JP2016051629A - X線管装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】X線放射窓の加熱を低減できる中性点接地及び陽極接地型のX線管装置を提供することである。【解決手段】本発明の実施形態に係るX線管装置は、負の高電圧が印加され、電子ビームを放出する放出源を備える陰極と、陰極に対して正の高電圧が印加され、陰極に対向して設置され、電子ビームが入射されることによりX線を放出する焦点が形成されるターゲット面を有する陽極ターゲットと、陰極と陽極ターゲットを真空気密に収納する真空外囲器と、陰極よりも高い電位である真空外囲器の壁面部の一部に形成され、陽極ターゲットから放出されるX線を外部へ放射を許す放射窓部と、陰極と同電位であり、焦点と放射窓部との間に設置され、焦点で反射してくる一部の反跳電子を反射する電極部材を備える。【選択図】図1

Description

実施形態は、X線管装置に関する。
X線管装置は、陰極と陽極ターゲットとを有するX線管を備えている。X線管装置は、医療用の診断装置、工業用の非破壊検査装置、または材料分析装置などに利用されている。
従来のX線管装置では、陰極から放出された電子ビームは、陰極と陽極ターゲットとの間の電位勾配により加速、集束される。典型的には、電子ビームは、20〜150keVのエネルギで、陽極ターゲットのターゲット面にほぼ垂直(90°±20°)で衝突し、X線発生源となる焦点を陽極ターゲット上に形成する。焦点に高いエネルギを持った電子ビームが衝撃すると、電子ビームは、ターゲット材により急速に減速されるためX線が放出される。電子ビームがX線に変換される割合は、陽極ターゲットに衝突する電子の運動エネルギの中のわずか1%以下である。残りの運動エネルギは、熱に変換される。放出されるX線は、X線放射窓から外部へ放射される。陽極ターゲットで反跳された電子の一部は、真空外囲器内壁で跳ね返され、再び陽極ターゲットへ衝撃される。また、中性点接地及び陽極接地型のX線管装置にあっては、反跳電子の一部は、X線放射窓を衝撃する。
特開2013−137987号公報 特開2014−35977号公報
上記X線管装置において、X線放射窓の電位は、陰極よりも高い電位であるため、X線放射窓の方向に反跳した反跳電子が、X線放射窓に衝撃する。反跳電子が衝撃することによって、X線放射窓が、加熱され、高温状態となる。
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、X線放射窓の加熱を低減できる中性点接地及び陽極接地型のX線管装置を提供することである。
本発明の実施形態に係るX線管装置は、負の高電圧が印加され、電子ビームを放出する放出源を備える陰極と、陰極に対して正の高電圧が印加され、陰極に対向して設置され、電子ビームが入射されることによりX線を放出する焦点が形成されるターゲット面を有する陽極ターゲットと、陰極と陽極ターゲットを真空気密に収納する真空外囲器と、陰極よりも高い電位である真空外囲器の壁面部の一部に形成され、陽極ターゲットから放出されるX線を外部へ放射を許す放射窓部と、陰極と同電位であり、焦点と放射窓部との間に設置され、焦点で反射してくる一部の反跳電子を反射する電極部材を備える。
図1は、第1の実施形態に係るX線管装置におけるX線の生成原理を示す模式図である。 図2は、図1の線II−IIに沿ったX線管装置の断面を示す模式図である。 図3は、第1の実施形態のX線管装置の詳細な構造を示す断面図である。 図4は、図3の線IV−IVに沿ったX線管装置の断面図である。 図5は、第1の実施形態の変形例のX線管装置の模式図である。 図6は、第2の実施形態に係るX線管装置におけるX線の生成原理を示す模式図である。 図7は、図6の線VII−VIIに沿ったX線管装置の断面図である。 図8は、第2の実施形態のX線管装置の詳細な構造を示す断面図である。 図9は、図8の線IX−IXに沿ったX線管装置の断面図である。 図10は、図8に示すX線管装置内のX線管及び第1の磁気偏向部の外観を概略的に示す斜視図である。 図11は、第2の実施形態の変形例のX線管装置の模式図である。 図12は、第3の実施形態に係るX線管装置におけるX線の生成原理を示す模式図である。 図13は、図12の線XIII−XIIIに沿ったX線管装置の断面を示す模式図である。 図14は、線IV−IVに沿った第3の実施形態のX線管装置の断面図である。 図15は、図14に示すX線管装置内のX線管及び第2の磁気偏向部の外観を概略的に示す斜視図である。 図16は、第3の実施形態の変形例のX線管装置の模式図である。 図17は、第4の実施形態に係るX線管装置におけるX線の生成原理を示す模式図である。 図18は、図17の線XVIII−XVIIIに沿ったX線管装置の断面を示す模式図である。 図19は、第4の実施形態のX線管装置内のX線管及び第1及び第2の磁気偏向部の外観を概略的に示す斜視図である。
以下、図面を参照しながら実施形態に係るX線管装置について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線管装置におけるX線の生成の原理を示す模式図であり、ターゲット面に直交する面内の各構成部分の配置を示している。図2は、図1の線II−IIに沿ったX線管装置の断面図であり、図2内には、X線管装置の正面構成が示されている。
はじめに、図1及び図2を参照して、X線管装置10の基本的な動作原理について説明する。X線管装置10は、大別すると、高電圧電源15A、15Bと、X線管30とを備えている。詳細は後述するが、X線管30は、真空外囲器31と、側壁32aを含む真空容器32と、X線放射窓部33と、陽極ターゲット35と、陰極36とを備える。本実施形態では、X線管30は、中性点接地管とする。高電圧電源15A、15Bは、陽極ターゲット35と陰極36との間に電位差を生じさせる。本実施形態において、高電圧電源15Aは、陰極36にのみ高電圧(負の高電圧)を印加している。高電圧電源15Aは、陰極36に−Vの電圧を印加している。高電圧電源15Bは、陽極ターゲット35にのみ高電圧(正の高電圧)を印加している。高電圧電源15Bは、陽極ターゲット35に+Vの電圧を印加している。例えば、陰極には、−70kVの負の高電圧が印加され、陽極ターゲット35には、+70kVの正の高電圧が印加される。
