JP2015522815A - 乳癌の治療用ベバシズマブ併用療法の血漿バイオマーカー - Google Patents

乳癌の治療用ベバシズマブ併用療法の血漿バイオマーカー Download PDF

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Abstract

本発明は、HER2陽性乳癌、特に局所的に再発性又は転移性のHER2陽性乳癌と診断された患者のコントロールレベルと比較した場合の、E−セレクチン、ICAM−1、又はVEGFR−3の発現レベル、特に血漿発現レベルを決定することで、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))を化学療法レジメンに追加することにより、HER2陽性乳癌、特に局所的に再発性又は転移性のHER2陽性乳癌に罹患している患者の化学療法レジメンの治療効果を向上させる方法を提供する。

Description

本発明は、乳癌と診断された患者のうち、抗VEGF抗体を含む抗癌療法による治療から最大の恩恵を受ける患者を同定する方法を目的とする。
血管新生は、癌の発生といった良性及び悪性の疾患に寄与し、特に癌では初期の腫瘍増殖、侵襲性、及び転移に必要である。増殖するために、腫瘍は血管新生スイッチを経なければならない。この血管新生スイッチを誘発するために、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)が必要とされる。VEGF及びVEGF経路内の遺伝子は、癌進行の重要なメディエーターと考えられている。VEGF遺伝子ファミリーには、VEGFAとも呼ばれるVEGF遺伝子、胎盤成長因子(PlGF)、VEGFB、VEGFC、VEGFDを含むVEGFのホモログ、VEGFR−1及びVEGFR−2(それぞれFLT1及びFLK1/KDRとも呼ばれる)を含むVEGFレセプター、低酸素誘導因子HIF1a、HIF2aを含むVEGF誘導因子、並びに酸素センサーPHD1、PHD2、及びPHD3が含まれる。
癌細胞の増殖及び転移におけるこの経路の重要性は、癌治療に使用される抗血管新生剤の開発に繋がった。このような治療には、中でも、ベバシズマブ、ベガプタニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、及びバタラニブが含まれる。ベバシズマブのような血管新生阻害剤により生存期間が有意に延びるとはいえ、患者は依然として癌で死亡する。さらに、すべての患者が血管新生阻害剤による治療に反応するわけではない。非応答の原因となるメカニズムは依然不明である。さらに、血管新生阻害剤による治療には、消化管穿孔、血栓症、出血、高血圧、及びタンパク尿といった副作用が付随する。
したがって、血管新生阻害剤による治療に特にうまく反応する患者を決定する方法が必要とされている。
血管新生及び腫瘍発生に関連するバイオマーカーのステータスの調査により、全バイオマーカー患者集団において決定された基準レベルに対するE−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3の発現レベルが、乳癌患者における治療結果の改善と相関性を有することが明らかになった。特に、全バイオマーカー患者集団において決定された基準レベルに対するE−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3の発現レベルの上昇を呈する患者は、トラスズマブとドセタキセルの併用療法に対するベバシズマブの追加に反応して無増悪生存の延長を示した。
したがって、本発明は、乳癌と診断された患者が、化学療法レジメンに対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に感受性であるかどうかを、患者試料中の、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3からなる群より選択される少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルを決定することと、それを基準レベルと比較することとにより、決定する方法に関連する。本発明はまた、乳癌と診断されて、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3からなる群より選択される少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルが基準レベルより上昇している患者の治療のための、ババシズマブといった抗VEGF抗体を含む医薬組成物に関連する。本発明はさらに、乳癌と診断された患者の、化学療法を含む抗癌療法の治療効果を、患者試料中における、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3からなる群より選択される少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルに基づいて、ベバシズマブといった抗VEGF抗体を追加することにより改善する方法に関連する。
本発明の一実施態様は、乳癌と診断された患者が、抗VEGF抗体を含む抗癌療法により程度の差はあれ適切に治療されるかどうかを決定するインビトロ法を提供する。この方法は、(a)乳癌と診断された患者由来の試料中の、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3からなる群より選択される少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルを決定することと、(b)(a)による発現レベルに基づき、抗VEGF抗体を含む抗癌療法により程度の差はあれ適切に治療されると患者を同定することであって、前記バイオマーカーの発現レベルが基準レベル以上である場合に、患者の抗癌療法による治療に対する適性が高いことが示され、又は前記バイオマーカーの発現レベルが基準レベルを下回る場合に患者の抗癌療法による治療に対する適性が低いことが示される、同定することとを含む。いくつかの実施態様では、無増悪生存率の観点から、患者が抗癌療法によって適切に治療されるかどうかが決定される。いくつかの実施態様では、方法は、患者を抗癌療法で治療することをさらに含む。いくつかの実施態様では、抗癌療法は、抗VEGF抗体、抗HER2抗体、及びタキサンを含む。いくつかの実施態様では、抗VEGF抗体はベバシズマブである。いくつかの実施態様では、抗HER2抗体はトラスツズマブである。いくつかの実施態様では、タキサンはドセタキセル又はパクリタキセルである。いくつかの実施態様では、前記少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルはタンパク質の発現レベルである。いくつかの実施態様では、患者由来の試料は血漿試料である。いくつかの実施態様では、少なくとも一のバイオマーカーはE−セレクチンである。いくつかの実施態様では、少なくとも一のバイオマーカーはICAM−1である。いくつかの実施態様では、少なくとも一のバイオマーカーはVEGFR−3である。
本発明の別の実施態様は、乳癌と診断された患者のための治療を選択するインビトロ法を提供する。この方法は、(a)患者由来の生体試料をアッセイすることにより、患者の、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3からなる群より選択される少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルが基準レベル以上であることを決定すること、並びに(b)その決定に基づき、抗VEGF抗体を含む抗癌療法を含む治療を選択することを含む。いくつかの実施態様では、無増悪生存率の観点から、患者が抗癌療法によって適切に治療されるかどうかが決定される。いくつかの実施態様では、方法は、患者を抗癌療法で治療することをさらに含む。いくつかの実施態様では、患者は以前に化学療法又は放射線治療を受けていない。いくつかの実施態様では、抗癌療法は、抗VEGF抗体、抗HER2抗体、及びタキサンを含む。いくつかの実施態様では、抗VEGF抗体はベバシズマブである。いくつかの実施態様では、抗HER2抗体はトラスツズマブである。いくつかの実施態様では、タキサンはドセタキセル又はパクリタキセルである。いくつかの実施態様では、前記少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルはタンパク質の発現レベルである。いくつかの実施態様では、患者由来の試料は血漿試料である。いくつかの実施態様では、少なくとも一のバイオマーカーはE−セレクチンである。いくつかの実施態様では、少なくとも一のバイオマーカーはICAM−1である。いくつかの実施態様では、少なくとも一のバイオマーカーはVEGFR−3である。
本発明のさらなる実施態様は、乳癌と診断された患者が、化学療法に対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に感受性かどうかを決定するインビトロ法を提供する。この方法は、(a)乳癌と診断された患者由来の試料中の、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3からなる群より選択される少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルを決定することと、(b)(a)による発現レベルに基づき、化学療法に対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に患者が感受性であると同定することであって、前記バイオマーカーの発現レベルが基準レベル以上である場合に、患者が、化学療法二対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に感受性であることが示される、同定することとを含む。いくつかの実施態様では、無増悪生存率の観点から、患者が抗癌療法によって適切に治療されるかどうかが決定される。いくつかの実施態様では、方法は、患者を抗癌療法で治療することをさらに含む。いくつかの実施態様では、患者は以前に化学療法又は放射線治療を受けていない。いくつかの実施態様では、抗癌療法は、抗VEGF抗体、抗HER2抗体、及びタキサンを含む。いくつかの実施態様では、抗VEGF抗体はベバシズマブである。いくつかの実施態様では、抗HER2抗体はトラスツズマブである。いくつかの実施態様では、タキサンはドセタキセル又はパクリタキセルである。いくつかの実施態様では、前記少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルはタンパク質の発現レベルである。いくつかの実施態様では、患者由来の試料は血漿試料である。いくつかの実施態様では、少なくとも一のバイオマーカーはE−セレクチンである。いくつかの実施態様では、少なくとも一のバイオマーカーはICAM−1である。いくつかの実施態様では、少なくとも一のバイオマーカーはVEGFR−3である。
本発明のさらに別の実施態様は、乳癌と診断された患者のための抗癌療法を選択するインビトロ法を提供する。この方法は、(a)患者由来の生体試料をアッセイすることにより、患者の、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3からなる群より選択される少なくとも一つのバイオマーカーの発現レベルが基準レベル以上であることを決定することと、(b)その決定に基づき、化学療法に対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法を選択することとを含む。いくつかの実施態様では、無増悪生存率の観点から、患者が抗癌療法によって適切に治療されるかどうかが決定される。いくつかの実施態様では、方法は、患者を抗癌療法で治療することをさらに含む。いくつかの実施態様では、患者は以前に化学療法又は放射線治療を受けていない。いくつかの実施態様では、抗癌療法は、抗VEGF抗体、抗HER2抗体、及びタキサンを含む。いくつかの実施態様では、抗VEGF抗体はベバシズマブである。いくつかの実施態様では、抗HER2抗体はトラスツズマブである。いくつかの実施態様では、タキサンはドセタキセル又はパクリタキセルである。いくつかの実施態様では、前記少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルはタンパク質の発現レベルである。いくつかの実施態様では、患者由来の試料は血漿試料である。いくつかの実施態様では、少なくとも一のバイオマーカーはE−セレクチンである。いくつかの実施態様では、少なくとも一のバイオマーカーはICAM−1である。いくつかの実施態様では、少なくとも一のバイオマーカーはVEGFR−3である。
本発明のまた別の実施態様は、乳癌と診断された患者の治療のための抗VEGF抗体を含む医薬組成物であって、患者は、本明細書に記載される方法のいずれかにより、抗VEGF抗体を含む抗癌療法による治療に対する適性が高いと同定されている、医薬組成物を提供する。
本発明のまた別の実施態様は、乳癌と診断された患者の治療のための抗VEGF抗体を含む医薬組成物であって、患者は、本明細書に記載される方法のいずれかにより、抗VEGF抗体を含む抗癌療法による治療に対する適性が高いと同定される、医薬組成物を提供する。
本発明のさらなる実施態様は、乳癌と診断された患者の治療のための抗VEGF抗体を含む医薬組成物であって、患者は、本明細書に記載される方法のいずれかにより、化学療法レジメンに対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に感受性であると同定されている、医薬組成物を提供する。
本発明のさらなる実施態様は、乳癌と診断された患者の治療のための抗VEGF抗体を含む医薬組成物であって、患者は、本明細書に記載される方法のいずれかにより、化学療法レジメンに対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に感受性であると同定される、医薬組成物を提供する。
本発明のまた別の実施態様は、本明細書に記載の方法のいずれかを実行するためのキットを提供する。このキットは、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3からなる群より選択される少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルを検出するための化合物のセットを含み、このセットは前記バイオマーカーに特異的に結合できる抗体を含む。
本発明のさらに別の実施態様は、乳癌と診断された患者の、化学療法レジメンを含む抗癌療法の治療効果を、化学療法レジメンに抗VEGF抗体を加えることにより改善する方法を提供する。この方法は、(a)陽性乳癌と診断された患者由来の試料における、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3からなる群より選択される少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルを決定することと;(b)(a)による発現レベルに基づいて、化学療法レジメンに対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に患者が感受性であると同定することであって、前記バイオマーカーの発現レベルが基準レベル以上である場合に、化学療法レジメンに対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に患者が感受性であることが示される、同定することと;(c)有効量の抗VEGF抗体を有効量の化学療法レジメンと組み合わせて、(b)により化学療法に対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に感受性と同定された患者に投与することとを含む。いくつかの実施態様では、無増悪生存率の観点から、患者が抗癌療法によって適切に治療されるかどうかが決定される。いくつかの実施態様では、方法は、患者を抗癌療法で治療することをさらに含む。いくつかの実施態様では、患者は以前に化学療法又は放射線治療を受けていない。いくつかの実施態様では、抗癌療法は、抗VEGF抗体、抗HER2抗体、及びタキサンを含む。いくつかの実施態様では、抗VEGF抗体はベバシズマブである。いくつかの実施態様では、抗HER2抗体はトラスツズマブである。いくつかの実施態様では、タキサンはドセタキセル又はパクリタキセルである。いくつかの実施態様では、前記少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルはタンパク質の発現レベルである。いくつかの実施態様では、患者由来の試料は血漿試料である。いくつかの実施態様では、少なくとも一のバイオマーカーはE−セレクチンである。いくつかの実施態様では、少なくとも一のバイオマーカーはICAM−1である。いくつかの実施態様では、少なくとも一のバイオマーカーはVEGFR−3である。
