JP2016050175A - 遷移金属化合物、オレフィン多量化用触媒、オレフィン多量化体の製造方法および1−ブテンの製造方法 - Google Patents

遷移金属化合物、オレフィン多量化用触媒、オレフィン多量化体の製造方法および1−ブテンの製造方法 Download PDF

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健一 田中
雅貴 近藤
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雅貴 近藤
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直樹 上原
憲司 道上
Kenji Michigami
憲司 道上
石井 聖一
Seiichi Ishii
聖一 石井
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Tomoaki Matsuki
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Abstract

【課題】高機能で、オレフィンの多量化に優れ、特に二量化に優れるオレフィン多量化(好ましくは二量化)用触媒として用いることができる新規な遷移金属化合物と、これを含有するオレフィン多量化用触媒の提供。
【解決手段】例えば下記式(A)で表されるシルコニウム配位化合物。
Figure 2016050175

【選択図】なし

Description

本発明は、遷移金属化合物、オレフィン多量化用触媒および該オレフィン多量化用触媒を用いたオレフィン多量化体の製造方法に関する。
α−オレフィンは、ポリオレフィンの原料など広く工業的に用いられる重要な化合物である。中でも1−ブテンは直鎖状低密度ポリエチレンのコモノマーとして近年需要が増加しており、効率的な製造方法が望まれている。しかしながら、工業化されている1−ブテン製造方法の大部分は、ナフサ分解もしくは重質油分解のC4留分から数工程かけて分離精製する方法であり、必ずしも効率的ではない。
一方、エチレンの選択的二量化反応を用いた1−ブテンの製造方法も知られており、該方法において、たとえば、非特許文献1に記載の活性および選択性に優れた触媒も発見されている。しかしながら、該触媒は、低温で活性が得られるため、工業的条件で収量良く利用することができない。
また、本出願人らは、フェノキシイミン配位子を有する遷移金属化合物を用いたオレフィン重合において、置換基の種類によっては、高い末端ビニル化率を有する重合体が製造できることを報告している(特許文献1)。しかしながら、該製造方法において、特に、エチレンの選択的二量化反応を工業的に利用するためには、更なる検討の余地がある。
特開2003−073412号公報
Organometallics(ACS Publications)、2014,33,1053−1060
本発明が解決しようとする課題は、高機能で、オレフィンの多量化に優れ、特に二量化に優れるオレフィン多量化(好ましくは二量化)用触媒として用いることができる新規な遷移金属化合物、該遷移金属化合物を含有するオレフィン多量化(好ましくは二量体)用触媒、および該触媒の存在下で行うオレフィン多量体(好ましくは二量体)の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討をした結果、多座型の配位子であり、配位子にビピリジル骨格を有する特定の遷移金属化合物(A)を含有するオレフィン多量化用触媒が、オレフィンの多量化に優れ、特に、オレフィンの二量化に優れ、さらに、優れた1−ブテン選択性を示すことを見出して本発明を完成させた。
なお、本発明において「多量化」という語は、「単独多量化」と「共多量化」を包含した意味で用いる。また、「多量化体」という語は、「単独多量化体」と「共多量化体」とを包含した意味で用いる。
本発明の遷移金属化合物(A)は、下記一般式(I)で表される。
Figure 2016050175
(一般式(I)において、
Mは、周期律表第3〜10族の遷移金属原子を示す。
1〜R14は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる原子または基(i)を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、その環はさらに該原子または基(i)を有していてもよい。
1〜C4は、炭素原子を示す。
1およびD2は、窒素原子またはリン原子を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。
1およびL2は、酸素原子、硫黄原子、置換基R15を有する窒素原子(NR15で表される構造)および置換基R16を有するリン原子(PR16で表される構造)から選ばれる原子を示し、L1およびL2は、互いに同一でも異なっていてもよい。R15およびR16は、R1〜R14と同様の原子または基(i)を示す。
1およびE2は、それぞれC1とC3、C2とC4を結ぶ連結基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、該連結基は、炭素原子、ケイ素原子およびゲルマニウム原子のいずれかを少なくとも1つ含み、R1〜R14と同様の原子または基(i)を有していてもよい。
nは、Mの原子価を示す。
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる原子または基(ii)を示し、nが4以上の場合には、Xで示される複数の原子または基(ii)は互いに同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。)。
本発明のオレフィン多量化用触媒は、本発明の遷移金属化合物(A)を含むことを特徴とする。
本発明のオレフィン多量化体の製造方法は、本発明のオレフィン多量化用触媒の存在下で、オレフィンを単独多量化反応または共多量化反応を行う工程を含むことを特徴とする。
本発明の1−ブテンの製造方法は、本発明のオレフィン多量化用触媒の存在下で、エチレンを二量化させる工程を含むことを特徴とする。
本発明の遷移金属化合物(A)は、6,6’−位が置換されたビピリジル骨格を有することから、中心金属周りの反応場が狭くなっており、β水素脱離(連鎖移動)が炭素鎖成長より進行しやすくなっている。そのため、該遷移金属化合物を含むオレフィン多量化用触媒を用いてオレフィンの多量化を行うことにより、好適にオレフィン多量化体を製造することができ、特に、高い選択性で二量化体を得ることができる。
本発明のオレフィン多量化用触媒は、特に、1−ブテン選択性が高いため、該触媒の存在下で、エチレンを二量化させて、1−ブテンを選択的に製造することができる。
本発明の遷移金属化合物(A)、該遷移金属化合物(A)を含むオレフィン多量化用触媒、該オレフィン多量化用触媒を用いたオレフィン多量化体の製造方法および1−ブテンの製造方法についてさらに詳細に説明する。
<遷移金属化合物(A)>
本発明の遷移金属化合物(本発明において、遷移金属化合物(A)とも称する)は、上記一般式(I)で表わされる。
一般式(I)において、Mは、周期律表第3〜10族から選ばれる遷移金属原子(3族にはランタノイドも含まれる)を示し、好ましくは3〜9族(3族にはランタノイドも含まれる)から選ばれる遷移金属原子であり、より好ましくは3〜6族から選ばれる遷移金属原子であり、さらに好ましくは4族から選ばれる遷移金属原子である。具体的には、スカンジウム、イットリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金などであり、好ましくはスカンジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ロジウムまたはイリジウムであり、より好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンまたはタングステンであり、さらに好ましくはチタン、ジルコニウムまたはハフニウムである。
一般式(I)において、R1〜R14は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる原子または基(i)を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、その環はさらに該原子または基(i)を有していてもよい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。
前記炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基およびアイコシル基などの炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基; ビニル基、アリル基、イソプロペニル基およびシクロヘキセニルなどの炭素原子数2〜30、好ましくは炭素原子数2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基; エチニル基およびプロパルギル基など炭素原子数2〜30、好ましくは炭素原子数2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基; シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基およびアダマンチル基などの炭素原子数3〜30、好ましくは炭素原子数3〜20の環状飽和炭化水素基; シクロペンタジエニル基、インデニル基およびフルオレニル基などの炭素原子数5〜30の環状不飽和炭化水素基; フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基およびアントラセニル基などの炭素原子数6〜30、好ましくは炭素原子数6〜20のアリール基; トリル基、メチルフェニル基、iso−プロピルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基などのジ−tert−ブチルフェニル基、トリ−iso−プロピルフェニル基、アントリル基およびフェナントリル基などのアルキル置換アリール基などが挙げられる。アルキル置換アリール基としては、炭素原子数7〜30が好ましく、より好ましくは炭素原子数7〜20である。
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロフェニル基およびクロロフェニル基などの炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。また、炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、クミル基およびトリチル基などのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
上記炭化水素基は、たとえば、後述に記載される、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基を有していてもよい。
前記ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジン、カルバゾールおよびフェナントロリンなどの含窒素化合物残基; フラン、ピラン、ベンゾフランおよびベンゾピランなどの含酸素化合物残基; チオフェンおよびベンゾチオフェンなどの含硫黄化合物残基; これらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシ基およびアリール基などの置換基がさらに置換したヘテロ環式化合物残基などが挙げられる。
前記酸素含有基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基およびtert−ブトキシ基などの、炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基; フェノキシ基、メチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基などのジメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基などのトリメチルフェノキシ基および3,5−ジ−tert−ブチルフェノキシ基などのジ−tert−ブチルフェノキシ基、ナフトキシ基などの、炭素原子数6〜30、好ましくは炭素原子数6〜20のアリーロキシ基; フェニルメトキシ基およびフェニルエトキシ基などのアリールアルコキシ基; アセトキシ基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、メトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基およびp−クロロフェノキシカルボニル基などのエステル基; エーテル基; ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基およびp−メトキシベンゾイル基などのアシル基; カルボキシル基; カルボナート基; ヒドロキシ基; ペルオキシ基; カルボン酸無水物基などが挙げられる。
前記窒素含有基としては、アミノ基; メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジシクロへキシルアミノ基などのアルキルアミノ基; フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジナフチルアミノ基およびメチルフェニルアミノ基などのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基; メチルイミノ基、エチルイミノ基、プロピルイミノ基、ブチルイミノ基およびフェニルイミノ基などのイミノ基; アセトアミド基、N−メチルアセトアミド基およびN−メチルベンズアミド基などのアミド基; アセトイミド基およびベンズイミド基などのイミド基; ヒドラジノ基; ヒドラゾノ基; ニトロ基; ニトロソ基; シアノ基; イソシアノ基; シアン酸エステル基; アミジノ基; ジアゾ基; アミノ基がアンモニウム塩となったものなどが挙げられる。
