JP2016040217A - 脱水素化システム及び脱水素化システムの運転方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】より簡易な構成または制御にて有機ハイドライドの転化率を管理することができる脱水素化システム及び脱水素化システムの運転方法を提供する。【解決手段】制御部23が、検出部25によって検出された脱水素化反応物の出口温度に基づいて、脱水素化反応器30に供給する原料の供給量、脱水素化反応器30に供給する熱の供給量、及び、脱水素化反応器30での脱水素化反応の反応圧力の少なくとも一つを制御する。脱水素化反応物の出口温度と有機ハイドライドの転化率とは強い相関関係があるため、制御部23は、検出部25によって検出された出口温度に基づいて、転化率の状態を容易に把握することができる。これに基づき、制御部23は、脱水素化反応器30に供給する原料の供給量などを制御することによって、転化率の調整を行うことができる。【選択図】図2
Description
本発明は、脱水素化反応を行う脱水素化システム及び脱水素化システムの運転方法に関する。
従来の脱水素化システムとして、脱水素化反応によって原料から水素を生成して供給するシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に開示の脱水素化システムは、水素含有ガスが貯留されるガス貯留室のガス圧、あるいは、当該ガス圧及び水素濃度の両方を検出し、得られる検出値に基づいて脱水素化反応器に供給される原料の流量、当該ガス貯留室から排出される水素含有ガスの流量を制御する。
特許文献1に開示の脱水素化システムにおいて、有機ハイドライドの転化率を管理するためには、例えば有機ハイドライドの転化状態を分析するための分析機器や測定データを解析するための複雑な解析処理等が必要になるという問題があった。
そこで、本発明は、より簡易な構成または制御にて有機ハイドライドの転化率を管理することができる脱水素化システム及び脱水素化システムの運転方法を提供することを目的とする。
本発明に係る脱水素化システムは、有機ハイドライドを含む原料が内部を流通する反応容器、及び、反応容器内に位置し、有機ハイドライドを脱水素化反応によって水素と脱水素化物とに変換する脱水素化触媒を有する脱水素化反応器と、脱水素化反応器における、水素及び脱水素化物を含んでなる脱水素化反応物の出口温度を検出する検出部と、検出部によって検出された出口温度に基づいて、脱水素化反応器に供給する原料の供給量、脱水素化反応器に供給する熱の供給量、及び、脱水素化反応器における脱水素化反応の反応圧力の少なくとも一つを制御する制御部と、を備える。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、脱水素化反応器における脱水素化反応物の出口温度と、有機ハイドライドの転化率との間に強い相関関係があることを見出した(例えば、図5参照)。
本発明に係る脱水素化システムは、検出部によって検出された脱水素化反応物の出口温度に基づいて、脱水素化反応器に供給する原料の供給量、脱水素化反応器に供給する熱の供給量、及び、脱水素化反応器における脱水素化反応の反応圧力、の少なくとも一つを制御する。つまり、本発明に係る脱水素化システムでは、有機ハイドライドの転化率と強い相関関係がある脱水素化反応物の出口温度に基づいて、脱水素化反応器に供給する原料の供給量などを制御することにより、有機ハイドライドの転化率を調整することができる。従って、本発明に係る脱水素化システムでは、有機ハイドライドの転化率を分析する分析装置の導入や測定データの複雑な解析処理などを行わない、より簡易な構成または制御にて有機ハイドライドの転化率を管理することができる。
本発明に係る脱水素化システムにおいて、検出部は、脱水素化反応器における脱水素化反応物の出口温度が最低温度となる位置で検出してよい。このような構成によると、出口温度が最低温度となる位置は有機ハイドライドの転化率が最も低くなる位置あるいはその近傍であるため、有機ハイドライドの転化率が目標転化率を下回る可能性を低減することができる。
本発明に係る脱水素化システムにおいて、検出部は、脱水素化反応器における脱水素化反応物の出口温度が最高温度となる位置で検出してよい。このような構成によると、出口温度が最高温度となる位置はコーキング等に起因する脱水素化触媒の劣化が最も起こり易い位置あるいはその近傍であるため、コーキング等に起因する脱水素化触媒の劣化が生じる可能性を低減することができる。
本発明に係る脱水素化システムにおいて、原料の流れに対して直列に接続された複数の脱水素化反応器を備え、検出部は、原料の流れに対して最も下流側に位置する脱水素化反応器における脱水素化反応物の出口温度を検出してよい。このような構成によると、複数の脱水素化反応器のそれぞれの出口温度を検出しなくてすむため、より簡易な構成または制御にてシステム全体における有機ハイドライドの転化率を管理することができる。
本発明に係る脱水素化システムの運転方法は、上述の脱水素化システムの運転方法であって、検出部によって検出された出口温度に基づいて、脱水素化反応器に供給する原料の供給量、脱水素化反応器に供給する熱の供給量、及び、脱水素化反応器における脱水素化反応の反応圧力、の少なくとも一つを制御する。
