JP2015211569A - 同期機制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】界磁として永久磁石を有する同期機を駆動しながら、永久磁石に直接温度検出器を取り付けることなく、永久磁石の温度を高い精度で推定することが可能な同期機制御装置を提供する。【解決手段】同期機1の回転速度と電圧指令と電流指令とに基づいて同期機1の電機子鎖交磁束を推定する磁束推定器6、および永久磁石の温度を推定する磁石温度推定手段7を備え、磁石温度推定手段7が、電流指令と磁束推定器6の出力とを入力し、永久磁石の温度が所定の温度T1の条件下における電流指令と、磁束推定器6によって推定された電機子鎖交磁束推定値と、永久磁石の温度が所定の温度T1を基準に所定の温度T1とは異なる温度T2まで変化した時の電機子鎖交磁束の変化量とに基づいて永久磁石の温度を推定する。【選択図】図1

Description

この発明は、界磁として永久磁石を有する同期機の制御装置である同期機制御装置に関するものである。
周知のように、界磁として永久磁石を有する同期機をインバータ等の電力変換手段を有する同期機制御装置にて制御する際、同期機の電機子巻線への通電や同期機自身の鉄損等に起因する温度上昇に伴って、界磁の永久磁石の磁化の強さ、すなわち、磁束が減少する「減磁」と呼ばれる現象が発生し、更に許容温度を超えると温度が常温に下がっても磁束が減磁発生前の状態に戻らない「不可逆減磁」と呼ばれる現象が発生する。
このため、界磁として永久磁石を有する同期機を制御する際、少なくとも永久磁石の温度を不可逆減磁が発生する許容温度以下に抑制するように制御する必要がある。
しかし、同期機の構造上のスペースの問題や周囲をケースで防護している等の理由により、温度検出器を永久磁石に直接取り付けることは困難であり、さらに、界磁として永久磁石を有する同期電動機の多くは回転子側の内部に永久磁石を有することが多く、温度検出器を取りつけることへの更なる大きな障害要因となっている。そのため、主に許容温度以下に抑制できるように制御するために、何らかの方法で永久磁石の温度、あるいは永久磁石の温度と相関のある磁束を間接的に測定、あるいは推定する技術が求められている。
このような課題の解決を図った同期機制御装置の一例として、回転二軸座標(d−q軸)変換を用いた制御において、永久磁石に減磁が生じていないときのq軸電圧操作量をマップとして保持しておき、同期機を比例積分(PI)制御によって電流制御している際のPI制御部出力であるq軸電圧操作量と、前記マップにより保持された(永久磁石に減磁が生じていない時の)q軸電圧操作量と、回転角速度ωとに基づいて減磁量を演算するようにした従来の装置がある。(例えば特許文献1)
また、同様な制御装置の他の例として、電機子巻線(ステータ巻線)への通電時に、先ず、基準界磁電流マップに格納されている複数の電源電圧毎のマップデータの中から、電圧検出器から出力されるバッテリの端子電圧に対応するマップデータを選択し、選択したマップデータに含まれる複数の所定基準磁石温度毎のマップデータの中から、トルクセンサにより検出されるトルクおよび角度演算部から出力される回転数、及びq軸電流(後述する本願発明においては界磁電流を意味する)に対応するマップデータを選択し、選択したマップデータに対応する所定基準磁石温度を磁石温度の推定値として設定する磁石温度推定部を有するようにした従来の装置がある。(例えば特許文献2)
また、同様な制御装置の他の例として、回転速度および電流・電圧を測定するステップST1と、回転速度および電流・電圧の前記測定値に基づいて、巻線の温度を推定するステップST3と、前記巻線温度の推定値に基づいて、前記巻線の抵抗を推定するステップST4と、前記巻線温度の推定値に基づいて、回転子磁石部の温度を推定するステップST5と、前記巻線温度の推定値に基づいて、誘起電圧の正常値を推定するステップST6と、前記巻線抵抗の推定値に基づいて、誘起電圧の実際の値を推定するステップST7と、前2ステップにおいて推定した誘起電圧係数の正常値と実際の値を比較して、その差が所定の閾値を超えているときに減磁が生じていると判断するステップST8を順次実施して回転子磁石部の減磁状態を判定するようにした従来の装置がある。(例えば特許文献3)
特許第4223880号公報 特許第4652176号公報 特開2005−192325号公報 特許第4672236号公報 特許第5291184号公報
特許文献1に示された従来の装置においては、減磁の発生の有無は判断できるものの磁石温度を求める方法については開示されておらず、減磁状態から磁石温度を換算する何らかの方法が別途必要となるといった課題があった。特に、「不可逆減磁」の有無を判定するためには、磁石温度の把握が必要である。
特許文献2に示された従来の装置においては、トルク、回転数および電源電圧を含む多くのパラメータについて、磁石温度を変更しながら計測して磁石温度推定用の多くのマップデータを作成するため、これらのマップデータの作成に大きな労力を必要とするといった課題があった。
特許文献3に示された従来の装置においては、特許文献3の永久磁石電動機の減磁検出方法においては、電機子巻線の温度上昇と回転子永久磁石の温度上昇との比を予め実験により求めておき、電機子巻線の温度に基づいて永久磁石の温度を推定しているが、電機子巻線と永久磁石とでは熱時定数が大きく異なり、さらに、電動機の運転条件や冷却性能等他の要因も影響するため、電機子巻線の温度上昇に対する回転子永久磁石の温度上昇を一義的に求めることは難しく、様々な条件に対して電機子巻線の温度に基づいて、磁石温度を精度良く推測することは容易ではないといった課題があった。
この発明は、従来の同期機制御装置における前述のような課題を解決するためになされたものであり、界磁として永久磁石を有する同期機を駆動しながら、永久磁石に直接温度検出器を取り付けることなく、永久磁石の温度を高い精度で推定することが可能な同期機制御装置を提供することを目的としている。
この発明に係る同期機制御装置は、界磁として永久磁石を有する同期機に電圧指令に基づいて電圧を出力する電力変換手段、前記同期機の電機子電流を検出する電流検出手段、前記同期機の回転子位置を推定あるいは検出する位置検出手段、電流指令と前記電流検出手段の出力と前記位置検出手段の出力とに基づいて前記電圧指令を生成し前記電力変換手段を介して前記電機子電流を制御する電流制御器、前記同期機の回転速度と前記電圧指令と前記電流指令とに基づいて前記同期機の電機子鎖交磁束を推定する磁束推定器、および前記永久磁石の温度を推定する磁石温度推定手段を備え、前記磁石温度推定手段が、前記電流指令と前記磁束推定器の出力とを入力し、前記永久磁石の温度が所定の温度T1の条件下における前記電流指令と、前記磁束推定器によって推定された電機子鎖交磁束推定値と、前記永久磁石の温度が前記所定の温度T1を基準に前記所定の温度T1とは異なる温度T2まで変化した時の前記電機子鎖交磁束の変化量とに基づいて前記永久磁石の温度を推定するものである。
この発明は、界磁として永久磁石を有する同期機に電圧指令に基づいて電圧を出力する電力変換手段、前記同期機の電機子電流を検出する電流検出手段、前記同期機の回転子位置を推定あるいは検出する位置検出手段、電流指令と前記電流検出手段の出力と前記位置検出手段の出力とに基づいて前記電圧指令を生成し前記電力変換手段を介して前記電機子電流を制御する電流制御器、前記同期機の回転速度と前記電圧指令と前記電流指令とに基づいて前記同期機の電機子鎖交磁束を推定する磁束推定器、および前記永久磁石の温度を推定する磁石温度推定手段を備え、前記磁石温度推定手段が、前記電流指令と前記磁束推定器の出力とを入力し、前記永久磁石の温度が所定の温度T1の条件下における前記電流指令と、前記磁束推定器によって推定された電機子鎖交磁束推定値と、前記永久磁石の温度が前記所定の温度T1を基準に前記所定の温度T1とは異なる温度T2まで変化した時の前記電機子鎖交磁束の変化量とに基づいて前記永久磁石の温度を推定するので、電流指令に応じて異なる磁石温度変化に対する電機子鎖交磁束の変化を把握しながら磁石温度を推定することから、永久磁石に直接温度検出器を取り付けることなく、変化する電流(負荷)条件下で永久磁石の温度を精度良く推定できるといった従来にない顕著な効果を奏することができるものである。
