JP2016001569A - 有機el表示パネル及び有機el表示装置 - Google Patents

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裕之 増田
上谷 一夫
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一夫 上谷
伸幸 石倉
Nobuyuki Ishikura
伸幸 石倉
島村 隆之
Takayuki Shimamura
隆之 島村
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Abstract

【課題】非破壊状態において、吸湿材の吸湿状態を確認することができる有機EL表示パネル及びそれを用いた有機EL表示装置を提供する。【解決手段】基板101と、基板101上の有機EL素子列100Aと、有機EL素子列100A上で基板101と対向する封止板112と、基板101と封止板112との間で有機EL素子列100Aの周縁100Eを囲み有機EL素子列100Aを封止する封止壁113と、有機EL素子列100Aと封止壁113との間で周縁100Eを囲む吸湿材114と、を備え、吸湿材114が化学的乾燥剤114aを含有する液状又はゴム状の樹脂114bであり、封止板112の上端112Sから吸湿材114の上端114STまでの間又は基板101の下端101Sから吸湿材114の下端114SBまでの間に透明領域(窓領域115)を有し、吸湿材114を基板101越し又は封止板112越しに認識できる、有機EL表示パネル10。【選択図】図2

Description

本発明は、有機EL素子の発光を利用した有機EL表示パネル及び当該有機EL表示パネルを備える有機EL表示装置に関し、特に有機EL表示パネルの信頼性技術に関する。
有機EL(Electroluminescence:電界発光)素子の発光を利用した有機EL表示パネルは、応答性・視野角・コントラスト比・耐衝撃性などに優れ、薄型軽量化やフレキシブル化が可能などの特徴を持ち、研究開発が盛んに行われている。
有機EL表示パネルでは、ガラスや樹脂などの基板上に、複数の有機EL素子が配列される。有機EL素子は、陽極及び陰極となる電極対の間に、有機発光層などを積層した機能層を挟む構成を有し、電極対から供給された正孔及び電子の有機発光層における再結合により発光する。
有機EL素子は、水分や酸素などと反応しやすい材料を含む場合が多く、水分や酸素などとの接触により劣化して輝度が低下し、発光機能を喪失する。したがって、有機EL表示パネルにおいては、発光寿命向上の観点から、水分や酸素などの有機EL素子との接触を抑制する封止構造を形成することが重要となる。
有機EL表示パネルの封止構造としては、複数配列された有機EL素子の列(以下、「有機EL素子列」という。)を、水分透過度の低い材料を用いた基板及び封止板で上下から挟む構成が一般的である。また、当該構成では、有機EL素子列の側方にある基板と封止板との間を、樹脂やガラスフリットなどを硬化させた封止壁で塞ぎ、有機EL素子列を封止する(例えば、特許文献1参照)。
また、この際、封止壁の水分封止性が十分でない場合があるため、有機EL素子列と封止壁との間に、乾燥剤を含有する樹脂などを硬化させた吸湿材を配置する構成が開示されている(例えば、特許文献2参照)。また、特許文献2においては、乾燥剤に、水分との反応性が高いアルカリ金属の酸化物やアルカリ土類金属の酸化物などの化学的乾燥剤を用いる構成が開示されている。
特開2007−59094号公報 特開2013−218796号公報
特許文献2の構成においても、時間の経過により吸湿材の吸湿量が飽和に達すると、水分が有機EL素子列側へ浸透し、有機EL素子が劣化して有機EL表示パネルに表示不具合が発生する。一方、有機EL表示パネルに表示不具合が発生するのは水分による有機EL素子の劣化以外にも、外圧や静電気、過電流、過電圧による有機EL素子の破壊なども考えられる。また、有機EL素子自体は劣化・破壊していない場合でも、周辺の回路素子の劣化・破壊により有機EL表示パネルに表示不具合が発生する場合がある。
このような有機EL表示パネルで発生した表示不具合の原因を特定するためには、通常、有機EL表示パネルを解体して解析する。しかし、解体によって少なからず有機EL表示パネルの状態は変化するため、正確な解析が行えない場合がある。また、解体の方法によっては、有機EL表示パネルが破壊され、解体前の状態に戻すことができずに解析不能となる場合がある。したがって、表示不具合が発生した際には、有機EL表示パネルを分解・破壊することなく、解析できることが望ましい。
そこで、本発明の目的は、吸湿材を用いた構成であって、非破壊状態において、吸湿材の吸湿状態を確認することができる有機EL表示パネル及びそのような有機EL表示パネルを備える有機EL表示装置を提供することにある。
本発明の一態様に係る有機EL表示パネルは、基板と、基板上に配列された複数の有機EL素子から構成される有機EL素子列と、有機EL素子列上において基板と対向する封止板と、基板と封止板との間において有機EL素子列の周縁を囲むことによって、有機EL素子列を封止する封止壁と、有機EL素子列と封止壁との間において有機EL素子列の周縁を囲む吸湿材と、を備え、吸湿材が、化学的乾燥剤を含有する液状又はゴム状の樹脂であり、封止板の上端から吸湿材の上端までの間、又は基板の下端から吸湿材の下端までの間の透明領域である窓領域を有することにより、吸湿材を基板越し又は封止板越しに認識することができる。
上記態様に係る有機EL表示パネルでは、樹脂が液状又はゴム状であるため、吸湿により吸湿材が非透明から透明に変化する。また、当該有機EL表示パネルは、窓領域を有することによって、基板越し又は封止板越しに、吸湿材が非透明であるか透明であるかを認識することができる。したがって、当該有機EL表示パネルでは、非破壊状態において、吸湿材の吸湿状態を確認することができる。
有機EL表示装置1の構成を示す模式ブロック図である。 有機EL表示パネル10を示す模式平面図である。 は図2のX−X線に沿った模式断面図である。 は図3のYを拡大した模式断面図である。 一般的な樹脂の温度に対する弾性率の変化を説明するグラフである。 有機EL表示パネル10の実施例の一部を拡大した平面写真であって、(a)は吸湿前の写真であり、(b)は吸湿後の写真である。 水分浸透実験に用いたパネル10Tを示す模式断面図である。 パネル10TのFT−IR測定結果を示すグラフである。 パネル10Tにおける光学顕微鏡とFT−IRとの測定結果を比較するグラフであって、(a)は85℃85%条件におけるグラフであり、(b)は60℃90%条件におけるグラフである。 吸湿材における光透過率と乾燥剤の平均粒径との相関を示すグラフである。 有機EL表示装置1を示す模式断面図である。 有機EL表示パネル50を示す模式平面図である。 有機EL表示パネル60を示す模式断面図である。 有機EL表示パネル60を示す模式底面図である。 有機EL表示パネル70を示す模式底面図である。
以下では、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面は模式的なものを含み、各部材の縮尺や縦横比は、実際とは異なる場合がある。
<本発明の一態様の概要>
本発明の一態様に係る有機EL表示パネルは、基板と、基板上に配列された複数の有機EL素子から構成される有機EL素子列と、有機EL素子列上において基板と対向する封止板と、基板と封止板との間において有機EL素子列の周縁を囲むことによって、有機EL素子列を封止する封止壁と、有機EL素子列と封止壁との間において有機EL素子列の周縁を囲む吸湿材と、を備え、吸湿材が、化学的乾燥剤を含有する液状又はゴム状の樹脂であり、封止板の上端から吸湿材の上端までの間、又は基板の下端から吸湿材の下端までの間の透明領域である窓領域を有することにより、吸湿材を基板越し又は封止板越しに認識することができる。
上記態様に係る有機EL表示パネルでは、樹脂が液状又はゴム状であるため、吸湿により吸湿材が非透明から透明に変化する。また、当該有機EL表示パネルは、窓領域を有することによって、基板越し又は封止板越しに、吸湿材が非透明であるか透明であるかを認識することができる。したがって、当該有機EL表示パネルでは、非破壊状態において、吸湿材の吸湿状態を確認することができる。
