JP2015224194A - 認知症の予防、及び治療のための医薬、食品、組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】認知機能、特にアルツハイマー型認知症の予防、改善効果を有する組成物、医薬品及び/又は食品の提供。
【解決手段】ドーパミン産生を上昇させることにより認知機能を改善、向上させる効果があるホップ中の成分であるフムロン類、あるいは異性化ホップエキスに含まれるイソフムロン類を配合した医薬品及び/又は食品。また、この効果はアセチルコリンエステラーゼ阻害剤との併用により増強される。
【選択図】図1
【解決手段】ドーパミン産生を上昇させることにより認知機能を改善、向上させる効果があるホップ中の成分であるフムロン類、あるいは異性化ホップエキスに含まれるイソフムロン類を配合した医薬品及び/又は食品。また、この効果はアセチルコリンエステラーゼ阻害剤との併用により増強される。
【選択図】図1
Description
本発明は、認知症の予防、治療、及び/又は認知機能を改善するための組成物及び医薬、機能性食品に関する。
近年、世界的な高齢化に伴う認知症高齢者の増加により社会保障負担の増加が大きな問題となっている。また、健康なシニア層であっても、加齢に伴う脳機能の衰えの改善が望まれている。そのため脳機能、特に認知機能を低下させない予防法が社会的にも求められている。特に、日本では、4人に1人が65歳以上いう超高齢化社会となっており、さらに国内の認知症患者は400万人にも及ぶとされていることから、日々の生活で脳機能の低下を予防することや、脳機能の改善を行うことは急務となっている。
また、認知症の中のアルツハイマー病の治療薬については、脳内でのアセチルコリンを上昇させるアセチルコリンエステラーゼ阻害活性を有したドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、NMDA阻害活性を有したメマンチンが日本国内では上市されている。しかしこれらは、症状の進行を抑制したり改善する効果は確認されているが、根本的な治療方法は未だ確立されていない。
一方で近年、脳機能の解明が進むにつれ、記憶力等の認知機能の向上に作用し、認知症を予防、改善する物質を探索する試みが盛んに行われている。日常的に摂取し得る食品由来の天然物に認知機能を向上、改善する物質が含まれていないか、その探索が盛んに行われ、ニシンやイワシの魚油に多く含まれるドコサヘキサエン酸や、乳酸菌発酵乳等に含まれる成分に脳機能を改善する効果があることが開示されている(特許文献1、2)。
本発明者は、ビールに苦み、香りを加える原料であるホップ抽出物に学習能力や記憶力を増強する成分が含まれていることを見出した。ホップ(学名:Humulus luplus)は、アサ科のつる性の多年草であり、欧米では古くからハーブとして使用されており、健胃、鎮静効果、入眠・安眠効果、食欲増進、脂質代謝改善等、生薬、民間薬として用いられてきた。
脳神経系に与える効果に限っても、例えば、ホップ抽出物に含まれるキサントフモールは神経成長因子(NGF)の産生を増強することから、NGFの関与が示唆されるアルツハイマー病、ハンチントン舞踏病等の神経変性疾患の治療や予防への有効性が示唆されている(特許文献3)。また、イソフムロン類には、転写因子Nrf2の活性化、自律神経の調節等様々な効果を有することが知られている(特許文献4、5)。
しかしながら、これまでにホップ抽出物に含まれるイソフムロン類にドーパミン産生の増強能があることは全く知られていなかった。本発明者はホップ抽出物に含まれるイソフムロン類に、ドーパミン産生を増加させ、認知機能の向上、改善効果があること、さらに既存のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤との併用効果があることを見出し、本発明を完成した。
Bethus, I., et al., J.Neurosci., 2010, Vol.30(5), pp.1610-1618.
