JP2016062751A - 透過型電子顕微鏡 - Google Patents

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Jun Kawai
潤 河合
晋 今宿
Shin Imayado
晋 今宿
一誓 大谷
Issei Otani
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Abstract

【課題】構造が簡単で且つ、小形で軽量な透過型電子顕微鏡を提供する。【解決手段】本発明は、真空容器10と、該真空容器10内に配置された焦電結晶11と、該焦電結晶11に比べて低い誘電率を有し該焦電結晶11の一方の分極面を覆う絶縁体部材24と、焦電結晶11の一方の分極面に立設された絶縁体部材24から突出する突出端を有する導電性の針23と、焦電結晶11の温度を変化させる温度変化手段とを有する電子線放出部と、真空容器10内に配置された、針23の突出端の延長線上に試料が位置するように該試料を保持する試料保持部14であって、前記焦電結晶11の他方の分極面と電気的に接続され、且つ接地された試料保持部14と、針23の突出端から放出され試料Sを透過した電子線による該試料の投影像又は該試料の回折像を観察するための観察手段とを備えることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、透過型電子顕微鏡に関する。
透過型電子顕微鏡(以下、TEMともいう)は、電子線を試料に照射し、その結果得られる試料の透過電子線像や、試料によって回折された電子線の像(回折電子線像)を観察する装置である。TEMは、鏡筒と呼ばれる真空容器内に、電子線発生装置(電子銃)、照射系レンズ、試料保持台、対物レンズ、結像系レンズ、透過電子線像や回折電子線像を投影するための蛍光板等を上から順に配置して成る(特許文献1、2等)。
電子銃は、フィラメント(陰極)、ウェーネルト電極(グリッド)、アノード(陽極)、及び電圧印加装置を備え、アース電位の陽極に対して負の電圧(加速電圧)を陰極に印加して電子を加速することにより試料に対して電子線を照射する。TEMでは、高空間分解能を得るために100kV以上の高電圧を陰極に印加して電子を加速しており、放電が生じ易い。そこで、鏡筒内を超高真空状態にしたり、複数段で電子線を加速することで各段の印加電圧を低く抑えるとともに、各段の距離を長くすることにより電位勾配を小さくし、不所望の放電が生じないようにしている。
また、上述したように、鏡筒内には、電子銃から放出される電子線を集束し、整形して試料に照射するための照射系レンズ、透過電子線あるいは回折電子線の拡大投影像を得るための対物レンズ、透過電子線又は回折電子線を蛍光板に結像するための結像系レンズ等が収容されている。TEMでは通常、照射系レンズ、対物レンズ、及び結像系レンズは電子レンズから構成されており、特に照射系レンズ及び結像系レンズは、それぞれ複数段の電子レンズで構成されるのが一般的である。
特開2007-242514号公報 特開2012-199022号公報
このように従来のTEMは、鏡筒内に組み込まれる構成部品の点数が多く、また、不所望の放電の発生を防止するために鏡筒を長くする必要があったため、光学顕微鏡に比べると非常に大きく、重量化していた。
本発明が解決しようとする課題は、小形で軽量な透過型電子顕微鏡を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明に係る透過型電子顕微鏡は、
a) 真空容器と、
b) 前記真空容器内に配置された焦電結晶と、該焦電結晶に比べて低い誘電率を有し該焦電結晶の一方の分極面を覆う絶縁体部材と、前記焦電結晶の前記一方の分極面に立設された前記絶縁体部材から突出する突出端を有する導電性の針と、前記焦電結晶の温度を変化させる温度変化手段とを有する電子線放出部と、
c) 前記真空容器内に配置された、前記針の突出端の延長線上に試料が位置するように該試料を保持する試料保持部であって、前記焦電結晶の他方の分極面と電気的に接続され、且つ接地された試料保持部と、
