JP2015232086A - 貼付用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、生体または生体材料への密着性に優れ、安定的に形成可能であり、さらには容易に剥がすことが可能なゲル膜を有する貼付用シートを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、数平均分子量が1千以上8万以下である高分子のゲル化物を含み、乾燥厚みが100nm〜10μmの範囲内であるゲル膜と、上記ゲル膜の外縁に配置され、上記ゲル膜を支持する支持枠とを有することを特徴とする貼付用シートを提供することにより、上記目的を達成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、医療用途または美容用途における利用に適した貼付用シートに関する。
美容用のシート状化粧料や医療用のハップ剤のように、皮膚等の生体表面に貼付される貼付用シートが従来から開発されている。
生体貼付用シートでは生体と接する表面に粘着剤を用いないことが望ましい。しかしながら、粘着剤を用いない従来の生体貼付用シートは生体表面に対する接着性が十分ではなく、なお改善の余地がある。
一方、特許文献1には、枠に張られた界面活性高分子の水溶液の泡膜を乾燥させて高分子自立膜を製造する方法が開示されている。特許文献1によれば、厚みがナノメートルオーダーの高分子自立膜を製造可能である。しかしながら、特許文献1では、製造された高分子自立膜を分離膜等の用途に利用することが意図されているが、生体へ貼付する用途については一切検討されていない。
特許文献1に開示された、ゼラチン等の界面活性高分子化合物の水溶液の泡膜を室温でまたは加熱して乾燥させる薄膜の製造方法は、泡膜中の高分子化合物の濃度が低い場合には乾燥時に泡膜が壊れてしまい薄膜を形成することができないという問題がある。また、特許文献1に記載の方法で製造された薄膜は密着性および柔軟性が十分ではなく、動きのある凹凸表面では剥がれ易いという問題がある。
そこで、本発明者は鋭意検討した結果、特許文献2、3に記載するように、ゼラチン、アガロース、コラーゲン等の高分子を含む水溶液から泡膜を形成し、泡膜を水を含んだ状態でゲル化させてヒドロゲル膜を得る方法は、泡膜を直接乾燥する特許文献1に記載の方法と異なり、水溶液中での高分子が低濃度である場合でも泡膜が壊れることなくヒドロゲル膜を形成可能であること、ならびに、得られたヒドロゲル膜を乾燥させた場合でも膜が壊れることがないことを見出した。さらには、この方法で得られたヒドロゲル膜および乾燥ゲル膜が、皮膚表面で十分な密着性を有し、かつ、動きのある凹凸表面に貼付した場合でも剥がれ難いことを見出した。
特許第5397772号公報 特開2013−223644号公報 特開2013−224281号公報
生体貼付用シートは、使用中には皮膚等への密着性が良いことが求められる。また、使用後は剥がしやすいことも求められる。
特許文献1には、架橋剤を用いて高分子自立膜を化学架橋することで、水に不溶な高分子自立膜を形成できることが開示されている。この場合、膜の強度が高くなるため、特許文献1で目的としている水処理膜等への応用は可能となるが、生体貼付用シートとして用いる場合には、使用後に皮膚等から膜を外す際に剥がし難くなり皮膚等を傷つけるおそれがある。
また、特許文献2、3に記載されているヒドロゲル膜や乾燥ゲル膜は、泡膜をゲル化させたものであるため、厚みが非常に薄い。そのため、膜を安定的に形成するには膜の強度を高めることが重要であるが、膜の強度を高くすると、上記の場合と同様に、ゲル膜を外す際に剥がし難くなり皮膚等を傷つけるおそれがある。
したがって、膜の安定形成、密着性および剥がしやすさを同時に達成できる膜を得ることは困難であった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、生体または生体材料への密着性に優れ、安定的に形成可能であり、さらには容易に剥がすことが可能なゲル膜を有する貼付用シートを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、数平均分子量が1千以上8万以下である高分子のゲル化物を含み、乾燥厚みが100nm〜10μmの範囲内であるゲル膜と、上記ゲル膜の外縁に配置され、上記ゲル膜を支持する支持枠とを有することを特徴とする貼付用シートを提供する。
本発明によれば、ゲル膜の乾燥厚みが所定の範囲内であり、非常に薄いので、柔軟性および皮膚等への密着性に優れている。したがって本発明の貼付用シートは、粘着剤成分を使用することなく皮膚等へ十分な強度で密着させることができ、かつ、動きのある凹凸表面に貼付した場合でも剥がれ難くすることができる。また、ゲル膜は高分子のゲル化物を含んでおり、高分子をゲル化させたものであるため、高分子の数平均分子量が比較的に低い場合であっても、高分子を含む水溶液の泡膜からゲル膜を形成する際には、泡膜が壊れることなくゲル膜を安定的に形成することができる。さらに、高分子の数平均分子量が所定の範囲内であることにより、使用後にはゲル膜を容易に剥がすことができる。
