JP2016017033A - 水棲原虫駆除剤およびその製造方法 - Google Patents

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【課題】製造コストが安価で且つ優れた薬効を発揮できる新規な水棲原虫駆除剤およびその製造方法の提供。
【解決手段】カテキン類とタンニンとを含み、前記タンニンは、カテキン類とカフェインとの錯体であることを特徴とする水棲原虫駆除剤。このような構成によれば、金魚や錦鯉などの淡水観賞魚に寄生する水棲原虫に対して、カテキン単体を使用した場合よりも優れた駆虫効果を発揮することができる。また、魚にとって有毒なカフェインがカテキン類との錯体状態となることで失活状態となっているため、魚に害を及ぼすことはない。
【選択図】図1

Description

本発明は、主に金魚や錦鯉などの淡水鑑賞魚に寄生する水棲原虫を駆除するための駆除剤およびその製造方法に関するものである。
金魚や錦鯉などの淡水海水魚は、例えばダクチロ(Dactylogyrus vastator)やキロダク(Gyrodactylus elegans)、コステア(Costia necatrix)、キロドネラ(Chilodonella cyprini)、白点原虫(Ichityophthirius sp.)などといった水棲原虫の寄生により様々な疾病を引き起こすことが知られている。これらの有害な水棲原虫を駆除するためにはトリクロルホンなどを主成分とする市販の駆虫剤を用いることになるが、これらの市販の駆虫剤では、例えばダクチロ、キロダク、キロドネラ類に対して薬効を期待するには水槽の温度を制御しながら最低でも5日以上治療を続ける必要がある。しかも、このような措置を行っても水棲原虫の残存率は40%と高く、期待する効果が得られ難い。
また、水棲原虫のうち特にコステアにはこれらの市販の駆虫剤は殆ど効果がないため、これをターゲットとする場合には、ホルマリンを用いた薬浴などを実施する必要があるが、この方法でも残存率が20%以上あり、期待する効果が得られ難い。しかも、ホルマリンは有毒であり、これを含んだ排水をそのまま流してしまうと環境に悪影響を及ぼすおそれがある。
このような従来の駆虫方法に代わって、主にお茶の抽出物を用いる方法が提案されている。例えば以下の特許文献1には、カテキン類などの緑茶の抽出物を用いることで類結節症、ハラコロ病、アエロモナス症、セッソウ症などの細菌性魚病の予防や治療が可能であることが開示されている。また、以下の特許文献2には、同じく茶抽出物によってサケ・マス類に寄生するイクチオボド寄生虫を防除できることが開示されている。
特開平4−103537号公報 特開2006−219478号公報
ところで、前述したような茶葉からカテキン類などを抽出するには熱水処理が一般的であるが、抽出された熱水抽出物には薬効を示すカテキン類の他に魚にとって有毒なカフェインが多く含まれている。そのため、有毒なカフェインを完全に除いてカテキン類のみを抽出する必要があるが、そのためには多くの手間がかかり、コストが高くなるという問題がある。
また、市販の粉末状カテキンを用いる方法もあるが、これらは一般に高価であり、養殖業者らにとってはコスト高になってしまう。また、市販の粉末状カテキンでは、十分な効果を得るためには多量に添加する必要があり、少量添加で優れた効果を発揮する駆虫剤が望まれている。
そこで、本発明はこれらの課題を解決するために案出されたものであり、その目的は、製造コストが安価で且つ優れた薬効を発揮できる新規な水棲原虫駆除剤およびその製造方法を提供するものである。
前記課題を解決するために第1の発明は、カテキン類とタンニンとを含み、前記タンニンは、カテキン類とカフェインとの錯体であることを特徴とする水棲原虫駆除剤である。このような構成によれば、金魚や錦鯉などの淡水観賞魚に寄生する水棲原虫に対して、カテキン類単体を使用した場合よりも優れた駆虫効果を発揮することができる。また、魚にとって有毒なカフェインがカテキン類との錯体状態となることで失活状態となっているため、魚に害を及ぼすことはない。
