JP2015224263A - 接着剤組成物、並びにそれを用いた半導体装置及び半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】銀粒子の分散性に優れ、窒素等の不活性ガス中で焼成した場合でも十分な接着強度を確保できる接着剤組成物、並びにそれを用いた半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】銀粒子と、炭素数6以上の脂肪族一級アミンと、ギ酸と、分散媒と、を含有し、銀粒子100質量部に対し、脂肪族一級アミンとギ酸との合計量が0.7質量部〜5.0質量部であり、分散媒の含有量が5質量部〜15質量部であり、脂肪族一級アミンに対するギ酸のモル比が0.5〜1.4である、接着剤組成物。
【選択図】なし
【解決手段】銀粒子と、炭素数6以上の脂肪族一級アミンと、ギ酸と、分散媒と、を含有し、銀粒子100質量部に対し、脂肪族一級アミンとギ酸との合計量が0.7質量部〜5.0質量部であり、分散媒の含有量が5質量部〜15質量部であり、脂肪族一級アミンに対するギ酸のモル比が0.5〜1.4である、接着剤組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、接着剤組成物、並びにそれを用いた半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。さらに詳しくはパワー半導体、LSI、発光ダイオード(LED)等の半導体素子をリードフレーム、セラミック配線板、ガラスエポキシ配線板、ポリイミド配線板等の基板に接着するのに好適な接着剤組成物、並びにそれを用いた半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
半導体装置を製造する際、半導体素子とリードフレーム(支持部材)とを接着させる方法としては、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂等の樹脂に銀粉等の充てん剤を分散させてペースト状(例えば、銀ペースト)として、これを接着剤として使用する方法がある。この方法では、ディスペンサー、印刷機、スタンピングマシン等を用いて、ペースト状接着剤をリードフレームのダイパッドに塗布した後、半導体素子をダイボンディングし、加熱硬化により接着させ半導体装置とする。
近年、半導体素子の高速化、高集積化が進むに伴い、半導体装置の動作安定性を確保するために高放熱特性が求められている。
従来の金属粒子同士の接触を利用した導電性接着剤よりも高い放熱性を達成する手段として、熱伝導率の高い銀粒子を高充填する接着剤組成物(例えば特許文献1〜3)、はんだ粒子を用いた接着剤組成物(例えば特許文献4)、焼結性に優れる平均粒径0.1μm以下の金属ナノ粒子を用いる接着剤組成物(例えば特許文献5)が提案されている。
また、これらの組成物よりも熱伝導率及び高温下での接続信頼性に優れるものとして、特殊な表面処理を施したマイクロサイズの銀粒子を用いることで、100℃以上400℃以下での加熱により銀粒子同士が焼結されるような接着剤組成物(例えば特許文献6)が提案されている。特許文献6で提案されている銀粒子同士が焼結されるような焼結銀接着剤組成物では、銀粒子が金属結合を形成するため、他の手法よりも熱伝導率及び高温下での接続信頼性が優れるものと考えられる。
ところで、半導体素子と基板とを焼結銀接着剤組成物により接合する場合、基板の被着面には焼結銀接着剤組成物との接着性向上のために貴金属メッキが施される。一方、貴金属メッキが施された表面は封止用の樹脂との接着性に乏しいことから、基板における焼結銀接着剤組成物との接触部以外については、貴金属メッキを施さずに母材の銅を露出させておくことがある。この場合、銅の酸化・変色を抑制するために窒素等の不活性ガス中で基板を焼成するが、従来の焼結銀接着剤組成物では焼成時に銀粒子表面を保護する有機物を空気中の酸素で酸化分解して除去しているため、窒素等の不活性ガス中では酸化分解が進行せず、銀粒子の焼結が著しく阻害されてダイシェア強度が大きく低下するという問題がある。
また、半導体素子と基板とを好適に接合するためには、銀焼結接着剤組成物において銀粒子が分散し、銀焼結接着剤組成物がペースト状になることが望ましい。
本発明は、銀粒子の分散性に優れ、窒素等の不活性ガス中で焼成した場合でも十分な接着強度を確保できる接着剤組成物、並びにそれを用いた半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、銀粒子と、炭素数6以上の脂肪族一級アミンと、ギ酸と、分散媒と、を含有し、銀粒子100重量部に対し、脂肪族一級アミンとギ酸との合計量が0.7質量部〜5.0質量部であり、分散媒の含有量が5質量部〜15質量部であり、脂肪族一級アミンに対するギ酸のモル比が0.5〜1.4である、接着剤組成物を提供する。
接着剤組成物のCasson粘度は、0.08Pa・s〜2.9Pa・sであることが好ましい。
銀粒子の平均粒径が0.05μm〜50μmであり、銀粒子中の片状の銀粒子の割合が50質量%以上であることが好ましい。
また、本発明は、上記の接着剤組成物を介して、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材とが接着された構造を有する、半導体装置を提供する。
また、本発明は、上記の接着剤組成物を、酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気下において180℃以上の温度で焼成する工程を備える、半導体装置の製造方法を提供する。
