JP2016045298A - 表示装置用前面板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、強化ガラス基板と、上記強化ガラス基板の一方の面に直に形成され、樹脂およびフィラーを含有するアンカー層と、上記アンカー層上に直に形成され、1層以上の有機層を有し、上記有機層のみを有する反射防止層と、上記強化ガラス基板の他方の面に形成され、有機材料を含有する加飾層とを有することを特徴とする表示装置用前面板を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1
Description
反射防止フィルムは前面板に貼付するだけで反射防止性を付与することができる。しかしながら、反射防止フィルムにおいては透明基材および粘着層または接着層が存在するため、光学設計が複雑になる。また、透明基材にはうねりがあるため、平坦性が低下し、表示品位が劣化する。また、反射防止フィルムを貼付する際に異物や気泡の混入等の不具合が生じ、歩留りが低下する。また、透明基材および粘着層または接着層によって、透過率が低下する。
しかしながら、無機膜では低屈折率化が難しく、高屈折率層および低屈折率層を交互に複数積層するのが一般的である。この場合、ドライプロセスにより複数層を積層するため、生産性が低下し、製造コストがかかる。特に、大面積の表示装置に用いられる前面板の場合には設備が大掛かりになりコストが増大する。また、ドライプロセスの場合には、反射防止層の厚みの面内分布にばらつきが生じ、反射防止性の均一性が損なわれる。
すなわち、塗布により反射防止層を形成する場合、反射防止層を構成する低屈折率層や高屈折率層等としては、樹脂および微粒子を含有するものを用い、厚みを薄くすることが提案されている。低屈折率層や高屈折率層の形成方法としては、例えば硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させる方法が用いられているが、硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の種類によっては、空気中の酸素により硬化反応が阻害される場合がある。特に、微粒子が含有されている場合や、厚みが薄い場合には、硬化反応が不十分になりやすく、密着性や、耐擦傷性、硬度が低下する傾向がある。
また、前面板の反射防止層の最表面に位置する低屈折率層に用いられる材料については、一般に、屈折率を低くすることと耐擦傷性を高くすることとはトレードオフの関係にある。
本発明の表示装置用前面板は、強化ガラス基板と、上記強化ガラス基板の一方の面に直に形成され、樹脂およびフィラーを含有するアンカー層と、上記アンカー層上に直に形成され、1層以上の有機層を有し、上記有機層のみを有する反射防止層と、上記強化ガラス基板の他方の面に形成され、有機材料を含有する加飾層とを有することを特徴とするものである。
また、「アンカー層上に直に形成された反射防止層」とは、アンカー層と反射防止層とが直に接しており、アンカー層と反射防止層との間に例えば接着層や粘着層、透明基材等が形成されていないことをいう。
図1は、本発明の表示装置用前面板の一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、表示装置用前面板1は、強化ガラス基板2と、強化ガラス基板2の一方の面に直に形成され、樹脂およびフィラーを含有するアンカー層3と、アンカー層3上に直に形成された反射防止層4と、強化ガラス基板2の他方の面にパターン状に形成され、有機材料を含有する加飾層7とを有している。反射防止層4は、アンカー層3上に形成された高屈折率層5と、高屈折率層5上に形成された低屈折率層6とを有しており、高屈折率層5および低屈折率層6はいずれも有機層である。
ここで、強化ガラス基板上に有機膜が形成されている場合、強化ガラス基板が比較的硬く、有機膜が比較的軟らかいため、擦りに対する有機膜の追従性が耐擦傷性に影響すると考えられる。反射防止層を構成する有機層は、厚みが薄く、界面の密着性が低い傾向にある。そのため、強化ガラス基板上に反射防止層のみが形成されている場合には、擦りに対する反射防止層の追従性が悪く、反射防止層が剥がれて傷が生じてしまう。これに対し、強化ガラス基板上にアンカー層および反射防止層が順に積層されている場合には、擦りに対する有機膜(アンカー層および反射防止層の積層体)の追従性が良くなるため、また強化ガラス基板に対する反射防止層の密着性が良くなるため、耐擦傷性が高くなると予想される。しかしながら、本発明者が検討した結果、樹脂を含有するアンカー層を形成するだけでは十分な耐擦傷性が得られず、アンカー層が樹脂およびフィラーを含有する場合に所望の耐擦傷性が得られることが判明した。この理由は明らかではないが、次のように推量される。すなわち、樹脂のみを含有するアンカー層は硬度が低く軟らかすぎるため、荷重が大きいと傷が生じるが、樹脂およびフィラーを含有するアンカー層は硬度が高くなりつつもある程度軟らかいため、荷重が大きくても傷つきを抑制することができると考えられる。
したがって本発明においては、反射防止層の耐擦傷性を高めることができる。よって、強化ガラス基板の一方の面にアンカー層および反射防止層を形成した後、他方の面に加飾層を形成する場合において、反射防止層を形成してから加飾層を形成するまでの間、例えば搬送時や位置合わせ時に反射防止層が傷つくのを抑制することができる。
