JP2016018906A - 電極埋設体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 この発明は、モリブデンを主成分として含有する電極近傍におけるイットリア基体の体積抵抗率の低下を抑制することのできる電極埋設体を提供することを目的とする。【解決手段】 マグネシアとジルコニアとが固溶したイットリアからなるイットリア基体に、モリブデンを主成分として含有する電極が埋設されてなり、イットリア基体中のマグネシアの全量とジルコニアの全量とがイットリアに固溶していることを特徴とする電極埋設体。【選択図】 図1

Description

この発明は、電極埋設体に関する。さらに詳しくは、この発明は、イットリア基体にモリブデンを主成分とする電極が埋設されてなる電極埋設体に関する。
半導体の製造工程では、プラズマを利用した技術が多く使用されている。また、半導体の製造工程において、特にドライエッチングやドライクリーニングでは、プラズマと共にハロゲン系の腐食性ガスが使用される。半導体の製造工程で使用される静電チャック及びクランプリング等の機器又は部材は、プラズマや腐食性ガスに曝されるので、高い耐食性が要求される。
静電チャックを構成するセラミック基体には、従来、アルミナセラミックが多く使用されている。しかしながら、アルミナセラミックは、プラズマや腐食性ガスに対する耐食性が必ずしも十分であるとは言えない。例えば、特許文献1には、アルミナよりもプラズマに対する耐食性に優れる材料として、「・・イットリアを主成分としてなるイットリアグリーンシートが用いられてなるイットリア焼結体」(特許文献1の請求項1)が提案されている。この他にもいくつかの文献にセラミック基体にイットリアを用いることが提案されている(例えば、特許文献2及び3)。
特開2008−147549号公報 特開2007−70142号公報 特開2009−215113号公報
ところで、静電チャック等の、イットリア基体に電極が埋設された電極埋設体は、できる限り低コストで製造されることが望まれる。そこで、イットリア基体に埋設される電極を、白金等の高価な材料ではなく比較的安価なモリブデン又はタングステンを用いることを試みたところ、白金製の電極を埋設した電極埋設体では起こらなかった現象が起こることが明らかとなった。すなわち、タングステン製及びモリブデン製の電極を埋設した電極埋設体は、焼成工程において、タングステン及びモリブデンが電極からイットリア基体に拡散してしまい、その結果、電極近傍におけるイットリア基体の体積抵抗率が低下することが明らかとなった。電極近傍におけるイットリア基体の体積抵抗率が低いと、例えば、電極埋設体をクーロン力型静電チャックとして使用する場合には、電圧をオフにした後の半導体ウエハの離れ易さを示すデチャック性が低下する。また、電極埋設体が、電極が近接して配置される配線パターンを有する場合には、隣接する電極と電極との間で漏れ電流が発生してしまう。したがって、電極近傍におけるイットリア基体の体積抵抗率は、所定値以上に維持されるのが望ましい。
後述するように、タングステン及びモリブデンのイットリア基体への拡散の状態を調べたところ、タングステンよりモリブデンの方が電極からイットリア基体への拡散量が少ないことが分かった(図3及び図4参照。)。したがって、所望の特性を得るためには電極を構成する材料としてモリブデンを採用するのが良いと発明者らは考えた。しかしながら、モリブデン製の電極を採用したとしても、電極近傍におけるイットリア基体の体積抵抗率が低下し、十分な特性が得られない。
したがって、この発明は、モリブデンを主成分として含有する電極をイットリア基体に埋設した電極埋設体において、電極近傍におけるイットリア基体の体積抵抗率の低下を抑制することのできる電極埋設体を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は、
(1)マグネシアとジルコニアとが固溶したイットリアからなるイットリア基体に、モリブデンを主成分として含有する電極が埋設されてなり、イットリア基体中のマグネシアの全量とジルコニアの全量とがイットリアに固溶していることを特徴とする電極埋設体である。
前記(1)の好ましい態様は、
(2)前記イットリア基体は、酸化物換算で、Yを98質量%以上、MgOを0.02質量%以上1質量%以下、及びZrOを0.05質量%以上1質量%以下含有する。
(3)前記(1)又は(2)に記載の電極埋設体において、前記イットリア基体は、前記電極と前記イットリア基体との界面から0.07mm離れた位置から前記界面から0.40mm離れた位置までの領域におけるモリブデンの含有量が0.10質量%以下である。
(4)前記(1)〜前記(3)のいずれか一つに記載の電極埋設体において、前記電極は、タングステンの含有量が0質量%以上30質量%以下である。
(5)前記(1)〜前記(4)のいずれか一つに記載の電極埋設体において、前記イットリア基体は、前記電極と前記イットリア基体との界面と前記界面から0.4mm離れた位置との間の、室温における平均体積抵抗率が1×1014Ω・cm以上である。
