、割れと粉落ちを抑制した樹脂層を有するドライフィルムを得ることができる。
以下、本発明のドライフィルムの樹脂層の各成分について説明する。
本発明のドライフィルムの樹脂層は、熱硬化性樹脂成分を含有する。熱硬化性樹脂成分は、熱による硬化反応が可能な官能基を有する樹脂である。熱硬化性樹脂成分は特に限定されず、エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、分子内に2個以上のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂等を用いることができる。
(1)装置
恒温水槽:
攪拌機、ヒーター、温度計、自動温度調節器(±0.1℃で温度制御が可能なもの)を備えたもので深さ150mm以上のものを用いる。
尚、後述する実施例で用いたエポキシ樹脂の判定では、いずれもヤマト科学社製の低温恒温水槽(型式BU300)と投入式恒温装置サーモメイト(型式BF500)の組み合わせを用い、水道水約22リットルを低温恒温水槽(型式BU300)に入れ、これに組み付けられたサーモメイト(型式BF500)の電源を入れて設定温度(20℃または40℃)に設定し、水温を設定温度±0.1℃にサーモメイト(型式BF500)で微調整したが、同様の調整が可能な装置であればいずれも使用できる。
試験管としては、図2に示すように、内径30mm、高さ120mmの平底円筒型透明ガラス製のもので、管底から55mmおよび85mmの高さのところにそれぞれ標線31、32が付され、試験管の口をゴム栓33aで密閉した液状判定用試験管30aと、同じサイズで同様に標線が付され、中央に温度計を挿入・支持するための孔があけられたゴム栓33bで試験管の口を密閉し、ゴム栓33bに温度計34を挿入した温度測定用試験管30bを用いる。以下、管底から55mmの高さの標線を「A線」、管底から85mmの高さの標線を「B線」という。
温度計34としては、JIS B7410(1982)「石油類試験用ガラス製温度計」に規定する凝固点測定用のもの(SOP−58目盛範囲20〜50℃)を用いるが、0〜50℃の温度範囲が測定できるものであればよい。
温度20±5℃の大気圧下で24時間以上放置した試料を、図2(a)に示す液状判定用試験管30aと図2(b)に示す温度測定用試験管30bにそれぞれA線まで入れる。2本の試験管30a、30bを低温恒温水槽にB線が水面下になるように直立させて静置する。温度計は、その下端がA線よりも30mm下となるようにする。
試料温度が設定温度±0.1℃に達してから10分間そのままの状態を保持する。10分後、液状判断用試験管30aを低温恒温水槽から取り出し、直ちに水平な試験台の上に水平に倒し、試験管内の液面の先端がA線からB線まで移動した時間をストップウォッチで測定し、記録する。試料は、設定温度において、測定された時聞が90秒以内のものを液状、90秒を超えるものを固体状と判定する。
本発明のドライフィルムの樹脂層は硬化剤を含有することができる。硬化剤としては、フェノール樹脂、ポリカルボン酸およびその酸無水物、シアネートエステル樹脂、活性エステル樹脂等が挙げられる。硬化剤は1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のドライフィルムの樹脂層は、マレイミド化合物を含有する。マレイミド化合物は、マレイミド骨格を有する化合物であり、従来公知のものをいずれも使用できる。マレイミド化合物は、2以上のマレイミド骨格を有することが好ましく、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、1,2−ビス(マレイミド)エタン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、2,2’−ビス−[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、ポリフェニルメタンマレイミド、およびこれらのオリゴマー、ならびにマレイミド骨格を有するジアミン縮合物のうちの少なくとも何れか1種であることがより好ましい。前記オリゴマーは、上述のマレイミド化合物の内のモノマーであるマレイミド化合物を縮合させることにより得られたオリゴマーである。マレイミド化合物は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のドライフィルムの樹脂層は、フィラーを含有する。フィラーを含有することによって、絶縁層の周囲にある銅等の導体層と熱強度を合わせることにより、ドライフィルムの熱特性を向上することができる。