JP2015222608A - ディスク駆動装置の製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】回転する記録ディスクの面振れを低減することが可能なディスク駆動装置の製造方法を提供。
【解決手段】ベース及び軸方向に延在する軸部材を含む固定体と、前記軸部材の少なくとも一部を収納するスリーブ及び記録ディスクが載置される載置面を有し前記スリーブの外周面に固定されるハブを含み、前記固定体に対して回転自在に支持される回転体と、を備えるディスク駆動装置の製造方法であって、前記ハブを前記スリーブの外周面に固定することと、前記ハブが前記スリーブの外周面に固定された状態で、前記回転体を回転させながら、前記載置面を、前記回転体の回転軸に対して垂直方向に移動する切削工具により切削加工することと、前記切削加工の後に、前記軸部材を前記スリーブに収納することと、を含むディスク駆動装置の製造方法。
【選択図】図２

Description

本発明は、ディスク駆動装置の製造方法に関する。

例えばハードディスクドライブ等のディスク駆動装置として、例えばシャフトを環囲するスリーブ及びスリーブの外周面に固定されて外周縁に記録ディスクが載置されるハブを含む回転体とを有する構成が知られている（例えば、特許文献１参照）。

特開２０１１−４７４３９号公報

上記構成において、例えば圧入、焼き嵌め等の締まり嵌めによりハブをスリーブに固定すると、スリーブに歪みが生じ、ハブのディスク載置面の振れが大きくなる場合がある。この様な場合には、回転する記録ディスクの面振れが大きくなり、書き込み／読み込みエラーが発生する虞がある。

本発明は上記に鑑みてなされたものであって、回転する記録ディスクの面振れを低減することが可能なディスク駆動装置の製造方法を提供することを目的とする。

本発明の一態様によれば、ベース及び軸方向に延在する軸部材を含む固定体と、前記軸部材の少なくとも一部を収納するスリーブ及び記録ディスクが載置される載置面を有し前記スリーブの外周面に固定されるハブを含み、前記固定体に対して回転自在に支持される回転体と、を備えるディスク駆動装置の製造方法であって、前記ハブを前記スリーブの外周面に固定することと、前記ハブが前記スリーブの外周面に固定された状態で、前記回転体を回転させながら、前記載置面を、前記回転体の回転軸に対して垂直方向に移動する切削工具により切削加工することと、前記切削加工の後に、前記軸部材を前記スリーブに収納することと、を含む。

本発明の実施形態によれば、回転する記録ディスクの面振れを低減することが可能なディスク駆動装置の製造方法が提供される。

第１の実施形態におけるディスク駆動装置の構成を例示する図である。 第１の実施形態におけるディスク駆動装置の軸受機構を例示する断面図である。 第１の実施形態におけるラジアル動圧発生溝を例示する図である。 切削加工装置において切削工具が微小溝を形成する様子を模式的に示す図である。 第１の実施形態における第１ラジアル動圧発生溝を例示する拡大図である。 第１の実施形態におけるディスク駆動装置の環状凹部の構成を例示する拡大図である。 第１の実施形態におけるディスク駆動装置の製造方法を例示する図である。 第２の実施形態におけるディスク駆動装置の軸受機構を例示する断面図である。 第３の実施形態におけるディスク駆動装置の軸受機構を例示する断面図である。

以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。

以下で説明する実施形態に係るディスク駆動装置は、例えば磁気的にデータが記録される記録ディスクが搭載され、ハードディスクドライブ等として用いられる。

［第１の実施形態］
＜ディスク駆動装置の構成＞
図１は、第１の実施形態におけるディスク駆動装置１００の構成を例示する図である。図１（ａ）は、ディスク駆動装置１００の上面図である。図１（ｂ）は、ディスク駆動装置１００の側面図である。図１（ｃ）は、トップカバー２が外されたディスク駆動装置１００の上面図である。

ディスク駆動装置１００は、トップカバー２、ベース４、記録ディスク８、データリード／ライト部１０、キャップ１２、シャフト２６、ハブ２８、クランパ３６を有する。

なお、以下の説明では、ベース４にトップカバー２が取り付けられた状態において、トップカバー２側を上、ベース４側を下として説明する。また、記録ディスク８の回転軸に平行な方向を軸方向、回転軸に垂直な平面上で回転軸を通る任意の方向を半径方向とし、半径方向において回転軸から遠い方を外周側、回転軸に近い方を内周側として説明する。これらの表記は、ディスク駆動装置１００が使用される姿勢を制限するものではなく、ディスク駆動装置１００は任意の姿勢で使用され得る。

（トップカバー）
トップカバー２は、例えばアルミニウム板や鉄鋼板をプレス加工することで形成される。トップカバー２は、腐食を抑制するために例えばメッキ等の表面処理層が設けられてもよい。

トップカバー２は、周辺ネジ２０によりベース４の上面に固定される。トップカバー２とベース４とは、ディスク駆動装置１００の内部を密閉する様に固定される。トップカバー２の中央に挿入される固定ネジ６は、ベース４に固定されているシャフト２６の固定ネジ孔に螺合する。

（ベース）
ベース４は、ディスク駆動装置１００の底部を形成する底板部４ａ、底板部４ａの外周に沿って記録ディスク８の載置領域を囲む様に形成されている外周壁部４ｂを有する。外周壁部４ｂの上面には、周辺ネジ２０に螺合するネジ孔２２が設けられている。

ベース４の外周壁部４ｂの上面には、トップカバー２が周辺ネジ２０により固定される。ベース４の底板部４ａ、外周壁部４ｂ及びトップカバー２で囲まれるディスク収容空間２４は、密閉されて外部環境からは遮断され、塵埃等が除去された清浄な空気やヘリウムを所定の割合で含有する気体で満たされる。したがって、記録ディスク８への塵埃等の異物の付着が抑制され、ディスク駆動装置１００の動作に不具合が発生する可能性が低減されている。

