JP2016060417A - ラック・ピニオン式ステアリング装置のラックブッシュ - Google Patents

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武文 吉川
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星治 上野
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Abstract

【課題】ラック・ピニオン式ステアリング装置のラックブッシュとして、厳しい環境で長期に渡って使用されても、劣化や変形が生じにくいものを提供する。【解決手段】ラック・ピニオン式ステアリング装置のラック軸2を、ラックハウジング3内で軸方向に摺動自在に支持するラックブッシュ1であって、クリープ試験後のひずみ量が5%以下であることと、往復動摩擦摩耗試験後の摩耗深さが40μm以下となることの両方を満たす合成樹脂材料で形成されている。【選択図】図2

Description

この発明は、ラック・ピニオン式ステアリング装置のラック軸をラックハウジングに取り付けるために使用されるラックブッシュに関する。
従来より、車両用のステアリング装置として、ラック・ピニオン式ステアリング装置が広く使用されている。ラック・ピニオン式ステアリング装置は、ステアリングホイールの操舵に伴って回転するステアリングシャフトの回転運動を、ラック・ピニオン機構によってラック軸の軸方向運動に変換する装置である。
このようなラック・ピニオン式ステアリング装置で、ラック軸はラックハウジングに収容され、ラックハウジングが車体フレームに取り付けられている。そして、ラック軸をラックハウジング内で軸方向に摺動自在に支持するための滑り軸受として、略円筒状のラックブッシュが使用されている。
特許文献1には、ラック・ピニオン式ステアリング装置のラックブッシュの一例であるブッシュ軸受が記載されている。このブッシュ軸受は、ブッシュ本体と無端環状弾性部材とからなり、ブッシュ本体は軸方向に延びるスリットを有し、ブッシュ本体の外周面に環状溝が形成されている。ブッシュ本体の環状溝に無端環状弾性部材が装着されている。また、特許文献1には、ブッシュ本体を形成する合成樹脂として、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、およびフッ素樹脂が開示されている。
特開2003−322165号公報
近年、ラック・ピニオン式ステアリング装置に対する要求は厳しくなり、より長期に渡って動作安定性を保持することが求められている。具体的には、グリース潤滑により、温度範囲が−40℃〜120℃という厳しい使用環境で、10年間、ラックブッシュがラック軸を適切な位置で支持することと、ラック軸の上下動に起因する振動や打音が発生しないようにすること(静音性や摺動性が保持されること)である。ラック軸の上下動は、経時劣化の影響でラックブッシュが変形し、ラックハウジングとラックブッシュの間に隙間が生じることで発生する。
この発明の課題は、ラック・ピニオン式ステアリング装置のラックブッシュとして、厳しい環境で長期に渡って(例えば、−40℃〜120℃で10年間)使用されても、劣化や変形が生じにくいものを提供することである。
上記課題を解決するために、この発明の各態様のラックブッシュは、ラック・ピニオン式ステアリング装置のラック軸を、ラックハウジング内で軸方向に摺動自在に支持するラックブッシュであって、下記の構成(1) 、(2) 、または(3) をそれぞれ有することを特徴とする。
(1) 下記の方法で行うクリープ試験後のひずみ量が5%以下であることと、下記の方法で行う往復動摩擦摩耗試験後の摩耗深さが40μm以下となることの両方を満たす合成樹脂材料で形成されている。
<クリープ試験方法>
JIS K7162の規定を満たし、全長:150mm、幅の狭い平行部分の長さ:80mm、端部の幅:20mm、厚さ:4mmである試験片を作製し、JIS K7115に準じた方法で、温度:60℃、負荷応力:20MPa、試験時間:100時間の条件で行う。
<往復動摩擦摩耗試験方法>
40mm×20mm×厚さ4mmの試験片を作製し、前記試験片に直径が9.525mmのSUJ2製のボールを載せて、温度:80℃、負荷応力:8.5MPa、速度:20mm/s、往復距離:40mm、往復回数:5000回の条件で、前記ボールを往復運動させる。