本発明に係る脱水素化システムの運転方法によれば、上述の脱水素化システムと同様の作用・作用効果を得ることができる。
本発明によれば、より簡易な構成または制御にて有機ハイドライドの転化率を管理することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
図1は、本実施形態に係る脱水素化システムを備えた水素供給システムの構成を示すブロック図である。図1に示す水素供給システム100は、供給する水素を生成するための原料として有機ハイドライドを用いるものである。有機ハイドライドは、ガソリンなどと同様に液体燃料としてタンクローリーなどによって水素供給システム100へ輸送することができる。
有機ハイドライドは、不飽和結合を有する有機化合物の水素化物であり、脱水素化触媒を用いて、水素と脱水素化物(不飽和結合を有する有機化合物)とを含む脱水素化反応物に変換することができる。本実施形態では、有機ハイドライドとして、メチルシクロヘキサン(以下「MCH」とする。)を用いて説明するが、これには限られない。なお、有機ハイドライドを生成するために使用される水素としては、例えば、製油所などで大量に生産される水素、自然エネルギーを用いた水の電気分解により発生する水素などが挙げられるが、これらには限られない。
不飽和結合を有する有機化合物とは、二重結合あるいは三重結合を分子内に一つ以上有する有機化合物である。二重結合としては、炭素−炭素二重結合(C=C)、炭素−窒素二重結合(C=N)、炭素−酸素二重結合(C=O)、窒素−酸素二重結合(N=O)が例示される。三重結合としては、炭素−炭素三重結合、炭素−窒素三重結合が例示される。不飽和結合を有する有機化合物としては、貯蔵性および輸送性の観点から、常温常圧下で液体状の有機化合物であることが好ましい。
不飽和結合を有する有機化合物としては、例えばオレフィン類、ジエン類、アセチレン類、ベンゼン、炭素鎖置換芳香族類、へテロ置換芳香族類、多環芳香族類、シフ塩基類、ヘテロ芳香族類、ヘテロ5員環化合物類、キノン類、ケトン類などが挙げられる。オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセンなどが挙げられる。ジエン類としては、アレン、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、へブタジエン、オクタジエン、ピペリレン、イソプレンなどが挙げられる。アセチレン類としては、アセチレン、プロピン、ビニルアセチレンなどが挙げられる。炭素鎖置換芳香族類としては、アルキル置換芳香族類などが挙げられる。アルキル置換芳香族類としては、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、クメン、安息香酸などが挙げられる。へテロ置換芳香族類としては、アニソール、ジメトキシベンゼン、フェノール、アニリン、N、N−ジメチルアニリンなどが挙げられる。多環芳香族類としては、ナフタレン、メチルナフタレン、アントラセン、テトラセン、フェナントレン、テトラリン、アズレンなどが挙げられる。シフ塩基類としては、2-aza-hept-1-en-1-yl-cyclohexaneなどが挙げられる。ヘテロ芳香族類としては、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリンなどが挙げられる。ヘテロ5員環化合物類としては、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾールなどが挙げられる。キノン類としては、ベンゾキノン、ナフトキノンなどが挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。なお、言うまでもないことであるが、二酸化炭素や一酸化炭素は不飽和結合を有しているが一般に有機化合物とは見なされないので、本実施形態における不飽和結合を有する有機化合物から除外される。
上記の不飽和化合物の中でも、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ナフタレン、メチルナフタレン、テトラリンなど(以下「ベンゼン等」とする。)は、水素化の前後において非水溶性であり、水と相分離可能であるため、生成物としての回収容易性の観点で、アセトン等の水溶性の有機化合物よりも好ましい。なお、非水溶性の有機化合物としては、ベンゼン等のうちの1種の化合物でもよいし、2種以上の化合物の混合物でもよい。
水素供給システム100は、例えば燃料電池自動車(以下「FCV」とする。)や水素エンジン車に水素を供給する機能を有している。なお、メタンを主成分とした天然ガスやプロパンを主成分とした液化石油ガス(LPG)、あるいはガソリン、ナフサ、灯油、軽油といった液体炭化水素原料から水素を製造する場合にも適用可能である。
本実施形態では、水素供給システム100として、FCVに高純度水素を供給する水素ステーションを例として説明を行う。図1に示すように、本実施形態に係る水素供給システム100は、原料タンク1、気化器2、脱水素化システム3、分離器4、回収タンク5、水素精製器6、圧縮機7、蓄圧器8、ディスペンサ9、及び冷熱源13を備えており、各構成要素はラインL1〜L9を介して接続されている。