また、本発明の別態様に係る有機EL表示パネルは、上記構成において、さらに、封止板と吸湿材との間の一部に配置されたブラックマトリクスを備え、窓領域が、吸湿材上の領域であって、ブラックマトリクスの配置されていない領域である。上記態様に係る有機EL表示パネルでは、上方にブラックマトリクスの配置されていない吸湿材の一部について、吸湿状態を封止板越しに確認することができる。
また、本発明の別態様に係る有機EL表示パネルは、上記構成において、吸湿材の平面形状が長方形の枠状であり、窓領域が、少なくとも吸湿材の平面形状における角部上に存在する。上記態様に係る有機EL表示パネルでは、吸湿材において、吸湿速度が大きく、辺部より先に吸湿量が飽和する角部の吸湿状態を封止板越しに確認できる。
また、本発明の別態様に係る有機EL表示パネルは、上記構成において、窓領域が、有機EL素子列の周縁を囲む形状である。上記態様に係る有機EL表示パネルでは、有機EL素子列の周縁側から浸透する水分について、平面内の全ての方向に対する吸湿材114の吸湿状態を封止板越しに確認できる。
また、本発明の別態様に係る有機EL表示パネルは、上記構成において、さらに、基板上に配置され、有機EL素子と電気的に接続され、基板の周縁に引き出された、光反射性を有する複数の引出配線を備え、窓領域が、吸湿材の下方であって、複数の引出配線の配置されていない領域である。上記態様に係る有機EL表示パネルでは、下方に引出配線の配置されていない吸湿材の一部について、吸湿状態を基板越しに確認することができる。
また、本発明の別態様に係る有機EL表示パネルは、上記構成において、吸湿材の平面形状が長方形の枠状であり、窓領域が、少なくとも吸湿材の平面形状における角部の下方に存在する。上記態様に係る有機EL表示パネルでは、吸湿材において、吸湿速度が大きく、辺部より先に吸湿量が飽和する角部の吸湿状態を基板越しに確認できる。
また、本発明の別態様に係る有機EL表示パネルは、上記構成において、複数の配線同士のうちの互いに隣接する一部について、吸湿材の下方において、有機EL素子列の下方よりも互いの間隔が狭まることにより、窓領域が確保される。上記態様に係る有機EL表示パネルでは、引出配線の間に確保された窓領域によって、吸湿材の一部の吸湿状態を基板越しに確認することができる。
また、本発明の別態様に係る有機EL表示パネルは、上記構成において、さらに、無機材料からなり、有機EL素子列の上方及び周縁を覆う薄膜封止層と、ガラス状の樹脂からなり、薄膜封止層と封止板との間に配置された樹脂層と、を備え、吸湿材の外周が、封止壁と密接し、吸湿材の内周が、薄膜封止層及び樹脂層と密接する。
上記態様に係る有機EL表示パネルでは、吸湿材が、固体又はガラス状の封止壁、薄膜封止層、樹脂層に挟まれ、吸湿材の形状が安定する。さらに、吸湿材が、封止壁、薄膜封止層及び樹脂層と密接することにより、額縁領域における間隙を減らすことができ、挟額縁化に有利となる。また、密接により吸湿材周囲の水分の通路が塞がれ、有機EL素子列への水分の浸透をさらに抑制できる。
また、本発明の別態様に係る有機EL表示装置では、上記構成のいずれかに記載の有機EL表示パネルと、有機EL表示パネルの窓領域を覆う筐体と、を備える。上記態様に係る有機EL表示装置では、筐体によって、窓領域が露出せず、窓領域による外光の入射・反射や画像表示面のコントラスト低下を抑制することができる。また、筐体を取り外せば、有機EL表示パネルの窓領域を露出させることができ、非破壊状態において、吸湿材の吸湿状態を確認することができる。
なお、本願において、「上」とは、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)を指すものではなく、有機EL表示パネルの積層構造における積層順を基に、相対的な位置関係により規定されるものである。具体的には、有機EL表示パネルにおいて、基板の主面に垂直な方向であって、基板から積層物側に向う側を上方向とする。
また、本願において、「周縁」とは、平面図における各部材の形状(以下、「平面形状」という。)における周縁を指す。「平面図」とは、有機EL表示パネルを真上から見た図を指し、より具体的には、基板の上面と平行な平面に、有機EL表示パネルの各部材を垂直投影した図をいう。
<実施の形態>
以下では、本発明の一態様として、実施の形態に係る有機EL表示パネル10を用いた有機EL表示装置1について説明する。
1.有機EL表示装置1の全体構成
図1は、有機EL表示装置1の全体構成を示すブロック図である。有機EL表示装置1は、例えば、テレビ、パーソナルコンピュータ、携帯端末、電子看板・大型スクリーンなどの業務用ディスプレイなどに用いられる表示装置である。有機EL表示装置1は、有機EL表示パネル10と、有機EL表示パネル10に電気的に接続された駆動制御部20と、これらを収容する筐体30と、を備える。
有機EL表示パネル10(以下、「パネル10」という。)は、長方形状の画像表示面(不図示)を有する表示パネルである。パネル10では、画像表示面に沿って複数の有機EL素子(不図示)が配列され、有機EL素子の発光の組み合わせにより画像が表示される。なお、パネル10は、一例として、トップエミッション型かつアクティブマトリクス方式を採用している。
駆動制御部20は、パネル10に接続された駆動回路21と、外部装置及び駆動回路21に接続された制御回路22とを有する。駆動回路21は、各有機EL素子に電力を供給する電源回路、各有機EL素子への供給電力を制御する電圧信号を印加する信号回路、一定の間隔ごとに電圧信号を印加する箇所を切り替える走査回路などを有する。制御回路22は、外部から入力された画像情報を含むデータに応じて、駆動回路21の動作を制御する。
筐体30は、パネル10と駆動制御部20とを内部に収容する部材である。筐体30は、例えば樹脂やアルミダイキャストなどの金属などからなり、上面側に長方形状の開口部を有する直方体状である。筐体30は、パネル10および駆動制御部20を、物理的、化学的及び電気的に保護する役割を有する。また、パネル10を内部に収容する際、筐体30の開口部からパネル10の画像表示面が露出することで、パネル10における画像表示を筐体30が妨げないようになっている。
なお、図1では、駆動回路21がパネル10の周囲に4つ配置されているが、駆動制御部20の構成はこれに限定されるものではなく、駆動回路21の数や位置は適宜変更可能である。
2.パネル10の構成
(1)平面構成
図2は、パネル10を示す模式平面図である。パネル10は、有機EL素子列100Aと、基板101と、封止板112と、封止壁113と、吸湿材114と、ブラックマトリクス111Bとを主な構成要素として備える。有機EL素子列100Aは、基板101上に配列された複数の有機EL素子100(不図示)から構成される。したがって、図2の二点鎖線で示す有機EL素子列100Aの周縁100Eは、画像表示面の周縁に相当する。
封止板112は、有機EL素子列100A上において、基板101と対向している。封止壁113は、基板101と封止板112との間において、周縁100Eを囲むことによって有機EL素子列100Aを封止している。吸湿材114は、有機EL素子列100Aと封止壁113との間において、周縁100Eを囲んでいる。
ブラックマトリクス111Bは、封止板112と吸湿材114との間において、周縁100Eを囲むように長方形枠状に配置されている(図の黒色部)。このとき、ブラックマトリクス111Bは、吸湿材114の上面(上端)のすべてを覆ってはおらず、一部の吸湿材114上の領域には、配置されていない。ここで、ブラックマトリクス111Bが配置されていない吸湿材114上の領域を、窓領域115とする。
なお、パネル10は、トップエミッション方式であるため、図2に示す上面側(封止板112側)に画像を表示する。
(2)断面構成
図3は、図2のX−X線に沿った模式断面図である。パネル10の断面構成は、基板101と、TFT層102と、パッシベーション層103と、層間絶縁層104と、画素電極105と、機能層106と、共通電極107と、隔壁108と、薄膜封止層109と、樹脂層110と、カラーフィルタ層111と、封止板112と、の積層となっている。また、パネル10では、画素電極105、機能層106及び共通電極107の一組が有機EL素子100を構成し、複数配列された有機EL素子100が有機EL素子列100Aを構成する。さらに、有機EL素子列100Aの周縁100E(不図示)側には、吸湿材114、封止壁113がこの順に配置されている。
