JP2015534947A - ストレス感受性植物の収量強化 - Google Patents

ストレス感受性植物の収量強化 Download PDF

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Abstract

本発明は、ストレス感受性であることが公知のトウモロコシ同系交配系統の安定化/収量強化/種子生産のためのシクロプロペンの使用に基づく。同系交配トウモロコシ系統は、環境的および機械的ストレスに特に感受性である。特にストレスに感受性である同系交配由来の同系交配種子の生産を強化するための方法およびシクロプロペンの使用を提供する。さらに、環境的ストレスに感受性である同系交配由来のハイブリッド種子の生産を強化するための方法およびシクロプロペンの使用を提供する。また、機械的ストレスに感受性である同系交配由来のハイブリッド種子の生産を強化するための方法およびシクロプロペンの使用を提供する。

Description

植物は多くの場合、植物と組成物とを接触させることによって処理される。例えば、米国特許出願第11/324,617号は、少なくとも1種のシクロプロペンを含有し、シクロプロペンではない少なくとも1種の植物成長調節剤を含有する組成物による、非柑橘系植物の処理を開示している。ある特定の作物植物を、発育段階またはそれらの特定の作物植物に適切な段階で処理する工程を伴う方法を提供することが望ましい。独立して、それらの植物により生産される作物の収量の増加をもたらす、植物の処理方法を提供することもまた望ましい。
多くの同系交配のトウモロコシ系統は、早期雄穂形成および受粉の間、熱ストレスに特に感受性である。他の同系交配のトウモロコシ系統は、栄養成長期の早期から中期の間、乾燥ストレスに特に感受性である。同系交配はまた、雌穂として使用される同系交配の雄穂除去の行為の間に起こる物理的損傷に関係するストレスに感受性である。これらの状況はすべて、同系交配の虚弱性およびこれらの生産する高価な種子のため、過度の経済的損失をもたらす。
したがって、ある同系交配トウモロコシ系統を含む、ストレス感受性植物の収量または種子生産を強化する方法は依然として必要とされたままである。
本発明は、ストレス感受性であることが公知のトウモロコシ同系交配系統の安定化/収量強化/種子生産のためのシクロプロペンの使用に関する。同系交配トウモロコシ系統は、環境的および機械的ストレスに特に感受性である。特にストレスに感受性である同系交配由来の同系交配種子の生産を強化するための方法およびシクロプロペンの使用を提供する。さらに、環境的ストレスに感受性である同系交配由来のハイブリッド種子の生産を強化するための方法およびシクロプロペンの使用を提供する。また、機械的ストレスに感受性である同系交配由来のハイブリッド種子の生産を強化するための方法およびシクロプロペンの使用を提供する。
一態様において、複数の植物により生産された作物の収量を改善する方法を提供する。この方法は、前記植物を、少なくとも1種のシクロプロペン化合物を含む組成物と接触させ、接触が、植物が建物内以外の場所で実施され、作物がストレスに感受性である工程を含む。
一実施形態において、場所は開放性の畑を含む。別の実施形態において、場所は閉鎖環境を含まない。さらなる実施形態において、閉鎖環境は、容器または温室である。
一実施形態において、組成物は液体である。別の実施形態において、組成物は、シクロプロペン化合物と分子カプセル化剤との錯体を含む。別の実施形態において、少なくとも1つのシクロプロペン化合物は1−メチルシクロプロペン(1−MCP)を含む。さらに他の実施形態において、分子カプセル化剤は、アルファ−シクロデキストリン、べータ−シクロデキストリン、ガンマ−シクロデキストリンまたはこれらの組み合わせから選択される。さらなる実施形態において、分子カプセル化剤はアルファ−シクロデキストリンを含む。
一実施形態において、シクロプロペン化合物は式:

(式中、Rは、置換または非置換の、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニルまたはナフチルの基であり、置換基は、独立してハロゲン、アルコキシまたは置換もしくは非置換のフェノキシである)
の化合物である。
さらなる実施形態において、RはC1−8アルキルである。別の実施形態において、Rはメチルである。
別の実施形態において、シクロプロペン化合物は、式:

(式中、Rは、置換または非置換のC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル(cylcoalkyl)、シクロアルキルアルキル(cylcoalkylalkyl)、フェニルまたはナフチル(napthyl)の基であり、R、RおよびRは水素である)
の化合物である。
一実施形態において、ストレスは非生物的ストレスを含む。非生物的ストレスとしては、脱水または他の浸透性ストレス、塩分、高いもしくは低い光強度、高温もしくは低温、浸水、重金属に対する曝露および酸化ストレスを挙げることができる。別の実施形態において、ストレスは環境的ストレスを含む。さらなる実施形態において、環境的ストレスは、干ばつおよび/または熱を含む。別の実施形態において、ストレスは機械的ストレスを含む。
一実施形態において、作物は、同系交配トウモロコシ系統を含む。別の実施形態において、接触は、作物の雄穂形成および/または受粉の間に実施される。別の実施形態において、接触は、作物の早期から中期栄養成長期の間に実施される。別の実施形態において、収量は種子生産を含む。別の実施形態において、収量は、少なくとも10%、10%から25%、10%から30%、10%から50%、20%から40%または20%から50%の改善が可能である。
AP2(ストレス負荷場所)における代表的な販売可能単位 対 処理を示す。統計的に有意ではないが、AP2におけるAFxRD−038のVTでの施用から得られた販売可能単位はほぼ15%の増加である。 場所AP2内のフラット対ラウンドの代表な比較を示す。統計的に有意ではないが、AFxRD−038の施用によるフラット種子の百分率が増加傾向にある。 試験場所の代表的な収量比較を示す。AP2の全収量は、シーズンの間の環境的および非生物的ストレスのため有意に減少している。AP2は、干ばつおよび高温、雹害およびその後のマメコガネの発生を経験した。AP1における穀物収量は、種子生産場に関して非常に量が多く、時宜にかなった灌漑により強化されている。 場所AP1およびAP2の全域にわたる処理の代表的な収量比較を示す。場所にわたって組み合わせたデータは、全収量のいくらかの減少を示すが、UTCと比較した処理区画において、統計的に有意ではない。 AP2における処理間の代表的な収量比較を示す。VTのタイミングにおいて処理区画は、UTCおよびV5のタイミングと比較して収量の増加を有するが、統計的有意性はない。 AP1とAP2との間の収穫時の穀物水分の代表的な比較を示す。AP2における穀物は、AP2における穀物が有する水分よりも、収穫時に有意に高い水分を有する。穀物収穫は、10月6日まで遅れる(種子の収穫が行われた約3週間後)。水分の増加は、植物の健康不良およびステレスの結果と思われる。 処理間の穀物水分に関する代表的な比較を示す。穀物水分に関して処理間に差は観察されていない。 AP1とAP2との間の代表的な試験重量の比較を示す。AP1由来の穀物の試験重量は、AP2由来の穀物の試験重量より有意に少ない。 場所の全域にわたる処理の間の代表的な試験重量の比較を示す。場所の全域にわたって要約した場合、処理に関して試験重量に有意差はない。 場所内の処理間の代表的試験重量の比較を示す。場所AP2においてVTでの処理は、試験重量がわずかに低いと思われるが、各場所から単一の試料を分析しただけなので、有意性は不明である。 場所間の代表的1000(1k)粒重の比較を示す。AP1の粒重は、AP2由来の粒重よりも有意に大きい。より低い粒重は、おそらくAP2におけるストレス条件の結果であると思われる。 処理間の代表的1000(1k)粒重の比較を示す。処理に関する粒重の有意差は無かった。 場所内の処理間の代表的1000(1k)粒重の比較を示す。場所当たり単一試料だけを分析したので、有意差は不明であるが、AFxRD−038に施用によりAP2における粒重が低い傾向があると思われる。 場所間の代表的な80Kの穀粒バッグの重量比較を示す。試験重量および粒重から予測したように、AP2由来の種子はAP1由来の種子より有意に軽い。 処理間の代表的な80kの穀粒バッグの重量比較を示す。