1.定義
本明細書で使用される「投与」又は「投与する」なる用語は、血管新生阻害剤といった医薬組成物の、そのような治療を必要とする患者への投与、又は当技術分野において既知のいずれかの適切な手段による医学的介入を意味する。投与の非限定的なルートには、経口、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所、皮内、鼻腔内、又は気管支内投与(例えば吸入により行われる)が含まれる。本発明の文脈において特に好ましいのは、非経口投与、例えば静脈内投与である。
「抗血管新生剤」又は「血管新生阻害剤」なる用語は、小分子量物質、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、単離されたタンパク質、組換えタンパク質、抗体、又はこれらのコンジュゲート若しくは融合タンパク質を指し、直接又は間接的に、血管新生、脈管形成又は望ましくない血管透過を阻害するものである。抗血管新生剤には、血管新生因子又はそのレセプターに結合してその血管新生活性を遮断する薬剤が含まれると理解されるべきである。例えば、抗血管新生剤は、本明細書全体にわたって定義されるか、又は当技術分野において既知の、血管新生剤に対する抗体又は他のアンタゴニスト、例えば、VEGF−A又はVEGF−Aレセプター(例えば、KDRレセプター、又はFlt−1レセプター)に対する抗体、VEGF−トラップ、Gleevec(登録商標)(メシル酸イマシニブ)のような抗PDGFR阻害剤であるが、これらに限定されない。抗血管新生剤には、天然血管新生阻害剤、例えばアンジオスタチン、エンドスタチンなども含まれる。例としてKlagsbrun and D'Amore, Annu. Rev. Physiol., 53:217-39 (1991);Streit and Detmar, Oncogene, 22:3172-3179 (2003)(例えば、悪性メラノーマの抗血管新生療法を列挙する表3);Ferrara & Alitalo, Nature Medicine 5: 1359-1364 (1999);Tonini等, Oncogene, 22:6549-6556 (2003)(例えば、既知の抗血管新生因子を列挙する表2);及び、Sato Int. J. Clin. Oncol., 8:200-206 (2003)(例えば、臨床試験で用いられる抗血管新生剤を挙げる表1)を参照のこと。
本明細書では、用語「抗体」は最も広い意味で用いられ、限定しないが、モノクローナル及びポリクローなる抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、キメラ抗体、CDR移植抗体、ヒト化抗体、クダ化抗体、一本鎖抗体、並びに抗体断片及び断片コンストラクト、例えば、F(ab′)断片、Fab断片、Fv断片、一本鎖Fv断片(scFv)、二重特異性scFv、二重特異性抗体、シングルドメイン抗体(dAb)、及びミニ抗体を含む。
本明細書で使用される「VEGF」又は「VEGF−A」なる用語は、例えば、165−アミノ酸ヒト血管内皮細胞増殖因子と、Leung et al. (1989) Science 246:1306, and Houck et al. (1991) Mol. Endocrin, 5:1806に記載の、関連の121−、189−、及び206−アミノ酸ヒト血管内皮細胞増殖因子、並びに、Ferrara Mol. Biol. Cell 21:687 (2010)に記載のVEGF165のプラスミン切断により生成される110−アミノ酸ヒト血管内皮細胞増殖因子を含む、天然発生対立遺伝子とその処理形態を指す。「VEGF」なる用語は、マウス、ラット、又は霊長類といった非ヒト種由来のVEGFも指す。時として、特定種由来のVEGFは、ヒトVEGFの場合はhVEGF、マウスVEGFの場合はmVEGFといった用語で示される。用語「VEGF」は、165−アミノ酸ヒト血管内皮細胞増殖因子のアミノ酸8〜109、又は1〜109を含むポリペプチドの切断型を指すためにも使用される。そのようなVEGF型を指すときは、本明細書では、例えば、「VEGF(8−109)」、「VEGF(1−109)」又は「VEGF165」と表す。「切断した(切断型の)」天然のVEGFのアミノ酸位置は、天然のVEGF配列に示される数で示す。例えば、切断型の天然VEGFのアミノ酸位置17(メチオニン)は、天然のVEGF中の位置17(メチオニン)でもある。切断型の天然VEGFは天然VEGFに匹敵するKDR及びFlt−1レセプター結合親和性を有する。
「VEGF生物活性」は、いずれかのVEGFレセプターへの結合、又は正常及び異常両方の血管新生及び脈管形成の制御(Ferrara and Davis-Smyth (1997) Endocrine Rev. 18:4-25; Ferrara (1999) J. Mol. Med. 77:527-543);胚の脈管形成及び血管新生の促進(Carmeliet et al. (1996) Nature 380:435-439; Ferrara et al. (1996) Nature 380:439-442);並びに雌の生殖器官における、並びに骨成長及び軟骨形成のための循環血管増殖の調節(Ferrara et al. (1998) Nature Med. 4:336-340; Gerber et al. (1999) Nature Med. 5:623-628)といったいずれかのVEGFシグナル伝達活性を含む。血管新生及び脈管形成における血管新生因子であることに加えて、VEGFは、多面的増殖因子として、内皮細胞生存、血管透過性及び血管拡張、単球走化、並びにカルシウム流入といった他の生理的過程に複数の生物学的効果を呈する(Ferrara and Davis-Smyth (1997), supra and Cebe-Suarez et al. Cell. Mol. Life Sci. 63:601-615 (2006))。さらに、最近の研究により、網膜色素上皮細胞、膵管細胞、及びシュワン細胞といったいくつかの非内皮細胞種類に対するVEGFの細胞***促進作用が報告されている。Guerrin et al. (1995) J. Cell Physiol. 164:385-394; Oberg-Welsh et al. (1997) Mol. Cell. Endocrinol. 126:125-132; Sondell et al. (1999) J. Neurosci. 19:5731-5740。
「VEGFアンタゴニスト」又は「VEGF特異性アンタゴニスト」は、VEGFに結合するか、VEGF発現レベルを低減するか、又はVEGF生物活性を中和、ブロック、阻害、抑止、低減、若しくは妨害する能力を有する分子を指し、このような能力には、一又は複数のVEGFレセプターへのVEGF結合、及びVEGF媒介血管新生、及び内皮細胞生存又は増殖が含まれるがこれらに限定されない。本発明の方法に有用なVEGF特異性アンタゴニストとして含まれるのは、VEGF、抗VEGF抗体、及びその抗原結合断片に特異的に結合するポリペプチド、VEGFに特異的に結合することにより一又は複数のレセプターに対するその結合を隔絶するレセプター分子及び誘導体、融合タンパク質(例えば、VEGFトラップ(Regeneron))、並びにVEGF121−ゲロニン(Peregrine)である。VEGF特異性アンタゴニストは、VEGFポリペプチドのアンタゴニスト変異体、VEGFを対象とするアンチセンス核酸塩基オリゴマー、VEGFを対象とする小RNA分子、RNAアプタマー、ペプチボディ、及びVEGFに対するリボザイムも含む。VEGF特異性アンタゴニストは、VEGFに結合して、VEGF生物活性をブロック、阻害、抑止、低減、又は妨害する能力を有する非ペプチド小分子も含む。このように、用語「VEGF活性」は、特異的にVEGFのVEGF媒介生物活性を含む。特定の実施態様では、VEGFアンタゴニストは、VEGFの発現レベル又は生物活性を、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれ以上低減又は阻害する。
「抗VEGF抗体」は、十分な親和性及び特異性でVEGFに結合する抗体である。特定の実施態様では、選択された抗体は通常、VEGFに対して十分な結合親和性を有し、例えば、抗体は100nM〜1pMのKd値でhVEGFに結合しうる。抗体親和性は、例えば、表面プラズモン共鳴に基づくアッセイ(PCT出願公開第2005/012359号に記載のビアコアアッセイなど);酵素結合免疫吸着検定法(ELISA);及び拮抗実験(例えば、RIA’s)により決定されうる。特定の実施態様では、抗VEGF抗体は、VEGF活性が関与する疾患及び症状を標的とし、干渉する際の治療上の薬剤として有用でありうる。また、抗体は、例えばその治療法としての有効性を評価するために、他の生物活性アッセイの対象となりうる。このようなアッセイは、当技術分野において既知であり、標的抗原及び抗体に意図される用途に応じて決まる。例として、HUVEC阻害アッセイ;腫瘍細胞増殖阻害アッセイ(例えば、国際公開第89/06692号に記載);抗体依存性細胞傷害性(ADCC)及び補体媒介細胞毒性(CDC)アッセイ(米国特許5500362号);及びアゴニスト活性又は造血アッセイ(国際公開第95/27062号参照)が挙げられる。抗VEGF抗体は通常、VEGF−B、又はVEGF−Cなどの他のVEGFホモログにも、PlGF、PDGF又はbFGFなどの他の増殖因子にも結合しないだろう。一実施態様では、抗VEGF抗体は、ハイブリドーマATCC HB 10709により生成されるモノクローナル抗VEGF抗体A4.6.1と同じエピトープに結合するモノクローナル抗体である。別の実施態様では、抗VEGF抗体は、Presta et al. (1997) Cancer Res. 57:4593-4599に従って生成される組み換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体であり、限定しないが、ベバシズマブ(BV;AVASTIN(登録商標)として知られる抗体を含む。
抗VEGF抗体「ベバシズマブ(BV)」は、「rhuMAb VEGF」又は「AVASTIN(登録商標)」としても知られており、Presta et al. (1997) Cancer Res. 57:4593-4599によって生成される組み換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体である。これは、ヒトVEGFのそのレセプターへの結合をブロックするマウスの抗hVEGFモノクローナル抗体A.4.6.1からの変異したヒトのIgG1フレームワーク領域と抗原結合性相補性決定領域を含む。フレームワーク領域のほとんどを含め、ベバシズマブのアミノ酸配列のおよそ93%は、ヒトのIgG1に由来し、配列のおよそ7%はマウスの抗体A4.6.1に由来する。ベバシズマブは、約149000ダルトンの分子量を有し、グリコシル化される。ベバシズマブ及び他のヒト化抗VEGF抗体は、2005年2月26日に発行された米国特許第6884879号にさらに記載されており、その開示全体を参照により本明細書に援用する。
「癌」なる用語は、一般的に、調節されない細胞増殖を特徴とする哺乳動物の生理学的状態を指す。癌の例には、これらに限定するものではないが、腺癌、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫及び白血病が含まれる。このような癌のさらに詳細な例には、扁平上皮癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、及び肺の扁平上皮癌)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃又は腹の癌(消化管癌を含む)、膵臓癌、(転移性膵臓癌を含む)、グリア芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌(局所進行性の、再発性又は転移性HER−2陰性乳癌及び局所的に再発性又は転移性のHER−2陽性乳癌を含む)、大腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓又は腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、及び様々な種類の頭部及び頸部の癌、並びにB細胞リンパ腫(低悪性度の/小胞の非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球型(SL)NHL;中悪性度の/小胞のNHL;中悪性度のびまん性NHL;高悪性度の免疫芽球性NHL;高悪性度のリンパ芽球性NHL;高悪性度の小型非開裂性細胞NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;及びヴァルデンストレームマクログロブリン血症);慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL);ヘアリー細胞白血病;慢性骨髄芽球性白血病;及び移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、並びに母斑症、浮腫(脳腫瘍に関連付けられるものなど)、及びメーグス症候群に関連付けられる異常血管増殖が含まれる。
「生理学的又は病理学的血管新生異常」の例には、限定されないが、高悪性度の神経膠腫、グリア芽腫、M. Rendu−Osler、フォンヒッペル−リンダウ病、血管腫、乾癬、カポジ肉腫、眼性血管新生、リウマチ様関節炎、子宮内膜症、粥状動脈硬化、心筋虚血、末梢性虚血、脳虚血、及び創傷治癒が含まれる。
