発明の詳細な説明
本明細書では、ヒトToll様受容体(TLR)阻害剤、および個体におけるTLR7、TLR8、および/またはTLR9依存性免疫応答の阻害における使用のための方法が提供される。一部の実施形態では、個体は、自己免疫疾患または炎症性障害を有する。本開示のTLR阻害剤は、TLR7、TLR8、およびTLR9のうちの1または複数に対する阻害性モチーフを含むポリヌクレオチドである。本明細書では、本開示の以下の態様:一般的技法;定義、組成物、方法、およびキットについて、より詳細に記載する。
I.一般的技法
本開示の実施では、別段に指し示されない限りにおいて、当技術分野の範囲内にある、分子生物学(組換え法を含む)、微生物学、細胞生物学、化学、生化学、および免疫学の従来の技法を援用する。このような技法は、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版(Sambrookら.、1989); Oligonucleotide Synthesis (Gait編,1984); Animal Cell Culture (Freshney編, 1987); Handbook of Experimental Immunology (Weir & Blackwell編); Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (Miller & Calos編,1987); Current Protocols in Molecular Biology (Ausubelら.編,1987); PCR: The Polymerase Chain Reaction (Mullisら編,1994); Current Protocols in Immunology (Coliganら編,1991); The Immunoassay Handbook (Wild編,Stockton Press NY, 1994); Bioconjugate Techniques (Hermanson編,Academic Press, 1996); and Methods of Immunological Analysis (Masseyeff, Albert, and Staines編,Weinheim: VCH Verlags gesellschaft mbH, 1993)などの文献において十分に説明されている。
II.定義
「核酸」、「ポリヌクレオチド」、および「オリゴヌクレオチド」という用語は、互換的に使用され、一本鎖DNA(ssDNA)、二本鎖DNA(dsDNA)、一本鎖RNA(ssRNA)および二本鎖RNA(dsRNA)、修飾ポリヌクレオチド、およびポリヌクレオシド、またはこれらの組合せを含む。ポリヌクレオチドは、直鎖状の場合もあり、分枝状の場合もあり、環状に構成される場合もあり、ポリヌクレオチドは、1または複数の直鎖状セグメント、分枝状セグメント、および/または環状セグメントを含有する場合もある。ポリヌクレオチドとは、一般に、ホスホジエステル連結を介してつなぎ合わされたヌクレオシドのポリマーであるが、また、ホスホロチオエートエステルなどの代替的な連結も使用することができる。ヌクレオシドは、糖に結合したプリン(アデニン(A)もしくはグアニン(G)、またはこれらの誘導体)塩基またはピリミジン(チミン(T)、シトシン(C)、もしくはウラシル(U)、またはこれらの誘導体)塩基からなる。DNA内の4つのヌクレオシド単位(または塩基)は、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、チミジン、およびデオキシシチジンと呼ばれる。RNA内の4つのヌクレオシド単位(または塩基)は、アデノシン、グアノシン、ウリジン、およびシチジンと呼ばれる。ヌクレオチドとは、ヌクレオシドのリン酸エステルである。
「アゴニスト」という用語は、最も広い意味で使用され、受容体を介するシグナル伝達を活性化させる任意の分子を含む。例えば、TLR8アゴニストは、TLR8受容体に結合し、TLR8シグナル伝達経路を活性化させる。
「アンタゴニスト」という用語は、最も広い意味で使用され、アゴニストの生物学的活性を遮断する任意の分子を含む。例えば、TLR8アンタゴニストは、TLR8シグナル伝達経路を抑制する。
本明細書で使用される「免疫阻害性配列」および「IIS」という用語は、測定可能な(例えば、in vitro、in vivo、および/またはex vivoにおいて測定される)免疫応答を阻害する核酸配列を指す。
本明細書で使用される「免疫刺激性配列」および「ISS」という用語は、測定可能な(例えば、in vitro、in vivo、および/またはex vivoにおいて測定される)免疫応答を刺激する核酸配列を指す。本開示の目的では、ISSという用語は、非メチル化CGジヌクレオチドを含む核酸配列を指す。
ポリヌクレオチドの、TLR依存性免疫応答に対する効果は、in vitroにおいて、ポリヌクレオチドの存在下および非存在でTLRアゴニストと接触させた免疫細胞(例えば、リンパ球、単球、および樹状細胞などの白血球)の応答を測定することにより決定することができる。例示的な方法については、実施例3で記載する。本明細書で言及される通り、TLR阻害剤とは、500nM未満のIC50(50%阻害濃度)でTLR依存性免疫応答を阻害するポリヌクレオチドである。IC50が200nM未満のポリヌクレオチドは、活性が大きなTLR阻害剤であると考えられる。IC50が201〜500nMのポリヌクレオチドは、活性が中程度のTLR阻害剤であると考えられる。IC50が500nMを超えるポリヌクレオチドは、本質的に不活性である(例えば、TLR阻害剤ではない)と考えられる。
測定可能な免疫応答の例は、抗原特異的な抗体の産生、サイトカインの分泌、リンパ球の活性化、およびリンパ球の増殖を含むがこれらに限定されない。
本明細書で使用される「アンチセンス」および「アンチセンス配列」という用語は、mRNAのコード鎖と相補的な配列を有するポリヌクレオチドの非コード鎖を指す。好ましい実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、アンチセンス配列またはRNAi分子(miRNAおよびsiRNA)ではない。すなわち、好ましい実施形態では、本開示のTLR阻害剤は、それらが使用される哺乳動物対象の転写物(または遺伝子)に対して、著明な相同性(または相補性)を有さない。例えば、ヒト対象におけるTLR依存性免疫応答を阻害するための、本開示のポリヌクレオチドは、その長さにわたり、ヒトゲノムの核酸配列に対して、80%未満同一である(例えば、20塩基のヒトTLR8阻害剤であれば、20塩基のうちの16塩基以下を、tlr8 mRNAを含むがこれらに限定されないヒト転写物と共有するであろう)。とりわけ、TLR阻害剤は、哺乳動物対象(例えば、ヒト、非ヒト霊長動物、農場動物、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなど)の核酸配列と80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、または20%未満同一である。
「マイクロRNA」および「miRNA」という用語は、標的mRNAの相補的な配列に結合し、それらのサイレンシングを結果としてもたらすことが典型的な、短鎖(約22ヌクレオチド)RNA配列の形態にある転写後調節因子のクラスを指す。「低分子干渉RNA」、「短鎖干渉RNA」、および「siRNA」という用語は、相補的なヌクレオチド配列を伴う遺伝子の発現に干渉する、20〜25塩基対の長さの二本鎖RNA分子のクラスを指す。
応答またはパラメータの「刺激」は、対象のパラメータを除き、他の点では同じ条件と比較した場合の、その応答またはパラメータの誘発および/もしくは増強、または、代替的に、別の条件と比較したその応答またはパラメータの誘発および/もしくは増強(例えば、TLRアゴニストの非存在下と比較した、TLRアゴニストの存在下におけるTLRシグナル伝達の増大)を含む。例えば、免疫応答の「刺激」とは、応答の誘発および/または増強から生じうる、応答の増大を意味する。同様に、サイトカイン(IL−1α、IL−1β、IL−6、および/またはTNF−αなど)産生の「刺激」または細胞型(CTLなど)の「刺激」とは、サイトカインまたは細胞型の量の増大またはレベルの上昇を意味する。
応答またはパラメータの「抑制」または「阻害」は、対象のパラメータを除き、他の点では同じ条件と比較した場合の、その応答もしくはパラメータの減少、または、代替的に、別の条件と比較した、その応答もしくはパラメータの減少(例えば、TLRアンタゴニストの非存在下におけるTLRアゴニストの存在下と比較した、TLRアゴニストおよびTLRアンタゴニストの存在下におけるTLRシグナル伝達の増大)を含む。
本明細書で使用される「細胞」という用語は、特定の対象細胞を指すだけでなく、このような細胞の子孫細胞または潜在的子孫細胞も指すと理解される。後続の世代では、突然変異または環境的影響に起因して、ある種の修飾が生じうるため、このような子孫細胞は、実のところ、親細胞と同一であることが可能ではないが、やはり本明細書で用いられる用語の範囲内に含まれる。
「個体」という用語は、ヒトを含む哺乳動物を指す。個体は、ヒト、ウシ科、ウマ科、ネコ科、イヌ科、齧歯類、または霊長類対象を含むがこれらに限定されない。
「トランスジェニック動物」とは、マイクロ注射または組換えウイルスの感染によるなど、細胞未満レベルの意図的な遺伝子操作により直接的または間接的に施される遺伝子情報を保有する1または複数の細胞を含有する動物である。導入されたこのDNA分子は、染色体内に組み込まれる場合もあり、染色体外で複製されるDNAの場合もある。
1または複数のさらなる治療剤「と組み合わせた」投与は、任意の順序における同時的(共時的)投与および逐次的投与を含む。
「長期」投与とは、短期的方式に対して、初期の治療効果(活性)を長期にわたり維持するような、持続的方式による薬剤(複数可)の投与を指す。「間欠的」投与とは、中断を伴わずには逐次的および/または持続的になされない処置を指し、周期的な性格の投与である。
本明細書で開示される薬剤の「有効量」とは、具体的に言明された目的を実行するのに十分な量である。「有効量」は、言明された目的に照らして、経験的に、かつ、日常的な様式で決定することができる。
「治療有効量」という用語は、対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物)における疾患または障害「を処置する」のに有効な薬剤(例えば、TLR阻害剤)の量を指す。自己免疫疾患の場合、治療有効量の薬剤は、自己免疫疾患の徴候または症状を軽減する。例えば、関節リウマチの処置に関して、治療有効量の薬剤(例えば、TLR阻害剤)は、患者における関節リウマチの徴候または症状を軽減し、これによりまた、骨および軟骨に対する損傷の速度も低減することができる。
疾患「を処置すること」または疾患の「処置」という用語は、疾患の徴候または症状を緩和しようとする試みにおいて、1または複数の薬物を個体(ヒトまたは他の個体)へと投与することを含みうる、プロトコールを実行することを指す。したがって、「〜を処置すること」または「処置」は、徴候または症状の完全な緩和を要求せず、治癒を要求せず、とりわけ、個体に対して最低限の効果を及ぼすに過ぎないプロトコールも含む。
本明細書で用いられ、当技術分野で十分に理解されている通り、「処置」とは、臨床的結果を含む、有益または所望の結果を得るための手法である。有益または所望の臨床的結果は、検出可能であれ、検出不能であれ、1または複数の症状の緩和または改善、疾患の広がり縮小、疾患状態の安定(すなわち、非増悪)、疾患の拡大の阻止、疾患の進行の遅延または緩徐化、疾患状態の改善または軽減、および寛解(部分寛解であれ、完全寛解であれ)を含むがこれらに限定されない。「処置」はまた、処置を施さない場合に予測される生存と比較した生存の延長も意味しうる。
本明細書における値またはパラメータの「約」への言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする変動を含む(そして記載する)。例えば、「約X」に言及する記載は、「X」についての記載を含む。
本明細書および付属の特許請求の範囲で用いられる通り、単数形の「ある」、「または」、および「その」は、文脈により別段に指示されない限りにおいて、複数形の指示対象を含む。
「を含む」として本明細書で記載される態様および実施形態は、「からなる」および/または「から本質的になる」の態様および実施形態を含むことが理解される。
III.組成物
本明細書では、TLR7、TLR8、およびTLR9のうちの1または複数に対する阻害性モチーフを含むポリヌクレオチド(TLR阻害剤)が提供される。また、本明細書で記載される方法のうちのいずれかにおける使用のためのTLR阻害剤も提供される。本明細書で記載される各免疫阻害性配列(IIS)は、少なくとも1つの阻害性モチーフを含む。阻害性モチーフを含むTLR阻害剤は一本鎖DNAの場合もあり、二本鎖DNAの場合もあるほか、一本鎖RNAの場合もあり、二本鎖RNAの場合もあり、DNA/RNAハイブリッド体の場合もある。TLR阻害剤は、1または複数のリボヌクレオチド(リボースを唯一の糖構成成分または主要な糖構成成分として含有する)および/またはデオキシリボヌクレオチド(デオキシリボースを主要な糖成分として含有する)を含む。TLR阻害剤内に組み込まれる複素環塩基または核酸塩基は、自然発生の主要なプリン塩基およびピリミジン塩基(すなわち、ウラシル、チミン、シトシン、アデニン、およびグアニン)でありうる。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドの3’末端におけるジヌクレオチド以外の1つまたは2つの主要な塩基を各々、主要な塩基の自然発生もしくは非自然発生の修飾で置きかえる。ある特定の実施形態では、1または複数のヌクレオチドは、修飾を含む。ある特定の実施形態では、1または複数のヌクレオチドは、修飾塩基を含む。ある特定の実施形態では、1または複数のヌクレオチドは、修飾糖を含む。ある特定の実施形態では、1または複数のヌクレオチドは、2’−デオキシイノシンを含む。ある特定の実施形態では、1または複数のヌクレオチドは、C類似体またはG類似体を含まない(例えば、7−デアザグアノシンを含まない)。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、修飾を含む。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、修飾塩基を含む。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、修飾糖を含む。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、修飾糖を含まない。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、C類似体またはG類似体(例えば、7−デアザグアノシンを含まない)を含まない。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、CGジヌクレオチドを含まない。好ましい実施形態では、IISを含む本開示のポリヌクレオチドは、アンチセンス配列またはRNAi分子(miRNAおよびsiRNA)ではない。
本明細書で提供される方法または組成物のうちのいずれかについてのある特定の実施形態では、1または複数のヌクレオチドは、修飾を含む。ある特定の実施形態では、修飾は、2’糖修飾である。ある特定の実施形態では、2’糖修飾は、2’−O−メチル糖修飾または2’−O−メトキシエチル糖修飾である。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、全ての2’−デオキシリボポリヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、2’−デオキシリボポリヌクレオチドと、2’糖修飾とのキメラ配列である。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、2’−デオキシリボポリヌクレオチドと、2’−O−メチル糖リボポリヌクレオチドとのキメラ配列である。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、2’−デオキシリボポリヌクレオチドと、2’−O−メトキシエチル(methyoxyethyl)糖リボポリヌクレオチドとのキメラ配列である。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、修飾リン酸連結を含む、少なくとも1つのヌクレオチドを有する。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、ホスホロチオエート連結だけを含む。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、ホスホロチオエート連結およびホスホジエステル連結だけを含む。ある特定の実施形態では、1または複数のヌクレオチドは、修飾塩基を含む。ある特定の実施形態では、1または複数のヌクレオチドは、修飾糖を含む。ある特定の実施形態では、1または複数のヌクレオチドは、2’−デオキシイノシンを含む。ある特定の実施形態では、1または複数のヌクレオチドは、C類似体またはG類似体を含まない(例えば、7−デアザグアノシンを含まない)。本明細書で用いられる「ヌクレオチド類似体」という用語は、それが誘導されたヌクレオチドの同一性を本質的に保持する化合物を指す。例えば、7−dGは、G類似体であり、N4−エチル−dCは、C類似体である。他方、ヌクレオチド修飾または塩基修飾とは、ヌクレオチドまたは塩基の同一性を保持することが可能でない化合物も指す。すなわち、修飾という用語は、ヌクレオチドまたは塩基の、異なる自然発生または非自然発生のヌクレオチドまたは塩基による置換も包含する。例えば、修飾という用語は、AによるGの置換も包含する。明らかに伝わる通り、本明細書で記載される式については、任意のパラメータおよび全てのパラメータは、独立に選択されることが理解される。例えば、変数xおよびyを含む式では、x=0〜2である場合、yは、x(または式中で選択可能な他の任意のパラメータ)の値に関わらず、独立に選択することができる。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、以下のヌクレオチド長(塩基単位または塩基対単位の):約100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8または7のうちのいずれか未満である。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、以下のヌクレオチド長(塩基単位または塩基対単位の):約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90または95のうちのいずれかを超える。すなわち、ポリヌクレオチドは、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8または7を上限とし、独立に選択された6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90または95を下限とし、下限が上限未満である範囲のサイズのうちのいずれかであることが可能である。
TLR7阻害剤
本明細書では、本明細書で記載される方法(例えば、TLR7依存性免疫応答を阻害または抑制する方法)のうちのいずれかにおける使用のためのTLR7阻害剤が提供される。TLR7阻害剤は、少なくとも1つのTLR7阻害性モチーフを含むポリヌクレオチドである。
本開示のTLR7阻害剤は、式:5’−QzTICNx−3’または5’−QzTTCNx−3’のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドであり、式中、QおよびNの各々は、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体であり、xは、3〜50の整数であり、zは、0、1、または2である。本明細書では、TLR7依存性免疫応答の阻害における使用のためのポリヌクレオチドであって、式:5’−QzTICNx−3’または5’−QzTTCNx−3’のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドであり、式中、QおよびNの各々は、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体であり、xは、3〜50の整数であり、zは、0、1、または2である、ポリヌクレオチドが提供される。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、式:5’−QzTICNx−3’または5’−QzTTCNx−3’のヌクレオチド配列からなり、式中、QおよびNの各々は、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体であり、xは、3〜50の整数であり、zは、0、1または2であり、ポリヌクレオチドは、CGジヌクレオチドを含まない。これは、zが、3ではなく、Qzが、TGCまたはugcではなく、QzTICが、TGCTICまたはugcTICではなく、QzTTCが、TGCTTCまたはugcTTCではないこと[式中、大文字は、DNAを表し、小文字は、2’−O−メチルRNAを表す]を意味する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、CGジヌクレオチドを含まない。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、修飾CGジヌクレオチドを含まない。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、5’−GGGG−3’または5’−GIGG−3’を含まない。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、5’−S1S2S3S4−3’を含まない[式中、S1、S2、S3、およびS4は独立に、Gであるか、またはG四重鎖の形成を阻止し、かつ/もしくはフーグスティーン型塩基対合を阻止することが可能な分子である]。さらなる実施形態では、G四重鎖の形成を阻止し、かつ/またはフーグスティーン型塩基対合を阻止することが可能な分子は、イノシン、7−デアザ−グアノシン、7−デアザ−2’−デオキシアントシン、7−デアザ−8−アザ−2’−デオキシグアノシン、2’−デオキシネブラリン、イソデオキシグアノシン、または8−オキソ−2’−デオキシグアノシンなどのリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、5’−GGGG−3’または5’−GIGG−3’を含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、5’−S1S2S3S4−3’を含む。一部の実施形態では、Nxは、非核酸スペーサー部分を含む。さらなる実施形態では、非核酸スペーサー部分は、ヘキサ(エチレングリコール)を含む。
本明細書で記載される通り、xは、3〜50の間の整数である。これは、xが、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50であることを意味する。一部の実施形態では、xは、3〜45の間、3〜40の間、3〜35の間、3〜30の間、3〜25の間、3〜20の間、3〜15の間、3〜10の間、または3〜5の間である。一部の実施形態では、xは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40を超えるが、50以下である。一部の実施形態では、xは、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、または4未満であるが、3以上である。
本明細書で記載される通り、zは、0、1、または2である。一部の実施形態では、zは、0である(5’−TIC−3’または5’−TTCは、ポリヌクレオチドの5’末端にある)。一部の実施形態では、zは、1である。一部の実施形態では、zは、2である。
例示的なTLR7阻害剤は、ポリヌクレオチドが、ポリヌクレオチドの5’末端において、TICおよびTTCからなる群から選択されるトリヌクレオチドを保有するという条件で、
5’-TIC TGC TCC TTG AGI-’ (配列番号36);
5’-TTC TGC TCC TTG AGI-’ (配列番号38);
5’-TIC TIC TCC TTI AII-’ (配列番号44);
5’-TTC TTC TCC TTT ATT-’ (配列番号46);
5’-TIC TCC TTG AGI-’ (配列番号48);
5’-TTC TCC TTG AGI-’ (配列番号50);
5’-TIC TCC TTI AAI-’ (配列番号55);
5’-TIC TCC TTI AIA-’ (配列番号56);
5’-TIC TCC TTI AAA-’ (配列番号57);
5’-TIC TCC TTI IAI-’ (配列番号58);
5’-TIC TCC TTA IIA-’ (配列番号59);
5’-TIC AGI TTI AII-’ (配列番号60);
5’-TIC AGI AGI AII-’ (配列番号61);
5’-TIC TIC TII TTI AII-’ (配列番号62);
5’-TIC TCC TTI AII-’ (配列番号63);
5’-TIC TCC TTI III-’ (配列番号64);
5’-TIC TCC TTI CII-’ (配列番号65);
5’-TIC TCC TTI GII-’ (配列番号66);
5’-TIC TCC TTI TII-’ (配列番号67);
5’-TIC TIC TCC TII TTI CII-’ (配列番号85);
5’-TIC TIC TCC AGI TTI CII-’ (配列番号86);
5’-TIC TIC TCC TCC TTI CII-’ (配列番号87);
5’-TIC TIC TTG AGI TTI CII-’ (配列番号88);
5’-TIC TIC TCC TCC TTI CII AII-’ (配列番号90);
5’-TIC TCC TCC TTI CII AII-’ (配列番号91);
5’-TIC TIC TCC TTI CII-’ (配列番号95);
5’-TTC TTC TCC TTI CII-’ (配列番号97);
5’-TIC TCC TCC TTI CII AII A-’ (配列番号99);
5’-TIC TIC TTG AGI TTI CII AII-’ (配列番号103);
5’-TIC TTG AGI TTI CII AII-’ (配列番号104);
5’-TIC TCC TTG AGI AII-’ (配列番号108);
5’-TIC TCC TCC TTG AGI AII-’ (配列番号109);
5’-TIC TTC TCC TTG AGI AII-’ (配列番号110);
5’-TIC TCC TCC TTG IIA II-’ (配列番号111);
5’-TIC TCC TCC TTG GGI AII-’ (配列番号114);および
5’-TIC TTC TCC TTG GGI AII-’ (配列番号115);
[配列中、I=2’−デオキシイノシンであり、大文字は、DNAを表す]
からなる群から選択される配列を含むポリヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号108を含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号109を含む。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、
(a)ポリヌクレオチドが、ポリヌクレオチドの5’末端において、TICおよびTTCからなる群から選択されるトリヌクレオチドを保有するという条件で、配列番号36、配列番号38、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号90、配列番号91、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号103、配列番号104、配列番号108、配列番号109、配列番号110; 配列番号111、配列番号114および配列番号115からなる群のうちの1つ;または
(b)ポリヌクレオチドが、ポリヌクレオチドの5’末端において、TICおよびTTCからなる群から選択されるトリヌクレオチドを保有するという条件で、ポリヌクレオチドの3’末端におけるジヌクレオチド以外の1つまたは2つの主要な塩基が各々、主要な塩基の自然発生もしくは非自然発生の修飾で置きかえられた、(a)の類似体
を含む。さらなる実施形態では、ポリヌクレオチドは、ジヌクレオチド以外の主要な塩基のうちの1つが、自然発生の修飾で置きかえられた、(a)の類似体を含む。さらなる実施形態では、ポリヌクレオチドは、トリヌクレオチド以外の主要な塩基のうちの1つが、非自然発生の修飾で置きかえられた、(a)の類似体を含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、50、45、40、35、30、25または20塩基または塩基対(ヌクレオチド)未満の長さである。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、一本鎖である。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、二本鎖である。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、一本鎖DNAである。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、二本鎖DNAである。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、一本鎖RNAである。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、二本鎖RNAである。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、リン酸修飾連結を含有する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、ホスホロチオエート連結だけを含有する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、1または複数のホスホロチオエート連結を含有する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、ホスホロチオエート連結およびホスホジエステル連結だけを含有する。一部の実施形態では、Nxは、非核酸スペーサー部分を含む。あるいは、言い換えれば、一部の実施形態では、NxのあるNを、非核酸スペーサー部分により、Nxの別のNへと接続する。さらなる実施形態では、非核酸スペーサー部分は、ヘキサ(エチレングリコール)を含む。
TLR8阻害剤
本明細書では、本明細書で記載される方法(例えば、TLR8依存性免疫応答を阻害または抑制する方法)のうちのいずれかにおける使用のためのTLR8阻害剤が提供される。TLR8阻害剤は、少なくとも1つのTLR8阻害性モチーフを含むポリヌクレオチドである。
本開示のTLR8阻害剤は、式:5’−NxX1X2X3X4X5X6−My−3’のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドであり、式中、N、X1、X2、X3、X4、およびMの各々は、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体であり、xは、0〜50の整数であり、yは、0または1であり、X5は、GまたはIであり、X6は、IまたはAである。すなわち、Myは、ポリヌクレオチドの3’末端に存在する。また、式:5’−NxX1X2X3X4X5X6−3’のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドであるTLR8阻害剤であって、式中、N、X1、X2、X3、およびX4の各々は、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体であり、X5は、GまたはIであり、X6は、IまたはAであり、xは、0〜50の整数であり、X6は、ポリヌクレオチドの3’末端にあり、ただし、X5X6がGIまたはGAである場合は、X3およびX4の各々は、A、T、またはCであるLR8阻害剤も提供される。加えて、本明細書では、式:5’−NxX1X2X3X4X5X6−3’のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドであるTLR8阻害剤であって、式中、Nは、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体であり、X1およびX2の各々は、A、T、C、G、またはIであり、X3およびX4の各々は、A、T、またはCであり、X5は、GまたはIであり、X6は、IまたはAであり、xは、0〜50の整数であり、X6は、ポリヌクレオチドの3’末端にある、TLR8阻害剤が提供される。本明細書では、TLR8依存性免疫応答の阻害における使用のためのポリヌクレオチドであって、式:5’−NxX1X2X3X4X5X6−My−3’のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドであって、式中、N、X1、X2、X3、X4、およびMの各々は、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体であり、xは、0〜50の整数であり、yは、0または1であり、X5は、GまたはIであり、X6は、IまたはAである、ポリヌクレオチドが提供される。本明細書ではさらに、TLR8依存性免疫応答の阻害における使用のためのポリヌクレオチドであって、式:5’−NxX1X2X3X4X5X6−3’のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドであって、式中、N、X1、X2、X3、およびX4の各々は、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体であり、X5は、GまたはIであり、X6は、IまたはAであり、xは、0〜50の整数であり、X6は、ポリヌクレオチドの3’末端にあり、ただし、X5X6がGIまたはGAである場合は、X3およびX4の各々は、A、T、またはCである、ポリヌクレオチドも提供される。本明細書では加えて、TLR8依存性免疫応答の阻害における使用のためのポリヌクレオチドであって、式:5’−NxX1X2X3X4X5X6−3’のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドであって、式中、Nは、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体であり、X1およびX2の各々は、A、T、C、G、またはIであり、X3およびX4の各々は、A、T、またはCであり、X5は、GまたはIであり、X6は、IまたはAであり、xは、0〜50の整数であり、X6は、ポリヌクレオチドの3’末端にある、ポリヌクレオチドも提供される。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、CGジヌクレオチドを含まない。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、C類似体またはG類似体(例えば、7−デアザグアノシンを含まない)を含まない。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、修飾塩基を含まない。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、修飾糖を含まない。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの5’末端から0、1、または2ヌクレオチドに位置するTGCまたはugcトリヌクレオチドを含まない。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの5’末端から0、1、または2ヌクレオチドに位置するTGCまたはugcトリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、5’−GGGG−3’または5’−GIGG−3’を含まない。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、5’−S1S2S3S4−3’を含まず、式中、S1、S2、S3、およびS4は独立に、Gであるか、またはG四重鎖の形成を阻止し、かつ/もしくはフーグスティーン型塩基対合を阻止することが可能な分子である。さらなる実施形態では、G四重鎖の形成を阻止し、かつ/またはフーグスティーン型塩基対合を阻止することが可能な分子は、イノシン、7−デアザ−グアノシン、7−デアザ−2’−デオキシアントシン、7−デアザ−8−アザ−2’−デオキシグアノシン、2’−デオキシネブラリン、イソデオキシグアノシン、または8−オキソ−2’−デオキシグアノシンなどのリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号9を含まない。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、5’−GGGG−3’または5’−GIGG−3’を含む。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、5’−S1S2S3S4−3’を含み、式中、S1、S2、S3、およびS4は独立に、Gであるか、またはG四重鎖の形成を阻止し、かつ/もしくはフーグスティーン型塩基対合を阻止することが可能な分子である。さらなる実施形態では、G四重鎖の形成を阻止し、かつ/またはフーグスティーン型塩基対合を阻止することが可能な分子は、イノシン、7−デアザ−グアノシン、7−デアザ−2’−デオキシアントシン、7−デアザ−8−アザ−2’−デオキシグアノシン、2’−デオキシネブラリン、イソデオキシグアノシン、または8−オキソ−2’−デオキシグアノシンなどのリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの5’末端から0、1、または2ヌクレオチドに位置するTGCまたはUGCトリヌクレオチドを含み、5’−GGGG−3’または5’−GIGG−3’を含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの3’末端において、GTジヌクレオチド、GUジヌクレオチド、またはGGジヌクレオチドを含まない。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、アンチセンス配列またはRNAi配列ではない。一部の実施形態では、X3およびX4は独立にA、C、G、T、またはIである。一部の実施形態では、X1、X2、X3およびX4の各々は独立に、A、C、G、T、またはIである。一部の実施形態では、X5は、Gである。一部の実施形態では、X5は、Iである。一部の実施形態では、X6は、Iである。一部の実施形態では、X6は、Aである。一部の実施形態では、X5X6は、GIである。一部の実施形態では、X5X6は、GAである。一部の実施形態では、X5X6は、IIである。一部の実施形態では、X5X6は、IAである。一部の実施形態では、X5は、Gではない。一部の実施形態では、X5は、Iではない。一部の実施形態では、X6は、Iではない。一部の実施形態では、X6は、Aではない。一部の実施形態では、X5X6は、GIではない。一部の実施形態では、X5X6は、GAではない。一部の実施形態では、X5X6は、IIではない。一部の実施形態では、X5X6は、IAではない。一部の実施形態では、yは、0である。一部の実施形態では、X3X4X5X6は、GAGI、GAGA、GGGI、TTGA、IAII、GTGI、AAII、IAIA、AIIA、IIII、ICII、IGII、ITII、CAII、TAII、CCII、TTII、およびGGIIからなる群のうちの1つである。一部の実施形態では、X3X4X5X6は、TTGA、IAII、AAII、IAIA、AIIA、IIII、ICII、IGII、ITII、CAII、TAII、CCII、TTII、およびGGIIからなる群のうちの1つである。一部の実施形態では、X1X2X3X4X5X6は、TTGAGI、TTGAGA、TTGGGI、CCTTGA、TTIAII、TTGTGI、TTAAII、TTIAIA、TTAIIA、AGIAII、TTIIII、TTICII、TTIGII、TTITII、TTCAII、TTTAII、TTCCII、TTTTII、TTGGII、IIIAII、CCIAII、GGIAII、AAIAII、CIIAII、およびIIAIIAからなる群のうちの1つである。一部の実施形態では、X1X2X3X4X5X6は、CCTTGA、TTIAII、TTAAII、TTIAIA、TTAIIA、AGIAII、TTIIII、TTICII、TTIGII、TTITII、TTCAII、TTTAII、TTCCII、TTTTII、TTGGII、IIIAII、CCIAII、GGIAII、AAIAII、CIIAII、およびIIAIIAからなる群のうちの1つである。
