JP2016010760A - 酸性ガス化学吸収液及び酸性ガス分離回収方法 - Google Patents

酸性ガス化学吸収液及び酸性ガス分離回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶媒として水を必要とせず、酸性ガス吸収量の温度依存性が大きく、室温程度で多量の酸性ガスを吸収する一方、100℃以下で、吸収したほとんどの酸性ガスを放散できる酸性ガス化学吸収液、及びそれを用いた省エネルギーかつ高効率な酸性ガス分離回収方法を提供する。
【解決手段】酸性ガス化学吸収液は、カチオン及びアニオンからなるイオン液体を含み、このカチオンは、1以上の1級アミノ基又は2級アミノ基、及びエチレンジアミン又はプロピレンジアミン骨格を有するアミニウムである。また、酸性ガス分離回収方法は、この酸性ガス化学吸収液を、酸性ガスを含む混合ガスと接触させることによって酸性ガスを酸性ガス化学吸収液に吸収させて、混合ガスから酸性ガスを選択的に分離することを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸性ガスを化学的に吸収する酸性ガス化学吸収液及びその酸性ガス化学吸収液を用いた酸性ガス分離回収方法に関する。
酸性ガス、特に二酸化炭素を分離回収する技術は、天然ガスを原料とする水素やメタンの製造、宇宙空間や海中などの閉鎖状態にある住環境の維持等に必要であり、また、温暖化ガス排出量の削減の観点から火力発電所や製鉄所などの大量排出源を対象として盛んに研究されている。また、窒素酸化物、硫黄酸化物、硫化水素、無機酸や有機酸等の二酸化炭素以外の酸性ガスの除去も産業的・社会的に重要な技術である。酸性ガス分離技術としては、物理吸収法、化学吸収法、膜分離法、吸着法などが知られている。
このうち、化学吸収法は、酸性ガスと化学反応する吸収液を用いた酸性ガス分離技術である。例えば、酸性ガスを含む気体を室温付近で吸収液に接触させ、酸性ガスを吸収液に化学的に吸収させ、酸性ガス濃度が減少した気体と酸性ガスを吸収した吸収液とを分離する。そして、分離した吸収液を昇温することで酸性ガスを吸収液から放散させて酸性ガスを回収する。また、酸性ガスを放散した吸収液は再生され、再び酸性ガスの分離回収に利用される。
この化学吸収法として、アミン化合物やアルカリ金属塩を含む水溶液を、二酸化炭素の化学吸収液として用いる方法が提案されている。例えば、特許文献1には、モノエタノールアミン水溶液を吸収液として使用する方法が記載されている。また、イオン液体を化学吸収液とする酸性ガスの分離回収方法も報告されている。例えば、特許文献2には、一級アミン基の導入された液体であるイオン性液体を主成分とする吸収液を用いたガス精製方法が記載されている。
特開平5−184865号公報 特開2006−36950号公報
しかし、特許文献1に記載のアミン化合物水溶液を吸収液として用いる酸性ガス分離回収方法は、吸収液から酸性ガスを放散させて吸収液を再生するために、100℃以上の高温条件が必要であるという問題がある。また、吸収液と二酸化炭素との化学結合を切断する反応熱に加えて、比熱容量の大きい水の昇温と水の蒸発に要する熱エネルギーが多大に掛かり、吸収液再生に要する熱エネルギーが著しく大きいという問題がある。また、昇温により吸収液が揮発するため、吸収液回収器などの付属設備を設置しなければならず、過剰の設備投資が必要となり、さらに、吸収液の経年劣化による損失も問題視されている。
一方、特許文献2に記載のイオン性液体を吸収液として用いる方法は、イオン液体が不揮発であるため損失なく再利用できる点、溶媒としての水が不要なため水の蒸発潜熱によるエネルギー損失がほとんど無い点、イオン液体が水に比べて比熱容量が小さく、吸収液の昇温に要するエネルギーを低減できる点などにより、従来のアミン化合物水溶液を用いた場合と比較して、吸収液再生時の消費エネルギーを著しく低減できると考えられる。しかしながら、特許文献2に記載のイオン性液体を用いた吸収液は、吸収液を再生するために100℃以上の加熱を行っている。
ここで、イオン液体は、一般に、カチオンとアニオンのみから構成される液状の塩であり、その特徴として、蒸気圧が非常に低いこと、難燃性であること、熱・化学的に安定であること、幅広い温度範囲で液体であること、電気伝導性を有すること等が挙げられる。そのため、イオン液体は、電気化学デバイスの電解質、分離精製や有機反応等の各種プロセスにおける溶媒、アクチュエータや潤滑剤等の機能性材料などとして多岐にわたる研究がなされている。しかし、イオン液体を酸性ガス分離回収方法の吸収液として使用する研究は、いまだ十分とはいえない。
二酸化炭素などの酸性ガスを分離回収する技術分野においては、省エネルギーの観点からプロセスの高効率化が強く要請されていた。この要請に応えるためには、例えば、室温近傍(ここではtとする)で酸性ガスを多量に吸収し、所定の温度(tとする)に昇温した時に酸性ガスを容易に放散できる、比熱容量が小さく、蒸発潜熱が無視できる、吸収液が必要となる。すなわち、吸放出時の温度変化(Δt=t−t)で、多量の酸性ガスを吐き出す、低比熱かつ不揮発性の吸収液の開発が望まれる。仮にこの要請が満たされない場合は、酸性ガスが吸収液に残存し、吸収液の再生が不十分のため、再利用時の酸性ガス吸収量が大幅に低下する。
イオン液体を利用した吸収液の先行技術は、低比熱かつ不揮発性というイオン液体の特徴を活かしたもので、従来のアミン化合物やアルカリ金属塩の水溶液と比べて優れた方法であるが、吸放出時の温度変化で吐出する酸性ガス量は必ずしも十分ではなく、さらに高効率の吸収液の技術開発が待たれていた。
また、再生に要するエネルギーをさらに低減するためには、酸性ガス吸収量の温度依存性を大きくし、室温で多量の酸性ガスを吸収する一方、100℃以下で、吸収したほとんどの酸性ガスを放散できるイオン液体が求められる。
すなわち、本発明の課題は、溶媒として水を必要とせず、酸性ガス吸収量の温度依存性が大きく、室温程度で多量の酸性ガスを吸収できる一方、100℃以下で、吸収したほとんどの酸性ガスを放散できる酸性ガス化学吸収液を提供すること、及びそれを用いた省エネルギーかつ高効率な酸性ガス分離回収方法を提供することである。
本発明者らは、イオン液体の酸性ガス吸収量及びその温度依存性の制御を目標として鋭意研究開発を積み重ねた結果、ポリエチレンアミン骨格を有するカチオンとアニオンからなるイオン液体を用いることで、前記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するため、本発明の酸性ガス化学吸収液は、
カチオン及びアニオンからなるイオン液体を含み、
前記カチオンは、1以上の1級又は2級アミノ基、及びエチレンジアミン又はプロピレンジアミン骨格を有するアミニウムである。
前記カチオンは、3級アミノ基を有すると好ましい。
前記カチオンは、ポリエチレンジアミン又はポリプロピレンジアミン骨格を有すると好ましい。
前記カチオンは、ジエチレントリアミン骨格又はN−(2−アミノエチル)ピペラジン骨格を少なくとも一つ有すると好ましい。
前記アニオンは、アミド系アニオン、スルホン酸系アニオン、カルボン酸系アニオン、リン酸系アニオン、及びホウ酸系アニオンからなる群より選ばれる少なくとも一つであると好ましい。
また、本発明の酸性ガス分離回収方法は、
前記の酸性ガス化学吸収液を、酸性ガスを含む混合ガスと接触させることによって酸性ガスを前記酸性ガス化学吸収液に吸収させて、前記混合ガスから前記酸性ガスを選択的に分離することを含む。
酸性ガスを吸収した酸性ガス化学吸収液を、吸収時の温度より高温にすることで前記酸性ガスを放散させて回収し、前記酸性ガス化学吸収液を再生することを更に含むと好ましい。
酸性ガスを吸収した酸性ガス化学吸収液を、吸収時の温度より高温かつ100℃以下に昇温して、吸収した酸性ガスの80%以上を放散させて回収し、前記酸性ガス化学吸収液を再生することを含むと好ましい。
吸収した酸性ガスを含んだ酸性ガス化学吸収液を減圧することで、吸収した酸性ガスを放散させて回収し、酸性ガス化学吸収液を再生することを含むと好ましい。
