JP2015219058A - 電流センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】小型で、かつ、精度よく外乱を除去できる電流センサを提供する。【解決手段】第1方向に延伸する導体に流れる被測定電流を検出する電流センサであって、第1方向と平行な第1面上に設けられ、被測定電流によって発生する磁場を検出する第1磁電変換素子と、第1面上において、第1磁電変換素子に対して第1方向と平行かつ第1面に垂直な第2面の反対側に配置され、被測定電流によって発生する磁場の成分のうち、第1磁電変換素子と方向が略同一の成分を検出する第2磁電変換素子と、第1磁電変換素子および第2磁電変換素子の間に配置され、被測定電流によって発生する磁場の成分のうち、第1磁電変換素子と方向が略同一の成分を検出する第3磁電変換素子と、を備える電流センサを提供する。【選択図】図1
Description
本発明は、電流センサに関する。
近年、自動車の燃費向上や家電製品の省エネルギー対策として、電流センサを使ってより高精度にシステムをコントロールすることが必要になってきている。限られたスペースに複数の電流センサを配置するためには、より小型で低価格な電流センサが要求され、従来、電流センサの精度を上げる目的で用いられてきた磁性体コアを使わない電流センサの開発が進められている。ここで、磁性体コアを取り除いた副作用の一つとして、外乱磁場の影響を受けやすくなることが挙げられる。
これに対して、被測定電流が作る被測定磁場の大きさが異なる2点に配置された2つの磁電変換素子の差分を取ることにより、2つの磁電変換素子に同様にかかる外乱を除去する方法が知られている。しかし、2つの磁電変換素子の位置が異なるため、実際には、2つの磁電変換素子にかかる外乱の大きさも異なり、差分を取るだけでは十分に外乱を除去できない問題があった。この問題に対して、直線状に並ぶ4つの磁電変換素子を用いて、距離に由来する残留外乱も除去する方法が知られていた(特許文献1参照)。
[特許文献1] 特開2012−26727号公報
[特許文献1] 特開2012−26727号公報
しかしながら、このような電流センサは、例えば、直線上に並ぶ4つの磁電変換素子が2素子ずつ2組に分かれ、導体を挟むように配置されるので、センサを小型化することが困難であった。本発明は、このような問題に鑑みたものであり、小型で、かつ、精度よく外乱を除去できる電流センサを提供する。
本発明の第1の態様においては、第1方向に延伸する導体に流れる被測定電流を検出する電流センサであって、第1方向と平行な第1面上に設けられ、被測定電流によって発生する磁場を検出する第1磁電変換素子と、第1面上において、第1磁電変換素子に対して第1方向と平行かつ第1面に垂直な第2面の反対側に配置され、被測定電流によって発生する磁場の成分のうち、第1磁電変換素子と方向が略同一の成分を検出する第2磁電変換素子と、第1磁電変換素子および第2磁電変換素子の間に配置され、被測定電流によって発生する磁場の成分のうち、第1磁電変換素子と方向が略同一の成分を検出する第3磁電変換素子と、を備える電流センサを提供する。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本実施形態に係る電流センサ100の第1の構成例を基板110と共に示す。電流センサ100は、導体10に流れる被測定電流を検出する。電流センサ100は、導体10に被測定電流が流れることで発生する線対称な磁場成分と、面対称な磁場成分とに分解できる磁場のうち、面対称な磁場成分を検出する。
基板110は、導体10と平行に配置される。基板110は、導体10に近接して配置されてよく、一例として、導体10に接して配置される。図1は、基板110がXZ面に平行に配置され、一方の面において導体10と接し、他方の面において複数の磁電変換素子を搭載する例を示す。電流センサ100は、導体10と、第1磁電変換素子101と、第2磁電変換素子102と、第3磁電変換素子103と、第4磁電変換素子104と、を備える。
導体10は、図1のZ軸に平行な第1方向に延伸し、外部の電源または電流源等と接続され、外部から供給される被測定電流を当該第1方向に流す。導体10は、電流を流すことにより、図1の点線の円で示すように、XY面内において導体10を略中心とする略円形の被測定磁場12を生じさせる。
第1磁電変換素子101は、第1方向と平行な第1面上に設けられ、被測定電流によって発生する磁場を検出する。図1は、第1磁電変換素子101が、基板110の導体とは反対側の他方の面上に設けられる例を示す。ここで、基板110の他方の面を第1面とする。
第2磁電変換素子102は、第1面上において、第1磁電変換素子101に対して第1方向と平行かつ第1面に垂直な第2面の反対側に配置される。即ち、複数の磁電変換素子のうちの第1磁電変換素子101および第2磁電変換素子102は、第2面を挟んで配置される。図1は、XZ面が第1面であり、Z方向と平行かつXZ面に垂直なYZ面が第2面である例を示す。
即ち、例えば、第2面は、図1におけるA−A'断面であり、第2磁電変換素子102は、第1面上において、第1磁電変換素子101に対して第2面の反対側に配置される。このように、複数の磁電変換素子のうちの第1磁電変換素子は、第1面上において、第1方向と平行で、かつ第1面に垂直な第2面で分割される一方の第1領域に配置され、複数の磁電変換素子のうちの第2磁電変換素子102は、第1面上において、第2面で分割される他方の第2領域に配置される。
第3磁電変換素子103は、第1面上において、第1磁電変換素子101および第2磁電変換素子102の間に配置される。第4磁電変換素子104は、第1面上において、第1磁電変換素子101および第2磁電変換素子102の間に配置される。即ち、複数の磁電変換素子のうちの第1磁電変換素子101および第2磁電変換素子102は、第1面上において、第2面を挟んで配置され、残りの磁電変換素子は、第1磁電変換素子101および第2磁電変換素子102の間に配置される。
第1から第4磁電変換素子104は、被測定電流によって発生する磁場を検出する。第1から第4磁電変換素子104は、被測定電流によって発生する磁場の成分のうち、方向が略同一の成分を検出する。例えば、第1から第4磁電変換素子104は、X方向と略平行な磁場の成分を検出する。
図2は、図1に示した電流センサ100のXZ面の構成例を示す。図2は、第1から第4磁電変換素子104が、第1方向に垂直な第2方向に(即ち、X軸と平行に)並ぶ例を示す。また、第1磁電変換素子101および第3磁電変換素子103の距離Lと、第2磁電変換素子102および第4磁電変換素子104の距離Lとは、略等しく配置される。また、第3磁電変換素子103から第2面までの距離Mと、第4磁電変換素子104から第2面との距離Mとは、略等しく配置される。
