以下、本発明のセンサー素子、センサーデバイスおよび電子機器を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
(センサーデバイス)
<第1実施形態>
まず、本発明のセンサーデバイス(本発明のセンサー素子を備えるセンサーデバイス)の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るセンサーデバイスの概略構成を示す断面図、図2は、図1に示すセンサーデバイスの平面図、図3は、図1に示すセンサーデバイスのセンサー素子の平面図、図4(a)は、図3(a)中のA−A線断面図、図4(b)は、図3(a)中のB−B線断面図、図4(c)は、図3(b)中のA−A線断面図、図4(d)は、図3(b)中のB−B線断面図、図5は、図3に示すセンサー素子の駆動を説明するための平面図である。
なお、図1〜5では、説明の便宜上、互いに直交する3軸として、x軸、y軸およびz軸を図示しており、その図示した矢印の先端側を「+側」、基端側を「−側」とする。また、以下では、x軸に平行な方向を「x軸方向」と言い、y軸に平行な方向を「y軸方向」と言い、z軸に平行な方向を「z軸方向」と言い、+z側(図1中の上側)を「上」、−z側(図1中の下側)を「下」と言う。
図1および図2に示すセンサーデバイス1は、角速度を検出するジャイロセンサーである。このセンサーデバイス1は、センサー素子(振動素子)2と、ICチップ3と、センサー素子2およびICチップ3を収納するパッケージ9と、を有している。なお、ICチップ3は、省略されていてもよいし、パッケージ9の外部に設けられていてもよい。
(センサー素子)
センサー素子2は、z軸まわりの角速度を検出する「面外検出型」のセンサー素子(振動片)である。このセンサー素子2は、図3に示すように、複数の振動腕を有する振動体20と、振動体20の表面に設けられた複数の検出部41〜44、複数の駆動部51〜58、および複数の端子61〜66とを備える。
以下、センサー素子2を構成する各部を順次詳細に説明する。
[振動片]
まず、振動体20について説明する。
振動体20は、いわゆるダブルT型と呼ばれる構造を有する。
具体的に説明すると、振動体20は、基部21と、基部21を支持する第1支持部221および第2支持部222と、基部21から延出する第1検出用振動腕23および第2検出用振動腕24と、基部21から延出する第1連結腕211および第2連結腕212と、第1連結腕211から延出する第1駆動用振動腕25および第2駆動用振動腕26と、第2連結腕212から延出する第3駆動用振動腕27および第4駆動用振動腕28と、第1支持部221と基部21とを連結する第1梁部223、224と、第2支持部222と基部21とを連結する第2梁部225、226と、を有する。
また、本実施形態に係る第1支持部221は、x軸方向において第1検出用振動腕23を挟んでおり、かつ、第1検出用振動腕23を境にして分離している。具体的には、第1固定部221aと第1固定部221bと欠損部(第1欠損部)221cとを備えている。そして、第1固定部221aおよび第1固定部221bは、x軸方向において、欠損部221cを介して互いに離間している。そして、この欠損部221cには、第1検出用振動腕23の一部が入り込むように延伸している。
一方、本実施形態に係る第2支持部222は、x軸方向において第2検出用振動腕24を挟んでおり、かつ、第2検出用振動腕24を境にして分離している。具体的には、第2固定部222aと第2固定部222bと欠損部(第2欠損部)222cとを備えている。そして、第2固定部222aおよび第2固定部222bは、x軸方向において、欠損部222cを介して互いに離間している。そして、この欠損部222cには、第2検出用振動腕24の一部が入り込むように延伸している。
第1検出用振動腕23および第2検出用振動腕24は、基部21からy軸方向(第1方向)に沿って互いに反対側(両側)へ延出している。
第1駆動用振動腕25および第2駆動用振動腕26は、第1連結腕211の先端部からy軸方向に沿って互いに反対側へ延出している。
第3駆動用振動腕27および第4駆動用振動腕28は、第2連結腕212の先端部からy軸方向に沿って互いに反対側へ延出している。
本実施形態では、第1検出用振動腕23の先端部には、基端部よりも幅が大きい錘部(ハンマーヘッド)231が設けられている。同様に、第2検出用振動腕24の先端部には、錘部241が設けられ、第1駆動用振動腕25の先端部には、錘部251が設けられ、第2駆動用振動腕26の先端部には、錘部261が設けられ、第3駆動用振動腕27の先端部には、錘部271が設けられ、第4駆動用振動腕28の先端部には、錘部281が設けられている。このような錘部を設けることにより、センサー素子2を小型化することができる。
このような振動体20の構成材料としては、所望の振動特性を発揮することができるものであれば、特に限定されず、各種圧電体材料および各種非圧電体材料を用いることができる。
例えば、振動体20を構成する圧電体材料としては、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ホウ酸リチウム、チタン酸バリウム等が挙げられる。特に、振動体20を構成する圧電体材料としては水晶(Xカット板、ATカット板、Zカット板等)が好ましい。水晶で振動体20を構成すると、振動体20の振動特性(特に周波数温度特性)を優れたものとすることができる。また、エッチングにより高い寸法精度で振動体20を形成することができる。
また、振動体20を構成する非圧電体材料としては、例えば、シリコン、石英等が挙げられる。特に、振動体20を構成する非圧電体材料としてはシリコンが好ましい。シリコンで振動体20を構成すると、優れた振動特性を有する振動体20を比較的安価に実現することができる。また、公知の微細加工技術を用いてエッチングにより高い寸法精度で振動体20を形成することができる。
振動体20が非圧電体材料である場合、振動体20の上面には、図4(c)に示すように、絶縁体層29が設けられている。これにより、駆動部51、52および検出部41、42の各部間での短絡を防止することができる。なお、同様に、駆動部53〜58および検出部43、44においても各部間での短絡を防止することができる。
この絶縁体層29は、例えば、SiO2(酸化ケイ素)、AlN(窒化アルミ)、SiN(窒化ケイ素)等で構成されている。また、絶縁体層29の形成方法としては、特に限定されず、公知の成膜法を用いることができる。例えば、絶縁体層29をSiO2で構成する場合、振動体20の上面を熱酸化することにより、絶縁体層29を形成することができる。
[駆動部]
次に、駆動部について説明する。
図3(a)は、振動体20が水晶等の圧電体材料で構成されている場合のセンサー素子2の構成を示す図であり、図3(b)は、振動体20が非圧電体材料で構成されている場合のセンサー素子2の構成を示す図である。
まず、図3(a)に示すセンサー素子2の駆動部について説明する。