場所の全域にわたって要約した場合、処理に関してバッグ重量に有意な差はない。 場所内の処理間の代表的な80k穀粒バッグ重量の比較を示す。処理に関してバッグ重量に有意差はない。 場所間の代表的な種子サイズ分布の比較を示す。統計的に有意ではないが、場所AP1においてより大きな種子およびよりラウンド種子の傾向がある。この傾向は、場所AP2においてはよりフラットな種子に向かっている。 処理に関する種子サイズ分布の代表的な比較を示す。いずれの比較も統計的に有意ではないが、AFxRD−038の施用により、種子はより小さくよりフラットになる傾向がある。 場所の全域にわたる処理間の、フラット対ラウンドの代表的な比較を示す。統計的に有意ではないが、AFxRD−038の施用により、フラット種子の百分率が増加する傾向がある。 場所AP2内のフラット対ラウンドの代表的な比較を示す。統計的に有意ではないが、AFxRD−038の施用により、フラット種子の百分率が増加する傾向がある。 (場所の全域わたる)処理間の、温暖、低温および高齢の発芽%の比較を示す。処理に関して発芽に対する影響はないと思われる。 (場所内の)処理間の、温暖、低温および高齢の発芽%の比較を示す図。AP2における処理に関して温暖または低温の発芽に影響はないと思われる。しかし、AFxRD−038の施用により、おそらくAA発芽の減少がある。場所ごとに単一試料を分析しただけなので、したがって統計的有意性は不明である。さらに、すべての発芽は、種子に要求される90%臨界値を超えている。 場所間の販売可能単位数/エーカーの代表的結果を示す。予測通りに、AP1(非ストレス負荷)において得られた販売可能単位が、AP2と比較して有意に多い。 (場所の全域にわたる)販売可能単位対処理の代表的な結果を示す。場所の全域にわたって処理を比較した場合、販売可能単位に有意差はない。 AP2(ストレス負荷場所)における販売可能単位対処理の代表的結果を示す。統計的に有意ではないが、AP2においてVT施用により得られた販売可能単位がほぼ15%増加した。
本発明の実践は、1以上のシクロプロペンの使用を伴う。本明細書において使用する場合、シクロプロペン化合物は、下記の式を有する任意の化合物を意味する:

(式中、R、R、RおよびRはそれぞれHおよび式:
−(L)−Z
の化学基からなる群から独立して選択され、
式中、
nは、0から12の整数であり、Lはそれぞれ、D1、D2、EおよびJからなる群から独立して選択され、D1は式:
の基であり、;
D2は式:
の基であり、
Eは式:
の基であり;および
式中Jは式:
の基であり、
式中、XおよびYはそれぞれ独立して、式;
−(L)−Z;
の化学基であり、
mは0から8の整数であり、D2またはE基の2以下は互いに隣接しており、J基は互いに隣接しておらず、Zはそれぞれ、水素、ハロ、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、クロレート、ブロメート、ヨーデート(iodate)、イソシアナト、イソシアニド、イソチオシアナト、ペンタフルオロチオおよび化学基Gからなる群から独立して選択され、Gは3から14員環系であり、−(L)−Z中のヘテロ原子の総数は0から6であり、化合物中の非水素原子の総数は50以下である)。
本発明の目的のために、さまざまなL基の構造表現において、各開結合(open bond)は、別のL基、Z基またはシクロプロペン部分との結合を示す。例えば、構造表現

は、酸素原子と2つの他の原子との結合を示し、ジメチルエーテル部分を表すものではない。
、R、RおよびRの少なくとも1つが水素ではなく、複数のL基を有する実施形態の中で、特定のR、R、RまたはR基内のL基は、その同じR、R、RまたはR基内の他のL基と同じであってもよく、またはその特定のR、R、RまたはR基内の任意の数のL基が、その同じR、R、RまたはR基内の他のL基と異なっていてもよい。
、R、RおよびRの少なくとも1つが複数のZ基を含有する実施形態の中で、そのR、R、RまたはR基内のZ基は、そのR、R、RまたはR基内の他のZ基と同じであってもよく、またはそのR、R、RまたはR基内の任意の数のZ基が、そのR、R、RまたはR基内の他のZ基と異なっていてもよい。
、R、RおよびR基は、適切な基から独立して選択される。R、R、RおよびR基は、互いに同じであってもよく、またはこれらの任意の数が他と異なっていてもよい。R、R、RおよびRの1以上としての使用に適切な基のうちには、例えば、脂肪族基、脂肪族−オキシ基、アルキルホスホナト(alkylphosphonato)基、シクロ脂肪族基、シクロアルキルスルホニル基、シクロアルキルアミノ基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シリル基、他の基ならびにこれらの混合物および組み合わせがある。R、R、RおよびRの1以上としての使用に適切な基は、置換されていても、または非置換であってもよい。独立して、R、R、RおよびRの1以上としての使用に適切な基は、シクロプロペン環に直接連結されていても、または介在基、例えばヘテロ原子含有基などによりシクロプロペン環に連結されていてもよい。
適切なR、R、RおよびR基のうちには、例えば脂肪族基がある。いくつかの適切な脂肪族基としては、例えば、アルキル、アルケニルおよびアルキニルの基が挙げられる。適切な脂肪族基は、置換されていても、または非置換であってもよい。いくつかの適切な置換脂肪族基としては、例えば、アセチルアミノアルケニル、アセチルアミノアルキル、アセチルアミノアルキニル、アルコキシアルコキシアルキル、アルコキシアルケニル、アルコキシアルキル、アルコキシアルキニル、アルコキシカルボニルアルケニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルコキシカルボニルアルキニル、アルキルカルボニルオキシアルキル、アルキル(アルコキシイミノ)アルキル、カルボキシアルケニル、カルボキシアルキル、カルボキシアルキニル、ハロアルコキシアルケニル、ハロアルコキシアルキル、ハロアルコキシアルキニル、ハロアルケニル、ハロアルキル、ハロアルキニル、ヒドロキシアルケニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキニル、トリアルキルシリルアルケニル、トリアルキルシリルアルキル、トリアルキルシリルアルキニル、ジアルキルアミノアルキル、アルキルスルホニルアルキル、アルキルチオアルケニル、アルキルチオアルキル、アルキルチオアルキニル、ハロアルキルチオアルケニル、ハロアルキルチオアルキルおよびハロアルキルチオアルキニルが挙げられる。
さらに、適切なR、R、RおよびR基のうちには、例えば置換および非置換の脂肪族−オキシ基、例えば、アルケノキシ(alkenoxy)、アルコキシ、アルキノキシ(alkynoxy)およびアルコキシカルボニルオキシなどがある。
さらに、適切なR、R、RおよびRのうちには、例えば、置換および非置換のアルキルホスホナト(alkylphosphonato)、置換および非置換のアルキルホスファト、置換および非置換のアルキルアミノ、置換および非置換のアルキルスルホニル、置換および非置換のアルキルカルボニルならびに置換および非置換のアルキルアミノスルホニルがあり、例えば、アルキルホスホナト(alkylphosphonato)、ジアルキルホスファト、ジアルキルチオホスファト、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニルおよびジアルキルアミノスルホニルを含む。