上記発明においては、上記高分子が寒天であることが好ましい。寒天は、寒天を含む水溶液の泡膜をゲル化してゲル膜を形成可能であり、また生体に対する安全性が高い高分子の一つであることから、好ましく用いられる。
本発明の貼付用シートは、生体または生体材料への密着性に優れ、安定的に形成可能であり、さらには容易に剥がすことが可能であるという効果を奏する。
本発明の貼付用シートの一例を示す概略平面図および断面図である。 本発明の貼付用シートの使用方法の一例を示す模式図である。 本発明の貼付用シートの使用方法の他の例を示す模式図である。 本発明の貼付用シートの製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の貼付用シートの製造方法の他の例を示す工程図である。
以下、本発明の貼付用シートについて詳細に説明する。
本発明の貼付用シートは、数平均分子量が1千以上8万以下である高分子のゲル化物を含み、乾燥厚みが100nm〜10μmの範囲内であるゲル膜と、上記ゲル膜の外縁に配置され、上記ゲル膜を支持する支持枠とを有することを特徴とするものである。
ここで、ゲル膜が「数平均分子量が1千以上8万以下である高分子のゲル化物を含」むとは、ゲル膜が、数平均分子量が1千以上8万以下である高分子をゲル化させたものであることを意味する。
また、ゲル膜の「乾燥厚みが100nm〜10μmの範囲内である」とは、例えばゲル膜が水を含んだ状態である場合には、乾燥させたゲル膜の厚みが上記範囲内であればよく、実際のゲル膜の厚みは上記範囲内でなくともよい。
本発明の貼付用シートについて図面を参照して説明する。
図1(a)、(b)は本発明の貼付用シートの一例を示す概略平面図および断面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A線断面図である。図1(a)、(b)に例示するように貼付用シート1は、所定の数平均分子量を有する高分子のゲル化物を含み、所定の乾燥厚みを有するゲル膜2と、ゲル膜2の外縁に配置され、ゲル膜2を支持する支持枠3とを有しており、ゲル膜2は支持枠3の開口を塞ぐように支持枠3に張られた状態で固定されている。
本発明においては、ゲル膜の乾燥厚みが所定の範囲内であり、ゲル膜は非常に厚みが薄いため、皮膚等の生体または生体材料の表面への高い密着性を有しており、かつ、高い柔軟性を有している。したがって本発明の貼付用シートは、粘着剤成分を使用することなく生体または生体材料へ十分な強度で密着させることができる。そのため、貼付時に粘着剤成分によるかぶれや肌荒れを抑制し、皮膚等への刺激を低減することができる。さらに、ゲル膜は高い凹凸追従性を有しており、本発明の貼付用シートを動きのある凹凸表面に貼付した場合でも剥がれ難くすることができる。
図2(a)〜(b)は本発明の貼付用シートのゲル膜を皮膚に貼付した状態の一例を示す模式図である。まず、指を曲げた状態で、水で湿らせた指の関節部分の皮膚表面に、貼付用シートのゲル膜2の面を表面張力で密着させ貼付する。この場合、貼付後に指を伸ばし皮膚表面にシワが形成されてもシワの形状に追従してゲル膜2も変形することができる。また、ゲル膜2は指の曲げ伸ばしを繰り返しても剥がれ難い。すなわち、本発明の貼付用シートは、優れた凹凸追従性を有しており、皮膚のように動きのある微細な凹凸表面に貼付された場合でも剥がれ難いのである。
図3(a)〜(c)は本発明の貼付用シートの使用方法の一例を示す模式図である。図3(a)〜(b)に示すように、支持枠3と、支持枠3で保持されているゲル膜2とを有する貼付用シート1は、表面が平坦ではない被貼付物30の表面形状に沿って変形することができる。また、図3(b)に示すように、貼付用シート1の支持枠3に固定された状態のゲル膜2の面を、水で湿らせた皮膚等の被貼付物30の表面に表面張力で十分に密着させ貼付することができる。ゲル膜2の周縁と支持枠3とは、ゲル膜2の表面と被貼付物30の表面との密着後に支持枠3を剥離した場合に分離する程度に弱く結合されているため、被貼付物30の表面にゲル膜2を貼付した後は、図3(c)に示すように、支持枠3を剥がし、ゲル膜2のみを被貼付物30表面に残すことができる。
また本発明においては、ゲル膜が所定の数平均分子量を有する高分子のゲル化物を含むことにより、数平均分子量が比較的高い高分子のゲル化物を含むゲル膜と比較して、ゲル膜の強度を低くすることができる。さらに、ゲル膜を水で膨潤させることでゲル膜の強度を低下させることができる。したがって、ゲル膜が崩れやすいため、使用後にゲル膜を外す際には、皮膚等を傷つけることなく、容易にゲル膜を剥がすことが可能になる。
また本発明においては、ゲル膜は高分子のゲル化物を含み、高分子をゲル化させたものであるため、高分子を含む水溶液の泡膜からゲル膜を形成する際には、泡膜が壊れることなくゲル膜を安定的に形成することができる。一方、特許文献1に記載されているように、泡膜をゲル化せずに乾燥させると泡膜が壊れてしまうおそれがある。特に、高分子の数平均分子量が低い場合には、泡膜をゲル化させずに乾燥させると泡膜が壊れやすい。これに対し本発明においては、上述のように、高分子の数平均分子量が比較的低い場合であっても、膜を安定して形成することができる。
このように本発明においては、皮膚等への密着性、膜の安定形成および剥がしやすさを同時に達成することが可能である。
