JP2016020159A - レーシングカート用の空気入りタイヤ - Google Patents

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Toshiharu Tanigawa
利晴 谷川
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Abstract

【課題】重量増及び縦剛性の増加が抑制され、横剛性及び周方向剛性が増大した空気入りタイヤ2の提供。【解決手段】このタイヤ2は、トレッド4と、一対のサイドウォール6と、一対のビード8と、カーカス10と、このカーカス10の内側に積層されたインナーライナー14とを備えており、このインナーライナー14が、短繊維30を含有しており、上記トレッド4に対応する領域のインナーライナー14に含有された短繊維30は、軸方向に配向しており、上記ビード8及びその近傍に対応する領域のインナーライナー14に含有された短繊維30は、半径方向に配向しており、上記サイドウォール6に対応する領域のインナーライナー14に含有された短繊維30は、周方向に配向している。【選択図】図1

Description

本発明は、レーシングカートに装着される空気入りタイヤに関する。
近年のモータースポーツでは、レーシングドライバーへの入門カテゴリーとして、レーシングカートが普及している。レーシングカートは一人乗りの車体を備えている。この車体には、一般的に外径が350mm以下であってアスペクト比が0.5以下であるタイヤが装着されている。カートレースでは、ラップタイムが競われる。レーシングカートは低重心でかつ軽量であるため、カートレースにおける旋回スピードは速い。旋回時にカートが片輪走行となる場合もある。レーシングカート用タイヤには、大きな横方向の力が加わる。ラップタイム短縮のため、レーシングカート用タイヤには、大きな横剛性と優れた復元性とが求められる。
タイヤの横剛性を高める手法として、例えば、サイドウォールに補強コード層を設けること、ビードエイペックスを大型化すること、カーカスのビードコアからの折り返し部の長さを長くすること等が考えられる。しかし、これらの手法では、タイヤの重量増に加えて、横剛性だけでなく縦剛性までも上昇する。その結果、路面のグリップに必要なバットレス部の縦変形が制限され、ラップタイムの短縮が望めない。
かかる問題を解消するために、特開2000−177338公報において、ビードコアの周囲にインシュレーションゴムを設けることが提案されている。特開2006−137283公報には、カーカスプライにインシュレーションゴムを接合することが提案されている。
特開2000−177338公報 特開2006−137283公報
しかし、昨今の配合技術の進歩により、タイヤのトレッド面のグリップ性能が向上しており、タイヤに負荷される横荷重がさらに大きくなってきている。従って、上記改善案では不十分で、さらなる対策が待たれている。
本発明の目的は、タイヤの重量増及び縦剛性の増加を抑制しながら、横剛性及びタイヤ周方向の剛性の増大を実現しうるレーシングカート用タイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、
トレッドと、一対のサイドウォールと、一対のビードと、一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、このカーカスの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたインナーライナーとを備えており、
このインナーライナーが、短繊維を含有しており、
上記トレッドに対応する領域のインナーライナーに含有された短繊維は、タイヤ軸方向に配向しており、
上記ビード及びその近傍に対応する領域のインナーライナーに含有された短繊維は、タイヤ半径方向に配向しており、
上記サイドウォールに対応する領域のインナーライナーに含有された短繊維は、タイヤ周方向に配向している。
好ましくは、上記インナーライナーに含有された上記短繊維の配合量が、インナーライナーの基材ゴム100質量部に対して2質量部以上20質量部以下である。
好ましくは、上記短繊維の長さが、0.1mm以上10.0mm以下である。
好ましくは、上記短繊維の外径が、1μm以上100μm以下である。
好ましくは、上記インナーライナーの硬度が90以上である。
好ましくは、上記カーカスが、上記ビードのコアの周りをタイヤ軸方向内側から外側に向かって折り返されており、
上記インナーライナーが、ビードのコアの周りを、カーカスに沿ってタイヤ軸方向内側から外側に向かって折り返されており、
この折り返された範囲のインナーライナーに含有された短繊維は、タイヤ半径方向に配向している。
