JP2016014380A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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友博 山崎
Tomohiro Yamazaki
友博 山崎
晃 山下
Akira Yamashita
晃 山下
一康 岩田
Kazuyasu Iwata
一康 岩田
大史 大八木
Hiroshi Oyagi
大史 大八木
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Abstract

【課題】
燃焼の制御に熱発生率重心位置を利用する内燃機関において、ピストンのトップランド壁面に堆積するデポジットが増加したとき、そのデポジットが圧縮行程においてシリンダボア壁面の潤滑油を掻き上げる結果、燃焼室内に存在する潤滑油の量が増加するので、燃焼行程において気化する潤滑油の量が増加し、以て、潤滑油の減少速度が増加する。
【解決手段】
トップランド壁面に堆積するデポジットが増加したとき、熱発生率重心位置を進角させて燃焼行程における燃焼室内温度の最大値を上昇させることによってデポジットを焼失させ、以て、潤滑油の減少速度の増加を抑制する内燃機関の制御装置を提供する。
【選択図】図4

Description

本発明は、内燃機関に供給される燃料(混合気)の燃焼状態を制御する制御装置に関する。
一般に、ディーゼル機関等の内燃機関(以下、単に「機関」とも称呼する。)の運転時、混合気の燃焼によって生じるエネルギーの一部はクランクシャフトを回転させる仕事に変換されるが、残りは損失となる。この損失には、冷却損失、排気損失、吸気及び排気に伴って発生するポンプ損失、並びに、機械抵抗損失等が含まれる。このうち、冷却損失及び排気損失は、損失全体に対して大きな割合を占める。従って、内燃機関の燃費を改善させるためには冷却損失及び排気損失を減少させることが有効である。
しかしながら、一般に、冷却損失と排気損失とはトレードオフの関係にある。即ち、冷却損失を低下させれば排気損失が増加し、排気損失を低下させれば冷却損失が増加する。従って、冷却損失と排気損失との和が最小となる燃焼状態を実現できれば、機関の燃費は大幅に改善される。
ところで、燃焼状態は、燃料噴射時期及び過給圧等の「燃焼状態に影響を及ぼす多くのパラメータ」に応じて変化する。以下、燃焼状態に影響を及ぼすパラメータは、単に「燃焼パラメータ」とも称呼される。ところが、複数の燃焼パラメータが各運転状態に対して適切な値(組み合わせ)となるように、各燃焼パラメータを実験及びシミュレーション等によって予め求めることは容易ではなく、且つ、莫大な適合時間を必要とする。そのため、燃焼パラメータを体系的に決定する手法が提案されてきている。
例えば、従来の制御装置の一つ(以下、「従来装置」とも称呼する。)は、「1回の燃焼行程中に発生する総熱量のうち、その半分の熱量が発生した時点のクランク角度(以下、「燃焼重心角度」と称呼する。)」を算出する。更に、従来装置は、その燃焼重心角度と所定の基準値とが乖離している場合、燃料噴射時期を補正することによって、或いは、EGR率を調整して燃焼室(気筒)内の酸素濃度を調節することによって、燃焼重心角度を基準値と一致させている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2011−202629号公報
例えばディーゼル機関においては、1つのサイクルの燃焼に対して燃料を複数回噴射する多段噴射が行われる場合がある。より具体的に述べると、ディーゼル機関においては、主噴射(メイン噴射)に先立ちパイロット噴射が行なわれ、次いで、主噴射が行なわれる場合がある。更に、主噴射の後にアフター噴射が行われる場合がある。
パイロット噴射と主噴射とが行われる場合のクランク角度と熱発生率との関係は、例えば、図1(A)の曲線C1により示された波形により表される。熱発生率とは、単位クランク角度(クランクシャフトの回転位置の単位変化量)あたりに混合気の燃焼により発生する熱の量、即ち、単位クランク角度あたりの熱発生量である。この波形は、以下「燃焼波形」とも称呼される。
燃焼重心角度は、燃焼波形の形状に依らず、総熱量のうちの半分の熱量が発生するタイミングによって決まる。そのため、例えば、主噴射が行われるタイミングを変えずにパイロット噴射が行われるタイミングのみが進角した場合、燃焼重心角度は、パイロット噴射が進角しない場合と比較して変化しない場合がある。即ち、パイロット噴射時期が進角側に移動することによって燃焼波形が変化しても、燃焼重心角度が変化しない場合がある。従って、燃焼重心角度は必ずしも各サイクルの燃焼状態を正確に反映する指標値ではない。
実際に、発明者は、「燃焼重心角度と燃費悪化率との関係」を種々の「機関の負荷及び機関回転速度」に対して測定したところ、機関の負荷及び/又は機関回転速度が相違すると、燃費が最良となる燃焼重心角度も相違するとの知見を得た。換言すると、燃焼重心角度が一定の基準値に一致するように燃焼状態が制御されたとしても、機関の負荷及び/又は機関回転速度が相違すれば燃費悪化率が最小にならないことが判明した。
そこで、発明者は、燃焼状態を表す指標値として、従来の燃焼重心角度の代わりに「熱発生率重心位置」に着目した。この熱発生率重心位置は、以下に述べるように定義される。