本発明におけるアンカー層は、強化ガラス基板の一方の面に直に形成され、樹脂およびフィラーを含有するものである。
無機系フィラーとしては、例えばシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム錫等の微粒子や、ガラスビーズ、ガラス繊維等が挙げられる。
また、有機系フィラーとしては、例えば樹脂ビーズを用いることができ、具体的にはアクリルビーズ、ウレタンビーズ、ナイロンビーズ、シリコーンビーズ、シリコーンゴムビーズ、ポリカーボネートビーズ等が挙げられる。
ここで、フィラーの平均粒径は、アンカー層の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真により観察される粒子20個の平均値をいう。
また、複数層が積層されている場合、硬度の異なる層を形成することが好ましい。擦りに対する有機膜(アンカー層および反射防止層の積層体)の追従性のバランスを調整することができるからである。硬度の異なる層とするには、例えばフィラーを含有する層とフィラーを含有しない層とを形成する、あるいは、フィラーの種類や含有量の異なる層を形成すればよい。
中でも、図2に例示するように、アンカー層3は、強化ガラス基板2上に形成された第1アンカー層3aと、第1アンカー層3a上に形成された第2アンカー層3bとを有しており、第1アンカー層3aおよび第2アンカー層3bのうち、一方がフィラーを含有し、他方がフィラーを含有しないことが好ましい。特に、第1アンカー層3aがフィラーを含有し、第2アンカー層3bがフィラーを含有しないことが好ましい。強化ガラス基板上に硬い第1アンカー層と軟らかい第2アンカー層と反射防止層とが順に積層されている場合には、擦りに対する有機膜(アンカー層および反射防止層の積層体)の追従性のバランスが良く、反射防止層の耐擦傷性をさらに高めることができるからである。これは、アンカー層および反射防止層の積層体において、擦りのエネルギーが程良く分散されているためであると考えられる。
なお、アンカー層が複数層が積層されたものである場合、アンカー層と強化ガラス基板との屈折率の大小関係については、強化ガラス基板に接する層と強化ガラス基板との屈折率が上記の関係を満たしていればよい。また、アンカー層と高屈折率層との屈折率の大小関係については、高屈折率層に接する層と高屈折率層との屈折率が上記の関係を満たしていればよい。
なお、アンカー層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
本発明における反射防止層は、上記アンカー層上に直に形成され、1層以上の有機層を有し、有機層のみを有するものである。
ここで、耐スチールウール試験は、反射防止層の表面を#0000番のスチールウールを用いて、所定の荷重で10往復擦り、目視で傷の有無を評価する試験である。
本発明における低屈折率層は、有機層であり、高屈折率層および中屈折率層よりも屈折率が低いものである。
樹脂およびバインダー樹脂は、フッ素を含有するフッ素系樹脂であってもよい。低屈折率層に防汚性を付与することができるからである。また、屈折率を低くすることができる。また、フッ素系樹脂は、ケイ素を含有していてもよい。
また、低屈折率層は、防汚剤を含有していてもよい。防汚剤としては、フッ素系化合物またはケイ素系化合物等を用いることができる。具体的に、防汚剤としては、特開2012−150226号公報等に記載されているものを挙げることができる。
表面処理された低屈折率微粒子としては、例えば特開2013−142817号公報、特開2008−9348号公報に記載されているものを挙げることができる。
ここで、低屈折率微粒子の平均粒径は、低屈折率層の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真により観察される粒子20個の平均値をいう。
なお、低屈折率層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
本発明における高屈折率層は、有機層であり、低屈折率層および中屈折率層よりも屈折率が高いものである。
このような高屈折率微粒子としては、例えば金属酸化物微粒子を挙げることができ、具体的には酸化ジルコニウム(ZrO2、屈折率:2.10)、酸化アンチモン(Sb2O5、屈折率:2.04)、アンチモン錫酸化物(ATO、屈折率:1.75〜1.95)、インジウム錫酸化物(ITO、屈折率:1.95〜2.00)、燐錫化合物(PTO、屈折率:1.75〜1.85)、ガリウム亜鉛酸化物(屈折率:1.90〜2.00)、β−Al2O5(屈折率:1.63〜1.76)、γ−Al2O5(屈折率:1.63〜1.76)、BaTiO3(屈折率:2.4)、酸化チタン(TiO2、屈折率:2.71)、酸化セリウム(CeO2、屈折率:2.20)、酸化錫(SnO2、屈折率:2.00)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO、屈折率:1.90〜2.00)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO、屈折率:1.90〜2.00)、アンチモン酸亜鉛(ZnSb2O6、屈折率:1.9〜2.0)等が挙げられる。