陰極36は、電子を放出する射出源を有する電子放出源36aと、集束電極(集束カップ)36bと、反射電極(電極部材)136とを有している。電子放出源36aは、電流が供給され、第1の方向d1に電子ビームを放出する。本実施形態では、第1の方向d1は、電子放出源36aにおける電子を射出する射出面に対して垂直な方向である。集束電極36bは、電子ビームを集束し、電子ビーム(電子の分布形状)を整形(適正化)する。陰極36は、陽極ターゲット35に対して相対的に負の電圧が印加されている。電子放出源36aにも、陰極36に印加された電圧が印加されている。集束電極36bには、電子ビームを整形するために電圧が印加されている。集束電極36bに印加する電圧を変更すると、発生される電子ビームの形状が変更できる。例えば、集束電極36bには、10kV以下の電圧が印加されている。
反射電極136は、X線を透過するための窓部(反射部材)136aを一端部(先端部)に備える。反射電極136及び窓部136aは、長尺の導電性の部材で形成される。例えば、反射電極136及び窓部136aは、陰極36と同等の金属で形成される。図1及び図2に示すように、反射電極136は、窓部136aがX線放射窓部33と陽極ターゲット35(後述する焦点F)との間に配置され、窓部136aと反対側の端部が陰極36に接続されるように設置されている。したがって、反射電極136及び窓部136aは、陰極36とほぼ同電位であり、好適には、陰極36と同電位である。
図2に示すように、反射電極136の窓部136aは、X線が放射される方向(後述の第2の方向d2)に対して平行な方向に所定の厚み(以下、厚みと称する)を有し、垂直な方向に所定の幅(以下、幅と称する)を有して形成されている。反射電極136の窓部136aは、円形形状に貫通する孔として反射電極136に形成されている。例えば、反射電極136は、後述するX線放射窓部33と同等またはX線放射窓部33以下の直径で形成される。なお、反射電極136は、X線を透過する部材で形成されていてもよい。その場合には、反射電極136に窓部136aを設けなくても良い。
陽極ターゲット35は、ターゲット面35bを備える。ターゲット面35bは、X線放射窓部33の方向へX線を反射するように傾斜を持つように形成されている。ターゲット面35bは、第1の方向d1から電子ビームが入射される焦点Fを形成されている。焦点Fに電子が入射することによって、陽極ターゲット35からX線が放出される。X線は、全方位に放射されるが、多くのX線は、X線放射窓部33の方向へ放出される。ここで、第1の方向d1に直交し、且つ、X線放射窓部33側に向かう方向を第2の方向d2と称する。多くのX線は、第2の方向d2へ放出される。また、陽極ターゲット35の焦点Fに衝撃する電子の一部は、反跳電子として散乱する。
以下で、図3、及び図4を参照して、本実施形態に係るX線管装置10の詳細な構造について説明する。
図3は、X線管装置の詳細な構造を示す断面図である。図4は、図3の線IV−IVに沿ったX線管装置の断面図であり、X線管装置10の正面外形が示されている。
図3及び図4を参照して、X線管装置10の構造について詳細に説明する。X線管装置10は、さらに、ハウジング20と、高電圧絶縁部材40と、電圧供給端子44と、高電圧コネクタ300と、ステータコイル910と、ロータ920と、軸受け930と、固定軸950と、回転体960とを有している。ここで、ステータコイル910は、ロータ920に向けて磁界を発生してこのロータ920を回転する。回転体960には、陽極ターゲット35に連結されているロータ920に固定され、ロータ920の回転に伴い、陽極ターゲット35が回転される。
ハウジング20は、円筒状のハウジング本体20aと、このハウジング本体20aを密閉する蓋部20bとを有する。ハウジング本体20aは、例えば、X線の放射を許すX線放射窓24を有する。ハウジング本体20aの開口端は、蓋部20bで塞がれている。ハウジング本体20a及び蓋部20bは、図示しない締め具により締め付け固定されている。ハウジング本体20a及び蓋部20bの間の隙間は、図示しないOリングにより液密にシールされている。このOリングは、ハウジング20の内部から外部への冷却液6の漏洩を防止している。蓋部20bには、冷却液6の圧力調整機構、例えば、ゴムベローズ(ゴム膜)21が設けられ、ゴムベローズ(ゴム膜)21によって冷却液6の圧力が調整される。
なお、X線放射窓24は、ハウジング本体20aに代えて蓋部20bに設けられていてもよい。また、ゴムベローズ21は、蓋部20bに代えてハウジング本体20aに設けられていてもよい。
X線管30をハウジング20に支持する支持部材25は、蓋部20bに対して反対側のハウジング本体20aの端部に嵌め込まれている。支持部材25は、円環状に形成されている。支持部材25は、後述する高電圧絶縁部材40を支持し、ハウジング20に液密に固定されている。
前述したように、X線管30は、真空外囲器31と、陽極ターゲット35と、陰極36と、を備えている。X線管30においては、陰極36及び陽極ターゲット35間には、管電圧Vが印加されている。陽極ターゲット35の電位をVA、陰極36の電位をVCとすると、管電圧Vは、電位差(VA−VC)に相当している。通常、管電圧Vは、20kV乃至150kVに定められている。
真空外囲器31は、陽極ターゲット35及び陰極36を収容している。真空外囲器31は、内表面部34を有し、真空容器32と、X線放射窓部33と、絶縁部材38と、モールド絶縁部材39と、高電圧絶縁部材40と、電圧供給端子54と、KOV部材55とを具備している。真空外囲器31は、内部が真空状態に維持されている。
真空容器32は、側壁32a及び周壁32bを有している。真空容器32は、銅で形成されている。その他にも、例えば、真空容器32(真空外囲器31)は、ステンレス、アルミニウム等の非磁性の金属、或いは、ガラス、セラミックス等の絶縁物で形成されていてもよい。
