JP2016070349A - 回転軸の軸受構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】温度上昇時の損失トルクの増加を抑制しながらも、コストの増加を抑制できる回転軸の軸受構造を提供する。【解決手段】回転軸(出力軸2)が挿通され、かつ回転軸よりも熱膨張係数が大きな材料で構成された軸受基部3と、軸受基部3に配設されたアウターレース41、51、回転軸に配設されたインナーレース45、55、および、テーパ状内周面42、52とテーパ状外周面46、56との間で自在に回転するローラ48、58をそれぞれ有して、軸線方向に離隔配置された一対のテーパベアリング4、5とを備え、軸受基部3は、一対のアウターレース41、51の軸線方向に向かい合う各側面43、53に接してスラスト荷重を支承する一対の荷重支承部31、32と、一対の荷重支承部31、32の間に形成されて、一対の荷重支承部31、32が互いに接近する方向へ変形することを許容する凹部33と、を有する。【選択図】図1
Description
本発明は、回転軸の軸受構造に関し、より詳細には、一対のテーパベアリングを備えた回転軸の軸受構造に関する。
変速機の回転軸(入力軸や出力軸など)を軸承する構造の1種類に、テーパベアリングを用いる軸受構造がある。この軸受構造は、テーパ状内周面を有するアウターレースと、テーパ状外周面を有するインナーレースとの間にローラを配置して構成される。この軸受構造は、或る程度のスラスト荷重を許容できるようになっている。そして、ローラが滑らかに転動するように、軸方向の適正量の予圧が設定される。これにより、当該の軸受構造で生じる損失トルクが低減される。この種の変速機内の軸受構造では、変速ギヤおよび軸受構造を潤滑および冷却するために、変速機ケース内に潤滑油を封入して循環供給するのが一般的である。
ここで、変速機の動作が継続すると、潤滑油の温度が徐々に上昇し、変速機ケースや回転軸も温度上昇して熱膨張する。変速機ケースは、アルミを材料とするダイカストによって製造され、回転軸は、鋼棒に切削加工が施されて製造される場合が多い。このため、材料の熱膨張係数の大小の違いにより、適正量を超える過大な予圧が発生する場合がある。すると、軸受構造のころがり摩擦係数が増加し、損失トルクが大幅に増加する。このような過大な予圧の発生を抑制する一技術例が特許文献1に開示されている。
特許文献1の請求項1のベアリング保持構造は、軸が一対のテーパベアリングによってスリーブ内に軸支されている。そして、一対のテーパベアリングのアウターレース間におけるスリーブの軸方向の熱膨張長さを、軸の軸方向の熱膨張長さに近似するように構成している。さらに、請求項2に開示された具体的な態様では、一対のテーパベアリングのアウターレース間のスリーブ内周面に、軸と同じ熱膨張率を有する素材からなる筒状のアウタースペーサを配置している。これによれば、軸およびスリーブが熱膨張して両者の軸方向の熱膨張歪に差が生じても、アウタースペーサの熱膨張歪は軸の熱膨張歪と同じになるので予圧変化が生じない、とされている。
ところで、特許文献1の技術は、予圧変化を抑制して損失トルクの増加を抑制できる点は好ましいが、アウタースペーサを新たに追加する必要が有り、かつ特殊な軸受構造になってしまう。このため、軸受構造の構成部品点数が増加し、組み立て作業が非標準となり、組み立ての手間が増加して、コストが高くなる。
本発明は上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、温度上昇時の損失トルクの増加を抑制しながらも、コストの増加を抑制できる回転軸の軸受構造を提供することを解決すべき課題とする。
本発明の回転軸の軸受構造は、回転軸が挿通され、かつ前記回転軸よりも熱膨張係数が大きな材料で構成された軸受基部と、テーパ状内周面を有して前記軸受基部に配設されたアウターレース、テーパ状外周面を有して前記回転軸に配設されたインナーレース、および、前記テーパ状内周面と前記テーパ状外周面との間で自在に回転するローラをそれぞれ有して、軸線方向に離隔配置された一対のテーパベアリングとを備え、前記軸受基部は、一対のアウターレースの軸線方向に向かい合う各側面に接してスラスト荷重を支承する一対の荷重支承部と、前記一対の荷重支承部の間に形成されて、前記一対の荷重支承部が互いに接近する方向へ変形することを許容する凹部と、を有する。
