JP2016037772A - 建築用パネルの接合構造および建物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】隣接する建築用パネル4,6のそれぞれにはスリット15が形成されており、接合金物20は、隣接する建築用パネル4,6それぞれのスリット15に差し込まれる差込板部25と、差込板部25と一体形成されるとともに、差込板部25の差込方向と直交する方向に張り出す張出板部26と、を備える。
【選択図】図4
Description
このようなパネル工法においては、従来、建築用パネル同士の接合方法として、接合すべき建築用パネルの接合面に接着剤を塗布しておき、建築用パネル相互からそれ自体抜け止め機能を備えたスクリュー釘を打ち込んで建築用パネル同士を圧締させて固定することによって接合する方法が採用されている(例えば、特許文献1参照)。このような建築用パネル同士の接合方法を採用すれば、接着剤の塗布工程と、スクリュー釘の打ち込み工程を行うだけで済むので、比較的容易に建物を建築することができる。
前記隣接する建築用パネル3〜7のそれぞれにはスリット15が形成されており、
前記接合金物20〜24,28は、
前記隣接する建築用パネル3〜7それぞれのスリット15に差し込まれる差込板部25と、
前記差込板部25と一体形成されるとともに、当該差込板部25の差込方向と直交する方向に張り出す張出板部26と、を備えることを特徴とする。
前記建築用パネル3〜7は、横框8と縦框9とが矩形枠状に組み立てられるとともに、矩形枠の内部に補助桟材10が組み付けられ、横框8と縦框9と補助桟材10との両面もしくは片面に面材11が貼設されてなる木質パネルであり、
前記スリット15は、前記建築用パネル3〜7のうち少なくとも前記横框8または前記縦框9に対して形成されていることを特徴とする。
前記横框8と前記縦框9と前記補助桟材10には防虫用の薬剤が浸透していることを特徴とする。
前記隣接する建築用パネル3〜7のうち少なくとも一方の前記建築用パネル3〜7の前記横框8または前記縦框9には、前記接合金物20〜24,28の前記張出板部26を収容する凹部16が形成されていることを特徴とする。
前記隣接する建築用パネルは、横方向に隣接する壁パネル4,4(6,6)であり、
前記スリット15は、前記隣接する壁パネル4,4(6,6)の上端面または/および下端面に跨って形成されており、
前記接合金物20〜24,28の前記差込板部25は、前記隣接する壁パネル4,4(6,6)に跨って形成された前記スリット15に対して差し込まれていることを特徴とする。
前記隣接する壁パネル4,4(6,6)の下端面に形成された前記スリット15に対して、前記差込板部25が差し込まれる前記接合金物20〜24,28は、前記隣接する壁パネル4,4(6,6)が立設される他の前記建築用パネル(床パネル3,5)の上面に固定されていることを特徴とする。
前記隣接する建築用パネルは、横方向に隣接する床パネル3,3(5,5)であり、
前記スリット15は、前記隣接する床パネル3,3(5,5)の側端面に跨って形成されており、
前記接合金物20〜24,28の前記差込板部25は、前記隣接する床パネル3,3(5,5)に跨って形成された前記スリット15に対して差し込まれていることを特徴とする。
前記隣接する建築用パネルは、上下方向に隣接する壁パネル4(6)と床パネル3(5)とであり、
前記スリット15は、前記壁パネル4(6)の上端面と前記床パネル3(5)の下面のそれぞれに形成されており、
前記接合金物21,22の前記差込板部25は複数であり、それぞれの前記差込板部25が、前記壁パネル4(6)に形成された前記スリット15と、前記床パネル3(5)に形成された前記スリット15に差し込まれていることを特徴とする。
複数階建てに構築された躯体を有しており、
前記躯体のうち最下階31は鉄骨造とされ、前記躯体のうち前記最下階31よりも上の階32は木造とされており、
前記木造とされた階32は、前記複数の建築用パネル5〜7によって構成されていることを特徴とする。
また、最下階31よりも上の階32は木造とされ、かつ複数の建築用パネル5〜7によって構成されているので、接着剤を極力使用せずに建築用パネル5〜7同士を接合することができるとともに、簡易に、最下階31よりも上の階32を建築できる。