この発明の実施の形態1を示す図で、同期機制御装置及び同期機1を含めた同期機システムの全体を示す図である。 この発明の実施の形態1を示す図で、同期機制御装置の他の実施態様及び同期機1を含めた同期機システムの全体を示す図である。 この発明の実施の形態1を示す図で、磁石温度推定手段7の構成の一例を示す構成図である。 この発明の実施の形態1を示す図で、磁石温度推定手段7を構成する第1の磁束マップ71の概念図である。 この発明の実施の形態1を示す図で、磁石温度推定手段7を構成する磁束変化マップ70の概念図である。 この発明の実施の形態1を示す図で、複数のd−q軸上の電流Id、Iqの条件下での磁石温度上昇10℃に対するd軸磁束の減磁割合の一例を表で示す図である。 この発明の実施の形態2を示す図で、磁石温度推定手段7aの構成の一例を示す構成図である。 この発明の実施の形態2を示す図で、磁石温度推定手段7aを構成する第2の磁束マップ72の概念図である。 この発明の実施の形態3を示す図で、磁石温度推定手段7bの構成の一例を示す構成図である。 この発明の実施の形態3を示す図で、ある一定のd−q軸上の電流Id、Iqの条件下での磁石温度とd軸磁束との相関の一例を示す概念図である。 この発明の実施の形態4を示す図で、同期機制御装置及び同期機1を含めた同期機システムの全体を示す図である。 この発明の実施の形態5を示す図で、同期機制御装置及び同期機1を含めた同期機システムの全体を示す図である。 この発明の実施の形態6を示す図で、同期機制御装置及び同期機1を含めた同期機システムの全体を示す図である。
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る同期機制御装置を図1に基づいて説明する。
本発明における同期機制御装置は、図1に図示しない上位のシステムから電流指令(本発明では、後述の回転直交二軸(d−q軸)座標上(以下d−q軸上と略記)の電流指令Id*、Iq*に相当)、あるいはさらにその上位のシステムからトルク指令が与えられることを想定している。該上位のシステムの一例として、電気自動車(EV)または内燃機関とモータの両方を備えるハイブリッド自動車の車両、さらには鉄道車両のような電気車を駆動する用途に本発明が適用される場合は、ドライバー(操縦者)からのアクセル(ノッチ)やブレーキの入力量と車速や種々の入力量に応じて電流指令あるいはトルク指令を決定する車両制御装置などがあり、その他、ファクトリーオートメーション(FA)、昇降機用途においても電流指令を種々の要因に基づいて生成する上位のシステムがある。
また、この発明の同期機制御装置において推定する、同期機1の界磁を形成する永久磁石の温度推定値Tmagを前記上位のシステムに伝達して、該推定値を上位のシステムの制御に利用しても良い。ただし、本発明において前記電流指令を与える上位のシステムは限定されないため、上位のシステムの説明は前記例示にとどめる。
図1は、実施の形態1に係る同期機制御装置を説明するための、同期機1を含めて示すシステム構成図である。なお、本発明における同期機1は、界磁として永久磁石を有するものである。
以下、実施の形態1に係る、同期機1を駆動する同期機制御装置の構成および、構成要素の機能について説明する。
まず、実施の形態1において同期機1を駆動するために必要な構成について、電力変換手段2の出力側から順に、電力変換手段2の入力側となる電圧指令の生成までの流れを説明する。
本発明の実施の形態1における同期機1を駆動する同期機制御装置の構成において、電源23から供給される電力を多相交流電力へ変換し、多相交流電圧を出力する周知のPWM(パルス幅変調)インバータをはじめとする電力変換手段2と同期機1の電機子巻線とが接続され、後述の構成による電流制御器5により得られる電圧指令、厳密には、電流制御器5から出力される電圧指令を、後述の構成による位置検出手段4で得られる同期機1の回転子位置θに基づいて座標変換器21bにて座標変換することで得られる多相交流電圧指令に基づいて電力変換手段2は同期機1に多相電圧を出力し、同期機1を駆動する。その結果、同期機1の電機子巻線に出力電流が発生する。この電機子巻線に発生する出力電流を以下、電機子電流と表記する。
なお、本発明の実施の形態1の電源23に関し、直流電圧を出力する電源あるいはバッテリなどの電池、または、単相あるいは三相の交流電源から周知のコンバータによって直流電圧を得るものを含めて電源23とする。
同期機1の出力電流である電機子電流は電流センサをはじめとする電流検出手段3によって検出される。なお、電流検出手段3は、同期機1が三相回転機の場合、同期機1の三相の電機子電流iu、iv、iwの内、全相の電機子電流を検出する構成、あるいは、1つの相(例えばw相)の電機子電流iwについては、検出した2つの相の電機子電流iu、ivを用いて三相平衡状態のiw=−iu−ivの関係から求めるようにして、2つの相の電機子電流を検出する構成でも良い。さらに、各相の電機子電流を直接検出する方法以外に、周知の技術である、電源13と電力変換手段2との間を流れるDCリンク電流に基づいて電機子電流を検出する方法でも良い。
位置検出手段4は、周知のレゾルバやエンコーダ等を用いて同期機1の回転子位置θを検出する、あるいは電圧指令や電機子電流等を用いて演算により推定する。ここで、同期機1の回転子位置θとは、一般的に、u相電機子巻線を基準に取った軸に対する永久磁石のN極方向の角度を指す。また、同期機1の回転速度(電気角周波数ωとする)で回転する回転直交二軸座標(以下d−q軸と表記)を定義し、慣例同様、d軸を前記永久磁石のN極方向、すなわち、界磁磁束方向に定め、q軸はd軸に対して90°進んだ直交方向に定める。以下の説明もこの座標軸の定義に従う。
図1における位置検出手段4は、周知のレゾルバやエンコーダ等を用いて同期機1の回転子位置θを検出する例を示しているが、周知の適応オブザーバ等を適用して電圧指令や電機子電流等から回転子位置θを推定しても良い。
図2は、実施の形態1において、図1とは異なり推定演算により回転子位置θを得る位置検出手段4aを備えた同期機制御装置と同期機1とを含めて示すシステム構成図である。位置検出手段4aの構成は、例えば、特許文献4、5に示されている構成で実現可能であることから、本文では省略する。
なお、図1と図2の差異は、位置検出手段4(4a)に係る箇所のみであり、その他の構成は同一である。
後述の実施の形態において、図1の周知のレゾルバやエンコーダ等を用いて同期機1の回転子位置θを検出する例に基づいて説明するが、図2の周知の適応オブザーバ等を適用して電圧指令や電機子電流等から回転子位置θを推定する方式にも適用できることは言うまでもない。
座標変換器21aは、同期機1の電機子電流iu、iv、iwを回転子位置θに基づいて(1)式の演算によりd−q軸上の電流Id、Iqへ変換する。
電流制御器5は、d−q軸上の電流Id、Iqを所望の電流指令Id*、Iq*に一致させるようにd−q軸上の電圧指令Vd*、Vq*を出力する。電流制御器5においては、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*とd−q軸上の電流Id、Iqとの偏差に基づいて(2)式の比例積分制御(PI制御)を行い、d−q軸上の電圧指令(電流フィードバック制御指令)Vd*、Vq*を生成する。
ここで、Kpdは電流制御d軸比例ゲイン、Kidは電流制御d軸積分ゲイン、Kpqは電流制御q軸比例ゲイン、Kiqは電流制御q軸積分ゲイン、s:ラプラス演算子である。なお、ラプラス演算子sの逆数1/sは1回の時間積分を意味する。
また、電流制御器5において、インダクタンス値、抵抗値などのモータパラメータと回転速度ωを用いて電圧フィードフォワード項を演算し、前記電流フィードバック制御指令に加算する周知の電圧非干渉制御を適用して、電圧指令をd−q軸上の電圧指令Vd*、Vq*を求めても良い。
電圧フィードフォワード制御を行うためには、図1(図2)の電流制御器5の入力として記載されていない、回転速度ωを電流制御器5へ入力する必要があり、位置検出手段4(または4a)で検出した回転子位置θを用いて微分演算を行い、回転速度ωを得る。
電流制御器5から出力されるd−q軸上の電圧指令Vd*、Vq*は、座標変換器21bにおいて(3)式の演算により、回転子位置θに基づいて電圧指令vu*、vv*、vw*に変換された上で、電力変換手段2に出力される。