フィラーとしては従来公知の全ての無機充填剤および有機充填剤が使用でき、特定のものに限定されないが、塗膜の硬化収縮を抑制し、密着性、硬度などの特性の向上に寄与する無機フィラーが好ましい。無機フィラーとしては、例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の体質顔料や、銅、錫、亜鉛、ニッケル、銀、パラジウム、アルミニウム、鉄、コバルト、金、白金等の金属粉体が挙げられる。これらの無機フィラーの中でも、粗化液により侵され難いシリカや硫酸バリウムが好ましく、特に比重が小さく、組成物中に高い割合で配合可能であり、低熱膨張性に優れる点から、球状シリカが好ましい。フィラーの平均粒径は3μm以下であることが好ましく、更に好ましくは1μm以下が望ましい。なお、平均粒径は、レーザ回折式粒子径分布測定装置により求めることができる。
本発明のドライフィルムの樹脂層は、沸点が100℃以上であり、かつ、沸点が5℃以上異なる2種の溶剤を含有する。前記溶剤は特に限定されず、沸点が100℃以上の従来公知の溶剤を用いることができる。本発明において、溶剤の沸点に幅がある場合は、蒸留時の初留点〜終点を沸点とする。
本発明のドライフィルムの樹脂層は、ドライフィルムの柔軟性およびドライフィルムの樹脂層の硬化物のクラック耐性がより良好となるため、高分子樹脂を含有することが好ましい。高分子樹脂としては、下記の熱可塑性樹脂およびゴム状粒子を用いることが好ましい。
本発明のドライフィルムの樹脂層は、得られる硬化被膜の機械的強度を向上させるために、さらに熱可塑性樹脂を含有することができる。熱可塑性樹脂は、溶剤に可溶であることが好ましい。溶剤に可溶である場合、ドライフィルムの柔軟性が向上し、クラックの発生や粉落ちを抑制できる。
熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂や、エピクロルヒドリンと各種2官能フェノール化合物の縮合物であるフェノキシ樹脂或いはその骨格に存在するヒドロキシエーテル部の水酸基を各種酸無水物や酸クロリドを使用してエステル化したフェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ブロック共重合体等が挙げられる。熱可塑性樹脂は1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂は水酸基を有するため、基材および導体に対して良好な密着性を示すと共に、得られる硬化皮膜は粗化剤により侵され難いが、水溶液の形態の粗化液は硬化皮膜とフィラーの界面に浸透し易いので、粗化処理により硬化皮膜表面のフィラーが抜け落ち易くなり、良好な粗化面を形成し易くなる。
また、A−B−A型およびA−B−A’型ブロック共重合体のうち、AまたはA’がTgが50℃以上のポリマー単位からなり、Bがガラス転移温度(Tg)が−20℃以下であるポリマー単位からなるブロック共重合体がさらに好ましい。
また、A−B−A型およびA−B−A’型ブロック共重合体のうち、AまたはA’が上記熱硬化性樹脂成分との相溶性が高いものが好ましく、Bが上記熱硬化性樹脂成分との相溶性が低いものが好ましい。このように、両端のブロックがマトリックスに相溶であり、中央のブロックがマトリックスに不相溶であるブロック共重合体とすることで、マトリックス中において特異的な構造を示しやすくなると考えられる。
さらに、本発明のドライフィルムの樹脂層は、必要に応じてゴム状粒子を含有することができる。このようなゴム状粒子としては、ポリブタジエンゴム、ポリイソプロピレンゴム、ウレタン変性ポリブタジエンゴム、エポキシ変性ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基または水酸基で変性したアクリロニトリルブタジエンゴム、およびそれらの架橋ゴム粒子、コアシェル型ゴム粒子等が挙げられ、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのゴム状粒子は、得られる硬化被膜の柔軟性を向上させたり、クラック耐性が向上したり、酸化剤による表面粗化処理を可能とし、銅箔等との密着強度を向上させるために添加される。
