JP2013223644A - ヒドロゲル薄膜及び乾燥ゲル薄膜の製造方法 - Google Patents

ヒドロゲル薄膜及び乾燥ゲル薄膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粘着剤成分を使用することなく生体又は生体材料へ十分な強度で粘着することができ、且つ、動きのある凹凸表面に貼付した場合でも剥がれにくい薄膜及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明では、課題解決手段として、ゼラチン水溶液、アガロース水溶液、又はコラーゲン水溶液の泡膜を枠の開口に形成する泡膜形成工程と、前記泡膜を、水を含有する状態でゲル化させ、ヒドロゲル薄膜を形成するゲル化工程とを含む、ヒドロゲル薄膜の製造方法を提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、医療用途又は美容用途における利用に適した、生体又は生体材料に対して十分な粘着性を有するヒドロゲル薄膜及び乾燥ゲル薄膜の製造方法に関する。
美容用の化粧パックシートや、医療用のハップ剤のように、皮膚などの生体表面に貼付される貼付用シートが従来から開発されている。例えば特許文献1には、アルキルセルロース誘導体を放射線照射により架橋して得られる、自己架橋型アルキルセルロース誘導体ヒドロゲルを基材とするシート状パック化粧料が開示されている。
生体貼付用シートでは生体と接する表面に粘着剤を用いないことが望ましい。しかしながら、粘着剤を用いない従来の生体貼付用シートは生体表面に対する接着性が十分ではなく、なお改善の余地がある。
一方、特許文献2には、枠に張られた界面活性高分子の水溶液の泡膜を乾燥させて高分子自立膜を製造する方法が開示されている。特許文献2によれば、厚さがナノメートルオーダーの高分子自立膜を製造可能である。特許文献2では、製造された高分子自立膜を分離膜等の用途に利用することが意図されているが、生体へ貼付する用途については一切検討されていない。
特許文献3では、両面に機能性物質を有する薄膜状高分子構造体(ナノシート)を皮膚の表面に貼付することが開示されている。この文献では、前記薄膜状高分子構造体を可溶性支持膜の表面に支持された状態で皮膚に貼付し、貼付後に可溶性支持膜を溶解させることにより皮膚上に前記薄膜状高分子構造体を残す、という技術が開示されている。この技術は可溶性支持膜の溶解という煩雑な作業を必要とする。
特許第4596774号公報 特開2011−143332号公報 WO2008/050913
特許文献2に開示された、ゼラチン等の界面活性高分子化合物の水溶液の泡膜を室温で乾燥させる薄膜の製造方法は、泡膜中の高分子化合物の濃度が低い場合には乾燥時に泡膜が壊れてしまい薄膜を形成することができないという問題がある。また、特許文献2の方法で製造された乾燥ゲル薄膜は粘着性及び柔軟性が十分ではなく、動きのある凹凸表面では剥がれ易いという問題がある。
本発明は、粘着剤成分を使用することなく生体又は生体材料へ十分な強度で粘着することができ、且つ、動きのある凹凸表面に貼付した場合でも剥がれにくい薄膜及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、ゼラチン、アガロース又はコラーゲンの水溶液から泡膜を形成し、該泡膜を、水を含んだ状態でゲル化させてヒドロゲル薄膜を得る方法は、泡膜を直接乾燥する特許文献2の方法と異なり、泡膜形成のための水溶液中でのゼラチン、アガロース又はコラーゲンが低濃度である場合でも泡膜が壊れることなくヒドロゲル薄膜を形成可能であること、並びに、得られたヒドロゲル薄膜を乾燥させた場合でも膜が壊れることがないことを見出した。本発明者は更に、この方法で得られたヒドロゲル薄膜および乾燥ゲル薄膜が、皮膚表面で十分な粘着性を有し、且つ、動きのある凹凸表面に貼付した場合でも剥がれにくいことを見出した。
(1)ゼラチンを含む水溶液の泡膜、アガロースを含む水溶液の泡膜、又は、コラーゲンを含む水溶液の泡膜を枠の開口に形成する泡膜形成工程と、
前記泡膜を、水を含有する状態でゲル化させ、ヒドロゲル薄膜を形成するゲル化工程と
を含む、ヒドロゲル薄膜の製造方法。
(2)ゼラチンを含む水溶液の泡膜、アガロースを含む水溶液の泡膜、又は、コラーゲンを含む水溶液の泡膜を枠の開口に形成する泡膜形成工程と、
前記泡膜を、水を含有する状態でゲル化させ、ヒドロゲル薄膜を形成するゲル化工程と、
前記ヒドロゲル薄膜を乾燥する乾燥工程と
を含む、乾燥ゲル薄膜の製造方法。
