JP2016126969A - X線管装置 - Google Patents

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智成 石原
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Abstract

【課題】 真空外囲器に径小部を形成することなく陰極から陽極ターゲットへ向かう電子ビームの電子軌道及び/又は形状を磁気的に変化させることができ、且つX線焦点の拡大、ぼけ、歪みや、陰極の電子放出量の低下などの発生を低減できる回転陽極型X線管装置を提供することである。【解決手段】 本発明の実施形態に係るX線管装置は、電子軌道方向に電子を射出する陰極と、陰極に対向して設けられ、陰極から射出される電子が衝撃することによってX線を発生するターゲット面を備える陽極ターゲットと、陰極と陽極ターゲットとを収容し、内部が真空気密に密閉され、陰極の周囲を囲むように外側から窪まされた少なくとも1つの窪み部を形成される真空外囲器と、直流電源より直流電流を供給され、真空外囲器の外側に配置され、中心に陰極が位置するように窪み部に収納される4極子で構成される4極子磁場発生部と、を備える。【選択図】図1

Description

実施形態は、X線管装置に関する。
回転陽極型X線管装置は、陰極の電子発生源から発生する電子を回転する陽極ターゲットに衝突させ、この陽極ターゲットの電子が衝突して形成されるX線焦点からX線を発生させる装置である。この回転陽極型X線管装置は、一般的に、X線CT装置等で利用される。
フライングフォーカス(焦点位置シフト)方式のX線CT装置では、回転陽極型X線管装置によってX線撮影中に異なった位置にX線焦点が配置され、被写体を通じて検出器に入射するX線の入射角度が僅かにずらされる。その結果、X線撮影画像の解像特性が向上することが知られている。このようにX線撮影中に、回転陽極型X線管装置で異なった位置にX線焦点を配置するには、X線焦点を1msec以下の短時間で間欠的、連続的、または周期的に微小移動させる必要がある。
X線焦点を短時間で微小移動させる方式としていくつかの方式がある。その方式の1つとして、磁極が発生する偏向磁界により電子ビームを偏向させる磁気的電子ビーム変更方式がある。磁気的電子ビーム偏向方式では、陰極と陽極ターゲットとの間に位置する真空外囲器に径小となる径小部を設け、そこに偏向磁界を発生する磁極が配置されている。この磁気的電子ビーム偏向方式の構成では、径小部に配置された磁極間の距離が短くなり、電子ビーム位置での磁束密度を高め、電子の電子軌道を確実に偏向することが可能となる。
また、さらに径小部に4極の磁極を配置し、4極子磁場を発生させて電子ビームの形状を変化及び/又は調整して焦点サイズを磁気的に変化させる構成も知られている。
米国特許第4689809号明細書 米国特許第5910974号明細書 米国特許第7289603号明細書 米国特許第6977991号明細書 米国特許第6529579号明細書 特許第5216506号公報 特開平10−106462号公報
上記回転陽極型X線管装置は、真空外囲器の径小部が形成されているために、陰極を陽極ターゲットから離して配置する。また、この回転陽極型X線管装置は、径小部が形成されているために、電位分布が変化してしまい電子ビームが集束しにくくなる。その結果、X線焦点の拡大、ぼけ、歪みや、陰極の電子放出量の低下などが発生し得る。
したがって、本発明の実施形態が解決しようとする課題は、真空外囲器に径小部を形成することなく陰極から陽極ターゲットへ向かう電子ビームの電子軌道及び/又は形状を磁気的に変化させることができ、且つX線焦点の拡大、ぼけ、歪みや、陰極の電子放出量の低下などの発生を低減できる回転陽極型X線管装置を提供することである。
本発明の実施形態に係るX線管装置は、電子軌道方向に電子を射出する陰極と、陰極に対向して設けられ、陰極から射出される電子が衝撃することによってX線を発生するターゲット面を備える陽極ターゲットと、陰極と陽極ターゲットとを収容し、内部が真空気密に密閉され、陰極の周囲を囲むように外側から窪まされた少なくとも1つの窪み部を形成される真空外囲器と、直流電源より直流電流を供給され、真空外囲器の外側に配置され、中心に陰極が位置するように窪み部に収納される4極子で構成される4極子磁場発生部と、を備える。
図1は、第1の実施形態のX線管装置の一例を示す断面図である。 図2Aは、第1の実施形態のX線管の概要を示す断面図である。 図2Bは、図2AのIIA−IIA線に沿った断面図である。 図2Cは、図2BのIIB1−IIB1に沿った断面図である。 図2Dは、図2BのIIB2−IIB2に沿った断面図である。 図2Eは、図2DのIID−IIDに沿った断面図である。 図3は、第1の実施形態の4極子磁場発生部の原理を示す断面図である。 図4は、第1の実施形態の変形例のX線管の概要を示す断面図である。 図5は、第2の実施形態のX線管の概要を示す断面図である。 図6Aは、図5のV−V線に沿った断面図である。 図6Bは、図6AのVIA−VIA線に沿った断面図である。 図7は、第2の実施形態の4極子磁場発生部の原理を示す断面図である。 図8は、第2の実施形態の変形例1のX線管の概要を示す断面図である。 図9は、第2の実施形態の変形例1の4極子磁場発生部の原理を断面図である。 図10は、第2の実施形態の変形例2のX線管の概要を示す断面図である。
以下、図面を参照しながら実施形態に係るX線管装置について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のX線管装置10の一例を示す断面図である。
図1に示すように、第1の実施形態のX線管装置10は、大別すると、ステータコイル8と、ハウジング20と、X線管30と、高電圧絶縁部材39と、4極子磁場発生部60と、リセプタクル301、302と、X線遮蔽部510、520、530、540とを備えている。例えば、X線管装置10は、回転陽極側X線管装置である。X線管30は、例えば、回転陽極型のX線管である。例えば、X線管30は、中性点接地型の回転陽極型X線管である。X線遮蔽部510、520、530、及び540は、それぞれ、鉛で形成されている。
X線管装置10において、ハウジング20の内側とX線管30の外側との間に形成される空間には、冷却液である絶縁油9が充填されている。例えば、X線管装置10は、この絶縁油9をハウジング20とホース(図示せず)で接続された循環冷却システム(冷却器)(図示せず)によって循環させて冷却するように構成されている。この場合、ハウジング20は、絶縁油9の導入口及び排出口を備えている。循環冷却システムは、例えば、ハウジング20内の絶縁油9を放熱及び循環させる冷却器と、冷却器をハウジング20の導入口及び排出口に液密及び気密に連結する導管(ホースなど)とを備えている。冷却器は、循環ポンプ及び熱交換器を有している。循環ポンプは、ハウジング20側から取り入れた絶縁油9を熱交換器に吐出し、絶縁油9の流れをハウジング20内に作り出す。熱交換器は、ハウジング20及び循環ポンプ間に連結され、絶縁油9の熱を外部へ放出する。
以下で、図面を参照してX線管装置10の詳細な構成について説明する。
ハウジング20は、筒状に形成されたハウジング本体20eと、蓋部(側板)20f、20g、20hとを備えている。ハウジング本体20e、及び蓋部20f、20g、20hは、アルミニウムを用いた鋳物で形成される。樹脂材料を使用する場合は、ネジ部など強度を必要をとする箇所や、樹脂の射出成形で成形し難い箇所、またハウジング20の外部への電磁気ノイズの漏えいを防止する遮蔽層(図示せず)など、部分的に金属を併用してもよい。ここで、ハウジング本体20eの円筒の円の中心を通る中心軸を管軸TAとする。
