JP2016006170A - ゴム組成物、タイヤ及びゴム組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献2には、ゴム成分の使用量を低減したゴム組成物及びタイヤとして、ゴム成分に、コーヒー粕又は茶殻等の植物資源抽出残渣を配合したゴム組成物及び少なくとも一部に当該ゴム組成物を用いたタイヤが開示されている。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分及び水分を含んだ植物資源抽出残渣を配合したゴム組成物であって、
前記ゴム成分が天然ゴムを含有し、その他の配合成分との混練りに先立って、前記ゴム成分と前記植物資源抽出残渣とを練り合わせてなる予備マスターバッチを形成することを特徴とする。
これによって、ゴム組成物の破壊強度、耐摩耗性、耐カット性及び耐熱老化性を向上できる。
これによって、タイヤの破壊強度、耐摩耗性、耐カット性及び耐熱老化性を向上できる。
前記ゴム成分が天然ゴムを含有し、その他の配合成分との混練りに先立って、前記ゴム成分と前記植物資源抽出残渣とを練り合わせてなる予備マスターバッチを形成する工程を具えることを特徴とする。
これによって、タイヤの破壊強度、耐摩耗性、耐カット性及び耐熱老化性を向上できる。
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、ゴム成分及び水分を含んだ植物資源抽出残渣を配合したゴム組成物である。
そして、本発明は、前記ゴム成分が天然ゴムを含有しその他の配合成分との混練りに先立って、前記ゴム成分と前記植物資源抽出残渣とを練り合わせてなる予備マスターバッチを形成することを特徴とする。
上記構成を具えることで、良好な、破壊強度、耐摩耗性及び耐カット性を有するとともに、優れた耐熱老化性を実現できる。
ここで、前記植物資源抽出残渣中に取り込まれた天然老化防止成分は、他の配合成分と混練りした際、前記植物資源抽出残渣中に取り込まれる前に発生したラジカルや熱と反応し、失活することが考えられるが、本発明では、他の配合成分と混練りする前に予備マスターバッチを形成することで、該予備マスターバッチと他の配合成分とを混練りした際に発生したラジカルや熱と天然老化防止成分とが反応することを抑制でき、加硫後まで前記天然老化防止成分をゴム組成物中に留まらせることが可能となる。その結果、従来の植物資源抽出残渣含有ゴム組成物に比べて、耐熱老化性を大幅に向上できると考えられる。
本発明のゴム組成物のゴム成分については、天然ゴムを含むことを要件とする。ここで、ゴム成分における天然ゴムの含有率は、上述した天然の老化防止成分を十分に提供できる観点からは、30質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。
なお、天然ゴム以外のゴムについても含有することは可能である。その種類については、特に限定はされず、例えば、優れた耐摩耗性を得る点からは、ジエン系合成ゴムを併用して用いることができる。かかるジエン系合成ゴムとしては、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)等が挙げられる。なお、これらジエン系合成ゴムは、1種単独で用いてもよいし、2種以上のブレンドとして用いてもよい。
本発明のゴム組成物は、植物資源抽出残渣を含む。
ゴム組成物中に植物資源抽出残渣を含有することにより、ゴム成分の使用量を低減することができ、また、植物資源の抽出処理後に生じる残渣は、カーボンニュートラルな資源である植物資源から有効成分を抽出した後に残る安価な廃棄物であることから、低コスト化を図り、環境に与える負荷を抑えることができる。
該植物資源の具体例としては、例えば、茶葉、コーヒー豆、アロエの葉、ヨモギの葉、桑の根、赤ブドウの皮、アザミの実、明日葉の葉、アセロラ、クロレラ、クズの根(葛根)、バラの花、桃の葉、そばの実、大麦の種子等が挙げられ、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、抽出処理においては、必要に応じて、例えば、加熱又は撹拌を行ってもよい。