本発明によれば、接着剤組成物を低酸素濃度の雰囲気下で焼成しても十分な接着力を確保できるため、基板等の部材表面に卑金属が含まれる場合でも十分に高い接着力で接合できる接着剤組成物、並びにそれを用いた半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することができる。
以下、本発明に係る接着剤組成物、並びにそれを用いた半導体装置及び半導体装置の製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
さらに本明細書において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
<接着剤組成物>
本実施形態の接着剤組成物は、銀粒子と、炭素数6以上の脂肪族一級アミン(以下、単に「脂肪族一級アミン」ともいう。)と、ギ酸と、分散媒と、を含有する。
本実施形態の接着剤組成物は、銀粒子と、炭素数6以上の脂肪族一級アミン(以下、単に「脂肪族一級アミン」ともいう。)と、ギ酸と、分散媒と、を含有する。
本実施形態の接着剤組成物において、脂肪族一級アミンとギ酸との合計量は、銀粒子100質量部としたときに、0.7質量部〜5.0質量部であり、0.75質量部〜3.0質量部であることが好ましく、0.8質量部〜2.0質量部であることがさらに好ましい。また、脂肪族一級アミンに対するギ酸のモル比(ギ酸/脂肪族一級アミン)は、0.5〜1.4であり、0.6〜1.3が好ましく、0.7〜1.2がより好ましい。脂肪族一級アミン及びギ酸の含有量を上記範囲とすると、低酸素濃度の雰囲気下でも接着剤組成物の焼結が進行するため、部材を酸化させることなく半導体素子と基板とを接合できる。
また、接着剤組成物は、ペースト状で用いられるため、分散媒を含有する。分散媒の含有量は、銀粒子100質量部に対して、5質量部〜15質量部であり、7質量部〜14質量部が好ましく、8質量部〜13質量部がより好ましい。
接着剤組成物の粘度は、Casson粘度で0.08Pa・s〜2.9Pa・sであり、0.08Pa・s〜2.0Pa・sが好ましく、0.1Pa・s〜1.7Pa・sがより好ましい。この範囲であれば、接着剤組成物を均一に塗布あるいは印刷することができる。
接着剤組成物のCasson粘度の測定は、粘弾性測定装置(Physica MCR−501、Anton Paar製)によって行うことができる。角度1°直径50mmのコーン型測定冶具(CP50−1)を装着し、測定位置で接着剤組成物が測定冶具からあふれる程度の接着剤組成物を測定装置に導入し、測定冶具を測定位置に下ろした際あふれた接着剤組成物をかきとった後測定を行う。測定は25℃で、以下の2ステップを連続して行い、2ステップ目にせん断速度とせん断応力を記録する。
(i)せん断速度0s−1、600秒、
(ii)せん断速度0〜100s−1、せん断速度増加率100/60s−1/step、測定間隔1秒、測定点数60点。
(i)せん断速度0s−1、600秒、
(ii)せん断速度0〜100s−1、せん断速度増加率100/60s−1/step、測定間隔1秒、測定点数60点。
得られたせん断速度とせん断応力から、公知の文献(技術情報協会:レオロジーの測定とコントロール 一問一答集 −レオロジーを測って、物性を丸裸にする−、東京、技術情報協会、2010、p39−46)に記載の手法で、Casson粘度を算出する。具体的には、得られたそれぞれのせん断速度及びせん断応力の平方根を計算し、せん断速度の1/2乗に対するせん断応力の1/2乗から最小二乗法により近似される直線の傾きを算出する。この傾きを二乗したものをCasson粘度とする。
(脂肪族一級アミン)
脂肪族一級アミンの炭素数は、6以上であり、9以上であることが好ましく、12以上であることがより好ましい。脂肪族一級アミンの炭素数の上限は、特に制限されないが、例えば26以下とすることができる。脂肪族一級アミンのアミノ基の数は、1〜3であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。炭素数6以上の脂肪族一級アミンとしては、具体的には、ヘキシルアミン、2−アミノヘキサン、(3−メチルペンチル)アミン、2−アミノ−3,3−ジメチルブタン、1−エチル−1−メチルプロピルアミン、3,3−ジメチルブチルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、1,1−ジメチルブチルアミン、1,2−ジメチルブチルアミン、へプチルアミン、1−プロピルブチルアミン、1,3−ジメチルアミルアミン、2−アミノヘプタン、2−アミノ−5−メチルヘキサン、1,7−ヘプタンジアミン、オクチルアミン、2−アミノオクタン、6−メチル−1−ヘプチルアミン、2−エチル−1−ヘキシルアミン、2−アミノ−6−メチルヘプタン、1,1,3,3−テトラメチルブチルアミン、2−アミノ−2,4,4−トリメチルペンタン、1,8−ジアミノオクタン、シクロオクチルアミン、ノニルアミン、2−アミノノナン、イソノニルアミン、3−メチル−1−オクタンアミン、デシルアミン、1,10−ジアミノデカン、2−デカンアミン、ミルタニルアミン、アダマンタンアミン、ウンデシルアミン、1−メチルデシルアミン、アミノドデカン、1,12−ドデカンジアミン、アミノビシクロヘキシル、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、1−ヘプチルオクチルアミン、1−メチルテトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ノナデシルアミン、イコシルアミン等が挙げられる。