本発明のドライフィルムの樹脂層は、硬化促進剤を含有することができる。硬化促進剤は、熱硬化反応を促進させるものであり、密着性、耐薬品性、耐熱性等の特性をより一層向上させるために使用される。このような硬化促進剤の具体例としては、イミダゾールおよびその誘導体;アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類;ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジド等のポリアミン類;これらの有機酸塩および/またはエポキシアダクト;三フッ化ホウ素のアミン錯体;エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン等のトリアジン誘導体類;トリメチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N−ベンジルジメチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、ヘキサ(N−メチル)メラミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノフェノール)、テトラメチルグアニジン、m−アミノフェノール等のアミン類;ポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラック等のポリフェノール類;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス−2−シアノエチルホスフィン等の有機ホスフィン類;トリ−n−ブチル(2,5−ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩類;ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類;前記多塩基酸無水物;ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボロエート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、2,4,6−トリフェニルチオピリリウムヘキサフルオロホスフェート等の光カチオン重合触媒;スチレン−無水マレイン酸樹脂;フェニルイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物や、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物、金属触媒等の従来公知の硬化促進剤が挙げられる。硬化促進剤の中でも、BHAST耐性が得られることから、ホスホニウム塩類が好ましい。
金属触媒の場合、熱硬化性樹脂成分100重量部に対して金属換算で10〜550ppmが好ましく、25〜200ppmが好ましい。
本発明のドライフィルムの樹脂層は、着色剤を含有することができる。着色剤を含有することによって、本発明のドライフィルムをソルダーレジスト層等の表層の形成に用いた場合に、回路等の隠ぺい性を高めることができる。着色剤としては、赤、青、緑、黄、白、黒などの慣用公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。具体的には、カラーインデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyers and Colourists)発行)番号が付されているものを挙げることができる。但し、環境負荷低減並びに人体への影響の観点からハロゲンを含有しない着色剤であることが好ましい。
本発明のドライフィルムの樹脂層は、さらに必要に応じて、アスベスト、オルベン、ベントン、微紛シリカ等の従来公知の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤および/またはレベリング剤、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等の密着性付与剤、難燃剤、チタネート系、アルミニウム系の従来公知の添加剤類を用いることができる。
下記表1〜5に示す処方にて各成分を配合し、混練分散し、粘度0.5〜20dPa・s(回転粘度計5rpm、25℃)になるよう調整した。次いで、バーコーターを用いて、ドライフィルムの膜厚が乾燥後40μmになるようにキャリアフィルム(PETフィルム;東レ社製ルミラー38R75:厚さ38μm)に塗布した。次いで、熱風循環式乾燥炉にて乾燥し片面に熱硬化性樹脂層を有する乾燥塗膜を得た。乾燥条件については、表中に示す時間と温度で乾燥した。次いで、保護フィルムを樹脂層上に積層して、ドライフィルムを得た。
*2:ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製;エポキシ当量145〜157g/eq; 半固形)