(3)泡膜形成工程が、ゼラチンを0.1〜2.9重量%の濃度で含む水溶液の泡膜、アガロースを0.1〜5.0重量%の濃度で含む水溶液の泡膜、又は、コラーゲンを0.1〜5.0重量%の濃度で含む水溶液の泡膜を枠の開口に形成する工程である、(1)のヒドロゲル薄膜の製造方法。
(4)泡膜形成工程が、ゼラチンを0.1〜2.9重量%の濃度で含む水溶液の泡膜、アガロースを0.1〜5.0重量%の濃度で含む水溶液の泡膜、又は、コラーゲンを0.1〜5.0重量%の濃度で含む水溶液の泡膜を枠の開口に形成する工程である、(2)の乾燥ゲル薄膜の製造方法。
(5)前記枠の開口の面積が100〜40000mm2である、(1)又は(3)のヒドロゲル薄膜の製造方法。
(6)前記枠の開口の面積が100〜40000mm2である、(2)又は(4)の乾燥ゲル薄膜の製造方法。
(7)ゼラチンを含む水溶液の泡膜を、水を含有する状態でゲル化して調製された、ゼラチンヒドロゲル薄膜。
(8)前記水溶液が、ゼラチンを0.1〜2.9重量%の濃度で含む水溶液である、(7)のゼラチンヒドロゲル薄膜。
(9)前記泡膜が、開口の面積が100〜40000mm2の開口を有する枠に形成された泡膜である、(7)又は(8)のゼラチンヒドロゲル薄膜。
(10)(7)〜(9)のいずれかのゼラチンヒドロゲル薄膜を乾燥させて調製されたゼラチン乾燥ゲル薄膜。
(11)アガロースを含む水溶液の泡膜を、水を含有する状態でゲル化して調製された、アガロースヒドロゲル薄膜。
(12)前記水溶液が、アガロースを0.1〜5.0重量%の濃度で含む水溶液である、(11)のアガロースヒドロゲル薄膜。
(13)前記泡膜が、開口の面積が100〜40000mm2の開口を有する枠に形成された泡膜である、(11)又は(12)のアガロースヒドロゲル薄膜。
(14)(11)〜(13)のいずれかのアガロースヒドロゲル薄膜を乾燥させて調製されたアガロース乾燥ゲル薄膜。
(15)コラーゲンを含む水溶液の泡膜を、水を含有する状態でゲル化して調製された、コラーゲンヒドロゲル薄膜。
(16)前記水溶液が、コラーゲンを0.1〜5.0重量%の濃度で含む水溶液である、(15)のコラーゲンヒドロゲル薄膜。
(17)前記泡膜が、開口の面積が100〜40000mm2の開口を有する枠に形成された泡膜である、(15)又は(16)のコラーゲンヒドロゲル薄膜。
(18)(15)〜(17)のいずれかのコラーゲンヒドロゲル薄膜を乾燥させて調製されたコラーゲン乾燥ゲル薄膜。
本発明の方法により製造されるヒドロゲル薄膜及び乾燥ゲル薄膜は、粘着剤成分を使用することなく生体又は生体材料へ十分な強度で粘着することができ、且つ、動きのある凹凸表面に貼付した場合でも剥がれにくいという有利な効果を奏する。
図1aは泡膜形成に用いられる枠の一実施形態の平面図である。図1bは、図2に示す手順によりヒドロゲル薄膜又は乾燥ゲル薄膜が形成された状態の枠の平面図である。 図2は、枠に泡膜を形成し、続いて、ヒドロゲル薄膜及び乾燥ゲル薄膜を形成する手順を説明するための、断面模式図である。 図3は、指の関節表面に貼付された、ヒドロゲル薄膜のみから構成されるシート状貼付用物品が、指の曲げ伸ばしに伴い、皮膚表面の形状変化に追従して変化することを示す模式図である。 図4は、指の関節表面に貼付された、乾燥ゲル薄膜のみから構成されるシート状貼付用物品が、指の曲げ伸ばしに伴い、皮膚表面の形状変化に追従して変化することを示す模式図である。 図5は、ヒドロゲル薄膜と他の層とが積層された多層構造のシート状貼付用物品の一実施形態を示す図である。 図6は、乾燥ゲル薄膜と他の層とが積層された多層構造のシート状貼付用物品の一実施形態を示す図である。 図7は、ヒドロゲル薄膜と他の層とが積層された多層構造を有し、且つ、ヒドロゲル薄膜の周縁を固定する支持枠を更に備えるシート状貼付用物品の一実施形態を示す図である。 図8は、乾燥ゲル薄膜と他の層とが積層された多層構造を有し、且つ、乾燥ゲル薄膜の周縁を固定する支持枠を更に備えるシート状貼付用物品の一実施形態を示す図である。 図9は、ヒドロゲル薄膜と可撓性のフィルム状支持枠とを備えたシート状貼付用物品を用いて、被貼付物にヒドロゲル薄膜を貼付する手順を示す模式図である。 図10は、乾燥ゲル薄膜と可撓性のフィルム状支持枠とを備えたシート状貼付用物品を用いて、被貼付物に乾燥ゲル薄膜を貼付する手順を示す模式図である。
本明細書では、適宜図面を参照して本発明の特徴を説明する。図面では説明のために各部の寸法及び形状を誇張しており、実際の寸法及び形状を正確に描写してはいない。
<概要>
本発明のヒドロゲル薄膜及び乾燥ゲル薄膜の調製方法の概要を図1及び2を参照して説明する。