即ち、熱発生率重心位置は、図1(A)に示したように、「クランク角度を横軸に設定し、且つ、熱発生率(単位クランク角度あたりの熱の発生量)を縦軸に設定した座標系(グラフ)」に描かれる熱発生率の波形(燃焼波形)と、前記横軸と、により囲まれる領域(本例において、領域A1)の幾何学的重心Gに対応するクランク角度である。
或いは、熱発生率重心位置は、下記の(1)式を満たすクランク角度Gcであるとも定義され得る。この(1)式において、CAsは燃料の燃焼が始まるクランク角度(燃焼開始クランク角度)であり、CAeは前記燃焼が終わるクランク角度(燃焼終了クランク角度)である。更に、θは任意のクランク角度であり、dQ(θ)はクランク角度θにおける熱発生率である。
Figure 2016014380
この熱発生率重心位置Gcは、例えば、図1の(A)に示した例においてはクランク角度θ3である。加えて、図1(B)に示したように、パイロット噴射の開始時期がクランク角度θ1からΔθpだけ進角側へ移動されてクランク角度θ0に設定されると、熱発生率重心位置Gcはクランク角度Δθgだけ進角側へと移動してクランク角度θ3’となる。これらから理解されるように、熱発生率重心位置は、従来の燃焼状態の指標値である燃焼重心角度に比較して、燃焼状態をより正確に反映する指標値であると言える。
更に、発明者は、種々の機関回転速度と機関の負荷(要求トルク)との組合せについて熱発生率重心位置と燃費悪化率との関係を測定した。その結果、機関回転速度及び機関の負荷が相違した場合であっても、燃費悪化率が最小となる熱発生率重心位置は特定のクランク角度(具体的には、圧縮上死点後7°)であった。
これらから、発明者は、熱発生率重心位置は燃焼状態を良好に示す指標値であり、従って、熱発生率重心位置を負荷及び/又は機関回転速度に依らず一定に維持することにより機関の燃焼状態を特定の状態に維持できるとの知見を得た。更に、発明者は、熱発生率重心位置を「燃費悪化率が最小となるような(即ち、冷却損失と排気損失との和が最小となって、燃費が最も良くなるような)一定の目標クランク角度」に維持すれば、機関の運転状態(負荷及び/又は機関回転速度)に依らず、機関の燃費を容易に改善することができるとの知見を得た。冷却損失と排気損失との和が最小となる熱発生率重心位置は「基準クランク角度」とも称呼される。
そのため、本発明に係る内燃機関の制御装置(以下、「本発明装置」とも称呼する。)は、機関の負荷が少なくとも第1閾値Pth1から第2閾値Pth2までの範囲内にあるとき、熱発生率重心位置が負荷に依らず基準クランク角度に等しくなるように燃焼パラメータを制御する(図5の実線SLを参照)。これにより、より少ない適合工数によって機関の燃費を改善することができる。
加えて、機関の負荷が第2閾値Pth2よりも大きいとき、熱発生率重心位置が基準クランク角度に維持されると燃焼行程における最大筒内圧が機関の許容圧力よりも大きくなる場合がある。
そこで、本発明装置は、機関の負荷が第2閾値Pth2よりも大きいとき、負荷が大きくなるほど熱発生率重心位置が基準クランク角度よりも遅角側の範囲においてより遅角側のクランク角度へと変化するように前記燃焼パラメータを制御する。この結果、高負荷運転時における最大筒内圧が低下するので、最大筒内圧が機関の許容圧力を超えないようにすることができる。
しかしながら、機関が長期にわたり運転されると、ピストンのトップランド部(ピストンの冠面とトップリング溝との間の部分であってシリンダボア内周壁面と対向する壁面)にデポジットが堆積する。トップランド部のデポジット堆積量が所定値以上になると、圧縮行程においてシリンダボア内周壁面上の油膜を形成する潤滑油がそのデポジットによって掻き上げられ、以て、燃焼室内に存在する潤滑油の量が増加する。
燃焼室内の潤滑油は燃焼行程において高温に曝されるので、その潤滑油の一部は気化し、排気行程において機関の外へ排出される。その結果、潤滑油の減少速度が上昇する。
そこで、本発明装置は、上述した熱発生率重心位置に基づく燃焼パラメータの制御を行いながらも、トップランド部に堆積したデポジットによって潤滑油の減少速度が高くなることを未然に回避するために、以下に述べるように構成される。
即ち、本発明装置の制御部は、上述した熱発生率重心位置に基づく燃焼パラメータの制御を行うとともに、更に、推定部と、デポジット除去制御部と、を備える。
前記推定部は、
前記機関のピストンのトップランド部に堆積するデポジットの量を推定する。
デポジット除去制御部は、
前記推定部により推定されたデポジットの量が所定値に到達した場合、前記負荷が「前記第1閾値よりも大きく且つ前記第2閾値よりも小さい第3閾値」から「同第2閾値」までの範囲内にあるとき、前記熱発生率重心位置が前記基準クランク角度よりも進角することによって前記ピストンの温度が上昇するように前記燃焼パラメータを制御する。
これによれば、推定されたデポジットの量が所定値に到達して潤滑油の減少速度が著しく高くなる虞がある場合、前記熱発生率重心位置が前記基準クランク角度よりも進角することによって前記ピストンの温度が上昇するように前記燃焼パラメータが制御される。その結果、デポジットが焼失してデポジットの堆積量が減少するので、デポジットによって潤滑油が掻き上げられることが無くなり、以て、潤滑油の減少速度の増加を抑制することができる。