第2の発明は、第1の発明において、さらにサポニンを含むことを特徴とする水棲原虫駆除剤である。サポニンは親水基と疎水基を有し、界面活性効果があることが知られている。そのため、このサポニンによって魚体に付着した水棲原虫が魚体表面から剥がれ落ちやすくなるという効果を発揮できる。
の発明は、第1または第2の発明において、前記カテキン類のうち、(−)エピガロカテキンガレートが最も多く含まれていることを特徴とする水棲原虫駆除剤である。このよう構成によれば、複数のカテキン類のうち特に優れた薬効を示す(−)エピガロカテキンガレートが高濃度に含まれているため、少ない量でも優れた駆虫効果を発揮することができる。
第4の発明は、第1乃至第3の発明において、前記カフェインの量が、前記タンニン中のカテキン類の総量よりも少ないことを特徴とする水棲原虫駆除剤である。このような構成によれば、含まれているカフェインの殆どがカテキン類との錯体となって失活しているため、カフェインによる魚への悪影響を抑えることができる。
第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記タンニンの量が、前記カテキン類と前記タンニンに含まれるカフェインとの総和とほぼ等価であることを特徴とする水棲原虫駆除剤である。このような構成によれば、含まれているカフェインの殆どがカテキン類との錯体となって失活しているため、カフェインによる魚への悪影響を抑えることができる。また、カフェインを必要以上に除去する手間が省けるため、製造コストも安価となる。
第6の発明は、茶葉を所定時間煮沸して煮沸後の茶葉を洗浄する煮沸・洗浄工程と、前記煮沸・洗浄工程で洗浄された茶葉を再度さらに長い時間煮沸してから茶葉を分離して煮沸液Aを回収する茶葉・煮沸液分離工程と、前記茶葉・煮沸液分離工程で分離された茶葉を再度煮沸しながら粉砕し、粉砕した茶葉を分離して煮沸液Bを回収する粉砕・煮沸液回収工程と、前記粉砕・煮沸液回収工程で得られた煮沸液Bと前記茶葉・煮沸液分離工程で得られた煮沸液Aとを混合し、その混合液にクリームダウン現象を生じさせるクリームダウン工程と、を含むことを特徴とする水棲原虫駆除剤の製造方法である。このような製法によれば、前記第1乃至第4の発明のような水棲原虫駆除剤を容易且つ低コストで製造することができる。なお、各工程については後に詳述する。
第7の発明は、第6の発明において、前記粉砕工程は、前記分離工程で分離された茶葉を圧力鍋で再度煮沸した後、急減圧して茶葉を粉砕することを特徴とする水棲原虫駆除剤の製造方法である。このような製法によれば、茶葉を容易に粉砕してそのなかから特に薬効に優れた(−)エピガロカテキンガレートを効率良く抽出することができる。なお、この工程についても後に詳述する。
本発明によれば、金魚や錦鯉などの淡水観賞魚に寄生する水棲原虫に対して、カテキン単体を使用した場合よりも優れた駆虫効果を発揮することができる。また、魚にとって有毒なカフェインがカテキン類との錯体となることで失活状態となっているため、魚に害を及ぼすことはない。さらに、カフェインを完全に除去する必要がないことから、低コストで製造することができる。
本発明に係る水棲原虫駆除剤100の成分構成を示す模式図である。 本発明に係る水棲原虫駆除剤100の成分検査結果を示す表図である。 本発明に係る水棲原虫駆除剤100の製造方法を示すフローチャート図である。 茶葉の煮沸時間と各含有成分の抽出率との関係を示すグラフ図である。 清水のみで飼育した場合の金魚の生存率と経過時間との関係を示すグラフ図である。 本発明に係る水棲原虫駆除剤100を添加した場合の金魚の生存率と経過時間との関係を示すグラフ図である。 市販の粉末状カテキンを添加した場合の金魚の生存率と経過時間との関係を示すグラフ図である。