ここで、第2面は、導体10の第1方向を含む面である。一例として、第2面は、導体10の第1方向の中心軸C−C'を含む面である。即ち、第1磁電変換素子101および第2磁電変換素子102は、第2面を挟んで略面対称な位置に配置され、第3磁電変換素子103および第4磁電変換素子104は、第2面を挟んで略面対称な位置に配置される。
また、第2面は、導体10の第1方向の中心軸C−C'を含む面なので、被測定電流によって発生する被測定磁場12は、当該第2面に対して略面対称となる成分を有する。被測定電流によって発生する被測定磁場12について、図3を用いて説明する。
図3は、図1のB−B'断面において発生する磁場の概略構成を示す。図3において、横軸は図1のX軸に対応し、縦軸は磁場の強度を示す。ここで、X軸上の縦軸との交点(原点)は、図1における線分A−A'および線分B−B'の交点に対応する。図3において、第1磁電変換素子101は、X軸上のX101点に位置する。同様に、第2から第4磁電変換素子104は、X軸上のX102点、X103点、X104点にそれぞれ位置する。また、被測定電流によって発生する被測定磁場12のうち、X方向に平行な第1磁場成分20を実線で、Y方向に平行な第2磁場成分22を点線で示す。
導体10に被測定電流が流れた場合、図1の破線で示すような被測定磁場12が発生する。この被測定磁場12の第1面に平行な成分(X成分)は、図3の第1磁場成分20で示すように、Y軸に対して略線対称となる。ここで、導体10がZ方向に延伸する範囲において発生する被測定磁場12は、当該範囲内において図1の破線で示す形状と略同一となる。したがって、被測定磁場12の第1面に平行な第1磁場成分20は、空間的に、第2面に対して略面対称となる。
また、被測定磁場12の第1面に垂直な成分(Y成分)は、図3の第2磁場成分22で示すように、原点に対して略点対称となる。ここで、導体10がZ方向に延伸する範囲において発生する被測定磁場12は、当該範囲内において図1の破線で示す形状と略同一となる。したがって、被測定磁場12の第1面に垂直な第2磁場成分22は、空間的に、第1面および第2面の交線に対して略線対称となる。このように、被測定電流によって発生する第1方向と平行な第1面上の磁場は、第1方向と平行で、かつ第1面に垂直な第2面に対して略面対称となる第1磁場成分20と、第1面および第2面の交線に対して略線対称となる第2磁場成分22とを有する。
本実施形態の複数の磁電素子は、第1磁場成分20を検出する。即ち、複数の磁電素子は、それぞれの配置に応じた第1磁場成分20の大きさを検出し、検出した磁場に応じた電気信号を検出結果としてそれぞれ出力する。
例えば、第1磁電変換素子101は、検出した第1磁場成分20の大きさに応じたVS1の電圧降下を、検出結果として生じさせる。また、第1磁電変換素子101と対称な位置に配置された第2磁電変換素子102は、VS1と略同一のVS2の電圧降下を検出結果として生じさせる。同様に、第3磁電変換素子103および第4磁電変換素子104は、検出した第1磁場成分20の大きさに応じた略同一のVS3およびVS4の電圧降下を、検出結果としてそれぞれ生じさせる。
このように、第1磁電変換素子101および第2磁電変換素子102は、第1面上において、第1磁場成分20の対称面に対して略対称な位置に設けられるので、被測定電流によって発生する磁場の成分のうち、方向および大きさが略同一の成分を検出することになる。同様に、第3磁電変換素子103および第4磁電変換素子104は、被測定電流によって発生する磁場の成分のうち、方向および大きさが略同一の成分を検出する。
本実施形態にかかる複数の磁電変換素子は、基板110に平行な磁場成分を検出する素子であり、具体的には、磁気抵抗素子、または、磁性体と組み合わせたホール素子等である。本実施形態では、横磁場を感じる磁気抵抗素子の例を示す。
図3において、本実施形態の電流センサ100に入力されるノイズ源からの磁場入力を、外乱成分30として示す。磁電変換素子間の距離と比較して、数倍から数十倍程度以上の距離に位置するノイズ源からの外乱成分30は、図3に示すように線形な直線で近似することができる。したがって、第1磁電変換素子101は、第1磁場成分20および外乱成分30の和であるVS1+VN1の電圧降下を、検出結果として生じさせる。
同様に、第2磁電変換素子102は、VS2+VN2の電圧降下を検出結果として生じさせるので、第1磁場成分20と比較して無視できない程度の外乱成分30が入力される場合、第1磁電変換素子101の検出結果とは異なる検出結果を生じさせる。第3磁電変換素子103および第4磁電変換素子104も、同様に、VS3+VN3およびVS4+VN4の電圧降下を検出結果としてそれぞれ生じさせる。
本実施形態の電流センサ100は、複数の磁電変換素子の検出結果に基づき、予め定められた演算処理を実行して、外乱成分30を除去して導体10に流れる被測定電流を検出する。電流センサ100は、第1から第4磁電変換素子104の出力に基づいて、被測定電流を検出する電流検出部を更に備えてよく、これに代えて、電流センサ100は、外部の電流検出部に接続されてもよい。予め定められた演算処理を実行する電流検出部について、図4を用いて説明する。
図4は、図1に示した電流センサ100が、電流検出部に接続された構成例を示す。図4において、導体10および基板110の記載を省略した。電流検出部は、電源部120と、定電流源130と、第1増幅部142と、第2増幅部144と、第3増幅部146と、を有する。
電源部120は、複数の定電流源130に接続され、当該複数の定電流源130に電源電圧を供給する。電源部120は、予め定められた一定の電圧を複数の定電流源130にそれぞれ供給してよい。
複数の定電流源130のそれぞれは、電源部120および基準電位の間にそれぞれ接続され、電源部120に駆動されて対応する磁電変換素子を介して基準電位へと予め定められた一定の電流をそれぞれ流す。ここで、基準電位は、電源部120が供給する電源電圧よりも低い、予め定められた一定の電圧である。図4は、基準電位を0V(GND)とする例を示す。
複数の磁電変換素子のそれぞれは、対応する定電流源130と基準電位の間に接続され、定電流源130から供給される予め定められた一定の電流を基準電位へと流す。複数の磁電変換素子は、一例として、入力される磁場に応じて電気抵抗値を変化させるので、入力される磁場に応じた電圧降下を生じさせる。例えば、図3で説明したように、第1磁電変換素子101はVS1+VN1を、第2磁電変換素子102はVS2+VN2を、第3磁電変換素子103はVS3+VN3を、第4磁電変換素子104はVS4+VN4を、検出結果としてそれぞれ生じさせる。
第1増幅部142は、第1磁電変換素子101および対応する定電流源130の間と、第3磁電変換素子103および対応する定電流源130の間にそれぞれ接続される差動増幅回路を含む。即ち、第1増幅部142は、第1磁電変換素子101による電圧降下および第3磁電変換素子103による電圧降下の差分を増幅し、増幅率をGとすると、次式で示される出力電圧V21を出力する。