d) 前記針の突出端から放出され前記試料を透過した電子線による該試料の投影像又は該試料の回折像を観察するための観察手段と、
を備えることを特徴とする。
焦電結晶は、その温度変化に伴い自発分極の大きさが変化する結晶である。平衡状態では、周囲に浮遊する荷電粒子が付着することにより分極による焦電結晶表面の電荷が打ち消され、外部に電界が現れない電気的に中性な状態を保っている。この状態から焦電結晶に温度変化を与えると、焦電結晶の分極の状態が変化して、表面が正あるいは負に帯電する。その後、温度を一定に保つと浮遊荷電粒子によって表面の帯電が解消される。大気中では浮遊荷電粒子が大量に存在するため、焦電結晶の表面の帯電はすみやかに解消されるが、真空中では浮遊荷電粒子が少ないために、焦電結晶の表面の帯電が解消されるまでには数分程度の時間がかかる。
焦電結晶の表面が帯電した状態においては、該焦電結晶の一方の分極面に対向するように配置され、且つ該焦電結晶の他方の分極面と電気的に接続された試料保持部と焦電結晶との間に電場が生じる。従って、焦電結晶の一方の分極面を負に帯電させると、負の浮遊荷電粒子(電子)が焦電結晶から試料保持部に向かって加速される。本発明では、焦電結晶の一方の分極面に導電性の針を立設し、しかも、その針の先端が突出するように焦電結晶の一方の分極面を絶縁性部材で覆ったため、焦電結晶の一方の分極面と試料保持部に保持された試料の間の電位勾配が針の先端(突出端)と試料の間で局所的に高められ、針以外の分極面と試料の間の電位差はほぼゼロとなる。この結果、針の突出端の近傍に存在する浮遊電子のみが試料保持部に保持された試料に向かって加速されるため、試料のうち針の突出端の延長線上に位置する狭い範囲に電子線を集中して照射することができる。従って、本発明では、通常のTEMにおいて電子線を収束するために用いられている電子レンズや、電子線を加速するための機構を省略することができ、装置を小形化及び軽量化することができる。なお、焦電結晶の自発分極が大きいほど、また、針の先端の面積が小さいほど、試料保持部に保持された試料と針の間の電位勾配が大きくなる。
真空中では、焦電結晶に100℃程度の温度変化を与えてその表面を帯電させると、雰囲気中の浮遊電子が加速されて電子線が発生する。従来の透過型電子顕微鏡において電子線を加速するために必要なエネルギーに比べると、焦電結晶に100℃程度の温度変化を与えるために必要なエネルギーは小さいため、電源装置を小形化することができる。また、焦電結晶から電子線を発生させる雰囲気としては2×10−2Torr(約2.67Pa)よりも高真空であれば良い。一般的なTEMでは、放電を防止するため、及び電子銃のフィラメントの劣化や切断を防止するために、1×10−6Torr(約1.33×10−4Pa)の超真空にすることが要求されることと比較すると、本発明は耐圧性の低いシール構造を真空容器のシール構造として採用することができるため、製造コストを低減することができる。
前記観察手段は、例えば試料保持部に保持される試料を挟んで導電性の針と反対側に位置するように真空容器内に配置された蛍光板と、該蛍光板上に投影される試料を透過した電子線による該試料の投影像又は該試料の回折像を撮像する撮像手段とから構成することができる。
なお、本発明に係る透過型電子顕微鏡では、集束レンズが無くても試料の狭い範囲に電子線を集中して照射することができるが、電子線放出部と試料保持部の間に集束レンズを配置しても良く、この構成によれば、拡大倍率を大きくすることができる。さらに、試料保持部と観察手段との間に対物レンズを配置すれば、より一層、拡大倍率を大きくすることができる。
前記温度変化手段は、焦電結晶に接するペルチェ素子と、該ペルチェ素子に電力を供給する電力供給手段とを備えるものとすることができる。このような構成によれば、透過型電子顕微鏡の一層の小形化を図ることができる。
本発明によれば、電子線放出部を小形化することができ、さらに、電子線を集束するための電子レンズや電圧を印加するための部品を省略することができるため、装置全体を小形化、軽量化できる。
