JPH117913A - 電子線発生装置およびその冷却方法 - Google Patents

電子線発生装置およびその冷却方法

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JPH117913A
JPH117913A JP16134497A JP16134497A JPH117913A JP H117913 A JPH117913 A JP H117913A JP 16134497 A JP16134497 A JP 16134497A JP 16134497 A JP16134497 A JP 16134497A JP H117913 A JPH117913 A JP H117913A
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electron beam
beam generator
electron
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electron source
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JP16134497A
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Noriaki Arai
紀明 荒井
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Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電子源を冷却するためのコンパクトな冷却機構
と、電子ビームの取り出しを中断することなく電子源の
清浄化を行う事ができる手段を提供する。 【解決手段】電子線発生部に冷媒の循環路11,12を
設け、電子源周囲に冷媒を循環させる方法で冷却したコ
ールドトラップ機能を有した輻射熱および磁気をシール
ドする形状、材質の金属製部材6を採用する。レーザー
光19は電子銃外部のレーザー発振装置18より光ファ
イバー17にて電子銃内に導入され、所定の位置にレー
ザー光19の射出口が置かれる。レーザー光の射出口の
電子源に対して反対側に凹型のミラーを設けることによ
り、該ミラーにて電子源に当たることなく通過したレー
ザー光を反射、集光せしめ、電子源の影となっていた部
位に該レーザー光を照射する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電界放出型電子源の
冷却方法と、該電子源の清浄化方法、及びその方法を用
いる事によってエネルギー分布幅の狭い、長期間安定し
た電子線を実現する電子線発生装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】半導体素子の微細化が進むにつれて、ウ
エーハ上に施される素子の配線パターンの複雑化、ライ
ン幅の狭帯化がますます必要とされる様になってきた事
により、半導体素子およびウエーハ基板上にプリントさ
れた回路パターンの検査、製造において、電子線をプロ
ーブとした分析、測長、製造を行う装置の性能向上が求
められるようになってきた。つまり、電子線のプローブ
径をいかに細くするかが焦点となる。
【0003】従来この問題については、電子光学系、つ
まり電子線の拡大、縮小、収束を制御する電場、磁場を
用いたレンズ群において、レンズの制御方法、形状の最
適化を行うというアプローチと、電子線そのものの質を
向上させるアプローチが行われてきた。
【0004】本発明と同じアプローチの後者について説
明するならば、従来、電子源としてはタングステンヘア
ピンフィラメントもしくは、LaBポイントカソード
に代表される熱電子源を用いた熱電子放出型と、量子力
学的トンネル効果を利用したタングステン冷陰極電子源
を用いた電界放出型の2つに大きく分けられる。
【0005】電界放出型電子源は熱電子源に比して格段
に電子のエネルギー分布幅が狭く、輝度が高い。さら
に、熱電子源では1eV以上のエネルギー分布幅であっ
たものが、タングステン冷陰極においては、常温におい
て200〜300meVに低減でき、電子光学系に用い
られるレンズの色収差が低減できるために電子顕微鏡の
性能向上に大きく寄与してきた。このように電界放出型
電子源は単色性という点では、現在知られている何れの
電子源よりも優れているものの、10−8Pa程度の超
高真空中で使用しなければならないことに加え、定期的
に電子源を瞬間的に通電加熱し、電子源に吸着したガス