(数1)
V21=G{(VS1+VN1)−(VS3+VN3)}
(数1)
V21=G{(VS1+VN1)−(VS3+VN3)}
第2増幅部144は、第4磁電変換素子104および対応する定電流源130の間と、第2磁電変換素子102および対応する定電流源130の間にそれぞれ接続される差動増幅回路を含む。即ち、第2増幅部144は、第4磁電変換素子104による電圧降下および第2磁電変換素子102による電圧降下の差分を増幅し、増幅率をGとすると、次式で示される出力電圧V22を出力する。
(数2)
V22=G{(VS4+VN4)−(VS2+VN2)}
(数2)
V22=G{(VS4+VN4)−(VS2+VN2)}
第3増幅部146は、第1増幅部142および第2増幅部144の出力端子に接続される差動増幅回路を含む。即ち、第3増幅部146は、第1増幅部142による出力電圧および第2増幅部144による出力電圧の差分を増幅し、増幅率をAとすると、次式で示される出力電圧VOUTを出力する。
(数3)
VOUT=A(V21−V22)
=AG{(VS1−VS3)−(VS4−VS2)+(VN1−VN3)−(VN4−VN2)}
(数3)
VOUT=A(V21−V22)
=AG{(VS1−VS3)−(VS4−VS2)+(VN1−VN3)−(VN4−VN2)}
ここで、図3で説明したように、ノイズ源からの外乱成分30は、線形な直線で近似することができる。したがって、第1磁電変換素子101および第3磁電変換素子103の間の距離Lと、第4磁電変換素子104および第2磁電変換素子102の間の距離Lが等しい場合、VN1−VN2およびVN4−VN2は、いずれも距離L離れた場合の外乱成分30の変化となり、差分は略0と近似することができる。即ち、(数3)式は、次式のように示される。
(数4)
VOUT=AG{(VS1−VS3)−(VS4−VS2)}
(数4)
VOUT=AG{(VS1−VS3)−(VS4−VS2)}
以上のように、本実施形態の電流検出部は、第1から第4磁電変換素子104のそれぞれをバイアスした場合に、第1磁電変換素子101の電圧から第3磁電変換素子103の電圧を差し引いた値と、第4磁電変換素子104の電圧から第2磁電変換素子102の電圧を差し引いた値との差分に応じた信号を出力する。これによって、電流センサ100は、ノイズ源からの外乱成分30の影響をほとんど受けない検出結果を出力することができる。
この場合において、電流センサ100は、2組の磁電変換素子間の距離Lを略同一に配置することで、各組の電圧降下の差分(即ち、第1増幅部142および第2増幅部144の出力電圧V21およびV22)における外乱成分の値(即ち、VN1−VN3およびVN4−VN2)を、略同一の値にする。そして、第1増幅部142および第2増幅部144の増幅率を略同一にすることで、第3増幅部146が差動増幅すると、外乱成分の値が相殺されることになる。即ち、本実施形態の電流センサ100は、増幅部の複雑な増幅率の調整を不要とし、簡便にノイズ源からの外乱成分の影響を低減させることができる。
また、本実施形態の電流センサ100は、複数の磁電変換素子を、対称面(第2面)に対して対称に配置することを説明した。複数の磁電変換素子が検出する第1磁場成分20は、第2面に対して対称な磁場強度となり、第2面から離れるにしたがって磁場強度はより低下する傾向にある。したがって、複数の磁電変換素子を、第2面に対して非対称に配置すると、第2面から遠い方の磁電変換素子に入力する磁場強度が低下することになる。
即ち、複数の磁電変換素子は、第2面に対して対称に配置することが望ましく、この場合、導体10に流れる電流を一定にした場合において、検出感度をより高くすることができる。
また、複数の磁電変換素子を第2面に対して対称に配置することにより、VS1およびVS2、VS3およびVS4は、それぞれ略同一の値となり、出力電圧VOUTは次式で示すことができる。
(数5)
VOUT=2AG{(VS1−VS3)}=2AG{(VS2−VS4)}
(数5)
VOUT=2AG{(VS1−VS3)}=2AG{(VS2−VS4)}
また、本実施形態の電流センサ100は、2組の磁電変換素子間の距離Lを略同一に配置することで、ノイズ源からの外乱成分30の影響を低減させることができる。したがって、電流センサ100がノイズ源からの外乱成分30の影響を低減させる目的のみで構成される場合、複数の磁電変換素子を、第2面に対して対称に配置しなくてもよい。即ち、この場合、第3磁電変換素子103から第2面までの距離と、第4磁電変換素子104から第2面との距離とを、略等しいMにしなくてもよい。これによって、電流センサ100は、複数の磁電変換素子間の配置の自由度を向上させることができる。
例えば、電流センサ100は、第1磁電変換素子101および第3磁電変換素子103が、第2面を挟むように配置されてよい。また、これに代えて、電流センサ100は、第4磁電変換素子104および第2磁電変換素子102が、第2面を挟むように配置されてもよい。このように、第2面は、第2方向に平行移動してもよい。
本実施形態の電流センサ100は、第2方向に隣り合う磁電変換素子の電圧の差分をとる構成である。ここで、第3磁電変換素子103および第4磁電変換素子104は、第2方向にどのような順で配列されてもよい。つまり、電流センサ100は、第2方向に1つおきの磁電変換素子の電圧の差分をとる構成でもよい。これによって、電流センサ100は、複数の磁電変換素子間の配置の自由度をさらに向上させることができる。
例えば、第1領域に第1磁電変換素子101および第4磁電変換素子104が配置され、第2領域に第3磁電変換素子103および第2磁電変換素子102が配置されてもよい。この場合、電流検出部の構成は、図4と略同一でよい。
また、以上の本実施形態の電流センサ100は、複数の磁電変換素子を第2方向に配列させることを説明した。ここで、被測定磁場12のうち、第2面に対して略面対称となる成分は、導体10が第1方向を延伸する範囲において、XY断面の磁場形状は略同一となる。即ち、磁電変換素子の配置を第1面上において第1方向に移動させても、磁電変換素子の検出結果はほとんど変化が生じない。したがって、電流センサ100は、第1面上において、複数の磁電変換素子を第1方向にそれぞれずらしてもよい。これによって、電流センサ100は、複数の磁電変換素子間の配置の自由度を向上させることができる。
以上のように、本実施形態の電流センサ100は、導体10と平行に配置され、一方の面で導体10に近接する基板110の他方の面上に複数の磁電変換素子を配置して、導体10に流れる電流を検出するので、センサ自体の大きさを小型にすることができる。即ち、電流センサ100は、小型で、かつ、精度よく外乱を除去することができる。