ベース４は、例えばアルミニウム合金を用いたダイカスト、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属板を用いたプレス加工等により形成される。プレス加工の場合には、ベース４の上側に凸部が形成される様なエンボス加工が施されてもよい。所定の部位にエンボス加工が施されることで、ベース４の変形が抑制される。

また、ベース４は、例えばニッケルやクロム等の金属材料によるめっき層や、エポキシ樹脂等の樹脂材料によるコーティング層を有してもよい。この様な表面処理層により、ベース４の表面剥離が抑制される。また、例えば製造時等において、記録ディスク８等がベース４の表面に接触しても、ベース４の表面や記録ディスク８等が損傷する可能性が低減される。さらに、めっき層は、樹脂材料によるコーティング層と比較してベース４の表面硬度を高くすると共に摩擦係数を低くし、接触によるベース４の表面及び記録ディスク８等が損傷する可能性をより低減する。

（データリード／ライト部）
データリード／ライト部１０は、記録再生ヘッド（不図示）、スイングアーム１４、ボイスコイルモータ１６、ピボットアセンブリ１８を有する。記録再生ヘッドは、スイングアーム１４の先端部に取り付けられ、記録ディスク８にデータを記録し、記録ディスク８からデータを読み取る。ピボットアセンブリ１８は、ヘッド回転軸Ｓを中心にスイングアーム１４を揺動自在に支持する。ボイスコイルモータ１６は、スイングアーム１４をヘッド回転軸Ｓの周りに揺動させ、記録再生ヘッドを記録ディスク８の表面上の所望の位置に移動させる。ボイスコイルモータ１６及びピボットアセンブリ１８は、ヘッドの位置を制御する公知の技術を用いて構成される。

（記録ディスク）
記録ディスク８は、例えば直径が９５ｍｍのガラス製の３．５インチ型記録ディスクであり、その中央孔の直径は２５ｍｍ、厚みは１．２７ｍｍである。記録ディスク８は、ハブ２８の外周縁に搭載されている。

＜軸受機構の構成＞
図２は、図１（ａ）のＡ−Ａ断面図であり、第１の実施形態におけるディスク駆動装置１００の軸受機構を例示する断面図である。

ディスク駆動装置１００は、固定体として、ベース４、シャフト２６、スラストカップ２７、ステータコア４０、コイル４２を有する。また、回転体として、キャップ１２、ハブ２８、外スリーブ２９及び内スリーブ３０を有するスリーブ、ヨーク３１、マグネット３２、クランパ３６を含む。なお、シャフト２６及びスラストカップ２７を含む構造を「軸体」、ステータコア４０、コイル４２及びマグネット３２を含む構造を「駆動機構」と表記することがある。

ディスク駆動装置１００において、外スリーブ２９及び内スリーブ３０と、シャフト２６及びスラストカップ２７との間隙には潤滑剤９２が注入され、記録ディスク８が搭載されるハブ２８を含む回転体は、シャフト２６を含む固定体に回転軸Ｒを中心に回転自在に支持されている。

（スリーブ）
ディスク駆動装置１００には、シャフト２６の少なくとも一部を収納する内スリーブ３０と、内スリーブ３０の外周面に固定される外スリーブ２９とで構成されるスリーブが設けられている。なお、外スリーブ２９と内スリーブ３０とは、一体に形成されてもよい。

内スリーブ３０は、例えばＳＵＳ４３０（ステンレス鋼の一種。以下同様）等の鉄鋼材料から、切削加工により上面視で環状の略円筒状に形成されている。なお、内スリーブ３０は、例えば黄銅等の別の金属材料から形成されてもよく、表面に無電解ニッケルめっき層等の表面処理層が設けられてもよい。

内スリーブ３０は、シャフト２６がシャフト孔３０ａに挿入され、シャフト２６のトップフランジ２６ｂの下面からスラストカップ２７の上面までの間を収納し、シャフト２６及びスラストカップ２７に回転軸Ｒを中心に回転自在に支持されている。内スリーブ３０と、シャフト２６及びスラストカップ２７との間には、注入される潤滑剤９２を保持する保持隙間９１が形成されている。本実施形態において、潤滑剤９２は、一方の気液界面から他方の気液界面まで保持隙間９１に連続して介在している。

内スリーブ３０は、外周面の一部が軸方向に沿って平坦になる様に形成されたＤカット面を有する。内スリーブ３０に形成されたＤカット面は、内スリーブ３０の外周面に固定される外スリーブ２９の内周面との間に、シャフト２６のトップフランジ２６ｂ側とスラストカップ２７側の保持隙間９１を連通して潤滑剤９２を循環させる循環路３０ｂを形成する。循環路３０ｂは、潤滑剤９２が保持される保持隙間９１において潤滑剤９２にかかる圧力差を小さくすることで、内スリーブ３０、外スリーブ２９及びハブ２８を含む回転体の回転を安定化させる。この様に、スリーブには潤滑剤９２の循環路が設けられる。外スリーブ２９と内スリーブ３０とが一体に形成されている場合には、軸方向に穿孔された孔を含む循環路がスリーブに設けられてもよい。

なお、本実施形態では、内スリーブ３０の外周面の２か所に設けられたＤカット面により２つの循環路３０ｂが形成されているが、循環路３０ｂは１つ又は３つ以上形成されてもよく、軸受機構の構成に応じて適宜設けられる。

外スリーブ２９は、例えばＳＵＳ４３０等の鉄鋼材料から、切削加工により上面視で環状の略円筒状に形成されている。なお、外スリーブ２９は、例えば黄銅等の別の金属材料から形成されてもよく、表面に無電解ニッケルめっき層等の表面処理層が設けられてもよい。