図1において符号1は、建物を示す。この建物1は、二階建ての住宅であり、複数の建築用パネル3〜7を用いるパネル工法によって建築されている。
パネル工法では、床パネル、壁パネル、小屋壁パネル、屋根パネル(図示せず)等の建築用パネルが用いられる。また、これら各種建築用パネルは、天候や作業者の技量に左右される可能性が高い現場施工ではなく、高品質で安定した性能を実現できる工場で生産されている。
また、各種建築用パネルは、主に木質パネルであり、横框8と縦框9とを矩形枠状に組み立てるとともに、矩形枠の内部に補助桟材10を縦横に組み付け、横框8と縦框9と補助桟材10との両面もしくは片面に面材11を貼設したものである。また、矩形枠の中空部に対しては、グラスウール等の断熱材(図示せず)が適宜充填される。
また、本実施の形態の建築用パネル3〜7は、後述するように、接合金物20〜24によって接合される。
なお、本実施の形態の建築用パネル3〜7は、木質の建築用パネルを採用したが、これに限られるものではなく、例えばコンクリート製や樹脂製の建築用パネルを採用してもよいし、これらを複合させた構造の建築用パネルを採用してもよい。
これによって、虫害(虫による木材の食害)による建築用パネル3〜7の劣化を防ぐことができるので、主に接合金物20〜24で接合される建築用パネル3〜7同士の接合状態を良好に維持することができる。
なお、各種パネル3〜7に対しては、予め工場等で取り付けておけるものは取り付けておく。すなわち、例えば予め工場等で、壁パネル4,6や小屋壁パネル7に対して外壁材や石膏ボード等の内壁材を取り付けたり、床パネル3,5に対して防虫シートを取り付けたりすることが行われる。
二階の床パネル5によって形成される二階の床の外周には胴差13(半胴差)が設けられている。すなわち、外周壁を形成する一階の壁パネル4の上には、胴差13と、二階の床パネル5の横框8または縦框9とが設置される。そして、外周壁を形成する二階の壁パネル6は、二階の床パネル5の横框8または縦框9と、胴差13の上に配置されている。
すなわち、各種建築用パネル3〜7のうち、隣接する建築用パネル3〜7のそれぞれにはスリット15が形成されている。そして、接合金物20〜24は、隣接する建築用パネル3〜7それぞれのスリット15に差し込まれる差込板部25と、差込板部25の差込方向と直交する方向に張り出す張出板部26と、を備える。また、差込板部25と張出板部26は一体形成されている。
さらに、隣接する建築用パネル3〜7のうち少なくとも一方の建築用パネルの横框8または縦框9には、図4等に示すように、接合金物20〜24の張出板部26を収容する凹部16が形成されている。すなわち、凹部16は、張出板部26の寸法に対応して、縦横の寸法および深さ寸法が設定されている。したがって、張出板部26が凹部16に収容された状態においては、凹部16のある建築用パネルの端面と、凹部16に収容された張出板部26の表面とが略面一となっている。
そして、当該凹部16の底面(差込板部25の差込方向によっては天面)にスリット15が形成された状態となっている。
また、差込板部25は、張出板部26の中央部から、張出板部26と直交する方向に突出しており、接合金物20自体は、断面略T字状に形成されている。
二つの差込板部25のうち一方の差込板部25は、張出板部26の中央部から突出しており、他方の差込板部25は、張出板部26の縁部に一体形成されて、一方の差込板部25とは反対の方向に突出している。
三つの差込板部25のうち一つは、張出板部26の中央部から突出しており、他の二つの差込板部25,25は、張出板部26の両側縁部のそれぞれに一体形成されて、一つの差込板部25とは反対の方向に突出している。
複数のピン27は、張出板部26と一体的に形成され、差込板部25とは反対の方向に突出している。また、複数のピン27は、張出板部26の長さ方向一端部と他端部のそれぞれに配置されている。
隣接する建築用パネル3〜7を、当該接合金物23で接合する場合は、隣接する建築用パネル3〜7同士のそれぞれに、ピン27に対応する差込穴(図示せず)が適宜形成される。一方のピン27は、隣接する建築用パネル3〜7の一方に形成された差込穴に差し込まれ、他方のピン27は、他方の建築用パネルの差込穴に差し込まれる。