なお、後述するように、前記熱発生率重心位置が前記基準クランク角度よりも進角することによって前記ピストンの温度が上昇するように燃焼パラメータを制御する例としては、主噴射時期(メイン噴射時期)の進角、燃料噴射圧の増加、過給圧の増加及びEGRガスの量の減少、等種々の例を挙げることができる。
熱発生率重心位置を説明するための燃焼波形を示したグラフである。 本発明の実施形態に係る制御装置(本制御装置)が適用される内燃機関の概略構成図である。 機関の負荷とトップランド温度との関係を熱発生率重心位置ごとに示したグラフである。 本制御装置が適用される内燃機関の気筒の部分断面図である。 本制御装置が実行するデポジット焼失処理によって熱発生率重心位置が進角される様子を示したグラフである。 図2に示したCPUが実行するデポジット量推定処理ルーチンを示したフローチャートである。 図2に示したCPUが実行するデポジット焼失フラグ設定処理ルーチンを示したフローチャートである。 図2に示したCPUが実行する燃焼パラメータ制御処理ルーチンを示したフローチャートである。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る内燃機関の制御装置(以下、「本制御装置」とも称呼する。)について説明する。
(構成)
本制御装置は、図2に示した内燃機関(機関)10に適用される。機関10は、多気筒(本例では直列4気筒)・4サイクル・ピストン往復動型・ディーゼル機関である。機関10は、機関本体部20、燃料供給システム30、吸気システム40、排気システム50及びEGRシステム60を含んでいる。
機関本体部20は、本体21を含んでいる。本体21には、4つの気筒22がシリンダブロック21a、シリンダヘッド21b及びクランクケース等によって形成されている。各気筒22内にはピストン23が収容され、燃焼室22aが形成されている(図4を参照。)。
各気筒22の上部には燃料噴射弁(インジェクタ)24が配設されている。燃料噴射弁24は、後述するエンジンECU(電子制御ユニット)70の指示に応答して開弁し、燃焼室22a内に燃料を直接噴射するようになっている。
燃料供給システム30は、燃料加圧ポンプ(サプライポンプ)31と、燃料送出管32と、コモンレール(蓄圧室)33と、を含む。燃料加圧ポンプ31の吐出口は燃料送出管32に接続されている。燃料送出管32はコモンレール33に接続されている。コモンレール33は燃料噴射弁24に接続されている。
燃料加圧ポンプ31は、図示しない燃料タンクに貯留されている燃料を汲み上げた後に加圧し、その加圧された高圧燃料を燃料送出管32を通してコモンレール33へ供給するようになっている。燃料加圧ポンプ31は、機関10のクランクシャフトに連動する駆動軸により作動する。燃料加圧ポンプ31は、ECU70の指示に応答し、コモンレール33内の燃料の圧力(即ち、燃料噴射圧、コモンレール圧)を調整できるようになっている。
吸気システム40は、インテークマニホールド41、吸気管42、エアクリーナ43、過給機44のコンプレッサ44a、インタークーラー45、スロットル弁46及びスロットル弁アクチュエータ47を含んでいる。
インテークマニホールド41は各燃焼室22aに接続された枝部と、枝部が集合した集合部と、を含む。吸気管42はインテークマニホールド41の集合部に接続されている。インテークマニホールド41及び吸気管42は吸気通路を構成している。吸気管42には、吸入空気の流れの上流から下流に向け、エアクリーナ43、コンプレッサ44a、インタークーラー45及びスロットル弁46が順に配設されている。スロットル弁アクチュエータ47は、ECU70の指示に応じてスロットル弁46の開度を変更するようになっている。
インタークーラー45は、吸気温度を低下するようになっている。インタークーラー45は、図示しないバイパス通路及びそのバイパス通路に介装されたバイパスバルブを備える。更に、インタークーラー45は図示しない冷却機との間で通流する冷却水(冷媒)量を調整できるようになっている。
排気システム50は、エキゾーストマニホールド51、排気管52、過給機44のタービン44b及び排ガス浄化装置(例えば、ディーゼル酸化触媒及びパティキュレートフィルタ等)53を含んでいる。
エキゾーストマニホールド51は各燃焼室22aに接続された枝部と、枝部が集合した集合部と、を含む。排気管52はエキゾーストマニホールド51の集合部に接続されている。エキゾーストマニホールド51及び排気管52は排気通路を構成している。排気管52には、排ガスの流れの上流から下流に向け、タービン44b及び排ガス浄化装置53が配設されている。
過給機44は周知の可変容量型過給機であり、そのタービン44bには図示しない複数のノズルベーン(可変ノズル)が設けられている。このノズルベーンは、ECU70の指示に応じて開度が変更され、その結果、過給圧が変更(制御)されるようになっている。
EGRシステム60は、排気還流管61、EGR制御弁62及びEGRクーラー63を含んでいる。
排気還流管61は、排気通路(エキゾーストマニホールド51)であってタービン44bよりも上流位置と、吸気通路(インテークマニホールド41)であってスロットル弁46の下流位置と、を連通している。排気還流管61はEGRガス通路を構成している。