図5は、本実施形態に係る電流センサ100の第2の構成例を示す。第2の構成例の電流センサ100において、図2に示された本実施形態に係る電流センサ100の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第2の構成例の電流センサ100は、8の磁電変換素子を含む。
第2の構成例の電流センサ100は、第1面上において、第1磁電変換素子101と近接して配置される第5磁電変換素子201と、第2磁電変換素子102と近接して配置される第6磁電変換素子202と、第3磁電変換素子103と近接して配置される第7磁電変換素子203と、第4磁電変換素子104と近接して配置される第8磁電変換素子204と、を更に有する。第5から第8磁電変換素子204は、予め定められた方向に配列されてよい。
図5は、第5から第8磁電変換素子204が、第1面上において、第1から第4磁電変換素子104の配列を第1方向にずらした位置に配列される例を示す。即ち、第1から第4磁電変換素子104は、第1面上において、第1方向に垂直な第2方向に並び、第5から第8磁電変換素子204は、第1面上において、第2方向に平行な第4方向に並ぶ。
ここで、第1磁電変換素子101および第3磁電変換素子103の距離と、第2磁電変換素子102および第4磁電変換素子104の距離と、第5磁電変換素子201および第7磁電変換素子203の距離と、第6磁電変換素子202および第8磁電変換素子204の距離とは、略等しい距離Lとなるように配置される。また、第3磁電変換素子103から第2面までの距離と、第4磁電変換素子104から第2面までの距離と、第7磁電変換素子203から第2面までの距離と、第8磁電変換素子204から第2面までの距離とは、略等しい距離Mとなるように配置されてよい。
この場合においても、被測定電流によって発生する第1面上の磁場は、図3に示したように、第2面に対して略面対称となる第1磁場成分と、第1面および第2面の交線に対して略線対称となる第2磁場成分とを有し、第1から第4磁電変換素子104および第5から第8磁電変換素子204は、第1磁場成分を検出する。電流センサ100は、第1から第8磁電変換素子204の出力に基づいて、被測定電流を検出する電流検出部を更に備えてよい。電流検出部については、後に述べる。
図6は、本実施形態に係る電流センサ100の第3の構成例を示す。第3の構成例の電流センサ100において、図5に示された本実施形態に係る電流センサ100の第2の構成例の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第3の構成例の電流センサ100は、第2の構成例の電流センサ100と同様、8の磁電変換素子を含む。
第3の構成例の電流センサ100は、第1面上において、第1磁電変換素子101と近接して配置される第5磁電変換素子201と、第2磁電変換素子102と近接して配置される第6磁電変換素子202と、第3磁電変換素子103と近接して配置される第7磁電変換素子203と、第4磁電変換素子104と近接して配置される第8磁電変換素子204と、を有する。第5から第8磁電変換素子204は、予め定められた方向に配列されてよい。第1から第4磁電変換素子104は、第1面上において、第1方向に垂直な第2方向に並び、また、第5から第8磁電変換素子204も、第2方向に並ぶ。
ここで、第1磁電変換素子101および第3磁電変換素子103の距離と、第2磁電変換素子102および第4磁電変換素子104の距離と、第5磁電変換素子201および第7磁電変換素子203の距離と、第6磁電変換素子202および第8磁電変換素子204の距離とは、略等しい距離Lとなるように配置される。また、第3磁電変換素子103から第2面までの距離と、第4磁電変換素子104から第2面までの距離と、第7磁電変換素子203から第2面までの距離と、第8磁電変換素子204から第2面までの距離とは、略等しい距離Mとなるように配置されてよい。
第3の構成例の電流センサ100においても、被測定電流によって発生する第1面上の磁場は、図3と略同一であり、第1から第4磁電変換素子104および第5から第8磁電変換素子204は、第1磁場成分を検出する。電流センサ100は、第1から第8磁電変換素子204の出力に基づいて、被測定電流を検出する電流検出部を更に備えてよい。電流検出部については、図7を用いて説明する。
図7は、図5または図6に示した電流センサ100が、電流検出部に接続された構成例を示す。図7の電流センサ100の構成例において、図4に示された本実施形態に係る電流センサ100の構成例の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第2および第3の構成例の電流センサ100は、いずれも、2つの磁電変換素子を組み合わせた合成磁電変換素子を形成する。
即ち、第1磁電変換素子101および第2磁電変換素子102は、第1合成抵抗301を構成し、第3磁電変換素子103および第4磁電変換素子104は、第2合成抵抗302を構成し、第5磁電変換素子201および第6磁電変換素子202は、第3合成抵抗303を構成し、第7磁電変換素子203および第8磁電変換素子204は、第4合成抵抗304をそれぞれ構成する。そして、電流センサ100は、第1から第4合成抵抗304に基づくブリッジ回路を形成する。
電流センサ100は、一例として、第1合成抵抗301および第2合成抵抗302が直列に接続された第1直列回路と、第3合成抵抗303および第4合成抵抗304が直列に接続された第2直列回路と、を有し、第1直列回路および第2直列回路が並列に接続されたホイートストンブリッジ回路を構成する。また、電流検出部は、電源部120と、定電流源130と、第3増幅部146と、を有し、第1から第4合成抵抗304の抵抗値に基づいて、被測定電流を検出する。
電源部120は、定電流源130に電源電圧を供給する。定電流源130は、第1直列回路および第2直列回路に流れる電流の総和が予め定められた一定の電流Iとなるように、第1直列回路および第2直列回路に電流をそれぞれ流す。なお、第2および第3の構成例の電流センサ100は、いずれも、第2面に対して略対称に複数の磁電変換素子を配置しているので、第1直列回路の合成抵抗および第2直列回路の合成抵抗は、略同一の抵抗値となり、各直列回路に流れる電流は、I/2と近似することができる。
複数の磁電変換素子は、入力磁場に応じて電気抵抗値をそれぞれ変化させるので、それぞれの合成抵抗は入力磁場に応じた電圧降下を生じさせる。電流検出部は、ホイートストンブリッジ回路における、第1直列回路の直列接続部と第2直列回路の直列接続部との間の電圧差に応じて、被測定電流を検出する。
一例として、第1合成抵抗301の抵抗変化は、第1磁電変換素子101および第2磁電変換素子102の抵抗変化を合成したRS31(=RS1+RS2)と示す。ここで、第1直列回路に流れる電流をI/2とすると、VS1=RS1・I/2、VS2=RS2・I/2である。また、第1合成抵抗301の外乱成分30による抵抗変化は、RN31(=RN1+RN2)と示す。ここで、VN1=RN1・I/2、VN2=RN2・I/2である。