外スリーブ２９は、例えば圧入、焼き嵌め等の締まり嵌めによって、下端部２９ａが内スリーブ３０の外周面に当接して固定され、内スリーブ３０を環囲する。また、外スリーブ２９の上端部２９ｃは、シャフト２６のトップフランジ２６ｂを環囲する。上端部２９ｃの外周面には、例えば圧入、接着等によりキャップ１２が固定して設けられている。

外スリーブ２９と内スリーブ３０との間には、軸方向において、後述する第１ラジアル動圧発生部８１の少なくとも一部と重複する領域に、回転軸Ｒを囲んで環状凹部１１０が形成されている。環状凹部１１０の構成については後述する。

外スリーブ２９は、外周面から半径方向に環状に突出する拡径部とその下側の縮径部とで形成される段差部２９ｂを有する。また、ハブ２８は、外スリーブ２９の段差部２９ｂに対応する拡径部と縮径部とで形成される係合部２８ｅを有する。外スリーブ２９の外周面に固定されるハブ２８は、係合部２８ｅが外スリーブ２９の段差部２９ｂに係合することで、外スリーブ２９に対して軸方向に位置決めされる。

この様に、ハブ２８と外スリーブ２９とは、係合部２８ｅが段差部２９ｂに係合することで高精度に位置決めされる。このように簡易な構成で高精度に位置決めできるため、ハブ２８と外スリーブ２９との組み立てにおける作業を簡略化し、生産性を向上させることが可能になっている。

（ハブ）
ハブ２８は、例えばアルミニウム等の非磁性の金属材料から切削加工又はプレス加工等により上面視で環状の略カップ状に形成されている。ハブ２８は、例えばＳＵＳ４３０等の磁性の鉄鋼材料から形成されてもよく、表面に無電解ニッケルめっき層等の表面処理層が設けられてもよい。この様な表面処理層により、ハブ２８の加工面に付着する微小な残渣の剥離が抑制される。

ハブ２８は、外スリーブ２９が挿入される中央孔２８ａ、記録ディスク８の中央孔に嵌る嵌合部２８ｂ、記録ディスク８が載置される載置部２８ｃ、スラストカップ２７の環囲部２７ｂと外スリーブ２９との間隙を覆う円筒部２８ｄ、外スリーブ２９の段差部２９ｂに係合する係合部２８ｅを有する。

ハブ２８は、例えば圧入、焼き嵌め等の締まり嵌めによって、中央孔２８ａに挿入される外スリーブ２９の外周面に固定され、外スリーブ２９及び内スリーブ３０と共に、シャフト２６及びスラストカップ２７を含む固定体に回転自在に支持される。中央孔２８ａと外スリーブ２９の外周面との間には接着剤が介在してもよい。また、使用される接着剤は蛍光体を含んでもよい。

ハブ２８の内周面に設けられている係合部２８ｅは、上記した様に、外スリーブ２９の段差部２９ｂに係合する。ハブ２８は、上記した様に、係合部２８ｅが段差部２９ｂに係合することで、外スリーブ２９に対して軸方向に位置決めされる。

ハブ２８の載置部２８ｃには、中央孔が嵌合部２８ｂに嵌合する記録ディスク８が載置される。記録ディスク８は、スペーサ９を挟んで重ねられ、クランパ３６により固定されてハブ２８と共に回転する。

記録ディスク８が載置される載置面２８ｆは、ハブ２８が外スリーブ２９に固定された状態で、回転軸Ｒに対して垂直になる様に切削加工される。具体的には、載置面２８ｆは、切削加工装置の治具に保持されて回転するハブ２８、外スリーブ２９及び内スリーブ３０の回転軸に対して垂直方向に移動する切削工具により切削加工される。

この様に、載置面２８ｆは、ハブ２８が外スリーブ２９に固定された後に切削加工されることで、ハブ２８が締まり嵌めされることによって外スリーブ２９等に生じる歪みの影響を抑制し、回転軸方向における面振れ精度が高められる。したがって、載置面２８ｆに載置されて回転する記録ディスク８の面振れが低減される。

また、同様にハブ２８が外スリーブ２９に固定された状態で、嵌合部２８ｂの外周面が回転軸Ｒに対して平行になる様に切削加工されてもよい。この場合、嵌合部２８ｂは、切削加工装置の治具に保持されて回転するハブ２８、外スリーブ２９及び内スリーブ３０の回転軸に平行な方向に移動する切削工具により、外周面が切削加工される。

この様に、ハブ２８が外スリーブ２９に固定された状態で、嵌合部２８ｂ及び載置面２８ｆが切削加工されることで、嵌合部２８ｂ及び載置面２８ｆに固定されて回転する記録ディスク８の面振れがより低減される。

（キャップ）
キャップ１２は、上面視で円環状の部材であり、中空円盤状の蓋部１２ａ、蓋部１２ａの外周縁から下方に環状に突出する円筒部１２ｂを有し、外スリーブ２９の上端部２９ｃに固定されている。

キャップ１２は、円筒部１２ｂが外スリーブ２９の上端部２９ｃの外周面に嵌合し、接着剤により固定されている。この接着剤は、蛍光体を含んでもよい。キャップ１２は、蓋部１２ａがシャフト２６のトップフランジ２６ｂと外スリーブ２９の上端部２９ｃとが半径方向に対向する部分に形成されている潤滑剤９２の第１気液界面９３を覆い、潤滑剤９２の装置内への飛散を抑制する。

キャップ１２は、例えばＳＵＳ３０３（ステンレス鋼の一種。以下同様），ＳＵＳ４３０等の鉄鋼材料を用いた切削加工により形成される。また、キャップ１２は、黄銅等の別の金属材料あるいはＰＢＴ樹脂，ＰＯＭ樹脂等の樹脂材料により形成されてもよい。また、キャップ１２の表面に無電解ニッケルめっき層等の表面処理層が設けられてもよい。