Yajima, H., et al., J. Biol. Chem., 2004, Vol.279, pp.33456-33462
Taniguchi, Y. et al., J. Agric. Food Chem., 2013, Vol.61, pp.3121-3130
本発明は、認知症の予防、治療及び/又は認知機能を改善する組成物であって、有効成分が式(I):
[上記式中、R1及びR2はC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表し、R3及びR4は水酸基、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基を表すが、R3とR4が同時に水酸基を表すことはない。]、
[上記式中、R1及びR2はC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表し、R3及びR4は水酸基、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基を表すが、R3とR4が同時に水酸基を表すことはない。]、
式(II):
[上記式中、R5、R6、及びR7は水素原子、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基を表し、R8及びR9は水素原子、水酸基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、−C(=O)R10、又は−CH(−OH)R10を表し、R10はC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表すが、R8とR9が同時に水酸基を表すことはない。]、
[上記式中、R5、R6、及びR7は水素原子、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基を表し、R8及びR9は水素原子、水酸基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、−C(=O)R10、又は−CH(−OH)R10を表し、R10はC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表すが、R8とR9が同時に水酸基を表すことはない。]、
式(III):
[上記式中、R11及びR12は水素原子、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基を表し、R13及びR14は水酸基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、−C(=O)R15、又は−CH(−OH)R15を表し、R15はC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表すが、R13とR14が同時に水酸基を表すことはない。]、
[上記式中、R11及びR12は水素原子、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基を表し、R13及びR14は水酸基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、−C(=O)R15、又は−CH(−OH)R15を表し、R15はC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表すが、R13とR14が同時に水酸基を表すことはない。]、
式(IV):
[上記式中、R16、R17、及びR18は水素原子、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基を表す。]、又は
[上記式中、R16、R17、及びR18は水素原子、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基を表す。]、又は
式(V):
[上記式中、R19はC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表す。]
のうち少なくともいずれか一つの化合物又はこれらの薬学上許容される塩もしくは溶媒和物であることを特徴とする。
[上記式中、R19はC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表す。]
のうち少なくともいずれか一つの化合物又はこれらの薬学上許容される塩もしくは溶媒和物であることを特徴とする。
本発明者らは、マウスを用いた実験によって、上記化合物を摂取させると海馬でのドーパミン産生が増加することを見出した。海馬におけるドーパミン産生は短期記憶を増強することが知られている(非特許文献1)。さらに、マウスでのY字迷路を用いた実験結果からも短期記憶の増強を示す結果が得られた。
上記化学式で表される化合物は、ホップ抽出物、あるいは異性化ホップエキス中に含まれる化合物、及びその誘導体である(特許文献6)。したがって、これら化合物を抽出、あるいは合成することによって、認知機能を改善し、認知症の予防、治療に効果のある組成物を得ることができる。
本発明の認知症の予防、治療及び/又は認知機能を改善する組成物は、前記有効成分が、ホップ抽出物、あるいは異性化ホップエキスに含まれているものであることを特徴とする。
上述のように、本発明者は、ホップ抽出物、あるいは異性化ホップエキス中に認知機能を改善する成分が含まれることを見出した。本発明の組成物である異性化ホップエキス中の成分は、本来ビールに含まれているものであり、副作用を心配することなく摂取することができる。
さらに、本発明の認知症の予防、治療及び/又は認知機能を改善する組成物は、前記有効成分がフムロン類、イソフムロン類、又はその薬理学的に許容される塩もしくは溶媒和物の少なくともいずれか1つ以上であることを特徴とする。
上記化合物のうち、異性化ホップエキスに含まれる有効成分はイソフムロン類と総称される。ホップの毬花に含まれるフムロンは、ビールの醸造過程においてビールの苦み成分であるイソフムロンへと変換される。