さらに、前記凹部は、前記軸受基部の内周面の周方向に形成された矩形断面の溝であることが好ましい。
また、前記軸受基部は変速機のケースに構成されており、前記回転軸は、変速ギヤを有して動力を伝達するものであり、前記テーパベアリングおよび前記変速ギヤは、前記ケースの内部に封入された潤滑油が循環供給される、ように構成してもよい。
さらに、前記回転軸は、軸線方向の一端側に入力軸を回転連結可能な入力連結部を有するとともに、軸線方向の他端側に出力部材を回転連結可能な出力連結部を有する出力軸であってもよい。
本発明の回転軸の軸受構造において、軸受基部は、一対の荷重支承部の間に凹部を有するので、従来よりも剛性が小さくなっている。このため、温度上昇により軸受基部が熱膨張するときに、一対の荷重支承部は、互いに接近する方向へ変形して相互間距離の増加が抑制される。したがって、温度上昇時の一対の荷重支承部の相互間距離の増加量と、回転軸の長さ増加量との差分が小さくなり、予圧の増加が抑制される。これにより、軸受構造における温度上昇時の損失トルクの増加を抑制できる。加えて、特許文献1と異なり新たな部材の追加は不要であり、軸受基部に凹部を形成する手間が増加するだけであるので、コストの増加を抑制できる。
さらに、凹部が軸受基部の内周面の周方向に形成された矩形断面の溝である態様では、軸受基部の全周で一様に剛性が小さくなる。このため、一対の荷重支承部の相互間距離の増加量の抑制効果、予圧の増加の抑制効果、および損失トルクの増加の抑制効果は、確実で安定したものとなる。加えて、軸受基部の内周面の周方向に矩形断面の溝を形成する加工は容易であるので、コストの増加はごく僅かである。
また、軸受基部が変速機のケースに構成された態様において、テーパベアリングおよび変速ギヤは、ケースの内部に封入された潤滑油が循環供給される。これによれば、テーパベアリングおよび変速ギヤは、共用の潤滑油によって潤滑および冷却される。しかしながら、変速機の動作が継続すると、変速ギヤの噛合による発熱が大きくなり、潤滑油の温度が大きく上昇する。これに伴い、軸受基部や回転軸が温度上昇して熱膨張するが、それでもなお軸受構造における予圧の増加を抑制して、損失トルクの増加を抑制できる。
さらに、回転軸が出力軸である態様では、出力軸の入力連結部に回転連結された入力軸や、出力連結部に回転連結された出力部材から、出力軸にスラスト荷重が作用する。このため、出力軸の軸承の用途には一対のテーパベアリングを備えた軸受構造が適しており、前記した各効果が顕著になる。
本発明の第1実施形態の回転軸の軸受構造について、図1〜図3を参考にして説明する。図1は、第1実施形態の回転軸の軸受構造1を説明する側面断面図である。第1実施形態の回転軸の軸受構造1は、車両に用いられる変速機の出力軸2を回転自在に軸承する。まず、変速機の全体構成の概要について説明する。図略の変速機ケースの内部に、軸線AXを共通とする入力軸91および出力軸2が配置されている。さらに、入力軸91に平行して、図略のカウンタ軸が配置されている。
図示されるように、出力軸2は、中空軸状の部材であり、鋼材料で形成されている。出力軸2の外周の軸線AX方向の一端側(図の左側)から他端側(図の右側)へと、入力連結部21、出力従動ギヤ22、および軸受構造1が配設されている。入力連結部21は、円錐形状の摩擦面を有するギヤピースで形成されている。出力軸2の内周の軸線AX方向の一端側(図の左側)に、軸受部23が配設されている。出力軸2の内周の軸線AX方向の他端側に、出力連結部としてのスプライン溝24が刻設されている。
入力軸91は、一端が図略の軸受部に軸承され、他端の外周が出力軸2の軸受部23に軸承されている。入力軸91は、軸線AX方向に並ぶ図略の複数の駆動側変速ギヤを有する。また、入力軸91は、他端寄りの外周側に同期装置92を有している。同期装置92は、入力軸91のハブ93と出力軸2の入力連結部21とを同期回転させて、さらに回転連結する機能を有している。同期装置92は、公知の技術を適宜応用して構成できる。