図1aに示すように、少なくとも1つの開口11が形成された枠10を用意する。枠10を、泡膜形成用水溶液20に浸し(図2b)、引き揚げて、開口11を塞ぐように張られた前記水溶液20の泡膜21を形成する(図2c)。泡膜21を、水を含有する状態でゲル化することにより、ヒドロゲル薄膜22を形成する(図2d)。ヒドロゲル薄膜22を、更に乾燥させることにより乾燥ゲル薄膜23を形成する(図2e)。
泡膜21を形成するための枠10の寸法及び形状は適宜選択すればよい。枠10に形成された開口11の面積は100〜40000mm2が好ましく、300〜2000mm2がより好ましい。開口11の形状は特に限定されず、目的に応じて円形、多角形(三角形、四角形など)など任意の形状であることができる。なかでも開口11の形状は、円形や、角部が丸みを帯びた多角形が好ましく、これらの形状の場合、泡膜21の周縁にかかる応力を低減できるので、泡膜21の取扱いやすさを向上させることができる。
以下、泡膜形成工程、ゲル化工程及び乾燥工程について具体的に説明する。
<泡膜形成工程>
本発明では泡膜形成用水溶液として、ゼラチン、アガロース、又はコラーゲンの水溶液を用いる。
ゼラチン水溶液中のゼラチン濃度は特に限定されないが、低濃度、具体的には0.1〜2.9重量%、好ましくは0.1〜2.5重量%、より好ましくは1.0〜2.0重量%の濃度で水中にゼラチンを含有する水溶液が例示できる。ゼラチン濃度が前記低濃度である場合は、ゼラチン濃度が高い場合と比較して、泡膜が薄くなり、製造されるヒドロゲル薄膜及び乾燥ゲル薄膜は柔軟性が十分に高く、凹凸表面上でも剥がれにくいものとなるため好ましい。前記低濃度のゼラチン水溶液からの薄膜の形成は特許文献2の方法では達成することができない。ゼラチン水溶液から調製された泡膜の厚さは、枠の水溶液からの引き上げ速度を調節するなどして調節可能である。さらに、枠に泡膜を形成した後に、ピペット等を用いて泡膜から水溶液を抜き取り膜厚を薄くすることや、泡膜に水溶液を追加して膜厚を厚くすることも可能である。典型的には、ゼラチン水溶液により形成される泡膜の厚さは1μm〜200μmであり、より好ましくは10μm〜100μmである。泡膜の厚さの測定法:光学顕微鏡により膜−空気界面の位置を、焦点を合わせることで測定し厚みを計測した(使用機器:ナノサーチ顕微鏡、型番:OLS3500、メーカー:オリンパス)。
ゼラチンの起源は特に限定されないが、ブタの表皮、ブタの骨、牛の皮膚、牛の骨、魚等に由来するゼラチンを使用することができる。
ゼラチン水溶液は、泡膜形成工程の段階では、前記濃度のゼラチンをゲル化していないゾル状態で含む。ゾル状態を維持するには温度は20〜40℃であることが好ましい。ゼラチン水溶液のpH(23℃での測定値)は6.0〜8.0であることができる。
アガロース水溶液中のアガロース濃度は特に限定されないが、低濃度、具体的には0.1〜5.0重量%、好ましくは0.1〜2.0重量%、より好ましくは0.5〜1.0重量%の濃度で水中にアガロースを含有する水溶液が例示できる。アガロース濃度が前記低濃度である場合は、アガロース濃度が高い場合と比較し、泡膜が薄くなり、製造されるヒドロゲル薄膜及び乾燥ゲル薄膜は柔軟性が十分に高く、凹凸表面上でも剥がれにくいものとなるため好ましい。前記低濃度のアガロース水溶液からの薄膜の形成は特許文献2の方法では達成することができない。アガロース水溶液から調製された泡膜の厚さは、ゼラチン水溶液と同様に調節可能であるが、典型的には、上記濃度のアガロース水溶液により形成される泡膜の厚さは1μm〜200μmであり、より好ましくは10μm〜100μmである。泡膜の厚さの測定法:光学顕微鏡により膜−空気界面の位置を、焦点を合わせることで測定し厚みを計測した(使用機器:ナノサーチ顕微鏡、型番:OLS3500、メーカー:オリンパス)。
アガロースの起源は特に限定されないが、海藻等に由来するアガロースを使用することができる。
アガロース水溶液は、泡膜形成工程の段階では、前記濃度のアガロースをゲル化していないゾル状態で含む。ゾル状態を維持するには温度は20〜60℃であることが好ましい。アガロース水溶液のpH(23℃での測定値)は6.0〜8.0であることができる。
コラーゲン水溶液中のコラーゲン濃度は特に限定されないが、低濃度、具体的にはコラーゲンを0.1〜5.0重量%、好ましくは0.5〜5.0重量%、より好ましくは1.0〜3.0重量%の濃度で水中に含有する水溶液が例示できる。コラーゲン濃度が前記低濃度である場合は、コラーゲン濃度が高い場合と比較して、泡膜が薄くなり、製造されるヒドロゲル薄膜及び乾燥ゲル薄膜は柔軟性が十分に高く、凹凸表面上でも剥がれにくいものとなるため好ましい。前記低濃度のコラーゲン水溶液からの薄膜の形成は特許文献2の方法では達成することができない。コラーゲン水溶液から調製された泡膜の厚さは、ゼラチン水溶液と同様に調節可能であるが、典型的には、上記濃度のコラーゲン水溶液により形成される泡膜の厚さは1μm〜200μmであり、より好ましくは10μm〜100μmである。泡膜の厚さの測定法:光学顕微鏡により膜−空気界面の位置を、焦点を合わせることで測定し厚みを計測した(使用機器:ナノサーチ顕微鏡、型番:OLS3500、メーカー:オリンパス)。