*3:液状BPA型・BPF型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製;エポキシ当量160〜170g/eq;液状)
*4:ポリフェニレンエーテル樹脂(SABICイノベーティブプラスチック社製PPO;水酸基当量850g/eq)
*5:フェノールノボラック樹脂(明和化成社製;水酸基当量104〜108g/eq; 軟化点82〜86℃)
*6:ビフェニル骨格含有フェノールノボラック樹脂(明和化成社製;水酸基当量201〜220g/eq;軟化点64〜85℃)
*7:トリアジン含有クレゾールノボラック樹脂(DIC社製;水酸基当量151g/eq;窒素含有量18%)
*8トリアジン含有フェノールノボラック樹脂(DIC社製;水酸基当量125g/eq;窒素含有量12%)
*9:活性エステル樹脂(DIC社製;活性エステル当量223g/eq)
*10:活性エステル樹脂(DIC社製;活性エステル当量223g/eq;軟化点152℃)
*11:ビスフェノールAジシアネート(ロンザジャパン社製;シアネート当量232g/eq)
*12:フェノールノボラック型多官能シアネートエステル(ロンザジャパン社製;シアネート当量124g/eq)
*13:フェニルメタンマレイミドの縮合物(大和化成工業社製;軟化点70〜145℃)
*14:3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(大和化成工業社製;軟化点160〜170℃)
*15:2,2’−ビス−[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン(ケイ・アイ化成社製)
*16:球状シリカ(アドマテックス社製;平均粒径0.5μm)
*17:2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製)
*18:イミダゾール化合物とエポキシ樹脂のアダクト体(三菱化学社製)
*19:ホスホニウム塩(北興産業社製)
*20:4−アミノピリジン(広栄化学工業社製)
*21:ナフテン酸亜鉛(II)ミネラルスピリット(和光純薬工業社製;亜鉛含有量8%)
*22:フェノキシ樹脂(三菱化学社製;ガラス転移温度130℃)
*23:ポリビニルアセトアセタール(積水化学社製;ガラス転移温度107℃)
*24:コアシェルゴム粒子(アイカ工業社製)
*25:トルエン(沸点110℃)
*26:メチルイソブチルケトン(沸点116℃)
*27:2−メトキシプロパノール(沸点118℃)
*28:シクロヘキサノン(沸点150℃)
*29:N,N−ジメチルホルムアミド(沸点153℃)
*30:イプゾール150(沸点184〜205℃)
*31:メチルエチルケトン(沸点79.5℃)
*32:ヘキサン(沸点69℃)
各実施例および比較例のドライフィルムからキャリアフィルムおよび保護フィルムを剥離した後、約1.2gの樹脂層を採取し、密栓付の容器に入れて採取した樹脂層の質量を正確に秤量した(W)。この容器にピペットで内部標準物質として、3−エトキシプロピオン酸エチルを1滴添加し、その質量(We)を正確に秤量した。その後アセトン5mlをホールピペットにより添加して密栓し、容器を十分に振って採取した樹脂層を溶解させた。次いでこの液を目開き0.5μmのフィルターでろ過し、ろ液の組成をガスクロマトグラフィー(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製TRACEGCULTRA)により分析し、別途作成した検量線より内部標準物質1gに対する有機溶剤の質量を求めた(Ws)。これらから下式に従って有機溶剤の残含有量を計算した。
有機溶剤の残含有量(質量%)=(We×Ws/W)×100
また、残含有量から、ドライフィルム中の有機溶剤の残含有量の調整のし易さを、下記の評価基準で評価した。
なお、ガスクロマトグラフィーにおける測定条件は、下記のとおりである。カラム:AgilentTechnologies社製キャピラリーカラムDB−1MS(30m×0.25mm)、検出器:MS(ITQ900)、キャリアガス:ヘリウム、インジェクター温度:300℃、ディテクター温度:230℃、カラム温度条件:初期温度50℃、試料注入後50℃で2分間ホールドし、10℃/分で300℃まで昇温、300℃到達後10分間ホールド。
◎:0.3〜2.5%
○:2.5%超3.0%以下
△:0.1%以上0.3%未満、または、3.0%超4.0%以下
×:0.1〜4.0%以外