ラインL1は、原料タンク1と気化器2とを接続する。ラインL2は、気化器2と脱水素化システム3とを接続する。ラインL3は、脱水素化システム3と分離器4とを接続する。ラインL4は、分離器4と水素精製器6とを接続する。ラインL5は、分離器4と回収タンク5とを接続する。ラインL6は、水素精製器6と圧縮機7とを接続する。ラインL7は、水素精製器6と気化器2とを接続する。ラインL8は、圧縮機7と蓄圧器8とを接続する。ラインL9は、蓄圧器8とディスペンサ9とを接続する。
原料タンク1は、本実施形態において原料となるMCHを貯留する機能を有するものである。原料タンク1に貯留されるMCHは、外部からタンクローリーなどで輸送され、例えば図示しない圧縮機によってラインL1を介して気化器2に供給される。
気化器2は、原料タンク1から供給されたMCHを気化する機能を有するものである。気化器2によって気化されたMCHは、ラインL2を介して脱水素化システム3へ供給される。
脱水素化システム3は、MCHを脱水素化反応させることによって脱水素化反応物(水素含有ガス)を生成する機能を有するものである。本実施形態に係る脱水素化反応物は、MCHを脱水素化反応させることによって生成する水素及びトルエン(脱水素化物)を主成分とするものであり、場合によっては脱水素化反応をしなかったMCH(未反応物)や不純物を含んでいる。脱水素化システム3で生成された脱水素化反応物は、ラインL3を介して分離器4へ供給される。
分離器4は、脱水素化反応物から脱水素化物であるトルエンを分離する機能を有するものであり、例えば気液分離器が挙げられる。分離器4として気液分離器を採用する場合、例えば脱水素化システム3からラインL3を介して供給される脱水素化反応物を冷却することにより、脱水素化物であるトルエンや未反応物であるMCHを優先的に液化させることができるため、相対的に液化し難い水素と気液分離することができる。この気液分離器における冷却温度は、分離効率の観点から低い(例えば50℃以下)方が好ましい。また、この気液分離器における圧力は、脱水素化物であるトルエンの液化を進める観点から高い(例えば0.2MPa〜1.0MPa)方が好ましい。分離器4で分離された脱水素化物であるトルエンや未反応物であるMCHは、ラインL5を介して回収タンク5へ供給される。分離器4でトルエンやMCHを分離することにより得られた水素含有ガスは、ラインL4を介して水素精製器6へ供給される。
回収タンク5は、分離器4で分離されたトルエンやMCHを貯留する機能を有するものである。回収タンク5に回収されたトルエン等は、例えばタンクローリーで製油所等に輸送し、再度水素化してMCHに変換される。
水素精製器6は、分離器4から供給される水素含有ガスから、さらに脱水素化物であるトルエンや未反応物であるMCH等を除去し、例えばFCV等において要求される程度まで水素純度を高める機能を有するものである。水素精製器6によって得られた高純度水素(精製ガス)は、ラインL6を介して直接的あるいは間接的に圧縮機7へ供給される。ここで、間接的とは、例えば高純度水素をタンク等に一旦貯留することなどを意味する。一方、水素精製器6によって除去された脱水素化物であるトルエンや未反応物であるMCH等を含むオフガスは、水素精製器6において精製ガスとして回収できなかった水素とともに、ラインL7へ供給される。ラインL7へ供給されたオフガスは、例えば図示しない圧縮機を介して気化器2に供給され、原料タンク1から供給され且つ気化器2で気化された原料(MCH)とともに、ラインL2を介して脱水素化システム3に供給される。なお、原料にオフガスを混在させて脱水素化システム3に供給する場合でも、単に「原料を脱水素化システム3に供給する」といったような表現で説明をする場合がある。
水素精製器6としては、例えば、水素分離膜を含んでなる膜分離装置、PSA(Pressure swing adsorption)法又はTSA(Temperature swing adsorption)法を用いる吸着除去装置などが挙げられる。
圧縮機7は、水素精製器6で得られた高純度水素をより高圧(例えば20MPa〜90MPa)にする機能を有するものである。圧縮機7によって高圧状態とされた高純度水素は、ラインL8を介して蓄圧器8に供給される。なお、本実施形態では、圧縮機7によって高圧状態とされた高純度水素を蓄圧器8に供給する構成としているが、これには限られず、例えば当該高圧状態の高純度水素を直接的にディスペンサ9に供給してもよい。
蓄圧器8は、高純度水素を高圧状態に維持しつつ蓄える機能を有するものである。蓄圧器8に高圧状態で蓄えられた高純度水素は、ラインL9を介して、ディスペンサ9によってFCVに供給される。本実施形態では、例えばFCVへの水素供給速度を高めることを可能にする観点から、ラインL9を通過する高純度水素を冷熱源13によって冷却する構成としているが、これには限られず、冷熱源13を採用しない構成としてもよい。
次に、本実施形態に係る脱水素化システム3の構成について説明する。
図2に示すように、脱水素化システム3は、脱水素化反応器30と、原料供給機構21と、加熱機構24と、検出部25と、制御部23と、を備えている。