本発明の酸性ガス化学吸収液は、溶媒として水を必要とせず、酸性ガス吸収量の温度依存性が大きく、室温程度で多量の酸性ガスを吸収する一方、100℃以下で、吸収したほとんどの酸性ガスを放散できる。また、その酸性ガス化学吸収液を用いた酸性ガス分離回収方法は、省エネルギーかつ高効率である。
二酸化炭素吸収試験装置を示す図。 [HexEDA][TfN]のNMRスペクトル。 CO吸収後の[HexEDA][TfN]のNMRスペクトル。 [HexEDA][TfN]([bmim][TfN]希釈)のNMRスペクトル。 CO吸収後の[HexEDA][TfN]([bmim][TfN]希釈)のNMRスペクトル。 [EtHexDETA][TfN]([bmim][TfN]希釈)のNMRスペクトル。 CO吸収後の[EtHexDETA][TfN]([bmim][TfN]希釈)のNMRスペクトル。 [EtHexDETA][TfN](Tetra Glyme希釈)のNMRスペクトル。 CO吸収後の[EtHexDETA][TfN](Tetra Glyme希釈)のNMRスペクトル。 [EtHexEDA][TfN]のNMRスペクトル。 CO吸収後の[EtHexEDA][TfN]のNMRスペクトル(40℃)。 CO吸収後の[EtHexEDA][TfN]のNMRスペクトル(60℃)。 [EtHexEDA][TfN]([bmim][TfN]希釈)のNMRスペクトル。 CO吸収後の[EtHexEDA][TfN]([bmim][TfN]希釈)のNMRスペクトル。 [EtHexEDA][CFSO]のNMRスペクトル(40℃)。 CO吸収後の[EtHexEDA][CFSO]のNMRスペクトル(60℃)。 [EtHexEDA][CFSO]([bmim][CFSO]希釈)のNMRスペクトル。 CO吸収後の[EtHexEDA][CFSO]([bmim][CFSO]希釈)のNMRスペクトル。 [AmEtPipe][TfN]のポリエチレングリコール溶液のNMRスペクトル。 CO吸収後の[AmEtPipe][TfN]のポリエチレングリコール溶液のNMRスペクトル。 [PDA][TfN]の[bmim][TfN]溶液のNMRスペクトル。 CO吸収後の[PDA][TfN]の[bmim][TfN]溶液のNMRスペクトル。 [Pipe][TfN]のポリエチレングリコール溶液のNMRスペクトル。 CO吸収後の[Pipe][TfN]のポリエチレングリコール溶液のNMRスペクトル。 [MePipe][TfN]のポリエチレングリコール溶液のNMRスペクトル。 CO吸収後の[MePipe][TfN]のポリエチレングリコール溶液のNMRスペクトル。 酸性ガス化学吸収液の二酸化炭素吸収量の温度依存性を示すグラフ。 酸性ガス化学吸収液の二酸化炭素吸収量の温度依存性を示すグラフ。 酸性ガス化学吸収液の二酸化炭素吸収量の温度依存性を示すグラフ。 酸性ガス化学吸収液の二酸化炭素吸収量の温度依存性を示すグラフ。 酸性ガス化学吸収液の二酸化炭素吸収量の温度依存性を示すグラフ。 酸性ガス化学吸収液の濃度の温度依存性を示すグラフ。 酸性ガス化学吸収液の粘度の温度依存性を示すグラフ。
本発明の酸性ガス化学吸収液は、カチオン及びアニオンからなるイオン液体を含む。
本発明に係るイオン液体は、100℃で液体の塩である。本発明に用いるイオン液体は、特に室温(25℃)で液体であると好ましい。すなわち、本発明に係るイオン液体の融点は、100℃以下であれば特に限定されないが、50℃未満であると好ましく、25℃未満であるとより好ましい。また、本発明に係るイオン液体の融点の下限は、特に限定されないが、−100℃以上であると好ましい。
(カチオン)
本発明に係るイオン液体を構成するカチオンは、1以上の1級又は2級アミノ基、及びエチレンジアミン又はプロピレンジアミン骨格を有するアミニウムである。
アミニウムは、下記の一般構造式(式1)で表されるカチオンである。
Figure 2016010760
ここで、R、R、R、Rは、同種又は異種であってもよく、水素、又は無置換若しくは置換基を有する、飽和又は不飽和の、アルキル基若しくはヘテロアルキル基を表し、アルキル基及びヘテロアルキル基は、直鎖状又は環状であり、分岐鎖を有していてもよく、2つの基が結合し環を形成していてもよい。ヘテロアルキル基のヘテロ元素は、炭素元素及び水素元素以外であれば特に限定されず、窒素、酸素、硫黄などが挙げられ、遷移金属を除く元素、酸素を除く元素が好ましい。また、R、R、R、Rは、その少なくとも1つが、置換基として1級又は2級アミノ基を有する。中でもR、R、R、Rは、その少なくとも1つが、置換基として、1級アミノ基を有すると好ましく、1級アミノ基と、2級又は3級アミノ基を有するとより好ましい。
アミニウムとしては、1つの窒素原子に1つの炭素原子と3つの水素が結合した1級アミニウム、1つの窒素原子に2つの炭素原子と2つの水素が結合した2級アミニウム、1つの窒素原子に3つの炭素原子と1つの水素が結合した3級アミニウム、1つの窒素原子に4つの炭素原子が結合した4級アミニウムが挙げられるが、中でも、酸性ガス化学吸収液の酸性ガス、特に二酸化炭素の化学吸収性の点で、1級アミニウム、2級アミニウム、及び3級アミニウムが好ましい。
また、エチレンジアミン骨格は、下記の一般構造式(式2)で表される骨格である。
Figure 2016010760
ここで、R、R、R、Rは、同種又は異種であってもよく、水素、又は無置換又は置換基を有する、飽和又は不飽和の、アルキル基若しくはヘテロアルキル基を表し、アルキル基及びヘテロアルキル基は、直鎖状又は環状であり、分岐鎖を有していてもよく、2つの基が結合し環を形成していてもよい。ヘテロアルキル基のヘテロ元素は、炭素元素及び水素元素以外であれば特に限定されず、窒素、酸素、硫黄などが挙げられ、遷移金属を除く元素、酸素を除く元素が好ましい。
また、エチレンジアミン骨格のエチレン基の炭素原子は、置換基を有していてもよく、その置換基は、例えば、下記の一般構造式(式3)で表されるように、他の置換基と結合して環を形成していてもよい。
Figure 2016010760
本発明に係るアミニウムとしては、例えば、一般構造式(式2)で表されるエチレンジアミン骨格の窒素原子に水素陽イオンが配位結合した、下記の一般構造式(式4)で表されるアミニウムが挙げられる。
Figure 2016010760
このような、本発明に係るアミニウムとしては、具体的には、例えば、下記の一般構造式(式5)で表される、アルキルエチレンジアミニウムなどが挙げられる。
Figure 2016010760
ここで、Rは、無置換又は置換基を有する、飽和又は不飽和の、アルキル基又はヘテロアルキル基を表し、アルキル基及びヘテロアルキル基は、直鎖状又は環状であり、分岐鎖を有していてもよい。ヘテロアルキル基のヘテロ元素は、炭素元素及び水素元素以外であれば特に限定されず、窒素、酸素、硫黄などが挙げられ、遷移金属を除く元素、酸素を除く元素が好ましい。
は、好ましくは炭素数1〜12の、無置換又は置換基を有する直鎖状アルキル基であり、より好ましくは炭素数4〜10の、無置換又は置換基を有する直鎖状アルキル基、特に好ましくはヘキシル基、2−エチル−ヘキシル基である。
また、プロピレンジアミン骨格は、前述のエチレンジアミン骨格のエチレン基をプロピレン基に置き換えたものである。具体的には、前述の式2のエチレン基をプロピレン基に置き換えたものである。また、プロピレンジアミン骨格のプロピレン基の炭素原子は、置換基を有していてもよく、その置換基は、例えば、前述の式3で表されるように他の置換基と結合した環を形成していてもよい。
また、本発明に係るプロピレンジアミン骨格を有するアミニウムとしては、例えば、前述の式4のエチレン基をプロピレン基に置き換えたアミニウムが挙げられる。より具体的には、前述の式5のエチレン基をプロピレン基に置き換えたアルキルプロピレンジアミニウムなどが挙げられる。
本発明に係るイオン液体を構成するカチオンは、ポリエチレンアミン骨格を有するポリエチレンアミニウムであると好ましい。ポリエチレンアミニウムは、例えば、下記の一般構造式(式6)で表される。