電力変換手段2は前記の通り、電圧指令vu*、vv*、vw*に基づいて周知のPWM(パルス幅変調)方式等により同期機1に電圧vu、vv、vwを出力する。
以上が、実施の形態1において同期機1を駆動するために必要な構成である。
次に、本発明の特徴である同期機1の界磁を形成する永久磁石の温度推定に必要な構成である磁束推定器6と磁石温度推定手段7について説明する。
磁束推定器6は、前記回転速度ω、d−q軸上の電圧指令Vd*、Vq*、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*(Id*、Iq*の代わりにd−q軸上の電流Id、Iqを用いても良い)に基づいて電機子鎖交磁束Φに係る状態量を推定する。なお,電機子鎖交磁束Φとは、永久磁石磁束Φmと前記電機子電流が生成する磁束(電機子反作用磁束)Φaとの合成磁束を指す。
電機子鎖交磁束Φに係る状態量を推定する好適な一手法として、d−q軸上の電圧Vd、Vqと電機子鎖交磁束Φのd軸成分Φd(以下d軸磁束と表記)、同q軸成分Φq(以下q軸磁束と表記)との関係式である(4)式の演算によってΦd、Φq、必要に応じて(5)式の演算によって電機子鎖交磁束Φの絶対値|Φ|を求める方法がある。
ここで、Ld:d軸方向のインダクタンス(以下、d軸インダクタンスと表記)、Lq:q軸方向のインダクタンス(以下、q軸インダクタンスと表記)、R:抵抗(同期機1の電機子巻線の抵抗が主であり、同期機1と電力変換手段2との間の配線抵抗の影響が無視できないぐらい大きい場合は、該配線抵抗も考慮した抵抗値とする)である。なお、ラプラス演算子sは1回の時間微分を意味するが、定常状態では微分項を考慮しなくても良い。
実施の形態1における図1、図2の構成では、d−q軸上の電圧Vd、Vqの実際の値が不明であるため、d−q軸上の電圧Vd、Vqの代わりにd−q軸上の電圧指令Vd*、Vq*を用いて(6)式の演算により、電機子鎖交磁束Φの推定値Φeのd軸成分Φde(以下d軸磁束推定値と表記)、同q軸成分Φqe(以下q軸磁束推定値と表記)、必要に応じて(7)式の演算によって電機子鎖交磁束Φの推定値Φeの絶対値|Φe|を求める。
その際、同期機1の駆動開始前(停止状態)において、q軸電圧指令Vq*が0であり、Φde=0となることから、同期機1の駆動開始におけるΦdeの初期値として、所定の永久磁石磁束の値(Φm0とする)を与えておく。
図1(図2)の磁束推定器6の入力の中に、位置検出手段4(または4a)で検出した回転子位置θが含まれているが、これは、前記回転子位置θを用いて微分演算を行うことで回転速度ωを得る処理を磁束推定器6の処理の中に含めていることを想定したものであり、当該処理を別の構成部で行うならば、必ずしも磁束推定器6の入力として回転子位置θを含める必要はない。
(6)式の演算において、電流の変化が緩やかであると仮定して(5)式におけるラプラス演算子sを含む項は無視しても良い。
図3は、実施の形態1に係る同期機制御装置における磁石温度推定手段7の構成の一例を示す構成図である。
この発明の実施の形態1による同期機制御装置の特徴に一つである磁石温度推定手段7は、図3に示すように、第1の磁束マップ71と磁束変化マップ70と磁石温度換算部79とで構成し、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*で同期機1を駆動した時に、磁束推定器6で推定するd軸磁束推定値Φdeと第1の磁束マップ71と磁束変化マップ70とに基づいて同期機1の永久磁石温度推定値Tmagを出力する。
図4は、第1の磁束マップ71の概念図であり、同期機1を全運転領域で駆動するために必要なd−q軸上の電流指令Id*、Iq*の範囲(図4では、d軸電流指令Id*の範囲を-100[A]〜0[A]、q軸電流指令Iq*の範囲を-100[A]〜+100[A]を想定、以下の図も同様)全てにおいて、同期機1の永久磁石が温度T1の状態におけるd−q軸上の電流指令Id*、Iq*と電機子鎖交磁束Φのd軸成分(Φd1とする)との相関を、実機実験的あるいは周知の磁界解析のツールなどを用いて求めてマッピングしたものである。
(相関マッピングの際は、電流指令Id*、Iq*の代わりにd−q軸上の電流Id、Iqに対する関連付けでも良く、以下のマッピングにおいても同様である。)
第1の磁束マップ71に基づいて、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*を、同期機1の永久磁石が温度T1の条件下における電機子鎖交磁束Φのd軸成分Φd1へ換算し出力する。
マッピングした電流指令条件と同期機1の駆動時に与えられた電流指令とが一致しなければ、線形補間や近似の手法を用いて推定値を出力する。(その他のマップも同様な手法を用いる。)
図5は、磁束変化マップの概念図であり、同期機1を全運転領域で駆動するために必要なd−q軸上の電流指令Id*、Iq*の範囲全てにおいて、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*が一定であるとの前提で、同期機1の永久磁石が温度T1から温度T1とは異なる温度T2までΔT0分変化した時のd−q軸上の電流指令Id*、Iq*と電機子鎖交磁束Φのd軸成分の変化量(ΔΦd0とする)との相関を、実機実験的あるいは周知の磁界解析のツールなどを用いて求めてマッピングしたものである。
磁束変化マップ70に基づいて、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*を、同期機1の永久磁石が温度T1から温度T1とは異なる温度T2までΔT0分変化した時の電機子鎖交磁束Φのd軸成分の変化量ΔΦd0へ換算し出力する。なお、温度T1、T2は同期機1の駆動によって変化し得る(同期機1の界磁を形成する)永久磁石の温度変化範囲のそれぞれ上下限に設定することが望ましい。なお、本発明において温度T1、T2の大小関係は問わない。
磁石温度換算部79は、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*で同期機1を駆動した時に、磁束推定器6で推定する(温度T1の時の)d軸磁束推定値Φdeと第1の磁束マップ71から得られる電機子鎖交磁束Φのd軸成分Φd1と磁束変化マップ70から得られる電機子鎖交磁束Φのd軸成分の変化量ΔΦd0とから(8)式に基づいて同期機1の永久磁石温度推定値Tmagを出力する。
以上の構成で、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*で同期機1を駆動した時の同期機1の永久磁石の温度を推定できる。
前記の構成では、d軸磁束推定値Φdeを用いて永久磁石の温度を推定する方式を示したが、d軸磁束推定値Φdeの代わりに電機子鎖交磁束Φの推定値Φeの絶対値|Φe|を用いて推定することも可能である。
この場合、第1の磁束マップ71aは、同期機1を全運転領域で駆動するために必要なd−q軸上の電流指令Id*、Iq*の範囲全てにおいて、同期機1の永久磁石が温度T1の状態におけるd−q軸上の電流指令Id*、Iq*と電機子鎖交磁束Φの絶対値(|Φ1|とする)との相関を、実機実験的あるいは周知の磁界解析のツールなどを用いて求めてマッピングしておく。この第1の磁束マップ71aに基づいて、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*を、同期機1の永久磁石が温度T1の条件下における電機子鎖交磁束Φの絶対値|Φ1|へ換算し出力する。
また、磁束変化マップ70aは、同期機1を全運転領域で駆動するために必要なd−q軸上の電流指令Id*、Iq*の範囲全てにおいて、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*が一定であるとの前提で、同期機1の永久磁石が温度T1から温度T2までΔT0分変化した時のd−q軸上の電流指令Id*、Iq*と電機子鎖交磁束Φの絶対値の変化量(|ΔΦ0|とする)との相関を、実機実験的あるいは周知の磁界解析のツールなどを用いて求めてマッピングしておく。この磁束変化マップ70aに基づいて、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*を、同期機1の永久磁石が温度T1から温度T2までΔT0分変化した時の電機子鎖交磁束Φの絶対値の変化量|