以下、本発明の貼付用シートにおける各構成について説明する。
1.ゲル膜
本発明におけるゲル膜は、所定の数平均分子量を有する高分子のゲル化物を含み、所定の乾燥厚みを有するものである。
高分子の数平均分子量は1千以上8万以下の範囲内であり、好ましくは1万以上8万以下の範囲内、より好ましくは3万以上8万以下の範囲内、さらに好ましくは5万以上8万以下の範囲内である。高分子の分子量が高いと、使用後に皮膚等からゲル膜を外すのが困難になる。また、高分子の分子量が低いと、高分子を含む水溶液の泡膜をゲル化してゲル膜を形成する際に、泡膜が壊れやすかったりゲル化しにくかったりする場合がある。また、高分子の分子量は上記の範囲内で高いほうが、泡膜が壊れにくく、またゲル化しやすいため、ゲル膜を安定して形成することができる。
ここで、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した値である。例えば、下記の条件にて測定を行うことができる。
試料の調製:高分子を純水に0.125質量%になるように溶解し、3倍量のDMSOを添加し測定に用いる。
カラム:東ソー製 TOSOH TSK−GEL for HPLC、TSK−GEL SuperAWM−H
展開溶媒:10mM LiBrを含むDMSO
基準物質:プルラン
高分子のゲル化物は、物理ゲルであることが好ましい。物理ゲルであれば、ゲル膜の強度を低くすることができる。そのため、使用後にゲル膜を外す際には、皮膚等を傷つけることなく、容易にゲル膜を剥がすことが可能になる。
ゲル膜に用いられる高分子としては、所定の数平均分子量を有するものであれば特に限定されるものではないが、物理ゲルを形成可能なものであることが好ましい。また、後述するようにゲル膜は高分子を含む水溶液の泡膜をゲル化させたものであることが好ましいことから、高分子は、水溶性を有し、泡膜を形成可能なものであることが好ましい。また、高分子は、生体に対する安全性が高いことから、生体由来材料であることが好ましい。生体高分子は、一般的に両親媒性を有しており、高分子を含む水溶液の泡膜をゲル化してゲル膜を形成することが可能である。両親媒性を有する高分子では、泡膜の表裏の両表面にはそれぞれ、これらの分子が疎水部分を外側、親水部分を内側となるように配置していると考えられる。泡膜は表裏が均質な構造を有していることから、泡膜から調製されるゲル膜は表裏が均質であり表裏の区別なく利用可能である。
このような高分子としては、例えばタンパク質、多糖類を挙げることができる。具体的には、コラーゲンペプチド、ヒアルロン酸、ペプチドハイドロゲルを形成可能なペプチド、その他の細胞外マトリックス成分タンパク質、寒天、アガロース、セルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キトサン、オリゴ核酸、ポリ核酸等が挙げられる。また、生体から抽出したものではなく、人工的に合成された生体由来材料模倣材料も用いることができる。例えば、各種の人工ペプチドおよびその誘導体、人工オリゴペプチドおよびその誘導体、人工ポリペプチドおよびその誘導体、人工多糖類およびその誘導体等が挙げられる。中でも、高分子は寒天であることが好ましい。
これらの高分子は1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。2種以上の高分子を用いる場合には、少なくとも1種の高分子の数平均分子量が上記範囲内であればよく、中でも、すべての高分子の数平均分子量が上記範囲内であることが好ましい。
また、高分子のゲル化物は、適宜、界面活性剤、乳化補助剤、湿潤剤等の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤は、高分子を含む水溶液の泡膜をゲル化してゲル膜を形成する際に泡膜を安定化させる目的で使用されるものである。
界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル等の生体に対する安全性の高い界面活性剤であることが好ましい。
乳化補助剤としては、メチルセルロース、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、スクロース、ポリグリセリン等の生体に対する安全性の高い乳化補助剤であることが好ましい。ゲル化前の泡膜からの水の揮発は泡膜破裂の原因となる。乳化補助剤は、泡膜からの水の揮発を抑制する作用、すなわち泡膜の湿潤剤としての作用を有するため、泡膜破裂を抑制することを目的として添加することができる。このため、乳化剤を含有させることにより、泡膜を安定的に形成することができる。また、乳化補助剤は、湿潤剤としての作用に加えて、ゲル膜を構成する高分子の間に入り、高分子間の架橋形成を抑制して膜の柔軟性を高めるという作用も有する。このため、乳化補助剤を含む水溶液から調製されたゲル膜は柔軟性が高く、皮膚等の生体表面に対する密着性が高いという有利な効果を有する。
添加剤が高分子化合物である場合、添加剤の数平均分子量は8万以下であることが好ましい。
ここで、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した値である。