、R、RまたはRとして適切な脂肪族基のうちには、例えば、シクロ脂肪族基であり、例えば、シクロアルケニル、シクロアルキルおよびシクロアルキニルを含む。適切なシクロ脂肪族基は置換されていても、または非置換であってもよい。適切な置換シクロ脂肪族基は、例えば、アセチルアミノシクロアルケニル、アセチルアミノシクロアルキル、アセチルアミノシクロアルキニル、シクロアルケノキシ、シクロアルコキシ、シクロアルキノキシ、アルコキシアルコキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルケニル、アルコキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキニル、アルコキシカルボニルシクロアルケニル、アルコキシカルボニルシクロアルキル、アルコキシカルボニルシクロアルキニル、シクロアルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシシクロアルキル、カルボキシシクロアルケニル、カルボキシシクロアルキル、カルボキシシクロアルキニル、ハロシクロアルコキシシクロアルケニル、ハロシクロアルコキシシクロアルキル、ハロシクロアルコキシシクロアルキニル、ハロシクロアルケニル、ハロシクロアルキル、ハロシクロアルキニル、ヒドロキシシクロアルケニル、ヒドロキシシクロアルキル、ヒドロキシシクロアルキニル、トリアルキルシリルシクロアルケニル、トリアルキルシリルシクロアルキル、トリアルキルシリルシクロアルキニル、ジアルキルアミノシクロアルキル、アルキルスルホニルシクロアルキル、シクロアルキルカルボニルオキシアルキル、シクロアルキルスルホニルアルキル、アルキルチオシクロアルケニル、アルキルチオシクロアルキル、アルキルチオシクロアルキニル、ハロアルキルチオシクロアルケニル、ハロアルキルチオシクロアルキルおよびハロアルキルチオシクロアルキニルがある。
さらに、適切なR、R、RおよびR基のうちには、例えば、置換および非置換のシクロアルキルスルホニル基およびシクロアルキルアミノ基、例えば、ジシクロアルキルアミノスルホニルおよびジシクロアルキルアミノなどがある。
さらに、適切なR、R、RおよびR基うちには、例えば、置換および非置換のヘテロシクリル基(すなわち、環の中に少なくとも1つのヘテロ原子を含む非芳香族環基)がある。適切な置換ヘテロシクリル基のうちには、例えば、アルケニルヘテロシクリル、アルキルヘテロシクリル、アルキニルヘテロシクリル、アセチルアミノヘテロシクリル、アルコキシアルコキシヘテロシクリル、アルコキシヘテロシクリル、アルコキシカルボニルヘテロシクリル、アルキルカルボニルオキシヘテロシクリル、カルボキシヘテロシクリル、ハロアルコキシヘテロシクリル、ハロヘテロシクリル、ヒドロキシヘテロシクリル、トリアルキルシリルヘテロシクリル、ジアルキルアミノヘテロシクリル、アルキルスルホニルヘテロシクリル、アルキルチオヘテロシクリル、ヘテロシクリルチオアルキルおよびハロアルキルチオヘテロシクリルがある。
さらに、適切なR、R、RおよびR基のうちには、例えば、介在するオキシ基、アミノ基、カルボニル基またはスルホニル基によりシクロプロペン化合物に連結された、置換および非置換のヘテロシクリル基があり、このようなR、R、RおよびR基の例は、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルカルボニル、ジヘテロシクリルアミノおよびジヘテロシクリルアミノスルホニルである。
さらに、適切なR、R、RおよびR基のうちには、例えば、置換および非置換のアリール基である。いくつかの適切な置換アリール基は、例えば、アルケニルアリール、アルキルアリール、アルキニルアリール、アセチルアミノアリール、アリールオキシ、アルコキシアルコキシアリール、アルコキシアリール、アルコキシカルボニルアリール、アリールカルボニル、アルキルカルボニルオキシアリール、カルボキシアリール、ジアリールアミノ、ハロアルコキシアリール、ハロアリール、ヒドロキシアリール、トリアルキルシリルアリール、ジアルキルアミノアリール、アルキルスルホニルアリール、アリールスルホニルアルキル、アルキルチオアリール、アリールチオアルキル、ジアリールアミノスルホニルおよびハロアルキルチオアリールがある。
さらに適切なR、R、RおよびR基のうちには、例えば、置換および非置換のヘテロアリール基がある。いくつかの適切な置換ヘテロアリール基は、例えば、アルケニルヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、アルキニルヘテロアリール、アセチルアミノヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アルコキシアルコキシヘテロアリール、アルコキシヘテロアリール、アルコキシカルボニルヘテロアリール、ヘテロアリールカルボニル、アルキルカルボニルオキシヘテロアリール、カルボキシヘテロアリール、ジヘテロアリールアミノ、ハロアルコキシヘテロアリール、ハロヘテロアリール、ヒドロキシヘテロアリール、トリアルキルシリルヘテロアリール、ジアルキルアミノヘテロアリール、アルキルスルホニルヘテロアリール、ヘテロアリールスルホニルアルキル、アルキルチオヘテロアリールおよびハロアルキルチオヘテロアリールである。
さらに、適切なR、R、RおよびRのうちには、例えば、介在するオキシ基、アミノ基、カルボニル基、スルホニル基、チオアルキル基またはアミノスルホニル基によりシクロプロペン化合物に連結された、置換および非置換のヘテロアリール基があり、このようなR、R、RおよびR基の例は、ジヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールチオアルキルおよびジヘテロアリールアミノスルホニルである。
さらに、適切なR、R、RおよびR基のうちには、例えば、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、クロラト(chlorato)、ブロマト(bromato)、ヨーダト(iodato)、イソシアナト、イソシアニド、イソチオシアナト、ペンタフルオロチオ;アセトキシ、カルボエトキシ、シアナト、ニトラト、ニトリト、ペルクロラト、アレニル;ブチルメルカプト、ジエチルホスホナト(diethylphosphonato)、ジメチルフェニルシリル、イソキノリル、メルカプト、ナフチル、フェノキシ、フェニル、ピペリジノ、ピリジル、キノリル、トリエチルシリル、トリメチルシリルならびにこれらの置換類似体がある。
本明細書において使用する場合、化学基Gは、3から14員環系である。化学基Gとして適切な環系は、置換されていても、または非置換であってもよく、これらは芳香族(例えば、フェニルおよびナフチル(napthyl)を含む)であっても、または脂肪族(不飽和脂肪族、部分的に飽和した脂肪族または飽和脂肪族を含む)であってもよく、これらは、炭素素環であっても、または複素環であってもよい。複素環G基ののうちには、いくつかの適切なヘテロ原子は、例えば、窒素、イオウ、酸素およびこれらの組み合わせがある。化学基Gとして適切な環系は、単環式、二環式、三環式、多環式または縮合環であってよく、二環式、三環式または縮合環である適切な化学基G環系のうち、単一の化学基G中のさまざまな環は、すべて同じ型であっても、または2以上の型であってもよい(例えば、芳香族環が脂肪族環と縮合されていてもよい)。
いくつかの実施形態において、Gは、飽和または不飽和の3員環、例えば、置換または非置換のシクロプロパン、シクロプロペン、エポキシドまたはアジリジン環を含有する環系である。
いくつかの実施形態において、Gは、4員複素環を含有する環系であり、このような実施形態のいくつかにおいて、複素環は、厳密に1つのヘテロ原子を含有する。独立して、いくつかの実施形態において、Gは、5員以上を有する複素環を含有する環系であり、このような実施形態のいくつかにおいて、複素環は、1から4個のヘテロ原子を含有する。独立して、いくつかの実施形態において、G中の環は非置換であり、他の実施形態において、環系は、1から5の置換基を含有し、Gが置換基を含有する実施形態のいくつかにおいて、各置換基は、本明細書の以下において定義されるカテゴリーX中の化学基から独立して選択される。Gが炭素環系である実施形態もまた好適である。
適切なG基のうちには、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンタ−3−エン−1−イル、3−メトキシシクロヘキサン−1−イル、フェニル、4−クロロフェニル、4−フルオロフェニル、4−ブロモフェニル、3−ニトロフェニル、2−メトキシフェニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル(methyphenyl)、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、2−メチル−3−メトキシフェニル、2,4−ジブロモフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、4−メトキシフェニル、ナフチル、2−クロロナフチル、2,4−ジメトキシフェニル、4−(トリフルオロメチル)フェニル、2−ヨード−4−メチルフェニル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−4−イル、ピラジニル、ピリミジン−2−イル、ピリミジン−4−イル、ピリミジン−5−イル、ピリダジニル、トリアゾル−1−イル、イミダゾール−1−イル、チオフェン−2−イル、チオフェン−3−イル、フラン−2−イル、フラン−3−イル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、テトラヒドロフリル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、ピペラジニル、ジオキソラニル、ジオキサニル、インドリニルおよび5−メチル−6−クロマニル、アダマンチル、ノルボニルおよびこれらの置換類似体、例えば、3−ブチル−ピリジン−2−イル、4−ブロモ−ピリジン−2−イル、5−カルボエトキシ−ピリジン−2−イルおよび6−メトキシエトキシ−ピリジン−2−イルがある。
