JP2016030823A - 硬化性シリコーン組成物、易剥離性接着材、易剥離性接着材層付支持体及び剥離方法 - Google Patents

硬化性シリコーン組成物、易剥離性接着材、易剥離性接着材層付支持体及び剥離方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性に優れ、易剥離性を示す硬化性シリコーン組成物、該組成物を用いた易剥離性接着材、及び該接着材層を支持基板上に有する易剥離性接着材層付支持体の提供。上記易剥離性接着材層上に貼り合わせられた弾性体フィルムの剥離方法の提供。【解決手段】下記成分(A)〜(D)を特定量含有する硬化性シリコーン組成物、それを架橋硬化させた易剥離性接着材、この易剥離性接着材からなる層を支持基板上に有する易剥離性接着材層付支持体。(A)ジフェニルシロキサン単位を含む特定構造のジオルガノポリシロキサン;(B)オルガノ水素ポリシロキサン;(C)白金触媒;(D)硬化抑制剤:上記易剥離性接着材層付支持体に貼り合わせられた弾性体フィルムをローラーの回転に同期させて剥離する方法であって、弾性体フィルムに特定の張力を印加する剥離方法。【選択図】図1

Description

本発明は、硬化性シリコーン組成物、それを架橋硬化させた易剥離性接着材、易剥離性接着材層付支持体及び剥離方法に関する。
薄膜トランジスタ(TFT)を備えた液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイなどの電子デバイスにおいては、TFTを形成する基板として、一般的にガラス基板が用いられている。電子デバイスのフレキシブル化、軽量化、薄型化への要求に応じて、ガラス基板の厚さの薄型化が進められ、また、更なるフレキシブル化、軽量化及び薄膜化を実現するために、TFTを形成する基板として樹脂フィルムや薄型金属フィルム等の可撓性基板(弾性体フィルム)を用いることも検討されている。
弾性体フィルムにTFT等の特定の機能を有する素子や電子回路を形成して電子デバイスを製造するに際し、支持基板上に設けられた易剥離性接着材層に弾性体フィルムを貼り合わせて固定し、この固定された弾性体フィルム上に素子や電子回路を形成する方法がある。素子が形成された弾性体フィルムは、次いで易剥離性接着材層から剥離され、各種電子デバイスとして用いられる。
一方、易剥離性の硬化膜として、硬化性シリコーン組成物を硬化して得られる硬化膜が知られている。この硬化性シリコーン組成物として、特許文献1には、メチルフェニルシロキサン成分を3〜7モル%含有する特定のジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体と、特定のジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体からなるジオルガノポリシロキサンとを特定量含有する混合物と、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、白金系触媒と、有機溶媒とからなる剥離性硬化皮膜形成用シリコーン組成物が記載されている。
また、特許文献2には、ケイ素原子に結合した有機基の少なくとも50%がメチルであり、且つ両末端にオレフィン性炭化水素基を有するジオルガノポリシロキサンと、特定構造の不飽和有機基シロキサンポリマーと、ケイ素原子に結合する水素原子を有する特定構造のポリシロキサンと、白金族金属含有触媒と、抑制剤化合物とを含む硬化性被覆組成物が記載されている。
また、特許文献3には、フェニル基を有するシロキサン単位を0.5〜3モル%含有する特定構造のオルガノポリシロキサンと、フェニル基を有さないオルガノポリシロキサンとの混合物と、ケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、白金又は白金化合物とからなる剥離性被覆用オルガノポリシロキサン組成物が記載されている。
特開平7−82487号公報 特開平6−228501号公報 特開平2−187466号公報
上記特許文献1〜3に記載の組成物は、各種紙材、ラミネート紙、合成樹脂フィルム等の耐熱性の低い基材の表面に硬化膜を形成するために用いられている。上記特許文献1〜3に記載の組成物を、電子デバイスを作製する際に弾性体フィルムを固定するための易剥離性接着材層の形成に用いた場合、電子デバイスの作製時に曝される高温に十分に耐える易剥離性接着材層を形成できないという問題があった。
実際、上記特許文献1〜3に記載の組成物を硬化して形成した易剥離性接着材を300℃程度の高温に曝すと、易剥離性接着材の分解生成物が相当量生じる。この分解生成物は、易剥離性接着材と弾性体フィルムとの界面に気泡を生じさせるなどして、弾性体フイルムの平坦性を乱し、弾性体フィルム表面への回路形成精度を悪化させる原因となる。さらに上記分解生成物は、真空槽や電子デバイスを汚染する原因にもなる。
本発明は、耐熱性に優れた易剥離性接着材を形成するのに好適な硬化性シリコーン組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、耐熱性に優れた易剥離性接着材を提供することを課題とする。また、本発明は、耐熱性に優れた易剥離性接着材層を支持基板上に有する易剥離性接着材層付支持体を提供することを課題とする。また、本発明は、上記易剥離性接着材層付支持体の易剥離性接着材層上に貼り合わせられた弾性体フィルムを、上記易剥離性接着材層付支持体から剥離する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた。その結果、両末端にビニル基を有し、且つ、ジフェニルシロキサン単位を有する特定構造のジオルガノポリシロキサンと、ケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2つ有するオルガノ水素ポリシロキサンと、特定の触媒と、硬化抑制剤とを特定の量比で含有する硬化性シリコーン組成物を硬化して得られる硬化膜が、易剥離性接着材層として機能し、且つ、優れた耐熱性を示すことを見い出した。さらに、この硬化膜を易剥離性接着材層として支持基板上に形成し、この易剥離性接着材層に弾性体フィルム貼り合わせて高温に加熱しても、易剥離性接着材層と弾性体フィルムとの密着性が維持され、さらにその後、弾性体フィルムを特定の方法で剥離すると、弾性体フィルムの引っ張り歪や曲げ歪をより抑えた状態で剥離でき、弾性体フィルムにクラックが生じにくいことを見い出した。本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成させるに至った。
本発明の上記課題は以下の手段により達成された。
〔1〕
下記成分(A)〜(D)を含有する硬化性シリコーン組成物:
(A)下記式(1)で表されるジオルガノポリシロキサン 100質量部
Figure 2016030823
式(1)中、Lは、下記式(1a)で表されるシロキサン単位の少なくとも1つと、下記式(1b)で表されるシロキサン単位の少なくとも1つとから構成される2価のポリシロキサン構造を示す。下記式(1b)中、Phはフェニル基を示す。
Figure 2016030823
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2つ有するオルガノ水素ポリシロキサン 18〜65質量部
(C)白金触媒
(D)硬化抑制剤
〔2〕
上記Lを構成する上記式(1a)で表されるシロキサン単位の数mと、上記Lを構成する上記式(1b)で表されるシロキサン単位の数nとが、7≦100n/(m+n)を満たす、〔1〕に記載の硬化性シリコーン組成物。
〔3〕
成分(D)がジアリルマレエートである、〔1〕又は〔2〕に記載の硬化性シリコーン組成物。