図3(a)に示すセンサー素子2の駆動部については、互いに同等の構成であるので、以下の説明では、駆動部51の構成を例に挙げて説明する。
駆動部51(2本の駆動部51がx軸に沿って並んでいてもよい。)は、第1駆動用振動腕25上に設けられている励振電極である。駆動部51は、図3(a)のA−A線断面図である図4(a)に示すように、第1駆動用振動腕25の両主面にそれぞれ設けた溝の内壁面に密着している。また、第1駆動用振動腕25の両側面にも、前記励振電極とは極性の異なる励振電極として駆動部51−1が存在する。
なお、上述の溝については存在しない構成であっても構わない。
そして、これら励振電極に通電することにより、各駆動用振動腕25〜28をx軸方向に屈曲振動させることができる。
次に、図3(b)に示すセンサー素子2の駆動部について説明する。なお、以下の説明のうち、上述した図3(a)についての説明以外の部分は、図3(a)に示すセンサー素子2の駆動部にも適用可能である。
駆動部51、52は、振動体20の第1駆動用振動腕25上に設けられている。また、駆動部53、54は、振動体20の第2駆動用振動腕26上に設けられている。また、駆動部55、56は、振動体20の第3駆動用振動腕27上に設けられている。また、駆動部57、58は、振動体20の第4駆動用振動腕28上に設けられている。
1対の駆動部51、52は、通電により第1駆動用振動腕25をx軸方向に屈曲振動させるものである。同様に、1対の駆動部53、54は、通電により第2駆動用振動腕26をx軸方向に屈曲振動させるものである。また、1対の駆動部55、56は、通電により第3駆動用振動腕27をx軸方向に屈曲振動させるものである。また、1対の駆動部57、58は、通電により第4駆動用振動腕28をx軸方向に屈曲振動させるものである。
より具体的に説明すると、1対の駆動部51、52は、第1駆動用振動腕25の幅方向(x軸方向)において、一方側(図3(b)中右側)に駆動部51が設けられ、他方側(図3(b)中左側)に駆動部52が設けられている。同様に、1対の駆動部53、54は、第2駆動用振動腕26の幅方向(x軸方向)において、一方側(図3(b)中右側)に駆動部53が設けられ、他方側(図3(b)中左側)に駆動部54が設けられている。また、1対の駆動部55、56は、第3駆動用振動腕27の幅方向(x軸方向)において、一方側(図3(b)中右側)に駆動部55が設けられ、他方側(図3(b)中左側)に駆動部56が設けられている。また、1対の駆動部57、58は、第4駆動用振動腕28の幅方向(x軸方向)において、一方側(図3(b)中右側)に駆動部57が設けられ、他方側(図3(b)中左側)に駆動部58が設けられている。
駆動部51〜58は、それぞれ、通電によりy軸方向に伸縮するように構成された圧電体素子である。このような駆動部51、52は、それぞれ、通電により第1駆動用振動腕25を駆動振動(x軸方向に屈曲振動)させる。同様に、駆動部53、54は、それぞれ、通電により第2駆動用振動腕26を駆動振動(x軸方向に屈曲振動)させる。また、駆動部55、56は、それぞれ、通電により第3駆動用振動腕27を駆動振動(x軸方向に屈曲振動)させる。また、駆動部57、58は、それぞれ、通電により第4駆動用振動腕28を駆動振動(x軸方向に屈曲振動)させる。
このような駆動部51〜58を用いることにより、各駆動用振動腕25〜28自体が圧電性を有していなかったり、あるいは、各駆動用振動腕25〜28自体が圧電性を有している場合であっても、その分極軸や結晶軸の方向がx軸方向での屈曲振動に適していなかったりする場合でも、比較的簡単かつ効率的に、各駆動用振動腕25〜28をx軸方向に屈曲振動(駆動振動)させることができる。また、各駆動用振動腕25〜28の圧電性の有無、分極軸や結晶軸の方向を問わないので、各駆動用振動腕25〜28の構成材料の選択の幅が広がる。そのため、所望の振動特性を有する振動体20を比較的簡単に実現することができる。
以下、駆動部51、52の構成について詳細に説明する。なお、駆動部53〜58の構成については、駆動部51、52と同様である(同様の積層構造を有する)ため、その説明を省略する。
駆動部51は、図4(c)に示すように、第1駆動用振動腕25上に、第1の電極層511、圧電体層(圧電薄膜)512、第2の電極層513がこの順で積層されて構成されている。
同様に、駆動部52は、第1駆動用振動腕25上に、第1の電極層521、圧電体層(圧電薄膜)522、第2の電極層523がこの順で積層されて構成されている。
第1の電極層511、521は、それぞれ、例えば、金(Au)、金合金、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、銀(Ag)、銀合金、クロム(Cr)、クロム合金、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)等の金属材料や、ITO、ZnO等の透明電極材料により形成することができる。
中でも、第1の電極層511、521の構成材料としては、それぞれ、金を主材料とする金属(金、金合金)または白金を用いるのが好ましく、金を主材料とする金属(特に金)を用いるのがより好ましい。
Auは、導電性に優れ(電気抵抗が小さく)、酸化に対する耐性に優れているため、電極材料として好適である。また、AuはPtに比しエッチングにより容易にパターニングすることができる。さらに、第1の電極層511、521を金または金合金で構成することにより、圧電体層512、522の配向性を高めることもできる。
また、第1の電極層511、521の平均厚さは、それぞれ、特に限定されないが、例えば、1nm以上300nm以下程度であるのが好ましく、10nm以上200nm以下程度であるのがより好ましい。これにより、第1の電極層511、521が駆動部51、52の駆動特性や第1駆動用振動腕25の振動特性に悪影響を与えるのを防止しつつ、前述したような第1の電極層511、521の導電性を優れたものとすることができる。
なお、第1の電極層511、521と第1駆動用振動腕25との間には、第1の電極層511、521が第1駆動用振動腕25から剥離するのを防止する機能を有する下地層が設けられていてもよい。
かかる下地層は、例えば、Ti、Cr等で構成されている。
圧電体層512、522の構成材料(圧電体材料)としては、それぞれ、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、四ホウ酸リチウム(Li2B4O7)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等が挙げられる。
中でも、圧電体層512、522の構成材料としては、PZTを用いるのが好ましい。PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)は、c軸配向性に優れている。そのため、圧電体層512、522をPZTを主材料として構成することにより、センサー素子2のCI値を低減することができる。また、これらの材料は、反応性スパッタリング法により成膜することができる。