また、ゲル膜は、医薬として有効な成分や化粧料として有効な成分等の皮膚等の生体に供給されるべき所望の成分などを含有していてもよい。また、ゲル膜は顔料や染料等の着色剤を含有してもよい。これらの成分は、ゲル膜において高分子の網目構造中に取り込まれ保持されることができる。
また、ゲル膜は、高分子の網目構造を有しているため、医薬として有効な成分や化粧料として有効な成分等の皮膚等の生体に供給されるべき所望の成分を透過することもできる。
ゲル膜の乾燥厚みは100nm〜10μmの範囲内であり、好ましくは200nm〜1μmの範囲内である。ゲル膜の乾燥厚みが上記範囲内である場合、膜の柔軟性が非常に高いため、皮膚等の微細な凹凸を有する表面への密着性が高く、貼付後に膜が剥がれ難いため有利である。一方、ゲル膜の乾燥厚みが厚すぎると、貼付性や凹凸追従性が劣化する。また、ゲル膜の乾燥厚みが薄すぎると、強度に劣る場合がある。
ここで、ゲル膜の乾燥厚みの測定に際しては、カバーガラス表面を水で濡らし、ゲル膜をガラス表面に表面張力で密着させ、ガラス表面にゲル膜を貼付した後、1時間真空乾燥し水を完全に揮発させ、光学顕微鏡により膜−空気界面とガラス表面の段差を測定し、ゲル膜の乾燥厚みとした。光学顕微鏡には、オリンパス社製のナノサーチ顕微鏡 OLS3500を用いることができる。
また、ゲル膜は、ゲル膜の乾燥厚みが上記範囲内である領域を有していればよい。ゲル膜がゲル膜の乾燥厚みが上記範囲内である領域を有していれば、ゲル膜の密着性を高めることができ、皮膚等に強固に密着させることができる。
例えば、後述する図4および図5に示すように、泡膜形成用支持枠20を用いて高分子を含む水溶液の泡膜23を形成し、泡膜23をゲル化してヒドロゲル膜12aや乾燥ゲル膜12bのようなゲル膜を形成する場合には、メニスカスによってゲル膜と泡膜形成用支持枠との境界でゲル膜の厚みが厚くなる場合がある。しかしながら、ゲル膜の乾燥厚みが上記範囲内である領域があれば、ゲル膜を皮膚等に貼付することができる。
ゲル膜としては、所定の数平均分子量を有する高分子のゲル化物を含み、所定の乾燥厚みを有するものであれば特に限定されるものではないが、高分子を含む水溶液の泡膜をゲル化させたものであることが好ましく、具体的には高分子を含む水溶液の泡膜を、水を含有する状態でゲル化して調製されたものであることが好ましい。このようなゲル膜としては、例えば、ヒドロゲル膜、乾燥ゲル膜が挙げられる。
ここで、「ヒドロゲル」とは、高分子が結合して形成された網目状構造物に多量の水が保持された状態のゲルを指す。
以下、ヒドロゲル膜および乾燥ゲル膜に分けて説明する。
(1)ヒドロゲル膜
本発明におけるヒドロゲル膜は、所定の数平均分子量を有する高分子のゲル化物を含み、ヒドロゲル膜の乾燥後の厚みが所定の範囲内になるように、所定の厚みを有するものである。
ヒドロゲル膜の厚みとしては、ヒドロゲル膜の乾燥後の厚みが所定の範囲内になるような厚みであればよく、具体的には、100nm〜200μmの範囲内であることが好ましく、1μm〜200μmの範囲内であることがより好ましく、1μm〜100μmの範囲内であることがさらに好ましい。ヒドロゲル膜の厚みが上記範囲内である場合、膜の柔軟性が非常に高いため、皮膚等の微細な凹凸を有する表面への密着性が高く、貼付後に膜が剥がれ難いため有利である。
ここで、ヒドロゲル膜の厚みは、光学顕微鏡により膜−空気界面の位置を、焦点を合わせることで測定し、計測した値である。光学顕微鏡には、オリンパス社製のナノサーチ顕微鏡 OLS3500を用いることができる。
ヒドロゲル膜は、高分子を含む水溶液の泡膜をゲル化させたものであることが好ましく、具体的には高分子を含む水溶液の泡膜を、水を含有する状態でゲル化して調製されたものであることが好ましい。
(2)乾燥ゲル膜
本発明における乾燥ゲル膜は、所定の数平均分子量を有する高分子のゲル化物を含み、所定の厚みを有するものである。
乾燥ゲル膜の厚みは、ゲル膜の乾燥厚みと同様とすることができ、具体的には、100nm〜10μmの範囲内であり、200nm〜1μmの範囲内であることが好ましい。乾燥ゲル膜の厚みが上記範囲内である場合、膜の柔軟性が非常に高いため、皮膚等の微細な凹凸を有する表面への密着性が高く、貼付後に膜が剥がれ難いため有利である。また、乾燥ゲル膜の厚みが上記下限値以上である場合には光干渉による構造色が目視で観察できるため、極薄であるにも関わらず着色剤により着色しなくとも乾燥ゲル膜を目視により識別可能である。
ここで、乾燥ゲル膜の厚みの測定に際しては、カバーガラス表面を水で濡らし、乾燥ゲル膜をガラス表面に表面張力で密着させ、1時間真空乾燥し水を完全に揮発させ、光学顕微鏡により膜−空気界面とガラス表面の段差を測定し、乾燥ゲル膜の厚みとした。光学顕微鏡には、オリンパス社製のナノサーチ顕微鏡 OLS3500を用いることができる。
乾燥ゲル膜は、高分子を含む水溶液の泡膜をゲル化させたものであることが好ましく、具体的には高分子を含む水溶液の泡膜を、水を含有する状態でゲル化し乾燥させて調製されたものであることが好ましい。
(3)ゲル膜の形成方法