用語「化学療法剤」又は「化学療法レジメン」は、抗癌療法効果を提供することができる任意の活性剤を含み、特に、癌細胞又は腫瘍細胞に干渉することができる化学薬剤又は生物学的薬剤であってもよい。特定の活性薬剤は、悪性細胞の発生、成熟又は増殖を阻害又は防止する抗新生物(化学毒性(chemotoxic)又は化学安定性(chemostatic))剤として作用するものである。化学療法剤の例は、ナイトロジェンマスタード等のアルキル化剤(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン及びクロラムブシル)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、及びセムスチン(メチル−CCNU))、エチレンイミン/メチルメラミン(例えば、トリエチレンメラミン(thriethylenemelamine)(TEM)、トリエチレン、チオホスホルアミド(チオテパ)、ヘキサメチルメラミン(HMM、アルトレタミン))、スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン)、及びトリアジン(例えば、ダカルバジン(DTIC));葉酸アナログ等の代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート、トリメトレキサート)、ピリミジンアナログ(例えば、5−フルオロウラシル、カペシタビン、フルオロデオキシウリジン、ゲムシタビン、シトシンアラビノシド(AraC、シタラビン)、5−アザシチジン、2,2′−ジフルオロデオキシシチジン)、及びプリンアナログ(例えば、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、アザチオプリン、2′−デオキシコホルマイシン(ペントスタチン)、エリスロヒドロキシノニルアデニン(EHNA)、リン酸フルダラビン、及び2−クロロデオキシアデノシン(クラドリビン、2−CdA));天然物からつくられた有糸***阻害剤(例えば、パクリタキセル、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン(VLB)、ビンクリスチン、及びビノレルビン)、ドセタキセル、エストラムスチン、及びリン酸エストラムスチン)、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド、テニポシド)、抗生物質(例えばアクチノマイシンD、ダウノマイシン(ルビドマイシン)、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、イダルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、マイトマイシンC、アクチノマイシン)、酵素(例えば、L−アスパラギナーゼ)、及び生体応答修飾物質(例えば、インターフェロン−α、IL−2、G−CSF、GM−CSF);白金錯体複合体を含む混合剤(miscellaneous agents)(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン)、アントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン)、置換尿素(即ちヒドロキシウレア)、メチルヒドラジン誘導体(例えば、N−メチルヒドラジン(MIH)、プロカルバジン)、副腎皮質抑制剤(例えば、ミトタン(o,p′−DDD)、アミノグルテチミド);副腎皮質ステロイドアンタゴニストを含むホルモン及びアンタゴニスト(例えば、プレドニゾン及び等価物、デキサメタゾン、アミノグルテチミド)、プロゲスチン(例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール)、エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール及びその等価物);抗エストロゲン剤(例えば、タモキシフェン)、アンドロゲン(例えば、プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン及びその等価物)、抗アンドロゲン剤(例えば、フルタミド、性腺刺激ホルモン放出ホルモンアナログ、リュープロリド)及び非ステロイド性抗アンドロゲン剤(例えば、フルタミド)、上皮成長因子阻害剤(例えば、エルロチニブ、ラパチニブ、ゲフィチニブ)抗体(例えば、トラスツズマブ)、イリノテカン、及びロイコボリンなどの他の薬剤を含む。局所的に再発性又は転移性のHER2陽性乳癌の治療のために、ベバシズマブを用いた投与のための化学療法剤又は化学療法レジメンは、カペシタビン、パクリタキセル、ドセタキセル、及びトランシズマブ、並びにそれらの組合せを含む(本明細書に提供される実施例も参照)。
「ドセタキセル」なる用語は、遊離チューブリンに結合してチューブリンの安定な微小管の会合を促進すると同時にそれらへの会合を阻害する抗悪性腫瘍薬である。これは、正常機能を有さない微小管束の生成と、微小管の安定化につながり、細胞周期のM期の細胞をブロックして細胞死を引き起こす。
「有効量」なる用語は、単独で、又は他の薬剤と組み合わせた場合の、又は治療レジメンにおける、哺乳動物の疾患又は障害の治療に有効な薬剤の量を指す。癌の場合、治療的有効量の薬剤は、癌細胞の数を減少させ、腫瘍の大きさを小さくし;癌細胞の周辺器官への浸潤を阻害し(即ち、ある程度遅くし、好ましくは止め);腫瘍の転移を阻害し(即ち、ある程度遅くし、好ましくは止め);腫瘍の増殖をある程度阻害し;及び/又は疾患に関連する一又は複数の症状をある程度和らげることができる。薬剤が既存の癌細胞の増殖を予防する、及び/又は殺すことができる範囲において、それは細胞増殖抑制性、及び/又は細胞毒性でありうる。癌治療に関し、例えばインビボでの有効性は、生存の期間、無増悪生存(PFS)の期間、応答率(RR)、応答期間、及び/又は生活の質を評価することにより測定することができる。
本明細書において使用される「発現レベル」なる用語は、試料中の、本発明のマーカー/指標タンパク質の濃度又は量も指す。
「エピトープA4.6.1」なる用語は、抗VEGF抗体ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))(Muller Y et al., Structure 15 September 1998, 6:1153-1167参照)を指す。本発明の特定の実施態様では、抗VEGF抗体は、ハイブリドーマATCC HB 10709により産生されるモノクローナル抗VEGF抗体A4.6.1と同じエピトープに結合するモノクローナル抗体;Presta et al. (1997) Cancer Res. 57:4593-4599に従って生成される組み換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体を含むが、これに限定されない。
「エピトープ4D5」は、国際公開第2009/154651号に記載のように、抗体4D5(ATCC CRL 10463)及びトラスツズマブの結合先であるHER2の細胞外ドメイン内の領域である。このエピトープは、HER2の膜貫通ドメインの近く、且つHER2のドメインIV内部にあって、シグナルペプチドなしの約489〜630の残基番号付けからのアミノ酸残基である。Garrett et al Mol Cell. 1 1 : 495-505 (2003), Cho et al Nature 421 : 756-760 (2003), Franklin et al Cancer Cell 5:317-328 (2004), and Plowman et al. Proc. Natl. Acad. Sci 90: 1746- 1750 (1993)を参照。4D5エピトープに本質的に結合する抗体をスクリーニングするために、Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Ed Harlow and David Lane (1988)に記載のようなルーチン的クロスブロッキングアッセイを実行することができる。別法として、抗体が本質的にHER2の4D5エピトープ(例えば、HER2細胞外ドメインを含めて、約残基529〜約残基625の領域内のいずれか一又は複数の残基(残基番号付けはシグナルペプチドを含んでいる))に結合するかどうかを評価するために、エピトープマッピングを実行することができる。
「HERレセプター」は、HERレセプターファミリーに属し、EGFR、HER2、HER3及びHER4レセプターを含むレセプタータンパク質チロシンキナーゼである。HERレセプターは通常細胞外ドメインを含み、細胞外ドメインはHERリガンドに結合できる、及び/又は別のHERレセプター分子;親油性膜貫通ドメイン;保存された細胞内チロシンキナーゼドメイン;及びリン酸化可能な複数のチロシン残基を内部に持つカルボキシル末端シグナル伝達ドメインと二量体化する。HERレセプターは、「天然配列」HERレセプター又はその「アミノ酸配列変異体」でありうる。一実施態様において、HERレセプターは天然配列ヒトHERレセプターである。用語「ErbBl」、「HERl」、「上皮増殖因子レセプター」、及び「EGFR」 は、本明細書では互換可能に使用され、例えばCarpenter et al, Ann. Rev. Biochem. 56:881-914 (1987)に開示されているようにEGFRを指し、これにはその天然に発生する突然変異型(例えば、Humphrey et al. PNAS (USA) 87:4207-421 1 (1990)に記載のような欠失変異体)が含まれる。erbBはEGFRタンパク質生成物をコードする遺伝子を指す。
「ErbB2」及び「HER2」という表現は、本明細書では互換可能に使用されてヒト抗原を指す。例えばSemba et al., PNAS (USA) 82:6497-6501 (1985) and Yamamoto et al. Nature 319:230-234 (1986) (Genebank accession number X03363)に記載される、HER2タンパク質。「erbB2」なる用語は、ヒトErbB2をコードする遺伝子を指し、「neu」なる用語はマウスpi85をコードする遺伝子を指す。
「抗Her2」抗体は、HER2レセプターに結合する抗体である。任意選択的に、HER抗体はさらに、HER2活性又は機能を妨害する。一実施態様では、本発明の抗HER2抗体は、HER2ポリペプチド上の4D5エピトープに結合する抗HER2抗体であるか、又は別の実施態様ではトラスツズマブである。
ヒト化HER2抗体は、米国特許第5821337号の表3に記載のhuMAb4D5−l、huMAb4D5−2、huMAb4D5−3、huMAb4D5−4、huMAb4D5−5、huMAb4D5−6、huMAb4D5−7及びhuMAb4D5−8又はトラスツズマブ(即ち、HERCEPTIN(登録商標))を含む。
「HER2陽性」である癌、癌細胞、又は腫瘍は、同じ組織種類の非癌性細胞と比較してHERレセプタータンパク質又は遺伝子のレベルが有意に高いものである。このような過剰発現は、遺伝子増殖、若しくは転写又は翻訳の増加によるものでありうる。HERレセプターの過剰発現又は増殖は、診断又は予後診断アッセイにおいて、細胞の表面に存在するHERタンパク質のレベルの上昇を評価することにより決定することができる(例えば、免疫組織学アッセイ;IHCにより)。これに代えて、又は加えて、例えば蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH;例えば、1998年10月公開の国際公開第98/45479号参照)、サザンブロット法、又は定量的リアルタイムPCR(qRT−PCR)といったポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術により細胞内のHERコード化核酸のレベルを測定することができる。また、血清のような生体液中に流れる抗原(例えば、HER細胞外ドメイン)を測定することにより、HERレセプター過剰発現又は増殖を研究することもできる(例えば、1990年6月12日発行の米国特許第4933294号;1991年4月18日発行の国際公開第91/05264号;1995年3月28日発行の米国特許第5401638号;及びSias et al. J. Immunol. Methods 132: 73-80 (1990)参照)。上記アッセイとは別に、高度な技能を持つ実践者には種々のin vivoアッセイが利用可能である。例えば、患者の身体内部の細胞を、検出可能な標識、例えば放射性同位体で標識されてもよい抗体に曝すことができ、患者の細胞に対する抗体の結合を、例えば放射線の外部X線検査により、又は抗体に曝す前に患者から採取した生検を分析することにより、評価することができる。
「転移」又は「転移性」とは、身体の癌の原発部位から他の場所への癌の広がりを意味する。癌細胞は、原発腫瘍から離脱してリンパ管や血管に浸透し、血流を介して循環し、体の他の部分の正常組織中の離れた病巣で増殖する(転移する)ことができる。転移は局所的又は離れていることも可能である。転移は、腫瘍細胞が原発腫瘍から離脱し、血流を介して移動し、離れた部位で停止することを条件とした逐次プロセスである。新しい部位で、細胞は血液供給を確立し、増殖して生命を脅かす塊を形成することができる。腫瘍細胞内の刺激性及び抑制性両方の分子経路がこの挙動を制御し、離れた部位における腫瘍細胞と宿主細胞間の相互作用も重要である。
「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」なる用語は、互換可能に使用され、二以上、好ましくは三より多いデオキシポリヌクレオチド、又はリボヌクレオチドからなる分子を指す。その正確な大きさは多くの要因に応じて決まり、それらの要因はオリゴヌクレオチドの究極の機能又は使用に応じて決まる。オリゴヌクレオチドは、合成により又はクローニングにより得ることができる。デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドのキメラも、本発明の範囲に含まれる。
「全生存(OS)」なる用語は、治療中及び治療後に患者が生存する時間の長さを指す。当業者であれば理解するように、患者が、別のサブグループの患者より有意に長い平均生存時間を有する患者のサブグループに属している場合、患者の全生存は改善又は向上している。
「患者」なる用語は、治療が望ましい、任意の単一の動物、具体的には哺乳動物(非ヒト動物、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウサギ、動物園の動物、ウシ、ブタ、ヒツジ、及び非ヒト霊長類を含む)を指す。さらに具体的には、本明細書において患者はヒトである。
「〜に罹患している患者」なる表現は、乳癌、特に局所的に再発性又は転移性のHER2陽性乳癌といった生理学的及び病理学的血管新生及び/又は腫瘍性疾患を含む疾患に関して、臨床徴候を示している患者を指す。
用語「薬学的組成物」は、薬物の生物学的活性が有効になることを許容するような形態にあって、製剤が投与される被検体にとって許容できない毒性である他の成分を含まない無菌の調製物を指す。
「無増悪生存率(PFS)」は、治療中及び治療後に、臨床医又は治験責任者の評価によれば、患者の疾患が悪化しない、即ち進行しない時間の長さを指す。当業者であれば理解するように、患者が、類似の状況にある患者のコントロール群の平均又はミーン無増悪生存時間より長い時間にわたって疾患進行しない患者のサブグループに属している場合、患者の無増悪生存率は改善又は向上している。
「ポリペプチド」なる用語は、所与の長さのアミノ酸鎖を包含するペプチド、タンパク質、オリゴペプチド、又はポリペプチドに関連し、ここでアミノ酸残基は共有ペプチド結合により連鎖される。しかしながら、このようなタンパク質/ポリペプチドのペプチド模倣薬も本発明に包含され、この場合、アミノ酸及び/又はペプチド結合は、機能的アナログ、例えば、セレノシステインなどの20の遺伝子コード化アミノ酸のうちの一つ以外のアミノ酸残基により置換されている。ペプチド、オリゴペプチド、及びタンパク質は、ポリペプチドと称される。用語ポリペプチド及びタンパク質は、本明細書では互換可能に使用される。用語ポリぺプチドは、ポリペプチドの修飾、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化なども指し、これらを除外するものではない。このような修飾は、基本的教科書、及びさらに詳細な研究書、並びに膨大な研究文献に詳しく記載されている。用語ポリペプチドは、本明細書で使用される用語「抗体」も指し、これを包含する。
本発明の文脈における「〜に反応性」という表現は、乳癌、特に局所的に再発性又は転移性のHER2陽性乳癌に罹患している、罹患していることが疑われる、又は罹患し易い対象/患者が、ベバシズマブを含む化学療法レジメンに反応を示すことを示す。当業者であれば、本発明の方法に従ってベバシズマブにより治療される者が反応を示すかどうかを決定することができるであろう。例えば、反応は、乳癌、特に局所的に再発性又は転移性のHER2陽性乳癌に罹患していることによる苦痛の低減、例えば腫瘍増殖の縮小及び/又は停止、腫瘍サイズの低減、並びに/若しくは癌の一又は複数の症状の改善により反映される。好ましくは、反応は、乳癌の転移性転換の指標の減少又は縮小、例えば転移の形成の予防、又は転移数若しくは大きさの低減により反映される(例えば、Eisenhauser et al., New response evaluation criteria in solid tumours: Revised RECIST guideline (version 1.1) Eur. J. Cancer 2009 45: 228-247参照)。
本明細書で使用される「基準試料」なる用語は、比較を目的として使用される、任意の試料、標準、又はレベルを指す。一実施態様では、基準試料は、同じ対象又は患者の身体(例えば、組織又は細胞)の健常な及び/又は未発病部分から取得される。別の実施態様では、基準試料は、同じ対象又は患者の身体の、未治療組織及び/又は細胞から取得される。また別の実施態様では、基準試料は、対象又は患者ではない個体の身体(例えば、組織又は細胞)の、健常な及び/又は未発病部分から取得される。さらに別の実施態様では、基準試料は、対象又は患者ではない個体の身体の、未治療組織及び/又は細胞部分から取得される。特定の実施態様では、基準試料は、試験試料が取得されるとき以外の一又は複数の異なる時点で取得される、同じ対象又は患者由来の単一の試料であるか、又は複数の試料の組合せである。例えば、基準試料は、試験試料が取得される時点より早い時点で同じ対象又は患者から取得される。このような基準試料は、癌の初期診断の間に基準試料が取得され、その後癌が転移性となったときに試験試料が取得される場合に有用となりうる。特定の実施態様では、基準試料は、対象又は患者ではない一又は複数の個体から取得される、「試料」なる用語として上記に定義される生体試料の全種類を含む。特定の実施態様では、基準試料は、対象又は患者ではない血管新生障害(例えば、癌)を有する一又は複数の個体から取得される。特定の実施態様では、基準試料は、対象又は患者ではない一又は複数の健常な個体由来の複数の試料の組合せである。特定の実施態様では、基準試料は、対象又は患者ではない、疾患又は障害(例えば、癌などの血管新生障害)を有する一又は複数の個体由来の複数の試料の組合せである。特定の実施態様では、基準試料は、対象又は患者ではない一又は複数の個体由来の、正常な組織又はプール血漿、又は血清試料由来のプールされたRNA試料である。特定の実施態様では、基準試料は、対象又は患者ではない、疾患又は障害(例えば、癌などの血管新生障害)を有する一又は複数の個体由来の、腫瘍組織又はプール血漿、又は血清試料由来の、プールされたRNA試料である。