イソフムロン類は、脂質代謝改善、ミクログリア活性の亢進等、今までにも様々な機能を有することが報告されている。しかしながら、認知機能を向上、改善する機能についてはこれまでに報告がない。
本発明の認知症の予防、治療及び/又は認知機能を改善する組成物は、前記認知機能の改善が、ドーパミン産生の上昇によることを特徴とする。
本発明者は、イソフムロン類が、ドーパミン産生を上昇させることにより、認知機能を改善、向上することを見出した。ドーパミンの海馬での産生上昇は記憶力を増強することが報告されているが、イソフムロン類に海馬でのドーパミン産生上昇効果のあることが明らかとなった。したがって、ドーパミン産生の上昇による認知機能の向上、改善に特に効果があるものと認められる。
本発明の認知症の予防、治療及び/又は認知機能を改善する組成物は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤と併用して投与するためのものであることを特徴とする。
本発明の有効成分とドネペジル塩酸塩を併用することにより、認知機能の改善に関する効果の増強が確認されたからである。
本発明の認知症の予防、治療及び/又は認知機能を改善する医薬、又は食品は、有効成分が式(I):
[上記式中、R1及びR2はC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表し、R3及びR4は水酸基、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基を表すが、R3とR4が同時に水酸基を表すことはない。]、
[上記式中、R1及びR2はC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表し、R3及びR4は水酸基、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基を表すが、R3とR4が同時に水酸基を表すことはない。]、
式(II):
[上記式中、R5、R6、及びR7は水素原子、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基を表し、R8及びR9は水素原子、水酸基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、−C(=O)R10、又は−CH(−OH)R10を表し、R10はC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表すが、R8とR9が同時に水酸基を表すことはない。]、
[上記式中、R5、R6、及びR7は水素原子、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基を表し、R8及びR9は水素原子、水酸基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、−C(=O)R10、又は−CH(−OH)R10を表し、R10はC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表すが、R8とR9が同時に水酸基を表すことはない。]、
式(III):
[上記式中、R11及びR12は水素原子、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基を表し、R13及びR14は水酸基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、−C(=O)R15、又は−CH(−OH)R15を表し、R15はC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表すが、R13とR14が同時に水酸基を表すことはない。]、
[上記式中、R11及びR12は水素原子、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基を表し、R13及びR14は水酸基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、−C(=O)R15、又は−CH(−OH)R15を表し、R15はC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表すが、R13とR14が同時に水酸基を表すことはない。]、
式(IV):
[上記式中、R16、R17、及びR18は水素原子、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基を表す。]、又は
[上記式中、R16、R17、及びR18は水素原子、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基を表す。]、又は
式(V):
[上記式中、R19はC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表す。]
のうち少なくともいずれか一つの化合物又はこれらの薬学上許容される塩もしくは溶媒和物であることを特徴とする。
[上記式中、R19はC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表す。]
のうち少なくともいずれか一つの化合物又はこれらの薬学上許容される塩もしくは溶媒和物であることを特徴とする。
医薬、又は食品として提供することにより、認知症の予防、あるいは治療と、それらのためのニーズを満たすことができる。特に、食品として提供することにより、日常的に摂取できるようになり、健康なシニア層にとっても健忘症や認知症の予防、改善のために役に立つものとなる。
本発明の認知症の予防、治療のための医薬、又は食品は、前記有効成分が、ホップ抽出物、あるいは異性化ホップエキスに含まれているものであることを特徴とする。
認知機能を向上させるため有効成分が、ホップ抽出物、あるいは異性化ホップエキス、すなわちビール等の食品に含まれる成分であることは、本発明の組成物を安全な医薬または食品を提供し得ることを示している。