脂肪族一級アミンの炭素数は、6以上であり、9以上であることが好ましく、12以上であることがより好ましい。脂肪族一級アミンの炭素数の上限は、特に制限されないが、例えば26以下とすることができる。脂肪族一級アミンのアミノ基の数は、1〜3であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。炭素数6以上の脂肪族一級アミンとしては、具体的には、ヘキシルアミン、2−アミノヘキサン、(3−メチルペンチル)アミン、2−アミノ−3,3−ジメチルブタン、1−エチル−1−メチルプロピルアミン、3,3−ジメチルブチルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、1,1−ジメチルブチルアミン、1,2−ジメチルブチルアミン、へプチルアミン、1−プロピルブチルアミン、1,3−ジメチルアミルアミン、2−アミノヘプタン、2−アミノ−5−メチルヘキサン、1,7−ヘプタンジアミン、オクチルアミン、2−アミノオクタン、6−メチル−1−ヘプチルアミン、2−エチル−1−ヘキシルアミン、2−アミノ−6−メチルヘプタン、1,1,3,3−テトラメチルブチルアミン、2−アミノ−2,4,4−トリメチルペンタン、1,8−ジアミノオクタン、シクロオクチルアミン、ノニルアミン、2−アミノノナン、イソノニルアミン、3−メチル−1−オクタンアミン、デシルアミン、1,10−ジアミノデカン、2−デカンアミン、ミルタニルアミン、アダマンタンアミン、ウンデシルアミン、1−メチルデシルアミン、アミノドデカン、1,12−ドデカンジアミン、アミノビシクロヘキシル、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、1−ヘプチルオクチルアミン、1−メチルテトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ノナデシルアミン、イコシルアミン等が挙げられる。
(銀粒子)
銀粒子は銀原子を含有する粒子であり、より好ましくは銀原子を主成分(例えば、90質量%以上、以下同様)として含有する粒子である。銀原子を主成分とする組成としては、金属銀、酸化銀が挙げられ、金属銀が好ましい。
銀粒子は銀原子を含有する粒子であり、より好ましくは銀原子を主成分(例えば、90質量%以上、以下同様)として含有する粒子である。銀原子を主成分とする組成としては、金属銀、酸化銀が挙げられ、金属銀が好ましい。
銀粒子の形状としては、例えば、球状、塊状、針状、片状が挙げられる。ここで、針状とは、銀粒子に外接する平行二平面のうち、平行二平面間距離が最大となるように選ばれる平行二平面の距離を長径とし、前記長径を与える平行二平面に直交し且つ前記銀粒子に外接する平行二平面のうち、平行二平面間距離が最小となるように選ばれる平行二平面の距離を短径とし、前記長径を与える平行二平面に直交し且つ前記銀粒子に外接する平行二平面のうち、平行二平面間距離が最大となるように選ばれる平行二平面の距離を中径とした場合に、長径が1〜50μm、アスペクト比(長径/短径及び長径/中径)が3〜1000の範囲の銀粒子の形状を意味する。片状とは、銀粒子をSEM観察した結果から解析を行い、平均厚さtが0.1μm〜15μm、アスペクト比(平均粒子径a/平均厚さt)が3〜1000の範囲の銀粒子の形状を意味する。塊状とは、アスペクト比が3以下の針状や片状でない形状の内で不規則な形状を意味する。片状の銀粒子はスタッキングして重なるため、銀粒子間の接触面積が大きくなり焼結しやすくなることから、銀粒子中の片状の銀粒子の割合が、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
銀粒子の一次粒子の平均粒径が0.02μm〜50μmであることが好ましく、0.05μm〜30μmであることがより好ましく、0.08μm〜25μmであることがさらに好ましい。平均粒径が下限値以上であると、分散性がより向上する。平均粒径が上限値以下であると、ダイボンド層の厚みを好適な厚みとすることができる。銀粒子の一次粒子の平均粒径(体積平均粒径)は、レーザー回析式粒度分布測定装置により測定できる。測定法の一例を以下に示す。
銀粒子0.1gとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(和光純薬工業製)0.01g、蒸留水(和光純薬工業製)9.99gとを混合し、超音波洗浄機で5分間処理して水分散液を得た。超音波分散ユニットを有するユニバーサルリキッドモジュールを装着したレーザー散乱法粒度分布測定装置LS13 320(ベックマンコールタ製)を用い、光源の安定のため本体電源を入れて30分間放置した後、リキッドモジュールに蒸留水を測定プログラムからRinseコマンドにより導入し、測定プログラムからDe−bubble、Measure Offset、Align、Measure Backgroundを行う。続いて、測定プログラムのMeasure Loadingを用い、この水分散液を振り混ぜて均一になったところでスポイトを用いてリキッドモジュールに、測定プログラムがサンプル量LowからOKになるまで、添加する。その後、測定プログラムからMeasureを行い、粒度分布を取得する。レーザー散乱法粒度分布測定装置の設定として、Pump Speed:70%、Include PIDS data:ON、Run Length:90seconds、分散媒屈折率:1.332、分散質屈折率:0.17−3.4iを用いた。
この測定により、通常、一次粒子以外に凝集体のピークを含む複数のピークをもつ粒度分布が得られるが、最も低粒径のピーク一つを処理範囲として一次粒子の平均粒径を得る。