本明細書で記載される通り、xは、0〜50の間の整数である。これは、xが、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50であることを意味する。一部の実施形態では、xは、3〜45の間、3〜40の間、3〜35の間、3〜30の間、3〜25の間、3〜20の間、3〜15の間、3〜10の間、または3〜5の間である。一部の実施形態では、xは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40を超えるが、50以下である。一部の実施形態では、xは、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2未満であるが、1以上である。一部の実施形態では、xは、0である。
本明細書で記載される通り、yは、0または1である。一部の実施形態では、yは、0である(X5X6は、ポリヌクレオチドの3’末端にある)。一部の実施形態では、yは、1である。
例示的な実施形態では、GI、GA、II、またはIAが、ポリヌクレオチドの3’末端から0または1ヌクレオチドの位置にあるという条件で、ポリヌクレオチドは、配列番号10、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号24、配列番号26、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号44、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号56、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、および配列番号115からなる群のうちの1つを含む。一部の実施形態では、GI、GA、II、またはIAが、ポリヌクレオチドの3’末端から0または1ヌクレオチドの位置にあるという条件で、ポリヌクレオチドは、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、および配列番号115からなる群のうちの1つを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号108を含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号109を含む。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、
(a)ポリヌクレオチドが、ポリヌクレオチドの3’末端から0または1ヌクレオチドの位置にあるGI、GA、II、IAからなる群から選択されるジヌクレオチドを保有するという条件で、配列番号10、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号24、配列番号26、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号44、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号56、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、 配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、および配列番号115からなる群のうちの1つ;または
(b)ポリヌクレオチドが、ポリヌクレオチドの3’末端から0または1ヌクレオチドの位置にあるGI、GA、II、IAからなる群から選択されるジヌクレオチドを保有するという条件で、ポリヌクレオチドの3’末端におけるジヌクレオチド以外の1つまたは2つの主要な塩基が各々、主要な塩基の自然発生もしくは非自然発生の修飾で置きかえられた、(a)の類似体
を含む。さらなる実施形態では、ポリヌクレオチドは、ジヌクレオチド以外の主要な塩基のうちの1つが、自然発生の修飾で置きかえられた、(a)の類似体を含む。さらなる実施形態では、ポリヌクレオチドは、ジヌクレオチド以外の主要な塩基のうちの1つが、非自然発生の修飾で置きかえられた、(a)の類似体を含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、50、45、40、35、30、25または20塩基または塩基対(ヌクレオチド)未満の長さである。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、一本鎖である。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、二本鎖である。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、一本鎖DNAである。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、二本鎖DNAである。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、一本鎖RNAである。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、二本鎖RNAである。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、リン酸修飾連結を含有する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、ホスホロチオエート連結だけを含有する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、1または複数のホスホロチオエート連結を含有する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、ホスホロチオエート連結およびホスホジエステル連結だけを含有する。一部の実施形態では、Nxは、非核酸スペーサー部分を含む。さらなる実施形態では、非核酸スペーサー部分は、ヘキサ(エチレングリコール)を含む。
TLR7/8組合せ阻害剤
本明細書では、本明細書で記載される方法(例えば、TLR7依存性およびTLR8依存性免疫応答を阻害または抑制する方法)のうちのいずれかにおける使用のための、TLR7阻害性モチーフおよびTLR8阻害性モチーフを含むポリヌクレオチド(以下「TRL7/8組合せ阻害剤」と称する)が提供される。
本明細書では、式:5’−QzTGC−NxX1X2X3X4X5X6−My−3’、5’−Qzugc−NxX1X2X3X4X5X6−My−3’、5’−QzTIC−NxX1X2X3X4X5X6−My−3’、または5’−QzTTC−NxX1X2X3X4X5X6−My−3’のヌクレオチド配列からなり、式中、Q、N、X1、X2、X3、X4、およびMの各々は、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体であり、xは、0〜50の整数であり、yは、0または1であり、zは、0、1または2であり、X5は、GまたはIであり、X6は、IまたはAであり、大文字は、DNAを表し、小文字は、2’−O−メチルRNAを表し、CGジヌクレオチドを含まないポリヌクレオチドであるTLR7/8組合せ阻害剤が提供される。本明細書では、TLR7依存性およびTL8依存性免疫応答の阻害における使用のためのポリヌクレオチドであって、式:5’−QzTGC−NxX1X2X3X4X5X6−My−3’、5’−Qzugc−NxX1X2X3X4X5X6−My−3’、5’−QzTIC−NxX1X2X3X4X5X6−My−3’、または5’−QzTTC−NxX1X2X3X4X5X6−My−3’のヌクレオチド配列からなり、式中、Q、N、X1、X2、X3、X4、およびMの各々は、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体であり、xは、0〜50の整数であり、yは、0または1であり、zは、0、1または2であり、X5は、GまたはIであり、X6は、IまたはAであり、大文字は、DNAを表し、小文字は、2’−O−メチルRNAを表し、このポリヌクレオチドがCGジヌクレオチドを含まないポリヌクレオチドが提供される。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、修飾CGジヌクレオチドを含まない。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、式:5’−QzTGC−NxX1X2X3X4X5X6−My−3’、5’−Qzugc−NxX1X2X3X4X5X6−My−3’、5’−QzTIC−NxX1X2X3X4X5X6−My−3’、または5’−QzTTC−NxX1X2X3X4X5X6−My−3’のヌクレオチド配列からなり、式中、Q、N、X1、X2、X3、X4、およびMの各々は、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体であり、xは、0〜50の整数であり、yは、0または1であり、zは、0、1または2であり、X5は、GまたはIであり、X6は、IまたはAであり、大文字は、DNAを表し、小文字は、2’−O−メチルRNAを表す。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、CGジヌクレオチドを含まない。
本明細書で記載される通り、xは、0〜50の間の整数である。これは、xが、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50であることを意味する。一部の実施形態では、xは、3〜45の間、3〜40の間、3〜35の間、3〜30の間、3〜25の間、3〜20の間、3〜15の間、3〜10の間、または3〜5の間である。一部の実施形態では、xは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40を超えるが、50以下である。一部の実施形態では、xは、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2未満であるが、1以上である。一部の実施形態では、xは、0である。
本明細書で記載される通り、yは、0または1である。一部の実施形態では、yは、0である(例えば、X5X6は、ポリヌクレオチドの3’末端にあるヌクレオチド配列である)。一部の実施形態では、yは、1である。
本明細書で記載される通り、zは、0、1、または2である。一部の実施形態では、zは、0である(例えば、5’−TIC−3’または5’−TTCは、ポリヌクレオチドの5’末端におけるヌクレオチド配列である)。一部の実施形態では、zは、1である。一部の実施形態では、zは、2である。
TLR7阻害性モチーフおよびTLR8阻害性モチーフは有するが、TLR9阻害性モチーフは有さない、例示的なTLR7/8組合せ阻害剤は、以下の配列:
5’-ugcTGCTCCTTGAGA-’ (配列番号10);
5’-ugCTGCTCCTTGAGI-’ (配列番号15);
5’-uGCTGCTCCTTGAGI-’ (配列番号16);
5’-TGCTGCTCCTTGAGI-’ (配列番号17);
5’-ugcugcTCCTTGAGI-’ (配列番号18);
5’-ugcTGCTCCTTGAGIT-’ (配列番号20);
5’-ugcTGCTCCTTGA-’(配列番号24);
5’-ugcTICTCCTTIAII-’ (配列番号26);
5’-TGCTGCTGGTTGTGI-’ (配列番号30);
5’-ugcugcuccuugagI-’ (配列番号34);
5’-TGCTCCTTGAGI-’ (配列番号35);
5’-TICTGCTCCTTGAGI-’ (配列番号36);
5’-TTCTGCTCCTTGAGI-’ (配列番号38);
5’-TGCTICTCCTTIAII-’ (配列番号40);
5’-TICTICTCCTTIAII-’ (配列番号44);
5’-TICTCCTTGAGI-’ (配列番号48);
5’-TTCTCCTTGAGI-’ (配列番号50);
5’-TICTCCTTIAIA-’ (配列番号56);
5’-TICTCCTTAIIA-’ (配列番号59);
5’-TICAGITTIAII-’ (配列番号60);
5’-TICAGIAGIAII-’ (配列番号61);
5’-TICTICTIITTIAII-’ (配列番号62);
5’-TICTCCTTIAII-’ (配列番号63);
5’-TICTCCTTICII-’ (配列番号65);
5’-TICTCCTTITII-’ (配列番号67);
5’-TICTICTCCTIITTICII-’ (配列番号85);
5’-TICTICTCCAGITTICII-’ (配列番号86);
5’-TICTICTCCTCCTTICII-’ (配列番号87);
5’-TICTICTTGAGITTICII-’ (配列番号88);
5’-TICTICTCCTCCTTICIIAII-’ (配列番号90);
5’-TICTCCTCCTTICIIAII-’ (配列番号91);
5’-TGCTCCTCCTTICIIAII-’ (配列番号92);
5’-TGCTTGTCCTCCTTICII-’ (配列番号93);
5’-TGCTGCTCCTTICII-’ (配列番号94);
5’-TICTICTCCTTICII-’ (配列番号95);
5’-TTCTTCTCCTTICII-’ (配列番号97);
5’-TICTCCTCCTTICIIAIIA-’ (配列番号99);
5’-TGCTCCTGGAGGTTICII-’ (配列番号100);
5’-TGCTCCTGGAGGTTICIIAII-’ (配列番号101);
5’-TGCTCCTGGATTICIIAII-’ (配列番号102);
5’-TICTICTTGAGITTICIIAII-’ (配列番号103);
5’-TICTTGAGITTICIIAII-’ (配列番号104);
5’-TGCTICTTGAGITTICIIAII-’ (配列番号105);
5’-TGCTTGAGITTICIIAII-’ (配列番号106);
5’-TICTCCTTGAGIAII-’ (配列番号108);
5’-TICTCCTCCTTGAGIAII-’ (配列番号109);
5’-TICTTCTCCTTGAGIAII-’ (配列番号110); および
5’-TICTCCTCCTTGIIAII-’ (配列番号111);
[配列中、I=2’−デオキシイノシンであり、大文字は、DNAを表し、小文字は、2’−O−メチルRNAを表す]のうちの1つからなるポリヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号108を含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号109を含む。
TLR8/9組合せ阻害剤
本明細書ではまた、本明細書で記載される方法(例えば、TLR8依存性およびTLR9依存性免疫応答を阻害または抑制する方法)のうちのいずれかにおける使用のための、TLR8阻害性モチーフおよびTLR9阻害性モチーフを含むポリヌクレオチド(以下「TRL8/9組合せ阻害剤」と称する)も提供される。
本明細書では、式:5’−Nx−S1S2S3S4−Pa−X1X2X3X4X5X6−My−3’のヌクレオチド配列からなり、式中、N、P、X1、X2、X3、X4、およびMの各々は、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体であり、aは、0〜20の整数であり、xは、0〜50の整数であり、yは、0または1であり、S1、S2、S3、およびS4の各々は、GまたはIであり、X5は、GまたはIであり、X6は、IまたはAであり、このポリヌクレオチドがCGジヌクレオチドを含まないポリヌクレオチドであるTLR8/9組合せ阻害剤が提供される。本明細書ではまた、TLR8依存性およびTLR9依存性免疫応答の阻害における使用のためのポリヌクレオチドであって、式:5’−Nx−S1S2S3S4−Pa−X1X2X3X4X5X6−My−3’のヌクレオチド配列からなり、式中、N、P、X1、X2、X3、X4、およびMの各々は、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体であり、aは、0〜20の整数であり、xは、0〜50の整数であり、yは、0または1であり、S1、S2、S3、およびS4の各々は、GまたはIであり、X5は、GまたはIであり、X6は、IまたはAであり、このポリヌクレオチドがCGジヌクレオチドを含まないポリヌクレオチドも提供される。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、式:5’−Nx−S1S2S3S4−Pa−X1X2X3X4X5X6−My−3’のヌクレオチド配列からなり、式中、N、P、X1、X2、X3、X4、およびMの各々は、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体であり、aは、0〜20の整数であり、xは、0〜50の整数であり、yは、0または1であり、S1、S2、S3、およびS4の各々は、GまたはIであり、X5は、GまたはIであり、X6は、IまたはAである。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、CGジヌクレオチドを含まない。
本明細書で記載される通り、aは、0〜20の間の整数である。これは、aが、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20であることを意味する。一部の実施形態では、aは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、または19を超えるが、20以下である。一部の実施形態では、aは、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2未満であるが、1以上である。一部の実施形態では、aは、0である。
本明細書で記載される通り、xは、0〜50の間の整数である。これは、xが、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50であることを意味する。一部の実施形態では、xは、3〜45の間、3〜40の間、3〜35の間、3〜30の間、3〜25の間、3〜20の間、3〜15の間、3〜10の間、または3〜5の間である。一部の実施形態では、xは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40を超えるが、50以下である。一部の実施形態では、xは、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2未満であるが、1以上である。一部の実施形態では、xは、0である。
一部の実施形態では、yは、0または1である。一部の実施形態では、yは、0である(例えば、X5X6は、ポリヌクレオチドの3’末端にあるヌクレオチド配列である)。一部の実施形態では、yは、1である。
TLR8阻害性モチーフおよびTLR9阻害性モチーフは有するが、TLR7阻害性モチーフは有さない、例示的なTLR8/9組合せ阻害剤は、以下の配列:
5’-TAC TCC TTG GII-’ (配列番号81);および
5’-TCC TGG AGG GGT TIA II-’ (配列番号112);
[配列中、I=2’−デオキシイノシンであり、大文字は、DNAを表す]
のうちの1つからなるポリヌクレオチドである。
TLR7/8/9組合せ阻害剤
本明細書では、本明細書で記載される方法(例えば、TLR7依存性、TLR8依存性、およびTLR9依存性免疫応答を阻害または抑制する方法)のうちのいずれかにおける使用のための、TLR7阻害性モチーフ、TLR8阻害性モチーフ、およびTLR9阻害性モチーフを含むポリヌクレオチド(以下「TRL7/8/9組合せ阻害剤」と称する)が提供される。
本明細書では、式:5’−QzTGC−Nx−S1S2S3S4−Pa−X1X2X3X4X5X6−My−3’、5’−Qzugc−Nx−S1S2S3S4−Pa−X1X2X3X4X5X6−My−3’、5’−QzTIC−Nx−S1S2S3S4−Pa−X1X2X3X4X5X6−My−3’、または5’−QzTTC−Nx−S1S2S3S4−Pa−X1X2X3X4X5X6−My−3’のヌクレオチド配列からなり、式中、Q、N、P、X1、X2、X3、X4、およびMの各々は、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体であり、aは、0〜20の整数であり、xは、0〜50の整数であり、yは、0または1であり、zは、0、1または2であり、S1、S2、S3、およびS4の各々は、GまたはIであり、X5は、GまたはIであり、X6は、IまたはAであり、大文字は、DNAを表し、小文字は、2’−O−メチルRNAを表し、このポリヌクレオチドがCGジヌクレオチドを含まないポリヌクレオチドであるTLR7/8/9組合せ阻害剤が提供される。本明細書ではまた、TLR7依存性、TLR8依存性、およびTLR9依存性免疫応答の阻害における使用のためのポリヌクレオチドであって、式:5’−QzTGC−Nx−S1S2S3S4−Pa−X1X2X3X4X5X6−My−3’、5’−Qzugc−Nx−S1S2S3S4−Pa−X1X2X3X4X5X6−My−3’、5’−QzTIC−Nx−S1S2S3S4−Pa−X1X2X3X4X5X6−My−3’、または5’−QzTTC−Nx−S1S2S3S4−Pa−X1X2X3X4X5X6−My−3’のヌクレオチド配列からなり、式中、Q、N、P、X1、X2、X3、X4、およびMの各々は、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体であり、aは、0〜20の整数であり、xは、0〜50の整数であり、yは、0または1であり、zは、0、1または2であり、S1、S2、S3、およびS4の各々は、GまたはIであり、X5は、GまたはIであり、X6は、IまたはAであり、大文字は、DNAを表し、小文字は、2’−O−メチルRNAを表し、このポリヌクレオチドがCGジヌクレオチドを含まないポリヌクレオチドも提供される。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、式:5’−QzTGC−Nx−S1S2S3S4−Pa−X1X2X3X4X5X6−My−3’、5’−Qzugc−Nx−S1S2S3S4−Pa−X1X2X3X4X5X6−My−3’、5’−QzTIC−Nx−S1S2S3S4−Pa−X1X2X3X4X5X6−My−3’、または5’−QzTTC−Nx−S1S2S3S4−Pa−X1X2X3X4X5X6−My−3’のヌクレオチド配列からなり、式中、Q、N、P、X1、X2、X3、X4、およびMの各々は、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体であり、aは、0〜20の整数であり、xは、0〜50の整数であり、yは、0または1であり、zは、0、1または2であり、S1、S2、S3、およびS4の各々は、GまたはIであり、X5は、GまたはIであり、X6は、IまたはAであり、大文字は、DNAを表し、小文字は、2’−O−メチルRNAを表す。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、CGジヌクレオチドを含まない。
本明細書で記載される通り、aは、0〜20の間の整数である。これは、aが、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20であることを意味する。一部の実施形態では、aは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、または19を超えるが、20以下である。一部の実施形態では、aは、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2未満であるが、1以上である。一部の実施形態では、aは、0である。
本明細書で記載される通り、xは、0〜50の間の整数である。これは、xが、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50であることを意味する。一部の実施形態では、xは、3〜45の間、3〜40の間、3〜35の間、3〜30の間、3〜25の間、3〜20の間、3〜15の間、3〜10の間、または3〜5の間である。一部の実施形態では、xは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40を超えるが、50以下である。一部の実施形態では、xは、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2未満であるが、1以上である。一部の実施形態では、xは、0である。
一部の実施形態では、yは、0または1である。一部の実施形態では、yは、0である(例えば、X5X6は、ポリヌクレオチドの3’末端にあるヌクレオチド配列である)。一部の実施形態では、yは、1である。
一部の実施形態では、zは、0、1、または2である。一部の実施形態では、zは、0である(例えば、5’−TGC−3’、5’−ugc−3’、5’−TIC−3’、または5’−TTC−3’はポリヌクレオチドの5’末端におけるヌクレオチド配列である)。一部の実施形態では、zは、1である。一部の実施形態では、zは、2である。
TLR7阻害性モチーフ、TLR8阻害性モチーフ、およびTLR9阻害性モチーフを有する、例示的なTLR7/8/9組合せ阻害剤は、以下の配列:
5’-ugc TGC TCC TTG GGI-’ (配列番号14);
5’-TIC TCC TTI III-’ (配列番号64);
5’-TIC TCC TTI GII-’ (配列番号66);
5’-TGC TCC TGG AGG GGT TIA II-’ (配列番号113);
5’-TIC TCC TCC TTG GGI AII-’ (配列番号114); および
5’-TIC TTC TCC TTG GGI AII-’ (配列番号115);
[配列中、I=2’−デオキシイノシンであり、大文字は、DNAを表す]
のうちの1つからなるポリヌクレオチドである。
ポリヌクレオチドの修飾
本開示は、本明細書で記載されるTLR阻害剤(例えば、TLR7、TLR8、およびTLR9のうちの1または複数に対する阻害性モチーフを含む免疫阻害性ポリヌクレオチド)であって、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含むTLR阻害剤もさらに提供する。少なくとも1つのヌクレオチドの修飾は、修飾塩基、修飾糖、および/または修飾リン酸でありうる。一部の実施形態では、少なくとも1つのヌクレオチドの修飾は、自然発生の修飾でありうる。一部の実施形態では、少なくとも1つのヌクレオチドの修飾は、合成修飾でありうる。一部の実施形態では、修飾は、ポリヌクレオチドのアセンブリーの前または後に付与することができる。一部の実施形態では、修飾ヌクレオチドは、1または複数の修飾ヌクレオシドを含む。本明細書で使用される「修飾ヌクレオチド」または「修飾ヌクレオシド」という用語は、ヌクレオシド「類似体」またはヌクレオチド「類似体」を包含する。「ヌクレオチド類似体」という用語は、それが誘導されたヌクレオチドの同一性を本質的に保持する化合物を指す。例えば、7−dGは、G類似体であり、N4−エチル−dCは、C類似体である。本明細書で用いられる「修飾ヌクレオチド」または「修飾ヌクレオシド」はまた、ヌクレオチドまたは塩基の同一性を保持することが可能でない化合物も包含する。すなわち、修飾という用語は、ヌクレオチドまたは塩基の、異なる自然発生または非自然発生のヌクレオチドまたは塩基による置換も包含する。例えば、修飾という用語は、AによるGの置換も包含する。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドの1または複数のヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾を含む(例えば、ヌクレオチドは、修飾を含む)。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドの1または複数のヌクレオチドは、修飾(例えば、配列Nxは、修飾を含む)を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの修飾は、修飾された各ヌクレオチドについて同じ修飾である。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドのあらゆるヌクレオチドが、修飾されており、修飾は、2’−O−メチル糖修飾である(すなわち、ヌクレオチドNは、修飾からなり、修飾は、2’−O−メチル糖修飾である)。一部の実施形態では、少なくとも1つの修飾は、複数の異なる種類のヌクレオチドの修飾を含む。
一部の実施形態では、少なくとも1つのヌクレオチドの修飾は、修飾塩基を含む。塩基修飾の例は、電子吸引部分の、ポリヌクレオチドのシトシンのC−5および/またはC−6への付加を含むがこれらに限定されない。好ましくは、電子吸引部分は、ハロゲン、例えば、5−ブロモシトシン、5−クロロシトシン、5−フルオロシトシン、5−ヨードシトシンである。一部の実施形態では、塩基修飾は、電子吸引部分の、免疫阻害性ポリヌクレオチドのウラシルのC−5および/またはC−6への付加を含むがこれらに限定されない。好ましくは、電子吸引部分は、ハロゲンである。このような修飾ウラシルは、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−フルオロウラシル、5−ヨードウラシルを含みうるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、塩基修飾は、1または複数のチオール基の、6−チオ−グアニン、4−チオ−チミン、および4−チオ−ウラシルを含むがこれらに限定されない塩基への付加を含む。一部の実施形態では、塩基修飾は、N4−エチルシトシン、7−デアザグアニン、および5−ヒドロキシシトシンを含むがこれらに限定されない。例えば、Kandimallaら、(2001年)、Bioorg. Med. Chem.、9巻:807〜813頁を参照されたい。一部の実施形態では、IISは、2’−デオキシウリジンおよび/または2−アミノ−2’−デオキシアデノシンを含みうる。一部の実施形態では、修飾塩基は、メチル化修飾を含む。一部の実施形態では、メチル化修飾は、5’−メチル−シトシン修飾を含む。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、複数の塩基修飾を含む。一部の実施形態では、塩基修飾は、同じである。一部の実施形態では、塩基修飾は、異なる。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、約1つ、約2つ、約3つ、約4つ、約5つの異なる塩基修飾のうちのいずれかを含む。塩基修飾はまた、修飾TLR阻害剤を調製するときに、任意のリン酸修飾および/または糖修飾と共に施し、組み合わせることもできる。
一部の実施形態では、少なくとも1つのヌクレオチドの修飾は、修飾リン酸を含む。一部の実施形態では、修飾リン酸は、ホスホジエステル連結修飾である。例えば、リン酸修飾は、ホスホン酸メチル、ホスホロチオエート、ホスホアミデート(phosphoamidates)、ホスホルアミデート(架橋形成型または非架橋形成型)、ホスホトリエステル、およびホスホロジチオエートを含みうるがこれらに限定されず、任意の組合せで使用することができる。一部の実施形態では、修飾リン酸は、3’末端のヌクレオチド間ホスホジエステル連結修飾である。例えば、3’末端のヌクレオチド間ホスホジエステル連結修飾は、アルキルホスホトリエステル連結修飾もしくはアリールホスホトリエステル連結修飾、ホスホン酸アルキル連結修飾もしくはホスホン酸アリール連結修飾、ホスホン酸水素連結修飾、ホスホルアミデート連結修飾、および/またはホスホロセレネート連結修飾を含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、3’末端のヌクレオチド間ホスホジエステル連結修飾は、ホスホルアミデート修飾である。一部の実施形態では、修飾リン酸は、リン酸を、P(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(R)OR’、CO、またはCH2(「ホルムアセタール」)[式中、各RまたはR’は独立に、Hであるか、または任意選択で、エーテル(−O−)連結、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、またはアラルキル(araldyl)を含有する、置換アルキルもしくは非置換アルキル(1〜20個のC)である]で置きかえる実施形態を含むがこれらに限定されない。