複数のピン27は、張出板部26と一体的に形成され、差込板部25とは反対の方向に突出している。また、複数のピン27は、張出板部26の張出方向の両側(差込板部25の左右両側)に配置されている。さらに、これら複数のピン27は、張出板部26の長さ方向一端部と他端部のそれぞれに配置されているが(計四本)、これに限られるものではなく、張出板部26の張出方向の中央に一本ずつ配置されていてもよいし、より多くピン27が配置されていてもよい。
隣接する建築用パネル3〜7を、当該接合金物28で接合する場合は、隣接する建築用パネル3〜7同士のそれぞれに、ピン27に対応する差込穴27aが適宜形成される。図12に示す例では、張出板部26の張出方向の一方側にあるピン27は、隣接する一方の建築用パネル5に形成された差込穴27aに差し込まれ、張出板部26の張出方向の他方側にあるピン27は、隣接する他方の建築用パネル5に形成された差込穴27aに差し込まれる。
接合金物24は、建物1のコーナーに設けられるものであり、図8に示す接合金物20に替えて、当該接合金物24を用いてもよい。その場合、コーナーを形成する隣接する建築用パネル3〜7には、L字状のスリット15が形成される。
また、いずれの接合金物20〜24,28であっても、張出板部26には、当該張出板部26を建築用パネル3〜7に取り付けるためのビスや釘を通すための複数の取付孔26aが形成されている。そして、接合金物20〜24,28は、ビスや釘によって、建築用パネル3〜7自体、もしくは建築用パネル3〜7が設置される対象(例えば図6に示す二階の床パネル5と壁パネル6との接合状態を参照)に対して固定される。
一方、接合金物20〜24,28が、床パネルの接合(床パネル3同士、床パネル5同士)に用いられる場合には、差込板部25は横方向(水平方向)に配置され、張出板部26は上下方向に配置される。
複数の壁パネル4が一直線状に配置される場合、スリット15は、図3,図4に示すように、隣接する壁パネル4,4の上端面および下端面に跨って形成される。
すなわち、本実施の形態においては、壁パネル4を構成する二本の縦框9の上端面および下端面のそれぞれにスリット15が形成されている。そして、二つの壁パネル4,4を隣接配置した時に、差込板部25の長さと略等しいスリット15が形成される。このようなスリット15に対して、接合金物20の差込板部25が、隣接する壁パネル4,4に跨るようにして差し込まれる。
さらに、接合金物20の張出板部26は、隣接する壁パネル4,4の上端面および下端面に跨って形成された凹部16に収容される。
なお、壁パネル4,4の交差部分には、図8に示すように寸法を調整するための調整材14が設けられる場合がある。スリット15や凹部16は、当該調整材14に対して形成されてもよい。
すなわち、壁パネル4を床パネル3(建物1外周の場合は半土台12を含んでもよい)の上面に立設する際は、接合金物20を、床パネル3の上面のうち、隣接する壁パネル4,4の下端面に跨って形成されるスリット15に対応する位置に予め固定しておく。そして、その接合金物20の位置に合わせて、隣接する壁パネル4,4を、当該隣接する壁パネル4,4のスリット15に差込板部25が差し込まれるようにして床パネル3の上面に設置する。
さらに、張出板部26に形成された複数の取付孔26aにビス・釘等の固定具が挿入され、壁パネル4側に打ち付けられて、接合金物20が隣接する壁パネル4,4の上端面に跨って固定される。
すなわち、例えば隣接する壁パネル4,4の上端面に、図9に示す接合金物23を取り付けた場合、隣接する壁パネル4,4の上に設置される隣接する二階の床パネル5,5(建物1外周の場合は胴差13を含んでもよい)の下面に形成されるピン差込穴のそれぞれにピン27,27が差し込まれる。
また、交差する壁パネル4,4の交差部分の上端面に接合金物23を取り付けた場合、交差する壁パネル4,4の上に設置される二階の床パネル5(建物1外周の場合は胴差13を含んでもよい)の下面に形成されるピン差込穴のそれぞれにピン27が差し込まれる。
図10に示す接合金物24は、交差する壁パネル4,4の交差部分の上端面または下端面に設けられる。当該接合金物24を用いる場合は、交差する壁パネル4,4の交差部分の上端面または下端面には、L字状のスリット15および凹部16が形成される。