ハウジング本体20eの開口部には、環状の段差部がハウジング本体20eの肉厚よりも薄肉厚の内周面として形成されている。この段差部の内周に沿って環状の溝部が形成されている。ハウジング本体20eの溝部は、段差部の段差から管軸TAに沿って外側方向へ所定の長さの位置に切削されて形成されている。ここで、所定の長さは、例えば、蓋部20fの厚さとほぼ同等の長さである。ハウジング本体20eの溝部には、C形止め輪20iが嵌合されている。すなわち、ハウジング本体20eの開口部は、蓋部20f及びC形止め輪20iなどにより液密に閉塞されている。
蓋部20fは、円盤形状で形成されている。蓋部20fは、外周部に沿ってゴム部材j2aが設けられ、ハウジング本体20eの開口部に形成された段差部に嵌合されている。
ゴム部材2aは、例えば、Oリング状に形成されている。前述のように、ゴム部材2aは、ハウジング本体20eと蓋部20fとの間に設けられ、これらの間を液密にシールしている。X線管装置10の管軸TAに沿った方向において、蓋部20fの周縁部は、ハウジング本体20eの段差部に接触している。
C形止め輪20iは、固定部材である。C形止め輪20iは、蓋部20fの管軸TAに沿った方向へ動きを制止するために、前述のようにハウジング本体20eの溝部に嵌合され、蓋部20fを固定する。
蓋部20fの設置されたハウジング本体20eの開口部と反対側の開口部とには、蓋部20g及び蓋部20hが嵌合されている。すなわち、蓋部20g及び蓋部20hは、それぞれ、蓋部20fの設置されたハウジング本体20eの端部の反対側の端部で、蓋部20fと平行に、且つ互いに対向して設置されている。蓋部20gは、ハウジング本体20eの内側の所定の位置に嵌合して、液密に設けられている。ハウジング本体20eの蓋部20hが設置されている端部において、蓋部20hの設置位置に隣接する外側の内周部には、環状の溝部が形成されている。蓋部20g及び蓋部20hの間には、ゴム部材2bが伸縮可能に液密を保持するように設置されている。蓋部20hは、ハウジング本体20eにおいて、蓋部20gよりも外側に設けられている。前述の蓋部20hの設置位置近傍に形成される溝部には、C形止め輪20jが嵌合されている。すなわち、ハウジング本体20eの開口部は、蓋部20g、蓋部20h、C形止め輪20j及びゴム部材2bなどにより液密に閉塞されている。
蓋部20gは、ハウジング本体20eの内周とほぼ同径の円形形状で形成されている。蓋部20gは、絶縁油9を注入及び排出するための開口部20kを備えている。
蓋部20hは、ハウジング本体20eの内周とほぼ同径の円形形状に形成されている。蓋部20hは、雰囲気としての空気が出入りする通気孔20mが形成されている。
C形止め輪20jは、蓋部20hがゴム部材2bの周縁部(シール部)へ圧着されている状態を保持する固定部材である。
ゴム部材2bは、ゴムベローズ(ゴム膜)である。ゴム部材2bは、円形形状に形成されている。また、ゴム部材2bの周縁部(シール部)は、Oリング状に形成されている。ゴム部材2bは、ハウジング本体20eと蓋部20gと蓋部20hとの間に設けられ、これらの間を液密にシールしている。ゴム部材2bは、ハウジング本体20eの端部の内周に沿って設置されている。すなわち、ゴム部材2bは、ハウジング内の一部分の空間を分離するように設けられる。本実施形態において、ゴム部材2bは、蓋部20gと蓋部20hとで包囲される空間に設置され、この空間を2つに液密に分離する。ここで、蓋部20g側の空間を第1の空間と称し、蓋部20h側の空間を第2の空間と称する。第1の空間は、絶縁油9が充填されているハウジング本体20eの内側の空間と開口部20kを介して繋がっている。そのため、第1の空間は、絶縁油9で満たされている。第2の空間は、外部空間と通気孔20mを介して繋がっている。そのため、第2の空間は、空気雰囲気である。
ハウジング本体20eは、一部に貫通する開口部20oが形成されている。開口部20oには、X線放射窓20w及びX線遮蔽部540が設置されている。開口部20oは、これらX線放射窓20w及びX線遮蔽部540によって液密に閉塞されている。詳細には後述するが、X線遮蔽部520及び540は、開口部20oにおけるハウジング20の外部へのX線放射を遮蔽するために設置されている。
X線放射窓20wは、X線を透過する部材で形成されている。例えば、X線放射窓20wは、X線を透過する金属で形成されている。
X線遮蔽部510、520、530、及び540は、少なくとも鉛を含むX線不透過材で形成されていればよく、鉛合金等で形成されていてもよい。
X線遮蔽部510は、蓋部20gの内側の面に設けられている。X線遮蔽部510は、X線管30から放射されるX線を遮蔽するものである。X線遮蔽部510は、第1の遮蔽部511及び第2の遮蔽部512を備えている。第1の遮蔽部511は、蓋部20gの内側の面に接合されている。第1の遮蔽部511は、蓋部20gの内側の表面全体を覆うように設置される。また、第2の遮蔽部512は、一端部が第1の遮蔽部511の内側の面に積層され、他端部が開口部20kに対して管軸TAに沿う方向のハウジング本体20eの内側に間隔をあけて配置されるように設置される。すなわち、第2の遮蔽部512は、開口部20kを介して絶縁油9が出入り可能なように設置されている。
X線遮蔽部520は、略円筒状に形成されている。X線遮蔽部520は、ハウジング本体20eの内周部の一部に設置されている。X線遮蔽部520の一端部は、第1の遮蔽部511に近接している。このため、X線遮蔽部510及びX線遮蔽部520の間の隙間から出射する虞れのあるX線を遮蔽することができる。X線遮蔽部520は、筒状に形成され、管軸に沿って第1の遮蔽部511からステータコイル8の付近まで延出している。この実施形態において、X線遮蔽部520は、第1の遮蔽部511からステータコイル8の手前まで延出している。X線遮蔽部520は、必要に応じてハウジング20に固定されている。
X線遮蔽部530は、筒形状に形成され、ハウジング20内部の後述のリセプタクル302の外周に沿って嵌め込まれている。X線遮蔽部530は、円筒の一端部がハウジング本体20eの壁面に接するように設けられる。このとき、X線遮蔽部520には、X線遮蔽部530の一端部を通すための孔が形成されている。X線遮蔽部530は、後述のリセプタクル302の外周に必要に応じて固定されている。
X線遮蔽部540は、枠状に形成され、ハウジング20の開口部20oの側縁に設けられている。X線遮蔽部540は、開口部20oの内壁に沿って設置されている。ハウジング本体20eの内側のX線遮蔽部540の端部は、X線遮蔽部520に接している。X線遮蔽部540は、必要に応じて開口部20oの側縁に固定されている。
陽極用のリセプタクル301及び陰極用のリセプタクル302は、それぞれ、ハウジング本体20eに接続されている。リセプタクル301、302は、それぞれ、開口部を備える有底の筒状に形成されている。リセプタクル301、302は、それぞれ、底部がハウジング20の内部に設置され、且つ開口部が外側に向かって開口している。例えば、リセプタクル301、302は、相互に、ハウジング本体20eにおいて所定の間隔を空けて設置され、且つ開口部が同じ方向を向いて設置されている。