〔4〕
〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の硬化性シリコーン組成物を硬化して得られる易剥離性接着材。
〔5〕
支持基板と、支持基板上に設けられた、〔4〕に記載の易剥離性接着材からなる層とを有する、易剥離性接着材層付支持体。
〔6〕
〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の硬化性シリコーン組成物を支持基板上に塗布した後、硬化性シリコーン組成物を硬化して得られる、〔6〕に記載の易剥離性接着材層付支持体。
〔7〕
上記易剥離性接着材層の表面の一部に凹部が形成されている、〔5〕又は〔6〕に記載の易剥離性接着材層付支持体。
〔8〕
上記凹部の少なくとも一部が等間隔で同形状に配された溝に形成されている、〔7〕に記載の易剥離性接着材層付支持体。
〔9〕
上記の等間隔で同形状に配された溝に形成された領域において、接着材除去領域の割合が10%以上95%以下である、〔8〕に記載の易剥離性接着材層付支持体。
〔10〕
〔5〕〜〔9〕のいずれかに記載の易剥離性接着材層付支持体の易剥離性接着材層に貼り合わせられた弾性体フィルムを、ローラーの表面の一部に密着させながら、ローラーの回転に同期させて剥離する方法であって、
上記弾性体フィルムに第1張力を、上記弾性体フィルムが剥離されるローラー回転方向に印加し、
上記易剥離性接着材層付支持体に、上記弾性体フィルムが剥離する位置において上記弾性体フィルムが剥離されていく方向に力を印加することにより、上記弾性体フィルムに第2張力を印加する、剥離方法。
〔11〕
上記第1張力をTf、上記第2張力をTbとして、Tf/2≦Tb<Tfを満たす、〔10〕に記載の剥離方法。
〔12〕
上記ローラーの半径rが、上記弾性体フィルムの厚みをtとして、t/(2r)<0.001を満たす、〔10〕又は〔11〕に記載の剥離方法。
〔13〕
上記弾性体フィルムが、アルミニウム材の少なくとも片方の表面に陽極酸化アルミニウム層を形成した陽極酸化アルミニウムフィルムである、〔10〕〜〔12〕のいずれかに記載の剥離方法。
〔14〕
上記陽極酸化アルミニウム層の厚みが2μm以上である、〔13〕に記載の剥離方法。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、易剥離性接着材(層)の「易剥離性」とは、接着材表面に接着した被接着体を、ある程度の外力を加えることにより接着材から剥離することができる性質を意味する。
本発明の硬化性シリコーン組成物は、これを硬化させることにより、耐熱性に優れた易剥離性接着材を得ることができる。また、本発明の易剥離性接着材は、耐熱性に優れる。さらに、本発明の易剥離性接着材層付支持体は、優れた耐熱性を有し、弾性体フィルムを固定して電子デバイスを作製するのに好適に用いることができる。また、本発明の剥離方法によれば、上記易剥離性接着材層付支持体の易剥離性接着材層上に貼り合わせられた弾性体フィルムを易剥離性接着材層から剥離する際に、弾性体フィルムにクラックが生じにくい。
本発明の剥離方法の好ましい一実施形態を示す説明図である。(a)は、本発明の剥離方法を剥離装置を用いて実施している形態を、剥離装置の正面から見た図であり、(b)は、上記の形態を、剥離装置の上から見た図である。 図1の易剥離性接着材層33の表面に形成される凹部のパターン例を示した図面である。(a)は凹部が剥離方向と異なる方向に配された一例の平面図である。(b)は凹部が剥離方向と平行に配された一例の平面図である。(c)は凹部が剥離方向及び剥離方向と直角の方向に配された一例の平面図である。各図中の黒塗りの部分が凹部を表す。 剥離装置を用いて弾性体フィルムを剥離する方法を示す説明図である。(a)〜(c)はいずれも、本発明の剥離方法を剥離装置を用いて実施している形態を、剥離装置の正面から見た図であり、(a)は剥離開始直後の状態を示し、(b)及び(c)は剥離途中の状態を示す。 剥離装置を用いて弾性体フィルムを剥離する方法を示す説明図である。本発明の剥離方法を剥離装置を用いて実施している形態を、剥離装置の正面から見た図であり、剥離終了直後の状態を示す。 本発明の剥離方法の別の実施形態を示す説明図である。(a)〜(c)はいずれも、本発明の剥離方法を剥離装置を用いて実施している形態を、剥離装置の正面から見た図であり、(a)は剥離開始直後の状態を示し、(b)は剥離途中の状態を示し、(c)は剥離終了直後の状態を示す。 ローラーと弾性体フィルムとの間隔を示す説明図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[硬化性シリコーン組成物]
<(A)ジオルガノポリシロキサン>
本発明の硬化性シリコーン組成物は、下記式(1)で表されるジオルガノポリシロキサン(成分(A))を含有する。
Figure 2016030823
式(1)中、Lは、下記式(1a)で表されるシロキサン単位の少なくとも1つと、下記式(1b)で表されるシロキサン単位の少なくとも1つとから構成される2価のポリシロキサン構造を示す。
Figure 2016030823
上記式(1b)中、Phはフェニル基であり、好ましくは無置換のフェニル基である。
上記式(1)のジオルガノポリシロキサンにおいて、Lを構成する式(1a)で表されるジメチルシロキサン単位の数mと、Lを構成する上記式(1b)で表されるジフェニルシロキサン単位の数nとが、7≦100n/(m+n)を満たすことが好ましく、より好ましくは、10≦100n/(m+n)である。また、100n/(m+n)の上限値に特に制限はないが、100n/(m+n)≦50が好ましく、100n/(m+n)≦30がより好ましく、100n/(m+n)≦20がさらに好ましい。すなわち、上記100n/(m+n)は、7〜50がより好ましく、7〜30がさらに好ましく、7〜20がさらに好ましく、10〜20がさらに好ましい。上記好ましい範囲とすることで、耐熱性と易剥離性をより高いレベルで両立した硬化膜を形成することができる。
上記式(1)で表されるジオルガノポリシロキサンの動粘度は、500〜10000(mm/s)であることが好ましい。この動粘度は、ウベローデ粘度計を用い、JIS Z8803(2011)に準拠し、25℃で測定される値である。
上記式(1)で表されるジオルガノポリシロキサンはランダムポリマーでもよく、ブロックポリマーでもよい。
<(B)オルガノ水素ポリシロキサン>
本発明の硬化性シリコーン組成物は、ケイ素原子に結合した水素原子を複数個(少なくとも2つ)有するオルガノ水素ポリシロキサン(成分(B))を含有する。
このオルガノ水素ポリシロキサンは、上記成分(A)のジオルガノポリシロキサンが有するビニル基と付加反応し、架橋剤として機能する。本発明に用いるオルガノ水素ポリシロキサンは、SiH濃度が1〜10mM/gであることが好ましい。また、オルガノ水素ポリシロキサン分子中には、ケイ素原子に結合したメチル基と、ケイ素原子に結合したフェニル基の両方が含まれることが好ましい。この場合において、ケイ素原子に結合した水素原子以外の基は、好ましくはメチル基又はフェニル基である。当該メチル基及びフェニル基は好ましくは無置換である。
上記オルガノ水素ポリシロキサンは直鎖状でもよいし、分岐構造を有してもよいし、環状であってもよい。
上記オルガノ水素ポリシロキサンの動粘度は、1〜500(mm/s)であることが好ましい。この動粘度は、ウベローデ粘度計を用い、JIS Z8803(2011)に準拠し、25℃で測定される値である。
本発明の硬化性シリコーン組成物中、成分(B)のオルガノ水素ポリシロキサンの含有量は、成分(A)のジオルガノポリシロキサンの含有量100質量部に対して18〜65質量部であり、好ましくは25〜60質量部であり、より好ましくは30〜50質量部である。