分子を除去するという清浄化作業が必要不可欠であっ
た。
【0006】最近においては、この様な欠点を補うもの
として、10−7Pa程度の真空中においても動作でき
るように電子源を1000℃程度に加熱して電界放出を
行ったり、放出角電流密度を大きくしたり、長期に渡り
安定した電子ビームを取り出すためにTi/W<100
>やZr/W<100>を電子源として用いた熱電界放
出型電子銃も実用化されているが、熱電界放出型は電子
源を加熱するために、電子ビームのエネルギー幅が室温
で用いる電界放出型よりも大きいため、電子線を用いる
装置の高分解能化には最適とは言えない。
【0007】さらに付け加えるならば、電界放出型電子
源においては電子源を冷却することにより、電子源であ
る金属中の自由電子のエネルギー分布が変化し、フェル
ミエネルギーより高いエネルギーに分布する電子数は減
少するため、電子ビームの温度による「ぼけ」が減少する
ことになり、更なる単色化が可能となるが、現在までに
実用化された電界放出型電子銃は室温にて使用されてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、電子
顕微鏡においては、既に電界放出型電子源は実用化され
ている。電界放出型電子源の特徴として、高輝度でエネ
ルギー分布幅が狭く、加熱しないため電子源の蒸発がな
く長寿命であることが利点として挙げられる。エネルギ
ー分布幅について加えると、電子源を低温に冷却するこ
とでさらにエネルギー分布幅は狭くなり、タングステン
では300Kで200meV程度のエネルギー分布幅で
あったものが、70Kでは100meV程度、4Kでは
70meV程度となるが、反面、電界放出型電子源にお
いては、放出される電子ビームの安定性は電子源の暴露
雰囲気、つまり電子銃内部の圧力に依存しており、安定
な電子ビームを得るには、電子銃内を超高真空雰囲気と
しなければならない。
【0009】たとえ超高真空中において使用したとして
も、電界放出型電子源の電子放出領域は、針状電極の先
端(曲率半径:数千Å程度)の一部であるため、残留ガ
スが経時的に電子源表面に吸着し、表面電子状態の変化
や、吸着分子または原子の移動によって、長期に渡り安
定した電子放出を行う事は困難である。このため定期的
な電子源表面の清浄化作業、いわゆるフラッシングが必
須であった。
【0010】フラッシングは瞬間的に電子源の取り付け
られているフィラメントを通電加熱し、熱的に吸着ガス
を脱離させようとするものであるが、この作業の為には
電子線の取り出しを中止する必要が有り、この間測定等
の作業が行えず、フラッシング後にも電子ビームが安定
するまでに時間がかかるのが欠点であった。
【0011】さらに電子源を冷却しようとするならば、
冷却された電子源はクライオポンプと同様の作用によっ
て、真空中における残留ガス(超高真空中の残留ガスは
HeやHなどの軽い分子)が電子源表面に吸着しやす
くなることは明らかである。しかし、フラッシングによ
る清浄化方法は、低温に冷却された電子源の温度上昇に
よる不安定性や熱応力の発生などのために最適な方法と
は言えない。
【0012】以上の事より、本発明が解決しようとする
課題は、第一に電子源を冷却するためのコンパクトな冷
却機構を提供することにある。
【0013】本発明の他の解決課題は、真空容器内を超
高真空よりも良い圧力とすること、電子源を取り巻く環
境からの熱輻射を防ぐとともに、電子源から電子を引き
出すアノードからの電界が、十分電子源に作用するよう
に、その電界に影響を与えないようにすることにある。
【0014】本発明の他の解決課題は、電子ビームの取
り出しを中断することなく電子源の清浄化を行う事がで
き、さらに電子ビームと相互作用することのない手段を
提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、真空容
器内に設けられた電子線発生部を備えた電子線発生装置
において、前記電子線発生部に固定された冷却源と、前
記真空容器の外に設けられた冷却器と、前記冷却源と前
記冷却器との間で冷媒を循環させる冷媒流路とを具備す
ることにある。
【0016】本発明の他の特徴は、一対の電極と電子源
とを含む電子線発生部を備え、電気的絶縁物を介して前
記電子源を真空容器内の所定の位置に固定した電子線発
生装置において、前記電子源の周囲に配置されたコレク
ター電極と、前記電子線発生部の絶縁物に固定され内部
に冷媒通路の形成された金属製冷却源と、前記真空容器
の外に設けられた冷却器と、前記冷却源と前記冷却器と
の間で冷媒を循環させる冷媒流路とを具備することにあ