カウンタ軸は、軸線AX方向に並ぶ複数の従動側変速ギヤを有する。各従動側変速ギヤは、入力軸91の各駆動側変速ギヤと噛合して、選択的にトルクを伝達する各変速段を構成する。さらに、カウンタ軸は、出力駆動ギヤを有する。出力駆動ギヤは、出力軸2の出力従動ギヤ22に噛合している。
入力軸91のトルクは、カウンタ軸を経由するいずれかの変速段、または、同期装置92を経由する直結段により、出力軸2に伝達される。出力軸2のトルクは、スプライン溝24に嵌合する出力部材94からプロペラシャフトまたは差動装置に伝達される。このため、同期装置92や出力部材94から出力軸2にスラスト荷重が作用する。
第1実施形態の回転軸の軸受構造1の説明に入る。第1実施形態の回転軸の軸受構造1は、軸線AXの周りに概ね軸対称形状に構成されている。第1実施形態の回転軸の軸受構造1は、変速機のケースに構成された軸受基部3、ならびに、一対の第1および第2テーパベアリング4、5により構成されている。
図1に示されるように、軸受基部3は、概ね円筒状であり、出力軸2の外周側に離隔して配置されている。軸受基部3の内周の軸線AX方向の長さLの範囲の両側に、径方向内向きに突出する環状の第1荷重支承部31、および環状の第2荷重支承部32が設けられている。第1荷重支承部31と第2荷重支承部32との間は、凹部33になる。凹部33は、周方向に形成された矩形断面の溝形状となっている。第1荷重支承部31および第2荷重支承部32の軸線AX方向の厚さDは、加えられる通常のスラスト荷重に耐え、かつ、過大な与圧が発生したときに適正に変形する適正値とされている。凹部33の軸線AX方向の溝幅Wである。したがって、L=(2×D+W)の関係が成り立つ。
実際の製造工程において、軸受基部3は、アルミを材料とし、ダイカストなどの成形方法を用いて概形が形成される。この時点で、軸線AX方向の長さLの範囲は、全体が内向きに突出している。その後、長さLの突出部の中間部分が矩形断面の溝状に切削加工されて、凹部33が形成される。これにより、突出部の残された両側が第1荷重支承部31および第2荷重支承部32となる。この切削加工は、旋盤などを用いて容易に行うことができる。なお、第1荷重支承部31、第2荷重支承部32、および凹部33の形成方法は、上述に限定されない。
第1テーパベアリング4および第2テーパベアリング5は、軸線AX方向に相互に離隔しつつ向かい合って配置される。出力軸2の外周の出力従動ギヤ22に近い側に第1テーパベアリング4が配置され、遠い側に第2テーパベアリング5が配置されている。第1テーパベアリング4は、テーパ状内周面42を有して軸受基部3の内周に配設された第1アウターレース41、およびテーパ状外周面46を有して出力軸2の外周に配設された第1インナーレース45を有している。テーパ状内周面42とテーパ状外周面46との間には、自在に回転する円錐台形状の複数の第1ローラ48が介挿されている。第1アウターレース41の第2テーパベアリング5に近い側の側面43は、第1荷重支承部31に接している。第1インナーレース44の第2テーパベアリング5から離れた側の側面47は、出力従動ギヤ22の端面に接している。
第2テーパベアリング5は、テーパ状内周面52を有して軸受基部3の内周に配設された第2アウターレース51、およびテーパ状外周面56を有して出力軸2の外周に配設された第2インナーレース55を有している。テーパ状内周面52とテーパ状外周面56との間には、自在に回転する円錐台形状の複数の第2ローラ58が介挿されている。第2アウターレース51の第1テーパベアリング4に近い側の側面53は、第2荷重支承部32に接している。第1テーパベアリング4および第2テーパベアリング5は、軸線AX方向のテーパの傾き方向が互いに逆になっている。第1テーパベアリング4および第2テーパベアリング5を構成する各部材41、45、48、51、55、58は、鋼材料で形成されている。