この発明に係る電極埋設体は、マグネシアとジルコニアとが固溶したイットリアからなるイットリア基体に、モリブデンを主成分として含有する電極が埋設されてなり、イットリア基体中のマグネシアの全量とジルコニアの全量とがイットリアに固溶しているので、電極近傍におけるイットリア基体の体積抵抗率の低下を抑制することができる。
図1は、この発明に係る電極埋設体の一実施例である静電チャックを備えた静電チャック装置の一部を破断して示す概略斜視図である。 図2は、図1に示す静電チャック装置におけるA−A断面を示す一部断面説明図である。 図3は、サンプル3及び18について、イットリア基体と電極との界面からの距離とモリブデンの含有量との関係を示す図である。 図4は、サンプル19について、イットリア基体と電極との界面からの距離とタングステンの含有量との関係を示す図である。 図5は、サンプル3について、イットリア基体の研磨面をEPMAにより、画像撮影及び元素マッピング分析を行った結果を示す図である。図5(a)は、イットリア基体の研磨面を撮影した画像である。図5(b)は、イットリア基体の研磨面におけるMgの濃度を示す図である。図5(c)は、イットリア基体の研磨面におけるYの濃度を示す図である。図5(d)は、イットリア基体の研磨面におけるZrの濃度を示す図である。 図6は、サンプル3について、イットリア基体をXRD分析して得られたX線回折パターンである。 図7は、サンプル3について、イットリア基体の研磨面をSEMにより撮影した画像である。
この発明に係る電極埋設体の一実施形態である電極埋設体を、図面を参照しつつ説明する。図1は、この発明に係る電極埋設体の一実施例である静電チャックを備えた静電チャック装置の一部を破断して示す概略斜視図である。図2は、図1に示す静電チャック装置におけるA−A断面を示す一部断面説明図である。
この静電チャック装置100は、例えば、半導体製造装置に設置され、半導体ウエハ等の被吸着体を静電気力により吸着固定し、半導体ウエハ等の各種処理及び搬送に用いられる。静電チャック装置100に固定された半導体ウエハ等は、CVD及びPVD等による薄膜形成、エッチング、スパッタリング、並びにドライクリーニング等の処理が行われる。これらの処理は、ハロゲン系の腐食性ガス中でプラズマを用いて行われることが多い。
図1に示すように、この実施形態の静電チャック10は、所定の厚さを有する円板形状のイットリア基体11と、イットリア基体11に埋設された静電電極12a,12bとを備えている。静電電極12a,12bは、この発明の電極埋設体における電極の一例である。イットリア基体11は、図1における紙面上方の面が半導体ウエハ等の被吸着体を吸着するチャック面14である。イットリア基体11におけるチャック面14とは反対側の面すなわち接合面15がベース板20の紙面上方の面に接合されて、静電チャック装置100が構成されている。静電チャック装置100には、チャック面14からベース板20の裏面すなわちベース板20のイットリア基体11が接合されている面とは反対側の面に至るガス流路16が複数個所に設けられている。ガス流路16は、チャック面14に保持された半導体ウエハ等を冷却するために、ヘリウム等の冷却ガスをベース板20からチャック面14に向かって供給するための流路である。また、イットリア基体11の接合面15側に、ベース板20側に開口する複数の凹部17a,17bが設けられ、それぞれがベース板20を厚み方向に貫く複数の貫通孔21a,21bに連通している。凹部17a,17b及び貫通孔21a,21bには、棒状の電極端子31a,31bが配置され、静電電極12a,12bに電気的に接合されている。電極端子31a,31bには、外部端子(図示せず)が接合されて、静電電極12a,12bに電圧が印加される。
ベース板20は、静電チャック10全体を載置できる大きさを有する。ベース板20の大きさは、例えば、厚さが5〜70mm、直径が150〜550mmである。ベース板20の形状は特に限定されず、この実施形態では、イットリア基体11より大径の円板形状である。ベース板20は、剛性に優れ、イットリア基体よりも熱伝導率の高いセラミックス又はアルミニウム等の金属等により形成される。
イットリア基体11の形状は、円板形状が採用されることが多いが、半導体ウエハ等を一時的に保持することができる限り特に限定されず、例えば平面形状が多角形の板状体又は平面形状が環状をなす板状体等を挙げることができ、この実施形態では、所定の厚さを有する円板形状を有する。イットリア基体11の大きさは、例えば、厚さが1〜10mm、直径が100〜500mmである。