同様に、第2合成抵抗302の抵抗変化はRS32(=RS3+RS4)、外乱成分30による抵抗変化はRN32(=RN3+RN4)と示す。また、第3合成抵抗303の抵抗変化はRS33(=RS5+RS6)、外乱成分30による抵抗変化はRN33(=RN5+RN6)と示す。また、第4合成抵抗304の抵抗変化はRS34(=RS7+RS8)、外乱成分30による抵抗変化はRN34(=RN7+RN8)と示す。
第3増幅部146は、第1合成抵抗301および第2合成抵抗302の間と、第3合成抵抗303および第4合成抵抗304の間にそれぞれ接続される差動増幅回路を含む。即ち、第3増幅部146は、第1合成抵抗301による電圧降下および第4合成抵抗304による電圧降下の差分を増幅する。即ち、第3増幅部146は、第3増幅部146の増幅率をAとすると、次式で示される出力電圧VOUTを出力する。
(数6)
VOUT=A{(RS31−RS34)+(RN31−RN34)}・I/2
=AI{(RS1+RS2)−(RS7+RS8)+(RN1+RN2)−(RN7+RN8)}/2
(数6)
VOUT=A{(RS31−RS34)+(RN31−RN34)}・I/2
=AI{(RS1+RS2)−(RS7+RS8)+(RN1+RN2)−(RN7+RN8)}/2
また、第3増幅部146は、第2合成抵抗302による電圧降下および第3合成抵抗303による電圧降下の差分を増幅すると表現できる。したがって、出力電圧VOUTを次式で示してもよい。
(数7)
VOUT=A{(RS33−RS32)+(RN33−RN32)}・I/2
=AI{(RS5+RS6)−(RS3+RS4)+(RN5+RN6)−(RN3+RN4)}/2
(数7)
VOUT=A{(RS33−RS32)+(RN33−RN32)}・I/2
=AI{(RS5+RS6)−(RS3+RS4)+(RN5+RN6)−(RN3+RN4)}/2
ここで、第1磁電変換素子101および第3磁電変換素子103の距離と、第2磁電変換素子102および第4磁電変換素子104の距離と、第5磁電変換素子201および第7磁電変換素子203の距離と、第6磁電変換素子202および第8磁電変換素子204の距離が、略等しい距離Lであることから、(RN1+RN2)および(RN7+RN8)は略等しいと近似できる。また、(RN5+RN6)および(RN3+RN4)は略等しいと近似できる。
したがって、(数6)式および(数7)式は、次のように示される。ここで、(RS1+RS2)と(RS5+RS6)も略等しいと近似でき、(RS3+RS4)と(RS7+RS8)も略等しいと近似できるので、(数6)式および(数7)式は略等しい結果となることがわかる。
(数8)
VOUT=AI{(RS1+RS2)−(RS7+RS8)}/2
=AI{(RS5+RS6)−(RS3+RS4)}/2
(数8)
VOUT=AI{(RS1+RS2)−(RS7+RS8)}/2
=AI{(RS5+RS6)−(RS3+RS4)}/2
以上のように、第2および第3の構成例の電流センサ100は、いずれも、ノイズ源からの外乱成分30の影響をほとんど受けない検出結果を出力することができる。また、第2および第3の構成例の電流センサ100は、増幅部の個数を低減させ、簡便な電子回路でノイズ源からの外乱成分の影響を低減させることができる。
図8は、本実施形態に係る電流センサ100の第4の構成例を示す。また、図9は、図8に示した電流センサ100のXZ面の構成例を示す。第4の構成例の電流センサ100において、図1および2に示された本実施形態に係る電流センサ100の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第4の構成例の電流センサ100は、3の磁電変換素子を含む。
第4の構成例の電流センサ100において、第3磁電変換素子103は、第1磁電変換素子101および第2磁電変換素子102のそれぞれと、略同一の距離に配置される。即ち、第1方向は第2面に含まれ、第3磁電変換素子103は、第1面および第2面の交線上に配置される。第1から第3磁電変換素子103は、X方向と略平行な磁場の成分を検出する。
図10は、図8のB−B'断面において発生する磁場の概略構成を示す。第4の構成例の電流センサ100においても、図3で説明したように、被測定電流によって発生する第1面上の磁場は、第2面に対して略面対称となる第1磁場成分と、第1面および第2面の交線に対して略線対称となる第2磁場成分とを有する。第1磁場成分は、第1面と略平行な方向を向き、第2磁場成分は、第1面と略垂直な方向を向き、第1から第3磁電変換素子103は、当該第1磁場成分を検出する。
第1磁電変換素子101は、第1磁場成分20および外乱成分30の和であるVS1+VN1の電圧降下を、検出結果として生じさせる。同様に、第2磁電変換素子102および第3磁電変換素子103も、VS2+VN2およびVS3+VN3の電圧降下を検出結果としてそれぞれ生じさせる。電流センサ100は、第1から第3磁電変換素子103の出力に基づいて、被測定電流を検出する電流検出部を更に備えてよい。
図11は、図8に示した電流センサ100が、電流検出部に接続された構成例を示す。図11の電流センサ100の構成例において、図4に示された本実施形態に係る電流センサ100の構成例の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。電流検出部は、第1から第3磁電変換素子103のそれぞれをバイアスした場合に、第1磁電変換素子101の電圧から第3磁電変換素子103の電圧を差し引いた値と、第3磁電変換素子103の電圧から第2磁電変換素子102の電圧を差し引いた値との差分に応じた信号を出力する。
電流検出部は、電源部120と、定電流源130と、第1増幅部142と、第2増幅部144と、第3増幅部146と、を有する。電源部120は、複数の定電流源130に接続され、当該複数の定電流源130に電源電圧を供給する。複数の定電流源130のそれぞれは、電源部120および基準電位の間に接続され、電源部120に駆動されて対応する磁電変換素子を介して基準電位へと予め定められた一定の電流をそれぞれ流す。
第1増幅部142は、第1磁電変換素子101および対応する定電流源130の間と、第3磁電変換素子103および対応する定電流源130の間にそれぞれ接続される差動増幅回路を含む。即ち、第1増幅部142は、第1磁電変換素子101による電圧降下および第3磁電変換素子103による電圧降下の差分を増幅し、増幅率をGとすると、次式で示される出力電圧V21を出力する。
(数9)
V21=G{(VS1+VN1)−(VS3+VN3)}
(数9)
V21=G{(VS1+VN1)−(VS3+VN3)}