第1インナーレース45と第2インナーレース55との間には、出力軸2の外周を周回する塑性スペーサ61が配設されている。塑性スペーサ61は、環状の帯であって軸線AX方向の中間が径方向外向きに***しており、***部分の塑性変形が可能となっている。第2インナーレース55の第1テーパベアリング4から離れた側の側面57は、予圧用ナット62によって押動される。予圧用ナット62は、出力軸2の他端の外周に刻設された雄ねじ25に螺合する。
変速機ケースの内部には、潤滑油が封入されて循環供給される。循環供給の方式として、ギヤによる掻き上げ方式やメカニカルな油ポンプを用いる方式、オイルレシーバやオイルダクトを併用する方式などがあり、特に限定されない。これにより、複数の変速ギヤ、同期装置92、および軸受構造1などが潤滑および冷却される。しかしながら、変速機の動作が継続すると、変速ギヤの噛合による発熱が大きくなり、潤滑油の温度が大きく上昇する。これに伴い、軸受基部3や出力軸2が温度上昇して熱膨張し、材料の熱膨張係数の差が原因となって予圧が増加する。
次に、第1実施形態の回転軸の軸受構造1の組み立て手順について説明する。まず、出力軸2の外周に、第1インナーレース45、第1ローラ48、および塑性スペーサ61が図1の右方から組み付けられる。2番目に、軸受基部3とともに第1アウターレース41および第2アウターレース51が、図1の右方から組み付けられる。3番目に、第2ローラ58および第2インナーレース51が、出力軸2の外周と第2アウターレース51との間に組み付けられる。
4番目に、予圧用ナット62が雄ねじ25に螺合されて、螺進する。予圧用ナット62は、第2インナーレース55を軸線AX方向に押動する。これにより、第1テーパベアリング4および第2テーパベアリング5には、互いに近づく方向の予圧が発生する。予圧用ナット62の螺進量の調整により、予圧の大きさが適正に調整される。このとき、塑性スペーサ61は、塑性変形して、第1インナーレース45と第2インナーレース55との間隔を保つ。最後に、出力側カバー部材95が予圧用ナット62の後ろ側に取り付けられる。
次に、第1実施形態の回転軸の軸受構造1の作用について、従来技術と比較して説明する。図2は、従来技術の回転軸の軸受構造10を説明する側面断面図である。従来技術において、軸受基部30の形状のみが実施形態と異なる。従来技術の軸受基部30は、実施形態の凹部33を形成する切削加工が行われず、長さLの突出部34をそのまま残している。そして、突出部34の軸線AX方向の一方の側面が第1荷重支承部35となり、他方の側面が第2荷重支承部36となっている。
第1実施形態の回転軸の軸受構造1、および従来技術の回転軸の軸受構造10について、温度上昇による予圧の増加、および損失トルクの増加をシミュレーションした。シミュレーションに用いた軸受基部3、30のアルミ材料の熱膨張係数2.31×10−5である。また、出力軸2、第1テーパベアリング4、および第2テーパベアリング5の鋼材料の熱膨張係数1.18×10−5である。アルミ材料および鋼材料の温度は、熱膨張の発生していない常温、および温度上昇時の100℃の2条件を考慮した。
詳細なシミュレーションのプロセスは省略するが、温度上昇時には、第1および第2テーパベアリング4、5に作用する与圧が増加する。詳述すると、温度上昇に起因して、軸受基部3、30および出力軸2は共に熱膨張する。しかしながら、アルミ材料のほう鋼材料よりも熱膨張係数が2倍近く大きいので、軸受基部3、30の長さLの部分が顕著に熱膨張して、第1アウターレース41と第2アウターレース51の間を拡げるように作用する軸線AX方向の与圧が増加する。
シミュレーションの結果、従来技術において、100℃における与圧の大きさは、常温の値の1.77倍に増加した。これに対し、第1実施形態において、100℃における与圧の大きさは、常温の値の1.32倍に増加した。したがって、第1実施形態において、温度上昇時の予圧の増加が従来技術よりも抑制される。この抑制効果のメカニズムについて補足すると、第1実施形態の軸受基部3は、一対の荷重支承部31、32の間に凹部33を有するので、従来技術の軸受基部30よりも剛性が小さくなっている。このため、温度上昇により軸受基部3が熱膨張するときに、一対の荷重支承部31、32は互いに接近する方向へ変形して相互間距離の増加が抑制される。これにより、温度上昇時の一対の荷重支承部31、32の相互間距離の増加量と、出力軸2の長さ増加量との差分が小さくなり、予圧の増加が抑制される。