好ましくは、上記サイドウォールのうちの上記ビード近傍の部分が、短繊維を含有しており、この短繊維が、タイヤ半径方向に配向している。
本発明に係る空気入りタイヤでは、タイヤの重量増及び縦剛性の増加が抑制され、且つ、横剛性及びタイヤ周方向の剛性が増大しうる。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤにおけるインナーライナーのトレッド領域TAの一部分を示す、II−II線に沿って見た拡大断面図である。 図3は、図1のタイヤにおけるインナーライナーのサイドウォール領域SAの一部分を示す、III−III線に沿って見た拡大断面図である。 図4は、図1のタイヤにおけるインナーライナーのビード領域BAの一部分を示す、IV−IV線に沿って見た拡大断面図である。 図5は、図1のタイヤにおけるインナーライナーの、成形前の素材シートを概略的に示す平面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1に示されたタイヤ2は、レーシングカートに装着される。このタイヤ2の外径は、350mm以下である。このタイヤ2のアスペクトレシオ(偏平比)は、0.5以下である。このタイヤ2は、トレッド4、サイドウォール6、ビード8、カーカス10、チェーファー12及びインナーライナー14を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、その内部に気体が充填され、その内圧が30kPa〜150kPaに調節されて、使用される。なお、この図1において、上下方向が半径方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面に垂直な方向が周方向である。このタイヤ2は、図1中の一点鎖線CLを中心としたほぼ左右対称の形状を呈する。この一点鎖線CLは、タイヤ2の赤道面を表す。
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接地するトレッド面16を備えている。トレッド面16には、溝は刻まれていない。このタイヤ2は、いわゆるスリックタイヤである。トレッド面16が、溝、ブロック等からなるトレッドパターンを備えてもよい。
サイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。サイドウォール6は、カーカス10の軸方向外側に位置している。サイドウォール6は、架橋ゴムからなる。サイドウォール6は、撓みによって路面からの衝撃を吸収する。さらにサイドウォール6は、カーカス10の外傷を防止する。このタイヤ2では、サイドウォール6は薄い。このサイドウォール6は、タイヤ2の質量軽減に寄与しうる。
ビード8は、サイドウォール6よりも半径方向略内側に位置している。ビード8は、コア18と、このコア18から半径方向外向きに延びるエイペックス20とを備えている。コア18は、リング状である。コア18は、複数本の非伸縮性ワイヤー(典型的にはスチール製ワイヤー)を含む。エイペックス20は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス20は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス10は、タイヤ2の内側から順に積層された第一プライ22及び第二プライ24からなる。第一プライ22及び第二プライ24は、両側のビード8の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6の内側に沿っている。第一プライ22及び第二プライ24は、コア18の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。
図示されていないが、第一プライ22及び第二プライ24は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。本実施形態では、各コードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、25°以上38°以下である。このタイヤ2では、第一プライ22のコードの傾斜方向は、第二プライ24の傾斜方向とは逆である。このタイヤ2のカーカス10は、バイアス構造を有している。このカーカス10は、タイヤ2の剛性に寄与しうる。このタイヤ2は、大きなコーナリングフォースを発生しうる。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。
チェーファー12は、ビード8の近傍に位置している。タイヤ2が図示しないリムに組み込まれると、このチェーファー12がリムと当接する。この当接により、ビード8の近傍が保護される。このチェーファー12は、布とこの布に含浸されたゴムとからなる。