<(C)白金触媒>
本発明の硬化性シリコーン組成物は触媒量の白金触媒(成分(C))を含有する。本発明において白金触媒は、本発明の硬化性シリコーン組成物の硬化を促進する触媒として用いる。上記白金触媒としては、白金、塩化白金酸、白金黒、塩化白金酸と各種オレフィンとの錯体、塩化白金酸とアルケニルシロキサンとの錯体等を挙げることができる。白金触媒は各種担体に白金触媒を担持させて用いることもできる。
本発明の硬化性シリコーン組成物中、白金触媒の含有量は触媒量であり、好ましくは、成分(A)のジオルガノポリシロキサン及び成分(B)のオルガノ水素ポリシロキサンの総含有量に対して1〜1000ppm(質量基準)であり、より好ましくは50〜200ppmである。
<(D)硬化抑制剤>
本発明の硬化性シリコーン組成物は、硬化抑制剤(成分(D))を含有する。硬化抑制剤は、室温(例えば5〜40℃程度の温度)において、白金触媒の触媒活性を抑制する作用を示す。硬化抑制剤(白金触媒活性の抑制剤)に特に制限はなく、従来公知の硬化抑制剤を用いることができる。硬化抑制剤として例えば、有機窒素化合物、有機リン化合物、アセチレン化合物、オキシム化合物、有機塩素を用いることができる。また、特開平6−228501号公報の段落[0036]〜[0038]に記載された硬化抑制剤を用いることも好ましい。なかでも、ジアリルマレエートは本発明における硬化抑制剤として好適である。
本発明の硬化性シリコーン組成物中、上記硬化抑制剤の含有量は室温又はその付近の温度下において、白金触媒の触媒活性を抑制し、高温においては硬化反応を妨げない量とすることが好ましい。本発明の硬化性シリコーン組成物中の上記硬化抑制剤の含有量は、白金触媒の量や種類、成分(A)及び(B)の量や物性、あるいは他の任意成分の存在によって適宜に調整される。また、必要とする室温保存期限によっても異なるが、通常、本発明の硬化性シリコーン組成物中の上記硬化抑制剤の含有量は、成分(A)のジオルガノポリシロキサンの含有量100質量部に対して2〜10質量部がより好ましい。
本発明の硬化性シリコーン組成物は、上記成分(A)〜(D)からなる構成でもよいし、上記成分(A)〜(D)以外の成分を含有してもよい。例えば、本発明の硬化性シリコーン組成物に塗布加工時の粘度調整のために、有機溶剤を含有させることができる。この有機溶剤は上記成分(A)〜(D)に対して不活性な溶剤であり、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素化合物や、塩素化炭化水素化合物を用いることができる。
また、本発明の硬化性シリコーン組成物は、無機充填剤(例えば粉末シリカ)、顔料、耐熱性添加剤、有機樹脂粉末、染料等を含有してもよい。
本発明の硬化性シリコーン組成物の調製は、上記成分(A)〜(D)を含む各成分を均質に混合することにより得ることができる。各成分の混合順に特に制限はない。
本発明の硬化性組成物は、各成分の一部を混合した2種以上の組成物を調製し、使用前にこれらの各組成物を均質に混合して得ることも好ましい。例えば、成分(A):成分(B)=20:80〜50:50の比(質量比)で混合した組成物(第1剤)を調製し、これとは別に、成分(A)と成分(C)と成分(D)とを混合した組成物(第2剤)を調製し、第1剤と第2剤を均質に混合して本発明の硬化性シリコーン組成物を得ることができる。こうすることで、第1剤の保存時における硬化反応の進行を抑えることができるため、保存時間を長くできる。
[易剥離性接着材層付支持体]
本発明の易剥離性接着材層付支持体は、支持基板と、この支持基板上に設けられた易剥離性接着材からなる層(以下、「易剥離性接着材層」という。)とを有する。本発明の易剥離性接着材層付支持体は、フレキシブル電子デバイスの製造において、素子を形成する弾性体フィルムを固定する用途に好適に用いられる。
本発明の易剥離性接着材層付支持体は、本発明の硬化性シリコーン組成物を支持基板上に塗布した後、塗布された硬化性シリコーン組成物を硬化して易剥離性接着材とすることで得ることができる。例えば、本発明の硬化性シリコーン組成物を各種支持基板表面に塗布し、加熱あるいは化学線照射により硬化すれば、支持基板上に易剥離性接着材層が設けられた易剥離性接着材層付支持体を得ることができる。
易剥離性接着材層の厚みは10〜500μmが好ましく、30〜100μmがより好ましい。
易剥離性接着材層に後述する弾性体フィルムを圧着することで、弾性体フィルムを易剥離性接着材上に固定することができる。
硬化性シリコーン組成物を硬化するための上記加熱は、赤外線照射、熱空気暴露、あるいはマイクロ波照射により実施することができる。本発明の硬化性シリコーン組成物は、150℃以上に加熱することにより急速に硬化反応を生じる。通常は150〜300℃の温度下で、20分間程度加熱することにより硬化させる。塗布加工時に溶剤を含有させた場合は、100℃程度で事前加熱を行い、溶剤を気散させても良い。残留溶剤や不可避的に存在する低分子量成分の完全な気散のために、より高温で後加熱を行っても良い。これは、電子デバイスの製造工程で最も高温になった際にでも、ガス発生による膨れ等の概観異常を発生させないために有効である。
また、硬化性シリコーン組成物を硬化するための上記化学線には、紫外線、電子線、α線、β線、γ線及びx線が含まれる。化学線のエネルギーは、硬化反応が進行すれば特に制限はない。
本発明の易剥離性接着材層付支持体の調製において使用する上記支持基板に特に制限はなく、例えば、ガラス、金属、セラミックス、繊維強化プラスチックを挙げることができる。温度に対する寸法安定性や、液晶ディスプレイの製造工程とのマッチングの点では、ガラスが好ましい。また支持基板の厚さやサイズは、使用される電子デバイスの製造方法により適宜選択される。
本発明の硬化膜の形成において、本発明の硬化性シリコーン組成物を支持基板上に塗布する方法に特に制限はない。例えば、スピンコーティング、はけ塗り、押し出し、吹き付け、オフセットグラビヤ、キスロール、エアナイフ、マルチロール塗布機を用いて塗布することができる。
本発明の易剥離性接着材層付支持体を構成する易剥離性接着材層は、接着性表面の一部に凹部が形成されていることが好ましい。この凹部の態様については後述する。
本発明の易剥離性接着材層付支持体は、その易剥離性接着材層が耐熱性に優れる。したがって本発明の易剥離性接着材層付支持体は、弾性体フィルムを用いた電子デバイスの作製において、弾性体フィルムを固定する用途に好適に用いることができる。本発明の易剥離性接着材層付支持体は、弾性体フィルムを固定した状態で150℃〜350℃の温度に曝される態様で用いられることが好ましい。上記のような高温条件に曝されても、易剥離性接着材層は熱分解しにくい。
[剥離方法]
本発明の剥離方法は、本発明の易剥離性接着材層付支持体の易剥離性接着材層に貼り合わせられた弾性体フィルムを、ローラーの表面の一部に密着させながら、このローラーの回転に同期させて剥離する方法であって、
上記弾性体フィルムに第1張力を、上記弾性体フィルムが剥離されるローラー回転方向に印加し、
上記易剥離性接着材層付支持体に、上記弾性体フィルムが剥離する位置において上記弾性体フィルムが剥離されていく方向に力を印加することにより、上記弾性体フィルムに第2張力を印加する。
本発明の剥離方法の好ましい実施形態について、図面を参照し、以下に説明する
図1に示すように、本発明の剥離方法では、弾性体フィルム31をローラー13の表面の一部に密着させながら弾性体フィルムの端部31aに矢印で示した第1張力Tfを印加する。また、支持基板30に、弾性体フィルム31が剥離する位置において弾性体フィルム31が剥離されていく方向を示す矢印N方向に矢印で示した力Fを印加し、弾性体フィルムに矢印で示した第2張力Tbを印加する剥離方法である。