Figure 2016010760
ここで、R10、R11、R12、R13は、同種又は異種であってもよく、水素、若しくは無置換又は置換基を有する、飽和又は不飽和の、アルキル基若しくはヘテロアルキル基を表し、アルキル基及びヘテロアルキル基は、直鎖状若しくは環状であり、分岐鎖を有していてもよく、2つの基が結合し環を形成していてもよい。nは、1以上の整数を表す。ヘテロアルキル基のヘテロ元素は、炭素元素及び水素元素以外であれば特に限定されず、窒素、酸素、硫黄などが挙げられ、遷移金属を除く元素、酸素を除く元素が好ましい。nは、1、2、3、4のいずれかであると好ましく、1であるとより好ましい。ポリエチレンアミン骨格のエチレン基の炭素原子は、置換基を有していてもよく、他の置換基と結合して環を形成していてもよい。
ポリエチレンアミン骨格を有するアミニウムとしては、例えば、一般構造式(式6)で表されるポリエチレンアミニウムの少なくとも1つの窒素原子に水素陽イオンが配位結合したアミニウムが挙げられる。
このような、ポリエチレンアミン骨格を有するアミニウムとしては、ジエチレントリアミン骨格を有するアミニウムが好ましく、具体的には、例えば、下記の一般構造式(式7)、(式8)、又は(式9)で表される、アルキルエチレンジアミニウムが挙げられる。中でも、一般構造式(式7)で表されるアルキルエチレンジアミニウムが好ましい。
Figure 2016010760
Figure 2016010760
Figure 2016010760
式7〜式9において、R14は、無置換又は置換基を有する、飽和又は不飽和の、アルキル基若しくはヘテロアルキル基を表し、アルキル基は、直鎖状若しくは環状であり、分岐鎖を有していてもよい。ヘテロアルキル基のヘテロ元素は、炭素元素及び水素元素以外であれば特に限定されず、窒素、酸素、硫黄などが挙げられ、遷移金属を除く元素、酸素を除く元素が好ましい。R14は、好ましくは炭素数1〜12の、無置換又は置換基を有する直鎖状アルキル基であり、より好ましくは無置換又は置換基を有する直鎖状アルキル基であり、更に好ましくはヘキシル基又は2−メチル−ヘキシル基であり、特に好ましくは2−メチル−ヘキシル基である。
また、本発明に係るイオン液体を構成するカチオンは、ポリプロピレンジアミン骨格を有するポリプロピレンアミニウムであると好ましい。ポリプロピレンアミニウムは、前述の式6のエチレン基をプロピレン基に置き換えたものである。
ポリプロピレンアミン骨格を有するアミニウムとしては、例えば、前述の式6のエチレン基をプロピレン基に置き換えたポリプロピレンアミニウムの少なくとも1つの窒素原子に水素陽イオンが配位結合したアミニウムが挙げられる。
このような、ポリプロピレンアミン骨格を有するアミニウムとしては、ジプロピレントリアミン骨格を有するアミニウムが好ましく、具体的には、例えば、前述の式7、式8、又は式9のエチレン基をプロピレン基に置き換えたアルキルプロピレンジアミニウムが挙げられる。中でも、式7のエチレン基をプロピレン基に置き換えたアルキルプロピレンジアミニウムが好ましい。
また、本発明に係るイオン液体を構成するカチオンは、N−(2−アミノエチル)ピペラジン骨格を有すると好ましい。N−(2−アミノエチル)ピペラジン骨格を有するアミニウムとしては、例えば、下記の構造式(式10)又は(式11)で表される、N−(2−アミノエチル)ピペラジニウムが挙げられる。中でも(式10)で表される、N−(2−アミノエチル)ピペラジニウムが好ましい。
Figure 2016010760
Figure 2016010760
本発明に係るカチオンの分子量は、特に限定されないが、75〜346の範囲にあると好ましく、145〜346の範囲にあるとより好ましく、188〜217の範囲にあると特に好ましい。カチオンの分子量がこの範囲にあると、酸性ガス化学吸収液の酸性ガス吸収性・放散性の点で好ましい。
これらの、本発明の酸性ガス化学吸収液に含まれるイオン液体を構成するカチオンのアミニウムの具体例としては、ヘキシルエチレンジアミニウム、2−エチルヘキシルエチレンジアミニウム、N−(2−エチルヘキシル)ジエチレントリアミニウム、ヘキシルジエチレントリアミニウム、2−エチルヘキシルジエチレントリアミニウム、N−(2−アミノエチル)ピペラジニウム、プロピレンジアミニウムが挙げられ、中でも、ヘキシルジエチレントリアミニウム及びN−(2−エチルヘキシル)ジエチレントリアミニウムがより好ましい。
(アニオン)
本発明に係るアニオンは、前記のカチオンであるアミニウムとイオン液体を形成するものであれば、特に限定されないが、例えば、アミド系アニオン、スルホン酸系アニオン、カルボン酸系アニオン、リン酸系アニオン、ホウ酸系アニオン、炭酸系アニオン、及びハロゲン系アニオンが挙げられる。これらの中でも、アミド系アニオン、スルホン酸系アニオン、及びカルボン酸系アニオンが好ましい。これらのアニオンは、単独又は2種類以上を併用できる。
アミド系アニオンとしては、例えば、(FSO、(FSO)(CFSO)N、(CFSO、(CFSO)(CSO)N、(CSO、(CSO、(NC)等が挙げられる。中でも、(FSO、(CFSOが好ましい。
スルホン酸系アニオンとしては、例えば、CFSO 、CHSO 、CHOSO 、COSO 、C13OSO 、HOSO が挙げられる。
カルボン酸系アニオンとしては、例えば、HCOO、CHCOO、CCOO、CCOO、CCOO、C11COO、C13COO、C15COO、C17COO、C19COO、C1021COO、C1123COO、(CHCHCOO−、(CHCCOO−、CCOO−、CFCOO、CCOO、CCOO、CCOO、C11COO、C13COO、C15COO、C17COO、C19COO、C1021COO、C1123COOが挙げられる。中でも、CHCOO、CCOO、CCOO、CCOO、C11COO、C13COO、C15COO、CFCOOが好ましい。
リン酸系アニオンとしては、例えば、PF 、PF(CF 、PF(C 、PF(C 、PF(C 、(CHO)HPOO、(CO)HPOO、(CHO)POO、(CO)POOが挙げられる。
ホウ酸系アニオンとしては、例えば、BF 、BF(CF、BF(C、BF(C、BF(C、BF(CF 、BF(C 、BF(C 、BF(C 、B(CN) が挙げられる。
炭素酸系アニオンとしては、例えば、(CFSO、(CSOが挙げられる。
ハロゲン系アニオンとしては、例えば、F、Cl、Br、Iが挙げられる。
これらの具体的なアニオンは、それぞれ、前述の具体的なカチオンと任意に組み合わせて用いることができる。
本発明に係るアニオンの分子量は、特に限定されないが、149〜280の範囲にあると好ましい。イオン液体のアニオンがこの範囲にあると、酸性ガス化学吸収液の酸性ガス吸収性・放散性の点で好ましい。
(イオン液体)
本発明に係るイオン液体は、例えば、前述の、1以上の1級又は2級アミノ基、及びエチレンジアミン骨格を有するアミニウムに対応する、1以上の1級又は2級アミノ基、及びエチレンジアミン骨格を有するアミノ化合物(カチオン前駆体)と、前述のアニオンを共役塩基とする酸との中和によりにより調製できる。
好ましい具体的な調製条件は以下の通りである。
有機溶媒中、0〜60℃、好ましくは10〜40℃で、カチオン前駆体と酸を量論比(1:1)で中和反応させる。中和反応が終了した後、0〜60℃、好ましくは20〜40℃で、有機溶媒を留去する。これにより、本発明に係るイオン液体を得ることができる。
本発明に係るイオン液体の分子量は、特に限定されないが、294〜626の範囲にあると好ましく、337〜497の範囲にあるとより好ましい。イオン液体の分子量がこの範囲にあると、酸性ガス化学吸収液の酸性ガス吸収性・放散性の点で好ましい。