「基準レベル」なる用語は、本明細書では所定の値を指す。当業者であれば、基準レベルが、特異性及び/又は感受性の観点から要件に合うように事前に決定され設定されることを理解するであろう。これら要件は、例えば規制機関によって様々でありうる。例えば、アッセイ感受性又は特異性は、80%、90%、又は95%など、それぞれ特定の限界に設定されなければならない。また、これら要件は、ポジティブ又はネガティブな予測値の観点から定義されうる。とはいえ、本発明において与えられる教示に基づき、それら要件に合う基準レベルに達する可能性は常にある。一実施態様では、基準レベルは健常な個体において決定される。一実施態様の基準値は、患者の属する疾病において事前に決定されている。特定の実施態様では、基準レベルは、例えば、調査される疾病の値の全体的な分布の25%〜75%の任意のパーセンテージに設定することができる。他の実施態様では、基準レベルは、例えば、調査される疾病の値の全体的な分布に基づいて決定されるメジアン値、三分位値、又は四分位値に設定することができる。一実施態様では、基準レベルは、調査される疾病の値の全体的な分布に基づいて決定されるメジアン値に設定することができる。
特定の実施態様では、「上昇(増加、増大)」又は「〜を上回る(〜より上の)」といった表現は、基準レベルを上回るレベル、又は基準試料由来のE−セレクチン、ICAM−1及びVEGFR−3のレベルと比較した場合の、本明細書に記載の方法により検出されたE−セレクチン、ICAM−1、又はVEGFR−3のレベルにおける、5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、100%又はそれを上回る全体的上昇を指す。特定の実施態様では、「上昇」なる表現は、基準試料に基づいて事前に決定されたE−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3のレベルと比較した場合の上昇が、少なくとも約1.5、1.75、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、75、80、90、又は100倍である、E−セレクチン、ICAM−1、又はVEGFR−3の上昇を指す。好ましい一実施態様では、用語「上昇したレベル」とは、基準レベルの値又は基準レベルを上回る値に関連する。
特定の実施態様では、「低下(減少、低減)」又は「〜を下回る(〜より下の)」といった表現は、基準レベルを下回るレベル、又は基準試料由来のE−セレクチン、ICAM−1及びVEGFR−3のレベルと比較した場合の、本明細書に記載の方法により検出されたE−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3のレベルにおける、5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれを上回る全体的低下を指す。特定の実施態様では、「低下」なる表現は、低下後のレベルが、基準試料のE−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3のレベルの、最大で約0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05、又は0.01倍であるか、又はそれを下回る、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3のレベルにおける低下を指す。
特定の実施態様では、用語「基準レベルの」とは、本明細書に記載される方法により基準試料から検出されるE−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3のレベルと同じレベルを指す。
「再発性の」癌は、初期療法に反応した後で、原発部位又は遠位部位において再増殖した癌である。
本発明の文脈における「〜に感受性」という表現は、乳癌、特に局所的に再発性又は転移性のHER2陽性乳癌に罹患している、罹患していることが疑われる、又は罹患し易い対象/患者が、化学療法レジメンと組み合わせたベバシズマブを含む治療に何らかのポジティブな反応を示すことを示唆する。患者の反応は、上記に記載の「反応性の」患者と比較した場合、顕著でないことがありうる。例えば、疾病に関連して患者が被る苦痛は低減するかもしれないが、腫瘍増殖又は転移指標の低減は測定されない、及び/又はベバシズマブと化学療法レジメンとの組み合わせに対する患者の反応は一過性の性質しか持たない、即ち腫瘍の増殖及び/又は転移は一時的に低減又は停止するだけである可能性がある。
「生存」なる用語は、対象が生きていることを指し、無増悪生存率(PFS)及び全生存(OS)を含む。生存は、カプラン−マイヤー法により見積もることができ、生存のいかなる差異も層別ログランク検定を用いて算出される。
「延命する」又は「生存の可能性を増大させる」とは、未治療の対象と比較して(即ち、VEGF抗体を用いて治療されていない対象と比較して)、又は局所的再発性若しくは転移性乳癌の標準的なケアに使用されるような化学療法剤、例えば、カペシタビン、タキサン、アントラサイクリン、パクリタキセル、ドセタキセル、パクリタキセルタンパク質結合粒子(例えば、Abraxane(登録商標))、ドキソルビシン、エピルビシン、5−フルオロウラシル、シクロホスファミド、又はトラスズマブ(例えば、Herceptin(登録商標))、又はこれらの組み合わせのみを用いた治療など、コントロール治療プロトコールと比較して、治療した対象にみられるPFS及び/又はOSの上昇を意味する。一実施態様では、局所的再発性又は転移性の乳癌のためのこのような標準的なケアは、トラスズマブ及びドセタキセルを含む治療の組合せである。生存は、治療開始後、又は初期診断後、少なくとも約一ヶ月、約二ヶ月、約四ヶ月、約六ヶ月、約九ヶ月、又は少なくとも約1年、又は少なくとも約2年、又は少なくとも約3年、又は少なくとも約4年、又は少なくとも約5年、又は少なくとも約10年などにわたってモニタリングされる。
「ハザード比(HR)」なる用語は、事象の率の統計的定義である。本発明の目的のために、ハザード比は、任意の特定の時点における、コントロール群における事象の確率で除した実験群における事象の確率を表すものと定義される。無増悪生存率解析における「ハザード比」は、二つの無増悪生存率曲線間の差異の要約であり、経過観察の期間にわたる、コントロールと比較して治療群の死の危険が低下することを表す。
本明細書で用いられるように、「療法」又は「治療」は、治療されている個体又は細胞の自然経過を変えようと試みる臨床的介入を指し、予防のために、又は臨床病理の過程において、実行できる。治療の望ましい効果は、疾患の発症又は再発を予防すること、症状の緩和、疾患の直接的又は間接的な病理学的帰結の縮小、転移を予防すること、疾患の進行の速度を遅らせること、疾患状態の改善又は緩和、及び寛解又は予後の改善を含む。
「治療効果」なる用語は、用語「全生存」及び「無増悪生存」を包含する。
「E−セレクチン」なる用語は、種々の炎症性刺激により誘発される内皮接着分子を指す(Bevilacqua, P. P. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84, 9238-9242 (1987) ; Luscinskas, F.W. et al., J. Immunol. 142 2257- 2263 (1989) ; Kuijpers, T.W. et al., J. Immunol. 147 1369-1376 (1991))。E−セレクチンをコードするクローニングされた遺伝子(ELAM−1)は、米国特許第5081034号に開示されている。E−セレクチンは、UniProtKB受入番号P16581及び遺伝子ID(NCBI):6401により例証される。「E−セレクチン」なる用語は、そのホモログ及びアイソフォームを包含する。本発明の文脈において、「E−セレクチン」なる用語は、変異タンパク質(アイソフォームを含む)、相同タンパク質、及び/又は断片が、例えばR&D Systemsから入手可能なBBIG−E5又は5D11といった抗体クローンのような、一又は複数のE−セレクチン特異性抗体によって認識されるならば、その変異体、並びに配列の断片も包含する。
「ICAM−1」なる用語は、UniProtKB受入番号P05362及び遺伝子ID(NCBI):3383により例証される細胞間接着分子1を指す。「ICAM−1」なる用語は、そのホモログ及びアイソフォームを包含する。本発明の文脈において、「ICAM−1」なる用語は、変異タンパク質(アイソフォームを含む)、相同タンパク質、及び/又は断片が、例えばR&D Systemsから入手可能な11C81又は14C11といった抗体クローンのような、一又は複数のICAM−1特異性抗体によって認識されるならば、その変異体、並びに配列の断片も包含する。
「VEGFR−3」なる用語は、UniProtKB受入番号P35916及び遺伝子ID(NCBI)2324により例証される血管内皮細胞増殖因子レセプター3を指す。「VEGFR−3」なる用語は、そのホモログ及びアイソフォームを包含する。本発明の文脈において、「VEGFR−3」なる用語は、変異タンパク質(アイソフォームを含む)、相同タンパク質、及び/又は断片が、例えばR&D Systems及びAbnovaからそれぞれ入手可能な抗体クローン54716又は5B6のような、一又は複数のVEGFR−3異性抗体によって認識されるならば、その変異体、並びに配列の断片も包含する。
2.詳細な実施態様
本発明において、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3は、抗血管新生療法による生存のマーカー又は予測バイオマーカーとして同定された。「マーカー」、「バイオマーカー」、及び「予測バイオマーカー」なる用語は、互換可能に使用することができ、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3の発現レベルを指す。一実施態様では、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3は、乳癌、具体的にはHER2陽性乳癌の診断的バイオマーカーとして使用することもできる。
したがって、本発明は、乳癌と診断された患者が、抗VEGF抗体を含む抗癌療法により程度の差はあれ適切に治療されるかどうかを決定するインビトロ法を提供し、本方法は、
(a)乳癌と診断された患者由来の試料における、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3からなる群より選択される少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルを決定すること、並びに
(b)(a)に従って発現レベルに基づき、抗VEGF抗体を含む抗癌療法による治療に対する患者の適性を同定することであって、前記バイオマーカーの発現レベルが基準レベル以上である場合に、患者の抗癌療法による治療に対する適性が高いことが示され、又は前記バイオマーカーの発現レベルが基準レベルを下回る場合に、患者の抗癌療法による治療に対する適性が低いことが示される、同定すること
を含む。一実施態様では、無増悪生存率の観点から、患者が抗癌療法によって適切に治療されるかどうかが決定される。一実施態様では、前記抗癌療法は、抗VEGF抗体、抗HER2抗体、及びタキサンを含む。
本発明は、さらに、乳癌と診断された患者の治療のための抗VEGF抗体を含む医薬組成物であって、患者は、
(a)乳癌と診断された患者由来の試料における、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3からなる群より選択される少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルを決定すること、並びに
(b)(a)に従って発現レベルに基づき、抗VEGF抗体を含む抗癌療法による治療に対する患者の適性を同定することであって、前記バイオマーカーの発現レベルが基準レベル以上である場合に、患者の抗癌療法による治療に対する適性が高いことが示され、又は前記バイオマーカーの発現レベルが基準レベルを下回る場合に、患者の抗癌療法による治療に対する適性が低いことが示される、同定すること
を含むインビトロ法により、抗VEGF抗体を含む抗癌治療による治療に対する適性が高いと同定されている、医薬組成物を提供する。一実施態様では、無増悪生存率の観点から、患者が抗癌療法によって適切に治療されるかどうかが決定される。一実施態様では、前記抗癌療法は、抗VEGF抗体、抗HER2抗体、及びタキサンを含む。
本発明は、さらに、乳癌と診断された患者の治療のための抗VEGF抗体を含む医薬組成物であって、患者は、
(a)乳癌と診断された患者由来の試料における、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3からなる群より選択される少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルを決定すること、並びに
(b)(a)に従って発現レベルに基づき、抗VEGF抗体を含む抗癌療法により程度の差はあれ適切に治療されると患者を同定することであって、前記バイオマーカーの発現レベルが基準レベル以上である場合に、患者の抗癌療法による治療に対する適性が高いことが示され、又は前記バイオマーカーの発現レベルが基準レベルを下回る場合に、患者の抗癌療法による治療に対する適性が低いことが示される、同定すること
を含むインビトロ法により、抗VEGF抗体を含む抗癌療法による治療に対する適性が高いと同定されている、医薬組成物を提供する。一実施態様では、無増悪生存率の観点から、患者が抗癌療法によって適切に治療されるかどうかが決定される。一実施態様では、前記抗癌療法は、抗VEGF抗体、抗HER2抗体、及びタキサンを含む。
本発明はさらに、乳癌と診断された患者が、化学療法に対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に感受性かどうかを決定するインビトロ法を提供し、前記方法は、
(a)乳癌と診断された患者由来の試料における、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3からなる群より選択される少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルを決定すること、並びに
(b)(a)による発現レベルに基づき、化学療法に対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に感受性であるとして患者を同定することであって、前記バイオマーカーの発現レベルが基準レベル以上である場合に、化学療法に対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に患者が感受性であることが示される、同定すること
を含む。一実施態様では、化学療法に対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に患者が感受性であるかどうかは、無増悪生存率の観点から決定される。一実施態様では、前記化学療法レジメンは、抗HER2抗体、及びタキサンを含む。
本発明は、さらに、乳癌と診断された患者の治療のための抗VEGF抗体を含む医薬組成物であって、患者は、