複数の床パネル3を水平方向に隣接させて配置する場合、スリット15は、図7に示すように、隣接する床パネル3,3の側端面に跨って形成されている。図7に示す例では、隣接する縦框9,9の端面にスリット15が跨って形成されているが、横框8,8同士が隣接する場合には、当該隣接する横框8,8に跨ってスリット15が形成されてもよい。
このようなスリット15に対して、接合金物20の差込板部25が、隣接する床パネル3,3に跨るようにして差し込まれる。さらに、張出板部26は、隣接する床パネル3,3の側端面に跨って形成された凹部16に収容されるとともに、ビス等の固定具によって隣接する床パネル3,3に跨って固定される。
建物1の一階においては、一階の床パネル3および半土台12の上に、一階の壁パネル4が設置されている。すなわち、床パネル3と壁パネル4は上下方向に隣接した状態となっている。
これら床パネル3と壁パネル4は、接合金物20によって接合されるとともに、アンカーボルト2aによって連結されている。
さらに、二階の床パネル5の上には、二階の壁パネル6が設置されている。
建物1外周においては、床パネル5および胴差13の上に壁パネル6が立設されている。すなわち、床パネル5と壁パネル6は上下方向に隣接した状態となっている。これら床パネル5と壁パネル6は、接合金物20によって接合されるとともに、胴差ボルト13aによって連結されている。
そして、接合金物21の上向きの差込板部25を、床パネル5の下面に形成されたスリット15に差し込むようにして、床パネル5を壁パネル4の上に設置する。
これを踏まえ、接合金物22による接合は、図6に示すように、接合金物21の下向きの差込板部25を、壁パネル4の上端面に形成されたスリット15に差し込むとともに、張出板部26を、壁パネル4の上端面に形成された凹部16に収容して、ビス・釘等の固定具によって固定する。
そして、接合金物22の一方の上向きの差込板部25を、一方の床パネル5の下面に形成されたスリット15に差し込むようにして、当該一方の床パネル5を壁パネル4の上に設置する。さらに、接合金物22の他方の上向きの差込板部25を、他方の床パネル5の下面に形成されたスリット15に差し込むようにして、当該他方の床パネル5を壁パネル4の上に設置する。
すなわち、建物1外周の場合では、図5に示すように、一階の壁パネル4の上端部にある横框8と、二階の床パネル5および胴差13と、二階の壁パネル6の下端部にある横框8には、ボルト挿通孔が形成されている。そして、当該ボルト挿通孔に胴差ボルト13aが挿通される。胴差ボルト13aは、下端部が、一階の壁パネル4の上端部にある横框8の下面よりも下方に突出し、上端部が、二階の壁パネル6の下端部にある横框8の上面よりも上方に突出する長さに設定されている。その突出部分のそれぞれに、ナット13bおよび座金13cが設けられる。これによって、一階の壁パネル4と、二階の床パネル5と、二階の壁パネル6とが連結されている。
胴差ボルト13aは、建物1の外周に沿って複数設けられている。
また、図8に示すように、アンカーボルト2aは、建物1のコーナー部分や建物1内部の壁が直交する部分等に重点的に設けられているものとする。さらに、胴差ボルト13aも、建物1のコーナー部分には重点的に設けられているものとする。
なお、ナット2b,13bの締付は、壁パネル4の面材11、壁パネル6の面材11のそれぞれに形成された作業用開口(図示せず)を利用して行われる。
また、二階の壁パネル6と小屋壁パネル7との間には、大梁や軒桁等の横材を適宜介在させてもよい。その場合も、二階の壁パネル6と、小屋壁パネル7、横材とがボルト連結されるものとする。
なお、建築用パネル3〜7の製造時には接着剤が使用されてはいるものの、現場の施工段階では接着剤は極力使用されていない。
また、図3等に示すように、接合金物20は、一つの壁パネル4(6)の四隅に対して設けられることになる。すなわち、四隅の接合金物20は、横方向に隣接する壁パネル4(6)や上下方向に隣接する床パネル3(5)に対して固定されるため、当該四隅の接合金物20が四隅に配置された状態にある壁パネル4(6)は、振動等が加わったとしても動きにくい状態となる。