本発明に係るイオン液体としては、例えば、ヘキシルエチレンジアミニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(略記:[HexEDA][TfN])、ヘキシルエチレンジアミニウム トリフルオロメタンスルホナート(略記:[HexEDA][CFSO])、2−エチルヘキシルエチレンジアミニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(略記:[EtHexEDA][TfN])、2−エチルヘキシルエチレンジアミニウム トリフルオロメタンスルホナート(略記:[EtHexEDA][CFSO])、ヘキシルジエチレントリアミニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(略記:[HexDETA][TfN])、ヘキシルジエチレントリアミニウム トリフルオロメタンスルホナート(略記:[HexDETA][CFSO])、N−(2−エチルヘキシル)ジエチレントリアミニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(略記:[EtHexDETA][TfN])、N−(2−エチルヘキシル)ジエチレントリアミニウム トリフルオロメタンスルホナート(略記:[EtHexDETA][CFSO])、N−(2−アミノエチル)ピペラジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(略記:[AmEtPipe][TfN])、及びN−(2−アミノエチル)ピペラジニウム トリフルオロメタンスルホナート(略記:[AmEtPipe][CFSO])、プロピレンジアミニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(略記:[PDA][TfN])が好ましく、[HexDETA][TfN]及び[EtHexDETA][TfN]がより好ましい。
(酸性ガス吸収液)
本発明の酸性ガス化学吸収液は、前記の、カチオン及びアニオンからなるイオン液体を含む。イオン液体は、単独又は複数で用いることができ、例えば、主たるイオン液体の融点が常温(25℃)より高い場合には、希釈することができる。希釈剤としては、本発明に係るイオン液体を用いることもでき、他の一般にイオン液体と称されるカチオン及びアニオンからなるイオン液体類、ジエチレングリコール類、アルコール類、水などが挙げられる。酸性ガス化学吸収液の蒸気圧を低減して揮発による損失を抑制するためには、イオン液体類又はジエチレングリコール類の使用が好ましい。
また、本発明の酸性ガス化学吸収液は、本発明を阻害しない範囲で、他の成分を含むことができる。
本発明の酸性ガス化学吸収液は、25℃において、イオン液体1モルあたり0.5〜1.0モルの二酸化炭素を吸収することができると好ましい。また、本発明の酸性ガス化学吸収液は、温度差90℃で、イオン液体1モルあたり0.3モルの二酸化炭素を吸収・発散できると好ましく、温度差90℃で、イオン液体1モルあたり0.6モルの二酸化炭素を吸収・発散できるとより好ましく、温度差90℃で、イオン液体1モルあたり0.8モルの二酸化炭素を吸収・発散できると特に好ましい。また、イオン液体は、100℃以下の温度範囲で、25℃で吸収した二酸化炭素の80%以上を放散できるイオン液体を用いることが好ましい。ここで、二酸化炭素吸収量は、後述の方法で測定したものである。アミノ基の級数と数、溶媒和エネルギーなどを要因として、吸収量及び放散量を制御することもできる。また、対象とする酸性ガス分離プロセスに応じて、当該イオン液体を希釈して利用することもできる。希釈剤としては、イオン液体類、ジエチレングリコール類、アルコール類、水が挙げられる。吸収液の蒸気圧を低減して揮発による損失を抑制するためには、イオン液体類又はジエチレングリコール類の使用が好ましい。ここで、希釈剤としてのイオン液体類は、本願発明に係る、1以上の1級又は2級アミノ基、及びエチレンジアミン骨格を有するアミニウムであるカチオン及びアニオンからなるイオン液体、又はその他のイオン液体を用いることができ、その他のイオン液体を用いることが好ましい。
希釈剤の具体例としては、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(略記:[bmim][TfN])、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(略記:Tetra Glyme)、1−エチル−3−メチルイミイダゾリウム テトラシアノボレート(略記:[emim][TCB])、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム トリフルオロメタンスルホナート(略記:[bmim][CFSO])、及びポリエチレングリコール(分子量400)(略記:PEG400)などが挙げられ、希釈剤がイオン液体類の場合は、本願発明に係るイオン液体のアニオンと同一のアニオンで構成されていると好ましい。
本願発明に係るイオン液体と希釈剤の組み合わせ及び希釈率は特に限定されないが、本願発明に係るイオン液体が[HexEDA][TfN]の場合、希釈剤が[bmim][TfN]であると好ましく、その割合が[HexEDA][TfN]1重量部に対して3〜5重量部であるとより好ましい。
本願発明に係るイオン液体が[EtHexEDA][TfN]の場合、希釈剤が[bmim][TfN]、Tetra Glyme、又は[emim][TCB]であると好ましく、その割合は[EtHexEDA][TfN]1重量部に対してそれぞれ、0.5〜4重量部、0.5〜4重量部、0.5〜4重量部であるとより好ましい。
本願発明に係るイオン液体が[HexDETA][TfN]の場合、希釈剤が[bmim][TfN]であると好ましく、その割合は[HexDETA][TfN]1重量部に対して0.5〜4重量部であるとより好ましい。
本願発明に係るイオン液体が[EtHexEDA][TfN]の場合、希釈剤が[bmim][TfN]であると好ましく、その割合は[EtHexEDA][TfN]1重量部に対して0.5〜4重量部であるとより好ましい。
本願発明に係るイオン液体が[EtHexEDA][CFSO]の場合、希釈剤が[bmim][CFSO]であると好ましく、その割合は[EtHexEDA][CFSO]1重量部に対して0.5〜4重量部であるとより好ましい。
本願発明に係るイオン液体が[AmEtPipe][TfN]の場合、希釈剤がポリエチレングリコールであると好ましく、そのポリエチレングリコールの分子量は、200〜800であるとより好ましく、例えば400(略記:PEG400)、その割合は[AmEtPipe][TfN]1重量部に対して0.5〜4重量部であるとより好ましい。
本願発明に係るイオン液体が[PDA][TfN]の場合、希釈剤が[bmim][TfN]であると好ましく、その割合は[PDA][TfN]1重量部に対して4〜5重量部であるとより好ましい。
本発明に係る酸性ガス化学吸収液の粘度は特に限定されないが、上限が、25℃で2700mPa・s未満であると好ましく、25℃で500mPa・s未満であるとより好ましい。酸性ガス化学吸収液の粘度がこの範囲にあると、酸性ガス化学吸収液の酸性ガス吸収性・放散性の点で好ましい。また、本発明に係る酸性ガス化学吸収液の密度は特に限定されないが、上限が、25℃で1.40g/cm未満であると好ましく、25℃で1.35g/cm未満であるとより好ましい。酸性ガス化学吸収液の粘度や密度がこの範囲にあると、酸性ガス化学吸収液の酸性ガス吸収性・放散性の点で好ましい。本発明の酸性ガス化学吸収液の粘度、密度、及びその温度依存性は、用いるイオン液体のカチオン及びアニオンの種類や希釈剤で調整できる。
(酸性ガス分離回収方法)
次に、本発明の酸性ガス化学吸収液を用いた酸性ガス分離回収方法について説明する。
前述の酸性ガス化学吸収液を、酸性ガスを含む2成分又は3成分以上の混合ガスと接触させることによって酸性ガスを前記酸性ガス化学吸収液に吸収させて、前記混合ガスから前記酸性ガスを選択的に分離する。
酸性ガスとしては、例えば、二酸化炭素、硫化水素、硫黄酸化物、窒素酸化物、無機酸類(塩酸、硝酸、硫酸、スルホン酸等)、有機酸類(リン酸、カルボン酸、炭酸等)などの酸性ガスが挙げられるが、本発明の酸性ガス化学吸収液を用いた酸性ガス分離回収方法は、特に、二酸化炭素の分離に優れている。上記混合ガスは、これらの酸性ガスを含むガス状の混合物であれば、特に限定されない。また、混合ガス中に含まれる酸性ガスの種類及び組成も特に限定されない。