る。
【0017】本発明では、電子線発生部を冷却する方法
として、電子線発生部に冷媒の循環路を設け、冷媒を循
環させることにより冷却する方法を採用した。電子銃内
部は超高真空としなければならないので、部材からの放
出ガスを極力小さくする目的からも部材の表面積をでき
るだけ小さくしなくてはならない。本発明の冷却法によ
れば、コンパクトな構成となり、また、長時間使用でき
る利点がある。さらに、一般に電子源には負の高電圧が
印可されることから電気的絶縁性も容易となる。
【0018】本発明の他の特徴は、クライオポンプ作用
を持つ金属部材からなるシールドを、前記電子線発生部
の周囲に設けたことにある。
【0019】コールドトラップシールドは、電子源を取
り巻く環境、つまり冷却されていない電子銃側壁やアノ
ード等からの熱輻射を防ぐこと、電子源から電子を引き
出すために一般に正の高電圧が印可されるアノードから
の電界が、十分電子源に作用するようにその電界に影響
を与えないようにすること、磁気シールド効果を持たせ
るために高透磁率金属にて作られ、また、電子線発生部
を大きく囲む必要があるため、形状をある程度大きくし
なくてはならない。
【0020】本発明によれば、冷媒を循環させる方法に
よって、コールドトラップとして十分に温度を下げるこ
とができる。
【0021】本発明の他の特徴は、真空容器内に設けら
れた電子線発生部を備えた電子線発生装置において、電
子線発生装置の外部から導いたレーザー光を前記電子線
発生部の電子源に照射する光照射機構と、前記電子線発
生部の周囲に設けられたクライオポンプ作用を持つ金属
部材からなり、レーザー光透過用の穴を有するシールド
と、この穴の中心線の延長が前記シールドに初めて交わ
る位置に配置された凹型ミラーとを備え、前記光照射機
構は、一方向から導いた前記レーザー光の一部を直接前
記電子源に集光させるとともに、前記レーザー光の一部
を前記凹型ミラーで反射させて前記電子源部位に集光さ
せるように構成されていることにある。
【0022】電子源の清浄化方法としては光刺激脱離法
(PSD:Photon Stimulated Desorption)が考えられる。
これは紫外光を固体表面に照射し、固体表面に吸着した
分子、原子(団)を正イオンや中性分子、原子(団)の
形で脱離させるものであるが、電子源先端に気相イオン
の生成を防ぐ為にも必要最小限の範囲に光を集光させる
事が必要であり、このためには直進性、指向性の優れた
紫外光としてエキシマーレーザー等が有用だと考えられ
る。レーザー光を使用すれば上記問題および電子との相
互作用も考えなくてよい。
【0023】レーザー光の照射方法として、二方向から
の照射が可能な場合は問題とならないが、構造の簡素
化、コストを考えるならば、一方向から照射する方が有
利である。この場合、レーザー光は電子銃外部のレーザ
ー発振器より光ファイバーにて電子銃内に導入され、所
定の位置にレーザー光の射出口が置かれる。この際、射
出口には該レーザー光をある決められた径に設定する事
ができるようレンズが置かれるが、この時その径は電子
源先端に比して大きいことを特徴とする。
【0024】また、該レーザー光は電子源先端に照射さ
れるように設定されるが、一方向からの照射では電子源
に該レーザー光の当たらない影の部分ができるため、該
レーザー光の射出口の電子源に対して反対側に凹型のミ
ラーを設けることにより、該ミラーにて電子源に当たる
ことなく通過したレーザー光を反射、集光せしめ、電子
源の影となっていた部位に該レーザー光を照射すること
ができるようになる。
【0025】本発明の他の特徴は、前記電子線発生装置
の電子源から発生するイオンを収集する為のコレクター
電極を電子源周囲に配置したことにある。
【0026】電子源に吸着していた分子、原子は、該レ
ーザー光にて正イオン化されるか、または中性分子、原
子(団)として電子源表面よりあるエネルギーをもって
脱離するが、該正イオンは電子源に印可された電位より
も負の方向に大きい電位に保たれた電子源周囲に設置さ
れたコレクタ電極により捕獲される。また、中性のまま
脱離した分子、原子(団)も真空中でレーザー光に照射
されることによりイオン化され、同様にコレクタ電極に
捕獲され得る。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一
実施例になる電子線発生装置の構成を説明する。図1
は、電子銃の要部縦断面図であり、図2および図3は、
図1の電子線発生部を冷却源9にて冷却する手段の構成
を示す正面断面図および平面図である。また、図4、図