(2) 下記の方法で行う熱衝撃試験後に、下記の円筒と円環体との隙間が0.4mm以下となる、下記の円筒を形成する合成樹脂材料で形成されている。
<熱衝撃試験方法>
合成樹脂材料で形成され前記ラックブッシュと同じ内径および外径を有する円筒と、前記ラック軸が長手方向で前記円筒より長く切断された軸体と、前記ラックハウジングと同じ内径のアルミニウム合金からなる円環体を用いる。前記円筒内に前記軸体を挿入するとともに、前記円筒の外周面に前記円環体を嵌めて熱衝撃試験装置に入れ、−40℃で1時間に保持することと120℃で1時間保持することを交互に500サイクル行う。
(3) 下記の構成(a) 〜(c) の全てを満たす合成樹脂材料で形成されている。
(a)上述の方法で行うクリープ試験後のひずみ量が4.3%以下であること。
(b)上述の方法で行う往復動摩擦摩耗試験後の摩耗深さが32μm以下となること。
(c)上述の方法で行う熱衝撃試験後に、前記円筒と円環体との隙間が0.32mm以下となる、前記円筒を形成する合成樹脂材料であること。
この発明によれば、ラック・ピニオン式ステアリング装置のラックブッシュとして、厳しい環境で長期に渡って使用されても劣化や変形が生じにくいものが提供される。このラックブッシュを用いることで、ラックブッシュによりラック軸が適切な位置で支持され、ラック軸の上下動に起因する振動や打音の発生が抑制されたラック・ピニオン式ステアリング装置を得ることができる。
実施形態のラックブッシュを有するラック・ピニオン式ステアリング装置を示す部分破断正面図である。 図1のA部分の断面図である。 図1のラックハウジングのA部分を示す断面図である。 実施形態のラックブッシュを示す斜視図である。 図4のラックブッシュの正面図である。 図5のA−A断面図である。 図4のX矢視図である。 図4のY矢視図である。 図4とは形状が異なるラックブッシュを示す斜視図である。 図9のラックブッシュの正面図である。 図10のA−A断面図である。 図9のX矢視図である。 図9のY矢視図である。 図4とは形状が異なるラックブッシュを示す斜視図である。 図14のラックブッシュの正面図である。 図15のA−A断面図である。 図14のX矢視図である。 図14のY矢視図である。 コラムブッシュの一例を説明する断面図である。 図19のコラムブッシュを示す図であって、上半分は図19のA矢視図、下半分は図19のB−B断面図である。
以下、この発明の実施形態について説明するが、この発明はこの実施形態に限定されない。
図1に示すように、この実施形態のラックブッシュ1は、ラック・ピニオン式ステアリング装置100のラック軸2を、ラックハウジング3内で軸方向に摺動自在に支持するものである。
図2および図3に示すように、ラックハウジング3の内周面に、ラックブッシュ1を取り付けるための凹部31が形成されている。凹部31は、小径凹部31aと大径凹部31bとからなる。
図4〜8に示すように、ラックブッシュ1は略円筒状であって、外径および内径が一定である円筒状の本体部11を有し、本体部11の軸方向両端に、本体部11より外径の大きい大径部12と本体部11より外径の小さい小径部13がそれぞれ形成されている。ラックブッシュ1の軸方向両端の内周面1a,1bは、軸方向中央側から軸方向各端部に向かうにつれて拡径するテーパ状に形成されている。
本体部11の外周面には、軸方向の二箇所(軸方向中心より大径部12側と小径部13側)に、弾性リング4を嵌める環状溝14が形成されている。
ラックブッシュ1には、大径部12から小径部13の途中まで軸方向に延びる三本のスリット15が形成されている。各スリット15は、ラックブッシュ1をなす円筒の周方向に120°間隔で形成されている。
ラックブッシュ1は、前述の方法で行うクリープ試験後のひずみ量が5%以下であることと、前述の方法で行う往復動摩擦摩耗試験後の摩耗深さが40μm以下となることの両方を満し、前述の方法で行う熱衝撃試験後に前記円筒と前記円環体との隙間が0.4mm以下となる合成樹脂材料で形成されている。
ラックブッシュ1は、本体部11の環状溝14に弾性リング4を嵌めた状態で、図3に示すラックハウジング3の小径凹部31aに本体部11が配置され、大径凹部31bに大径部12が配置される。この状態のラックブッシュ1内にラック軸2が挿入されて図2に示す状態になると、スリット15と弾性リング4の作用により本体部11が縮径される。これにより、ラックブッシュ1は、ラックハウジング3の適切な位置に配置され、締め代をもってラック軸2を軸方向に摺動自在に支持する。