本発明の認知症の予防、治療及び/又は認知機能を改善する医薬、又は食品は、前記有効成分がフムロン類、イソフムロン類、又はその薬理学的に許容される塩もしくは溶媒和物の少なくともいずれか1つ以上であることを特徴とする。
上記化学式で示す化合物の中でも、ビールの苦み成分として知られているイソフムロン類は、認知機能を向上、増強させる効果が高いことが明らかとなった。したがって、たとえばイソフムロン類を含む機能性食品は、認知機能の向上、認知症の予防に効果を有するものと考えられる。
本発明の認知症の予防、治療及び/又は認知機能を改善する医薬、又は食品は、認知機能を向上するための作用機序が、ドーパミン産生の上昇よることを特徴とする。
本発明者により、上記化合物に海馬においてドーパミン産生を上昇させることが確認された。したがって、ドーパミン産生上昇により、向上、増強する認知機能の改善に特に効果があるものと考えられる。
本発明の認知症の予防、治療及び/又は認知機能を改善する医薬、又は食品は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤と併用して投与するためのものであることを特徴とする。
ドネペジル塩酸塩は、アルツハイマー病の治療薬として知られているアセチルコリンエステラーゼ阻害剤であるが、本発明の化合物と併用することにより認知機能の改善効果が増強されることが明らかとなった。したがって、アルツハイマー型認知症の患者に、本発明の組成物とドネペジル塩酸塩とを併用して投与することにより、それぞれを単独で投与するよりも効果の増強されることが期待できる。
本発明者は、ホップに由来する苦味成分であるイソフムロン類等に短期記憶、長期記憶等、脳機能を向上、改善させる作用を有することを見出した。イソフムロン類は、これまでに高血圧に伴う腎障害、及び転写因子Nrf2の活性化により治療し得る疾患の治療、症状の改善、また、脂質代謝、自律神経調節に有用であることが示されている(特許文献4〜6)。しかしながら、短期記憶、長期記憶の向上、改善効果を有することついては、本発明者らが初めて見出したものである。これにより、認知機能を向上し、認知症を予防、改善する組成物、医薬、食品を提供することができる。
本発明において、「組成物」とは、式(I)〜(V)で表される化合物又はこれらの薬学上許容される塩もしくは溶媒和物のうち少なくともいずれか一つを有効成分として含んでなるものである。本組成物は、種々の健忘もしくは認知機能低下モデルマウスで、短期記憶、長期記憶を向上、改善させる効果がある。
本発明において、前記式(I)〜(V)の化合物には、幾何異性体、光学異性体等の立体異性体、互変異性体等が存在し得るものもあるが、本発明は、これらを含め、全ての可能な異性体及びそれらの混合物を包含する。
また、本発明において、前記式(I)〜(V)で表される化合物の薬学上許容される塩としては、例えば薬学上許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等が挙げられる。
前記式(I)〜(V)で表される化合物の薬学上許容される酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられ、薬学上許容される金属塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等が挙げられ、薬学上許容されるアンモニウム塩としては、例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム等の塩が挙げられ、薬学上許容される有機アミン付加塩としては、例えば、モルホリン、ピペリジン等の付加塩が挙げられ、薬学上許容されるアミノ酸付加塩としては、例えば、リジン、グリシン、フェニルアラニン等の付加塩が挙げられる。
本発明において、「医薬」とは、式(I)〜(V)で表される化合物のうち少なくともいずれか一つを有効成分として含み、担体、賦形剤、結合剤、希釈剤等を混合することにより製造できる。経口、非経口的に投与することが可能であり、経口投与する場合には、顆粒剤、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、シロップ剤等、どのような形態であってもかまわない。また、非経口用の投与形態としては、注射剤、点滴剤、経鼻投与製剤等の外用剤等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
また、投与あるいは製剤化にあたっては、本発明による有効成分以外に1種以上の有効成分を別途投与あるいは同じ製剤にさらに添加してもよい。特に、アルツハイマー病の治療薬として知られているドネペジル塩酸塩は、本発明の化合物とともに投与することにより、認知症の予防、治療、及び/又は認知機能の改善に対して併用効果を有する。
アルツハイマー型認知症は、認知症の中でもレビー小体病、脳血管性認知症と並んで患者数の多い認知症である。本発明の組成物は、アルツハイマー型認知症モデルマウスにおいて、ドネペジル塩酸塩と併用することにより、記憶力の改善が認められたことから、ドネペジル塩酸塩と併用することにより、効果を増強させることが期待される。
また、本発明の化合物は、アルツハイマー病の病態モデルだけではなく、スコポラミンを用いた健忘もしくは認知機能低下モデル、アルコール誘導健忘症モデルと種々のモデルにおいて効果があることから、アルツハイマー型の認知症だけではなく、認知症を伴う他の疾患、例えば、レビー小体型認知症、パーキンソン病等の予防、症状の改善等、治療への効果も期待できる。
また、本発明の化合物を医薬として投与する場合には、下記実施例を考慮すれば、式(I)〜(V)で表す化合物又はそれらの薬学的に許容される塩もしくはそれらの溶媒和物の投与量及び投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、治療すべき症状の性質もしくは重篤度等により異なるが、通常、経口の場合、成人1人当たり0.01mg〜1g、好ましくは0.05〜100mgを1日1回ないし数回投与する。静脈内投与等の非経口投与の場合、成人1人当たり0.001〜100mg、好ましくは0.01〜10mgを1日1回ないし数回投与する。しかしながら、これら投与量及び投与回数に関しては、前述の種々の条件により変動する。