なお、ブラックマトリクス111Bは、カラーフィルタ層111の一部として、有機EL素子100同士の間隔の上方とカラーフィルタ層111の周縁部とに配置されている。
(3)各部の説明
a.基板101
基板101は、平板状の部材であって、パネル10において、その他の構成要素を配置するための支持材の役割を有する。また、基板101は、封止構造の一部として、有機EL素子列100Aの下方を封止している。
基板101には、電気絶縁性を有する材料又はシリコンなどの半導体材料を用いることができる。また、電気絶縁性を有する材料をコーティングしたアルミニウムやステンレスなどの金属材料などを用いてもよい。電気絶縁性を有する材料としては、例えば、無アルカリガラス、ソーダガラス、無蛍光ガラス、燐酸系ガラス、硼酸系ガラス、石英ガラスなどのガラス材料である。また当該材料は、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂材料であってもよい。さらに、当該材料は、例えば、酸化アルミニウムなどの金属酸化物材料であってもよい。
なお、基板101は封止構造の一部であるため、水分透過度の低い材料、例えばガラスや金属などを用いることが好ましい。又は、樹脂材料の上面に、例えば窒化シリコン、酸化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの水分透過度の低い薄膜をコーティングしたものを用いてもよい。
b.TFT層102
TFT層102は、基板101上に配置された電子回路の層であり、各有機EL素子への電力供給回路や供給電力の制御回路が形成されている。TFT層102は、具体的には基板101上に配置された半導体層、導電体層及び絶縁体層の積層であり、当該積層構成によってTFT(Thin Film Transistor)素子(不図示)などの電子回路素子を形成している。
TFT層102における半導体層には、例えば、シリコンなどの一般的な半導体材料、インジウム−亜鉛−ガリウム酸化物などの酸化物半導体材料、多環芳香族化合物など平面方向に広がったπ電子共役系を有する有機半導体材料などを用いることができる。導電体層には、例えば、アルミニウム、銅、金などの金属材料、黒鉛、カーボンナノチューブなどの炭素材料、酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛(IZO)などの導電性酸化物材料などを用いることができる。絶縁体層には、例えば、窒化シリコン、酸化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機材料、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、シロキサン樹脂、フェノール樹脂などの有機材料などを用いることができる。
TFT層102の形成には、例えば、次の方法を用いることができる。まず基板101上にスパッタ法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スピンコート法などを用いて半導体材料、導電体材料又は絶縁体材料の薄膜を形成する。そして、フォトリソグラフィ法などによって薄膜を所定の形状にパターニングする。これを繰り返し、所定の電子回路を構成するように半導体層、導電体層及び絶縁体層の積層を形成することにより、TFT層102を形成することができる。
c.パッシベーション層103
パッシベーション層103は、TFT層102を覆うように配置された薄膜状の層であり、TFT層102における電子回路を物理的、化学的な変化から保護する役割を有する。また、パッシベーション層103は、TFT層102の電子回路同士を電気的に絶縁する役割を有していてもよい。
パッシベーション層103には、窒化シリコン、酸化シリコン、酸窒化シリコンなどの無機材料、酸化アルミニウムなどの金属酸化物材料を用いることができる。パッシベーション層103の形成方法としては、例えば、TFT層102を覆うように、スパッタ法、CVD法、スピンコート法などによって上記材料の薄膜を形成すればよい。
d.層間絶縁層104
層間絶縁層104は、パッシベーション層103上に配置された層であり、有機EL素子100とTFT層102とを電気的に絶縁する役割を有する。また、層間絶縁層104は、有機EL素子100を安定的かつ高精度に形成するため、TFT層102によって生じた凹凸を平坦化する役割を有する。なお、図3では図示を省略しているが、パッシベーション層103及び層間絶縁層104には貫通孔(コンタクトホール)が形成されており、各有機EL素子100とTFT層102の所定の箇所とが電気的に接続されている。
層間絶縁層104には、電気絶縁性を有し、かつ製造過程で一定の流動性を付与できる材料、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、シロキサン樹脂、フェノール樹脂などの有機材料を用いることができる。層間絶縁層104の形成方法としては、例えば、パッシベーション層103上の所定の領域全面に、各種塗布法により上記有機材料を塗布すればよい。
e.画素電極105
画素電極105は、層間絶縁層104上に配列された複数の長方形状の電極であり、TFT層102のTFT素子を介して供給された電力により、機能層106に正孔を供給する陽極としての役割を有する。画素電極105は、有機EL素子100の構成要素の一つであり、画像表示面内における有機EL素子100の領域、すなわち画素領域を規定する。
画素電極105には、導電性を有する材料を用いることができる。例えば、アルミニウム、銀、モリブデン、タングステン、チタン、クロム、ニッケル、亜鉛などの金属材料、金属材料を組み合わせた合金材料、ITOやIZOなどの導電性酸化物材料を用いることができる。また、これらを積層した多層構造などであってもよい。特に、金属材料や合金材料上に導電性酸化物材料を積層した場合は、金属材料や合金材料の酸化を防ぐことができる。
なお、正孔注入の観点から、画素電極105には仕事関数の高い材料を用いることが好ましい。また、パネル10はトップエミッション型であるため、画素電極105には、光反射性を有する材料を用いることが好ましい。画素電極105に光反射性を有さない材料を用いる場合は、画素電極105に光反射性材料をコーティングすることが好ましい。
画素電極105の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、気相成長法等の乾式プロセスを用いることができ、スパッタリング法を用いることが好ましい。また、印刷法、スピンコート法、インクジェット法などを用いてもよい。
f.機能層106
機能層106は、画素電極105上に配置された層であり、有機EL素子の構成要素の一つであり、少なくとも有機発光層を含む。有機発光層は、画素電極105及び共通電極107から供給された正孔及び電子の再結合による発光(電界発光現象)が行われる部位である。
有機発光層には、電界発光現象によって発光する有機材料を用いる。具体的には、例えば、オキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物、アザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体等の蛍光物質(いずれも特開平5−163488号公報に記載)などの公知の蛍光物質、燐光物質を用いることができる。また、例えば、上記の蛍光物質、燐光物質をドーパントとした有機化合物の混合層を用いてもよい。
有機発光層の形成方法としては、印刷法、スピンコート法、インクジェット法などの各種塗布法を用いることができる。また、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、気相成長法などの乾式プロセスを用いることもできる。材料コストや形成精度の点からは、塗布法を用いることが好ましい。
なお、機能層106は、有機発光層以外にも有機EL素子の低電圧駆動、高発光効率、高寿命を目的に、正孔・電子注入層、正孔・電子輸送層、正孔・電子阻止層などを有していてもよい。これらの配置構成・材料・形成方法は公知の方法を用いることができる。
g.共通電極107