前記ホウ素含有基としては、ボランジイル基、ボラントリイル基およびジボラニル基などが挙げられる。
前記イオウ含有基としては、メルカプト基; アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基、メチルチオカルボニル基およびフェニルチオカルボニル基などのチオエステル基; ジチオエステル基; メチルチオ基およびエチルチオ基などのアルキルチオ基; フェニルチオ基、メチルフェニルチオ基およびナフチルチオ基などのアリールチオ基; チオアシル基; チオエーテル基; チオシアン酸エステル基; イソチアン酸エステル基; スルホン酸メチル基、スルホン酸トリフルオロメチル基、スルホン酸エチル基、スルホン酸ベンジル基、スルホン酸フェニル基、p−トルエンスルホネート基、トリメチルベンゼンスルホネート基、トリイソブチルベンゼンスルホネート基、p−クロロベンゼンスルホネート基およびペンタフルオロベンゼンスルホネート基などスルホンエステル基; フェニルスルホンアミド基、N−メチルスルホンアミド基およびN−メチル−p−トルエンスルホンアミド基などスルホンアミド基; チオカルボキシル基; ジチオカルボキシル基; スルホ基; メチルスルフィネート基、フェニルスルフィネート基、ベンジルスルフィネート基、p−トルエンスルフィネート基、トリメチルベンゼンスルフィネート基およびペンタフルオロベンゼンスルフィネート基などのスルホニル基; スルフィニル基; スルフェニル基などが挙げられる。
前記リン含有基としては、メチルホスファイト基、エチルホスファイト基およびフェニルホスファイト基などのホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基およびホスファト基などが挙げられる。
前記ケイ素含有基としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基および炭化水素置換シロキシ基などが挙げられ、具体的には、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、フェニルシリル基、ジフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリトリルシリル基、トリナフチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリル基、トリベンジルシリル基などの炭化水素置換シリル基; トリメチルシリルエーテル基(トリメチルシロキシ基)、トリエチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基およびトリベンジルシロキシ基などの炭化水素置換シリルエーテル基; トリメチルシリルメチル基などのケイ素置換アルキル基; トリメチルシリルフェニル基などのケイ素置換アリール基などが挙げられる。これらの中では、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、トリベンジルシリル基などが好ましく、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリベンジルシリル基がより好ましい。
前記ゲルマニウム含有基または前記スズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムまたはスズに置換した基が挙げられる。
上記R1〜R14としては、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基またはヘテロ環式化合物残基であることが好ましく、水素原子または炭化水素基であることがより好ましい。炭化水素基としては、特に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基およびn−ヘキシル基などの炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基; フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基およびアントラセニル基などの炭素原子数6〜30、好ましくは炭素原子数6〜20のアリール基; これらのアリール基に、ハロゲン原子、炭素原子数1〜30の、好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜30の、好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数6〜30の、好ましくは炭素原子数6〜20のアリール基および炭素原子数6〜30の、好ましくは炭素原子数6〜20のアリーロキシ基などの原子または基が、1〜5個置換した置換アリール基が好ましく、より好ましくは、該炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基である。ヘテロ環式化合物残基としては特に、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジン、カルバゾールおよびフェナントロリンなどの含窒素化合物残基、フラン、ピラン、ベンゾフランおよびベンゾピランなどの含酸素化合物残基、チオフェンおよびベンゾチオフェンなどの含硫黄化合物残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシ基およびアリール基などの置換基がさらに置換した基が好ましい。なお、アルキル基、アルコキシ基、アリール基およびアリーロキシ基としては、たとえば、上記に例示される。
また、前述のように、上記一般式(I)のR1〜R14のうちの2個以上の基は、互いに連結して環を形成してもよい。より具体的には、R1〜R14のうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基は、互いに連結して脂肪族環、芳香環または、窒素原子などのヘテロ原子を含むヘテロ環などの環を形成してもよく、これらの環はさらに該原子または基(i)を有していてもよい。
上記R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基およびリン含有基が好ましく、水素原子または炭化水素基であることが、より好ましい。これらの例としては、上記と同様のものが挙げられる。該炭化水素基としては、上記の炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基が、好ましい。
上記R10およびR11は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に、炭素原子数6〜30のアリール基または炭素原子数7〜30のアルキル置換アリール基であることが好ましい。R10およびR11は、同一であることが、より好ましい。これらの例としては、上記と同様のものが挙げられる。
上記一般式(I)において、C1〜C4は炭素原子を示す。
上記一般式(I)において、D1およびD2は、窒素原子またはリン原子を示し、D1およびD2は、互いに同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。D1およびD2のうち、好ましくは窒素原子である。
上記一般式(I)において、L1およびL2は、酸素原子、硫黄原子、置換基R15を有する窒素原子(NR15で表される構造)および置換基R16を有するリン原子(PR16で表される構造)から選ばれる原子を示す。L1およびL2は、互いに同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。R15およびR16は、上述したR1〜R14で例示したものと同様の原子または基(i)を適宜選択することができる。これらのうち、L1およびL2が、共に酸素原子であることが好ましい。
一般式(I)において、D1とM、D2とM、L1とMおよびL2とMの間の結合は、遷移金属原子Mの種類(周期律表の族)によって共有結合または配位結合となる。また、D1とMおよびD2とMの間の結合の有無が明確でない場合においても、本発明においては多座型のポストメタロセン触媒として取り扱う。
上記一般式(I)において、E1およびE2は、それぞれC1とC3、C2とC4を結ぶ連結基を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。該連結基は、炭素原子、ケイ素原子およびゲルマニウム原子のいずれかを少なくとも1つ含み、R1〜R14と同様の原子または基(i)を有していてもよい。具体的には、置換基を有していてもよい炭化水素基、前記炭化水素基の炭素原子の全部または一部がケイ素原子で置換された基、前記炭化水素基の炭素原子の全部または一部がゲルマニウム原子で置換された基が挙げられる。該置換基としては、上記R1〜R14で例示したものと同様の置換基の種類を適宜選択することができる。
1およびE2は、C1−E1−C3の構造およびC2−E2−C4の構造として表した際に、それぞれ下記一般式(II)で表される構造を形成することが好ましい。
Figure 2016050175
上記一般式(II)において、Q1〜Q4は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子、ケイ素原子またはゲルマニウム原子を示す。Q1〜Q4は、それぞれ独立に、炭素原子またはケイ素原子であることが好ましい。
上記一般式(II)において、A1〜A8は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基の原子または基(iii)を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、その環はさらに該原子または基(iii)を有していてもよい。A1〜A8としては、それぞれ独立に、水素原子または炭化水素基であることが好ましい。炭化水素基の好ましい例示としては、R1〜R14で好ましい態様として例示したものと同様のものが挙げられるが、より好ましくは、炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基である。
上記一般式(II)において、E1およびE2は、C1−E1−C3の構造およびC2−E2−C4の構造として表されるが、当該2つの構造については置換基の結合態様を含め、同一であっても異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
上記一般式(I)において、nは、Mの価数(原子価)を満たす数であり、通常は3〜7の整数、好ましくは3〜6の整数、より好ましくは3または4であり、最も好ましくは4である。
上記一般式(I)において、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる原子または基(ii)を示す。これらの原子または基(ii)は、上記R1〜R14の説明で例示したものを適宜用いることができる。nが4以上の場合には、複数存在するXは、互いに同一であっても、異なっていてもよい。また複数存在するXで示される基は、互いに結合して環を形成してもよい。
また、Xとしては、以下の原子または基(ii)が好ましく用いられる。
前記ハロゲン原子としては、塩素が好ましい。
前記炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、アイコシル基などのアルキル基; シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基; ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基; ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアリールアルキル基;フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などのアリール基が好ましい。また、これらの炭化水素基には、ハロゲン化炭化水素基、具体的には炭素原子数1〜20の炭化水素基の少なくとも一つの水素がハロゲンに置換した基も含まれる。これらのうち、ハロゲン化炭化水素基としては、炭素原子数が1〜10のハロゲン化炭化水素基が好ましい。
前記酸素含有基としては、ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコシキ基;フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ナフトキシ基などのアリーロキシ基;フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基などのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基が好ましい。
前記イオウ含有基としては、メチルスルフォネート基、トリフルオロメタンスルフォネート基、フェニルスルフォネート基、ベンジルスルフォネート基、p−トルエンスルフォネート基、トリメチルベンゼンスルフォネート基、トリイソブチルベンゼンスルフォネート基、p−クロルベンゼンスルフォネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフォネート基などのスルフォネート基; メチルスルフィネート基、フェニルスルフィネート基、ベンジルスルフィネート基、p−トルエンスルフィネート基、トリメチルベンゼンスルフィネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフィネート基などのスルフィネート基; アルキルチオ基;アリールチオ基が好ましい。
前記窒素含有基としては、アミノ基; メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基などのアルキルアミノ基; フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジナフチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基などのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基が好ましい。