(分散媒)
分散媒は有機、無機いずれでもかまわないが、塗布工程での乾燥を防ぐ観点から、200℃以上の沸点を有していることが好ましく、300℃以上の沸点を有していることがより好ましい。また、焼結後に分散媒が残留させないように400℃以下の沸点を有していることが好ましい。
分散媒は有機、無機いずれでもかまわないが、塗布工程での乾燥を防ぐ観点から、200℃以上の沸点を有していることが好ましく、300℃以上の沸点を有していることがより好ましい。また、焼結後に分散媒が残留させないように400℃以下の沸点を有していることが好ましい。
このような分散媒としては、テルピネオール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、イソボルニルシクロヘキサノール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、p−フェニルフェノール、プロピレングリコールフェニルエーテルなどのアルコール類;オクタン酸オクチル、ミリスチン酸エチル、リノール酸メチル、クエン酸トリブチル、トリブチリン、安息香酸ベンジル、ステアリン酸ブチル、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジプレングリコールメチルエーテルアセテート、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、グリセリントリアセテート等のエステル類;イソホロン等のケトン;N−メチルピロリドン等のラクタム;フェニルアセトニトリル等のニトリル類、オクタデカン、ヘプタデカン、スクアラン等の脂肪族が挙げられる。
本実施形態の接着剤組成物は、焼結助剤、フッ素系界面活性剤等の濡れ性向上剤、及びシリコーン油等の消泡剤から選ばれる一つ以上を含んでもよい。なお、本実施形態の接着剤組成物は、ここに列挙した以外の成分を含んでいても構わない。
本実施形態の接着剤組成物には、必要に応じてさらに、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の吸湿剤、ノニオン系界面活性剤、無機イオン交換体等のイオントラップ剤、重合禁止剤などを適宜添加することができる。
上述の接着剤組成物は、上述の成分を一括又は分割して撹拌器、らいかい機、3本ロール、プラネタリーミキサー等の分散・溶解装置を適宜組み合わせ、必要に応じて加熱して混合、溶解、解粒混練又は分散して均一なペースト状として用いることができる。
上述の接着剤組成物は、例えば、100〜300℃で、5秒間〜10時間加熱することにより硬化させることができる。
硬化した接着剤組成物の体積抵抗率は1×10−4Ω・cm以下であることが好ましく、硬化した接着剤組成物の熱伝導率は30W/m・K以上であることが好ましい。
<半導体装置の製造方法>
本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、以下の工程を有していることが好ましい。
本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、以下の工程を有していることが好ましい。
(A)接着剤組成物を半導体素子あるいは半導体素子搭載用支持部材に付与し、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材とを張り合わせる工程(以下、「工程(A)」という。)、
(B)接着剤組成物を硬化し、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材とを接合する工程(以下、「工程(B)」という。)。
(B)接着剤組成物を硬化し、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材とを接合する工程(以下、「工程(B)」という。)。
工程(A)は、接着剤組成物を付与した後、乾燥工程を有してもよい。
(工程(A))−接着剤組成物の付与工程−
[接着剤組成物の調製]
接着剤組成物は、上述の銀粒子、添加剤及び任意の成分を分散媒中で混合して調製できる。混合後に、撹拌処理を行ってもよい。また、ろ過により分散液の最大粒径を調整してもよい。
[接着剤組成物の調製]
接着剤組成物は、上述の銀粒子、添加剤及び任意の成分を分散媒中で混合して調製できる。混合後に、撹拌処理を行ってもよい。また、ろ過により分散液の最大粒径を調整してもよい。
撹拌処理は、撹拌機を用いて行うことができる。このような撹拌機としては、例えば、自転公転型攪拌装置、ライカイ機、二軸混練機、三本ロール、プラネタリーミキサー、薄層せん断分散機が挙げられる。
ろ過は、ろ過装置を用いて行うことができる。ろ過用のフィルタとしては、例えば、金属メッシュ、メタルフィルター、ナイロンメッシュが挙げられる。
[接着剤組成物の付与]
接着剤組成物を半導体素子搭載用支持部材または半導体素子上に付与することで接着剤組成物層を形成する。付与方法としては、塗布又は印刷が挙げられる。
接着剤組成物を半導体素子搭載用支持部材または半導体素子上に付与することで接着剤組成物層を形成する。付与方法としては、塗布又は印刷が挙げられる。
接着剤組成物の塗布方法としては、例えば、ディッピング、スプレーコート、バーコート、ダイコート、カンマコート、スリットコート、アプリケータを用いることができる。
接着剤組成物を印刷する印刷方法としては、例えば、ディスペンサー、ステンシル印刷、凹版印刷、スクリーン印刷、ニードルディスペンサ、ジェットディスペンサ法を用いることができる。