表面処理された高屈折率微粒子としては、例えば特開2013−142817号公報に記載されているものを挙げることができる。
ここで、高屈折率微粒子の平均粒径は、高屈折率層の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真により観察される粒子20個の平均値をいう。
なお、高屈折率層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
本発明における中屈折率層は、有機層であり、高屈折率層よりも屈折率が低く、低屈折率層よりも屈折率が高いものである。
なお、中屈折率層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
本発明における加飾層は、強化ガラス基板の他方の面に形成され、有機材料を含有するものである。
黒色顔料としては、例えばカーボンブラック、チタンブラック等が挙げられる。
例えばフォトリソグラフィ法により加飾層を形成する場合、バインダー樹脂としては、感光性樹脂が用いられる。感光性樹脂としては、一般的なものを用いることができ、例えばアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリ桂皮酸ビニル系樹脂、環化ゴム等の反応性ビニル基等の光反応性基を有する感光性樹脂が挙げられる。感光性樹脂は1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えばベンジルメタクリレート−メタクリル酸共重合体等のメタクリル酸エステル共重合体、ビスフェノールフルオレン構造を有するエポキシアクリレート等のカルド樹脂等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
多官能アクリレート系モノマーとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートとは、メタクリレートまたはアクリレートのいずれかであることを意味する。
光重合開始剤としては、例えばアルキルフェノン系、オキシムエステル系、トリアジン系、チタネート系等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
感光性樹脂組成物は、上記の他、光増感剤、分散剤、界面活性剤、安定剤、レベリング剤等の公知の各種添加剤を含むことができる。
また、加飾層には、カラーフィルタの着色層に用いられるカラーレジストを用いることもできる。
なお、加飾層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
本発明における強化ガラス基板は、アンカー層、反射防止層および加飾層を支持するものである。
圧縮応力層の厚みは特に限定されることはなく、要求特性に応じて適宜設定される。例えば、ガラスにある程度の強度を付与しながら、ガラスの切断性および生産性も確保される必要がある場合、圧縮応力層の厚みは約5μm〜10μmの範囲内に設定される。また、ガラスにさらに高い強度を付与することが求められる場合、圧縮応力層の厚みは、約10μm〜35μmの範囲内に設定されてもよく、35μm以上に設定されてもよい。圧縮応力層の厚みが約10μm〜35μmの範囲内である場合は、ガラスはある程度の切断性を有している。一方、圧縮応力層の厚みが35μm以上である場合は、仮にダイヤモンドカッター等の高性能の切断手段が用いられる場合であっても、ガラスを切断することが困難になる。そのため、圧縮応力層の厚みを35μm以上にすることが求められる場合、所望の形状に切り出された後のガラスにイオン交換処理を施すことにより、ガラスの表面に圧縮応力層が形成されることが好ましい。
このように表面に圧縮応力層が形成されたガラスの例としては、コーニング社のGorilla Glass(ゴリラガラス)や、旭硝子社のDragontrail(ドラゴントレイル)等が挙げられる。
本発明の表示装置用前面板は、図4(a)、(b)に例示するような多面付け前面板であってもよい。なお、図4(a)は反射防止層4側から見た概略平面図、図4(b)は加飾層7側から見た概略平面図である。アンカー層、反射防止層および加飾層はウェットプロセスにより形成可能であることから、大面積であっても安価かつ容易に均一な層を形成することができるので、多面付けが容易である。多面付け前面板の大きさは、特に限定されるものではないが、例えば2200mm×2500mmまでの大きさであれば適用可能である。一方、従来のように前面板に反射防止フィルムを貼り合わせる場合には、上記のような大型の基板には適用が困難である。
本発明の表示装置用前面板は、後述の表示装置用前面板の製造方法により製造されたものであることが好ましい。すなわち、まず強化ガラス基板の一方の面にアンカー層および反射防止層を形成し、次に強化ガラス基板の他方の面に加飾層を形成することが好ましい。本発明においては、反射防止層の耐擦傷性を高めることができるため、上記の方法において、反射防止層を形成してから加飾層を形成するまでの間、例えば搬送時や位置合わせ時に反射防止層が傷つくのを抑制することができる。