（クランパ）
クランパ３６は、上面視で中空円盤状の形状を有し、例えばＳＵＳ３０３等の鉄鋼材料から、切削加工又はプレス加工等により形成される。クランパ３６は、ハブ２８の上面に固定され、下面が記録ディスク８の上面に当接し、スペーサ９を挟んで重ねられる複数の記録ディスク８をハブ２８の載置部２８ｃに固定する。

（ヨーク）
ヨーク３１は、円筒状の形状を有し、例えば軟磁性を有する鉄鋼材料等から、切削加工又はプレス加工等によって形成される。ヨーク３１は、例えば接着等により、ハブ２８の嵌合部２８ｂの内周面に固定されている。なお、ハブ２８が軟磁性を有する材料から形成される場合は、ヨーク３１はハブ２８の一部として一体に形成されてもよい。ヨーク３１の固定に使用される接着剤は、蛍光体を含んでもよい。

（マグネット）
マグネット３２は、円筒状の形状を有し、ヨーク３１の内周面に、例えば接着により固定されている。マグネット３２は、例えばフェライト系の磁石材料や希土類系の磁石材料等から形成される。マグネット３２は、例えばバインダーとしてポリアミド等の樹脂を含んで形成されてもよい。また、マグネット３２は、例えば環状のフェライト系マグネット層と環状の希土類系マグネット層とが積層されて形成されてもよい。マグネット３２の固定に使用される接着剤は、蛍光体を含んでもよい。

マグネット３２は、例えば内周面の周方向に１２極の磁極が設けられており、ステータコア４０に設けられている突極の外周面と隙間を介して半径方向に対向して設けられている。

（ステータコア）
ステータコア４０は、上面視で環状の円環部と、円環部から径方向外周側に伸びる複数の突極とを有し、ベース４の底面から円筒状に突出する突出部４ｃの外周側に、例えば圧入により固定されている。ステータコア４０は、例えば積層した複数の薄型電磁鋼板をカシメにより一体化することで形成される。ステータコア４０の表面には、例えば電着塗装や粉体塗装等による絶縁皮膜が設けられている。ステータコア４０の各突極には、コイル４２が巻回されている。なお、ステータコア４０は、例えば焼結体等の磁性を有する粉体を固化して形成されたソリッドコアであってもよい。

駆動機構は、コイル４２に３相の略正弦波状の駆動電流が流されることで、突極に沿って駆動磁束が発生し、マグネット３２の磁極の磁束との電磁的作用によりトルクを生じさせて回転体を回転駆動する。

（シャフト）
シャフト２６は、例えばＳＵＳ４２０Ｊ２（ステンレス鋼の一種。以下同様）等の鉄鋼材料から切削加工により略円柱状に形成され、軸方向が回転軸Ｒに平行になる様に設けられている。シャフト２６は、軸方向に沿って設けられている固定ネジ孔２６ａ、上端部において外周方向に環状に突出するトップフランジ２６ｂを有する。

シャフト２６は、内スリーブ３０のシャフト孔３０ａに挿入され、下端側がスラストカップ２７に固定支持されている。シャフト２６及びスラストカップ２７で構成される軸体は、下端側のスラストカップ２７がベース４に固定され、上端側のシャフト２６が固定ネジ孔２６ａに挿入される固定ネジ６によってトップカバー２に固定されている。

なお、シャフト２６とトップフランジ２６ｂとは、本実施形態に例示する様に単一の部材で一体形成されてもよく、別体の部品で構成されてもよい。

（スラストカップ）
スラストカップ２７は、例えばＳＵＳ４３０等の鉄鋼材料や黄銅等の金属材料から切削加工により上面視で環状のカップ状に形成されている。スラストカップ２７は、表面に無電解ニッケルめっき層等の表面処理層が設けられてもよい。スラストカップ２７は、シャフト２６の下端部を固定支持する支持部２７ａ、外スリーブ２９の下端部２９ａを環囲する環囲部２７ｂを有する。スラストカップ２７は、例えば圧入、接着又は圧入接着等により支持部２７ａが中心孔４ｄに挿入されることで、ベース４に固定されている。スラストカップ２７の固定に使用される接着剤は、蛍光体を含んでもよい。

スラストカップ２７の環囲部２７ｂ上端の外周面には、半径方向において内周側に窪むように縮径された凹部２７ｃが設けられ、ハブ２８の円筒部２８ｄが凹部２７ｃに進入して嵌合するように構成されている。

（潤滑剤）
回転体と固定体との所定の隙間には、潤滑流体として潤滑剤９２が介在している。潤滑剤９２は、外スリーブ２９及び内スリーブ３０と、シャフト２６及びスラストカップ２７との間に注入され、保持隙間９１によって保持されている。潤滑剤９２は、基油に蛍光体が添加されており、所定波長の光を照射すると発光するため、部材間から漏出している場合には容易に検出される。

（動圧発生部）
回転体と固定体との間の所定部分には、ラジアル動圧発生機構とスラスト動圧発生機構とが設けられている。シャフト２６の外周面と内スリーブ３０の内周面との間の保持隙間９１には、上側に第１ラジアル動圧発生部８１、下側に第２ラジアル動圧発生部８２が形成されている。第１ラジアル動圧発生部８１と第２ラジアル動圧発生部８２とは、軸方向に離間して設けられている。

内スリーブ３０の内周面には、第１ラジアル動圧発生部８１に対向する部分に、例えばヘリングボーン形状又はスパイラル形状の第１ラジアル動圧発生溝３０ｃが設けられている。また、内スリーブ３０の内周面には、第２ラジアル動圧発生部８２に対向する部分に、例えばヘリングボーン形状又はスパイラル形状の第２ラジアル動圧発生溝３０ｄが設けられている。なお、第１ラジアル動圧発生溝３０ｃ及び第２ラジアル動圧発生溝３０ｄの何れか一方もしくは両方は、シャフト２６の外周面に設けられてもよい。