ΔΦ0|へ換算し出力する。
これらの出力値を用いれば、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*で同期機1を駆動した時に、磁束推定器6で推定する電機子鎖交磁束推定値Φeの絶対値|Φe|と第1の磁束マップ71aから得られる電機子鎖交磁束Φの絶対値|Φ1|と磁束変化マップ70aから得られる電機子鎖交磁束Φの絶対値の変化量|ΔΦ0|とから、前記同様に同期機1の永久磁石温度推定値Tmagを出力することができる。
次に、前記方法によって同期機1の永久磁石温度を推定する原理について説明する。
d−q軸上の電流Id、Iqとd軸磁束Φd、q軸磁束Φqとの関係式は、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLq、永久磁石磁束Φmを用いて表すと(9)式となる。
仮に、d軸電流Idかつd軸インダクタンスLdが一定とした時、永久磁石の温度変化により、永久磁石磁束Φmが変化すると該変化はd軸磁束Φdにあらわれる。したがって、所定のd−q軸上の電流Id、Iq条件下におけるd軸磁束Φdと永久磁石の温度Tmとの相関が分かれば永久磁石の温度Tmを推定できる。
ただし、永久磁石磁束Φm、すなわちd軸磁束Φdと永久磁石の温度Tmとの相関は電機子電流の大きさに依存して変化する同期機1の磁気飽和状態によって異なる。
例えば、モータに組み込まれていない単体の状態で磁石温度上昇10℃に対して1%の割合で減磁する特性を有する永久磁石が同期機1の界磁として組み込まれた場合に、磁気飽和が緩和されている状態(q軸電流Iqの絶対値が小さい、軽負荷条件など)では、単体の状態と同様に温度上昇10℃に対して概ね1%の割合でd軸磁束Φdの減磁が発生する。
ただし、q軸電流の絶対値が大きい磁気飽和状態では、温度上昇10℃に対して0.6〜1.0%の割合で減磁が発生するといったように、磁石温度変化に対するd軸磁束Φdの変化は電流条件に対しては一様ではない。(該変化量は、q軸電流Iqのみではなく、d軸電流Idにも依存する。)
図6は、複数のd−q軸上の電流Id、Iqの条件下での磁石温度上昇10℃に対するd軸磁束Φdの減磁割合の一例を示す表である。
また、実際には永久磁石の温度変化により、永久磁石磁束Φmが変化して磁気飽和状態も僅かに変わるため、d−q軸上の電流Id、Iqが一定の条件下においても、永久磁石の温度が変わるとd軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLqの値にも変化が生じる。
よって、永久磁石の温度Tmが変化すると、d軸インダクタンスLd、永久磁石磁束Φmともに変化し、さらに、磁石温度変化に対する該変化の大きさはd−q軸電流Id、Iq(すなわち負荷条件)によって異なる。
すなわち、(6)式からd軸磁束推定値Φdeを求めた際、d軸インダクタンスLdとd軸電流Idとに起因する電機子反作用磁束(Ld・Id)と永久磁石磁束Φmとに分離することは困難であり、永久磁石温度Tmと永久磁石磁束Φmとの直接的な相関を求めることは容易ではない。
このことから、永久磁石の温度を精度良く推定するためには、永久磁石の温度Tmとd軸磁束Φdとの相関を、様々なd−q軸上の電流Id、Iq条件毎に把握する必要がある。
そこで、この発明の実施の形態1では、磁石状態推定手段7において、第1の磁束マップ71と磁束変化マップ70と磁石温度換算部79とで構成し、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*で同期機1を駆動した時に、磁束推定器6で推定するd軸磁束推定値Φdeと第1の磁束マップ71と磁束変化マップ70とに基づいて同期機1の永久磁石温度推定値Tmagを出力する構成とした。
本発明の実施の形態1の永久磁石温度推定において、界磁磁束と同一方向であるd軸磁束推定値Φdeに基づいて永久磁石温度推定を行うと、(9)式からわかるように磁石温度変化に対する磁束変化がd軸側に表れるため、磁石温度変化に対する磁束変化の感度を向上させる事ができ、永久磁石の温度推定精度が向上する。
ただし、(5)式と(9)式との関係からわかるように、永久磁石の温度変化に起因する変化は電機子鎖交磁束の絶対値|Φ|にもあらわれるため、前記の通り、電機子鎖交磁束のd軸成分の代わりに絶対値|Φ|を用いて永久磁石の温度を推定できることは言うまでもない。
以上が、実施の形態1における同期機制御装置の説明である。
この実施の形態1によれば、電流指令(同期機の磁気飽和状態)に応じて異なる磁石温度変化に対する電機子鎖交磁束の変化を正確に把握しながら磁石温度を推定することから、永久磁石に直接温度検出器を取り付けることなく、あらゆる電流(負荷)条件で永久磁石の温度を精度良く推定できる効果がある。
また、界磁磁束と同一方向であるd軸成分の電機子鎖交磁束に基づいて永久磁石温度推定を行うと、磁石温度変化に対する磁束変化の感度を向上させる事ができ、永久磁石の温度推定精度が向上する効果も得られる。
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2に係る同期機制御装置について説明する。
実施の形態2におけるシステム構成図は図1と同様となるが、磁石温度推定手段7が、以下に示す磁石温度推定手段7aの構成に置き換わる点が実施の形態1と異なる。
以下、実施の形態1と異なる磁石温度推定手段7aの構成を中心に説明し、他の同一部分については、適宜説明を省略する。
図7は、実施の形態2に係る同期機制御装置における磁石温度推定手段7aの構成の一例を示す構成図である。
この発明の実施の形態2による同期機制御装置の特徴の一つである磁石状態推定手段7aは、図7に示すように、第1の磁束マップ71と第2の磁束マップ72と磁石温度換算部79aとで構成し、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*で同期機1を駆動した時に、磁束推定器6で推定するd軸磁束推定値Φdeと第1の磁束マップ71と第2の磁束マップ72とに基づいて同期機1の永久磁石温度推定値Tmagを出力する。
なお、第1の磁束マップ71については、実施の形態1の図4に示したものと同じ構成であり、説明を省略する。
前述の実施の形態1では、磁石状態推定手段7において、「同期機1の永久磁石が温度T1の状態におけるd−q軸上の電流指令Id*、Iq*と電機子鎖交磁束Φのd軸成分Φd1との相関」と「同期機1の永久磁石が温度T1からT2までΔT0分変化した時のd−q軸上の電流指令Id*、Iq*と電機子鎖交磁束Φのd軸成分の変化量ΔΦd0との相関」との2つの相関情報から、永久磁石の温度を精度良く推定するために必要な、様々なd−q軸上の電流Id、Iq条件での永久磁石の温度Tmとd軸磁束Φdとの相関を求めている。
それに対し、ここで説明する実施の形態2では、磁石状態推定手段7aにおいて、「同期機1の永久磁石が温度T1の状態におけるd−q軸上の電流指令Id*、Iq*と電機子鎖交磁束Φのd軸成分Φd1との相関(実施の形態1と同じ)」と「同期機1の永久磁石が温度T2の状態におけるd−q軸上の電流指令Id*、Iq*と電機子鎖交磁束Φのd軸成分(Φd2とする)との相関」との2つの相関情報から、永久磁石の温度を精度良く推定するために必要な、様々なd−q軸上の電流Id、Iq条件での永久磁石の温度Tmとd軸磁束Φdとの相関を求めている点が実施の形態1と異なる。
図8は、第2の磁束マップ72の概念図であり、同期機1を全運転領域で駆動するために必要なd−q軸上の電流指令Id*、Iq*の範囲全てにおいて、同期機1の永久磁石が温度T1の状態におけるd−q軸上の電流指令Id*、Iq*と電機子鎖交磁束Φのd軸成分Φd2との相関を、実機実験的あるいは周知の磁界解析のツールなどを用いて求めてマッピングしたものである。
第2の磁束マップ72に基づいて、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*を、同期機1の永久磁石が温度T2の条件下における電機子鎖交磁束Φのd軸成分Φd2へ換算し出力する。