EGR制御弁62は排気還流管61に配設されている。EGR制御弁62は、ECU70からの指示に応答してEGRガス通路の通路断面積を変更することにより、排気通路から吸気通路へと再循環される排ガス量(EGRガス量)を変更し得るようになっている。
EGRクーラー63は排気還流管61に介装され、排気還流管61を通過するEGRガスの温度を低下するようになっている。EGRクーラー63は、図示しないバイパス通路及びそのバイパス通路に介装されたバイパスバルブを備える。更に、EGRクーラー63は図示しない冷却機との間で通流する冷却水(冷媒)量を調整できるようになっている。
ECU70は、周知のマイクロコンピュータを含む電子回路であり、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM及びインターフェース等を含んでいる。ROMは、CPUが実行するプログラム及びルックアップテーブル等を記憶している。バックアップRAMは、機関10が搭載された車両が備える図示しないイグニッション・キー・スイッチがオン状態にあるかオフ状態にあるかに関わらずデータを記憶することができる。
ECU70は、以下に述べるセンサ類と接続されていて、これらのセンサからの信号を受信(入力)するようになっている。更に、ECU70は、各種アクチュエータに指示(駆動)信号を送出することによって後述する「燃焼室22a内に噴射される燃料の燃焼状態に影響を及ぼす燃焼パラメータ」を制御するようになっている。
ECU70は、エアフローメータ71、スロットル弁開度センサ72、吸気管圧力センサ73、燃料圧力センサ74、筒内圧センサ75、クランク角度センサ76、EGR制御弁開度センサ77、及び、水温センサ78と接続されている。
エアフローメータ71は吸気通路内を通過する吸入空気(EGRガスを含まない新気)の質量流量(吸入空気量)を測定し、その吸入空気量Gaを表す信号を出力する。スロットル弁開度センサ72はスロットル弁開度を検出し、スロットル弁開度TAを表す信号を出力する。吸気管圧力センサ73は、吸気通路内であってスロットル弁46よりも下流の吸気管内のガスの圧力(即ち、過給圧Tp)を表す信号を出力する。
燃料圧力センサ74は、コモンレール(蓄圧室)33内の燃料の圧力(燃料圧力、燃料噴射圧、コモンレール圧)を検出し、燃料噴射圧Fpを表す信号を出力する。筒内圧センサ75は、各気筒22に対応するように配設されている。筒内圧センサ75は、対応する燃焼室22a内の圧力を検出し、筒内圧Pcを表す信号を出力する。
ECU70は、筒内圧Pcに基づいてクランク角度θに対する単位クランク角度あたりの発熱量である熱発生率dQ(θ)を周知の手法に基づいて算出する(例えば、特開2005−54753号公報、及び、特開2007−285194号公報等を参照。)。
更に、ECU70は、熱発生率dQ(θ)を上述した(1)式に適用することにより、熱発生率重心位置Gcを取得・推定する。なお、実際には、熱発生率重心位置Gcは、(1)式をデジタル演算式に変換した式に基づいて計算される。
クランク角度センサ76は、機関10の図示しないクランクシャフトの回転位置(即ち、クランク角度)に応じた信号を出力する。ECU70は、このクランク角度センサ76及び図示しないカムポジションセンサからの信号に基づいて、所定の気筒22の圧縮上死点を基準とした機関10のクランク角度(絶対クランク角度)θを取得する。更に、ECU70は、クランク角度センサ76からの信号に基づいて、機関回転速度NEを取得する。
EGR制御弁開度センサ77は、EGR制御弁62の開度を検出し、その開度(EGR開弁率)Erを表す信号を出力する。水温センサ78は、機関10の冷却水の温度(冷却水温度)を検出し、冷却水温THWを表す信号を出力する。
加えて、ECU70は、アクセル開度センサ81及び車速センサ82と接続されている。アクセル開度センサ81は、図示しないアクセルペダルの開度(アクセルペダル操作量)を検出し、アクセルペダル開度Accpを表す信号を出力する。車速センサ82は、機関10が搭載された車両の走行速度を検出し、その走行速度(車速)Spdを表す信号を出力する。
(デポジット焼失処理の概要)
ところで、図4に示したように機関10が長期にわたり運転されるとピストン23のトップランド(ピストン23の冠面23Sとトップリング溝23aとの間の部分であってシリンダブロック21aのボアの内周壁面と対向する壁面)23Tに堆積するデポジットDpが増加する。
より具体的に述べると、燃焼行程における燃焼室22a内の温度が上昇し、トップランド温度Ttが温度閾値Tth1と「温度閾値Tth1よりも高い温度閾値Tth2」との間の温度となるとトップランド23Tに付着する煤及び炭化水素(HC)等が増加し、その結果、デポジットDpの堆積量が増加する。燃焼室22a内の温度(即ち、トップランド温度Tt)は、機関10の負荷Poと正の相関を有する。
図3(A)の曲線Lq1は、熱発生率重心位置Gcが「冷却損失と排気損失との和が最小となる熱発生率重心位置である基準クランク角度CAst」である場合の負荷Poに対するトップランド温度Ttの変化を示している。曲線Lq1から理解されるように、負荷Poが増加するほどトップランド温度Ttが上昇している。従って、負荷Poが所定量よりも高くなるとトップランド温度Ttが温度閾値Tth1と温度閾値Tth2との間の温度となり、その結果、デポジットDpの堆積量が増加する。