イットリア基体11は、マグネシアとジルコニアとが固溶したイットリアからなる。イットリア基体11は、イットリア基体11に含まれるマグネシアの全量とジルコニアの全量とがイットリアに固溶している。すなわち、イットリア基体11に含まれるマグネシアとジルコニアとは、マグネシア(MgO)の結晶及びジルコニア(ZrO)の結晶として存在するのではなく、イットリア(Y)の結晶構造を変えないで、イットリア(Y)の結晶にマグネシア(MgO)の結晶及びジルコニア(ZrO)の結晶が固体状態で溶け込んでいる。イットリアは、プラズマ及び腐食性ガスに対する耐食性に優れているので、プラズマに曝される環境下で使用される静電チャックを構成する材料として好ましい。イットリア基体11は、イットリアにマグネシアとジルコニアとの両方が固溶しているので、イットリア基体11に埋設される静電電極12a,12bの主成分であるモリブデン(Mo)がイットリア基体11へ拡散するのを抑制することができ、その結果、静電電極12a,12b近傍のイットリア基体11の体積抵抗率の低下を抑制することができる。イットリアにマグネシアとジルコニアとが固溶していると、イットリア結晶内でのモリブデンの拡散係数が小さくなり、モリブデンの拡散が抑制されると推測される。また、後述するように、イットリアを主成分とするグリーンシートを焼成してイットリア基体11を形成する際に、イットリアにマグネシアとジルコニアとが添加されていると、良好な焼結性が得られ、緻密なイットリア基体11が得られる。
イットリア基体11において、マグネシアの全量とジルコニアの全量とがイットリアに固溶していることは、電子線プローブマイクロアナライザ(EPMA)、X線回折装置(XRD)、及び走査型電子顕微鏡(SEM)によりイットリア基体11を分析し、以下の(1)〜(3)に示す結果が得られることから判断することができる。
まず、イットリア基体11を切断して切断面を露出させ、この切断面を研磨して研磨面を得る。
(1)前記研磨面をEPMAでY、Mg、及びZrそれぞれの元素について元素マッピング分析を行う。得られたマッピング画像それぞれにおいて、各元素の濃度が均一になっており、偏在していることが観察されない。
(2)前記研磨面をXRDにより分析し、X線回折パターンを得る。得られたX線回折パターンと標準物質のX線回折データであるJCPDSカードとを比較することにより、イットリア基体11に含有される結晶相を同定する。イットリア(Y)の結晶相が同定され、マグネシア(MgO)の結晶相及びジルコニア(ZrO)の結晶相が同定されない。
(3)前記研磨面をさらにサーマルエッチング処理する。前記研磨面及びサーマルエッチング処理をした処理面をそれぞれSEMにより例えば5000倍で観察する。前記研磨面及び前記処理面のいずれにもマグネシアの粒子又はジルコニアの粒子が観察されない。
イットリア基体11は、Yを主成分として含む。イットリア基体11は、酸化物換算でイットリア基体の全質量を100質量%としたときに、Yを98質量%以上99.93質量%以下、MgOを0.02質量%以上1質量%以下、及びZrOを0.05質量%以上1質量%以下含有するのが好ましく、Yを99質量%以上99.93質量%以下、MgOを0.02質量%以上0.5質量%以下、及びZrOを0.05質量%以上0.5質量%以下含有するのがより好ましい。イットリア基体11におけるY、MgO、及びZrOの含有量が前記範囲内にあると、緻密なイットリア基体11が得られると共に、イットリア基体11に埋設される静電電極12a,12bの主成分であるモリブデン(Mo)がイットリア基体11へ拡散するのをより一層抑制することができ、その結果、静電電極12a,12b近傍の体積抵抗率の低下をより一層抑制することができる。イットリア基体11におけるMgOの含有量が0.02質量%未満であると、Yを主成分とするグリーンシートを焼成してイットリア基体11を形成する際に、良好な焼結性が得られず、緻密なイットリア基体11が得られないおそれがある。また、イットリア基体11におけるMgOの含有量が0.02質量%未満又はZrOの含有量が0.05質量%未満であると、Yを主成分とするグリーンシートを焼成する際に、イットリア基体11に埋設される静電電極12a,12bの主成分であるモリブデン(Mo)がイットリア基体11へ拡散するのを抑制する効果が小さくなる。イットリア基体11におけるMgO及びZrOの含有量が多いほどイットリア基体11に埋設される静電電極12a,12bの主成分であるモリブデン(Mo)がイットリア基体11へ拡散するのを抑制する効果が大きくなる一方で、MgO及びZrOの含有量が所定量以上になるとその効果は頭打ちになる。また、イットリア基体11中のMgO及びZrOの含有量が多いほど静電チャック10がプラズマに曝される環境下で使用される場合、Mg及び/又はZrが半導体ウエハを汚染するおそれがある。したがって、イットリア基体11におけるMgO及びZrOの含有量は、静電電極12a,12b近傍の体積抵抗率の低下を抑制する効果が得られる範囲で小さい方が好ましい。
イットリア基体11は、マグネシアとジルコニアとが固溶したイットリアのみから実質的に形成される。「実質的に」とは、マグネシアとジルコニアとが固溶したイットリア以外の成分を、添加等により積極的に含有させないことを意味する。なお、イットリア、マグネシア、及びジルコニアは微量の不純物を含んでいることがあるから、イットリア基体11は、この発明の目的を損なわない範囲で、前記成分以外の不純物を含有していてもよい。