次に、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る水棲原虫駆除剤100の成分構成、図2はその検査結果、図3はその製造方法の流れを示したものである。図1に示すように、本発明に係る水棲原虫駆除剤100は、お茶の熱水抽出物を主成分とする液状の薬剤であり、水(HO)の他にポリフェノール10とサポニン40とを含んでいる。さらにこのポリフェノール10は、カテキン類20とタンニン30とが主な構成成分となっている。
カテキン類20としては、図に示すように主に(−)ガロカテキン、(−)エピガロカテキン、(+)カテキン、(−)エピカテキン、(−)エピガロカテキンガレート、(−)ガロカテキンガレート、(−)エピカテキンガレート、(−)カテキンガレート、プラボノイド類を含んでいる。
タンニン30は、前述したカテキン類の錯体、すなわちカテキン類とカフェインとの錯体からなっており、その多くは白色の浮遊物や沈殿物として含まれている。サポニン40は、カテキン類と錯体などを作らず単独で存在している。
そして、これら各成分の含有量としては、図2に示すように、それぞれ100ml中、(−)ガロカテキン:31.2mg、(−)エピガロカテキン:24.3mg、(+)カテキン:4.5mg、(−)エピカテキン6.7mg、(−)エピガロカテキンガレート:43.8mg、(−)ガロカテキンガレート:26.2mg、(−)エピカテキンガレート:10.1mg、(−)カテキンガレート:4.2mgとなっている(平成26年5月15日、株式会社エコプロ・リサーチ社調べ)。特に、本発明に係る水棲原虫駆除剤100は、これら8種類のカテキン類の中でも、最も駆虫効果が高い、(−)エピガロカテキンガレートを最も多く含んでいる点が特徴的である。
なお、同図に示すようにカフェインの含有量は10.8mgとなっているが、これらはタンニン中に錯体として含まれている量であり、単体(単離)として存在しているものではない。また、カテキン類と同様に優れた駆虫効果を発揮するタンニンの含有量は、0.16g(160mg)であり、各成分中最も多くなっている。サポニンは、タンニンが形成される際の副生成物であり、その含有量は45.0mgとなっている。
次に、このような構成成分からなる本発明の水棲原虫駆除剤100の製造方法の一例を図3のフローチャートを参照しながら説明する。本発明の駆除剤100を製造するためには、まず、最初の工程1として茶葉を短時間煮沸してカフェインを抽出する。具体的には鍋に2リットルの熱水(沸騰水)を用意し、その中に約150gの茶葉を入れ、約3分半(約210秒)煮沸した後、次の工程2として、その煮沸された茶葉をザルで水切りし、5分以上流水(水道水)で洗浄する。
すなわち、最初の工程1によって茶葉に含まれているカフェインを抽出し、次の工程2で茶葉を流水で洗浄することで茶葉に付着したカフェインを除去するものである。図4は、茶葉の煮沸時間(抽出時間)と各含有成分の抽出率との関係を示したものである。茶葉を熱水で煮沸した場合、先ず最初にカフェインが抽出され、その後カテキン類が抽出される。工程1ではカフェインの半分以上が抽出された時点(約3分半)で煮沸を停止している。これによって茶葉からカフェインを半分以上除去できると同時に茶葉からのカテキン類の流出を抑えることができる。
次の工程3では、工程2で洗浄された茶葉を再度熱水で長時間煮沸する。具体的には鍋に4リットルの熱水(沸騰水)を用意し、その中に水を良く切った洗浄済みの茶葉を投入してそのまま30分間煮沸し、その後工程4でその茶葉と煮沸液Aを分離する。このようにして得られた煮沸液Aにはカフェインは少なく、その代わりカテキン類が多く含まれた状態となっている。
次の工程5では、工程4で分離した茶葉を再度使用し、これを高温・高圧(例えば2気圧、120℃)で煮沸する。具体的には圧力鍋に2リットルの熱水(沸騰水)を入れ、その中に工程4で分離した茶葉を投入し、その圧力鍋の蓋を閉じた状態で約10分間煮沸した後、その圧力鍋の圧力弁を開くなどしてその圧力鍋内を一気に減圧する。この処理によって圧力鍋の内部で煮沸液が勢いよく沸騰し、その勢いによって茶葉がバラバラに粉砕されて、その茶葉の細胞の中から、特に抽出し難い(−)エピガロカテキンガレートが一気に抽出されることになる。