他方、負荷Poが更に増加した結果、トップランド温度Ttが温度閾値Tth2よりも高くなるとデポジットDpが焼失してデポジットDpの堆積量が減少する。しかし、負荷Poが高い状態が継続する頻度は高くないので、総体的にみれば、機関10の運転時間が長くなるほどデポジットDpの堆積量は増加する。
換言すれば、燃焼室22a内の温度(即ち、トップランド温度Tt)が温度閾値Tth2よりも高い状態に維持できれば、デポジットDpの堆積量を減少させることができる。そこで、本制御装置は、熱発生率重心位置Gcを進角させることによって、トップランド温度Ttを上昇させる。なお、燃焼の発生時期を進角させる及び/又は燃焼速度を上昇させることによって、熱発生率重心位置Gcは進角する。
燃焼の発生時期が進角した場合、同発生時期が進角していない場合と比較して圧縮上死点により近いタイミングにて燃焼が発生するので、燃焼時のピストンの降下速度が低下する。即ち、燃焼の等容度が上昇する。その結果、ピストンの降下に伴う燃焼室22aの容積増大(即ち、筒内圧Pcの減少)による燃焼時の燃焼室22a内の温度低下が減少するので、燃焼時の燃焼室22a内の最大温度が上昇する。例えば、燃料噴射弁24による主噴射時期CAinjを進角させることによって燃焼の発生時期を進角することができる。
一方、燃焼速度が増加した場合、燃焼速度が増加していない場合と比較して単位時間あたりに燃焼する燃料の量が増加するので、燃焼時の燃焼室内の最大温度が上昇する。例えば、燃料噴射圧Fp及び/又は過給圧Tpを上昇させることによって燃焼速度を増加させることができる。加えて、燃焼室22a内に導入されるEGRガスの量(即ち、EGR開弁率Er)を減少させることによって燃焼速度を増加させることができる。
図3(A)の曲線Lq2は熱発生率重心位置Gcが「基準クランク角度CAstよりも進角側にあるクランク角度CAad」である場合の負荷Poに対するトップランド温度Ttの変化を示している。曲線Lq1及び曲線Lq2から理解されるように、熱発生率重心位置Gcが基準クランク角度CAstからクランク角度CAadへ進角した結果、トップランド温度Ttが上昇している。
例えば、負荷Poが負荷閾値Pa1と等しいとき、熱発生率重心位置Gcが基準クランク角度CAstであれば、トップランド温度Ttは温度閾値Tth1と温度閾値Tth2との間にあるのでデポジットDpの堆積量が増加する。しかし、負荷Poが負荷閾値Pa1と等しいとき、熱発生率重心位置Gcが進角されてクランク角度CAadとなると、トップランド温度Ttは温度閾値Tth2まで上昇するので、デポジットDpの堆積量が減少する。
換言すれば、熱発生率重心位置Gcが進角してトップランド温度Ttが上昇するように燃焼パラメータを制御することによって「デポジットDpが焼失し、その堆積量が減少する機関10の運転領域(負荷Poの範囲)」を拡大することができる。なお、便宜上、負荷閾値Pa1は「第3閾値Pth3」とも称呼される。
係る観点に基づき、本制御装置は、図3(A)の曲線Lq1に示されるように、負荷Poが負荷閾値Pa1よりも低いとき、熱発生率重心位置Gcを基準クランク角度CAstに維持することによって機関10の燃費を向上させる。加えて、本制御装置は、図3(B)の曲線Ls1及び曲線Ls2に示されるように、デポジットDpの堆積量が所定値以上となった場合、負荷Poが負荷閾値Pa1よりも高いときに熱発生率重心位置Gcをクランク角度CAadに維持することによってデポジットDpの堆積量を減少させる。
本制御装置が実行する、熱発生率重心位置Gcの進角によってデポジットDpの堆積量を減少させる処理は「デポジット焼失処理」とも称呼される。本制御装置は、圧縮行程においてデポジットDpが燃焼室22a内の潤滑油を掻き上げることによって潤滑油の減少速度が高くなる虞があるとき、デポジット焼失処理を実行する。
より具体的に述べると、デポジットDpの堆積量が増加した結果、「デポジットDpの外周面とシリンダブロック21aの内壁面との距離」が油膜Loの厚さよりも短くなると、圧縮行程においてデポジットDpが油膜Loを構成する潤滑油を掻き上げる。
その結果、図4の領域Cr内に示されるように、燃焼行程において燃焼室22aに存在する潤滑油の量が増加するので、燃料の燃焼時に気化する潤滑油の量も増加し、以て、潤滑油の減少速度が増加する。
そこで、本制御装置は、デポジットDpの堆積量の増大によって潤滑油の減少速度が増加することを未然に回避するため、デポジット焼失処理を実行する。
デポジット焼失処理によって熱発生率重心位置Gcが進角される様子を図5に示す。負荷Poが負荷閾値Pa1よりも高いとき、ECU70は、熱発生率重心位置Gcをクランク角度CAadに一致させる。
ただし、負荷Poが負荷閾値Pa2よりも大きくなると、熱発生率重心位置Gcがクランク角度CAadまで進角した場合、燃焼行程における筒内圧Pcの最大値が機関の許容圧力よりも大きくなる可能性がある。そこで、負荷Poが負荷閾値Pa2から第2閾値Pth2までの範囲内にある場合、本制御装置は負荷Poが大きくなるほど熱発生率重心位置Gcを「クランク角度CAadから基準クランク角度CAstまでの範囲内」においてより遅角側のクランク角度へと変化させる。
以上まとめると、本制御装置は、デポジットDpの堆積量が所定値よりも少ないとき、熱発生率重心位置Gcを図5の実線SLに示されたクランク角度に一致させる。一方、本制御装置は、デポジットDpの堆積量が所定値以上となり且つ負荷Poが負荷閾値Pa1から第2閾値Pth2までの範囲内にあるとき、熱発生率重心位置Gcを図5の破線DLに示されたクランク角度に一致させる。