本実施形態に係る半導体素子と半導体素子搭載用支持部材としては、被着体表面が金属であるものが用いられる。被着体表面の金属としては、金、銀、銅、ニッケル等が挙げられる。また、上記のうち複数の材料が基材上にパターニングされていてもよい。
接着剤組成物の付与により形成された接着剤組成物層は、硬化時の流動及びボイド発生を抑制する観点から適宜乾燥させることができる。
乾燥方法は、常温放置による乾燥、加熱乾燥または減圧乾燥を用いることができる。加熱乾燥または減圧乾燥には、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉、熱板プレス装置等を用いることができる。
乾燥のための温度及び時間は、使用した分散媒の種類及び量に合わせて適宜調整することが好ましく、例えば、50〜180℃で、1〜120分間乾燥させることが好ましい。
接着剤組成物層の形成後、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材とを、接着剤組成物を介して貼りあわせる。工程(A)が乾燥工程を有する場合は、張り合わせ工程の前あるいは後のいずれの段階で乾燥工程を行ってもよい。
(工程(B))−硬化処理−
次いで、接着剤組成物層を焼成することにより硬化させる。接着剤組成物層の焼成は、加熱処理で行ってもよいし、加熱加圧処理で行ってもよい。加熱処理には、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉等を用いることができる。また、加熱加圧処理には、熱板プレス装置等を用いてもよいし、重りを乗せて加圧しながら上述の加熱処理を行ってもよい。接着剤組成物層の焼成における加熱温度は、180℃以上であり、好ましくは190℃以上、より好ましくは200℃以上である。当該加熱温度の上限は、特に制限されないが、例えば350℃以下である。
次いで、接着剤組成物層を焼成することにより硬化させる。接着剤組成物層の焼成は、加熱処理で行ってもよいし、加熱加圧処理で行ってもよい。加熱処理には、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉等を用いることができる。また、加熱加圧処理には、熱板プレス装置等を用いてもよいし、重りを乗せて加圧しながら上述の加熱処理を行ってもよい。接着剤組成物層の焼成における加熱温度は、180℃以上であり、好ましくは190℃以上、より好ましくは200℃以上である。当該加熱温度の上限は、特に制限されないが、例えば350℃以下である。
本実施形態に係る製造方法においては、接着剤組成物層の焼成は、酸素ガスの存在下及び不存在下のいずれで行われてもよい。本実施形態に係る接着剤組成物によれば、低酸素濃度の雰囲気下であっても十分な接着強度を確保できるため、接着剤組成物層の焼成は、例えば酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気下で行われてもよい。
以上の本実施形態の接着剤組成物の製造方法により、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材とが接着性、高熱伝導性及び高耐熱性に優れた接着剤組成物硬化物により接合された半導体装置を製造することができる。
<半導体装置>
本実施形態に係る半導体装置は、本実施形態に係る接着剤組成物を介して、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材半導体素子とが接着された構造を有している。半導体装置としては、ダイオード、整流器、サイリスタ、MOSゲートドライバ、パワースイッチ、パワーMOSFET、IGBT、ショットキーダイオード、ファーストリカバリダイオード等のパワーモジュール、発信機、増幅器、LEDモジュールなどが挙げられる。
本実施形態に係る半導体装置は、本実施形態に係る接着剤組成物を介して、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材半導体素子とが接着された構造を有している。半導体装置としては、ダイオード、整流器、サイリスタ、MOSゲートドライバ、パワースイッチ、パワーMOSFET、IGBT、ショットキーダイオード、ファーストリカバリダイオード等のパワーモジュール、発信機、増幅器、LEDモジュールなどが挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
各実施例における各特性の測定は、次のようにして実施した。
(1)Casson粘度の測定
20℃に設定した恒温水循環装置を接続した粘弾性測定装置(Physica MCR−501、Anton Paar製)を用い、起動後、初期化し、角度1°直径50mmのコーン型測定冶具(CP50−1)の装着、ゼロギャップの測定の順に行った。その後、測定位置を1mmに設定し、モーターの調整を長時間調整の設定で実施した。測定位置を80mmに設定後、測定位置に測定冶具を上げ、接着剤組成物が測定冶具からあふれる程度の接着剤組成物を測定装置に導入し、測定冶具を測定位置に下ろした際あふれた接着剤組成物をかきとった。測定は25℃で、以下の2ステップを連続して行い、2ステップ目にせん断速度とせん断応力を記録した。
(i)せん断速度0s−1、600秒、
(ii)せん断速度0〜100s−1、せん断速度増加率100/60s−1/step、測定間隔1秒、測定点数60点。