次の工程6では、沸騰が終了したらその圧力鍋内の中身を目の細かいザル(フィルター)に流し込んでバラバラに粉砕された茶葉と、主に(−)エピガロカテキンガレートが抽出されたその煮沸液Bとを分離し、茶葉はそのまま廃棄処分する。一方、煮沸液Bは次の工程7において先に工程5で分離された煮沸液Aと混ぜ合わされた後、その混合液Cに対して次の工程8でクリームダウン処理がなされる。クリームダウンとはカフェインとカテキン類とが反応してタンニンとなって結晶化する現象をいう。
具体的には高温(80℃以上)の混合液Cを放置による自然冷却状態よりもさらにゆっくりと時間を掛けて冷却するように、その混合液Cが入った容器をタオルなどの保温剤で覆ったり、その容器を40℃程度のお湯(お風呂)に浸しておくことでこのクリームダウン現象を確実に発生させることができる。なお、このクリームダウン現象によって生成するタンニンの副生成物としてサポニンも同時に生成される。このクリームダウン処理によりタンニンの浮遊物や沈殿物が生成されたならば、タンニンが分解されないようにその後これを冷蔵保管する。
このようにして得られた本発明の水棲原虫駆除剤100を、適宜対象となる魚が入れられた水槽や生け簀内にタンニン換算で0.00001〜0.0010重量%(0.1〜10ppm)程度添加することにより、含まれているカテキン類のみならずタンニンも水棲原虫に対して駆虫効果を発揮するため、カテキン類だけを用いた場合に比べてより優れた薬効を発揮することができる。すなわち、魚にとって有毒なカフェインの失活を目的として生成されたタンニンがカテキン類と相乗的に作用することで、カテキン単体では得られない優れた薬効を発揮できる。
さらに本発明の水棲原虫駆除剤100はカテキン類のなかでも特に薬効に優れた(−)エピガロカテキンガレートがより多く含まれているため、カテキン類だけでも通常のお茶の抽出物よりも高い効果を発揮することができる。また、単独では魚にとって有毒なカフェインがカテキン類との錯体となることで失活状態となっているため、魚に害を及ぼすことはない。従って、カフェインを完全に除去するための処理が不要となり、さらに、本発明品の製造にあたってはアルコールや有機溶剤などの特別な薬品や設備を必要としないため、製造コストも安価となる。
すなわち、本発明は魚にとって有毒なカフェインを完全に除去することなく、これをクリームダウン現象を利用して失活化させるだけでなく、その生成物であるタンニンがカテキン類と共に相乗作用効果を発揮できることを見いだした点、および駆虫効果が高いものの単なる煮沸処理では抽出し難い(−)エピガロカテキンガレートを、圧力変動などを利用して茶葉を粉砕することで効率良く抽出した点が特徴である。そして、これらの技術思想により本発明の水棲原虫駆除剤100は、製造コストが安価で、且つダクチロやキロダク、コステア、キロドネラ、白点原虫などといった水棲原虫に対して優れた薬効(駆虫効果)を発揮することができる。
また、このクリームダウン処理でタンニンと共に生成されるサポニンは親水基と疎水基を有し、界面活性効果があるため、このサポニンによって魚体表面に付着した水棲原虫が魚体表面から剥がれ落ちやすくなるという効果もある。なお、サポニンの中には魚毒性を有するものもあるが、本発明に係るクリームダウン処理で生成されるサポニンには魚毒性は殆どない。
なお、本発明の原料に用いることができる茶葉の種類や形態としては特に限定されるものでなく、生の葉、玉露、煎茶、かまいり茶、番茶、ほうじ茶、紅茶などのいずれか1つまたは2つ以上混合したものであっても良い。また、駆虫効果と茶葉の産地やグレードなどとの関わりは殆どないため、できるだけ安価なものを用いれば、それだけ製造コストを低く抑えることができる。また、本実施の形態では、最初にカフェインを抽出・除去するために熱水に茶葉を入れて短時間煮沸して洗浄する工程を行っているが、例えばレストランやホテル、清涼飲料水(お茶)の工場などから廃棄物として出てくる使用済み(カフェイン抽出済み)の茶葉をそのまま工程2以降で利用することも可能である。