脱水素化反応器30は、反応容器31と、脱水素化触媒32と、粒子層35と、分配部34と、集約部37と、を備えている。
反応容器31は、原料が内部を流通するように構成されている。本実施形態における反応容器31は、並列配置された複数の反応管31aを含んで構成されているが、このような構成には限られない。本実施形態における反応管31aの形状は、円筒状であるが、これには限られず、例えば二重管状、箱型状、ハニカム状でもよい。
脱水素化触媒32は、有機ハイドライドを脱水素化反応によって水素と脱水素化物とに変換する機能を有するものである。本実施形態における脱水素化触媒32は、反応容器31を構成する各反応管31aの内部に位置している。脱水素化触媒32としては、アルミナ等の多孔質担体に、例えば白金、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、スズ、レニウム又はゲルマニウム等の触媒金属を担持したものが挙げられる。脱水素化触媒の形状としては、特に限られず、例えば円柱状やハニカム状などが挙げられる。
粒子層35は、脱水素化触媒32の位置を規定する機能を有しており、例えばアルミナ粒子などの伝熱粒子により構成されている。本実施形態における粒子層35は、反応容器31における反応管31aの上流側端部及び下流側端部で脱水素化触媒32と隣接するように位置しているが、このような構造には限られず、例えば反応管31aを縦置き配置とする場合には反応管31aの上流側端部及び下流側端部の一方のみに配置する構造としてもよい。なお、本実施形態では、粒子層35を用いたが、脱水素化触媒32の位置を規定することができれば、例えば網目状の支持体などでもよい。
分配部34は、原料供給機構21により供給量を調整しつつ、ラインL2を介して気化器2(図1参照)から供給される原料を、反応容器31を構成する各反応管31aへ分配する機能を有するものであり、当該各反応管31aの上流側の端部に位置している。分配部34は、ラインL2を介して原料供給機構21から供給される原料が流入する流入口36を有している。本実施形態では、流入口36のラインL2側に圧力調整弁41を有する。圧力調整弁41は、脱水素化反応器30での脱水素化反応の反応圧力を調整する機能を有するものである。なお、脱水素化反応器30での脱水素化反応の反応圧力の調整は、圧力調整弁41による手法に限られず、例えば原料の供給量の調整により行ってもよいし、脱水素化反応器30の出口側に図示しない吸引部を配置して行ってもよい。
集約部37は、反応容器31内に位置する脱水素化触媒32で原料を脱水素化反応することによって生成され、反応容器31を構成する各反応管31aから排出される脱水素化反応物(水素含有ガス)を集約する機能を有するものであり、各反応管31aの下流側の端部に位置している。集約部37は、脱水素化反応物をラインL3に排出する排出口38を有している。
原料供給機構21は、制御部23からの制御信号に基づき、脱水素化反応器30における流入口36への原料供給を調整する機能を有するものである。本実施形態における原料供給機構21は、ラインL1を介して原料タンク1から原料を供給するためのポンプ(図示せず)、及び原料の供給量を調整するための流量調整弁(図示せず)を含んで構成されているが、このような構成には限られない。
加熱機構24は、脱水素化反応器30を加熱する機能、並びに、制御部23からの制御信号に基づき、脱水素化反応器30への熱供給を調整する機能を有するものである。本実施形態における加熱機構24は、熱源11及び熱交換器33を含んで構成されているが、このような構成には限られず、例えば電気ヒータによる構成としてもよい。
熱源11は、熱交換器33に供給される熱媒体を加熱(例えば340℃〜350℃)する機能を有するものである。本実施形態における熱源11は、制御部23からの制御信号に基づき、熱媒体の加熱温度を調整する。また、本実施形態における熱源11は、熱源11で加熱された熱媒体を熱交換器33に供給する機能を有している。このような機能を有するため、制御部23からの制御信号に基づき、熱交換器33への熱媒体の供給速度(流量)を調整することができる。なお、熱媒体の熱交換器33への供給は、熱源11とは別体のポンプを配置して行うようにしてもよい。
熱交換器33は、熱源11から供給される熱媒体と、脱水素化反応器30を構成する各反応管31a(ひいては、各反応管31a内に位置する脱水素化触媒32等)と、の間で熱交換する機能を有するものである。本実施形態における熱交換器33は、流入口44および排出口46を有し、反応容器31における脱水素化触媒32が位置する領域及び粒子層35が位置する領域の両方を取り囲むように位置しているが、このような構成には限られず、例えば粒子層35での出口温度の測定精度を高める観点から、反応容器31における脱水素化触媒32が位置する領域のみを取り囲むような構成としてもよい。流入口44は、熱源11から供給される熱媒体を熱交換器33内に流入させるためのものであり、反応容器31の下流側の端部付近に位置している。排出口46は、熱交換器33内の熱媒体を熱交換器33外に排出させるためのものであり、反応容器31の上流側の端部付近に位置している。このような構成によると、反応容器31の上流側に比べて下流側の温度を相対的に高い状態とすることができるため、有機ハイドライドの転化率を高めるうえで好適である。なお、熱交換器33の構成は、上述のものに限られず、例えば流入口44を反応容器31の上流側の端部付近に配置し、排出口46を反応容器31の下流側の端部付近に配置する構成としてもよい。