また、圧電体層512、522の平均厚さは、それぞれ、50nm以上3000nm以下であるのが好ましく、200nm以上2000nm以下であるのがより好ましい。これにより、圧電体層512、522が第1駆動用振動腕25の振動特性に悪影響を与えるのを防止しつつ、駆動部51、52の駆動特性を優れたものとすることができる。
第2の電極層513、523は、それぞれ、例えば、金(Au)、金合金、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、銀(Ag)、銀合金、クロム(Cr)、クロム合金、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)等の金属材料やITO、ZnO等の透明電極材料により形成することができる。
また、第2の電極層513、523の平均厚さは、それぞれ、特に限定されないが、例えば、1nm以上300nm以下程度であるのが好ましく、10nm以上200nm以下程度であるのがより好ましい。これにより、第2の電極層513、523が駆動部51、52の駆動特性や第1駆動用振動腕25の振動特性に悪影響を与えるのを防止しつつ、第2の電極層513、523の導電性を優れたものとすることができる。
なお、圧電体層512と第2の電極層513との間には、圧電体層512を保護するとともに、第1の電極層511と第2の電極層513との間の短絡を防止する機能を有する絶縁体層(絶縁性の保護層)が設けられていてもよい。同様に、圧電体層522と第2の電極層523との間にも、絶縁体層が設けられていてもよい。
かかる絶縁体層は、例えば、SiO2(酸化ケイ素)、AlN(窒化アルミ)、SiN(窒化ケイ素)等で構成されている。
また、圧電体層512と第2の電極層513との間には、第2の電極層513が圧電体層512(上述した絶縁体層を設けた場合には絶縁体層)から剥離するのを防止する機能を有する下地層が設けられていてもよい。同様に、圧電体層522と第2の電極層523との間にも、下地層が設けられていてもよい。
かかる下地層は、例えば、Ti、Cr等で構成されている。
このように構成された駆動部51においては、第1の電極層511と第2の電極層513との間に電圧が印加されると、圧電体層512にz軸方向の電界が生じ、圧電体層512がy軸方向に伸張または収縮する。同様に、駆動部52においては、第1の電極層521と第2の電極層523との間に電圧が印加されると、圧電体層522にz軸方向の電界が生じ、圧電体層522がy軸方向に伸張または収縮する。
このとき、駆動部51、52のうちの一方の駆動部をy軸方向に伸張させたときに他方の駆動部をy軸方向に収縮させることにより、第1駆動用振動腕25をx軸方向に屈曲振動させることができる。
同様に、駆動部53、54により第2駆動用振動腕26をx軸方向に屈曲振動させることができる。また、駆動部55、56により第3駆動用振動腕27をx軸方向に屈曲振動させることができる。また、駆動部57、58により第4駆動用振動腕28をx軸方向に屈曲振動させることができる。
このような駆動部51は、第1の電極層511が配線(図示せず)を介して端子61に電気的に接続され、第2の電極層513が配線(図示せず)を介して端子64に電気的に接続されている。
また、駆動部52は、第1の電極層521が配線(図示せず)を介して端子64に電気的に接続され、第2の電極層523が配線(図示せず)を介して端子61に電気的に接続されている。
同様に、駆動部53は、第1の電極層が端子61に電気的に接続され、第2の電極層が端子64に電気的に接続され、また、駆動部54は、第1の電極層が端子64に電気的に接続され、第2の電極層が端子61に電気的に接続されている。
また、駆動部55は、第1の電極層が端子64に電気的に接続され、第2の電極層が端子61に電気的に接続され、また、駆動部56は、第1の電極層が端子61に電気的に接続され、第2の電極層が端子64に電気的に接続されている。
また、駆動部57は、第1の電極層が端子64に電気的に接続され、第2の電極層が端子61に電気的に接続され、また、駆動部58は、第1の電極層が端子61に電気的に接続され、第2の電極層が端子64に電気的に接続されている。
[検出部]
次に、検出部について説明する。
まず、図3(a)に示すセンサー素子の検出部について説明する。
図3(a)に示すセンサー素子2の検出部については、互いに同等の構成であるので、以下の説明では、検出部41の構成を例に挙げて説明する。
検出部41(2本の検出部41がx軸に沿って並んでいてもよい。)は、第1検出用振動腕23上に設けられている検出電極である。検出部41は、図3(a)のB−B線断面図である図4(b)に示すように、第1検出用振動腕23の両主面にそれぞれ設けた溝の内壁面に密着している。また、第1検出用振動腕23の両側面にも、前記検出電極としての検出部41−1が存在する。
なお、上述の溝については存在しない構成であっても構わない。
そして、これら検出電極によって電荷が検出され、センサーの検出信号が出力される。
次に、図3(b)に示すセンサー素子の検出部について説明する。なお、以下の説明のうち、上述した図3(a)についての説明以外の部分は、図3(a)に示すセンサー素子2の検出部にも適用可能である。
検出部41、42は、それぞれ、前述した振動体20の第1検出用振動腕23上に設けられている。また、検出部43、44は、それぞれ、振動体20の第2検出用振動腕24上に設けられている。
1対の検出部41、42は、第1検出用振動腕23のx軸方向での屈曲振動(いわゆる面内振動)を検出するものである。同様に、1対の検出部43、44は、第2検出用振動腕24のx軸方向での屈曲振動を検出するものである。
より具体的に説明すると、1対の検出部41、42は、第1検出用振動腕23の幅方向(x軸方向)での一方側(図3(b)中右側)に検出部41が設けられ、他方側(図3
(b)中左側)に検出部42が設けられている。同様に、1対の検出部43、44は、第2検出用振動腕24の幅方向(x軸方向)において、一方側(図3(b)中右側)に検出部43が設けられ、他方側(図3(b)中左側)に検出部44が設けられている。
検出部41〜44は、それぞれ、y軸方向に伸縮することにより電荷を出力するように構成された圧電体素子である。このような検出部41、42は、それぞれ、第1検出用振動腕23の振動(x軸方向での屈曲振動)に伴って電荷を出力する。同様に、検出部43、44は、それぞれ、第2検出用振動腕24の振動(x軸方向での屈曲振動)に伴って電荷を出力する。
このような検出部41〜44を用いることにより、各検出用振動腕23、24自体が圧電性を有していなかったり、あるいは、各検出用振動腕23、24自体が圧電性を有している場合であっても、その分極軸や結晶軸の方向がx軸方向での屈曲振動の検出に適していなかったりする場合でも、比較的簡単かつ効率的に、各検出用振動腕23、24のx軸方向での屈曲振動を検出することができる。また、各検出用振動腕23、24の圧電性の有無、分極軸や結晶軸の方向を問わないので、各検出用振動腕23、24の構成材料の選択の幅が広がる。そのため、所望の振動特性を有する振動体20を比較的簡単に実現することができる。