共通電極107は、機能層106及び機能層106間の隔壁108をすべて覆うように配置された長方形状の電極であり、TFT層102のTFT素子を介して供給された電力により、機能層106に電子を供給する陰極としての役割を有する。共通電極107は、有機EL素子100の構成要素の一つであり、各有機EL素子100に共有される。
共通電極107には、画素電極105と同様に導電性を有する材料を用いることができる。具体的には、例えば、ITOやIZOなどの透明導電性酸化物材料である。また、透明導電性酸化物材料からなる層に銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、銅、アルミニウムなどの金属又はこれらの合金の層を積層してもよい。
なお、電子注入の観点から、共通電極107には仕事関数の低い材料を用いることが好ましい。また、パネル10はトップエミッション型であるため、共通電極107には、高い光透過性を有する材料を用いることが好ましい。
共通電極107の形成方法としては、例えば画素電極105の形成方法として例示した方法を用いることができる。
h.隔壁108
隔壁108は、画素電極105及び機能層106を区切るように配置された層であって、各有機EL素子100を物理的に規定し、かつ電気的に絶縁する役割を有する。隔壁108の形状は、有機EL素子100ごとに区画する格子状(ピクセルバンク)であってもよいし、有機EL素子100の列ごとに区画する線状(ラインバンク)であってもよい。
隔壁108には、電気絶縁性を有し、加工により微細なパターンが形成可能な材料を用いることができる。例えば、層間絶縁層104の材料として例示した有機材料を用いることができる。なお、隔壁108の材料は、有機溶剤への耐性を有し、エッチング処理やベーク処理に対して過度に変形、変質などをしないものが好ましい。また、有機発光層の形成に塗布法を用いる場合は、隔壁の表面にフッ素処理などを行い、撥液性を持たせることが好ましい。
隔壁108の形成方法としては、例えば、画素電極105を形成した層間絶縁層104上に、各種塗布法により感光性樹脂を塗布し、フォトリソグラフィ法により画素電極105上を開口するようにパターンニングすればよい。
i.薄膜封止層109
薄膜封止層109は、無機材料からなり、有機EL素子列100Aの上方及び周縁、具体的には、パネル10における上記TFT層102から隔壁108までの基板101上の積層物を覆う薄膜である。薄膜封止層109は、封止構造形成前の各積層物の保護及び封止構造形成後の封止構造内外からの水分などの浸透を抑制する役割を有する。
薄膜封止層109には、水分や酸素などの透過性が低い材料、すなわち緻密な構造を有する材料を用いることが好ましい。特に、薄膜封止層109の材料は、珪素、炭素又はアルミニウムの酸化物、窒化物又は酸窒化物であることが好ましい。具体的には、例えば、窒化シリコン、酸化シリコン、酸窒化シリコン、酸化炭素、窒化炭素、酸化アルミニウムなどを用いることができる。また、パネル10はトップエミッション型であるため、薄膜封止層109には、光透過性が高く、隣接する共通電極107及び樹脂層110との屈折率の差が小さい材料を用いることが好ましい。
薄膜封止層109の形成方法には、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、気相成長法などの乾式プロセスを用いることができ、反応性スパッタリング法を用いることが好ましい。
j.樹脂層110
樹脂層110は、薄膜封止層109と封止板112との間に配置された層であり、具体的には、パネル10における薄膜封止層109、カラーフィルタ層111及び吸湿材114に囲まれた領域内に充填された樹脂の層である。樹脂層110は、基板101と封止板112との密着性を高め、パネル10の強度を向上させる役割を有する。
樹脂層110には、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性樹脂などを用いることができる。また、パネル10はトップエミッション型であるため、樹脂層110も薄膜封止層109と同様に、光透過性が高く、隣接する薄膜封止層109及びカラーフィルタ層111との屈折率の差が小さい材料を用いることが好ましい。
樹脂層110の形成には、例えば、次の方法を用いることができる。まずディスペンス法、印刷法、ダイコート法などの各種塗布法によって薄膜封止層109上又はカラーフィルタ層111が配置された封止板112上に硬化性樹脂を一様に塗布する。そして、基板101と封止板112とを貼り合わせた後に、熱、光又は硬化剤などで硬化性樹脂を硬化させることにより、樹脂層110を形成することができる。
k.カラーフィルタ層111
カラーフィルタ層111は、機能層106及び隔壁108の上方に配置される光学フィルタであり、機能層106から出射した光の色度やパネル10の画像表示面内のコントラストを調整する。カラーフィルタ層111は、有色フィルタ111C、ブラックマトリクス111B、ダミーフィルタ111Dを有する。
有色フィルタ111Cは、機能層106(有機EL素子100)の上方に配置された有色(赤色、緑色、青色など)のフィルタであり、機能層106から出射した光の色純度を向上させる機能を有する。ブラックマトリクス111Bは、有色フィルタ111C同士の間隔及びカラーフィルタ層111の周縁部に配置された黒色樹脂であり、外光の反射抑制・コントラスト向上などの機能を有する。ダミーフィルタ111Dは、有機EL素子列100Aの周縁100Eの外側に配置されたフィルタであり、周縁100E付近にて発生しやすい各部材の形成不良などを抑制するためのものである。
なお、前述のとおり、ブラックマトリクス111Bは、封止板112と吸湿材114との間の一部に配置されている。具体的には吸湿材114の内周側の上部には配置されているが、吸湿材114の中央及び外周側の上部には配置されていない。
有色フィルタ111Cには、公知の有機材料、例えば、市販のカラーレジスト等を用いることができる。ブラックマトリクス111Bには、遮光性を有する材料、例えば黒色顔料を含む有機材料などを用いることができる。ダミーフィルタ111Dには、例えば有色フィルタ111Cと同様の材料を用いることができる。
カラーフィルタ層111の形成方法には、各種の塗布法を用いることができる。例えば、まず塗布法により封止板112上に黒色顔料を含む有機材料の層を形成し、フォトリソグラフィ法により、有機EL素子100に対応する位置及びダミーフィルタ111Dの形成位置に開口を形成する。次に、開口部に有色フィルタ111Cの材料を含有した有機溶液を塗布し、有機溶液の溶媒を乾燥させれば、カラーフィルタ層111を形成することができる。
l.封止板112
封止板112は、透明な平板状の部材であって、封止構造の一部として、有機EL素子列100Aの上方を封止する役割を有する。また、封止板112は、樹脂層110、カラーフィルタ層111、封止壁113、吸湿材114などに対し、支持材としての役割を有していてもよい。
封止板112には、例えば、基板101の材料として例示した材料を用いることができる。また、封止板112は封止構造の一部であるため、水分透過度の低い材料、例えばガラスや金属などを用いることが好ましい。又は、樹脂材料の上面に、例えば窒化シリコン、酸化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの水分透過度の低い薄膜をコーティングしたものを用いてもよい。また、トップエミッション型であるパネル10において、封止板112は高い光透過性を有することが好ましい。
m.封止壁113
封止壁113は、有機EL素子列100Aの周縁100Eを囲むように、基板101上のパッシベーション層103上及び薄膜封止層109上に配置された壁状の部材である。封止壁113は、封止構造の一部として、有機EL素子列100Aの側方を封止する役割を有する。
封止壁113には、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂などの硬化性樹脂を用いることができる。また、例えば、基板101及び封止板112にガラス材料を用いた場合は、これらと溶着可能なガラスフリットなどを用いることができる。なお、封止壁113に、一定の剛性を有するスペーサーを含有させれば、基板101と封止板112との間隔を維持することができる。また、封止壁113は、封止構造の一部であるため、水分透過度の低い材料を用いることが好ましい。
