JP2016058246A - 電池電極用組成物および電池 - Google Patents

電池電極用組成物および電池 Download PDF

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Abstract

【課題】電極塗膜と集電体との強い密着力が得られることにより、サイクル特性が優れた電池電極用組成物およびそれを用いた電池を提供する。【解決手段】カーボン系活物質、導電助材、バインダー、及び増粘材を含む電池電極用組成物において、上記増粘材としてアンモニウム型のセルロースシングルナノファイバーを用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン電池などに適用される電池電極用組成物および電池に関する。より詳しくは、繰り返し充放電を行ったときのサイクル特性(寿命特性)に優れた電極の提供に好適な技術に関する。
リチウムイオン電池の電極用部材(電池電極用組成物)は、例えば、電気自動車、燃料電池車、ハイブリッド自動車、家庭用蓄電設備、電動工具、電車、小型ポータブル機器等に使用される電池(キャパシター含む)の電極部分に使用される。特に近年、電池が自動車用に搭載されるなど、その発展が著しい。
リチウムイオン電池を構成している部材は、正極電極、負極電極、セパレーター、電解液に大きく分けることができる。その中でも電極は、集電体、活物質、バインダー、導電助材といった材料から構成されており、電池全体の性能を大きく左右する。
電極は、金属箔などを用いた集電体上に、活物質、バインダー、導電助材などを含む材料を溶剤で分散混合したスラリーを塗工機で塗工した後、オーブンにおいて乾燥し、巻き取られる。尚、オーブンは、通常塗工機の一部として組み込まれ設置されている。この後、必要に応じ、スリットやプレスを行う。
電極におけるバインダーの役割は、バラバラの粒子である活物質粒子どうしを結着させて塗膜としての形状を保持するとともに、集電体と密着して導電性を確保することである。活物質粒子どうしの結着が弱く、つまり、塗膜強度が弱い場合、電極塗工後のスリット工程やプレス工程で、電極塗工後の膜すなわち電極塗膜にヒビが入ったり割れたりするなどの問題が生じる。
塗膜と集電体との密着が弱いと、電極塗工後のスリット工程やプレス工程で電極塗膜が集電体から剥がれたり浮き上がったりするなどの問題が生じる。さらに、塗工後の電極は柔軟性(可撓性)も必要であり、これが不足すると甚だしい場合には、塗工機出口の巻き取りにおいて電極塗膜にヒビが入ることもある。
電極層と集電体との密着力は、リチウムイオン電池を繰り返し充放電を行ったときの寿命特性(サイクル特性)にも大きく影響し、密着力が強い場合はサイクル特性に優れ、繰り返し充放電を行った後でも充放電容量の低下が小さい。密着力が弱い場合は、繰り返しの充放電により電極層と集電体の密着力が経時的にさらに低下していくことによって抵抗の上昇が起こり、さらに電極層と集電体が剥離してしまうと充放電容量の著しい低下を引き起こす。このため、リチウムイオン電池の性能を維持して長寿命のサイクル特性を有するためには、電極層と集電体との密着力に優れることが重要な要素となる。
負極電極としては、活物質にカーボン材料を用いるものが一般的であり、集電体である銅箔の上に、カーボン粒子、導電助材、バインダー、さらにこれに加えて増粘材を含む水系塗料を塗工、乾燥することにより負極電極が得られる。
なお、本明細書では「増粘材」と記すが「増粘剤」と同義である。
ここで、水系塗料において、バインダーは一般的にゴム系樹脂の水分散液を用いるため塗料の粘度が低くなる。これを塗工に適した粘度に調整する(増粘する)目的で増粘材は使用される。さらに、塗工、乾燥後の電極塗膜においては、バインダーとともに塗膜強度、集電体との密着力にも寄与する。
カーボン系負極のバインダーとしては、通常、水分散系のスチレンブタジエンゴム(以下、SBRと略す)が使用され、増粘材としては、カルボキシメチルセルロース(以下、
CMCと略す)が使用される。一般的な方法としては、CMC水溶液にカーボンブラックなどの導電助材とカーボン粒子を添加して均一に分散させた後、SBR水分散液を添加して、水系の電極塗料を調製する。
このようにして製造された負極電極は、電極塗膜と集電体との密着が弱いと、充放電を繰り返すうちに、電極塗膜が集電体から剥がれることにより内部抵抗が増加し、電池としての性能が低下する。これを回避するために、粘度とエーテル化度の異なる2種類のカルボキシメチルセルロースで構成した増粘材を用いた負極板とすることで、負極合剤層と負極集電体の剥離強度を増大した負極板が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2012−59488号公報