本発明において、「食品」とは、医薬以外のものであって、摂取可能なものであれば、その形態に特に制限はなく、液状、半液体状、固体状のいずれであってもよく、飲料のような形態も包含する。
また、「食品」には、健康食品、機能性食品、特定保険用食品、栄養補助食品、疾病リスク低減表示を付した食品、病者用食品、又、いわゆるサプリメントのようなものも包含される。
本発明において、異性化ホップエキスに主成分として含まれているイソフムロン類には、イソフムロン、イソアドフムロン、イソコフムロン、イソポストフムロン、イソプレフムロン、テトラハイドロイソフムロン、アロイソフムロン、パライソフムロン、フムニリック酸、ヘキサハイドロイソフムロン、アンチイソフムロン、フルポン等が包含されるが、公知のものであれば特に制限なく用いることができる。
本発明を以下の例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
≪異性化ホップエキス投与による短期記憶の増強≫
図1(A)に実験の概要を示す。6週齢雄のCD−1マウスに、イソフムロンが主成分である異性化ホップエキス(IHE、Hopsteiner社製)を胃内へ強制経口投与を行い、40分後に記憶障害を誘発するために0.75mg/kgのスコポラミン塩酸塩を腹腔内投与した。スコポラミンの腹腔内投与20分後に自発的交替行動を評価するY字迷路試験を実施した。
≪異性化ホップエキス投与による短期記憶の増強≫
図1(A)に実験の概要を示す。6週齢雄のCD−1マウスに、イソフムロンが主成分である異性化ホップエキス(IHE、Hopsteiner社製)を胃内へ強制経口投与を行い、40分後に記憶障害を誘発するために0.75mg/kgのスコポラミン塩酸塩を腹腔内投与した。スコポラミンの腹腔内投与20分後に自発的交替行動を評価するY字迷路試験を実施した。
マウスは本来、直前に選択したルートとは異なるルートを選択する性質がある。そのため、幅、長さ等が等価の3本のアームを持つY字迷路にマウスを入れた場合、通常は直前に進入したアームとは異なるアームに進入する。Y字迷路試験は、マウスのその性質を利用し、短期記憶の評価に利用する試験である。
Y字迷路試験では、一本のアームの長さが25cm、壁の高さが20cm、床の幅が5cmの3本のアームが各々120度の角度で接続されたY字迷路を実験装置として使用した。
マウスをY字迷路のいずれかのアームの先端へ入れて自由に8分間探索させた際の移動したアームの順を記録した。3回連続で異なるアームを選択し、進入した場合を自発的交替行動と呼ぶ。時間内のアームへの総進入数及び、自発的交替行動数をカウントし、式(1)で自発的交替行動変動率(%)を算出した。
自発的交替行動変動率(%)=自発的交替行動数/(総進入数−2)×100
・・・・式(1)
自発的交替行動変動率が高いほど、短期記憶が保持されている事を示す。
自発的交替行動変動率(%)=自発的交替行動数/(総進入数−2)×100
・・・・式(1)
自発的交替行動変動率が高いほど、短期記憶が保持されている事を示す。
最初に異性化ホップエキスの短期記憶に対する効果を解析した。イソフムロンとして0、0.02、0.2、2.0mg/kgとなるように調製した異性化ホップエキスをマウスに投与し行動解析を行った。結果を図1(B)、(C)に示す。
一群10匹で実験を行い、平均、標準誤差を求めた。図1(B)は自発的交替行動変動率(spontaneous alteration)、(C)は総進入数(number of entries)を示す。スコポラミン(SCP)投与では、総進入数に有意な変動は生じず、異性化ホップエキス投与によっても、行動量に変化はない。
一方、図1(B)に示すように、スコポラミンを投与した群(SCP+)では、コントロール群(SCP−)に比べて、自発的交替行動変動率が減少している。しかしながら、スコポラミン投与した群であっても、異性化ホップエキスを投与することによって、自発的交替行動変動率が増加しており、異性化ホップエキスに短期記憶を改善する作用が認められた。異性化ホップエキスは、0.02mg/kg相当のイソフムロン投与で有意に改善効果が認められたことから、ごく少量の異性化ホップエキスの投与によって短期記憶の改善に作用することが明らかとなった。
さらに、異性化ホップエキスとドネペジル塩酸塩を併用投与し、その効果の解析を行った。ドネペジル塩酸塩は、アセチルコリンエステラーゼの阻害剤であり、アルツハイマー型認知症の治療薬として知られている。本発明の化合物、すなわち異性化ホップエキス中の成分に上記実験で示したように短期記憶を向上させ、認知機能を改善する効果があることから、ドネペジル塩酸塩との併用による効果の増強が期待された。
スコポラミンで認知機能の低下を惹起したマウスに、イソフムロンとして0.25mg/kgとなるように調製した異性化ホップエキス、0.5mg/kgのドネペジル塩酸塩、をそれぞれ単独あるいは両者を併用して投与した他は、上記と同様にしてY字迷路試験を行った。結果を図1(D)、(E)に示す。
イソフムロンとドネペジル塩酸塩を併用することにより、それぞれを単独で投与するよりも、認知機能の改善効果を増強することが示された。したがって、アルツハイマー型認知症患者に、ドネペジル塩酸塩とともにイソフムロンを併用投与することにより、認知機能の改善に対してより強い効果を得ることが期待される。
ここではアセチルコリンエステラーゼ阻害剤として、ドネペジル塩酸塩を用いているが、ガランタミン、リバスチグミン等、アセチルコリンエステラーゼ阻害活性を有する他の薬剤との併用によっても認知機能に対する増強効果を期待することができる。
〔実施例2〕
≪異性化ホップエキス投与による長期記憶の増強≫
次に、新奇物体認識試験を行い、長期記憶に対する異性化ホップエキスの効果を解析した。
≪異性化ホップエキス投与による長期記憶の増強≫
次に、新奇物体認識試験を行い、長期記憶に対する異性化ホップエキスの効果を解析した。