リセプタクル301及びリセプタクル301に挿入されるプラグ(図示せず)は、非面圧式であり、着脱可能に形成されている。プラグをリセプタクル301に連結した状態で、プラグから端子201に高電圧(例えば、+70〜+80kV)が供給される。
リセプタクル301は、ハウジング20において蓋部20f側で、且つ蓋部20fよりも内側に設置されている。リセプタクル301は、電気絶縁部材としてのハウジング321と、高電圧供給端子としての端子201とを有している。
ハウジング321は、絶縁性の材料として、例えば、樹脂で形成されている。ハウジング321は、プラグ差込口が外側に開口する有底の円筒形状に形成されている。ハウジング321は、底部に端子201を備えている。ハウジング321は、開口側の端部において、外面に環状の突出部が形成されている。このハウジング321の突出部は、ハウジング本体20eの突出部の端部に形成された段差である段差部20eaに嵌合するように形成される。端子201は、ハウジング321の底部に液密に取り付けられ、上記底部を貫通している。端子201は、絶縁被覆配線を介して後述する高電圧供給端子44と接続されている。
また、ハウジング321の突出部とハウジング本体20eとの間には、ゴム部材2fが設けられている。ゴム部材2fは、ハウジング321の突出部と段差部20eaの段差部分との間に設置され、ハウジング321の突出部とハウジング本体20eとの間を液密にシールしている。この実施形態において、ゴム部材2fは、Oリングで形成されている。ゴム部材2fは、ハウジング20外部への絶縁油9の漏れを防止する。ゴム部材2fは、例えば、硫黄加硫ゴムで形成されている。
ハウジング321は、リングナット311によって固定されている。リングナット311は、外周部にネジ溝が形成されている。例えば、リングナット311の外周部が雄ネジに加工され、段差部20eaの内周部が雌ネジに加工されている。したがって、リングナット311が螺合されることによって、ハウジング321の突出部は、ゴム部材2fを介して段差部20eaに押し付けられる。その結果、ハウジング321は、ハウジング本体20eに固定される。
リセプタクル302は、ハウジング20において蓋部20g側で、且つ蓋部20gよりも内側に設置されている。リセプタクル302は、リセプタクル301とほぼ同等に形成されている。リセプタクル302は、電気絶縁部材としてのハウジング322と、高電圧供給端子としての端子202とを有している。
ハウジング322は、絶縁性の材料として、例えば、樹脂で形成されている。ハウジング322は、プラグ差込口が外側に開口する有底の円筒形状に形成されている。ハウジング322は、底部に端子201を備えている。ハウジング322は、開口側の端部において、外面に環状の突出部が形成されている。このハウジング322の突出部は、ハウジング本体20eの突出部の端部に形成された段差である段差部20ebに嵌合するように形成される。端子202は、ハウジング321の底部に液密に取り付けられ、上記底部を貫通している。端子202は、絶縁被覆配線を介して後述する高電圧供給端子54と接続されている。
また、ハウジング322の突出部とハウジング本体20eとの間には、ゴム部材2gが設けられている。ゴム部材2gは、ハウジング322の突出部と段差部20ebの段差部分との間に設置され、ハウジング321の突出部とハウジング本体20eとの間を液密にシールしている。この実施形態において、ゴム部材2gは、Oリングで形成されている。ゴム部材2gは、ハウジング20外部への絶縁油9の漏れを防止する。ゴム部材2gは、例えば、硫黄加硫ゴムで形成されている。
ハウジング322は、リングナット312によって固定されている。リングナット312は、外周部にネジ溝が形成されている。例えば、リングナット312の外周部が雄ネジに加工され、段差部20ebの内周部が雌ネジに加工されている。したがって、リングナット312が螺合されることによって、ハウジング322の突出部は、ゴム部材2gを介して段差部20ebに押し付けられる。その結果、ハウジング322は、ハウジング本体20eに固定される。
図2Aは、X線管30の概要を示す断面図であり、図2Bは、図2AのIIA−IIA線に沿った断面図であり、図2Cは、図2BのIIB1−IIB1に沿った断面図であり、図2Dは、図2BのIIB2−IIB2に沿った断面図であり、図2Eは、図2DのIID−IIDに沿った断面図である。図2Bにおいて、管軸TAに直交する直線を直線L1とし、管軸TA及び直線L1に直交する直線を直線L2とする。
X線管30は、固定軸11と、回転体12と、軸受け13と、ロータ14と、真空外囲器31と、真空容器32と、陽極ターゲット35と、陰極36と、高電圧供給端子44と、高電圧供給端子54と、KOV部材55と、を備えている。図2Bにおいて、陰極36の中心、または電子ビームの射出方向に沿った直線に直交し、且つ直線L2に平行な直線を直線L3とする。
固定軸11は、円柱状に形成されている。固定軸11は、軸受け13を介して回転体12を回転可能に支持する。固定軸11は、一方の端部に真空外囲器31に気密に取り付けられている突出部を備える。固定軸11は、突出部が高電圧絶縁部材39に固定されている。このとき、固定軸11の突出部の先端部は、高電圧絶縁部材39を貫通している。固定軸11の突出部は、この先端部に高電圧供給端子44が電気的に接続されている。
回転体12は、有底の筒状に形成されている。回転体12は、内部に固定軸11が挿入され、この固定軸11と同軸で設置されている。回転体12は、底部側の先端部で後述する陽極ターゲット35と接続され、陽極ターゲット35とともに回転可能に設けられている。
軸受け13は、回転体の内周部及び固定軸11の外周部の間に設置されている。
ロータ14は、円筒状に形成されたステータコイル8の内側に配置されるように設けられている。
高電圧供給端子44は、固定軸11、軸受け13及び回転体12を介して陽極ターゲット35に相対的に正の電圧を印加する。高電圧供給端子44は、リセプタクル301に接続され、図示しないプラグ等の高電圧供給源がリセプタクル301に接続された場合に電流を供給される。高電圧供給端子44は、金属端子である。
陽極ターゲット35は、円盤状に形成されている。陽極ターゲット35は、回転体12の底部側の先端部に回転体12と同軸に接続されている。例えば、回転体12及び陽極ターゲット35は、中心軸が管軸TAに沿って設置される。すなわち、回転体12及び陽極ターゲット35の軸線は、管軸TAと平行である。この場合、回転体12及び陽極ターゲット35は、管軸TAを中心に回転自在に設けられている。
陽極ターゲット35は、この陽極ターゲットの外面の一部に設けられた傘状のターゲット層35aを備えている。ターゲット層35aは、陰極36から射出される電子が衝撃することによってX線を放出する。陽極ターゲット35の外側面や、陽極ターゲット35のターゲット層35aと反対側の表面には、黒色化処理が施されている。陽極ターゲット35は、非磁性体且つ電気伝導度(電気伝導性)が高い部材で形成されている。例えば、陽極ターゲット35は、銅、タングステン、モリブデン、ニオブ、タンタル、非磁性ステンレス鋼等で形成されている。なお、陽極ターゲット35は、少なくとも表面部分が高い電気伝導度且つ非磁性体の金属部材で形成されていればよい。したがって、例えば、陽極ターゲット35は、全体部分が高い電気伝導度、且つ非磁性体の金属部材で形成されていてもよい。または、陽極ターゲット35は、表面部分を非磁性体、且つ電気伝導度が高い金属部材で形成された被覆部材で被覆されていてもよい。