このような検出部41〜44、駆動部51〜58は、それぞれ、複数の層をz軸方向に積層した積層構造を有する圧電体素子である。
以下、検出部41、42の構成について詳細に説明する。なお、検出部43、44の構成については、検出部41、42と同様である(同様の積層構造を有する)ため、その説明を省略する。
検出部41は、図4(d)に示すように、第1の電極層411、第1の電極層411に対して第1検出用振動腕23とは反対側に設けられた第2の電極層413、および、第1の電極層411と第2の電極層413との間に設けられた圧電体層412を有する。言い換えると、検出部41は、第1検出用振動腕23上に、第1の電極層411、圧電体層412、第2の電極層413がこの順で積層されて構成されている。
同様に、検出部42は、第1検出用振動腕23上に、第1の電極層421、圧電体層422、第2の電極層423がこの順で積層されて構成されている。
第1の電極層411、421は、それぞれ、例えば、金(Au)、金合金、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、銀(Ag)、銀合金、クロム(Cr)、クロム合金、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)等の金属材料や、ITO、ZnO等の透明電極材料により形成することができる。
中でも、第1の電極層411、421の構成材料としては、それぞれ、金を主材料とする金属(金、金合金)または白金を用いるのが好ましく、金を主材料とする金属(特に金)を用いるのがより好ましい。
Auは、導電性に優れ(電気抵抗が小さく)、酸化に対する耐性に優れているため、電極材料として好適である。また、AuはPtに比しエッチングにより容易にパターニングすることができる。さらに、第1の電極層411、421を金または金合金で構成することにより、圧電体層412、422の配向性を高めることもできる。
また、第1の電極層411、421の平均厚さは、それぞれ、特に限定されないが、例えば、1nm以上300nm以下程度であるのが好ましく、10nm以上200nm以下程度であるのがより好ましい。これにより、第1の電極層411、421が検出部41、42の検出特性や第1検出用振動腕23の振動特性に悪影響を与えるのを防止しつつ、前述したような第1の電極層411、421の導電性を優れたものとすることができる。
なお、第1の電極層411、421と第1検出用振動腕23との間には、第1の電極層411、421が第1検出用振動腕23から剥離するのを防止する機能を有する下地層が設けられていてもよい。
かかる下地層は、例えば、Ti、Cr等で構成されている。
圧電体層412、422の構成材料(圧電体材料)としては、それぞれ、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、四ホウ酸リチウム(Li2B4O7)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等が挙げられるが、AIN、ZnOを用いるのが好ましい。
中でも、圧電体層412、422の構成材料としては、それぞれ、ZnO、AlNを用いるのが好ましい。ZnO(酸化亜鉛)やAlN(窒化アルミニウム)は、誘電率が低い材料であるため、検出での寄生容量を低く抑えることができる。また、これらの材料は、反応性スパッタリング法により成膜することができる。
また、圧電体層412、422の平均厚さは、それぞれ、50〜3000nmであるのが好ましく、200〜2000nmであるのがより好ましい。これにより、圧電体層412、422が第1検出用振動腕23の振動特性に悪影響を与えるのを防止しつつ、検出部41、42の検出特性を優れたものとすることができる。
第2の電極層413、423は、それぞれ、例えば、金(Au)、金合金、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、銀(Ag)、銀合金、クロム(Cr)、クロム合金、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)等の金属材料やITO、ZnO等の透明電極材料により形成することができる。
また、第2の電極層413、423の平均厚さは、それぞれ、特に限定されないが、例えば、1nm以上300nm以下程度であるのが好ましく、10nm以上200nm以下程度であるのがより好ましい。これにより、第2の電極層413、423が検出部41、42の検出特性や第1検出用振動腕23の振動特性に悪影響を与えるのを防止しつつ、第2の電極層413、423の導電性を優れたものとすることができる。
なお、圧電体層412と第2の電極層413との間には、圧電体層412を保護するとともに、第1の電極層411と第2の電極層413との間の短絡を防止する機能を有する絶縁体層(絶縁性の保護層)が設けられていてもよい。同様に、圧電体層422と第2の電極層423との間にも、絶縁体層が設けられていてもよい。
かかる絶縁体層は、例えば、SiO2(酸化ケイ素)、AlN(窒化アルミ)、SiN(窒化ケイ素)等で構成されている。
また、圧電体層412と第2の電極層413との間には、第2の電極層413が圧電体層412(上述した絶縁体層を設けた場合には絶縁体層)から剥離するのを防止する機能を有する下地層が設けられていてもよい。同様に、圧電体層422と第2の電極層423との間にも、下地層が設けられていてもよい。
かかる下地層は、例えば、Ti、Cr等で構成されている。
このような検出部41、42は、第1検出用振動腕23がx軸方向に屈曲振動すると、一方の検出部がy軸方向に伸張し、他方の検出部がy軸方向に収縮し、電荷を出力する。
同様に、検出部43、44は、第2検出用振動腕24がx軸方向に屈曲振動すると、一方の検出部がy軸方向に伸張し、他方の検出部がy軸方向に収縮し、電荷を出力する。
このような検出部41、42においては、検出部41の第2の電極層413と検出部42の第1の電極層421とがそれぞれ端子62に電気的に接続され、また、検出部41の第1の電極層411と検出部42の第2の電極層423とがそれぞれ端子63に電気的に接続されている。
同様に、図示はしないものの、検出部43の第2の電極層と検出部44の第1の電極層とがそれぞれ端子65に電気的に接続され、また、検出部43の第1の電極層と検出部44の第2の電極層とがそれぞれ端子66に電気的に接続されている。
[支持部]
第1支持部221は、第1駆動用振動腕25および第3駆動用振動腕27のーy側に位置している。一方、第2支持部222は、第2駆動用振動腕26および第4駆動用振動腕28の+y側に位置している。すなわち、第1支持部221および第2支持部222は、第1駆動用振動腕25、第2駆動用振動腕26、第3駆動用振動腕27および第4駆動用振動腕28を挟んでy軸方向に並んでいる。