本発明に係る透過型電子顕微鏡の第1実施例を示す概略構成図。 針から試料に電子線が向かう様子を説明するための図。 拡大倍率の説明図。 本実施例に係る透過型電子顕微鏡を用いて観察した試料の例を示し、(a)は銅製メッシュのSEM像、(b)は銅製メッシュの実体像。 針の先端から蛍光板までの距離を55mmに固定し、針の先端から試料までの距離を5mm(a)、3mm(b)、1mm(c)に変更したときの透過電子線像を示す。 針の先端から試料までの距離を1mmに固定し、針の先端から蛍光板までの距離を15mm(a)、30mm(b)、45mm(c)、50mm(d)に変更したときの透過電子線像を示す。 本発明に係る透過型電子顕微鏡の第2実施例を示す概略構成図。 針から試料に電子線が向かう様子を説明するための図。 電子レンズの縦断側面図(a)及び実体像(b)。 本実施例の透過型電子顕微鏡を用いたときの透過電子線像(a)、及び透過電子線像の大きさ及び発光強度を示すグラフ(b)。 第1実施例の透過型電子顕微鏡を用いたときの透過電子線像(a)、及び透過電子線像の大きさ及び発光強度を示すグラフ(b)。 焦電結晶により試料に電子線が照射される原理を説明する図。
本発明に係る透過型電子顕微鏡の具体的な実施例について図面を参照して説明する。
[実施例1]
図1は本発明の第1実施例の透過型電子顕微鏡の概略構成図である。なお、以下の説明では、図1中、+z方向を「上」、−z方向を「下」とする。
図1に示す透過型電子顕微鏡は、接地された導電性の真空容器10と、真空容器10内に配置された6mm×6mm×5mmの直方体状のLiTaO3の単結晶から成る焦電結晶11と、焦電結晶11を加熱/冷却するためのペルチェ素子12と、該ペルチェ素子12に電力を供給する電源装置13と、試料Sを保持する試料保持具14と、試料Sを透過した電子線あるいは試料Sにより回折した電子線が入射する蛍光板15と、蛍光板15上の電子線像を撮影するためのデジタルカメラ等から成る撮像装置16と、を有する。
真空容器10は金属管、例えばステンレス製の管から構成されており、垂直管部101と該垂直管部101の上下方向中央付近から水平方向に延びる水平管部102と、垂直管部101の上下方向中央部よりもやや上部に形成された開口から約45°の角度で斜め下方に延びる窓用管部103とを有する。垂直管部101の上下端は、それぞれ平板状の蓋104、105で閉塞されている。また、水平管部102の先端には、真空ポンプとしてのロータリーポンプ(図示せず)に接続された蛇腹ダクト17が連結されている。さらに、窓用管部103の端部開口にはガラス製の窓板106が取り付けられており、該窓板106と対向するように撮像装置16が真空容器10の外部に配置されている。詳しくは図示しないが、垂直管部101と窓用管部103の間、及び垂直管部101と水平管部102の間はいずれも溶接等により密接されている。また、垂直管部101と蓋104、105の間、水平管部102と蛇腹ダクト17の間、窓用管部103と窓板106の間はそれぞれOリング等のシール部材を介して気密に且つ着脱可能に連結されている。
垂直管部101の両端の蓋104、105にはそれぞれ開口が形成されており、これら開口に銅製の第1ロッド20及び第2ロッド21が挿入されている。第1ロッド20の上部及び第2ロッド21の下部は真空容器10から突出しており、これら突出端に接続された導線によって第1ロッド20及び第2ロッド21は接地されている。第1ロッド20及び第2ロッド21はエポキシ系接着剤や銀ペースト等により蓋104、105の開口に気密に且つ電気的に接続されている。このため、真空容器10も、第1ロッド20及び第2ロッド21と同様に接地された状態にある。
第2ロッド21の上面には、ペルチェ素子12を介して焦電結晶11が接合されている。ペルチェ素子12は電源装置13に接続されており、該電源装置13から電流が供給されることにより焦電結晶11を加熱/冷却する。焦電結晶11は温度変化により上下に分極するように配置されており、特に本実施例では、焦電結晶11を冷却することにより該焦電結晶11の上側が正に、下側が負にそれぞれ分極し、その結果、上面が負(−)に帯電し、下面が正(+)に帯電するように配置されている。すなわち、本実施例では、焦電結晶11の上面及び下面がそれぞれ分極面となる。なお、本実施例とは分極面が上下逆になるように焦電結晶11を配置しても良い。この場合は、焦電結晶11を加熱すると焦電結晶11の上面が負に分極(正に帯電)し、下面が正に分極(負に帯電)することになる。