一部の実施形態では、TLR阻害剤は、少なくとも1つのホスホロチオエート骨格連結を含む少なくとも1つのヌクレオチドを含みうる。一部の実施形態では、TLR阻害剤のポリヌクレオチドは、ホスホロチオエート骨格だけを含む。一部の実施形態では、TLR阻害剤のポリヌクレオチドは、1または複数のホスホロチオエート骨格を含む。一部の実施形態では、TLR阻害剤のポリヌクレオチドは、ホスホジエステル骨格だけを含む。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、ホスホジエステル連結とホスホロチオエート連結との組合せを含むがこれらに限定されない、リン酸骨格内のリン酸連結の組合せを含みうる。
TLR阻害剤は、それらのうちのいくつかがポリヌクレオチドを安定化させうる、リン酸修飾ポリヌクレオチドを含有しうる。したがって、一部の実施形態は安定化させた免疫阻害性ポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、複数のリン酸修飾を含む。一部の実施形態では、リン酸修飾は、同じである。一部の実施形態では、リン酸修飾は、異なる。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、約1つ、約2つ、約3つ、約4つ、約5つの異なるリン酸修飾のうちのいずれかを含む。リン酸修飾はまた、修飾TLR阻害剤を調製するときに、任意の塩基修飾および/または糖修飾と共に施し、組み合わせることもできる。
一部の実施形態では、少なくとも1つのヌクレオチドの修飾は、修飾糖を含む。本開示で使用されるTLR阻害剤は、1または複数の修飾糖または糖類似体を含みうる。したがって、リボースおよびデオキシリボースに加えて、糖部分は、ペントース、デオキシペントース、ヘキソース、デオキシヘキソース、グルコース、アラビノース、キシロース、リキソース、および糖「類似体」であるシクロペンチル基でありうる。糖は、ピラノシル形態の場合もあり、フラノシル形態の場合もある。TLR阻害剤では、糖部分は、リボース、デオキシリボース、アラビノース、または2’−O−アルキルリボースのフラノシドであることが好ましい。一部の実施形態では、糖は、αアノマー配置またはβアノマー配置で、それぞれの複素環塩基へと結合させることができる。一部の実施形態では、通常存在するヒドロキシル基を置きかえることにより、糖を修飾する。糖内に通常存在するヒドロキシル基は、例えば、ホスホン酸基またはリン酸基であるがこれらに限定されない基で置きかえることができる。加えて、5’末端および3’末端のヒドロキシル基も、リン酸化するか、またはアミンまたは1〜20個の炭素原子による有機キャッピング基部分で置換することができる。一部の実施形態では、修飾糖は、2’−アルコキシRNA類似体、2’−アミノRNA類似体、2’−フルオロDNA、および2’−アルコキシRNA/DNAキメラまたは2’−アミノRNA/DNAキメラを含むがこれらに限定されない2’糖修飾である。一部の実施形態では、修飾糖は、2’−O−メチル糖修飾、2’−O−アリル糖修飾、または2’−アジド糖修飾を含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、2’修飾糖は、2’−O−メチル糖修飾である。一部の実施形態では、2’修飾糖は、2’−O−メトキシエチル糖修飾である。例えば、IIS内の糖修飾は、2’−O−メチルウリジン、2’−O−メチルチミジン、2’−O−メチルアデニン、2’−O−メチルグアニン、または2’−O−メチルシチジンを含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、糖修飾ヌクレオチドは、1または複数の糖修飾ヌクレオシドを含む。これらの糖または糖類似体、およびこのような糖または類似体を複素環塩基(核酸塩基)自体へと結合させたそれぞれの「ヌクレオシド」の調製は公知であり、このような調製が、任意の具体例にどの程度関与しうるのかを除き、本明細書で記載する必要はない。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、複数の糖修飾を含む。一部の実施形態では、糖修飾は、同じである。一部の実施形態では、糖修飾は、異なる。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、約1つ、約2つ、約3つ、約4つ、約5つの異なる糖修飾のうちのいずれかを含む。糖修飾はまた、修飾TLR阻害剤を調製するときに、任意の塩基修飾および/またはリン酸修飾と共に施し、組み合わせることもできる。
本明細書で記載される修飾ポリヌクレオチドのうちのいずれも、ポリヌクレオチド配列内のいずれかの位置において、修飾を含みうる。一部の実施形態では、修飾が、ポリヌクレオチド配列の5’末端におけるヌクレオチドの修飾またはこの近傍におけるヌクレオチドの修飾である。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド配列の5’末端において、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドのうちのいずれかを修飾する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド配列の5’末端において、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドのうちのいずれかを修飾する。一部の実施形態では、修飾が、ポリヌクレオチド配列の3’末端におけるヌクレオチドの修飾またはこの近傍におけるヌクレオチドの修飾である。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド配列の3’末端において、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドのうちのいずれかを修飾する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド配列の3’末端において、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドのうちのいずれかを修飾する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド配列の5’末端におけるヌクレオチドまたはこの近傍におけるヌクレオチド、およびポリヌクレオチド配列の3’末端におけるヌクレオチドまたはこの近傍におけるヌクレオチドの両方を修飾する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド配列の5’末端において、かつ、ポリヌクレオチド配列の3’末端において、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドのうちのいずれかを修飾する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド配列の5’末端において、かつ、ポリヌクレオチド配列の3’末端において、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドのうちのいずれかを修飾する。
TLR7および/またはTLR9を抑制するのに有効なポリヌクレオチドの他の例は、例えば、PCT/US2005/030494、PCT/US2008/012220、およびPCT/US2011/040788において見出され、それらの配列は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
TLR阻害剤のうちのいずれかについての一部の実施形態では、修飾TLR阻害剤のウリジン(U)ヌクレオシドを、チミジン(T)ヌクレオシドで置換することができる。一部の実施形態では、TLR阻害剤の全てのウリジン(U)ヌクレオシドを、チミジン(T)ヌクレオシドで置換することができる。TLR阻害剤のうちのいずれかについての一部の実施形態では、修飾TLR阻害剤のチミジン(T)ヌクレオシドを、ウリジン(U)ヌクレオシドで置換することができる。一部の実施形態では、TLR阻害剤の全てのチミジン(T)ヌクレオシドを、ウリジン(U)ヌクレオシドで置換することができる。一部の実施形態では、修飾TLR阻害剤は、ウリジン(U)ヌクレオシドおよびチミジン(T)ヌクレオシドの両方を含みうる。
本開示は、本明細書で記載されるTLR阻害剤であって、免疫阻害活性を有し、本明細書で記載される方法における使用のための、TLR7、TLR8、およびTLR9のうちの1または複数に対する阻害性モチーフを含むTLR阻害剤をさらに提供する。本明細書で提供されるTLR阻害剤は、1または複数の核酸部分および1または複数の非核酸スペーサー部分を含有する。TLR阻害剤としての使用には、下記の式I〜VIIで記載されるコア構造を含む、様々な構造式に従う化合物が想定される。式I〜IIIは、「直鎖状TLR阻害剤」のコア配列を示す。式IV〜VIは、「分枝状TLR阻害剤」のコア配列を示す。式VIIは、「単一スペーサー型TLR阻害剤」のコア構造を示す。
本明細書で提供される各式では、「N」は、核酸部分(5’〜3’の配向性または3’〜5’の配向性に配向させた)を表し、「Sp」は、非核酸スペーサー部分を表す。破線(「−」)は、核酸部分と、非核酸スペーサー部分との間の共有結合を表す。二連破線(「−−」)は、非核酸スペーサー部分と、少なくとも2つの核酸部分との間の共有結合を表す。三連破線(「−−−」)は、非核酸スペーサー部分と、複数の(すなわち、少なくとも3つの)核酸部分との間の共有結合を表す。添え字を使用して、位置の異なる核酸または非核酸スペーサー部分を表す。しかし、異なる核酸部分を識別するための添え字の使用は、部分が異なる構造または配列を必ず有することを指し示すように意図するものではない。同様に、異なるスペーサー部分を識別するための添え字の使用は、部分が異なる構造を必ず有することを指し示すように意図するものではない。例えば、前出の式IIにおいて、N1およびN2と表された核酸部分は、同じ配列を有する場合もあり、異なる配列を有する場合もあり、S1およびS2と表されたスペーサー部分は、同じ構造を有する場合もあり、異なる構造を有する場合もある。さらに、さらなる化学的部分(例えば、リン酸、モノヌクレオチド、さらなる核酸部分、アルキル基、アミノ基、チオール基、またはジスルフィド基もしくは連結基、および/またはスペーサー部分)を、コア構造の末端において共有結合的に結合させうることも想定される。
直鎖状TLR阻害剤は、コア構造内の非核酸スペーサー部分を、2つ以下の核酸部分に共有結合的に結合させた構造を有する。
例示的な直鎖状TLR阻害剤は、以下の式:
[式中、Aは、1〜約100の間の整数であり、[N
v−Sp
v]は、非核酸スペーサー部分へとコンジュゲートさせた核酸部分のさらなるA回の反復を指し示す。添え字「v」は、NおよびSpが、「[N
v−Sp
v]」の各回の反復において独立に選択されることを指し示す。「A」は、場合によって1〜約10の間、場合によって1〜3の間であり、場合によってちょうど1、2、3、4、または5である。一部の実施形態では、Aは、1、2、3、4、または5の下限と、独立に選択された10、20、50または100(例えば、3〜10の間)の上限とにより規定される範囲内の整数である]
に従う。
例示的な直鎖状TLR阻害剤は、
を含み、式中、HEGは、ヘキサ(エチレングリコール)を指す。TEGとは、テトラ(エチレングリコール)を指す。N
1およびN
2;ならびにSp
1およびSp
2は、−[N
v−Sp
v]
Aを含有しない例において独立に選択される。TLR阻害剤のうちのいずれかについての一部の実施形態では、TLR阻害剤は、2’−デオキシリボポリヌクレオチド配列である。TLR阻害剤のうちのいずれかについての一部の実施形態では、TLR阻害剤は、2’デオキシリボポリヌクレオチドおよび/または2’−O−Me糖ポリヌクレオチドによるキメラ配列である。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、修飾リン酸連結を含む、少なくとも1つのヌクレオチドを有する。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、ホスホロチオエート連結だけを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドの1または複数のヌクレオチドは、修飾を含む。一部の実施形態では、修飾は、少なくとも1つのホスホロチオエート骨格修飾を含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、ホスホロチオエート連結だけを含む。一部の好ましい実施形態では、修飾は、2’糖修飾を含む。これらの実施形態のサブセットでは、2’糖修飾は、2’−O−メチル糖修飾または2’−O−メトキシエチル糖修飾を含む。分枝状TLR阻害剤は、少なくとも3つの核酸部分に共有結合的に結合させた多価スペーサー部分(mS
p)を含む。
例示的な分枝状TLR阻害剤は、以下の式:
[式中、mS
pは、量「A」の、独立に選択された核酸部分N
v、Sp
v−N
v(核酸部分に共有結合的に結合させたスペーサー部分を含む)に共有結合的に結合させた多価スペーサーである。末端における「[Sp
v−N
v]」または「[N
v−Sp
v]」の反復は、N
vだけを含みうる。式IVおよびVでは、Aは、少なくとも3である]により記載される。式IVおよびVについての多様な実施形態では、Aは、3〜100の間の整数(両端を含む)であるが、Aは、約3、5、10、50、または100の下限と、独立に選択された約5、7、10、50、100、150、200、250、または500の上限とにより規定される範囲内の整数の場合もあり、代替的に、Aは、500を超える場合もある。式VIでは、Aは、少なくとも2であり、2、5、10、50、または100の下限と、独立に選択された5、10、50、100、150、200、250、もしくは500、または500を超える上限とにより規定される範囲内の整数である。
例示的な分枝状TLR阻害剤は、
を含み、式中、HEGは、ヘキサ(エチレングリコール)を指す。TEGは、テトラ(エチレングリコール)を指す。TLR阻害剤のうちのいずれかについての一部の実施形態では、TLR阻害剤は、2’−デオキシリボポリヌクレオチド配列である。TLR阻害剤のうちのいずれかについての一部の実施形態では、TLR阻害剤は、2’デオキシリボポリヌクレオチドおよび/または2’−O−Me糖ポリヌクレオチドによるキメラ配列である。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、修飾リン酸連結を含む、少なくとも1つのヌクレオチドを有する。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、ホスホロチオエート連結だけを含む。好ましい分枝状TLR阻害剤は、(5’−N
1−3’−HEG)
2−グリセロール−HEG−5’−N
1−3’および(5’−N
1−3’−HEG)
2−グリセロール−HEG−5’−N
1’を含む。
単一スペーサー型TLR阻害剤は、単一の核酸部分を単一のスペーサー部分へと共有結合的にコンジュゲートさせた構造、すなわち、
N1−Sp1 (VII)
を含む。
好ましい変化形では、S1は、例えば、前出で記載したエステル連結(例えば、ホスホジエステル連結またはホスホロチオエートエステル連結)により接続されることが典型的な、小型の単位(例えば、HEG、TEG、グリセロール、1’2’−ジデオキシリボース、C2アルキル〜C12アルキルのサブユニットなど)を含む多量体の構造を有する。例えば、前出の式VIIaを参照されたい。多量体は、ヘテロマーの場合もあり、ホモマーの場合もある。1つの変化形では、スペーサーは、エステル連結(例えば、ホスホジエステル連結またはホスホロチオエートエステル連結)により連結される、単量体単位のヘテロマー(例えば、HEG、TEG、グリセロール、1’2’−ジデオキシリボース、C2アルキル〜C12アルキルのリンカーなど)である。例えば、前出の式VIIbを参照されたい。
例示的な単一スペーサー型TLR阻害剤は、
を含み、式中、HEGは、ヘキサ(エチレングリコール)を指す。TLR阻害剤のうちのいずれかについての一部の実施形態では、TLR阻害剤は、2’−デオキシリボポリヌクレオチド配列である。TLR阻害剤のうちのいずれかについての一部の実施形態では、TLR阻害剤は、2’デオキシリボポリヌクレオチドおよび/または2’−O−Me糖ポリヌクレオチドによるキメラ配列である。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、修飾リン酸連結を含む、少なくとも1つのヌクレオチドを有する。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、ホスホロチオエート連結だけを含む。
ある特定の実施形態では、TLR阻害剤の末端構造を、共有結合的につなぎ合わせる(例えば、核酸部分−核酸部分、スペーサー部分−スペーサー部分、または核酸部分−スペーサー部分)結果として、環状コンフォメーションをもたらす。
本明細書で提供される免疫阻害性組成物における使用のためのTLR阻害剤は、少なくとも1つの核酸部分を含む。本明細書で使用される「核酸部分」という用語は、ヌクレオチド単量体(すなわち、モノヌクレオチド)、またはヌクレオチドポリマー(すなわち、少なくとも2つの連続ヌクレオチドを含む)を指す。本明細書で用いられるヌクレオチドは、(1)リン酸基へとエステル連結された糖へと連結されたプリン塩基もしくはピリミジン塩基、または(2)塩基および/または糖および/またはリン酸エステルを、例えば、前出で記載した類似体で置きかえた類似体を含む。複数の核酸部分を含むTLR阻害剤では、核酸部分は、同じ場合もあり、異なる場合もある。
免疫阻害性組成物中に組み込まれるTLR阻害剤で使用される核酸部分は、本明細書で開示される阻害性モチーフのうちのいずれかを含むことが可能であり、加えて、6塩基対以下の配列でもありうる。複数の核酸部分を含むTLR阻害剤では、核酸部分は、同じ長さの場合もあり、異なる長さの場合もあることが想定される。TLR阻害剤が複数の核酸部分を含む一部の実施形態では、阻害性モチーフを含む必要がある部分は1つだけである。複数の核酸部分を含むTLR阻害剤では、核酸部分は、同じ長さの場合もあり、異なる長さの場合もあることが想定される。したがって、多様な実施形態では、免疫阻害性組成物へと組み込まれるTLR阻害剤は、(a)配列が同じ核酸部分、(b)複数回にわたる核酸部分の反復、または(c)2つ以上の異なる核酸部分を含む。加えて、単一の核酸部分は、核酸部分内のさらなるヌクレオチド塩基と隣接する場合もあり、これらと重複する場合もあり、これらにより隔てられる場合もある複数の阻害性モチーフを含みうる。
TLR阻害剤は、1または複数の核酸部分に共有結合的に結合させた非核酸スペーサー部分を含む。本明細書では、場合によって便宜上、非核酸スペーサー部分を、単に「スペーサー」または「スペーサー部分」と称する。スペーサーの分子量は一般に、約50〜約50,000であり、典型的には約75〜約5000であり、約75〜約500であることが最も多く、多様な実施形態では、1つ、2つ、3つ、または3を超える核酸部分に共有結合的に結合させる。様々な薬剤が、核酸部分を接続するのに適する。例えば、研究文献で「非核酸リンカー」、「非ヌクレオチドリンカー」、または「結合価プラットフォーム分子」と称される様々な化合物を、IRC内のスペーサーとして使用することができる。ある特定の実施形態では、スペーサーは、複数の共有結合的に接続されるサブユニットを含み、ホモポリマー構造またはヘテロポリマー構造を有しうる。モノヌクレオチドおよびポリヌクレオチドは、非核酸スペーサーの定義内に含まれず、この除外がなければ、核酸部分と隣接する非核酸スペーサー部分との間には差異が認められないことが察知されるであろう。
ある特定の実施形態では、スペーサーは、1または複数の塩基脱落ヌクレオチド(すなわち、ヌクレオチド塩基を欠くが、糖部分およびリン酸部分を有する)を含みうる。例示的な塩基脱落ヌクレオチドは、1’2’−ジデオキシリボース、1’−デオキシリボース、1’−デオキシアラビノース、およびこれらのポリマーを含む。
他の適切なスペーサーは、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたポリグリコール、任意選択で置換されたポリアミン、任意選択で置換されたポリアルコール、任意選択で置換されたポリアミド、任意選択で置換されたポリエーテル、任意選択で置換されたポリイミン、任意選択で置換されたポリホスホジエステル(ポリ(1−ホスホ−3−プロパノールなど)などを含む。任意選択の置換基は、アルコール、アルコキシ(メトキシ、エトキシ、およびプロポキシなど)、直鎖状アルキルまたは分枝鎖状アルキル(C1〜C12アルキルなど)、アミン、アミノアルキル(アミノC1〜C12アルキルなど)、ホスホルアミダイト、リン酸、チオリン酸、ヒドラジド、ヒドラジン、ハロゲン、(F、Cl、Br、またはIなど)、アミド、アルキルアミド(C1〜C12アルキルアミドなど)、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物、ハロゲン化スルホニル、イミド酸エステル、イソシアン酸、イソチオシアン酸、ハロギ酸、カルボジイミド付加物、アルデヒド、ケトン、スルフヒドリル、ハロアセチル、ハロゲン化アルキル、スルホン酸アルキル、NR1R2を含み、式中、R1R2は、−C(=O)CH=CHC(=O)(マレイミド)、チオエーテル、シアノ、糖(マンノース、ガラクトース、およびグルコースなど)、α,β−不飽和カルボニル、水銀剤アルキル、α,β−不飽和スルホンである。
適切なスペーサーは、フェニル環またはシクロヘキシル環を含有する多環分子などの多環分子を含みうる。スペーサーは、ポリホスホプロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテル、置換される場合もあり、修飾される場合もあり、ポリエーテルと多環分子との組合せの場合もある、二官能性ペンタレン、二官能性インデン、二官能性ナフタレン、二官能性アズレン、二官能性ヘプタレン、二官能性ビフェニレン、二官能性アシムインダセン、二官能性シム−インダセン、二官能性アセナフチレン、二官能性フルオレン、二官能性フェナーレン、二官能性フェナントレン、二官能性アントラセン、二官能性フルオランテン、二官能性アセフェナントリレン(acephenathrylene)、二官能性アセアントリレン、二官能性トリフェニレン、二官能性ピレン、二官能性クリセン、二官能性ナフタセン、二官能性チアントレン、二官能性イソベンゾフラン、二官能性クロメン、二官能性キサンテン、二官能性フェノキサチインなどの二官能性多環分子でありうる。多環分子は、C1〜C5アルキル基、C6アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン基、またはハロアルキル基で置換または多置換することができる。窒素含有多複素環分子(例えば、インドリジン)は、適切なスペーサーではないことが典型的である。スペーサーはまた、グリセロールまたはペンタエリトリトールなどのポリアルコールでもありうる。1つの変化形では、スペーサーは、1−(ホスホプロパン)3−リン酸または1−(ホスホプロパン)4−リン酸(また、テトラホスホプロパンジオールおよびペンタホスホプロパンジオールとも呼ばれる)を含む。1つの変化形では、スペーサーは、誘導体化された2,2’−エチレンジオキシジエチルアミン(EDDA)を含む。
TLR阻害剤において有用な非核酸スペーサーの具体例は、Cloadら(1991年)、J. Am. Chem. Soc.、113巻:6324頁; Richardsonら(1991年)、J. Am. Chem. Soc.、113巻:5109頁; Maら(1993年)、Nucleic Acids Res.、21巻:2585頁; Maら(1993年)、Biochemistry、32巻:1751頁; McCurdyら(1991年)、Nucleosides & Nucleotides、10巻:287頁; Jaschkeら(1993年)、Tetrahedron Lett.、34巻:301頁; Onoら(1991年)、Biochemistry、30巻:9914頁;および国際公開第WO89/02439号により記載されている「リンカー」を含む。
他の適切なスペーサーは、Salunkheら(1992年)、J. Am. Chem. Soc.、114巻:8768頁; Nelsonら(1996年)、Biochemistry、35巻:5339〜5344頁; Bartleyら(1997年)、Biochemistry、36巻:14502〜511頁; Dagneauxら(1996年)、Nucleic Acids Res.、24巻:4506〜12頁; Durandら(1990年)、Nucleic Acids Res.、18巻:6353〜59頁; Reynoldsら(1996年)、Nucleic Acids Res.、24巻:760〜65頁; Hendryら(1994年)、Biochem. Biophys. Acta、1219巻:405〜12頁; Altmannら(1995年)、Nucleic Acids Res.、23巻:4827〜35頁により記載されているリンカーを含む。さらに他の適切なスペーサーについては、欧州特許第EP0313219B1号および米国特許第6,117,657号において記載されている。
例示的な非核酸スペーサーは、オリゴエチレングリコール(例えば、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキサエチレングリコールスペーサー、および最大で約10、約20、約40、約50、約100、または約200エチレングリコール単位を含む他のポリマー)、アルキルスペーサー(例えば、プロピルスペーサー、ブチルスペーサー、ヘキシルスペーサー、および、例えば、通常、C2〜C10アルキルであり、C2〜C6アルキルであることが最も多い、他のC2〜C12アルキルスペーサー)、塩基脱落ヌクレオチドスペーサー、グリセロール、ペンタエリトリトール、または1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサン(例えば、本明細書で記載される、対称性二重スペーサー部分および対称性三重スペーサー部分)に由来する、対称性または非対称性スペーサーを含む。スペーサーはまた、前述の化合物のヘテロマー性オリゴマーまたはホモマー性オリゴマーおよびポリマー(例えば、アミド連結、エステル連結、エーテル連結、チオエーテル連結、ジスルフィド連結、ホスホジエステル連結、ホスホロチオエート連結、ホスホルアミデート連結、ホスホトリエステル連結、ホスホロジチオエート連結、ホスホン酸メチル連結、または他の連結により連結される)も含みうる。
適切なスペーサー部分は、TLR阻害剤に、電荷および/または疎水性をもたらすことが可能であり、TLR阻害剤に、好適な薬物動態特性(例えば、安定性の改善、血液中の滞留時間の延長)をもたらすことが可能であり、かつ/またはTLR阻害剤の、特定の細胞または臓器へのターゲティングを結果としてもたらすことが可能である。スペーサー部分は、所望の薬物動態特性または所望の投与方式(例えば、経口投与)に対する適性に合わせてTLR阻害剤を調整するように選択または修飾することができる。簡便さのために、読者は、TLR阻害剤が実際には、化合物と、隣接する核酸部分または他のスペーサー部分の構成成分とのコンジュゲートを含むことを理解しつつも、スペーサー(またはスペーサー構成成分)が場合によって、スペーサー構成成分が由来する化合物の化学名(例えば、ヘキサエチレングリコール)により言及されることを理解されたい。
複数のスペーサー部分を含むTLR阻害剤では、スペーサーは、同じ場合もあり、異なる場合もある。したがって、1つの変化形では、TLR阻害剤内の非核酸スペーサー部分の全てが、同じ構造を有する。1つの変化形では、TLR阻害剤は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つ以上の異なる構造を伴う非核酸スペーサー部分を含む。
一部の想定される実施形態では、TLR阻害剤のスペーサー部分は、ある特定の構造を除外するように規定される。したがって、一部の実施形態では、スペーサーは、塩基脱落ヌクレオチドまたは塩基脱落ヌクレオチドのポリマー以外である。一部の実施形態では、スペーサーは、オリゴ(エチレングリコール)(例えば、HEG、TEGなど)またはポリ(エチレングリコール)以外である。一部の実施形態では、スペーサーは、C3アルキルスペーサー以外である。一部の実施形態では、スペーサーは、ポリペプチド以外である。したがって、一部の実施形態では、免疫原性分子、例えば、タンパク質またはポリペプチドは、スペーサー部分の構成成分として適さない。しかし、前出で論じた通り、ある特定の実施形態では、TLR阻害剤は、「タンパク質性TLR阻害剤」(すなわち、ポリペプチドを含むスペーサー部分を含む)であることが想定される。しかし、一部の実施形態では、スペーサー部分は、タンパク質性ではなく、かつ/または抗原ではない(すなわち、スペーサー部分は、TLR阻害剤から単離されるならば、抗原ではない)。
一般に、適切なスペーサー部分は、それらが構成成分であるTLR阻害剤を、水溶液中で不溶性としない(例えば、PBS;pH7.0)。したがって、スペーサーの定義は、マイクロ担体またはナノ担体を除外する。加えて、ドデシルスペーサーなど、可溶性が低いスペーサー部分(ジアルコール前駆体である1,12−ジヒドロキシドデカンとして測定される場合の可溶性<5mg/ml)は、IRCの親水性および活性を低減しうるため、好ましくない。ジアルコール前駆体として測定される場合の、スペーサー部分の可溶性は、5mg/mlを大きく超える(例えば、≧20mg/ml、≧50mg/ml、または≧100mg/ml)ことが好ましい。
TLR阻害剤の電荷は、核酸部分内のリン酸、チオリン酸、または他の基のほか、非核酸スペーサー部分内の基によってももたらすことができる。一部の実施形態では、非核酸スペーサー部分は、正味の電荷(例えば、pH7で測定する場合の正味の正電荷または正味の負電荷)を保有する。1つの有用な変化形では、TLR阻害剤は、正味の負電荷を有する。一部の実施形態では、本明細書で記載されるスペーサーサブユニットを、その電荷を増大させるように誘導体化させることにより、TLR阻害剤内のスペーサー部分の負電荷を増大させる。例えば、グリセロールを、2つの核酸部分に共有結合的に結合させ、残りのアルコールを、活性化させたホスホルアミダイトと反応させた後、酸化または硫黄化を施して、それぞれ、リン酸またはチオリン酸を形成することができる。ある特定の実施形態では、TLR阻害剤内の非核酸スペーサー部分によりもたらされる負電荷(すなわち、複数のスペーサーが存在する場合の電荷の合計)は、TLR阻害剤の核酸部分によりもたらされる負電荷を超える。電荷は、分子式に基づき計算することもでき、実験により、例えば、キャピラリー電気泳動(Li編、1992年、「Capillary electrophoresis、Principles、Practice and Application」、Elsevier Science Publishers、Amsterdam、The Netherlands、202〜206頁)により決定することもできる。
前出で触れた通り、適切なスペーサーは、本明細書で記載される化合物であって、それ自体スペーサーとして有用であり、非ヌクレオチド「リンカー」と一般に称される化合物を含む化合物など、小型の非核酸(例えば、非ヌクレオチド)化合物のポリマーでありうる。このようなポリマー(すなわち、「マルチユニットスペーサー」)は、ヘテロマーの場合もあり、ホモマーの場合もあり、エステル連結(例えば、ホスホジエステル連結またはホスホロチオエートエステル連結)により連結される単量体単位(例えば、HEG、TEG、グリセロール、1’2’−ジデオキシリボースなど)を含むことが多い。したがって、1つの変化形では、スペーサーは、非ヌクレオチド単位(例えば、2〜約100単位、代替的に、2〜約50単位、例えば、2〜約5単位、代替的に、例えば、約5〜約50単位、例えば、約5〜約20単位)のポリマー(例えば、ヘテロポリマー)構造を含む。
ある特定の実施形態では、スペーサー部分は、多価の非核酸スペーサー部分(すなわち、「多価スペーサー」)である。この文脈で使用されるTLR阻害剤は、3つ以上の核酸部分に共有結合的に結合させたスペーサーを含有する多価スペーサーを含有する。当技術分野では場合によって、多価スペーサーを「プラットフォーム分子」と称する。多価スペーサーは、ポリマーの場合もあり、非ポリマーの場合もある。適切な分子の例は、グリセロールまたは置換グリセロール(例えば、2−ヒドロキシメチルグリセロール、レブリノイル(levulinyl)−グリセロール);テトラアミノベンゼン、ヘプタアミノベータシクロデキストリン、1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサン、ペンタエリトリトールおよびペンタエリトリトールの誘導体、テトラアミノペンタエリトリトール、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン(サイクラム)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(サイクレン)、ポリエチレンイミン、1,3−ジアミノ−2−プロパノールおよび置換誘導体、プロピルオキシメチル]エチル化合物(例えば、「三重」)、いわゆる「Star PEG」および「bPEG」(例えば、Gnanouら(1988年)、Makromol. Chem.、189巻:2885頁; Reinら(1993年)、Acta Polymer、44巻:225頁;米国特許第5,171,264号を参照されたい)などのポリエチレングリコール誘導体、ならびにデンドリマーを含む。
デンドリマーは、当技術分野で公知であり、一般に、多官能性単量体の段階的反応または反復的反応により、分枝状構造を得るように調製される、化学的に規定された球状分子である(例えば、Tomaliaら(1990年)、Angew. Chem. Int. Ed. Engl.、29巻:138〜75頁を参照されたい)。様々なデンドリマー、例えば、アミン終端ポリアミドアミンデンドリマー、ポリエチレンイミンデンドリマー、およびポリプロピレンイミンデンドリマーが公知である。例示的な有用なデンドリマーは、米国特許第4,587,329号;同第5,338,532号;および同第6,177,414号において記載されている、いわゆる「ポリ(アミドアミン)(「PAMAM」)デンドリマー」を含むデンドリマーなどの「デンススター」ポリマーまたは「スターバースト」ポリマーを含む。使用に適する、さらに他の多量体スペーサー分子は、米国特許第5,552,391号;ならびにPCT出願公開第WO00/75105号、同第WO96/40197号、同第WO97/46251号、同第WO95/07073号、および同第WO00/34231号において開示されている多量体スペーサー分子など、化学的に規定された、非ポリマーの結合価プラットフォーム分子を含む。他の多くの適切な多価スペーサーも使用することができ、当業者にも公知であろう。
核酸部分のプラットフォーム分子へのコンジュゲーションは、核酸部分およびプラットフォーム分子上の1または複数の架橋形成剤および官能基を伴うことが典型的ないくつもの様式で実施することができる。連結基は、標準的な合成化学法を使用して、プラットフォームへと付加する。連結基は、標準的な合成法を使用して、核酸部分へと付加することができる。
様々な結合価を伴う多価スペーサーは、有用であり、多様な実施形態では、TLR阻害剤の多価スペーサーを、約3〜約400、しばしば3〜100、場合によって3〜50、多くは3〜10の間の核酸部分に結合させ、場合によって、400を超える核酸部分に結合させる。多様な実施形態では、多価スペーサーを、10を超える、25を超える、50を超える、または500を超える核酸部分(同じ場合もあり、異なる場合もある)へとコンジュゲートさせる。TLR阻害剤が多価スペーサーを含むある特定の実施形態では、本明細書において、分子構造がわずかに異なるTLR阻害剤の集団が提供されることを理解されたい。例えば、TLR阻害剤を、結合価の大きな多価スペーサーとしてのデンドリマーを使用して調製する場合は、分子のある程度異質な混合物、すなわち、各デンドリマー分子へとつなぎ合わされた、異なる数(決定可能な範囲内の数または主に決定可能な範囲内の数)の核酸部分を含む混合物が作製される。