いくつかの実施形態において、Gはそれぞれ独立して、置換または非置換のフェニル、ピリジル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロへプチル、ピロリル(pyrolyl)、フリル、チオフェニル、トリアゾリル、ピラゾリル、1,3−ジオキソラニルまたはモルホリニルである。これらの実施形態に含まれるものとしては、例えば、Gが非置換または置換のフェニル、シクロペンチル、シクロヘプチルまたはシクロヘキシルである実施形態が挙げられる。これらの実施形態のいくつかにおいて、Gは、シクロペンチル、シクロヘプチル、シクロヘキシル、フェニルまたは置換フェニルである。Gが置換フェニルである実施形態のうちには、例えば、1、2または3つの置換基が存在する実施形態がある。独立して、さらに、Gが置換フェニルである実施形態のうちには、例えば、置換基が、メチル、メトキシおよびハロから独立して選択される実施形態がある。
いくつかの実施形態において、R、R、RおよびRの1以上が水素である1以上のシクロプロペンが使用される。いくつかの実施形態において、RもしくはR、またはRおよびRの両方が水素である。独立して、いくつかの実施形態において、RもしくはRまたはRおよびRの両方が水素である。いくつかの実施形態において、R、RおよびRが水素である。
いくつかの実施形態において、R、R、RおよびRの1以上が、二重結合を有さない構造である。独立して、いくつかの実施形態において、R、R、RおよびRの1以上が、三重結合を有さない構造である。独立して、いくつかの実施形態において、R、R、RおよびRの1以上が、ハロゲン原子置換基を有さない構造である。独立して、いくつかの実施形態において、R、R、RおよびRの1以上が、イオン性置換基を有さない構造である。独立して、いくつかの実施形態において、R、R、RおよびRの1以上が、酸素化合物を発生できない構造である。
本発明のいくつかの実施形態において、R、R、RおよびRの1以上が、水素または(C−C10)アルキルである。いくつかの実施形態において、R、R、RおよびRのそれぞれは、水素または(C−C)アルキルである。いくつかの実施形態において、R、R、RおよびRのそれぞれは、水素または(C−C)アルキルである。いくつかの実施形態において、R、R、RおよびRのそれぞれは、水素またはメチルである。Rがメチルであり、R、RおよびRのそれぞれが水素である場合、シクロプロペンは、本明細書において「1−MCP」として識別される。
いくつかの実施形態において、1気圧において50℃以下または25℃以下または15℃以下の沸点を有するシクロプロペンが使用される。独立して、いくつかの実施形態において、1気圧において−100℃以上、−50℃以上または−25℃以上または0℃以上の沸点を有するシクロプロペンが使用される。
本発明に適用可能なシクロプロペンは、任意の方法により調製することができる。シクロプロペンの調製のいくつかの適切な方法は、米国特許第5,518,988号および第6,017,849号に開示の工程である。シクロプロペンではない任意の化合物は、本明細書において「非シクロプロペン」として識別される。
いくつかの実施形態において、本発明の1以上の組成物は、少なくとも1つのイオン性錯化剤を含む。イオン性錯化剤はシクロプロペンと相互作用して、水中で安定な錯体を形成する。いくつかの適切なイオン性錯化剤としては、例えば、リチウムイオンが挙げられる。いくつかの実施形態において、非イオン性錯化剤が使用される。
いくつかの実施形態において、本発明の組成物はいずれの分子カプセル化剤も含まない。他の実施形態において、本発明の1以上の組成物は、少なくとも1種の分子カプセル化剤を含む。
分子カプセル化剤が使用される場合、適切な分子カプセル化剤としては、例えば、有機および無機の分子カプセル化剤が挙げられる。適切な有機分子カプセル化剤としては、例えば、置換シクロデキストリン、非置換シクロデキストリンおよびクラウンエーテルが挙げられる。適切な無機分子カプセル化剤としては、例えば、ゼオライトが挙げられる。適切な分子カプセル化剤の混合物もまた適切である。本発明のいくつかの実施形態において、カプセル化剤はアルファ−シクロデキストリン、べータ−シクロデキストリン、ガンマ−シクロデキストリンおよびこれらの混合物が挙げられる。本発明のいくつかの実施形態において、特に、シクロプロペンが1−メチルシクロプロペンである場合、カプセル化剤はアルファ−シクロデキストリンである。好ましいカプセル化剤は、使用されるシクロプロペン(複数可)の構造に依存して変動するものである。任意のシクロデキストリンもしくはシクロデキストリンの混合物、シクロデキストリンポリマー、修飾シクロデキストリンまたはこれらの混合物もまた、本発明に従って利用することができる。いくつかのシクロデキストリン、例えば、Wacker Biochem Inc.,Adrian,MIまたはCerestar USA,Hammond,IN、ならびに他の販売業者から入手可能なシクロデキストリンが利用可能である。
分子カプセル化剤が存在する実施形態のいくつかにおいて、少なくとも1種の分子カプセル化剤が、1以上のシクロプロペンをカプセル化する。分子カプセル化剤の分子中にカプセル化されたシクロプロペンまたは置換シクロプロペン分子は、本明細書において、「シクロプロペン・分子カプセル化剤錯体」として識別される。シクロプロペン・分子カプセル化剤の錯体は、任意の手段により調製することができる。1つの調製方法において、例えば、このような錯体は、シクロプロペンと、分子カプセル化剤の溶液またはスラリーとを接触させ、その後、例えば、米国特許第6,017,849号に開示の方法を使用して錯体を単離することによって調製される。例えば、1−MCPが分子カプセル化剤中にカプセル化された複合体の作製方法の1つにおいて、1−MCPガスを、アルファ−シクロデキストリンの水溶液を通して泡立たせ、そこから錯体をまず沈殿させ、その後ろ過により単離する。いくつかの実施形態において、錯体は上記の方法により作られ、単離後、乾燥され、後に有用な組成物に加えるための固体形態、例えば、粉末で保存される。
いくつかの実施形態において、1以上の分子カプセル化剤および1以上のシクロプロペンが組成物中に両方存在し、このような実施形態のいくつかにおいて、分子カプセル化剤の量は、分子カプセル化剤のモル対シクロプロペンのモルの比により有用に特徴付けることができる。いくつかの実施形態において、分子カプセル化剤のモル対シクロプロペンのモルの比は、0.1以上または0.2以上または0.5以上または0.9以上である。独立して、このような実施形態のいくつかにおいて、分子カプセル化剤のモル対シクロプロペンのモルの比は、2以下または1.5以下である。
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は摘果剤を含まない。
本発明の実践において、組成物は、さまざまな方法で植物と接触させることができる。例えば、本発明の組成物は、固体、液体、気体またはこれらの混合物であってよい。
いくつかの実施形態において、植物を、気体である少なくとも1種の本発明の組成物と接触させる。このような実施形態の中では、処理される植物が、本発明の組成物が加えられた正常な大気圧(およそ1気圧)に囲まれると企図される。いくつかの実施形態において、シクロプロペンの濃度は、0.1nl/l(すなわち、ナノリットル/リットル)以上、または1nl/l以上または10nl/l以上または100nl/l以上である。独立して、いくつかの実施形態において、シクロプロペンの濃度は、3,000nl/l以下または1,000nl/l以下である。