内スリーブ３０の上面と、トップフランジ２６ｂの下面との間隙には、第１スラスト動圧発生部８３が設けられている。また、内スリーブ３０の下面と、スラストカップ２７の支持部２７ａの上面との間隙には、第２スラスト動圧発生部８４が設けられている。

内スリーブ３０の上面には、第１スラスト動圧発生部８３に対向する部分に、例えばヘリングボーン形状又はスパイラル形状の第１スラスト動圧発生溝３０ｅが設けられている。また、内スリーブ３０の下面には、第２スラスト動圧発生部８４に対向する部分に、例えばヘリングボーン形状又はスパイラル形状の第２スラスト動圧発生溝３０ｆが形成されている。なお、第１スラスト動圧発生溝３０ｅは、トップフランジ２６ｂの下面に設けられてもよく、第２スラスト動圧発生溝３０ｆは、スラストカップ２７の支持部２７ａの上面に設けられてもよい。

ハブ２８、外スリーブ２９及び内スリーブ３０を含む回転体が、シャフト２６及びスラストカップ２７を含む固定体に対して回転すると、第１ラジアル動圧発生部８１、第２ラジアル動圧発生部８２、第１スラスト動圧発生部８３及び第２スラスト動圧発生部８４において、それぞれ潤滑剤９２に動圧が生じる。内スリーブ３０は、潤滑剤９２に生じる動圧によって、シャフト２６及びスラストカップ２７と非接触状態で軸方向及び半径方向に支持され、ハブ２８及び外スリーブ２９と共に回転する。

ここで、図３は、内スリーブ３０の内周面に形成された第１ラジアル動圧発生溝３０ｃ及び第２ラジアル動圧発生溝３０ｄを例示する図である。

本実施形態では、図３に示す様に、内スリーブ３０の内周面に、第１ラジアル動圧発生溝３０ｃ及び第２ラジアル動圧発生溝３０ｄが軸方向に離間して形成されている。第１ラジアル動圧発生溝３０ｃ及び第２ラジアル動圧発生溝３０ｄは、何れも周方向Ｔに対して傾斜する傾斜溝を含むヘリングボーン形状を有する。

第１ラジアル動圧発生溝３０ｃ及び第２ラジアル動圧発生溝３０ｄは、例えば圧電素子を用いて微細に位置制御される切削工具を有する切削加工装置により形成される。切削加工装置では、内スリーブ３０が治具に保持された状態で回転され、切削工具が内スリーブ３０の内周面に接触して軸方向に移動しながら切削することで、第１ラジアル動圧発生溝３０ｃ及び第２ラジアル動圧発生溝３０ｄが形成される。

図４は、切削加工装置において切削工具１３０が微小溝１３１を形成する様子を模式的に示す図である。

内スリーブ３０は治具に保持されて回転するため、図４に示す様に、切削工具１３０は、周方向Ｔに沿って内スリーブ３０に対して相対的に矢印方向に移動する。また、切削工具１３０は、圧電素子に交番電界が印加されることで、図４において上下方向に変位し、回転する内スリーブ３０の内周面の所望の位置を切削して微小溝１３１を形成する。

微小溝１３１の周方向Ｔに直交する幅Ｗは、例えば０．０２ｍｍから０．２ｍｍの範囲で形成される。また、微小溝１３１の周方向Ｔの長さＬは、例えば０．２ｍｍから２ｍｍの範囲で形成され、微小溝１３１の深さは、例えば３μｍから５０μｍの範囲で形成される。

図５は、第１の実施形態における第１ラジアル動圧発生溝３０ｃを例示する拡大図である。

図５に示す様に、切削工具１３０は、回転する内スリーブ３０に対して周方向Ｔに対して直交するＸ方向に所定のピッチＰで移動しながら、周方向Ｔに沿って所定の位置に微小溝１３１を切削して形成する。切削工具１３０が移動するピッチＰは微小溝１３１の幅Ｗよりも小さく、微小溝１３１はＸ方向に重なる様に切削される。第１ラジアル動圧発生溝３０ｃは、この様に切削工具１３０が周方向Ｔに延伸する複数の微小溝１３１をＸ方向に重なる様に内スリーブ３０の内周面を切削することで形成される。また、第２ラジアル動圧発生溝３０ｄも、第１ラジアル動圧発生溝３０ｃと同様に、周方向Ｔに延伸する複数の微小溝１３１がＸ方向に重なる様に切削されることで形成される。

なお、第１ラジアル動圧発生溝３０ｃ、第２ラジアル動圧発生溝３０ｄ、第１スラスト動圧発生溝３０ｅ及び第２スラスト動圧発生溝３０ｆは、上記した切削加工装置により形成されてもよく、例えばプレス加工、ボール転造加工、電解エッチング加工（Electro Chemical Machining)等により形成されてもよく、それぞれ異なる方法で形成されてもよい。

（潤滑剤保持構造）
回転体と固定体との間で潤滑流体を保持する潤滑流体保持構造には、潤滑流体の流出を抑制するシール構造が設けられている。なお、シール構造は、外部に向かって拡幅するテーパ空間を含んでもよい。

潤滑剤９２は、シャフト２６及びスラストカップ２７と、外スリーブ２９及び内スリーブ３０との間の保持隙間９１に保持され、図２に示す様に、シャフト２６のトップフランジ２６ｂと外スリーブ２９の上端部２９ｃとの間に第１気液界面９３が形成される。

シャフト２６のトップフランジ２６ｂの外周面には、軸方向において下方に向かって拡径するテーパ面が形成されている。この様な形状により、トップフランジ２６ｂの外周面と外スリーブ２９の上端部２９ｃの内周面との間には、保持隙間９１に向かって（軸方向において下方に向かって）間隔が小さくなる第１テーパ空間９４が形成されている。