インナーライナー14は、カーカス10の第一プライ22の内周面に積層されている。インナーライナー14は、第一プライ22に積層された状態で、コア18の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、インナーライナー14には、主部14aと、折り返された範囲である折り返し部14bとが形成されている。インナーライナー14は、架橋ゴムからなる。インナーライナー14には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー14は、タイヤ2の内圧を保持する役割を果たす。
前述したとおり、レーシングカート用のタイヤには、重量増加及び縦剛性の増大を抑制しながら横剛性を向上させることが求められる。さらに、このタイヤにとっては、エネルギーロスの低減及びトラクション性能の向上のため、タイヤ周方向の剛性の向上が重要である。インナーライナー14のゴムには、その剛性を向上させるために短繊維30が配合されている。図示されているように、インナーライナー14は、多数の短繊維30と、マトリクス32とから構成されている。これら短繊維30は、マトリクス32に分散している。換言すれば、このインナーライナー14は繊維補強ゴム(FRR)からなる。図1においては、理解容易のために、短繊維30が、実際よりも大きく且つ数少なく画かれている。
短繊維30としては、マトリクス32との接着性に優れるという観点から、非金属性のものが好ましい。この非金属性の短繊維30としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維が例示される。
短繊維30は、インナーライナー14を構成するゴムシート中において、所定方向に配向されている。すなわち、短繊維30の長手方向は、所定の方向に略沿っている。短繊維30の配向により、インナーライナー14の所定方向の剛性が向上する。例えば、短繊維30がある方向に配向されている場合、このインナーライナー14は、短繊維30の配向方向に沿った引っ張り及び圧縮に対する剛性が向上する。
インナーライナー14に含有される短繊維30の配合量は、インナーライナー14の基材ゴム100質量部に対して2質量部以上20質量部以下とされるのが好ましい。この配合量が2質量部以上に設定されることにより、インナーライナー14がタイヤ2の横剛性の向上に効果的に寄与しうる。このタイヤ2は、トラクション性能及びブレーキ性能に優れる。この観点から、この配合量は5質量部以上がより好ましい。この配合量が20質量部以下に設定されることにより、タイヤ2の剛性過大、剛性不均一及び空気遮蔽性低下が防止されうる。このタイヤ2では、グリップ性能が適切に維持される。この観点から、この配合量は15質量部以下がより好ましい。
この短繊維30を所定の方向に配向させる方法が例示される。例えば、短繊維30を混入した練りゴムを、押出機によって加圧してシート状に押し出す。このシート中の短繊維30は、押し出された方向にほぼ配向される。このシートを所望の寸法に裁断し、所望の方向に回転させたうえで互いに接合することにより、短繊維30の異なる配向の領域を形成することができる。
図1に示されるように、本実施形態では、トレッドに対応する領域(以下、単にトレッド領域という)TAと、サイドウォール領域SAと、ビード及びビード近傍に対応する領域(以下、単にビード領域という)BAとで、インナーライナー14中の短繊維30の配向方向が互いに異なっている。従って、上記3領域では、向上する剛性の方向も互いに異なる。上記トレッド領域TBとは、タイヤ2の接地面の幅方向(軸方向)の範囲をいう。すなわち、トレッド領域TBは、正規内圧となるように空気が充填され、正規荷重が負荷され、キャンバー角がゼロに設定されたタイヤ2の設置面の軸方向の両端位置によって区画される範囲である。上記サイドウォール領域SAとは、トレッド領域TAの軸方向の端位置PEからタイヤ最大幅位置PM近傍までの領域をいう。上記ビード領域BAとは、タイヤ最大幅位置PM近傍からビードベースラインBBLまでの領域をいう。従って、サイドウォール6におけるタイヤ最大幅位置PM近傍より半径方向(以下、単に径方向ともいう)内側の領域、及び、前述したインナーライナー14の折り返し部14bは、ビード領域BAとなる。
図1及び図2に示されるように、トレッド領域TAにおいては、短繊維30の長手方向は略軸方向に沿っている。短繊維30が軸方向に配向されている。図2は、トレッド領域TAにおけるインナーライナー14中の短繊維30の姿勢を模式的に示す図である。図2並びに後述する図3及び図4においては、理解容易のために、短繊維30が、実際よりも大きく且つ数少なく画かれている。図2において、上下方向が周方向CDであり、左右方向が軸方向ADである。トレッド領域TAにおけるインナーライナー14の部分は、軸方向ADの引っ張り及び圧縮に対する剛性が向上している。