5は図1のコールドトラップシールドの正面図および平
面図である。
【0028】本実施例の電子線発生装置は、真空ポンプ
2で排気することのできる真空容器1内に、電子源3,
電極4,コレクター5および絶縁物8を含む電子線発生
部と、コールドトラップシールド6が設けられている。
【0029】電子線発生部は、真空容器1のフランジ2
0に固定された熱伝導率の小さい絶縁物10、例えばセ
ラミックによって保持されており、電子源を所定の位置
に固定することが出来るようになっている。さらに、電
子線発生部は金属製パイプの第1冷媒流路11もしくは
それ自身の内部に冷媒流路を具備した熱伝導率の大きい
金属、例えば銅でできた冷却源9に密着して固定されて
いる。冷却源9には、第1冷媒流路11を介して真空容
器1の外から冷媒が循環供給され、電子線発生部を冷却
することが出来る。13は電流導入端子である。
【0030】真空容器1内には、電子を引き出すために
電子源3に高電界を印可するための第一アノード21、
この第一アノードと対になって静電レンズを構成する第
二アノード22が設けられている。電子銃の内部は真空
ポンプ2で排気することによって超高真空(到達圧力1
−8Pa台)とすることが可能である。
【0031】電子銃はさらに、レーザー光照射機構を具
備している。このレーザー光照射機構のレーザー発振装
置18で生成されたレーザー光は、金属製のパイプであ
るガイド16中の光ファイバー17を通り、フランジ1
5を介して電子銃の外部から内部に導入される。ガイド
16は気密性をもってフランジ15に接続されており、
該ガイドのレーザー光射出口側の一端にはレーザー光を
適度な直径に絞り、平行ビームとすることの出来るレン
ズ26が気密性をもって設けられる。また、ガイド16
は電子銃外部では柔軟性をもったパイプとし、電子銃内
部では光ファイバー17の中心軸延長上にレーザー光通
過穴25中心、電子源3先端、ミラー7が位置するよう
に直線上に固定されている。
【0032】電子線発生部は、図2および図3に示した
ように最低二本の電極4を有し、これらの電極4はサフ
ァイア等の(電気抵抗が大きい)絶縁物8にメタライズ法
によって接合され、該電極の内一本には電子源3が取り
付けられており、他の一本にはコレクタ電極5が取り付
けられている。また、電極4にはフランジ20に取り付
けられた電流導入端子13を介して外部電源により任意
の電位を印可出来る。
【0033】第1冷媒流路11は、フランジ20を介し
て電子銃内部と外部を繋いでおり、一端を冷却源9の冷
媒流路に、もう一端は電子銃の外部に設けられた極低温
の冷熱源(冷却器)24を含む冷媒循環装置に接続され、
全体として冷媒流路はループをなしており、冷媒を冷熱
源24と電子銃内部の間で循環させることができる。な
お、第1冷媒流路11とフランジ20、及び冷却源9の
接続部は気密性を保つよう接続されている。フランジ2
0以降の電子銃外部の第1冷媒流路11は、径の異なる
パイプを二重にし、冷媒流路となる内側のパイプと該パ
イプを取り囲む外側のパイプとの空間を真空とすること
により冷媒への熱流入を低減することも可能である。さ
らに、第1冷媒流路11がフランジ20に接続されてい
ることにより、フランジ20もしくは電子銃の一部が結
露したり、氷結することを防ぐためにフランジ20に温
度制御可能なヒータを取り付けることも可能である。
【0034】金属部材であるコールドトラップシールド
6は、図4、図5に示すように、電子線発生部を取り囲
むように配置された円筒状金属であり、第1冷媒流路1
1と同形状の第2冷媒流路12を冷却源9と同様にシー
ルド6の周囲に接触させることで、シールド6を冷却す
ることが出来る。また、シールド6の材質を透磁率の大
きい金属、例えばパーマロイとすることで、磁気シール
ドの効果を持たせることも出来る。 さらに、シールド
6はこれのみでも真空容器1の室温となっている部分か
らの熱輻射を妨げることが出来るが、このシールド6の
底部に蓋を設け、この蓋に電子源3に第一アノード21
の電界が十分作用するのに必要最小限の穴を設けること
によって、第一アノード21からの熱輻射を低減するこ
ともできる。
【0035】電子線発生部を冷却する方法として本発明
は、真空容器1内の電子線発生部に冷媒の循環路を設
け、冷媒循環装置により真空容器1の外に設けられた冷
却器24との間で冷媒を循環させて冷却する方法を採用
した。これは、電子源を冷却する以前に電子銃内部を超
高真空としなければならないので、部材からの放出ガス
を極力小さくする目的からも部材の表面積をできるだけ
小さくしなくてはならず、なるべくコンパクトな構成が