本発明の酸性ガス分離回収方法において、酸性ガスを、酸性ガス化学吸収液に含まれるイオン液体に化学的に吸収させる温度は、特に限定されないが、通常、室温近傍(25℃±10℃)又は室温(25℃)以下である。混合ガスと酸性ガス化学吸収液の接触方法は、酸性ガスが酸性ガス化学吸収液に化学的に吸収される限り、特に限定されない。例えば、酸性ガス化学吸収液中に混合ガスをバブリングさせる方法、混合ガスに酸性ガス化学吸収液をスプレーする方法、酸性ガス化学吸収液を含浸又はゲル化させた材料と混合ガスを接触させる方法などが挙げられる。
酸性ガスを吸収した酸性ガス化学吸収液は、例えば、混合ガスと、酸性ガスを吸収した酸性ガスとを分離し、分離した酸性ガス化学吸収液を加熱又は/及び減圧することで酸性ガスを放散させて再生することによって再利用できる。
酸性ガス化学吸収液を加熱する場合、酸性ガスを吸収する温度よりも5〜100℃高い温度条件に設定することにより、酸性ガスを放散できる。より好ましくは、100℃以下の温度条件で酸性ガスの放散を行うと、酸性ガス化学吸収液の再生エネルギーを低減でき、従来技術と比較して省エネルギーである。
また、酸性ガス化学吸収液を減圧する場合、酸性ガスを吸収した圧力よりも低圧条件に設定することにより、酸性ガスを放散でき、対象とする酸性ガス除去プロセスに応じて圧力設定することができる。酸性ガス化学吸収液を減圧する際の温度は、特に限定されないが、酸性ガスを吸収した温度、即ち室温近傍(25℃±10℃)又は室温(25℃)以下であると好ましい。
酸性ガス化学吸収液を再生する装置は、吸収した酸性ガスが放散され、酸性ガス化学吸収液中のイオン液体が再生されるのであれば、特に限定されない。
本発明の酸性ガス分離回収方法によれば、吸収量が多いイオン液体を利用することで、プロセスの酸性ガス除去効率を高めることができる。また、従来の酸性ガス化学吸収液を利用したプロセスと比較して、酸性ガス化学吸収液の再生に要する熱エネルギーを低減できる。また、これまで未使用であった100℃以下の低品位廃熱を有効利用したプロセスを構築できる。更に、酸性ガス化学吸収液に含まれるイオン液体の分子構造及び濃度を制御することで、対象とする酸性ガスに最適な分離プロセスを提供できる。
(実施例)
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。測定は、以下の測定方法を用いた。
(1)NMRスペクトル
イオン液体、イオン液体を含む酸性ガス化学吸収液、又は二酸化炭素を吸収したこれらの、H−NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルは、実施例7−1及び7−2ではブルカー製Ascend 400を用いて測定し、他の実施例ではVarian製Inova300を用いて測定した。特に断りの無い限り測定温度は40℃、溶媒はベンゼン−d6、内部標準はテトラメチルシラン(TMS)である。
(2)粘度及び密度
イオン液体、又はイオン液体を含む酸性ガス化学吸収液の粘度及び密度は、Anton Paar製粘度計Stabinger SVM3000を用いて測定した。
(3)二酸化炭素吸収量
図1に示す、二酸化炭素吸収試験装置を用いて常圧で測定を行った。二酸化炭素吸収試験装置は、ガラス製反応容器12に窒素又は二酸化炭素を導入するための、窒素又は二酸化炭素のボンベ1、減圧弁2、流量計3、バルブ4、コイル状の熱交換器5、及びバルブ6、並びに、熱媒7を入れる恒温槽8、その恒温槽8内の熱媒7の温度を測定する白金測温体9を接続した抵抗表示器10、恒温槽8内の熱媒7の温度を一定の温度に調整する恒温循環装置11、ガラス製反応容器12内に入れた回転子13を回転させるマグネチックスターラー14を備える。
反応容器12には、栓15、ガス導入管16、バルブ付き放出管17を取り付けることができる。バルブ6は、反応容器12に取り付けられたガス導入管16と接続できる。コイル状熱交換器5及び反応容器12は、恒温槽8の熱媒7に浸され、恒温循環装置11で一定の温度に保たれる。反応容器12内には、回転子13が入れてあり、マグネチックスターラー14によって、反応容器12内の酸性ガス化学吸収液を攪拌できる。
以下に、この二酸化炭素吸収試験装置を用いた、二酸化炭素吸収量測定フローを記載する。
1)窒素雰囲気下で、所定量(約10cc)の酸性ガス化学吸収液をガラス製の反応容器12に取り分け、反応容器12の口を栓15で封じる。反応容器全体の質量を分析天秤で計測し、これから風袋(反応容器12及び栓15)の質量を差し引き、酸性ガス化学吸収液の質量Wを得る。
2)反応容器12にガス導入管16及び放出管17を取り付け、再度、質量を計測して反応容器全体の質量Wを得る。
3)反応容器12を恒温水槽7に設置する。ガス導入管16をバルブ5に接続する。
4)恒温槽8の温度を40℃に保ち、窒素のみを反応容器12に流通させ、容器内を窒素で置換する。一定時間(例えば60分)毎に反応容器全体の質量を分析天秤で測定する。測定毎の質量変化が0.001g以下になった際の、反応容器全体の質量をWとする。
5)続いて、二酸化炭素を反応容器12に流通させ、酸性ガス化学吸収液に二酸化炭素を吸収させる。一定時間(例えば120分〜終夜)毎に反応容器全体の質量を分析天秤で測定する。測定毎の質量変化が0.001g以下になった際の、反応容器全体の質量をWとする。
6)酸性ガス化学吸収液に吸収された二酸化炭素の質量WCO2を下記式に基づき求める。
CO2=W−W
また、酸性ガス化学吸収液中のイオン液体1モルあたりの二酸化炭素吸収量XCO2を下記式に基づき決定する。
CO2=(WCO2/MCO2)/(W/MIL
ここで上記式中、MCO2は二酸化炭素の分子量であり、MILはイオン液体の分子量である。
7)恒温槽の温度を適宜変更し、前記1)〜6)の操作と解析を行い、各温度における二酸化炭素吸収量を決定する。その後、40℃で吸収された二酸化炭素の質量を再度計測し、再現性を確認する。なお、実施例で用いた、本発明に係るイオン液体以外のイオン液体自体などの希釈剤は、常圧では二酸化炭素をほとんど吸収しない。
(4)融点
イオン液体の融点は、ブルカー製示差走査熱量計DSC3200SAを用いて測定した。
(実施例1−1)
1)ヘキシルエチレンジアミニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドの合成
エチレンジアミン300gとエタノール230gを混合して、エチレンジアミンのエタノール溶液を得た。得られたエチレンジアミンのエタノール溶液に、室温でクロロヘキサン120gを5秒に1滴の割合で滴下した。滴下終了後、室温で1週間撹拌し、塩化ヘキシルエチレンジアミニウムを含む反応混合物を得た。得られた反応混合物に40wt%水酸化ナトリウム水溶液110gを加えて、塩化ヘキシルエチレンジアミニウムを中和した。有機相のみを回収し、常圧蒸留と減圧蒸留によりヘキシルエチレンジアミン80gを得た。得られたヘキシルエチレンジアミン52gをメタノール80gと混合しメタノール溶液を得た。窒素置換されたグローブボックス内で、得られたメタノール溶液にビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド酸のメタノール溶液(70wt%)140gを滴下した。その後、減圧乾燥により溶媒を留去し、ヘキシルエチレンジアミニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(略記:[HexEDA][TfN])150gを得た。[HexEDA][TfN]の構造式を式12に、NMRスペクトルを図2に示す。
Figure 2016010760
2)イオン液体[HexEDA][TfN]4.6gを酸性ガス化学吸収液E1−1とし、二酸化炭素の分圧(PCO2)0.10MPaにおける二酸化炭素吸収量を測定した。その結果を表1に示す。酸性ガス化学吸収液E1−1の粘度は、25℃で456mPa・sであった。酸性ガス化学吸収液E1−1の粘度の温度変化を図33に、密度の測定結果を図32に示す(符号:菱形)。CO吸収後の酸性ガス化学吸収液E1−1のNMRスペクトルを図3に示す。