磁石温度換算部79aは、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*で同期機1を駆動した時に、磁束推定器6で推定するd軸磁束推定値Φdeと第1の磁束マップ71から得られる電機子鎖交磁束Φのd軸成分Φd1と第2の磁束マップ72から得られる電機子鎖交磁束Φのd軸成分Φd2とから(10)式に基づいて同期機1の永久磁石温度推定値Tmagを出力する。
以上の構成で、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*で同期機1を駆動した時の同期機1の永久磁石の温度を推定できる。
また、発明の実施の形態2においても、d軸磁束推定値Φdeの代わりに電機子鎖交磁束Φの推定値Φeの絶対値|Φe|を用いて推定することも可能である。
この場合、第2の磁束マップ72aは、同期機1を全運転領域で駆動するために必要なd−q軸上の電流指令Id*、Iq*の範囲全てにおいて、同期機1の永久磁石が温度T2の状態におけるd−q軸上の電流指令Id*、Iq*と電機子鎖交磁束Φの絶対値(|Φ2|とする)との相関を、実機実験的あるいは周知の磁界解析のツールなどを用いて求めてマッピングしておく。この第2の磁束マップ72aに基づいて、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*を、同期機1の永久磁石が温度T2の条件下における電機子鎖交磁束Φの絶対値|Φ2|へ換算し出力する。
これらの出力値を用いれば、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*で同期機1を駆動した時に、磁束推定器6で推定する電機子鎖交磁束推定値Φeの絶対値|Φe|と第1の磁束マップ71aから得られる電機子鎖交磁束Φの絶対値|Φ1|と第2の磁束マップ72aから得られる電機子鎖交磁束Φの絶対値|Φ2|とから、前記同様に同期機1の永久磁石温度推定値Tmagを出力することができる。
以上が、実施の形態2における同期機制御装置の説明である。
この実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に、電流指令(同期機の磁気飽和状態)に応じて異なる磁石温度変化に対する電機子鎖交磁束の変化を正確に把握しながら磁石温度を推定することから、永久磁石に直接温度検出器を取り付けることなく、あらゆる電流(負荷)条件で永久磁石の温度を精度良く推定できる効果がある。
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3に係る同期機制御装置について説明する。
実施の形態3におけるシステム構成図は図1と同様となるが、磁石温度推定手段7が、以下に示す磁石温度推定手段7bの構成に置き換わる点が実施の形態1、2と異なる。
以下、実施の形態1、2と異なる磁石温度推定手段7bの構成を中心に説明し、他の同一部分については、適宜説明を省略する。
図9は、実施の形態2に係る同期機制御装置における磁石温度推定手段7bの構成の一例を示す構成図である。
この発明の実施の形態3による同期機制御装置の特徴の一つである磁石状態推定手段7bは、第1の磁束マップ71、第2の磁束マップ72に加え、前記永久磁石の温度が温度T1、T2とは異なる温度の条件下における、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*と電機子鎖交磁束Φのd軸成分との相関を示す磁束マップを有することが特徴である。
図9において、第3の磁束マップ73は、前記永久磁石の温度が温度T1、T2とは異なる温度T3において、第1の磁束マップ71、第2の磁束マップ72同様に、同期機1を全運転領域で駆動するために必要なd−q軸上の電流指令Id*、Iq*の範囲全てのd−q軸上の電流指令Id*、Iq*と電機子鎖交磁束Φのd軸成分(Φd3とする)との相関を、実機実験的あるいは周知の磁界解析のツールなどを用いて求めてマッピングしたものである。
さらに加えて、温度T1、T2、T3とは異なる温度の条件下における、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*と電機子鎖交磁束Φのd軸成分との相関を示す磁束マップを有するような構成としても良いが、マップ数が多大となると作成に大きな労力を必要とするため、マップ数は必要最低限にとどめる。
先述の通り、q軸電流の絶対値が大きい磁気飽和状態では、磁石温度変化に対するd軸磁束Φdの変化は電流条件に対しては一様ではなく、また、同期機1の駆動によって変化し得る(同期機1の界磁を形成する)永久磁石の温度変化範囲が大きい場合、電流条件を固定としても、磁石温度変化に対するd軸磁束Φdの変化は電流条件に対しては一様ではなくことがある。概ね、永久磁石の温度が高くなるに従い、磁石温度変化に対するd軸磁束Φdの変化が大きくなる傾向にあり、該現象を鑑み、前記磁束マップを3温度条件以上について求めることで、このような現象に対しても永久磁石の温度を精度良く推定できるようにする。
図10は、ある一定のd−q軸上の電流Id、Iqの条件下での磁石温度Tmとd軸磁束との相関の一例を示す概念図である。該図の例では、同期機1の駆動によって変化し得る(同期機1の界磁を形成する)永久磁石の温度変化範囲がT1〜T3であり、かつ、温度T2近傍で磁石温度変化に対するd軸磁束Φdの変化(割合)が変わる特性を持つような同期機1を示している。このようなケースでは、温度T1、T2、T3の3つの磁石温度条件下における、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*と電機子鎖交磁束Φのd軸成分との相関を示す磁束マップを有するような構成が望ましい。
以上が、実施の形態3における同期機制御装置の説明である。
この実施の形態3によれば、各々異なる永久磁石温度の条件下における電流指令に対する磁束マップを複数備えることで、同期機1の駆動によって変化し得る永久磁石の温度変化範囲が大きい場合においても、電流指令に応じて異なる磁石温度変化に対する電機子鎖交磁束の変化をより正確に補正することができることから、永久磁石の温度推定精度が向上する効果がある。
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態4に係る同期機制御装置について説明する。
図11は、実施の形態4に係る同期機制御装置を説明するための、同期機1を含めて示すシステム構成図である。
この発明の実施の形態4による同期機制御装置は、図11に示すように、同期機1の電機子巻線温度を検出する温度検出手段8を追加し、磁束推定器6aにおいて、前記回転速度と前記電圧指令と前記電流指令と前記電機子巻線温度とに基づいて同期機1の電機子鎖交磁束を推定するようにしたものである。
以下、実施の形態1から3と異なる磁束推定器6aと新たに追加した温度検出手段8の構成を中心に説明し、他の同一部分については、適宜説明を省略する。
磁束推定器6aは、回転速度ω、d−q軸上の電圧指令Vd*、Vq*、d−q軸上の電流指令Id*、Iq*に基づいて(6)式の演算により、d軸磁束推定値Φde、q軸磁束推定値Φqeを求める。その際、新たに抵抗Rの温度変化を考慮する点が実施の形態1〜3と異なる。
同期機1の抵抗Rの主成分である電機子巻線の抵抗は、電機子巻線温度Taによって抵抗値が変化する温度特性を有する。抵抗Rの温度変化に伴うq軸電圧指令Vq*の変化が、d軸磁束推定値Φdeに対して影響を及ぼさないレベルであれば、抵抗Rの温度変化を考慮しなくても良いが、電機子巻線の抵抗が大きい場合、d軸磁束推定値Φdeに誤差が生じ易くなる。
したがって、電機子巻線の抵抗が大きい場合に、抵抗Rの温度変化分を補正して(6)式の演算を行い、誤差の小さいd軸磁束推定値Φdeが得られるようにするため、電機子巻線温度Taを温度検出手段8にて推定し、推定した該温度に基づいて抵抗(値)Rの温度補正を施す。
温度検出手段8は、周知の温度センサ等を用い、電機子巻線温度Taと抵抗Rとの相関を予め求めておくことで、抵抗(値)Rの温度補正を行う。
以上が、実施の形態4における同期機制御装置の説明である。
この実施の形態4によれば、電機子巻線温度を検出し、該温度を同期機1の電機子鎖交磁束推定動作に反映させることで、電機子鎖交磁束の推定精度が向上し、その結果、永久磁石の温度推定精度が向上する効果がある。
実施の形態5.