前記ホウ素含有基としては、BR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基またはハロゲン原子等を示す)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記アルミニウム含有基としては、AlR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基またはハロゲン原子等を示す)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記リン含有基としては、トリメチルホスフィン基、トリブチルホスフィン基およびトリシクロヘキシルホスフィン基などのトリアルキルホスフィン基; トリフェニルホスフィン基およびトリトリルホスフィン基などのトリアリールホスフィン基; メチルホスファイト基、エチルホスファイト基およびフェニルホスファイト基などのホスファイト基(ホスフィド基); ホスホン酸基; ホスフィン酸基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記ハロゲン含有基としては、PF6およびBF4などのフッ素含有基; ClO4およびSbCl6などの塩素含有基; IO4などのヨウ素含有基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記ヘテロ環式化合物残基としては、上記R1〜R14の説明で例示したものと同様のものが挙げられる。
前記ケイ素含有基としては、フェニルシリル基、ジフェニルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリトリルシリル基、トリナフチルシリル基などの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテル基などの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチル基などのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニル基などのケイ素置換アリール基が好ましい。
前記ゲルマニウム含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基が好ましい。
前記スズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基が好ましい。
これらのうち、Xとしては、ハロゲン原子または炭化水素基であることがより好ましい。
次に、上記一般式(I)で表される遷移金属化合物(A)の具体的な例を示すが、遷移金属化合物(A)はこれらに限定されるものではない。
Figure 2016050175
Figure 2016050175
Figure 2016050175
なお、上記例示中、Meはメチル基を、Phはフェニル基を、tBuはtert−ブチル基を、iPrはイソプロピル基を示す。また上記例示において、塩素をベンジル基で置き換えた遷移金属化合物も遷移金属化合物(A)の好ましい例として挙げることができる。
<遷移金属化合物(A)の製造方法>
このような遷移金属化合物(A)の製造方法は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば以下のようにして製造することができる。
まず、遷移金属化合物(A)を構成する配位子は、2−ビニルフェノール類から誘導されるアルキルホウ素化合物と6,6’−ジハロゲン置換―2,2’−ビピリジル類の鈴木−宮浦カップリング反応の後に、保護基がある場合には適切な脱保護剤により保護基を脱離させることにより得られる。
2−ビニルフェノール類から誘導されるアルキルホウ素化合物と6,6’−ジハロゲン置換―2,2’−ビピリジル類の鈴木−宮浦カップリング反応は、具体的には2−ビニルフェノール類をヒドロボラン類で前処理したものと6,6’−ジハロゲン置換―2,2’−ビピリジル類、塩基性化合物、触媒としてのパラジウム触媒、パラジウム触媒の配位子となる化合物の混合物に溶媒1を加える。これらは溶剤に溶解していてもよいし、溶媒に溶解していなくても良く、配位子となる化合物は加えても加えなくてもよい。また、このカップリング反応に際して、2−ビニルフェノール類は保護を施しておくのが好ましい。
次いで、塩酸、p−トルエンスルホン酸などのような脱保護剤により保護基を脱離させると、配位子が得られる。
ヒドロボランとしては、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンの単量体または二量体、ジイソピノカンフェニルボラン、カテコールボラン、4,4,5,5−テトラメチルー1,3,2−ジオキサボロラン、5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナンなどが挙げられるがその限りではない。
塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リチウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、リン酸三カリウムなどが挙げられるが、この限りではない。
パラジウム触媒としては具体的には、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)(クロロホルム)ジパラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、塩化アリルパラジウムダイマーなどが挙げられるが、この限りではない。
パラジウム触媒の配位子となる化合物として具体的には、1,1’−ジフェニルホスフィノフェロセン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、ジ−tert−ブチル(メチル)ホスフィン、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(ジメチルアミノ)ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルなどのホスフィン化合物、および、テトラフルオロホウ酸ジ−tert−ブチル(メチル)ホスホニウム塩などの、ホスフィン化合物の塩が挙げられるが、この限りではない。
また、ジクロロ(1,1’−ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウム、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウムなどの、上記ホスフィン化合物とパラジウムとの錯体化合物や、{1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン}(3−クロロピリジル)パラジウム二塩化物のような、カルベン型化合物とパラジウムとの錯体化合物を触媒として用いてもよい。
溶媒1としては、このような反応に一般的なものを使用できるが、なかでもテトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、エタノール、プロパノール等の極性溶媒、またはトルエン、キシレン等の炭化水素溶媒が好ましい。また、上記溶媒に水を加えたものを溶媒として用いてもよく、混合比としては、水/溶媒比が0/100〜25/75であることが好ましい。
2−ビニルフェノール類は溶媒2中、メチルトリアリールホスホニウム塩を塩基性化合物で処理した後に、サリチルアルデヒド類を加えることで合成できる。
溶媒2はベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられるがその限りでない。
メチルトリアリールホスホニウム塩は具体的にはヨウ化メチルトリフェニルホスホニウム塩、臭化メチルトリフェニルホスホニウム塩などが挙げられるが、その限りでない。
塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リチウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、リン酸三カリウムなどが挙げられるが、この限りではない。
サリチルアルデヒド類は、市販品で入手できるものはそのまま使用できるが、合成する場合には、例えば、溶媒3中、保護フェノール類をアルキルリチウム試薬によりリチオ化した後に、ホルミル化することにより合成できる。
溶媒3は具体的にはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、tert−ブチルメチルエーテル(TBME)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)などが挙げられるがこの限りではない。
アルキルリチウム試薬は具体的にはメチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミドなどが挙げられるがこの限りではない。また、活性化剤としてN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)などを加えてもよく、これらは溶媒量用いてもよい。
ホルミル化試薬は具体的にはN,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられるがこの限りでない。
フェノール類の保護は、例えば、常法に従い実施する。保護基としては、tert−ブチル基、トリチル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、メトキシメチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリイソプロピルシリル基、メタンスルホニル基、アセチル基、ピバロイル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基が挙げられるがこの限りではない。
6,6’−ジハロゲン置換―2,2’−ビピリジル類は、市販品で入手できるものはそのまま使用できるが、合成する場合には、例えば、溶媒4中、6,6’−無置換―2,2’−ビピリジル類をアルキルリチウム試薬によりリチオ化した後に、臭素化することにより合成できる。
溶媒4は具体的にはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、tert−ブチルメチルエーテル(TBME)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)などが挙げられるがこの限りではない。
アルキルリチウム試薬は具体的にはメチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミドなどが挙げられるがこの限りではない。また、活性化剤として2−ジメチルアミノエタノールなどを加えてもよく、これらは溶媒量用いてもよい。
臭素化試薬は具体的には四臭化炭素、1,2−ジブロモエタンなどが挙げられるがこの限りではない。
次に、こうして得られた配位子を遷移金属M含有化合物と反応させることで、対応する遷移金属化合物を合成することができる。具体的には、合成した配位子を溶媒に溶解し、必要に応じて塩基と接触させてアニオン体を調製した後、金属ハロゲン化物、金属アルキル化物、金属アミド化物等の金属化合物と低温で混合し、−78℃から室温、もしくは還流条件下で、約1〜48時間攪拌する。溶媒としては、このような反応に一般的なものを使用できるが、なかでもジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等の極性溶媒、トルエン等の炭化水素溶媒、ジクロロメタンなどが好ましく使用される。また、アニオン体を調製する際に使用する塩基としては、n−ブチルリチウム等のリチウム塩、水素化ナトリウム等のナトリウム塩等の金属塩や、トリエチルアミン、ピリジン等を例示することができるが、この限りではない。
また、化合物の性質によっては、アニオン体調製を経由せず、配位子と金属化合物とを直接反応させることで、対応する遷移金属化合物を合成することもできる。さらに、合成した遷移金属化合物中の金属Mを、常法により別の遷移金属と交換することも可能である。また、例えばR1〜R14の一つ以上が水素である場合には、合成の任意の段階において、水素以外の置換基を導入することができる。
また、遷移金属化合物を単離せず、配位子と金属化合物との反応溶液をそのまま多量化に用いることもできる。
<オレフィン多量化用触媒>
本発明のオレフィン多量化用触媒は、前記一般式(I)で表される遷移金属化合物(A)を含むことを特徴とする。
本発明のオレフィン多量化用触媒は、遷移金属化合物(A)と共に、(B)(B−1)有機金属化合物、(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物および(B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。
なお、本発明においてオレフィンとは、炭素・炭素二重結合を分子中に一つ有する炭化水素を示す。
本発明のオレフィン多量化用触媒が含む、遷移金属化合物(A)としては、前述の遷移金属化合物(A)が用いられる。
以下、本発明にかかるオレフィン多量化用触媒の構成成分として好ましく用いられる化合物(B)を詳細に説明する。
〔化合物(B)〕
本発明のオレフィン多量化用触媒は、上記遷移金属化合物(A)に加えて、(B−1)有機金属化合物、(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに含むことが、多量化活性の点から好ましい。
以下、化合物(B−1)、(B−2)および(B−3)について説明する。
((B−1)有機金属化合物)