次に、本発明の水棲原虫駆除剤100の実施例を説明する。
(実施例)
ダクチロやキロダク、コステア、キロドネラを人為的に重合感染させた金魚300匹を2日後(48時間)にそれぞれ60匹ずつ6つのグループ(各水槽の容量54L、平均水温18℃、濾過は水作フラワーを使用)に分け、1つめのグループにはなんら処置をせず(清水のみ)、2グループから5グループには本発明の水棲原虫駆除剤100をそれぞれタンニン換算で0.00001重量%(0.1ppm)、0.0001重量%(1ppm)、0.0003重量%(3ppm)、0.001重量%(10ppm)の量で添加し、24時間ごと(24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、148時間、172時間、196時間)、合計8日間に亘って各グループごとの金魚の斃死数(生存率)を計測した。
この結果、図5に示すように清水のみで飼育したグループでは試験開始数時間後から金魚が斃死し始め、72時間を過ぎた頃からその斃死数が増え、120時間過ぎには半数以上が斃死し、192時間(8日)後には全ての金魚が斃死してしまった。
これに対し、図6に示すように本発明の駆除剤を0.00001重量%(0.1ppm)添加したグループでは、96時間までは殆どの金魚が生存し、96時間を過ぎた頃から徐々に斃死数が増えていったが、試験終了時の192時間(8日)後でも50%以上の金魚が生存していた。また、本発明の駆除剤を0.0001重量%(1ppm)添加したグループでは、試験終了時の192時間(8日)後でも80%以上の金魚が生存していた。そして、その生存率は、駆除剤の添加量が上がるほど高くなっており、0.001重量%(10ppm)添加したグループでは、試験終了時の192時間(8日)後でも95%以上の金魚が生存していた。
(比較例)
実施例と同様にダクチロやキロダク、コステア、キロドネラを人為的に重合感染させた金魚を60匹ずつグループ分けして入れた水槽中に、太陽化学株式会社製の粉末状カテキン(商品名:サンフェノンDK)を、それぞれ本発明品の30倍の量、すなわち0.0003重量%(3ppm)、0.003重量%(30ppm)、0.009重量%(90ppm)、0.03重量%(300ppm)の量で添加し、24時間毎、合計8日間に亘って金魚の斃死数(生存率)を計測した。
この結果、図7に示すように粉末状カテキンを添加することにより、添加しない場合(清水のみ)よりも金魚の生存率は高くなったが、それぞれ本発明品の30倍の量(重量%)で添加したにもかかわらずいずれのケースの生存率も本発明品より低いものであった。
(考察)
前記実施例および比較例に示すように、本発明に係る水棲原虫駆除剤100を用いることにより、ダクチロやキロダク、コステア、キロドネラなどの水棲原虫が寄生した淡水観賞魚の生存率は大幅に上昇し、その効果は市販の粉末状カテキンを用いた場合よりも高いものであった。特に無処理のグループと比較した場合、僅か0.00001重量%(0.1ppm)の添加であっても顕著な生存率がみられた。
また、添加量が0.00001重量%(0.1ppm)、0.0001重量%(1ppm)、0.0003重量%(3ppm)、0.001重量%(10ppm)とのケースを比較したところ、図5に示すように96時間以降では0.00001重量%(0.1ppm)のケースのみ生存率曲線に急降下が起こったが、0.0001重量%(1ppm)、0.0003重量%(3ppm)と0.001重量%(10ppm)を比較した場合には濃度が高くなるほどに効果(生存率)が高くなるものの、その差は大きいものではなかった。むしろ、0.0001重量%(1ppm)と0.001重量%(10ppm)とではコストが10倍になるが、効果はそれほど差がないため、現実的には0.0001重量%(1ppm)〜0.0003重量%(3ppm)の範囲での使用が最も費用対効果が高いことがわかった。