X線放射窓部33は、真空容器32の側壁32aの開口部に気密に設けられている。すなわち、X線放射窓部33は、反跳電子が多く散乱する空間側に設置されている。X線放射窓部33は、利用X線束を透過させる部材で形成される。X線放射窓部33は、例えば、ベリリウムで形成されている。本実施形態において、X線放射窓部33は、ベリリウムより安価な材料でも形成されてもよい。例えば、X線放射窓部33は、アルミニウム、チタン、ニッケル、ステンレス鋼、クロム鋼、鉄合金のうちの何れか1つを主成分として形成されてもよい。例えば、X線放射窓部33は、円盤状に形成されている。図1及び図2に示すように、X線放射窓部33は、直径D1の径で形成される。また、X線放射窓部33のX線が透過される方向(d2)の厚みを有し、この厚みが例えば、0.1乃至3mmに定められている。
内表面部34は、側壁32a及びX線放射窓部33を含む領域の真空側の内表面を形成している。ここでは、内表面部34は、金属で形成され、接地されている(0V)。本実施形態において、内表面部34は、陰極36よりも高い電位である。例えば、陰極36には負の高電圧が印加されている場合に、内表面部34は、接地電位である。
絶縁部材38は、真空外囲器31の一部を形成する。絶縁部材38には、電圧供給端子54が固定されている。電圧供給端子54は、絶縁部材38を貫通して設けられている。電圧供給端子54は、低膨張合金であるKOV部材55で支持されている。KOV部材55は、陰極36及び絶縁部材38の間に設けられる。KOV部材55は、両端部が夫々陰極36または絶縁部材38にろう付けによって接合されている。また、電圧供給端子54は、モールド絶縁部材39で覆われている。モールド絶縁部材39は、真空容器32の外において、絶縁部材38に密着するように絶縁部材38上に積層されている。モールド絶縁部材39は、エポキシ樹脂等のモールド絶縁部材で形成されている。電圧供給端子54は、モールド絶縁部材39内部でケーブル202に接続されている。ケーブル202は、ハウジング20の外部へ延出する。陰極電圧及び陰極電流は、ケーブル202から電圧供給端子54を介して陰極36に印加され、また、陰極36に供給される。
高電圧絶縁部材40は、真空外囲器31の一部を形成している。高電圧絶縁部材40は、空洞を有する筒部46と、筒部46の空洞内空間を狭小化している底部47と、この底部47に連接する外部端面部48とを有する。筒部46の空洞部には、後述する陽極ターゲット35のステータコイル910と、ロータ920と、軸受け930と、固定軸950と、回転体960とが配置されている。また、筒部46は、底部47が設けられた一端部側とは反対側に開口端部を有し、この開口端部に連結された真空外囲器3内に陽極ターゲット35が配置されている。外部端面部48は、その略中心に空洞が設けられ、外部側に平坦な端面を有するように形成される。外部端面部48の空洞内には、電圧供給端子44がその空洞内を延出するように設けられている。電圧供給端子44は、後述の固定軸950に固定されている。電圧供給端子44は、固定軸950を介して陽極ターゲットに高電圧を供給する。
前述の陽極ターゲット35の詳細な構造について説明する。陽極ターゲット35は、略円盤形状で形成されている。陽極ターゲット35は、ターゲット面35bを有するターゲット層35aと、反跳電子を捕捉する捕捉面35dとを有し、接続部35cに連結されている。陽極ターゲット35は、モリブデン合金などの金属で形成されている。陽極ターゲット35は、陰極36に対して正の電圧が印加される。
陽極ターゲット35は、接続部35cを介して回転体960に接続されている。陽極ターゲット35は、回転体960とともに回転する。回転体960は、筒状に形成されている。回転体960は、その内側に軸受け930及び固定軸950が設けられ、外側にロータ920が設けられている。固定軸950は、円柱状に形成され、高電圧絶縁部材40に固定されている。固定軸950は、軸受け930を介して回転体960を回転可能に支持する。ロータ920は、円筒状に形成されたステータコイル910の内側に設けられている。回転駆動装置であるステータコイル910に電流を供給することによって、ロータ920が回転するとともに、陽極ターゲット35が回転する。
ターゲット層35aは、陰極36と対向する方向(第1の方向d1)の陽極ターゲット35の層である。ターゲット層35aは、タングステン合金等の陽極ターゲット35より融点の高い金属で形成されている。ターゲット層35aには、第1の方向d1から電子ビームが入射されることにより、図1に示したように第2方向d2に利用X線束を放出する焦点Fが形成される。
ターゲット面35bは、陰極36と対向している。ターゲット面35bは、陽極ターゲット35の外面の一部として形成され、例えば、陽極ターゲット35の円の縁部に形成されている。ターゲット面35bは、例えば、円の縁から中心に向かって上がる傾斜を有している。ターゲット面35bには、第1の方向d1から電子ビームが入射されることにより、反跳電子が多く散乱する側となる第2の方向d2にX線束(利用X線)を放出する焦点Fが形成される。ここで、利用X線は、X線管装置10の外部へ放出され、ユーザによって利用されるX線を示す。なお、第2方向d2は、利用X線束の中心を通るようなX線の進行方向に略平行な方向として定められている。
接続部35cは、後述する回転体960を介して印加される高電圧を陽極ターゲット35へ供給する。
反跳電子を捕捉する捕捉面35dは、ターゲット面35bから陰極36とは反対の方向に延出し、X線放射窓部33に対向する陽極ターゲット35に側面を与えるように形成される。捕捉面35dは、例えば、傾斜を有するように形成される。捕捉面35dは、反跳電子を捕捉する。例えば、反射電極136によって反射された反跳電子が捕捉面35dに衝撃する。
次に、前述の陰極36の構造について詳細に説明する。陰極36は、図1に示すように電子放出源36aと、集束電極(集束カップ)36bと、反射電極136とを有している。電子放出源36aは、第1の方向d1に電子ビームを放出する。電子放出源36aは、平板状又はコイル状のフィラメント等で形成されている。集束電極36bは、環状に形成され、電子放出源36aから陽極ターゲット35に向かう電子の軌道を囲んでいる。集束電極36bは、電子ビームを集束し、電子ビーム(電子の分布形状)を整形(適正化)する。