イットリア基体11は、その密度が4.90g/cm以上であるのが好ましく、4.96g/cm以上であるのがより好ましい。イットリア基体11が、前記範囲の密度を有すると、所望の耐食性及び機械的強度が得られる。イットリアは難焼結性のセラミックとして知られている。しかし、イットリア基体11は、マグネシアとジルコニアとが添加されたイットリアグリーンシートを焼成して得られるので、良好な焼結性が得られ、その密度を前記範囲に容易に調整することができる。
静電電極12a,12bは、その大きさは特に限定されず、イットリア基体11に埋設可能な大きさを有するのが好ましい。静電電極12a,12bの形状は、特に限定されず、薄板状、線状、及び塊状等を挙げることができる。この実施形態では、一対の薄板状の静電電極12a,12bが、イットリア基体11のチャック面14側に埋設されている。静電電極12a,12bは、静電電極12a,12b間に電極端子31a,31bを介して電圧を印加することで静電気力を発生し、半導体ウエハ等をチャック面14に吸着することができる。この静電チャック10は、双極型のものを例示しているが、静電電極が1つである単極型のものであってもよい。
静電電極12a,12bは、モリブデン(Mo)を主成分として含有する導電性の部材である。モリブデンは白金(Pt)等に比べて安価であるので、静電電極を白金で形成するよりもモリブデンで形成した方が安価な静電チャック10を提供することができる。また、モリブデンを主成分とする静電電極12a,12bは、ホットプレスではなく常圧で導電性ペーストを焼成して形成されても良好な焼結性が得られるから、製造工程におけるコストを低減することができる。また、モリブデンはタングステン(W)に比べて焼成時に静電電極12a,12bからイットリア基体に拡散し難いので、モリブデンを主成分として含有する静電電極12a,12bは、タングステンを主成分として含有する静電電極に比べて、静電電極近傍におけるイットリア基体の体積抵抗率の低下を抑制することができる。さらに、前述したように、イットリア基体11を特定のイットリアにより形成することで、モリブデンのイットリア基体への拡散量を低減することができる。なお、「主成分」とは、静電電極12a,12bの全質量に対する含有量が50質量%以上である成分をいう。
静電電極12a,12bは、モリブデン(Mo)を50質量%以上100質量%以下含有し、モリブデン以外の成分として、タングステン(W)を含有してもよく、イットリア(Y)、マグネシア(MgO)、及びジルコニア(ZrO)等のイットリア基体11に含有される成分、白金(Pt)及びタンタル(Ta)等の、導電性ペーストを焼成するときの焼成温度よりも融点の高い金属、並びにシリカ(SiO)等の焼結助剤を含有してもよい。
静電電極12a,12bは、静電電極12a,12bの全質量に対するタングステンの含有量が0質量%以上30質量%以下であるのが好ましい。すなわち、静電電極12a,12bは、タングステンを含有しても含有しなくてもよく、タングステンを含有する場合には30質量%以下であるのが好ましい。タングステンは、モリブデンに比べてイットリア基体11に拡散し易いので、タングステンの含有量が小さいほど静電電極12a,12b近傍におけるイットリア基体の体積抵抗率の低下を抑制することができる。したがって、静電電極12a,12b近傍におけるイットリア基体の体積抵抗率の低下を抑制する点で、静電電極12a,12bにおけるタングステンの含有量は小さいほど好ましく、多くても30質量%であるのが好ましい。また、静電電極12a,12bがモリブデン以外の成分としてタングステンを含有すると、導電性ペーストが印刷されたグリーンシート積層体を焼成する過程で、グリーンシートと導電性ペーストとが焼成により収縮する時期を近づけることができる。以下に具体的に説明する。導電性ペーストが印刷されたグリーンシート積層体を焼成し、静電電極12a,12bが埋設されたイットリア基体11を形成する過程で、グリーンシートと導電性ペーストとはいずれも収縮する。焼成温度を上昇させていく途中のある温度での両者の収縮量の差が大きくなると、焼成により得られた、イットリア基体11と静電電極12a,12bとの間に隙間が生じたり、いずれか一方又は両方にクラックが生じたり、静電チャック10全体が反ってしまったりする。したがって、グリーンシートと導電性ペーストとは、焼成温度を上昇させていく過程で同じタイミングで収縮するのが望ましい。無機固体成分としてモリブデンのみを含む導電性ペーストは、焼成温度を上昇させていく途中の比較的低い温度でグリーンシートよりも早く収縮し始めて、導電性ペーストとグリーンシートとの間の収縮量に差が生じ易い。一方、導電性ペーストにモリブデン以外の成分としてタングステンを含有させると、モリブデンのみを含有する場合に比べて高い温度で導電性ペーストが収縮し始めるようになり、導電性ペーストとグリーンシートとの収縮する時期を近づけることができる。すなわち、静電電極12a,12bにタングステンを所定量含有させることにより、焼成過程における導電性ペーストの収縮する時期を調整することができ、その結果、イットリア基体11と静電電極12a,12bとの間の隙間の発生、クラックの発生、静電チャック10の反りの発生を抑制することができる。