なお、負荷Poが第1閾値Pth1より小さいとき、熱発生率重心位置Gcが基準クランク角度CAst角度に維持されると排ガス浄化装置53の温度を活性化温度以上に維持できない場合がある。この場合、熱発生率重心位置Gcを遅角させることによって排気損失(即ち、排気伝達熱量)が上昇するように燃焼パラメータが制御される。
(具体的作動)
次に、本制御装置の具体的作動について説明する。ECU70のCPU(以下、単に「CPU」とも称呼される)は、上述したデポジット焼失処理を行うか否かの判定を行うためにカウンタDcntの値を用いる。カウンタDcntの値は、デポジットDpの堆積量に相関を有する。CPUは、所定時間が経過する毎に図6にフローチャートにより示した「デポジット量推定処理ルーチン」を実行することにより、カウンタDcntの値を変更する。なお、ECU70は、カウンタDcntをバックアップRAM上に記憶している。ECU70は、デポジットDpが付着していないとき(例えば、機関10が新品であるとき、或いは、ピストン23が清掃されたとき)、図示しないルーチンによってカウンタDcntの値を「0」に設定する。
適当なタイミングになると、CPUは、図6のステップ600から処理を開始してステップ605に進み、トップランド温度Ttを推定する。より具体的には、CPUは、後述する処理によって決定・取得される燃料噴射量Qinj及び熱発生率重心位置Gcに基づいてトップランド温度Ttを推定する。トップランド温度Ttは、燃料噴射量Qinjが大きくなるほど上昇し、熱発生率重心位置Gcが進角するほど上昇する。
次いで、CPUはステップ610に進み、トップランド温度Ttが温度閾値Tth1よりも低いか否かを判定する。トップランド温度Ttが温度閾値Tth1よりも低い場合、CPUはステップ610にて「Yes」と判定してステップ695に進み、本ルーチンを一旦終了する。即ち、この場合、カウンタDcntの値は変更されない。
一方、トップランド温度Ttが温度閾値Tth1以上である場合、CPUはステップ610にて「No」と判定してステップ615に進み、トップランド温度Ttが温度閾値Tth2よりも低いか否かを判定する。
トップランド温度Ttが温度閾値Tth2よりも低い場合(即ち、Tth1<Tt<Tth2である場合)、CPUは、ステップ615にて「Yes」と判定してステップ620に進み、カウンタDcntの値を正の定数Cpだけ増加させる。次いで、CPUはステップ695に進む。
一方、トップランド温度Ttが温度閾値Tth2以上である場合、CPUはステップ615にて「No」と判定してステップ625に進み、カウンタDcntの値を正の定数Cmだけ減少させる。次いで、CPUはステップ695に進む。
次に、CPUが実行する「デポジット焼失処理を実行すべきか否かを表すフラグであるデポジット焼失フラグXtd」の設定処理について図7を参照しながら説明する。ECU70はデポジット焼失フラグXtdをRAM上に記憶している。CPUは、所定時間が経過する毎に図7にフローチャートにより示した「デポジット焼失フラグXtd設定処理ルーチン」を実行することにより、デポジット焼失フラグXtdの値を変更する。CPUは、デポジット焼失処理を実行すべき状態であるとき、デポジット焼失フラグXtdの値を「1」に設定する。一方、CPUは、デポジット焼失処理を実行する必要が無いとき、デポジット焼失フラグXtdの値を「0」に設定する。
デポジット焼失フラグXtdの値は、CPUが実行する図示しないイニシャルルーチンにおいて「0」に設定される。イニシャルルーチンは、機関10が搭載された車両が備えるイグニッション・キー・スイッチの位置がオフ位置からオン位置へと変更されたときに実行される。
適当なタイミングになると、CPUは、図7のステップ700から処理を開始してステップ705に進み、デポジット焼失フラグXtdの値が「0」であるか否かを判定する。
(A−1)デポジット焼失フラグXtdの値が「0」であり且つカウンタDcntの値が閾値Dth1以下である場合。
この場合、CPUは、ステップ705にて「Yes」と判定してステップ710に進み、カウンタDcntの値が閾値Dth1よりも大きいか否かを判定する。閾値Dth1は、デポジットDp量の所定値(デポジットDpが油膜Loに接触する可能性のあるデポジットDpの堆積量)に対応するカウンタDcntの値である。この場合、カウンタDcntの値は閾値Dth1以下であるので、CPUは、ステップ710にて「No」と判定してステップ795に進み、本ルーチンを一旦終了する。従って、この場合、デポジット焼失フラグXtdの値は「0」のまま維持される。
(A−2)デポジット焼失フラグXtdの値が「0」であり且つカウンタDcntの値が閾値Dth1より大きい場合。
次に、カウンタDcntの値が増加して閾値Dth1よりも大きくなったと仮定する。この場合、CPUは、ステップ710にて「Yes」と判定してステップ715に進み、デポジット焼失フラグXtdの値を「1」に設定する。次いで、CPUはステップ795に進む。
(A−3)デポジット焼失フラグXtdの値が「1」であり且つカウンタDcntの値が閾値Dth2以上である場合。