コラーゲンの起源は特に限定されないが、ブタの皮膚、ブタの骨、牛の皮膚、牛の骨、魚等に由来するコラーゲンを使用することができる。
コラーゲン水溶液は、泡膜形成工程の段階では、前記濃度のコラーゲンをゲル化していないゾル状態で含む。コラーゲン水溶液は、ゼラチン水溶液及びアガロース水溶液とは異なり、低温且つpH3.0付近のpH条件においてゾル状態であり、高温且つpH7.0付近のpH条件においてゲル状態であるという特徴を有する。ゾル状態を維持するには温度は4〜23℃であることが好ましい。コラーゲン水溶液のpH(23℃での測定値)は、水溶液調製時においては2.0〜4.0であることが好ましい。コラーゲン水溶液は、泡膜を形成する前にpHが6.0〜8.0(23℃での測定値)となるようにpHが調節されることが好ましい。pHの調節は水酸化ナトリウム等のアルカリ成分の添加により行うことができる。
泡膜形成用水溶液として使用するゼラチン水溶液、アガロース水溶液又はコラーゲン水溶液は、適宜他の成分が含まれていてもよい。具体的には、該水溶液には、泡膜を安定化させる目的で界面活性剤、乳化補助剤、湿潤剤等が含まれることができる。界面活性剤としてはショ糖脂肪酸エステル等の生体に対する安全性の高い界面活性剤が好ましい。界面活性剤の濃度は特に限定されないが、典型的には水溶液中に0.01〜1重量%であることができる。乳化補助剤としてはメチルセルロース、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、スクロース、ポリグリセリン等の生体に対する安全性の高い乳化補助剤が好ましい。乳化補助剤の濃度は特に限定されないが、典型的には水溶液中に0.01〜10重量%であることができる。ゲル化前の泡膜からの水の揮発は泡膜破裂の原因となる。乳化補助剤は、泡膜からの水の揮発を抑制する作用、すなわち、泡膜の湿潤剤としての作用を有するため、泡膜破裂を抑制することを目的として添加することができる。
ポリエチレングリコール等の前記乳化補助剤は、湿潤剤としての作用に加えて、ヒドロゲル薄膜及び乾燥ゲル薄膜を構成する高分子の間に入り高分子間の架橋形成を抑制して膜の柔軟性を高めるという作用も有する。このため、乳化補助剤を含む泡膜形成用水溶液から調製されたヒドロゲル薄膜及び乾燥ゲル薄膜は柔軟性が高く、皮膚等の生体表面に対する粘着性が高いという有利な効果を有する。
泡膜形成用水溶液中には更に、医薬として有効な成分や、化粧料として有効な成分などの、被貼付物に供給されるべき所望の成分を配合することも可能である。泡膜形成用水溶液に含まれる成分は、ヒドロゲル薄膜及び乾燥ゲル薄膜において高分子の網目構造中に取り込まれ保持されることができる。
ゼラチン、アガロース、コラーゲンはいずれも界面活性を有するため、泡膜の表裏の両表面にはそれぞれ、これらの化合物の分子が疎水部分を外側、親水部分を内側となるように配置していると考えられる。泡膜は表裏が均質な構造を有していることから、泡膜から調製されるヒドロゲル薄膜及び乾燥ゲル薄膜は表裏が均質であり表裏の区別なく利用可能である。
<ゲル化工程>
本発明の方法の特徴のひとつは、ゼラチン、アガロース又はコラーゲンの水溶液の泡膜を、水を含有する状態でゲル化させてヒドロゲル薄膜を形成することである。本発明の方法は、泡膜を直接乾燥する特許文献2の方法と異なり、泡膜形成のための水溶液中でのゼラチン、アガロース又はコラーゲンが低濃度である場合でも泡膜が壊れることなくヒドロゲル薄膜を形成可能であり、形成されたヒドロゲル薄膜を乾燥することも可能である。
本発明において「ヒドロゲル」とは、ゼラチン、アガロース又はコラーゲンの高分子が結合して形成された網目状構造物に多量の水が保持された状態のゲルを指す。ゲル化工程では泡膜が乾燥する前に水を含んだ状態でゲル化してヒドロゲルを形成する。ゲル化工程の条件は、泡膜の水分が完全に保持される条件であることは必須ではなく、水を含んだ状態のヒドロゲル薄膜が形成される条件であればよい。
泡膜形成用水溶液として前記濃度のゼラチン水溶液を用いる場合、ゲル化工程は、泡膜を冷却することにより行うことができる。具体的には泡膜を1〜19℃の温度で短時間、好ましくは1〜10分間冷却することにより、ゼラチンのヒドロゲルを形成可能である。
泡膜形成用水溶液として前記濃度のアガロース水溶液を用いる場合、ゲル化工程は、泡膜を冷却することにより行うことができる。具体的には泡膜を1〜19℃の温度で短時間、好ましくは1〜10分間冷却することにより、アガロースのヒドロゲルを形成可能である。