また、前述したように、第1支持部221は、第1固定部221aと第1固定部221bと欠損部221cとを備えており、第1固定部221aおよび第1固定部221bは、x軸方向において、欠損部221cを介して互いに離間している。そして、この欠損部221cには、第1検出用振動腕23の一部が入り込むように延伸している。
その結果、第1固定部221aは、第1駆動用振動腕25の先端側(−y側)に位置し、第1固定部221bは、第3駆動用振動腕27の先端側(−y側)に位置することとなる。
同様に、第2支持部222は、第2固定部222aと第2固定部222bと欠損部222cとを備えており、第2固定部222aおよび第2固定部222bは、x軸方向において、欠損部222cを介して互いに離間している。そして、この欠損部222cには、第2検出用振動腕24の一部が入り込むように延伸している。
その結果、第2固定部222aは、第2駆動用振動腕26の先端側(+y側)に位置し、第2固定部222bは、第4駆動用振動腕28の先端側(+y側)に位置することとなる。
このように、第1支持部221および第2支持部222は、欠損部221cおよび欠損部222cを備えているため、これらを備えていない場合に比べて、第1検出用振動腕23および第2検出用振動腕24をより長く延伸させることができる。このため、本実施形態によれば、振動体20を大型化させることなく、第1検出用振動腕23に設けられる検出部41、42および第2検出用振動腕24に設けられる検出部43、44の長さをより長くすることができる。その結果、検出部41〜44の電極で取得される電荷の量をより多くすることができ、検出信号のS/N比をより高めることができる。よって、本実施形態によれば、小型でかつ感度の高いセンサー素子2を実現することができる。
より具体的には、第1検出用振動腕23の先端(−y側の端部)は、y軸方向において、第1駆動用振動腕25の先端および第3駆動用振動腕27の先端を境にして基部21側とは反対側(−y側)に位置している。同様に、第2検出用振動腕24の先端(+y側の端部)は、y軸方向において、第2駆動用振動腕26の先端および第4駆動用振動腕28の先端を境にして基部21側とは反対側(+y側)に位置している。
第1検出用振動腕23および第2検出用振動腕24が上記のように構成されることで、検出部41〜44の長さを十分に確保するとともに、第1支持部221および第2支持部222を配置するためのスペースを確保することができる。その結果、センサー素子2の高感度化と小型化とを高度に両立させることができる。
なお、本実施形態では、第1検出用振動腕23の−y側の外縁(先端)と第1支持部221の−y側の外縁とが揃っている。同様に、本実施形態では、第2検出用振動腕24の+y側の外縁(先端)と第2支持部222の+y側の外縁とが揃っている。
本発明では、必要に応じて、第1検出用振動腕23および第2検出用振動腕24が欠損部221cおよび欠損部222cを越えてさらに先端方向へ延長されていてもよい。
また、第1支持部221のx軸方向における外縁および第2支持部222のx軸方向における外縁は、それぞれ、各駆動用振動腕25〜28のx軸方向における外縁よりも基部21側に位置している。具体的には、図3に示す第1固定部221aの+x側の縁部221axは、第1駆動用振動腕25の錘部251の+x側の縁部251xよりも−x側に位置している。同様に、図3に示す第1固定部221bの−x側の縁部221bxは、第3駆動用振動腕27の錘部271の−x側の縁部271xよりも+x側に位置しており、図3に示す第2固定部222aの+x側の縁部222axは、第2駆動用振動腕26の錘部261の+x側の縁部261xよりも−x側に位置しており、図3に示す第2固定部222bの−x側の縁部222bxは、第4駆動用振動腕28の錘部281の−x側の縁部281xよりも+x側に位置している。すなわち、第1支持部221のx軸方向における外縁のうち最も第1検出用振動腕23から離れている外縁は、第1駆動用振動腕25の第2方向における外縁および第3駆動用振動腕27の第2方向における外縁よりも基部21側に位置しており、第2支持部222のx軸方向における外縁のうち最も第2検出用振動腕24から離れている外縁は、第2駆動用振動26腕の第2方向における外縁および第4駆動用振動腕28の第2方向における外縁よりも基部21側に位置している。
第1支持部221および第2支持部222の形状を上記のように設定することにより、センサー素子2のさらなる小型化を図ることができる。特に、図3に示すセンサー素子2のように平面視で略矩形状をなすものの場合、各検出用振動腕23、24の長さを犠牲にすることなく、センサー素子2の対角線の長さを若干短くすることができる。これにより、センサー素子2をパッケージ9に収納する際、スペースをより有効に利用することができる。
また、本実施形態に係る第1支持部221は、x軸方向において第1検出用振動腕23を境にして分離されており、具体的には、第1固定部221aと第1固定部221bとが欠損部221cを介して互いに離間している。同様に、本実施形態に係る第2支持部222は、第2固定部222aと第2固定部222bとが欠損部222cを介して互いに離間している。これにより、本実施形態に係る基部21は、4つの固定部で支持されることとなる。このようなセンサー素子2は、第1梁部223、224および第2梁部225、226が比較的高い自由度で変形することが可能になる。このため、センサー素子2に衝撃が加わったとき、第1梁部223、224および第2梁部225、226がその衝撃を受け流し易くなり、センサー素子2の破損や特性劣化の発生をより抑え易くなる。その結果、耐衝撃性に優れたセンサー素子2が得られる。
さらに、本実施形態に係る第1支持部221は、第1固定部221aと第1固定部221bとが互いに離間しており、同様に、第2支持部222は、第2固定部222aと第2固定部222bとが互いに離間しているので、従来に比べてセンサー素子2がとり得る振動モードの絶対数が少なくなる。このため、意図しない振動モードでセンサー素子2が振動する確率を下げることができ、誤作動の発生や検出感度の低下といった不具合を抑制することができる。
なお、欠損部221cは、第1支持部221のうち、その構成材料を部分的に除去してなる部位である。同様に、欠損部222cは、第2支持部222のうち、その構成材料を部分的に除去してなる部位である。ただし、製造時に除去する工程を含んでいる必要はなく、欠損部221c、222cの部分に構成材料が存在しなくなるようにパターニングを施した上で支持部221、222を形成する場合も含まれる。
また、図3に示す第1固定部221aは、平面視で、x軸方向に長軸をもつ矩形状をなしている。そして、第1固定部221aの−x側の端部に第1梁部223が接続されている。一方、図3に示す第1固定部221bも、平面視で、x軸方向に長軸をもつ矩形状をなしている。そして、第1固定部221bの+x側の端部に第1梁部224が接続されている。