マウスは本来新奇物体と認識すると接近し、形状の確認、臭いを嗅ぐなどの探索行動を行う。このとき、記憶している物体に対しては探索行動をとらないか、新奇物体に比べて短い時間しか探索しない。この性質を利用するのが新奇物体認識試験である。1回目に2つの物体を設置した容器内で探索行動をとらせ、一定時間経過後に一方の物体を置き換え、探索行動を行わせ、両物体への探索行動の時間の長さの違いから、記憶の保持を評価する。
図2(A)に実験方法の概略を示す。容器(床が38.5cmx38.5cmで高さが40cm)の隣り合った角から4cmずつ中央へ離れた場所に2つの同じ形をしたゴルフボール程度の大きさの積み木X及びYを設置する。6週齢雄のCD−1マウスに、イソフムロンとして0、0.02、0.2、2.0mg/kgとなるように調製した異性化ホップエキス(IHE、Hopsteiner社製)を胃内へ強制経口投与した。投与60分後にマウスをこの容器に入れて、10分間自由探索を実施し、終了後はケージへ戻した。これを獲得試行とする。
24時間後に同用量の異性化ホップエキスを経口投与し、24時間前に呈示した積み木YをゴルフボールZに置換した容器の中へ再度入れ、5分間自由探索を行わせて2つの物体への接触時間を各々測定した。これをテスト試行とする。両物体XとZへの探索行動の時間の長さの違いから、記憶の保持を評価する。
マウスは獲得試行とテスト試行の間隔が短い場合、新奇性のある物体(本試験におけるゴルフボール)に、より長い時間探索行動を示し、その嗜好性は間隔の拡大に伴って減衰する。そのため、新奇性に対する行動変化は「獲得試行時の物体の形状の記憶」を反映していると一般的に考えられている。
各群10匹のマウスを用い、獲得試行時の物質の探索時間及び、テスト試行時の新奇物質の探索時間を計測し、Discrimination indexを式(2)により算出した。結果を図2(B)に示す。
Discrimination index=(新奇物質の探索時間(秒)−獲得試行時の物質の探索時間(秒))/総探索時間(秒) ・・・・・(式2)
Discrimination indexが高いほど、獲得試行時の物体の形状を記憶していることを示す。
Discrimination indexが高いほど、獲得試行時の物体の形状を記憶していることを示す。
図2(B)に示すように、異性化ホップエキスを投与することにより、Discrimination indexが増加しており、長期記憶が増強していることが示された。
テスト試行時の新奇物体(novel)、非新奇物体(familiar)に対する探索時間を計測し、グラフにしたのが図2(C)である。
探索時間割合(familiar)=物体X探索時間/総探索時間×100
・・・・・(式3)
探索時間割合(novel)=物体Z探索時間/総探索時間×100
・・・・・(式4)
新奇物体(novel)に対する探索時間が、異性化ホップエキスの投与によって、投与量に依存して増加していることが明らかである。
・・・・・(式3)
探索時間割合(novel)=物体Z探索時間/総探索時間×100
・・・・・(式4)
新奇物体(novel)に対する探索時間が、異性化ホップエキスの投与によって、投与量に依存して増加していることが明らかである。
〔実施例3〕
≪イソフムロン、フムロンの認知機能に対する効果≫
異性化ホップエキス中にはα酸(フムロン類)、β酸(ルプロン類)等、様々な物質が含まれている。フムロン類の中でも異性化ホップエキス中の主要成分であるシス‐イソNフムロン(cIH)、トランス‐イソNフムロン(tIH)の短期記憶に対する効果を調べた。シス‐イソNフムロン、トランス‐イソNフムロンは、非特許文献2の方法により精製して用いた。
≪イソフムロン、フムロンの認知機能に対する効果≫
異性化ホップエキス中にはα酸(フムロン類)、β酸(ルプロン類)等、様々な物質が含まれている。フムロン類の中でも異性化ホップエキス中の主要成分であるシス‐イソNフムロン(cIH)、トランス‐イソNフムロン(tIH)の短期記憶に対する効果を調べた。シス‐イソNフムロン、トランス‐イソNフムロンは、非特許文献2の方法により精製して用いた。
6週齢雄のCD−1マウスへイソフムロンとして0.2mg/kgとなるように調製した異性化ホップエキス(IHE)、若しくは0.2mg/kgシス‐イソNフムロン、0.2mg/kgトランス‐イソNフムロンを胃内へ強制経口投与した他は実施例1と同様にしてY迷路試験を行った。結果を図3(A)、(B)に示す。
シス−イソNフムロン、トランス−イソNフムロンは、スコポラミンが誘発する短期記憶障害を回復させる効果を示した。また、その回復効果は異性化ホップエキスと同等であることも示された。
次に、長期記憶に対するイソフムロンの効果を調べた。6週齢雄のCD−1マウスへイソフムロンとして0.2mg/kgとなるように調製した異性化ホップエキス、若しくは0.2mg/kgシス‐イソNフムロン、0.2mg/kgトランス‐イソNフムロンを胃内へ強制経口投与して獲得試行を行った他は実施例2と同様にして新奇物体認識試験を行った。結果を図3(C)、(D)に示す。
シス−イソNフムロン(cIH)、トランス−イソNフムロン(tIH)は、異性化ホップエキス(IHE)と同様に長期記憶を増強させる効果を示した。これらの結果を鑑みると、異性化ホップエキスに見られる短期記憶、長期記憶を向上させる成分はイソフムロンであり、シス体とトランス体はほぼ同等の効果であると考えられた。
次に、ホップエキスを異性化処理する前のフムロンが認知機能に対して、同様の効果を有するか解析した。フムロンは非特許文献3の方法により精製して用いた。
6週齢雄のCD−1マウスへイソフムロンとして0.5mg/kgとなるように調製した異性化ホップエキス(IHE)、若しくは0.5mg/kg、5.0mg/kgのフムロン(Humulone)を胃内へ強制経口投与した他は実施例1と同様にしてY字迷路試験を行った。結果を図3(E)、(F)に示す。
フムロンは、異性化ホップエキスと同様に認知機能を改善する効果を示した。
以上の結果から、フムロン類、イソフムロン類を医薬、食品として摂取することによって、認知機能の改善、向上が期待される。