いくつかの実施形態において、本発明の実践は、1以上の液体組成物を伴う。いくつかの実施形態において、液体組成物は、25℃において液体である。いくつかの実施形態において、液体組成物は、組成物が植物の処理に使用される温度において液体である。植物は、多くの場合任意の建物の外側で処理されるので、植物は、1℃から45℃の範囲の温度において処理される場合があり、適切な液体組成物は全温度範囲にわたって液体である必要はないが、適切な液体組成物は、1℃から45℃のある温度において液体である。
本発明の液体組成物は、単一の純粋物質であっても、または複数の物質を含有してもよい。液体組成物が複数の物質を含有する場合、その液体組成物は、溶液または分散液あるいはこれらの組み合わせであってよい。液体組成物において、1種の物質が、別の物質中に分散液の形態で分散している場合、分散液は、例えば、懸濁液、ラテックス、エマルジョン、ミニエマルジョン、マイクロエマルジョンまたはこれらの任意の組み合わせを含む、任意のタイプの分散液であってよい。
本発明の組成物が液体である実施形態の中では、組成物中のシクロプロペンの量は、組成物のタイプおよび意図される使用方法に依存して大きく変動してよい。いくつかの実施形態において、シクロプロペンの量は、組成物の全重量に基づき、4重量%以下または1重量%以下または0.5重量%以下または0.05重量%以下である。独立して、いくつかの実施形態において、シクロプロペンの量は、組成物の全重量に基づき、0.000001重量%以上または0.00001重量%以上または0.0001重量%以上または0.001重量%以上である。
水を含有する本発明の組成物を使用する本発明の実施形態の中では、シクロプロペンの量は、百万分率(すなわち、シクロプロペンの重量部/組成物中の水1,000,000重量部「ppm」)または十億分率(すなわち、シクロプロペンの重量部/組成物中の水1,000,000,000重量部「ppb」)として特徴付けることができる。いくつかの実施形態において、シクロプロペンの量は、1ppb以上または10ppb以上または100ppb以上である。独立して、いくつかの実施形態において、シクロプロペンの量は、10,000ppm以下または1,000ppm以下である。
いくつかの実施形態において、シクロプロペンのいくらかまたはすべてが1以上のカプセル化剤中にカプセル化された液体である本発明の組成物が使用される。
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、1以上の金属−錯化剤を含まない。いくつかの実施形態において、本発明の1以上の組成物は、1以上の金属−錯化剤を含む。
1以上の液体組成物が使用される実施形態の中では、このような実施形態のいくつかにおいて、1以上の金属−錯化剤が、1以上の液体組成物に含まれてもよい。金属−錯化剤は、金属原子と配位結合を形成可能な化合物である。いくつかの金属−錯化剤はキレート剤である。本明細書において使用する場合、「キレート剤」は、キレート剤の各分子が、単一の金属原子と2以上の配位結合を形成可能な化合物である。金属−錯化剤は、金属原子との配位結合に参加する電子供与体原子を含有するので、いくつかの金属−錯化剤は、金属原子と配位結合を形成する。適切なキレート剤としては、例えば、有機および無機のキレート剤が挙げられる。適切な無機キレート剤のうちには、例えば、ホスフェート、例えばピロリン酸四ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムおよびヘキサメタリン酸がある。適切な有機キレート剤のうちには、大環状構造および非大環状構造を有する有機キレート剤がある。適切な大環状有機キレート剤のうちには、例えば、ポルフィン化合物、環状ポリエーテル(クラウンエーテルとも呼ばれる)および窒素および酸素原子の両方を含む大環状化合物がある。
非大環状構造を有するいくつかの適切な有機キレート剤は、例えば、アミノカルボン酸、1,3−ジケトン、ヒドロキシカルボン酸、ポリアミン、アミノアルコール、芳香族複素環塩基、フェノール、アミノフェノール、オキシム、Shiff塩基、イオウ化合物およびこれらの混合物である。いくつかの実施形態において、キレート剤は、1以上のアミノカルボン酸、1以上のヒドロキシカルボン酸、1以上のオキシムまたはこれらの混合物を含む。いくつかの適切なアミノカルボン酸としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、N−ジヒドロキシエチルグリシン(2−HxG)、エチレンビス(ヒドロキシフェニルグリシン)(EHPG)およびこれらの混合物が挙げられる。いくつかの適切なヒドロキシカルボン酸としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、5−スルホサリチル酸(sulfoslicylic acid)およびこれらの混合物が挙げられる。いくつかの適切なオキシムとしては、例えば、ジメチルグリオキシム、サリチルアルドキシムおよびこれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、EDTAが使用される。
いくつかのさらなる適切なキレート剤はポリマーキレート剤である。いくつかの適切なポリマーキレート剤としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリメタクリロイルアセトン、ポリ(アクリル酸)およびポリ(メタクリル酸)が挙げられる。ポリ(アクリル酸)が、いくつかの実施形態において使用される。
キレート剤ではないいくつかの適切な金属−錯化剤は、例えば、アルカリカーボネート、例えば、炭酸ナトリウムなどである。
金属−錯化剤は、中性形態または1以上の塩の形態で存在してよい。適切な金属−錯化剤の混合物もまた適切である。
本発明のいくつかの実施形態において、本発明の組成物は水を含有しない。他の実施形態において、本発明の組成物は水を含有し、このような実施形態のいくつかにおいて、水は、1以上の金属イオン、例えば、鉄イオン、銅イオン、他の金属イオンまたはこれらの混合物を含有する。いくつかの実施形態において、水は、0.1ppm以上の1以上の金属イオンを含有する。
1以上の金属−錯化剤を使用する実施形態の中では、使用する金属−錯化剤の量は、大幅に変動してよい。少なくとも1種の液体組成物が使用されるいくつかの実施形態において、その液体組成物中の金属−錯化剤の量は、金属−錯化剤を含有する液体組成物中に存在する、または存在すると予測される金属イオンの量と、錯体を形成するために十分なように調整される。例えば、いくらかの金属イオンを含有する水を含む、本発明の液体組成物が使用されるいくつかの実施形態において、比較的効率的な金属−錯化剤(すなわち、金属−錯化剤が、水中のすべての、またはほぼすべての金属イオンと錯体を形成すると思われる)が使用される場合、金属−錯化剤のモル対金属イオンのモルの比は、0.1以上または0.2以上または0.5以上または0.8以上であると思われる。比較的効率的な金属−錯化剤を使用するこのような実施形態の中では、金属−錯化剤のモル対金属イオンのモルの比は、2以下または1.5以下または1.1以下であると思われる。あまり効率的でない金属−錯化剤が使用される場合、金属−錯化剤のモル対金属イオンのモルの比は、効率の低さを補うために増加し得ることが企図される。
独立して、液体組成物が使用されるいくつかの実施形態において、金属−錯化剤の量は、液体組成物の全重量に基づき、25重量%以下または10重量%以下または1重量%以下である。独立して、いくつかの実施形態において、金属−錯化剤の量は、液体組成物の全重量に基づき、0.00001%以上または0.0001%以上または0.01%以上である。
独立して、水を含む液体組成物が使用されるいくつかの実施形態において、金属−錯化剤の量は、水中の金属−錯化剤のモル濃度(すなわち、金属−錯化剤のモル/リットル水)により有用に特徴付けられ得る。このような液体組成物のいくつかにおいて、金属−錯化剤の濃度は、0.00001mM(すなわちミリモル)以上または0.0001mM以上または0.001mM以上または0.01mM以上または0.1mM以上である。独立して、本発明の液体組成物が水を含むいくつかの実施形態において、金属−錯化剤の濃度は、100mM以下または10mM以下または1mM以下である。