(a)乳癌と診断された患者由来の試料における、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3からなる群より選択される少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルを決定すること、並びに
(b)(a)による発現レベルに基づき、化学療法レジメンに対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に感受性であるとして患者を同定することであって、前記バイオマーカーの発現レベルが基準レベル以上である場合に、患者が、化学療法レジメンに対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に感受性であることが示される、同定すること
を含むインビトロ法により、化学療法レジメンへの抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に感受性と同定されている、医薬組成物を提供する。一実施態様では、化学療法に対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に患者が感受性であるかどうかは、無増悪生存率の観点から決定される。一実施態様では、前記化学療法レジメンは、抗HER2抗体、及びタキサンを含む。
本発明は、さらに、乳癌と診断された患者の治療のための抗VEGF抗体を含む医薬組成物であって、患者は、
(a)乳癌と診断された患者由来の試料における、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3からなる群より選択される少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルを決定すること、並びに
(b)(a)による発現レベルに基づき、化学療法レジメンに対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に感受性であるとして患者を同定することであって、前記バイオマーカーの発現レベルが基準レベル以上である場合に、化学療法に対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に患者が感受性であることが示される、同定すること
を含むインビトロ法により、化学療法レジメンへの抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に感受性であるとして同定される、医薬組成物を提供する。一実施態様では、化学療法に対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に患者が感受性であるかどうかは、無増悪生存率の観点から決定される。一実施態様では、前記化学療法レジメンは、抗HER2抗体、及びタキサンを含む。
本発明はまた、乳癌と診断された患者の、化学療法を含む抗癌療法の治療効果を、化学療法レジメンに抗VEGF抗体を加えることにより改善するための方法を提供し、本方法は、
(a)陽性乳癌と診断された患者由来の試料における、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3からなる群より選択される少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルを決定すること、
(b)(a)による発現レベルに基づき、化学療法レジメンに対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に感受性であるとして患者を同定することであって、前記バイオマーカーの発現レベルが基準レベル以上である場合に、化学療法に対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に患者が感受性であることが示される、同定すること、並びに、
(c)有効量の化学療法レジメンと組み合わせた有効量の抗VEGF抗体を、(b)により、化学療法に対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に感受性であるとして同定された患者に投与すること
を含む。一実施態様では、化学療法に対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に患者が感受性であるかどうかは、無増悪生存率の観点から決定される。一実施態様では、前記化学療法レジメンは、抗HER2抗体、及びタキサンを含む。
一実施態様では、バイオマーカーの前記決定は、a)試料を、バイオマーカーに特異的に結合する薬剤と接触させることにより、薬剤とバイオマーカーとの間に複合体を形成し、形成された複合体の量を検出することにより、バイオマーカーのレベルを測定すること、又はb)試料中に存在するバイオマーカーを増殖させ、増殖したバイオマーカーに特異的に結合する薬剤を用いて増殖したバオカーマーカーを検出することにより、バイオマーカーのレベルを測定することにより実行される。
一実施態様では、前記患者は、HER2陽性乳癌、具体的には、局所的に再発性又は転移性のHER2陽性乳癌と診断される。一実施態様では、前記患者は以前に化学療法又は放射線治療を受けていない。
一実施態様では、前記抗VEGF抗体はA4.6.1エピトープに結合する。具体的には、前記抗VEGF抗体はベバシズマブである。
一実施態様では、前記タキサンはドセタキセル又はパクリタキセル、具体的にはドセタキセルである。
一実施態様では、前記抗HER2抗体は4D5エピトープに結合する。具体的には、前記抗HER2抗体はトラスツズマブである。
一実施態様では、前記発現レベルはタンパク質発現レベルである。
一実施態様では、前記試料は、血漿試料である。
一実施態様では、前記発現レベルはE−セレクチンの発現レベルである。一実施態様では、前記発現レベルはICAM−1の発現レベルである。一実施態様では、前記発現レベルはVEGFR−3の発現レベルである。
本明細書に記載される発明の文脈において、E−selectin、ICAM−1、及びVEGFR−3の発現レベル、特にタンパク質発現レベルは、個別のマーカーとして別々に考慮されるか、又は発現プロファイル若しくはマーカーパネルとして、二つ以上のグループで考慮される。本明細書に記載される発明の文脈において、二つ以上のマーカーの発現プロファイルがまとめて考慮される場合の発現プロファイル又はマーカーパネルは、発現レベルの組合せとも呼ばれる。例えば、二つ以上のマーカーの発現レベルは合算されて、同じように決定されたコントロールの発現レベルの組合せと比較される。したがって、本発明の方法は、一又は複数のマーカーの発現レベルに基づく、発現レベルの組合せを含む発現プロファイルの決定を包含する。
本明細書に記載される発明の文脈において、及び付属の実施例に従って、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3を別々に考慮するために、以下の値がマーカーの対応する高発現値又は低発現値として使用された:高E−セレクチン(≧36.9ng/mL)、低E−セレクチン(<36.9ng/mL)、高ICAM−1(≧210ng/mL)、低ICAM−1(<210ng/mL)、高VEGFR−3(≧10.6ng/mL)、低VEGFR−3(<10.6ng/mL)。このようなレベルは、予測分析計画毎に試料メジアンとして決定された。加えて、特定のマーカーの高発現と低発現の間のカットオフ値となる最適化レベルは、カットオフを上回る及び下回る患者のサブセットが関連の統計的最適性基準を満足させるまで、カットオフを変化させることにより決定される。例えば、最適なカットポイントは、上のサブセットと下のサブセットとの治療ハザード比の差異を最大化するように選ぶことができ、又は一のサブグループの治療効果若しくは他のいずれかの関連する統計基準の治療効果を最大化するように選ぶことができる。しかしながら、当業者であれば、特定のマーカーの発現レベル、したがって高発現レベル又は低発現レベルとなるものが、患者及び患者集団により変動しうることを理解するであろう。したがって、当業者は、以下の実施例に記載されているもの以外の検出方法を用いるとき、及び以下の実施例に記載されているもの以外の患者及び患者集団を研究するとき、当業者が特定のバイオマーカーの高発現レベル及び/又は低発現レベルと考えるものが本明細書に記載の値から変動しうることを理解するであろう。本明細書に記載の方法を考えると、当業者は、特定のバイオマーカーの発現の高レベル及び/又は低レベルとなるものを決定することができる。
一実施態様では、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3の前記基準レベルは、患者群から得られる試料中濃度のメジアン値に設定される。一実施例では、E−セレクチンの前記基準レベルは、血漿中約36.9ng/mLである。一実施例では、ICAM−1の前記基準レベルは、血漿中約210ng/mLである。一実施例では、VEGFR−3の前記基準レベルは、血漿中約10.6ng/mLである。一実施態様では、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3の前記基準レベルは、患者群から得られる試料の四分位解析により決定される。一実施態様では、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3の前記基準レベルは、患者群から得られる試料中濃度を上昇させるための第1の四分位値に設定される。一実施例では、E−セレクチンの前記基準レベルは、血漿中約26.7ng/mLである。一実施例では、ICAM−1の前記基準レベルは、血漿中約170.4ng/mLである。一実施例では、VEGFR−3の前記基準レベルは、血漿中約7.8ng/mLである。一実施態様では、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3の前記基準レベルは、患者群から得られる試料中濃度を上昇させるための第3の四分位値に設定される。一実施例では、E−セレクチンの前記基準レベルは、血漿中約49.1ng/mLである。一実施例では、ICAM−1の前記基準レベルは、血漿中約272.2ng/mLである。一実施例では、VEGFR−3の前記基準レベルは、血漿中約13.0ng/mLである。
当業者であれば理解するように、調査下において問診を改善するために、二つ以上のマーカーの測定値を使用する方法が多数存在する。極めて単純な、しかし効果的であることが多いアプローチでは、調査対象のマーカーのうち少なくとも一について試料がポジティブである場合、ポジティブな結果が想定される。
しかしながら、マーカーの組合せを評価してもよい。マーカーパネルのマーカー、例えば、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3について測定された値は、数学的に組み合わされ、組合わされた値(又は発現レベルの組合せ)は、基礎となる問診に相関させることができる。マーカーの値は、適切な従来の数学的方法により組合せることができる。マーカーの組合せを疾病又は治療効果に相関させる周知の数学的方法は、判別分析(DA)(即ち、線形、二次、正規化−DA)、カーネル法(即ち、SVM)、ノンパラメトリック法(即ち、k近傍分類器)、PLS(部分最小二乗法)、ツリー型メソッド(即ち、ロジスティック回帰、CART、ランダムフォレスト法、ブースティング/バギング方式)、一般化線形モデル(即ち、ロジスティック回帰)、主成分に基づく方法(即ち、SIMCA)、一般加法モデル、ファジー理論に基づく方法、ニューラルネットワーク、及び遺伝的アルゴリズム法のような方法を採用する。当業者であれば、本発明のマーカーの組合せを評価するための適切な方法を問題なく選択するであろう。本明細書に開示される発明によるマーカーの組合せを、例えば全生存、無増悪生存率、化学療法剤/化学療法レジメンへのベバシズマブの追加に対する反応性又は感受性、及び/又は(一又は複数の化学療法剤/化学療法レジメンに追加された)ベバシズマブへの反応又は感受性の予測の改善と相関させるのに使用される方法は、DA(即ち、線形、二次、正規化判別分析)、カーネル法(即ち、SVM)、ノンパラメトリック法(即ち、k近傍分類器)、PLS(部分最小二乗法)、ツリー型メソッド(即ち、ロジスティック回帰、CART、ランダムフォレスト法、ブースティング方式)、又は一般化線形モデル(即ち、ロジスティック回帰)から選択される。これらの統計法に関連する詳細は、以下の参考文献に見出される。Ruczinski, I., et al, J. of Computational and Graphical Statistics, 12 (2003) 475-511; Friedman, J. H., J. of the American Statistical Association 84 (1989) 165-175; Hastie, Trevor, Tibshirani, Robert, Friedman, Jerome, The Elements of Statistical Learning, Springer Series in Statistics, 2001; Breiman, L., Friedman, J. H., Olshen, R. A., Stone, C. J. (1984) Classification and regression trees, California:Wadsworth; Breiman, L., Random Forests, Machine Learning, 45 (2001) 5-32; Pepe, M. S., The Statistical Evaluation of Medical Tests for Classification and Prediction, Oxford Statistical Science Series, 28 (2003); and Duda, R. O., Hart, P. E., Stork, D. G., Pattern Classification, Wiley Interscience, 2nd Edition (2001)。
したがって、本明細書に開示される発明は、基礎となる生物学的マーカーの組合せのための、及びステートAとステートBとを判別するため、例えば、化学療法レジメンに対するベバシズマブの追加を含む抗癌療法に反応性又は感受性の患者を、化学療法レジメンに対するベバシズマブ療法の追加に対する応答が不十分な患者から判別するための、最適化された多変数カットオフの使用に関連している。この種の分析では、マーカーは独立ではなく、マーカーパネル又は発現レベルの組合せを形成する。
3.E−セレクチン、ICAM−1、又はVEGFR−3の発現レベルの検出
マーカーであるE−セレクチン、ICAM−1、又はVEGFR−3のうちの一又は複数の発現レベルは、当技術分野において既知の、患者試料中の特定のタンパク質レベルの決定に適したいずれかの方法により評価することができ、好ましくは、E−セレクチン、ICAM−1、又はVEGFR−3のうちの一又は複数に特異的な抗体を用いた免疫測定法、例えばELISAにより決定される。このような方法は周知であり、当技術分野でルーチン的に実施され、対応する市販の抗体及び/又はキットが容易に入手可能である。例えば、E−セレクチン、ICAM−1、又はVEGFR−3用の市販の抗体/試験キットは、クローンBBIG−E5及び5D11としてR&D Systemsから、クローン11C81及び14C11としてR&D Systemsから、及びクローン54716及び5B6としてAbnovaから、それぞれ取得することができる。好ましくは、本発明のマーカー/指標タンパク質の発現レベルは、抗体又はキットの製造者の試薬及び/又はプロトコールの推奨を用いて評価される。また、当業者は、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3のうちの一又は複数の発現レベルを、免疫測定法により決定するためのさらなる手段を認知している。したがって、本発明のマーカー/指標のうちの一又は複数の発現レベルは、不当な負担なく当業者によりルーチン的に且つ再現可能な方法で決定することができる。しかしながら、正確且つ再現可能な結果を保証するために、本発明は試験手順を確実に検証することができる専門研究所において患者試料を試験することも包含する。