陰極36(電子放出源36a)には、陽極ターゲット35に対して負の高電圧が印加されている。前述のように、集束電極36bには、電子ビームを整形するため電圧として、例えば、10kV以下の電圧が印加されている。集束電極36bに与える電圧値は、変更可能であるとより好ましい。このように電圧値の変更可能であれば、電子ビームの形状を変更させ、後述する焦点Fのサイズを調整することができる。
反射電極136は、X線放射窓部33と陽極ターゲット35との間で設置されている。窓部136aは、例えば、X線放射窓部33に対して平行に設置されている。窓部136aは、ターゲット面35bの焦点Fから放射されるX線がX線放射窓部33へ透過するように設置されている。例えば、窓部136aは、X線放射窓部33よりも大きな幅で形成されている。反射電極136は、反跳した反跳電子を周囲に生成される電界の作用によって押し返す(反射する)ことができる。例えば、反射磁極136は、周囲に生成される電界によって反射電極136の方向に反跳した電子をターゲット面35b上に反射する。このとき、反射電極136が焦点Fから離れた、又は焦点以外の部分に反跳電子を反射するように、反射電極136の配置などが調整されてもよい。
高電圧コネクタ300は、ハウジング301と、ケーブル302と、固定部303と、外部端面部48を構成するシリコーンプレート304と、を有する。高電圧コネクタ300は、電圧供給端子44に高電圧を供給する。ケーブル302の端子302aを含む先端部は、ハウジング301内に挿入される。固定部303は、外部端面部48を押圧するように外部端面部48としてのシリコーンプレート304に密着して設けられている。固定部303は、端子302aを電圧供給端子44側に向けて固定する。固定部303は、絶縁部材である。固定部303は、例えば、エポキシ樹脂系の部材で形成されている。シリコーンプレート304は、底部47と固定部303との間に設けられている。シリコーンプレート304は、シリコーン樹脂系の部材で形成されている。
本実施形態では、陰極36は、高電圧電源15Aから負の高電圧を印加され、陽極ターゲット35は、高電圧電源15Bから正の高電圧を印加される。このとき、陰極36に接続された反射電極136は、陰極36と同等の負の高電圧が印加される。陰極36の電子放出源36aから電子ビームが、陽極ターゲット35のターゲット面35bに向けて第1の方向d1の方向へ射出される。電子ビームは、集束電極36bによって整形され、焦点Fに入射する。ターゲット面35bの焦点Fに入射した電子ビームによって、焦点Fから第2の方向d2に向けてX線が放射される。X線は、窓部136aを通過し、X線放射窓部33を透過して外部へ放射される。ここで、電子ビームの一部は、反跳電子としてX線と同様に第2の方向d2に散乱する。第2の方向に散乱した反跳電子は、陰極36と実質的に同電位の反射電極136付近に生じる電界の作用によって反射する。さらに図1及び図2に示すように、反射した反跳電子は、焦点Fから離れた陽極ターゲット35上に衝撃する。
本実施形態において、反射電極136は、陰極36に接続され、陰極36と同電位であり、X線放射窓部33と陽極ターゲット35との間に設置されている。電子放出源36aから放出された電子が陽極ターゲット35上の焦点Fに衝撃することによってX線を生成する際に、焦点Fで反跳する電子は、この反射電極136によって陽極ターゲット35上に押し戻される。すなわち、反跳電子がX線放射窓部33の方向へ反跳することが防止される。この結果、反跳電子が衝撃することによるX線放射窓部33の加熱が低減される。
また、X線放射窓部33の加熱が低減されることによって、X線放射窓部33が高価なベリリウム以外のアルミニウム、チタン、ニッケル、ステンレス鋼、クロム鋼、鉄合金など安価な部材で形成されたとしても、これらの安価な部材で形成されたX線放射窓部33は、X線の放射窓として十分な耐性が得られる。すなわち、X線管装置10の製造コストを削減することができる。
以下で図面を参照して、本実施形態の変形例について説明する。変形例のX線管装置は、第1の実施形態のX線管装置とほぼ同等の構成であるので、第1の実施形態のX線管装置と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図5は、第1の実施形態の変形例のX線管装置10の模式図である。
図5に示すように、変形例のX線管30は、陽極接地管である。したがって、X線管装置10は、陰極36側に高電圧電源15Aを有し、陽極ターゲット35が接地されている。
高電圧電源15Aは、陽極ターゲット35及び陰極36の間に高電圧を供給する。変形例において、高電圧電源15Aは、陰極36に負の高電圧を印加され、―Vの電圧が印加されている。陽極ターゲット35及び真空外囲器31(の内表面部34)は、接地(接地電位に設定)されている。
変形例では、陰極36は、高電圧電源15Aから負の高電圧を印加される。このとき、陰極36に接続された反射電極136は、陰極36と同等の負の高電圧が印加される。陰極36の電子放出源36aから電子ビームが、陽極ターゲット35のターゲット面35bに向けて(第1の方向d1の方向へ)射出される。電子ビームは、集束電極36bによって整形され、焦点Fに入射する。ターゲット面35bの焦点Fに入射した電子ビームによって、焦点Fから第2の方向d2に向けてX線が放射される。X線は、窓部136aを通過し、X線放射窓部33を透過して外部へ放射される。ここで、電子ビームの一部は、反跳電子としてX線と同様に第2の方向d2に散乱する。第2の方向に散乱した反跳電子は、陰極36と実質的に同電位の反射電極136付近に生じる電界の作用によって反射する。反射した反跳電子は、焦点Fから離れた陽極ターゲット35上を衝撃する。
変形例において、X線管30は、陽極接地管である。X線管30が陽極接地管であっても、第1の実施形態と同様に、反跳電子がX線放射窓部33の方向へ反跳することが防止される。この結果、反跳電子が衝撃することによるX線放射窓部33の加熱が低減される。