JISK5600−5−1(ISO1519)に準拠し、BYK−Gardner社製円筒形マンドレル屈曲試験機を用いて、各実施例および比較例のドライフィルムの割れおよびキャリアフィルムからの剥がれが起こり始めるマンドレルの最小直径から、ドライフィルムの柔軟性を評価した。評価基準は以下のとおりである。ドライフィルムの柔軟性が良好な場合、樹脂層の柔軟性が高く、割れと粉落ちを抑制できる。
◎:φ2mm以下の直径で、樹脂層の割れ、粉落ち、キャリアフィルムの剥がれの発生が無かった。
○:φ2mm超5mm未満の範囲で、樹脂層の割れ、粉落ち、キャリアフィルムの剥がれの発生が無かった。
△:φ2mm超5mm未満の範囲で、樹脂層の割れ、粉落ち、およびキャリアフィルムの剥がれが発生した。
×:φ5mm以上の直径で、樹脂層の割れ、粉落ち、およびキャリアフィルムの剥がれが発生した。
各実施例および比較例のドライフィルムを、保護フィルムを剥離した後、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP-500(名機社製)を用いて、銅の導体厚35μmでL(ライン:配線幅)/S(スペース:間隔幅)=100/100μmの櫛歯パターン上にラミネートした。5kgf/cm2、80℃、1分、1Torrの条件にて加熱ラミネートし、次いで熱板プレス機で10kgf/cm2、80℃、1分の条件にてレベリングさせた。ラミネート後にラインとスペースの境界部分に空気が入り込んで樹脂層に穴(ボイド)が発生しているか否かを20ヶ所、確認した。評価基準は以下のとおりである。樹脂層がベタつく場合、すなわち、下記のキャリアフィルムの剥離性が悪い場合、樹脂層と櫛歯パターンとの間に気泡が入り込み、ボイドが多くなる。その場合、クラックが発生しやすくなる。
○:ボイドが確認されなかった。
△:1〜4ヶ所のボイドが確認された。
×:5ヶ所以上のボイドが確認された。
上記気泡残留の試験と同条件にて、各実施例および比較例のドライフィルムをラミネートした後、キャリアフィルムを剥がし、キャリアフィルムに樹脂層由来の樹脂組成物が付着しているかを目視にて判断した。評価基準は以下のとおりである。
◎:キャリアフィルムに樹脂組成物が付着しておらず、かつ樹脂表面の指触乾燥性が良好。
○:キャリアフィルムに樹脂組成物が付着していない。
△:キャリアフィルムに若干の樹脂組成物が付着していた。
×:キャリアフィルムに多くの樹脂組成物が付着していた。
各実施例および比較例のエポキシ樹脂およびマレイミド化合物の、溶剤に対する溶解性と、互いの樹脂同士の相溶性を下記のように調べた。
各実施例および比較例で使用するエポキシ樹脂、マレイミド化合物および溶剤を、それぞれ表中の比率と同じ割合で配合した。次いで、攪拌しながら各成分の沸点より低い温度で加熱して溶解させた。
樹脂と溶剤の混合物を加熱溶解させた後、室温まで冷却し、1mmの厚みのフィルムを作製した。作製したフィルムを、光学顕微鏡にて25倍で観察し、1cm×1cmの範囲で固形物が析出するかどうかを確認した。
○:20μm以上の粗大粒子が全く見られない。
×:20μm以上の粗大粒子が1つ以上見られる。
各実施例および比較例のドライフィルムの保護フィルムを剥がし、樹脂層を10mg削りだし、専用のアルミパンに秤量し、直ちにセイコーインスツルメンツ社製DSC−6200において、昇温速度5℃/minにて30〜300℃まで昇温し、それぞれについてDSC測定をおこなった。それぞれについて、得られたDSCチャートより発熱ピーク温度を確認した。
○:全ての発熱ピーク温度が190℃未満。
△:1つ目の発熱ピークが190℃未満、2つ目の発熱ピークが190℃以上。
前記実施例および比較例のドライフィルムを、GTS−MP箔(古河サーキットフォイル社製)の光沢面側(銅箔)上に、保護フィルムを剥離し、上記<気泡残留>に記載の方法と同様の方法で、銅箔上にラミネートした。次いで、熱風循環式乾燥炉にて220℃で60分間、樹脂層を硬化させた。比較例に記載のマレイミド化合物を含まない組成物に関しては、180℃にて60分間、樹脂層を硬化させた。その後、硬化物を銅箔より剥離した後、測定サイズ(3mm×10mmのサイズ)にサンプルを切り出し、セイコーインスツル社製TMA6100に供した。TMA測定は、試験加重5g、サンプルを10℃/分の昇温速度で室温より昇温、連続して2回測定した。2回目における熱膨張係数の異なる2接線の交点をガラス転移温度(Tg)とし、Tg以下の領域における熱膨張係数(CTE(α1))として評価した。Tgが高いほど、耐熱性が高いと言える。
ガラス転移温度(Tg)の評価
◎◎:Tgが250℃以上。
◎:Tgが220℃以上250℃未満。
○:Tgが200℃以上220℃未満。
×:Tgが200℃未満。
熱膨張係数(CTE(α1))の評価
◎:15ppm未満。
○:15ppm以上〜20ppm未満。