ゲル膜の形成方法としては、上記ゲル膜を形成可能な方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、泡膜形成用支持枠を用いて所定の数平均分子量を有する高分子を含む高分子水溶液の泡膜を形成し、泡膜をゲル化する方法が挙げられる。
図4(a)〜(c)および図5(a)〜(e)は本発明の貼付用シートの製造方法の一例を示す工程図である。まず、図4(a)および図5(a)に示すように、少なくとも1つの開口21が形成された泡膜形成用支持枠20を用意する。次に、図5(b)に示すように、泡膜形成用支持枠20を高分子水溶液22に浸し引き揚げて、図5(c)に示すように、開口21を塞ぐように張られた高分子水溶液の泡膜23を形成する。次いで、図4(b)および図5(d)に示すように、泡膜23を水を含有する状態でゲル化することにより、ヒドロゲル膜12aを形成する。続いて、図4(c)および図5(e)に示すように、ヒドロゲル膜12aをさらに乾燥させることにより、乾燥ゲル膜12bを形成する。泡膜形成用支持枠20は支持枠として用いることができ、これにより、貼付用シートが得られる。
ヒドロゲル膜の形成方法としては、例えば、所定の数平均分子量を有する高分子を含む高分子水溶液の泡膜をゲル化したヒドロゲル膜を形成可能な方法であればよく、高分子水溶液の泡膜を泡膜形成用支持枠の開口に形成する泡膜形成工程と、上記泡膜を水を含有する状態でゲル化させ、ヒドロゲル膜を形成するゲル化工程とを有することが好ましい。
また、乾燥ゲル膜の形成方法としては、例えば、所定の数平均分子量を有する高分子を含む高分子水溶液の泡膜をゲル化し乾燥させた乾燥ゲル膜を形成可能な方法であればよく、高分子水溶液の泡膜を泡膜形成用支持枠の開口に形成する泡膜形成工程と、上記泡膜を水を含有する状態でゲル化させ、ヒドロゲル膜を形成するゲル化工程と、上記ヒドロゲル膜を乾燥する乾燥工程とを有することが好ましい。
以下、ゲル膜の形成に用いられる泡膜形成用支持枠およびゲル膜の形成方法における各工程について説明する。
(i)泡膜形成用支持枠
泡膜を形成するための泡膜形成用支持枠の材質としては、高分子水溶液の泡膜を形成可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、樹脂、ガラス、金属等を挙げることができる。また、泡膜形成用支持枠は可撓性を有していてもよく有さなくてもよい。中でも、泡膜形成用支持枠は可撓性のフィルム状部材であることが好ましい。
泡膜形成用支持枠の寸法および形状は適宜選択すればよい。泡膜形成用支持枠に形成された開口の面積は泡膜を形成可能な程度であればよいが、100mm2〜40000mm2の範囲内であることが好ましく、300mm2〜2000mm2の範囲内であることがより好ましい。開口の形状は特に限定されず、目的に応じて円形、三角形、四角形等の多角形等、任意の形状であることができる。中でも、開口の形状は、円形や、角部が丸みを帯びた多角形が好ましい。これらの形状の場合、泡膜の周縁にかかる応力を低減できるので、泡膜の取扱いやすさを向上させることができる。
(ii)泡膜形成工程
泡膜形成工程では、高分子水溶液の泡膜を泡膜形成用支持枠の開口に形成する。
高分子水溶液中の高分子の濃度としては、泡膜を形成可能な程度であればよく、高分子の種類に応じて適宜調整される。例えば、高分子が寒天、アガロース、ヒアルロン酸等の多糖類である場合、高分子水溶液中の高分子の濃度は0.1質量%〜10質量%の範囲内とすることができる。
高分子がアガロースまたは寒天である場合、高分子水溶液中のアガロースまたは寒天の濃度は、泡膜を形成可能な程度であればよいが、低濃度であることが好ましく、具体的には0.1質量%〜5.0質量%の範囲内、中でも0.1質量%〜2.0質量%の範囲内、特に0.5質量%〜1.0質量%の範囲内であることが好ましい。アガロースや寒天の濃度が上記のように低濃度である場合は、アガロースや寒天の濃度が高い場合と比較して、泡膜が薄くなり、ゲル膜は柔軟性が十分に高く、凹凸表面上でも剥がれ難いものとなるため好ましい。
高分子水溶液には、上述したように、泡膜を安定化させる目的で界面活性剤、乳化補助剤、湿潤剤等の添加剤が含まれていてもよい。高分子水溶液中の界面活性剤の濃度は特に限定されないが、例えば0.01質量%〜1質量%の範囲内とすることができる。高分子水溶液中の乳化補助剤の濃度は特に限定されないが、例えば0.01質量%〜10質量%の範囲内とすることができる。
また、高分子水溶液には、上述したように、医薬として有効な成分や化粧料として有効な成分等の皮膚等の生体に供給されるべき所望の成分、顔料や染料等の着色剤を配合することも可能である。
泡膜形成工程の段階では、高分子水溶液は、高分子をゲル化していないゾル状態で含む。高分子のゾル状態を維持する条件は、高分子の種類に応じて適宜選択される。
例えば、高分子が、寒天、アガロース等のように、高温条件でゾル状態であり、低温条件でゲル化する化合物である場合には、ゾル状態を維持するために高温とする。具体的には、高分子が寒天またはアガロースである場合、寒天またはアガロースのゾル状態を維持するには、温度を40℃〜100℃の範囲内とすることが好ましい。また、寒天またはアガロースを含む高分子水溶液の23℃でのpHは6.0〜8.0とすることができる。
また、高分子が、低温条件でゾル状態であり、高温条件でゲル化する化合物である場合には、ゾル状態を維持するために低温とする。