溶媒としては、例えば、水又は有機溶媒(エチルアルコール、油等)が挙げられる。当該溶媒に、必要に応じてキレート剤、酸、アルカリ等の抽出剤を混合して用いることができる。
上述した植物資源をこれらの溶媒に浸漬して植物資源中の有効成分を抽出することにより、当該有効成分を含む飲料、化粧水、乳液等を得ることができる。
ここで、茶殻の種類としては、特に限定はされず、例えば、緑茶、ほうじ茶、ウーロン茶等の茶殻が挙げられる。また、前記茶殻の形状については、特に限定されない。
前記植物資源抽出残渣の含水率を高くすることで、ゴム特性の向上が図れるものの、前記植物資源抽出残渣の含水率が高すぎると、ゴム組成物製造時の作業性が低下するという問題が発生するおそれもある。そのため、前記植物資源抽出残渣の含水率を上記範囲とすることで、ゴム特性の向上と作業性との両立が可能となる。さらに、含水率を下げるための乾燥作業等の熱を利用する必要がなく、環境負荷の低減が可能となるという効果もある。
上述したように植物資源抽出残渣は、植物資源を固−液抽出処理することにより生じる残渣であることから、水等の溶媒を含んでいる場合がある。植物資源抽出残渣の含水率が40〜80質量%の範囲である場合には、散水等の植物資源抽出残渣の含水率を調整する工程を経ることなく植物資源抽出残渣をゴム成分に配合することが可能である。
前記植物資源抽出残渣の平均粒径を50000μm以下とすることで、分散性が悪化するという問題を回避できるからである。さらに、前記植物資源抽出残渣の平均粒径を600μm未満とするためには、粉砕・破砕・脱水・分別の工程が煩雑になり、環境負荷を低減することが難しいという点からも、前記植物資源抽出残渣の平均粒径を600μm以上とすることが好ましい。
なお、本発明において、球状以外の楕円体及び不定形の植物資源抽出残渣では、前記「粒径」とは、ゴム成分又は樹脂成分に配合する前の植物資源抽出残渣の外周上の2点を結ぶ線分のうち最も長いものの長さを意味し、前記植物資源抽出残渣の平均粒径(μm)は、マイクロスコープ(例えば、株式会社Keyence製の「VHX digital microscope」)を用いて対象となる植物資源抽出残渣を観察することにより求められ、任意に選択された100個の植物資源抽出残渣の粒径の平均値を意味する。
前記植物資源抽出残渣の配合量を0.5質量部以上とすることにより、ゴム組成物中に含まれる植物資源抽出残渣の量が確保され、前記天然老化防止成分を取り込みやすくなり、所望の耐熱老化性を確保できる。また、前記植物資源抽出残渣の配合量を40質量部以下とすることにより、ゴム組成物中に含まれる植物資源抽出残渣の分散性を確保でき、ゴム組成物の破壊強度、耐摩耗性、耐カット性及び耐熱老化性を向上できる。
なお、本発明において、ゴム組成物中の前記植物資源抽出残渣の質量は、当該植物資源抽出残渣が水又は有機溶剤等の溶媒を含んでいる場合は、その水等を含んだ状態での植物資源抽出残渣の質量を意味する。
本発明のゴム組成物では、前記ゴム成分と前記植物資源抽出残渣とを、その他の配合成分との混練りに先立って練り合わせ、予備マスターバッチを形成することを特徴とする。
該予備マスターバッチを形成することで、他の配合成分と混練りした際に発生するラジカルや熱に天然老化防止成分が反応することを抑制でき、ゴム組成物の加硫後まで前記天然老化防止成分をゴム組成物中に留まらせることができる。
なお、前記植物資源抽出残渣中の水分が蒸発しない条件が好ましく、具体的には、練り合わせ時のゴム組成物の最高温度が100〜160℃であることが好ましく、120〜150℃であることがさらに好ましい。また、練り合わせの時間は、特に限定はされないが、10秒〜10分であることが好ましく、10秒〜5分であることがさらに好ましい。
本発明に係るゴム組成物は、任意成分として、カーボンブラック及びシリカ等の破壊強度充填剤、アロマオイル等の軟化剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤等の一般に含有され得る成分を含むこともできる。
前記予備マスターバッチの配合は、所望の量を一括で配合してもよく、複数回に分けて配合してもよい。