本発明で用いられる(B−1)有機金属化合物として、具体的には下記の一般式(B−1a)で表わされる有機アルミニウム化合物、一般式(B−1b)で表わされる周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物、および一般式(B−1c)で表わされる周期律表第2族または第12族金属のジアルキル化合物が挙げられる。なお、(B−1)有機金属化合物には、後述する(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物は含まないものとする。
a pAl(ORbqrs (B−1a)
上記一般式(B−1a)中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは炭素原子数が1〜4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3、qは0≦q<3、rは0≦r<3、sは0≦s<3の数であり、かつp+q+r+s=3である。)
3AlRc 4 (B−1b)
上記一般式(B−1b)中、M3はLi、NaまたはKを示し、Rcは炭素原子数が1〜15、好ましくは炭素原子数が1〜4の炭化水素基を示す。)。
de4 (B−1c)
上記一般式(B−1c)中、RdおよびReは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは炭素原子数が1〜4の炭化水素基を示し、M4はMg、ZnまたはCdである。
前記一般式(B−1a)で表わされる有機アルミニウム化合物としては、次のような化合物を例示できる。
a pAl(ORb3-p
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは炭素原子数が1〜4の炭化水素基を示し、pは好ましくは1.5≦p≦3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
a pAlY3-p
(式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは炭素原子数が1〜4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは好ましくは0<p<3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
a pAlH3-p
(式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは炭素原子数が1〜4の炭化水素基を示し、pは好ましくは2≦p<3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
a pAl(ORbqs
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは炭素原子数が1〜4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3、qは0≦q<3、sは0≦s<3の数であり、かつp+q+s=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。
一般式(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物としてより具体的には、
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムおよびトリデシルアルミニウムなどのトリn−アルキルアルミニウム;
トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリ2−メチルブチルアルミニウム、トリ3−メチルブチルアルミニウム、トリ2−メチルペンチルアルミニウム、トリ3−メチルペンチルアルミニウム、トリ4−メチルペンチルアルミニウム、トリ2−メチルヘキシルアルミニウム、トリ3−メチルヘキシルアルミニウムおよびトリ2−エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウムおよびトリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;
トリフェニルアルミニウムおよびトリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;
ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;
(i−C49xAly(C510z(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)などで表されるトリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;
イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシドおよびイソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシドおよびジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシドおよびブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
a 2.5Al(ORb0.5で表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは炭素原子数が1〜4の炭化水素基を示す);
ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシド)およびイソブチルアルミニウムビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミドおよびジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリドおよびエチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリドおよびブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリドおよびジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリドおよびプロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリドおよびエチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
また(B−1a)に類似する化合物も本発明に使用することができ、そのような化合物として例えば、窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。このような化合物として具体的には、(C252AlN(C25)Al(C252などを挙げることができる。
前記一般式(B−1b)に属する化合物としては、LiAl(C254およびLiAl(C7154などを挙げることができる。
前記一般式(B−1c)に属する化合物としては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジフェニル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ビス(ペンタフルオロフェニル)亜鉛、ジメチルガドミウムおよびジエチルカドミウムなどを挙げることができる。
またその他にも、(B−1)有機金属化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミドおよびブチルマグネシウムクロリドなどを使用することもできる。
また多量化系内で上記有機アルミニウム化合物が形成されるような化合物、例えばハロゲン化アルミニウムとアルキルリチウムとの組み合わせ、またはハロゲン化アルミニウムとアルキルマグネシウムとの組み合わせなどを、前記(B−1)有機金属化合物として使用することもできる。
上記のような(B−1)有機金属化合物は、1種類単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
((B−2)有機アルミニウムオキシ化合物)
本発明で用いられる(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物としては、具体的には、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサンおよびイソブチルアルミノキサン等が挙げられる。
従来公知のアルミノキサンは、例えば下記のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
なお前記アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、得られたアルミノキサンを溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記一般式(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムおよびトリイソブチルアルミニウムが特に好ましい。
上記のような有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
アルミノキサンの調製に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分または上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。さらにエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。
また本発明で用いられるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であるもの、すなわち、ベンゼンに対して不溶性または難溶性であることが好ましい。
本発明で用いられる(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物としては、下記一般式(III)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることもできる。
Figure 2016050175
(一般式(III)中、R16は炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示し、4つのR17は、互いに同一でも異なっていてもよい、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。)。
前記一般式(III)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、下記一般式(IV)で表されるアルキルボロン酸と、有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させることにより製造できる。
18−B(OH)2 (IV)
(一般式(IV)中、R18は前記一般式(III)におけるR16と同じ基を示す。)
前記一般式(IV)で表されるアルキルボロン酸の具体的な例としては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n−プロピルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n−ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5−ジフルオロボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸などが挙げられる。これらの中では、メチルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸およびペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
このようなアルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記一般式(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
前記有機アルミニウム化合物としては、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムおよびトリイソブチルアルミニウムが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
上記のような(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
((B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物)
本発明で用いられる、遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B−3)(以下、「イオン化イオン性化合物」という。)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、USP−5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
具体的には、前記ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物が挙げられ、例えばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロンおよびトリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどである。
前記イオン性化合物としては、例えば下記一般式(V)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2016050175
(一般式(V)中、R19はH+、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオンまたは遷移金属を有するフェロセニウムカチオンであり、R20〜R23は、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。)。
