JP2015514949A - トロイダルころ軸受 - Google Patents
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Abstract
本発明は、外側リング(2)と、内側リング(3)と、外側リング(2)と内側リング(3)との間に介在された複数のころ要素(4)であって、トロイダルころ軸受(1)が、前記外側リング(2)と内側リング(3)との間の角度及び軸方向変位を可能にする、ころ要素(4)と、を備えるトロイダルころ軸受(1)に関する。さらに、軸受(1)は、ころ要素(4)を保持するためのケージ(5)を呈し、ケージ(5)は、外側リング(2)、内側リング(3)又はトロイダルころ軸受(1)の外側に位置付けられた独立要素(7)の少なくとも1つに対してころ要素(4)を軸方向にガイドするための手段(6)を呈する。
Description
本発明は、トロイダルころ軸受に関する。トロイダルころ軸受は、その軸受リングの軸方向及び角度変位を許容するその能力のために公知である。
第1の態様によれば、本発明は、トロイダルころ軸受に関する。第2の態様によれば、本発明は、トロイダルころ軸受及び軸受が取り付けられるシャフトを備える軸受装置に関する。
トロイダルころ軸受は、公知であり、且つその軸受リング(外側リング及び内側リング)の間の相対的な軸方向及び角度変位双方を可能にする能力のために何年も使用されている。トロイダルころ軸受の機能及び全体的な構造は、例えば特許文献1で説明されている。軸受の機能は、ころ要素の湾曲形状と一致するように構成された内側リング及び外側リングのレースウェイの湾曲構造によって可能とされる。従って、トロイダルころ軸受は、自動調心性能と大きな軸方向変位能力とを組み合わせる。
その特性に起因して、トロイダルころ軸受は、さまざまな軸受装置の設計において幅広い適用性を提供する。特に、トロイダルころ軸受は、例えば温度変化及び曲げにさらされる可能性がある長いシャフトを備える設計を簡素化する。さらに、トロイダルころ軸受の構造は、適切な荷重分配及び低摩擦稼働を可能にする。
異なる用途において生じる可能性があるトロイダルころ軸受を使用するときのいくつかの懸念事項が、発明者によって発見された。これら懸念事項は、例えば軸受内のケージによって引き起こされることが示されている。無負荷領域にある軸受内のころ要素は、ケージによって悪い方向に影響を及ぼされる可能性がある。例えば、ころは、無負荷領域にあるときに、ケージによってブレーキをかけられ、このことは、ころのスリップをもたらす。スリップが極めて大きくなると、ころ要素と軸受のレースウェイとの間に必要とされる潤滑膜が阻害されるか又はなくなりさえもするので、ころのスリップは、回避されるべきものである。これは、寿命を減少させることをもたらす。その無負荷領域にあるころに対して生じる可能性がある別の影響は、例えばケージによって引き起こされるころのスキューであり、スキューは、軸受における摩擦の増大、ケージ上での望ましくない力の増大又は軸受の構成要素の摩耗の増大をもたらす可能性がある。その無負荷領域にあるころに対して生じる可能性があるさらに別の影響は、ころがその軸方向において動かされることである。これは、ころの表面及びレースウェイ上での騒音及び損傷をもたらす可能性がある。
本発明の目的は、従来技術の問題の少なくとも1つを克服することである。
第1の態様によれば、この目的は、新たなトロイダルころ軸受の構造を提供することによって達成される。トロイダルころ軸受は、外側リングと、内側リングと、外側リングと内側リングとの間に介在された複数のころ要素であって、トロイダルころ軸受が、前記外側リングと内側リングとの間の角度及び軸方向変位を可能にする、ころ要素と、を備える。さらに、軸受は、ころ要素を保持し且つ離すためのケージを備え、ケージは、外側リング、内側リング又はトロイダルころ軸受の外側に位置付けられた独立要素の少なくとも1つに対してころ要素を軸方向にガイドするための手段を呈する。