床パネル3(5)の場合も同様に、一つの床パネル3(5)が、その四隅が接合金物20によって移動が抑えられた状態にあれば、振動等が加わったとしても動きにくい状態となる。
したがって、接着剤を極力使用せずに建築用パネル3〜7同士を接合することが可能となる。特に、建物1の施工完了後は、建物自体の自重も加味されるため、地震等によって建物1が振動したとしても、接合金物20〜24,28の差込板部25はスリット15から極めて外れにくい状態にあり、構造的にも安定する。
すなわち、コンクリートの基礎2上に、台輪2dを介して一階の床パネル3を固定し、この一階の床パネル3上に、一階の壁パネル4を立設する。さらに、その上に二階の床パネル5を設置し、この二階の床パネル5上に二階の壁パネル6を立設する。そして、二階の壁パネル6の上に、小屋壁パネル7を立設し、小屋壁パネル7の上に屋根パネルを設置する。
また、各建築用パネル3〜7同士は、接合金物20〜24,28と、アンカーボルト2a、胴差ボルト13a等を用いて接合・連結される。
なお、上述のように、例えば予め工場等で、壁パネル4,6や小屋壁パネル7に対して外壁材や石膏ボード等の内壁材を取り付けたり、床パネル3,5に対して防虫シートを取り付けたりしておけば、現場での施工手間を省略できるので好ましい。
さらに、スリット15についても予め工場で形成しておくことが望ましい。接合金物20〜24,28も、予め取り付けておくことが可能な場合には、予め取り付けておくようにすることが好ましい。このようにスリット15を予め工場で形成したり、接合金物20〜24,28を予め取り付けたりすれば、現場での施工手間を省略することができるとともに、特別な技能を必要としないので、建物1の施工性の向上に貢献できる。
以上のようにして、接合金物20〜24,28を用いた建物1を施工することができる。
したがって、隣接する建築用パネル3〜7の一端部同士および他端部同士の双方を接合金物20〜24,28で接合するか、一端部同士だけを接合金物20〜24,28で接合するかは、適宜変更可能である。
特にアンカーボルト2aや胴差ボルト13aで隣接する建築用パネル3〜7同士が連結される場合には、一端部同士だけを接合金物20〜24,28で接合する方法を採用したとしても構造上の問題が生じることはないので、コストや施工性の面を考慮すれば好ましい。
本変形例の建物30は、図11に示すように、複数階建てに構築された躯体を有しており、躯体のうち最下階31は鉄骨造とされ、躯体のうち最下階31よりも上の階32は木造とされている。そして、木造とされた階32は、複数の建築用パネル5〜7によって構成されている。
鉄骨造の最下階31は、複数の柱33と、複数の柱33の下端部間を連結する下梁34と、複数の柱33の上端部間を連結する上梁35と、によって構築されている。また、柱33と下梁34と上梁35とによって形成される複数の架構のいずれかにはブレース36が適宜設けられている。
また、最下階31よりも上の階32は木造とされ、かつ複数の建築用パネル5〜7によって構成されているので、接着剤を極力使用せずに建築用パネル5〜7同士を接合することができるとともに、簡易に、最下階31よりも上の階32を建築できる。
なお、本変形例では、木造とされた上の階32として複数の建築用パネル5〜7によって構成されるものとしたが(所謂パネル工法)、参考例として、当該上の階32をツーバイフォー構造や木造軸組構造等の各種木造工法を採用してもよい。この場合、虫害を抑えるために、上の階32を構成する木材には、上記実施形態で挙げた防虫用の薬剤が浸透しているものを採用することが望ましい。
上記実施形態および変形例1において、木質パネルである建築用パネル3〜7や各種木造工法のための木材を使用するものとしたが、その原材料として、例えばラバーウッドが用いられている。当該ラバーウッドを用いる場合は、積層材として形成したものを用いることが望ましい。
ラバーウッドは、ゴムの樹液採取のために東南アジアで広く植林栽培されている。また、ラバーウッドは樹液が採取できなくなると、約25年毎に植樹しなおされるので、大量の原木を継続的、かつ安定して入手できる。
また、ラバーウッド同様に大量の原木を継続的、かつ安定して入手できる原材料であれば、建築用パネル3〜7や前記木材の原材料として使用可能である。
2a アンカーボルト
2b ナット
3 一階の床パネル
4 一階の壁パネル