陰極36は、電子(電子ビーム)を射出するフィラメント(電子発生源)を含む。陰極36は、ターゲット層35aに対向する位置に設けられている。陰極36は、陽極ターゲット35に電子を射出する。例えば、陰極36は、円柱状に形成され、その円の中心に設けられるフィラメントから陽極ターゲット35の表面に電子を射出する。このとき、陰極36の中心を通る直線は、管軸TAと平行である。以下で、陰極36から射出される電子の方向とその軌道を“電子軌道”と記載する場合もある。陰極36には相対的に負の電圧が印加される。陰極36は、後述する陰極支持部(陰極支持体、陰極支持部材)37に取り付けられ、陰極支持部37の内部を通る高電圧供給端子54と接続されている。なお、陰極36を電子発生源と称する場合もある。また、陰極36において、電子ビームの射出位置は、中心と一致するものとする。以下で、陰極36の中心は、中心を通る直線を含む意味で用いる場合もある。
また、陰極36は、外周全体を覆う非磁性体カバーを備えている。この非磁性体カバーは、陰極36の周囲を囲むように円筒状に設けられている。非磁性体カバーは、例えば、銅、タングステン、モリブデン、ニオブ、タンタル、非磁性ステンレス鋼のいずれか、またはこれらのいずれかを主成分とする金属材料などの非磁性金属部材で形成されている。好適には、非磁性体カバーは、電気伝導度が高い部材で形成される。非磁性体カバーは、交流磁界内に配置された場合に、電気伝導度が低い場合よりも高い場合の方がより強力に渦電流に基づく反対向きの交流磁界の作用による磁力線に歪みを生じさせることができる。このように磁力線が歪められることによって、陰極36の周囲に沿って磁力線が流れるようになり、陰極36の表面近くの磁界(交流磁界)が強められる。その結果、陰極36は、後述する4極子磁場発生部60の電子に対する偏向力を高めることできる。なお、陰極36は、少なくとも表面部分が高い電気伝導度且つ非磁性体の金属部材で形成されていればよい。したがって、例えば、陰極36は、全体部分が高い電気伝導度、且つ非磁性体の金属部材で形成されていてもよい。
さらに、陰極36は、外周部を取り囲む非磁性体カバーを備えるとしたが、一体構造で全て非磁性体又は電気伝導度の高い非磁性体の金属から構成されていてもよい。
陰極支持部37は、一端部に陰極36を備え、他端部にはKOV部材55を備えている。また、陰極支持部37は、内部に高電圧供給端子54を備えている。図2Aに示すように、陰極支持部37は、管軸TA周辺に設けられたKOV部材55から陽極ターゲット35の外周近傍まで延長するように設置されている。また、陰極支持部37は、陽極ターゲット35に略平行に所定の間隔を空けて設置されている。このとき、陰極支持部37は、陽極ターゲット35の外周側の端部に陰極36を備えている。なお、陰極支持部37は、非磁性体カバーで周囲を覆われていてもよいし、または、少なくとも表面部分が高い電気伝導度且つ非磁性体の金属部材で形成されていてもよい。
KOV部材55は、低膨張合金で形成されている。KOV部材55は、一端部が陰極支持部37にろう付けによって接合され、他端部が高電圧絶縁部材50にろう付けによって接合されている。KOV部材55は、後述する真空外囲器31内で高電圧供給端子54を覆っている。
高電圧供給端子54及びKOV部材55は、高電圧絶縁部材50にろう付けによって接合されている。高電圧供給端子54は、後述する真空容器32を貫通して、真空外囲器31の内部に挿入されている。このとき、高電圧供給端子54は、挿入部が真空気密に密閉されて真空外囲器31の内部に挿入されている。
高電圧供給端子54は、陰極支持部37の内部を通って陰極36に接続されている。高電圧供給端子54は、陰極36に相対的に負の電圧を印加するとともに陰極36の図示しないフィラメント(電子放出源)にフィラメント電流を供給する。高電圧供給端子54は、リセプタクル302に接続され、図示しないプラグ等の高電圧供給源がリセプタクル302に接続された場合に電流を供給される。高電圧供給端子54は、金属端子である。
真空外囲器31は、真空雰囲気(真空気密)に密閉され、内部に固定軸11、回転体12、軸受け13と、ロータ14と、真空容器32と、陽極ターゲット35と、陰極36と、高電圧供給端子54と、KOV部材55と、を収納する。
真空容器32は、真空気密にX線透過窓38を備えている。X線透過窓38は、陰極36と陽極ターゲット35との間の領域に対向する真空外囲器31(真空容器32)の壁部に設けられている。X線透過窓38は、例えば、ベリリウム、又はチタン、ステンレス及びアルミニウム等の金属で形成され、X線放射窓20wに対向する部分に設けられている。例えば、真空容器32は、X線を透過する部材としてのベリリウムで形成されたX線透過窓38で気密に閉塞されている。真空外囲器31は、高電圧供給端子44側から陽極ターゲット35周囲まで高電圧絶縁部材39が配置されている。高電圧絶縁部材39は、電気絶縁性の樹脂で形成されている。
真空外囲器31(真空容器32)は、後述する4極子磁場発生部60の先端部を収納するための窪み部を備えている。図2Bに示すように、本実施形態において、真空外囲器31(真空容器32)は、複数の窪み部32a、32b、32c、および32dを備える。窪み部32a、32b、32c、および32dは、それぞれ、真空外囲器31(真空容器32)の一部に形成されている。すなわち、窪み部32a、32b、32c、および32dは、その窪みを包囲する真空外囲器31(真空容器32)の一部である。例えば、窪み部32a乃至32dは、陰極36を電子ビームの射出の方向に対して垂直な方向に包囲するように外部から真空外囲器31(真空容器32)が窪まされて形成される。すなわち、真空外囲器31(真空容器32)の内部から観測した場合には、窪み部32a乃至32dは、それぞれ、陰極36の電子ビームの射出方向に平行に突出するように形成されている。たとえば、窪み部32a乃至32dは、それぞれ、例えば、陰極36の周囲で同一の角度間隔で配置されている。この場合、窪み部32bは、陰極36の中心周りで窪み部32aに対して90°回転方向に形成されている。同様に、窪み部32dは、陰極36の中心周りで窪み部32bに対して90°回転方向に形成され、窪み部32cは、陰極36の中心周りで窪み部32dに対して90°回転方向に形成される。
例えば、図2Bに示すように、窪み部32aは、直線L3及び直線L1から陰極36の中心周りで回転方向に45°の位置に設置され、窪み部32bは、窪み部32aから陰極36の中心周りで回転方向に90°回転した位置に設定され、窪み部32dは、窪み部32bから陰極36の中心周りで回転方向に90°回転した位置に設置され、窪み部32cは、窪み部32dから陰極36の中心周りで回転方向に90°回転した位置に設置されている。すなわち、窪み部32a乃至32dは、それぞれ、正方形の頂点の位置に配置されているように設置される。
また、窪み部32a乃至32dは、それぞれ、放電等を防止するために陽極ターゲット35の表面に近接し過ぎないように形成される。例えば、窪み部32aは、管軸TAに沿った方向で、陽極ターゲット35の表面に対向する陰極36の表面よりも陽極ターゲット35の表面から離れた位置まで窪まされて形成される。または、窪み部32aは、管軸TAに沿った方向で、陰極36の表面よりも僅かに陽極ターゲット35の表面に近い位置までに窪まされて形成される。窪み部32a乃至32dにおいて、放電等を防止するために陽極ターゲット35のターゲット表面から離すために、陽極ターゲット35側に突出する角部は、それぞれ、曲面、又は傾斜するように形成されている。例えば、図2C及び図2Dに示すように、窪み部32a乃至32dの角部は、それぞれ、曲面状に形成されている。なお、窪み部32a乃至32dの角部は、それぞれ、後述する磁極68(68a、68b、68c、および68d)の傾斜角度に沿った傾斜角度で形成されていてもよい。なお、窪み部32a乃至32dは、陽極ターゲット35側に突出する角部は、傾斜及び径を有するように形成されていなくともよい。