次に、この発明の実施の形態5に係る同期機制御装置について説明する。
図12は、実施の形態5に係る同期機制御装置を説明するための、同期機1を含めて示すシステム構成図である。
この発明の実施の形態5による同期機制御装置は、図12に示すように、磁石温度推定手段7で推定する永久磁石温度推定値Tmagに基づいてd−q軸上の電流指令を制限する電流指令制限手段9を追加したものである。
図12のd−q軸上の電流指令において、便宜上、電流指令制限手段9の入力側の制限前の該指令をId0*、Iq0*、制限後の電流指令制限手段9の出力側の該指令をId*、Iq*としている。
以下、新たに追加した電流指令制限手段9の構成を中心に説明し、他の同一部分については、適宜説明を省略する。
同期機1の永久磁石の温度Tmを推定する目的の1つに、不可逆減磁が発生する許容温度以下に抑制する点がある。
同期機1の電機子電流(実効値)が増加すると、同期機1で発生する熱(電機子巻線の抵抗で発生する熱など)によって永久磁石を含む同期機1の全体の温度も上昇し、永久磁石の減磁がより進行する。さらに許容温度を超えると温度が常温に下がっても磁束が減磁発生前の状態に戻らない不可逆減磁に至る可能性がある。
そこで、同期機1の温度が上昇した際、電流指令制限手段9においてd−q軸上の電流指令を永久磁石温度推定値Tmagに応じて制限し、電機子電流(実効値)を小さくすることで、さらなる温度上昇を抑制するような構成とする。
永久磁石温度推定値Tmagと電流指令制限値との相関は、鉄損と関係がある同期機1の回転速度などの駆動条件、同期機1の熱容量や冷却性能に応じて設定する。
簡便な方法としては、(11)式に示されるように、前記Id*とIq*の二乗和平方根が永久磁石温度推定値Tmagの関数として表わされる電流制限値(Ilimとする)以下となるようにd−q軸上の電流指令Id*とIq*とを調整すれば良い。
以上が、実施の形態5における同期機制御装置の説明である。
この実施の形態5によれば、同期機1の界磁を形成する永久磁石の温度上昇時に電流指令を制限することから、その結果磁石温度上昇を引き起こす電機子電流(実効値)を小さくでき、永久磁石の不可逆減磁を防止することができる効果がある。
実施の形態6.
次に、この発明の実施の形態6に係る同期機制御装置について説明する。
図13は、実施の形態6に係る同期機制御装置を説明するための、同期機1を含めて示すシステム構成図である。
この発明の実施の形態6による同期機制御装置は、図13に示すように、磁石温度推定手段7で推定する永久磁石温度推定値Tmagに基づいて同期機1に対するトルク指令を制限するトルク指令制限手段10と、前記制限されたトルク指令に基づいて前記電流指令を生成する電流指令生成手段11とを追加したものである。
図13の同期機1に対するトルク指令において、便宜上、トルク指令制限手段10の入力側の制限前の該指令をτ0*、制限後の電流指令制限手段9の出力側の該指令をτ*としている。
以下、新たに追加したトルク指令制限手段10、電流指令生成手段11の構成を中心に説明し、他の同一部分については、適宜説明を省略する。
先述の実施の形態5では、同期機1の温度が上昇した際、電流指令制限手段9においてd−q軸上の電流指令を永久磁石温度推定値Tmagに応じて制限し、電機子電流(実効値)を小さくすることで、さらなる温度上昇を抑制するような構成とした。
これに対して、この発明の実施の形態6では、トルク指令制限手段10において同期機1に対するトルク指令を永久磁石温度推定値Tmagに応じて制限し、電機子電流(実効値)を小さくすることで、さらなる温度上昇を抑制するような構成とする。
トルク指令制限手段10は、先述の実施の形態1に示したような上位のシステムにおける(制限前の)トルク指令τ0*を永久磁石温度推定値Tmagに応じて制限し、(制限後の)トルク指令τ*を出力する。
永久磁石温度推定値Tmagとトルク指令制限値との相関は、鉄損と関係がある同期機1の回転速度などの駆動条件、同期機1の熱容量や冷却性能に応じて設定する。
例えば、永久磁石温度推定値Tmagがある域値を超えると永久磁石温度が不可逆減磁に至る温度に漸近したと判断してトルク指令を下げる、極端には「0」にするなどの処理を施した上で、(制限後の)トルク指令τ*を出力するといった形態にする。また、永久磁石温度推定値Tmagが上昇するに従いトルク指令の制限値を段階的に逓減するような形態としても良い。
図13における電流指令生成手段11は、(制限後の)トルク指令をτ*に基づいて、制御指令であるd−q軸上の電流指令Id*、Iq*を生成する。本発明のような界磁として永久磁石を有する同期機1の場合、同一のトルクを発生させることの可能なd軸電流Idとq
軸電流Iqとの組み合わせが無数に存在することが知られており、(制限後の)トルク指令τ*に対し、所望の条件(例えば、効率最大条件、電流最小条件など)に合致する適切な
d−q軸上の電流指令Id*、Iq*を出力すれば良いが、より効果的に同期機1の温度上昇を抑制し、不可逆減磁を防止するためには、同一トルクに対する電流が最小となる条件となるようにId*、Iq*を選択すればより好適となる。
また、同期機1の種々のトルクに対応するd−q軸上の電流指令Id*、Iq*の最適値を事前に測定してマップ化しておき、運転中に(制限後の)トルク指令τ*を該マップに随時参照して、τ*に応じたd−q軸上の電流指令Id*、Iq*を得る方法でも良い。
以上が、実施の形態6における同期機制御装置の説明である。
この実施の形態6によれば、同期機1の界磁を形成する永久磁石の温度上昇時にトルク指令を制限することから、その結果磁石温度上昇を引き起こす電機子電流(実効値)を小さくでき、永久磁石の不可逆減磁を防止することができる効果がある。
本発明には、前述の記載から明白なように、例えば以下のような特徴がある。
特徴A1:実施の形態1(図1から図6)等に例示のように、界磁として永久磁石を有する同期機1に対して、電圧指令に基づいて電圧を出力する電力変換手段2と、同期機1の電機子電流を検出する電流検出手段3と、同期機1の回転子位置を推定あるいは検出する位置検出手段4と、電流指令と前記回転子位置に基づいて回転直交二軸(d−q軸)座標上へ座標変換した前記電機子電流とに基づいて該回転直交二軸座標上で電流制御を行うことにより前記電圧指令を生成する電流制御器5と、前記回転子位置の変化から算出される同期機1の回転速度と前記電圧指令と前記電流指令とに基づいて同期機1の電機子鎖交磁束を推定する磁束推定器6と、前記永久磁石の温度を推定する磁石温度推定手段7とを備え同期機制御装置であって、磁石温度推定手段7は、前記永久磁石の温度が所定の温度T1の条件下における前記電流指令と前記電機子鎖交磁束との相関を示す第1の磁束マップ71と、前記電流指令と前記永久磁石の温度が温度T1を基準に、温度T1とは異なる温度T2まで変化した時の前記電機子鎖交磁束変化量との相関を示す磁束変化マップ70とを備え、磁束推定器6にて推定される前記電機子鎖交磁束推定値と第1の磁束マップ71と磁束変化マップ70とに基づいて前記永久磁石の温度を推定する同期機制御装置であり、電流指令(同期機の磁気飽和状態)に応じて異なる磁石温度変化に対する電機子鎖交磁束の変化を正確に把握しながら磁石温度を推定することから、永久磁石に直接温度検出器を取り付けることなく、あらゆる電流(負荷)条件で永久磁石の温度を精度良く推定できる。