(実施例1−2)
実施例1−1と同様にして得られたイオン液体[HexEDA][TfN]4.6gを1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(略記:[bmim][TfN])18.4gに溶解させて酸性ガス化学吸収液E1−2とし、二酸化炭素の分圧(PCO2)0.10MPaにおける二酸化炭素吸収量を測定した。その結果を表1に示す。酸性ガス化学吸収液E1−2は、25℃においてイオン液体1モルあたり0.82モルの二酸化炭素を、100℃において0.14モルの二酸化炭素を吸収しており、室温近傍で吸収した二酸化炭素の83%を100℃で放散している。CO吸収前の酸性ガス化学吸収液E1−2のNMRスペクトルを図4に、CO吸収後の酸性ガス化学吸収液E1−2のNMRスペクトルを図5に示す。H−NMRのスペクトル形状が変化し、13C−NMRスペクトルにCO由来のピークが検出されており、COと[HexEDA][TfN]が化学的に反応したことを示す。
(実施例2−1)
1)N−(2−エチルヘキシル)ジエチレントリアミニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドの合成
ジエチレントリアミン360gとエタノール160gを混合して、エチレンジアミンのエタノール溶液を得た。得られたエチレンジアミンのエタノール溶液に、室温で1−ブロモ−2−エチルヘキサン135gを5秒に1滴の割合で滴下した。滴下終了後、室温で1週間撹拌し、臭化N−(2−エチルヘキシル)ジエチレントリアミニウムを含む反応混合物を得た。得られた反応混合物に40wt%水酸化ナトリウム水溶液110gを加えて、臭化N−(2−エチルヘキシル)ジエチレントリアミニウムを中和した。有機相のみを回収し、回収した有機相にトルエン70g、ブタノール65g、蒸留水400gを加え、さらに分液し有機相のみを回収した。回収した有機相の常圧蒸留と減圧蒸留を行い、N−(2−エチルヘキシル)ジエチレントリアミン30gを得た。N−(2−エチルヘキシル)ジエチレントリアミン20gをメタノール40gと混合してジエチルエーテル溶液を得た。窒素置換されたグローブボックス内で、得られたジエチルエーテル溶液にビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド酸のジエチルエーテル溶液(60wt%)45gを滴下した。その後、減圧乾燥により溶媒を留去し、N−(2−エチルヘキシル)ジエチレントリアミニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(略記:[EtHexDETA][TfN])40gを得た。[EtHexDETA][TfN]の構造式を式13に示す。
Figure 2016010760
2)イオン液体[EtHexDETA][TfN]を酸性ガス化学吸収液E2−1として、PCO2=0.10MPaにおける二酸化炭素吸収量を測定した。酸性ガス化学吸収液E2−1の二酸化炭素吸収量を測定した結果を表1に示す。酸性ガス化学吸収液E2−1の粘度は、25℃で2660mPa・sであった。酸性ガス化学吸収液E2−1の粘度の温度変化を図33に、密度の測定結果を図32に示す(符号:四角)。酸性ガス化学吸収液E2−1は、61.2℃においてイオン液体1モルあたり0.65モルの二酸化炭素を、100.7℃において0.15モルの二酸化炭素を吸収しており、60℃で吸収した二酸化炭素77%を100℃で放散している。CO吸収後の酸性ガス化学吸収液E2−1のNMRスペクトルを図5に示す。酸性ガス化学吸収液E1−2と同様の変化が認められ、COが[EtHexDETA][TfN]に化学的に吸収されたことを示す。
(実施例2−2)
実施例2−1と同様にして得られた[EtHexDETA][TfN]5gを[bmim][TfN]4.2gに溶解させて、酸性ガス化学吸収液E2−2とし、PCO2=0.10MPaにおける二酸化炭素吸収量を測定した。測定結果を表1に示す。60℃でアセトニトリル−d3を溶媒として測定した、CO吸収前の酸性ガス化学吸収液E2−2のNMRスペクトルを図6に、CO吸収後の酸性ガス化学吸収液E2−2のNMRスペクトルを図7に示す。
酸性ガス化学吸収液E2−2と酸性ガス化学吸収液E2−1の二酸化炭素吸収量には、ほとんど差はなく、[bmim][TfN]による希釈の、二酸化炭素吸収量に対する影響は認められなかった。本発明の酸性ガス化学吸収液は、本発明に係るイオン液体の希釈条件下でも酸性ガス化学吸収性能を変化させることなく利用可能である。
(実施例2−3)
実施例2−1と同様にして得られた[EtHexDETA][TfN]2.9gをテトラエチレングリコールジメチルエーテル(略記:Tetra Glyme)5.1gに溶解させて、酸性ガス化学吸収液E2−3とし、PCO2=0.10MPaにおける二酸化炭素吸収量を測定した。測定結果を表1に示す。CO吸収前の酸性ガス化学吸収液E2−2のNMRスペクトルを図8に、CO吸収後の酸性ガス化学吸収液E2−2のNMRスペクトルを図9に示す。
(実施例2−4)
実施例2−1と同様にして得られた[EtHexDETA][TfN]3.1gを1−エチル−3−メチルイミイダゾリウム テトラシアノボレート(略記:[emim][TCB])1.4gに溶解させて、酸性ガス化学吸収液E2−4とし、PCO2=0.10MPaにおける二酸化炭素吸収量を測定した。測定結果を表1に示す。
(実施例3−1)
1)ヘキシルジエチレントリアミニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドの合成
1−ブロモ−2−エチルヘキサン135gの代わりにクロロヘキサン85gを用いた他は、実施例2と同様にして、ヘキシルジエチレントリアミニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(略記:[HexDETA][TfN])を得た。[HexDETA][TfN]の構造式を式14に示す。
Figure 2016010760
2)イオン液体[HexDETA][TfN]を酸性ガス化学吸収液E3−1とし、PCO2=0.10MPaにおける二酸化炭素吸収量を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例3−2)
実施例3−1と同様にして得られたイオン液体[HexDETA][TfN]7.6gを[bmim][TfN]6.8gに溶解させ、酸性ガス化学吸収液E3−2とし、PCO2=0.10MPaにおける二酸化炭素吸収量を測定した。その結果を表1に示す。61.3℃においてイオン液体1モル当たり0.62モルの二酸化炭素を、100.9℃において0.12モルの二酸化炭素を吸収しており、60℃で吸収した二酸化炭素のほぼ80%を100℃で放散している。低温ほど二酸化炭素の吸収量が増加するため、室温近傍で比較した場合の放散率はさらに大きくなる。
(実施例4−1)
1)N−(2−エチルヘキシル)エチレンジアミニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドの合成
クロロヘキサン120gの代わりに1−ブロモ−2−エチルヘキサン193gを用いた他は実施例1−1と同様にして、N−(2−エチルヘキシル)エチレンジアミニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(略記:[EtHexEDA][TfN])130gを得た。[HexEDA][TfN]の構造式を式15に、NMRスペクトルを図10に示す。
Figure 2016010760
2)イオン液体[EtHexEDA][TfN]8.7gを酸性ガス化学吸収液E4−1とし、二酸化炭素の分圧(PCO2)0.10MPaにおける二酸化炭素吸収量を測定した。その結果を表1に示す。40℃で測定したCO吸収後の酸性ガス化学吸収液E4−1のNMRスペクトルを図11に、60℃で測定したCO吸収後の酸性ガス化学吸収液E4−1のNMRスペクトルを図12に、示す。