20℃に設定した恒温水循環装置を接続した粘弾性測定装置(Physica MCR−501、Anton Paar製)を用い、起動後、初期化し、角度1°直径50mmのコーン型測定冶具(CP50−1)の装着、ゼロギャップの測定の順に行った。その後、測定位置を1mmに設定し、モーターの調整を長時間調整の設定で実施した。測定位置を80mmに設定後、測定位置に測定冶具を上げ、接着剤組成物が測定冶具からあふれる程度の接着剤組成物を測定装置に導入し、測定冶具を測定位置に下ろした際あふれた接着剤組成物をかきとった。測定は25℃で、以下の2ステップを連続して行い、2ステップ目にせん断速度とせん断応力を記録した。
(i)せん断速度0s−1、600秒、
(ii)せん断速度0〜100s−1、せん断速度増加率100/60s−1/step、測定間隔1秒、測定点数60点。
得られたせん断速度とせん断応力の平方根を計算し、せん断速度の1/2乗に対するせん断応力の1/2乗から最小二乗法により近似される直線の傾きを算出した。この傾きを二乗したものをCasson粘度とした。
(2)ダイシェア強度
接着剤組成物を、銀めっきしたPPF−Cuリードフレーム(ランド部:10×5mm)上に先のとがったピンセットを用いて塗布した。塗布した接着剤組成物上に、銀がめっきされた2×2mm2の被着面が銀めっきであるCuチップを載せ、ピンセットで軽く押さえた。サンプルをフラックスレスリフロー装置(アユミ工業製)の搬送トレー上にセットし、前室を密閉した。前室で10分間窒素をフローして窒素置換した後、あらかじめ10Pa以下に減圧した後、窒素を導入して窒素置換した処理室に搬送した。処理室内で、大気圧、窒素流量10L/minの条件で、搬送トレーを内蔵のカーボンヒータを用いて室温から250℃まで20分間で昇温し、250℃で1時間加熱した。その後、搬送トレーを前室に戻し窒素中、冷却板上で50℃以下になるまで冷却した後、前室を開放してサンプルを装置から取り出し、接着剤組成物の硬化済みサンプルとした。接着剤組成物の硬化済みサンプルの接着強度は、ダイシェア強度により評価した。1kNのロードセルを装着した万能型ボンドテスタ(4000シリーズ、DAGE社製)を用い、測定スピード500μm/s、測定高さ100μmでCuチップを水平方向に押し、接着剤組成物硬化物のダイシェア強度を測定した。9測定の平均をダイシェア強度とした。なお、ダイシェア強度が20MPa未満であると、接着不良であるといえる。
接着剤組成物を、銀めっきしたPPF−Cuリードフレーム(ランド部:10×5mm)上に先のとがったピンセットを用いて塗布した。塗布した接着剤組成物上に、銀がめっきされた2×2mm2の被着面が銀めっきであるCuチップを載せ、ピンセットで軽く押さえた。サンプルをフラックスレスリフロー装置(アユミ工業製)の搬送トレー上にセットし、前室を密閉した。前室で10分間窒素をフローして窒素置換した後、あらかじめ10Pa以下に減圧した後、窒素を導入して窒素置換した処理室に搬送した。処理室内で、大気圧、窒素流量10L/minの条件で、搬送トレーを内蔵のカーボンヒータを用いて室温から250℃まで20分間で昇温し、250℃で1時間加熱した。その後、搬送トレーを前室に戻し窒素中、冷却板上で50℃以下になるまで冷却した後、前室を開放してサンプルを装置から取り出し、接着剤組成物の硬化済みサンプルとした。接着剤組成物の硬化済みサンプルの接着強度は、ダイシェア強度により評価した。1kNのロードセルを装着した万能型ボンドテスタ(4000シリーズ、DAGE社製)を用い、測定スピード500μm/s、測定高さ100μmでCuチップを水平方向に押し、接着剤組成物硬化物のダイシェア強度を測定した。9測定の平均をダイシェア強度とした。なお、ダイシェア強度が20MPa未満であると、接着不良であるといえる。
(3)断面SEM観察
「(2)ダイシェア強度」と同様にして接着剤組成物の硬化済みサンプルを作製した。接着剤組成物の硬化済みサンプルをカップ内にサンプルクリップ(Samplklip I、Buehler製)で固定し、周囲にエポキシ注形樹脂(エポマウント、リファインテック製)をサンプル全体が埋まるまで流し込み、真空デシケータ内に静置して30秒間減圧して脱泡した。その後、室温での8時間以上放置してエポキシ注形樹脂を硬化した。
「(2)ダイシェア強度」と同様にして接着剤組成物の硬化済みサンプルを作製した。接着剤組成物の硬化済みサンプルをカップ内にサンプルクリップ(Samplklip I、Buehler製)で固定し、周囲にエポキシ注形樹脂(エポマウント、リファインテック製)をサンプル全体が埋まるまで流し込み、真空デシケータ内に静置して30秒間減圧して脱泡した。その後、室温での8時間以上放置してエポキシ注形樹脂を硬化した。
耐水研磨紙(カーボマックペーパー、リファインテック製)をつけた研磨装置(Refine Polisher HV、リファインテック製)で接着部まで削り断面を出した。その後、バフ研磨剤を染ませたバフ研磨布をセットした研磨装置で断面を平滑に仕上げた。このSEM用サンプルをSEM装置(TM−1000、日立製作所製)により、接着剤組成物硬化物の断面を印過電圧15kVで観察した。実施例1及び比較例1,2,4についてのSEM像を、それぞれ図1〜4に示した。
[実施例1、比較例1〜6]
(接着剤組成物の調製)