本発明の表示装置用前面板の製造方法は、強化ガラス基板の一方の面に直に、樹脂およびフィラーを含有するアンカー層を形成するアンカー層形成工程と、上記アンカー層上に直に、1層以上の有機層を有し、上記有機層のみを有する反射防止層を形成する反射防止層形成工程と、上記反射防止層形成工程後、上記強化ガラス基板の他方の面に、有機材料を含有する加飾層を形成する加飾層形成工程とを有することを特徴とする方法である。
また、「アンカー層上に直に反射防止層を形成する」とは、アンカー層と反射防止層とが直に接しており、アンカー層と反射防止層との間に例えば接着層や粘着層、透明基材等を形成しないことをいう。
図6(a)〜(d)は本発明の表示装置用前面板の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図6(a)に示すように、強化ガラス基板2の一方の面に直にアンカー層用硬化性樹脂組成物を塗布し、紫外線照射により硬化させてアンカー層3を形成する。次いで、図6(b)に示すように、アンカー層3上に直に高屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、紫外線照射により硬化させて高屈折率層5を形成する。次に、図6(c)に示すように、高屈折率層5上に低屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、紫外線照射により硬化させて低屈折率層6を形成する。これにより、アンカー層3上に直に、高屈折率層5および低屈折率層6が積層された反射防止層4を形成する。高屈折率層5および低屈折率層6はいずれも有機層である。次に、図6(d)に示すように、強化ガラス基板2の上下を反転させて、強化ガラス基板2の他方の面に、フォトリソソグラフィ法により有機材料を含有する加飾層7を形成する。
本発明におけるアンカー層形成工程は、強化ガラス基板の一方の面に直にアンカー層を形成する工程である。
アンカー層の形成方法としては、例えば強化ガラス基板上に直にアンカー層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させてアンカー層を形成する方法が挙げられる。
アンカー層用硬化性樹脂組成物の塗布後は、溶媒の除去のために乾燥させてもよい。
硬化方法としては、樹脂成分の種類に応じて異なるが、例えば熱あるいは紫外線または電子線の照射が挙げられる。
本発明における反射防止層形成工程は、アンカー層上に直に、1層以上の有機層を有し、有機層のみを有する反射防止層を形成する工程である。
以下、反射防止層形成工程における各工程について説明する。
低屈折率層の形成方法としては、例えば低屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて低屈折率層を形成する方法が挙げられる。
低屈折率層用硬化性樹脂組成物の塗布後は、溶媒の除去のために乾燥させてもよい。
高屈折率層の形成方法としては、例えば高屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて高屈折率層を形成する方法が挙げられる。
このような場合において、アンカー層の屈折率は、高屈折率層の屈折率との差が小さいことが好ましく、例えば高屈折率層の屈折率との差が0.03以内、中でも0.015以内であることが好ましい。
中屈折率層の形成方法としては、例えば中屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて中屈折率層を形成する方法が挙げられる。
中屈折率層用硬化性樹脂組成物としては、上記の高屈折率層用硬化性樹脂組成物と同様とすることができる。
また、中屈折率層の形成方法は、上記低屈折率層の形成方法と同様とすることができる。
なお、中屈折率層のその他の点については、上記「A.表示装置用前面板」に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
本発明における加飾層形成工程は、上記反射防止層形成工程後、強化ガラス基板の他方の面に、有機材料を含有する加飾層を形成する工程である。
フォトリソグラフィ法の場合、塗布方法としては、例えばスピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ビードコート法等の公知の方法を用いることができる。
基材としては、例えば樹脂基材を用いることができる。また、接着層としては、例えばOCAと称される光学用透明接着剤を用いることができる。
[準備]
下記の材料を用いて表示装置用前面板を作製した。
強化ガラス基板:Dragontrail(旭硝子社製) 大きさ100mm×100mm 厚み0.7mm
低屈折率層材 :TU2205(JSR社製、n=1.35)
高屈折率層材 :KZ6661(JSR社製、n=1.60)
アンカー層材A:Z7503(JSR社製、n=1.51)
アンカー層材B:硬化性樹脂組成物C(n=1.50)
JSR社製のZ7503は、平均粒径10nm〜20nmのシリカ粒子を含む紫外線硬化性樹脂組成物である。