(実施例4−2)
実施例4−1と同様にして得られたイオン液体[EtHexEDA][TfN]4.6gを1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(略記:[bmim][TfN])18.4gに溶解させて酸性ガス化学吸収液E4−2とし、二酸化炭素の分圧(PCO2)0.10MPaにおける二酸化炭素吸収量を測定した。その結果を表1に示す。CO吸収前の酸性ガス化学吸収液E4−2のNMRスペクトルを図13に、CO吸収後の酸性ガス化学吸収液E4−2のNMRスペクトルを図14に示す。
(実施例5−1)
1)N−(2−エチルヘキシル)エチレンジアミニウム トリフルオロメタンスルホナートの合成
クロロヘキサン120gの代わりに1−ブロモ−2−エチルヘキサン193gを用い、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド酸の代わりにトリフルオロメタンスルホン酸を用いた他は実施例1−1と同様にして、N−(2−エチルヘキシル)エチレンジアミニウム トリフルオロメタンスルホナート(略記:[EtHexEDA][CFSO])45gを得た。[EtHexEDA][CFSO]の構造式を式16に、NMRスペクトルを図15に示す。
Figure 2016010760
2)イオン液体[EtHexEDA][CFSO]6gを酸性ガス化学吸収液E5−1とし、二酸化炭素の分圧(PCO2)0.10MPaにおける二酸化炭素吸収量を測定した。その結果を表1に示す。60℃で測定したCO吸収後の酸性ガス化学吸収液E5−1のNMRスペクトルを図16に示す。
(実施例5−2)
実施例5−1と同様にして得られたイオン液体[EtHexEDA][CFSO]4gを1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム トリフルオロメタンスルホナート(略記:[bmim][CFSO])14.3gに溶解させて酸性ガス化学吸収液E5−2とし、二酸化炭素の分圧(PCO2)0.10MPaにおける二酸化炭素吸収量を測定した。その結果を表1に示す。CO吸収前の酸性ガス化学吸収液E5−2のNMRスペクトルを図17に、CO吸収後の酸性ガス化学吸収液E5−2のNMRスペクトルを図18に示す。
(実施例6)
1)N−(2−アミノエチル)ピペラジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドの合成
N−(2−アミノエチル)ピペラジン25.84gをメタノール51.68gと混合し、これにビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド酸のメタノール溶液(33.0wt%)168.70gを、氷浴しながら、アルゴン雰囲気下で5秒に1滴の割合で滴下した。滴下終了後、室温で12時間撹拌し、N−(2−アミノエチル)ピペラジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドを含むメタノール溶液を得た。その後、減圧乾燥によりメタノールを留去し、得られた粗製N−(2−アミノエチル)ピペラジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド78.79gをエタノール157.57gに溶解させた。カラムクロマトグラフィ(活性アルミナ)で精製した後、エタノールを減圧乾燥により取り除き、N−(2−アミノエチル)ピペラジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(略記:[AmEtPipe][TfN])49.64gを得た。[AmEtPipe][TfN]の構造式を式17に、[AmEtPipe][TfN]のポリエチレングリコール(分子量400)(略記:PEG400)溶液のNMRスペクトルを図19に示す。
Figure 2016010760
2)イオン液体[AmEtPipe][TfN]は室温で固体であったため、[AmEtPipe][TfN]5.001gをPEG400 9.748gに溶解させて酸性ガス化学吸収液E6とし、PCO2=0.10MPaにおける二酸化炭素吸収量を測定した。その結果を表1に示す。25℃においてイオン液体1モルあたり0.50モルの二酸化炭素を、59.9℃において0.29モルの二酸化炭素を吸収しており、室温近傍で吸収した二酸化炭素の42%を59.9℃で放散していた。CO吸収後の酸性ガス化学吸収液E6のNMRスペクトルを図20に示す。CO吸収前後でNMRスペクトルの形状が変化していた。
(実施例7)
1)プロピレンジアミニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドの合成
プロピレンジアミン7.8gをメタノール15mlと混合し、これにビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド酸のメタノール溶液(65wt%)45.5gを、氷浴しながら、5秒に1滴の割合で滴下した。滴下終了後、室温で12時間撹拌し、プロピレンジアミニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドを含むメタノール溶液を得た。その後、真空乾燥によりメタノールを留去し、プロピレンジアミニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(略記:[PDA][TfN])を得た。[PDA][TfN]の構造式を式18に、[PDA][TfN]の[bmim][TfN]溶液のNMRスペクトルを図21に示す。
Figure 2016010760
2)イオン液体[PDA][TfN]は室温で固体であったため、[PDA][TfN]2.0gを[bmim][TfN]9.5gに溶解させて酸性ガス化学吸収液E7とし、PCO2=0.10MPaにおける二酸化炭素吸収量を測定した。その結果を表1に示す。25℃においてイオン液体1モルあたり0.64モルの二酸化炭素を、100℃において0.09モルの二酸化炭素を吸収しており、室温近傍で吸収した二酸化炭素の86%を100℃で放散していた。CO吸収後の酸性ガス化学吸収液E7のNMRスペクトルを図22に示す。CO吸収前後でNMRスペクトルの形状が変化していた。
(比較例1)
1)ピペラジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドの合成
ピペラジン17.23gをメタノール34.46gと混合し、これにビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド酸のメタノール溶液(33.0wt%)168.70gを、氷浴しながら、アルゴン雰囲気下で5秒に1滴の割合で滴下した。滴下終了後、室温で12時間撹拌し、ピペラジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドを含むメタノール溶液を得た。その後、減圧乾燥によりメタノールを留去し、得られた粗製ピペラジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド71.99gをエタノール144.00gに溶解させた。カラムクロマトグラフィ(活性アルミナ)で精製した後、エタノールを減圧乾燥により取り除き、ピペラジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(略記:[Pipe][TfN])41.75gを得た。[Pipe][TfN]の構造式を式18に、[Pipe][TfN]のポリエチレングリコール溶液のNMRスペクトルを図23に示す。
Figure 2016010760