検出部25は、脱水素化反応器30における脱水素化反応物の出口温度を検出する機能を有するものであり、例えば熱電対やサーモスタットを含んで構成される。検出部25において検出した出口温度の情報は制御部23に送信される。ここで、検出部25での測定対象である出口温度とは、脱水素化反応器30の下流側における脱水素化反応物の温度を意味している。
図3及び図4に示すように、脱水素化反応器30の下流側における検出部25の検出位置としては、例えば検出位置P1〜P9が挙げられる。検出位置P1は、反応管31aにおける脱水素化触媒32の終端部と粒子層35との境界部であり、原理的に出口温度をより正確に測定する観点で好ましい。検出位置P2は、検出位置P1より反応管31aにおける上流側(但し、脱水素化触媒32の下流側)であり、出口温度の変化をより早く検知する観点で好ましい。検出位置P3は、検出位置P1より反応管31aにおける下流側に位置する粒子層35内であり、基本的に脱水素化反応が完全に終了しているため、より安定した温度検出を行う観点で好ましい。なお、図3では熱交換器33を省略している。
検出位置P4は、複数の反応管31aのうち、熱交換器33の外周に最も近い位置に配設される反応管31aの軸方向(図4における紙面垂直方向)に垂直な断面における中心部である。検出位置P5は、複数の反応管31aのうち、熱交換器33の外周に最も近い位置に配設される反応管31aの管壁付近である。検出位置P6は、複数の反応管31aのうち、熱交換器33の軸方向(図4における紙面垂直方向)に垂直な断面における中心部に配設される反応管31aの軸方向に垂直な断面における中心部である。検出位置P7は、検出位置P4の反応管31aと検出位置P6の反応管31aとの間に位置する反応管31aの軸方向に垂直な断面における中心部である。
本実施形態において反応容器31は、複数の反応管31aを有しているため、例えば反応管31aの配設位置や熱媒体が流入する流入口44の位置、熱媒の流速などに起因して、各反応管31aにおける脱水素化反応物の出口温度に差が生じる場合がある。このような場合、当該出口温度の差を考慮して検出部25の検出位置を決定するのが好ましい。本実施形態において、脱水素化反応器30における脱水素化反応物の出口温度が最高温度となる位置で検出を行う場合、検出位置P4または検出位置P5を採用するのが好ましく、中でも検出位置P5が特に好ましい。逆に、本実施形態において、脱水素化反応器30における脱水素化反応物の出口温度が最低温度となる位置で検出を行う場合、検出位置P6を採用するのが好ましい。なお、ここでいう「最高温度となる位置」とは、現実に最高温度となる位置はもちろん、理論的に最高温度になると想定される位置(本実施形態における検出位置P5)、及び、理論的に最高温度になると想定される位置と同一の反応管31aにおける中心部(本実施形態における検出位置P4)、並びに、脱水素化システム3の構造上又は製造上の制限を踏まえて最高温度になると想定される位置を含む意味である。また、ここでいう「最低温度となる位置」とは、現実に最低温度となる位置はもちろん、理論的に最低温度になると想定される位置(本実施形態における検出位置P6)並びに、脱水素化システム3の構造上又は製造上の制限を踏まえて最低温度になると想定される位置を含む意味である。
検出位置P8は、集約部37内であり、検出部25の配設容易性の観点または複数の反応管31aから排出される脱水素化反応物の平均温度を測定する観点で好ましい。検出位置P9は、集約部37における排出口38付近であり、検出部25の配設容易性の観点または複数の反応管31aから排出される脱水素化反応物の平均温度を測定する観点で特に好ましい。なお、図3において、検出位置P8は、集約部37の中心部に位置しているが、特に限定されない。
検出部25は、脱水素化反応器30における脱水素化反応物の出口温度が最高温度となる位置で検出するとよい。出口温度が最高温度となる位置は、コーキング等に起因する脱水素化触媒32の劣化が最も起こり易いと考えられる。すなわち、出口温度が最高温度となる位置において脱水素化触媒32の劣化を抑制できる温度となっている場合は、更に出口温度の低い他の位置では脱水素化触媒32の劣化はより抑制することができていると考えられる。従って、出口温度が最高温度となる位置で検出された出口温度に基づいて制御部23による制御を行うことによって、全体的に脱水素化触媒32の劣化を抑制することが可能となる。
検出部25は、脱水素化反応器30における脱水素化反応物の出口温度が最低温度となる位置で検出するとよい。出口温度が最低温度となる位置は、有機ハイドライドの転化率が最も低くなる位置である。すなわち、出口温度が最低温度となる位置において有機ハイドライドの目標転化率を下回っていない場合は、更に出口温度の高い他の位置では有機ハイドライドの目標転化率をより上回っていると考えられる。従って、出口温度が最低温度となる位置で検出された出口温度に基づいて制御部23による制御を行うことによって、目標転化率以上の状態をより確実に維持することが可能となる。