電源装置13は、ペルチェ素子12に供給する電流の向きを数分毎に周期的に切り替える機能を有する。これにより、ペルチェ素子12の上面が周期的に吸熱と放熱を繰り返し、それに伴いペルチェ素子12の上面に接合された焦電結晶11の冷却及び加熱が周期的に繰り返されて温度が変化する。この結果、焦電結晶11は正と負に、又は負と正に分極する。従って、本実施例ではペルチェ素子12及び電源装置18から温度変化手段が構成される。
図1及び図2に示すように、焦電結晶11の上面には金属製、例えば銅製の支持台22が接合されており、この支持台22に導電性を有する針23が立設されている。針23の材料としては、タングステンや金等の導電性を有する金属を用いることができる。本実施例では、直径0.2mm、長さ5mmの金線を針23として用いた。
また、支持台22表面からの電場の発生を防ぐため、支持台22の表面には絶縁性のグリース24が塗布されている。このとき、針23の先端部がグリース24よりも突出するように支持台22に塗布されるグリース24の厚さが設定されている。グリース24としては、温度変化や圧力の変化による硬度の変化が小さいグリースが好ましく、特に真空装置のゴムガスケット面の気密保持や真空バルブのコックの摩擦面の潤滑のために用いられる真空用グリース(例えばシリコーングリース)や、高電圧用絶縁グリース(例えばシリコーングリース)が好適である。シリコーンの比誘電率は約3であり、LiTaOの比誘電率(約50)に比べて十分に小さい。この点からも、シリコーングリースは好適である。
なお、焦電結晶11、針23、グリース24、ペルチェ素子12、電源装置13が、本発明の電子線放出部を構成する。
図1に示すように、第1ロッド20の下面には蛍光板15が接合されている。蛍光板15の下面は針23の延長線と略直交している。蛍光板15は、銅(Cu)及びアルミニウム(Al)を添加した硫化亜鉛(ZnS)をアルミ箔に塗布したもので、硫化亜鉛に電子線が当たると励起されて発光する。蛍光板15の発光の様子は、垂直管部101に対して約45°傾けて取り付けられた窓用管部103を通して撮像装置16で撮影されるようになっている。
試料保持具14は塩化ビニル製のチューブ状部材から成る。試料保持具14の下部は第2ロッド21の上部外周に嵌め込まれており、試料保持具14の上端部には試料Sが保持されるようになっている。このとき、試料Sが針23の先端と蛍光板15の間に位置し、且つ試料Sと蛍光板15が略平行な状態で対向するように試料保持具14の長さ等が設定されている。また、第2ロッド21に対する試料保持具14の取付位置を変更することにより、針23の先端から試料Sまでの距離、及び試料Sから蛍光板15までの距離を変更できるようになっている。
なお、焦電結晶11の下面は導線等によって第2ロッド21に電気的に接続されている。また、試料保持具14に保持された試料Sは導線によって第2ロッド21に電気的に接続されている。さらに、上述したように、第2ロッド21は導線等によって接地されているため、試料Sと焦電結晶11の下面はいずれも接地電位となる。
次に本実施例の透過型電子顕微鏡の動作について図12を参照しながら説明する。
試料保持具14に試料Sを保持し、試料Sと第2ロッド21を電気的に接続する。そして、真空容器10を密閉した後、図示しないロータリーポンプにより真空容器10内の排気を行う。真空容器10内の排気は、内部圧力が数Pa程度(例えば1Pa〜5Pa)になるまで行う。この状態でペルチェ素子12に所定方向の電流を供給し、予め加熱しておいた焦電結晶11を冷却すると、焦電結晶11が分極し、上面に正の電荷が、下面に負の電荷が表れる。このとき、焦電結晶11の上面(支持台22)が絶縁性のグリース22で覆われており、針23の先端のみグリース22から突出しているため、針23から試料S及び蛍光板15に向かって強い電場が形成される(図12の(a)に示す状態)。これにより、針23近傍の浮遊電子が試料Sに向かって加速される(図12の(b))。そして、試料Sに吸収されることなく該試料Sを通過した電子線、あるいは試料Sによって回折した電子線は蛍光板15に入射し、この結果、該蛍光板15に塗布されているZnSが励起されて発光する(図12の(c))。