泡膜形成用水溶液として前記濃度のコラーゲン水溶液を用いる場合、ゲル化工程は、中性付近のpH条件に調節されたコラーゲン水溶液の泡膜を加温することにより行うことができる具体的には、pH6.0〜8.0に調節されたコラーゲン水溶液から形成された泡膜を、32〜37℃の温度で短時間、好ましくは1〜30分間加温することにより、コラーゲンのヒドロゲルを形成可能である。
ゲル化工程での水分の揮発を抑制するためには、ゲル化工程を飽和湿度に調整された密閉容器内で行うことが好ましい。
ヒドロゲル薄膜の厚さは特に限定されないが、ゼラチンヒドロゲル薄膜の場合は1μm〜200μmであることが好ましく、1μm〜100μmであることがより好ましい。アガロースヒドロゲル薄膜の場合は1μm〜200μmであることが好ましく、1μm〜100μmであることがより好ましい。コラーゲンヒドロゲル薄膜の場合は1μm〜200μmであることが好ましく、1μm〜100μmであることがより好ましい。ヒドロゲル薄膜の厚さがこの範囲である場合、膜の柔軟性が非常に高いため、皮膚等の微細な凹凸を有する表面への密着性が高く、貼付後に薄膜が剥がれ難いため有利である。ヒドロゲル薄膜の厚さの測定法:光学顕微鏡により膜−空気界面の位置を、焦点を合わせることで測定し厚みを計測した(使用機器:ナノサーチ顕微鏡、型番:OLS3500、メーカー:オリンパス)。
<乾燥工程>
乾燥ゲル薄膜は、ヒドロゲル薄膜を、更に乾燥させることにより調製することができる。
ゲル化工程と乾燥工程とは別々の工程として実施される必要はなく、泡膜からヒドロゲル薄膜が形成され、引き続きヒドロゲル薄膜の乾燥が進行する条件において泡膜を処理して、中間産物としてヒドロゲル薄膜を取得することなく乾燥ゲル薄膜を得ることもできる。
乾燥のための条件は特に限定されないが、好ましくは19℃以下で2hr以上乾燥させる。乾燥ゲル薄膜中の水分は特に限定されないが、好ましくは水分量が10重量%以下になるまで乾燥させる。
乾燥ゲル薄膜の厚さは特に限定されないが、ゼラチン乾燥ゲル薄膜の場合は100nm〜10μmであることが好ましく、200nm〜1μmであることがより好ましい。アガロース乾燥ゲル薄膜の場合は100nm〜10μmであることが好ましく、200nm〜1μmであることがより好ましい。コラーゲン乾燥ゲル薄膜の場合は100nm〜10μmであることが好ましく、200nm〜1μmであることがより好ましい。乾燥ゲル薄膜の厚さがこの範囲である場合、膜の柔軟性が非常に高いため、皮膚等の微細な凹凸を有する表面への密着性が高く、貼付後に薄膜が剥がれ難いため有利である。また厚さが上記の下限値以上である場合には光干渉による構造色が目視で観察できるため、極薄であるにも関わらず着色剤により着色しなくとも乾燥ゲル薄膜を目視により識別可能である。乾燥ゲル薄膜の厚さの測定法:光学顕微鏡により膜−空気界面の位置を、焦点を合わせることで測定し厚みを計測した(使用機器:ナノサーチ顕微鏡、型番:OLS3500、メーカー:オリンパス)。
<シート状貼付用物品>
本発明のシート状貼付用物品は、少なくとも被貼付物に貼付される部分に、前記ヒドロゲル薄膜又は乾燥ゲル薄膜を備えることを特徴とする。
シート状貼付用物品は、前記ヒドロゲル薄膜又は乾燥ゲル薄膜に1つ以上の他の層が積層された多層構造のシート状物品であってもよいし、前記ヒドロゲル薄膜又は乾燥ゲル薄膜に他の層が積層されていない単層構造のシート状物品であってもよい。図5には、ヒドロゲル薄膜22と、他の層51とが積層した多層構造のシート状貼付用物品50を示す。図6には、乾燥ゲル薄膜23と、他の層61とが積層した多層構造のシート状貼付用物品60を示す。
前記ヒドロゲル薄膜及び前記乾燥ゲル薄膜は皮膚などの生体又は生体材料の表面に高い吸着性を有しており、且つ、柔軟性が高い。このため、前記ヒドロゲル薄膜及び前記乾燥ゲル薄膜を有するシート状貼付用物品は、皮膚のように動きのある微細な凹凸表面に貼付された場合でも剥がれにくい。図3には、ヒドロゲル薄膜22の単層構造を有するシート状貼付用物品30を指の関節部分の皮膚表面に、指を曲げた状態(上図)で貼付した場合に、貼付後に指を伸ばし皮膚表面にシワが形成されてもシワの形状に追従してヒドロゲル薄膜22も変形すること(下図)、及び、指の曲げ伸ばしを繰り返しても剥がれにくいことを模式的に示す。ヒドロゲル薄膜23の単層構造を有するシート状貼付用物品40を使用した場合でも同様の効果があることを図4に模式的に示す。
ヒドロゲル薄膜又は乾燥ゲル薄膜は、高分子化合物の網目構造を有しているために、医薬として有効な成分や、化粧料として有効な成分などの、被貼付物に供給されるべき所望の成分を保持すること及び/又は透過することが可能である。