なお、窪み部は、陰極36の電子ビームの射出方向に沿った軸に対して垂直方向で、且つ当該軸の周囲に同一の角度の後述する複数の磁極を設置できれば、複数形成されていなくともよい。たとえば、窪み部32a乃至32dは、一体に形成されていてもよい。また、窪み部32a及び32bと窪み部32c及び32dとが、それぞれ、一体となって形成されていてもよい。
また、真空外囲器31は、陽極ターゲット35から反射される反跳電子を捕獲する。そのため、真空外囲器31は、反跳電子の衝撃を受けて温度が上昇し易く、通常、銅などの熱伝導度が高い部材で形成される。真空外囲器31は、交流磁界の影響を受ける場合には、反磁界を発生しない部材で構成されることが望ましい。例えば、真空外囲器31は、非磁性体の金属部材で形成される。好適には、真空外囲器31は、交流電流によって過電流を発生させないために非磁性体の高電気抵抗部材で形成される。非磁性体の高電気抵抗部材は、例えば、非磁性ステンレス鋼、インコネル、インコネルX、チタン、導電性セラミクス、表面を金属薄膜でコーティングした非導電性セラミクスなどである。さらに好適には、真空外囲器31において、窪み部32a乃至32dは、非磁性体の高電気抵抗部材で形成され、窪み部32a乃至32d以外の部分は、銅などの熱伝導度が高い非磁性部材で形成される。
高電圧絶縁部材39は、一端が円錐形をし、他端が閉塞した環状に形成されている。高電圧絶縁部材39は、ハウジング20に、直接又は後述のステータコイル8などを介して間接的に固定されている。高電圧絶縁部材39は、固定軸11と、ハウジング20及びステータコイル8との間を電気的に絶縁する。そのため、高電圧絶縁部材39は、ステータコイル8と固定軸11との間に設置されている。すなわち、高電圧絶縁部材39は、X線管30の固定軸11の突出部側のX線管30(真空容器32)を内側に収納するように設置される。
図1に戻って、ステータコイル8は、複数個所でハウジング20に固定されている。ステータコイル8は、ロータ14及び高電圧絶縁部材39の外周部を包囲するように設置されている。ステータコイル8は、ロータ14、回転体12及び陽極ターゲット35を回転させる。ステータコイル8に所定の電流が供給されることでロータ14に与える磁界を発生するため、陽極ターゲット35などを所定の速度で回転させる。すなわち、回転駆動装置であるステータコイル8に電流を供給することによって、ロータ14が回転し、ロータ14の回転に従って陽極ターゲット35が回転する。
絶縁油9は、ハウジング20の内部で、ゴムベローズ2b、ハウジング本体20e、蓋部20f、リセプタクル301及びリセプタクル302で包囲される空間に充填されている。絶縁油9は、X線管30が発生する熱の少なくとも一部を吸収するものである。
図2A乃至図2Dに戻って、4極子磁場発生部60について説明する。
図2C及び図2Dに示すように、4極子磁場発生部60は、カバー62(62a、62b、62c、および62d)と、コイル64(64a、64b、64c、および64d)と、ヨーク66(66a、66b、66c、および66d)と、磁極68(68a、68b、68c、および68d)とを備えている。
4極子磁場発生部60は、4つの磁極が隣り合う磁極が異極性となるように接近して並べられている4極子(または4重極)で形成されている。隣り合う2つの磁極を1つの双極子、残りの2つの磁極をもう1つの双極子と見た場合、これら2つの双極子が発生する磁場は互いに逆向きとなる。したがって、4極子磁場発生部60は、発生させる磁界によって電子ビームの幅及び高さ等の形状に作用する。電子ビームの「幅」および「高さ」は、それぞれ、X線管30の空間的配置に関係せず、電子ビームの射出方向に従う直線に対して垂直な方向の長さであり、且つ互いに直交する方向の長さである。本実施形態において、4極子磁場発生部60は、4つの磁極68が正方形状に配置されている。詳細は後述するが、4極子磁場発生部60は、ヨーク66の本体部から突出する突出部66a、66b、66c、および66dの各々の先端に磁極68a、68b、68c、および68dが設けられている。
カバー62は、容器であり、コイル64及びヨーク66の一部を収納する。本実施形態において、カバー62は、複数のカバー62a、62b、62c、および62dを備えている。
コイル64は、4極子磁場発生部60のための電源(図示せず)から電流を供給され、磁場を発生する。本実施形態において、コイル64は、電源(図示せず)から直流電流が供給されている。コイル64は、複数のコイル64a、64b、64c、および64dを備えている。コイル64a乃至64dは、それぞれ、後述するヨーク66の突出部66a、66b、66c、および66dの一部の周囲に巻かれている。
ヨーク66は、本体部から突出する突出部66a、66b、66c、および66dを備えている。突出部66a乃至66dは、それぞれ、電子ビームの射出方向または陰極36の中心に従う軸に平行な方向に突出して設けられる。突出部66a乃至66dは、それぞれ同一の方向に向かって突出し、互いに平行である。また、突出部66a乃至66dは、同一の長さ及び形状で形成される。図2Eに示すように、例えば、ヨーク66は、陰極36と同軸に設置されている。また、ヨーク66は、本体部が中空の多角形状または中空円筒状に形成されている。本実施形態において、ヨーク66は、4つの突出部66a乃至66dの各々が窪み部32a乃至32dに収納されるように設置される。このとき、ヨーク66は、4つの突出部66a乃至66dで陰極36を包囲するように配置されている。また、4つの突出部は、一部の周囲にコイル64が巻かれ、このコイル64が巻かれている部分がカバー62で包囲されている。
詳細には、ヨーク66の突出部66aは、一部の周囲にコイル64aが巻かれ、このコイル64aが巻かれている部分がカバー62aに収納されている。同様に、突出部66b、66c、および66dは、それぞれ、一部の周囲にコイル64b、64c、および64dが巻かれ、このコイル64b、64c、および64dが巻かれている部分がカバー62b、62c、および62dで包囲されている。なお、カバー62a乃至62dは、設けられていなくともよい。
ヨーク66は、軟磁性体、且つ交流磁界によって渦電流が発生し難い高電気抵抗体で形成される。例えば、Fe−Si合金(珪素鋼)、Fe−Al合金、電磁ステンレス鋼、パーマロイなどのFe−Ni高透磁率合金、Ni−Cr合金、Fe−Ni−Cr合金、Fe−Ni−Co合金、Fe−Cr合金などからなる薄板を電気絶縁膜で挟んで積層させた積層体や、これら材料からなる線材を電気絶縁膜で覆ってから束にして固めた集合体等で形成されている。または、ヨーク66は、前述のこれら材料を1μm程度の微細な粉末にしてその表面を電気絶縁膜で覆ってから圧縮成形により形成した成形体等で形成されてもよい。さらに、ヨーク66は、ソフトフェライト等で形成されていてもよい。