20mLポリエチレン瓶にステアリルアミン(和光純薬工業製)を0.85質量部(0.156g)、テルピネオール(αテルピネオール異性体混合、和光純薬工業製)を8.9質量部(1.62g)秤量し、密栓し50℃の水浴で30分間加温して溶解した。この溶液に、ギ酸(試薬特級、和光純薬工業製)0.15質量部(0.027g)、銀粒子1(LM1、トクセン工業製、片状、平均粒径:1.2μm)75質量部(13.65g)、銀粒子2(AGC239、福田金属箔粉工業製、片状、平均粒径:5.4μm)25質量部(4.55g)を秤量・混合し、スパチュラで乾燥粉がなくなるまでかき混ぜ、密栓をして自転公転型攪拌装置(Planetary Vacuum Mixer ARV−310、シンキー製)により、2000rpmで1分間撹拌した。20mlポリエチレン瓶の開口部にナイロンメッシュ(ボルティングクロスN−No.355T)をたわませて張り、メッシュ上に混合物を入れ、中蓋、外蓋を閉めた。この広口ポリエチレン瓶を自転公転型攪拌装置に1000rpmで2分間かけ、メッシュを透過したものを接着剤組成物とした。
(接着剤組成物の調製)
20mLポリエチレン瓶にステアリルアミン(和光純薬工業製)を0.85質量部(0.156g)、テルピネオール(αテルピネオール異性体混合、和光純薬工業製)を8.9質量部(1.62g)秤量し、密栓し50℃の水浴で30分間加温して溶解した。この溶液に、ギ酸(試薬特級、和光純薬工業製)0.15質量部(0.027g)、銀粒子1(LM1、トクセン工業製、片状、平均粒径:1.2μm)75質量部(13.65g)、銀粒子2(AGC239、福田金属箔粉工業製、片状、平均粒径:5.4μm)25質量部(4.55g)を秤量・混合し、スパチュラで乾燥粉がなくなるまでかき混ぜ、密栓をして自転公転型攪拌装置(Planetary Vacuum Mixer ARV−310、シンキー製)により、2000rpmで1分間撹拌した。20mlポリエチレン瓶の開口部にナイロンメッシュ(ボルティングクロスN−No.355T)をたわませて張り、メッシュ上に混合物を入れ、中蓋、外蓋を閉めた。この広口ポリエチレン瓶を自転公転型攪拌装置に1000rpmで2分間かけ、メッシュを透過したものを接着剤組成物とした。
この接着剤組成物を用い、上記の各特性を測定した。結果を表1,2に示す。添加剤としてステアリン酸を加えた比較例1は、空気中で焼成した以外は「(2)ダイシェア強度」と同様にダイシェア強度を測定すると、31MPaの接着力が得られるが、窒素中で焼成した場合には7MPaで接着不良となった。それに対して、実施例1では窒素中で焼成した場合でも接着力(34MPaのダイシェア強度)が得られた。実施例1の接着剤組成物については、空気中で焼成した場合、45MPaのダイシェア強度が得られ、空気中でも低酸素濃度の雰囲気でも接着力が得られることが分かった。
実施例1の接着剤組成物では、添加剤としてステアリルアミンとギ酸とを共に加えている。一方、比較例2では、ステアリルアミンのみを添加剤として添加したところ、ダイシェア強度は18MPaと、比較例1よりは向上するものの接着不良となった。ステアリルアミンの添加量を0.5質量部、2質量部に変更した比較例5、比較例6のダイシェア強度は、それぞれ11MPa、17MPaであり、ステアリルアミンのみでは窒素中で焼結できず十分な接着力が得られなかった。
また、ギ酸のみを添加剤とした比較例3では銀粒子同士の凝集が発生して固形状となりペースト化できなかった。ギ酸添加量を減らした比較例4でも凝集が生じたが、分散媒の量を増やすことで接着剤組成物の硬化済みサンプルを作製することができた。比較例4のダイシェア強度は10MPaと接着不良となった。
以上のことから、ステアリルアミンとギ酸とを共に添加剤として添加することで、銀粒子を凝集させることなくペーストを調製でき、低酸素濃度の雰囲気中でも焼成可能とすることができることが分かった。
[実施例2、比較例7〜9]
添加剤のギ酸とステアリルアミンとの比率の影響を明らかにするために、接着剤組成物の組成を表3のとおりとした以外は実施例1と同様に接着剤組成物の調製・評価を行った。添加剤1及び添加剤2の合計量は、銀粒子100質量部に対し1質量部とした。ギ酸添加量の多い(添加剤1/添加剤2モル比が1.5以上の)比較例7〜9では、銀粒子の凝集が生じ、粘度の測定ができなかった。特に、添加剤1/添加剤2モル比が2以上では、凝集が顕著となりペースト状の接着剤組成物を調製することが困難であった。
添加剤のギ酸とステアリルアミンとの比率の影響を明らかにするために、接着剤組成物の組成を表3のとおりとした以外は実施例1と同様に接着剤組成物の調製・評価を行った。添加剤1及び添加剤2の合計量は、銀粒子100質量部に対し1質量部とした。ギ酸添加量の多い(添加剤1/添加剤2モル比が1.5以上の)比較例7〜9では、銀粒子の凝集が生じ、粘度の測定ができなかった。特に、添加剤1/添加剤2モル比が2以上では、凝集が顕著となりペースト状の接着剤組成物を調製することが困難であった。
ギ酸とステアリルアミンとのモル比に対するダイシェア強度の関係を図5に示す。ダイシェア強度は、モル比約1となる場合に極大となる傾向を示し、モル比が0.5から4の間で良好であった。
[実施例3、比較例10]
添加剤の添加量の影響を明らかとするため、添加剤1と添加剤2との合計量を変更した。接着剤組成物の組成を表4のとおりとした以外は実施例1と同様に接着剤組成物の調製・評価を行った。添加剤1/添加剤2モル比は1とした。
添加剤の添加量の影響を明らかとするため、添加剤1と添加剤2との合計量を変更した。接着剤組成物の組成を表4のとおりとした以外は実施例1と同様に接着剤組成物の調製・評価を行った。添加剤1/添加剤2モル比は1とした。
添加剤1と添加剤2との合計量が銀粒子100質量部に対して2質量部の場合、接着剤組成物の顕著な粘度増加は生じなかった。添加剤1と添加剤2との合計量に対するダイシェア強度の関係を図6に示す。添加剤1と添加剤2との合計量が0、0.5、1質量部と増えるに従って、ダイシェア強度はそれぞれ7、18、34MPaと増加した。添加剤1と添加剤2との合計量が2質量部では29MPaとなり、当該合計量が1質量部である場合より若干低下した。添加剤1と添加剤2との合計量は、図6から銀粒子を100質量部に対して0.7質量部以上であればよいことが分かった。