また、高分子がpHやイオン濃度の変化によってゾル状態からゲル化する化合物である場合には、温度だけでなくpHやイオン濃度も適宜調整する。pHの調整は、例えば水酸化ナトリウム等のアルカリ成分の添加により行うことができる。また、イオン濃度の調整は、塩化カルシウム等の塩の添加により行うことができる。
高分子水溶液から調製された泡膜の厚みは、泡膜形成用支持枠の高分子水溶液からの引き上げ速度を調節する等により調節可能である。さらに、泡膜形成用支持枠に泡膜を形成した後に、ピペット等を用いて泡膜から高分子水溶液を抜き取り厚みを薄くすることや、泡膜に高分子水溶液を追加して厚みを厚くすることも可能である。具体的には、泡膜の厚みは1μm〜200μmの範囲内とすることができ、好ましくは10μm〜100μmの範囲内である。
なお、泡膜の厚みの測定方法は、ゲル膜の厚みの測定方法と同様である。
(iii)ゲル化工程
ゲル化工程では、泡膜を水を含有する状態でゲル化させ、ヒドロゲル膜を形成する。
ゲル化工程では泡膜が乾燥する前に水を含んだ状態でゲル化してヒドロゲルを形成する。ゲル化の条件は、泡膜の水分が完全に保持される条件であることは必須ではなく、水を含んだ状態のヒドロゲル膜が形成される条件であればよく、高分子の種類に応じて適宜選択される。
例えば、高分子が、寒天、アガロース等のように、高温条件でゾル状態であり、低温条件でゲル化する化合物である場合には、ゾル状態を呈する温度に維持された高分子水溶液から泡膜を形成した後、温度を低下させてヒドロゲル膜を形成する。
具体的には、高分子が寒天またはアガロースである場合、泡膜を冷却してゲル化する際には、温度は低温とすることが好ましく、具体的には1℃〜30℃の範囲内とすることが好ましく、時間は短時間とすることが好ましく、具体的には1分間〜10分間の範囲内とすることが好ましい。ゲル化の際に泡膜から水分が揮発し乾燥するのを抑制することができるからである。
また、高分子が、低温条件でゾル状態であり、高温条件でゲル化する化合物である場合には、ゾル状態を呈する温度に維持された高分子水溶液から泡膜を形成した後、加温してヒドロゲル膜を形成する。
また、高分子がpHやイオン濃度の変化によってゾル状態からゲル化する化合物である場合には、温度だけでなくpHやイオン濃度も適宜調整する。pHやイオン濃度の調整については、上述した通りである。
泡膜のゲル化は、泡膜から水分が揮発し乾燥するのを抑制するために、時間を短くしたり、飽和湿度に調整された密閉容器内で行うことが好ましい。
(iv)乾燥工程
乾燥工程では、ヒドロゲル膜を乾燥する。乾燥ゲル膜は、ヒドロゲル膜をさらに乾燥させることにより調製することができる。
ゲル化工程と乾燥工程とは別々の工程として実施される必要はなく、泡膜からヒドロゲル膜が形成され、引き続きヒドロゲル膜の乾燥が進行する条件において泡膜を処理して、中間産物としてヒドロゲル膜を得ることなく乾燥ゲル膜を得ることもできる。
乾燥条件は、ゲル状態が維持される温度で乾燥することが好ましく、高分子の種類に応じて適宜選択される。例えば温度は80℃以下、時間は30分以上とすることができる。乾燥ゲル膜中の水分は特に限定されないが、水分量が10質量%以下になるまで乾燥させることが好ましい。
(v)他の工程
ゲル膜に医薬として有効な成分や化粧料として有効な成分、着色剤等を保持させる方法としては、例えば、高分子水溶液に上記成分をさらに加えたものを使用してヒドロゲル膜または乾燥ゲル膜を形成する方法、および、得られたヒドロゲル膜または乾燥ゲル膜に上記成分を接触させる方法が挙げられる。後者の方法において、上記成分の接触は、上記成分を含む液中へのヒドロゲル薄または乾燥ゲル膜の浸漬や、上記成分を含む液のヒドロゲル膜または乾燥ゲル膜への塗布等の任意の方法により行うことができる。
2.支持枠
本発明における支持枠は、ゲル膜の外縁に配置され、ゲル膜を支持するものである。すなわち、本発明の貼付用シートは、支持枠により形状が保持されている。支持枠によって貼付用シートの取り扱い性を向上させることができる。また、ゲル膜を形成する際に支持枠を用いることで両面が物体に接していないゲル膜を得ることができるため、貼付用シートを皮膚等に容易に貼付することができる。
支持枠としては、本発明の貼付用シートを皮膚等に貼付する際に支持枠を持つことができるようなものであれば特に限定されるものではない。
中でも、支持枠は、泡膜形成時に用いられた泡膜形成用支持枠であることが好ましい。例えば図4および図5に示すように、泡膜形成時に使われる泡膜形成用支持枠20は、ゲル膜の形成後もゲル膜から分離せず支持枠として利用可能である。
また、ゲル膜を泡膜形成用支持枠から分離し、別途用意された支持枠に固定することもできる。この場合においても任意の段階において必要に応じて、ゲル膜に対して適当な寸法へのカット、所望の成分の添加等の処理を施すことができる。
支持枠の材質、寸法および形状としては、泡膜形成用支持枠と同様とすることができる。また、支持枠の形状としては、本発明の貼付用シートの貼付時に支持枠を持つことができるような形状であればよく、例えば閉じた形状であってもよく開いた形状であってもよい。例えば、図4(b)、(c)に示すようなヒドロゲル膜12aまたは乾燥ゲル膜12bが形成された泡膜形成用支持枠20を中央線でカットすることにより、開いた形状の支持枠とすることができる。