核酸部分への連結を可能とするように誘導体化された多糖は、TLR阻害剤内のスペーサーとして使用することができる。適切な多糖は、自然発生の多糖(例えば、デキストラン)および合成多糖(例えば、FICOLL(登録商標))を含む。例えば、アミノエチルカルボキシメチル−FICOLL(登録商標)(AECM−FICOLL(登録商標))は、Inman(1975年)、J. Imm.、114巻:704〜709頁の方法により調製することができる。次いで、AECM−FICOLL(登録商標)を、6−マレイミドカプロン酸アシルN−ヒドロキシスクシンイミドエステルなどのヘテロ二官能性架橋形成試薬と反応させ、次いで、チオールで誘導体化した核酸部分へとコンジュゲートさせることができる(Leeら(1980年)、Mol. Imm.、17巻:749〜56頁を参照されたい)。他の多糖も、同様に修飾することができる。
日常的な方法を使用してTLR阻害剤を調製することは、本明細書および当技術分野における知見により導かれた当業者の能力の範囲内に十分に収まるであろう。核酸部分(例えば、オリゴヌクレオチドおよび修飾オリゴヌクレオチド)を作り出すための技法は公知である。核酸部分は、酵素的方法および化学的方法ならびに酵素的手法と化学的手法との組合せを含むがこれらに限定されない技法を使用して合成することができる。例えば、ホスホジエステル連結を含有するDNAまたはRNAは、適切なヌクレオシドホスホルアミダイトを、3’末端において固体支持体へと結合させた、成長しつつあるオリゴヌクレオチドの5’−ヒドロキシ基へと逐次的にカップリングした後で、中間体である亜リン酸トリエステルをリン酸トリエステルへと酸化させることにより、化学的に合成することができる。DNA合成に有用な固体支持体は、Controlled Pore Glass(Applied Biosystems、Foster City、CA)、ポリスチレンビーズマトリックス(Primer Support;Amersham Pharmacia、Piscataway、NJ)およびTentGel(Rapp Polymere GmbH、Tubingen、Germany)を含む。所望のオリゴヌクレオチド配列を合成したら、オリゴヌクレオチドを支持体から除去し、リン酸トリエステル基を、リン酸ジエステルへと脱保護し、ヌクレオシド塩基を、含水アンモニアまたは他の塩基を使用して脱保護する。
例えば、ホスホジエステル連結を含有するDNAポリヌクレオチドもしくはRNAポリヌクレオチドまたはDNA/RNAハイブリッド体ポリヌクレオチド(核酸部分)は一般に、以下のステップ:a)3’−固体支持体に結合させたヌクレオシドまたは核酸の5’−ヒドロキシル基からの保護基の除去、b)活性化させたヌクレオシドホスホルアミダイトの、5’−ヒドロキシル基へのカップリング、c)亜リン酸トリエステルのリン酸トリエステルへの酸化、およびd)未反応5’−ヒドロキシル基のキャッピングの繰り返しの反復により合成する。ホスホロチオエート連結を含有するDNAまたはRNAは、酸化ステップを硫黄化ステップで置きかえることを除き、上記で記載した通りに調製する。所望のオリゴヌクレオチド配列を合成したら、オリゴヌクレオチドを支持体から除去し、リン酸トリエステル基を、リン酸ジエステルへと脱保護し、ヌクレオシド塩基を、含水アンモニアまたは他の塩基を使用して脱保護する。例えば、Beaucage(1993年)、「Oligodeoxyribonucleotide Synthesis」、「PROTOCOLS FOR OLIGONUCLEOTIDES AND ANALOGS、SYNTHESIS AND PROPERTIES」(Agrawal編)、Humana Press、Totowa、NJ; Warnerら(1984年)、DNA、3巻:401頁; Tangら(2000年)、Org. Process Res. Dev.、4巻:194〜198頁; Wyrzykiewicaら(1994年)、Bioorg. & Med. Chem. Lett.、4巻:1519〜1522頁; Radhakrishnaら(1989年)、J. Org. Chem.、55巻:4693〜4699頁;および米国特許第4,458,066号を参照されたい。指定された配列の核酸部分を自動的に合成するプログラム可能な機器が広く利用可能である。例は、Expedite 8909自動式DNA合成器(Perseptive Biosystem、Framington、MA);ABI 394(Applied Biosystems,Inc.、Foster City、CA);およびOligoPilot II(Amersham Pharmacia Biotech、Piscataway、NJ)を含む。
ポリヌクレオチドは、例えば、酸不安定性5’−保護基および3’−ホスホルアミダイトを含有する塩基保護ヌクレオシド(単量体)を使用して、3’〜5’方向にアセンブルすることができる。このような単量体の例は、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)保護ヌクレオシド−3’−O−(N,N−ジイソプロピルアミノ)2−シアノエチルホスホルアミダイトを含み、保護ヌクレオシドの例は、N6−ベンゾイルアデノシン、N4−ベンゾイルシチジン、N2−イソブチリル(isobutryryl)グアノシン、N2−イソブチリルチミジン、およびN2−イソブチリルウリジンを含むがこれらに限定されない。この場合、使用される固体支持体は、3’−連結された保護ヌクレオシドを含有する。代替的に、ポリヌクレオチドは、酸不安定性3’−保護基および5’−ホスホルアミダイトを含有する塩基保護ヌクレオシドを使用して、5’〜3’方向にアセンブルすることができる。このような単量体の例は、3’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)保護ヌクレオシド−5’−O−(N,N−ジイソプロピルアミノ)2−シアノエチルホスホルアミダイトを含み、保護ヌクレオシドの例は、N6−ベンゾイルアデノシン、N4−ベンゾイルシチジン、N2−イソブチリル(isobutryryl)グアノシン、N2−イソブチリルチミジン、およびN2−イソブチリルウリジン(Glen Research、Sterling、VA)を含むがこれらに限定されない。この場合、使用される固体支持体は、5’−連結された保護ヌクレオシドを含有する。環状核酸構成成分は、組換え法を介して単離、合成することもでき、化学合成することもできる。化学合成は、文献において記載されている任意の方法を使用して実施することができる。例えば、Gaoら(1995年)、Nucleic Acids Res.、23巻:2025〜2029頁;およびWangら(1994年)、Nucleic Acids Res.、22巻:2326〜2333頁を参照されたい。
非核酸スペーサー部分の付加は、日常的な方法を使用して達成することができる。当技術分野では、特定のスペーサー部分を付加するための方法が公知であり、例えば、前出で引用された参考文献において記載されている。例えば、Durandら(1990年)、Nucleic Acids Res.、18巻:6353〜6359頁を参照されたい。スペーサー部分と核酸部分との間の共有結合的連結は、ホスホジエステル連結、ホスホロチオエート連結、アミド連結、エステル連結、エーテル連結、チオエーテル連結、ジスルフィド連結、ホスホルアミデート連結、ホスホトリエステル連結、ホスホロジチオエート連結、ホスホン酸メチル連結、および他の連結を含む、いくつかの種類のうちのいずれかでありうる。核酸部分を合成するために使用される同じホスホルアミダイト型化学を使用して、スペーサー部分(複数可)と核酸部分(複数可)とを組み合わせると簡便であることが多いであろう。例えば、本明細書で記載されるIRCは、ホスホルアミダイト化学反応(例えば、Beaucage、1993年、前出;「Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry」、前出を参照されたい)を使用する自動式DNA合成器(例えば、Expedite 8909;Perseptive Biosystem、Framington、MA)を使用して合成とすると簡便でありうる。しかし、当業者は、所望の場合、自動式DNA合成器により実行される同じ(または同等な)合成ステップはまた、手作業で実行することもできると理解するであろう。このような合成では、スペーサー(または多量体スペーサーのためのスペーサーサブユニット)の一方の末端を、4,4’−ジメトキシトリチル基で保護する一方で、他の末端は、ホスホルアミダイト基を含有することが典型的である。
必須の保護基および反応基を伴う様々なスペーサー、例えば、
が市販されている。
これらの保護スペーサー部分前駆体および多種多様な他の保護スペーサー部分前駆体(例えば、DMTおよびホスホルアミダイト基による保護基を含む)は、購入することもでき、本明細書で開示されるIRCの調製における使用のための日常的な方法を使用して合成することもできる。装置は、製造業者の指示書に従い、ヌクレオチド単量体およびスペーサーを所望の順序で付加するようにプログラムする。
ホスホルアミダイト化学反応の使用は、ある特定のTLR阻害剤を調製するのに簡便であるが、本明細書で記載されるTLR阻害剤は、任意の特定の合成法または調製法により調製される化合物に限定されないことを理解されたい。
1つの変化形では、多価スペーサーを複数種類の核酸部分へとコンジュゲートさせたTLR阻害剤を調製する。例えば、2つのマレイミド基(チオール含有ポリヌクレオチドと反応しうる)および2つの活性化エステル基(アミノ含有核酸と反応しうる)を含有するプラットフォームが記載されている(例えば、PCT出願公開第WO95/07073号を参照されたい)。これらの2つの活性化基は、互いと独立に反応させることができる。これは、各配列2つずつで合計4つの核酸部分を含有するTLR阻害剤を結果としてもたらすであろう。
また、上記で記載した対称性の分枝状スペーサーおよび従来のホスホルアミダイト化学反応を使用して(例えば、手作業による方法または自動式の方法を使用して)、多価スペーサーを伴い、2つの異なる核酸配列を含有するTLR阻害剤も調製することもできる。対称性の分枝状スペーサーは、ホスホルアミダイト基と、同じであり、同時に除去される2つの保護基とを含有する。1つの手法では、例えば、第1の核酸を合成し、対称性の分枝状スペーサーへとカップリングし、保護基をスペーサーから除去する。次いで、2つのさらなる核酸(同じ配列の)を、スペーサー上で合成する(各ステップで単一の核酸部分を合成するために使用される試薬の二倍量を使用する)。
同様の方法を使用して、3つの異なる核酸部分(下記で核酸I、II、およびIIIと称する)を、多価プラットフォーム(例えば、非対称分枝状スペーサー)へと接続することができる。これは、自動式DNA合成器を使用して実行するのが最も簡便である。1つの変化形では、非対称分枝状スペーサーは、ホスホルアミダイト基と、独立に除去しうる2つの直交保護基とを含有する。まず、核酸Iを合成し、次いで、非対称分枝状スペーサーを、核酸Iへとカップリングし、次いで、保護基の1つの選択的除去を行った後、核酸IIを付加する。核酸IIを脱保護し、キャッピングし、次いで、スペーサー上の他の保護基を除去する。最後に、核酸IIIを合成する。
一部の実施形態では、核酸部分(複数可)を合成し、標準的な合成化学法を使用して、反応性連結基(例えば、アミノ基、カルボキシレート基、チオール基、ジスルフィド基など)を付加する。反応性連結基(結果として得られるスペーサー部分の一部を形成すると考えられる)を、さらなる非核酸化合物へとコンジュゲートさせて、スペーサー部分を形成する。連結基は、文献において記載されているかまたは市販されている様々な試薬を援用する、核酸合成のための標準的な方法を使用して、核酸へと付加する。例は、保護されたアミノ基、カルボキシレート基、チオール基、またはジスルフィド基およびホスホルアミダイト基を含有する試薬を含む。これらの化合物を、活性化ホスホルアミダイト基を介して核酸へと組み込み、脱保護すると、これらにより、核酸には、アミノ反応性、カルボキシレート反応性、またはチオール反応性がもたらされる。
長さが可変的な親水性リンカーは、例えば、核酸部分とプラットフォーム分子とを連結するのに有用である。様々な適切なリンカーが公知である。適切なリンカーは、限定なしに述べると、エチレングリコールの直鎖状オリゴマーまたは直鎖状ポリマーを含む。このようなリンカーは、式:R1S(CH2CH2O)nCH2CH2O(CH2)mCO2R2によるリンカーを含み、式中、n=0〜200であり、m=1または2であり、R1=Hまたはトリチルなどの保護基であり、R2=Hまたはアルキルまたはアリール、例えば、4−ニトロフェニルエステルである。これらのリンカーは、チオエーテルなどを介してハロアセチル(haloaceyl)、マレイミド(maleiamide)などのチオール反応性基を含有する分子を、アミド結合を介してアミノ基を含有する第2の分子へと接続するのに有用である。結合の順序は、変化させることができる、すなわち、チオエーテル結合は、アミド結合を形成する前に形成することもでき、アミド結合を形成した後で形成することもできる。他の有用なリンカーは、スルホ−SMCC(スルホスクシンイミジル4−[N−マレイミドメチル]−シクロヘキサン−1−カルボキシレート):Pierce Chemical Co.品番22322;スルホ−EMCS(N−[イプシロン−マレイミドカプロイロキシルスルホスクシンイミドエステル):Pierce Chemical Co.品番22307;スルホ−GMBS(N−[ガンマ−マレイミドブチリルオキシ]スルホスクシンイミドエステル):Pierce Chemical Co.品番22324(Pierce Chemical Co.、Rockford、IL)、および一般式をマレイミド−R−C(O)NHSエステルとする同様の化合物を含み、式中、R=アルキル、周期的アルキル、エチレングリコールのポリマーなどである。
核酸部分を多価スペーサーに共有結合的につなぎ合わせるのに特に有用な方法については、前出で引用された参考文献において記載されている。
ある特定の実施形態では、複数の核酸部分を共有結合的にコンジュゲートさせる多価スペーサー部分としてポリペプチドを使用して、直接またはリンカーを介して、「タンパク質性TLR阻害剤」を形成する。ポリペプチドは、担体(例えば、アルブミン)でありうる。タンパク質性担体は、少なくとも1つであり、通常いくつかまたは多くの核酸部分であって、(a)2〜7ヌクレオチドの間の長さであり、4〜7ヌクレオチドの間の長さであることがより多く、代替的に、2〜6、2〜5、4〜6、もしくは4〜5ヌクレオチドの間の長さである核酸部分、および/または(b)TLR阻害性モチーフを含む長鎖のポリヌクレオチド(例えば、少なくとも8ヌクレオチドの長さの)と比較して単独の免疫調節活性が劣る核酸部分を含むことが典型的である。本開示をよく検討すれば、当業者には、タンパク質性TLR阻害剤を作り出す方法が明らかであろう。核酸は、例えば、当技術分野で公知の方法により、核酸部分の3’末端または5’末端の間の連結(または核酸部分内の内部の位置において適切に修飾された塩基)、および適切な反応性基を伴うポリペプチド(例えば、シトシン残基のN4アミノ基と直接反応させうるN−ヒドロキシスクシンイミドエステル)を含む、ポリペプチドスペーサー部分へと共有結合的にコンジュゲートさせることができる。さらなる例として述べると、ポリペプチドは、核酸部分へと組み込まれたアミン基、チオール基、またはカルボキシル基を介して、核酸部分の遊離の5’末端へと結合させることができる。代替的に、ポリペプチドは、本明細書で記載されるスペーサー部分へとコンジュゲートさせることができる。さらに、連結基は、一方の末端において、保護されたアミン、チオール、またはカルボキシルを含み、ホスホルアミダイトは、ポリヌクレオチドのヒドロキシル基へと共有結合的に結合させることができ、脱保護に続いて、官能性を使用して、TLR阻害剤を、ペプチドへと共有結合的に結合させることができる。
ポリヌクレオチドの単離および合成
本明細書ではまた、本明細書で記載される、TLR7、TLR8、およびTLR9のうちの1または複数に対する阻害性モチーフを含むポリヌクレオチドを作り出す方法も提供される。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、修飾TLR阻害性モチーフ配列を含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、非修飾TLR阻害性モチーフ配列を含む。方法は、本明細書で記載される方法のうちのいずれかでありうる。例えば、方法は、TLR阻害剤の合成(例えば、固体状態合成を使用する)であることが可能であり、任意の精製ステップ(複数可)をさらに含みうる。当技術分野では、精製法が公知である。
また、TLR7、TLR8、およびTLR9のうちの1または複数に対する阻害性モチーフを含む免疫阻害性ポリヌクレオチド(TLR阻害剤)を単離および合成するための方法も提供される。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、修飾TLR阻害剤である。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、非修飾TLR阻害剤である。
当技術分野では、ポリヌクレオチドおよび修飾ポリヌクレオチドを作り出すための技法が公知である。ホスホジエステル連結を含有する、自然発生のDNAまたはRNAは一般に、適切なヌクレオシドホスホルアミダイトを、3’末端において固体支持体へと結合させた、成長しつつあるオリゴヌクレオチドの5’−ヒドロキシ基へと逐次的にカップリングした後で、中間体である亜リン酸トリエステルをリン酸トリエステルへと酸化させることにより合成する。所望のポリヌクレオチド配列を合成したら、ポリヌクレオチドを、支持体から除去し、リン酸トリエステル基を、リン酸ジエステルへと脱保護し、ヌクレオシド塩基を、含水アンモニアまたは他の塩基を使用して脱保護する。例えば、Beaucage(1993年)、「Oligodeoxyribonucleotide Synthesis」、「Protocols for Oligonucleotides and Analogs、Synthesis and Properties」(Agrawal編)、Humana Press、Totowa、NJ; Warnerら(1984年)、DNA、3巻:401頁;および米国特許第4,458,066号を参照されたい。
当技術分野ではまた、修飾リン酸連結または非リン酸連結を含有するポリヌクレオチドの合成も公知である。総説については、Matteucci(1997年)、「Oligonucleotide Analogs: an Overview」、「Oligonucleotides as Therapeutic Agents」(D.J. ChadwickおよびG. Cardew編)、John Wiley and Sons、New York、NYを参照されたい。ポリヌクレオチド内の糖部分または糖類似体部分へと結合させうるリン誘導体(または修飾リン酸基)は、モノリン酸、ジリン酸、トリリン酸、アルキルホスホン酸、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホルアミデートなどでありうる。また、上記で言及したリン酸類似体の調製、およびそれらのヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、およびオリゴヌクレオチドへの組込み自体も公知であり(Peyrottesら(1996年)、Nucleic Acids Res.、24巻:1841〜1848頁; Chaturvediら(1996年)、Nucleic Acids Res.、24巻:2318〜2323頁;およびSchultzら(1996年)、Nucleic Acids Res.、24巻:2966〜2973頁)、本明細書で詳細に記載する必要はない。例えば、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの合成は、酸化ステップを硫黄化ステップで置きかえることを除き、自然発生のオリゴヌクレオチドについて上記で記載した合成と同様である(Zon(1993年)、「Oligonucleoside Phosphorothioates」、「Protocols for Oligonucleotides and Analogs、Synthesis and Properties」(Agrawal編)、Humana Press、165〜190頁)。同様に、ホスホトリエステル(Millerら(1971年)、JACS、93巻:6657〜6665頁)、非架橋形成型ホスホルアミデート(Jagerら(1988年)、Biochem.、27巻:7247〜7246頁)、N3’−P5’間ホスホルアミデート(Nelsonら(1997年)、JOC、62巻:7278〜7287頁)およびホスホロジチオエート(米国特許第5,453,496号)など、他のリン酸類似体の合成もまた記載されている。他の非リンベースの修飾オリゴヌクレオチドもまた、使用することができる(Stirchakら(1989年)、Nucleic Acids Res.、17巻:6129〜6141頁)。
当技術分野では、多様な複素環塩基部分および多様な糖部分(および糖類似体)を含む多数の「合成」非天然ヌクレオシドが利用可能であり、本開示の他の基準を満たす限りにおいて、TLR阻害剤は、自然発生の核酸の主要な5つの塩基構成成分以外の、1つまたはいくつかの複素環塩基も含みうることを当業者は認識するであろう。TLR阻害剤内の複素環塩基は、ウラシル−5−イル基、シトシン−5−イル基、アデニン−7−イル基、アデニン−8−イル基、グアニン−7−イル基、グアニン−8−イル基、4−アミノピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル基、2−アミノ−4−オキソピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル基、2−アミノ−4−オキソピロロ[2,3−d]ピリミジン−3−イル基を含むことが好ましいがこれらに限定されず、式中、プリンは、9位を介してTLR阻害剤の糖部分へと結合させ、1位を介してTLR阻害剤のピリミジンへと結合させ、7位を介してピロロピリミジンへと結合させ、1位を介してピラゾロピリミジンへと結合させる。
塩基修飾ヌクレオシドの調製、および塩基修飾ヌクレオシドを前駆体として使用する修飾オリゴヌクレオチドの合成は、例えば、米国特許第4,910,300号、同第4,948,882号、および同第5,093,232号において記載されている。これらの塩基修飾ヌクレオシドは、それらを、化学合成により、オリゴヌクレオチドの末端位置または内部位置へと組み込みうるようにデザインされている。このような塩基修飾ヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドの末端位置または内部位置に存在し、ペプチドを結合させるための部位として用いることができる。また、それらの糖部分内のヌクレオシド修飾についても記載されており(例えば、米国特許第4,849,513号、同第5,015,733号、同第5,118,800号、同第5,118,802号を含むがこれらに限定されない)、同様に使用することができる。
TLR阻害剤複合体
TLR阻害剤は、個体へと直接投与することもでき、TLR阻害剤の細胞への送達および/またはTLR阻害剤の細胞による取込みを増強する組成物または複合体により投与することもできる。組成物または複合体はまた、2つ以上の異なるTLR阻害剤の、細胞への共送達を増強するのにも使用することができる。一部の実施形態では、TLR阻害剤の混合物は、少なくとも1つのTLR阻害剤を送達するために複合体化することができる。
このような送達組成物または送達複合体は、本明細書で記載される封入複合体およびコロイド分散系を含むがこれらに限定されず、当技術分野でも公知である。このような送達組成物の例は、水中油エマルジョン、ミセル、およびリポソームを含む。送達組成物または送達複合体はまた、本明細書で記載される、リンカー分子、プラットフォーム分子、ナノ粒子、またはマイクロ粒子へと連結されたTLR阻害剤も含む。このような連結は、共有結合的連結および非共有結合的連結の両方を含む。
一部の実施形態では、共有結合的相互作用および/または非共有結合的相互作用を含む様々な様式で、TLR阻害剤を、リンカー分子とコンジュゲートする。
ポーションの間の連結は、TLR阻害剤の3’末端または5’末端において施すこともでき、TLR阻害剤内の内部位置の適切に修飾された塩基において施すこともできる。リンカーが、ペプチドであり、適切な反応性基(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)を含有する場合は、これを、シトシン残基のN4アミノ基と直接反応させることができる。TLR阻害剤内のシトシン残基の数および位置に応じて、1または複数の残基における特異的なカップリングを達成することができる。
代替的に、当技術分野で公知の修飾オリゴヌクレオシドなどの修飾オリゴヌクレオシドを、TLR阻害剤内の末端に組み込むこともでき、内部位置に組み込むこともできる。これらは、ブロック解除されると、対象のリンカー上に存在する場合もあり、対象のリンカーへと結合させる場合もある、様々な官能基と反応性となるブロックされた官能基を含有しうる。
リンカーがペプチドである場合は、固体支持体化学反応を介して、コンジュゲートのこのポーションを、TLR阻害剤の3’末端へと結合させることができる。例えば、TLR阻害剤ポーションは、支持体上であらかじめ合成されたペプチドポーションへと付加することができる(Haralambidisら(1990年a)、Nucleic Acids Res.、18巻:493〜499頁;およびHaralambidisら(1990年b)、Nucleic Acids Res.、18巻:501〜505頁)。代替的に、TLR阻害剤は、3’末端から伸長する切断可能なリンカーを介して、固体支持体へと接続されるように合成することもできる。TLR阻害剤が支持体から化学的に切断されると、末端のチオール基が、オリゴヌクレオチドの3’末端に残される(Zuckermannら(1987年)、Nucleic Acids Res.、15巻:5305〜5321頁;およびCoreyら(1987年)、Science、238巻:1401〜1403頁)か、または末端のアミノ基が、オリゴヌクレオチドの3’末端に残される(Nelsonら(1989年)、Nucleic Acids Res.、17巻:1781〜1794頁)。アミノ修飾されたTLR阻害剤の、ペプチドのアミノ基へのコンジュゲーションは、Benoitら(1987年)、Neuromethods、6巻:43〜72頁において記載されている通りに実施することができる。チオール修飾されたTLR阻害剤の、ペプチドのカルボキシル基へのコンジュゲーションは、Sinahら(1991年)、「Oligonucleotide Analogues: A Practical Approach」、IRL Pressにおいて記載されている通りに実施することができる。付属のマレイミドを保有するオリゴヌクレオチドの、ペプチドのシステイン残基のチオール側鎖へのカップリングもまた記載されている(Tungら(1991年)、Bioconjug. Chem.、2巻:464〜465頁)。
コンジュゲートのペプチドリンカーポーションは、その合成時においてオリゴヌクレオチドへと組み込まれたアミン基、チオール基、またはカルボキシル基を介して、TLR阻害剤の5’末端へと結合させることができる。オリゴヌクレオチドが固体支持体へと固定されている間、連結基は、一方の末端において、保護されたアミン、チオール、またはカルボキシルを含み、他方の末端におけるホスホルアミダイトは、5’−ヒドロキシルへと共有結合的に結合させることが好ましい(Agrawalら(1986年)、Nucleic Acids Res.、14巻:6227〜6245頁; Connolly(1985年)、Nucleic Acids Res.、13巻:4485〜4502頁; Kremskyら(1987年)、Nucleic Acids Res.、15巻:2891〜2909頁; Connolly(1987年)、Nucleic Acids Res.、15巻:3131〜3139頁; Bischoffら(1987年)、Anal. Biochem.、164巻:336〜344頁; Blanksら(1988年)、Nucleic Acids Res.、16巻:10283〜10299頁;および米国特許第4,849,513号、同第5,015,733号、同第5,118,800号、および同第5,118,802号)。脱保護に続き、アミン官能基、チオール官能基、およびカルボキシル官能基を使用して、オリゴヌクレオチドをペプチドへと共有結合的に結合させることができる(Benoitら(1987年);およびSinahら(1991年))。
TLR阻害剤コンジュゲートはまた、イオン結合、疎水性相互作用、水素結合、および/またはファンデルワールス引力などの非共有結合的相互作用を介して形成することもできる。
非共有結合的に連結されたコンジュゲートは、ビオチン−ストレプトアビジン複合体などの非共有結合的相互作用を含みうる。ビオチニル基は、例えば、TLR阻害剤の修飾塩基へと結合させることができる(Rogetら(1989年)、Nucleic Acids Res.、17巻:7643〜7651頁)。ストレプトアビジン部分の、ペプチドポーションへの組込みは、ストレプトアビジンをコンジュゲートさせたペプチドと、ビオチニル化されたオリゴヌクレオチドとを非共有結合的に結合させた複合体の形成を可能とする。
非共有結合的会合はまた、オリゴヌクレオチドと相互作用しうる帯電残基を含むリンカーポーションの使用を介する、TLR阻害剤を伴うイオン性相互作用を介しても生じうる。例えば、非共有結合的コンジュゲーションは一般に、負に帯電したTLR阻害剤と、ペプチドリンカーの正に帯電したアミノ酸残基、例えば、ポリリシン残基、ポリアルギニン残基、およびポリヒスチジン残基との間で生じうる。
TLR阻害剤の脂質への連結は、標準的な方法を使用して形成することができる。これらの方法は、オリゴヌクレオチド−リン脂質コンジュゲート(Yanagawaら(1988年)、Nucleic Acids Symp. Ser.、19巻:189〜192頁)、オリゴヌクレオチド−脂肪酸コンジュゲート(Grabarekら(1990年)、Anal. Biochem.、185巻:131〜135頁;およびStarosら(1986年)、Anal. Biochem.、156巻:220〜222頁)、およびオリゴヌクレオチド−ステロールコンジュゲート(Boujradら(1993年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90巻:5728〜5731頁)の合成を含むがこれらに限定されない。
オリゴヌクレオチドのオリゴ糖への連結は、公知の標準的な方法を使用して形成することができる。これらの方法は、オリゴ糖が、免疫グロブリンの部分であるオリゴヌクレオチド−オリゴ糖コンジュゲートの合成(O’Shannessyら(1985年)、J. Applied Biochem.、7巻:347〜355頁)を含むがこれらに限定されない。
環状TLR阻害剤の、ペプチドリンカーへの連結は、いくつもの様式で形成することができる。組換え法または化学的方法を使用して環状TLR阻害剤を合成する場合は、修飾ヌクレオシドが適する(Ruth(1991年)、「Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach」、IRL Press)。次いで、標準的な連結技術を使用して、環状TLR阻害剤をペプチドへと接続することができる(Goodchild(1990年)、Bioconjug. Chem.、1巻:165頁)。組換え法または化学的方法を使用して環状TLR阻害剤を単離または合成する場合は、ペプチドへと組み込まれた反応性基(例えば、カルベン、ラジカル)を化学的に活性化させるか、または光活性化させることことにより連結を形成することができる。
ペプチドおよび他の分子を、オリゴヌクレオチドへと結合させるためのさらなる方法は、米国特許第5,391,723号;Kessler(1992年)、「Nonradioactive labeling methods for nucleic acids」、Kricka(編)、「Nonisotopic DNA Probe Techniques」、Academic Press;およびGeogheganら(1992年)、Bioconjug. Chem.、3巻:138〜146頁において見出すことができる。
TLR阻害剤は、他の様式で近接会合させることもできる。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、封入により近接会合させる。他の実施形態では、TLR阻害剤を、プラットフォーム分子へと連結することにより近接会合させる。「プラットフォーム分子」(また、「プラットフォーム」とも称する)とは、TLR阻害剤の結合を可能とする部位を含有する分子である。他の実施形態では、TLR阻害剤は、表面、好ましくは担体粒子への吸着により近接会合させる。
一部の実施形態では、本明細書で記載される方法は、TLR阻害剤と会合させた封入剤を援用する。組成物は、TLR阻害剤を含み、封入剤は、アジュバント水中油エマルジョン、マイクロ粒子、および/またはリポソームの形態であることが好ましい。より好ましくは、TLR阻害剤を封入するアジュバント水中油エマルジョン、マイクロ粒子、および/またはリポソームは、約0.04μm〜約100μmのサイズ、好ましくは以下の範囲:約0.1μm〜約20μm;約0.15μm〜約10μm;約0.05μm〜約1.00μm;約0.05μm〜約0.5μmのうちのいずれかの粒子の形態である。
マイクロスフェア、ビーズ、高分子複合体、ナノカプセルなどのコロイド分散系、ならびに水中油エマルジョン、ミセル、混合型ミセル、およびリポソームなど、脂質ベースの系は、TLR阻害剤含有組成物の有効な封入をもたらしうる。
封入組成物は、多種多様な構成成分のうちのいずれかをさらに含む。これらは、アラム、脂質、リン脂質、ポリエチレングリコール(PEG)、ならびにポリペプチド、グリコペプチド、および多糖など、他のポリマーを含むがこれらに限定されない。
封入構成成分に適するポリペプチドは、当技術分野で公知の任意のポリペプチドを含み、脂肪酸結合タンパク質を含むがこれらに限定されない。修飾ポリペプチドは、グリコシル化、ホスホリル化、ミリスチル化、硫黄化、およびヒドロキシル化を含むがこれらに限定されない、様々な修飾のうちのいずれかを含有する。本明細書で使用される、適切なポリペプチドは、その免疫阻害活性を保存するように、TLR阻害剤含有組成物を保護するポリペプチドである。結合タンパク質の例は、ウシ血清アルブミン(BSA)およびエンドウ豆アルブミンなどのアルブミンを含むがこれらに限定されない。
他の適切なポリマーは、医薬の技術分野で公知の任意のポリマーであることが可能であり、デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン、および多糖、ならびに合成ポリマーなど、自然発生のポリマーを含むがこれらに限定されない。自然発生のポリマーの例は、タンパク質、グリコペプチド、多糖、デキストラン、および脂質を含む。さらなるポリマーは、合成ポリマーでありうる。使用に適する合成ポリマーの例は、PEGなどのポリアルキルグリコール(PAG)、ポリオキシエチル化グリセロール(POG)などのポリオキシエチル化ポリオール(POP)、ポリトリメチレングリコール(PTG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸、ポリエチルオキサゾリン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアミノ酸、ポリウレタン、およびポリホスファゼンを含むがこれらに限定されない。合成ポリマーはまた、直鎖状の場合もあり、分枝状の場合もあり、置換されている場合もあり、非置換の場合もあり、ホモポリマーの場合もあり、2つ以上の異なる合成単量体のコポリマーまたはブロックコポリマーの場合もある。
封入組成物における使用のためのPEGは、化学物質供給業者から購入するか、または当業者に公知の技法を使用して合成する。