しかしながら、上述の負極合剤層と負極集電体の剥離強度を増大した負極板の場合、この負極板は2種類の異なるCMCを加えなければならず、手間がかかる。
そこで、本発明の目的は、工程を複雑化させることなく、サイクル特性が優れた電池電極用組成物およびそれを用いた電池を提供することである。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、アンモニウム型のセルロースシングルナノファイバーをCMCの替わりに使用することによって、CMCを使用した場合よりもサイクル特性が改善された電池電極用組成物及びそれを用いた電極が得られることを見出した。
本発明の一態様の電池電極用組成物は、カーボン系活物質、導電助材、バインダー、及び増粘材を含む電池電極用組成物であって、上記増粘材としてアンモニウム型のセルロースシングルナノファイバーを用いることを特徴とする。
本発明の一態様の電池は、上記本発明の一態様の電池電極用組成物を含む電極を備えることを特徴とする。
本発明によれば、増粘材を含むカーボン系のリチウムイオン電池などにおいて、電池電極用組成物に含まれる増粘材としてアンモニウム型のセルロースシングルナノファイバーを用いることにより、増粘材として例えばCMCなどを使用した場合よりもサイクル特性に優れた電池電極用組成物および電池を得ることができる。
すなわち、本発明によれば、1種類の増粘材で電極塗膜と集電体との強い密着力を得ることにより、工程を複雑化させることなく、サイクル特性が優れた電池電極用組成物およびそれを用いた電池を提供することができる。
本発明の効果を示すサイクル特性試験結果である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
リチウムイオン電池の電極は、概略的には、金属箔などからなる集電体の上に、電極膜となる塗膜(以下、電極塗膜ともいう)が形成された構成となっている。電極塗膜(電池電極用組成物)は、カーボン系活物質、導電助材、バインダー、および増粘材を含む。
リチウムイオン電池の負極電極において、一般的な電極塗膜は、活物質としてカーボン系材料、導電助材としてカーボンブラック、バインダーとしてSBR、増粘材としてCM
Cを使用する組み合わせからなる。これに対し本実施形態では、増粘材として、CMCの代わりにアンモニウム型のセルロースシングルナノファイバーを使用する。
セルロースシングルナノファイバーとは、完全に1本1本に分離したセルロース誘導体からなるナノファイバーであり、セルロースをTEMPO(2,2,6,6−tetramethylpiperidine−1−oxyl radical)触媒酸化することにより得ることができるものである。
本明細書では、セルロースシングルナノファイバーを、カルボキシル基を有する繊維状多糖類であり、TEMPO酸化セルロースのナノ分散体と定義する。本実施形態におけるセルロースシングルナノファイバーをより具体的に定義するために、以下に製造例を示しながら詳細に説明する。
繊維状多糖類としては、セルロース繊維、キチン、キトサンなどが挙げられ、特に構造配列が規則的であり剛直な骨格を有するセルロース繊維が好ましい。セルロース繊維の原料となるセルロースとしては、木材パルプ、非木材パルプ、コットン、バクテリアセルロース等を用いることができる。
さらに、本実施形態におけるセルロースシングルナノファイバーは、その繊維幅は2nm以上50nm以下であり、長さが0.5μm以上50μm以下である。この範囲であれば、活物質と相互作用できる部位が多数存在するため分散性が良くなり、また活物質同士の導電ネットワークが形成されるため電気化学的安定性が良好となる。さらに、セルロース繊維同士の絡み合い構造によって電解液に対しての膨潤耐性に優れ、活物質が捕捉されるために脱落しにくくなり、電池としての良好なサイクル特性を得ることができる。
一方、繊維幅が50nmを超えるとセルロース繊維の全体積に占める表面積の割合が相対的に小さくなり、活物質と相互作用できる部位が減るため、活物質を効率的に分散させることが出来なくなる。また、長さが0.5μm未満だとセルロース繊維同士の絡み合いが十分に行えず、膜の強度低下の原因になってしまうため好ましくない。さらに、長さが50μmを超えるとセルロース繊維同士の絡み合いが大きくなるために繊維は分散しにくく、沈殿を形成しやすくなるため分散安定性が低下する。
繊維の幅や長さは、水などの溶媒に固形分濃度0.001%程度に希釈した繊維をガラス等平滑な基板上に展開し、乾燥させたものを原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope、AFM)や、透過型電子顕微鏡(Transmission