第2増幅部144は、第3磁電変換素子103および対応する定電流源130の間と、第2磁電変換素子102および対応する定電流源130の間にそれぞれ接続される差動増幅回路を含む。即ち、第2増幅部144は、第3磁電変換素子103による電圧降下および第2磁電変換素子102による電圧降下の差分を増幅し、増幅率をGとすると、次式で示される出力電圧V22を出力する。
(数10)
V22=G{(VS3+VN3)−(VS2+VN2)}
(数10)
V22=G{(VS3+VN3)−(VS2+VN2)}
第3増幅部146は、第1増幅部142および第2増幅部144の出力端子に接続される差動増幅回路を含む。即ち、第3増幅部146は、第1増幅部142による出力電圧および第2増幅部144による出力電圧の差分を増幅し、増幅率をAとすると、次式で示される出力電圧VOUTを出力する。
(数11)
VOUT=A(V21−V22)
=AG{(VS1+VS2−2VS3)+(VN1−VN3)−(VN3−VN2)}
(数11)
VOUT=A(V21−V22)
=AG{(VS1+VS2−2VS3)+(VN1−VN3)−(VN3−VN2)}
図3でも説明したように、ノイズ源からの外乱成分30は、線形な直線で近似することができる。したがって、第1磁電変換素子101および第3磁電変換素子103の間の距離Lと、第3磁電変換素子103および第2磁電変換素子102の間の距離Lが等しい場合、VN1−VN3およびVN3−VN2は、略0と近似することができる。即ち、(数11)式は、次式のように示される。
(数12)
VOUT=AG(VS1+VS2−2VS3)
(数12)
VOUT=AG(VS1+VS2−2VS3)
以上のように、第4の構成例の電流センサ100は、ノイズ源からの外乱成分30の影響をほとんど受けない検出結果を出力することができる。また、第4の構成例の電流センサ100は、3の磁電変換素子によって、ノイズ源からの外乱成分30の影響を低減させることができ、より小型で、かつ、精度よく外乱を除去することができる。
以上のように、第4の構成例の電流センサ100は、第1磁電変換素子101および第3磁電変換素子103の間の距離Lと、第3磁電変換素子103および第2磁電変換素子102の間の距離Lが等しくして、VN1−VN3およびVN3−VN2を相殺してノイズ源からの外乱成分30の影響を低減させることを説明した。これに代えて、電流センサ100は、第1磁電変換素子101および第3磁電変換素子103の間の距離と、第3磁電変換素子103および第2磁電変換素子102の間の距離を異ならせて、予め定められた比率(例えば、a:b)にしてもよい。
これによって、(数11)式のVN1−VN3およびVN3−VN2は、異なる値となるが、外乱成分30は、線形な直線で近似できるので、当該予め定められた比率に応じた値となる。したがって、第1増幅部142の増幅率および第2増幅部144による増幅率を、当該予め定められた比率に応じた比率(例えば、b:a)等にすることで、VN1−VN3およびVN3−VN2を相殺してノイズ源からの外乱成分30の影響を低減させることができる。なお、磁電変換素子間の距離を異ならせても、増幅部の増幅率を調整することでノイズ源からの外乱成分30の影響を低減させることは、第4の構成例に限らず、他の構成例においても実現することができる。
図12は、本実施形態に係る電流センサ100の第5の構成例を示す。図13は、図12に示した電流センサ100のXZ面の構成例を示す。第5の構成例の電流センサ100において、図1および2に示された本実施形態に係る電流センサ100の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第5の構成例の電流センサ100は、4の磁電変換素子を含む。
第5の構成例の電流センサ100において、第1方向に延伸する導体10は、第1方向に平行で、かつ第1方向と逆向きの第3方向に更に延伸し、被測定電流は第1方向に流れた後に第3方向に流れる。即ち、導体10は、+Z方向に電流を流す第1導体16と、−Z方向に電流を流す第2導体18とを含み、当該第1導体16および第2導体18が連結されたU型形状を有する。
図12および図13において、第1導体16および第2導体18は、XZ面において平行に配置され、基板110は、一方の面で第1導体16および第2導体18に接する例を示す。即ち、第1面は、第1導体16および第2導体18と平行となる。また、第1導体16の中心軸E−E'および第2導体18の中心軸D−D'が、線分C−C'を含む第2面を挟んで略面対称な位置に配置される例を示す。即ち、第2面は、第1方向と平行かつ第1面に垂直な面であり、第1方向および第3方向が挟む面となる。
導体10は、電流を流すことにより、図12の2つの円形の点線で示すように、XY面内において第1導体16および第2導体18を略中心とする略円形の被測定磁場12および被測定磁場14を生じさせる。第1から第4磁電変換素子104は、被測定電流によって発生する被測定磁場12および被測定磁場14の合成磁場の成分のうち、方向が略同一または略180度異なる成分を検出する。第5の構成例の電流センサ100において、第1から第4磁電変換素子104は、第1方向および第2方向に垂直なY方向成分を検出する。
第1から第4磁電変換素子104は、第2方向に配列され、第1磁電変換素子101および第3磁電変換素子103の距離と、第2磁電変換素子102および第4磁電変換素子104の距離とは、略等しい距離Lに配置される。また、第3磁電変換素子103から第2面までの距離Mと、第4磁電変換素子104から第2面との距離Mとは、略等しく配置されてよい。
第1磁電変換素子101および第2磁電変換素子102は、第2面を挟んで略面対称な位置に配置され、第3磁電変換素子103および第4磁電変換素子104は、第2面を挟んで略面対称な位置に配置されることが望ましい。また、第1磁電変換素子101および第3磁電変換素子103は、第2面と平行かつ中心軸D−D'を含む面と略面対称な位置に配置されてよい。同様に、第2磁電変換素子102および第4磁電変換素子104は、第2面と平行かつ中心軸E−E'を含む面と略面対称な位置に配置されてよい。
図14は、図12のB−B'断面において発生する磁場の概略構成を示す。被測定電流によって発生する第1面上の磁場は、被測定磁場12および被測定磁場14の合成磁場となる。被測定磁場12および被測定磁場14は、第2面に対して略面対称な磁場となるので、この場合においても、第1面上の磁場は、第2面に対して略面対称となる第1磁場成分20と、第1面および第2面の交線に対して略線対称となる第2磁場成分22とを有することになる。
なお、第5の構成例の電流センサ100において、第2面に対して略面対称となる第1磁場成分20は、基板110に対して垂直方向の、即ち、第1方向および第2方向に垂直なY方向成分となる。また、第1面および第2面の交線に対して略線対称となる第2磁場成分22は、第2方向と平行なX方向成分となる。