2)イオン液体[Pipe][TfN]は室温で固体であったため、[Pipe][TfN]2.295gをポリエチレングリコール(分子量400)10.002gに溶解させて、酸性ガス化学吸収液R1とし、PCO2=0.10MPaにおける二酸化炭素吸収量を測定した。その結果を表1に示す。酸性ガス化学吸収液R1は、24.9℃においてイオン液体1モルあたり0.27モルの二酸化炭素を、60.0℃において0.07モルの二酸化炭素を吸収していた。CO吸収後の酸性ガス化学吸収液R1のNMRスペクトルを図24に示す。
(比較例2)
1)2−メチルピペラジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドの合成
2−メチルピペラジン20.03gをメタノール40.10gと混合し、これにビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド酸のメタノール溶液(33.0wt%)168.70gを、氷浴しながら、アルゴン雰囲気下で5秒に1滴の割合で滴下した。滴下終了後、室温で12時間撹拌し、2−メチルピペラジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドを含むメタノール溶液を得た。その後、減圧乾燥によりメタノールを留去し、得られた粗製2−メチルピペラジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド73.97gをエタノール148.00gに溶解させた。カラムクロマトグラフィ(活性アルミナ)で精製した後、エタノールを減圧乾燥により取り除き、2−メチルピペラジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(略記:[MePipe][TfN])40.68gを得た。[MePipe][TfN]の構造式を式19に、[MePipe][TfN]のポリエチレングリコール溶液のNMRスペクトルを図25に示す。
Figure 2016010760
2)[MePipe][TfN]は室温で固体であったため、[MePipe][TfN]2.383gをポリエチレングリコール(分子量400)9.999gに溶解させて、酸性ガス化学吸収液R2とし、PCO2=0.10MPaにおける二酸化炭素吸収量を測定した。その結果を表1に示す。酸性ガス化学吸収液R2は、25℃においてイオン液体1モルあたり0.13モルの二酸化炭素を、60.0℃において0.06モルの二酸化炭素を吸収していた。CO吸収後の酸性ガス化学吸収液R2のNMRスペクトルを図26に示す。
(比較例3)
酢酸をアニオンとする既知の化学吸収系イオン液体1−エチル−3−メチルイミイダゾリウム アセテート(略記:[emim][ace])を酸性ガス化学吸収液R3とした。[emim][ace]の構造式を式20に示す。酸性ガス化学吸収液R3のPCO2=0.10MPaにおける二酸化炭素吸収量を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2016010760
酸性ガス化学吸収液R1の粘度は、25℃で106mPa・sであった。酸性ガス化学吸収液E1−2の粘度の温度変化を図33に、密度の測定結果を図32に示す(符号:三角)。酸性ガス化学吸収液R3は、25℃でXCO2が0.31、100℃でXCO2が0.11であり、室温近傍で吸収した二酸化炭素の64%を100℃で放散していた。
図27〜図31に、酸性ガス化学吸収液E1−1〜E7(実施例1−1〜7)及び酸性ガス化学吸収液R1〜R3(比較例1〜3)のPCO2=0.10MPaにおけるイオン液体1モルあたりの二酸化炭素吸収量XCO2の温度依存性を示す。1級アミンを1つ有する[HexEDA][TfN]、1級アミン1つと2級アミン1つを有する[EtHexDETA][TfN]、1級アミン1つと3級アミン1つを有する[AmEtPipe][TfN]の25℃におけるXCO2は、いずれも0.5以上である。一方、2級アミンを1つ有する[Pipe][TfN]と[MePipe][TfN]は、25℃におけるXCO2が0.3以下である。したがって、1級アミンとポリエチレンアミン骨格を利用することで、XCO2が0.5以上の酸性ガス化学吸収液を提供できる。
特に本発明に係る酸性ガス化学吸収液(実施例1−2、2−2、2−3、4−2、5−2)の二酸化炭素吸収量及び放散量が、既存のイオン液体と比較して非常に優れていることがわかる。以上の結果は、酸性ガス吸収量の向上により酸性ガス除去の効率を向上できること、100℃以下の低温廃熱で80%以上の二酸化炭素を放散でき、酸性ガス除去に関わる消費エネルギーを低減できることを示している。
Figure 2016010760
Figure 2016010760
(表1中、T/℃は、二酸化炭素吸収量測定時の恒温槽の温度、XCO2は、本発明に係るイオン液体1モルあたりの二酸化炭素吸収量を示す。)
本発明の酸性ガス化学吸収液は、室温近傍における酸性ガス吸収量に優れ、100℃以下で、吸収した大部分の酸性ガスを放散できるイオン液体を含む。また、この酸性ガス化学吸収液を利用した酸性ガス分離回収方法は、二酸化炭素などの酸性ガスを選択的に分離するプロセスの、酸性ガス除去効率を向上させ、さらに、プロセス全体の消費エネルギーを低減可能であり、従来技術の課題を解決できる。そのため、本発明は、例えば、化学工場や製鉄所などの排気ガス中に含まれる酸性ガスの分離、脱炭酸によるエネルギー資源(天然ガス、バイオガス、合成ガス)の製造、自動車等の分散型排出源における脱硝、生活環境の維持(二酸化炭素濃度の管理)等、産業部門から民生部門まで利用できるが、これら例示された分野に限定されない。
1 窒素又は二酸化炭素のボンベ
2 減圧弁
3 流量計
4 バルブ
5 熱交換器
6 バルブ
7 熱媒
8 恒温槽
9 白金測温体
10 抵抗表示器
11 恒温循環装置
12 反応容器
13 回転子
14 マグネチックスターラー
15 栓
16 ガス導入管
17 放出管

Claims (9)

  1. カチオン及びアニオンからなるイオン液体を含み、
    前記カチオンは、1以上の1級又は2級アミノ基、及びエチレンジアミン又はプロピレンジアミン骨格を有するアミニウムである、酸性ガス化学吸収液。
  2. 前記カチオンは、3級アミノ基を有する、請求項1に記載の酸性ガス化学吸収液。
  3. 前記カチオンは、ポリエチレンジアミン又はポリプロピレンジアミン骨格を有する、請求項1又は2に記載の酸性ガス化学吸収液。
  4. 前記カチオンは、ジエチレントリアミン骨格又はN−(2−アミノエチル)ピペラジン骨格を少なくとも一つ有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸性ガス化学吸収液。
  5. 前記アニオンは、アミド系アニオン、スルホン酸系アニオン、カルボン酸系アニオン、リン酸系アニオン、及びホウ酸系アニオンからなる群より選ばれる少なくとも一つである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸性ガス化学吸収液。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の酸性ガス化学吸収液を、酸性ガスを含む混合ガスと接触させることによって酸性ガスを前記酸性ガス化学吸収液に吸収させて、前記混合ガスから前記酸性ガスを選択的に分離することを含む、酸性ガス分離回収方法。
  7. 酸性ガスを吸収した酸性ガス化学吸収液を、吸収時の温度より高温にすることで前記酸性ガスを放散させて回収し、前記酸性ガス化学吸収液を再生することを更に含む、請求項6に記載の酸性ガス分離回収方法。
  8. 酸性ガスを吸収した酸性ガス化学吸収液を、吸収時の温度より高温かつ100℃以下に昇温して、吸収した酸性ガスの80%以上を放散させて回収し、前記酸性ガス化学吸収液を再生することを含む、請求項7に記載の酸性ガス分離回収方法。
  9. 吸収した酸性ガスを含んだ酸性ガス化学吸収液を減圧することで、吸収した酸性ガスを放散させて回収し、酸性ガス化学吸収液を再生することを含む、請求項6に記載の酸性ガス分離回収方法。
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