任意選択のコロイド分散系は、リポソームである。本明細書で使用される「リポソーム」または「脂質ベシクル」とは、少なくとも1つの脂質二重層膜により、おそらくは複数の脂質二重層膜により境界づけられた小胞である。リポソームは、超音波処理、射出、または脂質−洗浄剤複合体からの洗浄剤の除去を含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の任意の技法により、リン脂質、糖脂質、脂質、コレステロールなどのステロイド、関連分子、またはこれらの組合せから人工的に作り出される。リポソームはまた任意選択で、組織ターゲティング構成成分などのさらなる構成成分も含みうる。「脂質膜」または「脂質二重層」は、もっぱら脂質からなる必要はなく、加えて、コレステロール、および他のステロイド、脂質可溶性化学物質、任意の長さのタンパク質、および、膜の一般構造が、疎水性コアを挟み込む2つの親水性表面のシートであるという条件における、他の両親媒性分子を含むがこれらに限定されない他の任意の適切な構成成分も含有しうることが理解される。膜構造の一般的な考察については、The Encyclopedia of Molecular Biology、J. Kendrew(1994年)を参照されたい。適切な脂質については、例えば、Lasic(1993年)、「Liposomes: from Physics to Applications」、Elsevier、Amsterdamを参照されたい。
当技術分野では、TLR阻害剤組成物を含有するリポソームを調製するための工程が公知である。脂質ベシクルは、当技術分野で公知の任意の適切な技法により調製することができる。方法は、マイクロ封入、顕微溶液化、LLC法、エタノール注射、フェロン注射、「バブル」法、洗浄剤透析、水和、超音波処理、および逆相蒸発を含むがこれらに限定されない。Watweら(1995年)、Curr. Sci.、68巻:715〜724頁において総説されている。ベシクルに最も所望される属性をもたらすために、技法を組み合わせることができる。
本明細書では、組織ターゲティング構成成分または細胞ターゲティング構成成分を含有するリポソームなど、脂質二重層の使用が提供される。このようなターゲティング構成成分は、インタクトな動物、臓器、または細胞培養物へと投与されると、他の組織部位または細胞部位に優先した、ある特定の組織部位または細胞部位における蓄積を増強する。ターゲティング構成成分は一般に、リポソームの外側からアクセス可能であり、したがって、外表面へと結合させるかまたは外側の脂質二重層へと挿入することが好ましい。ターゲティング構成成分は、とりわけ、ペプチド、大きなペプチドの領域、細胞表面分子もしくは細胞表面マーカーに特異的な抗体、またはその抗原結合性断片、核酸、炭水化物、複合体炭水化物の領域、特殊な脂質、前述の分子のうちのいずれかへと結合させた薬物、ホルモン、またはハプテンなどの低分子でありうる。当技術分野では、細胞型特異的細胞表面マーカーに対する特異性を伴う抗体が公知であり、当技術分野で公知の方法により容易に調製される。
リポソームは、治療的処置を方向付けようとする任意の細胞型、例えば、免疫応答を調節することが可能な細胞型および/または免疫応答に関与する細胞型へとターゲティングすることができる。このような標的細胞および標的臓器は、マクロファージ、樹状細胞、およびリンパ球などのAPC、リンパ節および脾臓などのリンパ構造、ならびに非リンパ構造、特に、樹状細胞が見出される非リンパ構造を含むがこれらに限定されない。
本明細書で提供されるリポソーム組成物は加えて、界面活性剤も含みうる。界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両親媒性界面活性剤、または非イオン性界面活性剤でありうる。界面活性剤の好ましいクラスは、非イオン性界面活性剤であり、水溶性の非イオン性界面活性剤が特に好ましい。
TLR阻害剤をプラットフォーム分子へと連結することにより近接会合させる、一部の実施形態では、プラットフォームは、タンパク質性の場合もあり、非タンパク質性(すなわち、有機)の場合もある。タンパク質性プラットフォームの例は、アルブミン、ガンマグロブリン、免疫グロブリン(IgG)およびオボアルブミンを含むがこれらに限定されない(Borelら(1990年)、Immunol. Methods、126巻:159〜168頁; Dumasら(1995年)、Arch. Dematol. Res.、287巻:123〜128頁; Borelら(1995年)、Int. Arch. Allergy Immunol.、107巻:264〜267頁; Borelら(1996年)、Ann. N.Y. Acad. Sci.、778巻:80〜87頁)。プラットフォームは、複数のTLR阻害剤への結合に応じる多価(すなわち、複数の結合部位または連結部位を含有する)プラットフォームである。したがって、プラットフォームは、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上の結合または連結部位を含有しうる。ポリマープラットフォームの他の例は、デキストラン、ポリアクリルアミド、FICOLL(登録商標)、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、およびポリD−グルタミン酸/D−リシンである。
一部の実施形態では、プラットフォームは、ポリマープラットフォームである。一部の実施形態では、ポリマーは、デキストラン、ポリアクリルアミド、FICOLL(登録商標)、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、またはポリD−グルタミン酸/D−リシンである。一部の実施形態では、ポリマープラットフォームは、FICOLL(登録商標)である。一部の実施形態では、ポリマープラットフォームは、FICOLL(登録商標)400である。一部の実施形態では、ポリマープラットフォームは、FICOLL(登録商標)70である。一部の実施形態では、ポリマープラットフォームは、FICOLL(登録商標)PM70(ポリ(スクロース−co−エピクロルヒドリン))である。一部の実施形態では、ポリマープラットフォームは、FICOLL(登録商標)PM400である。一部の実施形態では、約1〜約200、約1〜約150、約1〜約125、約1〜約100、約1〜約75、約1〜約50、または約1〜約25の間のうちのいずれかのTLR阻害剤を、ポリマープラットフォームへと連結する。
当技術分野では、プラットフォーム分子を使用する原理が十分に理解されている。一般に、プラットフォームは、TLR阻害剤に適する結合部位を含有するか、またはこれを含有するように誘導体化される。加えて、または、代替的に、TLR阻害剤は、適切な連結基をもたらすように誘導体化される。例えば、単純なプラットフォームは、ペプチドなどの二官能性リンカーである(すなわち、2つの結合部位を有する)。さらなる例については下記で論じる。
プラットフォーム分子は、生物学的に安定化させることができる、すなわち、プラットフォーム分子は、治療有効性を付与するのに、数時間〜数日間〜数カ月間であることが多い、in vivo排出半減期を呈示し、規定された組成物の合成単鎖からなることが好ましい。それらの分子量は一般に、約200〜約1,000,000の範囲であり、好ましくは、以下の範囲:約200〜約500,000;約200〜約200,000;約200〜約50,000(または30,000など50,000以下)のうちのいずれかである。結合価プラットフォーム分子の例は、ポリエチレングリコール(PEG;分子量が約200〜約8000であることが好ましい)、ポリ−D−リシン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、D−グルタミン酸およびD−リシン(3:2の比の)などのポリマーである(またはポリマーを含む)。使用しうる他の分子は、アルブミンおよびIgGである。
使用に適する他のプラットフォーム分子は、米国特許第5,552,391号において開示されている、化学的に規定された、非ポリマーの結合価プラットフォーム分子である。他の同種で化学的に規定された、使用に適する結合価プラットフォーム分子は、誘導体化された2,2’−エチレンジオキシジエチルアミン(EDDA)およびトリエチレングリコール(TEG)である。
さらなる適切な結合価プラットフォーム分子は、テトラアミノベンゼン、ヘプタアミノベータシクロデキストリン、テトラアミノペンタエリトリトール、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン(サイクラム)および1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(サイクレン)を含むがこれらに限定されない。
一般に、これらのプラットフォームは、標準的な化学合成法により作り出す。PEGは、誘導体化しなければならず、多価としなければならないが、これは、標準的な技法を使用して達成する。PEG、アルブミン、およびIgGなど、コンジュゲートの合成に適するいくつかの物質は、市販されている。
TLR阻害剤のプラットフォーム分子へのコンジュゲーションは、いくつもの様式で実施することができ、TLR阻害剤上およびプラットフォーム分子上に1または複数の架橋形成剤および官能基を伴うことが典型的である。プラットフォームおよびTLR阻害剤は、適切な連結基を有さなければならない。連結基は、標準的な合成化学法を使用して、プラットフォームへと付加する。連結基は、標準的な固相合成法または組換え法を使用して、ポリペプチドプラットフォームおよびTLR阻害剤へと付加することができる。組換え法は、リンカーを結合させるために翻訳後修飾を要求する場合もあるが、当技術分野では、このような方法が公知である。
例として述べると、ポリペプチドは、ポリペプチドをプラットフォームへとカップリングするための部位として働く、アミノ基、カルボキシル基、またはスルフヒドリル基などの官能基を含有するアミノ酸側鎖部分を含有する。ポリペプチドがこれらの基をいまだ含有していない場合は、このような官能基を有する残基を、ポリペプチドへと付加することができる。このような残基は、それらのいずれもがペプチド合成の技術分野で周知である、固相合成法または組換え法により組み込むことができる。ポリペプチドが、炭水化物側鎖(複数可)を有する場合(またはプラットフォームが炭水化物である場合)は、従来の化学反応により、アミノ官能基、スルフヒドリル官能基、および/またはアルデヒド官能基を、その中に組み込むことができる。例えば、水素化シアノホウ素ナトリウムの存在下において、酸化糖をエチレンジアミンと反応させることにより、第一級アミノ基を組み込むことができ、システアミン二塩酸塩反応の後、標準的なジスルフィド還元剤で還元することにより、スルフヒドリルを導入することができるのに対し、アルデヒド基は、過ヨウ素酸酸化の後で生成させることができる。また、適切な官能基をいまだ保有しない場合も同様の形で、官能基を含有するように、プラットフォーム分子を誘導体化することもできる。
長さが可変的な親水性リンカーは、TLR阻害剤をプラットフォーム分子へと接続するのに有用である。適切なリンカーは、エチレングリコールの直鎖状オリゴマーまたは直鎖状ポリマーを含む。このようなリンカーは、式:R1S(CH2CH2O)nCH2CH2O(CH2)mCO2R2によるリンカーを含み、式中、n=0〜200であり、m=1または2であり、R1=Hまたはトリチルなどの保護基であり、R2=Hまたはアルキルまたはアリール、例えば、4−ニトロフェニルエステルである。これらのリンカーは、チオエーテルなどを介してハロアセチル、マレイミドなどのチオール反応性基を含有する分子を、アミド結合を介してアミノ基を含有する第2の分子へと接続するのに有用である。これらのリンカーは、結合の順序に関して柔軟である、すなわち、チオエーテルは、最初に形成することもでき、最後に形成することもできる。
TLR阻害剤を、表面への吸着により近接会合させる実施形態では、表面は、無機コアまたは有機コアと共に作り出した担体粒子(例えば、ナノ粒子)の形態でありうる。このようなナノ粒子の例は、ナノ結晶粒子、アルキルシアノアクリレートの重合により作り出されるナノ粒子、およびメチリデンマロネートの重合により作り出されるナノ粒子を含むがこれらに限定されない。TLR阻害剤を吸着させうるさらなる表面は、活性化炭素粒子およびタンパク質−セラミックナノプレートを含むがこれらに限定されない。本明細書では、担体粒子の他の例も提供される。
当技術分野では、吸着させた分子の細胞への送達を目的とする、ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの表面への吸着が周知である。例えば、Douglasら(1987年)、Crit. Rev. Ther. Drug. Carrier Syst.、3巻:233〜261頁; Hagiwaraら(1987年)、In Vivo、1巻:241〜252頁; Bousquetら(1999年)、Pharm. Res.、16巻:141〜147頁;およびKossovskyら、米国特許第5,460,831号を参照されたい。吸着材表面を含む材料は、生体分解性であることが好ましい。TLR阻害剤の表面への吸着は、イオン性相互作用および/または疎水性相互作用を含む非共有結合的相互作用を介して生じうる。
一般に、表面電荷、粒子サイズ、および分子量など、ナノ粒子などの担体の特徴は、重合工程における重合条件、単量体濃度、および安定化剤の存在に依存する(Douglasら、1987年)。担体粒子の表面は、TLR阻害剤の吸着を可能とするかまたは増強するように、例えば、表面コーティングで修飾することができる。TLR阻害剤を吸着させた担体粒子は、他の物質でさらにコーティングすることもできる。このような他の物質を付加することにより、例えば、対象へと一度投与された粒子の半減期を延長することもでき、かつ/または粒子を本明細書で記載される特異的な細胞型または組織へとターゲティングすることもできる。
TLR阻害剤を吸着させうるナノ結晶表面は、記載されている(例えば、米国特許第5,460,831号を参照されたい)。ナノ結晶コア粒子(直径を1μm以下とする)は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、および/または他の医薬剤の吸着を促進する表面エネルギー修飾層でコーティングする。別の吸着材表面は、アルキルシアノアクリレートの重合により作り出されるナノ粒子である。アルキルシアノアクリレートは、アニオン重合工程により、酸性化させた水性媒質中で重合することができる。重合条件に応じて、小型粒子のサイズは、20〜3000nmの範囲となる傾向があり、特異的な表面特徴を伴い、特異的な表面電荷を伴うナノ粒子を作り出すことが可能である(Douglasら、1987年)。例えば、オリゴヌクレオチドは、テトラフェニルホスホニウムクロリドまたはセチルトリメチルアンモニウムブロミドなどの第四級アンモニウム塩など、疎水性カチオンの存在下で、ポリイソブチルシアノアクリレートナノ粒子およびポリイソヘキシルシアノアクリレート(polyisohexlcyanoacrylate)ナノ粒子へと吸着させることができる。これらのナノ粒子上のオリゴヌクレオチドの吸着は、核酸鎖の負に帯電したリン酸基と、疎水性カチオンとの間のイオン対の形成により媒介されると考えられる。例えば、Lambertら(1998年)、Biochimie、80巻:969〜976頁; Chavanyら(1994年)、Pharm. Res.、11巻:1370〜1378頁; Chavanyら(1992年)、Pharm. Res.、9巻:441〜449頁を参照されたい。別の吸着材表面は、メチリデンマロネートの重合により作り出されるナノ粒子である。
TLR阻害剤は、マイクロ担体(MC)複合体の形態で投与することができる。したがって、本明細書では、TLR阻害剤/MC複合体を含む組成物が提供される。TLR阻害剤/MC複合体は、マイクロ担体の表面へと結合させたTLR阻害剤(すなわち、TLR阻害剤は、MC内に封入されない)を含み、各マイクロ担体へと結合させたTLR阻害剤の複数の分子を含むことが好ましい。ある特定の実施形態では、マイクロ担体を、複数のTLR阻害剤種に結合させるように、異なるTLR阻害剤の混合物を、マイクロ担体と複合体化することができる。TLR阻害剤とMCとの間の結合は、共有結合的な場合もあり、非共有結合的な場合もある。当業者により理解される通り、TLR阻害剤は、修飾または誘導体化することができ、所望のTLR阻害剤に対する所望の種類の結合/MC複合体の形成に応じるように、マイクロ担体の組成物を、選択および/または修飾することができる。
有用なマイクロ担体は、約150、120、または100μm未満のサイズであり、より一般に、約50〜60μm未満のサイズであり、好ましくは、約10μm未満のサイズであり、純水中で不溶性である。使用されるマイクロ担体は、好ましくは、生体分解性であるが、非生体分解性マイクロ担体も許容可能である。マイクロ担体は一般に、「ビーズ」または他の粒子などの固相であるが、生体分解性ポリマーまたは油を含む水中油エマルジョンなどの液相マイクロ担体もまた想定される。当技術分野では、マイクロ担体としての使用のために許容される、多種多様な生体分解性材料および非生体分解性材料が公知である。
本明細書で記載される組成物または方法における使用のためのマイクロ担体は一般に、約10μm未満のサイズであり(例えば、平均直径が、約10μm未満であるか、または少なくとも粒子のうちの約97%が、10μmのスクリーンフィルターを通り抜け)、ナノ担体(すなわち、約1μm未満のサイズの担体)を含む。サイズが、約9、7、5、2、もしくは1μm、または900、800、700、600、500、400、300、250、200、もしくは100nmの上限と、独立に選択される、約4、2、もしくは1μm、または約800、600、500、400、300、250、200、150、100、50、25、もしくは10nmの下限との間であって、下限が上限未満であるマイクロ担体を選択することが好ましい。一部の実施形態では、マイクロ担体のサイズは、約1.0〜1.5μm、約1.0〜2.0μmまたは約0.9〜1.6μmである。ある特定の好ましい実施形態では、マイクロ担体のサイズは、約10nm〜約5μm、または約25nm〜約4.5μm、約1μm、約1.2μm、約1.4μm、約1.5μm、約1.6μm、約1.8μm、約2.0μm、約2.5μmもしくは約4.5μmである。マイクロ担体が、ナノ担体である場合、好ましい実施形態は、約25〜約300nm、50〜約200nm、約50nm、または約200nmのナノ担体を含む。
固相の生体分解性マイクロ担体は、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、およびこれらのコポリマー(ブロックコポリマーを含む)のほか、ポリ(乳酸)とポリ(エチレングリコール)とのブロックコポリマー;3,9−ジエチリデン−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(DETOSU)に基づくポリマーなどのポリオルトエステル;セバシン酸など、比較的親水性の単量体に基づくポリ(無水物)ポリマーなどのポリ無水物;グリシンまたはアラニンなどのアミノ酸(すなわち、アミノ末端の窒素を介するイミド結合によりセバシン酸へと連結された)を組み込むセバシン酸由来単量体に基づくポリ無水物ポリマーなどのポリ無水物イミド;ポリ無水物エステル;ポリホスファゼン、とりわけ、カルボン酸基の生成を介するポリマー骨格の分解を触媒しうる加水分解感受性のエステル基を含有するポリ(ホスファゼン)(Schachtら(1996年)、Biotechnol. Bioeng.、1996巻:102頁);およびポリ(乳酸−co−リシン)などのポリアミドなどの生体分解性ポリエステルを含むがこれらに限定されない、生体分解性ポリマーから作製することができる。
また、マイクロ担体を作製するのに適する、多種多様な非生体分解性材料も公知であり、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、シリカ、セラミック、ポリアクリルアミド、デキストラン、ヒドロキシアパタイト、ラテックス、金、および強磁性材料または常磁性材料を含むがこれらに限定されない。ある特定の実施形態は、金、ラテックス、および/または磁気ビーズを除外する。ある特定の実施形態では、マイクロ担体は、第2の材料(例えば、ポリスチレン)と共に封入された第1の材料(例えば、磁性材料)から作り出すことができる。
固相マイクロスフェアは、当技術分野で公知の技法を使用して調製する。例えば、それらは、エマルジョン溶媒抽出/蒸発法により調製することができる。一般に、この技法では、ポリ無水物、ポリ(アルキル−シアノアクリレート)、およびポリ(ヒドロキシエステル)、例えば、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D,L−乳酸−co−グリコール酸)およびポリ(カプロラクトン)などの生体分解性ポリマーを、塩化メチレンなどの適切な有機溶媒中に溶存させて、エマルジョンの分散相(DP)を構成する。DPは、溶存させた界面活性剤、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)またはポリビニルピロリドン(PVP)を含有する過剰容量の水性連続相(CP)への高速ホモジナイゼーションにより乳化させる。CP中の界面活性剤は、個別かつ適切なサイズのエマルジョン液滴の形成を確保するためのものである。次いで、有機溶媒を、CPへと抽出し、続いて、系の温度を上げることにより蒸発させる。次いで、遠心分離または濾過により固体のマイクロ粒子を分離し、例えば、4℃における保存の前に、凍結乾燥または真空の適用により乾燥させる。
乾燥させたマイクロスフェアの平均サイズ、サイズ分布、および表面電荷などの物理化学的特徴を決定することができる。サイズ特徴は、例えば、動的光散乱法により決定するが、表面電荷は、ゼータポテンシャルを測定することにより決定した。
液相マイクロ担体は、リポソーム、ミセル、油滴、および生体分解性ポリマーまたは油を組み込む他の脂質または油ベースの粒子を含む。ある特定の実施形態では、生体分解性ポリマーは、界面活性剤である。他の実施形態では、液相マイクロ担体は、スクアレンまたは植物油など、生体分解性油の組入れに起因して、生体分解性である。1つの好ましい液相マイクロ担体は、水中油エマルジョン内の油滴である。好ましくは、マイクロ担体として使用される水中油エマルジョンは、スクアレンなどの生体分解性置換基を含む。
共有結合的に結合させたTLR阻害剤/MC複合体は、当技術分野で公知である、任意の共有結合的架橋形成技術を使用して連結させることができる。TLR阻害剤ポーションは、さらなる部分(例えば、遊離アミン基、カルボキシル基、またはスルフヒドリル基)を組み込むか、または修飾された(例えば、ホスホロチオエートで修飾された)ヌクレオチド塩基を組み込んで、TLR阻害剤ポーションをマイクロ担体へと連結しうる部位をもたらすように修飾することが典型的である。TLR阻害剤と複合体のMCポーションとの間の連結は、TLR阻害剤の3’末端または5’末端において施すこともでき、TLR阻害剤内の内部位置の適切に修飾された塩基において施すこともできる。マイクロ担体はまた一般に、それを介して共有結合的連結を形成しうる部分を組み込むようにも修飾するが、マイクロ担体上に通常存在する官能基もまた活用しうる。TLR阻害剤/MCは、TLR阻害剤を、共有結合的複合体の形成を可能とする条件下で(例えば、架橋形成剤の存在下において、またはTLR阻害剤との共有結合を形成する活性化部分を含む活性化マイクロ担体を使用することにより)、マイクロ担体と共にインキュベートすることにより形成する。
当技術分野では、多種多様な架橋形成技術が公知であり、アミノ基、カルボキシル基、およびスルフヒドリル基と反応性の架橋形成剤を含む。当業者に明らかな通り、架橋形成剤および架橋形成プロトコールの選択は、TLR阻害剤およびマイクロ担体の立体配置のほか、所望の最終的なTLR阻害剤/MC複合体の立体配置にも依存するであろう。架橋形成剤は、ホモ二官能性の場合もあり、ヘテロ二官能性の場合もある。ホモ二官能性架橋形成剤を使用する場合、架橋形成剤は、TLR阻害剤上およびMC上の同じ部分を利用する(例えば、アルデヒド架橋形成剤を使用して、それらのいずれもが1または複数の遊離アミンを含む、TLR阻害剤とMCとを共有結合的に連結することができる)。ヘテロ二官能性架橋形成剤は、TLR阻害剤上およびMC上の異なる部分を活用し(例えば、マレイミド−N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを使用して、TLR阻害剤上の遊離スルフヒドリルとMC上の遊離アミンとを共有結合的に連結することができる)、マイクロ担体間結合の形成を最小化することが好ましい。大半の場合において、マイクロ担体上の第1の架橋形成部分と、マイクロ担体上に存在しない、TLR阻害剤上の第2の架橋形成部分とを架橋することが好ましい。TLR阻害剤/MC複合体を作製する1つの好ましい方法は、ヘテロ二官能性架橋形成剤と共にインキュベートし、次いで、反応に適する条件下で、TLR阻害剤と活性化MCとをインキュベートすることを介してTLR阻害剤/MC複合体を形成することにより、マイクロ担体「を活性化させること」である。架橋形成剤は、反応性部分の間に「スペーサー」アームを組み込むこともでき、架橋形成剤内の2つの反応性部分を直接連結することもできる。
1つの好ましい変化形では、TLR阻害剤ポーションが、マイクロ担体へと架橋形成するために、少なくとも1つの遊離スルフヒドリル(例えば、5’−チオール修飾塩基またはリンカーによりもたらされる)を含むのに対し、マイクロ担体は、遊離アミン基を含む。スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレートなど、これらの2つの基(例えば、架橋形成剤は、マレイミド基およびNHS−エステルを含む)と反応性のヘテロ二官能性架橋形成剤を使用して、MCを活性化させ、次いで、TLR阻害剤を共有結合的に架橋して、TLR阻害剤/MC複合体を形成する。
結合対がTLR阻害剤とMCとを連結する場合にそうである通り、非共有結合的TLR阻害剤/MC複合体は、イオン(静電)結合、疎水性相互作用、水素結合、ファンデルワールス引力、または2つ以上の異なる相互作用の組合せを含む、任意の非共有結合的結合または相互作用により連結することができる。
好ましい非共有結合的TLR阻害剤/MC複合体は、疎水性相互作用もしくは静電(イオン性)相互作用、またはこれらの組合せ(例えば、TLR阻害剤と結合対のMCへと結合させたポリヌクレオチドとの間の塩基対合を介する)により複合体化することが典型的である。ポリヌクレオチド骨格の親水性の性質に起因して、複合体を形成するのに疎水性相互作用に依拠するTLR阻害剤/MC複合体は一般に、高度な疎水性部分を組み込むのに、複合体のTLR阻害剤ポーションの修飾を要求する。疎水性部分は、組成物が意図される個体において、生体適合性であり、非免疫原性であり、自然発生である(例えば、哺乳動物、特に、ヒトにおいて見出される)ことが好ましい。好ましい疎水性部分の例は、脂質、ステロイド、コレステロールなどのステロール、およびテルペンを含む。疎水性部分をTLR阻害剤へと連結する方法は、当然ながら、TLR阻害剤の立体配置および疎水性部分の同一性に依存する。疎水性部分は、TLR阻害剤内の任意の簡便な部位において、好ましくは、5’末端または3’末端において付加することができ、コレステロール部分をTLR阻害剤へと付加する場合、コレステロール部分は、従来の化学反応を使用して、TLR阻害剤の5’末端へと付加することが好ましい(例えばGodardら(1995年)、Eur. J. Biochem.、232巻:404〜410頁を参照されたい)。疎水性部分を組み込むように修飾された親水性材料もまた活用しうるが、疎水性結合により連結されるTLR阻害剤/MC複合体における使用のためのマイクロ担体は、油滴または疎水性ポリマーなどの疎水性材料から作り出すことが好ましい。マイクロ担体が、リポソームまたは管腔を含む他の液相マイクロ担体であり、TLR阻害剤をMCの外表面と会合させることが所望される場合は、MC調製工程におけるTLR阻害剤の封入を回避するために、MCを調製した後でTLR阻害剤とMCとを混合することにより、TLR阻害剤/MC複合体を形成する。
静電結合により結合させた非共有結合的TLR阻害剤/MC複合体は、ポリヌクレオチド骨格の高度な負電荷を利用することが典型的である。したがって、非共有結合的に結合させたTLR阻害剤/MC複合体における使用のためのマイクロ担体は一般に、生理学的pH(例えば、pH約6.8〜7.4)で、正に帯電させる(カチオン性である)。マイクロ担体は、正電荷を内在的に保有しうるが、正電荷を通常保有しない化合物から作り出されたマイクロ担体は、正に帯電させる(カチオン性となる)ように誘導体化することもでき、他の形で修飾することもできる。例えば、マイクロ担体を作り出すのに使用されるポリマーは、第一級アミンなど、正に帯電した基を付加するように誘導体化することができる。代替的に、製造時において、正に帯電させた化合物を、マイクロ担体の製剤中に組み込むこともできる(例えば、ポリ(乳酸)/ポリ(グリコール酸)コポリマーの製造時において、正に帯電させた界面活性剤を使用して、結果として得られるマイクロ担体粒子に正電荷を付与することができる)。
例えば、カチオン性マイクロスフェアを調製するために、これらの相中のそれらの可溶性に従い、カチオン脂質またはポリマー、例えば、1,2−ジオレオイル−1,2,3−トリメチルアンモニオプロパン(DOTAP)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)またはポリリシンを、DPまたはCPへと付加する。
TLR阻害剤/MC複合体は、ポリヌクレオチドと粒子との、好ましくは、水性混合物中のインキュベーションを介して、カチオン性マイクロスフェアへと吸着させることによりあらかじめ形成することができる。このようなインキュベーションは、周囲温度(室温)(例えば、約20℃)または冷凍下(例えば、4℃)を含む任意の所望の条件下で実行することができる。カチオン性マイクロスフェアとポリヌクレオチドとは、比較的急速に会合するため、インキュベーションは、5、10、15分間以上にわたるインキュベーション、一晩にわたるインキュベーション、および長時間にわたるインキュベーションなどを含む、任意の簡便な時間にわたりうる。例えば、TLR阻害剤は、ポリヌクレオチドと粒子との、4℃で一晩にわたる水中のインキュベーションにより、カチオン性マイクロスフェアへと吸着させることができる。しかし、カチオン性マイクロスフェアとポリヌクレオチドとは、自発的に会合するため、TLR阻害剤/MC複合体は、ポリヌクレオチドとMCとの単純な共投与により形成することができる。マイクロスフェアは、ポリヌクレオチドを会合させる前およびポリヌクレオチドを会合させた後において、サイズおよび表面電荷について特徴づけることができる。次いで、選択されたバッチを、例えば、ヒト末梢血単核細胞(PBMC:peripheral blood mononuclear cell)アッセイおよびマウス脾臓細胞アッセイにおいて、適切な対照に対して、活性について査定することができる。製剤はまた、適切な動物モデルにおいて査定することもできる。
ヌクレオチド塩基対合により連結される非共有結合的TLR阻害剤/MC複合体は、従来の方法を使用して作製することができる。一般に、塩基対合させたTLR阻害剤/MC複合体は、TLR阻害剤と少なくとも部分的に相補的なポリヌクレオチド(「捕捉ポリヌクレオチド」)の結合、好ましくは、共有結合的な結合を含むマイクロ担体を使用して作製する。TLR阻害剤と捕捉ヌクレオチドとの間の相補性セグメントは、少なくとも6、8、10、または15の連続塩基対、より好ましくは、少なくとも20の連続塩基対であることが好ましい。捕捉ヌクレオチドは、当技術分野で公知の任意の方法によりMCへと結合させることができ、5’末端または3’末端において、TLR阻害剤に共有結合的に結合させることが好ましい。
他の実施形態では、結合対を使用して、TLR阻害剤/MC複合体内のTLR阻害剤とMCとを連結することができる。結合対は、受容体およびリガンドの場合もあり、抗体および抗原(またはエピトープ)の場合もあり、高アフィニティーで結合する他の任意の結合対(例えば、Kdを約10〜8未満とする)の場合もある。好ましい結合対の1つの種類は、極めて緊密な複合体を形成するビオチンおよびストレプトアビジンまたはビオチンおよびアビジンである。TLR阻害剤/MC複合体の結合を媒介するのに結合対を使用する場合は、TLR阻害剤を、典型的には共有結合的連結を介して、結合対の1つのメンバーにより誘導体化し、MCを、結合対の他のメンバーにより誘導体化する。2つの誘導体化された化合物の混合物は、TLR阻害剤/MC複合体の形成を結果としてもたらす。
医薬製剤
また、本明細書で記載されるTLR阻害剤を含む医薬製剤も提供される。TLR阻害剤を含む医薬製剤は、特異的な転帰を達成するのに有効な量の組成物により、個体へと投与することができる。医薬製剤は、薬学的に許容できる濃度の塩、緩衝剤、保存剤、適合性の担体、アジュバント、および、任意選択で、他の治療用成分を日常的に含有しうる。一部の態様では、医薬製剤は、少なくとも1つのTLR阻害剤を含む。
医薬製剤は、例えば、注射もしくは吸入のための水溶液または食塩水を含むか、またはマイクロ封入するか、エンコクリエートするか、顕微金粒子へとコーティングするか、リポソーム内に含有させるか、噴霧するか、エアゾールとするか、皮膚へと実装するためのペレットとするか、皮膚をひっかくための鋭利物上で乾燥させることもできる。医薬製剤はまた、顆粒、粉末、錠剤、コーティング錠剤、(マイクロ)カプセル、坐剤、シロップ、エマルジョン、懸濁液、クリーム、ドロップ、または活性化合物の徐放を伴う調製物も含み、例えば、上記で記載した通り、それらの調製物中では通例、崩壊剤、結合剤、コーティング剤、腫脹薬剤、滑沢剤、芳香剤、甘味剤、もしくは可溶化剤などの賦形剤ならびに添加剤および/または補助剤を使用する。医薬製剤は、様々な薬物送達系における使用に適する。薬物送達のための例示的な方法に対する簡略な総説については、参照により本明細書に組み込まれる、Langer、Science、249巻:1527〜33頁(1990年)を参照されたい。
一部の実施形態では、TLR阻害剤を含む医薬製剤は、薬学的に許容できる担体、賦形剤、または安定化剤をさらに含む。本明細書では、薬学的に許容できる担体、賦形剤、または安定化剤について記載するが、当技術分野でも周知である(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、20版、Mack Publishing、2000年を参照されたい)。生理学的に許容される担体、賦形剤、または安定化剤の例は、リン酸、クエン酸、および他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、もしくはリシンなどのアミノ酸;単糖、二糖、およびグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトールもしくはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成性対イオン;ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)、およびPLURONICS(登録商標)などの非イオン性界面活性剤TWEEN(登録商標)を含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、薬学的に許容できる担体は、クエン酸である。
一部の実施形態では、TLR阻害剤を含む医薬製剤は、非経口投与に適する。許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、リンゲル液、リン酸緩衝食塩水、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌固定油も、溶媒または懸濁媒として従来援用されている。この目的では、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドを含む、任意の銘柄の鉱物固定油または非鉱物固定油も援用することができる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸も、注射剤の調製において使用されている。一部の実施形態では、TLR阻害剤を含む医薬製剤は、皮下送達、筋内送達、腹腔内送達、または静脈内送達に適する。
一部の実施形態では、TLR阻害剤を含む医薬製剤は、徐放性医薬製剤、遅延放出性医薬製剤、または持続放出性医薬製剤である。持続放出性医薬製剤は、ポリ(ラクチド−グリコリド)、コポリオキサレート、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシ酪酸、およびポリ無水物など、ポリマーベースの系を含む。前出の、薬物を含有するポリマーによるマイクロカプセルについては、例えば、米国特許第5,075,109号において記載されている。非ポリマー性医薬製剤は、コレステロール、コレステロールエステルなどのステロール、および脂肪酸、またはモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドなどの中性脂肪を含む脂質;ハイドロゲル放出系;サイラスティック系;ペプチドベースの系;ワックスコーティング;従来の結合剤および賦形剤を使用する圧縮錠;部分的に融合させたインプラントなどを含みうる。