第1から第4磁電変換素子104は、第1面と略垂直な方向を向く第1磁場成分20を検出する。このように、第5の構成例の電流センサ100において、第1から第4磁電変換素子104は、基板110に搭載され、基板110の垂直方向の磁場を検出する磁電変換素子である。より具体的には、磁電変換素子は、磁性体と組み合わせた磁気抵抗素子、または、ホール素子等である。
電流センサ100は、第1から第4磁電変換素子104の出力に基づいて、被測定電流を検出する電流検出部を更に備えてよい。図12および図13に示した電流センサ100が電流検出部に接続される構成例は、図4に示した構成例と略同一な構成となる。即ち、電流検出部は、第1から第4磁電変換素子104のそれぞれをバイアスした場合に、第1磁電変換素子101の電圧から第3磁電変換素子103の電圧を差し引いた値と、第4磁電変換素子104の電圧から第2磁電変換素子102の電圧を差し引いた値との差分に応じた信号を出力する。
これによって、第5の構成例の電流センサ100は、ノイズ源からの外乱成分30の影響をほとんど受けない検出結果を出力することができる。また、第5の構成例の電流センサ100は、導体10をU型形状にすることで、第1面に発生させる磁場を被測定磁場12および被測定磁場14の合成磁場とする。これによって、電流センサ100は、導体10に流れる電流値を増加させることなく、より強い磁場強度を発生させて検出することができ、検出感度を向上させることができる。
図15は、本実施形態に係る電流センサ100の第6の構成例を示す。第6の構成例の電流センサ100において、図12に示された電流センサ100の第5の構成例の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第6の構成例の電流センサ100は、3の磁電変換素子を含む。
導体10は、図12および13で説明したように、+Z方向に電流を流す第1導体16と、−Z方向に電流を流す第2導体18とを含み、当該第1導体16および第2導体18が連結されたU型形状を有する。即ち、図15のB−B'断面において発生する磁場の概略構成は、図14で説明した磁場の概略構成と略同一な構成となる。
第6の構成例の電流センサ100において、第3磁電変換素子103は、第1磁電変換素子101および第2磁電変換素子102のそれぞれと、略同一の距離に配置される。即ち、第3磁電変換素子103は、第1面および第2面の交線上に配置される。第1から第3磁電変換素子103は、第2方向と略垂直な磁場の成分(Y成分)を検出する。
電流センサ100は、第1から第3磁電変換素子103の出力に基づいて、被測定電流を検出する電流検出部を更に備えてよい。図15に示した電流センサ100が、電流検出部に接続される構成例は、図11に示した構成例と略同一な構成となる。即ち、電流検出部は、第1から第3磁電変換素子103のそれぞれをバイアスした場合に、第1磁電変換素子101の電圧から第3磁電変換素子103の電圧を差し引いた値と、第3磁電変換素子103の電圧から第2磁電変換素子102の電圧を差し引いた値との差分に応じた信号を出力する。
これによって、第6の構成例の電流センサ100は、ノイズ源からの外乱成分30の影響をほとんど受けない検出結果を出力することができる。また、第6の構成例の電流センサ100は、3の磁電変換素子によって、ノイズ源からの外乱成分30の影響を低減させることができ、また、導体10をU型形状にすることによって、電流値を増加させることなく、より強い磁場強度を発生させて検出することができる。したがって、電流センサ100は、より小型で、精度よく外乱を除去し、また、検出感度を向上させることができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
10 導体、12 被測定磁場、14 被測定磁場、16 第1導体、18 第2導体、20 第1磁場成分、22 第2磁場成分、30 外乱成分、100 電流センサ、101 第1磁電変換素子、102 第2磁電変換素子、103 第3磁電変換素子、104 第4磁電変換素子、110 基板、201 第5磁電変換素子、202 第6磁電変換素子、203 第7磁電変換素子、204 第8磁電変換素子、301 第1合成抵抗、302 第2合成抵抗、303 第3合成抵抗、304 第4合成抵抗、120 電源部、130 定電流源、142 第1増幅部、144 第2増幅部、146 第3増幅部
Claims (29)
- 第1方向に延伸する導体に流れる被測定電流を検出する電流センサであって、
前記第1方向と平行な第1面上に設けられ、前記被測定電流によって発生する磁場を検出する第1磁電変換素子と、
前記第1面上において、前記第1磁電変換素子に対して前記第1方向と平行かつ前記第1面に垂直な第2面の反対側に配置され、前記被測定電流によって発生する前記磁場の成分のうち、前記第1磁電変換素子と方向が略同一の成分を検出する第2磁電変換素子と、
前記第1磁電変換素子および前記第2磁電変換素子の間に配置され、前記被測定電流によって発生する前記磁場の成分のうち、前記第1磁電変換素子と方向が略同一または略180度異なる成分を検出する第3磁電変換素子と、
を備える電流センサ。 - 前記第2磁電変換素子は、前記被測定電流によって発生する前記磁場の成分のうち、前記第1磁電変換素子と方向および大きさが略同一の成分を検出する請求項1に記載の電流センサ。
- 前記第1から前記第3磁電変換素子は、前記第1方向に垂直な第2方向に並ぶ請求項1または2に記載の電流センサ。
- 前記第3磁電変換素子は、前記第1磁電変換素子および前記第2磁電変換素子のそれぞれと、略同一の距離に配置される請求項1から3のいずれか一項に記載の電流センサ。
- 前記被測定電流によって発生する前記第1面上の磁場は、前記第2面に対して略面対称となる第1磁場成分と、前記第1面および前記第2面の交線に対して略線対称となる第2磁場成分とを有し、
前記第1から前記第3磁電変換素子は、前記第1磁場成分を検出する
請求項4に記載の電流センサ。 - 前記第1磁場成分は、前記第1面と略平行な方向を向く請求項5に記載の電流センサ。
- 前記第1方向は前記第2面に含まれ、
前記第3磁電変換素子は、前記第1面および前記第2面の交線上に配置される請求項5または6に記載の電流センサ。 - 前記第1から前記第3磁電変換素子の出力に基づいて、前記被測定電流を検出する電流検出部を更に備える請求項4から7のいずれか一項に記載の電流センサ。
- 前記電流検出部は、
前記第1から前記第3磁電変換素子のそれぞれをバイアスした場合に、前記第1磁電変換素子の電圧から前記第3磁電変換素子の電圧を差し引いた値と、前記第3磁電変換素子の電圧から前記第2磁電変換素子の電圧を差し引いた値との差分に応じた信号を出力する請求項8に記載の電流センサ。 - 前記導体は、前記第1方向に平行で、かつ前記第1方向と逆向きの第3方向に更に延伸し、
前記被測定電流は第1方向に流れた後に第3方向に流れ、
前記第1面は、前記導体と平行であり、