なお、制御部23は、検出位置P4,P5等で検出される出口温度の最高温度のみを用いて制御を行ってもよく、検出位置P6等で検出される出口温度の最低温度のみを用いて制御を行ってもよく、最高温度及び最低温度の両方に基づいて制御を行ってもよい。また、検出位置P8,P9等で検出される出口温度の平均温度を用いて制御を行ってもよい。このように平均温度を用いて温度管理を行う場合は、各反応管31aの全体的な出口温度を総括的に管理し、目標の転化率を維持することができる。
制御部23は、検出部25で検出された出口温度に基づき、脱水素化システム3を構成する各構成要素を制御する制御信号を送信する機能を有するものであり、例えば中央演算装置(CPU)、記憶媒体、表示装置を含んで構成されている。本実施形態における制御部23は、例えば脱水素化システム3のシステム運転中において、脱水素化反応器30での脱水素化反応に関する制御を行う。具体的には、制御部23は、原料供給機構21を制御することによって脱水素化反応器30へ原料を供給すると共に、熱源11を制御することによって熱媒体を介して脱水素化反応器30へ熱を供給する。なお、制御部23は、図1に示す水素供給システム100全体を制御するための機能を有していてもよい。
ここで、制御部23による制御内容を説明するために、図5を参照して検出部25で検出された出口温度と有機ハイドライドの転化率との関係について説明する。なお、有機ハイドライド(MCH)の転化率は、(1−出口MCHモル流量/入口MCHモル流量)×100、出口トルエンのモル流量/(出口MCHモル流量+出口トルエンのモル流量)、または(出口水素モル流量−入口水素モル流量)/(入口MCHモル流量×3)のいずれかで定義することができる。
図5は、シミュレーション結果によって得られたMCHの転化率と検出部25で検出された出口温度との関係を示すデータをプロットすると共に、当該結果に対して設定された相関曲線Aを示す。図5に示すように、MCHの転化率は検出部25で検出された脱水素化反応物の出口温度と強い相関関係を有することが理解される。本発明者らは、このような相関関係は、触媒活性よりも伝熱速度が律速になる脱水素化反応器30の特有の現象であることを見出した。また、本発明者らは、脱水素化反応物の流速や配管径などの種々の条件を変えた場合であっても同様の傾向が見られることを確認したことより、脱水素化反応物の出口温度を管理することによって有機ハイドライドの転化率を管理することができる点を見出すに至った。また、脱水素化触媒が劣化した場合は、図5に示す相関曲線Bのように、全体が高温側へ移動する。従って、本発明者らは、脱水素化触媒の劣化状況に合わせて複数の相関曲線を把握しておくことによって、脱水素化触媒の劣化状況を考慮した制御が可能となることも見出した。
以上の知見より、制御部23は、図5に示すような脱水素化反応物の出口温度と有機ハイドライドの転化率との相関を示すデータを用いることにより、検出部25によって検出された出口温度に基づいて、脱水素化反応器30の有機ハイドライドの転化率を管理(例えば目標値以上に維持)することができる。脱水素化反応物の出口温度と有機ハイドライドの転化率との相関を示すデータは予め実験やシミュレーション等によって準備しておき、制御部23が有する記憶媒体などに格納しておいてよい。制御部23は、運転時間に応じた脱水素化触媒の劣化状態に対応する複数の相関関係のデータを記憶しておいてよい。この場合、制御部23は、運転時間の履歴を参照することで、劣化状況に応じて転化率の管理を行うことができる。なお、制御部23は、目標の転化率付近のデータのみを記憶しておいてもよい。また、制御部23は、記憶したデータに基づいて、転化率と出口温度の相関関係(例えば劣化状況に合わせた相関関係など)を演算してもよい。
具体的には、制御部23は、検出部25によって検出された出口温度に基づいて、脱水素化反応器30に供給する原料の供給量、脱水素化反応器30に供給する熱の供給量、及び、脱水素化反応器30での脱水素化反応の反応圧力の少なくとも一つを制御する。制御部23は、出口温度が下がることによって転化率が目標値よりも低くなると判断した場合、転化率が上がるように前述のパラメータを制御することによって、転化率を管理する。または、制御部23は、出口温度が上がることによって転化率が高くなりすぎると判断した場合、転化率が下がるように前述のパラメータを制御することによって、転化率を管理する。なお、出口温度が高すぎる場合は、コーキング等が起こる可能性があるのに加え、過剰な熱を供給することによってシステム効率が低下するため、出口温度を下げることが好ましい。
パラメータとして脱水素化反応器30に供給する原料の供給量を採用する場合、制御部23は、出口温度が下がると、脱水素化反応器30に供給する原料の供給量を下げる。原料の供給量が下がると、脱水素化反応による吸熱量が低下するため、脱水素化反応器30に供給される熱量が同じとすると、出口温度が上がり、結果として転化率が上がる。一方、制御部23は、出口温度が上がると、脱水素化反応器30に供給する原料の供給量を上げる。原料の供給量が上がると、脱水素化反応による吸熱量が増加するため、脱水素化反応器30に供給される熱量が同じとすると、出口温度が下がり、結果として転化率は下がる。以上のように原料の供給量を制御する場合、原料の供給量の変化に対する出口温度の変化の応答性がよいため、速やかに転化率を管理することができる。制御部23は、原料供給機構21を制御することによって、脱水素化反応器30に供給する原料の供給量を調整することができる。