支持枠は好ましくは可撓性のフィルム状部材である。図3(a)〜(c)に示すように、フィルム状部材により形成される支持枠3と、支持枠3で保持されているゲル膜2とを有する貼付用シート1は、表面が平坦ではない被貼付物30の表面形状に沿って変形することができ、貼付用シート1の支持枠3に固定された状態のゲル膜2の面を、水で湿らせた皮膚等の被貼付物30の表面に表面張力で十分に密着させ貼付することができる。そして、支持枠3を剥がし、ゲル膜2を被貼付物30表面に残すことができる。
3.機能層
本発明においては、ゲル膜上に、ゲル膜の貼付性に影響を与えない機能層が形成されていてもよい。ゲル膜上に機能層が形成されていることにより、貼付用シートに機能性を付与することができる。例えば機能層に顔料や染料等の着色剤を用いることで着色することができる。この場合、ゲル膜に着色剤を含有させる場合とは異なり、ゲル膜の形成後に機能層を形成可能であるため、例えば色制御が容易である。さらに、ゲル膜の厚み以上の粒径をもつ顔料等も貼付用シートの貼付性や使用感を劣化させることなく適用可能である。また、機能層に化粧料成分や薬の有効成分等を含有させることもできる。
ここで、「貼付性」とは、皮膚等の生体または生体材料の表面への貼付性をいう。
「ゲル膜の貼付性に影響を与えない」とは、ゲル膜上に機能層を形成した後も皮膚等の生体または生体材料の表面に貼付可能な程度にゲル膜の貼付性が維持されていることをいう。
機能層は3つの態様に大別することができる。
第1態様の機能層は、ゲル膜上に部分的に形成されるものである。ゲル膜上に機能層が形成されていない部分が存在することで、ゲル膜の貼付性を維持することができる。この場合、機能層の厚みが比較的厚い場合でも、ゲル膜の貼付性が維持され得る。
第2態様の機能層は、微粒子が分散された微粒子層または流動性物質を含有する流動層である。機能層がこれらの層であることで、ゲル膜の貼付性を維持することができる。
第3態様の機能層は、乾燥後のゲル膜および機能層の総厚が100nm〜10μmの範囲内になるように、所定の厚みを有するものである。機能層の厚みが比較的薄いことで、ゲル膜の貼付性を維持することができる。
機能層は1層であってもよく2層以上であってもよい。
機能層の材料としては、例えば化粧料や医薬等に使用されるものを用いることができる。
機能層の形成方法としては、ゲル膜上に機能層を形成可能な方法であれば特に限定されないが、例えばインクジェット法、ディスペンサー法、マスクを用いたスプレー法等の非接触方式であることが好ましい。
機能層の配置としては、ゲル膜の片面のみに機能層が形成されていてもよく、ゲル膜の両面に機能層が形成されていてもよい。中でも、機能層はゲル膜の片面のみに形成されていることが好ましい。貼付用シートのゲル膜の面を貼付面とすることができ、貼付用シートの被貼付物への密着性を高めることができるからである。一方、ゲル膜の両面に機能層が形成されており、片方の機能層の面を貼付面とする場合において、例えば機能層が部分的に形成されている場合には、ゲル膜上に機能層が形成されていない部分の面積比率を高くすることで、貼付用シートの被貼付物への密着性を確保することができる。また、例えば機能層が微粒子層である場合には、微粒子の含有量(密度)を少なくしたり、微粒子が微粒子層の面方向に濃度勾配を有するようにしたり、微粒子層が厚み勾配を有するようにしたりすることで、貼付用シートの被貼付物への密着性を確保することができる。また、例えば機能層が所定の厚みを有する場合には、機能層が厚み勾配を有するようにすることで、貼付用シートの被貼付物への密着性を確保することができる。
4.貼付用シート
本発明の貼付用シートを使用する際には、皮膚等を水で湿らすまたは貼付用シートの貼付面を水で湿らし、皮膚等の表面に貼付用シートの貼付面を表面張力で密着させ貼付することができる。その後は、支持枠を剥がし、ゲル膜のみを皮膚等の表面に貼付することができる。
本発明において、貼付用シートの使用後は、ゲル膜の種類等にもよるが、例えば水等により洗い流したり、水で湿らせた化粧用コットン等で拭き取ったりすることができる。
本発明の貼付用シートは生体または生体材料の表面を保護する目的で使用することも可能である。
本発明の貼付用シートは美容用途または医療用途において有用である。具体的には、凹凸補正や色補正のためのコンシーラー等のメークアップ化粧料、化粧用パック材、皮膚表面の創傷を保護するための創傷被覆材、薬剤を経皮的に適用するための経皮吸収製剤、生体内の臓器や組織の表面に貼付され、臓器や組織の表面を保護したり、他の臓器や組織との癒着を防止したりする保護シート等の用途で利用可能である。また、本発明の貼付用シートは、例えばネイルシール、タトゥーシール等の装飾用シールとして利用することもできる。
本発明の貼付用シートは、ゲル膜の表面が流動体で被覆された状態で包装されていてもよい。流動体は、ヒドロゲル膜の乾燥を防ぐ目的や、ゲル薄膜に所望の成分を付与する目的で使用される。流動体は、必要に応じて他の成分が配合された、水、油脂、有機溶媒等の溶媒を含む流動体である。ゲル膜は、両面が流動体で被覆されていてもよく、貼付面になる片面のみが流動体で被覆されていてもよい。