この構造により、ころは、軸受の稼働中に、軸方向にガイドされ、且つころをそれらの負荷及び無負荷領域において適切な位置に保つ。発明者によって、ころ要素のサイズ、従って重量が大きい場合、軸受リングの一方に対してケージによってころ要素を軸方向にガイドすることが特に有利であることが分かった。特に、軸受が水平でないシャフトに取り付けられる場合又はころ要素が軸方向力にさらされるときの状況では、ころ要素を負荷又は無負荷状態双方にあるときに適切な位置に保つようにころ要素をガイドすることが必要であることが分かった。別の一実施形態では、独立要素、例えばリングが、ケージに対する対応するガイド要素として使用されてもよい。リングは、例えば軸方向において軸受の外側に位置決めされてもよい。
この文献では、単語、軸方向及び径方向が使用される。本発明の示される実施形態のいずれに対しても別に記載されないかぎり、この単語は、トロイダルころ軸受及びケージの配置に言及する。軸方向は、ケージ及びころ軸受の中心点に交わり且つ軸受及びケージの径方向と垂直な仮想線をたどる方向を意味する。径方向は、軸受及びケージの中心点から始まる軸受及びケージの径方向を意味する。
トロイダルころ軸受の一実施形態では、手段が、外側リング、内側リング又は独立要素の少なくとも1つに向かって径方向に延在する、ケージ上の少なくとも1つの部分である。部分は、ケージの円周の一部に沿って延在してもよい。別の一実施形態では、部分は、ケージの円周に沿って延在している。いくつかの径方向に延在する部分がケージの円周の周囲に位置付けられてもよい。
トロイダルころ軸受の一実施形態では、外側リング、内側リング又は独立要素の少なくとも1つは、外側リング、内側リング又は独立要素の周方向に延在する少なくとも1つの表面を呈し、表面は、手段を受けることができるよう意図され、それにより、ころ要素を軸方向にガイドする。手段が少なくとも径方向に延在する部分であるケースでは、部分は、ケージがころ要素を軸方向にガイドすることができるように、表面と接触することができるように構成されている。
トロイダルころ軸受の一実施形態では、少なくとも1つの表面は、内側リング及び/又は外側リングの軸方向における少なくとも一端に位置付けられている。さらに、部分は、ケージの軸方向の端部に位置付けられ、従って、部分及び表面が互いに接触することができるように対応する場所に位置付けられてもよい。
トロイダルころ軸受の一実施形態では、少なくとも1つの表面は、その軸方向の延在部において傾斜し、段付きであり、凹状であるか又は凸状である。傾斜するか又は類似する形状の表面は、表面が、表面と接触している別の要素に対する軸方向の抵抗力を作り出すことができることをもたらす。軸方向の抵抗力は、手段、例えばケージ上の部分に対して作用し、このため、ころ要素がケージによって軸方向にガイドされる。表面は、任意の軸方向において軸方向の抵抗力を作り出すことができるのであればどのような他の形状を有してもよい。
一実施形態では、表面は、表面とケージの部分との間に効果的な潤滑膜を形成することに適している形状を呈する。例えば、表面が段付き面である場合、ケージの部分と表面との間の潤滑膜が改良される。これは、表面と、表面と接触するよう意図される部分の一部と、の間の摩擦係数の減少をもたらす。改良された潤滑膜を形成することに適している表面の他の例は、粗面、くぼみを呈する面などである。
トロイダルころ軸受の一実施形態では、表面は、手段と表面との間で滑らかな滑り接触を可能とするために、0.20よりも小さい摩擦係数を有している。表面は、例えばスチール面上に滑らかな面粗さを提供すること又は表面上に低摩擦コーティングを提供することによって低摩擦係数を得てもよい。
本発明のトロイダル軸受は、多くの異なる用途、例えば風力タービン、製紙工場、製鋼工業、海洋用途、例えばポッド推進システムなどで使用することができる。
第2の態様によれば、目的は、第1の態様の実施形態のいずれかによるトロイダルころ軸受と、軸受が取り付けられるシャフトと、を備える軸受装置によって達成される。さらに、シャフトは、稼働中にその軸方向において振動するように意図されるか、もしくはシャフトは、(90−y)°である角度αに位置決めされ、yが0から89の間であるか、又は転がり要素が、稼働中に軸方向力Fにさらされる。
第1の態様のすべての実施形態が第2の態様のすべての実施形態に利用可能であり、逆もまた同様である。
新たなトロイダル軸受は、軸方向力がころ要素に作用するときに特に有利である。軸方向力は、例えば軸受が水平でないシャフトに取り付けられる場合に、ころ要素に対して作用する。