静電電極12a,12bは、静電電極12a,12bの全質量に対する「イットリア基体11に含有される成分」の全含有量が0質量%を超え50質量%以下であるのが好ましい。すなわち、静電電極12a,12bは、「イットリア基体11に含有される成分」を含有するのが好ましく、「イットリア基体11に含有される成分」を含有する場合には50質量%以下であるのが好ましい。静電電極12a,12bがモリブデン以外の成分として「イットリア基体11に含有される成分」、特にイットリア(Y)を含有すると、イットリア基体11と静電電極12a,12bとの密着性が良好になる。「イットリア基体11に含有される成分」としては、イットリア(Y)以外に、マグネシア(MgO)及びジルコニア(ZrO)を挙げることができる。静電電極12a,12bが、マグネシア(MgO)及びジルコニア(ZrO)を固溶したイットリア(Y)を含有することにより、焼結性が良好になり、緻密な静電電極12a,12bが得られると共に、静電電極12a,12bの内部でモリブデンが拡散するのを抑制することができる。「イットリア基体11に含有される成分」のうちのマグネシア(MgO)及びジルコニア(ZrO)の含有量は、イットリア基体11と同程度であってもよいし、イットリア基体11よりも多くてもよい。
イットリア基体11に含有されるY、MgO、及びZrO等の含有量及び静電電極12a,12bに含有されるMo等の含有量は、次のようにして測定することができる。まず、円板状の静電チャック10を平面に直交する方向に切断して切断面を露出させ、この切断面を研磨する。イットリア基体11については、前記研磨面において静電電極12a,12bから1mm以上離れた位置における複数個所を、波長分散型X線分光器(WDS)の付属した電子線プローブマイクロアナライザ(EPMA)で分析を行い、各測定箇所における測定値を酸化物換算質量%として求める。イットリア基体11の組成は、すべての測定値の算術平均値により求める。静電電極12a,12bについては、前記研磨面において静電電極12a,12bの中心付近の複数個所についてイットリア基体11の場合と同様にして質量組成を測定する。静電電極12a,12bの組成は、すべての測定値の算術平均値により求める。なお、この発明において、イットリア基体11及び静電電極12a,12bをEPMAによって分析して得られた結果と、イットリア基体11及び静電電極12a,12bの製造に用いる原料粉末における各粉末の混合比とはそれぞれほぼ一致する。したがって、イットリア基体11及び静電電極12a,12bに含まれる各成分の含有量は、原料粉末における各粉末の混合比で調整できる。
イットリア基体11は、静電電極12a,12bとイットリア基体11との界面から0.07mm離れた位置から前記界面から0.40mm離れた位置までの領域におけるモリブデンの含有量が0.10質量%以下であるのが好ましい。前記領域におけるモリブデンの含有量が0.10質量%以下であると、前記領域におけるイットリア基体11の体積抵抗率の低下を十分に抑制し、所望の特性を有する静電チャック10を提供することができる。前記領域におけるモリブデンの含有量は、イットリア基体11に含有されるYとMgOとZrOとの含有量等を適宜変更することにより調整することができる。
前記領域におけるモリブデンの含有量は、次のようにして測定することができる。まず、円板状の静電チャック10を平面に直交する方向に切断して切断面を露出させ、この切断面を研磨する。この研磨面において静電電極12a,12bとイットリア基体11との界面から前記界面に直交する方向に0.07mm離れた位置を測定開始点とし、前記界面から前記界面に直交する方向に0.40mm離れた位置を測定終点とし、測定開始点から測定終点までの直線上を10μm間隔でEPMAに付属のWDSで分析を行い、各測定点におけるモリブデンの含有量を測定する。なお、各測定点におけるスポット径は10μmとする。すべての測定点においてモリブデンの含有量が0.10質量%以下であるとき、前記領域におけるモリブデンの含有量は0.10質量%以下である。
イットリア基体11は、静電電極12a,12bとイットリア基体11との界面と前記界面から0.40mm離れた位置との間の、室温における平均体積抵抗率が1×1014Ω・cm以上であるのが好ましく、5×1014Ω・cm以上であるのがより好ましい。静電電極12a,12b近傍におけるイットリア基体11の平均体積抵抗率が前記範囲にあると、静電チャック10は、クーロン力型静電チャックに要求されるチャック力及びデチャック性を有することができる。また、静電電極が例えば線状であり、線状の静電電極同士が近接して配置される配線パターンを有する静電チャックである場合には、隣接する静電電極と静電電極との間で漏れ電流が発生するのを抑制することができる。