包装部材は、貼付用シートの全体を包装する袋状部材であってもよく、ゲル膜の表面を被覆するシート状部材であってもよい。また、シート状部材の周縁は支持枠に接着されていてもよい。
包装部材は、貼付用シートの使用時には除去される。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
(支持枠の準備)
5cm×5cm、厚み200μmのポリスチレン製フィルムを、中央に3.2cmφの真円形の開口が形成されるように切り抜き、開口を有する支持枠を準備した。
(水溶液の調製)
数平均分子量3万の寒天を純水に1質量%の濃度となるように溶解して水溶液を調製した。
(ゲル膜の形成)
支持枠を70℃でゾル状態である水溶液に1秒間浸し、その後、支持枠が鉛直方向に平行となるように支持枠を水溶液から、支持枠の開口に水溶液の泡膜が形成されるように引き揚げた。引き揚げ後、速やかに、支持枠を23℃の温度条件に1分間曝して水溶液の泡膜をゲル化させることで、厚み約100μmのヒドロゲル膜を形成した。次いで、ヒドロゲル膜を23℃、60分間乾燥処理を行い、厚み約500nmの乾燥ゲル膜を得た。このゲル膜の乾燥厚みは500nmであった。これにより、貼付用シートを作製した。
[実施例2]
数平均分子量4万の寒天を純水に1質量%の濃度となるように溶解して水溶液を調製したこと以外は、実施例1と同様の方法により貼付用シートを作製した。
[実施例3]
数平均分子量5万の寒天を純水に1質量%の濃度となるように溶解して水溶液を調製したこと以外は、実施例1と同様の方法により貼付用シートを作製した。
[実施例4]
数平均分子量8万の寒天を純水に1質量%の濃度となるように溶解して水溶液を調製したこと以外は、実施例1と同様の方法により貼付用シートを作製した。
[実施例5]
数平均分子量4万の寒天を0.6質量%、添加剤としての数平均分子量3万のポリビニルアルコールを1.5質量%含む水溶液を調製したこと以外は、実施例1と同様の方法により貼付用シートを作製した。この例では、数平均分子量4万の寒天を用いた実施例2と比較して、泡膜の安定性が良くなった。
[比較例1]
数平均分子量9万の寒天を純水に1質量%の濃度となるように溶解して水溶液を調製したこと以外は、実施例1と同様の方法により貼付用シートを作製した。
[比較例2]
数平均分子量10万の寒天を純水に1質量%の濃度となるように溶解して水溶液を調製したこと以外は、実施例1と同様の方法により貼付用シートを作製した。
[比較例3]
数平均分子量20万の寒天を純水に1質量%の濃度となるように溶解して水溶液を調製したこと以外は、実施例1と同様の方法により貼付用シートを作製した。
[評価]
(貼付性)
実施例1〜5および比較例1〜3の貼付用シートについて、貼付用シートの支持枠をつかんで、水で湿らせたヒト皮膚にゲル膜を接触させると、表面張力でゲル膜が皮膚に密着し、支持枠を皮膚から遠ざけるとゲル膜が支持枠から分離し、ゲル膜だけを皮膚に貼付することができた。貼付後の見た目もほとんど目立たなかった。また、ゲル膜が非常に薄いため凹凸追従性が良く、貼付後に皮膚にシワを寄せても凹凸形状に追随するようにゲル膜が全て皮膚に密着し、またゲル膜が皮膚に密着したまま剥がれることがなかった。
(剥がしやすさ)
実施例1〜5の貼付用シートについて、ゲル膜の貼付後に、水で湿らせた化粧用コットンでゲル膜を擦ると、ヒト皮膚が赤くなることなく傷つくことなくゲル膜を剥がすことができた。
一方、比較例1〜3の貼付用シートについて、ゲル膜の貼付後に、水で湿らせた化粧用コットンでゲル膜を強く擦ることで、ゲル膜を剥がすことはできたものの、ヒト皮膚が赤くなったり傷ついたりした。
[比較例4]
実施例1の水溶液を用いて、実施例1と同様の方法により水溶液の泡膜を形成した後、泡膜をゲル化せずに乾燥させたところ、泡膜が壊れてしまった。
[比較例5]
数平均分子量3万のポリビニルアルコールを純水に1.5質量%の濃度となるように溶解して水溶液を調製し、実施例1と同様の方法により水溶液の泡膜を形成して、泡膜をゲル化しなかったところ、数秒後に泡膜が割れてしまい、貼付用シートを安定に作製することができなかった。
[比較例6]
ガラス基板上に実施例1の水溶液を1mm厚になるようにコートし、ゲル化させてヒドロゲル膜を形成した。このヒドロゲル膜は強度があるため、ピンセットにより基板から剥離し取り扱うことが可能であった。
上記ヒドロゲル膜を曲げた状態の指関節に接触させると一部が浮き上がり、また指の屈折の際にヒドロゲル膜が皮膚からずれる等、密着性が悪く、また貼付後の見た目も目立っていた。
1 … 貼付用シート
2 … ゲル膜
3 … 支持枠

Claims (2)

  1. 数平均分子量が1千以上8万以下である高分子のゲル化物を含み、乾燥厚みが100nm〜10μmの範囲内であるゲル膜と、
    前記ゲル膜の外縁に配置され、前記ゲル膜を支持する支持枠と
    を有することを特徴とする貼付用シート。
  2. 前記高分子が寒天であることを特徴とする請求項1に記載の貼付用シート。
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