磁極68は、複数の磁極68a、68b、68c、および68dを備える。磁極68a、68b、68c、および68dは、それぞれ、ヨーク66の突出部66a、66b、66c、および66dの先端部に設けられている。磁極68a乃至68dは、陰極36を周囲で包囲する配置されている。すなわち、4極子磁場発生部60において、磁極68a乃至68dは、それぞれ、陰極36に含まれるフィラメントから射出される電子の射出方向に対して垂直な方向の位置で均等に配置されている。
例えば、前述の窪み部32a乃至32dと同様に、図2Bに示すように、磁極68aは、直線L1から陰極36の中心周りで回転方向に(反時計まわりに)45°の位置に設置され、磁極68bは、磁極68aから陰極36の中心周りで回転方向に90°回転した位置に設定され、磁極68dは、磁極68bから陰極36の中心周りで回転方向に90°回転した位置に設置され、磁極68cは、磁極68dから陰極36の中心周りで回転方向に90°回転した位置に設置されている。すなわち、磁極68a乃至68dは、それぞれ、正方形の頂点の位置に配置されているように設置される。
好適には、磁束密度を高めるために、磁極68a乃至68dは、それぞれ、陰極36に含まれるフィラメントから射出される電子の射出方向(電子軌道)に近づけて設置される。すなわち、磁極68aは、窪み部32aの角部近傍に配置される。同様に、磁極68b乃至68dは、それぞれ、窪み部32b乃至32dの角部近傍に配置されている。
磁極68a乃至68dは、互いに略同形状で形成されている。磁極68a乃至68dは、それぞれ、互いに対となる2つ双磁極子を含んでいる。例えば、磁極68aおよび磁極68bが、双極子(磁極対68a、68b)であり、磁極68cおよび磁極68dが、双極子(磁極対68c、68d)である。このときコイル64を介して磁極68に直流電流が供給された場合、磁極対68a、68bと磁極対68c、68dとは、互いに逆向きの直流磁場を形成する。磁極68a乃至68dは、それぞれ、陽極ターゲット35に近づき過ぎず、且つ磁束密度を高めるために陰極36から射出される電子ビームの形状を変形させるために、陰極36の電子の射出方向に対して表面(端面)を向けて設置されている。すなわち、磁極68a乃至68dは、それぞれ、電子の射出方向に沿う直線上に向かうように所定の傾斜を持って表面が形成されている。
例えば、陰極36の電子ビームの射出方向が管軸TAに平行な方向である場合に、磁極68a乃至68dは、それぞれ、互いに電子の射出方向に対して同じ角度の傾斜で形成されている。図2Cに示すように、管軸TAに平行な電子の射出方向に従う直線(図面の管軸TA)から磁極68aの表面までの角度をγ1とし、同様に電子の射出方向から磁極68dの表面までの角度をγ4とする。図2Dに示すように、管軸TAに平行な電子の射出方向に従う直線(図面の管軸TA)から磁極68bの表面までの角度をγ2とし、同様に電子の射出方向から磁極68cの表面までの角度をγ3とする。したがって、例えば、磁極68a乃至68dが同じ傾斜角度で設置されている場合、γ1=γ2=γ3=γ4となる。このとき、磁極68a乃至68dの電子の射出方向に対する傾斜角度γ(γ1、γ2、γ3、およびγ4)は、0°<γ<90°の範囲で設定される。このとき、磁極68a乃至68dは、それぞれ、傾斜角度γが0°<γ<90°の範囲で形成される。例えば、磁極68a乃至68dの傾斜角度が同一(γ1=γ2=γ3=γ4)である場合、磁極68a乃至68dの傾斜角度γ1、γ2、γ3、およびγ4は、それぞれ、30°≦γ≦60°の範囲で形成される。さらに、磁極68a乃至68dの傾斜角度γ1、γ2、γ3、およびγ4は、それぞれ、電子の射出方向に対して45°になるように形成されてもよい。
図面を参照して本実施形態の4極子磁場発生部の原理について以下で説明する。
図3は、本実施形態の4極子磁場発生部の原理を示す図である。図3において、X方向およびY方向は、電子ビームの射出する方向に垂直な方向であり、且つ互いに直交する。また、X方向は、磁極68d(磁極68c)側から磁極68b(磁極68a)側へ向かう方向であり、Y方向は、磁極68d(磁極68b)側から磁極68c(磁極68a)側へ向かう方向である。
図3において、電子ビームBM1が図面の奥側から手前に向かって進行しているものとする。電子ビームBM1は、円形状に射出されるものとする。また、図3において、磁極68aは、N極磁場を発生し、磁極68bは、S極磁場を発生し、磁極68dは、N極磁場を発生し、磁極68cは、S極磁場を発生している。このような場合、磁極68aから磁極68cおよび磁極68bに向かう磁場と、磁極68dから磁極68cおよび磁極68bに向かう磁場とが形成される。電子ビームBM1は、磁極68a乃至68dで包囲される空間の中心を通るとすると、生成された磁場のローレンツ力によってX方向で互いに向かい合う方向に変形させられ、Y方向で互いに離れる方向に変形させられる。その結果、図3に示すように、電子ビームBM1は、Y方向に沿う長軸とX方向に沿う短軸とを備える楕円形状に形成される。
本実施形態では、X線管装置1が駆動された場合に、陰極36に含まれるフィラメントから陽極ターゲット35の電子の焦点に向けて電子が射出される。ここで、電子が射出される方向は、陰極36の中心を通る直線に沿っているものとする。また、図2C及び図2Dに示される4極子磁場発生部60の磁極68a乃至68dの傾斜γ1乃至γ4は、互いに同一である。4極子磁場発生部60は、コイル64に図示しない電源から直流電流が供給される。電源から直流電流が供給されると、4極子磁場発生部60は、4極子である磁極68a乃至68dの間に磁界(磁場)を発生させる。陰極36から射出される電子ビームは、管軸TAに沿って陰極36と陽極ターゲット35との間に生成される磁界を横切るように陽極ターゲット35へ衝撃する。このとき、電子ビームは、4極子磁場発生部60によって生成された磁場によってビーム形状が形成(集束)される。本実施形態において、例えば、図3に示すように、4極子磁場発生部60は、円形状に射出される電子ビームをY方向に細長い楕円形状に変形(集束)させる。この場合、4極子磁場発生部60は、電子ビームを見かけ上の焦点は小さく、実際に陽極ターゲット35面上に衝撃する焦点は広くすることができる。その結果、ターゲット35に対する熱的負荷が軽減される。
本実施形態によれば、X線管装置1は、窪み部32a乃至32dを備えるX線管30と、X線管30で射出される電子ビームを形成する4極子磁場発生部60とを備えている。4極子磁場発生部60は、電源からコイル64に直流電流が供給されることによって磁極68a乃至68dの間に磁界を生じさせる。4極子磁場発生部60は、磁極68a乃至68dによって生成する磁場によって陰極36から射出される電子ビームを変形できる。その結果、本実施形態のX線管装置1は、X線焦点の拡大、ぼけ、歪みや、陰極36の電子放出量の低下などの発生を低減することができる。
なお、磁極68a乃至68dは、それぞれ、ヨーク66の突出部66a乃至66dの先端を斜めに形成した形状でもよい。例えば、図4に示すように、磁極68b及び磁極68cは、それぞれ、電子ビームの射出方向に従う直線の方向に表面が向くように突出部66b及び突出部66cの先端部で斜めに形成されている。この場合、磁極68a乃至68dは、それぞれ、これらの磁極68a乃至68dの表面が向かう方向に沿った中心から延出する垂線が一点で交わるように設置されていてもよい。
次に他の実施形態に係るX線管装置について説明する。他の実施形態において、前述した第1の実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
(第2の実施形態)
第2の実施形態のX線管装置1は、第1の実施形態の構成に加えて、さらに電子ビームを偏向するためのコイルを備えている。