特徴A2:実施の形態1(図1から図6)等に例示のように、特徴A1の同期機制御装置において、磁束推定器6で推定する同期機1の電機子鎖交磁束は界磁磁束と同一方向であるd軸成分の電機子鎖交磁束であり、磁石温度推定手段7は、前記永久磁石の温度が所定の温度T1の条件下における前記電流指令と前記電機子鎖交磁束のd軸成分との相関を示す第1の磁束マップ71と、前記電流指令と前記永久磁石の温度が温度T1とは異なる温度T2まで変化した時の前記電機子鎖交磁束のd軸成分の変化量との相関を示す第2の磁束変化マップ70とを備え、磁束推定器6にて推定される前記電機子鎖交磁束推定値のd軸成分と第1の磁束マップ71と磁束変化マップ70とに基づいて前記永久磁石の温度を推定する同期機制御装置であり、界磁磁束と同一方向であるd軸成分の電機子鎖交磁束に基づいて永久磁石温度推定を行うことで、磁石温度変化に対する磁束変化の感度を向上させる事ができ、永久磁石の温度推定精度が向上する。
特徴A3:実施の形態2(図7および図8)等に例示のように、界磁として永久磁石を有する同期機1に対して、電圧指令に基づいて電圧を出力する電力変換手段2と、同期機1の電機子電流を検出する電流検出手段3と、同期機1の回転子位置を推定あるいは検出する位置検出手段4と、電流指令と前記回転子位置に基づいて回転直交二軸(d−q軸)座標上へ座標変換した前記電機子電流とに基づいて該回転直交二軸座標上で電流制御を行うことにより前記電圧指令を生成する電流制御器5と、前記回転子位置の変化から算出される同期機1の回転速度と前記電圧指令と前記電流指令とに基づいて同期機1の電機子鎖交磁束を推定する磁束推定器6と、前記永久磁石の温度を推定する磁石温度推定手段7aとを備えた同期機制御装置であって、磁石温度推定手段7aは、前記永久磁石の温度が所定の温度T1の条件下における前記電流指令と前記電機子鎖交磁束との相関を示す第1の磁束マップ71と、前記永久磁石の温度が温度T1とは異なる温度T2の条件下における前記電流指令と前記電機子鎖交磁束との相関を示す第2の磁束マップ72とを備え、磁束推定器6にて推定される前記電機子鎖交磁束推定値と第1の磁束マップ71と第2の磁束マップ72とに基づいて前記永久磁石の温度を推定する同期機制御装置であり、電流指令(同期機の磁気飽和状態)に応じて異なる磁石温度変化に対する電機子鎖交磁束の変化を正確に把握しながら磁石温度を推定することから、永久磁石に直接温度検出器を取り付けることなく、あらゆる電流(負荷)条件で永久磁石の温度を精度良く推定できる。
特徴A4:実施の形態3(図9および図10)等に例示のように、特徴A3の同期機制御装置において、磁石温度推定手段7bは、第1の磁束マップ71、第2の磁束マップ72に加え、前記永久磁石の温度が温度T1、T2とは異なる温度の条件下における前記電流指令と前記電機子鎖交磁束との相関を示す磁束マップを複数備え、磁束推定器6にて推定される前記電機子鎖交磁束推定値と第1の磁束マップ71と第2の磁束マップ72を含む前記複数の磁束マップとに基づいて前記永久磁石の温度を推定する同期機制御装置であり、各々異なる永久磁石温度の条件下における電流指令に対する磁束マップを複数備えることで、同期機1の駆動によって変化し得る永久磁石の温度変化範囲が大きい場合においても、電流指令に応じて異なる磁石温度変化に対する電機子鎖交磁束の変化をより正確に補正することができることから、永久磁石の温度推定精度が向上する。
特徴A5:実施の形態4(図11)等に例示のように、特徴A1からA4の何れか一の同期機制御装置において、同期機1の電機子巻線温度を検出する温度検出手段8を備え、磁束推定器6aは、前記回転速度と前記電圧指令と前記電流指令と前記電機子巻線温度とに基づいて同期機1の電機子鎖交磁束を推定する同期機制御装置であり、電機子巻線温度を検出し、該温度を同期機1の電機子鎖交磁束推定動作に反映させることで、電機子鎖交磁束の推定精度が向上し、その結果、永久磁石の温度推定精度が向上する。
特徴A6:実施の形態5(図12)等に例示のように、特徴A1からA5の何れか一の同期機制御装置において、推定した前記永久磁石の温度に応じて前記電流指令を制限する電流指令制限手段9を備えた同期機制御装置であり、同期機1の界磁を形成する永久磁石の温度上昇時に電流指令を制限することから、その結果磁石温度上昇を引き起こす電機子電流(実効値)を小さくでき、永久磁石の不可逆減磁を防止することができる。
特徴A7:実施の形態6(図13)等に例示のように、特徴A1からA5の何れか一の同期機制御装置において、推定した前記永久磁石の温度に応じて同期機1に対するトルク指令を制限するトルク指令制限手段10と前記制限されたトルク指令に基づいて前記電流指令を生成する電流指令生成手段11とを備えた同期機制御装置であり、同期機1の界磁を形成する永久磁石の温度上昇時にトルク指令を制限することから、その結果磁石温度上昇を引き起こす電機子電流(実効値)を小さくでき、永久磁石の不可逆減磁を防止することができる。
特徴B1:実施の形態1から6(図1から13)等に例示のように、界磁として永久磁石を有する同期機に電圧指令に基づいて電圧を出力する電力変換手段、前記同期機の電機子電流を検出する電流検出手段、前記同期機の回転子位置を推定あるいは検出する位置検出手段、電流指令と前記電流検出手段の出力と前記位置検出手段の出力とに基づいて前記電圧指令を生成し前記電力変換手段を介して前記電機子電流を制御する電流制御器、前記同期機の回転速度と前記電圧指令と前記電流指令とに基づいて前記同期機の電機子鎖交磁束を推定する磁束推定器、および前記永久磁石の温度を推定する磁石温度推定手段を備え、前記磁石温度推定手段が、前記電流指令と前記磁束推定器の出力とを入力し、前記永久磁石の温度が所定の温度T1の条件下における前記電流指令と、前記磁束推定器によって推定された電機子鎖交磁束推定値と、前記永久磁石の温度が前記所定の温度T1を基準に前記所定の温度T1とは異なる温度T2まで変化した時の前記電機子鎖交磁束の変化量とに基づいて前記永久磁石の温度を推定するので、電流指令に応じて異なる磁石温度変化に対する電機子鎖交磁束の変化を把握しながら磁石温度を推定することから、永久磁石に直接温度検出器を取り付けることなく、変化する電流(負荷)条件下で永久磁石の温度を精度良く推定できるといった従来にない顕著な効果を奏することができる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を適宜、変形、省略することができ、また、各実施の形態を必要に応じて組み合わせることもできる。
なお、各図中、同一符合は同一または相当部分を示し、実施の形態2から6については、先述の実施の形態と同一部分については説明を割愛し、先述の実施の形態と異なる点を主体として説明してある。
1 永久磁石同期機、 2 電力変換手段、
3 電流検出手段、 4、4a 位置検出手段、
5 電流制御器、 6、6a 磁束推定器、
7,7a,7b 磁石温度推定手段、 8 温度検出手段、
9 電流指令制限手段、 10 トルク指令制限手段、
11 電流指令生成手段、 21a,21b 座標変換器、
22 加減算器、 23 電源、
70 磁束変化マップ、 71 第1の磁束マップ、
72 第2の磁束マップ、 73 第3の磁束マップ、
79,79a,79b 磁石温度換算部。
この発明に係る同期機制御装置は、界磁として永久磁石を有する同期機に電圧指令に基づいて電圧を出力する電力変換手段、
前記同期機の電機子電流を検出する電流検出手段、
前記同期機の回転子位置を推定あるいは検出する位置検出手段、
電流指令と前記回転子位置に基づいて回転直交二軸(d−q軸)座標上へ座標変換した前記電機子電流とに基づいて該回転直交二軸(d−q軸)座標上で電流制御を行うことにより前記電圧指令を生成する電流制御器、