また、本発明の剥離方法に用いる剥離装置10は、弾性体フィルム31が貼り合わせられた支持基板30を固定する支持手段としての支持台11を備え、支持基板30と弾性体フィルム31が貼り合わせられている貼合面32の少なくとも一方向に対して相対的に移動可能で、貼合面32と平行に回転軸Xを持つローラー13を備える。そして弾性体フィルム31の端部31aをローラー13の表面の一部に密着させながらローラー13の回転に同期させ、弾性体フィルム31が剥離されるローラー回転方向を示す矢印R方向に第1張力Tfを印加する。第1張力Tfは矢印R方向かつローラー13表面の接線方向を示す矢印M方向に印加されることがより好ましい。さらに支持基板30に弾性体フィルム31が剥離する位置において弾性体フィルム31が剥離される方向に矢印で示した力Fを印加することで、支持台11と弾性体フィルム31とを相対的に移動させて支持基板30を介して弾性体フィルム31に第2張力Tbを印加するものである。ここで、ローラー13の回転に同期させるとは、弾性体フィルム31がローラー13の表面を滑ることなく、回転するローラー13の表面に追従することを意味する。
支持台11は、支持基板30が載置される面積を有する支持面12を有し、直交座標系のx、y、z方向に、図示していない駆動装置によって移動可能に構成されている。例えば、支持面12はxy平面に平行に配されている。支持基板30は、固定手段15、16、17によって支持台11の支持面12上に固定される。固定手段15ないし17としては、クランプが挙げられる。また、支持面12に支持基板30を吸着させる真空吸着を用いることも可能である。支持台11と支持基板30と弾性体フィルム31が一体となった状態で、第2張力Tbを印加する。
ローラー13は、回転軸X周りに回転する駆動軸14の周囲に形成されている。回転軸Xは、支持面12に平行に、言い換えれば貼合面32に平行に、例えばx方向と平行に配されている。駆動軸14の両端は軸受18、19によって回転自在に支持されている。駆動軸14の一方端は図示していない回転駆動部に接続されている。回転駆動部としてはモーターが挙げられ、駆動軸14の一方側はモーターの駆動軸に直接接続されているか、又は図示していない回転伝達部を介して接続されている。回転伝達部にはベルト伝動、歯車伝動等の回転伝達手段が挙げられる。
弾性体フィルム31は、その端部31aのところでローラー13に固定されている。第1張力Tfは回転駆動によってローラー13に与えられるトルクとローラー13の半径rの積を弾性体フィルム31の幅wで割った値で与えられる。
弾性体フィルム31はローラー13に必ずしも固定しておく必要なく、ローラー13は回転駆動部に接続されていなくてもよい。その場合はクランプ等で弾性体フィルム31に第1張力Tfを与えることが可能で、後述の図5を使用して説明する。
ローラー13には、例えば、ゴムローラー、金属ローラー等を用いることができる。また、弾性体フィルム31と支持基板30の硬さの違いにより、ローラー13の材質の適正が問題になり、うまく剥離できるかどうかがローラー13の材質に左右されることもある。そのため、ローラー13は様々なものを選択できる方が好ましい。例えばゴムの場合では、ゴム硬度が高い方が良い場合、硬度が低くてやわらかい方が良い場合のいずれも考えられる。従って、それぞれ性質の異なる複数のローラーと、複数のローラーのうち1つをローラー13として剥離のために選択する手段と、を含む剥離装置10とし、想定される剥離対象に合わせて、予め条件に見合った材質のローラーを選択できるとさらに好ましい。
また、ローラー13の表面は弾性体フィルム31の図示はしていないデバイス機能を持った面と接するため、鏡面である方が好ましい。
ローラー13の半径rは適宜選択され、弾性体フィルム31の厚みをtとして、t/(2r)<0.001を満たすことが好ましい。
第1張力Tfと第2張力Tbは、Tf/2≦Tb<Tfの関係を満たすことが好ましい。第2張力Tbが小さ過ぎると、剥離中に弾性体フィルム31がローラー13の表面から離れ、局所的な曲げ歪が加わって、弾性体フィルム31に座屈やクラック等の異常を生じる恐れがある。第2張力Tbが第1張力Tf以上となると、そもそも剥離が進行しない。
なお、第1張力Tfは弾性体フィルム31の弾性変形範囲内の張力としておく必要がある。
本明細書において、「弾性体フィルム」とは、少なくとも0.1%の弾性変形歪においてもクラックや破断等の異常を生じないものとする。同一の材質であっても、厚みの薄いフィルムは可撓性が高く、厚みの厚いフィルムは可撓性が低い。厚さtのフィルムの曲率半径rにおける曲げ歪は、t/(2r)と定義される。例えば、厚さ100μmのフィルムの曲率半径5cmにおける曲げ歪は、0.1%である。
弾性体フィルム31の厚みは、ハンドリングするために適度な剛性が必要なため、2μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることがさらに好ましい。さらにフレキシブル電子デバイスの基板として好適な可撓性を維持するという観点から、300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。
弾性体フィルム31は、例えば、ポリイミドフィルムやPETフィルム等の樹脂フィルムの他、金属箔や薄ガラス等の薄い無機材料を用いることができる。電子デバイス用の基板としては、耐熱性や適度な剛性を有する絶縁層付き金属フィルムを用いることが好ましい。
絶縁層付き金属フィルムとしては、例えば、特開2011−181887号公報に記載されているような、アルミニウム材の少なくとも片方の面に絶縁層として陽極酸化アルミニウム(AAO)が形成された陽極酸化アルミニウムフィルムを挙げることができる。アルミニウム材はアルミニウムのみであってもよく、アルミニウムと鉄鋼の積層構造になっていてもよい。剛性と可撓性に適度なバランスがあり、且つ軽量性という点では、アルミニウム材の両面に絶縁層として陽極酸化アルミニウムの陽極酸化膜が形成されたものが、最も好ましく使用できる。陽極酸化膜の厚みは、求められる絶縁性能によっても異なり、適度な剛性を有するために2μm以上であることが好ましい。厚みの上限は、全体の剛性が高くなることを抑制して、可撓性に優れる弾性体フィルム31であるという観点から、30μm以下であることが好ましい。
この様な構造を有する絶縁層付き金属フィルムは、無機材料で構成されているため、弾性変形限界が低く、より大きな歪を加えると塑性変形や破断を生じる。アルミニウム材の両面に2μmから30μmの陽極酸化膜を形成した絶縁層付き金属フィルムでは、室温における弾性変形限界は、基板の層厚さによらず0.3%程度である。弾性歪0.3%になる張力はアルミニウム材のアルミニウム層と陽極酸化膜の厚さにより異なる。
総厚さ40μmで陽極酸化膜の厚さが2μm(このときアルミニウムの厚さは36μm)のとき、弾性歪0.3%になる張力は単位幅あたり10N/cm程度である。
また、総厚さ40μmで陽極酸化膜の厚さが10μm(このときアルミニウム層の厚さは20μm)のとき、弾性歪0.3%になる張力は単位幅あたり30N/cm程度である。
本発明の剥離方法に好適に用いることのできる弾性体フィルム31は、上記に限らない。絶縁層付き金属フィルムと同様に弾性変形能の小さい、例えばシリコン(Si)ウェハー等も好適に適用可能である。また、本発明の剥離方法は、弾性体フィルム31に電子回路を形成したフレキシブル電子デバイスの剥離手段としても好適に用いることができる。すなわち、本発明の剥離方法において「弾性体フィルム」とは、弾性体フィルムのみならず、弾性体フィルム上に電子回路等が形成されたフレキシブル電子デバイスをも含む意味に用いる。