重合槽中にメタクリル酸メチル(MMA)を63重量部、アクリル酸(AA)を12重量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(HEMA)を6重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を88重量部仕込み、攪拌し溶解させた後、2,2′-アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を7重量部添加し、均一に溶解させた。その後、窒素気流下、85℃で2時間攪拌し、更に100℃で1時間反応させた。得られた溶液に、更にメタクリル酸グリシジル(GMA)を7重量部、トリエチルアミンを0.4重量部、及びハイドロキノンを0.2重量部添加し、100℃で5時間攪拌し、共重合樹脂溶液(固形分50%)を得た。
<硬化性樹脂組成物Cの組成>
・上記共重合樹脂溶液(固形分50%):16重量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社 SR399):24重量部
・オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社 エピコート180S70):4重量部
・2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン:4重量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル:52重量部
強化ガラス基板の一方の面にJSR社製のZ7503を所定の厚みになるようにスピンコーティングし、窒素雰囲気下で露光照度30mWの高圧水銀ランプを用いて30秒間露光し、230℃で20分間熱処理して、アンカー層Aを形成した。
次に、JSR社製のKZ6661を用い、アンカー層Aの形成と同様の工程で、アンカー層A上に高屈折率層を形成した。続いて、JSR社製のTU2205を用いて、アンカー層Aの形成と同様の工程で、高屈折率層上に低屈折率層を形成した。
次に、強化ガラス基板の上下を反転させて、強化ガラス基板の他方の面に、スクリーン印刷により黒色の加飾層を形成した。これにより、表示装置用前面板を得た。
アンカー層Aの形成後に、硬化性樹脂組成物Cを用いて、アンカー層Aの形成と同様の工程で、アンカー層A上にアンカー層Bを形成したこと以外は、実施例1と同様に表示装置用前面板を作製した。
アンカー層A、Bの形成順を逆にしたこと以外は、実施例1と同様に表示装置用前面板を作製した。
アンカー層A、Bの厚みを3.0μmとしたこと以外は、実施例2と同様にして表示装置用前面板を作製した。
アンカー層Aを形成しなかったこと以外は、実施例2と同様にして表示装置用前面板を作製した。
(耐擦傷性)
表示装置用前面板について、反射防止層の表面を各荷重の条件で#0000のスチールウールを10往復させた後の傷つき有無を目視評価した。傷つき無しとなる最大荷重を表1に示す。
◎:荷重800gで傷つき無し
○:荷重400gで傷つき無し
×:荷重400gで傷つき有り
表示装置用前面板について、JIS K 5600−5−4に準拠する鉛筆硬度試験を行い、表示装置用前面板の反射防止層の表面の硬度を測定した。
表示装置用前面板の加飾層側の面に黒テープを添付して、日本分光株式会社製の絶対反射率測定装置VAR−7010にて反射率を測定した。光源はD65にて評価を行った。いずれの表示装置用前面板も反射率は0.5%以下であった。
2 … 強化ガラス基板
3 … アンカー層
4 … 反射防止層
5 … 高屈折率層
6 … 低屈折率層
7 … 加飾層
Claims (6)
- 強化ガラス基板と、
前記強化ガラス基板の一方の面に直に形成され、樹脂およびフィラーを含有するアンカー層と、
前記アンカー層上に直に形成され、1層以上の有機層を有し、前記有機層のみを有する反射防止層と、
前記強化ガラス基板の他方の面に形成され、有機材料を含有する加飾層と
を有することを特徴とする表示装置用前面板。 - 前記アンカー層が、前記強化ガラス基板上に形成された第1アンカー層と、前記第1アンカー層上に形成された第2アンカー層とを有し、前記第1アンカー層および前記第2アンカー層のうち、一方が前記フィラーを含有し、他方が前記フィラーを含有しないことを特徴とする請求項1に記載の表示装置用前面板。
- 前記第1アンカー層が前記フィラーを含有し、前記第2アンカー層が前記フィラーを含有しないことを特徴とする請求項2に記載の表示装置用前面板。
- 強化ガラス基板の一方の面に直に、樹脂およびフィラーを含有するアンカー層を形成するアンカー層形成工程と、
前記アンカー層上に直に、1層以上の有機層を有し、前記有機層のみを有する反射防止層を形成する反射防止層形成工程と、
前記反射防止層形成工程後、前記強化ガラス基板の他方の面に、有機材料を含有する加飾層を形成する加飾層形成工程と
を有することを特徴とする表示装置用前面板の製造方法。 - 前記アンカー層形成工程が、前記強化ガラス基板上に第1アンカー層を形成するアンカー層形成工程と、前記第1アンカー層上に第2アンカー層を形成する第2アンカー層形成工程とを有し、前記第1アンカー層および前記第2アンカー層のうち、一方が前記フィラーを含有し、他方が前記フィラーを含有しないことを特徴とする請求項4に記載の表示装置用前面板の製造方法。
- 前記第1アンカー層が前記フィラーを含有し、前記第2アンカー層が前記フィラーを含有しないことを特徴とする請求項5に記載の表示装置用前面板の製造方法。
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