E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3タンパク質又は核酸は、当技術分野において既知の任意の方法を用いて検出することができる。例えば、哺乳動物の組織又は細胞試料のアッセイは、例えばタンパク質については、ウェスタンブロット及びELISAを使用して、対象の遺伝子バイオマーカー由来のmRNA又はDNAについては、ノーザンブロット、ドットプロット、又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析、アレイハイブリダイゼーション、RNaseプロテクションアッセイ、又はDNAマイクロアレイスナップショットを含む市販のDNA SNPチップマイクロアレイを使用して、便利に行うことができる。例えば、定量的PCRアッセイのようなリアルタイムPCR(RT−PCR)アッセイが当技術分野において周知である。本発明の例示的実施態様では、生体試料中の対象の遺伝子バイオマーカーからmRNAを検出する方法は、少なくとも一のプライマーを使用して逆転写により試料からcDNAを生成すること;そのようにして生成されたcDNAを増幅すること;及び増幅されたcDNAの存在を検出することを含む。加えて、このような方法は、(例えば、アクチンファミリーメンバーのような「ハウスキーピング」遺伝子の比較コントロールmRNA配列のレベルを同時に調べることにより)「生体試料中のmRNAのレベルの決定を可能にする一又は複数の工程を含むことができる。任意選択的に、増幅されたcDNAの配列を決定することができる。
上記の技術を適用するうえでのガイダンスを提供する多数の基準が利用可能である(Kohler et al., Hybridoma Techniques (Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1980); Tijssen, Practice and Theory of Enzyme Immunoassays (Elsevier, Amsterdam, 1985); Campbell, Monoclonal Antibody Technology (Elsevier, Amsterdam, 1984); Hurrell, Monoclonal Hybridoma Antibodies: Techniques and Applications (CRC Press, Boca Raton, FL, 1982); and Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques, pp. 147-1 58 (CRC Press, Inc., 1987)。
E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3のうちの一又は複数の発現レベルは、生体試料である患者試料において評価される。患者試料は、血液試料、血清試料、又は血漿試料とすることができる。血液試料、血清試料、及び血漿試料を取得する方法は、当技術分野において既知である。患者試料は、ネオアジュバント療法の前若しくは後、又はアジュバント療法の前若しくは後に患者から取得することができる。
4.治療の方法
本発明の文脈において、ベバシズマブは、当技術分野において知られているように、標準的な化学療法レジメンの一部として投与される一又は複数の化学療法剤に加えて、又はそれとの連携療法若しくは併用治療として投与される。このような標準的化学療法レジメンに含まれる薬剤の例には、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、ゲムシタビン、エロチニブ、カペシタビン、タキサン、例えばドセタキセル及びパクリタキセル、インターフェロンα、ビノレルビン、及び白金を用いた化学療法剤、例えばカルボプラチン、シスプラチン、及びオキサリプラチンが含まれる。後述の実施例に実証されるように、ベバシズマブの追加は、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3のうちの一又は複数の発現レベルにより定義及び選択された患者及び/又は患者集団における無増悪生存率の上昇をもたらした。このように、ベバシズマブは、後述の実施例において実証されるように、ドセタキセル療法といった化学療法レジメンと組み合わせることができる。
投与の共通モードには、ボーラス投与、又は設定された時間にわたる点滴、例えば10分、20分、30分、40分、50分、60分、75分、90分、105分、120分、3時間、4時間、5時間、又は6時間にわたる一日総投与量の投与としての非経口投与が含まれる。例えば、体重1kg当たり2.5mg〜15mgのベバシズマブ(Avastin(登録商標))を、治療される癌の種類に応じて、毎週、2週毎に、又は3週毎に投与することができる。用量の例には、毎週、2週毎に、又は3週毎に、体重1kg当たり2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、及び15mgが含まれる。用量のさらなる例には、2週毎に体重1kg当たり5mg、2週毎に体重1kg当たり10mg、3週毎に体重1kg当たり7.5mg、3週毎に体重1kg当たり15mgが含まれる。本明細書に記載される発明の文脈において、低用量のベバシズマブには、例えば、毎週体重1kg当たり2.5mg、2週毎に体重1kg当たり5mg、及び3週毎に体重1kg当たり7.5mgが含まれる。本明細書に記載される発明の文脈において、高用量のベバシズマブには、例えば、毎週体重1kg当たり5mg、2週毎に体重1kg当たり10mg、及び3週毎に体重1kg当たり15mgが含まれる。
当業者であれば、ベバシズマブのさらなる投与モデルが、特定の患者及び化学療法レジメンにより決定される本発明に網羅されること、及び特定の投与モデル及び治療用量が、当技術分野において既知の方法に従って臨床医によって最もよく決定されることを認識するであろう。
本発明の方法に従って選択される患者は、化学療法レジメンと組み合わせたベバシズマブを用いて治療され、且つ一又は複数の追加的抗癌療法を用いて治療されうる。特定の態様では、一又は複数の追加的抗癌療法は放射線である。
5.キット
本発明はまた、E−セレクチン、ICAM−1及びVEGFR−3のうちの一又は複数の発現レベルの決定に適したオリゴヌクレオチド又はポリペプチドを含む診断組成物又はキットに関連する。本発明に詳述するように、DNA、RNA、又はDNA及びRNAプローブの混合物は、マーカー/指標タンパク質のmRNAレベルを検出するうえで使用され、一方でポリペプチドは特定のタンパク質−タンパク質相互作用によりマーカー/指標タンパク質のタンパク質レベルを直接検出するうえで使用される。本発明の好ましい態様では、E−セレクチン、ICAM−1及びVEGFR−3のうちの一又は複数の発現レベルに関するプローブとして包含され、本明細書に記載されるキット又は診断組成物に含まれるポリペプチドは、これらタンパク質に特異的であるか、又はそのホモログ及び/又は切断型に特異的な抗体である。
したがって、本発明のさらなる実施態様は、E−セレクチン、ICAM−1及びVEGFR−3のうちの一又は複数の発現レベルを決定することができるオリゴヌクレオチド又はポリぺプチドを含む、本明細書に記載の方法を実行するために有用なキットを提供する。オリゴヌクレオチドは、本明細書に記載のマーカー/指標のうちの一又は複数をコードするmRNAに特異的なプライマー及び/又はプローブを含み、ポリペプチドは、マーカー/指標タンパク質、例えばマーカー/指標特異的抗体又は抗体断片と特異的に相互作用することができるタンパク質を含む。
上述の方法に加えて、本発明はさらに、例えばウェスタンブロット法及びELISAに基づく検出により、E−セレクチン、ICAM−1及びVEGFR−3のうちの一又は複数の発現レベルを評価又は決定するための免疫測定法も包含する。また、当技術分野において理解されるように、本発明のマーカー/指標タンパク質の発現レベルは、本技術分野において既知のいずれかの適切な方法、例えばノーザンブロット法、リアルタイムPCR、及びRT PCRによりmRNAレベルで評価される。免疫測定法及びシステム、並びにmRNAに基づく検出法及びシステムは、当技術分野において周知であり、標準的な教科書、例えばLottspeich (Bioanalytik, Spektrum Akademisher Verlag, 1998) 又はSambrook and Russell (Molecular Cloning: A Laboratory Manual, CSH Press, Cold Spring Harbor, NY, U.S.A., 2001)から推測される。記載される方法は、乳癌、特に局所的に再発性又は転移性のHER2陽性乳癌と診断された集団において確立されたコントロールレベルと比較した、患者又は患者群におけるE−セレクチン、ICAM−1及びVEGFR−3の発現レベルを決定するために特に使用される。
また、E−セレクチン、ICAM−1及びVEGFR−3のうちの一又は複数の発現レベルは、免疫凝集、免疫沈降(例えば、免疫拡散、免疫電気泳動、免疫固定)、ウェスタンブロット技術(例えば、(インシツ)免疫細胞化学、親和性クロマトグラフィー、酵素免疫測定法)などを利用することによりタンパク質レベルにおいて決定することができる。また、溶液中の精製されたポリペプチドの量は、物的方法、例えば測光によって決定される。混合物中の特定のポリペプチドを定量化する方法は、通常、例えば抗体の、特異的結合に依存する。抗体の特異性を活用する特定の検出及び定量化方法は、例えば免疫測定法を含む。例えば、患者試料中の本発明のマーカー/指標タンパク質の濃度/量は、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって決定される。別法として、ウェスタンブロット分析又は免疫染色を実行することができる。ウェスタンブロット法は、電気泳動によるタンパク質の混合物の分離と、抗体を用いた特異的検出とを組み合わせる。電気泳動は、2D電気泳動のような多次元とすることができる。通常、ポリペプチドは、一次元に沿ったそれらの見かけの分子量と、他次元に沿ったそれらの等電点とによる2D電気泳動において分離される。
上述のように、本発明によるマーカー/指標タンパク質の発現レベルは、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3をコードする対応する遺伝子の発現増大にも反映される。したがって、翻訳に先立つ遺伝子産物(スプライスされたmRNA、スプライスされていないmRNA、又は部分的にスプライスされたmRNA)の定量的評価を、対応する遺伝子の発現を評価するために実行することができる。当業者であれば、この文脈で使用される標準的な方法が分かるか、又は標準的教科書(例えば、Sambrook, 2001, loc. cit.)からこれらの方法を推測することができるであろう。例えば、E−セレクチン、ICAM−1、及びvEGFR−3のうちの一又は複数をコードするmRNAの相対的濃度/量に関する定量的データを、ノーザンブロット、リアルタイムPCRなどにより取得することができる。
本発明のさらなる態様では、本発明のキットは、本発明の方法を実行するために有利に使用され、とりわけ、診断分野で又は研究ツールとして、種々の用途において利用されうる。本発明のキットの部品は、バイアルに個別に包装することができるか、又は容器若しくは多重容器単位の組合せに包装することができる。キットの製造は、好ましくは当業者に既知の標準的手順に従う。キット又は診断組成物は、本明細書に記載される本発明の方法に従って、例えば本明細書に記載される免疫組織化学技術を利用して、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3のうちの一又は複数の発現レベルの検出のために使用される。
本明細書に記載される検出方法に使用される場合、当業者は、本発明に包含されるポリペプチド、例えば抗体、又はオリゴヌクレオチドを標識する能力を有する。当技術分野でルーチン的に実行されるように、mRNAレベルの検出に使用されるハイブリダイゼーションプローブ、及び/又は免疫測定法に使用される抗体若しくは抗体断片は、当技術分野で既知の標準的方法に従って標識して可視化することができ、広く使用されているシステムの非限定的例には、放射標識、酵素標識、蛍光タグ、ビオチン−アビジン複合体、化学発光などが含まれる。
以下の非限定的実施例により、本発明についてってさらに説明する。
実施例1−HER2陽性の局所的に再発性又は転移性の乳癌を有する患者のための第一線治療としての、ベバシズマブとトラスツズマブ/ドセタキセルとの組み合わせの、トラスツズマブ/ドセタキセルのみとの比較−AVEREL試験
本明細書に開示される臨床試験の第1の目的は、トラスツズマブ/ドセタキセルのみに無作為に割り付けた患者に対し、ベバシズマブとトラスツズマブ/ドセタキセルとの組み合わせに無作為に割り付けた患者の無増悪生存率(PFS)を比較することであった。第2の目的は、全生存(OS);最良全奏効率(OR);奏功期間(DR);治療成功期間(TTF);ベバシズマブをトラスツズマブ及びドセタキセルと組み合わせることの安全性及び忍容性;並びに生活の質を評価することであった。
具体的には、本明細書に記載の研究は、(1)3週毎に15mg/kgのベバシズマブ+8mg/kgのトラスツズマブの負荷用量、その後3週毎に6mg/kgを疾患の進行まで用いること+3週毎にドセタキセル100mg/2を最低6サイクル用いることが、トラスツズマブ8mg/kgの負荷用量、その後3週毎に6mg/kgを疾患の進行まで用いること+3週毎にドセタキセル100mg/m2を最低6サイクル用いることと比較したとき、PFSの主要変数に好ましい治療結果をもたらすこと;並びに(2)3週毎に15mg/kgのベバシズマブ+8mg/kgのトラスツズマブの負荷用量、その後3週毎に6mg/kgを疾患の進行まで用いること+3週毎にドセタキセル100mg/m2を最低6サイクル用いることが、許容可能な安全プロファイルを有することを決定するためのものであった。
研究デザイン
治験は、無作為化、非盲検、2治療群、多施設共同の、第III相試験であった。患者は、中央無作為化プロセスにより1:1ベースで治療群に割り付けられた。ブロックデザイン無作為化手順が使用された。二つの治療群間の患者集団の重要な予後因子の不均衡を回避するために、患者は以下の基準に従って階層化された。
・事前のアジュバント/ネオアジュバント/タキサン/アジュバント/ネオアジュバント化学療法の最終投与からの経過時間。患者は、まず、タキサンによる事前治療について階層化された(あり対なし)。「タキサン歴なし」であれば、第2の階層化、即ち、アジュバント/ネオアジュバント化学療法を受けたことがない、又は化学療法の最終投与からの経過時間が<12ヶ月に対し、化学療法の最終投与からの経過時間が≧12ヶ月が実行された。
・トラスツズマブなしに対してアジュバント治療の一部としてのトラスツズマブ
・ホルモンレセプター(ER/PgR)ステータス(陽性対陰性)、及び
・測定可能な疾病(あり対なし)
患者は、以下二つの治療群の一方に無作為に割り付けられた。
・治療群Aトラスツズマブ8mg/kgの負荷用量、その後、3週毎に6mg/kgを疾病の進行まで用い+3週毎にドセタキセル100mg/m2を、最低6サイクル(又は疾病進行若しくは許容不能な毒性の発生のいずれか早い方まで)用いた。進行又は毒性なしで6サイクル後、ドセタキセルを、治験責任者の裁量でさらなるサイクルにわたり継続した。
・治療群Bトラスツズマブ8mg/kgの負荷用量、その後3週毎に6mg/kgを疾病の進行まで用い+3週毎にドセタキセル100mg/m2を、最低6サイクル(又は疾病進行若しくは許容不能な毒性の発生のいずれか早い方まで)用いた。進行又は毒性なしで6サイクル後、ドセタキセルを、治験責任者の裁量でさらなるサイクルにわたり継続し、+疾病進行まで3週毎にベバシズマブ15mg/kgを用いた。
表1:研究の要旨及び投与レジメン
Figure 2015522815
研究期間
約29ヶ月にわたって60の施設から424名の患者が募集され、主要評価項目(PFS)について約26週間にわたって追跡された。
研究の終了
これは事象待ち方式の(event driven)試験であった。主要評価項目の分析は、無作為に割り付けられた424名の患者に310の事象が確認されたとき実行された。最後の患者の無作為化の約36か月後に追加的な全生存率分析が行われ、この時点で治験は終了した。研究は、この治験に参加している最後の患者の最終訪問日に終了し、これは最終患者の無作為化の約36か月後に行われた最後の全生存率分析と同時であった。
最後の全生存率分析のためのこの臨床的カットオフの後、研究治療の恩恵を受けた患者は、疾病の進行までベバシズマブの治療を継続することができた。