Electron Microscope、TEM)などを用いて測定することができる。
また、セルロース繊維のカルボキシル基量はセルロース質量に対して、0.5mmol/g以上3.0mmol/g以下であることが望ましい。この範囲のカルボキシル基量を有するセルロース繊維は分散処理を施した際の分散性が良好であり、活物質の有する官能基との相互作用が十分であるため、良好な分散性が得られる。さらに、カルボキシル基の一部がカルボン酸塩であることを特徴とする。例えば、カルボキシル基の対イオンとなるカチオンは、アルカリ金属イオン(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム等)、アンモニウムイオン、有機オニウム(各種脂肪族アミン、芳香族アミン、ジアミンなどのアミン類や水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラn−ブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム、などNROH(Rはアルキル基、またはベンジル基、またはフェニル基、またはヒドロキシアルキル基で、4つのRが同一でも異なっていてもよい。)で表される水酸化アンモニウム化合物、水酸化テトラエチルホスホニウムなどの水酸化ホスホニウム化合物、水酸化オキソニウム化合物、水酸化スルホニウム化合物などの対イオン(以下、対イオン型とも呼ぶ)が挙げられる。また、これらを2種以上混合して塩を形成することもできる。
セルロース繊維の有するカルボキシル基が電離することにより静電反発が増大し、セルロース繊維の分散性が保持されると考えられている。そのため、カルボキシル基の一部がイオン化した状態を維持していることが望ましい。また、対イオンとしてナトリウムイオンなどの金属イオンが多量に存在すると、電析や副反応の恐れがあり、好ましくない場合がある。この時、有機オニウムを用いることにより、これらの問題を解決することができる。
セルロースにカルボキシル基を導入する方法としては、現在いくつか化学処理の方法が報告されている。例えばカルボキシメチルセルロース等、分子分散した水溶性多糖類を用いると活物質の表面に水溶性多糖類が覆い被さり、電極の内部抵抗が高くなることにより、結果的に電池特性低下を招く恐れがある。そこで、本発明のように繊維状であり分散性が良好で、且つ活物質が効率的にセルロースのカルボキシル基と相互作用できる構造を有するためには、剛直な骨格を保持した高結晶性のセルロースにカルボキシル基を導入し、且つカルボキシル基が繊維表面に緻密で規則的に存在することが望ましい。
具体的には、次の方法が望ましい。すなわち、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペジニルオキシラジカル(TEMPO)を触媒として使用し、pHを調整しながら次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤、臭化ナトリウム等の臭化物を用いて処理する。この方法によると、TEMPOの立体障害により結晶性を有する繊維最小単位であるミクロフィブリルの表面に存在するセルロースC6位の一級水酸基のみが選択的にカルボキシル基へと酸化される。導入されたカルボキシル基の静電反発によってミクロフィブリルの結合が弱まるために低エネルギー投入による機械的処理によって、高分散した高結晶性を有する繊維状セルロースが得られる。さらに、本方法を利用すると、得られたセルロース繊維の分子量低下が抑えられるため、高い力学強度が保持されることから優れたサイクル特性が得られる。
以下、本実施形態のセルロースシングルナノファイバーを作製するための、上記化学処理の具体的な方法を説明する。
水中で分散させたセルロースにニトロキシラジカルと臭化ナトリウムとを添加して室温で攪拌しながら次亜塩素酸ナトリウム水溶液を添加してセルロースの酸化を行う。酸化反応中に水酸化ナトリウム等アルカリ溶液を添加し、反応系内のpHを9〜11に制御する。この時、セルロース繊維表面のC6位の水酸基がカルボキシル基に酸化される。
セルロースを酸化した後、十分水洗し、得られたセルロースを繊維状に分散したものを分散液の構成材料として用いることが出来る。なお、酸化剤としては、次亜ハロゲン酸又はその塩、亜ハロゲン酸又はその塩が使用でき、次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。臭化物としては、臭化リチウム、臭化カリウム、臭化ナトリウム等が挙げられ、臭化ナトリウムが好ましい。上記の方法によりカルボキシル基を有するTEMPO酸化セルロースが得られる。