第１テーパ空間９４では、毛細管現象により間隔が狭くなる下方に向かって潤滑剤９２に力がはたらくことで、潤滑剤９２がトップフランジ２６ｂと外スリーブ２９の上端部２９ｃとの間に封じ込められている。第１テーパ空間９４は、キャピラリーシール（テーパーシールと称されることもある）として機能し、保持隙間９１で潤滑剤９２が保持される様に潤滑剤９２をシールする。

第１気液界面９３を覆う様に設けられているキャップ１２は、第１気液界面９３から飛散する潤滑剤９２を捕捉することで、潤滑剤９２の第１気液界面９３からディスク収容空間２４への飛散を抑制する。

また、潤滑剤９２は、外スリーブ２９の下端部２９ａとスラストカップ２７の環囲部２７ｂとの間に第２気液界面９５が形成される。

外スリーブ２９の下端部２９ａの外周面には、軸方向において上方に向かって拡径するテーパ面が形成されている。この様な形状により、外スリーブ２９の下端部２９ａとスラストカップ２７の環囲部２７ｂとの間には、保持隙間９１に向かって（軸方向において下方に向かって）間隔が小さくなる第２テーパ空間９６が形成されている。

第２テーパ空間９６では、毛細管現象により間隔が狭くなる下方に向かって潤滑剤９２に力がはたらくことで、潤滑剤９２が外スリーブ２９の下端部２９ａとスラストカップ２７の環囲部２７ｂとの間に封じ込められている。第２テーパ空間９６は、キャピラリーシールとして機能し、保持隙間９１で潤滑剤９２が保持される様に潤滑剤９２をシールする。

また、ハブ２８の円筒部２８ｄが、スラストカップ２７の環囲部２７ｂと外スリーブ２９との間隙を覆うことで、潤滑剤９２の第２気液界面９５からディスク収容空間２４への飛散が抑制されている。

上記した様に、潤滑剤９２は、第１テーパ空間９４、第２テーパ空間９６、キャップ１２、ハブ２８の円筒部２８ｄ等によって、ディスク収容空間２４への飛散が抑制されている。この様な構成により、潤滑剤９２が第１気液界面９３及び第２気液界面９５からディスク収容空間２４に飛散し、記録ディスク８の表面等に付着してリード／ライトエラー等の動作不良を招く可能性が低減されている。

なお、第１テーパ空間９４及び第２テーパ空間９６の少なくとも一方は、半径方向に延伸する様に設けられてもよい。

（環状凹部）
図６は、第１の実施形態における環状凹部１１０の構成を例示する拡大図である。図６に示す様に、環状凹部１１０は、外スリーブ２９の内周面が半径方向外側に窪んだ拡径部により形成されている。なお、環状凹部１１０は、内スリーブ３０の外周面が半径方向内側に窪んだ縮径部で形成されてもよく、外スリーブ２９の内周面に設けられた拡径部と内スリーブ３０の外周面に設けられた縮径部とで形成されてもよい。

環状凹部１１０は、外スリーブ２９の内周面と内スリーブ３０の外周面との間に形成され、軸方向において、第１ラジアル動圧発生部８１の少なくとも一部と重複する領域に回転軸Ｒを囲む環状に設けられている。

環状凹部１１０の下端は、軸方向において、第１ラジアル動圧発生溝３０ｃの下端と、ハブ２８が外スリーブ２９の外周面に当接して固定される固定領域１１１の下端との間に位置する様に形成されている。また、環状凹部１１０の上端は、軸方向において、固定領域１１１の上端よりも上側に位置する様に形成されている。

この様に、外スリーブ２９と内スリーブ３０との間に設けられる環状凹部１１０により、締まり嵌めにより外スリーブ２９が固定されることによる内スリーブ３０の変形が抑制される。したがって、第１ラジアル動圧発生部８１における内スリーブ３０とシャフト２６との間隔が維持されるため、第１ラジアル動圧発生部８１において潤滑剤９２に生じる動圧の変動が低減し、内スリーブ３０を含む回転体の回転が安定に保たれる。

また、環状凹部１１０の半径方向の間隔ｓが大きい場合には、ハブ２８が外スリーブ２９の外周面に固定される影響を吸収し易くなり、内スリーブ３０を含む回転体の回転がより安定に保たれる。間隔ｓは、５μｍ以上の場合に内スリーブ３０の影響を吸収する効果がみられ、２０μｍ以上の場合に当該効果が顕著になり、５０μｍ以上の場合には製造誤差の影響を吸収できる。間隔ｓが小さい場合には、環状凹部１１０にも充填される潤滑剤９２の量が低減されるため、その注入作業にかかる時間が短縮される。間隔ｓが５００μｍ以下の場合は注入作業にかかる時間は許容範囲内であった。

（ディスク駆動装置の製造方法）
図７は、第１の実施形態におけるディスク駆動装置１００の軸受機構の製造方法を例示するフローチャートである。なお、以下で説明する製造方法は、工程が入れ替えられてもよく、工程が追加されてもよい。

図７に示す様に、まずステップＳ１０１にて、ハブ２８、外スリーブ２９及び内スリーブ３０を加工する。ハブ２８は、プレス加工及び切削加工により、円筒部２８ｄ、係合部２８ｅを含んで形成される。外スリーブ２９は、切削加工により、段差部２９ｂ、内スリーブ３０の外周面との間に環状凹部１１０を形成する凹部等を含んで形成される。また、内スリーブ３０は、切削加工により、外周面にＤカット面等を含んで形成される。なお、外スリーブ２９と内スリーブ３０とが一体に形成される場合は、一体スリーブに循環路が穿設される。