望ましいことや、長時間使用できること、一般に電子源
には負の高電圧が印可されることから電気的絶縁性の容
易さを考える必要があるためである。
【0036】コールドトラップシールドは、電子源を取
り巻く環境、つまり冷却されていない電子銃側壁やアノ
ード等からの熱輻射を防ぐこと、電子源から電子を引き
出すために一般に正の高電圧が印可されるアノードから
の電界が、十分電子源に作用するようにその電界に影響
を与えないようにすること、磁気シールド効果を持たせ
るために該コールドトラップシールドは高透磁率金属に
て作られる。また、電子線発生部を大きく囲む必要があ
るため、形状をある程度大きくしなくてはならない。本
発明によれば、真空容器1外から電子線発生部に冷媒を
循環させる方法で冷却することにより、コールドトラッ
プとして十分に温度を下げることができる。
【0037】次に、電子源の清浄化方法としては光刺激
脱離法が考えられるが、電子源先端に気相イオンの生成
を防ぐ為にも必要最小限の範囲に光を集光させる事が必
要であり、このためには直進性、指向性の優れた紫外光
としてエキシマーレーザー等が有用と考えられる。
【0038】レーザー光の照射方法として、二方向から
の照射が可能な場合は問題とならないが、構造の簡素
化、コストを考えるならば、一方向から照射する方が有
利である。この場合、レーザー光は示したとおり、電子
銃外部のレーザー発振器18より光ファイバー17にて
電子銃内に導入され、所定の位置にレーザー光の射出口
25が置かれる。この際、射出口には該レーザー光をあ
る決められた径に設定する事ができるようレンズ26が
置かれるが、この時その径は電子源先端に比して大きい
ことを特徴とする。また、該レーザー光は電子源3の先
端に照射されるように設定されるが、一方向からの照射
では電子源に該レーザー光の当たらない影の部分ができ
るため、該レーザー光の射出口の電子源に対して反対側
に凹型のミラー7を設けることにより、該ミラーにて電
子源に当たることなく通過したレーザー光を反射、集光
せしめ、電子源の影となっていた部位に該レーザー光を
照射することができる。
【0039】図6は、凹型のミラー7にて、電子源3に
当たることなく通過したレーザー光19を反射し、集光
し、電子源の影となる部位にこのレーザー光を照射する
模式図である。図に示すように、シールド6にはレーザ
ー光通過穴25が開けられており、このレーザー光通過
穴の中心軸延長上には電子源3およびミラー7が位置す
る。
【0040】ミラー7は、レーザー光19を反射する面
を鏡面研磨もしくは金属メッキした、熱伝導率の大きい
金属、例えばアルミニウム製の凹面鏡であり、シールド
6の内面に取り付けられ、電子源3に照射されずに通過
してきたレーザー光19を電子源3に反射、集光するこ
とができる。したがって、レーザー光19の一方向から
の照射では影となる電子源の部位にこのレーザー光を照
射することができる。よって、ミラー7の存在によっ
て、電子源3のレーザー光19の入射側および反対側を
むらなくレーザー光19によって照射することが可能と
なる。レーザー光19としてはエキシマーレーザー光を
用いる。
【0041】図7は、光刺激脱離法を用いてレーザー光
19にてイオン化された吸着ガス27をコレクター5で
捕獲する模式図である。電子源3に吸着していた分子、
原子は、レーザー光19にて正イオン化されるか、また
は中性分子、原子(団)として電子源3の表面よりある
エネルギーをもって脱離する。この正イオン28は電子
源3に印可された電位よりも負の方向に大きい電位に保
たれた電子源周囲に設置されたコレクタ電極5により捕
獲される。また、中性のまま脱離した分子、原子(団)
も真空中でレーザー光19に照射されることによりイオ
ン化され、同様にコレクタ電極5に捕獲され得る。
【0042】
【発明の効果】以上説明してきた様に、本発明によれ
ば、電子源の冷却機能及びフラッシングを必要としない
光刺激脱離法を用いた電子源のクリーニング法を実現す
ることによって、長期にわたって安定したエネルギー分
布幅の狭い電子線を利用することが出来るようになる。
【0043】また、電界放出型電子源を用いた電子銃を
搭載した装置、例えば電子顕微鏡においては、単色性の
良い電子線を用いることにより、電子光学系として用い
られるレンズの色収差の低減が可能となり、空間分解能
が向上し、より鮮明な像観察が可能となり、電子線描画
装置においても同様の理由により、より微細な描画が可
能となる。
【0044】さらに、電子線の単色性を利用した装置、
例えば電子線ホログラフィー装置などでは、より干渉性