また、ラックブッシュ1内にラック軸2が挿入される際に、スリット15と弾性リング4により本体部11が拡径する方向に弾性変形するため、ラック軸2の挿入作業が容易に行える。また、ラックブッシュ1の軸方向両端の内周面1a,1bがテーパ状に形成されているため、ラックブッシュ1内にラック軸2が挿入される際に、ラックブッシュ1の軸方向両端面の損傷が防止される。
この実施形態のラックブッシュ1は上述の合成樹脂材料で形成されているため、グリース潤滑により、温度範囲が−40℃〜120℃という厳しい使用環境で、10年間使用されても、劣化や変形が生じにくいものとなっている。よって、この実施形態のラックブッシュ1を用いることで、ラックブッシュ1によりラック軸2が適切な位置で支持され、ラック軸2の上下動に起因する振動や打音の発生が抑制されたラック・ピニオン式ステアリング装置100を得ることができる。
[ラックブッシュの形状]
この発明はラックブッシュを形成する材料に特徴があり、ラックブッシュの形状はどのようなものであってもよい。図4のラックブッシュ1とは形状が異なるラックブッシュの例を以下に示す。
図9〜13に示すラックブッシュ5は略円筒状であって、径方向で三分割された分割体5A〜5Cからなる。分割体5A〜5Cは、ラックブッシュ1のスリット15に対応する隙間55を開けて円筒状に配置された状態で、本体部51と大径部52とからなる略円筒体を成す。各隙間55は、この略円筒体の周方向に120°間隔で存在する。この略円筒体の本体部51の外周面に、軸方向の二箇所(軸方向で中心より両端部側)に、弾性リング4を嵌める環状溝54が形成されている。各分割体5A〜5Cには、環状溝54を構成する溝54A〜54Cが形成されている。
ラックブッシュ5の軸方向両端の内周面5a,5bは、軸方向中央側から軸方向各端部に向かうにつれて拡径するテーパ状に形成されている。
分割体5A〜5Cは、隙間55を開けて円筒状に配置された状態で、溝54A〜54Cからなる環状溝54に弾性リング4を嵌めて一体化される。
ラックブッシュ5は、本体部51の環状溝54に弾性リング4を嵌めた状態で、図3に示すラックハウジング3の凹部31に配置される。この状態のラックブッシュ5内にラック軸2が挿入される際に、隙間55が開いてラックブッシュ5が拡径され、ラック軸2がラックブッシュ5内への挿入が完了した状態で、弾性リング4と隙間55の作用でラックブッシュ5が縮径される。これにより、ラックブッシュ5は、ラックハウジング3の適切な位置に配置され、締め代をもってラック軸2を軸方向に摺動自在に支持する。
図14〜18に示すラックブッシュ6は略円筒状であって、外径および内径が一定である円筒状の本体部61を有し、本体部61の軸方向一端に、本体部61より外径の大きい大径部62が形成されている。ラックブッシュ6の軸方向両端の内周面6a,6bは、軸方向中央側から軸方向各端部に向かうにつれて拡径するテーパ状に形成されている。
本体部61の外周面には、軸方向の二箇所(軸方向で中心より両端部側)に、弾性リング4を嵌める環状溝64が形成されている。ラックブッシュ6には、円筒の軸方向に延びる螺旋状の切り込み65が形成されている。
ラックブッシュ6は、環状溝64に弾性リング4を嵌めた状態で、図3に示すラックハウジング3の凹部31に配置される。この状態のラックブッシュ6内にラック軸2が配置された状態で、弾性リング4の作用でラックブッシュ6が弾性変形して縮径される。これにより、ラックブッシュ6は、ラックハウジング3の適切な位置に配置され、締め代をもってラック軸2を軸方向に摺動自在に支持する。
[合成樹脂材料について]
本発明者等は、ラック軸とラックブッシュ、ラックブッシュとラックハウジングの間にどの程度の隙間があると振動や打音が発生するかについて検討し、ラックブッシュが変形して隙間が生じた場合でも振動や打音が発生しない範囲を調べた。その結果、−40℃〜120℃で10年間の使用に相当する加速試験として、前述の熱衝撃試験を行い、円筒と円環体との隙間が0.4mm以下であれば、ラックブッシュが変形して隙間が生じた場合でも振動や打音が発生しないことが分かった。