TLR阻害剤を含む医薬製剤は、生理学的に許容される軟膏、クリーム、洗浄液、エマルジョン、ローション、溶液、ペースト、およびゲルを含むがこれらに限定されない外用適用に適しうる。
一部の実施形態では、TLR阻害剤を含む医薬製剤は、経皮投与のために製剤化された医薬製剤である。経皮投与は、例えば、クリーム、洗浄液、またはゲルを適用することにより達成する。一部の実施形態では、医薬製剤は、消化管投与経路のために製剤化された医薬製剤である。一部の実施形態では、消化管経路用の医薬製剤は、経口摂取のための、薬学的に許容できる粉末、丸剤、または液体、および直腸内投与のための坐剤を含む。一部の実施形態では、医薬製剤は、鼻咽頭内投与および肺内投与のために製剤化された医薬製剤である。エアゾールを形成するための液体懸濁液のほか、乾燥粉末吸入送達系のための粉末形態を含むがこれらに限定されない、鼻咽頭内投与および肺内投与に適する医薬製剤が提供される。
IV.使用法
本明細書では、個体における免疫応答を阻害するための方法であって、有効量のTLR7阻害剤、TLR8阻害剤、および/またはTLR9阻害剤(例えば、TLR阻害剤)を個体に投与するステップを含む方法が提供される。本開示のTLR阻害剤は、1または複数のヒトTLR7、TLR8、およびTLR9に対する阻害性モチーフを含むポリヌクレオチドである。一部の変化形では、TLR阻害剤は、TLR7依存性免疫応答を阻害する。一部の変化形では、TLR阻害剤は、TLR8依存性免疫応答を阻害する。一部の変化形では、TLR阻害剤は、TLR7依存性およびTLR8依存性免疫応答を阻害する。一部の変化形では、TLR阻害剤は、TLR8依存性およびTLR9依存性免疫応答を阻害する。一部の変化形では、TLR阻害剤は、TLR7依存性、TLR8依存性、およびTLR9依存性免疫応答を阻害する。別段に言及されない限りにおいて、TLR阻害剤という用語は、本明細書で開示されるTLR阻害剤のうちのいずれか1つを指す。一部の好ましい実施形態では、個体は、ヒト患者である。
本開示では、免疫調節法が提供され、免疫応答を含むがこれらに限定されない免疫応答を抑制および/または阻害する免疫調節法を含む。本開示はまた、自己免疫と関連した症状を含むがこれらに限定されない、望ましくない免疫活性化と関連した症状を改善するための方法も提供する。本明細書で記載される方法による免疫の抑制および/または阻害は、免疫応答の望ましくない活性化と関連した障害を患う個体を含む個体に対して実施することができる。本開示はまた、TLR7、TLR8、および/またはTLR9により誘導された応答(例えば、in vitroまたはin vivoにおいて)を阻害するための方法も提供する。一部の変化形では、細胞を、免疫応答に寄与する細胞からの応答を阻害するのに有効な量で、TLR阻害剤と接触させる。
TLR7、TLR8、および/またはTLR9の阻害は、サイトカインに応答性の様々な疾患または障害を処置および/または防止するのに有用でありうる。TLR7阻害剤、TLR8阻害剤、および/またはTLR9阻害剤を処置として使用しうる状態は、自己免疫疾患および炎症性障害を含むがこれらに限定されない。本明細書では、個体における疾患または障害を処置または防止する方法であって、有効量のTLR7阻害剤、TLR8阻害剤、および/またはTLR9阻害剤を個体に投与するステップを含む方法が提供される。さらに、疾患または障害と関連した症状を改善するための方法であって、有効量のTLR7阻害剤、TLR8阻害剤、および/またはTLR9阻害剤を、疾患または障害を有する個体に投与するステップを含む方法も提供される。本明細書ではまた、疾患または障害の発症を防止するかまたは遅延させるための方法であって、有効量のTLR7、TLR8、およびTLR9のうちの1または複数の阻害剤を、疾患または障害を有する個体に投与するステップを含む方法も提供される。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、配列番号10、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号24、配列番号26、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、および配列番号115からなる群から選択される。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、配列番号108を含むポリヌクレオチドである。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、配列番号109を含むポリヌクレオチドである。
本明細書では、個体における免疫応答を阻害するための方法であって、本明細書でにおいて開示される少なくとも1つのTLR阻害剤を、個体における免疫応答を阻害するのに有効な量で個体に投与するステップを含む方法が提供される。一部の変化形では、免疫応答は、自己免疫疾患と関連する。さらなる態様では、免疫応答を阻害することにより、自己免疫疾患の1または複数の症状を改善する。なおさらなる態様では、免疫応答を阻害することにより、自己免疫疾患を処置する。またさらなる態様では、免疫応答を阻害することにより、自己免疫疾患の発症を防止するかまたは遅延させる。一部の変化形では、TLR阻害剤は、TLR7依存性免疫応答を阻害する。一部の変化形では、TLR阻害剤は、TLR8依存性免疫応答を阻害する。一部の変化形では、TLR阻害剤は、TLR7依存性およびTLR8依存性免疫応答を阻害する。一部の変化形では、TLR阻害剤は、TLR8依存性およびTLR9依存性免疫応答を阻害する。一部の変化形では、TLR阻害剤は、TLR7依存性、TLR8依存性、およびTLR9依存性免疫応答を阻害する。一部の態様では、少なくとも1つのTLR阻害剤を、個体における免疫応答を阻害するのに有効な量で投与する。
本明細書ではまた、個体における自己免疫疾患を処置または防止する方法であって、有効量のTLR7阻害剤、TLR8阻害剤、および/またはTLR9阻害剤を個体に投与するステップを含む方法も提供される。一部の態様では、自己免疫疾患は、関節痛、抗核抗体陽性、頬部発疹、または円板状発疹を特徴とする。一部の態様では、自己免疫疾患は、皮膚、筋組織、および/または結合組織と関連する。一部の実施形態では、自己免疫疾患は、個体において、皮膚症状、筋組織症状、および/または結合組織症状を証拠としない。一部の実施形態では、自己免疫疾患は、全身性である。自己免疫疾患は、限定なしに述べると、関節リウマチ(RA)、自己免疫性膵臓炎(AIP)、全身性エリテマトーデス(SLE)、I型糖尿病、多発性硬化症(MS)、抗リン脂質抗体症候群(APS)、硬化性胆管炎、全身性関節炎、過敏性腸疾患(IBD)、強皮症、シェーグレン病、白斑、多発性筋炎、尋常性天疱瘡、落葉性天疱瘡、クローン病および潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患、自己免疫性肝炎、下垂体機能低下症、移植片対宿主病(GvHD)、自己免疫性皮膚疾患、ブドウ膜炎、悪性貧血、および副甲状腺機能低下症を含む。自己免疫疾患はまた、限定なしに述べると、多発性血管炎重複症候群、川崎病、サルコイドーシス、糸球体腎炎、および寒冷過敏症も含みうる。医療技術分野では、これらの状態が周知であり、例えば、Harrison’s Principles of Internal Medicine、14版、Fauciら編、New York: McGraw-Hill、1998年において記載されている。一部の態様では、自己免疫疾患は、関節炎、膵臓炎、混合性結合組織病(MCTD)、紅斑性狼瘡、抗リン脂質抗体症候群(APS)、全身性関節炎、および過敏性腸症候群からなる群から選択される。他の態様では、自己免疫疾患は、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ、自己免疫性皮膚疾患、および多発性硬化症からなる群から選択される。他の態様では、自己免疫疾患は、膵炎、糸球体腎炎、腎盂炎、硬化性胆管炎、およびI型糖尿病からなる群から選択される。一部の態様では、自己免疫疾患は、関節リウマチである。一部の態様では、自己免疫疾患は、自己免疫性膵臓炎(AIP)である。一部の態様では、自己免疫疾患は、糸球体腎炎である。一部の態様では、自己免疫疾患は、腎盂炎である。一部の態様では、自己免疫疾患は、硬化性胆管炎である。一部の態様では、自己免疫障害は、乾癬である。一部の態様では、自己免疫疾患は、リウマチ様疾患またはリウマチ様障害である。一部の態様では、リウマチ様疾患またはリウマチ様障害は、関節リウマチである。一部の態様では、疾患は、糖尿病および/または糖尿病関連疾患または糖尿病関連障害である。一部の態様では、自己免疫疾患は、RNA含有免疫複合体と関連する。一部の態様では、自己免疫疾患は、シェーグレン病である。
本明細書では、個体における免疫応答を阻害するための方法であって、本明細書でにおいて開示される少なくとも1つのTLR阻害剤を、個体における免疫応答を阻害するのに有効な量で個体に投与するステップを含む方法が提供される。一部の変化形では、免疫応答は、炎症性障害と関連する。本明細書で使用される「炎症性障害」という用語は、自己免疫疾患のほか、公知の自己免疫構成成分を伴わない炎症性状態(例えば、アテローム性動脈硬化、喘息など)を包含する。さらなる態様では、免疫応答を阻害することにより、炎症性障害の1または複数の症状を改善する。なおさらなる態様では、免疫応答を阻害することにより、炎症性障害を処置する。またさらなる態様では、免疫応答を阻害することにより、炎症性障害の発症を防止するかまたは遅延させる。一部の態様では、炎症性障害は、非リウマチ様関節炎、腎線維症、および肝線維症からなる群から選択される。一部の態様では、炎症性障害は、界面皮膚炎である。一部のさらなる態様では、界面皮膚炎は、扁平苔癬、苔癬様発疹、扁平苔癬様角化症、線条苔癬、慢性苔癬様角化症、多形性紅斑、固定薬疹、苔癬状粃糠疹、光毒性皮膚炎、放射線皮膚炎、ウイルス性発疹、皮膚筋炎、第二期梅毒、硬化性萎縮性苔癬、菌状息肉腫、水疱性類天疱瘡、黄色苔癬、汗孔角化症、慢性萎縮性肢端皮膚炎、および退行性黒色腫からなる群から選択される。一部の態様では、炎症性状態とは、アトピー性皮膚炎(湿疹)などの皮膚障害である。一部の態様では、炎症性障害は、薬物誘導性肝臓および/または膵臓炎などの非感染性炎症性状態である。一部のさらなる態様では、炎症性疾患は、炎症性肝臓障害である。一部の他のさらなる態様では、炎症性疾患は、炎症性膵臓障害である。
本明細書では、個体における免疫応答を阻害するための方法であって、本明細書でにおいて開示される少なくとも1つのTLR阻害剤を、個体における免疫応答を阻害するのに有効な量で個体に投与するステップを含む方法が提供される。一部の変化形では、免疫応答は、長期にわたる病原体による刺激と関連する。一部の変化形では、免疫応答は、HIVによる感染と関連する。さらなる態様では、免疫応答を阻害することにより、HIVによる感染から生じるウイルス性疾患またはウイルス性障害の1または複数の症状を改善する。なおさらなる態様では、免疫応答を阻害することにより、HIVによる感染から生じるウイルス性疾患またはウイルス性障害を処置する。またさらなる態様では、免疫応答を阻害することにより、HIVによる感染から生じるウイルス性疾患またはウイルス性障害の発症を防止するかまたは遅延させる。本明細書で提供される他の変化形は、HIVへと曝露されるかまたはHIVに感染した個体の免疫阻害による治療に関する。TLR阻害剤の、HIVへと曝露されるかまたはHIVに感染した個体への投与は、HIVにより誘導されるサイトカイン産生の抑制を結果としてもたらす。一部の態様では、少なくとも1つのTLR阻害剤を、HIVへと曝露されるかまたはHIVに感染した個体における、HIVにより誘導されるサイトカイン産生を抑制するのに有効な量で投与する。
本明細書では、個体におけるTLR7、TLR8、およびTLR9依存性免疫応答を阻害するための方法であって、TLR阻害剤を、個体における免疫応答を阻害するのに有効な量で個体に投与するステップを含む方法が提供される。一部の変化形では、免疫応答は、自己免疫疾患と関連する。一部の態様では、自己免疫疾患は、関節リウマチである。一部の態様では、TLR阻害剤は、関節リウマチの1または複数の症状を抑制するのに有効である。一部の態様では、自己免疫疾患は、多発性硬化症である。一部の態様では、TLR阻害剤は、多発性硬化症の1または複数の症状を抑制するのに有効である。一部の態様では、自己免疫疾患は、紅斑性狼瘡である。一部の態様では、TLR阻害剤は、紅斑性狼瘡の1または複数の症状を抑制するのに有効である。一部の態様では、自己免疫疾患は、膵臓炎である。一部の態様では、TLR阻害剤は、膵臓炎の1または複数の症状を抑制するのに有効である。一部の態様では、自己免疫疾患は、糖尿病である。一部の態様では、TLR阻害剤は、糖尿病の1または複数の症状を抑制するのに有効である。一部の態様では、疾患は、シェーグレン病である。一部の態様では、TLR阻害剤は、シェーグレン病の1または複数の症状を抑制するのに有効である。一部の変化形では、免疫応答は、炎症性障害と関連する。一部の態様では、TLR阻害剤は、炎症性障害の1または複数の症状を抑制するのに有効である。一部の変化形では、免疫応答は、長期にわたる病原体による刺激と関連する。一部の態様では、TLR阻害剤は、長期にわたる病原体による刺激の1または複数の症状を抑制するのに有効である。一部の変化形では、免疫応答は、HIVによる感染から生じるウイルス性疾患と関連する。一部の態様では、TLR阻害剤は、HIVによる感染から生じるウイルス性疾患の1または複数の症状を抑制するのに有効である。任意の変化形では、TLR阻害剤は、TLR7、TLR8、およびTLR9のうちの1または複数に対する阻害性モチーフを含むポリヌクレオチドである。
本明細書における方法は、予防的処置、治療的処置、またはこれらの両方をもたらす。本明細書で使用される予防的処置とは、症状の観察および/または状態の原因物質(例えば、病原体または発がん物質)への曝露の疑いの前に開始される処置を指す。一般に、予防的処置は、(a)処置を施される個体が状態を発症する可能性を低減し、かつ/または(b)万一対象が状態を発症した場合の症状の持続期間を短縮し、かつ/もしくは重症度を軽減しうる。本明細書で使用される治療的処置とは、症状の観察および/または状態の原因物質への曝露の疑いの後で開始される処置を指す。一般に、治療的処置は、状態と関連した症状の重症度を軽減し、かつ/または持続期間を短縮しうる。
本明細書で裏付けられる通り、特定のTLR阻害剤は、TLR7依存性細胞応答、TLR8依存性細胞応答、および/またはTLR9依存性細胞応答を阻害する、TLR7、TLR8、および/またはTLR9のうちの1または複数に対する阻害性モチーフを含む。一部の実施形態では、ある特定のTLR阻害剤は、TLR4依存性細胞応答を阻害しない。一部の実施形態では、ある特定のTLR阻害剤は、TLR1依存性細胞応答、TLR2依存性細胞応答、TLR3依存性細胞応答、TLR4依存性細胞応答、TLR5依存性細胞応答、TLR6依存性細胞応答、TLR10依存性細胞応答、TLR11依存性細胞応答、TLR12依存性細胞応答、および/またはTLR13依存性細胞応答を阻害しない。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、in vitro、in vivo、および/またはex vivoにおいて決定される、測定可能な免疫応答を阻害および/または抑制する、本明細書で記載される、TLR7、TLR8、および/またはTLR9のうちの1または複数に対する阻害性モチーフを含む。
本明細書で記載される通り、新規に規定されるTLR7阻害性モチーフを伴う、一部のTLR阻害剤は、特に、TLR7依存性細胞応答を抑制するのに有効である。このようなTLR阻害剤は、配列番号36、38、44、46、48、50、55〜67、85〜88、90、91、95、97、99、103、104、108〜111、114、および115を含むがこれらに限定されない。
本明細書で記載される通り、新規に規定されるTLR8阻害性モチーフを伴う、一部のTLR阻害剤は、特に、TLR8依存性細胞応答を抑制するのに有効である。このようなTLR阻害剤は、配列番号10、14〜18、20、24、26、30〜40、44、48〜53、56、59〜73、77〜81、および84〜115を含むがこれらに限定されない。
本明細書で記載される通り、一部のTLR阻害剤は、特に、TLR7依存性細胞応答およびTLR8依存性細胞応答を抑制するのに有効である。このようなTLR阻害剤は、配列番号10、15〜18、20、24、26、30、34〜36、38、40、44、48、50、56、59〜63、65、67、85〜88、90〜95、97、99〜106、および108〜111を含むがこれらに限定されない。
本明細書で記載される通り、一部のTLR阻害剤は、特に、TLR8依存性細胞応答およびTLR9依存性細胞応答を抑制するのに有効である。このようなTLR阻害剤は、配列番号81、および112を含むがこれらに限定されない。
本明細書で記載される通り、一部のTLR阻害剤は、特に、TLR7依存性細胞応答、TLR8依存性細胞応答、およびTLR9依存性細胞応答を抑制するのに有効である。このようなTLR阻害剤は、配列番号14、64、66、および113〜115を含むがこれらに限定されない。
TLR阻害剤の個体への投与を伴う方法(例えば、免疫応答を阻害し、自己免疫疾患または炎症性障害などを処置または防止する方法)のうちのいずれかについての一部の実施形態では、TLR阻害剤は、治療的に許容される安全性プロファイルを有する。TLR阻害剤は、例えば、存在する場合でも許容される程度に低い、肝臓、腎臓、膵臓、または他の臓器の毒性を含む、治療的に許容される組織学的プロファイルを有しうる。場合によって、ポリヌクレオチドは、肝臓、腎臓、および膵臓などのある特定の臓器に対する毒性と関連している。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、予測外で有利な安全性プロファイルを有する。一部の実施形態では、安全性プロファイルは、毒性、組織学プロファイル、および/または壊死(例えば、肝臓、腎臓、および/または心臓)の査定を含む。一部の実施形態では、TLR阻害剤の毒性は、治療的に許容されるレベルである。一部の実施形態では、TLR阻害剤の毒性レベルは、別のTLR阻害剤(例えば、配列番号7のC954など、基準のTLR阻害剤)と比較して低減されている。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、処置される個体の初期の体重と比較して、治療的に許容される体重の減少を誘導する。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、全体重の5%、7.5%、10%、12.5、または15%未満の減少を誘導する。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、治療的に許容される組織学プロファイルを有する。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、組織学プロファイルが、例えば、配列番号7のC954など、基準のTLR阻害剤と比較して良好である(例えば、重症度スコアが低い)。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、例えば、肝臓、腎臓、および/または心臓について査定したときの組織学プロファイルが良好である(例えば、重症度スコアが低い)。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、治療的に許容される壊死スコアを有する。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、例えば、配列番号7のC954など、基準のTLR阻害剤と比較して、壊死が軽減され、かつ/または壊死スコアが良好である(例えば、低い)。一部の実施形態では、平均壊死スコアは、約3以下である。一部の実施形態では、平均壊死スコアは、約2.0以下である。一部の実施形態では、平均壊死スコアは、約1以下である。一部の実施形態では、平均壊死スコアは、約0以下である。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、腎細胞壊死および/もしくは肝細胞壊死が、例えば、配列番号7のC954など、基準のTLR阻害剤と比較して軽減されており、かつ/または腎細胞壊死スコアおよび/もしくは肝細胞壊死スコアが良好である。
TLR阻害剤の個体への投与を伴う方法(例えば、免疫応答を阻害し、自己免疫疾患または炎症性障害などを処置または防止する方法)のうちのいずれかについての一部の実施形態では、TLR阻害剤は、治療的に許容される薬物動態(PK)または薬物代謝および薬物動態(DMPK)を有する。方法のうちのいずれかについての一部の実施形態では、TLR阻害剤は、PKプロファイルまたはPKが、別のTLR阻害剤(例えば、配列番号7のC954など、基準のTLR阻害剤)と同様である。一部の実施形態では、治療的に許容される安全性プロファイルを、マウスまたはラットにおいて決定する。一部の実施形態では、治療的に許容される安全性プロファイルを、ラットにおいて決定する。
TLR阻害剤の個体への投与を伴う方法(例えば、免疫応答を阻害し、自己免疫疾患または炎症性障害などを処置または防止する方法)のうちのいずれかについての一部の実施形態では、TLR阻害剤は、治療的に許容されるレベルのB細胞活性化を誘導する。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、陽性対照のポリヌクレオチド(例えば、非メチル化CGジヌクレオチドを含む、ISSともまた称する免疫刺激性配列)と比較して低レベルのB細胞活性化を誘導する。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、B細胞活性化が小さいことが公知の別のTLR阻害剤(例えば、配列番号7のC954など、基準のTLR阻害剤)と同等であるかまたはこれより著明に高くはない、低レベルのB細胞活性化を誘導する。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、B細胞活性化を、B細胞活性化が小さいことが公知の別のTLR阻害剤(例えば、配列番号7のC954)と比較して、約1分の1、1.5分の1、2分の1、2.5分の1、または3分の1の著明に低いレベルへと誘導する。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、B細胞活性化を、陽性対照のポリヌクレオチド(例えば、ISS)より著明に低いレベルへと誘導する。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、in vitroにおけるB細胞活性化を、陽性対照のポリヌクレオチド(例えば、ISS)と比較して、約5%、10%、15%、20%、または25%未満のレベルへと誘導する。一部の実施形態では、TLR阻害剤によるB細胞活性化を、陽性対照のポリヌクレオチド(例えば、ISS)へと標準化する。一部の実施形態では、複数のTLR阻害剤の標準化結果を比較する。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、B細胞活性化を、第2のTLR阻害剤(例えば、配列番号116のDV185)より著明に低いレベルへと誘導する。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、細胞培養アッセイにおけるB細胞活性化を、培地単独より著明に高いレベル、またはB細胞活性化が小さいことが公知の基準のTLR阻害剤(例えば、配列番号7のC954)のレベルへと誘導しない。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、細胞培養アッセイにおけるB細胞活性化を、B細胞活性化が小さいことが公知の第2のTLR阻害剤(例えば、配列番号7のC954)と比較して約1分の1、1.5分の1、2分の1、2.5分の1、または3分の1のレベルへと誘導する。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、細胞培養アッセイにおけるB細胞活性化を、陽性対照のポリヌクレオチド(例えば、ISS)より著明に低いレベルへと誘導する。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、例えば、約4000nM〜約15nMの範囲にわたり、濃度依存性のB細胞活性化を示す。一部の実施形態では、TLR阻害剤は、例えば、約1000nM〜約15nMの範囲にわたり、B細胞活性化をほとんど〜全く示さない。
TLR阻害剤の投与および免疫応答の評価
免疫応答を阻害するための全ての組成物についてと同様、特定のTLR阻害剤製剤を投与するときの有効量およびTLR阻害剤製剤を投与する方法も、個体、どのような状態を処置するのか、および当業者に明らかな他の因子に基づき変化させることができる。
一部の態様では、TLR阻害剤の投与量は、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、および/またはTLR9アゴニストに対する応答の抑制、TLR7依存性免疫応答の抑制、TLR8依存性免疫応答の抑制、TLR7依存性およびTLR8依存性免疫応答の抑制、TLR8依存性およびTLR9依存性免疫応答の抑制、TLR7依存性、TLR8依存性、およびTLR9依存性免疫応答の抑制、自己免疫疾患の1または複数の症状の改善、慢性炎症性疾患の症状の改善、HIVに応答するサイトカイン産生の減少、ならびに/またはTLR7、TLR8、および/もしくはTLR9により媒介される疾患もしくは障害の1もしくは複数の症状の処置および/もしくは阻止に十分である。一部の態様では、少なくとも1つのTLR阻害剤を、個体における免疫応答を阻害するのに有効な量で投与する。
適切な投与量の範囲は、免疫応答の所望の調節(例えば、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、および/もしくはTLR9アゴニストの抑制、またはIFNの抑制、またはTLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、および/もしくはTLR9アゴニストに応答する他のサイトカイン産生の抑制)をもたらす範囲である。一般に、投与量は、個体に投与されるTLR阻害剤の量により決定する。TLR阻害剤を含む組成物の有用な投与量の範囲は、例えば、以下:0.1〜10mg/kg、0.5〜10mg/kg、1〜10mg/kg、0.1〜20mg/kg、0.1〜20mg/kg、または1〜20mg/kgのうちのいずれかでありうる。各個体へと施される絶対量は、バイオアベイラビリティー、クリアランス速度、および投与経路などの薬理学的特性に依存する。
個体を処置するには、薬剤の活性、投与の様式、投与の目的(すなわち、予防目的または治療目的)、障害の性質および重症度、個体の年齢および体重、異なる用量に応じることが必要でありうる。投与量は一般に、医師または他の医療ケア従事者が、症状の重症度、個体の既往歴など、当技術分野で公知の様々なパラメータに従い選択する。一部の実施形態では、有効量のTLR阻害剤を、本明細書で記載される方法において使用することができる。
施される用量の投与は、個別の用量単位の形態の単回投与により実行することもでき、いくつかの小用量単位で実行することもできる。また、数日間隔てた一定の間隔、数週間隔てた一定の間隔、または数カ月間隔てた一定の間隔で反復された複数回にわたる用量の投与も想定される。
特定のTLR阻害剤製剤を投与するときの有効量およびTLR阻害剤製剤を投与する方法は、個別の患者、所望の結果および/または障害の種類、病期、ならびに当業者に明らかな他の因子に基づき変化させることができる。当業者には、特定の適用において有用な投与経路が明らかである。投与経路は、外用経路、皮内経路、経皮経路、経粘膜経路、表皮経路、非経口経路、消化管経路、および鼻咽頭内経路、ならびに気管支内経路および経肺胞経路を含む肺内経路を含むがこれらに限定されない。適切な投与量の範囲は、血液レベルで測定される、約1〜50μMの組織濃度を達するのに十分なTLR阻害剤含有製剤をもたらす範囲である。各患者へと施される絶対量は、バイオアベイラビリティー、クリアランス速度、および投与経路などの薬理学的特性に依存する。
本明細書で記載されるTLR阻害剤を含む医薬製剤のうちのいずれが1つを、全身(例えば、非経口)投与または局所(例えば、外用注射または病変内注射)投与により投与することができる。一部の実施形態では、医薬製剤を、外用投与、非経口投与、経口投与、膣内投与、子宮内投与、鼻腔内投与、または吸入投与する。本明細書で記載される通り、望ましくない免疫活性化が生じつつあるか、または望ましくない免疫活性化が生じる可能性が高い組織は、TLR阻害剤に対する好ましい標的である。したがって、TLR阻害剤の、ウイルスへと曝露されたリンパ節、脾臓、骨髄、血液ならびに組織への投与は、好ましい投与部位である。
一部の実施形態では、TLR阻害剤を含む医薬製剤を非経口投与する。非経口投与経路は、経皮注射、経粘膜注射、鼻咽頭注射、肺内注射、および直接注射を含むがこれらに限定されない。注射による非経口投与は、ボーラスおよび注入(例えば、急速注射および緩徐注射)を含む静脈内(IV)経路、腹腔内(IP)経路、筋内(IM)経路、皮下(SC)経路、および皮内(ID)経路を含むがこれらに限定されない、任意の非経口注射経路を介しうる。経皮投与および経粘膜投与は、例えば、担体(例えば、ジメチルスルホシキド:DMSO)を組み入れることにより達成することもでき、電気的インパルス(例えば、イオントフォレーシス)を適用することによりにより達成することもでき、これらの組合せにより達成することもできる。使用しうる経皮投与には、様々なデバイスが利用可能である。非経口投与に適するTLR阻害剤製剤は一般に、USP水中または注射用水中で製剤化し、pH緩衝剤、塩、増量剤、保存剤、および他の薬学的に許容できる賦形剤をさらに含みうる。非経口注射用の免疫阻害性ポリヌクレオチドは、注射用の食塩水およびリン酸緩衝食塩水など、薬学的に許容できる滅菌等張性溶液中で製剤化することができる。
経皮投与は、TLR阻害剤が皮膚に浸透し、血流に入ることを可能としうるクリーム、洗浄液、ゲルなどを適用することにより達成する。経皮投与に適する組成物は、皮膚へと直接適用されるか、または経皮デバイス(いわゆる「パッチ」)などの保護担体へと組み込まれる、薬学的に許容できる懸濁液、油、クリーム、および軟膏を含むがこれらに限定されない。適切なクリーム、軟膏などの例は、例えば、Physician’s Desk Referenceにおいて見出すことができる。経皮透過はまた、イオントフォレーシスにより、例えば、それらの生成物を、完全な皮膚を介して、数日間以上にわたり持続的に送達する市販のパッチを使用して達成することもできる。この方法の使用は、比較的高濃度における医薬組成物の制御透過を可能とし、組合せ薬物の注入を許容し、吸収促進剤の共時的使用を可能とする。経皮経路および経粘膜経路を介する投与は、持続投与の場合もあり、パルス投与の場合もある。
消化管投与経路は、経口摂取経路および直腸内経路を含むがこれらに限定されず、例えば、経口摂取のための、薬学的に許容できる粉末、丸剤、または液体、および直腸内投与のための坐剤の使用を含みうる。
鼻咽頭投与および肺内投与は、吸入により達成し、鼻腔内経路、気管支内経路、および経肺胞経路などの送達経路を含む。エアゾールを形成するための液体懸濁液のほか、乾燥粉末吸入送達系のための粉末形態を含むがこれらに限定されない、吸入による投与に適するTLR阻害剤製剤も提供される。TLR阻害剤製剤の吸入による投与に適するデバイスは、アトマイザー、気化器、ネブライザー、および乾燥粉末吸入送達デバイスを含むがこれらに限定されない。呼吸器粘膜への他の送達法は、点鼻薬によるなど、液体製剤の送達を含む。吸入による投与は、個別の用量で(例えば、計量型吸入器を介して)達成することが好ましいが、注入と同様の送達も、ネブライザーの使用を介して達成することができる。
本明細書で記載される通り、望ましくない免疫活性化が生じつつあるか、または望ましくない免疫活性化が生じる可能性が高い組織は、TLR阻害剤の適切な標的である。したがって、ウイルスへと曝露されたリンパ節、脾臓、骨髄、血液ならびに組織へのTLR阻害剤組成物の投与は、好ましい投与部位である。
当技術分野で周知である通り、本明細書で記載される投与経路に使用される溶液または懸濁液は、以下の構成成分:注射用水、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミンテトラ酢酸などのキレート剤;酢酸、クエン酸、またはリン酸などの緩衝剤;および塩化ナトリウムまたはデキストロースなど、等張性を調整するための薬剤のうちの任意の1または複数を含みうる。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調整することができる。非経口調製物は、ガラス製またはプラスチック製のアンプル内、ディスポーザブルのシリンジ内、または複数回投与用のバイアル内に封入することができる。
当技術分野で周知である通り、注射用に適する医薬組成物は、滅菌注射用溶液または滅菌注射用分散液を即席で調製するための滅菌水溶液(水溶性の場合)または滅菌分散液および滅菌粉末を含む。静脈内投与に適する担体は、食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany、NJ)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)を含む。全ての場合において、組成物は滅菌でなければならず、容易な注射可能性が存在する程度に流体であるものとする。組成物は、製造条件下および保存条件下で安定であるものとし、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保存されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)を含有する溶媒または分散媒およびこれらの適切な混合物でありうる。適正な流体性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することにより維持することができ、分散液の場合は、要求される粒子サイズを維持することにより維持することができ、界面活性剤を使用することにより維持することができる。微生物の作用の防止は、多様な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成することができる。組成物中に等張性薬剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、塩化ナトリウムを含むことが好ましい場合もある。注射用組成物の持続吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に組み入れることによりもたらすことができる。
当技術分野で周知である通り、滅菌注射用溶液は、活性化合物を、適切な溶媒中に要求される量で、要求に応じて、上記で列挙した成分のうちの1つまたは組合せと共に組み込んだ後、濾過滅菌することにより調製することができる。一般に、分散液は、基本分散媒および上記で列挙した成分由来の要求される他の成分を含有する滅菌ビヒクルへと活性化合物を組み込むことにより調製する。滅菌注射用溶液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製法は、そのあらかじめ滅菌濾過された溶液由来の、有効成分に任意のさらなる所望の成分を加えた粉末をもたらす、真空乾燥法および凍結乾燥である。
本明細書で記載される方法のうちのいずれかでは、TLR阻害剤は、免疫応答を阻害するのに十分な量で投与することができる。本明細書で記載される通り、免疫応答は、体液性の場合もあり、かつ/または細胞性の場合もあり、当技術分野で標準的であり、かつ、本明細書で記載される技法を使用して測定する。一部の態様では、本明細書では、TLR7依存性細胞刺激、TLR8依存性細胞刺激、および/またはTLR9依存性細胞刺激(例えば、TLRを発現する細胞内のTLRシグナル伝達)を抑制、低減、および/または阻害するための方法が提供される。一部の態様では、少なくとも1つのTLR阻害剤を、個体における免疫応答を阻害するのに有効な量で投与する。
本明細書で裏付けられる通り、一部のTLR阻害剤は、TLR7依存性免疫応答、TLR−8依存性免疫応答、および/またはTLR9依存性免疫応答を抑制する。一部の実施形態では、個体におけるTLR7依存性免疫応答、TLR−8依存性免疫応答、および/またはTLR9依存性免疫応答を阻害するための方法であって、本明細書で記載されるTLR阻害剤を、個体におけるTLR7依存性サイトカイン産生、TLR−8依存性サイトカイン産生、および/またはTLR9依存性サイトカイン産生を抑制するのに十分な量で投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、TLR7依存性免疫応答、TLR−8依存性免疫応答、および/またはTLR9依存性免疫応答は、生得免疫応答である。一部の実施形態では、TLR7依存性免疫応答、TLR−8依存性免疫応答、および/またはTLR9依存性免疫応答は、後天免疫応答である。