さらに、図3は、第1実施形態の回転軸の軸受構造1、および従来技術の回転軸の軸受構造10について、温度上昇による損失トルクの増加をシミュレーションした結果を示す図である。図3において、横軸は、出力軸2の回転数Nを示し、縦軸は、軸受構造1、10で発生する損失トルクを示す。また、図中の黒丸を結んだ実線のグラフは第1実施形態および従来技術の常温時の特性を表し、黒三角を結んだ破線のグラフは第1実施形態の100℃における特性を表し、黒四角を結んだ一点鎖線のグラフは従来技術の100℃における特性を表している。
図3の破線のグラフと一点鎖線のグラフとを比較すれば分かるように、第1実施形態で温度上昇時に損失トルクの増加を抑制する効果は、いずれの回転数Nでも顕著である。例えば、変速機のトルク伝達効率を評価する基準回転数NSにおいて、第1実施形態の100℃における損失トルクTQ1は、従来技術の100℃における損失トルクTQ2の69%に抑制されている。さらに、他の回転数Nでも、同程度の抑制効果が得られる。
第1実施形態の回転軸の軸受構造1は、出力軸2が挿通され、かつ出力軸2よりも熱膨張係数が大きな材料で構成された軸受基部3と、テーパ状内周面42、52を有して軸受基部3に配設されたアウターレース41、51、テーパ状外周面46、56を有して出力軸に2配設されたインナーレース45、55、および、テーパ状内周面42、52とテーパ状外周面46、56との間で自在に回転するローラ48、58をそれぞれ有して、軸線方向に離隔配置された一対のテーパベアリング4、5とを備える。そして、軸受基部3は、一対のアウターレース41、51の軸線方向に向かい合う各側面43、53に接してスラスト荷重を支承する一対の荷重支承部31、32と、一対の荷重支承部31、32の間に形成されて、一対の荷重支承部31、32が互いに接近する方向へ変形することを許容する凹部33と、を有する。
これによれば、軸受基部3は、一対の荷重支承部31、32の間に凹部33を有するので、従来よりも剛性が小さくなっている。このため、温度上昇により軸受基部3が熱膨張するときに、一対の荷重支承部31、32は、互いに接近する方向へ変形して相互間距離の増加が抑制される。したがって、温度上昇時の一対の荷重支承部31、32の相互間距離の増加量と、出力軸2の長さ増加量との差分が小さくなり、予圧の増加が抑制される。これにより、軸受構造1における温度上昇時の損失トルクの増加を抑制できる。加えて、特許文献1と異なり新たな部材の追加は不要であり、軸受基部3に凹部33を形成する手間が増加するだけであるので、コストの増加を抑制できる。
さらに、凹部33は、軸受基部3の内周面の周方向に形成された矩形断面の溝である。これによれば、軸受基部3の全周で一様に剛性が小さくなる。このため、一対の荷重支承部31、32の相互間距離の増加量の抑制効果、予圧の増加の抑制効果、および損失トルクの増加の抑制効果は、確実で安定したものとなる。加えて、軸受基部3の内周面の周方向に矩形断面の溝を形成する加工は容易であるので、コストの増加はごく僅かである。
また、軸受基部3は変速機のケースに構成されており、テーパベアリング4、5、従動ギヤ22、およびその他の複数の変速ギヤは、ケースの内部に封入された潤滑油が循環供給される。これによれば、テーパベアリング4、5および複数の変速ギヤは、共用の潤滑油によって潤滑および冷却される。しかしながら、変速機の動作が継続すると、変速ギヤの噛合による発熱が大きくなり、潤滑油の温度が大きく上昇する。これに伴い、軸受基部3や出力軸2が温度上昇して熱膨張するが、それでもなお軸受構造1における予圧の増加を抑制して、損失トルクの増加を抑制できる。
さらに、入力連結部21に回転連結された入力軸91の同期装置92や、スプライン溝24(出力連結部)に回転連結された出力部材94から、出力軸2にスラスト荷重が作用する。このため、出力軸2の軸承の用途には一対のテーパベアリング4、5を備えた軸受構造1が適しており、前記した各効果が顕著になる。