図5は、第2の実施形態のX線管装置の概要を示す図であり、図6Aは、図5のV−V線に沿った断面図であり、図6Bは、図6AのVIA−VIA線に沿った断面図である。
図5に示すように、第2の実施形態の4極子磁場発生部60は、さらに偏向コイル部69a、69bを備えている。
本実施形態の4極子磁場発生部60は、向かい合う2つの双極子が発生する磁場が互いに同じ向きとなるような双極子交流磁場を発生する。例えば、4極子磁場発生部60は、対となる磁極68a及び磁極68cと対となる磁極68b及び磁極68dとを備えている。磁極対68a、68cと磁極対68b、68dとは、それぞれ、双極子として磁場を形成する。図6Aに示すように、磁極対68a、68cは、両方の間に磁場(交流磁場MG1)を形成する。
4極子磁場発生部60は、交流電流が供給されることによって双極子の間に生成される交流磁場により電子の軌道を間欠的または連続的に偏向することができる。陰極36から射出される電子ビームが衝撃する焦点が間欠的または連続的に移動するように、4極子磁場発生部60は、電源(図示せず)から後述する偏向コイル部69a、69bの各々に供給される交流電流が偏向電源制御部(図示せず)によって制御されている。4極子磁場発生部60は、陰極36から射出される電子ビームを陽極ターゲット35の径方向に沿った方向に偏向させることができる。すなわち、4極子磁場発生部60は、ターゲット35の面上で電子ビームが衝撃する焦点の位置を移動させることができる。
偏向コイル部69a、69b(第1の偏向コイル部、第2の偏向コイル部)は、電源(図示せず)から電流が供給され、磁場を発生する電磁コイルである。本実施形態において、偏向コイル部69a、69bは、それぞれ、電源(図示せず)から交流電源が供給され、交流磁場を生成する。偏向コイル部69a、69bは、それぞれ、ヨーク66の本体部の突出部66a乃至66dのいずれかの間に巻回される。図6Bに示すように、偏向コイル部69aは、突出部66a及び66cの間のヨーク66の本体部に巻回される。偏向コイル部69bは、突出部66b及び66dの間のヨーク66の本体部に巻回される。この場合、磁極対68a、68cは、互いの間に交流磁場を生成し、磁極対68b、68dは、互いの間に交流磁場を生成する。
偏向コイル部69a、69bは、陽極ターゲット35の回転方向であって陰極36に含まれるフィラメントの幅方向に沿った方向に沿って形成される双極子磁場を発生させる。偏向コイル部69a、69bは、流れる交流電流により、電子ビームの軌道を陽極ターゲット35の径方向に沿って、間欠的または連続的に偏向移動させることできる。
図面を参照して本実施形態の4極子磁場発生部60の原理について以下で説明する。
図7は、本実施形態の4極子磁場発生部60の原理を示す図である。図7において、X方向およびY方向は、電子ビームの射出する方向に垂直な方向であり、且つ互いに直交する。また、X方向は、磁極68d(磁極68c)側から磁極68b(磁極68a)側へ向かう方向であり、Y方向は、磁極68d(磁極68b)側から磁極68c(磁極68a)側へ向かう方向である。
図7において、電子ビームBM1が図面の奥側から手前に向かって進行しているものとする。また、図7において、磁極68a及び磁極68cは、対となる双極子(磁極対)であり、磁極68b及び磁極68dは、対となる双極子(磁極対)である。磁極対68a、68cは、X方向に従う方向に向かう交流磁界を生成し、磁極対68b、68dは、X方向に従う交流磁界を生成する。
4極子磁場発生部60は、偏向コイル部69a、69bに流れる交流電流によってY軸方向に電子ビームを間欠的または連続的に偏向移動させることができる。
本実施形態では、X線管装置1が駆動された場合に、陰極36に含まれるフィラメントから陽極ターゲット35の電子の焦点に向けて電子が射出される。ここで、電子が射出される方向は、陰極36の中心と通る直線に沿っているものとする。また、図2Bに示される4極子磁場発生部60の磁極68a乃至68dの傾斜γ1乃至γ4は、互いに同一である。4極子磁場発生部60は、図示されない電源から交流電流が供給される。電源から交流電流が供給されると、4極子磁場発生部60は、双極子である磁極対68a、68cと磁極対68b、68dとの間に磁界(磁場)を発生させる。本実施形態において、磁極対68a、68cと磁極対68b、68dとは、それぞれ、陰極36と陽極ターゲット35との間に磁界を発生させるように設置されている。すなわち、4極子磁場発生部60は、陰極36と陽極ターゲット35との間に磁界を発生させる。陰極36から射出される電子は、管軸TAに沿って陰極36と陽極ターゲット35との間に生成される磁界を横切るように陽極ターゲット35へ衝撃する。
4極子磁場発生部60は、電源(図示せず)から供給される交流電流が偏向電源制御部(図示せず)によって制御されることによって磁界を通る電子ビームを間欠的又は連続的に移動させることができる。偏向電源制御部(図示せず)によって供給される電流を制御することで、4極子磁場発生部60は、陰極36から放出される電子(ビーム)を陽極ターゲット35の径方向に沿った方向に偏向させる。つまり、4極子磁場発生部60は、偏向電源制御部(図示せず)によって供給される電流を制御することで、陽極ターゲット35の面上で電子が衝撃する点である焦点の位置を移動させることができる。
4極子磁場発生部60が交流磁界を発生させている際には、陰極36の非磁性体カバーは、電気伝導度が高い非磁性体で形成されているために、渦電流に基づいて交流磁界に対して反対向きの磁界を発生させる。同様に、陽極ターゲット35は、電気伝導度が高い非磁性体で形成されているために、渦電流に基づいて交流磁界に対して反対向きの磁界を発生させる。これらの非磁性体カバー及び陽極ターゲット35から生じるそれぞれの反対向きの磁界の作用によって交流磁界が歪められる。このように交流磁界が歪められることによって、図6Aに示すように、例えば、交流磁界MG1は、陽極ターゲット35の表面と陰極36の表面との間で電子の射出方向に略垂直の方向に流れる。また、このように交流磁界MG1が歪められることによって、陽極ターゲット35の表面と陰極36の表面との間の近傍の領域の交流磁界MG1の強さ(磁束密度)が強められる。その結果、4極子磁場発生部60は、交流磁界MG1の磁束密度が強められることによって電子(ビーム)に対する偏向力が強められ、電子(ビーム)を効率的に偏向することができる。
本実施形態によれば、X線管装置1は、窪み部32a乃至32dを備えるX線管30と、X線管30で射出される電子を偏向する4極子磁場発生部60とを備えている。4極子磁場発生部60は、磁極68a乃至68dによって陰極36と陽極ターゲット35との間に磁界を生じさせる。磁極68a乃至68dは、それぞれ、陽極ターゲット35と陰極36との間で陰極36から射出される電子ビームを偏向させるために、電子の射出方向に対して所定の傾斜で表面が向けられている。X線管30の真空外囲器31の内部において、陰極36は、周辺部に電気伝導度の高い非磁性体の金属部材で形成される非磁性体カバーを備えている。また、陽極ターゲット35も、電気伝導度の高い非磁性体の金属部材で形成されている。したがって、4極子磁場発生部60に交流電流が提供された場合、4極子磁場発生部60が発生させる交流磁界の一部が強められる。その結果、4極子磁場発生部60は、陰極36から射出される電子を確実に偏向することができる。