患者の数/424名の患者が二つの治験群に1:1で無作為化された治療群への割り付け:
・トラスツズマブ/ドセタキセル治療群に205名のHER2陽性患者(治療群A);及び
・ベバシズマブ+トラスツズマブ/ドセタキセル治療群に205名のHER2陽性患者(治療群B)。
患者は無作為に治療群に割り付けられた。患者は、研究治療の初回用量を、無作為化当日、遅くとも無作為化後5営業日以内に受けた。どのような状況であろうと、本研究に登録した患者は本試験に再無作為化されて、第2の治療コースに登録することを許された。
適格患者登録基準
局所的に再発性又は転移性のHER2陽性乳癌(原発腫瘍−T4d炎症性乳癌を除く)を有する閉経前及び閉経後の女性及び男性患者。患者は、無作為化の3週前に完了しており、照射が骨髄を含む骨の30%を超えていなければ、事前に転移性乳癌(MBC)のための放射線治療を受けていてもよかった。無作為化の少なくとも6ヶ月前に終了していれば、事前のアジュバント放射線療法が許可された。
アジュバント療法としてトラスツズマブを受けた患者は、トラスツズマブの最後のアジュバント投与から≧6か月が経過していれば登録を許可された。患者は、心エコー検査又はMUGAにより測定さたときにLVEFとして定義されるベースラインの適正な左室駆出率を有していなければならなかった。アジュバント疾患のためのアントラサイクリンを用いて治療された患者は、最大累積用量がドキソルビシン360mg/m2又はエピルビシン720mg/m2以下であった場合に研究に含めることができた。
患者は、組織学的に又は細胞学的に確認されたHER2陽性の、測定可能又は測定不能な局所的に再発性又は転移性の疾患を有する閉経前又は閉経後の***腺癌を有していなければならなかった。患者は、一般状態良好(ECOG 0〜1)、正常な肝臓、腎臓、及び骨髄機能を有していなければならず、プロトコールの順守又は結果の解釈に影響しうる他の重度の疾患があってはならなかった。患者の、胃腸穿孔、高血圧、タンパク尿、及び創傷治癒合併症、血栓塞栓症、又は出血のリスクは、高くてはならなかった。転移により引き起こされた転移性CNS疾患又は脊髄圧迫を有する患者は適格ではなかった。患者は過去5年以内に別の原発腫瘍を有していてはならなかった(十分に治療された頸部のCIS、皮膚扁平上皮癌、又は基底細胞皮膚癌を除く)。妊娠中又は授乳中の女性は除外された。
患者が無作為化の時点で少なくとも二週間安定なレベルの抗凝固にある限り、治験登録時の完全な抗凝固は許可された。
適格性基準:
1.患者の年齢≧18歳;
2.プロトコールを遵守できる;
3.ECOG PS≦1;
4.平均余命≧12週
5.化学療法の候補であった、組織学的又は細胞学的に確認された乳癌(乳腺癌)を有する閉経前又は閉経後の患者で、測定可能又は測定不能な局所的に再発性又は転移性の病変(原発腫瘍−T4d−炎症性乳癌を除く)を有する患者。局所的に再発性の疾病には、治癒目的の切除の可能性がなかった。ER/PgR及びHER2ステータスは、文書化されていなければならなかった。
6.患者は、無作為化に先立ち中央研究室により確認された原発腫瘍又は転移の、免疫組織化学(IHC)により決定されたHER2タンパク質過剰発現(3+);又は蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)若しくはchromogenic in situハイブリダイゼーション(CISH)により決定されたHER2/c−erbB2の増幅を有していなければならなかった。中央研究室による原発腫瘍のHER2陽性の確認は、この治験では、以前にRoche又はGenentechが出資したアジュバントトラスツズマブの治験に参加し、そこでHE2ステータスが中央で確認されている患者については必要とされなかった。(例えば、HERA、BCIRG006、NSABP B31、又はグループ間/NCCTG/H2061治験);
7.アジュバント療法においてトラスツズマブを受けた患者は、トラスツズマブの最終投与後6ヶ月以内に再発をみていない限り適格であった;
8.アジュバント又は非アジュバント療法においてアントラサイクリンにより治療された患者は、最終投与が無作為化に先立ち>6カ月である場合にのみ適格である。最大累積投与量は、ドキソルビシンについては360mg/mを、エピルビシンについては720mg/mを、それぞれ超えてはならなかった。
9.タキサンにより治療されている患者は、最後のアジュバント又は非アジュバント化学療法が、無作為化に先立つ>12ヶ月であった場合にのみ適格であった。
10.心エコー又はMUGAにより測定されるベースラインの左室駆出率(LVEF)が50%を下回らない。
11.十分量の経口又は非経口抗凝結剤の使用は、患者の抗凝結レベルが無作為化の時点で少なくとも二週間にわたって安定であった倍に限り許可された。
・ベースラインPTTがUNL又はヘパリン治療開始前の患者の値の1.5〜2.5倍であったヘパリン治療中の患者
・一日量1.5の低分子量でヘパリン(LMWH)を受けていた患者
・パッケージ挿入物により、2mg/kg(エノキサパリン)又は適切な投与量の対応する抗凝結剤
・1〜4日空けた二回の連続測定のベースラインで評価されたINRが2.0〜3.0であった、クマリン誘導体治療中の患者
・抗凝結剤投与を受けていない患者は、無作為化に先立つ7日以内に、INR≦ULNの1.5倍、及びaPTT≦ULNの1.5倍を有していなければならなかった。
除外基準:
1.転移性又は局所的に再発性の乳癌のための事前の化学療法。事前のホルモン治療は許可されたが、無作為化に先立ち少なくとも2週間前に終了していなければならなかった。
2.転移性乳癌の治療のための事前の化学療法は、以下の場合許可されなかった:
・骨髄を含む骨の30%を上回る部分が照射されていた場合
・化学療法の最後の部分が無作為化に先立つ3週以内に投与された場合
無作為化の少なくとも6か月前に終了していれば、乳癌のための事前のアジュバント放射線療法は許可された。
3.無作為化に先立つ過去5年以内の他の原発腫瘍(原発脳腫瘍を含む)。但し、適切に治療された子宮頸部上皮内がん、皮膚の扁平上皮がん、又は適切に制御された一部の基底細胞皮膚癌は例外とした。
4.脊髄圧迫の証拠又はCNS転移の最新証拠。脳転移の臨床的疑いがある場合、脳のCT又はMRI走査が義務付けられた(無作為化前4週以内)。
5.CNS疾患(癌に無関係の)(標準の医学療法により適切に治療されていない限り)、例えば制御されていない発作の身体的/神経学的検査による病歴又は証拠
6.研究治療開始前28日以内の、大きな外科的処置、直視下生検、若しくは重大な外傷、又は研究治療の過程で大きな外科手術が必要になるという予測
7.無作為化の時点で既存の末梢神経障害>CTC グレード2
8.不十分な骨髄機能:ANC<1.5×109/L、血小板数<100×109/L及びHb<9g/dL。
9.不十分な肝機能:
・血清(総)ビリルビン>ULN
・AST及びALT>2.5×ULN
・AST又はALT>1.5×ULN、と同時に血清アルカリホスファターゼレベル>2.5×ベースラインのULN
10.不十分な腎機能:
i.血清中クレアチニン>2.0mg/dL又は177μmol/L
ii.タンパク尿用の尿計深棒≧2+。計深棒による尿検でベースラインの蛋白尿が≧2+であった患者は、24時間尿を集め、≦タンパク質1g/24 時間を示さなければならない。
11.コルチコステロイド剤を用いた長期にわたる毎日の治療(>10mg/日の用量のメチルプレドニゾロン等価物)(吸引ステロイドを除く)
12.アスピリン(>325mg/日)又はクロピドグレル(>75mg/日)を用いた長期にわたる毎日の治療
13.制御されない高血圧症(収縮期>150mmHg及び/又は拡張期100mmHg)、又は臨床的に重大な(即ち活動性の)循環器疾患:CVA/拍(無作為化前≦6カ月)、心筋梗塞(無作為化前≦6カ月)、不安定狭心症、ニューヨーク心臓病学会(NYHA、添付文書6)クラス2以上のうっ血性心不全、又は薬物療法を必要とする深刻な不整脈
14.出血の危険のある、遺伝性の出血性素因又は凝結障害の病歴又は証拠
15.無作為化前6カ月以内の腹痩、胃腸穿孔、又は腹腔内腫瘍の病歴
16.無作為化の時点で抗生物質の静脈内投与を要する活動性感染症
17.深刻な非治癒性創傷、消化性潰瘍、又は骨折
18.他のいずれかの疾患、代謝若しくは精神的機能障害の証拠、治験薬の使用に禁忌を示す疾病若しくは状態、又は患者の試験ルーチン遵守に影響しうる、又は患者の治療合併症の危険を高める疾患若しくは状態があることの合理的疑いを与える臨床検査室所若しくは見理学的検査所見
19.妊娠中又は受任中の女性。研究治療開始前7日以内、又は研究治療開始前7日以内の確認のための尿妊娠テストの14日以内に血清妊娠テストを評価する。
20.避妊の有効な非ホルモン手段(殺***ゼリー若しくは避妊手術と組み合わせた子宮内避妊器具、避妊のバリアー法)を使用していない、妊娠の可能性がある患者(最後の月経後<2年の女性)
21.現在若しくは最近(研究治療開始前30日以内)の、別の治験薬を用いた治療、又は別の治験への参加
22.試験薬又は賦形剤のいずれかに対する既知の過敏症
23.チャイニーズハムスター卵巣細胞産物又は他の組み換えヒト若しくはヒト化抗体に対する過敏症
結果:
治験責任者が評価したPFS(プロトコールで規定された治療以外の治療(NPT)について層別化されておらず、打ち切られていない)における改善は、上述のように、研究のコントロール治療群のPFSと比較して2.8カ月長いと計算された。具体的には、表2にまとめるように、メジアンPFSは、コントロール群(治療群A)の場合13.7カ月であったのに対し、「ベバシズマブ」群(治療群B)の場合16.5か月であり、ハザード比は、95%CI 0.65,1.02),p値=0.0775において0.82であった。
表2:治験責任者の評価によるPFS
Figure 2015522815
さらに、NPTについて層別化され及び打ち切られた、独立審査委員会(IRC)の評価によるPFS結果は、統計的に有意であった。具体的には、表3にまとめるように、メジアンPFSは、コントロール群(治療群A)の場合13.9カ月であったのに対し、「ベバシズマブ」群(治療群B)の場合16.8か月であり、ハザード比は、95%CI(0.54,0.94),p値=0.0162において0.72であった。概して、「治療群B」又は「ベバシズマブ」群のメジアンPFSは、研究のコントロール治療群のPFSより2.9ヶ月長かった。
表3:独立審査委員会(IRC)のPFS
Figure 2015522815
研究の客観的奏効率(ORR)結果として、治験責任者評価結果(INV)及び独立審査委員会(IRC)評価結果の両方を表4に示す。特にINV評価ORRについて、研究により、コントロール治療群では69.9%であるのに対し、「ベバシズマブ」又は治療群Bにおいては74.3%が示された。両者の違いは95%CI(−5.2%、14.0%)で4.43%であり、p値は0.3492であった。IRC評価ORRについては、研究により、コントロール治療群では65.9%であるのに対し、「ベバシズマブ」又は治療群Bにおいては76.5%が示された。両者の違いは95%CI(1.0%、20.2%)で10.59%であり、p値は0.0265であった。
表4:客観的奏効率(ORR)
Figure 2015522815
研究の暫定的全生存(OS)結果が表5にまとめられており、これにはメジアン生存率が、コントロール治療群で38.3カ月であるのに対し、「ベバシズマブ」治療群Bでは38.5ヶ月であり、95%CI(0.74、1.38)でハザード比(HR)が1.01であり、p値が0.9543であることが示されている。
表5:暫定的全生存(OS)
Figure 2015522815
さらに、安全性の予備評価により、本研究の患者が示した新規の安全信号はないことが実証された。
実施例2−AVEREL試験における探索的バイオマーカー解析
患者及び免疫化学的方法
本治験では、162名の患者から解析用血漿ベースライン試料が入手可能であった。
血漿分析
バイオマーカーの発見及び確認のための血漿は、試験BO20231に同意している患者から収集された。血漿(全部で約20mL)は、ベースライン(無作為化後、試験薬物の初回投与前)、及び疾病進行の時点で収集された。
全部で4.9mLの血液をS−monovette(登録商標)(EDTA)管に引き込んだ。その後直ちに、それは管を穏やかに反転させることにより混合され、30分以内に遠心分離機内において1500gで遠心分離された(室温で10分間)。その後直ちに、上清プラズマは透明なポリプロピレンの5mLの移送管に分注された。その後、プラズマを2のプラスチック貯蔵管に分注した(約1.25mlずつ)。試料は直立位置において−70℃で貯蔵された。いくつかの事例では、試料は1ヶ月まで−20℃で貯蔵され、次いで−70℃に移された。
試料は、Roche Diagnostics GmbHの免疫学的MultiParameter Chip Technique(IMPACT)を用いて、インターロイキン−8(Il−8)、細胞間接着分子1(ICAM−1)、VEGFA、VEGF−C、VEGFレセプター−1(VEGFR1)、VEGFレセプター2(VEGFR2)、VEGFレセプター−3(VEGFR3)、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)、血小板由来増殖因子−C(PDGF−C)、及びE−セレクチンのレベルの測定に使用された。
IMPACTマルチプレックスアッセイ技術
Roche Professional Diagnostics(Roche Diagnostics GmbH)は、使用名IMPACT(免疫学多パラメーターチップ技術)の下に、多重マーカープラットフォームを開発した。この技術は、「血漿分析」セクションにおいて上述されたタンパク質マーカーの測定に使用された。この技術は、EP0939319及びEP1610129において開示されている手順によって製造された小さなポリスチレンチップに基づいている。すべてのアッセイについて、チップ表面はストレプトアビジン層によってコーティングされ、次いでその上にビオチン化抗体が斑状に置かれた。各マーカーについて、抗体の斑がチップ上に垂直線で添加された。アッセイ中、アレイは特定の分析物を含む標本試料を用いてプローブされた。
チップ上のすべてのマーカーを測定するために標本あたりに必要とされるプラズマ容量は、チップ1について20μl、チップ2及びチップ3について8μLであった(以下参照)。チップ当たりの総反応用量を40μlにするために、試料容量はインキュベーションバッファー(50mMのHEPES、pH7.2、150mMのNaCl、0.1%のThesit、0.5%のウシ血清アルブミン、及び防腐剤として0.1%のオキシピリオン(Oxypyrion))と共に適用された。12分間のインキュベーション及び洗浄バッファー(5mMのトリス、pH7.9、0.01%のThesit及び0.001%のオキシピリオン)を用いたチップ洗浄後、結合された(digoxigenylated)検出抗体を添加し(Digoxigeninを用いて標識された分析物特異性抗体の混合物を含む40μLのインキュベーションバッファー)、さらに6分間インキュベートして捕獲された分析物上に結合させた。蛍光ラテックスに結合した抗ジゴキシゲニン抗体コンジュゲートを含む40μLの試薬バッファー(62.5mMのTAPS、pH8.7、1.25M NaCl、0.5%牛血清アルブミン、0.063%TWEEN20及び0.1%オキシピリオン)を用いて洗浄後、第2の抗体が最終的に検出された。この標識を使用して、単一のスポットに10の個別の結合事象を検出することができ、その結果、fmol/Lの濃度まで、極めて高い感受性が得られた。チップを検出ユニットに運搬し、電荷結合素子(CCD)カメラにより、専用ソフトウェアを用いてシグナル強度に転換される画像を生成した。個別のスポットは所定の位置に自動的に位置確認され、画像解析により定量化された。各マーカーについて、10〜12のスポットのラインをチップ上に置き、チップ上の各ラインから少なくとも5のスポットの平均としてマーカーの濃度を計算した。この技術の利点は、サンドイッチ又は競合的形式で10のパラメータまでを多重化することができることである。キャリブレーター及び患者試料は二重測定した。一回の実行は、キャリブレーター及び実行コントロールとして2の多重コントロールを含め、全部で100の決定を含むようにデザインされた。選択された分析物のいくつかは互いに反応するため(即ち、VEGFAと、VEGFR1又はVEGFR2)、分析物は、以下のようにして三の異なるチップに分割された:
チップ1:VEGFA、VEGF−C、PDGF−C