一方、粉末状カテキンを用いた場合にも生存率の向上が見られたが、その添加量をそれぞれ本発明の駆除剤の30倍にしてもその効果は本発明の駆除剤より低いものであった。このように本発明の駆除剤がごく僅かな量で優れた駆虫効果を発揮したのは、カテキン類のなかでも特に効果が高い(−)エピガロカテキンガレートが高い比率で含まれていること、およびカフェインの失活を目的としたクリームダウン現象で生成されるタンニンやサポニンがカテキン類と相乗的に作用することなどによって、従来のカテキン類単体で使用した場合の30倍以上もの顕著な駆虫効果を発揮したものと推測される。ちなみに市販の粉末状カテキンの添加量を本発明品と同等(0.0001重量%(1ppm)〜0.001重量%(10ppm))に減らすと駆虫効果は殆ど見られなかった。
また、市販の粉末状カテキンは、市場平均価格が本願の出願時において5gあたり約2000円である。このため、仮にこの市販の粉末状カテキンを10Lの水槽中に0.005重量%(50ppm)添加した場合のコストは約2万円であり、高コストが課題である。これに対し、本発明品の場合ではこれと同等な効果を得るためには、0.0001重量%(1ppm)の添加で良いため、そのコストを計算すると、僅か数十円〜数百円程度であり、市販品に比べて大幅なコスト削減(1/1000〜1/100)が可能となる。また、原材料としてレストランやホテルから出る使用済みの茶葉、いわゆる出がらしの茶葉を使用すれば、その製造原価をさらに大幅に削減することが可能となる。
100…水棲原虫駆除剤
10…ポリフェノール
20…カテキン類
30…タンニン
40…サポニン

Claims (7)

  1. カテキン類とタンニンとを含み、
    前記タンニンは、カテキン類とカフェインとの錯体であることを特徴とする水棲原虫駆除剤。
  2. 請求項1に記載の水棲原虫駆除剤において、
    さらにサポニンを含むことを特徴とする水棲原虫駆除剤。
  3. 請求項1または2に記載の水棲原虫駆除剤において、
    前記カテキン類のうち、(−)エピガロカテキンガレートが最も多く含まれていることを特徴とする水棲原虫駆除剤。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の水棲原虫駆除剤において、
    前記カフェインの量が、前記タンニン中のカテキン類の総量よりも少ないことを特徴とする水棲原虫駆除剤。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の水棲原虫駆除剤において、
    前記タンニンの量が、前記カテキン類と前記タンニンに含まれるカフェインとの総和とほぼ等価であることを特徴とする水棲原虫駆除剤。
  6. 茶葉を所定時間煮沸して煮沸後の茶葉を洗浄する煮沸・洗浄工程と、
    前記煮沸・洗浄工程で洗浄された茶葉を再度さらに長い時間煮沸してから茶葉を分離して煮沸液Aを回収する茶葉・煮沸液分離工程と、
    前記茶葉・煮沸液分離工程で分離された茶葉を再度煮沸しながら粉砕し、粉砕した茶葉を分離して煮沸液Bを回収する粉砕・煮沸液回収工程と、
    前記粉砕・煮沸液回収工程で得られた煮沸液Bと前記茶葉・煮沸液分離工程で得られた煮沸液Aとを混合し,その混合液にクリームダウン現象を生じさせるクリームダウン工程と、を含むことを特徴とする水棲原虫駆除剤の製造方法。
  7. 請求項6に記載の水棲原虫駆除剤の製造方法において、
    前記粉砕工程は、前記分離工程で分離された茶葉を圧力鍋で再度煮沸した後、急減圧して茶葉を粉砕することを特徴とする水棲原虫駆除剤の製造方法。
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