ペルチェ素子12による焦電結晶11の冷却が続き、焦電結晶11とペルチェ素子12の温度差がなくなると、焦電結晶11からペルチェ素子12への熱の移動、つまり温度変化が無くなるため、焦電結晶11の分極面は真空中の浮遊荷電粒子等により中和される。このため、針23から蛍光板15に向かう電場が無くなり、針23近傍から蛍光板15に向かって電子線が流れなくなる。そこで、ペルチェ素子12に供給する電流の向きを反対側に切り替えて、焦電結晶11を加熱した後、再びペルチェ素子12に供給する電流の向きを切り替えて焦電結晶11を冷却する。これにより、上述したように、針23から蛍光板15に向かって電子線が流れ、試料Sの透過電子線像(又は回折電子線像)を観察することができる。
このとき、透過電子線像の拡大倍率は、針23の先端から試料Sまでの距離と試料Sから蛍光板15までの距離の比で決まる。例えば、図3の(a)に示すように、針23の先端から試料Sまでの距離と試料Sから蛍光板15までの距離が1:3のときは4倍の拡大像が得られ、図3の(b)に示すように、針23の先端から試料Sまでの距離と試料Sから蛍光板15までの距離が1:1のときは2倍の拡大像が得られる。
本実施例に係る透過型電子顕微鏡を用いて、図4に示す銅製メッシュを観察した結果を図5及び図6に示す。図4の(a)は銅製のメッシュの走査型電子顕微鏡像(SEM像)を、(b)は実体画像である。また、図5の(a)〜(c)は、針23の先端から蛍光板15までの距離を55mmに固定し、針23から銅製メッシュまでの距離を5mm、3mm、1mmに変更したときの透過電子線像を示し、図6の(a)〜(d)は、針23の先端から銅製メッシュまでの距離を1mmに固定し、銅製メッシュから蛍光板までの距離を15mm、30mm、45mm、50mmに変更したときの透過電子線像を示す。
なお、図5及び図6はいずれも、真空容器10内を1Paまで減圧した状態で、ペルチェ素子12に3Vの電圧を印加して焦電結晶11を約120秒間加熱し、100℃にした後、ペルチェ素子12に流す電流の向きを逆にして60秒かけて焦電結晶11を−10℃まで冷却したときの、冷却中における蛍光板15の発光の様子を観察したものである。
図5及び図6から、本実施例に係る透過型電子顕微鏡によれば、針23の先端から試料Sまでの距離や、試料から蛍光板までの距離を変更することにより、拡大倍率が異なる透過電子線像が得られることが分かる。
[実施例2]
図7は本発明の第2実施例の透過型電子顕微鏡の概略構成図、図8は針23周辺の拡大図である。第2実施例は、試料Sと針23の間に集束レンズとしての電子レンズ30が配置されている点で第1実施例と異なる。その他の構成は第1実施例と同じであるため、同一符号を付して説明を省略する。
電子レンズ30は、試料保持具14に保持される試料Sのやや下側に位置するように該試料保持具14内に取り付けられている。図9の(a)は電子レンズ30の縦断側面図、(b)は電子レンズ30の大きさを説明するための実体画像を示す。電子レンズ30は直径20mm、高さが11mmの円筒状の部品であり、純鉄製のヨーク301で覆われた真鍮製のスペーサ302と、該スペーサ302の中央部に配置されたネオジム磁石303とから構成されている。
針23と試料Sの間に電子レンズ30を配置したことにより、針23から放出される電子線は図6に示すように電子レンズ30を通過する際に集束された後、試料Sに照射される。なお、針23の先端から電子レンズ30までの距離は1mmに、針23の先端から蛍光板15までの距離は40mmにそれぞれ設定されている。