次に、デポジット焼失フラグXtdの値が「1」となった後であってカウンタDcntの値が「閾値Dth1よりも小さい閾値Dth2(即ち、Dth2<Dth1)」よりも大きい状態であると仮定する。この場合、CPUは、ステップ705にて「No」と判定してステップ720に進み、カウンタDcntの値が閾値Dth2よりも小さいか否かを判定する。カウンタDcntの値が閾値Dth2であるとき、デポジットDpの堆積量は略「0」又は極めて小さい所定値であるので、CPUはこれ以上デポジット焼失処理を実行する必要が無い。
前述の仮定に依れば、カウンタDcntの値は閾値Dth2以上であるので、CPUは、ステップ720にて「No」と判定してステップ795に進む。従って、この場合、デポジット焼失フラグXtdの値は「1」のまま維持される。
(A−4)デポジット焼失フラグXtdの値が「1」であり且つカウンタDcntの値が閾値Dth2より小さい場合。
この場合、カウンタDcntの値が閾値Dth2より小さいので、CPUは、ステップ720にて「Yes」と判定してステップ725に進み、デポジット焼失フラグXtdの値を「0」に設定する。次いで、CPUはステップ795に進む。
次に、CPUが実行する燃焼パラメータの制御について図8を参照しながら説明する。CPUは、所定の時間が経過する毎に図8にフローチャートにより示した燃焼パラメータ制御処理ルーチンを実行する。
従って、適当なタイミングになると、CPUは、図8のステップ800から処理を開始してステップ805に進み、アクセルペダル開度Accp、車速Spd及び機関回転速度NEを取得する。
次いで、CPUは、ステップ810に進み、アクセルペダル開度Accp及び車速Spdに基づいて周知の方法により燃料噴射量Qinjを決定する。次いで、CPUは、ステップ815に進み、機関回転速度NE及び燃料噴射量Qinjに基づいて機関10の負荷Poを算出する。
次いで、CPUは、ステップ820に進み、デポジット焼失フラグXtdの値が「1」であるか否かを判定する。
(B−1)デポジット焼失フラグXtdの値が「0」である場合。
この場合、CPUは、ステップ820にて「No」と判定してステップ840に進み、負荷Poに基づいて目標重心位置Gtgtを決定する。より具体的に述べると、ECU70は、図5及び図8のステップ840の枠内に実線SLによって表される「デポジット焼失処理が実行されない場合の負荷Poと目標重心位置Gtgtとの関係」をROMにルックアップテーブルの形式にて記憶している。CPUは、このテーブルに負荷Poを適用することによって目標重心位置Gtgtを決定する。
次いで、CPUは、ステップ835に進み、実際の熱発生率重心位置Gcが目標重心位置Gtgtと等しくなるように燃焼パラメータを制御する。より具体的に述べると、CPUは、周知の方法により燃料噴射圧Fp、過給圧Tp、EGR開弁率Er及びパイロット噴射と主燃料噴射との間隔であるパイロットインターバルPint等を決定する。
上述した燃焼パラメータ(燃料噴射量Qinj及び燃料噴射圧Fp等)に対応する主噴射時期CAinjは、目標重心位置Gtgt毎に実験等により予め定められ、ルックアップテーブルの形式にてROMに保存されている。CPUは、このテーブルにこれらの燃焼パラメータ及び目標重心位置Gtgtを適用することによって主噴射時期CAinjを決定する。次いで、CPUはステップ895に進み、本ルーチンを一旦終了する。
なお、実際の燃料噴射弁24による燃料噴射は、図示しないルーチンにより実行される。それにより、各気筒22のクランク角度θが主噴射時期CAinjよりも、パイロットインターバルPintと所定量Pb(固定値)とを加えた値だけ進角側(即ち、θ=CAinj−Pint−Pb)となったとき第1パイロット噴射が開始される。その後、クランク角度θが所定量Pbだけ遅角側(即ち、θ=CAinj−Pint)となったとき第2パイロット噴射が開始され、次いで、クランク角度θが主噴射時期CAinjとなったとき(即ち、θ=CAinj)主噴射が開始される。
(B−2)デポジット焼失フラグXtdの値が「1」である場合。
この場合、CPUは、ステップ820にて「Yes」と判定してステップ825に進み、負荷Poが負荷閾値Pa1から第2閾値Pth2までの範囲内に含まれているか否かを判定する。負荷Poがこの範囲に含まれていなければ、CPUは、ステップ825にて「No」と判定してステップ840に進む。
一方、負荷Poがこの範囲に含まれていれば(即ち、Pa1<Po<Pth2であれば)、CPUは、ステップ825にて「Yes」と判定してステップ830に進み、負荷Poに基づいて目標重心位置Gtgtを決定する。
より具体的に述べると、ECU70は、図5及び図8のステップ830の枠内に破線DLによって表される「デポジット焼失処理が実行される場合の負荷Poと目標重心位置Gtgtとの関係」をROMにルックアップテーブルの形式にて記憶している。CPUは、このテーブルに負荷Poを適用することによって目標重心位置Gtgtを決定する。即ち、CPUは、デポジット焼失処理を実行する。
次いで、CPUはステップ835に進む。この場合(即ち、ステップ830にて目標重心位置Gtgtが決定された場合)、ステップ840にて目標重心位置Gtgtが決定された場合(即ち、デポジット焼失処理が実行されない場合)と比較して目標重心位置Gtgtが進角されている。その結果、ステップ835において決定される主噴射時期CAinjは、デポジット焼失処理が実行されない場合と比較して進角されている。