静電電極12a,12b近傍におけるイットリア基体11の平均体積抵抗率は、次のようにして測定することができる。まず、静電電極12a,12bとイットリア基体11との界面を底面として、0.40mmの厚みを有する円板状のイットリア基体11の試料片を複数個切り出し、これらの試料片の円形状の2つの面に白金電極を焼き付け、三端子法にて体積抵抗率を測定する。白金電極を焼き付ける際は、グリーンシート積層体を焼成するときと同じ雰囲気、すなわち加湿した水素と窒素との混合ガス中で1000℃で焼き付けを行う。イットリア基体11の平均体積抵抗率は、測定した複数の試料片の体積抵抗率の算術平均値により求める。
次に、この実施形態の静電チャックの製造方法の一例を、説明する。まず、グリーンシートを作製する。グリーンシートの原料粉末は、イットリウム化合物、マグネシウム化合物、及びジルコニウム化合物の各粉末を準備し、これらを所定の質量割合で混合して混合粉末を調製する。前記各種化合物は、酸化物又は焼成により酸化物になる化合物であり、例えば、各元素の酸化物、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩等を挙げることができる。前記混合粉末に、さらにバインダー、可塑剤、分散剤、及び有機溶剤等を加えて湿式混合して、スラリーを作製する。このスラリーをドクターブレード法又はカレンダー法等でシート状に成形することにより、グリーンシートを複数枚作製する。グリーンシートのうちの一部は、ガス流路16及び凹部17a,17bが設けられる位置に貫通孔を形成しておく。なお、グリーンシートを積層及び熱圧着した後にガス流路16及び凹部17a,17bを形成してもよい。
グリーンシートと並行して導電性ペーストを作製する。導電性ペーストの原料粉末は、モリブデンの粉末と、所望によりタングステン等の金属、イットリウム化合物、マグネシウム化合物、ジルコニウム化合物、及びシリカ等の各粉末のうちの少なくとも一種の粉末とを準備し、これらを所定の質量割合で混合して混合粉末を調製する。前記各種化合物は、酸化物又は焼成により酸化物になる化合物であり、例えば、各元素の酸化物、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩等を挙げることができる。前記混合粉末に、さらに、バインダー、分散剤、及び有機溶剤等を加えて混合して、導電性ペーストを作製する。
次いで、作製したグリーンシートの表面に、導電性ペーストをスクリーン印刷法により、静電電極12a,12bのパターンを印刷する。作製したグリーンシート及び導電性ペーストを印刷したグリーンシートを、位置合わせをしつつ積層して熱圧着する。熱圧着したグリーンシートをエンドミル加工等により円板状等の所望の形状に成形し、グリーンシート積層体を得る。
得られたグリーンシート積層体を常圧の窒素ガス中で脱脂し、常圧の加湿した水素と窒素の混合ガス中で、1500℃〜1650℃にて、2〜6時間焼成し、グリーンシートと導電性ペーストとを同時焼成する。この焼成過程でグリーンシート積層体の寸法は、約15〜20%小さくなる。
焼成後の積層体の表面を研磨し、チャック面14の平面度が30μm以下となるように加工する。次いで、凹部17a,17bから露出している静電電極12a,12bに、ニッケルメッキを施し、ここに電極端子31a,31bをろう付け等により接合する。こうして静電チャック10が製造される。
一方、前述した静電チャック10の製造工程とは別に、アルミニウム合金等により形成されるベース板20を周知の製造工程にて製造し、所望の寸法形状に加工する。静電チャック10をベース板20の表面に、例えばシリコン樹脂を用いて接合する。こうして静電チャック装置100が製造される。
この実施形態の静電チャック10は、マグネシアとジルコニアとが固溶したイットリアからなるイットリア基体11により形成されているので、プラズマ及び腐食性ガスに対する耐食性に優れる。また、この静電チャック10は、モリブデンを主成分として含有する静電電極12a,12bが埋設されてなるので、白金製の静電電極を埋設した静電チャックよりも低コストの静電チャックを提供することができる。さらに、この静電チャック10は、モリブデンを主成分として含有する静電電極12a,12bがイットリア基体11に埋設され、イットリア基体中のマグネシアの全量とジルコニアの全量とがイットリアに固溶しているので、静電電極12a,12b近傍におけるイットリア基体の体積抵抗率の低下を抑制することができる。
本発明に係る電極埋設体は、前述した実施形態の静電チャック10に限定されず、本発明の課題を達成することができる範囲で、種々の変更をすることができる。例えば、前記実施形態の静電チャック10では、本発明における電極が静電気力を発生する静電電極である例を示したが、本発明における電極は、熱を発生するヒータ電極であってもよい。したがって、本発明に係る電極埋設体は、静電電極に加えてヒータ電極が埋設された静電チャックであってもよい。また、本発明に係る電極埋設体は、静電電極のないヒータ電極付きサセプターであってもよい。