このときは、支持基板30上に形成した易剥離性接着材層33に弾性体フィルム31を固定した状態で、半導体プロセスと同様に電子回路形成を毎葉処理し、接着材層付支持基板からフレキシブル電子デバイスを剥離する手段として用いることができる。
易剥離性接着材層付支持体30Aは、支持基板30の片方の面に耐熱性に優れた易剥離性接着材層33を有している。
易剥離性接着材層33の表面(弾性体フィルムが接着する側の表面)の一部は凹部に形成されていることが好ましい。表面の一部が、凹部に形成されていることから、接着面積が低減され、接着力を抑制することができる。このため、弾性体フィルム31に印加される第1張力Tfも抑制でき、ひいては実際の電子デバイス製造後に剥離を行う場合においても、破断、クラック等のデバイス破壊を抑制することができる。
凹部の深さは、局所的な非接着部を形成することが目的で有り、5μm以上もあれば良い。凹部の部分の易剥離性接着材層33の厚さ全てが除去されていてもなんら問題は無い。
易剥離性接着材層33が形成されている面を平面視した凹部の形状は、x方向及びy方向のいずれか又は両方向に等間隔で同一形状に形成されたものが好ましい。これにより、局所的な接着力が平均化され、剥離時の異常を防止できる。
凹部の一配置例として、図2(a)に示すように、易剥離性接着材層33の表面の一部に、凹部34が支持基板30上の一方向に溝形状で形成されている。この図示例では、溝形状の凹部34が、弾性体フィルム31の剥離方向と異なる方向、すなわち剥離方向に対して直角方向に配されている。
また凹部の一配置例として、図2(b)に示すように、易剥離性接着材層33の表面の一部に、凹部34が支持基板30上の剥離方向と同一方向に溝形状で形成されている。
易剥離性接着材層33の表面の少なくとも一部の凹部が弾性体フィルムの剥離方向と平行に配された溝に形成されていることから、剥離位置に寄らず接着力は一定となる。このため、弾性体フィルムをより安定して剥離することができる。
さらに凹部の一配置例として、図2(c)に示すように、易剥離性接着材層33の表面の一部に、凹部34が、支持基板30上の剥離方向及びその剥離方向と直角な方向の2方向に、等間隔の溝形状で形成されている。
溝形状の凹部34が配されている領域は、溝幅が広いと弾性体フィルム31が撓むおそれがある。この点を考慮すると、溝幅が500μm以下に配されていることが好ましく、より好ましくは200μm以下に配されている。また、溝幅が狭いと接着力低減のために多くの溝が必要になり、生産効率が低下する。したがって、溝幅が5μm以上に配されていることが好ましく、より好ましくは50μm以上に配されている。
また、接着力を維持しつつ接着力を適度に低減させるという観点から、易剥離性接着材層33の表面において、接着材除去領域の割合(除去率ともいう。)が10%以上95%以下であることが好ましく、40〜60%がより好ましい。
ここで除去率とは、易剥離性接着材層33上の弾性体フィルム31の貼り付け部分の面積に対する凹部34の面積率(弾性体フィルムと密着しない部分の面積率)を意味している。前述の等間隔で凹部34を形成する場合、溝幅をWとし、溝間隔(溝ピッチ)をPとすると、一方向の溝形成では除去率はW/P、直行方向の溝形成では除去率は(P−(P−W))/P となる。
また、凹部34を形成する場合、易剥離性接着材層33と弾性体フィルム31の間に隙間ができる。そのため、弾性体フィルム31の周縁部に対応する部分に凹部が形成されていると、フレキシブル電子デバイスの製造プロセス中に隙間からガスや液体の出入りが起き、プロセス環境の汚染や弾性体フィルム31の脱離などの悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、易剥離性接着材層33の、弾性体フィルム31の周縁部に対応する部分には凹部が形成されていない方が好ましい(すなわち、弾性体フィルム31の周縁部と易剥離性接着材層33とは密着していることが好ましい)。易剥離性接着材層表面において、弾性体フィルム31の周縁部において、易剥離性接着材層と密着している部分の幅は、好ましくは1mm以上30mm以下である。幅が狭過ぎると液浸入等の問題が起き易く、広過ぎるとその部分の接着力が上がり、剥離時に異常を生じる可能性が有り、その場合は製造ロスとなる。
凹部34の形成には、例えばレーザー加工を用いることができる。なお凹部34の加工方法はレーザー加工に限らない。
レーザー加工においては、形成したい画像をデジタル型のデータとしてコンピューターを利用してレーザー加工装置を操作し、支持基板30の易剥離性接着材層33上に凹部の画像を作成する。
レーザー加工に用いるレーザー光は、易剥離性接着材層33が吸収を有する波長を含むものであればどのようなものを用いてもよい。加工を高速度で行うためには出力の高いものが好ましく、炭酸ガスレーザー光、YAGレーザー光、半導体レーザー光、ファイバーレーザー光等の赤外線もしくは近赤外線領域に発振波長を有するレーザー光が好ましく用いられる。また、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザー光、例えば、エキシマレーザー光、第3もしくは第4高調波へ波長変換したYAGレーザー光、銅蒸気レーザー光等は、有機分子の結合を切断するアブレーション加工が可能であり、微細加工に適する。フェムト秒レーザー光など極めて高い尖頭出力を有するレーザー光を用いることもできる。また、レーザー光は連続照射でも、パルス照射でもよい。
レーザー加工は、酸素含有ガス下で実施することが好ましく、空気存在下又は気流下に実施することがより好ましい。加工終了後、支持基板30の易剥離性接着材層33にわずかに発生する粉末状又は液状の物質は適当な方法、例えば溶剤や界面活性剤の入った水等で洗いとる方法、高圧スプレー等により水系洗浄剤を照射する方法、高圧スチームを照射する方法などを用いて除去する洗浄工程(リンス工程)を有してもよい。
易剥離性接着材層付支持体30Aには位置合わせ(アライメント)のための目印(マーキング)等を設けても良い。弾性体フィルム31と易剥離性接着材層付支持体30Aが一体化して電子デバイスの製造工程に投入されるため、回路パターン形成の際に位置合わせが容易になる。
易剥離性接着材層付支持体30Aに弾性体フィルム31を貼り合わせる方法は一般的な方法でよい。
真空容器内で減圧して貼り合わせる方法や高圧容器内で加圧して貼り合わせる方法やローラーで加圧する方法を用いることができる。弾性体フィルム31と易剥離性接着材層33に均一な圧力が加わることによって、接着力が均一となり安定した剥離ができる。
貼り合わせ後、支持基板30に弾性体フィルム31が固定された状態で、電子デバイスの製造工程を行い、その後剥離する。
以下、上記剥離装置10を用いた弾性体フィルム31の剥離方法について、図3及び4を参照して説明する。
図3(a)に示すように、モーターに接続され駆動能力が与えられるローラー13に弾性体フィルム31の端部31aを固定する。固定する際は弾性体フィルム31と支持基板30上の易剥離性接着材層33との間にナイフ状のものを挿入し、易剥離性接着材層33から弾性体フィルム31の端部31aを剥離し、その端部31aをローラー13の表面に固定する。端部31aがあらかじめ支持基板30より外側にはみ出している場合はその部分をローラー13に固定する。固定は、例えば図示していないテープで弾性体フィルム31の端部31aをローラー13の表面に貼り付けて固定する。弾性体フィルム31の端部31aは、弾性体フィルム31の長手方向の一端面及びその近傍をいう。