また、前述のクリープ試験後のひずみ量が5%以下であり、往復動摩擦摩耗試験後の摩耗深さが40μm以下であると、ラックブッシュとラックハウジングとの隙間を振動や打音が発生しない程度に小さくでき、ラックブッシュとして必要な機能が長期に渡って保持できることが分かった。
これらの条件を満足するラックブッシュを得るためには、ラックブッシュを形成する合成樹脂材料(樹脂組成物)の構成成分(合成樹脂、充填材、添加剤)を適宣選択する必要がある。これについて以下に述べる。
ベースとなる合成樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
具体的には、ポリアセタール樹脂とポリアミド系樹脂が挙げられる。ポリアミド系樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46や、半芳香族ポリアミドであるポリアミド6T/6−6、ポリアミド6T/6I、ポリアミド6T/6I/6−6、ポリアミド6T/M−5T、ポリアミド9Tなどが好適である。
また、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリフェニレンサルファイド樹脂、及びポリエーテルエーテルケトン樹脂も使用可能である。
また、熱可塑性エラストマーも好適に使用できる。具体的には、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系が挙げられるが、ポリエステル系、ポリアミド系等のエンジニアリングプラスチック系の熱可塑性エラストマーが好適である。
なお、使用する熱可塑性エラストマーのゴム成分、所謂、ソフトセグメント成分は、特に限定されない。ソフトセグメントの候補としては、ポリエステル、ポリエーテル、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリカーボネート、およびポリカプロラクタムなど多数挙げられるが、ポリエステルまたはポリエーテルが市場からの入手し易い。特に、耐加水分解性を考慮すると、ポリエーテルセグメントが好適である。ポリエーテルセグメントの具体例としては、ポリテトラメチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、あるいは、これらの共重合体等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーとして、動的架橋型熱可塑性エラストマーを用いてもよい。動的架橋型熱可塑性エラストマーは、熱可塑性樹脂とゴムからなるポリマーアロイであり、従来の熱可塑性エラストマーよりも耐油性や耐熱性が高い。動的架橋型熱可塑性エラストマーは、熱可塑性樹脂とゴムを任意に組み合わせて材料設計できるため、様々な組合せが検討されている。
具体的には、ポリオレフィン系、スチレン系、ポリアミド系などの動的架橋型熱可塑性エラストマーが市販されている。例えば、リケンテクノス(株)製の「ハイパーアロイアクティマー(登録商標)」(スチレン系動的架橋型エラストマーと、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマーとが相溶化されたもの)、ナイロン樹脂とシリコンゴムからなる動的架橋型熱可塑性エラストマー(Multibase社より市販されている)が使用できる。
充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維、ウォラスナイト、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカーなどの補強充填材が添加できる。ゼオライト、カオリン、マイカ、クレー、タルク、アルミナ、シリカなどの非繊維状充填材も添加できる。また、顔料、染料、帯電防止剤、及びフッ素樹脂などの固体潤滑剤などの配合剤も必要に応じて極少量添加しても良い。
また、添加剤として、成形時、及び使用時の熱による劣化を防止するために、ヨウ化物系熱安定剤やフェノール系、あるいは、アミン系の酸化防止剤を、それぞれ単独あるいは併用して添加しても良い。
[コラムブッシュ]
上述の合成樹脂材料は、ステアリングシャフトをステアリングコラム内で回転自在に支持するコラムブッシュの材料として使用することができる。上述の合成樹脂材料で形成されたコラムブッシュは、従来品と比較して、厳しい環境で長期に渡って使用されても劣化や変形が生じにくいものになる。