各実施例および比較例のドライフィルムを、上記<ガラス転移温度(Tg)および熱膨張係数(CTE(α1))>に記載の方法と同様の方法にて、樹脂層を硬化した。その後、硬化物を銅箔より剥離した後、測定サイズ(50mm×50mmのサイズ)にサンプルを切り出した後、100℃にて2時間乾燥を行い、水分を完全に除去し、精密天秤にて質量(W1)の測定を行った。その後、サンプルを23℃±2℃に管理された蒸留水に浸漬し、24時間後の質量(W2)の測定を行った。吸水率は(W2−W1)/W1×100(%)により求めた。
◎◎:0.3%未満。
◎:0.3%以上0.7%未満。
○:0.7%以上1.4%未満。
×:1.4%以上。
回路基板として、銅厚10μmの導電層が形成された400mm×300mm×厚み0.8mmの両面銅張積層板(MCL−E−679FGR、日立化成工業社製)を用い、これに処理剤(CZ−8100+CL−8300、メック社製)を用いて前処理を施すことにより、銅エッチング量1μm相当のプロファイルを形成した。この前処理の施された銅張積層板に、各実施例および比較例のドライフィルムをバッチ式真空加圧ラミネーターMVLP−500(名機社製)を用いて、銅張積層板の銅上に5kgf/cm2、80℃、1分、1Torrの条件にてラミネートした。その後、キャリアフィルムを剥がし、熱風循環式乾燥炉にて加熱し、樹脂層を硬化することにより硬化膜を形成して、評価用基板を作製した。この時、マレイミド化合物を含む組成物に関しては220℃にて60分間、含まない組成物に関しては180℃にて60分間硬化させた。評価用各基板につき、硬化膜上からの銅回路の変色を目視により確認して、回路の隠蔽性について評価した。
◎:変色が確認されない。
○:変色がごくわずかに確認された。
総厚が100μm、200×200mmのサイズの銅張り板(片側の銅厚=20μm、MCL−E−679FGR、日立化成社)に、前処理としてメック社製CZ−8101を用いて、1μm相当のエッチングを行った。次いで、実施例、比較例のドライフィルムを、銅張り板の表裏にラミネートした。次いで、キャリアフィルムを剥離後、熱風循環式乾燥炉にて、樹脂層を硬化させ、基板の表裏に、熱硬化性樹脂組成物を有する基板を得た。この時、マレイミド化合物を含む組成物に関しては220℃にて60分間、含まない組成物に関しては180℃にて60分間硬化させた。
その後、ビアメカニクス社CO2レーザー:LC−2K212にてトップ径が65μm、ボトム径が50μmのレーザービアを、基板の片面に形成した。レーザーの加工エリアは50×50mmを1単位とし、片面に約1万穴形成した。次いで、レーザービアのクリーニングとしてアトテック社製SAP用薬液:SecuringanthSAPにて、膨潤60℃にて5分間、過マンガン酸80℃にて20分間、還元40℃にて5分間処理を行い、ビア底のクリーニングを行った。次いで、市販品の無電解ニッケルめっき浴および無電解金メッキ浴を用いて、ニッケル0.5μm、金メッキ0.03μmの条件でメッキを行い、レーザービア底部に金メッキ処理を施した。
得られた基板をレーザービアの加工エリア50×50mmに裁断した。次いで、ビアを形成した面上に、千住金属社製エコソルダーボール(φ0.1〜0.25mm)、ギャップ保持材としてφ100μmのシリコンビーズを、ダミーチップ(TEGチップ、サイズ20×20mm×1mmt)の実装エリア20×20mmに、均一な厚みになるように配置した。実装エリアは、50×50mmの基板のほぼ中央とした。
その後、ソルダーボールを配置したエリアにダミーチップを搭載し、基板の表面温度260℃にてリフロー処理を1回行い、反り評価の基板を得た。反りの評価方法は、得られた基板を50×50mmの対角線にて精密切断し、対角線エリアの断面の中で、最も大きな値と、最も小さな値の差を反り量とした。
◎:基板の反り量が、100μm未満。
○:基板の反り量が、100μm以上200μm未満。
×:基板の反り量が、200μm以上。
各実施例および比較例のドライフィルムを、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP−500(名機社製)を用いて、銅張積層板の銅上に5kgf/cm2、80℃、1分、1Torrの条件にてラミネートした。その後、キャリアフィルムを剥がし、熱風循環式乾燥炉にて加熱し、樹脂層を硬化させた。この時、マレイミド化合物を含む組成物に関しては220℃にて60分間、含まない組成物に関しては180℃にて60分間硬化させた。
その後、CO2レーザー加工機(日立ビアメカニクス社製)を用いてトップ径65μm、ボトム径50μmになるようにビア形成を行った。