この発明に係る電極埋設体は、プラズマ及び腐食性ガスに対する耐食性を有するイットリアにより形成されているので、プラズマ又は腐食性ガスに曝される環境下で使用される、半導体製造装置用の機器又は部材等として好適に用いられる。また、この発明に係る電極埋設体は、電極近傍における体積抵抗率の低下が抑制されているので、電極同士が近接して配置される配線パターンを有する電極埋設体に好適に用いられる。このような電極埋設体として、静電電極及び/又はヒータ電極等の電極が埋設されて成る、静電チャック、サセプター、静電チャックの外周に配置されるダミー用のフォーカスリング、半導体ウエハ等を固定するクランプリング、及び半導体ウエハ等を加熱するヒータ等が挙げられる。また、この発明に係る電極埋設体は、半導体製造装置用の機器又は部材に限らず、あらゆる分野で使用される電極を埋設した機器又は部材に用いることができる。
(電極埋設試験体の作製)
グリーンシートの原料粉末として、酸化イットリウム(Y)、炭酸マグネシウム(MgCO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、炭酸カルシウム(CaCO)の各粉末を準備し、表1に示す組成となるように秤量及び混合して混合粉末を得た。すなわち、各サンプルが含有する金属元素を酸化物に換算して合計したときの全酸化物の総量に対する、各々の元素を酸化物に換算した量の割合が、表1に示す値となるように各原料粉末を秤量した。なお、酸化イットリウムの粉末は、平均粒径1.1μm、純度99.99%である。前記混合粉末に、さらに、バインダー、可塑剤、分散剤、及び有機溶剤を加えて湿式混合し、スラリーを作製した。このスラリーをシート状に成形して、複数枚のグリーンシートを作製した。
導電性ペーストの原料粉末として、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、白金(Pt)、及び酸化イットリウム(Y)の各粉末を準備し、表1に示す組成となるように秤量及び混合して混合粉末を得た。前記混合粉末に、さらに、バインダー、分散剤、及び有機溶剤を加えて混合し、導電性ペーストを作製した。
作製したグリーンシートの表面に、導電性ペーストをスクリーン印刷法により印刷した。作製したグリーンシート及び導電性ペーストを印刷したグリーンシートを積層及び熱圧着してグリーンシート積層体を得た。
得られたグリーンシート積層体を、常圧の窒素ガス中で550℃に加熱して脱脂した後、常圧の加湿した水素及び窒素の混合ガス中で、1600℃に4時間保持して焼成し、電極がイットリア基体に埋設されて成る電極埋設試験体を得た。
(密度)
得られた電極埋設試験体から電極を含まないイットリア基体の小片を切り出し、アルキメデス法によりイットリア基体の密度を測定した。結果を表1に示した。
(イットリア基体におけるモリブデンの含有量)
電極埋設試験体を平板状の電極に直交する方向に切断して切断面を露出させ、この切断面を研磨した。この研磨面において、前述したように、電極とイットリア基体との界面から0.01mm離れた位置を測定開始点とし、前記界面から0.40mm離れた位置を測定終点とし、測定開始点から測定終点までの直線上を10μm間隔でEPMAに付属のWDSで分析を行い、各測定点におけるモリブデンの含有量を測定した。サンプル3及び18について、前記界面からの距離とモリブデンの含有量との関係を図3に示した。サンプル19について、前記界面からの距離とタングステンの含有量との関係を図4に示した。また、前記界面から0.07mm離れた位置から測定終点までの測定点におけるモリブデンの含有量の最大値を表1に示した。
(イットリア基体の平均体積抵抗率)
電極埋設試験体において、前記界面を底面として、0.40mmの厚みを有する円板状のイットリア基体の試料片(直径:20mm、厚み0.40mm)を3個切り出し、これらの試料片の円板状の2つの面に白金電極を焼き付け、三端子法にて体積抵抗率を測定した。白金を焼き付ける際は、グリーンシート積層体を焼成する際の雰囲気と同じ雰囲気とし、1000℃で焼き付けを行った。測定した試料片の体積抵抗率の算術平均値を求め、これを表1に示した。
(マッピング分析)
「イットリア基体におけるモリブデンの含有量」を測定する際に準備した前記研磨面におけるイットリア基体に相当する部分について、EPMAによりY、Mg、及びZrそれぞれについて画像撮影と元素マッピング分析とを行った。サンプル3について元素マッピング分析をした結果を図5に示す。図5(a)は、前記研磨面をEPMAで撮影した画像であり、図5(b)は、前記研磨面におけるMgの濃度を示す図であり、図5(c)は、前記研磨面におけるYの濃度を示す図であり、図5(d)は、前記研磨面におけるZrの濃度を示す図である。図5(b)及び(d)に示されるように、前記研磨面にMgの濃度及びZrの濃度が他の部分に比べて高い部分はなく、画面全体に元素濃度が均一になっており、Mg及びZrは偏在していなかった。サンプル1、2、4〜13についても同様にMg及びZrは偏在していなかった。
(XRD分析)