図19および図20に示すように、コラムブッシュ10は、ステアリングシャフト20をステアリングコラム30内で回転自在に支持する滑り軸受である。コラムブッシュ10は、軸方向に延びる欠損部(スリット)150を有する円筒体であって、外周面に弾性リング4を嵌める環状溝140を有する。コラムブッシュ10の外径は、自由状態でステアリングコラム30の内径と同じか僅かに大きい。コラムブッシュ10は、環状溝140に弾性リング4を嵌めることで、欠損部150で対向する対向面150a間が狭くなって縮径される。
図19に示す取り付け状態で、弾性リング4はステアリングコラム30の内周面に圧接され、コラムブッシュ10とステアリングコラム30の内周面との間に隙間があり、コラムブッシュ10とステアリングシャフト20との隙間がゼロになっている。すなわち、コラムブッシュ10は弾性リング4によりステアリングコラム30に対して弾性支持されている。これにより、操舵トルクの増大や異音の発生が抑制される。
なお、環状溝140の幅を大きくして環状溝140に板ばねを嵌める構造のコラムブッシュもある。
以下に示す合成樹脂材料を用意して以下の試験を行った。
<合成樹脂材料>
試験No.1:DuPont(株)製「デルリン(登録商標)100P NC010」(高粘度アセタールホモポリマー)
試験No.2:DuPont(株)製「デルリン(登録商標)111P NC010」(高粘度アセタールホモポリマー,結晶性向上)
試験No.3:ポリプラスチックス(株)製「ジュラコン(登録商標)M90−44」(ポリアセタール)
試験No.4:ポリプラスチックス(株)製「ジュラコン(登録商標)M25−44」(高粘度ポリアセタール)
試験No.5:ポリプラスチックス(株)製「ジュラコン(登録商標)OL−10」(含油ポリアセタール)
試験No.6:ポリプラスチックス(株)製「ジュラコン(登録商標)SW−01」(摺動性向上ポリアセタール)
<クリープ試験方法>
上述の各合成樹脂材料で、JIS K7162の規定を満たし、全長:150mm、幅の狭い平行部分の長さ:80mm、端部の幅:20mm、厚さ:4mmである試験片を作製する。各試験片を用い、JIS K7115に準じた方法で、温度:60℃、負荷応力:20MPa、試験時間:100時間の条件で行う。
<往復動摩擦摩耗試験方法>
上述の各合成樹脂材料で、40mm×20mm×厚さ4mmの試験片を作製する。各試験片に直径が9.525mmのSUJ2製のボールを載せて、温度:80℃、負荷応力:8.5MPa、速度:20mm/s、往復距離:40mm、往復回数:5000回の条件で、ボールを往復運動させる。
<熱衝撃試験方法>
ラックブッシュ1と同じ内径および外径を有する円筒を上述の各合成樹脂材料で形成する。ラック軸2が長手方向でこの円筒より長く切断された軸体と、ラックハウジング3と同じ内径のアルミニウム合金からなる円環体を用いる。円筒内に軸体を挿入するとともに、円筒の外周面に円環体を嵌めて熱衝撃試験装置に入れ、−40℃で1時間に保持することと120℃で1時間保持することを交互に500サイクル行う。
これらの試験を行い、クリープ試験後のひずみ量、往復動摩擦摩耗試験後の摩耗深さ、熱衝撃試験後の円筒と円環体との隙間を調べた。その結果を下記の表1に示す。
また、以下の方法で耐久試験を行った。
<耐久試験方法>
上述の各合成樹脂材料で図4のラックブッシュ1を形成して、図1に示すラック・ ピニオン式ステアリング装置に組込み、雰囲気温度120℃で、操舵を繰り返し行った。操舵中に、激しい異音が発生するか、操舵フィーリングに著しい悪化(摺動トルクの著しい上昇など)が認められた時点を寿命と判断し、その時点で操舵を止め、それまでの操舵回数(サイクル数)を調べた。その結果も下記の表1に示す。
Figure 2016060417
表1の結果から分かるように、「ひずみ量4.3%以下」「摩耗深さ32μm以下」「隙間量0.32mm以下」の全てを満たすNo.1〜No.4の合成樹脂材料を用いて形成されたラックブッシュが組み込まれたステアリング装置では、17万サイクル以上の耐久性が得られ、前記範囲をいずれも満たさないNo.5およびNo.6の合成樹脂材料を用いて形成されたラックブッシュが組み込まれたステアリング装置の耐久性は13万サイクル以下であった。15万サイクルを超える耐久性が得られれば、現行品よりも耐久性が高いと言える。