以上の結果から、フムロン類、イソフムロン類を医薬、食品として摂取することによって、認知機能の改善、向上が期待される。
〔実施例4〕
≪異性化ホップエキスによる神経伝達物質産生誘導≫
異性化ホップエキスの認知機能改善に対する作用機序を解析するために、海馬における神経伝達物質の産生を解析した。
≪異性化ホップエキスによる神経伝達物質産生誘導≫
異性化ホップエキスの認知機能改善に対する作用機序を解析するために、海馬における神経伝達物質の産生を解析した。
ソムノペンチル麻酔処置した8週齢雄のSDラットを用いて、試験3日前にマイクロダイアリシスプローブ(A−I−8−03、エイコム社)を海馬へ挿入した。プローブの位置は海馬ブレグマから後位−5.8mm、側位−4.8mm、腹位4mmとした。2本のステンレス製ネジをアンカーとして頭蓋骨に埋め込み、これをプローブと共にデンタルセメントで頭蓋骨に固定した。
3日間の安静期間後、専用ケージ内で自由行動のもとリンゲル液を2μl/minの流速で3時間灌流してその後、20分ごとに還流液を回収した。そしてイソフムロンとして0、0.5、1.5mg/kgとなるように調製した異性化ホップエキスを経口投与し、投与前60分間、投与後100分間の灌流液を回収した。回収した脳灌流液は、HPLC−ECDシステム(700 series,エイコム社)でドーパミン、アセチルコリンの計測を実施した。値は溶媒のみ投与時の数値を100とした相対値として、20分ごとに回収したサンプルの総数値を表す。結果を図4(A)に示す。
イソフムロンは海馬におけるドーパミンの産生を促すが、一方、アセチルコリン産生に対しては影響を及ぼさなかった。海馬でのドーパミン産生の増強は認知機能に対して効果があるということが示されていることから(非特許文献1)、異性化ホップエキスで見られる認知機能の改善、特に短期記憶の増強効果はドーパミン産生上昇によるものであることが示唆された。
次に、異性化ホップエキスを10日間連続投与、あるいは単回投与し、ドーパミン、及びドーパミンの代謝産物への影響を解析した。
イソフムロンとして0、0.2、0.6、1.8mg/kgの投与量となるように調製した異性化ホップエキスを、一群7匹、6週齢CD−1へマウス1日1回、10日間連続投与、もしくは同じく0、0.2、0.6mg/kgの投与量で単回投与し、最終投与1時間後に海馬を摘出した。摘出した海馬を除タンパク質処理後、HPLC−ECDシステムでドーパミン(DA)、及びその代謝物であるジヒドロキシフェニル酢酸(DOPAC)、3−メトキシチラミン(3−MT)、ホモバリニン酸(HVA)を測定した。結果を図4(B)に示す。
ドーパミン(DA)、及びその代謝物であるジヒドロキシフェニル酢酸(DOPAC)、3−メトキシチラミン(3−MT)、ホモバリニン酸(HVA)は異性化ホップエキスを連続、あるいは単回投与することによって、投与量依存的に増加することがわかった。
ドーパミンだけではなくその代謝産物の増加が見られることから、ドーパミンの産生とともにその代謝も増強しており、産生されたドーパミンは機能的に作用していることが明らかとなった。
〔実施例5〕
≪アルツハイマー病モデルマウスにおけるイソフムロンの認知機能の効果≫
脳内へアミロイドβを直接注入するアルツハイマー型認知症マウスモデルを用いて、Y字迷路試験、新奇物体認識試験を行い、認知機能を解析した。
≪アルツハイマー病モデルマウスにおけるイソフムロンの認知機能の効果≫
脳内へアミロイドβを直接注入するアルツハイマー型認知症マウスモデルを用いて、Y字迷路試験、新奇物体認識試験を行い、認知機能を解析した。
まず、イソフムロンの短期記憶に対する効果を解析した。6週齢CD−1マウス(雄)の脳室に100μMのoligomer Aβ(和光純薬工業、図中oAbで示す。)を片側脳室に5μLずつ、計10μL注入し、48時間経過後、1.0mg/kgのドネペジル塩酸塩、0.3mg/kg、又は1.0mg/kgのトランス-Nイソフムロンを胃内へ強制経口投与した他は実施例1と同様にしてY字迷路試験を行った。結果を図5(A)、(B)に示す。
0.3mg/kgのトランス-Nイソフムロン投与により、oligomer Aβの脳室内投与で低下した認知機能に対して、ドネペジル塩酸塩と同等の改善効果を示した。アルツハイマー型認知症では海馬の萎縮が見られ、それに伴う短期記憶力の低下が見られる。oligomer Aβを用いたアルツハイマー型認知症モデルマウスで、短期記憶の改善が認められたことは、イソフムロンがアルツハイマー型認知症の症状改善、予防等に効果を有することが期待される。
次に、イソフムロンの長期記憶に対する効果を解析した。上述のoligomer Aβを用いたアルツハイマー型認知症モデルマウスを用いて、1.0mg/kgのドネペジル塩酸塩、0.3mg/kg、又は1.0mg/kgのトランス-Nイソフムロンを胃内へ強制経口投与した他は実施例2と同様にして新奇物体認識試験を行った。結果を図5(C)、(D)に示す。
新奇物体認識試験においても、トランス-Nイソフムロンはドネペジル塩酸塩と同等以上の効果があることが示された。アルツハイマー型認知症モデルで、新奇物体認識試験で評価される長期記憶についても、イソフムロンは認知機能を改善する効果があることが示された。
以上の結果から、異性化ホップエキスおよびイソフムロン類は、ドーパミンの産生を増強し、短期記憶、長期記憶を含む一般的な認知機能の向上という効果を有することが示された。
また、アルツハイマー病のモデルマウスにおいても、ドネペジル塩酸塩と同等の効果、あるいはより高い効果が得られたことから、認知機能改善、特にアルツハイマー病の認知機能の改善に効果が期待される。また、機能性飲食品として継続的に摂取することにより、アルツハイマー病をはじめとする認知症の予防効果も期待することができる。
Claims (10)
- 認知症の予防、治療及び/又は認知機能を改善する組成物であって、
有効成分が式(I):
[上記式中、R1及びR2はC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表し、R3及びR4は水酸基、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基を表すが、R3とR4が同時に水酸基を表すことはない。]、