ヒドロゲル薄膜又は乾燥ゲル薄膜に所望の成分を保持させる第一の方法としては、泡膜形成用水溶液に、所望の成分を更に加えたものを使用してヒドロゲル薄膜又は乾燥ゲル薄膜を調製する方法が挙げられる。ヒドロゲル薄膜又は乾燥ゲル薄膜に所望の成分を保持させる第二の方法としては、調製されたヒドロゲル薄膜又は乾燥ゲル薄膜に所望の成分を接触させる方法が挙げられる。第二の方法における所望の成分の接触は、該成分を含む液中へのヒドロゲル薄膜又は乾燥ゲル薄膜の浸漬や、該成分を含む液のヒドロゲル薄膜又は乾燥ゲル薄膜への塗布等の任意の方法により行うことができる。
図5及び6に示すように、ヒドロゲル薄膜22又は乾燥ゲル薄膜23を、他の層51、61と積層する実施形態では、他の層51、61は、被貼付物に供給されるべき所望の成分を含む層であることができる。この実施形態では、所望の成分はヒドロゲル薄膜22又は乾燥ゲル薄膜23を透過し被対象物に供給されることができる。他の層51、61は、所望の成分を適当な支持担体中に含む構造であることができる。他の層51、61とヒドロゲル薄膜22又は乾燥ゲル薄膜23とは直接積層されていることは必須ではなく、間に更なる他の層が介在していてもよい。
ヒドロゲル薄膜又は乾燥ゲル薄膜は生体又は生体材料の表面を保護する目的で使用することも可能である。
本発明のヒドロゲル薄膜又は乾燥ゲル薄膜を備えたシート状貼付用物品は美容用途又は医療用途において有用である。具体的には、化粧用パック材、皮膚表面の創傷を保護するための創傷被覆材、薬剤を経皮的に適用するための経皮吸収製剤、生体内の臓器や組織の表面に貼付され、臓器や組織の表面を保護する、及び/又は、他の臓器や組織との癒着を防止する保護シート等の用途で利用可能である。
<支持枠を備えたシート状貼付用物品>
本発明のシート状貼付用物品は、支持枠により形状が保持されたものであることが好ましい。ヒドロゲル薄膜又は乾燥ゲル薄膜は、支持枠の開口を塞ぐように支持枠に張られた状態で固定されていることが好ましい。
支持枠は、泡膜形成時に用いられた枠であることが好ましい。図1に示すように、泡膜形成時に使われる枠10は、ヒドロゲル薄膜22又は乾燥ゲル薄膜23調製後も膜から分離せず支持枠として利用可能である。この実施形態では、ヒドロゲル薄膜22又は乾燥ゲル薄膜23の周縁が支持枠10と結合している。泡膜形成のために用いられた枠を支持枠71、81として用いる実施形態において、ヒドロゲル薄膜22又は乾燥ゲル薄膜23に1以上の他の層が更に積層されていてもよい(図7、8参照)。
他の実施形態では、ヒドロゲル薄膜又は乾燥ゲル薄膜を、泡膜形成時に使われた枠から分離し、別途用意された、1つ以上の開口を有する支持枠に、該開口を塞ぐように固定することもできる。この実施形態においても任意の段階において、必要に応じて、ヒドロゲル薄膜又は乾燥ゲル薄膜に対して、適当な寸法へのカット、所望の成分の添加、他の層との積層などの処理を施すことができる。
支持枠は好ましくは可撓性のフィルム状部材である。図9に示すように、フィルム状部材により形成される支持枠91と、支持枠91の開口を塞ぐように張られたヒドロゲル薄膜22とを備えるシート状貼付用物品90は、表面が平坦ではない被貼付物92の表面形状に沿って変形することができ、支持枠91に固定された状態のヒドロゲル薄膜22の表面を、被貼付物92の表面に十分に吸着させ貼付することができる(図9b)。ヒドロゲル薄膜22の周縁と支持枠91とは、ヒドロゲル薄膜22の表面と被貼付物92の表面との吸着後に支持枠91を剥離した場合に分離する程度に弱く結合されているため、ヒドロゲル薄膜22を被貼付物92表面に残すことができる(図9c)。図10に示すように、フィルム状部材により形成される支持枠101と、支持枠101の開口を塞ぐように張られた乾燥ゲル薄膜23とを備えるシート状貼付用物品100も同様の操作により被貼付物92の表面に貼付することができる。図7、8に示す、他の層51、61とともに多層化されたヒドロゲル薄膜22又は乾燥ゲル薄膜23の周縁の支持枠71、81を可撓性のフィルム状部材により形成した、支持枠付シート状貼付用物品70、80においても同様の貼付が可能である。
<支持枠の準備>
4cm×4cm、厚さ250μmのポリスチレン製フィルム(SUNDIC社製)を、中央に3.2cmφの真円形の開口が形成されるように切り抜き、開口を有する支持枠を準備した。
<溶液の準備>
・溶液1−a、1−b
ゼラチン(シグマアルドリッチ社製)を純水に2重量%と6重量%の濃度となるように溶解して調製した溶液をそれぞれ「溶液1−a」「溶液1−b」とした。
・溶液2−a、2−b