前記カルボニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオンおよびトリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンなどが挙げられる。
前記オキソニウムカチオンとしては、例えば、ヒドロニウム等が挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオンおよびトリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン; N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンおよびN,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン; ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオンおよびジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオンおよびトリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
19としては、カルボニウムカチオンおよびアンモニウムカチオンが好ましく、特にトリフェニルカルボニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
イオン性化合物として、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることもできる。
前記トリアルキル置換アンモニウム塩として具体的には、例えば、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(m,m−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ホウ素およびトリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素などが挙げられる。
前記N,N−ジアルキルアニリニウム塩として具体的には、例えば、N,N−ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素およびN,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
前記ジアルキルアンモニウム塩として具体的には、例えば、ジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素およびジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
前記トリアリールホスフォニウム塩としては、例えば、トリフェニルホスフォニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(メチルフェニル)ホスフォニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(ジメチルフェニル)ホスフォニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
イオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N−ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、下記式(VI)または(VII)で表されるホウ素化合物などを挙げることもできる。
Figure 2016050175
(式(VI)中、Etはエチル基を示す。)。
Figure 2016050175
(式(VII)中、Etはエチル基を示す。)。
イオン化イオン性化合物(化合物(B−3))の例であるボラン化合物として具体的には、例えば、デカボラン; ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレートなどのアニオンの塩; トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
イオン化イオン性化合物の例であるカルボラン化合物として具体的には、例えば、4−カルバノナボラン、1,3−ジカルバノナボラン、6,9−ジカルバデカボラン、ドデカハイドライド−1−フェニル−1,3−ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド−1−メチル−1,3−ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド−1,3−ジメチル−1,3−ジカルバノナボラン、7,8−ジカルバウンデカボラン、2,7−ジカルバウンデカボラン、ウンデカハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボラン、ドデカハイドライド−11−メチル−2,7−ジカルバウンデカボラン、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−トリメチルシリル−1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムブロモ−1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム7−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム2,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムドデカハイドライド−8−メチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−エチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−ブチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−アリル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−9−トリメチルシリル−7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−4,6−ジブロモ−7−カルバウンデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−1,3−ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
イオン化イオン性化合物の例であるヘテロポリ化合物は、ケイ素、リン、チタン、ゲルマニウム、ヒ素および錫から選ばれる原子と、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種または2種以上の原子とを含む化合物である。具体的には、リンバナジン酸、ゲルマノバナジン酸、ヒ素バナジン酸、リンニオブ酸、ゲルマノニオブ酸、シリコノモリブデン酸、リンモリブデン酸、チタンモリブデン酸、ゲルマノモリブデン酸、ヒ素モリブデン酸、錫モリブデン酸、リンタングステン酸、ゲルマノタングステン酸、錫タングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ゲルマノタングストバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、ゲルマノモリブドタングストバナジン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドニオブ酸、およびこれらの酸の塩が挙げられるが、この限りではない。また、前記塩としては、前記酸の、例えば周期律表第1族または2族の金属、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等との塩、トリフェニルエチル塩等の有機塩が挙げられる。
イオン化イオン性化合物の例であるイソポリ化合物は、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種の原子の金属イオンから構成される化合物であり、金属酸化物の分子状イオン種であるとみなすことができる。具体的には、バナジン酸、ニオブ酸、モリブデン酸、タングステン酸、およびこれらの酸の塩が挙げられるが、この限りではない。また、前記塩としては、前記酸の例えば周期律表第1族または第2族の金属、具体的にはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等との塩、トリフェニルエチル塩等の有機塩が挙げられる。
上記のようなイオン化イオン性化合物((B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物)は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
遷移金属化合物(A)に加えて、助触媒成分としてのメチルアルミノキサンなどの(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物を併用すると、オレフィン化合物に対して非常に高い重合活性を示す。
また、本発明にかかるオレフィン多量化用触媒は、上記遷移金属化合物(A)と、(B−1)有機金属化合物、(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B−3)イオン化イオン性化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とともに、必要に応じて下記の担体(C)を含んでもよい。
〔担体(C)〕
必要に応じて、本発明で用いられる担体(C)は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。担体(C)に上記遷移金属化合物(A)および化合物(B)を担持させることで、良好なモルフォロジーのポリマーが得られる。
前記無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物または固体状有機アルミニウムオキシ化合物が好ましい。
前記多孔質酸化物として、具体的にはSiO2、Al23、MgO、ZrO、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2など、またはこれらを含む複合物または混合物を使用することができ、さらに、例えば、天然または合成ゼオライト、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2−Cr23、SiO2−TiO2−MgOなどを使用することができる。これらのうち多孔質酸化物としては、SiO2および/またはAl23を主成分とするものが好ましい。
なお、上記多孔質酸化物は、少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO43、BaSO4、KNO3、Mg(NO32、Al(NO33、Na2O、K2O、Li2Oなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差し支えない。
このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる多孔質酸化物は、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmであって、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gの範囲にあり、細孔容積が0.3〜3.0cm3/gの範囲にあることが望ましい。このような多孔質酸化物は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使用される。
上記無機ハロゲン化物としては、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2等が用いられる。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコールなどの溶媒に無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
上記粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、上記イオン交換性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。
また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物として、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを例示することができる。
さらに、粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトなどが挙げられ、
イオン交換性層状化合物としては、α−Zr(HAsO42・H2O、α−Zr(HPO42、α−Zr(KPO42・3H2O、α−Ti(HPO42、α−Ti(HAsO42・H2O、α−Sn(HPO42・H2O、γ−Zr(HPO42、γ−Ti(HPO42、γ−Ti(NH4PO42・H2Oなどの多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられる。
このような粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物は、水銀圧入法で測定した半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/g以上であることが好ましく、0.3〜5cc/gであることが特に好ましい。ここで、細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により、細孔半径20〜30000Åの範囲について測定される。