レーシングカート用のタイヤは、一般的に、ベルトを有しておらず、赤道に対するカーカスのコードの傾斜角度が25°以上38°以下にされている。トレッドのグリップ性能が良好な場合、カートのコーナリング時にタイヤに負荷される軸方向の荷重が大きくなる。しかし、この実施形態に係るタイヤ2では、前述のごとく、トレッド領域TAにおける短繊維30が軸方向ADに配向されている。このタイヤ2では、軸方向ADの大荷重によるトレッド4の曲げ、引っ張り及び圧縮の変形が抑制される。その結果、トレッド4の適切な接地形状が保持され、良好なグリップ性能が確保されうる。
図1及び図3に示されるように、サイドウォール領域SAにおいては、短繊維30の長手方向は略周方向CDに沿っている。短繊維30が周方向CDに配向されている。図3は、サイドウォール領域SAにおけるインナーライナー14中の短繊維30の姿勢を模式的に示す図である。図3において、上下方向が径方向RDであり、左右方向が周方向CDである。サイドウォール領域SAにおけるインナーライナー14の部分は、周方向CDの引っ張り及び圧縮に対する剛性が向上している。一方、径方向RDの剛性(縦剛性)の上昇は抑制されている。
サイドウォール6には、タイヤの回転に伴って周方向CDの大きな荷重が負荷される。しかし、このタイヤ2では、前述のごとく、サイドウォール領域SAにおける縦剛性の上昇が抑制されつつ、周方向CDの引っ張りに対する剛性が向上している。このため、路面追随性能を維持しつつ、トラクション性能の向上が実現されうる。
図1及び図4に示されるように、ビード領域BAにおいては、短繊維30の長手方向は略径方向RDに沿っている。図4において、上下方向が径方向RDであり、左右方向が周方向CDである。短繊維30が径方向RDに配向されている。より具体的に言うと、図1に示された周方向に垂直な断面図においては、短繊維30の長手方向が、インナーライナー14の延びる方向に沿っている。従って、ビード領域BAにおける短繊維30は、ビードコア18の径方向内側の面に沿った範囲では略軸方向ADに配向されており、その他の範囲で略径方向RDに配向されている。ビード領域BAでは、径方向RDの引っ張り及び圧縮に対する剛性が向上している。
カートのコーナリング時には、旋回外側の後輪のタイヤには、旋回の外方に向けた大きな荷重が負荷される。この荷重は、主に、旋回外側のビード8からサイドウォール6の径方向内側部分の範囲に負荷される。このとき、特にビード8の範囲の軸方向内側(タイヤの内面側)に大きな張力が発生する。しかし、前述のごとく、ビード領域BAでは、径方向の引っ張りに対する剛性が向上している。このため、ビード8からサイドウォール6にかけての変形が抑制されうる。さらに、インナーライナー14には折り返し部14bが存在するため、コーナリング時におけるビード領域BAの変形抑制効果がさらに大きくなる。このため、高いグリップ力が得られ、コーナリング時の走行安定性等が確保されうる。
インナーライナー14の折り返し部14bのビードベースラインBBLからの高さH1は、タイヤ高さH0の7%以上50%以下であるのが好ましい。この割合が、7%未満であると、折り返し部14bによる変形抑制効果が低くなるおそれがある。一方、この割合が、50%を超えると、縦剛性が増加しすぎ、路面追従性能に悪影響を及ぼすおそれがある。かかる観点から、上記割合は、15%以上35%以下であるのがより好ましい。
図5には、以上説明されたインナーライナー14が、平面状に展開された状態で示されている。図示のごとく、サイドウォール領域SAにおける短繊維30の配向方向が、トレッド領域TA及びビード領域BAにおける短繊維30の配向方向と直交している。図5においては、理解容易のために、短繊維30が、実際よりも大きく且つ数少なく画かれている。このインナーライナー14を形成する場合、押出機によって押出成形された繊維補強ゴムシートを裁断して、一のトレッド領域TA、一対のサイドウォール領域SA、及び、一対のビード領域BAの各素材シートを得る。いずれの素材シートも、複数枚を接合して得てもよい。一対のサイドウォール領域SA用の素材シートは、トレッド領域TA及びビード領域BAの各素材シートに対して面内で90°回転させた上で、これら領域TA、BAの素材シートと接合する。このようにして、インナーライナー14の素材シートが得られる。
図2において、直線X1は、軸方向ADを示している。直線X2は、短繊維30の一端34及び他端36を通過している。直線X2は、短繊維30の長手方向を示している。θ1は、直線X1と直線X2とのなす角度の絶対値である。角度θ1は、短繊維30の長手方向X2が、軸方向ADの直線X1に対してなす傾斜角度である。前述した短繊維30の「配向方向が軸方向ADである」とは、図2において、上記傾斜角度θ1が20°以下である短繊維30の数の、短繊維30の総数に対する比率が90%以上である場合を言う。