以下に、複数の好ましい実施形態のより詳細な説明が記載される。本発明をより好ましく明確にするために、添付の図面は、縮尺通りに描かれず、いくつかのケースでは、特別な細部が誇張されている可能性があることに留意すべきである。さらに、特許請求の範囲に記載される本発明は、説明され且つ示される実施形態に限定されず、当業者には、特許請求の範囲内で修正が可能である。
図1には、本発明によるトロイダルころ軸受1の軸方向の断面図が開示されている。断面は、軸受1の軸線が平面内にある平面の断面である。トロイダルころ軸受1は、外側リング2、内側リング3、複数のころ要素4及びケージ5を備えている。トロイダルころ軸受1は、内側リング3に対する外側リング2の軸方向及び角度変位を可能にする。これは、リング2,3及びころ要素4の形態により可能となる。内側リング3及び外側リング2は、凹状のレースウェイ31及び21をそれぞれ呈し、ころ要素4は、対応する凸形状を呈する。レースウェイ21,31及びころ要素4の曲面半径は、中心軸線とレースウェイにおける表面21及び31との間の最大距離よりも実質的に大きい。ケージ5は、ころ4が設置される複数のころ用ポケット(図示せず)を有し、これにより、ころ4を互いから離す。さらに、ケージ5は、内側リング3に対してころ要素4を軸方向にガイドするための手段6を呈する。軸方向の案内は、外側リング2又は図2に示される独立要素7に対して行われてもよい。この実施形態では、手段6は、ケージ5上の部分6である。部分6は、内側リング上の表面8に対して径方向に延在している。この実施形態の表面8は、傾斜している。もしも軸方向力が、図1において軸受1の左側からころ要素のいずれかに作用するときには、部分6は、傾斜面8に最終的に接触し、それにより、ころ要素4を軸方向にガイドする。軸受1上に部分6がなく且つ軸方向力が軸受1に作用した場合、ころ要素4は、力の方向に動き、最終的に軸受1の機能が弱められ、例えば、転がり摩擦を増大させることをもたらす軸受1の制動力をもたらす。この実施形態では、1つの部分6が、軸受1の一方の側に位置付けられ、且つ内側リング3の表面8に向けられている。当然ながら、他の部分6が、例えば外側リング2に向けられ、且つ/又は軸受1の軸方向における他方の側に位置付けられてもよい。この例では、部分6が、軸方向において外側リング2の外側の位置に位置付けられている。別の実施形態では、部分6は、軸方向において外側リング3の軸方向の幅の内側に位置決めされてもよいことが理解されるであろう。さらに、表面8は、他の形状を有してもよい。表面8が傾斜形状である場合には、表面8は、一方向における軸方向力に対処することができる。しかしながら、表面8は、双方の方向における軸方向力に対処することができる形状、例えば軸受リングの一方上の溝を有してもよく、この場合、部分6は、双方の方向の軸方向力に対処することができるように、溝内に部分的に位置付けられる。
図2は、本発明の別の実施形態の断面図を示している。トロイダルころ軸受1は、外側リング2、内側リング3、複数のころ要素4及びケージ5を備えて開示されている。断面は、軸受1の軸線が平面内にある平面の断面である。さらに、ケージは、独立要素7に対してころ要素を軸方向にガイドするための手段6を呈し、独立要素7は、同様に、傾斜面8を呈し、傾斜面8には、手段6、例えばケージ5の部分6が接触することができる。この実施形態では、独立要素7は、内側リング3の軸方向における一方の側に位置付けられるが、要素7は、他の場所に位置付けられるか、又は1つよりも多い独立要素7が、例えば内側リング3の軸方向の他方の側もしくは外側リング2の軸方向の任意の側に位置付けられてもよい。さらに、表面8は、いずれか又は双方の方向における軸方向力に対処することができることをもたらすどのような形状を有してもよい。この例では、部分6は、軸方向において外側リング2の外側の位置に位置付けられている。別の実施形態では、部分6は、軸方向において外側リング3の軸方向の幅の内側に位置決めされてもよいことが理解されるであろう。