また、前記予備マスターバッチと、前記任意成分とを混練し、さらにマスターバッチを形成し、その後、硫黄等と混練することも可能である。
本発明に係るタイヤは、本発明に係るゴム組成物を用いたことを特徴とする。これにより、本発明に係るタイヤは、環境負荷の小さい材料を利用して、破壊強度、耐摩耗性、耐カット性及び耐熱老化性を向上できる。
本発明に係るタイヤは、当該組成物、より具体的には当該ゴム組成物の加硫物を用いたこと以外は、通常のタイヤと同様の製造方法により製造することができる。
図1は、本発明のタイヤの一例の断面図である。図1に示すタイヤは、一対のビード部1及び一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2に連なるトレッド部3とを有し、上記一対のビード部1間にトロイド状に延在してこれら各部1、2及び3を補強するカーカス4と、当該カーカス4のクラウン部のタイヤ半径方向外側に位置するベルト5とを具える。
なお、図示例のカーカス4は、一枚のカーカスプライよりなるが、本発明のタイヤにおいては、カーカスプライの枚数は複数であってもよい。
さらに、本発明のタイヤは、ベルト5のタイヤ半径方向外側に、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列したコードのゴム引き層からなるベルト補強層を具えてもよく、ベルト5の端部と当該ベルト補強層との間にさらに層間ゴムを備えてもよい。
次に、本発明のゴム組成物の製造方法について説明する。
本発明によるゴム組成物は、ゴム成分及び水分を含んだ(好ましくは含水率が40〜90質量%である)植物資源抽出残渣を配合したゴム組成物の製造方法である。
そして、本発明は、前記ゴム成分が天然ゴムを含有し、その他の配合成分との混練りに先立って、前記ゴム成分と前記植物資源抽出残渣とを練り合わせてなる予備マスターバッチを形成する工程を具えることを特徴とする。
それによって、良好な、破壊強度、耐摩耗性及び耐カット性を有するとともに、優れた耐熱老化性を具えるゴム組成物を製造できる。
各実施例及び比較例のゴム組成物に含有される成分は、以下のとおりである。カッコ内は表中の略語を表す。
・天然ゴム(NR:ゴム成分):商品名「TSR」
・ポリブタジエンゴム(BR:ゴム成分):JSR株式会社製、商品名「BR01」
・カーボンブラック(CB:充填剤):旭カーボン株式会社製、商品名「旭#78」
・硫黄
・加硫促進剤A(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド):大内新興化学工業製 商品名「ノクセラーCZ」
・加硫促進剤B(ジフェニルグアニジン):大内新興化学工業製 商品名「ノクセラーD」
・亜鉛華(ZnO)
・ステアリン酸
・老化防止剤:大内新興化学工業株式会社製 商品名「ノクラック6C」、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン
・含水茶殻(植物資源抽出残渣):飲料製造工場より排出された茶殻、含水率30、40、50、75、90、95質量%、平均粒径4000μm
・乾燥茶殻(植物資源抽出残渣):飲料製造工場より排出された茶殻を乾燥させたもの、含水率0質量%、平均粒径3000μm
なお、配合した植物資源抽出残渣(茶殻)の平均粒径は、マイクロスコープ(株式会社Keyence製 「VHX digital microscope」を用いて対象となる植物資源抽出残渣(茶殻)を観察することにより求め、任意に選択された100個の植物資源抽出残渣(茶殻)の粒径の平均値とした。
表1に示す配合処方で、バンバリーミキサーを用いて、まず、ゴム成分と含水又は乾燥茶殻とを練り合わせ、マスターバッチ(予備マスターバッチ)を形成した。その後、表1に示す配合処方で、得られた予備マスターバッチと、上述した各配合成分とをバンバリーミキサーを用いて混練し、サンプルとなるゴム組成物を調製した。
表1に示す配合処方で、バンバリーミキサーを用いて、上述したゴム組成物の配合成分を混練し、サンプルとなるゴム組成物を調製した。