本発明のいくつかの実施形態において、1以上の補助剤もまた、本発明の組成物に含まれる。補助剤の使用は、本発明の実践において任意選択であると考えられる。補助剤は、単独で使用されても、または任意の組み合わせで使用されてもよい。複数の補助剤が使用される場合、1またはそれ以上の補助剤の任意の組み合わせが使用可能であると企図される。いくつかの適切な補助剤は、界面活性剤、アルコール、油、増量剤、顔料、充填剤、結合剤、可塑剤、滑剤、湿潤剤、展着剤、分散剤、粘着剤、接着剤、消泡剤、増粘剤、輸送剤および乳化剤である。
いくつかの実施形態において、アルコール、油およびこれらの混合物から選択される少なくとも1種の補助剤を含有する本発明の組成物が使用され、このような組成物は、1以上の界面活性剤をさらに含んでもよく、または含まなくてもよい。
1以上の液体組成物が使用される実施形態の中では、例えば、下記の液体組成物:1以上の界面活性剤を含有するが油およびアルコールは含有しない液体組成物;1以上の油を含有するが、界面活性剤およびアルコールは含有しない液体組成物;ならびに1以上のアルコールを含有するが、界面活性剤および油は含有しない液体組成物、の任意の1以上の使用を含むさまざまな実施形態が企図される。いくつかの実施形態において、それぞれが、1以上の界面活性剤および1以上の油を含有する1以上の液体組成物が使用されるか、またはそれぞれが、1以上の界面活性剤および1以上のアルコールを含有する1以上の液体組成物が使用される。いくつかの実施形態において、それぞれが、1以上の界面活性剤、1以上の油および1以上のアルコールを含有する1以上の液体組成物が使用される。
1以上の液体組成物が使用される実施形態の中では、いくつかの液体組成物中に1以上のアルコールが使用される。適切なアルコールとしては、例えば、アルキルアルコールおよび他のアルコールが挙げられる。本明細書において使用する場合、アルキルアルコールは、1つのヒドロキシル基を含むアルキル化合物であり、アルキル基は直鎖、分枝型、環状またはこれらの組み合わせであってよく、アルコールは、第1級、第2級または第3級であってよい。いくつかの実施形態において、2以上の炭素原子を含むアルキル基を有するアルキルアルコールが使用される。いくつかの実施形態において、エタノール、イソプロパノールまたはこれらの組み合わせが使用される。いくつかの実施形態において、20以下の炭素原子または10以下の炭素原子または6以下の炭素原子または3以下の炭素原子を含むアルキル基を有する1以上のアルキルアルコールが使用される。
アルコールを使用する液体組成物の中では、いくつかの液体組成物は、アルコールを、液体組成物の全重量に基づき、0.25重量%以上または0.5重量%以上または1重量%以上の量で使用する。アルコールを使用する液体組成物の中では、いくつかの液体組成物は、アルコールを、液体組成物の全重量に基づき、90重量%以下または50重量%以下または10重量%以下または5重量%以下または4重量%以下または3重量%以下の量で使用する。
本明細書において使用する場合、「植物」という語句は、双子葉類植物および単子葉類植物を含む。いくつかの植物は、1以上の植物部位が有用な生産物であるとみなされる場合、このような部位を刈り入れる目的で栽培される。このような植物は本明細書において「作物植物」として識別される。このような有用な植物部位の刈り入れは、収穫として識別される。本発明の実践において、有用な植物部位を生産する植物を、有用な植物部位の収穫前に、本明細書の組成物により処理する。このような実施形態において、使用されるそれぞれの組成物を、使用可能な任意の他の組成物とは独立して、植物のすべての部分またはいくつかの部分と接触させる。組成物を植物の一部分と接触させる場合、その部分は、収穫が意図される有用な植物部位を含んでもよく、または含まなくてもよい。
本発明の実践において、少なくとも1つの処理は、任意の有用な植物部位が収穫される前に、作物植物に実施される。多くの作物植物の成長および発育過程を、特定の発育段階により記載することができる。例えば、多くの作物植物は、栄養成長段階、続く生殖成長段階を通して発育する。いくつかの実施形態において、作物植物を、1以上の栄養成長期の間に1回以上、本発明の組成物と接触させる。独立して、いくつかの実施形態において、作物植物を、1以上の生殖成長段階の間に1回以上、本発明の組成物と接触させる。作物植物を、1以上の栄養成長期の間に1回以上、本発明の組成物と接触させ、さらに1以上の生殖成長段階の間に1回以上、本発明の組成物と接触させる実施形態もまた企図される。いくつかの作物植物は、それらの生殖成長段階の後で、熟成段階を通して発育し、いくつかの実施形態において、このような作物植物を1以上の本発明の組成物と、1以上の他の成長段階(複数可)の間の接触に加えて、またはその代わりのいずれかで、1以上の成熟段階の間に1回以上接触させることが企図される。いくつかの実施形態において、本発明の植物または作物植物は、種子トウモロコシおよび同系交配トウモロコシ生産物を含む。
いくつかの作物植物は、栄養過程および生殖過程を同時に通して発育する。このような作物植物を、発芽後であるが収穫前に1回以上本発明の1以上の組成物と接触させることが企図される。
いくつかの特定の作物植物に関して、作物の収量を最大に改善するための、本発明の組成物との接触を実施する最適な段階(複数可)があり得ることが企図される。このような最適な段階(複数可)は、作物植物のそれぞれのタイプに対して異なることがあり、このような最適な段階(複数可)は、場合により、特定の成長条件に依存し得ることが企図される。
いくつかの実施形態において、作物植物の群を、ある所望の発育段階において接触させることが企図される。このような場合、このような接触は、所望の発育段階に到達した植物の数対群の植物の総数の比が、少なくとも0.1または少なくとも0.5または少なくとも0.75または少なくとも0.9である(すなわち、所望の発育段階に到達した植物の割合が、少なくとも10%または50%または75%または90%である)時に実施することができることが企図される。
例えば、トウモロコシ植物もまた、栄養成長段階、続く生殖成長段階を通して発育する。トウモロコシ植物の栄養成長段階は、VE(出芽)、V1(第一葉の発生)、VN(N番目の葉の発生)、VNMAX(最後の葉の発生)およびVT(タッセリング)を含む。これらの栄養成長段階の1つはV5であり、この段階は、5番目の葉が発生した時に始まる。これらの栄養成長段階の別の段階はV12であり、この段階は12番目の葉が発生した時に始まる。トウモロコシ植物の生殖成長段階は、R1(シルキング)、R2(ブリスター(blister))、R3(ミルク)、R4(ドウ)、R5(デント)、R6(成熟)を含む。いくつかの実施形態において、トウモロコシ植物を、V5(5番目の葉が発生)、V12(12番目の葉が発生)、VT、R3のいずれかの間もしくは後、またはV6、V12、VTおよびR3の2以上の任意の組み合わせの間または後に、本発明の1以上の組成物と接触させる。独立して、いくつかの実施形態において、トウモロコシ植物を、V12の間、VTの間およびR3の間に、本発明の1以上の組成物と接触させる。独立して、いくつかの実施形態はトウモロコシ植物に、前記トウモロコシ植物の少なくとも10%が、5番目の葉が完全に広がる発育段階に到達後、または前記トウモロコシ植物の少なくとも10%が、12番目の葉が完全に広がる発育段階に到達後、少なくとも1種のシクロプロペンを含む少なくとも1種の液体組成物を1回以上噴霧する工程を伴う。
適切な処理は、畑、庭、建物(例えば温室など)または別の場所に植えられた植物に実施することができる。適切な処理は、開放地、1以上の容器(例えば、植木鉢、プランターまたは花瓶など)、区切られた苗床もしくは***した苗床または他の場所に植えられた植物に実施することができる。
いくつかの実施形態において、処理は、建物以外の場所にある植物に実施される。
いくつかの実施形態において、植物は、例えば植木鉢、浅い箱または持ち運び可能な苗床などの容器において成長している間に処理される。いくつかのこのような場合において、処理された植物がその後開放地に移植される場合、処理された植物は、未処理の植物よりも移植のストレスに耐性である。いくつかの実施形態において、移植ストレスに対するこのような耐性は、作物収量の改善につながり得る。例えば、本発明の実践に従って処理され、移植されたトマトは、未処理トマト植物と比較して、移植ストレスに対する耐性の改善および作物収量の改善を示す場合がある。