次に他の実施形態に係るX線管装置について説明する。他の実施形態において、前述した第1の実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係るX線管装置におけるX線の生成の原理を示す模式図であり、ターゲット面に直交する面内の各構成部分の配置を示している。図7は、図6の線VII−VIIに沿ったX線管装置の断面図であり、図7内には、X線管装置の正面構成が示されている。
はじめに、図6及び図7を参照して、第2の実施形態のX線管装置10の基本的な動作原理について説明する。本実施形態のX線管装置10は、第1の磁気偏向部(第1の磁気部)110と、偏向電源115とをさらに備えている。
詳細は後述するが、本実施形態では、反跳電子の軌道を偏向するために、第1の磁気偏向部110が設けられている。図6に示すように、第1の磁気偏向部110は、対向する2つの磁極部材で構成されている。これら対向する2つの磁極部材は、例えば、各々、平板で構成されている。これら対向する2つの平板から成る第1の磁気偏向部110は、X線管30(真空外囲器31)の外側で、且つ、陽極ターゲット35及びX線放射窓部33の間を挟むように設置されている。第1の磁気偏向部110の対向する2つの磁極部材は、内表面部34を有する真空外囲器31の内部に磁場Haを生成する。図6に示すように、例えば、磁場Haは、磁界の向きがX線装置の第1の方向d1に平行な方向に生成される。本実施形態では、磁界の向きが陽極ターゲット35側から陰極36側へ向かうように、磁場Haが生成されている。図7に示すように、磁場Haによって、反跳電子の軌道が偏向される。
以下で、図8、図9及び図10を参照して、本実施形態に係るX線管装置10の詳細な構造について説明する。
図8は、X線管装置の詳細な構造を示す断面図である。図9は、図8の線IX−IXに沿ったX線管装置の断面図であり、X線管装置10の正面外形が示されている。図10は、本実施形態のX線管装置10における、X線管30及び第1の磁気偏向部110を含む外形構成を示す斜視図である。
第1の磁気偏向部110は、図示しない2個の磁極と、磁極を接続したヨーク112と、ヨーク112に巻かれたコイル113とを有している。本実施形態において、第1の磁気偏向部110は、電磁石を利用しているが、これに限定されるものではなく永久磁石を利用するものであってもよい。第1の磁気偏向部110は、磁場Haを生成し、ローレンツ力を利用して電子ビームを偏向する。第1の磁気偏向部110は、磁場HaをX線放射窓部33と焦点Fとの間の空間の少なくとも一部に生成する。磁場Haは、反跳電子の軌道を連続的に変化させる。なお、第1の磁気偏向部110は、磁界Haの強さ(磁束密度)を調整できてもよい。
図10に示すように、第1の磁気偏向部110では、一対のヨーク112がコの字形状を形成するように互いに連結されている。一対のヨーク112は、例えば、真空外囲器31を覆うように連結される。第1の磁気偏向部110は、X線管30の一部が一対のヨーク112の対向端である磁極間に収納されるように配置されている。より詳細には、第1の磁気偏向部110は、真空外囲器31の外側に、一対のヨーク112の磁極が真空外囲器31を挟むように設置されている。これらのヨーク112の磁極は、例えば、平板形状に形成されている。ここで、一対のヨーク112の磁極は、焦点F及びX線放射窓部33の間に亘る幅を有する。
偏向電源115は、第1の磁気偏向部110に電気的に接続され、コイル113に電流を供給するものである。第1の磁気偏向部110及び偏向電源115は、偏向磁場発生ユニットを形成している。
本実施形態では、陰極36は、高電圧電源15Aから負の高電圧を印加され、陽極ターゲット35は、高電圧電源15Bから正の高電圧を印加される。このとき、陰極36に接続された反射磁極136は、陰極36と同等の負の高電圧が印加される。陰極36の電子放出源36aから電子ビームが、陽極ターゲット35のターゲット面35bに向けて第1の方向d1の方向へ射出される。電子ビームは、集束電極36bによって整形され、焦点Fに入射する。ターゲット面35bの焦点Fに入射した電子ビームによって、焦点Fから第2の方向d2に向けてX線が放射される。X線は、窓部136aを通過し、X線放射窓部33を透過して外部へ放射される。ここで、電子ビームの一部は、反跳電子としてX線と同様に第2の方向d2に散乱する。第2の方向に散乱した反跳電子は、陰極36と実質的に同電位の反射電極136付近に生じる電界の作用によって反射する。さらに図6及び図7に示すように、反射した反跳電子は、磁界Haによって軌道を一方向に偏向され続けるために、焦点Fから離れた陽極ターゲット35上に衝撃する。また、例えば、X線放射窓部33が陽極ターゲット35上に投影されて定められる投影範囲外に、多くの反跳電子が陽極ターゲット35上に散乱して入射されるように、第1の磁気偏向部110が生成する磁界Haの大きさが設定されてもよい。
本実施形態において、第1の磁気偏向部110によって、磁界Haが生成される。磁界Haは、反射電極136付近に生じる電界の作用によって反射された反跳電子の軌道をさらに偏向し続ける。反跳電子は、焦点Fから離れた陽極ターゲット35上に衝撃する。その結果、焦点Fの温度上昇が低減される。また、反跳電子が焦点Fから離れた陽極ターゲット35上に衝撃するために、反跳電子による焦点F近傍でのX線の発生が低減される。この結果、反跳電子によって発生するX線が利用X線へ混入することが低減される。
以下で図面を参照して、本実施形態の変形例について説明する。変形例のX線管装置は、第2の実施形態のX線管装置とほぼ同等の構成であるので、第2の実施形態のX線管装置と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図11は、第2の実施形態の変形例のX線管装置10の模式図である。
図11に示すように、変形例のX線管30は、陽極接地管である。したがって、X線管装置10は、陰極36側に高電圧電源15Aを有し、陽極ターゲット35が接地されている。
高電圧電源15Aは、陽極ターゲット35及び陰極36の間に高電圧を供給する。変形例において、高電圧電源15Aは、陰極36に負の高電圧を印加され、―Vの電圧が印加されている。陽極ターゲット35及び真空外囲器31(の内表面部34)は、接地(接地電位に設定)されている。