パラメータとして脱水素化反応器30に供給する熱の供給量を採用する場合、制御部23は、出口温度が下がると、脱水素化反応器30に供給する熱の供給量を上げる。熱の供給量が上がると、吸熱反応である脱水素化反応に対して熱を供給することができるため、出口温度が上がり、結果として転化率が上がる。制御部23は、熱交換器33へ供給する熱媒体の温度を上げることで熱の供給量を上げることができる。また、制御部23は、熱交換器33へ供給する熱媒体の供給量を上げることで熱の供給量を上げることができる。一方、制御部23は、出口温度が上がった場合は、脱水素化反応器30に供給する熱の供給量を下げる。熱の供給量が下がると、吸熱反応である脱水素化反応に対する熱の供給量が低下するため、出口温度が下がり、結果として転化率が下がる。制御部23は、熱交換器33へ供給する熱媒体の温度を下げることで熱の供給量を下げることができる。また、制御部23は、熱交換器33へ供給する熱媒体の供給量を下げることで熱の供給量を下げることができる。以上のように熱の供給量を制御する場合、原料の供給量(ひいては脱水素化反応物の発生量)を大きく変化させることなく、転化率を維持することができる。制御部23は、加熱機構24の熱源11から供給される熱媒体の温度及び供給量の少なくとも一方を制御することによって、脱水素化反応器30に供給する熱の供給量を調整することができる。
パラメータとして脱水素化反応器30での脱水素化反応の反応圧力を採用する場合、制御部23は、出口温度が下がると、脱水素化反応器30の反応圧力を下げる。反応圧力が下がると、例えば図5に示すような相関曲線は全体的に低温側(座標の左側)へ移動する。従って、出口温度が同じであっても、相関曲線自体が低温側へ移動することで転化率を上げることができる。一方、出口温度が上がると、脱水素化反応器30の反応圧力を上げる。反応圧力が上がると、例えば図5に示すような相関曲線は全体的に高温側(座標の右側)へ移動する。従って、出口温度が同じであっても、相関曲線自体が高温側へ移動することで転化率を下げることができる。
また、制御部23は、原料の供給量、熱の供給量、及び反応圧力の中の二つ又は全部の制御を組み合わせて複合的な制御を行うことで転化率を管理してもよい。また、制御部23は、検出部25によって検出される出口温度のみに基づいて上述の各パラメータの制御を行ってもよい。この場合、制御部23は、有機ハイドライドの転化率を管理するために、例えば脱水素化反応器30の入口温度や入口圧力などを監視しない。従って、有機ハイドライドの転化率を管理する目的で多数のセンサーや測定機器などを設けなくともよい。ただし、制御部23は、有機ハイドライドの転化率を管理するための制御とは別の目的(例えばエラー検知)の制御を行う場合は、出口温度以外のパラメータを監視してもよい。このような構成とした場合、出口温度のみに基づき、より簡易な構成または制御にて有機ハイドライドの転化率を管理することができる。なお、制御部23は、有機ハイドライドの転化率を管理するために、出口温度を主体として使用していればよく、例えば当該管理の精度をより高める目的で、出口温度以外のパラメータを追加で使用する場合があってもよい。
次に、本実施形態に係る脱水素化システム3の作用・効果について説明する。
まず、従来の脱水素化システムにあっては、有機ハイドライドの転化率を連続的に測定すると共に管理を行うには、有機ハイドライドの転化率を分析する分析装置の導入や測定データの複雑な解析処理等が必要になるという問題があった。また、原料の供給量の変化に伴う転化率の変化を組成分析によって管理する場合、タイムラグが大きくなることによって転化率が目標値の下限を下回る可能性があった。また、脱水素化触媒の劣化によって転化率が変化する際に、運転条件を簡易に決定することが困難であるという問題があった。
それに対し、本実施形態に係る脱水素化システム3及びその運転方法では、制御部23が、検出部25によって検出された脱水素化反応物の出口温度に基づいて、脱水素化反応器30に供給する原料の供給量、脱水素化反応器30に供給する熱の供給量、及び、脱水素化反応器30での脱水素化反応の反応圧力の少なくとも一つを制御する。図5を参照して上述したように、脱水素化反応物の出口温度と有機ハイドライドの転化率とは強い相関関係があるため、制御部23は、検出部25によって検出された出口温度に基づいて、転化率の状態を容易に把握することができる。これに基づき、制御部23は、脱水素化反応器30に供給する原料の供給量、脱水素化反応器30に供給する熱の供給量、及び、脱水素化反応器30での脱水素化反応の反応圧力の少なくとも一つを制御することによって、転化率の調整を行うことができる。以上より、有機ハイドライドの転化率を分析する分析装置の導入や測定データの複雑な解析処理等を行わなくとも、本実施形態に係る脱水素化システム3では、脱水素化反応物の出口温度を検出することによって有機ハイドライドの転化率の管理が可能となる。また、脱水素化反応物の出口温度を検出することで速やかに転化率の状態を把握できるため、転化率の管理におけるタイムラグを小さくすることができる。また、脱水素化触媒32の劣化を考慮した場合の出口温度と転化率との関係を示すデータを取得することで、容易に触媒劣化に対応した制御を行うことができる。従って、脱水素化システム3は、より簡易な構成または制御にて有機ハイドライドの転化率を管理することができる。