いくつかの実施形態において、シクロプロペンの量は、処理される特定の作物に適切であるように選択される。例えば、作物植物がトウモロコシまたはダイズである実施形態のいくつかにおいて、シクロプロペンの量は、500g/ha以下または250g/ha以下または100g/ha以下または50g/ha以下である。別の実施例に関して、作物植物が綿花である実施形態のいくつかにおいて、シクロプロペンの量は、50g/ha以上または100g/ha以上または200g/ha以上である。
本発明のいくつかの実施形態において、植物の群は、同時または連続して処理される。のこのような植物群の1つの特徴は作物収量であり、作物収量は、所定の植物群から収集される有用な植物部位の量(本明細書において「作物量」と呼ばれる)として定義される。作物収量の有用な定義の1つにおいて、所定の植物群は、土地の一定面積を占める群である(この定義は多くの場合、植物が畑において連続した群で成長している場合に使用される)。作物収量の別の有用な定義において、所定の植物群は、特定の数の個別に特定された植物(この定義は、例えば畑、植木鉢、温室またはこれらの任意の組み合わせにある植物を含む、植物の任意の群に関して使用することができる)である。
作物量は、さまざまな方法で定義することができる。本発明の実践において、作物量は、例えば、下記の方法のいずれかにより測定することができる:重量、体積、収穫された植物部位の数またはバイオマス。また、作物量を、作物中の特定の成分(例えば、糖、デンプンまたはタンパク質など)の量として測定する方法も企図される。さらに、作物量を、特定の特徴(例えば、赤味など、赤味はトマトの作物量を測定するために使用される場合がある)として測定する方法が企図される。さらに、作物量を、収穫された植物部位の特定の部分の量として測定する方法が企図される(例えば、穀粒の数、穀粒の重量など、これらは、トウモロコシの作物量を測定するために使用される場合がある;または綿毛の重量、綿毛の重量は、綿花作物の量を測定するために使用される場合がある)。
いくつかの実施形態において、作物収量は、作物量/土地の単位面積として定義される。すなわち、作物が収穫された土地面積を測定して、作物量を土地面積で割って、作物収量を計算する。例えば、収穫された植物部位の重量として測定された作物量は、重量/面積(例えば、キログラム/ヘクタール)として報告される作物収量を導く。
いくつかの実施形態において、作物量に寄与する収穫された植物部位は、そのタイプの植物部位に適切な最低品質基準を満たす植物部位であることが企図される。すなわち、植物部位が、特定の植物から収穫される場合、その作物量は、例えば、それらの植物から収穫された許容可能な品質の植物部位の重量である。許容可能な品質は、対象となる植物部位を収穫または扱うヒトにより使用される一般的基準のいずれかにより決定され得る。植物部位の許容可能な品質のこのような基準は、例えば、サイズ、重量、堅さ、打撲に対する耐性、風味、糖/デンプンのバランス、色、美観、他の品質基準またはこれらの任意の組み合わせの1以上であってよい。また、品質の基準が、単独または前述の基準のいずれかとの組み合わせのどちらかで、植物部位が、(前述の基準のいずれかにより判定される)その品質を維持する時間であることが企図される。
本発明のいくつかの実施形態において、本発明の方法による植物群の処理は、その植物群の作物収量を、植物が本発明の方法により処理されなかった場合にその植物の群から得られたであろう作物収量と比較して、増加させる。作物収量の増加は、非常にさまざまな方法のいずれかで得ることができる。例えば、作物収量の増加を得ることができる1つの方法は、各植物がより大量の有用な植物部位を生産できることである。別の例として、作物収量の増加を得ることができる1つの方法は、有用な植物部位がそれぞれ、より高重量を有し得ることである。第3の例としては、より多数の有用な可能性のある植物部位が、許容可能な品質に関する最低基準を満たすことができる場合、作物収量が増加し得る。さらに、作物収量を増加させる他の方法は本発明の実践からもたらされ得る。また、複数の方法の任意の組み合わせにより起こる作物収量の増加が企図される。
本発明のいくつかの実施形態を実践することの別の企図される利益は、作物の全体品質が改善可能なことである。すなわち、本発明の方法により生産される作物は、その作物に適切な品質基準により判断して、本発明の方法を実践せずに生産された比較可能な作物より高い全体的品質レベルまたは平均的品質レベルを有し得る。場合により、このような高品質作物は、高値で売ることができる。
本発明の実践により引き起こされる作物収量の改善は、任意の機序により発生する。すなわち、本発明の実践は、いくつかの実施形態において、植物の発育、成熟、成長または生殖のいくつかの過程において改善を引き起こすことができ、このよう過程のこのような改善は、今度は、作物収量の改善を引き起こすことができる。例えば、本発明の実践は、下記の過程のいずれか1つまたは任意の組み合わせにおいて改善を引き起こすことができる:受粉の同期化(すなわち、植物が花粉を発する期間とその植物が花粉を受け取り、受精可能になる期間との間の一致)、光合成、窒素蓄積、葉の老化または青葉の時期遅れの発生。光合成が改善される実施形態のいくつかにおいて、光合成の改善が、二酸化炭素の吸収の増加として観察することができる。独立して、いくつかの実施形態において、病害耐性もしくは干ばつ耐性もしくは耐霜性もしくは熱耐性またはこれらの組み合わせの改善のため、作物収量の改善が起こり得る。
いくつかの作物(例えばトウモロコシなど)において、本発明の実践が気孔閉鎖を引き起こし、気孔閉鎖が植物に干ばつに対するその耐性をもたらすので、干ばつ耐性およびその結果得られる作物収量の改善が生じることが企図される。独立して、いくつかの作物(例えば、コムギなど)は、本発明の実践に使用した場合、耐霜性の改善を経験する。独立して、いくつかの作物(例えば、コムギおよびブドウなど)は、本発明の実践に使用した場合、病害耐性の改善を経験する。
いくつかの実施形態において、作物収量の改善は、葉、花または結実構造(例えば、鞘、莢または果実それ自体など)の1以上の落下の遅延のために起こり得る。いくつかの実施形態において、作物収量の改善は、根の根粒形成の強化のために起こり得、根の根粒形成は、特定の作物、例えばダイズなどにおいて起こる場合がある。
本発明の実践が上記の過程の1以上に改善をもたらしても、またはもたらさなくても、いくつかの実施形態において、本発明の実践は、下記の1以上の改善につながる:バイオマス体積、バイオマスの品質、果実の増加、(所望であれば)果実サイズの増大、(所望であれば)果実サイズの縮小、収穫タイミング(所望に応じて早くまたは遅く)、落果の減少、細胞膨張の減少、朽葉の減少、ストレス応答の低下、創傷応答の低下、収穫された植物部位の貯蔵障害の減少、収穫された植物部位の貯蔵寿命の延長、頂芽優性、離脱予防、老化予防、黄変予防、成長の間の生長力の改善、輸送の間の生長力の改善、移植の間の生長力の改善およびこれらの組み合わせ。
いくつかの実施形態において、例えば、改善が作物の重量/土地の単位面積における増加である場合、作物収量の改善は収穫時に明らかである。いくつかの実施形態において、作物収量の改善は、作物が貯蔵された後のある時に観察される。すなわち、場合により、作物収量は、貯蔵後に小売市場に届けられる高品質作物の量として測定される。本発明のいくつかの実施形態は、収穫後倉庫に入れることができ、その後、以前に得ることができた品質より高品質で倉庫から出される作物をもたらす作物植物の収穫前接触を伴うことが企図される。
実施例1
代表的な販売可能単位 対 AP2(ストレス負荷場所)における処理を図1に示す。統計的に有意ではないが、AP2におけるAFxRD−038のVTでの施用により得られる販売可能単位はほぼ15%増加する。
場所AP2内のフラット対ラウンドの代表な比較を図2に示す。統計的に有意ではないが、AFxRD−038の施用によるフラット種子の百分率が増加傾向にある。
いずれの区画においてもAFxRD−038の施用から観察される目に見える植物毒性効果は存在しない。
場所による種子形成のほぼすべてに有意差があるが、処理に関して統計的有意差はない。場所AP2のストレス負荷が大きいほど、収量は少なくなり、種子は少なく、小さくおよびフラットで発芽がわずかに少なくなった。
場所AP2におけるAFxRD−038のVT施用により、フラットな種子が多くなり、生産される種子の販売可能単位/エーカーが多くなる(約15%)傾向がある。販売可能単位の増加は、フラットな種子が多くなり、大きくラウンドな種子が少なくなった結果であると思われる。
実施例2