封止壁113の形成には、例えば、次の方法を用いることができる。まず、ディスペンス法、印刷法、ダイコート法などの各種塗布法によって、基板101又は封止板112の周縁領域に、硬化性樹脂を長方形枠状に塗布する。そして、基板101と封止板112とを貼り合わせた後に、熱、光又は硬化剤などで硬化性樹脂を硬化させることにより、封止壁113を形成することができる。
n.吸湿材114
吸湿材114は、封止壁113の内側に沿って、基板101上の薄膜封止層109上に配置された、平面形状が長方形の枠状となる部材であり、封止壁113を通過した水分などを吸着して有機EL素子列100Aへの浸透を抑制する役割を有する。また、吸湿材114は、製造過程においてパネル10の各部材(例えば樹脂層110やカラーフィルタ層111)に含有された水分などを吸着する役割も有する。吸湿材114は周囲の部材(樹脂層110、カラーフィルタ層111、封止板112、封止壁113など)と密着していることが好ましく、これにより水分の通路が塞がれ、有機EL素子列100Aへの水分の浸透をさらに抑制できる。
図4は図3のYを拡大した模式断面図である。吸湿材114は、化学的乾燥剤114aを含有する樹脂114bである。化学的乾燥剤114aは、粉末状であり、封止壁113を通過した水分などと化学反応することによって水分を吸着する機能を有する。樹脂114bは、後述するように液状又はゴム状の物質であり、結合剤(バインダ)としてその内部に化学的乾燥剤114aを分散させて含有している。
化学的乾燥剤114aには、例えば、水分との反応性が高いアルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物などの粉末を用いることができる。具体的には、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムなどの粉末である。また、これ以外にも、公知の化学的乾燥剤、例えば、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、過塩素酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、酸化リン、塩化亜鉛などの粉末を用いてもよい。
樹脂114bには、透光性樹脂、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリイソブチレン樹脂、ポリブテン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミドシリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、テルペン樹脂、ハイドロフルオロエーテル樹脂などを用いることができる。
また、樹脂114bの粘度は、10Pa・s以上10,000Pa・s以下であることが好ましい。粘度が10Pa・s以上であることにより、樹脂114b中での水分の拡散を抑制でき、粘度が10,000Pa・s以下であることにより、製造時、特に基板101と封止板112との貼り合わせ時の流動性を確保できる。特に好ましい樹脂114bの粘度の範囲は、100Pa・s以上2,000Pa・s以下である。
また、樹脂114bの材料は、分子量が100以上10,000以下であることが好ましい。この範囲であることにより、好ましい粘度の樹脂114bが得られる。
また、樹脂114bは、無溶剤型など、溶剤で希釈しないことが好ましい。溶剤で希釈しない場合、吸湿材114の形成時に乾燥工程が不要となって工数を減らすことができ、また、残留した溶剤による有機EL素子100の劣化を低減できる。
また、吸湿材114において、化学的乾燥剤114aの樹脂114b中の含有率は、10重量%以上60重量%以下であることが好ましい。化学的乾燥剤114aの含有率が10重量%以上であることにより、吸湿材114の吸湿能力が確保される。また、化学的乾燥剤114aの含有率が60重量%以下であることにより、樹脂114b中での化学的乾燥剤114aの分散が容易となる。
ここで、樹脂114bは前述のように液状又はゴム状である。図5は、一般的な樹脂の温度に対する弾性率の変化を説明するグラフである。図5の横軸は温度を示し、Tgは樹脂のガラス転移温度、Tmは樹脂の融点を示している。図5の縦軸は弾性率(ヤング率)を示しており、上方にあるほど、応力に対するひずみが小さくなることを示す。
一般的に、樹脂は、ガラス転移温度Tg以下の低温においては、非常に大きな弾性率E1を有し、応力を加えてもほとんど変形しない(ガラス状)が、温度を上げると、ある温度を境に急激に弾性率が減少し始める(転移状態)。さらに温度を上げると、樹脂の弾性率の減少はある温度で停止して一定の弾性率E2となり、応力によって変形するが流動はしない状態(ゴム状)となる。さらに温度を上げ融点Tmを超えると、再び弾性率が低下し、樹脂は弾性変形をしない流動状態(液状)となる。なお、ガラス転移温度Tgは、転移状態の中間点となる温度であり、樹脂の温度上昇において、急激に弾性率が減少し始める温度と、その後に弾性率の減少が停止する温度の中間となる温度である。
以上のガラス転移温度Tg及び融点Tmは、樹脂によって異なる。したがって、樹脂114bが液状又はゴム状であるとは、樹脂114bのガラス転移温度Tgが、パネル10の使用温度範囲(例えば0℃以上40℃以下など)よりも低いことを意味する。なお、樹脂114bの融点Tmについては、パネル10の使用温度範囲と特定の関係を有する必要はないが、融点Tmが使用温度範囲より低い(常に液状)、又は融点Tmが使用温度範囲より高い(常にゴム状)と、吸湿材114の状態が安定するため好ましい。
また、樹脂の分子運動の観点から見ると、ガラス転移温度Tg以下のガラス状樹脂では、分子は、分子内又は分子間の架橋により運動を拘束され、熱振動のみを行う。ガラス転移温度Tgを超えたゴム状樹脂では、架橋の一部の結合が弱くなり、分子は、分子全体として移動することはできないものの、分子内で回転運動を行うことができるようになる(ミクロブラウン運動)。融点Tmを超えた液状樹脂では、分子間の架橋が弱まり、分子が自由に運動できるようになる(ブラウン運動)。したがって、樹脂114bがゴム状であるとは、樹脂中の分子がミクロブラウン運動のみ可能な状態、樹脂114bが液状であるとは、樹脂中の分子がブラウン運動可能な状態と表現することもできる。
吸湿材114の形成には、例えば、次の方法を用いることができる。まず、酸化カルシウムの粉末を含有させた未硬化のエポキシ樹脂を、ディスペンス法、印刷法、ダイコート法などの各種塗布法によって、基板101又は封止板112に塗布した樹脂層110の材料と、封止壁113の材料との間隔に塗布する。この際、エポキシ樹脂には硬化開始剤を添加せずにおく。そして、基板101と封止板112とを貼り合わせた後に、熱や紫外線などで樹脂層110の材料及び封止壁113の材料を硬化させて封止構造を形成する。上記エポキシ樹脂は、硬化開始剤が添加されていないため、熱や紫外線を照射しても、硬化せず、液状又はゴム状を維持することができる。これにより、有機EL素子列100Aと封止壁113との間に液状又はゴム状の吸湿材114を配置することができる。
なお、吸湿材114の樹脂114bが一定以上の粘度を有する場合は、液状であっても一定の形状を維持することができるため、樹脂層110又は封止壁113の材料を塗布する前に吸湿材114の材料を塗布してもよい。
また、樹脂114bが、硬化性樹脂である場合は、パネル10の製造時又は使用時の熱、光又は硬化剤などの影響により、樹脂114bが変質してガラス状となる恐れがある。したがって、樹脂114bは非硬化性樹脂であることが好ましい。なお、非硬化性樹脂には、前述のエポキシ樹脂のように、硬化開始剤の添加によって硬化性を有する樹脂であって、硬化開始剤が添加されていないものも含む。
3.パネル10における吸湿材114の吸湿状態の確認方法
(1)窓領域115の機能
図3に戻って、窓領域115は、吸湿材114上の領域であって、ブラックマトリクス111Bの配置されてない領域であり、かつ封止板112の上端112Sから吸湿材114の上端114STまでの領域である。具体的には、窓領域115は、図3において、吸湿材114上の一点鎖線で囲まれた封止板112の領域である。
パネル10では、封止板112が透明であることから、窓領域115は透明領域であり、窓領域115を介して封止板112の上端112S側から吸湿材114の上端114STの状態を確認することができる。このように、パネル10では、窓領域115を有することにより、吸湿材114を封止板112越しに認識することができる。