得られた各実施例及び比較例のゴム組成物のサンプルについて、加硫処理を施した後、以下の評価(1)〜(4)を行った。
各加硫ゴム組成物のサンプルについて、JIS K 6251(2010)に準拠した2mm厚さのダンベル状3号形試験片を作成し、該試験片について25℃における破断時の引張破断強度(MPa)を測定した。
評価については、実施例1の破断時の引張破断強度を100とした場合の、各指数として示し、指数値が大きい程、破壊強度が良好であることを示す。評価結果を表2に示す。
各加硫ゴム組成物のサンプルに対し、振り子式衝撃カット試験機にて刃を打ち付けて傷を付け、傷の深さを測定した。
評価については、実施例1の傷の深さの逆数を100とした場合の、各加硫ゴム組成物のサンプルにおける傷の深さの逆数を指数として示し、指数値が大きい程、耐カット性が良好であることを示す。評価結果を表2に示す。
各加硫ゴム組成物のサンプルに対し、JIS K 6251(2010)に準拠した加硫物の2mm厚さのダンベル状3号形試験片について、100℃の窒素雰囲気中で1日間の熱老化前後の、JIS K 6257(2010)に準拠した25℃における破断時の引張強さ(MPa)を測定した。
評価については、実施例1の加硫ゴム組成物のサンプルにおいて熱老化試験後の引張強さを熱老化試験前の引張強さで除した結果を100とした場合の、各加硫ゴム組成物において熱老化試験後の引張強さを熱老化試験前の引張強さで除した結果を指数で表示し、数値が大きいほど熱老化前後での破断強度の落ち幅が少なく、耐熱老化性が良好であることを示す。評価結果を表2に示す。
各加硫ゴム組成物のサンプルについてランボーン摩耗試験を行った。
評価については、実施例1の加硫ゴム組成物のサンプルの摩耗量の逆数を100とした場合の、各加硫ゴム組成物のサンプルの摩耗量の逆数を指数として示し、指数値が大きい程、耐摩耗性が良好であることを示す。評価結果を表2に示す。
一方、含水茶殻を含有する予備マスターバッチを形成しない比較例1及び3のサンプルについては、実施例1のサンプルに比べて、ほぼ全ての評価項目で劣る結果を示すことがわかった。
また、含水茶殻及びブタジエンゴムを混練し、予備マスターバッチを形成しなかった比較例2のサンプルについては、実施例のサンプルに比べて、ほぼ全ての評価項目で劣る結果を示すことがわかった。
さらに、乾燥茶殻及び天然ゴムの予備マスターバッチを形成した比較例1については、
予備マスターバッチによる有意な差は発現しなかった。
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 カーカス
5 ベルト
6 ビードコア
Claims (7)
- ゴム成分及び水分を含んだ植物資源抽出残渣を配合したゴム組成物であって、
前記ゴム成分が天然ゴムを含有し、
その他の配合成分との混練りに先立って、前記ゴム成分と前記植物資源抽出残渣とを練り合わせてなる予備マスターバッチを形成することを特徴とする、ゴム組成物。 - 前記植物資源抽出残渣の含水率が40〜90質量%であることを特徴とする、請求項1に記載のゴム組成物。
- 前記植物資源抽出残渣の配合量が、ゴム成分100質量部に対して、0.5〜40質量部であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
- 前記植物資源抽出残渣の平均粒径が600〜50000μmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
- 前記植物資源抽出残渣が、茶殻であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いたことを特徴とする、タイヤ。
- ゴム成分及び水分を含んだ植物資源抽出残渣配合したゴム組成物の製造方法であって、
前記ゴム成分が天然ゴムを含有し、
その他の配合成分との混練りに先立って、前記ゴム成分と前記植物資源抽出残渣とを練り合わせてなる予備マスターバッチを形成する工程を具えることを特徴とする、ゴム組成物の製造方法。
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