なお、セルロースに含有されるカルボキシル基量は以下の方法にて算出される。化学処理したセルロースの乾燥質量換算0.2gをビーカーにとり、イオン交換水80mlを添加する。そこに0.01M塩化ナトリウム水溶液5mlを加え、攪拌させながら0.1M塩酸を加えて全体がpH2.8となるように調整した。ここに自動滴定装置(東亜ディーケーケー(株)社製、AUT−701)を用いて0.1M水酸化ナトリウム水溶液を0.05ml/30秒で注入し、30秒毎の電導度とpH値を測定し、pH11まで測定を続けた。得られた電導度曲線から水酸化ナトリウムの滴定量を求め、カルボキシル基含有量を算出した。
TEMPO酸化処理されたセルロースは分子量をある程度保持されるため、繊維の絡み合いによって得られる分散液は低濃度でも高い粘度特性を有する。塗工性を良好にするため、分散液の粘度を調整することができる。粘度を調整する方法としては、原料セルロースの種類を適宜選択したり分散液の濃度を調整したりする他、TEMPO酸化処理したセルロースを分散処理前に物理的或いは化学的に処理を施すことができる。具体的には、水酸化ナトリウム水溶液に晒すアルカリ処理、紫外線照射によりβ脱離を促進させる紫外線照射処理、酵素による分解を促す酵素処理などが挙げられる。
ところで、分散媒としては、水、または水と有機溶剤との混合溶剤が挙げられる。ここで用いられる有機溶剤としては、水と均一に混和可能な水溶性有機溶剤であればよく、たとえばメタノール、エタノール、2−プロパノール(IPA)などのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)などのケトン類、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、酢酸エチルなどが挙げられる。これらのいずれか1種単独でも、2種以上の混合溶媒でもよい。分散媒として、水と水溶性有機溶剤との混合溶剤を用いる場合、その配合比は水溶性有機溶剤の種類や水と水溶性有機溶剤との親和性などを考慮して適宜決定される。
また、分散媒には、金属等を含んでも良い。金属としては、金、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウムの白金族元素の他、鉄、鉛、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウムなどの金属またはこれらの合金、または酸化物、複酸化物、炭化物などを用いることができる。金属の担持方法としては、金属または金属酸化物等の微粒子を混合する他、水或いは水系溶剤に分散したカルボキシル基を有する繊維状多糖類分散中で金属または金属酸化物の錯体を形成し、還元剤を添加することで金属粒子として析出させることができる。この方法を用いると、微小な金属粒子が繊維表面に均一に固定化されるため、微量な金属量であっても効率的に効果を発揮させることができる。
なお、凝集や沈殿が生成しない範囲においては、より繊維同士の静電反発を増大させる目的や分散液の粘度を制御する目的で、分散媒に水溶性多糖類を含む各種添加物、各種樹脂を含んでも良い。例えば、化学修飾したセルロース、カラギーナン、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、寒天、可溶化澱粉や、消泡剤、水溶性高分子、合成高分子等を用いることができる。あるいは塗工性やぬれ性など機能性付与などの為に、分散媒に、各種溶剤を含んでもよい。溶剤としては、アルコール類、セルソルブ類、グリコール類、グリセリンなどを用いることができる。
また、耐水性、電解液耐性を向上させるために、分散媒に各種架橋剤を含んでもよい。例えば、オキサゾリン、ジビニルスルホン、カルボジイミド、ジヒドラジン、ジヒドラジド、エピクロルヒドリン、グリオキザール、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物などを用いることができる。また、反応性を向上させるなどの目的で、分散媒に、酸やアルカリを添加することによってpHを調整することができる。
このようにして生成されるセルロースシングルナノファイバーは、カルボキシル基の静電反発によりセルロース内・間の水素結合を弱めることで繊維がナノオーダーに分散しており、水中での分散性に優れていることが特徴であり、CMCのように分子分散せず、剛直な繊維状を保つとされている。
本実施液体では、活物質としてカーボン系材料、導電助材としてカーボンブラック、バインダーとしてSBRを使用するリチウムイオン電池負極電極において、増粘材としてCMCではなくセルロースシングルナノファイバーを使用する。本実施形態に使用するセル