チップ2:VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、Il−8、bFGF、
チップ3:E−セレクチン、ICAM−1
表6.本アッセイに使用された抗体
Figure 2015522815
統計的分析
バイオマーカー値を低(メジアン未満)又は高(メジアン以上)に二分するために、試料メジアンが使用された。
高い又は低いバイオマーカー値を用いた患者のサブグループにおける治療効果のハザード比は、比例ハザードコックス回帰分析を用いて推定された。
さらに、比例ハザードコックス回帰は、マイオマーカー値と治療効果との関連を評価するために使用された。モデルは以下の共変量、即ち、治験治療、バイオマーカーレベル、二値の層別因子(ER/PgRステータス、ベースラインにおいて測定可能な疾患、事前アジュバント/ネオアジュバントタキサン/アジュバント/ネオアジュバント化学療法の最終投与後経過時間、事前トラスツズマブネオアジュバント療法)、バイオマーカーレベルによる治療の相互作用項を含んでいた。マイオマーカーレベルと治療効果との関連を決定するために、相互作用項のワルド検定が使用された。0.05を下回るP値を有意と考慮した。
統計方法
解析集団
本研究では、バイオマーカー評価可能な集団は、研究薬物のいずれかの成分を投与され、且つ上述のように評価される以下のバイオマーカーと市販の抗体、即ちVEGF−A、VEGF−C、VEGF−R1、VEGF−R2、E−セレクチン VEGFR−3、IL−8、bFGF、PDGF−C、ICAM−1のいずれかについてベースラインにおけるマーカーレベルを有していたすべての患者から構成されると定義された。
多様性のための調整
I型のエラーの膨張を回避するために、以下に示されるバイオマーカーに階層が適用された。各バイオマーカーは、両側5%αレベルで試験され、統計的有意性があった場合のみ、階層の次のバイオマーカーが試験された。
1.VEGF−A
2.VEGF−R2
3.ICAM−1
4.bFGF
5.IL−8
6.VEGF−R1
7.PDGF−C
8.VEGF−C
9.VEGFR−3
10.E−セレクチン
有効性の解析
PFS及びOSは、研究BO20231のデータ報告解析マニュアル(DRAM)において特定されているように定義されている。バイオマーカーデータの解析は、最後のPFS解析の時点におけるPFS(治験責任者の評価による)データに基づいていた。試料メジアンバイオマーカー濃度は、群の患者のカットポイントとして使用された(高レベルの濃度対低レベルの濃度)。
無増悪の解析
バイオマーカー評価可能集団のPFSについて、以下の解析が実行された。
・バイオマーカーレベルの低い及び高い患者のカプランマイヤー曲線に基づいて推定されたメジアンPFS(95%CI)
・バイオマーカーレベルの低い及び高い患者のコックスモデルに基づく未層別化(&PFSについて層別化されたHR(95%CI)
・バイオマーカーレベルの四分位によるコックスモデルに基づく未層別化HR(95%CI)
・HER2陽性の局所的に再発性又は転移性の乳癌を有する患者の、PFSに対するベバシズマブによる治療効果がバイオマーカーにより予測可能かどうかを評価するために、ベースラインバイオマーカーレベル(試料メジアンにおいて高及び低として二分される二値の変数として)、治療、ベースライン予後因子、及び相互作用項(治療によるベースラインバイオマーカーレベル)を含むコックスモデルを使用した、バイオマーカー評価可能患者の相関テストが実行された。
結果
血漿マーカー
バイオマーカーのベースライン記述統計を表7に提示する。
表7:バイオマーカー値(ベースライン)の記述統計
Figure 2015522815
表8に、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3の、治験責任者評価による無増悪生存に対する治療効果との関連の解析結果を提示する。
表8
Figure 2015522815
この分析では、E−セレクチンについて、E−セレクチンが高い(≧36.9ng/mL)、E−セレクチンが低い(<36.9ng/mL)、及びICAM−1について、ICAM−1が高い(≧210ng/mL)、ICAM−1が低い(<210ng/mL)、VEGFR−3について、VEGFR−3が高い(≧10.6ng/mL)、VEGFR−3が低い(<10.6ng/mL)が使用された。
高いベースラインICAM−1は、ベバシズマブによるPFS恩恵の増大と統計的に有意に相関していた(α=0.05)。VEGFR−3及びE−セレクチンは、予測的値としての可能性を示した。したがって、ICAM−1、E−セレクチン、及びVEGFR−3は、無増悪生存に対するベバシズマブの治療効果について独立の予測的バイオマーカーとなりえた。
また、ICAM−1の探索的四分位解析において、PFSに対するICAM−1の効果が明らかであった(表9)。
Figure 2015522815

Claims (43)

  1. 乳癌と診断された患者が、抗VEGF抗体を含む抗癌療法により程度の差はあれ適切に治療されるかどうかを決定するインビトロ法であって、
    (a)乳癌と診断された患者由来の試料における、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3からなる群より選択される少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルを決定すること、並びに
    (b)(a)による発現レベルに基づき、抗VEGF抗体を含む抗癌療法により、程度の差はあれ適切に治療されるとして患者を同定することであって、前記バイオマーカーの発現レベルが基準レベル以上である場合に、患者の抗癌療法による治療に対する適性が高いことが示され、又は前記バイオマーカーの発現レベルが基準レベルを下回る場合に、患者の抗癌療法による治療に対する適性が低いことが示される、同定すること
    を含む方法。
  2. 無増悪生存率の観点から、患者が抗癌療法によって適切に治療されるかどうかが決定される、請求項1に記載の方法。
  3. 患者を抗癌療法により治療することをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記抗癌療法は、抗VEGF抗体、抗HER2抗体、及びタキサンを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 乳癌と診断された患者のための治療を選択するインビトロ法であって、
    (a)患者由来の生体試料をアッセイすることにより、患者の、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3からなる群より選択される少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルが、基準レベル以上であることを決定すること、並びに
    (b)その決定に基づいて、抗VEGF抗体を含む抗癌療法を含む治療を選択すること
    を含む方法。
  6. 患者を抗癌療法により治療することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記抗癌療法は、抗VEGF抗体、抗HER2抗体、及びタキサンを含む、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 乳癌と診断された患者が、化学療法に対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に感受性であるかどうかを決定するインビトロ法であって、
    (a)乳癌と診断された患者由来の試料における、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3からなる群より選択される少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルを決定すること、並びに
    (b)(a)による発現レベルに基づき、化学療法に対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に感受性であるとして患者を同定することであって、前記バイオマーカーの発現レベルが基準レベル以上である場合に、患者が、化学療法に対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に感受性であることが示される、同定すること
    を含む方法。
  9. 患者を抗癌療法により治療することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
  10. 化学療法に対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に患者が感受性であるかどうかは、無増悪生存率の観点から決定される、請求項8又は9に記載の方法。
  11. 前記化学療法は、抗HER2抗体、及びタキサンを含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 乳癌と診断された患者のための抗癌療法を選択するインビトロ法であって、
    (a)患者由来の生体試料をアッセイすることにより、患者の、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3からなる群より選択される少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルが基準レベル以上であることを決定すること、並びに
    (b)その決定に基づいて、化学療法に対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法を選択すること
    を含む方法。
  13. 患者を抗癌療法により治療することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記化学療法は、抗HER2抗体、及びタキサンを含む、請求項12又は13に記載の方法。
  15. 前記患者は、局所的に再発性又は転移性のHER2陽性乳癌と診断されている、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記患者は化学療法又は放射線治療を受けたことがない、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記抗VEGF抗体はベバシズマブである、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記タキサンはドセタキセル又はパクリタキセルである、請求項4、7、11、及び14から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記タキサンはドキタキセルである、請求項18に記載の方法。
  20. 前記抗HER2抗体はトラスツズマブである、請求項4、7、11、及び14から19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記発現レベルはタンパク質の発現レベルである、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記試料は血漿試料である、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
  23. E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3の前記発現レベルは、それぞれ約36.9ng/mL、約210ng/mL、及び約10.6ng/mLである、請求項22に記載の方法。
  24. 前記少なくとも一のバイオマーカーはE−セレクチンである、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記少なくとも一のバイオマーカーはICAM−1である、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記少なくとも一のバイオマーカーはVEGFR−3である、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
  27. 乳癌と診断された患者の治療のための抗VEGF抗体を含む医薬組成物であって、患者は、請求項1から4、15から26のいずれか一項に記載の方法に従って、抗VEGF抗体を含む抗癌療法による治療に対する適性が高いと同定されている、医薬組成物。
  28. 乳癌と診断された患者の治療のための抗VEGF抗体を含む医薬組成物であって、患者は、請求項8から26のいずれか一項に記載の方法に従って、化学療法レジメンに対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に感受性であると同定されている、医薬組成物。
  29. E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3からなる群より選択される少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルを検出するための一組の化合物であって、前記バイオマーカーに特異的に結合できる抗体を含む一組の化合物を含む、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法を実行するためのキット。
  30. 乳癌と診断された患者に対する、化学療法を含む抗癌療法の治療効果を、化学療法レジメンに抗VEGF抗体を加えることにより改善する方法であって、
    (a)陽性乳癌と診断された患者由来の試料における、E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3からなる群より選択される少なくとも一のバイオマーカーの発現レベルを決定すること、
    (b)(a)による発現レベルに基づき、化学療法レジメンに対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に感受性であるとして患者を同定することであって、前記バイオマーカーの発現レベルが基準レベル以上である場合に、患者が、化学療法レジメンに対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に感受性であることが示される、同定すること、並びに、
    (c)有効量の化学療法レジメンと組み合わせた有効量の抗VEGF抗体を、(b)により、化学療法に対する抗VEGF抗体の追加を含む抗癌療法に感受性であるとして同定された患者に投与すること
    を含む方法。
  31. 前記化学療法レジメンは、抗HER2抗体、及びタキサンを含む、請求項30に記載の方法。
  32. 前記患者は、局所的に再発性又は転移性のHER2陽性乳癌と診断されている、請求項30又は31に記載の方法。
  33. 前記患者は化学療法又は放射線治療を受けたことがない、請求項30から32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 前記抗VEGF抗体はベバシズマブである、請求項30から33のいずれか一項に記載の方法。
  35. 前記タキサンはドキタキセル又はパクリタキセルである、請求項31に記載の方法。
  36. 前記タキサンはドキタキセルである、請求項35に記載の方法。
  37. 前記抗HER2抗体はトラスツズマブである、請求項31に記載の方法。
  38. 前記発現レベルはタンパク質の発現レベルである、請求項30から37のいずれか一項に記載の方法。
  39. 前記試料は血漿試料である、請求項30から38のいずれか一項に記載の方法。
  40. E−セレクチン、ICAM−1、及びVEGFR−3の前記発現レベルは、それぞれ約36.9ng/mL、約210ng/mL、及び約10.6ng/mLである、請求項39に記載の方法。
  41. 前記少なくとも一のバイオマーカーはE−セレクチンである、請求項30から40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 前記少なくとも一のバイオマーカーはICAM−1である、請求項30から40のいずれか一項に記載の方法。
  43. 前記少なくとも一のバイオマーカーはVEGFR−3である、請求項30から40のいずれか一項に記載の方法。
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