前記第2面は、前記第1方向および前記第3方向が挟む面となる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の電流センサ。 - 前記被測定電流によって発生する前記第1面上の磁場は、前記第2面に対して略面対称となる第1磁場成分と、前記第1面および前記第2面の交線に対して略線対称となる第2磁場成分とを有し、
前記第1から前記第3磁電変換素子は、前記第1磁場成分を検出する
請求項10に記載の電流センサ。 - 前記第1磁場成分は、前記第1面と略垂直な方向を向く請求項11に記載の電流センサ。
- 前記第1磁電変換素子および前記第2磁電変換素子の間に配置され、前記第1磁場成分を検出する第4磁電変換素子を更に有し、
前記第1から前記第4磁電変換素子の出力に基づいて、前記被測定電流を検出する電流検出部を更に備える請求項11または12に記載の電流センサ。 - 前記第1磁電変換素子および前記第3磁電変換素子の距離と、前記第2磁電変換素子および前記第4磁電変換素子の距離とは、略等しく配置され、
前記電流検出部は、
前記第1から前記第4磁電変換素子のそれぞれをバイアスした場合に、前記第1磁電変換素子の電圧から前記第3磁電変換素子の電圧を差し引いた値と、前記第4磁電変換素子の電圧から前記第2磁電変換素子の電圧を差し引いた値との差分に応じた信号を出力する請求項13に記載の電流センサ。 - 前記第1磁電変換素子と前記第2磁電変換素子との間に配置され、前記被測定電流によって発生する前記磁場の成分のうち、前記第1磁電変換素子と前記第2磁電変換素子と方向が略同一の成分を検出する第4磁電変換素子を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の電流センサ。
- 前記第1磁電変換素子および前記第3磁電変換素子の距離と、前記第2磁電変換素子および前記第4磁電変換素子の距離とは、略等しい請求項15に記載の電流センサ。
- 前記第3磁電変換素子から前記第2面までの距離と、前記第4磁電変換素子から前記第2面との距離とは、略等しい請求項15または16に記載の電流センサ。
- 前記第1から前記第4磁電変換素子の出力に基づいて、前記被測定電流を検出する電流検出部を更に備える請求項15から17のいずれか一項に記載の電流センサ。
- 前記電流検出部は、前記第1から前記第4磁電変換素子のそれぞれをバイアスした場合に、前記第1磁電変換素子の電圧から前記第3磁電変換素子の電圧を差し引いた値と、前記第4磁電変換素子の電圧から前記第2磁電変換素子の電圧を差し引いた値との差分に応じた信号を出力する請求項18に記載の電流センサ。
- 前記第1方向は前記第2面に含まれ、
前記被測定電流によって発生する前記第1面上の磁場は、前記第2面に対して略面対称となる第1磁場成分と、前記第1面および前記第2面の交線に対して略線対称となる第2磁場成分とを有し、
前記第1面上において、前記第1磁電変換素子および前記第2磁電変換素子の間に、第4磁電変換素子を更に有し、
前記第1磁電変換素子と近接して配置される第5磁電変換素子と、
前記第2磁電変換素子と近接して配置される第6磁電変換素子と、
前記第3磁電変換素子と近接して配置される第7磁電変換素子と、
前記第4磁電変換素子と近接して配置される第8磁電変換素子と、
を更に有し、
前記第1から前記第4磁電変換素子は、前記第1磁場成分を検出する請求項1または2に記載の電流センサ。 - 前記第1から前記第4磁電変換素子は、前記第1面上において、前記第1方向に垂直な第2方向に並び、
前記第5から前記第8磁電変換素子は、前記第1面上において、前記第2方向に平行な第4方向に並ぶ請求項20に記載の電流センサ。 - 前記第1磁電変換素子および前記第3磁電変換素子の距離と、前記第2磁電変換素子および前記第4磁電変換素子の距離と、前記第5磁電変換素子および前記第7磁電変換素子の距離と、前記第6磁電変換素子および前記第8磁電変換素子の距離とは、略等しい請求項20または21に記載の電流センサ。
- 前記第3磁電変換素子から前記第2面までの距離と、前記第4磁電変換素子から前記第2面までの距離と、前記第7磁電変換素子から前記第2面までの距離と、前記第8磁電変換素子から前記第2面までの距離とは、略等しい請求項20から22のいずれか一項に記載の電流センサ。
- 前記第1磁電変換素子および前記第2磁電変換素子は、第1合成抵抗を構成し、
前記第3磁電変換素子および前記第4磁電変換素子は、第2合成抵抗を構成し、
前記第5磁電変換素子および前記第6磁電変換素子は、第3合成抵抗を構成し、
前記第7磁電変換素子および前記第8磁電変換素子は、第4合成抵抗を構成する請求項20から23のいずれか一項に記載の電流センサ。 - 前記第1合成抵抗および前記第2合成抵抗が直列に接続された第1直列回路と、
前記第3合成抵抗および前記第4合成抵抗が直列に接続された第2直列回路と、
を有し、
前記第1直列回路および前記第2直列回路が並列に接続されたホイートストンブリッジ回路を構成する請求項24に記載の電流センサ。 - 前記第1から前記第4合成抵抗の抵抗値に基づいて、前記被測定電流を検出する電流検出部を更に備える請求項25に記載の電流センサ。
- 前記電流検出部は、前記ホイートストンブリッジ回路における、前記第1直列回路の直列接続部と前記第2直列回路の直列接続部との間の電圧差に応じて、前記被測定電流を検出する請求項26に記載の電流センサ。
- 被測定電流を検出する電流センサであって、
第1方向に延伸し、前記被測定電流を流すことで前記第1方向と平行な第1面上に磁場を発生させる導体と、
前記第1面上の磁場のうち、前記第1方向と平行で、かつ前記第1面に垂直な第2面に対して略面対称となる第1磁場成分を検出する第1磁電変換素子と、
前記第2面に対して前記第1磁電変換素子とは反対側に配置され、前記第1磁場成分を検出する第2磁電変換素子と、
前記第1磁電変換素子および前記第2磁電変換素子の間に配置される第3磁電変換素子と、
を備える電流センサ。 - 第2面に対して略面対称となるU型形状の導体と、
前記第2面に垂直かつ前記導体と平行な第1面上において、前記第2面で分割される一方の第1領域に配置される第1磁電変換素子と、
前記第1面上において、前記第2面で分割される他方の第2領域に配置される第2磁電変換素子と、
前記第1磁電変換素子および前記第2磁電変換素子の間に配置される第3磁電変換素子と、
を備える電流センサ。
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JP2019526805A (ja) * | 2016-09-09 | 2019-09-19 | シーメンス アクチエンゲゼルシヤフトSiemens Aktiengesellschaft | 多導体システムの1つの個別導体の電流強度を測定する装置および方法 |
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