半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/gより小さいものを担体として用いた場合には、高い多量化活性が得られにくい傾向がある。
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、何れも使用できる。化学処理として具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化合物であってもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl4、ZrCl4などの陽イオン性無機化合物、Ti(OR)4、Zr(OR)4、PO(OR)3、B(OR)3などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)、[Al134(OH)247+、[Zr4(OH)142+、[Fe3O(OCOCH36+などの金属水酸化物イオンなどが挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)4、Al(OR)3、Ge(OR)4などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基などを示す)などを加水分解して得た重合物、SiO2などのコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。また、ピラーとしては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物なども挙げられる。
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま用いてもよく、またボールミル、ふるい分けなどの処理を行った後に用いてもよい。また、新たに水を添加吸着させ、あるいは加熱脱水処理した後に用いてもよい。さらに、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状有機アルミニウムオキシ化合物としては、前記(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物を不溶化させて得られる固体成分であり、特開平11−140113号公報、特開2000−38410号公報、特開2000−95810号公報、国際公開2010/55652号パンフレットなどに記載の方法により得ることができる。
前述のように担体(C)は無機または有機の化合物であるが、有機化合物としては、粒径が10〜300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)多量化体またはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)多量化体、およびそれらの変成体を例示することができる。
本発明にかかるオレフィン多量化用触媒は、上記遷移金属化合物(A)、好ましくは上記化合物(B)、必要に応じて担体(C)を含むが、これらと共に、必要に応じてさらに下記の特定の有機化合物成分(D)を含むこともできる。
〔有機化合物成分(D)〕
本発明において有機化合物成分(D)は、必要に応じて、本発明のオレフィン多量化用触媒の重合性能(例えば、触媒活性)および生成ポリマーの物性(例えば、生成ポリマーの高分子量化)を向上させる目的で使用される。このような有機化合物としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物およびスルホン酸塩等が挙げられるが、この限りではない。
前記アルコール類および前記フェノール性化合物としては、通常、R24−OHで表されるものが使用され、ここで、R24は炭素原子数1〜50の炭化水素基(フェノール類の場合は炭素原子数は6〜50)または炭素原子数1〜50(フェノール類の場合は炭素原子数は6〜50)のハロゲン化炭化水素基を示す。
アルコール類としては、R24がハロゲン化炭化水素基のものが好ましい。また、フェノール性化合物としては、水酸基のα,α’−位が炭素数1〜20の炭化水素で置換されたものが好ましい。
上記カルボン酸としては、通常、R24−COOHで表されるものが使用される。R24は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示し、特に、炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基が好ましい。
上記リン化合物としては、P−O−H結合を有するリン酸類、P−OR、P=O結合を有するホスフェート、ホスフィンオキシド化合物が好ましく使用される。
上記スルホン酸塩としては、下記一般式(VIII)で表されるものが挙げられる。
Figure 2016050175
(一般式(VIII)中、M2は、周期律表第1〜14族の元素であり、R25は、水素、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基であり、Zは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基または炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基であり、tは、1〜7の整数であり、uは、1≦u≦7となる整数である。また、t−uは、t−u≧1となる整数である。)。
<オレフィン多量化体の製造方法>
本発明のオレフィン多量化体の製造方法は、上記オレフィン多量化用触媒の存在下で、オレフィンを単独多量化反応または共多量化反応を行う工程を含むことを特徴とする。該製法によりオレフィン多量化体を得る。なお、前述のように、本発明においてオレフィンとは、炭素・炭素二重結合を分子中に一つ有する炭化水素を示す。また、本発明において、オレフィン多量化体には、オレフィン単独重合体およびオレフィン共重合体の他に、二量化体(ダイマー)や、三量化体(トライマー)および四量化体(テトラマー)などのオリゴマーも含む。
本発明において、オレフィンの共多量化には、モノマーの少なくとも1種がオレフィンであればよく、二種以上のオレフィンを共多量化することも、オレフィン以外のモノマーと、オレフィンとを共多量化することも含む。
多量化における、本発明のオレフィン多量化用触媒を構成する各成分の使用法、反応器への添加順序は任意に選ばれるが、たとえば、以下のような方法が例示される。
(1)遷移金属化合物(A)を単独で反応器に添加する方法。
(2)遷移金属化合物(A)をおよび化合物(B)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(3)遷移金属化合物(A)を担体(C)に担持した触媒成分、および化合物(B)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(4)化合物(B)を担体(C)に担持した触媒成分、および遷移金属化合物(A)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(5)遷移金属化合物(A)と化合物(B)とを担体(C)に担持した触媒成分を反応器に添加する方法。
(6)遷移金属化合物(A)と化合物(B)とを担体(C)に担持した触媒成分、および化合物(B)を任意の順序で反応器に添加する方法。この場合、化合物(B)は、同一でも異なっていてもよい。
(7)化合物(B)を担体(C)に担持した触媒成分、および遷移金属化合物(A)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(8)化合物(B)を担体(C)に担持した触媒成分、遷移金属化合物(A)、および化合物(B)を任意の順序で反応器に添加する方法。この場合、化合物(B)は、同一であっても異なっていてもよい。
(9)遷移金属化合物(A)を担体(C)に担持した成分、および化合物(B)を担体(C)に担持した成分を任意の順序で反応器に添加する方法。
(10)遷移金属化合物(A)を担体(C)に担持した成分、化合物(B)を担体(C)に担持した成分、および化合物(B)を任意の順序反応器に添加する方法。この場合、化合物(B)は、同一でも異なっていてもよい。
(11)遷移金属化合物(A)、化合物(B)、および有機化合物成分(D)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(12)化合物(B)と有機化合物成分(D)をあらかじめ接触させた成分、および遷移金属化合物(A)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(13)化合物(B)と有機化合物成分(D)を担体(C)に担持した成分、および遷移金属化合物(A)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(14)遷移金属化合物(A)と化合物(B)を予め接触させた触媒成分、および有機化合物成分(D)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(15)遷移金属化合物(A)と化合物(B)を予め接触させた触媒成分、および化合物(B)、有機化合物成分(D)を任意の順序で反応器に添加する方法。この場合、化合物(B)は、同一でも異なっていてもよい。
(16)遷移金属化合物(A)と化合物(B)を予め接触させた触媒成分、および化合物(B)と有機化合物成分(D)を予め接触させた成分を任意の順序で反応器に添加する方法。この場合、化合物(B)は、同一でも異なっていてもよい。
(17)遷移金属化合物(A)を担体(C)に担持した成分、化合物(B)、および有機化合物成分(D)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(18)遷移金属化合物(A)を担体(C)に担持した成分、および化合物(B)と有機化合物成分(D)を予め接触させた成分を任意の順序で反応器に添加する方法。
(19)遷移金属化合物(A)と化合物(B)と有機化合物成分(D)を予め任意の順序で接触させた触媒成分を反応器に添加する方法。
(20)遷移金属化合物(A)と化合物(B)と有機化合物成分(D)を予め任意の順序で接触させた触媒成分、および化合物(B)を任意の順序で反応器に添加する方法。この場合、化合物(B)は、同一であっても異なっていてもよい。
(21)遷移金属化合物(A)と化合物(B)と有機化合物成分(D)を担体(C)に担持した触媒を反応器に添加する方法。
(22)遷移金属化合物(A)と化合物(B)と有機化合物成分(D)を担体(C)に担持した触媒成分、および化合物(B)を任意の順序で反応器に添加する方法。この場合、化合物(B)は、同一であっても異なっていてもよい。
上記の担体(C)に遷移金属化合物(A)が担持された固体触媒成分、担体(C)に遷移金属化合物(A)および化合物(B)が担持された固体触媒成分には、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに触媒成分が担持されていてもよい。
本発明では、多量化を液相法で実施する。液相法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素; シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素; ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素; エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができ、また単独多量化または共多量化に供するオレフィン(モノマー)自身を溶媒として用いることもできる。
上記のオレフィン多量化用触媒を用いて、オレフィンの多量化を行うに際して、遷移金属化合物(A)は、反応容積1リットル当り、通常10-12〜10-2モル、好ましくは10-10〜10-3モルになるような量で用いられる。
(B−1)有機金属化合物は、(B−1)有機金属化合物と、遷移金属化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−1)/M〕が通常0.01〜200000、好ましくは0.05〜100000となるような量で用いられる。(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物は、(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物中のアルミニウム原子と、遷移金属化合物(A)中の全遷移金属(M)とのモル比〔(B−2)/M〕が、通常10〜500000、好ましくは20〜100000となるような量で用いられる。遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(イオン化イオン性化合物)(B−3)は、(B−3)イオン化イオン性化合物と、遷移金属化合物(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−3)/M〕が、通常1〜1000、好ましくは1〜500となるような量で用いられる。
有機化合物成分(D)は、化合物(B)が(B−1)有機金属化合物の場合には、モル比〔(D)/(B−1)〕が通常0.01〜100、好ましくは0.1〜50となるような量で用いられる。化合物(B)が(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物の場合には、モル比〔(D)/(B−2)〕が通常0.01〜20、好ましくは0.005〜10となるような量で用いられる。化合物(B)が(B−3)イオン化イオン性化合物の場合は、モル比〔(D)/(B−3)〕が通常0.01〜100、好ましくは0.1〜50となるような量で用いられる。