図3には、配向方向が周方向CDである場合の短繊維30が示されている。周方向CDが直線Y1で示され、短繊維30の長手方向が直線Y2で示されている。角度θ2は、短繊維30の長手方向Y2が、周方向CDの直線Y1に対してなす傾斜角度である。前述した短繊維30の「配向方向が周方向CDである」とは、図3において、上記傾斜角度θ2が20°以下である短繊維30の数の、短繊維30の総数に対する比率が90%以上である場合を言う。
図4には、配向方向が径方向RDである場合の短繊維30が示されている。径方向RDが直線Z1で示され、短繊維30の長手方向が直線Z2で示されている。角度θ3は、短繊維30の長手方向Z2が、径方向RDの直線Z1に対してなす傾斜角度である。前述した短繊維30の「配向方向が径方向RDである」とは、図4において、上記傾斜角度θ3が20°以下である短繊維30の数の、短繊維30の総数に対する比率が90%以上である場合を言う。
上記比率の算出においては、インナーライナー14の、トレッド領域における軸方向に沿った断面、サイドウォール領域における周方向に沿った断面、ビード領域における径方向に沿った断面、のそれぞれに露出した短繊維30の傾斜角度θ1、θ2、θ3が、測定される。無作為に抽出された100本の短繊維30について、角度の測定がなされる。また、この押出機による押出成形によれば、90%以上の短繊維30の傾斜角度θ1、θ2、θ3が上記角度範囲内(20°以下)に収まることが知られている。
短繊維30の長さは、0.1mm以上10.0mm以下が好ましい。この長さが0.1mmより短いと、短繊維30による補強効果が低くなるおそれがある。一方、この長さが10.0mmより長いと、インナーライナー14の空気遮蔽性に悪影響を及ぼすことが懸念される。かかる観点から、短繊維30の長さは、0.5mm以上8.0mm以下とされるのがより好ましい。短繊維30の長さは、インナーライナー14用ゴムに混入される前に抽出されたサンプルについて測定される。
短繊維30の太さ(外径)は、1μm以上100μm以下が好ましい。この外径が1μmより小さいと、短繊維30による補強効果が低くなるおそれがある。一方、この外径が100μmより大きいと、インナーライナー14の空気遮蔽性に悪影響を及ぼすことが懸念される。かかる観点から、短繊維30の外径は、5μm以上80μm以下とされるのがより好ましい。短繊維30の外径は、インナーライナー14用ゴムに混入される前に抽出されたサンプルについて測定される。
このタイヤ2では、インナーライナー14の硬度は90以上が好ましい。この硬度が90以上に設定されることにより、タイヤ全体の剛性が均一に向上する。これにより、高いグリップ性能を備えたトレッドを有するタイヤであっても、適切な耐変形性能を得ることができる。かかる観点から、インナーライナー14の硬度は92以上であるのがより好ましい。上記硬度は、「JIS K 6253」に準じて、タイプAのデュロメータによって測定される。この硬度は、温度が23℃である条件下で測定される。
本実施形態では、インナーライナー14は、略均一な肉厚を有している。インナーライナー14の肉厚は、0.1mm以上2.0mm以下とされるのが好ましい。この肉厚が0.1mmより薄いと、短繊維による補強効果が低くなるおそれがある。一方、この肉厚が2.0mmより厚いと、縦剛性も増大してしまい、路面追随性能の向上が期待できない。
図1に示されるように、サイドウォール6の下部、すなわちサイドウォール6のビード部領域BAの範囲においても、そのゴムに短繊維30が配合されるのが好ましい。この短繊維30が配合される部分は、サイドウォール6のタイヤ最大幅位置PM近傍より径方向内方であることが好ましい。この領域BAにおいて、短繊維30は径方向に配向される。ビード領域BAの軸方向外側部分では、径方向の引っ張り及び圧縮に対する剛性が向上する。これにより、高いグリップ性能を備えたトレッドを有するタイヤであっても、コーナリング時に外輪の内側サイドウォールの変形が抑制され、良好な操縦性が確保されうる。
上記観点から、サイドウォール6における短繊維30が配合される範囲は、その径方向高さH2が、タイヤ高さH0の20%以上55%以下であるのが好ましい。この割合が、20%未満であると、変形抑制効果が低くなるおそれがある。一方、この割合が、55%を超えると、縦剛性が大きくなりすぎ、路面追随性に悪影響を及ぼすおそれがある。かかる観点から、上記割合は、25%以上50%以下であるのがより好ましい。
前述したように、トラクション性能能向上のためには、タイヤの周方向の剛性を向上させることが有効である。この目的のために、前述のインナーライナーに短繊維を配合することに代えて、又はこれに加えて、図示しないが、サイドウォールに短繊維を周方向に配向するように配合してもよい。まず、サイドウォールが、タイヤ内側の層及びタイヤ外側の層の二層から構成される。内側層は、略均一な肉厚を有する層として形成される。この内側層に、周方向に配向した短繊維が配合される。内側層の径方向外端から内端まで、周方向に配向した短繊維が配合される。