そしてローラー13が矢印R方向に回転を始めることでローラー13の表面に固定された弾性体フィルム31に、第1張力Tfが印加される。この第1張力Tfは、回転駆動部によってローラー13に与えられるトルクとローラー13の半径rの積を弾性体フィルム31の幅wで割った値として求められる。すなわち、第1張力Tfは、弾性体フィルム31が剥離される位置において、弾性体フィルム31が剥離されるローラー回転方向Rかつローラー表面の接線方向を示す矢印M方向に印加される。同時にローラー13が一定箇所で回動する場合は空圧、錘などを利用することによって、矢印A方向に動かそうとする力が支持台11に加えられ、支持台11と弾性体フィルム31とが相対的に移動し、支持基板30及び易剥離性接着材層33を介して弾性体フィルム31に第2張力Tbが印加される。すなわち、第2張力Tbは弾性体フィルム31が剥離されていく方向に印加される。
ローラー13が矢印R方向に回転して行くに従い、図3(b)、(c)に示すように、弾性体フィルム31が支持基板30から連続的に剥離されていくとともに、ローラー回転に同期して弾性体フィルム31がローラー13の表面に巻き付けられていく。このとき、弾性体フィルム31が剥離されていくようにローラー13表面の接線方向を示す矢印M方向に、弾性体フィルム31に第1張力Tfが印加されるとともに、第2張力Tbが印加され続ける。
剥離装置10を用いた剥離方法によれば、弾性体フィルム31をローラー13の表面の一部に密着させながらローラー13の回転に同期させ、弾性体フィルム31に、矢印M方向に第1張力Tfを印加する。さらに支持手段としての支持台11と弾性体フィルム31とを相対的に移動させて支持基板30を介して弾性体フィルム31に第2張力Tbを印加する。具体的には、一例として、支持台11を弾性体フィルム31の剥離方向に移動させて支持基板30及び易剥離性接着材層33を介して弾性体フィルム31に第2張力Tbを印加する。この第2張力Tbの印加により、弾性体フィルム31の破断やクラックや弾性体フィルム31上に作製された電子デバイスの破壊を引き起こすことなく、易剥離性接着材層33から弾性体フィルム31を剥離することができる。
このような剥離動作によれば、易剥離性接着材層付支持体30Aと弾性体フィルム31の剥離角度が一定の角度に保持されるので、弾性体フィルム31上に形成されたデバイスを弾性変形の範囲内に抑えて、弾性体フィルム31を剥離することができる。
剥離装置10を用いた剥離方法によれば、第1張力をTf、第2張力をTbとして、Tf/2≦Tb<Tfを満たすことが好ましい。これにより、弾性体フィルム31の曲げ歪や引張り歪をより抑えた状態で、易剥離性接着材層33から弾性体フィルム31を剥離できる。
剥離装置10を用いた剥離方法によれば、ローラー13の半径rは、弾性体フィルム31の厚みをtとして、t/(2r)<0.001を満たすことが好ましい。特に絶縁層付き金属フィルムのように弾性変形能が小さく、すぐ塑性変形する弾性体フィルム31、もしくは脆性的に破壊し易い弾性体フィルム31においても、塑性変形及び脆性破壊することなく、易剥離性接着材層33から電子デバイスの形成された弾性体フィルム31を剥離できる。
また剥離装置の別の実施形態として、図5に示した構成であってもよい。
図5(a)に示すように、剥離装置40は、弾性体フィルム31が図示していない易剥離性接着材層を介して貼り合わせられた支持基板30を固定する支持手段としての支持台11を備え、支持台11の支持面12の少なくとも一方向に対して相対的に移動可能で、支持面12と平行に、言い換えれば支持基板30と弾性体フィルム31の貼合面32と平行に、回転軸X1、X2を持ち回転駆動部を有しないフリーローラー41、42を備える。フリーローラー41は矢印R1方向に回転し、フリーローラー42はフリーローラー41とは逆の矢印R2方向に回転する。
弾性体フィルム31の一端には、リーダー35の一端が図示していないテープで固定され、フリーローラー41、42に接するようにフリーローラー41、42間にリーダー35が通され、リーダー35の他方の端部が図示していない固定手段としてのクランプに固定されている。リーダー35はフィルム状のものである。リーダー35の端部はクランプされることによって固定される。又は、ローラーやベルト等に固定するなど別種の固定手段を用いてもよい。リーダー35が矢印B方向に引っ張られることにより、弾性体フィルム31に第1張力Tfが印加される。一方、支持台11には矢印C方向の力を印加し、支持台11と弾性体フィルム31とを相対的に移動する。その力が、支持台11に固定された支持基板30及び図示していない易剥離性接着材層を介して弾性体フィルム31に作用し、矢印C方向、すなわち、弾性体フィルム31が剥離されていく方向に第2張力Tbが印加される。
そして図5(b)に示すように、2つのフリーローラー41、42が矢印D方向に移動することによって支持台11や図示していない支持基板30の固定手段が移動することなく省スペースで剥離できる。支持基板30の固定手段には、一例として、クランプを用いることができ、その他の固定手段であってもよい。
図5(c)に示すように、剥離が完了すると第2張力Tbが働かなくなるため第1張力Tfも自重によるもの以外は働かなくなる。必要に応じて弾性体フィルム31の最後に剥離された端部をフリーローラー41の表面に固定する。
本発明を実施例に基づき以下にさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[原料]
<成分(A)>
(a)Andisil SF 1721(Anderson&Associates,LLC製)
(b)Andisil SF 2430(Anderson&Associates,LLC製)
(c)PDV−1625(Gelest,Inc.製)
(d)Andisil SF 2465(Anderson&Associates,LLC製)
(e)PDV−0525(Gelest,Inc.製)
(f)DMS−V25(Gelest,Inc.製)
(g)PDS−1615(Gelest,Inc.製
(h)PMV−9925(Gelest,Inc.製
上記成分(A)のうち(a)〜(e)は、式(1)の構造のジオルガノポリシロキサンである。(g)は下記式(PDS−1615)の構造の末端シラノール基を有するジメチルジフェニルシロキサンコポリマーである。(h)は下記式(PMV−9925)の構造の末端ビニル基を有するジメチルシロキサンとメチルフェニルシロキサンのコポリマーであり、メチルフェニルシロキサン単位の比率が99%である。
ジフェニルシロキサン単位の比率(100n/(m+n))を表1に示した。(a)〜(d)は、7≦100n/(m+n)であり、(e)は4≦100n/(m+n)≦6、(g)は14≦100n/(m+n)≦18である。(f)はジメチルシロキサンポリマーであるため0(ゼロ)と記載している。
Figure 2016030823
Figure 2016030823
上記式中、p〜sはシロキサン単位の数を示す。
<成分(B)>
Andisil XL 2450(Anderson&Associates,LLC製)
<成分(C)>
塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンとから形成される溶解性の白金錯体
<成分(D)>
ジアリルマレエート
[調製例1] 硬化性シリコーン組成物の調製
上記各原料を室温下で、下記表1に記載の配合量(単位:質量部)で均質に混合し、硬化性シリコーン組成物50gを得た(実施例1−1〜1−15、比較例1−1〜1−15)。下記表1中、成分(A)の「番号」は、成分(A)として用いた上記原料(a)〜(h)に対応する。また、成分(C)は、成分(A)と成分(B)の合計量に対して100ppm(質量基準)となる量で配合した。