同様に、図3に示す第2固定部222aは、平面視で、x軸方向に長軸をもつ矩形状をなしている。そして、第2固定部222aの−x側の端部に第2梁部225が接続されている。一方、図3に示す第2固定部222bも、平面視で、x軸方向に長軸をもつ矩形状をなしている。そして、第2固定部222bの+x側の端部に第2梁部226が接続されている。
支持部と梁部との接続が上記のようになっていることで、第1梁部223、224および第2梁部225、226の平面視形状がy軸方向に細長い形状になり易くなる。このような形状の梁部は、センサー素子2の駆動振動を安定させ易くなり、センサー素子2のさらなる高感度化に寄与する。また、支持部と梁部との接続箇所において、落下等の衝撃が加わった際に破損の起点となる角部を1か所とすることができるため、破損の可能性を低減することができる。
さらに、第1梁部223、224のうち、第1支持部221側の部分は、平面視において直線状をなしているのが好ましい。同様に、第2梁部225、226のうち、第2支持部222側の部分は、平面視において直線状をなしているのが好ましい。このような形状の梁部は、センサー素子2の駆動振動をより安定化させることに寄与する。なお、この直線状の部分は、第1支持部221側または第2支持部222側の少なくとも一部に設けられていればよいが、好ましくは、第1梁部223、224および第2梁部225、226の全長の半分以上を占めているのが好ましい。これにより、上述した効果がより顕著なものとなる。
加えて、この直線状の部分は、y軸方向と平行であるのが好ましい。これにより、センサー素子2の駆動振動をさらに安定化させることができる。また、駆動用振動腕および検出用振動腕と平行に梁部が形成されていることで、梁部と駆動用振動腕、梁部と駆動用錘部、梁部と検出用振動腕、梁部と検出用錘部のそれぞれのギャップが互いに平行となり、加工形状の安定性が向上し、歩留り良く製造することが可能となる。
なお、図3に示すセンサー素子2では、第1固定部221aの−x側の端部と第1梁部223の直線状の部分とで、x軸方向における位置が揃っている。同様に、第1固定部221bの+x側の端部と第1梁部224の直線状の部分とで、x軸方向における位置が揃っており、第2固定部222aの−x側の端部と第2梁部225の直線状の部分とで、x軸方向における位置が揃っており、第2固定部222bの+x側の端部と第2梁部226の直線状の部分とで、x軸方向における位置が揃っている。
支持部および梁部の形状が上記のようになっていることで、欠損部221cおよび欠損部222cのx軸方向における長さを十分に確保することができる。このため、第1検出用振動腕23と第1固定部221a、221bとの間に十分な離間距離が確保され、従来に比べて長くなった第1検出用振動腕23がより大きな振幅で面内振動したときでも、第1検出用振動腕23と第1固定部221a、221bとの接触を防止することができる。同様に、第2検出用振動腕24と第2固定部222a、222bとの間に十分な離間距離が確保され、従来に比べて長くなった第2検出用振動腕24がより大きな振幅で面内振動したときでも、第2検出用振動腕24と第2固定部222a、222bとの接触を防止することができる。
加えて、センサー素子2に衝撃が加わったときでも、第1検出用振動腕23と第1固定部221a、221bとが接触したり、第2検出用振動腕24と第2固定部222a、222bとが接触したりする確率を下げることができるので、センサー素子2の耐衝撃性を高めることができる。
また、図3に示す第1梁部223、224は、直線状の部分の他に、x軸方向に平行な部分とy軸方向に平行な部分とが交互に接続されてなる屈曲部分を備えている。このような屈曲部分を設けることにより、センサー素子2に加わった衝撃が基部21に伝搬し難くなる。その結果、センサー素子2の耐衝撃性をより高めることができる。
なお、第1検出用振動腕23と第1固定部221aとの離間距離L1は、特に限定されないものの、センサー素子2のx軸方向の最大長さをL4としたとき、L4の2%以上15%以下程度であるのが好ましい。これにより、センサー素子2において十分な振動安定性と耐衝撃性とが確保され、センサー素子2の高感度化および高精度化が図られる。
また、第1固定部221aのy軸方向の長さL2は、特に限定されないものの、センサー素子2のy軸方向の最大長さをL5としたとき、L5の5%以上15%以下程度であるのが好ましい。これにより、センサー素子2を十分に安定させた状態で支持することができるので、十分な振動安定性と耐衝撃性とが確保され、センサー素子2の高感度化および高精度化が図られる。
さらに、第1固定部221aのx軸方向の長さL3は、最大長さL4の10%以上40%以下程度であるのが好ましい。これにより、センサー素子2のさらなる高感度化および高精度化が図られる。
なお、上記では、第1固定部221aについてのみ説明しているが、第1固定部221bや第2固定部222a、222bについても上記と同様の関係が成り立つ。
[端子]
端子61〜63は、前述した第1支持部221上に設けられている。具体的には、端子61は、前述した第1固定部221a上に設けられ、端子62、63は、第1固定部221b上に設けられている。
一方、端子64〜66は、前述した第2支持部222上に設けられている。具体的には、端子64、65は、前述した第2固定部222a上に設けられ、端子66は、第2固定部222b上に設けられている。
また、端子61〜66および配線(図示せず)等は、例えば、金(Au)、金合金、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、銀(Ag)、銀合金、クロム(Cr)、クロム合金、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)等の金属材料やITO、ZnO等の透明電極材料により形成することができる。また、これらは、検出部や駆動部と導通しており、例えば、図3(b)の構成であれば、検出部41〜44の第1の電極層または第2の電極層や、駆動部51〜58の第1の電極層または第2の電極層と同時に一括形成することができる。
このように構成されたセンサー素子2は、次のようにしてz軸まわりの角速度ωを検出する。
まず、端子61と端子64との間に電圧(駆動信号)を印加することにより、図5(a)に示すように、図中矢印Aに示す方向に、第1駆動用振動腕25と第3駆動用振動腕27とを互いに接近・離間するように屈曲振動(駆動振動)させるとともに、第2駆動用振動腕26と第4駆動用振動腕28とを上記屈曲振動と同方向に互いに接近・離間するように屈曲振動(駆動振動)させる。
このとき、センサー素子2に角速度が加わらないと、各駆動用振動腕25、26と各駆動用振動腕27、28とは、中心点(重心G)を通るyz平面に対して面対称の振動を行っているため、基部21および各検出用振動腕23、24は、ほとんど振動しない。