このサイドウォールを備えたタイヤでは、周方向の引っ張り及び圧縮に対する剛性が向上している。一方、縦剛性の上昇は抑制される。このため、路面追随性能を維持しつつ、トラクション性能の向上が実現されうる。前述した、サイドウォール領域SAのインナーライナー14に短繊維30を周方向に配向するように配合した場合と類似の効果が奏されうる。短繊維の長さ、外径及び配合量は、前述したインナーライナー14における短繊維30と同等である。
上記サイドウォールの内側層の肉厚は、0.5mm以上3.0mm以下とされるのが好ましい。この肉厚が0.5mmより薄いと、短繊維による補強効果が低くなるおそれがある。一方、この肉厚が3.0mmより厚いと、サイドウォール部の縦剛性も増大してしまい、路面追随性能の向上が期待できない。
また、上記とは異なり、一対のサイドウォールのうちの一方については、その内側層に、短繊維が周方向ではなく径方向に配向するように配合されてもよい。すなわち、一方のサイドウォールの内側層では、短繊維が径方向に配向しており、他方のサイドウォールの内側層では、短繊維が周方向に配向している。このタイヤは、特に、短繊維が径方向に配向しているサイドウォールが車体の幅方向外方に位置するように装着されるのが好ましい。このタイヤは、カートのコーナリング時に、トラクション性能を損なうことなく、サイドウォールの変形が抑制され、コーナリンググリップ性能を向上させることができる。
上記一方のサイドウォールの内側層の肉厚は、上記他方のサイドウォールの内側層の肉厚より、1mm以上厚くされるのが好ましい。この場合でも、サイドウォール全体の肉厚分布は、上記一方及び他方の両サイドウォールについて同一である。このタイヤは、より厚い内側層を有するサイドウォールの側が、車体幅方向外側となるように、車両に装着されるのが好ましい。このタイヤによれば、サイドウォールの変形がさらに抑制され、コーナリンググリップ性能がさらに向上しうる。
以上のような左右のサイドウォールが異なる構成は、トレッドパターンが軸方向左右で異なるタイヤに適用されるのが好ましい。この非対称パターンのタイヤは、車両への装着に際し、車体幅方向の外側と内側とが決められている。従って、左右のトレッドパターンの目的に合わせて、サイドウォールの構成が決定される。例えば、トラクション性能の向上を重視するトレッドパターン(軸方向エッジが多く配されている)の側に、径方向配向の短繊維が含まれたサイドウォールを設け、コーナリング性能の向上を重視するトレッドパターン(周方向エッジが多く配されている)の側に、周方向配向の短繊維のみが配合されたサイドウォールを設ける。
ここで、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。正規荷重とは、タイヤが依拠する規格において定められた荷重を意味する。JATMA規格における「最高負荷能力」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「LOAD CAPACITY」は、正規荷重である。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
実施例1として、図1から図4に示される短繊維が配合されたインナーライナーを備えたレーシングカート用のフロント及びリアの各タイヤを得た。フロントタイヤのサイズは、10×4.50−5であり、リアタイヤのサイズは、11×7.10−5である。インナーライナーにおける短繊維の有無、短繊維の配向方向、及び、短繊維の仕様は、表1に示されるとおりである。この短繊維はアラミド繊維からなる。このタイヤは、図1に示されるようなインナーライナー14の折り返し部14bは有していない。また、このタイヤは、図1に示されるタイヤとは異なり、そのサイドウォールのビード領域BAには、短繊維が配合されていない。このタイヤは、レーシングカートに装着され、走行テストに供された。
[比較例1]
表1に示されるとおり、インナーライナーに短繊維が配合されていない他は実施例1と同様にして、比較例1のタイヤを得た。このタイヤは、レーシングカートに装着され、走行テストに供された。
[実施例2]
短繊維の含有量及び短繊維の仕様が表1に示される通りとされた他は、実施例1と同様にして、実施例2のタイヤを得た。このタイヤは、レーシングカートに装着され、走行テストに供された。
[実施例3、4]
短繊維の含有量及び短繊維の仕様が表1に示される通りとされ、且つ、図1に示されるようにインナーライナー14に折り返し部14bが形成された他は、実施例1と同様にして、実施例3及び4のタイヤを得た。このタイヤは、レーシングカートに装着され、走行テストに供された。