の良い電子線を提供することが出来る様になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実現する電子銃の構成を示す断面図。
【図2】図1の電子銃の電子線発生部を冷却するための
正面断面図。
【図3】図1の電子銃の電子線発生部を冷却するための
平面図。
【図4】図1における電子銃のコールドトラップシール
ドの正面図。
【図5】図1における電子銃のコールドトラップシール
ドの平面図。
【図6】レーザー光を反射し、集光し、電子源の影とな
る部位に照射する模式図である。
【図7】レーザー光にてイオン化された吸着ガスをコレ
クターで捕獲する模式図。
【符号の説明】
1…真空容器、2…真空ポンプ、3…電子源、4…電
極、5…コレクター、6…シールド、7…ミラー、8…
絶縁物、9…冷却源、10…絶縁物、11…第1冷媒流
路…12…第2冷媒流路…、13…電流導入端子、14
…フランジ、15…フランジ、16…ガイド、17…光
ファイバー、18…レーザー発振装置、19…レーザー
光、20…フランジ、21…第一アノード、22…第二
アノード、23…電極、24…冷却器、25…レーザー
光通過穴、26…レンズ、27…吸着ガス、28…正イ
オン

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空容器内に設けられた電子線発生部を備
    えた電子線発生装置において、前記電子線発生部に固定
    された冷却源と、前記真空容器の外に設けられた冷却器
    と、前記冷却源と前記冷却器との間で冷媒を循環させる
    冷媒流路とを具備することを特徴とする電子線発生装
    置。
  2. 【請求項2】クライオポンプ作用を持つ金属部材からな
    るシールドを、前記電子線発生部の周囲に設けたことを
    特徴とする請求項1記載の電子線発生装置。
  3. 【請求項3】前記シールドは、熱及び磁気シールド効果
    を持つ金属部材であることを特徴とする請求項2記載の
    電子線発生装置。
  4. 【請求項4】前記電子線発生部の電子源に光を照射する
    光照射機構を設けたことを特徴とする請求項1ないし3
    のいずれかに記載の電子線発生装置。
  5. 【請求項5】前記光照射機構が、紫外線レーザー発振装
    置であることを特徴とする請求項4記載の電子線発生装
    置。
  6. 【請求項6】前記光照射機構は、光ファイバーと当該光
    の照射光学系を有することを特徴とする請求項4記載の
    電子線発生装置。
  7. 【請求項7】電子源から発生するイオンを収集する為の
    コレクター電極を電子源周囲に配置したことを特徴とす
    る請求項4記載の電子線発生装置。
  8. 【請求項8】一対の電極と電子源とを含む電子線発生部
    を備え、電気的絶縁物を介して前記電子源を真空容器内
    の所定の位置に固定した電子線発生装置において、前記
    電子源の周囲に配置されたコレクター電極と、前記電子
    線発生部の絶縁物に固定され内部に冷媒通路の形成され
    た金属製冷却源と、前記真空容器の外に設けられた冷却
    器と、前記冷却源と前記冷却器との間で冷媒を循環させ
    る冷媒流路とを具備することを特徴とする電子線発生装
    置。
  9. 【請求項9】真空容器内に設けられた電子線発生部を備
    えた電子線発生装置において、 電子線発生装置の外部から導いたレーザー光を前記電子
    線発生部の電子源に照射する光照射機構と、 前記電子線発生部の周囲に設けられたクライオポンプ作
    用を持つ金属部材からなり、レーザー光透過用の穴を有
    するシールドと、 該穴の中心線の延長が前記シールドに初めて交わる位置
    に配置された凹型ミラーとを備え、 前記光照射機構は、一方向から導いた前記レーザー光の
    一部を直接前記電子源に集光させるとともに、前記レー
    ザー光の一部を前記凹型ミラーで反射させて前記電子源
    部位に集光させるように構成されていることを特徴とす
    る電子線発生装置。
  10. 【請求項10】真空容器内に設けられた電子線発生部を
    備えた電子線発生装置の冷却方法において、 前記電子線発生部に固定された冷却源と前記真空容器の
    外に設けられた冷却器との間で冷媒流路を介して冷媒を
    循環させることを特徴とする電子線発生装置の冷却方
    法。
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