ロースシングルナノファイバーとしては、上述のいずれかの対イオン型のうち、アンモニウム型が好適である。ここで、アンモニウム型のほか、ナトリウム型などについても実験を行ったが、特にアンモニウム型のセルロースシングルナノファイバーの場合に、CMCを使用した場合よりも塗膜強度や集電体との密着力が向上することを確認した。
本実施形態に使用するセルロースシングルナノファイバーは、通常は、水中に溶解又は分散した、外観が無色透明又は微濁の水溶液又は水分散液である。濃度が高い場合は、ゲル状(寒天状)になっていることもある。これを所望の濃度になるように水で希釈して使用すればよい。セルロースシングルナノファイバーの濃度及び使用量は、塗料の目標粘度及び乾燥後電極中の目標組成比から適宜選択すればよい。
増粘材にセルロースシングルナノファイバーを使用することにより、CMCを使用した場合より塗膜強度や集電体との密着力が向上する理由は、本発明者の考察によれば、水中でCMCのように分子分散せずに繊維がナノオーダーに分散し、剛直な繊維状を保つというセルロースシングルナノファイバーの特性によるものと考えられる。
次に、増粘材にセルロースシングルナノファイバーを使用したカーボン系負極塗料の製造方法について説明する。
まず、適当な容器にセルロースシングルナノファイバーの原液を仕込む。原液の濃度は、セルロースシングルナノファイバーの製造方法、対イオンの種類、平均分子量(分子鎖の長さ)などによって異なるが、水溶液、水分散液、又はゲル状で取り扱える範囲に調整され、通常は1質量%〜5質量%である。これに水を添加して希釈し塗料製造に適した濃度にする。原液の濃度は、より具体的には、塗料の目標粘度及び乾燥後電極中の目標組成比から決定される。
希釈攪拌して均一な水溶液又は水分散液になったら、カーボンブラックなどの導電助材を投入して均一になるまで攪拌する。投入量は、乾燥後の電極中の目標組成比から決定される。これにカーボン系の活物質を投入してさらに均一になるまで攪拌する。活物質の投入量も、乾燥後の電極中の目標組成比から決定される。最後にバインダーとしてSBR水分散液を加える。SBR水分散液の添加量は、SBR水分散液の濃度と乾燥後の電極中の目標組成比から決定される。
こうして製造された塗料は、塗工に適した粘度を有する粘調なスラリー状であり、粘度は例えば1000〜100000Pa・sである。
次に、本発明に基づく電極の製造方法について説明する。
上記のようにして製造された本発明のカーボン系負極塗料を、銅箔などの集電体上に塗工し、乾燥することにより得ることができる。ロール状の集電体箔を塗工機の巻き出し部から巻き出し、塗工部において塗工を行う。塗工方式は特に限定されないが、ロールコータ、エアナイフコータ、ブレードコータ、ロッドコータ、リバースコータ、バーコータ、コンマコータ、ディップ・スクイズコータ、ダイコータ、グラビアコータ、マイクログラビアコータ、シルクスクリーンコータなどを使用することができ、特にダイコータを使用したダイコート法が好ましい。
乾燥方式も特に限定されないが、自然乾燥の他、熱風、遠赤外線、マイクロ波などを利用することができ、塗工機(コータ)後部に一体として組み込まれ設置されているオーブンにおいて乾燥するのが一般的である。乾燥後は塗工機の巻き取り部においてロール状に巻き取られる。巻き出しから巻き取りまでは一連の流れで連続的に行われることが好ましい。
次に、リチウムイオン二次電池について説明する。本実施形態のリチウムイオン二次電池は、本実施形態のカーボン系負極電極を負極として用い、対極となる正極電極とセパレーターと電解液とを組み合わせることにより得ることができる。本実施形態の負極電極と
正極電極とを間にセパレーターを介して対向させ、セパレーターを含む両極間に電解液を含浸させることにより、電池としての機能を発現させることができる。外装は、アルミニウムラミネートフィルムやステンレス製のコイン型ケースなどを用いることができる。
次に正極について説明する。正極電極は、本実施形態の負極電極と組み合わせて1対の対向電極組をなすものである。使用される正極活物質としては、リチウムイオンを放出できるリチウム遷移金属複合酸化物を挙げることができる。例えば、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、およびこれらの複合酸化物や混合物、リン酸鉄リチウムなどを挙げることができる。
次に、電解液について説明する。非水電解質二次電池に用いる電解液の溶媒としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの低粘度の鎖状炭酸エステル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどの高誘電率の環状炭酸エステル、γ‐ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、メチルアセテート、メチルプロピオネート、ビニレンカーボネート、ジメチルホルムアミド、スルホランのいずれかおよびこれらの混合溶媒などを挙げることができる。