[実施例5]
短繊維の含有量及び短繊維の仕様が表1に示される通りとされ、図1に示されるようにインナーライナー14に折り返し部14bが形成され、サイドウォールのビード領域BAに短繊維が配合された他は、実施例1と同様にして、実施例5のタイヤを得た。サイドウォールのビード領域BAの短繊維の諸元は、インナーライナーのものと同じである。このタイヤは、レーシングカートに装着され、走行テストに供された。
[走行テスト]
実車走行テストを実施することにより、ラップタイム、トラクション性能及びコーナリング性能それぞれについての評価が行われた。タイヤがリムに組み込まれた。フロントタイヤのリムのサイズは4.75×5.0であり、リアタイヤのリムのサイズは8.00×5.0であった。このタイヤに内圧が80kPaとなるように空気が充填された。このタイヤが、ピレル製のシャーシ及びイアメ製(排気量125cc)2ストロークエンジンを備えたカートに装着された。ドライバーが、この車両を操縦して、全長が1.17kmのレーシングサーキットを10周走行した。サーキットコースを1周走行するのに要する時間(ラップタイム)が計測された。表1には、10周のうちのベストタイムの周から順に5周の各タイムの平均値がラップタイムとして記載されている。数値が小さいほど好ましい。ドライバーが、トラクション性能及びコーナリング性能を官能評価した。この結果が、5点を満点とした指数値で、表1に示されている。数値が大きいほど好ましい。
Figure 2016020159
表1に示されるように、実施例は、比較例に比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明されたタイヤは、特にレーシングカート用のタイヤとして好適である。
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・ビード
10・・・カーカス
14・・・インナーライナー
14b・・・インナーライナーの折り返し部
18・・・コア
20・・・エイペックス
30・・・短繊維
32・・・マトリックス

Claims (7)

  1. トレッドと、一対のサイドウォールと、一対のビードと、一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、このカーカスの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたインナーライナーとを備えており、
    このインナーライナーが、短繊維を含有しており、
    上記トレッドに対応する領域のインナーライナーに含有された短繊維は、タイヤ軸方向に配向しており、
    上記ビード及びその近傍に対応する領域のインナーライナーに含有された短繊維は、タイヤ半径方向に配向しており、
    上記サイドウォールに対応する領域のインナーライナーに含有された短繊維は、タイヤ周方向に配向している空気入りタイヤ。
  2. 上記インナーライナーに含有された上記短繊維の配合量が、インナーライナーの基材ゴム100質量部に対して2質量部以上20質量部以下である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 上記短繊維の長さが、0.1mm以上10.0mm以下である請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 上記短繊維の外径が、1μm以上100μm以下である請求項1から3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 上記インナーライナーの硬度が90以上である請求項1から4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 上記カーカスが、上記ビードのコアの周りをタイヤ軸方向内側から外側に向かって折り返されており、
    上記インナーライナーが、ビードのコアの周りを、カーカスに沿ってタイヤ軸方向内側から外側に向かって折り返されており、
    この折り返された範囲のインナーライナーに含有された短繊維は、タイヤ半径方向に配向している請求項1から5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 上記サイドウォールのうちの上記ビード近傍の部分が、短繊維を含有しており、
    この短繊維が、タイヤ半径方向に配向している請求項1から6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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