Figure 2016030823
[調製例2] 易剥離性接着材層付支持体の調製
上記調製例1で調製した硬化性シリコーン組成物をガラス基板(縦×横×厚み=100mm×100mm×0.5mm)上にスピンコータを用いて塗布した(2000rpm、20秒間)。この塗布基板を150℃で10分間、次いで250℃で5分間、さらに350℃で15分間加熱して、ガラス基板上に、ガラス基板表面と同面積で、厚み30〜100μmの易剥離性接着材層を有する易剥離性接着材層付支持体を得た。
[試験例1] 耐熱性試験
上記調製例2で得られた易剥離性接着材層付支持体の易剥離性接着材層に、ポリイミドフィルム(縦×横×厚み=80mm×80mm×50μm)を貼り合わせて、易剥離性接着材層とポリイミドフィルムとの間に気泡が存在しない状態で密着させた。次いでこれを、真空中、下記表2に示す温度で60分間加熱した。その後、易剥離性接着材層とポリイミドフィルムとの間に気泡が生じているか目視で調べた。気泡が生じなかった場合をA、気泡が生じていた場合をBとし、結果を下記表2に示す。気泡が生じている場合、易剥離性接着材層が熱分解して分解生成物が生じていることを意味する。
Figure 2016030823
表2に示されるように、成分(A)のジオルガノポリシロキサンの構造が本発明の規定外である場合、並びに、本発明で規定するジオルガノポリシロキサンを用いた場合であっても、成分(A)と成分(B)の量比が本発明で規定する範囲外である場合には、300℃の加熱により易剥離性接着材層とポリイミドフィルムとの間に気泡が生じており、耐熱性に劣る結果となった(比較例2−1〜2−15)。
これに対し本発明の規定を満たす実施例2−1〜2−15の各易剥離性接着材層付支持体は、300℃もの高温に曝しても、易剥離性接着材層とポリイミドフィルムとの間に気泡が生じず、耐熱性に優れることがわかった(実施例2−1〜2−15)。また、成分(A)として、ジフェニルシロキサン単位の割合が多く、7≦100n(m+n)を満たすジオルガノポリシロキサンを用いることにより、加熱温度を350℃まで上げても熱分解しにくい易剥離性接着材層を形成できることがわかった(実施例2−1〜2−12)。
なお、上記表2の結果はTDS分析(昇温脱離ガス分析)によっても再現された。すなわち、各易剥離性接着材層付支持体を350℃のTDS分析にかけた結果、各マスナンバーにおけるイオンカレントの大きさが、〔実施例2−1〜2−12〕<〔実施例2−13〜2−15〕<〔比較例2−1〜2−15〕となり、実施例2−1〜2−12の易剥離性接着材層付支持体が、350℃もの高熱によっても熱分解が生じにくいことが、TDS分析によっても裏付けられた。
[試験例2] 剥離性試験
<溝加工>
上記調製例2で調製した実施例2−1において、レーザー加工により易剥離性接着剤層の一部を除去し、易剥離性接着剤層に凹部を形成した易剥離性接着材層付支持体(実施例2−16〜2−26)を得た。易剥離性接着剤層の凹部加工には、レーザーコネクト社製の「Epilog Fusion 40」を用いた。加工条件は、レーザー光出力を75W、レーザー光走査速度を100cm/秒、焦点深度を0.1mmに設定し、下記表3で示される溝間隔で、溝幅100μm、溝深さ約20μmとなるように加工した。表3において、溝形状が縦横とは、1回目のレーザー光走査で平行な溝形状に加工した後、易剥離性接着剤層付支持体を90度回転させて、2回目のレーザー光走査で最初に形成した溝に対して直角方向に平行に溝を形成して、縦横の溝形状の凹部としたことを意味する。このとき、溝間隔(溝ピッチ)130、350、1600μmにおいて、除去率は各々95、49、12%となる。下記表3中、実施例2−1〜2−15の易剥離性接着材層付支持体はレーザー加工による接着剤除去を行っていないので、除去率は0%である。また、実施例2−17の易剥離性接着材層付支持体は、易剥離性接着材層の溝間隔を130〜1600μmの間でランダムに変化させて不等間隔とし、除去率を50%にしたものである。
<剥離性試験>
弾性体フィルムとして、陽極酸化アルミニウム(AAO)フィルムとポリイミド(PI)フィルムを用いた。
AAOフィルムの作製は特開2011−181887号公報に記載された方法で行った。陽極酸化するフィルムは、作製するAAOフィルムと総厚が等しく、純度が99.99%である高純度アルミニウム材の単材を用いた。陽極酸化膜は、電解液が0.5Mシュウ酸、電解液温度が55℃、電解電圧が40Vという条件で作製した。なお、電解時間を変えることで陽極酸化膜の厚みを変えた。さらに全てのAAOフィルムを350℃で1時間加熱した。
弾性体フィルム31を各易剥離性接着材層付支持体の易剥離性接着剤層上に貼り合せて密着させた。貼り合せは真空圧着装置を用いて圧着することにより行った。上記支持基板30と弾性体フィルム31とを易剥離性接着剤層を介して貼り合せた試料を、以下では「積層体」という。全ての実施例及び比較例における積層体は、電子デバイス製造プロセスを模擬して、真空中で250℃、1時間加熱した。全ての積層体において、加熱後に概観異常(気泡の発生等)は認められなかった。
剥離性試験は図1に示す剥離装置を用いて実施した。
弾性体フィルム31の端部をテープでローラーの表面に固定した。水平に置いた自在に動く支持台に積層体を固定し、錘で第2張力Tbを加えた。市販のトルクスイッチを介したモーターでローラーを回転させて弾性体フィルム31を引っ張ることで、弾性体フィルム31に第1張力Tfを印加した。第1張力Tfは後述のTf_minとした。なお、第1張力Tfはローラーのトルクとローラー半径rの積を弾性体フィルム31の幅wで割った値である。ローラーが回転することによって弾性体フィルム31を剥離した。
(評価項目1) ローラーに対する密着性
弾性体フィルム31がローラー13から離れているほど、その部分の局所的曲げ歪が増加し、クラックが入りやすくなる。すなわち弾性体フィルムが塑性変形及び脆性破壊する可能性が高まる。そこで、剥離時に弾性体フィルムがローラーに密着しているかを目視で確認した。図6に示すように、ローラーと弾性体フィルムが最も離れた位置での距離Gが0.5mm以下のものを「A」で表し、距離Gが0.5mmよりも離れ2mm未満のものを「B」で表し、距離Gが2mm以上のものを「C」で表した。
(評価項目2) クラック発生の有無
弾性体フィルム31が塑性変形及び脆性破壊することなく剥離できたか調べるために、剥離後の弾性体フィルム31を観察し、目視でクラックの有無を確認した。クラックが生じなかった場合を「A」、クラックが生じた場合を「B」で表した。
(評価項目3) Tf最小値
一定の第2張力Tbが加えられた状態において、弾性体フィルム31の剥離が進行した時の第1張力Tfの最小値(Tf_min)とした。Tf_minが小さいほど、弾性体フィルム31の引っ張り歪が小さくなり、局所欠陥等による応力集中点があっても弾性体フィルム31が塑性変形及び脆性破壊しにくくなる。
なお、今回の評価において第2張力Tbは錘により印加したが、第1張力Tfと同様、トルクスイッチを介して第2張力Tbを印加しても良い。
結果を下記表3に示す。
Figure 2016030823
上記表3中、「弾性体フィルム」の「材料」の列には弾性体フィルム31として用いた材料が示されており、AAO及びPIはそれぞれAAOフィルム及びPIフィルムを示す。「t[μm]」の列には弾性体フィルムの厚みtが示されている。「AAO厚[μm]」の列にはAAOの厚みが示されている。なお、PIフィルムはAAOを含まないため、0と示した。