一部の実施形態では、本明細書で記載される組成物は、単球、マクロファージ、骨髄性樹状細胞、調節的T細胞、B細胞、および好中球の応答を阻害する。一部の実施形態では、本明細書で記載される組成物により阻害される免疫応答は、細胞によるIL−1β、および/またはTNFなど、サイトカイン産生の阻害、細胞成熟の阻害、および/または細胞増殖の阻害を含む。一部の実施形態では、本明細書で記載される組成物は、TLR7依存性細胞応答、TLR−8依存性細胞応答、および/またはTLR9依存性細胞応答を阻害する。
上述の組成物および投与法は、本明細書で記載されるTLR阻害剤製剤を投与する方法について記載することを意図するものであり、これを限定することを意図するものではない。多様な組成物およびデバイスを作製する方法は、当業者の能力の範囲内にあり、したがっては、本明細書では詳細に記載しない。
組合せ治療
本開示のTLR阻害剤は、1または複数のさらなる治療剤と組み合わせて投与することができる。本明細書で記載される通り、TLR阻害剤は、生理学的に許容される担体と組み合わせることができる。本明細書で記載される方法は、抗炎症剤の投与など、障害のための標準治療を構成する他の療法と組み合わせて実施することもできる。
一部の実施形態では、TLR阻害剤を、コルチコステロイドと組み合わせて投与する。一部の実施形態では、コルチコステロイドは、グルココルチコステロイドである。一部の実施形態では、コルチコステロイドは、鉱質コルチコイドである。コルチコステロイドは、コルチコステロンならびにその誘導体、プロドラッグ、異性体、および類似体、コルチゾンならびにその誘導体、プロドラッグ、異性体、および類似体(すなわち、Cortone)、アルドステロンならびにその誘導体、プロドラッグ、異性体、および類似体、デキサメタゾンならびにその誘導体、プロドラッグ、異性体、および類似体(すなわち、Decadron)、プレドニゾンならびにその誘導体、プロドラッグ、異性体、および類似体(すなわち、Prelone)、フルドロコルチゾンならびにその誘導体、プロドラッグ、異性体、および類似体(すなわち、FLORINEF(登録商標))、ハイドロコルチゾンならびにその誘導体、プロドラッグ、異性体、および類似体(すなわち、コルチゾールまたはCortef)、ヒドロキシコルチゾンならびにその誘導体、プロドラッグ、異性体、および類似体、ベータメタゾンならびにその誘導体、プロドラッグ、異性体、および類似体(すなわち、Celestone)、ブデソニドならびにその誘導体、プロドラッグ、異性体、および類似体(すなわち、Entocort EC)、メチルプレドニゾロンならびにその誘導体、プロドラッグ、異性体、および類似体(すなわち、Medrol)、プレドニゾロンならびにその誘導体、プロドラッグ、異性体、および類似体(すなわち、Deltasone、Cartan、Meticorten、Orasone、またはSterapred)、トリアミノロンならびにその誘導体、プロドラッグ、異性体、および類似体(すなわち、KenacortまたはKenalog)などを含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、コルチコステロイドは、フルドロコルチゾンまたはその誘導体、プロドラッグ、異性体、もしくは類似体である。一部の実施形態では、コルチコステロイドは、フルドロコルチゾンである。一部の実施形態では、コルチコステロイドは、ヒドロキシコルチゾンまたはその誘導体、プロドラッグ、異性体、もしくは類似体である。一部の実施形態では、コルチコステロイドは、ヒドロキシコルチゾンである。
一部の実施形態では、コルチコステロイドは、1日当たり約0.001mg〜1mg、0.5mg〜1mg、1mg〜2mg、2mg〜20mg、20mg〜40mg、40〜80mg、80〜120mg、120mg〜200mg、200mg〜500mg、または500mg〜1000mgのうちのいずれかの間で投与する。一部の実施形態では、コルチコステロイドは、1日当たり約0.1mg/kg〜0.5mg/kg、0.5mg/kg〜1mg/kg、1mg/kg〜2mg/kg、2mg/kg〜5mg/kg、5mg/kg〜10mg/kg、10mg/kg〜15mg/kg、15mg/kg〜20mg/kg、20mg/kg〜25mg/kg、25mg/kg〜35mg/kg、または35mg/kg〜50mg/kgのうちのいずれかの間で投与する。
一部の実施形態では、送達されるTLR阻害剤の量で施される組合せ治療において使用されるTLR阻害剤は、例えば、約0.1〜10mg/kg、0.5〜10mg/kg、1〜10mg/kg、0.1〜20mg/kg、0.1〜20mg/kg、または1〜20mg/kgのうちのいずれかでありうる。
一部の実施形態では、TLR阻害剤を、コルチコステロイド(同時投与)を含むがこれらに限定されない、1または複数のさらなる治療剤と同時に投与する。一部の実施形態では、TLR阻害剤を、コルチコステロイドを含むがこれらに限定されない、さらなる治療剤と共に逐次的に投与する(逐次投与)。一部の実施形態では、逐次投与は、TLR阻害剤またはさらなる治療剤を、約1分間、5分間、30分間、1時間、5時間、24時間、48時間、または1週間のうちのいずれか以内に投与するステップを含む。一部の実施形態では、TLR阻害剤を、さらなる治療剤と同じ投与経路で投与する。一部の実施形態では、TLR阻害剤を、さらなる治療剤と異なる投与経路で投与する。一部の実施形態では、さらなる治療剤を、非経口投与(例えば、中心静脈ライン注射、動脈内注射、静脈内注射、筋内注射、腹腔内注射、皮内注射、または皮下注射)、経口投与、消化管投与、外用投与、鼻咽頭内投与、および肺内投与(例えば、吸入投与または鼻腔内投与)する。一部の実施形態では、さらなる治療剤は、コルチコステロイドである。
一部の実施形態では、TLR阻害剤を、1または複数のさらなる治療剤と組み合わせることにより、TLR阻害剤またはさらなる治療剤を単独で投与する場合に投与される有効量と比較して同じ結果を達成するように、投与されるTLR阻害剤および/または1もしくは複数のさらなる治療剤の有効量を低減する(投与される投与容量、投与濃度、および/または総薬物用量を含むがこれらに限定されない)。一部の実施形態では、TLR阻害剤を、コルチコステロイドと組み合わせることにより、投与されるコルチコステロイドの有効量を、単独で投与されるコルチコステロイドと比較して低減する。一部の実施形態では、TLR阻害剤を、さらなる治療剤と組み合わせることにより、治療剤の投与頻度を、さらなる治療剤の単独での投与と比較して低減する。一部の実施形態では、TLR阻害剤を、さらなる治療剤と組み合わせることにより、処置の総持続期間を、さらなる治療剤の単独での投与と比較して短縮する。一部の実施形態では、TLR阻害剤を、さらなる治療剤と組み合わせることにより、さらなる治療剤の単独での投与と関連した副作用を軽減する。一部の実施形態では、さらなる治療剤は、コルチコステロイドである。一部の実施形態では、コルチコステロイドは、フルドロコルチゾンまたはその誘導体、プロドラッグ、異性体、もしくは類似体である。一部の実施形態では、コルチコステロイドは、フルドロコルチゾンである。一部の実施形態では、有効量のTLR阻害剤の、さらなる治療剤との組合せは、有効量のTLR阻害剤単独またはさらなる治療剤単独と比較して有効である。
TLR阻害剤はまた、例えば、ウイルス性生免疫原、細菌性生免疫原、または寄生虫性生免疫原;ウイルス性不活化免疫原、腫瘍由来不活化免疫原、原虫性不活化免疫原、生物由来不活化免疫原、真菌性不活化免疫原、または細菌性不活化免疫原、トキソイド、毒素;自己抗原;多糖;タンパク質;糖タンパク質;ペプチド;細胞ワクチン;DNAワクチン;組換えタンパク質;組換え糖タンパク質;組換えペプチドなど、体液性免疫応答および/または細胞介在性免疫応答をモジュレートする任意の材料を伴う使用のためのワクチンアジュバントとしても有用でありうる。一部の態様では、TLR阻害剤とワクチンとの組合せを含むがこれらに限定されない組合せ治療を、自己免疫疾患または炎症性障害の処置において使用する。一部の態様では、TLR阻害剤とワクチンとの組合せを含むがこれらに限定されない組合せ治療を、感染性疾患の処置において使用する。
一部の実施形態では、TLR阻害剤とコルチコステロイドとの組合せを含むがこれらに限定されない組合せ治療を、自己免疫疾患または炎症性障害の処置において使用する。一部の実施形態では、自己免疫疾患は、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、自己免疫性皮膚疾患、多発性硬化症、膵炎、糸球体腎炎、腎盂炎、硬化性胆管炎(Sslerosing cholangitis)、およびI型糖尿病から選択されるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、自己免疫疾患は、シェーグレン病である。
V.キット、バイアル、および単位剤形
本明細書ではまた、TLR阻害剤を含むキット、ならびにTLR7、TLR8、および/またはTLR9依存性免疫応答を阻害するための方法における使用のための指示書も提供される。
キットは、TLR阻害剤(またはTLR阻害剤を含む製剤)を含む1または複数の容器と、一般に書面による指示書であるが、指示書を含有する電子保存媒体(例えば、磁気ディスケットまたは光ディスク)もまた許容可能である指示書のセットであって、TLR阻害剤の使用および投与量または意図される処置(例えば、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、および/もしくはTLR9アゴニストに対する応答の抑制、TLR7、TLR8、および/もしくはTLR9依存性免疫応答の抑制、自己免疫疾患の1もしくは複数の症状の改善、慢性炎症性疾患の症状の改善、ウイルスに応答するサイトカイン産生の減少、ならびに/またはTLR7、TLR8、および/もしくはTLR9により媒介される疾患もしくは障害の1もしくは複数の症状の処置および/もしくは阻止)のための製剤に関する指示書のセットとを含みうる。キットにより含まれる指示書は一般に、意図される処置のための投与量、投与スケジュール、および投与経路についての情報を含む。TLR阻害剤(またはTLR阻害剤を含む製剤)のための容器は、単位用量、バルクパッケージ(例えば、複数回投与用パッケージ)、または単位未満用量でありうる。キットは、アジュバントを含む容器をさらに含みうる。
キットの容器は、構成成分を入れ、好ましくは、適切にアリコート分割しうる、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジ、または他の容器を含みうる。キット内に複数の構成成分が存在する場合、キットは、さらなる構成成分を個別に入れうる、第2の容器、第3の容器、または他のさらなる容器を含有しうる。しかし、構成成分の多様な組合せは、バイアル内にも含まれうる。キットはまた、容器を、市販のための緊密な密封状態で含有するための構成成分も含むことが典型的であろう。このような容器は、所望のバイアルを保持する射出成形によるプラスチック容器またはブロー成形によるプラスチック容器を含みうる。
キットの構成成分を1および/または複数の液体溶液により提供する場合、液体溶液は水溶液であり、滅菌の水溶液が特に好ましい。キットの構成成分はまた、乾燥粉末(複数可)として提供することもできる。試薬および/または構成成分を、乾燥粉末として提供する場合、粉末は、適切な溶媒を付加することにより再構成することができる。また、溶媒を別の容器手段により提供することも想定される。
キットのTLR阻害剤製剤構成成分は、任意の簡便で適切なパッケージングによりパッケージングすることができる。例えば、TLR阻害剤が凍結乾燥製剤である場合は通常、弾性の止栓を介して流体を注入することにより、TLR阻害剤を容易に再構成しうるように、弾性の止栓を伴うバイアルを使用する。非弾性で取り外し可能な密栓(例えば、密封ガラス)または弾性の止栓を伴うアンプルが、TLR阻害剤の注射用形態に使用するのに最も簡便である。また、キットがTLR阻害剤の液体製剤を備える場合は、あらかじめ充填されたシリンジも使用することができる。キットは、適切なパッケージング内の外用製剤用の軟膏中にTLR阻害剤を含有しうる。また、吸入器、鼻腔内投与デバイス(例えば、アトマイザー)、経皮投与デバイス、または注入デバイスなど、ミニポンプなど、特殊なデバイスとの組合せにおける使用のためのパッケージも想定される。
キットは、キットの構成成分を援用するための指示書のほか、キット内に含まれない他の任意の試薬(複数可)の使用を含みうる。指示書は、実装されうる実施形態を含みうる。
また、本明細書で記載されるTLR阻害剤または製剤のうちのいずれか1つを含むバイアル(例えば、密封バイアル)も提供される。一部の実施形態では、治療剤を含むバイアルと組み合わせた、TLR阻害剤を含むバイアルが提供される。一部の実施形態では、バイアルをキットにより提供する。
また、TLR7、TLR8、および/またはTLR9により媒介される疾患または障害を処置および/または防止するための単位剤形であって、本明細書で記載されるTLR阻害剤または製剤のうちのいずれか1つを含む剤形も提供される。一部の実施形態では、治療剤の単位剤形と組み合わせた、TLR阻害剤を含む単位剤形も提供される。一部の実施形態では、剤形をキットにより提供する。
略号:APS(抗リン脂質抗体症候群);CT(閾値サイクル);CTRL(対照);DNA(デオキシリボ核酸);ELISA(酵素免疫測定アッセイ);FACS(蛍光活性化細胞分取法);hTLR8Tg(ヒトToll様受容体8トランスジェニック);IC50(50%阻害濃度);IIS(免疫阻害性配列);KO(ノックアウト);mcgまたはμg(マイクログラム);MCTD(混合性結合組織病);MDC(骨髄性樹状細胞);MOI(感染多重度);PBMC(末梢血単核細胞);PDC(形質細胞系樹状細胞);PN(ポリヌクレオチド);RA(関節リウマチ);RNA(リボ核酸);SF(滑液);slanDC(6−スルホLacNAc樹状細胞);TLR(Toll様受容体);およびWT(野生型)。
(実施例1)
TLR8発現
TLR8発現を、ヒト細胞サブセットにおいて解析した。製造業者の指示書に従い、形質細胞系樹状細胞(pDC)、単球、骨髄系樹状細胞(mDC)、CD4+T細胞、CD8+T細胞、および好中球を、磁気ビーズ(Miltenyi Biotech)を介して精製した。製造業者の指示書に従い、RNAを、microRNA KIT(Qiagen)により精製した。RNAからのcDNAは、SuperScript First−Strand Synthesis System(Invitrogen)により作り出した。各遺伝子のCT(閾値サイクル)値は、式:相対CT=1.8
(Avg CT Ubi − CT Gene)×100,000[式中、Avg CT Ubiは、ハウスキーピング遺伝子についての3連ランの平均CTであり、Avg CT Geneは、対象の遺伝子についての2連ランの平均CTであり、100,000は、全ての値が1を超えるようにするための係数として任意に選択される]を使用して、ハウスキーピング遺伝子であるユビキチンに照らして標準化した。GENBANK受託番号:NM_138636.4のヒトTLR8コード配列を、配列番号1:
として示す。
好中球が示したTLR8発現の最高レベルに、単球、mDC、およびCD4+T細胞によるTLR8発現レベルが続いた(例えば、好中球>>単球>mDC>CD4+T細胞)。pDCおよびCD8+T細胞では、感知可能なTLR8発現が検出されなかった。
(実施例2)
ヒト細胞およびマウス細胞においてRNAポリヌクレオチド(PN)を使用するTLR7およびTLR8の活性
PNベースのTLR7リガンド安定化免疫調節性RNA(5’−URCURCUUCUR−/グリセロール/−RUCUUCRUCRU−5’で、R=7−デアザグアノシンとし、以下「TLR7アゴニスト」と称し、配列番号2−/グリセロール/−配列番号117として示す)およびPNベースのTLR8リガンド安定化免疫調節性RNA(5’−M2UGCUGCUUGUG−/グリセロール/−GUGUUCGUCGUM2−5’で、M2=C6リンカーとし、以下ORN8Lまたは「TLR8アゴニスト」と称し、配列番号3−/グリセロール/−配列番号118として示す)については、既に記載されている(Lanら、PNAS、104巻:13750〜13755頁、2007年)。TLR7刺激性RNA PNおよびTLR8刺激性RNA PNの効果は、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)およびヒト単球におけるIL−6およびTNF−αの産生を測定することにより査定した。ヒト健常ドナー由来の約5×105個のPBMCまたは2×105個の単球を、20μg/mL、100μg/mL、または200μg/mLのTLR8アゴニストまたはTLR7アゴニストで刺激した。24時間後、上清を、標準的なELISA手順により、炎症性サイトカインであるIL−6およびTNF−αについて評価した。TLR7およびTLR8アゴニストは、PBMC内のIL−6およびTNF−αの産生を刺激し、単球内のIL−6およびTNF−αの産生をより低度に刺激した。
TLR7刺激性RNA PNおよびTLR8刺激性RNA PNの効果はまた、TLR8陰性であるヒトpDCにおいて、IL−6、TNF−α、およびIFN−αの産生を測定することによっても査定した。ヒト健常ドナー由来の約1×105個のpDCを、100μg/mLのTLR8アゴニストもしくはTLR7アゴニスト(Lanら、PNAS、104巻:13750〜13755頁、2007年)または培地単独で刺激した。24時間後、標準的なELISA手順により、上清を、炎症性サイトカインであるIL−6、TNF−αおよびIFN−αについて評価した。TLR7アゴニストは、ヒトpDCによるIL−6、TNF−α、およびIFN−αの産生を刺激したが、TLR8アゴニストはこれを刺激しなかった。したがって、TLR8アゴニストは、TLR8に特異的である。
TLR7刺激性RNA PNおよびTLR8刺激性RNA PNの効果は、マウス細胞においても、IL−12およびTNF−αの産生を測定することによりさらに査定した。マウス脾臓細胞およびPBMCを、129S2/SvPasCrl野生型マウス(Charles River Laboratories、Wilmington、MA)およびTLR7KOマウスから調製した。約5×105個の細胞を、100μg/mlのTLR8アゴニストまたはTLR7アゴニストで刺激した。IL−12およびTNF−αは、標準的な技法を使用して、ELISAで測定した。TLR7アゴニストは、マウス脾臓細胞およびマウスPBMCによるIL−12およびTNF−αの産生を刺激したが、TLR8アゴニストはこれを刺激しなかった。
(実施例3)
TLR7特異的阻害、TLR8特異的阻害、およびTLR9特異的阻害についてのスクリーニングアッセイ
以下のTLR7特異的スクリーニングアッセイ、TLR8特異的スクリーニングアッセイ、およびTLR9特異的スクリーニングアッセイを使用して、被験ポリヌクレオチド(PN)の阻害活性を査定した。最小で3例のドナーからの平均結果を、サイトカインレベルまたは阻害%として報告した。阻害パーセントは、
[1−(Ri/Ro)]×100%[式中、Ri=被験PN+刺激剤のサイトカインレベルであり、Ro=刺激剤だけのサイトカインレベルである]
として計算した。
十分な滴定点を伴うアッセイのためには一般に、GraphPad Prizm 5ソフトウェアを使用して、最小で約10−3の桁数のIC50値(50%阻害濃度)を計算した。これらのアッセイでは初代細胞を使用するため、刺激のために使用されるアゴニストおよびTLR阻害剤の両方に応じて、ドナーにある程度の変化をもたせた。したがって、アッセイ間の定性的比較は、異なるドナーを使用して行ったが、定量的比較は、同じドナーのセットで試験するPNだけについて行った。
ヒト形質細胞系樹状細胞(PDC)におけるTLR7特異的阻害についてのスクリーニングアッセイ
インフルエンザウイルス株PR/8(ATCC)で刺激されたヒトPDCは、IFN−αを産生することにより応答する。この応答は、TLR7シグナル伝達に依存し、TLR8およびTLR9には依存しない。
ヒトPDCは、製造業者の指示書に従い、Melteni Biotec(カタログ番号130−090−532)製の陽性選択キットを使用して単離した。初代ヒトPDC(ウェル1つ当たり3〜5×104個の細胞)を、単独であるか、または被験PNの存在下にある、完全培地中の感染多重度(MOI)を2とする熱不活化インフルエンザで、37℃で18〜24時間にわたり刺激した。被験ポリヌクレオチドの濃度は、0.002μM〜1μMの範囲としたが、全ての濃度を全ての実験で使用したわけではなかった。18〜24時間後、上清を回収し、IFN−α産生をELISAで測定した。
ヒト単球におけるTLR8特異的阻害についてのスクリーニングアッセイ
TLR8特異的アゴニストであるORN8Lで刺激されたヒト単球は、TNF−α、IL−1β、およびIL−6を産生することにより応答する。この応答は、TLR8シグナル伝達に依存し、TLR7およびTLR9には依存しない。
ヒト単球は、製造業者の指示書に従い、Stem Cell(カタログ番号14068)製の陰性枯渇キットを使用して単離した。初代ヒト単球(ウェル1つ当たり5×105個の細胞)を、単独であるか、または被験PNの存在下にある、完全培地中に150μg/mLのORN8Lで、37℃で16〜18時間にわたり刺激した。被験ポリヌクレオチドの濃度は、0.002μM〜1μMの範囲としたが、全ての濃度を全ての実験で使用したわけではなかった。16〜18時間後、上清を回収し、TNF−α、IL−1β、およびIL−6のレベルを、ELISAで測定した。TNF−αレベル、IL−1βレベル、およびIL−6レベルを測定することから決定されたPNの阻害性応答は同じ傾向を示したので、各実験について全てのサイトカインを測定したわけではなかった。
ヒトB細胞およびヒトPDCにおけるTLR9特異的阻害についてのスクリーニングアッセイ
TLR9特異的阻害についてのスクリーニングアッセイを、ヒトB細胞、ヒトPDC、またはこれらの両方において実施した。CpG含有免疫刺激性配列(ISS)で刺激されたヒトB細胞は、IL−6を産生することにより応答する。この応答は、TLR9シグナル伝達に依存し、TLR7およびTLR8には依存しない。CpG含有免疫刺激性配列(ISS)で刺激されたヒトPDCは、IFN−αを産生することにより応答する。この応答は、TLR9シグナル伝達に依存し、TLR7およびTLR8には依存しない。
ヒトB細胞は、製造業者の指示書に従い、Miltenyi Biotec(カタログ番号130−050−301)製の陽性選択キットを使用して単離した。初代ヒトB細胞(ウェル1つ当たり2×105個の細胞)を、単独であるか、または被験PNの存在下にある、完全培地中に1μMのTLR9L CpG−ISS 1018(配列番号4として示される5’−TGA CTG TGA ACG TTC GAG ATG A−3’)で、37℃で40〜48時間にわたり刺激した。被験ポリヌクレオチドの濃度は、0.03μM〜2μMの範囲としたが、全ての濃度を全ての実験で使用したわけではなかった。40〜48時間後、上清を回収し、IL−6産生をELISAで測定した。
ヒトPDCは、製造業者の指示書に従い、Melteni Biotec(カタログ番号130〜090〜532)製の陽性選択キットを使用して単離した。初代ヒトPDC(ウェル1つ当たり3〜5×104個の細胞)を、単独であるか、または被験PNの存在下にある、完全培地中に0.5μMのTLR9L CpG−ISS C274(配列番号5として示される5’−TCG TCG AAC GTT CGA GAT GAT−3’)で、37℃で18〜24時間にわたり刺激した。被験ポリヌクレオチドの濃度は、0.002μM〜1μMの範囲としたが、全ての濃度を全ての実験で使用したわけではなかった。18〜24時間後、上清を回収し、IFN−α産生をELISAで測定した。
(実施例4)
ポリヌクレオチド(PN)配列
表4−1は、本開示を通して言及されるPNの配列を示す。大文字は、2’−デオキシリボヌクレオチド(DNA)を表し、小文字は、2’−O−メチルリボヌクレオチド(2’−OMe−RNA)を表す。別段に言及されない限りにおいて、ヌクレオチド間連結は全て、ホスホロチオエートであった。PNは、TriLink Biotechnologies(San Diego、CA)による標準的な固相DNA合成手順を使用して合成した。「I」は、2’−デオキシイノシンを表す。
(実施例5)
TLR7阻害剤は、TLR8を必ずしも阻害するわけではない
公知のTLR7阻害剤を、実施例3で記載したTLR7特異的阻害アッセイおよびTLR8特異的阻害アッセイにおいて試験した。予測される通り、MOIを2とする不活化インフルエンザウイルスで刺激されたPDCでは、30nMの濃度のC954、DV197、およびDV134の全てが、TLR7に媒介されるIFN−α産生の良好な阻害を示した(図1Aおよび図1B)。しかし、ORN8Lで刺激された単球では、DV197だけが、TLR8に媒介されるTNF−α産生およびIL−1β産生の良好な阻害を示した(図2Aおよび図2B)。既に、5’−TGCおよび5’−ugcは、TLR7/8阻害性モチーフであることが報告されていた(例えば、米国公開第2007/0238678号;および米国公開第2011/0003885号を参照されたい)。加えて、3’−GTおよび3’−gu[配列中、Gは、グアニンまたは7−デアザグアノシンである]も、TLR8阻害性モチーフであることが既に報告されていた(例えば、米国公開第2005/0239733号を参照されたい)。したがって、本開示の展開において、これらの推定TLR8モチーフが、TLR8を阻害するのに十分ではないことは、驚くべきことであった。とりわけ、DV197は、PNの3’末端において、3’−GIを含有するが、C954、DV134、およびDVX10は、これを含有しない。したがって、本明細書で裏付けられる通り、3’−GTおよび3’−guは、TLR8を阻害するのに十分ではない。加えて、DV197、C954、DV134、およびDVX10はいずれも5’−TGCまたは5’−ugcを含有するが、強力なTLR8阻害剤はDV197だけである(図3Aおよび図3B)。したがって、本明細書で裏付けられる通り、5’−TGCまたは5’−ugcは、TLR8を阻害するのに十分ではない。
(実施例6)
DV197は、in vivoのヒトTLR8トランスジェニックマウスにおいて、TLR8活性化を阻害する
ヒトTLR8トランスジェニックマウスを、既に記載されている(国際出願第PCT/US2012/031307号)通りに作り出した。1〜2コピーのhTLR8をゲノムへと組み込んだクローン8のキメラマウスは、交配および生殖細胞系列の伝達が可能であった。したがって、TLR8Tgクローン8マウスを、さらなる研究に使用した。
TLR8Tgクローン8マウスに、単独で、または皮下投与されるDV197(100mcg)と組み合わせて、300mcgのORN8L(TLR8アゴニスト)を静脈内注射した。6時間後、マウスから採血し、IL−12を、ELISAで測定した。図4に示される通り、DV197は、in vivoにおいてTLR8活性化を阻害することが可能である。
(実施例7)
3’−ヌクレオチドの同一性は、TLR8阻害活性に重要である
3’末端において、Iの代わりに、A、T、G、またはCを含有するDV197類似体(それぞれ、DVX1、DVX2、DVX3、およびDVX4)を、実施例3で記載したTLR8特異的阻害アッセイにおいて試験した。図5に示される通り、3’−ヌクレオチドは、TLR8阻害活性に極めて重要であり、3’−Iまたは3’−Aが最も活性である。また、3’末端において、DV197のようなGAGIの代わりに、GGGIを含有するDVX5も、TLR8阻害活性を保持した(0.75μMにおいて約90%の阻害)。
(実施例8)
DNA PNおよびキメラ2’−O−メチルRNA/DNA PNは、TLR8阻害活性を有する
5’末端において、異なる量の2’−O−メチルRNA修飾を含有するDV197類似体(DVX6、DVX7、DVX8、DVX9、DVX24、DVX25、およびDVX26)を、実施例3で記載したTLR8特異的阻害アッセイにおいて試験した。図6および図7に示される通り、DNAヌクレオチドだけを含有するDVX8およびDVX26は、2’−O−メチルRNAがTLR8阻害活性に要求されないことを示す。加えて、DVX25における2’−O−メチルRNAに対する完全な修飾は、TLR8阻害活性を低減するが、キメラ2’−O−メチルRNA/DNA PNも、TLR8阻害活性を有する。
(実施例9)
3’末端への付加および3’末端からの欠失の、TLR8阻害活性に対する効果
1つ、2つ、もしくは3つのチミジン(T)ヌクレオチドを3’末端へと付加したDV197類似体(それぞれ、DVX11、DVX12、およびDVX13)、または1つ、2つ、もしくは3つのヌクレオチドを3’末端から欠失させたDV197類似体(DVX14、DVX15、およびDVX16)を、実施例3で記載したTLR8特異的阻害アッセイにおいて試験した。図8に示される通り、TLR8阻害活性をほとんど喪失させずに、1つのヌクレオチドを3’末端へと付加することができる。さらに、欠失シリーズも、3’−Aが、TLR8阻害活性に、3’−Gを凌いで好ましいことを裏付ける(図8)。これらの結果により、3’末端がTLR8阻害活性に重要であることが確認される。
(実施例10)
TLR8阻害性モチーフの規定
さらなるPNをデザインして、最小限のTLR8阻害性モチーフおよびポリヌクレオチド長を規定するほか、最適のTLR8阻害性配列を同定した。新たなPNを、実施例3で記載したTLR8特異的阻害アッセイにおいて試験した。結果を表10−1にまとめる。
DV197配列またはDVX8配列において、GをIで置きかえる結果として、TLR8阻害活性が同様であるかまたはTLR8阻害活性を増大させたPNがもたらされた。他方、DVX8配列内のA、C、またはTを置きかえたPNは、不活性であった(図10および表10−1;実験A)。
5’−TGCの代わりに、5’−TIC、5’−TAC、5’−TTC、または5’−TCCを含有するDVX26類似体はいずれも、同様のTLR8阻害活性を示したことから、5’−TGCは、TLR8の阻害に要求されないことが確認される。また、これらの結果により、PNの5’末端が、TLR8阻害活性に重要ではないことも確認された(表10−1;実験B)。
加えて、表10−1の実験C〜Gにより、3’末端における4つのヌクレオチドの、TLR8阻害活性に対する重要性を査定した。これらの結果を、本開示の展開においてなされた前出の観察と組み合わせることにより、3’末端においてII、IA、GI、またはGAを伴うPNは、良好なTLR8阻害活性を有したことが示される。
表10−1の実験H〜Jにより、PNの3’末端におけるIIを維持しながら、ヌクレオチドの中央部の、TLR8阻害活性に対する重要性を査定した。これらの実験における全ての被験PNは、TLR8阻害活性を有した。
表10−1の実験Kにより、PNがTLR8阻害活性を維持するための最小限の長さを査定した。DVX61は、3’末端においてIIを含有する6マーであり、良好なTLR8阻害活性を示した。
表10−1の実験L、N、およびOにより、3’末端においてIIを含有する、様々な18マー〜21マーのTLR8阻害活性を査定した。この実験における全ての被験PNは、良好なTLR8阻害活性を有した。しかし、いくつかの差異も観察されたことから、PN内の他のヌクレオチドが、TLR8阻害活性に効果を及ぼす場合もあることが指し示される。加えて、PNが、in vivoにおいて、3’−エクソヌクレアーゼにより分解されると、TLR8阻害性モチーフが再生するように、DVX86、DVX96、DVX97、DVX98、DVX99、DVX100、およびDVX101もデザインした。例えば、これらのPNの各々は、3’末端において、5’−IIAII−3’という配列を有する。3’−エクソヌクレアーゼにより逐次的な分解がなされれば、PNの3’末端において、以下の配列:5’−IIAI−3’、5’−IIA−3’、および5’−II−3’が残されるであろう。これらのうち、5’−IIAI−3’を除く全ては、TLR8阻害性モチーフである。in vivoにおいて、3’−エクソヌクレアーゼにより分解されると、TLR8阻害性モチーフを再生させるようにデザインされたPNのTLR8阻害の半減期は、単一のTLR8阻害性モチーフだけを含有するPNの半減期より長いことが予測される。
表10−1の実験PおよびQにより、TLR8阻害性モチーフを含有する、さらなるポリヌクレオチドのTLR8阻害活性を査定した。DVX102、DVX103、DVX104、DVX105、DVX106、DVX107、DVX108、およびDVX109はいずれも、良好なTLR8阻害活性を示した。
(実施例11)
TLR7だけの阻害活性を伴うポリヌクレオチド、TLR8だけの阻害活性を伴うポリヌクレオチド、またはTLR7/8の阻害活性を伴うポリヌクレオチド
本開示の展開において決定される通り、TLR7阻害性モチーフとTLR8阻害性モチーフとは異なる。したがって、PNは、固有のモチーフを組み入れたり除外したりすることにより、TLR7だけの阻害活性、TLR8だけの阻害活性、またはTLR7/8の阻害活性を有するようにデザインすることができる。これを裏付けるため、実施例3で記載したTLR7特異的アッセイおよびTLR8特異的阻害性アッセイにおいて、TLR7モチーフだけを含有するPN、TLR8モチーフだけを含有するPN、またはTLR7モチーフおよびTLR8モチーフの両方を含有するPNを試験した。
実施例5で記載した通り、C954およびDV134は、TLR7阻害性モチーフは含有するが、TLR8阻害性モチーフは含有せず、TLR7阻害活性だけを有する。表10−1の実験Mおよび図9は、DVX89、DVX90、およびDVX92は、TLR7阻害活性およびTLR8阻害活性を有するが、DVX91およびDVX93は、TLR8阻害活性だけを有することを示す。同様に、表10−1の実験AおよびBならびに図10は、DVX35は、TLR7阻害活性およびTLR8阻害活性は有するが、DVX42は、TLR8阻害活性だけを有することも示す。DVX89、DVX90、DVX91、DVX92、DVX93、DVX35、およびDVX42のいずれも、TLR8阻害性モチーフ(3’末端におけるIIまたはGI)を含有したため、TLR8阻害活性の保持が予測された。これに対し、5’−TICおよび5’−TTCは、TLR7阻害性モチーフであることが見出された。前出の研究では、5’−TGCは、TLR7阻害性モチーフとして記載されたが、5’−TICまたは5’−TTCはTLR7阻害性モチーフとして記載されなかったため、後者の観察は驚くべきことである。本開示の展開では、非特異的TLR7/8アゴニストであるR848で刺激されたマウス脾臓細胞とは対照的に、部分的には、選択的TLR7アゴニスト(インフルエンザウイルス)で刺激されたヒトPBMCの使用を介して、2つの新たなTLR7阻害性モチーフについての記載が可能となった。これは、ヒトTLR8を発現させる細胞においてTLR8阻害剤について試験することの重要性を強調する。
他の多くのPNの中でも、DV197およびDVX81など、TLR7阻害性モチーフおよびTLR8阻害性モチーフの両方を含有するさらなるPNはまた、TLR7/8阻害活性を有することも示された(図1A、1B、2A、2B、11、21、22、および23、ならびに表10−1の実験L、N、O、およびP)。TLR7阻害性アッセイにおけるDVX81のIC50は、12nMであり、TLR8特異的阻害アッセイにおけるIC50はそれぞれ、26nM(TNFα)および58nM(IL−1β)であった。さらなる例示的なTLR7/8阻害剤は、表10−1の実験Pおよび図23に示される通り、5’-TIC TCC TTG AGI AII-’ (DVX103; 配列番号108); 5’-TIC TCC TCC TTG AGI AII-’(DVX104、配列番号109); 5’-TIC TTC TCC TTG AGI AII-’(DVX105、配列番号110);および 5’-TIC TCC TCC TTG IIA II-’(DVX106、配列番号111)である。
さらなる例示的なTLR8だけの阻害剤は、表10−1の実験Pおよび図22に示される通り、5’-TCC TCC TTG AGI AII -’ (DVX102; 配列番号107)である。
TLR7/8阻害性応答の選択性は、実施例3に記載されている通り、B細胞を使用するTLR9特異的阻害性アッセイにおいて、DVX81を査定することにより裏付けられた。DVX81は、TLR9阻害性モチーフを含有しない。TLR7阻害性モチーフおよびTLR9阻害性モチーフを含有するC954を、陽性対照として使用した。図12に示される通り、DVX81は、TLR9を阻害しない。
(実施例12)