式(II):
[上記式中、R5、R6、及びR7は水素原子、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基を表し、R8及びR9は水素原子、水酸基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、−C(=O)R10、又は−CH(−OH)R10を表し、R10はC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表すが、R8とR9が同時に水酸基を表すことはない。]、
式(III):
[上記式中、R11及びR12は水素原子、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基を表し、R13及びR14は水酸基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、−C(=O)R15、又は−CH(−OH)R15を表し、R15はC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表すが、R13とR14が同時に水酸基を表すことはない。]、
式(IV):
[上記式中、R16、R17、及びR18は水素原子、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基を表す。]、又は
式(V):
[上記式中、R19はC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表す。]
のうち少なくともいずれか一つの化合物又はこれらの薬学上許容される塩もしくは溶媒和物であることを特徴とする組成物。 - 請求項1に記載の認知症の予防、治療及び/又は認知機能を改善する組成物において、
前記有効成分が、異性化ホップエキスに含まれているものであることを特徴とする組成物。 - 請求項1又は2のいずれか1項に記載の認知症の予防、治療及び/又は認知機能を改善する組成物において、
前記有効成分がフムロン類、イソフムロン類、又はその薬理学的に許容される塩もしくは溶媒和物の少なくともいずれか1つ以上であることを特徴とする組成物。 - 請求項1〜3いずれか1項記載の認知症の予防、治療及び/又は認知機能を改善する組成物において、
前記認知症の予防、治療が、ドーパミン産生の上昇によることを特徴とする組成物。 - 請求項1〜4いずれか1項記載の認知症の予防、治療及び/又は認知機能を改善する組成物が、
アセチルコリンエステラーゼ阻害剤と併用投与するためのものであることを特徴とする組成物。 - 認知症の予防、治療、及び/又は認知機能を改善する医薬、又は食品であって、
有効成分が式(I):
[上記式中、R1及びR2はC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表し、R3及びR4は水酸基、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基を表すが、R3とR4が同時に水酸基を表すことはない。]、
式(II):
[上記式中、R5、R6、及びR7は水素原子、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基を表し、R8及びR9は水素原子、水酸基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、−C(=O)R10、又は−CH(−OH)R10を表し、R10はC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表すが、R8とR9が同時に水酸基を表すことはない。]、
式(III):
[上記式中、R11及びR12は水素原子、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基を表し、R13及びR14は水酸基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、−C(=O)R15、又は−CH(−OH)R15を表し、R15はC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表すが、R13とR14が同時に水酸基を表すことはない。]、
式(IV):
[上記式中、R16、R17、及びR18は水素原子、C1−6アルキル基、又はC2−6アルケニル基を表す。]、又は
式(V):
[上記式中、R19はC1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表す。]
のうち少なくともいずれか一つの化合物又はこれらの薬学上許容される塩もしくは溶媒和物であることを特徴とする医薬、又は食品。 - 請求項6記載の認知症の予防、治療及び/又は認知機能を改善する医薬、又は食品において、
前記有効成分が、異性化ホップエキスに含まれることを特徴とする医薬、又は食品。 - 請求項6又は7いずれか1項記載の認知症の予防、治療及び/又は認知機能を改善する医薬、又は食品において、
前記有効成分がフムロン類、イソフムロン類、又はその薬理学的に許容される塩もしくは溶媒和物の少なくともいずれか1つ以上であることを特徴とする医薬、又は食品。 - 請求項6〜8いずれか1項記載の認知症の予防、治療及び/又は認知機能を改善する医薬、又は食品において、
前記認知症の予防、治療が、ドーパミン産生の上昇によることを特徴とする医薬、又は食品。 - 請求項6〜9いずれか1項記載の認知症の予防、治療及び/又は認知機能を改善する医薬、又は食品が、
アセチルコリンエステラーゼ阻害剤と併用投与するためのものであることを特徴とする医薬、又は食品。
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-
2014
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