また、電解液に含まれる電解質は、特に限定されるものではない。電解液に含まれる電解質としては、例えば、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiI、LiAlClなどのいずれか1種または2種以上の混合物が挙げられる。好ましくは、LiBF、LiPFのうちの1種または2種を混合したリチウム塩がよい。
次に、セパレーターについて説明する。正極と負極との接触を防止するためのセパレーターとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン製または芳香族ポリアミド樹脂製の微孔膜、不織布、無機セラミック粉末を含む多孔質の樹脂コートなどを挙げることができる。
次に、リチウムイオン二次電池の評価方法について説明する。本発明に係る負極電極の効果は、実際にリチウムイオン二次電池を組み立てて充放電サイクル試験を行うことにより測定することができる。リチウムイオン二次電池の作製方法は、ここでは詳述しないが、コインセル型やラミセル型などがあり、適宜選択することができる。
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明する。
「実施例1」
(負極電極の作製)
固形分が、負極活物質としてカーボン系活物質92質量部と、導電助材としてアセチレンブラック7質量部と、バインダーとしてSBR1質量部と、増粘材としてアンモニウム型のセルロースシングルナノファイバー1質量部とになるように計量した。まず、水を溶媒として増粘材を溶解し、これに、導電助材、カーボン系活物質を順次投入して攪拌混合し、最後にバインダー(SBR水分散液)を加えて、負極電極用塗料を得た。この塗料を銅箔上に塗工し、塗膜を乾燥させて、負極電極を得た。
上記で得られた負極電極を33mm角正方形に打ち抜き、プレスした。プレス後の電極層の密度は1.34g/cmであった。
(正極電極の作製)
正極活物質としてマンガン酸リチウム100質量部と、導電助材としてアセチレンブラック5質量部と、電極バインダーとしてPVdF(ポリフッ化ビニリデン)4質量部とを固形分として含む正極スラリー(溶媒はN−メチル−2−ピロリドン)をアルミニウム箔
に塗工し、塗膜を乾燥させて、正極電極として用いた。
上記で得られた正極電極を30mm角正方形に打ち抜き、プレスした。プレス後の電極層の密度は2.34g/cmであった。
(電池(ラミフルセル)の作製)
上記で得られた負極電極を、セパレーター(ポリオレフィン製平膜)を挟んで、正極電極と対向させて、外装材に収納した。その内部に、EC(エチレンカーボネート):DEC(ジエチルカーボネート)=3:7の体積比で混合した溶媒にLiPFを濃度が1mol/Lとなるように溶解させた電解液を注入し、正極及び負極のタブリードのみを突出させた状態で外装材周囲をヒートシールして封止し、ラミフルセルを作製した。
(充放電サイクル評価試験)
上記で作製したラミフルセルを充放電評価装置に仕込み、充電1C、放電1Cの充放電レートでサイクル試験を行った。終止電圧は、充電側4.25V、放電側1.5Vとした。ここで、1Cとは、電池容量が1時間で充電または放電される電流値とした。
「比較例1」
増粘材として一般的に用いられるCMCを使用した以外は、実施例1と同様にして、電池を作製して充放電サイクル評価試験を行った。
図1は、実施例1および比較例1で行った充放電サイクル評価試験の結果を示す図である。図1より、増粘材にアンモニウム型のセルロースシングルナノファイバーを使用した実施例1は、増粘材として一般的に用いられるCMCを使用した比較例1に比べて、サイクル特性(寿命特性)において、優れていることが分かる。

Claims (3)

  1. カーボン系活物質、導電助材、バインダー、及び増粘材を含む電池電極用組成物であって、上記増粘材がアンモニウム型のセルロースシングルナノファイバーであることを特徴とする電池電極用組成物。
  2. 上記セルロースシングルナノファイバーは、その繊維幅は2nm以上50nm以下であり、長さが0.5μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1に記載した電池電極用組成物。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の電池電極用組成物を含む電極を備えることを特徴とする電池。
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