このように各駆動用振動腕25〜28を駆動振動させた状態で、センサー素子2にその重心Gを通る法線まわりの角速度ωが加わると、各駆動用振動腕25〜28には、それぞれコリオリ力が働く。これにより、図5(b)に示すように、連結腕211、212が図中矢印Bに示す方向に屈曲振動し、これに伴いこの屈曲振動を打ち消すように、各検出用振動腕23、24では図中矢印Cに示す方向の屈曲振動(検出振動)が励振される。
そして、第1検出用振動腕23の屈曲振動によって検出部41、42に生じた電荷が端子62、63から出力される。また、第2検出用振動腕24の屈曲振動によって検出部43、44に生じた電荷が端子65、66から出力される。
このように端子62、63、65、66から出力された電荷に基づいて、センサー素子2に加わった角速度ωを求めることができる。
(ICチップ3)
図1および図2に示すICチップ3は、前述したセンサー素子2を駆動する機能と、センサー素子2からの出力(センサー出力)を検出する機能とを有する電子部品である。
このようなICチップ3は、図示しないが、センサー素子2を駆動する駆動回路と、センサー素子2(より具体的には検出部41〜44)からの出力(電荷)を検出する検出回路とを備える。
また、ICチップ3には、複数の接続端子31が設けられている。
(パッケージ)
パッケージ9は、センサー素子2およびICチップ3を収納するものである。
パッケージ9は、上面に開放する凹部を有するベース91と、ベース91の凹部の開口を塞ぐようにベース91に接合されているリッド(蓋体)92とを有している。このようなパッケージ9は、その内側に収納空間Sを有しており、この収納空間S内に、センサー素子2およびICチップ3が気密的に収納、設置されている。
また、ベース91の上面には、複数の内部端子71および複数の内部端子72が設けられている。
この複数の内部端子71には、半田、銀ペースト、導電性接着剤(樹脂材料中に金属粒子などの導電性フィラーを分散させた接着剤)などの導電性固定部材81を介して、センサー素子2の端子61〜66が電気的に接続されている。また、この導電性固定部材81により、センサー素子2がベース91に対して固定されている。
この複数の内部端子71は、図示しない配線を介して、複数の内部端子72に電気的に接続されている。
複数の内部端子72には、例えばボンディングワイヤーで構成された配線を介して、前述したICチップ3の複数の接続端子31が電気的に接続されている。
また、ベース91の上面には、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂等を含んで構成された接着剤のような接合部材82により、前述したICチップ3が接合されている。これにより、ICチップ3がベース91に対して支持・固定されている。
また、図示しないが、ベース91の下面(パッケージ9の底面)には、センサーデバイス1が組み込まれる機器(外部機器)に実装される際に用いられる複数の外部端子が設けられている。
この複数の外部端子は、図示しない内部配線を介して、前述した内部端子72に電気的に接続されている。
このような各内部端子71、72等は、それぞれ、例えば、タングステン(W)等のメタライズ層にニッケル(Ni)、金(Au)等の被膜をメッキ等により積層した金属被膜からなる。
このようなベース91には、リッド92が気密的に接合されている。これにより、パッケージ9内が気密封止されている。
このリッド92は、例えば、ベース91と同材料、または、コバール、42アロイ、ステンレス鋼等の金属で構成されている。
ベース91とリッド92との接合方法としては、特に限定されず、例えば、ろう材、硬化性樹脂等で構成された接着剤による接合方法、シーム溶接、レーザー溶接等の溶接方法等を用いることができる。
かかる接合は、減圧下または不活性ガス雰囲気下で行うことにより、パッケージ9内を減圧状態または不活性ガス封入状態に保持することができる。
以上説明したような第1実施形態に係るセンサーデバイス1は、第1支持部221が欠損部221cを備えているとともに、第2支持部222が欠損部222cを備えている。そして、第1検出用振動腕23が欠損部221cに入り込むとともに、第2検出用振動腕24が欠損部222cに入り込んでいる。このため、本実施形態によれば、センサー素子2を大型化させることなく、検出部41〜44の長さをより長くすることができるので、小型でかつ感度の高いセンサー素子2を実現することができる。
また、このようなセンサー素子2を備えるセンサーデバイス1は、信頼性に優れる。
<第2実施形態>
次に、本発明のセンサー素子の第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係るセンサー素子の概略構成を示す平面図である。
なお、図6では、説明の便宜上、互いに直交する3軸として、x軸、y軸およびz軸を図示しており、その図示した矢印の先端側を「+側」、基端側を「−側」とする。また、以下では、x軸に平行な方向を「x軸方向」と言い、y軸に平行な方向を「y軸方向」と言い、z軸に平行な方向を「z軸方向」と言う。
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第2実施形態に係るセンサー素子2は、第1支持部221および第2支持部222の構成が異なる以外、第1実施形態に係るセンサー素子2と同様である。
本実施形態に係る第1支持部221は、x軸方向において、第1検出用振動腕23が第1支持部221に挟まれている特徴は共通であるが、欠損部221cを備えているものの、この欠損部221cは、第1固定部221aと第1固定部221bとを完全に分離するのではなく、一部が残るように、基部21側(+y側)の外縁を基部21とは反対側(−y側)に後退させてなるものである。なお、このようにして第1固定部221aと第1固定部221bとを連結する部分は、欠損部221cの分だけ、第1固定部221a、221bよりもy軸方向の長さが短い部分であり、これを連結部221dとする。換言すれば、第1固定部221aおよび第1固定部221bは、それぞれy軸方向の長さが長い部分であり、連結部221dは、y軸方向の長さが第1固定部221a、221bよりも相対的に短い部分である。すなわち、第1支持部221は、基部21側に欠損部221cである凹部を有し、第1の検出用振動腕23は前述の凹部内にまで延在しており、第1方向であるy軸方向に沿った凹部から第1支持部221の外縁までの長さ(連結部221dのy軸方向に沿った長さ)は、凹部のy方向に沿った長さよりも短くなっている。