また、このようなオレフィン多量化用触媒を用いたオレフィンの多量化温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜170℃の範囲である。多量化圧力は、通常常圧〜100kg/cm2−G、好ましくは常圧〜50kg/cm2−Gの条件下であり、多量化反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。
このようなオレフィン多量化用触媒を用いたオレフィン多量化の反応では、帯電防止剤を添加して行っても良い。帯電防止剤としては、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールジステアレート、エチレンジアミン−PEG(ポリエチレングリコール)−PPG(ポリプロピレングリコール)−ブロックコポリマー、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミド、ポリオキシアルキレン(例えば、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール・ポリエチレングリコールブロック共重合体(PEG−PPG−PEG))などが好ましく、特にポリオキシアルキレン(PEG−PPG−PEG)が好ましい。これらの帯電防止剤は、成分(A)中の遷移金属原子(M)のモル当たりに対する質量(g)の比(g/mol)が通常100〜10000、好ましくは100〜1000となるような量で用いられる。
得られるオレフィン多量化体の多量化度は、重合系に水素を存在させるか、または多量化温度を変化させることによって調節することができる。さらに、使用する化合物(B)の量により調節することもできる。
このような本発明のオレフィン多量化用触媒により多量化することができるオレフィンとしては、特に限定されないが、炭素原子数が2〜30、好ましくは炭素原子数が2〜20の直鎖状または分岐状のα−オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン;
炭素原子数が3〜30、好ましくは炭素原子数が3〜20の環状オレフィン、例えば、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−メチル1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンなどが挙げられる。
本発明では、該オレフィン多量化用触媒を用いて、オレフィンと他のモノマーとを共多量化することもできる。他のモノマーとしては、オレフィン以外のモノマーであればよく、特に限定はされないが、例えば、極性基(例えば、カルボニル基、水酸基、エーテル結合基など)および重合性の炭素・炭素二重結合を分子中に有するモノマー(以下、極性基含有モノマーとも記す。)が挙げられる。
極性基含有モノマーとしては、具体的には、例えば、アクリル酸、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、6−ヘプテン酸、7−オクテン酸、8−ノネン酸、9−デセン酸、10−ウンデセン酸、11−ドデセン酸、12−トリデセン酸、13−テトラデセン酸、14−ペンタデセン酸、15−ヘキサデセン酸、16−ヘプタデセン酸、17−オクタデセン酸、18−ノナデセン酸、19−エイコセン酸、20−ヘニコセン酸、21−ドコセン酸、22−トリコセン酸、メタクリル酸、2−メチルペンテン酸、2,2−ジメチル−3−ブテン酸、2,2−ジメチル−4−ペンテン酸、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸、2,6−ヘプタジエン酸、2−(4−イソプロピルベンジリデン)−4−ペンテン酸、アリルマロン酸、2−(10−ウンデセニル)マロン酸、フマル酸、イタコン酸、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2−カルボン酸、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸類、およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの金属塩類、およびこれら不飽和カルボン酸類のメチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、イソブチルエステル、(5−ノルボルネン−2−イル)エステルなどの不飽和カルボン酸エステル類(該不飽和カルボン酸がジカルボン酸である場合にはモノエステルであってもジエステルであってもよい)、およびこれら不飽和カルボン酸類のアミド、N,N−ジメチルアミド等の不飽和カルボン酸アミド類(該不飽和カルボン酸がジカルボン酸である場合にはモノアミドであってもジアミドであってもよい);
無水マレイン酸、無水イタコン酸、アリルコハク酸無水物、イソブテニルコハク酸無水物、(2,7−オクタジエン−1−イル)コハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物などの不飽和カルボン酸無水物類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニルなどのビニルエステル類;
塩化ビニル、フッ化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、臭化アリル、塩化アリル、フッ化アリル、臭化アリルなどのハロゲン化オレフィン類;
アリルトリメチルシラン、ジアリルジメチルシラン、3−ブテニルトリメチルシラン、アリルトリイソプロピルシラン、アリルトリフェニルシラン等のシリル化オレフィン類;
アクリロニトリル、2−シアノビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン、2,3−ジシアノビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン等の不飽和ニトリル類;
アリルアルコール、3−ブテノール、4−ペンテノール、5−ヘキセノール、6−へブテノール、7−オクテノール、8−ノネノール、9−デセノール、10−ウンデセノール、11−ドデセノール、12−トリデセノール等の不飽和アルコール化合物、およびこれらの酢酸エステル、安息香酸エステル、プロピオン酸エステル、カプロン酸エステル、カプリン酸エステル、ラウリン酸エステル、ステアリン酸エステル等の不飽和エステル類;
ビニルフェノール、アリルフェノール等の置換フェノール類;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、アリルメチルエーテル、アリルプロピルエーテル、アリルブチルエーテル、アリルメタリルエーテル、メトキシスチレン、エトキシスチレン、アリルアニソール等の不飽和エーテル類;
ブタジエンモノオキシド、1,2−エポキシ−7−オクテン、3−ビニル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン等の不飽和エポキシド類;
アクロレイン、ウンデセナール等の不飽和アルデヒド類、およびこれらのジメチルアセタール、ジエチルアセタールなどの不飽和アセタール類;
メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、アリルメチルケトン、アリルエチルケトン、アリルプロピルケトン、アリルブチルケトン、アリルベンジルケトン等の不飽和ケトン類、およびこれらのジメチルアセタール、ジエチルアセタールなどの不飽和アセタール類;
アリルメチルスルフィド、アリルフェニルスルフィド、アリルイソプロピルスルフィド、アリルn−プロピルスルフィド、4−ペンテニルフェニルスルフィド等の不飽和チオエーテル類;
アリルフェニルスルホキシド等の不飽和スルホキシド類;
アリルフェニルスルホン等の不飽和スルホン類;
アリルジフェニルホスフィン等の不飽和ホスフィン類;
アリルジフェニルホスフィンオキシドのような不飽和ホスフィンオキシド類などが挙げられる。
さらに、前記極性基含有モノマーとしては、例えば、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、4−(3−ブテニロキシ)安息香酸メチル、メトキシスチレン、エトキシスチレン、トリフルオロ酢酸アリル、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、(2H−ペルフルオロプロピル)−2−プロペニルエーテル、リナロールオキシド、3−アリロキシ−1,2−プロパンジオール、2−(アリロキシ)エタノール、N−アリルモルホリン、アリルグリシン、N−ビニルピロリドン、アリルトリクロロシラン、アクリルトリメチルシラン、アリルジメチル(ジイソプロピルアミノ)シラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、アリロキシトリメチルシラン、アリロキシトリフェニルシランなども挙げられ、本発明のオレフィン多量化用触媒によってオレフィンと共多量化させることができる。
また、極性基含有モノマー以外の他のモノマーとしては、ビニルシクロヘキサン、ジエンまたはポリエンなどを用いることができる。本発明のオレフィン多量化用触媒存在下では、これらのモノマーも、オレフィンと共多量化することができる。
前記ジエンまたはポリエンとしては、炭素原子数が4〜30、好ましくは炭素原子数が4〜20であり、二個以上の炭素・炭素二重結合を有する環状または鎖状の化合物が挙げられる。具体的には、ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、ジビニルベンゼン;
7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエンなどが挙げられる。
さらに他のモノマーとしては、芳香族ビニル化合物を用いることができる。具体的には、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレンなどのモノもしくはポリアルキルスチレン;
メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、などの官能基含有スチレン誘導体;
3−フェニルプロピレン、4−フェニルプロピレン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
特に、本発明のオレフィン多量化用触媒は、上記に説明したように、高い二量化体選択性を示す。それゆえ、該触媒の存在下で、エチレンを二量化させる1−ブテンの製造方法や、1−ヘキセンの製造方法、1−オクテンの製造方法および1−デセンの製造方法に好適に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、合成例および実施例で得られた化合物の構造は、270MHz 1H NMR(日本電子 GSH−270)、FD−質量分析(日本電子株式会社製SX−102A)を用いて決定した。
(1)配位子の合成
[合成例1]
充分に乾燥および窒素置換した200mLの反応器に3´,5,5´−トリ−tert−ブチル−2−メトキシメトキシ−1,1´−ビフェニル1.05g(2.74mmol)のテトラヒドロフラン(30mL)溶液を仕込み、氷浴で0℃付近に冷却した。n−ブチルリチウムのヘキサン溶液2.3mL(関東化学株式会社製、1.6M、3.68mmol)を5分かけて滴下し、100分間氷浴下で攪拌した。得られた赤紫色溶液をメタノール−ドライアイス浴で−78℃付近に冷却した後、脱水N,N´−ジメチルホルムアミド1mL(11.2mmol)を加えた。室温で90分攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した。酢酸エチルで可溶分を抽出し、得られた分画を水で3回、次いで飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別して濾液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、下記式(1)で示した目的物(以下化合物(1)という)を775mg(収率59%)得た。
1H NMR(270MHz、CDCl3):10.48(s,1H,CO),7.86(d,1H,J=2.6Hz,Ar−H),7.64(d,1H,J=2.6Hz,Ar−H),7.44(t,1H,J=1.9Hz,Ar−H),7.36(d,2H,J=1.9Hz,Ar−H),4.66(s,2H,OC 2O),3.20(s,3H,OMe),1.37(s,18H,tBu),1.36(s,9H,tBu)
Figure 2016050175
[合成例2]
充分に乾燥および窒素置換した200mLの反応器にメチルトリフェニルホスホニウムヨージド985mg(2.42mmol)を仕込み、トルエン(30mL)を加えてスラリーとした。カリウムtert−ブトキシド276mg(2.43mmol)を加えて、80℃オイルバスで90分加熱した。得られた黄色スラリーを室温まで冷却した後、化合物(1)775mg(1.62mmol)のトルエン(30mL)溶液を滴下し、同温度で終夜攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した後、酢酸エチルで可溶分を抽出し、得られた分画を水と飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥してから、濾過で硫酸マグネシウムを除き、濾液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、下記式(2)で示した目的物(以下化合物(2)という)を732mg(収率99%以上)得た。
1H NMR(270MHz、CDCl3):7.52(1H,d,J=2.3Hz,Ar−H),7.39(1H,t,J=1.8Hz,Ar−H),7.36(1H,s,Ar−H),7.35(1H,s,Ar−H),7.29(1H,d,Ar−H),7.14(1H,dd,J=17.6,11.0Hz,C=CH2),5.77(1H,dd,J=17.6,1.5Hz,CH=C 2),5.32(1H,dd,J=11.0,1.5Hz,CH=C 2),4.59(2H,s,OC 2O),3.01(3H,s,OMe),1.36(18H,s,tBu),1.35(9H,s,tBu)
Figure 2016050175