上記表3中、「易剥離性接着材層」の「溝形状」の列には、易剥離性接着材層をレーザー加工していない実施例2−1〜2−15を除いて、レーザー加工によって作成した溝形状が示されている。「溝間隔[μm]」の列には溝幅100μmでレーザー加工をしたときの溝間隔(溝ピッチ)が示されている。「除去率」の列には易剥離性接着材層の面積(溝の形成された領域)に対するレーザー加工によって形成された溝面積の割合(%)が示されている。
上記表3中、「剥離条件」の「r[cm]」の列には剥離装置10のローラー13の半径が示されている。「曲げ歪[%]」には弾性体フィルム31の厚みtとローラー13の半径rから計算した曲げ歪t/(2r)が示されている。「Tb[N/cm]」には錘によって印加した第2張力Tbの値を示した。
上記表3中、「評価結果」の「密着性」の列には上記評価項目1の結果が示されている。「クラック」の列には上記評価項目2の結果が示されている。「Tf_min」の列には上記評価項目3の結果が示されている。
表3に示されるように、本発明の易剥離性接着材層付支持体(実施例2−1〜2−25)を用いた本発明の剥離方法により、易剥離性接着材層付支持体から弾性体フィルムを、クラックを生じさせずに剥離することができた。以下に表3に示された結果について考察する。
まず、易剥離性接着材層の溝加工の意義について考察する。
実施例3−1〜3−15の結果と、実施例3−16〜3−25の結果とを比較すると、易剥離性接着剤層の表面に溝が形成されている実施例3−16〜3−25では、Tf_minをより小さくすることができ、ローラーに対する密着性にも優れる傾向にあった。このことから、接着剤層の表面の一部に凹部を形成することで、引っ張り歪や局所的な曲げ歪をより抑えた状態で、弾性体フィルムを剥離できることがわかった。なお、実施例3−16〜3−19、3−21〜25は、Tf/2≦Tb<Tfを満たす。
実施例3−17は、易剥離性接着材層の溝間隔が不等である以外は、実施例3−16と同じ弾性体フィルム及び剥離条件である。実施例3−17の評価結果は実施例3−16と同じであった。なお、実施例3−17では剥離時にAAOフィルムの振動が認められた。この振動は、ミクロな接着面が不等間隔により均一となっていないために生じたと推定される。従って、接着剤層の表面に等間隔で同形状の溝が形成されている方がより好ましい。
実施例3−18では、易剥離性接着材層の除去率が12%である。この場合も、実施例3−1〜3−15に比べてTf_minを抑えながら、弾性体フィルムを、クラックを生じること無く剥離することができた。
また、実施例3−19では、易剥離性接着材層の除去率が94%と高い。この場合にも、Tf_minを大幅に抑えながら、弾性体フィルムを、クラックを生じること無く剥離することができた。
続いて、剥離装置の剥離条件の影響について考察する。
比較例3では、弾性体フィルムを剥離する際に第2張力Tbが印加されていない例である。この場合、弾性体フィルム31がローラーから完全に離れて距離Gが2.5mm程度であった。
実施例3−20は、Tf/2>Tbとした例である。AAOフィルムがクラックなく剥離できたものの、剥離の際に、AAOフィルムがローラー13から離れ、距離Gが1.5mm程度となった。距離Gが長いと、局所的曲げ歪が増加する。従って、剥離の際にはTf/2≦Tbとすることがより好ましい。
実施例3−21は、t/(2r)=0.001の例である。実施例3−21は、t/(2r)が比較的高く、曲げ歪も大きくなってはいるが、AAOフィルムを、クラックを生じずに剥離することができた。
また、実施例3−22及び3−23の結果から、弾性体フィルムの厚みを変化させても、本発明の剥離方法により、弾性体フィルムを、クラックを生じることなく剥離できることもわかった。また、実施例3−24のように、弾性体フィルムとしてPIフィルムを用いた場合や、実施例3−25のように、AAO厚を変化させた場合にも、弾性体フィルムを、クラックを生じることなく剥離できることがわかった。
10、40 剥離装置
11 支持台
12 支持面
13 ローラー
14 駆動軸
15,16,17 固定手段
18,19 軸受
30 支持基板
31 弾性体フィルム
33 易剥離性接着剤層(硬化膜)
34 凹部
35 リーダー
41,42 フリーローラー
G 間隔
r ローラー半径
w 弾性体フィルムの幅

Claims (14)

  1. 下記成分(A)〜(D)を含有する硬化性シリコーン組成物。
    (A)下記式(1)で表されるジオルガノポリシロキサン 100質量部
    Figure 2016030823
    式(1)中、Lは、下記式(1a)で表されるシロキサン単位の少なくとも1つと、下記式(1b)で表されるシロキサン単位の少なくとも1つとから構成される2価のポリシロキサン構造を示す。下記式(1b)中、Phはフェニル基を示す。
    Figure 2016030823
    (B)ケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2つ有するオルガノ水素ポリシロキサン 18〜65質量部
    (C)白金触媒
    (D)硬化抑制剤
  2. 前記Lを構成する前記式(1a)で表されるシロキサン単位の数mと、前記Lを構成する前記式(1b)で表されるシロキサン単位の数nとが、7≦100n/(m+n)を満たす、請求項1に記載の硬化性シリコーン組成物。
  3. 成分(D)がジアリルマレエートである、請求項1又は2に記載の硬化性シリコーン組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性シリコーン組成物を硬化して得られる易剥離性接着材。
  5. 支持基板と、該支持基板上に設けられた、請求項4に記載の易剥離性接着材からなる層とを有する、易剥離性接着材層付支持体。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性シリコーン組成物を支持基板上に塗布した後、該硬化性シリコーン組成物を硬化して得られる、請求項5に記載の易剥離性接着材層付支持体。
  7. 前記易剥離性接着材層の表面の一部に凹部が形成されている、請求項5又は6に記載の易剥離性接着材層付支持体。
  8. 前記凹部の少なくとも一部が等間隔で同形状に配された溝に形成されている、請求項7に記載の易剥離性接着材層付支持体。
  9. 前記の等間隔で同形状に配された溝に形成された領域において、接着材除去領域の割合が10%以上95%以下である、請求項8に記載の易剥離性接着材層付支持体。
  10. 請求項5〜9のいずれか1項に記載の易剥離性接着材層付支持体の易剥離性接着材層に貼り合わせられた弾性体フィルムを、ローラーの表面の一部に密着させながら、該ローラーの回転に同期させて剥離する方法であって、
    前記弾性体フィルムに第1張力を、前記弾性体フィルムが剥離されるローラー回転方向に印加し、
    前記易剥離性接着材層付支持体に、前記弾性体フィルムが剥離する位置において前記弾性体フィルムが剥離されていく方向に力を印加することにより、前記弾性体フィルムに第2張力を印加する、剥離方法。
  11. 前記第1張力をTf、前記第2張力をTbとして、Tf/2≦Tb<Tfを満たす、請求項10に記載の剥離方法。
  12. 前記ローラーの半径rが、前記弾性体フィルムの厚みをtとして、t/(2r)<0.001を満たす、請求項10又は11に記載の剥離方法。
  13. 前記弾性体フィルムが、アルミニウム材の少なくとも片方の表面に陽極酸化アルミニウム層を形成した陽極酸化アルミニウムフィルムである、請求項10〜12のいずれか1項に記載の剥離方法。
  14. 前記陽極酸化アルミニウム層の厚みが2μm以上である、請求項13に記載の剥離方法。
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