以上の結果から、この発明の実施例に相当するNo.1〜No.4の合成樹脂材料を用いることにより、ラック・ピニオン式ステアリング装置のラックブッシュとして、厳しい環境で長期に渡って使用されても劣化や変形が生じにくいものが得られることが分かる。
1 ラックブッシュ
11 本体部
12 大径部
13 小径部
14 環状溝
15 スリット
2 ラック軸
3 ラックハウジング
31 凹部
31a 小径凹部
31b 大径凹部
4 弾性リング
5 ラックブッシュ
5A〜5C 分割体
51 本体部
52 大径部
54 環状溝
55 隙間
6 ラックブッシュ
61 本体部
62 大径部
64 環状溝
65 螺旋状の切り込み
10 コラムブッシュ
20 ステアリングシャフト
30 ステアリングコラム
140 コラムブッシュの環状溝
150 コラムブッシュの欠損部
150a 欠損部の対向面
100 ラック・ピニオン式ステアリング装置

Claims (3)

  1. ラック・ピニオン式ステアリング装置のラック軸を、ラックハウジング内で軸方向に摺動自在に支持するラックブッシュであって、
    JIS K7162の規定を満たし、全長:150mm、幅の狭い平行部分の長さ:80mm、端部の幅:20mm、厚さ:4mmである試験片を作製し、JIS K7115に準じた方法で、温度:60℃、負荷応力:20MPa、試験時間:100時間の条件で行うクリープ試験後のひずみ量が5%以下であることと、
    40mm×20mm×厚さ4mmの試験片を作製し、前記試験片に直径が9.525mmのSUJ2製のボールを載せて、温度:80℃、負荷応力:8.5MPa、速度:20mm/s、往復距離:40mm、往復回数:5000回の条件で、前記ボールを往復運動させる往復動摩擦摩耗試験後の摩耗深さが40μm以下となること、
    の両方を満たす合成樹脂材料で形成されているラックブッシュ。
  2. ラック・ピニオン式ステアリング装置のラック軸を、ラックハウジング内で軸方向に摺動自在に支持するラックブッシュであって、
    合成樹脂材料で形成され前記ラックブッシュと同じ内径および外径を有する円筒と、前記ラック軸が長手方向で前記円筒より長く切断された軸体と、前記ラックハウジングと同じ内径のアルミニウム合金からなる円環体を用い、
    前記円筒内に前記軸体を挿入するとともに、前記円筒の外周面に前記円環体を嵌めて熱衝撃試験装置に入れ、−40℃で1時間に保持することと120℃で1時間保持することを交互に500サイクル行う熱衝撃試験後に、
    前記円筒と前記円環体との隙間が0.4mm以下となる、前記円筒を形成する合成樹脂材料で形成されているラックブッシュ。
  3. ラック・ピニオン式ステアリング装置のラック軸を、ラックハウジング内で軸方向に摺動自在に支持するラックブッシュであって、
    (a) JIS K7162の規定を満たし、全長:150mm、幅の狭い平行部分の長さ:80mm、端部の幅:20mm、厚さ:4mmである試験片を作製し、JIS K7115に準じた方法で、温度:60℃、負荷応力:20MPa、試験時間:100時間の条件で行うクリープ試験後のひずみ量が4.3%以下であることと、
    (b) 40mm×20mm×厚さ4mmの試験片を作製し、前記試験片に直径が9.525mmのSUJ2製のボールを載せて、温度:80℃、負荷応力:8.5MPa、速度:20mm/s、往復距離:40mm、往復回数:5000回の条件で、前記ボールを往復運動させる往復動摩擦摩耗試験後の摩耗深さが32μm以下となることと、
    (c) 合成樹脂材料で形成され前記ラックブッシュと同じ内径および外径を有する円筒と、前記ラック軸が長手方向で前記円筒より長く切断された軸体と、前記ラックハウジングと同じ内径のアルミニウム合金からなる円環体を用い、
    前記円筒内に前記軸体を挿入するとともに、前記円筒の外周面に前記円環体を嵌めて熱衝撃試験装置に入れ、−40℃で1時間に保持することと120℃で1時間保持することを交互に500サイクル行う熱衝撃試験後に、
    前記円筒と前記円環体との隙間が0.32mm以下となる、前記円筒を形成する合成樹脂材料であること、
    の全てを満たす合成樹脂材料で形成されているラックブッシュ。
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