図3は、本発明による軸受装置10の断面図を示している。断面は、軸受1の軸線が平面内にある平面の断面である。軸受装置10は、外側リング2、内側リング3、複数のころ要素4及びケージ5を備えるトロイダルころ軸受1を呈する。さらに、装置は、シャフト9を備え、軸受1が、軸受1の内側リング3によってシャフト上に取り付けられている。この実施形態では、シャフトは、ころ要素4に作用する軸方向力成分をもたらす水平でない角度αに位置決めされる。ケージ5は、軸受1の径方向に延在する部分6を呈し、内側リング3は、傾斜面8を呈する。部分6は、軸方向力がシャフト9の角度αに起因してころ要素4に作用するときに表面8を介してころ要素4を軸方向にガイドする。ころ要素に作用する力は、ころ要素4がリング2及び3に対して軸方向にずらされるように所定の大きさである必要があり、これにより、部分及び表面8を互いに接触させる。
図4aから図4dは、表面8の実施形態の断面図を示している。この例では、表面8は、トロイダルころ軸受の内側リング3上に位置付けられる。図4aは、凹状面8の例を示している。図4bは、段付き面8の例を示している。段付き面8は、1段よりも多くてもよい。図4cは、傾斜面の例を示し、図4dは、凸状面の例を示している。
1 トロイダルころ軸受、2 外側リング、3 内側リング、4 ころ要素、5 ケージ、6 手段、7 独立要素、8 表面、9 シャフト
Claims (8)
- − 外側リング(2)と、
− 内側リング(3)と、
− 前記外側リング(2)と前記内側リング(3)との間に介在された複数のころ要素(4)であって、トロイダルころ軸受(1)が、前記外側リング(2)と前記内側リング(3)との間の角度及び軸方向変位を可能にする、ころ要素(4)と、
− 前記ころ要素(4)を保持し且つ離すためのケージ(5)と、
を備えるトロイダルころ軸受(1)において、
− 前記ケージ(5)が、前記外側リング(2)、前記内側リング(3)又は前記トロイダルころ軸受(1)の外側に位置付けられた独立要素(7)の少なくとも1つに対して前記ころ要素(4)を軸方向にガイドするための手段(6)を呈することを特徴とするトロイダルころ軸受(1)。 - − 前記手段(6)が、前記外側リング(2)、前記内側リング(3)又は前記独立要素(7)の少なくとも1つに向かって径方向に延在する、前記ケージ(5)上の少なくとも1つの部分(6)であることを特徴とする請求項1に記載のトロイダルころ軸受(1)。
- − 前記独立要素(7)が、リングであることを特徴とする請求項1又は2に記載のトロイダルころ軸受(1)。
- − 前記外側リング(2)、前記内側リング(3)又は前記独立要素(7)の少なくとも1つが、前記外側リング(2)、前記内側リング(3)又は前記独立要素(7)の周方向に延在する少なくとも1つの表面(8)を呈し、前記表面(8)が、前記手段(6)を受けることができるよう意図され、それにより、前記ころ要素(4)を軸方向にガイドすることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のトロイダルころ軸受(1)。
- − 前記少なくとも1つの表面(8)が、前記内側リング(3)及び/又は前記外側リング(2)の軸方向における少なくとも一端に位置付けられていることを特徴とする請求項3に記載のトロイダルころ軸受(1)。
- − 前記少なくとも1つの表面(8)が、その軸方向の延在部において;傾斜し、段付きであり、凹状であるか又は凸状であることを特徴とする請求項4又は5に記載のトロイダルころ軸受(1)。
- − 前記表面(8)が、前記手段と前記表面との間で滑らかな滑り接触を可能とするために、0.20よりも小さい摩擦係数を有していることを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載のトロイダルころ軸受(1)。
- − 請求項1から7のいずれか一項に記載のトロイダルころ軸受(1)と、
− 前記軸受(1)が取り付けられるシャフト(9)と、
を備える軸受装置であって、
− 前記シャフト(9)が、稼働中にその軸方向において振動するよう意図され、
− 前記シャフト(9)が、(90−y)°である角度αに位置決めされ、前記yが、0から89の間であり、
− 前記転がり要素(4)が、稼働中に軸方向力Fにさらされることを特徴とする軸受装置。
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