ステップＳ１０２では、内スリーブ３０が外スリーブ２９に圧入され、外スリーブ２９が内スリーブ３０の外周面に固定される。

ステップＳ１０３では、スリーブに動圧溝が形成される。本実施形態では、内スリーブ３０の内周面に、上記した切削加工装置により、第１ラジアル動圧発生溝３０ｃ、第２ラジアル動圧発生溝３０ｄが形成される。この時、内スリーブ３０は、動圧溝の形成前に内周面が均されるように、例えば切削等の加工が連続して施されてもよい。続いて、内スリーブ３０の上下端面それぞれに第１スラスト動圧発生溝３０ｅ及び第２スラスト動圧発生溝３０ｆが形成される。

続いてステップＳ１０４では、ハブ２８が焼き嵌め、圧入等の締まり嵌めにより外スリーブ２９の外周面に固定される。

次に、ステップＳ１０５では、ハブ２８が外スリーブ２９に固定された状態で、ハブ２８の記録ディスク８が載置される載置面２８ｆが、回転軸Ｒに対して垂直になる様に切削加工される。載置面２８ｆは、上記した様に、切削加工装置の治具に保持されて回転するハブ２８、外スリーブ２９及び内スリーブ３０の回転軸に対して垂直方向に移動する切削工具により切削加工される。

なお、載置面２８ｆが切削されることと連続して、嵌合部２９ｂの外周面が回転軸Ｒに対して平行になる様に切削加工されてもよい。載置面２８ｆと嵌合部２８ｂの外周面とは、一つの切削工具が連続移動することで切削されてもよい。

ステップＳ１０６では、内スリーブ３０のシャフト孔３０ａに、シャフト２６が挿入される。続いて、ステップＳ１０７では、シャフト２６の下端部がスラストカップ２７に圧入されて固定される。ステップＳ１０８では、シャフト２６のトップフランジ２６ｂと外スリーブ２９の上端部２９ｃとの間から、潤滑剤９２が注入される。ステップＳ１０９では、キャップ１２が外スリーブ２９の上端部２９ｃに固定される。

以上で説明した様に、第１の実施形態に係るディスク駆動装置１００は、ハブ２８が外スリーブ２９に固定された状態で、ハブ２８の載置面２８ｆが回転軸Ｒに対して垂直になる様に切削加工される。したがって、載置面２８ｆの面振れ精度が高められ、載置面２８ｆに載置されて回転する記録ディスク８の面振れが低減される。

また、外スリーブ２９と内スリーブ３０との間に形成される環状凹部１１０によって、ハブ２８が外周面に締まり嵌めで固定される外スリーブ２９の歪み等の影響が吸収される。したがって、シャフト２６と内スリーブ３０との間隔が維持され、潤滑剤９２に生じる動圧の変動が低減され、内スリーブ３０を含む回転体の回転が安定に保たれる。

[第２の実施形態]
次に、第２の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、既に説明した実施形態と同一構成部分についての説明は省略する場合がある。

図８は、第２の実施形態に係るディスク駆動装置２００の軸受機構を例示する断面図である。

第２の実施形態に係るディスク駆動装置２００は、第１の実施形態と同様に、ハブ２８が外スリーブ２９に固定された状態で、ハブ２８の載置面２８ｆが回転軸Ｒに対して垂直になる様に切削加工される。また、外スリーブ２９と内スリーブ３０との間に、軸方向において第１ラジアル動圧発生部８１の少なくとも一部と重複する領域に回転軸Ｒを囲む環状凹部１１０が設けられている。

第２の実施形態に係るディスク駆動装置２００は、外スリーブ２９の段差部２９ｂ及びハブ２８の係合部２８ｅが設けられていない点で、第１の実施形態とは異なっている。

ディスク駆動装置２００のハブ２８は、例えば圧入、焼き嵌め等の締まり嵌めによって、外スリーブ２９の外周面に固定される。このとき、ハブ２８と外スリーブ２９との軸方向の位置決めは、組み立て時に治具等を用いて行われる。

ハブ２８と外スリーブ２９とは、当接する領域が軸方向に長いほど強固に固定され、ハブ２８及び外スリーブ２９を含む回転体の回転安定性が向上する。したがって、本実施形態に係るディスク駆動装置２００では、ハブ２８が外スリーブ２９に強固に固定され、ハブ２８及び外スリーブ２９を含む回転体がより安定して回転する。

以上で説明した様に、第２の実施形態に係るディスク駆動装置２００では、ハブ２８の載置面２８ｆの面振れ精度が高く、載置面２８ｆに載置されて回転する記録ディスク８の面振れが低減される。また、環状凹部１１０によってシャフト２６と内スリーブ３０との間隔が維持され、潤滑剤９２に発生する動圧により回転体の回転が安定に保たれる。また、ハブ２８が外スリーブ２９に強固に固定され、ハブ２８及び外スリーブ２９を含む回転体の回転がより安定する。

[第３の実施形態]
次に、第３の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、既に説明した実施形態と同一構成部分についての説明は省略する場合がある。

図９は、第３の実施形態に係るディスク駆動装置３００の軸受機構を例示する断面図である。

第３の実施形態に係るディスク駆動装置３００は、上記した各実施形態と同様に、ハブ２８が外スリーブ２９に固定された状態で、ハブ２８の載置面２８ｆが回転軸Ｒに対して垂直になる様に切削加工される。また、外スリーブ２９と内スリーブ３０との間に、軸方向において第１ラジアル動圧発生部８１の少なくとも一部と重複する領域に回転軸Ｒを囲む環状凹部１１０が設けられている。

また、ディスク駆動装置３００は、第２の実施形態と同様に、外スリーブ２９の段差部２９ｂ及びハブ２８の係合部２８ｅが設けられていない点で、第１の実施形態とは異なっている。また、外スリーブ２９とスラストカップ２７の環囲部２７ｂとの間隙を覆う円筒部としての円筒部材３５が、外スリーブ２９とは別体として設けられている点で、上記した各実施形態とは異なっている。