5 二階の床パネル
6 二階の壁パネル
8 横框
9 縦框
11 面材
12 半土台
13 胴差
13a 胴差ボルト
15 スリット
16 凹部
20 接合金物
21 接合金物
22 接合金物
25 差込板部
26 張出板部
30 建物
Claims (10)
- 複数の建築用パネルを用いて建物を構築する際に、隣接する建築用パネル同士を接合金物で接合してなる建築用パネルの接合構造において、
前記隣接する建築用パネルのそれぞれにはスリットが形成されており、
前記接合金物は、
前記隣接する建築用パネルそれぞれのスリットに差し込まれる差込板部と、
前記差込板部と一体形成されるとともに、当該差込板部の差込方向と直交する方向に張り出す張出板部と、を備えることを特徴とする建築用パネルの接合構造。 - 請求項1に記載の建築用パネルの接合構造において、
前記建築用パネルは、横框と縦框とが矩形枠状に組み立てられるとともに、矩形枠の内部に補助桟材が組み付けられ、横框と縦框と補助桟材との両面もしくは片面に面材が貼設されてなる木質パネルであり、
前記スリットは、前記建築用パネルのうち少なくとも前記横框または前記縦框に対して形成されていることを特徴とする建築用パネルの接合構造。 - 請求項2に記載の建築用パネルの接合構造において、
前記横框と前記縦框と前記補助桟材には防虫用の薬剤が浸透していることを特徴とする建築用パネルの接合構造。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の建築用パネルの接合構造において、
前記隣接する建築用パネルのうち少なくとも一方の前記建築用パネルの前記横框または前記縦框には、前記接合金物の前記張出板部を収容する凹部が形成されていることを特徴とする建築用パネルの接合構造。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の建築用パネルの接合構造において、
前記隣接する建築用パネルは、横方向に隣接する壁パネルであり、
前記スリットは、前記隣接する壁パネルの上端面または/および下端面に跨って形成されており、
前記接合金物の前記差込板部は、前記隣接する壁パネルに跨って形成された前記スリットに対して差し込まれていることを特徴とする建築用パネルの接合構造。 - 請求項5に記載の建築用パネルの接合構造において、
前記隣接する壁パネルの下端面に形成された前記スリットに対して、前記差込板部が差し込まれる前記接合金物は、前記隣接する壁パネルが立設される他の前記建築用パネルの上面に固定されていることを特徴とする建築用パネルの接合構造。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の建築用パネルの接合構造において、
前記隣接する建築用パネルは、横方向に隣接する床パネルであり、
前記スリットは、前記隣接する床パネルの側端面に跨って形成されており、
前記接合金物の前記差込板部は、前記隣接する床パネルに跨って形成された前記スリットに対して差し込まれていることを特徴とする建築用パネルの接合構造。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載の建築用パネルの接合構造において、
前記隣接する建築用パネルは、上下方向に隣接する壁パネルと床パネルとであり、
前記スリットは、前記壁パネルの上端面と前記床パネルの下面のそれぞれに形成されており、
前記接合金物の前記差込板部は複数であり、それぞれの前記差込板部が、前記壁パネルに形成された前記スリットと、前記床パネルに形成された前記スリットに差し込まれていることを特徴とする建築用パネルの接合構造。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載の建築用パネルの接合構造が採用されていることを特徴とする建物。
- 請求項9に記載の建物において、
複数階建てに構築された躯体を有しており、
前記躯体のうち最下階は鉄骨造とされ、前記躯体のうち前記最下階よりも上の階は木造とされており、
前記木造とされた階は、前記複数の建築用パネルによって構成されていることを特徴とする建物。
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