[実施例4]
添加剤2をステアリルアミンからドデシルアミン(和光純薬工業製)に変更した以外は実施例1と同様に接着剤組成物を調製し、各特性を測定した。接着剤組成物の組成および各特性を表5に示した。
添加剤2をステアリルアミンからドデシルアミン(和光純薬工業製)に変更した以外は実施例1と同様に接着剤組成物を調製し、各特性を測定した。接着剤組成物の組成および各特性を表5に示した。
[実施例5]
添加剤2をステアリルアミンからヘキシルアミン(和光純薬工業製)に変更した以外は実施例1と同様に接着剤組成物を調製し、各特性を測定した。接着剤組成物の組成および各特性を表5に示した。
添加剤2をステアリルアミンからヘキシルアミン(和光純薬工業製)に変更した以外は実施例1と同様に接着剤組成物を調製し、各特性を測定した。接着剤組成物の組成および各特性を表5に示した。
[比較例11]
添加剤2をステアリルアミンからトリエチルアミン(和光純薬工業製)に変更した以外は実施例1と同様に接着剤組成物を調製し、各特性を測定した。接着剤組成物の組成および各特性を表5に示した。
添加剤2をステアリルアミンからトリエチルアミン(和光純薬工業製)に変更した以外は実施例1と同様に接着剤組成物を調製し、各特性を測定した。接着剤組成物の組成および各特性を表5に示した。
実施例1、実施例4、実施例5、比較例11から、脂肪族一級アミンであるステアリルアミン、ドデシルアミン、ヘキシルアミンを用いた場合に20MPa以上のダイシェア強度が得られており、添加剤として所定の脂肪族一級アミンが好適であることが分かった。一方、トリエチルアミンを用いた場合、ダイシェア強度は19MPaであり、さらに接着剤組成物は凝集を生じて分散性に劣るため不適であった。
[比較例12]
添加剤1をギ酸から酢酸(和光純薬工業製)に変更した以外は実施例1と同様に接着剤組成物を調製し、各特性を測定した。接着剤組成物の組成および各特性を表5に示した。添加剤1を酢酸とした場合、ダイシェア強度は19MPaであり、20MPa未満となった。この結果より、ギ酸が好ましいことが分かった。
添加剤1をギ酸から酢酸(和光純薬工業製)に変更した以外は実施例1と同様に接着剤組成物を調製し、各特性を測定した。接着剤組成物の組成および各特性を表5に示した。添加剤1を酢酸とした場合、ダイシェア強度は19MPaであり、20MPa未満となった。この結果より、ギ酸が好ましいことが分かった。
Claims (5)
- 銀粒子と、炭素数6以上の脂肪族一級アミンと、ギ酸と、分散媒と、を含有し、
前記銀粒子100質量部に対し、前記脂肪族一級アミンと前記ギ酸との合計量が0.7質量部〜5.0質量部であり、前記分散媒の含有量が5質量部〜15質量部であり、
前記脂肪族一級アミンに対する前記ギ酸のモル比が0.5〜1.4である、接着剤組成物。 - Casson粘度が0.08Pa・s〜2.9Pa・sである、請求項1に記載の接着剤組成物。
- 前記銀粒子の平均粒径が0.02μm〜50μmであり、
前記銀粒子中の片状の銀粒子の割合が50質量%以上である、請求項1又は2に記載の接着剤組成物。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着剤組成物を介して、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材とが接着された構造を有する、半導体装置。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着剤組成物を、酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気下において180℃以上の温度で焼成する工程を備える、半導体装置の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014108339A JP2015224263A (ja) | 2014-05-26 | 2014-05-26 | 接着剤組成物、並びにそれを用いた半導体装置及び半導体装置の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017204238A1 (ja) * | 2016-05-26 | 2017-11-30 | 株式会社大阪ソーダ | 導電性接着剤 |
JP2020517829A (ja) * | 2017-05-12 | 2020-06-18 | ヘレウス ドイチェラント ゲーエムベーハー ウント カンパニー カーゲー | 金属ペーストによりコンポーネントを接続する方法 |
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2014
- 2014-05-26 JP JP2014108339A patent/JP2015224263A/ja active Pending
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WO2017204238A1 (ja) * | 2016-05-26 | 2017-11-30 | 株式会社大阪ソーダ | 導電性接着剤 |
JPWO2017204238A1 (ja) * | 2016-05-26 | 2019-04-11 | 株式会社大阪ソーダ | 導電性接着剤 |
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