変形例では、陰極36は、高電圧電源15Aから負の高電圧を印加される。このとき、陰極36に接続された反射電極136は、陰極36と同等の負の高電圧が印加される。陰極36の電子放出源36aから電子ビームが、陽極ターゲット35のターゲット面35bに向けて第1の方向d1の方向へ射出される。電子ビームは、集束電極36bによって整形され、焦点Fに入射する。ターゲット面35bの焦点Fに入射した電子ビームによって、焦点Fから第2の方向d2に向けてX線が放射される。X線は、窓部136aを通過し、X線放射窓部33を透過して外部へ放射される。ここで、電子ビームの一部は、反跳電子としてX線と同様に第2の方向d2に散乱する。第2の方向に散乱した反跳電子は、陰極36と実質的に同電位の反射電極136付近に生じる電界の作用によって反射する。さらに図6及び図7に示すように、反射した反跳電子は、磁界Haによって軌道を一方向に偏向され続けるために、焦点Fから離れた陽極ターゲット35上に衝撃する。また、例えば、X線放射窓部33が陽極ターゲット35上に投影されて定められる投影範囲外に、多くの反跳電子が陽極ターゲット35上に散乱して入射されるように、第1の磁気偏向部110が生成する磁界Haの大きさが設定されてもよい。
変形例において、X線管30は、陽極接地管である。X線管30が陽極接地管であっても、第2の実施形態と同様に、焦点Fの温度上昇が低減される。また、反跳電子が焦点Fから離れた陽極ターゲット35上に衝撃するために、反跳電子による焦点F近傍でのX線の発生が低減される。この結果、反跳電子によって発生するX線が利用X線へ混入することも低減される。
(第3の実施形態)
以下で第3の実施形態について説明する。第3の実施形態のX線管装置は、さらに磁気偏向部を備えていることが異なる。
図12は、第2の実施形態に係るX線管装置の原理を示す模式図であり、ターゲット面に沿った方向から見た図である。図13は、図12の線XIII−XIIIに沿ったX線管装置の断面図であり、一部にX線管装置の正面図を含んでいる図である。
第3の実施形態のX線管装置10は、第1の実施形態のX線管装置の構成に加えて、第2の磁気偏向部(第2の磁気部)120と、偏向電源125とをさらに備えている。
第2の磁気偏向部120は、磁界Hbを生成する。磁界Hbによって陽極ターゲット35へ入射する電子ビームの軌道が偏向される。図13に示すように、磁界Hbは、第1の方向d1と第2の方向d2との2つの方向に広がる平面(第1の平面S1)に対して垂直な方向(第3の方向d3)に生成されている。磁界Hbの向きは、例えば、第2の方向d2と第3の方向d3と2つの方向に広がる平面(第2の平面S2)において第2の方向から右回りに90°の向きで生成される。
本実施形態において、第2の磁気偏向部120によって生成された磁界Hbによって入射する電子ビームの軌道が偏向される。電子ビームは、磁界Hbの作用を受け続けるため、電子ビームの進行方向は第1の方向d1から屈曲方向d12に連続的に変化する。このとき、電子ビームはターゲット面35bに対して浅い角度で入射する。一様磁界と一様電界とが直交する単純化した場合に、電子ビームの軌道がサイクロイド曲線となる。したがって、図6に示すように、屈曲方向d12は、サイクロイド曲線のような軌道となる。このように、陽極ターゲット35のターゲット面35bに対して比較的に浅い角度で入射させることによって、ターゲット面35bから放出されるX線の出力が増大する。なお、ターゲット面35bへの電子ビームの入射角α(ターゲット面35bと屈曲方向d12との角度)は、磁場Hbの大きさを調整することにより、目的とする角度(向き)に設定可能である。
電子ビームは、第2の磁気偏向部120によりターゲット面35bに平行で、かつ第1平面に垂直に生成される磁場Hbの作用とを受ける。磁場Hbは、陰極36と陽極ターゲット35のターゲット面(表面)35bとの間の空間全域に亘って生じる。これらの磁界Hbによって、屈曲方向d12から電子ビームをターゲット面35bに入射させることができる。なお、磁場Hbは、管電圧の大きさに応じて設定される。
このように浅い角度αで電子ビームをターゲット面35bに入射させることによって、X線放射窓部33から放出されるX線出力を増大させることができる。ここで、角度αは、図12に示すように電子ビームがターゲット面35bに対して成す角として定義される。
前述のような効果は、角度αが0°より大きく40°以下の範囲内の何れかである場合(0°<α≦40°)に得ることができる。さらに、これらの効果をより高めるためには、角度α5°より大きく30°以下の範囲内の何れかである(5°<α≦30°)ことがより好ましい。ターゲット面35bに入射する電子ビームの一部は、反跳電子として第2の方向d2へ散乱する。
以下で、図14及び図15を参照して、第2の実施形態に係るX線管装置10の詳細な構造について説明する。
図14は、本実施形態における図3の線IV−IVに沿った本実施形態のX線管装置の断面図であり、一部にX線管装置の正面図を含んでいる図である。図15は、図14に示すX線管装置内のX線管及び第2の磁気偏向部の外観を概略的に示す斜視図である。
本実施形態において、X線管装置10の一部の断面図は、図3と同等である。また、図14に示すように、X線管装置10において、第2の磁気偏向部120は、ハウジング20の内側で真空外囲器31の外側に設置されている。
図14及び図15に示すように、第2の磁気偏向部120は、2個の磁極121と、磁極を接続したヨーク122と、ヨーク122に巻かれたコイル123とを有している。本実施形態において、第2の磁気偏向部120は、電磁石を利用しているが、これに限定されるものではなく永久磁石を利用するものであってもよい。第2の磁気偏向部120は、陰極36からターゲット面35bに向かう電子ビームの軌跡を横切るように磁場Hbを生成し、ローレンツ力を利用して電子ビームを偏向する。第2の磁気偏向部120は、磁場Hbを陰極36とターゲット面35bとの間の空間全域に亘って生成する。磁場Hbは、入射電子の軌道を連続的に変化させる。なお、第2の磁気偏向部120は、磁界Hbの強さ(磁束密度)を調整できてもよい。