本実施形態のように、脱水素化反応物の出口温度に基づいて有機ハイドライドの転化率を管理する方法は、脱水素化反応器30の運転において特に有用である。図6は、MCHの平衡転化率と脱水素化反応器の反応温度(脱水素化触媒の存在部分全体の温度)との関係を示すグラフであり、反応圧力(絶対圧)300kPaA、水素濃度40体積%における平衡曲線を示す。ここで、平衡転化率とは、所定の反応温度及び反応圧力にて、無限に反応時間が経過した後の状態を仮定した、理論的な転化率である。この平衡転化率は、脱水素化触媒の状態などによらず、演算によって一義的に算出されるものである。有機ハイドライドの脱水素化反応器では、脱水素化触媒の劣化を抑制するなどの目的で、比較的低い温度条件(例えば340℃〜350℃)で運転される。このような温度条件(図6における領域E)では、平衡転化率が95%〜97%程度となるため、高い転化率で脱水素化反応器の運転を維持するうえで、転化率の管理が非常に重要となる。このように重要な転化率の管理を、脱水素化反応物の出口温度に基づくパラメータの制御というより簡易な手法でできるという知見は非常に有用である。
本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、脱水素化反応器を加熱する熱交換器の構成は上述の実施形態のようなものに限られない。また、熱媒体の流し方に応じて、最低温度、最高温度の位置が変化する場合は、それらに合わせて検出部の配置を変更してもよい。また、脱水素化反応器の構成は図2に示すような多管式のものに限定されず、単管式のものを採用してもよい。
また、脱水素化システムは、脱水素化反応器を複数備えていてもよい。例えば、図7(a)に示すように、原料の流れに対して直列に接続された複数の脱水素化反応器30A,30Bを備えてもよい。この場合、検出部25は、脱水素化システム3の構成をより簡易にする観点から、最も下流側に配置される脱水素化反応器30Bの出口温度のみを検出してよい。これによって複数の脱水素化反応器30A,30Bのそれぞれの出口温度を検出しなくとも、最も下流側の脱水素化反応器3Bの出口温度を検出することで、システム全体の転化率を管理することができる。また、図7(b)に示すように、複数の脱水素化反応器30B,30Cが並列に接続されていてもよい。脱水素化反応器30B,30Cはいずれも最下流側に配置されるので、検出部25は、脱水素化システム3の構成をより簡易にする観点から、脱水素化反応器30B,30Cの少なくとも一方の出口温度を検出してもよい。なお、転化率の管理精度を高める観点から、上流側の脱水素化反応器30Aの出口温度を検出してもよい。
21…原料供給機構、23…制御部、24…加熱機構、25…検出部、30…脱水素化反応器、31…反応容器、32…脱水素化触媒、3…脱水素化システム。
Claims (5)
- 有機ハイドライドを含む原料が内部を流通する反応容器、及び、前記反応容器内に位置し、前記有機ハイドライドを脱水素化反応によって水素と脱水素化物とに変換する脱水素化触媒を有する脱水素化反応器と、
前記脱水素化反応器における、前記水素及び前記脱水素化物を含んでなる脱水素化反応物の出口温度を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記出口温度に基づいて、前記脱水素化反応器に供給する前記原料の供給量、前記脱水素化反応器に供給する熱の供給量、及び、前記脱水素化反応器における前記脱水素化反応の反応圧力、の少なくとも一つを制御する制御部と、を備えることを特徴とする、脱水素化システム。 - 前記検出部は、前記脱水素化反応器における前記脱水素化反応物の前記出口温度が最低温度となる位置で検出する、請求項1に記載の脱水素化システム。
- 前記検出部は、前記脱水素化反応器における前記脱水素化反応物の前記出口温度が最高温度となる位置で検出する、請求項1又は2に記載の脱水素化システム。
- 前記原料の流れに対して直列に接続された複数の前記脱水素化反応器を備え、
前記検出部は、前記原料の流れに対して最も下流側に位置する前記脱水素化反応器における前記脱水素化反応物の前記出口温度を検出する、請求項1から3のいずれかに記載の脱水素化システム。 - 請求項1から4のいずれかに記載の脱水素化システムの運転方法であって、
前記検出部によって検出された前記出口温度に基づいて、前記脱水素化反応器に供給する前記原料の供給量、前記脱水素化反応器に供給する熱の供給量、及び、前記脱水素化反応器における前記脱水素化反応の反応圧力、の少なくとも一つを制御することを特徴とする、脱水素化システムの運転方法。
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