一方、本実施形態に係る第2支持部222は、x軸方向において、第2検出用振動腕24が第2支持部222に挟まれている特徴は共通であるが、欠損部222cを備えているものの、この欠損部222cは、第2固定部222aと第2固定部222bとを完全に分離するのではなく、一部が残るように、基部21側(−y側)の外縁を基部21とは反対側(+y側)に後退させてなるものである。なお、このようにして第2固定部222aと第2固定部222bとを連結する部位は、欠損部222cの分だけ、第2固定部222a、222bよりもy軸方向の長さが短い部位であり、これを連結部222dとする。換言すれば、第2固定部222aおよび第2固定部222bは、それぞれy軸方向の長さが長い部分であり、連結部222dは、y軸方向の長さが第2固定部222a、222bよりも相対的に短い部分である。すなわち、第2支持部222は、基部21側に欠損部222cである凹部を有し、第2の検出用振動腕24は前述の凹部内にまで延在しており、第1方向であるy軸方向に沿った凹部から第2支持部222の外縁までの長さ(連結部222dのy軸方向に沿った長さ)は、凹部のy軸方向に沿った長さよりも短くなっている。
このような本実施形態においても、欠損部221cおよび欠損部222cを備えていない場合に比べて、第1検出用振動腕23および第2検出用振動腕24をより長く延伸させることができる。このため、本実施形態によれば、振動体20を大型化させることなく、第1検出用振動腕23に設けられる検出部41、42および第2検出用振動腕24に設けられる検出部43、44の長さをより長くすることができる。その結果、検出部41〜44の電極で取得される電荷の量をより多くすることができ、検出信号のS/N比をより高めることができる。よって、本実施形態によれば、小型でかつ感度の高いセンサー素子2を実現することができる。
また、本実施形態に係る第1支持部221は、第1固定部221aと第1固定部221bとが連結部221dを介して互いに連結されている。このため、第1支持部221が応力の影響によって変形するとき、第1固定部221aと第1固定部221bとが連動して第1支持部221全体が変形する。
ここで、例えば第1支持部221に設けられた端子61〜63とベース91に設けられた内部端子71とが導電性固定部材81を介して接続されているとき、接続作業から導電性固定部材81が化学的に安定するまでの間に一定の期間を要する。このため、接続作業直後と、一定の期間が経過した後とでは、導電性固定部材81の機械的な状態や電気的な状態が変化することとなり、センサー素子2のセンシング特性が意図せず変化するおそれがある。
これに対し、本実施形態によれば、導電性固定部材81の状態変化の影響が第1支持部221全体の接続状態のバラツキを招き難くなるので、このバラツキに伴うセンシング特性の意図しない変化が抑えられる。これにより、目的のセンシング特性を有するセンサー素子2が得られる。
同様に、本実施形態に係る第2支持部222は、第2固定部222aと第2固定部222bとが連結部222dを介して互いに連結されている。このため、第2支持部222側においても、その変形の影響が基部21に及び難くなる。このため、目的のセンシング特性を有するセンサー素子2が得られる。
以上のような本実施形態においても、第1実施形態と同様の作用、効果が得られる。
[電子機器]
次いで、本発明のセンサーデバイスを備える電子機器(本発明の電子機器)について、図7〜図9に基づき、詳細に説明する。
図7は、本発明のセンサーデバイスを備える電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部100を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、ジャイロセンサーとして機能する前述したセンサーデバイス1が内蔵されている。
図8は、本発明のセンサーデバイスを備える電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部100が配置されている。このような携帯電話機1200には、ジャイロセンサーとして機能する前述したセンサーデバイス1が内蔵されている。
図9は、本発明のセンサーデバイスを備える電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部100が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部100は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部100に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。このようなディジタルスチルカメラ1300には、ジャイロセンサーとして機能する前述したセンサーデバイス1が内蔵されている。
なお、本発明のセンサーデバイスを備える電子機器は、図7のパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、図8の携帯電話機、図9のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター等に適用することができる。
[移動体]
次に、本発明のセンサーデバイスを備える移動体(本発明の移動体)について説明する。
図10は、本発明の移動体の一例としての自動車を概略的に示す斜視図である。自動車1500には、ジャイロセンサーとして機能する前述したセンサーデバイス1が搭載されている。センサーデバイス1は、キーレスエントリー、イモビライザー、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター、車体姿勢制御システム等の電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)に広く適用できる。
以上、本発明のセンサー素子、センサーデバイスおよび電子機器を図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、本発明のセンサーデバイスは、前記各実施形態のうち、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
また、前述した実施形態では、第1支持部と第2支持部の双方が欠損部を備えているが、本発明はかかる形態に限定されず、例えば第2支持部は欠損部を備えていなくてもよい。ただし、第1支持部と第2支持部の双方に欠損部を設けることで、一方のみに欠損部を設ける場合に比べて第1検出用振動腕と第2検出用振動腕の双方をより長くすることができるという利点がある。
また、第1支持部が備える欠損部の形状と第2支持部が備える欠損部の形状とは、互いに異なっていてもよい。例えば、第1支持部が備える欠損部が第1実施形態に係る欠損部と同じであり、第2支持部が備える欠損部が第2実施形態に係る欠損部で同じであるといった形態であってもよい。
また、前述した実施形態では、駆動部が圧電体素子で構成されている場合を説明したが、振動体を圧電体材料で構成した場合、駆動部は、駆動用振動腕に設けられた励振電極で構成されていてもよい。
また、センサー素子が有する駆動用振動腕や検出用振動腕の数は、前述した実施形態のものに限定されず、1本であっても2本以上の任意の本数であってもよい。