図6は、パネル10の実施例の一部を拡大した平面写真であって、(a)は吸湿前の写真であり、(b)は吸湿後の写真である。図6は、実施例の平面形状の角にあたる部分を真上から撮影した写真である。なお、図6における実施例では、吸湿材114の化学的乾燥剤114aに平均粒径約1μmの酸化カルシウムの粉末を、樹脂114bにエポキシ樹脂を用いた。また、化学的乾燥剤114aの含有率は約55重量%とし、樹脂114bには硬化開始剤を添加せず、実施例の完成状態において樹脂114bが液状のままであるようにした。
図6(a)より、窓領域115を介して、吸湿前の吸湿材114が非透明であることが認識できる。また、図6(b)より、窓領域115を介して、吸湿後の吸湿材114が非透明領域114cと透明化領域114dとを有することが認識できる。
(2)水分の浸透と吸湿材の透明化との関係
非透明領域114cは、図6(a)に示す吸湿前の吸湿材114と同じ状態である領域であり、具体的には白濁した領域である。これは、透光性を有する樹脂114bの内部に、屈折率が異なりかつ一定以上の平均粒径(数100nm以上)を有する化学的乾燥剤114aが存在することで、吸湿材114内部で光が化学的乾燥剤114aによって散乱(ミー散乱)されるためである。
透明化領域114dは、吸湿材114の外周に沿って、封止壁113との界面から非透明領域114cまでの間に存在する領域である。以下に、透明化領域114dが、吸湿材114において、水分の浸透した領域であることを説明する。
本発明者は、パネル10より簡単な構造であるパネル10Tを製造し、水分浸透実験を行った。図7は、水分浸透実験に用いたパネル10Tを示す模式断面図である。図7に示すように、パネル10Tは、パネル10と同じ基板101と、封止板112とを備える。また、パネル10Tでは、有機EL素子列を配置せず、内部に樹脂層110と同じ材料を用いた樹脂層110Tを充填している。さらに、樹脂層110Tを、吸湿材114、封止壁113とそれぞれ同じ材料を用いた吸湿材114T、封止壁113Tで取り囲むように封止している。
以上のように、パネル10Tは、有機EL素子列を除いてパネル10とほぼ同じ構成であり、特に側面からの吸湿材114Tへの水分の浸透に関しては同等の条件である。したがって、パネル10Tにおいても、図6(b)のように、吸湿後の吸湿材114Tには、非透明領域114Tcと透明化領域114Tdとが存在する。
水分浸透実験では、上記パネル10Tを85℃85%の環境又は60℃90%の環境に保存し、定期的にFT−IR(フーリエ変換型赤外分光法)及び光学顕微鏡によって測定を行った。FT−IRでは、O−H伸縮振動である3650cm-1付近の吸収ピーク強度を測定した。光学顕微鏡では、吸湿材114Tの非透明領域114Tcと透明化領域114Tdとの境界を測定した。具体的には、光学顕微鏡によって、非透明領域114Tcの輝度と透明化領域114Tdの輝度との中間値となる位置を測定した。
図8は、パネル10TのFT−IR測定結果を示すグラフである。測定結果は85℃85%の環境のものである。横軸は吸湿材114Tの外周(封止壁113との境界)を基準(0μm)とした外周から内周へ向かう方向(図7の−X方向)の距離(μm)を示している。縦軸はO−H伸縮振動の吸収ピーク強度を示している。なお、グラフのI0で示す吸収ピーク強度は吸湿材114Tの材質が有するO−Hによる吸収レベルである。
グラフでは、日数経過によって、外周側からI0を超えるO−Hの存在が測定され始め、一定レベル(I100)で飽和に達している。これは、水分子(H2O)の浸透により増加したO−H分の吸収によるものであり、日数経過によって、外気中の水分が封止壁113Tを介して吸湿材114Tに浸透し、化学的乾燥剤114aに吸着されていることを示している。また、化学的乾燥剤114aの飽和吸湿量に達した領域ではそれ以上水分が吸着されず、水分がより内側へ浸透していくことを示している。
図9は、パネル10Tにおける光学顕微鏡とFT−IRとの測定結果を比較するグラフであって、(a)は85℃85%条件におけるグラフであり、(b)は60℃90%条件におけるグラフである。図9の横軸は、保存時間(day)を示し、縦軸は、図8の横軸と同じように、吸湿材114Tの外周を基準とした外周から内周へ向かう方向の距離(μm)を示している。なお、図9におけるFT−IRのグラフは、I0とI100との中間となる吸収ピーク強度(図8のI50)となる測定位置を示している。
図9(a)、(b)に示すように、光学顕微鏡とFT−IRとの測定結果は、85℃85%及び60℃90%のいずれの環境においてもほぼ一致している。すなわち、吸湿材114Tの外周を基準に、水分の浸透距離と透明化領域114Tdの境界までの距離とはほぼ等しい。したがって、透明化領域114Tdは、吸湿材114Tのうち、水分の浸透した領域である。ここで、パネル10の吸湿材114は、パネル10Tの吸湿材114Tと同じ材料を用いていることから、パネル10の実施例の吸湿材114における透明化領域114dも、吸湿材114のうち、水分の浸透した領域であることが分かる。
(3)透明化領域における化学的乾燥剤の状態
次に、透明化領域114dにおける化学的乾燥剤114aの状態について説明する。なお、吸湿前の吸湿材114は、化学的乾燥剤114aによる光のミー散乱により、白濁した状態となっている。
図10は、吸湿材における光透過率と乾燥剤の平均粒径との相関を示すグラフである。具体的には、樹脂に屈折率の異なる粒子を分散させた場合の光の透過率について、平均粒径をパラメータとしてシミュレーションした結果である。なお、粒子における散乱は、樹脂よりも粒子の屈折率が大きい場合のミー散乱とし、シミュレーションに用いた光の波長は590nmとした。また、シミュレーションにおいては、吸湿材中の乾燥剤について、平均粒径のみを変化させ、粒子数は一定としている。
図10より、光をミー散乱させる粒子を含有する樹脂においては、粒子の平均粒径と、光散乱損失(=1−光透過率)とは比例の関係にあることが分かる。前述のように、吸湿材114では、吸湿により、非透明領域114cが透明化領域114dとなっている。すなわち、吸湿材114では、吸湿によって透明化領域114dにおける化学的乾燥剤114aの平均粒径が小さくなったことが類推できる。特に、図10のグラフから、その平均粒径は500nm以下になったものと考えられる。
なお、一般的な化学的乾燥剤114aの平均粒径は数μm以上であり、小さなものでも500nm以下のものはほとんどない。これは、化学的乾燥剤において、平均粒径を500nm以下とすると、比表面積の増大により活性が高くなり過ぎ、短時間外気に触れるだけで吸湿量が飽和に達し、実用性を有さなくなるためである。
また、透明化領域114dは、水分の浸透した領域である。通常、水分を吸着した化学的乾燥剤114aの粒子は、体積が膨張する。これは、化学的乾燥剤114aより軽い水分の吸着により、化学的乾燥剤114aが水酸化物又は水和物となって、密度が低下するためである。
つまり、水分を吸着した化学的乾燥剤114aが粉末状態であれば、粒子の平均粒径は少なくとも500nmよりも大きく、水分の浸透した吸湿材114の領域が透明化することはない。
このことより、吸湿材114では、透明化領域114dにおける化学的乾燥剤114aは粉末状態ではなく、液状又はゴム状の樹脂114b中に溶解しているものと考えられる。より具体的には、水分を吸着した化学的乾燥剤114aは樹脂114b中で電離してイオン状態となっている。例えば、実施例では、化学的乾燥剤114aである酸化カルシウムが水分を吸着することで、カルシウムイオンと水酸化物イオンとに電離して液状のエポキシ樹脂中に溶解していると考えられる。
(4)まとめ
パネル10では、吸湿材114が化学的乾燥剤114aを含有する液状又はゴム状の樹脂114bであるため、吸湿により化学的乾燥剤114aが樹脂114bに溶解し、当該領域において吸湿材114が非透明領域114cから透明化領域114dに変化する。また、パネル10は、窓領域115を有することによって、封止板112越しに、吸湿材114が非透明であるか透明であるかを認識することができる。したがって、パネル10では、非破壊状態において、吸湿材114の吸湿状態を確認することができる。
4.その他