前記研磨面におけるイットリア基体に相当する部分について、XRDにより分析し、X線回折パターンを得た。サンプル3について、得られたX線回折パターンを図6に示す。X線回折パターンからイットリア基体に含有される結晶相を同定したところ、Yの結晶相に対応するピークのみが検出され、MgOの結晶相及びZrOの結晶相それぞれに対応するピークは検出されなかった。サンプル1、2、4〜13についても同様にMgOの結晶相及びZrOの結晶相それぞれに対応するピークは検出されなかった。
(SEM観察)
前記研磨面におけるイットリア基体に相当する部分について、SEMにより5000倍の倍率で観察した。また、前記研磨面をサーマルエッチング処理した上で、この処理面をSEMにより5000倍の倍率で観察した。サンプル3について、前記研磨面をSEMにより撮影した画像を図7に示す。図7に示される黒点は気孔であり、MgOの粒子及びZrOの粒子は観察されなかった。サーマルエッチング処理した処理面についても、MgOの粒子及びZrOの粒子は観察されなかった。また、サンプル1、2、4〜13についても、前記研磨面及び前記処理面のいずれにもMgOの粒子及びZrOの粒子は観察されなかった。
Figure 2016018906
表1及び図3に示されるように、この発明の範囲内にあるサンプル1〜13の電極埋設試験体は、電極近傍におけるイットリア基体のモリブデンの含有量が小さく、電極からイットリア基体へのモリブデンの拡散が抑制されている。モリブデンの拡散が抑制されているため、電極近傍におけるイットリア基体の体積抵抗率の低下を抑制することができ、サンプル1〜13の電極埋設試験体はいずれも体積抵抗率が1×1014Ω・cm以上である。また、サンプル1〜13の電極埋設試験体におけるイットリア基体は、「マッピング分析」、「XRD分析」、及び「SEM観察」の結果から、いずれもマグネシアの全量とジルコニアの全量とがイットリアに固溶していると判断される。
一方、MgO及びZrOの少なくとも一方を無含有であるサンプル14、15、17、18は、電極近傍におけるイットリア基体のモリブデンの含有量がサンプル1〜13の電極埋設試験体に比べて多く、電極からイットリア基体へモリブデンが拡散している。そのため、電極近傍におけるイットリア基体の体積抵抗率が低下し、1×1014Ω・cm未満になっている。
MgOを無含有であるサンプル16は、焼結性が悪く、イットリア基体の密度が4.90g/cmより小さかった。そのため、サンプル16の電極埋設試験体は、所望の耐食性及び機械的強度が得られない。また、サンプル16は、サンプルに気孔が多く存在し、サンプルの表面の平坦性が悪いので、EPMAによるモリブデンの含有量の測定精度が下がってしまい、モリブデンの含有量を要求される精度で測定することができなかった。
表1及び図4に示されるように、タングステン製の電極を埋設したサンプル19の電極近傍におけるイットリア基体のタングステンの含有量は、サンプル18の電極近傍におけるイットリア基体のモリブデンの含有量に比べてかなり多く、電極からイットリア基体へタングステンがかなり拡散している。したがって、サンプル19のイットリア基体の体積抵抗率はサンプル18よりもかなり小さくなることが強く推定される。
白金製の電極を埋設したサンプル20の電極埋設試験体は、イットリア基体の体積抵抗率が高く、本発明の範囲内にあるサンプル1〜13と同程度であった。また、サンプル18〜20から、電極の組成によって電極に含まれる金属元素のイットリア基体への拡散量が異なり、電極近傍におけるイットリア基体の体積抵抗率が異なることが分かる。
100 静電チャック装置
10 静電チャック
11 イットリア基体
12a,12b 静電電極
14 チャック面
15 接合面
16 ガス流路
17a,17b 凹部
20 ベース板
21a,21b 貫通孔
31a,31b 電極端子

Claims (5)

  1. マグネシアとジルコニアとが固溶したイットリアからなるイットリア基体に、モリブデンを主成分として含有する電極が埋設されてなり、イットリア基体中のマグネシアの全量とジルコニアの全量とがイットリアに固溶していることを特徴とする電極埋設体。
  2. 前記イットリア基体は、酸化物換算で、Yを98質量%以上、MgOを0.02質量%以上1質量%以下、及びZrOを0.05質量%以上1質量%以下含有する請求項1に記載の電極埋設体。
  3. 前記イットリア基体は、前記電極と前記イットリア基体との界面から0.07mm離れた位置から前記界面から0.40mm離れた位置までの領域におけるモリブデンの含有量が0.10質量%以下である請求項1又は2に記載の電極埋設体。
  4. 前記電極は、タングステンの含有量が0質量%以上30質量%以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の電極埋設体。
  5. 前記イットリア基体は、前記電極と前記イットリア基体との界面と前記界面から0.4mm離れた位置との間の、室温における平均体積抵抗率が1×1014Ω・cm以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の電極埋設体。
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