なお、第1実施形態の軸受基部3の凹部33に代えて、図4に示される軸受基部3Aの凹部33Aを採用してもよい。図4は、第2実施形態の回転軸の軸受構造1Aを説明する側面断面図である。第2実施形態において、軸受基部3Aの内周の周方向に形成された凹部33Aは、溝開口部が広く、溝底部が狭い。そして、凹部33Aの中間深さにおける溝幅Wが、第1実施形態の矩形断面の溝幅Wに一致している。これにより、第1荷重支承部31Aおよび第2荷重支承部32Aは、突出する内周側先端の幅が根元側よりも狭く形成される。第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が発生する。凹部33、33Aの断面形状は、第1および第2実施形態に限定されず、様々な形状を採用できる。その他にも、本発明は、様々な応用や変形が可能である。
1、1A:回転軸の軸受構造
10:従来技術の回転軸の軸受構造
2:出力軸 21:入力連結部 22:出力従動ギヤ
23:軸受部 24:スプライン溝 25:雄ねじ
3、30、3A:軸受基部
31、31A:第1荷重支承部 32、32A:第2荷重支承部
33、33A:凹部
34:突出部 35:第1荷重支承部 36:第2荷重支承部
4:第1テーパベアリング 41:第1アウターレース
45:第1インナーレース 48:第1ローラ
5:第2テーパベアリング 51:第2アウターレース
55:第2インナーレース 58:第2ローラ
61:塑性スペーサ 62:予圧用ナット
91:入力軸 92:同期装置 94:出力部材
10:従来技術の回転軸の軸受構造
2:出力軸 21:入力連結部 22:出力従動ギヤ
23:軸受部 24:スプライン溝 25:雄ねじ
3、30、3A:軸受基部
31、31A:第1荷重支承部 32、32A:第2荷重支承部
33、33A:凹部
34:突出部 35:第1荷重支承部 36:第2荷重支承部
4:第1テーパベアリング 41:第1アウターレース
45:第1インナーレース 48:第1ローラ
5:第2テーパベアリング 51:第2アウターレース
55:第2インナーレース 58:第2ローラ
61:塑性スペーサ 62:予圧用ナット
91:入力軸 92:同期装置 94:出力部材
Claims (4)
- 回転軸が挿通され、かつ前記回転軸よりも熱膨張係数が大きな材料で構成された軸受基部と、
テーパ状内周面を有して前記軸受基部に配設されたアウターレース、テーパ状外周面を有して前記回転軸に配設されたインナーレース、および、前記テーパ状内周面と前記テーパ状外周面との間で自在に回転するローラをそれぞれ有して、軸線方向に離隔配置された一対のテーパベアリングとを備え、
前記軸受基部は、
一対のアウターレースの軸線方向に向かい合う各側面に接してスラスト荷重を支承する一対の荷重支承部と、
前記一対の荷重支承部の間に形成されて、前記一対の荷重支承部が互いに接近する方向へ変形することを許容する凹部と、を有する回転軸の軸受構造。 - 前記凹部は、前記軸受基部の内周面の周方向に形成された矩形断面の溝である請求項1に記載の回転軸の軸受構造。
- 前記軸受基部は変速機のケースに構成されており、
前記回転軸は、変速ギヤを有して動力を伝達するものであり、
前記テーパベアリングおよび前記変速ギヤは、前記ケースの内部に封入された潤滑油が循環供給される請求項1または2に記載の回転軸の軸受構造。 - 前記回転軸は、軸線方向の一端側に入力軸を回転連結可能な入力連結部を有するとともに、軸線方向の他端側に出力部材を回転連結可能な出力連結部を有する出力軸である請求項3に記載の回転軸の軸受構造。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2014-09-30 JP JP2014199521A patent/JP2016070349A/ja active Pending
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