パネル10では、図2に示すように、窓領域115が、有機EL素子列100Aの周縁100Eを囲む形状であり、具体的には長方形の枠状である。よって、パネル10では、有機EL素子列100Aの周縁100E側から浸透する水分について、平面内の全ての方向に対する吸湿材114の吸湿状態を封止板112越しに確認することができる。このとき、例えば、吸湿材114の吸湿状態が特定方向において顕著であるかどうかなどにより、パネル10が特殊な状況(意図的、偶発的に水源に埋没したなど)に置かれたかどうかを非破壊状態において、判別することできる。
また、パネル10では、化学的乾燥剤114aの平均粒径が500nm以上であることが好ましい。前述のとおり、平均粒径が500nm以上であることで、比表面積の増大による過度な活性の向上を抑制できる。したがって、この場合、過度の湿度管理によらず、製造中の化学的乾燥剤114aの吸湿量を低減できるため、パネル10の完成時点における吸湿材114の機能を確保できる。なお、化学的乾燥剤114aの平均粒径は、例えば、動的光散乱法によって測定できる。具体的には、樹脂114bに添加する前の化学的乾燥剤114aの粉末から適切な量をサンプリングし、動的光散乱法によって粒径分布を測定し、当該粒径分布から中央値(d50)を求めれば、化学的乾燥剤114a全体の平均粒径とみなすことができる。また、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などを用いることにより、樹脂114bが含有する化学的乾燥剤114aの平均粒径を直接測定することもできる。
また、パネル10では、樹脂114bが極性を有する分子で構成されていることが好ましい。すなわち、樹脂114bを構成する分子が、例えば電気陰性度の高い酸素や窒素などの元素を含むことが好ましい。具体的には、樹脂114bを構成する分子が、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、オキソ基、ニトロ基などの極性基を有することが好ましい。このとき、吸湿した化学的乾燥剤114aが樹脂114b中に電離した際、イオン化した化学的乾燥剤114aの構成分子と樹脂114bの構成分子との水素結合が強まり、溶解した状態がより安定化する。すなわち、この場合、化学的乾燥剤114aがより樹脂114b中に溶解しやすくなる。
また、吸湿材114は周囲の部材(薄膜封止層109、樹脂層110、カラーフィルタ層111、封止板112、封止壁113など)と密接することが好ましい。吸湿材114は、液状又はゴム状の樹脂であり、流動又は変形が可能な状態であるが、パネル10のように、吸湿材114が、固体の薄膜封止層109、硬化によりガラス状となった樹脂層110及び封止壁113などに挟まれると、吸湿材114の形状が安定する。さらに、吸湿材114が封止板112と密接すると、封止板112と吸湿材114との間隙を減らすことができ、薄型化に有利である。さらに、吸湿材114の外周が、封止壁113と密接し、吸湿材114の内周が、薄膜封止層109及び樹脂層110と密接すると、パネル10の額縁領域における間隙が減り、挟額縁化に有利である。特に吸湿材114は、吸湿した化学的乾燥剤114aが樹脂114b中に溶解することで、吸湿による体積膨張が抑制されている。したがって、パネル10では、間隙を配置せずに吸湿材114を周囲の部材と密接させても、内圧によってパネル10が変形、破壊しにくい。すなわち、パネル10は、一般的な有機EL表示パネルよりも吸湿材114を周囲の部材に密接させることができ、薄型化、挟額縁化により有利である。また、密接により吸湿材114周囲の水分の通路が塞がれ、有機EL素子列100Aへの水分の浸透をさらに抑制できる。
また、パネル10を備える有機EL表示装置1においては、筐体30が、窓領域115を覆うことが好ましい。図11は、有機EL表示装置1を示す模式断面図である。
有機EL表示装置1においては、筐体30が、パネル10の上面の一部、側面及び底面を覆っており、特に窓領域115を覆っている。これにより、有機EL表示装置1において、窓領域115が露出せず、窓領域115による外光の入射・反射や画像表示面のコントラスト低下を抑制することができる。なお、筐体30を取り外せば、パネル10の窓領域115を露出させることができため、筐体30を備える場合であっても、パネル10の非破壊状態において、吸湿材114の吸湿状態を確認することができる。
5.変形例
本発明の一態様に係る有機EL表示パネルは、その本質的な特徴的構成要素を除き、本実施の形態に係るパネル10に何ら限定を受けるものではない。以下では、パネル10の変形例について説明する。なお、パネル10と同じ部分については、同じ符号を付して説明を簡略又は省略する。
(1)窓領域の平面形状
パネル10では、窓領域115が有機EL素子列100Aの周縁100Eを囲むよう、長方形の枠状であったが、これに限られない。図12は、変形例に係る有機EL表示パネル50を示す模式平面図である。
有機EL表示パネル50(以下、「パネル50」という。)は、ブラックマトリクス111Bに代えて、ブラックマトリクス511Bを有する。ブラックマトリクス511Bは、ブラックマトリクス111Bと同様に、封止板112と吸湿材114との間に配置された、長方形枠状の部材である。一方、ブラックマトリクス511Bは、ブラックマトリクス111Bと異なり、有機EL素子列100Aの周縁100Eからダミーフィルタ111D分の間隔をあけた位置から、封止板112の外周までの領域に配置されている。すなわち、封止壁113及び吸湿材114の上方を覆うように配置されている。
また、ブラックマトリクス511Bは、その一部に、上端から下端にかけて貫通する開口部を有している。具体的には、開口部は、ブラックマトリクス511Bの平面形状における辺部の中央付近及び角部にそれぞれ形成され、吸湿材114の平面形状における辺部及び角部を露出させている。ここで、開口部が露出させる吸湿材114のうち、平面形状における角部上の領域を窓領域515a、辺部上の領域を窓領域515bとする。
窓領域515a、515bはともに、吸湿材114上の領域であって、ブラックマトリクス511Bが配置されていない領域である。したがって、窓領域515a、515bは、透明な封止板112の一部であり、透明領域である。このとき、窓領域515a、515bによって、封止板112越しに吸湿材114を認識することができ、パネル50では、パネル10と同様に、非破壊状態において、吸湿材114の吸湿状態を確認することができる。
なお、図12においては、窓領域515a、515bはそれぞれ4つずつ存在したが、窓領域の数はこれに限られず、それぞれ独立に3つ以下または5つ以上であってもよい。また、窓領域515a、515bは吸湿材114の平面形状の角部上及び辺部の中央付近の上部に存在したが、これに限られず、辺部の中央以外の上部に存在していてもよい。
ただし、窓領域は、窓領域515aのように、少なくとも吸湿材114の平面形状における角部上に存在することが好ましい。吸湿材114においては、図6(b)に示すように、角部の吸湿速度が、辺部の吸湿速度よりも大きい。これは、角部では辺部に比べて相対的に体積当たりの外周側の表面積が大きくなるためである。このとき、吸湿材114では、辺部より先に角部で吸湿量が飽和する。吸湿材114の一部分でも吸湿量が飽和すると、水分などが当該部分から有機EL素子列100A側に侵入し、有機EL素子100を劣化させる。したがって、吸湿材114においては、吸湿量が最も早く飽和に達する部分、すなわち角部の吸湿状態を確認することが好ましい。ここで、窓領域515aが、少なくとも吸湿材114の平面形状における角部上に存在すれば、角部の吸湿状態を確認できる。なお、パネル10においても、窓領域115は、吸湿材114の平面形状における角部上に存在している。
(2)窓領域の底面側への配置
パネル10では、窓領域115が、吸湿材114上に存在することで、封止板112越しに吸湿材114を認識したが、これに限られない。図13は、有機EL表示パネル60を示す模式断面図である。