ハイブリッド種子トウモロコシ生産物におけるAFxRD−038の効果を示す同様の実験を実施し、結果を図3−10に要約する。本研究の目的は、AFxRD−038の施用が、ハイブリッド種子生産の種子収量にプラスの効果を有するかどうかを決定することである。
ハイブリッド種子生産におけるAFxRD−038による処理は、価値の上昇の可能性があり、植物毒性または有害な効果のリスクがほとんどないことを示している。価値の上昇は、ストレスが負荷された生産条件下の種子/エーカーの増加により可能であると思われる。使用した処理は下記のとおりである:
(1)AFxRD−038、25gm/ha、V5
(2)AFxRD−038、25gm/ha、VT(雄穂除去の直前)
(3)UTC
2回反復、区画は15フィート(4列が雌穂+2列が雄穂)×長さ50フィートである。
観察は下記のパラメーターを含む:植物毒性、白化、壊死、植物の高さの減少、開花およびシルキングの日付 対 UTC、葉の老化、実を結ばない茎の%、収量、水分%、穀粒の列の数、試験重量、種子1000粒の重量、種子のサイズ分布および発芽(温暖、低温および高齢)。
場所は、(1)AP1:基本的にストレスが無く、灌漑されている;および(2)AP2:高度にストレスが負荷され灌漑もされていない;を含む。
生産物
生成物の施用のマイナス効果は、いずれの場所のいずれの処理においても観察されない。開花の特徴(受粉の日付およびシルキングの日付)に差は観察されず、作物の成熟にも差は観察されなかった。
収量:試験場所の代表的の収量比較を図3Aに示す。AP2の全収量は、シーズンの間の環境的および生物的ストレスのため有意に減少している。AP2は、干ばつおよび高温、雹害およびその後のマメコガネの発生を経験した。AP1における穀物収量は、種子生産場に関して非常に量が多く、時宜にかなった灌漑により強化されている。場所AP1およびAP2の全域にわたる処理の代表的な収量比較を図3Bに示す。場所の全域にわたって組み合わせたデータは、全収量のいくらかの減少を示すが、UTCと比較して処理区画において統計的に有意ではない。AP2における処理間の代表的収量比較を図3Cに示す。VTのタイミングにおいて処理された区画は、UTCおよびV5のタイミングと比較して収量の増加を有するが、統計的有意性はない。
収穫時の穀物水分:AP1とAP2との間の収穫時の穀物水分の代表的な比較を図4Aに示す。AP2における穀物は、AP2における穀物が有する水分より、収穫時に有意に高い水分を有する。穀物収穫は、10月6日まで遅れる(種子収穫が行われた約3週間後)。水分の増加は、植物の健康不良およびストレスの結果と思われる。処理間の穀物水分に関する代表的比較を図4Bに示す。穀物水分に関して処理間に差は観察されない。
試験重量および粒重:AP1とAP2との間の代表的な試験重量の比較を図5Aに示す。AP1由来の穀物の試験重量は、AP2由来の穀物の試験重量より有意に少ない。場所の全域にわたる処理間の代表的試験重量比較を図5Bに示す。場所の全域にわたって要約した場合、処理に関して試験重量に有意差はない。場所内の処理間の代表的な試験重量の比較を図5Cに示す。場所AP2においてVTでの処理は、試験重量がわずかに低いと思われるが、各場所から単一の試料を分析しただけなので、有意性は不明である。
1000(1k)粒重:場所間の代表的1000(1k)粒重の比較を図6Aに示す。AP1の粒重は、AP2由来の粒重よりも有意に大きい。より低い粒重は、おそらくAP2におけるストレス条件の結果であると思われる。処理間の代表的な1000(1k)粒重の比較を図6Bに示す。処理に関する粒重の有意差は無い。場所内の処理間の代表的な1000(1k)粒重の比較を図6Cに示す。場所当たり単一試料だけを分析したので、有意差は不明であるが、AFxRD−038の施用によりAP2における粒重が低い傾向があると思われる。
80kの穀粒バッグの重量:場所間の代表的な80Kの穀粒バッグの重量比較を図7Aに示す。試験重量および粒重から予測したように、AP2由来の種子はAP1由来の種子より有意に軽い。処理間の代表的な80kの穀粒バッグの重量比較を図7Bに示す。場所の全域にわたって要約した場合、処理に関してバッグの重量に有意な差はない。場所内の処理間の代表的な80kの穀粒バッグの重量比較を図7Cに示す。処理に関してバッグ重量に有意差はない。
種子のサイズ分布:場所間の代表的な種子サイズ分布の比較を図8Aに示す。統計的に有意ではないが、場所AP1においてより大きな種子およびよりラウンドな種子の傾向がある。この傾向は、場所AP2においてはよりフラットな種子に向かっている。処理に関する種子サイズ分布の代表的な比較を図8Bに示す。いずれの比較も統計的に有意ではないが、AFxRD−038の施用により、種子はより小さくよりフラットになる傾向がある。場所の全域にわたる処理間の、フラット対ラウンドの代表的な比較を図8Cに示す。統計的に有意ではないが、AFxRD−038の施用により、フラット種子の百分率が増加する傾向がある。場所AP2内のフラット対ラウンドの代表的な比較を図8Dに示す。統計的に有意ではないが、AFxRD−038の施用により、フラット種子の百分率が増加する傾向がある。
発芽:(場所の全域わたる)処理間の、温暖、低温および高齢の発芽%を図9Aに示す。処理に関する発芽への影響はないと思われる。(場所内の)処理間の、温暖、低温および高齢の発芽%の比較を図9Bに示す。AP2における処理に関して温暖または低温の発芽に影響はないと思われる。しかし、AFxRD−038の施用により、おそらくAAの発芽の減少がある。場所ごとに単一試料を分析しただけなので、したがって統計的有意性は不明である。さらに、すべての発芽は、種子に要求される90%臨界値を超えている。
販売可能単位数/エーカー:場所間の販売可能単位数/エーカーの代表的結果を図10Aに示す。予測通りに、AP1(非ストレス負荷)において得られた販売可能単位が、AP2と比較して有意に多い。AP2(ストレス負荷場所)における販売可能単位 対 処理の代表的結果を図10Bに示す。統計的に有意ではないが、AP2においてVTでの施用により得られた販売可能単位がほぼ15%増加した。
結論:いずれの区画においてもAFxRD−038の施用により目に見える植物毒性効果は観察されない。場所により種子形成のほぼすべてに有意差があるが、処理に関して統計的有意差はない。場所AP2のストレス負荷が大きいほど、収量は少なくなり、種子は少なく、小さくおよびフラットで発芽がわずかに少なくなった。場所AP2におけるAFxRD−038のVTでの施用により、フラット種子が多くなり、生産される種子の販売可能単位/エーカーが多くなる(約15%)傾向がある。販売可能単位の増加は、フラットな種子が多くなり、大きくラウンドな種子が少なくなった結果であると思われる。

Claims (14)

  1. 複数の植物により生産される作物の収量を改善する方法であって、
    前記植物を、少なくとも1種のシクロプロペン化合物を含む組成物と接触させる工程を含み、接触が、植物が建物内以外の場所にある間に実施され、作物がストレスに感受性である、
    方法。
  2. 組成物が液体である、請求項1に記載の方法。
  3. 組成物が、シクロプロペン化合物と分子カプセル化剤との錯体を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 少なくとも1種のシクロプロペン化合物が、1−メチルシクロプロペン(1−MCP)を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 分子カプセル化剤が、アルファ−シクロデキストリン、ベータ−シクロデキストリン、ガンマ−シクロデキストリンまたはこれらの組み合わせから選択される、請求項3に記載の方法。
  6. ストレスが、非生物的ストレスを含む、請求項1に記載の方法。
  7. ストレスが、環境的ストレスを含む、請求項1に記載の方法。
  8. 環境的ストレスが、干ばつおよび/または熱を含む、請求項6に記載の方法。
  9. ストレスが、機械的ストレスを含む、請求項1に記載の方法。
  10. 作物が、同系交配トウモロコシ系統を含む、請求項1に記載の方法。
  11. 接触が、作物の雄穂形成および/または受粉の間に実施される、請求項1に記載の方法。
  12. 接触が、作物の早期から中期栄養成長期の間に実施される、請求項1に記載の方法。
  13. 収量が種子生産を含む、請求項1に記載の方法。
  14. 収量が少なくとも10%改善される、請求項1に記載の方法。
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