次いで、市販の湿式過マンガン酸デスミア(ATOTECH社製)、無電解銅めっき(スルカップPEA、上村工業社製)、電解銅めっき処理の順に処理を行い、樹脂層上に銅厚み25μm、ビア部分をフィルドするように銅めっき処理を施した。次いで熱風循環式乾燥炉にて硬化を行い、完全硬化させた銅めっき処理を施した試験基板を得た。得られた試験用基板を−65℃で30分、150℃で30分を1サイクルとして熱履歴を加えた。2000及び3000サイクル経過後、ビア底や壁面の状態を光学顕微鏡により観察するために、ビア中心部分を精密切断機で裁断、研磨し断面状態の観察を行った。評価基準は、下記に従い評価を行った。観察ビア数は100穴とした。
◎◎:2000サイクル及び3000サイクルともクラック発生なし。
◎:2000サイクルでのクラックの発生なし。3000サイクルで1または2ヶ所のクラックが発生。
○:2000サイクルでのクラックの発生なし。3000サイクルで3〜5か所のクラックが発生。
×:2000サイクルでクラックが発生。
*34:乾燥後のドライフィルムに柔軟性がなく、粉落ち、割れが発生したので、試験できなかった。
一方、2種以上の溶剤を含有するものの、沸点が100℃以上の溶剤を1種しか含有しない比較例1のドライフィルム、および、沸点が100℃以上の溶剤を2種含有するものの、その沸点がほぼ同じである比較例3のドライフィルムは、キャリアフィルムの剥離性が悪く、キャリアフィルムを剥がした際に多量の樹脂層も剥がれてしまうため、ドライフィルムとして使用に耐え得るものではないことが分かる。また、比較例1、3のドライフィルムの樹脂層は、ベタつきがあるため、基材にラミネートした際に気泡残留が生じた。
溶剤として、沸点が100℃未満の溶剤のみを含有する比較例2のドライフィルムは、キャリアフィルムの剥離性に優れるが、樹脂層に柔軟性がなく、割れと粉落ちが発生した。
マレイミド化合物を含有しない比較例4のドライフィルムは、硬化物の耐熱性が低く、クラック耐性にも劣るものであった。また、基板の反りも大きかった。
3 内層導体パターン
3a コネクション部
4、9 樹脂絶縁層
8 外層導体パターン
10 最外層導体パターン
20 スルーホール
21 スルーホール孔
22 コネクション部
30a 液状判定用試験管
30b 温度測定用試験管
31 標線(A線)
32 標線(B線)
33a、33b ゴム栓
34 温度計
X 積層基板
Claims (8)
- 熱硬化性樹脂成分と、硬化剤および硬化促進剤の少なくとも何れか一方と、マレイミド化合物と、フィラーと、少なくとも2種の溶剤とを含有する樹脂層を有するドライフィルムであって、
前記少なくとも2種の溶剤が、いずれも沸点が100℃以上であり、かつ、沸点が5℃以上異なることを特徴とするドライフィルム。 - 前記溶剤の残含有量の割合は、前記溶剤を含むドライフィルムの樹脂層全量基準で、0.1〜4重量%であることを特徴とする請求項1記載のドライフィルム。
- 前記少なくとも2種の溶剤が、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、メトキシプロパノール、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよび炭素数が8以上の芳香族炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも2種であることを特徴とする請求項1または2に記載のドライフィルム。
- 前記硬化剤が、トリアジン構造を有するフェノール樹脂、シアネートエステル樹脂および活性エステル樹脂のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のドライフィルム。
- 前記熱硬化性樹脂成分としてエポキシ化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のドライフィルム。
- プリント配線板製造用であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のドライフィルム。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のドライフィルムの樹脂層を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
- 請求項7記載の硬化物を具備することを特徴とするプリント配線板。
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