図15に示すように、第2の磁気偏向部120においては、一対のヨーク122がコ字形状を成すように形成されている。第2の磁気偏向部120においては、X線管30が一対のヨーク122の端面間に配置されている。また、第2の磁気偏向部120においては、真空外囲器31の外側に位置する2つのヨーク122が真空外囲器31を挟んで対向するように設置されている。これらのヨーク122は、例えば、平板形状の端面を有するように形成されている。図14及び図15に示すように、一対のヨーク122は、例えば、ターゲット面35bを覆う大きさを有するように連結される。ここで、複数のヨーク122の端面は、例えば、陰極36及び焦点Fの間に亘る奥行き幅を有する。
偏向電源125は、第2の磁気偏向部120に電気的に接続され、コイル123に電流を供給するものである。第2の磁気偏向部120及び偏向電源125は、偏向磁場発生ユニットを形成している。
本実施形態では、陰極36は、高電圧電源15Aから負の高電圧を印加され、陽極ターゲット35は、高電圧電源15Bから正の高電圧を印加される。このとき、陰極36に接続された反射電極136は、陰極36と同等の負の高電圧が印加される。陰極36の電子放出源36aから電子ビームが、陽極ターゲット35のターゲット面35bに向けて第1の方向d1の方向へ射出される。電子ビームは、集束電極36bによって整形され、焦点Fに入射する。第2の磁気偏向部120によって生成される磁界Hbによって、電子ビームは、偏向され続け屈曲方向d12の方向へ屈曲される。電子ビームは、サイクロイド曲線のような軌道で焦点Fに入射する。ターゲット面35bの焦点Fに入射した電子ビームによって、焦点Fから第2の方向d2に向けてX線が放射される。X線は、窓部136aを通り、X線放射窓部33を透過して外部へ放射される。ここで、電子ビームの一部は、反跳電子としてX線と同様に第2の方向d2に散乱する。第2の方向に散乱した反跳電子は、陰極36と実質的に同電位の反射電極136付近に生じる電界の作用によって反射する。さらに図12及び図13に示すように、反射した反跳電子は、焦点Fから離れた陽極ターゲット35上を衝撃する。
本実施形態において、第2の磁気偏向部120が生成する磁場Hbの作用よって、陰極36から射出される電子ビームは、浅い角度αでターゲット面35bに入射する。ターゲット面に対して比較的浅い角度で電子ビームを入射させて焦点Fが形成されているため、X線放射窓部33から放出されるX線出力を増大させることができる。角度αがより小さい程、より大きなX線出力が得られる。
以下で図面を参照して、本実施形態の変形例について説明する。変形例のX線管装置は、第3の実施形態のX線管装置とほぼ同等の構成であるので、第3の実施形態のX線管装置と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図16は、第3の実施形態の変形例のX線管装置10の模式図である。
図16に示すように、変形例のX線管30は、陽極接地管である。したがって、X線管装置10は、陰極36側に高電圧電源15Aを有し、陽極ターゲット35が接地されている。
高電圧電源15Aは、陽極ターゲット35及び陰極36の間に高電圧を供給する。変形例において、高電圧電源15Aは、陰極36に負の高電圧を印加され、―Vの電圧が印加されている。陽極ターゲット35及び真空外囲器31(の内表面部34)は、接地(接地電位に設定)されている。
変形例では、陰極36は、高電圧電源15Aから負の高電圧を印加される。このとき、陰極36に接続された反射電極136は、陰極36と同等の負の高電圧が印加される。陰極36の電子放出源36aから電子ビームが、陽極ターゲット35のターゲット面35bに向けて第1の方向d1の方向へ射出される。電子ビームは、集束電極36bによって整形され、焦点Fに入射する。第2の磁気偏向部120によって生成される磁界Hbによって、電子ビームは、偏向され続け屈曲方向d12の方向へ屈曲される。電子ビームは、サイクロイド曲線のような軌道で焦点Fに入射する。ターゲット面35bの焦点Fに入射した電子ビームによって、焦点Fから第2の方向d2に向けてX線が放射される。X線は、窓部136aを通り、X線放射窓部33を透過して外部へ放射される。ここで、電子ビームの一部は、反跳電子としてX線と同様に第2の方向d2に散乱する。第2の方向に散乱した反跳電子は、陰極36と実質的に同電位の反射電極136付近に生じる電界の作用によって反射する。さらに反射した反跳電子は、焦点Fから離れた陽極ターゲット35上に衝撃する。
変形例において、X線管30は陽極接地管である。X線管30が陽極接地管であっても
、第3の実施形態と同様に、ターゲット面に対して比較的浅い角度で電子ビームを入射させて焦点Fが形成されているため、X線放射窓部33から放出されるX線出力を増大させることができる。角度αがより小さい程、より大きなX線出力が得られる。
次に他の実施形態に係るX線管装置について説明する。他の実施形態において、前述した第3の実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
(第4の実施形態)
以下で第4の実施形態について説明する。第4の実施形態のX線管装置は、第3の実施形態のX線管装置の構成に加えて、さらに第1の磁気偏向部110を備えていることが異なる。
図17は、第2の実施形態に係るX線管装置の原理を示す模式図であり、ターゲット面に沿った方向から見た図である。図18は、図17の線XVIII−XVIIIに沿ったX線管装置の断面図であり、一部にX線管装置の正面図を含んでいる図である。図19は、本実施形態のX線管装置における磁気偏向部を含む一部を示す斜視図である。
図17、図18、及び図19に示すように、第4の実施形態のX線管装置10は、第3の実施形態のX線管装置10の構成に加えて、第1の磁気偏向部(第1の磁気部)110と、偏向電源115とをさらに備えている。