円筒部材３５は、例えばＳＵＳ３０３，ＳＵＳ４３０等の鉄鋼材料や黄銅等の金属材料から切削加工により上面視で環状の円筒状に形成される。また、円筒部材３５は、ＰＢＴ樹脂，ＰＯＭ樹脂等の樹脂材料により形成されてもよい。円筒部材３５は、表面に無電解ニッケルめっき層等の表面処理層が設けられてもよい。

円筒部材３５は、ハブ２８が外スリーブ２９に固定される前に、例えば圧入、接着等により外スリーブ２９の外周面に固定して設けられる。円筒部材３５は、スラストカップ２７の環囲部２７ｂの上端に設けられている凹部２７ｃに進入して嵌合する様に、外スリーブ２９とスラストカップ２７の環囲部２７ｂとの間隙を覆い、第２気液界面９５からディスク収容空間２４への潤滑剤９２の飛散を抑制する。円筒部材３５の固定に使用される接着剤は、蛍光体を含んでもよい。

以上で説明した様に、第３の実施形態に係るディスク駆動装置３００では、ハブ２８の載置面２８ｆの面振れ精度が高く、載置面２８ｆに載置されて回転する記録ディスク８の面振れが低減される。また、環状凹部１１０によってシャフト２６と内スリーブ３０との間隔が維持され、潤滑剤９２に発生する動圧により回転体の回転が安定に保たれる。さらに、円筒部材３５によって、第２気液界面９５からディスク収容空間２４への潤滑剤９２の飛散が抑制される。

以上、実施形態に係るディスク駆動装置の製造方法について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。

４ ベース
８ 記録ディスク
１２ キャップ
２６ シャフト（軸部材）
２７ スラストカップ（環囲部材）
２７ｃ 凹部
２８ ハブ
２８ｄ 円筒部
２８ｅ 係合部
２８ｆ 載置面
２９ 外スリーブ
２９ｂ 段差部
３０ 内スリーブ
３０ｂ 循環路
３０ｃ 第１ラジアル動圧発生溝
３０ｄ 第２ラジアル動圧発生溝
３５ 円筒部材（円筒部）
１００，２００，３００ ディスク駆動装置
１１０ 環状凹部

Claims (8)

1. ベース及び軸方向に延在する軸部材を含む固定体と、
   前記軸部材の少なくとも一部を収納するスリーブ及び記録ディスクが載置される載置面を有し前記スリーブの外周面に固定されるハブを含み、前記固定体に対して回転自在に支持される回転体と、を備えるディスク駆動装置の製造方法であって、
   前記ハブを前記スリーブの外周面に固定することと、
   前記ハブが前記スリーブの外周面に固定された状態で、前記回転体を回転させながら、前記載置面を、前記回転体の回転軸に対して垂直方向に移動する切削工具により切削加工することと、
   前記切削加工の後に、前記軸部材を前記スリーブに収納することと、を含む
   ことを特徴とするディスク駆動装置の製造方法。
2. 前記固定することは、前記ハブを前記スリーブに締まり嵌めすることを含む
   ことを特徴とする請求項１に記載のディスク駆動装置の製造方法。
3. 前記スリーブの外周面に段差部を形成することと、
   前記ハブの内周面に前記段差部に係合する係合部を形成することと、をさらに含み、
   前記固定することは、前記係合部を前記段差部に係合させることを含む
   ことを特徴とする請求項１又は２に記載のディスク駆動装置の製造方法。
4. 前記固定体は、外周面に前記軸方向に直交する半径方向に窪む凹部を有して前記スリーブを環囲する環囲部材を含み、
   前記回転体は、前記軸方向における前記スリーブと前記環囲部材との間隙を覆い、少なくとも一部が前記凹部に前記半径方向に進入する円筒部を含み、
   前記固定することの前に、前記円筒部を前記ハブと一体に形成すること又は前記円筒部を前記スリーブに固定することを含む
   ことを特徴とする請求項１から３の何れか一項に記載のディスク駆動装置の製造方法。
5. 前記スリーブは、前記軸部材を環囲する内スリーブと、前記内スリーブの外周面に固定される外スリーブとを含み、
   前記軸部材の外周面又は前記内スリーブの内周面に設けられた第１ラジアル動圧発生溝と、前記軸部材の外周面又は前記内スリーブの内周面に前記軸方向において前記第１ラジアル動圧発生溝から前記ベース側に離間して設けられた第２ラジアル動圧発生溝とを含み、
   前記固定することの前に、前記内スリーブの外周面及び前記外スリーブの内周面の少なくとも一方に、前記軸方向において前記第１ラジアル動圧発生溝と重複する領域に、前記回転軸を囲んで窪む環状凹部を形成することを含み、
   前記固定することは、前記軸方向において、前記ハブと前記スリーブとが当接して固定される固定領域の少なくとも一部を、前記環状凹部に重複させることを含む
   ことを特徴とする請求項１から４の何れか一項に記載のディスク駆動装置の製造方法。
6. 前記環状凹部を形成することは、前記軸方向において、前記環状凹部の前記ベース側の端部を、前記第１ラジアル動圧発生溝と前記第２ラジアル動圧発生溝との間に形成すると共に、前記環状凹部の前記ベースとは反対側の端部を、前記固定領域より前記ベースの反対側に形成することを含む
   ことを特徴とする請求項５に記載のディスク駆動装置の製造方法。
7. 前記環状凹部を形成することは、前記環状凹部の前記軸方向に直交する半径方向の深さを５μｍ以上且つ５００μｍ以下に形成することを含む
   ことを特徴とする請求項５又は６に記載のディスク駆動装置の製造方法。
8. 前記第１ラジアル動圧発生溝及び前記第２ラジアル動圧発生溝の少なくとも一方は、周方向に対して傾斜する方向に延伸する傾斜溝を含み、
   前記固定することの前に、周方向に延伸する複数の微小溝で前記傾斜溝を形成することを含む
   ことを特徴とする請求項５から７の何れか一項に記載のディスク駆動装置の製造方法。

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