[合成例3]
充分に乾燥および窒素置換した30mLの反応器に9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン二量体206mg(1.69mmol)を仕込み、テトラヒドロフラン(2mL)を加えてスラリーとした。氷浴で0℃付近に冷却した後、化合物(2)732mg(1.68mmol)のテトラヒドロフラン(14mL)溶液を滴下し、室温で終夜攪拌して無色溶液を得た(以下溶液Aという)。別途、充分に乾燥および窒素置換した100mLの反応器に6,6´−ジブロモ−2,2´−ビピリジル263mg(0.84mmol)、ナトリウムメトキシド139mg(2.54mmol)、ジクロロ(1,1´−ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウム塩化メチレン付加体69mg(0.084mmol)、テトラヒドロフラン(8mL)を装入し、溶液Aと混合して65℃のオイルバスで5時間半加熱した。冷却の後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に注いで、可溶分を酢酸エチルで抽出した。得られた分画を水と飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別して濾液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、下記式(3)で示した目的物(以下化合物(3)という)を582mg(収率71%)得た。
1H NMR(270MHz、CDCl3):8.32(2H,d,J=8.6Hz,Ar−H),7.71(2H,t,J=7.6Hz,Ar−H),7.40−7.34(6H,m,Ar−H),7.25−7.14(6H,m,Ar−H),4.55(4H,s,OC 2O),3.27(8H,s,CH2CH2),3.21(6H,s,OMe),1.36(36H,s,tBu),1.30(18H,s,tBu)
Figure 2016050175
[合成例4]
充分に乾燥および窒素置換した200mLの反応器に化合物(3)582mg(0.60mmol)、メタノール(20mL)、塩化メチレン(20mL)を仕込み、50℃のオイルバスで加熱して均一溶液にした。濃塩酸(3mL)を加えて140分加熱した後、冷却して、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えpHを8付近にした。可溶分を塩化メチレンで抽出し、得られた分画を水と飽和食塩水で洗浄して無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過で硫酸マグネシウムを除いて濾液を減圧濃縮した後、残渣を塩化メチレン−ヘキサン混合溶媒下で再結晶することにより、下記式(4)で示した目的物(以下化合物(4)という)を498mg(収率90%)得た。
1H NMR(270MHz、C66)8.50(2H,d,J=7.3Hz,Ar−H),7.57−7.51(6H,m,Ar−H),7.42(2H,d,J=2.5Hz,Ar−H),7.31(2H,d,J=2.5Hz,Ar−H),7.23−7.11(2H,m,Ar−H),7.00(2H,s,Ar−OH),6.70(2H,d,J=6.9Hz),3.40(4H,t,J=6.9Hz,CH2CH2),3.23(4H,t,J=7.1H,CH2CH2),1.31(18H,s,tBu),1.27(36H,s,tBu)
Figure 2016050175
(2)遷移金属化合物の合成
[実施例1]
グローブボックス(mBRAUN社製 LabMasterSP)内で、充分に乾燥した30mLの反応器に化合物(4)53mg(0.059mmol)を装入し、トルエン(8mL)を加えてスラリーとした。メタノール−ドライアイス浴で−78℃付近に冷却した後、テトラヒドロフラン(10μL)、引き続きn−ブチルリチウムヘキサン溶液(関東化学株式会社製、1.6M、0.12mmol)を加えて室温で2時間攪拌し、黄緑色溶液を得た。グローブボックス内で四塩化ジルコニウム15mg(0.062mmol)のトルエン(2mL)スラリーを調製し、−78℃付近に冷却した後、先述の黄緑色溶液を滴下した。室温で4日攪拌した後、G4のグラスフィルターに窒素雰囲気下通して濾過を行い、濾液をin vacuoで濃縮した。得られた残渣をグローブボックス内で少量のヘキサンで洗浄し、析出物を濾別することにより、下記式(A)で示した目的物(以下化合物(A)という)を23mg(収率37%)得た。
FD−MS(日本電子株式会社製SX−102A):m/z=1042.4
Figure 2016050175
[実施例2]
グローブボックス(mBRAUN社製 LabMasterSP)内で、充分に乾燥した30mLの反応器に化合物(4)53mg(0.059mmol)を装入し、トルエン(8mL)を加えてスラリーとした。メタノール−ドライアイス浴で−78℃付近に冷却した後、テトラヒドロフラン(10μL)、引き続きn−ブチルリチウムヘキサン溶液(関東化学株式会社製、1.6M、0.12mmol)を加えて室温で2時間攪拌し、黄緑色溶液を得た。グローブボックス内で四塩化ハフニウム20mg(0.062mmol)のトルエン(2mL)スラリーを調製し、−78℃付近に冷却した後、先述の黄緑色溶液を滴下した。室温で5日攪拌した後、G4のグラスフィルターに窒素雰囲気下通して濾過を行った。濾液をin vacuoで濃縮することにより、下記式(B)で示した目的物(以下化合物(B)という)を41mg(収率61%)得た。
FD−MS:m/z=1132.6
Figure 2016050175
(3)オレフィン多量化体の製法
[実施例3]
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製反応器に、トルエン250mlを挿入し、エチレン100リットル/hrで液相および気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサン(MAO)をアルミニウム換算で0.625mmol、引き続き、実施例1で得られたジルコニウム化合物(A)2.5μmol加え多量化を開始した。
エチレンを100リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、50℃で5分間多量化を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより多量化を停止した。
多量化終了後に反応液をガスクロマトグラフィー(島津製作所株式会社製GC−1700)で分析した結果、1−ブテン46mg、1−ヘキセン9mgが得られていることを確認した。ポリエチレンは殆ど得られず、多量化活性は0.264kg/mmol・hrであった。結果を表1に示す。
[実施例4]
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製反応器にトルエン250mlを挿入し、エチレン100リットル/hrで液相および気相を飽和させた。その後、トリイソブチルアルミニウム(TiBAl)を0.125mmol、引き続き、実施例1で得られたジルコニウム化合物(A)を2.5μmol、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(TrB)を0.003mmol加え多量化を開始した。
エチレンを100リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、50℃で5分間多量化を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより多量化を停止した。
多量化終了後に反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、1−ブテン76mg、2−ブテン7mgが得られていることを確認した。ポリエチレンは殆ど得られず、多量化活性は0.398kg/mmol・hrであった。結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例2で得られたハフニウム化合物(B)を用いた以外は、実施例3と同様に実施した。結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例2で得られたハフニウム化合物(B)を用いた以外は、実施例4と同様に実施した。結果を表1に示す。
Figure 2016050175
上記実施例の結果にも示す通り、本発明の遷移金属化合物(A)を用いたオレフィンの多量化反応では、特に、二量化体の選択率が高いことが明確になった。これは、上記一般式(I)で表される遷移金属化合物(A)の架橋基E1およびE2で反応サイトが両側から狭められていることにより、炭素鎖の連鎖成長が阻害され、二量化の段階でβ水素脱離が進行したことに起因すると想定できる。
本発明の遷移金属化合物(A)を含むオレフィン多量化触媒の存在下で、オレフィンの単独多量化反応または共多量化反応を行った場合、好適にオレフィン多量化体を製造することができ、特に、高い選択性で二量化体を得ることができる。そのため、本発明は、工業的に極めて価値がある。

Claims (10)

  1. 下記一般式(I)で表される遷移金属化合物(A)。
    Figure 2016050175
    (一般式(I)において、
    Mは、周期律表第3〜10族の遷移金属原子を示す。
    1〜R14は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる原子または基(i)を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、その環はさらに該原子または基(i)を有していてもよい。
    1〜C4は、炭素原子を示す。
    1およびD2は、窒素原子またはリン原子を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。
    1およびL2は、酸素原子、硫黄原子、置換基R15を有する窒素原子(NR15で表される構造)および置換基R16を有するリン原子(PR16で表される構造)から選ばれる原子を示し、L1およびL2は、互いに同一でも異なっていてもよい。R15およびR16は、R1〜R14と同様の原子または基(i)を示す。
    1およびE2は、それぞれC1とC3、C2とC4を結ぶ連結基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、該連結基は、炭素原子、ケイ素原子およびゲルマニウム原子のいずれかを少なくとも1つ含み、R1〜R14と同様の原子または基(i)を有していてもよい。
    nは、Mの原子価を示す。
    Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる原子または基(ii)を示し、nが4以上の場合には、Xで示される複数の原子または基(ii)は互いに同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。)。
  2. 前記一般式(I)において、C1−E1−C3の構造およびC2−E2−C4の構造が、それぞれ下記一般式(II)で表される構造を形成する、
    請求項1に記載の遷移金属化合物(A)。
    Figure 2016050175
    (一般式(II)において、
    1〜Q4は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子、ケイ素原子またはゲルマニウム原子を示す。
    1〜A8は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基の原子または基(iii)を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、その環はさらに該原子または基(iii)を有していてもよい。)。
  3. 前記R1〜R14が、それぞれ独立に、水素原子または炭化水素基であり、
    前記L1およびL2の原子が、共に酸素原子である、
    請求項1または2に記載の遷移金属化合物(A)。
  4. 前記R10およびR11が、それぞれ独立に、炭素原子数6〜30のアリール基または炭素原子数7〜30のアルキル置換アリール基である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の遷移金属化合物(A)。
  5. 前記Q1〜Q4が、それぞれ独立に、炭素原子またはケイ素原子であり、
    前記A1〜A8が、それぞれ独立に、水素原子または炭化水素基である、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の遷移金属化合物(A)。
  6. 前記Mが、周期律表第4族の遷移金属原子であり、
    前記nが、4である、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の遷移金属化合物(A)。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の遷移金属化合物(A)を含む、オレフィン多量化用触媒。
  8. 前記遷移金属化合物(A)と、
    (B)(B−1)有機金属化合物、
    (B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および、
    (B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物と、
    を含むことを特徴とする請求項8に記載のオレフィン多量化用触媒。
  9. 請求項7または8に記載のオレフィン多量化用触媒の存在下で、オレフィンを単独多量化反応または共多量化反応を行う工程を含む、オレフィン多量化体の製造方法。
  10. 請求項7または8に記載のオレフィン多量化用触媒の存在下で、エチレンを二量化させる、1−ブテンの製造方法。
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