アガロース(シグマアルドリッチ社製)を純水に2重量%と6重量%の濃度となるように溶解して調製した溶液をそれぞれ「溶液2−a」[溶液2−b]とした。
・溶液3−a、3−b
コラーゲン(新田ゼラチン、Cellmatrix Type I−A)を2重量%(pH=3)と6重量%(pH=3)の濃度になるように調整した溶液をそれぞれ「溶液3−a」[溶液3−b]とした。
<ゼラチンのヒドロゲル薄膜及び乾燥ゲル薄膜>
支持枠を37℃でゾル状態である溶液1−aに1秒間浸し、その後、支持枠が鉛直方向に平行となるように支持枠を溶液から、支持枠の開口に溶液の泡膜が形成されるように引き揚げた。引き揚げ後、速やかに、支持体を4℃の温度条件に10分間曝して溶液の泡膜をゲル化させることで、厚さ約10μmのヒドロゲル薄膜(それぞれヒドロゲル薄膜1−a)を作製した。また、ヒドロゲル薄膜を4℃、120分間乾燥処理を行い、厚さ約400nmの乾燥した膜(それぞれ乾燥ゲル薄膜1−a)を得た。一方、溶液1−aの泡膜をゲル化せずに23℃の温度条件で乾燥処理をすると、泡膜が壊れてしまった。
溶液1−bについても同様の方法により溶液で泡膜を形成後ゲル化して厚さ約10μmのヒドロゲル薄膜1−bを作製し、乾燥により厚み1.2μmの乾燥ゲル薄膜1−bを作製した。
<アガロースのヒドロゲル薄膜及び乾燥ゲル薄膜>
支持枠を50℃でゾル状態である溶液2−aに1秒間浸し、その後、支持枠が鉛直方向に平行となるように支持枠を溶液から、支持枠の開口に溶液の泡膜が形成されるように引き揚げた。引き揚げ後、速やかに、支持体を4℃の温度条件に10分間曝して溶液の泡膜をゲル化させることで、厚さ約10μmのヒドロゲル薄膜(ヒドロゲル薄膜2−a)を作製した。また、ヒドロゲル薄膜を4℃で120分間乾燥処理を行い、厚さ約400nmの乾燥した膜(乾燥ゲル薄膜2−a)を得た。一方、溶液2−aの泡膜をゲル化せずに23℃の温度条件で乾燥処理をすると、泡膜が壊れてしまった。
溶液2−bについても同様の方法により溶液で泡膜を形成後ゲル化して厚さ約10μmのヒドロゲル薄膜2−bを作製し、乾燥により厚み1.2μmの乾燥ゲル薄膜2−bを作製した。
<コラーゲンのヒドロゲル薄膜及び乾燥ゲル薄膜>
4℃で溶液3−aを水酸化ナトリウムでpH=7に調整し、4℃のままゾル状態である溶液に1秒間浸し、その後、支持枠が鉛直方向に平行となるように支持枠を溶液から、支持枠の開口に溶液の泡膜が形成されるように引き揚げた。引き揚げ後、速やかに、支持体を37℃の温度条件に30分間曝して、溶液の泡膜をゲル化させることで、厚さ約10μmのヒドロゲル薄膜(ヒドロゲル薄膜3−a)を作製した。また、ヒドロゲル薄膜を23℃で120分間乾燥処理を行い、厚さ約400nmの乾燥した膜(乾燥ゲル薄膜3−a)を得た。一方、同様に4℃で溶液3−aをpH=7に調整し泡膜を形成して、ゲル化せずに23℃の温度条件で乾燥処理をすると、泡膜が壊れてしまった。
溶液3−bについても同様の方法により溶液3−bで泡膜を形成後ゲル化して厚さ約10μmのヒドロゲル薄膜3−bを作製し、乾燥により厚み1.2μmの乾燥ゲル薄膜3−bを作製した。
<ヒドロゲル薄膜のヒト皮膚への貼付評価>
上記で作製されたヒドロゲル薄膜1−a、2−a、3−aそれぞれについてヒドロゲル薄膜が形成された支持枠の、支持枠部分をつかんでヒト皮膚とのヒドロゲル薄膜を接触させると表面張力でヒドロゲル薄膜が皮膚に接着し、支持枠部分を皮膚から遠ざけるとヒドロゲル薄膜が支持枠部分から分離し、ヒドロゲル薄膜だけを皮膚に貼付することができた。またヒドロゲル薄膜が非常に薄いため曲面部位や屈折部位への貼付も可能で、曲げた状態の指関節に貼付すると曲面形状に追随する様にヒドロゲル薄膜が全て皮膚に密着し、また貼付後の指の屈折の際もヒドロゲル薄膜が皮膚に密着したまま剥がれることがなく、貼付後の見た目もほとんど目立たなかった。
ヒドロゲル薄膜1−b、2−b、3−bもまた、曲げた状態の指関節に接触させることにより貼付することができた。しかしながら、ヒドロゲル薄膜1−a、2−a、3−aと比較して皮膚への密着性が弱く、指の屈折の際にヒドロゲル薄膜が皮膚からずれる傾向があった。また貼付後の見た目が目立ち易い傾向があった。
<乾燥ゲル薄膜のヒト皮膚への貼付評価>
上記で作製された乾燥ゲル薄膜1−a、2−a、3−aそれぞれについて乾燥ゲル薄膜が形成された支持枠の、支持枠部分をつかんでヒト皮膚と乾燥ゲル薄膜を接触させると、乾燥ゲル薄膜が非常に薄いので柔軟性があり皮膚の微細形状に追随するように皮膚に密着し、支持枠を皮膚から遠ざけると乾燥ゲル薄膜1−a、2−a、3−aが支持枠から剥がれ、乾燥ゲル薄膜1−a、2−a、3−aだけを皮膚に貼付することができた。また乾燥ゲル薄膜1−a、2−a、3−aが非常に薄いため曲面部位や屈折部位への貼付も可能で、曲げた状態の指関節に貼付すると曲面形状に追随する様に膜が全て皮膚に密着し、また貼付後の指の屈折の際も乾燥ゲル薄膜1−a、2−a、3−aは皮膚に密着したまま剥がれることがなく、貼付後の見た目もほとんど目立たなかった。