また、X線管装置1は、陽極ターゲット35と陰極36との間に小径部を設けていないために陽極ターゲット35と陰極36との距離を近づけることができる。その結果、本実施形態のX線管装置1は、X線焦点の拡大、ぼけ、歪みや、陰極36の電子放出量の低下などの発生を低減することができる。
以下で図面を参照して、本実施形態の変形例について説明する。変形例のX線管装置1は、第2の実施形態のX線管装置1とほぼ同等の構成であるので、第2の実施形態のX線管装置2と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
(変形例1)
第2の実施形態の変形例1のX線管装置1は、偏向コイルが第2の実施形態の偏向コイル部69a、69bに対して陰極36周りに90°回転した位置に配置されている。
図8は、第2の実施形態の変形例1のX線管30の概要を示す断面図である。
図8に示すように、本実施形態の変形例1の4極子磁場発生部60は、さらに偏向コイル部69c、69dを備えている。
偏向コイル部69c、69d(第3の偏向コイル部、第4の偏向コイル部)は、電源(図示せず)から電流が供給され、磁場を発生する。本実施形態において、偏向コイル部69c、69dは、それぞれ、電源(図示せず)から交流電源が供給され、交流磁場を生成する。偏向コイル部69c、69dは、それぞれ、ヨーク66の本体部の突出部66a乃至66dのいずれかの間に巻回される。図6Bに示すように、偏向コイル部69cは、突出部66a及び66bの間のヨーク66の本体部に巻回される。偏向コイル部69dは、突出部66c及び66dの間のヨーク66の本体部に巻回される。この場合、磁極対68a、68bは、互いの間に交流磁場を生成し、磁極対68c、68dは、互いの間に交流磁場を生成する。
偏向コイル部69c、69dは、陽極ターゲット35の径方向であって陰極36に含まれるフィラメントの幅方向に対して垂直な長さ方向に沿った方向に沿って形成される双極子磁場を発生させる。偏向コイル部69c、69dは、流れる交流電流により、電子ビームの軌道を所定の方向に偏向移動させることできる。
図面を参照して本実施形態の4極子磁場発生部60の原理について以下で説明する。
図9は、本実施形態の変形例1の4極子磁場発生部60の原理を示す図である。図7において、X方向およびY方向は、電子ビームの射出する方向に垂直な方向であり、且つ互いに直交する。また、X方向は、磁極68d(磁極68c)側から磁極68b(磁極68a)側へ向かう方向であり、Y方向は、磁極68d(磁極68b)側から磁極68c(磁極68a)側へ向かう方向である。
図9において、電子ビームBM1が図面の奥側から手前側から進行しているものとする。また、図9において、磁極68a及び磁極68bは、対となる双極子(磁極対)であり、磁極68c及び磁極68dは、対となる双極子(磁極対)である。磁極対68a、68bは、Y方向に従う方向に向かう交流磁界を生成し、磁極対68c、68dも、Y方向に従う交流磁界を生成する。
4極子磁場発生部60は、コイル64a乃至64dと偏向コイル部69a、69bとに流れる交流電流によってX軸方向に電子ビームを移動させることができる。
本実施形態によれば、4極子磁場発生部60は、ヨーク66の本体部において第2の実施形態の偏向コイル部69a、69bに対して垂直な位置に偏向コイル部69c、69dを備えている。したがって、変形例1のX線管装置1は、第2の実施形態の偏向方向に対して垂直な方向へ電子ビームを偏向することができる。
なお、図10に示すように、4極子磁場発生部60は、ヨーク66の本体部において偏向コイル部69a乃至69dを備えていてもよい。この場合、4極子磁場発生部60は、偏向コイル部69a乃至69dに流れる電流比を変化させることによってX軸方向及び/又はY軸方向、又は電子ビームの射出方向(電子軌道方向)に対して垂直な方向の任意の方向に電子ビームを移動させることができる。
前述の実施形態によれば、X線管装置1は、複数の窪み部を備えるX線管と、X線管で射出される電子ビームを形成する4極子磁場発生部とを備えている。4極子磁場発生部は、電源からコイルに直流電流が供給されることによって複数の磁極の間に磁界を生じさせる。4極子磁場発生部は、複数の磁極によって生成する磁場によって陰極から射出される電子ビームを変形できる。その結果、本実施形態のX線管装置1は、X線焦点の拡大、ぼけ、歪みや、陰極の電子放出量の低下などの発生を低減することができる。
なお、前述の実施形態において、X線管装置1は、回転陽極型X線管であるとしたが、固定陽極型X線管であってもよい。
前述の実施形態において、X線管装置1は、中性点接地型のX線管装置であるとしたが、陽極接地型又は陰極接地型のX線管装置であってもよい。
なお、この発明は、上記実施形態そのものに限定されるものでなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
8…ステータコイル、9…絶縁油、10…X線管装置、11…固定軸、12…回転体、13…軸受け、14…ロータ、20…ハウジング、30…X線管、31…真空外囲器、32…真空容器、32a、32b、32c、32d…窪み部、35…陽極ターゲット、36…陰極、39…高電圧絶縁部材、44…高電圧供給端子、54…高電圧供給端子、55…KOV部材、60…4極子磁場発生部、62a、62b、62c、62d…カバー、64a、64b、64c、64d…コイル、66…ヨーク、66a、66b、66c、66d…突出部、68a、68b、68c、68d…磁極、69a、69b…偏向コイル部、70…第2の磁気偏向部、301、302…リセプタクル、510、520、530、540…X線遮蔽部。

Claims (6)

  1. 電子軌道方向に電子を射出する陰極と、
    前記陰極に対向して設けられ、前記陰極から射出される電子が衝撃することによってX線を発生するターゲット面を備える陽極ターゲットと、
    前記陰極と前記陽極ターゲットとを収容し、内部が真空気密に密閉され、前記陰極の周囲を囲むように外側から窪まされた少なくとも1つの窪み部を形成される真空外囲器と、
    直流電源より直流電流を供給され、前記真空外囲器の外側に配置され、中心に前記陰極が位置するように前記窪み部に収納される4極子で構成される4極子磁場発生部と、を備えるX線管装置。
  2. 交流電源より交流電流を供給され、前記4極子磁場発生部の一部に設けられ、当該4極子磁場発生部に4極子に交流磁場を生成する少なくとも一対の双極子を構成する少なくとも1つの偏向コイル部を、さらに備える請求項1のX線管装置。
  3. 前記陰極は、少なくとも表面部分を高い電気伝導度且つ非磁性体の第1の金属部材で形成され、
    前記陽極ターゲットは、少なくとも表面部分を高い電気伝導度且つ非磁性体の第2の金属部材で形成されている、請求項2のX線管装置。
  4. 前記第1の金属部材及び第2の金属部材は、夫々、銅、タングステン、モリブデン、ニオブ、タンタル、非磁性ステンレス鋼のいずれか、またはこれらのいずれかを主成分とする金属材料である、請求項3のX線管装置。
  5. 前記4極子磁場発生部の4極子の端面は、それぞれ、電子軌道に対する角度が所定の傾斜角度γで設けられ、
    前記傾斜角度γは、0°<γ<90°である、請求項1乃至4のいずれか1のX線管装置。
  6. 前記窪み部は、前記電子軌道に従う方向において前記陰極の端面よりも前記陽極ターゲットから遠い位置に設置される請求項1乃至5のいずれか1のX線管装置。
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