図10の(a)は、線径が100μmで目開きが150μmの銅製メッシュを試料Sとしたときの、本実施例に係る透過型電子顕微鏡による透過電子線像(図中、白矢印で示す小さい円形の像)である。また、図10の(b)は、図10の(a)に示す透過電子線像の発光強度を示すグラフである。このグラフの横軸は透過電子線像の中心を通る直線上に位置する任意の点を原点としたときの原点からの距離(μm)を、縦軸は発光強度を示す。図8の(b)において、距離が300μmから700μmの範囲において発光が観察されたことから、透過電子線像の直径は約400μmであったことが分かる。
一方、図11の(a)は、図10と同じ銅製メッシュを試料Sとしたときの、第1実施例に係る透過型電子顕微鏡(つまり、電子レンズなしの透過型電子顕微鏡)による透過電子線像(図中、白矢印で示す。)であり、図11の(b)は該透過電子線像の発光強度のグラフである。図11の(b)において、距離が2000μmから8000μmの範囲において発光が観察されたことから、電子レンズ30がない場合の透過電子線像の直径は約6000μmであったことが分かる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような変形が可能である。
電子レンズは、針と試料の間の他、試料と蛍光板の間に配置しても良い。この場合の電子レンズは、対物レンズあるいは結像系レンズとして機能する。
上記実施例では透過電子線像について説明したが、回折電子線像についても同様の結果が得られる。
上記実施例では、ペルチェ素子だけで焦電結晶を加熱・冷却するようにしたが、ペルチェ素子は焦電結晶の冷却のみに用い、焦電結晶の加熱は電熱線等のヒータを用いても良い。この場合は、ペルチェ素子とヒータが温度変化手段を構成することになる。
10…真空容器
101…垂直管部
102…水平管部
103…窓用管部
104、105…蓋
106…窓板
11…焦電結晶
12…ペルチェ素子
13…電源装置
14…試料保持具
15…蛍光板
16…撮像装置
17…蛇腹ダクト
20…第1ロッド
21…第2ロッド
22…支持体
23…針
24…グリース
30…電子レンズ
301…ヨーク
302…スペーサ
303…ネオジム磁石
S…試料

Claims (4)

  1. e) 真空容器と、
    f) 前記真空容器内に配置された焦電結晶と、該焦電結晶に比べて低い誘電率を有し該焦電結晶の一方の分極面を覆う絶縁体部材と、前記焦電結晶の前記一方の分極面に立設された前記絶縁体部材から突出する突出端を有する導電性の針と、前記焦電結晶の温度を変化させる温度変化手段とを有する電子線放出部と、
    g) 前記真空容器内に配置された、前記針の突出端の延長線上に試料が位置するように該試料を保持する試料保持部であって、前記焦電結晶の他方の分極面と電気的に接続され、且つ接地された試料保持部と、
    h) 前記針の突出端から放出され前記試料を透過した電子線による該試料の投影像又は該試料の回折像を観察するための観察手段と、
    を備えることを特徴とする透過型電子顕微鏡。
  2. 請求項1に記載の透過型電子顕微鏡において、さらに、
    前記電子線放出部と前記試料保持部の間に配置された、前記針の突出端から放出された前記電子線を前記試料保持部に保持された試料上に集束するための集束レンズ
    を備えることを特徴とする透過型電子顕微鏡。
  3. 請求項1又は2に記載の透過型電子顕微鏡において、さらに、
    前記試料保持部と前記観察手段の間に配置された対物レンズを備えることを特徴とする透過型電子顕微鏡。
  4. 前記温度変化手段が、前記焦電結晶に接するペルチェ素子と、該ペルチェ素子に電力を供給する電力供給手段とを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透過型電子顕微鏡。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109725005A (zh) * 2017-10-27 2019-05-07 北京纳米能源与***研究所 透射电镜样品杆杆头及应用其的透射电镜样品杆
CN113155878A (zh) * 2021-04-06 2021-07-23 北京化工大学 一种透射电镜样品丝载台及其制备方法和应用

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