乾燥ゲル薄膜1−b、2−b、3−bもまた、曲げた状態の指関節に接触させることにより貼付することができた。しかしながら、乾燥ゲル薄膜1−a、2−a、3−aと比較して皮膚への密着性が弱く、指の屈折の際に乾燥ゲル薄膜が皮膚からずれる傾向があった。また貼付後の見た目が目立ち易い傾向があった。
<ポリエチレングリコール添加による膜の柔軟性の影響>
ゼラチンが2重量%でポリエチレングリコールが0重量%、1重量%、2重量%、6重量%含む溶液をそれぞれ1mlずつ、3cm×3cmのスガラス上に、溶液を37℃でゾル状態にしておいて均一にコートし、4℃の温度条件に10分間曝して溶液をゲル化させ、4℃で24時間乾乾燥処理を行うことで、スガラス上に乾燥膜を形成した。その後、乾燥膜の硬さを測定したところ(ピコデンター、HM500、フィッシャー・インストルメンツ)、ポリエチレングリコールの量の増加に伴い膜のマルテンス硬さの値が低くなり柔軟性が高まった(下表参照)。
Figure 2013223644

Claims (18)

  1. ゼラチンを含む水溶液の泡膜、アガロースを含む水溶液の泡膜、又は、コラーゲンを含む水溶液の泡膜を枠の開口に形成する泡膜形成工程と、
    前記泡膜を、水を含有する状態でゲル化させ、ヒドロゲル薄膜を形成するゲル化工程と
    を含む、ヒドロゲル薄膜の製造方法。
  2. ゼラチンを含む水溶液の泡膜、アガロースを含む水溶液の泡膜、又は、コラーゲンを含む水溶液の泡膜を枠の開口に形成する泡膜形成工程と、
    前記泡膜を、水を含有する状態でゲル化させ、ヒドロゲル薄膜を形成するゲル化工程と、
    前記ヒドロゲル薄膜を乾燥する乾燥工程と
    を含む、乾燥ゲル薄膜の製造方法。
  3. 泡膜形成工程が、ゼラチンを0.1〜2.9重量%の濃度で含む水溶液の泡膜、アガロースを0.1〜5.0重量%の濃度で含む水溶液の泡膜、又は、コラーゲンを0.1〜5.0重量%の濃度で含む水溶液の泡膜を枠の開口に形成する工程である、請求項1のヒドロゲル薄膜の製造方法。
  4. 泡膜形成工程が、ゼラチンを0.1〜2.9重量%の濃度で含む水溶液の泡膜、アガロースを0.1〜5.0重量%の濃度で含む水溶液の泡膜、又は、コラーゲンを0.1〜5.0重量%の濃度で含む水溶液の泡膜を枠の開口に形成する工程である、請求項2の乾燥ゲル薄膜の製造方法。
  5. 前記枠の開口の面積が100〜40000mm2である、請求項1又は3のヒドロゲル薄膜の製造方法。
  6. 前記枠の開口の面積が100〜40000mm2である、請求項2又は4の乾燥ゲル薄膜の製造方法。
  7. ゼラチンを含む水溶液の泡膜を、水を含有する状態でゲル化して調製された、ゼラチンヒドロゲル薄膜。
  8. 前記水溶液が、ゼラチンを0.1〜2.9重量%の濃度で含む水溶液である、請求項7のゼラチンヒドロゲル薄膜。
  9. 前記泡膜が、開口の面積が100〜40000mm2の開口を有する枠に形成された泡膜である、請求項7又は8のゼラチンヒドロゲル薄膜。
  10. 請求項7〜9のいずれか1項のゼラチンヒドロゲル薄膜を乾燥させて調製されたゼラチン乾燥ゲル薄膜。
  11. アガロースを含む水溶液の泡膜を、水を含有する状態でゲル化して調製された、アガロースヒドロゲル薄膜。
  12. 前記水溶液が、アガロースを0.1〜5.0重量%の濃度で含む水溶液である、請求項11のアガロースヒドロゲル薄膜。
  13. 前記泡膜が、開口の面積が100〜40000mm2の開口を有する枠に形成された泡膜である、請求項11又は12のアガロースヒドロゲル薄膜。
  14. 請求項11〜13のいずれか1項のアガロースヒドロゲル薄膜を乾燥させて調製されたアガロース乾燥ゲル薄膜。
  15. コラーゲンを含む水溶液の泡膜を、水を含有する状態でゲル化して調製された、コラーゲンヒドロゲル薄膜。
  16. 前記水溶液が、コラーゲンを0.1〜5.0重量%の濃度で含む水溶液である、請求項15のコラーゲンヒドロゲル薄膜。
  17. 前記泡膜が、開口の面積が100〜40000mm2の開口を有する枠に形成された泡膜である、請求項15又は16のコラーゲンヒドロゲル薄膜。
  18. 請求項15〜17のいずれか1項のコラーゲンヒドロゲル薄膜を乾燥させて調製されたコラーゲン乾燥ゲル薄膜。
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