本実施形態では、陰極36は、高電圧電源15Aから負の高電圧を印加され、陽極ターゲット35は、高電圧電源15Bから正の高電圧を印加される。このとき、陰極36に接続された反射電極136は、陰極36と同等の負の高電圧が印加される。陰極36の電子放出源36aから電子ビームが、陽極ターゲット35のターゲット面35bに向けて第1の方向d1の方向へ射出される。電子ビームは、集束電極36bによって整形され、焦点Fに入射する。第2の磁気偏向部120によって生成される磁界Hbによって、電子ビームは、偏向され続け屈曲方向d12の方向へ屈曲される。電子ビームは、サイクロイド曲線のような軌道で焦点Fに入射する。ターゲット面35bの焦点Fに入射した電子ビームによって、焦点Fから第2の方向d2に向けてX線が放射される。X線は、窓部136aを通り、X線放射窓部33を透過して外部へ放射される。ここで、電子ビームの一部は、反跳電子としてX線と同様に第2の方向d2に散乱する。第2の方向に散乱した反跳電子は、陰極36と実質的に同電位の反射電極136付近に生じる電界の作用によって反射する。さらに図1及び図2に示すように、反射した反跳電子は、磁界Haによって軌道を一方向に偏向され続けるために、焦点Fから離れた陽極ターゲット35上を衝撃する。また、例えば、X線放射窓部33が陽極ターゲット35上に投影されて定められる投影範囲外に多くの反跳電子が散乱するように、第1の磁気偏向部101が生成する磁界Haの大きさが設定されてもよい。
本実施形態において、第1の磁気偏向部110によって、磁界Haが生成される。磁界Haは、反射磁極136付近に生じる電界の作用によって反射された反跳電子の軌道をさらに偏向し続ける。反跳電子は、焦点Fから離れた陽極ターゲット35上に衝撃する。その結果、焦点Fの温度上昇が低減される。また、反跳電子が焦点Fから離れた陽極ターゲット35上に衝撃するために、反跳電子による焦点F近傍でのX線の発生が低減される。この結果、反跳電子によって発生するX線が利用X線へ混入することが低減される。また、第2の磁気偏向部120が生成する磁場Hbの作用よって、陰極36から射出される電子ビームは、浅い角度αでターゲット面35bに入射する。ターゲット面に対して比較的浅い角度で電子ビームを入射させて焦点Fが形成されているため、X線放射窓部33から放出されるX線出力を増大させることができる。角度αがより小さい程、より大きなX線出力が得られる。
なお、前述の実施形態において、反射電極136は一端部が陰極36に接続されているとしたが、窓部136aが陰極36と同電位であり、焦点FとX線放射窓部33との間に設置されていればよい。例えば、窓部136aに陰極36と同等の高電圧電源から電圧を直接印加される構成でもよい。また、反射電極136は、陰極36と一体で形成されていてもよいし、別体として接続されていてもよい。窓部136aも、反射電極136と一体で形成されていてもよい、別体として接続されていてもよい。
なお、この発明は、上記実施形態そのものに限定されるものでなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
10…X線管装置、15…高電圧電源、30…X線管、31…真空外囲器、32…真空容器、32a…側壁、33…X線放射窓部、34…内表面部、35…陽極ターゲット、35a…ターゲット層、35b…ターゲット面、35d…反跳電子捕捉面、36…陰極、36a…電子放出源、36b…集束電極(集束カップ)、110…第1の磁気偏向部、112、122…ヨーク、113、123…コイル、115、125…偏向電源、120…第2の磁気偏向部、121…磁極、136…反射電極、136a…窓部。

Claims (11)

  1. 負の高電圧が印加され、電子ビームを放出する放出源を備える陰極と、
    前記陰極に対して正の高電圧が印加され、前記陰極に対向して設置され、前記電子ビームが入射されることによりX線を放出する焦点が形成されるターゲット面を有する陽極ターゲットと、
    前記陰極と前記陽極ターゲットを真空気密に収納する真空外囲器と、
    前記陰極よりも高い電位である前記真空外囲器の壁面部の一部に形成され、前記陽極ターゲットから放出されるX線を外部へ放射を許す放射窓部と、
    前記陰極と同電位であり、前記焦点と前記放射窓部との間に設置され、前記焦点で反射してくる一部の反跳電子を反射する電極部材を備えるX線管装置。
  2. 前記電極部材は、導電性の長尺形状に形成され、一端部が前記陰極と接続され、前記一端部と反対の端部である先端部が前記焦点と前記放射窓部との間に設置される請求項1のX線管装置。
  3. 前記電極部材は、前記反跳電子を反射するために前記焦点と前記放射窓部の中心とに沿った平面に対して垂直な方向に広がり、前記陰極と同電位である反射部材を前記先端部に備える請求項2のX線管装置。
  4. 前記反射部材は、前記焦点と前記放射窓部の中心とを結ぶ直線上に配置され、前記焦点から放出されるX線を透過する窓部を備える請求項3のX線管装置。
  5. 前記焦点と前記放射窓部との間に磁場を生成する第1の磁気部を備える、請求項4のX線管装置。
  6. 前記第1の磁気部は、前記焦点と前記放射窓部の中心とに沿った平面に対して垂直な方向の磁場を生成する、請求項5のX線管装置。
  7. 前記第1の磁気部は、前記陽極ターゲットから前記陰極に向かう方向に沿った磁場を生成する、請求項6のX線管装置。
  8. 前記真空外囲器は、前記放射窓部を形成される壁面部である表面部を有し、
    前記表面部は、前記陰極と同電位に維持される、請求項7のX線管装置。
  9. 前記陰極と前記陽極ターゲットとの間に磁場を生成する第2の磁気部と、を有する請求項8のX線管装置。
  10. 前記第2の磁気部は、前記陰極の前記電子ビームの放出する放出源の中心と前記焦点とに沿った平面に対して垂直な方向の磁場を生成する、請求項9のX線管装置。
  11. 前記陰極から放出された前記電子ビームが、前記第2の磁気部によって生成される磁場によって湾曲して前記陽極ターゲットに入射する際に、当該電子ビームの入射角度は、前記陽極ターゲットの表面から1°より大きく40°以下の範囲のいずれかの角度になるように、前記第2の磁気部が設定される請求項10に記載のX線管装置。
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