パネル10では、窓領域115が吸湿材114の上方に存在したが、有機EL表示パネル60(以下、「パネル60」という。)では、窓領域615が吸湿材114の下方に存在する。具体的には、図13の一点鎖線に示すように、窓領域615が、基板101の下端101Sから、吸湿材114の下端114SB(薄膜封止層109の上端)までの間の領域となっている。なお、パネル60では、窓領域615となる基板101、TFT層602、パッシベーション層103、層間絶縁層104、隔壁108及び薄膜封止層109が透明であり、すなわち窓領域615は透明領域である。ただし、パネル60において、吸湿材114の下方すべてが窓領域615となっているわけではない。
図14は、パネル60を示す模式底面図である。図14は、図13の矢印が示すように、パネル60の角付近を底面(基板101の下面)側から見た図となっている。パネル60は、有機EL素子列100Aの下部(図14の樹脂層110の配置領域付近)から、基板101の周縁に引き出された引出配線602aを備える。
引出配線602aは、基板101上のTFT層602に配置された配線であり、TFT素子を介して有機EL素子100と電気的に接続されている。また、基板101の周縁側において、引出配線602aは、お互いの間隔が狭まるようにより集められ、駆動回路21に接続されたフレキシブル配線基板Fに接続されている。
ここで、引出配線602aには、一般には電力損失をなるべく小さくするために比抵抗の小さな材料を用い、比抵抗の大きな透明導電材料などを用いることは少ない。したがって、引出配線602aが配置された箇所は透明ではなく、吸湿材114の状態を認識することができない。そこで、パネル60では、引出配線602aが配置されていない、吸湿材114の平面形状における角部の下方を、窓領域615とする。これにより、窓領域615によって、基板101越しに吸湿材114の角部を認識することができ、パネル50では、パネル10と同様に、非破壊状態において、吸湿材114の角部の吸湿状態を確認することができる。
なお、窓領域の位置は吸湿材の平面形状における角部の下方にのみ限定されるわけではない。図15は、有機EL表示パネル70を示す模式底面図である。有機EL表示パネル70(以下、「パネル70」という。)では、引出配線702aが、吸湿材の下方において、有機EL素子列100A(図15の樹脂層110の配置領域付近)の下方よりも、互いの間隔が狭まっている。これにより、パネル70では、吸湿材114の平面形状における辺部の下方にも窓領域715が確保されている。したがって、パネル70では、非破壊状態において、吸湿材114の辺部の吸湿状態を確認することができる。
(4)その他の変形例
パネル10では、吸湿材114が薄膜封止層109上に配置されていたが、これに限られず、例えば、基板101上やパッシベーション層103上に配置されていてもよいし、これらにまたがって配置されていてもよい。
また、パネル10では、封止壁113がパッシベーション層103と薄膜封止層109とにまたがって配置されていたが、これに限られず、例えば、いずれか片方の層の上にのみ配置されていてもよいし、基板101上に全部又は一部が配置されてもよい。
また、パネル10では、有機EL素子列100Aの周縁100E、基板101、封止板112、封止壁113及び吸湿材114が長方形状であったが、これに限られず、例えば、上記の全部又は一部が多角形状、円形状、楕円形状などであってもよい。
また、パネル10では、機能層106が、有機EL素子100ごとに区切られている構成であったが、これに限られず、例えば、共通電極107のように有機EL素子列100A全面に形成された単層であってもよい。また、例えば、機能層106が、有機EL素子列100Aの一部(同一直線上にある有機EL素子100など)においてのみ連続する層であってもよい。また、機能層106が複数の層からなる場合は、有機EL素子100ごとに区切られた層と、複数の有機EL素子100において連続する層とを組み合わせてもよい。
また、パネル10では、有機EL素子100の画素電極105が陽極、共通電極107が陰極となる順構造であったが、例えば、画素電極105が陰極、共通電極107が陽極となる逆構造であってもよい。
また、パネル10では、トップエミッション型かつアクティブマトリクス方式を採用したが、これに限られず、例えばボトムエミッション型やパッシブマトリクス方式などを採用してもよい。特に、パネル60やパネル70のように、窓領域が吸湿材の下方に存在する場合、パッシブマトリクス方式を採用すると、引出配線の数を少なくできるため、窓領域を容易に確保できる。なお、ボトムエミッション型を採用する場合は、樹脂層110を吸湿材114に置き換えてもよい。
また、パネル10において、各部の材料として記載したものは例示であって、これに限られず、公知のもの、同等の性質を有するものなどを用いてもよい。
本発明に係る有機EL表示パネルは、例えば、テレビ、パーソナルコンピュータ、携帯端末、電子看板・大型スクリーンなどの業務用ディスプレイなどの装置又はその他表示機能を有する様々な電子機器などに広く利用することができる。
1 有機EL表示装置
10、50、60、70 有機EL表示パネル
30 筐体
10T パネル
100 有機EL素子
100A 有機EL素子列
100E 周縁
101 基板
101S 下端
109 薄膜封止層
110 樹脂層
111B、511B ブラックマトリクス
112 封止板
112S 上端
113、113T 封止壁
114、114T 吸湿材
114a、114Ta 化学的乾燥剤
114b、114Tb 樹脂
114SB 下端
114ST 上端
115、515a、515b、615、715 窓領域
602a、702a 引出配線

Claims (9)

  1. 基板と、
    前記基板上に配列された複数の有機EL素子から構成される有機EL素子列と、
    前記有機EL素子列上において前記基板と対向する封止板と、
    前記基板と前記封止板との間において前記有機EL素子列の周縁を囲むことによって、前記有機EL素子列を封止する封止壁と、
    前記有機EL素子列と前記封止壁との間において前記有機EL素子列の周縁を囲む吸湿材と、
    を備え、
    前記吸湿材が、化学的乾燥剤を含有する液状又はゴム状の樹脂であり、
    前記封止板の上端から前記吸湿材の上端までの間、又は前記基板の下端から前記吸湿材の下端までの間の透明領域である窓領域を有することにより、前記吸湿材を前記基板越し又は前記封止板越しに認識することができる、
    有機EL表示パネル。
  2. さらに、前記封止板と前記吸湿材との間の一部に配置されたブラックマトリクスを備え、
    前記窓領域が、前記吸湿材上の領域であって、前記ブラックマトリクスの配置されていない領域である、
    請求項1に記載の有機EL表示パネル。
  3. 前記吸湿材の平面形状が長方形の枠状であり、
    前記窓領域が、少なくとも前記吸湿材の平面形状における角部上に存在する、
    請求項2に記載の有機EL表示パネル。
  4. 前記窓領域が、前記有機EL素子列の周縁を囲む形状である、
    請求項3に記載の有機EL表示パネル。
  5. さらに、前記基板上に配置され、前記有機EL素子と電気的に接続され、前記基板の周縁に引き出された、光反射性を有する複数の引出配線を備え、
    前記窓領域が、前記吸湿材の下方であって、前記複数の引出配線の配置されていない領域である、
    請求項1に記載の有機EL表示パネル。
  6. 前記吸湿材の平面形状が長方形の枠状であり、
    前記窓領域が、少なくとも前記吸湿材の平面形状における角部の下方に存在する、
    請求項5に記載の有機EL表示パネル。
  7. 前記複数の配線同士のうちの互いに隣接する一部について、前記吸湿材の下方において、前記有機EL素子列の下方よりも互いの間隔が狭まることにより、前記窓領域が確保される、
    請求項5に記載の有機EL表示パネル。
  8. さらに、無機材料からなり、前記有機EL素子列の上方及び周縁を覆う薄膜封止層と、
    ガラス状の樹脂からなり、前記薄膜封止層と前記封止板との間に配置された樹脂層と、
    を備え、
    前記吸湿材の外周が、前記封止壁と密接し、
    前記吸湿材の内周が、前記薄膜封止層及び前記樹脂層と密接する、
    請求項1から請求項7のいずれかに記載の有機EL表示パネル。
  9. 請求項1から請求項8のいずれかに記載の有機EL表示パネルと、
    前記有機EL表示パネルの前記窓領域を覆う筐体と、
    を備える、
    有機EL表示装置。
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