以上、説明したように、本制御装置(ECU70)は、
内燃機関(10)の負荷(Po)が少なくとも第1閾値(Pth1)から同第1閾値よりも大きい第2閾値(Pth2)までの範囲内にある場合には熱発生率重心位置(Gc)が前記負荷に依らず基準クランク角度(CAst)に等しくなるように前記機関の気筒(22)に供給される燃料の燃焼状態を変化させる燃焼パラメータを制御し(図5の実線SLの負荷Poが第1閾値Pth1から第2閾値Pth2までの部分、及び、図8のステップ835及びステップ840)、
前記機関の負荷が前記第2閾値よりも大きい場合には前記負荷が大きくなるほど前記熱発生率重心位置が前記基準クランク角度よりも遅角側の範囲においてより遅角側のクランク角度へと変化するように前記燃焼パラメータを制御する(図5の実線SLの負荷Poが第2閾値Pth2より大きい部分、及び、図8のステップ835及びステップ840)。
加えて、本制御装置は、
前記機関のピストン(24)のトップランド部(23T)に堆積するデポジット(Dp)の量を推定する推定部(ECU70及び図6のルーチン)と、
前記推定部により推定されたデポジットの量が所定値に到達した場合(図7のステップ710)、前記負荷が前記第1閾値よりも大きく且つ前記第2閾値よりも小さい第3閾値(Pth3(Pa1))から同第2閾値までの範囲内にあるとき、前記熱発生率重心位置が前記基準クランク角度よりも進角することによって前記ピストンの温度が上昇するように前記燃焼パラメータを制御する(図5の破線DL、及び、図8のステップ830及びステップ835)デポジット除去制御部(ECU70)と、
を備えている。
本制御装置によれば、デポジットDpの堆積量が増加したとき、熱発生率重心位置Gcを進角させることによって燃焼行程における燃焼室22a内温度の最大値を上昇させてデポジットを焼失させ、以て、デポジットDpの堆積量を減少させることができる。その結果、圧縮行程において油膜Loを構成する潤滑油がデポジットDpによって掻き上げられることが無くなるので、潤滑油の減少速度の増加を防ぐことが可能となる。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本実施形態において、ECU70は、デポジット焼失処理を実行するとき、熱発生率重心位置Gcを進角させるために主噴射時期CAinjを進角していた。しかし、ECU70は、熱発生率重心位置Gcを進角させるために燃焼速度を増加させても良い。そのため、例えば、ECU70は、燃料噴射圧Fp及び/又は過給圧Tpを上昇させても良い。或いは、ECU70は、EGR開弁率Erを減少させても良い。
加えて、ECU70は、ルックアップテーブルを参照することによって目標重心位置Gtgtを実現する主噴射時期CAinjを決定していた。しかし、ECU70は、この処理に加えて、ECU70が筒内圧Pcに基づいて取得する実際の熱発生率重心位置Gcと目標重心位置Gtgtとの差分に基づいて主噴射時期CAinjを変更する処理(即ち、フィードバック処理)を実行しても良い。
加えて、ECU70は、トップランド温度Ttを燃料噴射量Qinj及び熱発生率重心位置Gcに基づいて推定していた。しかし、ECU70は、トップランド温度Ttを別のパラメータに基づいて推定しても良い。例えば、ECU70は、トップランド温度Ttを燃料噴射量Qinj及び主噴射時期CAinjに基づいて推定しても良い。或いは、ECU70は、トップランド温度Ttを推定するためのパラメータとして更に機関回転速度NE、吸入空気量Ga及び冷却水温THW等を採用しても良い。
加えて、本実施形態における第1閾値Pth1、第2閾値Pth2、負荷閾値Pa1及び負荷閾値Pa2のそれぞれは定数であった。しかし、これらの閾値は変数であっても良い。例えば、これらの閾値は機関回転速度NEに応じて変化しても良い。
内燃機関…10、シリンダブロック…21a、シリンダヘッド…21b、燃焼室…22a、ピストン…24、トップリング溝…24a、潤滑油膜…Lo、デポジット…Dp。

Claims (1)

  1. 内燃機関の負荷が少なくとも第1閾値から同第1閾値よりも大きい第2閾値までの範囲内にある場合には熱発生率重心位置が前記負荷に依らず基準クランク角度に等しくなるように前記機関の気筒に供給される燃料の燃焼状態を変化させる燃焼パラメータを制御し、
    前記機関の負荷が前記第2閾値よりも大きい場合には前記負荷が大きくなるほど前記熱発生率重心位置が前記基準クランク角度よりも遅角側の範囲においてより遅角側のクランク角度へと変化するように前記燃焼パラメータを制御する、
    制御部を有する内燃機関の制御装置において、
    前記制御部は、
    前記機関のピストンのトップランド部に堆積するデポジットの量を推定する推定部と、
    前記推定部により推定されたデポジットの量が所定値に到達した場合、前記負荷が前記第1閾値よりも大きく且つ前記第2閾値よりも小さい第3閾値から同第2閾値までの範囲内にあるとき、前記熱発生率重心位置が前記基準クランク角度よりも進角することによって前記ピストンの温度が上昇するように前記燃焼パラメータを制御するデポジット除去制御部と、
    を備えることを特徴とする制御装置。
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