TLR8/9阻害活性を伴うポリヌクレオチドまたはTLR7/8/9阻害活性を伴うポリヌクレオチド
TLR7阻害性モチーフと、TLR8阻害性モチーフと、TLR9阻害性モチーフとは異なるので、PNはまた、固有のモチーフを組み入れたり除外したりすることにより、TLR8/9阻害活性またはTLR7/8/9阻害活性を有するようにもデザインすることができる。これを裏付けるため、TLR8モチーフおよびTLR9モチーフを含有するPNを、実施例3で記載したTLR8特異的阻害性アッセイおよびTLR9特異的阻害性アッセイにおいて試験した。加えて、TLR7モチーフ、TLR8モチーフ、およびTLR9モチーフを含有するPNまた、TLR7特異的阻害性アッセイ、TLR8特異的阻害性アッセイ、およびTLR9特異的阻害性アッセイにおいて試験した。例示的なTLR8/9阻害剤は、5’-TAC TCC TTG GII-’ (配列番号81);および5’-TCC TGG AGG GGT TIA II-3 (配列番号112)である。例示的なTLR7/8/9阻害剤は、5’-ugc TGC TCC TTG GGI-’ (配列番号14); 5’-TIC TCC TTI GII-’ (配列番号66); 5’-TGC TCC TGG AGG GGT TIA II-’ (配列番号113); 5’-TIC TCC TCC TTG GGI AII-’ (配列番号114);および5’-TIC TTC TCC TTG GGI AII-’ (配列番号115)である。
DVX107(配列番号112)は、TLR8/9阻害剤としてデザインし、DVX108(配列番号113)は、TLR7/8/9阻害剤としてデザインした。PNを、実施例3で記載したTLR8特異的阻害性アッセイおよびTLR9特異的阻害性アッセイにおいて試験した。表10−1の実験Qにおける結果は、いずれのPNもTLR8を阻害することを示す。図37における結果は、DVX107およびDVX108がまた、TLR9も阻害することを示す。さらに、DVX108は、TLR7を阻害することが公知の5’−TGCモチーフ(実施例11を参照されたい)も含有する。
(実施例13)
健常PBMCのRA患者の血漿による刺激は、TLR7/8依存性に依存する
3例の健常ドナー由来の約7×105個のPBMC細胞を、200μLの培地中、1マイクロモルの濃度のTLR阻害剤の非存在下または存在下で、3例の関節リウマチ(RA)患者由来の血漿30μL、または3例の正常個体由来の血漿30μLと共にインキュベートした。上清をELISAにより、16〜18時間後におけるIL−8濃度について査定した。被験阻害剤は、DV197(TLR7/8阻害剤)およびDVX42(TLR8だけの阻害剤)であった。
図13に示される通り、RA患者由来の血漿は、IL−8を刺激するが、正常個体由来の血漿は、IL−8を刺激しない。RA患者の血漿によるIL−8の刺激は、DV197およびDVX42の両方により阻害された。TLR7阻害性モチーフおよびTLR8阻害性モチーフの両方を含有するDV197は、DVX42より高度にIL−8分泌を阻害した。これらの結果は、健常PBMCの、RA患者の血漿による刺激が、TLR7およびTLR8の両方に依存することを裏付ける。
第2の研究は、8例の個別のRA患者由来の血漿を刺激のために使用し、DVX81(TLR7/8阻害剤)を、阻害剤として使用することを除き、上記で記載した通りに実施した。結果は、平均し、ウィルコクソンマッチドペアt検定を使用してP値を決定した。図14に示される通り、TLR7/8二重阻害剤であるDVX81は、RA血漿で刺激されたPBMCによるIL−8分泌を阻害する。健常患者の血漿は、IL−8を刺激しなかった(データは示さない)。
(実施例14)
RA患者由来のSFによるヒト単球の刺激は、TLR7/8に依存する
無傷CD14+単球は、製造業者の指示書に従い、陰性選択キット(Stem Cell、カタログ番号14068)を使用して、バフィーコートから単離した。純度は日常的に、98%を超えた。約3×105個の細胞を、完全培地(RPMI、10%FBS)中、単独であるか、またはDV197(1μM)と組み合わせた、関節リウマチ(RA)患者由来の15%滑液(SF)の存在下でインキュベートした。滑液は、ProteoGenex(Culver City、CA)から得た。14〜16時間後、上清を、Milliplex(Millipore)により、サイトカインレベルについてアッセイした。データは、滑液単独のサイトカインレベルパーセントとして表し、各サイトカインの平均レベルを、SFバーの上方に指し示す。データは、少なくとも3例の独立の健常単球ドナーについて試験した、7例の滑液による累積データである。P値は、ウィルコクソンマッチドペア符号順位検定を使用して決定した。
図15に示される通り、RA患者由来のSFは、G−CSF、IL−1β、IL−6、IP−10、TNF−α、およびVEGFの産生を刺激し、SFで刺激されたサイトカイン産生は、TLR7/8阻害剤であるDV197により阻害することができる。
(実施例15)
DVX81は、in vivoのヒトTLR8トランスジェニックマウスにおいて、TLR8活性化を阻害する
in vivoのDVX81の活性は、hTLR8Tgクローン8マウスにおいて査定した。hTLR8Tgクローン8マウスに、静脈内で施される220mcgのORN8Lを、単独で、またはこれもまた静脈内で施されるDVX81(100mcg)との組合せで注射した。TLR8に媒介されるIL−12誘導に対する効果は、2時間後または一晩後(O/N)において、ELISAで測定した。図16に示される通り、DVX81は、in vivoにおいてTLR8活性化を阻害することが可能である。
(実施例16)
ポリヌクレオチドの存在下で培養されたヒトB細胞
ポリヌクレオチドの、非特異的ヒトB細胞活性に対する効果は、IL−6についてアッセイすることにより決定した。ホスホロチオエート修飾オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート連結に起因して、in vitroにおける何らかのヒトB細胞応答を誘導するが、霊長動物におけるin vivoのB細胞活性化の証拠は示されていない。
ヒトB細胞アッセイのために、磁気ビーズ(CD19陽性)を使用して、B細胞を、健常ドナーから得られる血液細胞から精製した。細胞は、新鮮な培地(10%のウシ胎仔血清、50単位/mLのペニシリン、50μg/mLのストレプトマイシン、および2mMのグルタミンを伴うRPMI1640)中に再懸濁させた。次いで、細胞を、0.015μM〜4.0μMの表示のポリヌクレオチドと共にインキュベートした。48時間後、上清を回収し、IL−6を、免疫アッセイにより測定した。被験ポリヌクレオチドは、C954、DV185、DVX81、DVX82、DVX98、DVX99、DVX42、DVX102、およびDVX103であった。C954は、低レベルのIL−6を刺激することが公知であるが、DV185は、高レベルのIL−6を刺激することが公知である。各ポリヌクレオチドにより誘導されるIL−6の量を、C954により誘導されるIL−6の量で割って、C954と比べたIL−6誘導の大きさを決定した。
図17、図18、および図19は、異なるポリヌクレオチドが、ヒトB細胞によるある範囲のIL−6応答を誘導することを示す。予測される通り、DV185は、C954より著明に多くのIL−6を誘導した。驚くべきことに、DVX82は、同じTLR7/8モチーフ、ホスホロチオエートヌクレオチド間連結、および多数のヌクレオチドを有するにもかかわらず、DVX81より著明に少ないIL−6を誘導した。DVX82、DVX98、DVX99、DVX42、DVX102、およびDVX103は、ヒトB細胞による低レベルのIL−6を誘導した。TLR7、TLR8および/またはTLR9により媒介される応答を阻害するための組成物内に組み入れ、自己免疫疾患または炎症性障害を処置または防止するための医薬内に組み入れるには、ヒトB細胞を最小限に活性化させるだけのポリヌクレオチドが好ましい。
(実施例17)
ポリヌクレオチドの存在下で培養されたラット脾臓細胞
8〜9週齢の雌Sprague Dawleyラット由来の脾臓細胞を採取し、消化された断片を、金属製の篩を通して押し出すことにより、機械的に分散させた。分散させた脾臓細胞は、遠心分離によりペレット化し、次いで、新鮮な培地(10%のウシ胎仔血清に、50単位/mLのペニシリン、50μg/mLのストレプトマイシン、2mMのグルタミン、および0.05mMのβ−メルカプトエタノールを加えたRPMI1640)中に再懸濁させた。次いで、細胞を、0.06μM〜4.0μMの多様なポリヌクレオチドと共にインキュベートした。48時間後、上清を回収し、IL−6を、免疫アッセイにより測定した。被験ポリヌクレオチドは、C954、DV185、DVX81、およびDVX82であった。C954は、低レベルのIL−6を刺激することが公知であるが、DV185は、高レベルのIL−6を刺激することが公知である。各ポリヌクレオチドにより誘導されるIL−6の量を、C954により誘導されるIL−6の量で割って、C954と比べたIL−6誘導の大きさを決定した。
図20は、異なるポリヌクレオチドが、ラット脾臓細胞によるある範囲のIL−6応答を誘導することを示す。ラット脾臓細胞を使用して得られた結果は、ヒトB細胞を使用して得られた結果と矛盾しなかった。TLR7により媒介される応答、TLR8により媒介される応答、および/またはTLR9により媒介される応答を阻害するための組成物内に組み入れ、自己免疫疾患または炎症性障害を処置または防止するための医薬内に組み入れるには、ラット脾臓細胞を最小限に活性化させるだけのポリヌクレオチドが好ましい。
(実施例18)
TLR7阻害性モチーフを伴うポリヌクレオチドは、マウスにおいて、in vivoの、TLR7に媒介される免疫応答を阻害する
129S2/SvPasCrlマウスに、静脈内で施される250mcgのORN7リガンド(TLR7アゴニスト)を、単独で、または皮下で施されるC954、DVX82、DVX98、またはDVX99(100mcg)との組合せで注射した。2時間後、マウスから採血し、IL−12を、ELISAで測定した。図24に示される通り、C954、DVX82、DVX98、およびDVX99は、in vivoにおいて、TLR7に媒介されるIL−12誘導を阻害することが可能である。
同様に、129S2/SvPasCrlマウスに、静脈内で施される250mcgのORN7リガンド(TLR7アゴニスト)を、単独で、または皮下で施されるDVX103、DVX104、またはDVX99(100mcg)との組合せで注射した。6時間後、マウスから採血し、IL−12を、ELISAで測定した。図25に示される通り、DVX103、DVX104、およびDVX99は、in vivoにおいて、TLR7に媒介されるIL−12誘導を阻害することが可能である。
(実施例19)
TLR阻害性モチーフを伴うポリヌクレオチドは、オフターゲット効果を呈示しない
ポリヌクレオチドであるDVX36(TLR7モチーフ、TLR8モチーフ、またはTLR9モチーフを伴わない)、DVX98(TLR7/8モチーフを伴う)、DVX102(TLR8モチーフを伴う)、DVX103(TLR7/8モチーフを伴う)、およびC954(TLR7/9モチーフを伴う)を、オフターゲット効果について試験した。ヒトPBMCは、FICOLL(登録商標)法を使用して、健常ドナーから得られる全血液細胞から単離した。細胞は、新鮮な培地(10%のウシ胎仔血清、50単位/mLのペニシリン、50μg/mLのストレプトマイシン、および2mMのグルタミンを伴うRPMI1640)中に再懸濁させた。
ポリヌクレオチドの、TLR4シグナル伝達に対する効果について試験するために、ヒトPBMCを、単独であるか、または対象の1μMもしくは4μMのポリヌクレオチドと組み合わせた、5μg/mlのリポ多糖(LPS)で刺激した。24時間後、上清を回収し、IL−6を、免疫アッセイにより測定した。DVX36、DVX98、DVX102、DVX103、およびC954は、LPSにより刺激された、TLR4に媒介されるIL−6産生を阻害しなかった。
ポリヌクレオチドの、TLR2/1シグナル伝達に対する効果について試験するために、ヒトPBMCを、単独であるか、または対象の1μMもしくは4μMのポリヌクレオチドと組み合わせた、0.1μg/mlのPAM3CSK4(合成トリアシル化リポタンパク質)で刺激した。24時間後、上清を回収し、IL−6を、免疫アッセイにより測定した。DVX36、DVX98、DVX102、DVX103、およびC954は、PAM3CSK4により刺激された、TLR2/1に媒介されるIL−6産生を阻害しなかった。
ポリヌクレオチドの、TLR5シグナル伝達に対する効果について試験するために、ヒトPBMCを、単独であるか、または対象の1μMもしくは4μMのポリヌクレオチドと組み合わせた、1μg/mlのフラジェリンで刺激した。24時間後、上清を回収し、IL−6を、免疫アッセイにより測定した。DVX36、DVX98、DVX102、DVX103、およびC954は、フラジェリンにより刺激された、TLR5に媒介されるIL−6産生を阻害しなかった。
ポリヌクレオチドの、レチノイン酸誘導性遺伝子1(RIG−I:retinoic acid−inducible gene 1)に対する効果について試験するために、3×105個の単球を、単独であるか、または対象の1μMもしくは4μMのポリヌクレオチドと組み合わせた、希釈率1〜100倍のセンダイウイルス(SeV:Sendai virus)で刺激した。24時間後、上清を回収し、IFN−αを、免疫アッセイにより測定した。DVX36、DVX98、DVX102、DVX103、およびC954は、SeVにより刺激された、RIG−Iに媒介されるIFN−α産生を阻害しなかった。
(実施例20)
高投与量のポリヌクレオチドの、マウスへの投与
高投与量(100mg/kg)のポリヌクレオチド(C954、DVX82、DVX98、DVX99、DVX102、およびDVX103)または対照(食塩水)を、BALB/cマウス(1群当たりのn=6)へと、毎週2回2週間にわたり皮下投与した。ポリヌクレオチドは、2、5、9、および12日目に投与した。図26Aおよび図26Bに指し示される通り、投与前(0日目)およびそれ以後にマウスの体重を量った。研究の終了時に臓器を摘出し、臓器重量を決定した。加えて、C954で処置されるマウス、DVX99で処置されるマウス、およびDVX103で処置されるマウスについて、腎臓の組織学的査定も実施した。
研究期間において、DVX102、DVX103、またはC954で処置されたマウスが、体重の変化を示さないか、または体重のわずかな増大を示したのに対し、DVX82、DVX98、またはDVX99で処置されたマウスは、体重の著明な減少を示した(図26)。研究の終了時において、C954、DVX102、またはDVX103で処置されたマウスが、正常の外見を呈したのに対し、DVX82、DVX98、またはDVX99で処置されたマウスは、わずかにやせた外見を呈し、DVX98で処置されたマウスが最悪の効果を示した。群の全てのマウスの臓器重量が増大したわけではなく、DVX82、DVX98、またはDVX99で処置されたマウスの肝臓および腎臓は、正常より減衰していた。15日目における、1日目と比較した、腎尿細管の変化および体重変化パーセントについての重症度スコアの概要を、C954で処置されるマウス、DVX99で処置されるマウス、およびDVX103で処置されるマウスについて表20−1に示す。全ての被験動物において、主に被膜下領域内の尿細管の変化であって、細胞質の空胞化;尿細管腔内のアモルファスの好酸性物質の存在;罹患細胞の、わずかな着色変化を伴う、核のわずかな肥大からなる変化を特徴とする腎臓の変化が注目された。尿細管の変化は、食塩水を施されたマウスでは最小限(1.0)であり、他の全ての群では、わずかに増大した。
(実施例21)
高投与量のポリヌクレオチドの、ラットへの投与
85mg/kgもしくは25mg/kgの投与量のポリヌクレオチド(C954、DVX103、またはDVX104)、または対照(食塩水)を、8〜9週齢の雌Sprague Dawleyラット(1群当たりn=5)へと、0、4、7、および11日目に皮下投与した。図27Aおよび図27Bに指し示される通り、0日目の投与前およびそれ以後にラットの体重を量った。研究の終了時に臓器を摘出し、臓器重量を決定した。加えて、肝臓、腎臓、および心臓の組織学的査定も実施した。
25mg/kgのC954、DVX103、もしくはDVX104、または85mg/kgのC954、または食塩水で処置されたラットについて、体重の増大が観察された。85mg/kgのDVX103またはDV104で処置されたラットは、全体的な体重の変化を示さなかった。これは、90mg/kgのDV185で処置されたラットにおいて観察された体重の著明な減少(図28)と対照的である。25mg/kgまたは85mg/kgのC954、DVX103、またはDVX104で処置されたマウスの肝臓、腎臓、脾臓、または心臓の臓器重量に著明な差異は認められなかった。
肝臓、腎臓、および心臓についての組織学的査定の概要を、表21−1に示す。臓器についての組織病理学的解析により、腎臓が標的臓器として確認された。大半の群で、軽度の尿細管の変化が評定された。最高用量のC954は、軽度の変化(重症度スコア2)を履歴的に示した。
(実施例22)
TLR7/8阻害剤は、ヒトTLR8トランスジェニックマウスの膵臓における炎症性遺伝子の発現を減少させる
実施例6で記載したヒトTLR8Tgクローン8マウスは、膵臓において高レベルで発現する炎症性遺伝子により部分的に指し示される通り、膵炎を発症する。剖検時に膵臓を摘出し、製造業者の指示書に従い、Qiagen Midi Rneasy抽出キットにより、RNAを単離した。cDNAは、SuperScript First−Strand Synthesis System(Invitrogen)により、RNAから作り出し、TAQMANアッセイを使用して、遺伝子発現レベルを査定した。図29は、ヒトTLR8Tgクローン8マウス由来の膵臓における、hTLR8レベル、mIFN−γレベル、mTNF−αレベル、mIL−18レベル、mIL−12p40レベル、mIL−1αレベル、mMMP9レベル、およびmIP−10レベルの、野生型マウスと比べた上昇を、CTで示す。
70〜80日齢であるヒトTLR8Tgクローン8マウスに、2.2mg/kgのDVX82、DVX99またはPBSを、毎週2回5週間にわたり注射した。図29に示される通り、DVX82、およびDVX99はいずれも、ヒトTLR8Tgクローン8マウスの膵臓において発現する炎症性遺伝子のレベルを低下させることが可能であった。加えて、DVX82、またはDVX99で処置されたヒトTLR8Tgクローン8マウス由来の膵臓は、疾患スコアの、PBSで処置されたマウスと比べて軽減を示した(図30)。
第2の実験では、60〜67日齢であるヒトTLR8Tgクローン8マウスに、1mg/kgもしくは5mg/kgのDVX103、または食塩水を、毎週1回10週間にわたり注射した。図31は、ヒトTLR8Tgクローン8マウスの膵臓におけるmIFN−γ、mIL−1α、mIL−23、mIL−1β、mLT−α、mIL1−RA、mMMP−1、mMMP−9、mMMP−7、mMMP−10、hTLR8、mCD4、mCD8、およびmCD11βの、野生型マウスおよびDVX103による処置の後におけるヒトTLR8Tgクローン8マウスと比較した相対レベルを示す。図31に示される通り、DVX103は、ヒトTLR8Tgクローン8マウスの膵臓において発現する炎症性遺伝子のレベルを低下させることが可能であった。
(実施例23)
TLR7/8阻害剤は、ヒト単球において、抗LBPA抗体により誘導される炎症性サイトカインを減少させる
抗リン脂質抗体症候群(APS)は、カルジオリピン、β2−糖タンパク質1、およびエンドソーム脂質リゾビスホスファチジン酸(LBPA)などのリン脂質関連タンパク質を指向する抗体を含む抗リン脂質抗体を特徴とする。初代ヒト単球を、0.1μg/mL、0.5μg/mL、1μg/mLまたは5μg/mLの、市販されている抗LBPA抗体(クローン6C4;echelon)(Kobayashiら、Nature、392巻:193〜197頁、1998年)で刺激した。6時間後または一晩後(ON)において、上清を回収し、TNF−αおよびIL−6のレベルを、ELISAで測定した。図32Aおよび図32Bは、抗LBPA抗体が、ヒト単球による炎症性サイトカインであるTNF−αおよびIL−6の産生を誘導することを示す。
第2の実験では、初代ヒト単球を、単独であるか、または1マイクロモルのDVX82(例示的なTLR7/8阻害剤)と組み合わせた、1μg/mLのクローン6C4の抗LBPA抗体で刺激した。一晩にわたるインキュベーションの後、上清を回収し、TNF−α、およびIL−6のレベルを、ELISAで測定した。図33Aおよび図33Bは、ヒト単球において、DVX82抗LBPA抗体により誘導されるIL−6レベルおよびTNFレベルが低減されることを示す。これらの結果は、抗LBPA抗体の刺激が、TLR7/8に少なくとも部分的に依存することを示す。
(実施例24)
健常PBMCの、混合性結合組織病を有する患者由来の血清による刺激
混合性結合組織病(MCTD)を有する患者は、PDC内のTLR7および単球内のTLR8の強力な活性化因子である、高レベルのU1−RNP自己抗体を有する。(Kattahら、Immunol Rev、233巻:126〜145頁、2010年;およびVollmerら、J Exp Med、202巻:1575〜1585頁、2005年)。
健常ドナー由来の約7×105個のPBMC細胞または3×105個の単球を、200μLの培地中、TLR阻害剤の非存在下または存在下で、MCTDを有する患者由来の30μLの血清、または正常個体由来の血清と共にインキュベートする。上清は、ELISAにより、IFN−α濃度、TNF−α濃度、IL−6濃度、IL−1βおよび/またはIL−8濃度(複数可)について査定する。MCTD患者由来の血清が、サイトカイン産生を刺激するのに対し、正常個体由来の血清は、サイトカイン産生を刺激しないことが予測される。また、MCTD血清誘導性サイトカイン産生は、TLR7阻害剤および/またはTLR8阻害剤により阻害されることも予測される。
(実施例25)
健常PBMCの、シェーグレン症候群を有する患者由来の血漿または血清による刺激
シェーグレン症候群とは、外分泌腺における、進行性の単核細胞インフレーションを特徴とする慢性自己免疫疾患である。口渇(口内乾燥症)およびドライアイ(乾性角結膜炎)が、シェーグレン症候群患者に影響を及ぼす、主要な臓器関連臨床特徴である。シェーグレン症候群は、抗Ro/SSA抗体および抗La/SSB抗体など、RNP自己抗体の存在を特徴とする。シェーグレン症候群は、PDCによるTLR7の活性化、およびPDCの浸潤により産生されるI型IFNの増大と明らかに関連している(Baveら、Arthritis Rheum、2005年、52巻:1185〜95頁、2005年;およびGottenbergら、Proc Natl Acad Sci USA、103巻:2770〜5頁、2006年)。抗Ro/SSA自己抗体および抗La/SSB自己抗体はまた、TLR8も活性化させる。実のところ、TLR8はまた、これらの患者の唾液腺においても過剰発現する。
健常ドナー由来の約7×105個のPBMC細胞または3×105個の単球を、200μLの培地中、TLR阻害剤の非存在下または存在下で、シェーグレン症候群を有する患者由来の血漿もしくは血清または正常個体由来の血漿もしくは血清と共にインキュベートする。上清は、ELISAにより、IFN−α濃度、TNF−α濃度、IL−6濃度、および/またはIL−1β濃度、および/またはIL−8濃度について査定する。シェーグレン症候群を有する患者由来の血清が、サイトカイン産生を刺激するのに対し、正常個体由来の血清は、サイトカイン産生を刺激しないことが予測される。また、シェーグレン症候群関連サイトカイン産生は、TLR7阻害剤および/またはTLR8阻害剤により阻害されることも予測される。
(実施例26)
TLR阻害剤の、TLR8に媒介される唾液腺炎症、ならびに膵臓疾患、腎臓疾患、および関節疾患に対する効果の決定
ヒトTLR8Tgクローン12マウスは、高レベルのヒトTLR8を発現させ、自発性の重度の唾液腺炎症、ならびに膵臓疾患、腎臓疾患、および関節疾患を発症する。ヒトTLR8Tgクローン8は、低レベルのヒトTLR8を発現させ、やはり、自発性の膵臓炎症および唾液腺炎症を発症するが、他の臓器は、それほど影響を受けない。規定された処置スケジュールを使用して、ヒトTLR8Tgクローン12またはヒトTLR8Tgクローン8に、複数回用量のTLR7阻害剤および/もしくはTLR8阻害剤および/もしくはTLR9阻害剤またはPBSを注射する。唾液腺内、腎臓内、および/または関節内の炎症性遺伝子レベルは、TAQMANを使用して決定する。モニタリングされうる遺伝子は、IL-1β、IL-6、IL-10、TNF-α、IL1α、IL12p40、mTLR9、MAC1、TLR7、human TLR8、IP-10、MMP9、IFN-g、MMP3、IL1-RAIL-23、Lta、MIP3a、MIP3B、MIG、MMP8、MMP10CD4、CD8、CCR2、CCR6、MPO、NOS2、MMP12、TLR2、MMP1、およびMMP7を含む。TLR阻害剤で処置されたhTLR8Tgクローン12マウスまたはhTLR8Tgクローン8マウスは、標的臓器内の炎症性遺伝子レベルの、PBSで処置されたhTLR8Tgクローン12マウスまたはhTLR8Tgクローン8マウス内で見出されるレベルと比較した低下を示すことが予測される。加えて、TLR阻害剤で処置されたヒトTLR8Tgクローン12マウスまたはヒトTLR8Tgクローン8マウス由来の標的臓器についての組織病理学的解析も、PBSだけで処置されたヒトTLR8Tgクローン12マウスまたはヒトTLR8Tgクローン8マウスと比べた疾患スコアの軽減を示すことが予測される。
(実施例27)
TLR7/8に媒介される6−スルホLacNAc樹状細胞の刺激の、TLR7阻害剤、TLR8阻害剤、および/またはTLR7/8阻害剤による阻害
6−スルホLacNAc樹状細胞(slanDC)は、ヒト血液中の樹状細胞(DC)の大半を占め、TNF−α、IL−23、IL−6、IL−1α、およびI−1βを産生するそれらの能力を特徴とする通り、炎症促進性が高い(Schakelら、Immunity、25巻:767頁、2006年)。slanDCは、炎症組織内で速やかに動員される(Hanselら、J Allergy Clin Immun、127巻:787頁、2011年)。slanDCは、尋常性乾癬、アトピー性皮膚炎(AD)、皮膚エリテマトーデスを有する患者の真皮、および関節リウマチのパンヌス組織に浸潤する。
slanDCが、TLR7およびTLR8の両方を共発現させるのに対し、ヒトにおける他の種類の骨髄性DCであるCD1c+DCは、TLR8だけを発現させる(Hanselら、Autoimmunity、40巻:1〜8頁、2013年)。slanDCは、それらの多くが乾癬性皮膚内および皮膚エリテマトーデス性皮膚内に存在し、高レベルのTNF−α、IL−23、IL−6など、炎症促進性サイトカインを産生する、LL37−RNA複合体により、TLR7およびTLR8を介して活性化する(Hansel、前出)。これらのLL37−RNA複合体は、乾癬および皮膚エリテマトーデスなどの皮膚疾患の発症機序において中心的であると考えられる(Gangulyら、J Exp Med、206巻:1983頁、2009年;およびGillietら、Nat Rev Immun、8巻:594頁、2008年)。
健常ドナーから精製されたslanDCを、単独であるか、またはTLR7阻害剤、TLR8阻害剤、および/もしくはTLR7/TLR8阻害剤の存在下における、LL37−RNA複合体で刺激する。上清は、ELISAにより、TNF−α濃度、IL−23濃度、および/またはIL−6濃度(複数可)について査定する。一官能性TLR7阻害剤および一官能性TLR8阻害剤のいずれも、LL37−RNA複合体に対する応答を減衰させ、二官能性TLR7/8阻害剤は、応答を、一官能性阻害剤の組合せより強力に減衰させることが予測される。
(実施例28)
テープストリッピングを施されたマウスにおける炎症応答へのTLR8の寄与の決定
マウスにおけるテープストリッピングは、TLR7およびTLR9に依存する炎症応答を引き起こす(Guiducciら、J Exp Med、207巻:2931〜2942頁、2010年)。皮膚炎症におけるヒトTLR8の寄与を決定するために、hTLR8Tgクローン8マウスを、一官能性TLR7阻害剤、一官能性TLR8阻害剤、および/もしくは一官能性TLR9阻害剤、ならびに/または二官能性TLR7/9阻害剤二官能性および/もしくはTLR7/8阻害剤、ならびに/または三官能性TLR7/8/9阻害剤で、マウスにテープストリッピングを施した直後に皮下処置する。1つのマウス群は、非処置のまま放置されて、対照として用いられた。皮膚生検は、テープストリッピングの24時間後にサンプリングし、I型IFNにより調節される遺伝子および炎症性遺伝子の遺伝子発現をTAQMAN解析により査定する。炎症応答へのTLR8の寄与は、異なるTLR阻害剤を使用する結果を比較することにより決定する。この免疫応答は、少なくとも部分的にはTLR8により媒介され、TLR8阻害剤を投与することにより、還元I型IFNにより調節され、かつ、炎症性である遺伝子の発現が低減されることが予測される。
(実施例29)
TLR7/8阻害剤は、TLR7.6マウスの腎臓における炎症性遺伝子の発現を減少させる
マウスTLR7遺伝子(TLR7.6)を過剰発現するマウスについては、既に記載されている(Deaneら、Immunity、27巻:801〜810頁、2007年)。TLR7.6マウスは、炎症性細胞のインフレーションおよび炎症性サイトカインの産生の増大を特徴とする、自己抗体介在性糸球体腎炎を発症する。加えて、TLR7.6マウスは、脾腫も発症し、骨髄性細胞の増殖も増大させる。
2〜3カ月齢であるTLR7.6マウスに、1mg/kgのDVX103またはPBSを、毎週1回15週間にわたり注射した。腎臓内の炎症性遺伝子発現は、TAQMANアッセイにより決定した。図34Aおよび図34Bは、TLR7.6マウスの腎臓における、mIL−1α、mIL−1β、mTNF−α、mIFN−γ、mMMP−7、mCD11bβ、mCD8、およびmCD4の相対レベルを、野生型マウスおよびDVX103による処置後におけるTLR7.6マウスと比較して示す。DVX103は、TLR7.6マウスの腎臓において発現する炎症性遺伝子のレベルを低下させることが可能であった(図34Aを参照されたい)。
実験の終了時において、マウスから脾臓を摘出した。機械的破壊の後、脾臓細胞の総数を、細胞計数により決定した。樹状細胞の数(DC)は、CD11c細胞を標識する抗体を使用するフローサイトメトリーにより決定した。図34Cは、TLR7.6マウスのDVX103による処置により、TLR7.6マウスにおける骨髄性細胞の増殖が正常化されることを示す。
第2の実験では、5〜6カ月齢であるTLR7.6マウスに、1mg/kgもしくは5mg/kgのDVX105、または食塩水を、毎週1回8週間にわたり注射した。腎臓内の炎症性遺伝子発現は、TAQMANアッセイにより決定した。図35Aは、TLR7.6マウスの腎臓における、mIL−1α、mIL−1β、mLT−β、mMIG、およびmF4/80の相対レベルを、野生型マウスおよびDVX105による処置後におけるTLR7.6マウスと比較して示す。DVX105は、TLR7.6マウスの腎臓において発現する炎症性遺伝子のレベルを低下させることが可能であった(図35Aを参照されたい)。
実験の終了時において、マウスから脾臓を摘出した。機械的破壊の後、脾臓細胞の総数を、細胞計数により決定した。樹状細胞および好中球の数(DC)は、それぞれ、CD11cおよびLY6Gを標識する抗体を使用するフローサイトメトリーにより決定した。図35Bは、TLR7.6マウスのDVX105による処置により、TLR7.6マウスにおける骨髄性細胞の増殖が正常化されることを示す。
(実施例30)
ラットにおける、高用量の阻害性ポリヌクレオチドおよび低用量の阻害性ポリヌクレオチドの活性
高投与量(hi=40mg/kg)または低投与量(lo=10mg/kg)のポリヌクレオチド(C954、DVX103、DVX104、およびDVX105)を、Sprague Dawleyラット(1群当たりn=5)へと、毎週1回8週間にわたり皮下投与した。表30−1に指し示される通り、投与前(0日目)およびそれ以後にラットの体重を量った。研究の終了時に臓器を摘出し、臓器重量を決定した。加えて、肝臓および腎臓の組織学的査定も実施した。C954は、履歴的対照として研究に組み入れるもので、良好な毒性プロファイルを伴うポリヌクレオチドを表す。
C954、DVX103、DVX104、またはDVX105で処置されたラットも、体重の同様の増大を示した。全ての群の動物の臓器重量は、同様であった。肝臓および腎臓における変化を反映する重症度スコアの概要を、表30−1に示す。臓器の組織病理学的検討により、腎臓が標的臓器として確認された。ラットでは、肝臓の髄外造血がまれではない。これは、PBS処置群を含む全ての群において観察されたので、著明なポリヌクレオチド関連の所見とは考えられなかった。肝臓では、他の著明な変化は観察されなかった。腎臓では、軽度の尿細管の変化が大半の群で見出された。この長期投与状況で試験した全てのポリヌクレオチドが高用量で示した腎臓内の変化は軽度(40mg/kg;約2の重症度スコア)であったが、低用量(10mg/kg)では、最小限の変化が観察された。
(実施例31)
TLR7/8阻害剤は、関節リウマチのコラーゲン誘導モデルにおける疾患スコアを軽減する
野生型マウス(C57BL/6)およびTLR8トランスジェニックマウス(WO2012/135549において記載されているTLR8TGCL8)を、公表されている免疫化スケジュールおよび免疫化プロトコール(Campbell、Eur J Immunol、30巻:1568〜1575頁、2000年)に従い免疫化した。コラーゲンによる免疫化の0日目において、コラーゲン(Chondrex製のニワトリII型コラーゲン;2mg/mL)を、完全フロイントアジュバント(5mg/mLのMycobacterium tuberculosis H37Raを含有する、Chondrex製のCFA:complete Freund adjuvant)により、以下の通りに乳化させた:
(i)1容量のCFAを、等量のコラーゲン溶液と混合し;
(ii)混合は、安定した硬質のエマルジョンが結果として得られるまで続け;
(iii)エマルジョンの所望の安定性を確認するため、1滴のエマルジョンを水で満たしたビーカーへと添加し(水中に固体として保持されれば、エマルジョンは、安定であると考えられた);
(iv)100μlを、尾の基部に皮下注射した。
2回目の注射は、21日目に投与した。動物を、四肢の発赤および腫脹について評価し、各マウスの累積スコアは、四肢の各々について得られるスコアの合計とした。Clinical Score Guidelinesは、以下の通りであった。0:正常;1=足首もしくは手首の軽度であるが明瞭な発赤および腫脹、または罹患した指の数に関わらない、個々の指に限定された、明らかな発赤および腫脹;2=足首または手首の中程度の発赤および腫脹;3=指を含む脚部全体の重度の発赤および腫脹;ならびに4=複数の関節に及び、臨床スコアが割り当てられた、四肢の最大限の炎症。
hTLR8TgCL8マウスを、PBSまたはTLR7/8阻害剤であるDVX105で、1、7、14、20、24、28、31、35、42、49、および53日目に処置した(1mg/kgの皮下処置)。図36に示す通り、hTLR8TgCL8マウスにおける疾患スコアは、野生型(WT)マウスの疾患スコアと比較して増悪した。hTLR8TgCL8マウスの、DVX105による処置は、疾患スコアを減少させた。この研究は、hTLR8が、関節炎の増悪において役割を果たし、TLR7/8阻害剤が、hTLR8を発現させる対象における関節炎を減衰させることを裏付ける。
(実施例33)
シェーグレン症候群患者由来の血清によるヒト単球の刺激は、TLR7/8に依存する
CD14+単球は、製造業者の指示書に従い、陰性選択キット(Stem Cell、カタログ番号14068)を使用して、バフィーコートから単離した。純度は日常的に、98%を超えた。約3×105個の細胞を、完全培地(RPMI、10%FBS)中、単独であるか、またはTLR7/8阻害剤であるDVX99(1μM)と組み合わせた、健常対象(n=3)由来の7.5%の血清または活性の疾患を伴うシェーグレン症候群患者(n=5)由来の7.5%の血清の存在下でインキュベートした。シェーグレン症候群患者由来の血清は、Newcastle University(UK)から得た。14〜16時間後、上清を、Milliplex(Millipore)により、サイトカインレベルについてアッセイした。図38に示される通り、シェーグレン症候群患者由来の血清は、IL−1α、IL−1β、TNF−α、GM−CSF、およびG−CSFの産生を刺激し、このサイトカイン産生は、TLR7/8阻害剤であるDVX99により阻害することができる。