前記回転子位置の変化から算出される前記同期機の回転速度と前記電圧指令と前記電流指令とに基づいて前記同期機の電機子鎖交磁束を推定する磁束推定器、および
前記永久磁石の温度を推定する磁石温度推定手段を備え、
前記磁石温度推定手段は、前記永久磁石の温度が所定の温度T1の条件下における前記電流指令と前記電機子鎖交磁束との相関を示す第1の磁束マップと、前記電流指令と前記永久磁石の温度が温度T1を基準に、温度T1とは異なる温度T2まで変化した時の前記電機子鎖交磁束の変化量との相関を示す磁束変化マップとを備え、
前記磁束推定器にて推定される前記電機子鎖交磁束の推定値と第1の磁束マップと磁束変化マップとに基づいて前記永久磁石の温度を推定するものである。
この発明は、界磁として永久磁石を有する同期機に電圧指令に基づいて電圧を出力する電力変換手段、前記同期機の電機子電流を検出する電流検出手段、前記同期機の回転子位置を推定あるいは検出する位置検出手段、電流指令と前記回転子位置に基づいて回転直交二軸(d−q軸)座標上へ座標変換した前記電機子電流とに基づいて該回転直交二軸(d−q軸)座標上で電流制御を行うことにより前記電圧指令を生成する電流制御器、前記回転子位置の変化から算出される前記同期機の回転速度と前記電圧指令と前記電流指令とに基づいて前記同期機の電機子鎖交磁束を推定する磁束推定器、および前記永久磁石の温度を推定する磁石温度推定手段を備え、前記磁石温度推定手段は、前記永久磁石の温度が所定の温度T1の条件下における前記電流指令と前記電機子鎖交磁束との相関を示す第1の磁束マップと、前記電流指令と前記永久磁石の温度が温度T1を基準に、温度T1とは異なる温度T2まで変化した時の前記電機子鎖交磁束の変化量との相関を示す磁束変化マップとを備え、前記磁束推定器にて推定される前記電機子鎖交磁束の推定値と第1の磁束マップと磁束変化マップとに基づいて前記永久磁石の温度を推定するので、電流指令に応じて異なる磁石温度変化に対する電機子鎖交磁束の変化を把握しながら磁石温度を推定することから、永久磁石に直接温度検出器を取り付けることなく、変化する電流(負荷)条件下で永久磁石の温度を精度良く推定できるといった従来にない顕著な効果を奏することができるものである。

Claims (8)

  1. 界磁として永久磁石を有する同期機に電圧指令に基づいて電圧を出力する電力変換手段、
    前記同期機の電機子電流を検出する電流検出手段、
    前記同期機の回転子位置を推定あるいは検出する位置検出手段、
    電流指令と前記電流検出手段の出力と前記位置検出手段の出力とに基づいて前記電圧指令を生成し前記電力変換手段を介して前記電機子電流を制御する電流制御器、
    前記同期機の回転速度と前記電圧指令と前記電流指令とに基づいて前記同期機の電機子鎖交磁束を推定する磁束推定器、および
    前記永久磁石の温度を推定する磁石温度推定手段を備え、
    前記磁石温度推定手段が、前記電流指令と前記磁束推定器の出力とを入力し、前記永久磁石の温度が所定の温度T1の条件下における前記電流指令と、前記磁束推定器によって推定された電機子鎖交磁束推定値と、前記永久磁石の温度が前記所定の温度T1を基準に前記所定の温度T1とは異なる温度T2まで変化した時の前記電機子鎖交磁束の変化量とに基づいて前記永久磁石の温度を推定する
    ことを特徴とする同期機制御装置。
  2. 請求項1に記載の同期機制御装置において、
    前記磁石温度推定手段は、前記永久磁石の温度が所定の温度T1の条件下における前記電流指令と前記電機子鎖交磁束との相関を示す第1の磁束マップと、前記電流指令と前記永久磁石の温度が温度T1を基準に温度T1とは異なる温度T2まで変化した時の前記電機子鎖交磁束の変化量との相関を示す磁束変化マップとを備え、
    前記電機子鎖交磁束推定値と前記第1の磁束マップと前記磁束変化マップとに基づいて前記永久磁石の温度を前記磁石温度推定手段が推定する
    ことを特徴とする同期機制御装置。
  3. 請求項1に記載の同期機制御装置において、
    前記磁束推定器で推定する前記同期機の電機子鎖交磁束は、界磁磁束と同一方向であるd軸成分の電機子鎖交磁束であり、
    前記磁石温度推定手段は、前記永久磁石の温度が所定の温度T1の条件下における前記電流指令と前記電機子鎖交磁束のd軸成分との相関を示す第1の磁束マップと、前記電流指令と前記永久磁石の温度が温度T1とは異なる温度T2まで変化した時の前記電機子鎖交磁束のd軸成分の変化量との相関を示す磁束変化マップとを備え、
    前記磁束推定器によって推定される前記電機子鎖交磁束の推定値のd軸成分と前記第1の磁束マップと前記磁束変化マップとに基づいて前記永久磁石の温度を前記磁石温度推定手段が推定する
    ことを特徴とする同期機制御装置。
  4. 界磁として永久磁石を有する同期機に電圧指令に基づいて電圧を出力する電力変換手段、
    前記同期機の電機子電流を検出する電流検出手段、
    前記同期機の回転子位置を推定あるいは検出する位置検出手段、
    電流指令と前記回転子位置に基づいて回転直交二軸座標上へ座標変換した前記電機子電流とに基づいて前記回転直交二軸座標上で電流制御を行うことにより前記電圧指令を生成する電流制御器、
    前記回転子位置の変化から算出される前記同期機の回転速度と前記電圧指令と前記電流指令とに基づいて前記同期機の電機子鎖交磁束を推定する磁束推定器、および
    前記永久磁石の温度を推定する磁石温度推定手段を備え、
    前記磁石温度推定手段は、前記永久磁石の温度が所定の温度T1の条件下における前記電
    流指令と前記電機子鎖交磁束との相関を示す第1の磁束マップと、前記永久磁石の温度が温度T1とは異なる温度T2の条件下における前記電流指令と前記電機子鎖交磁束との相関を示す第2の磁束マップとを備え、
    前記磁石温度推定手段は、前記電流指令と前記磁束推定器の出力とを入力し、前記磁束推定器によって推定される電機子鎖交磁束推定値と前記第1の磁束マップと前記第2の磁束マップとに基づいて前記永久磁石の温度を推定する
    ことを特徴とする同期機制御装置。
  5. 請求項4に記載の同期機制御装置において、
    前記磁石温度推定手段は、前記第1の磁束マップ、前記第2の磁束マップに加え、前記永久磁石の温度が温度T1、T2とは異なる温度の条件下における前記電流指令と前記電機子鎖交磁束との相関を示す複数の磁束マップを備え、
    前記磁束推定器によって推定される前記電機子鎖交磁束推定値と、前記第1の磁束マップおよび前記第2の磁束マップを含む前記複数の磁束マップとに基づいて前記永久磁石の温度を前記磁石温度推定手段が推定する
    ことを特徴とする同期機制御装置。
  6. 請求項1から5の何れか一に記載の同期機制御装置において、
    前記同期機の電機子巻線の温度を検出する温度検出手段を備え、
    前記磁束推定器は、前記回転速度と前記電圧指令と前記電流指令と前記電機子巻線の温度とに基づいて前記電機子鎖交磁束を推定する
    ことを特徴とする同期機制御装置。
  7. 請求項1から6の何れか一に記載の同期機制御装置において、
    前記磁束推定器が推定した前記永久磁石の温度に応じて前記電流指令を制限する電流指令制限手段を備えている
    ことを特徴とする同期機制御装置。
  8. 請求項1から6の何れか一に記載の同期機制御装置において、
    前記磁束推定器が推定した前記永久磁石の温度に応じて前記同期機に対するトルク指令を制限するトルク指令制限手段、および
    前記トルク指令制限手段によって制限されたトルク指令に基づいて前記電流指令を生成する電流指令生成手段を備えている
    ことを特徴とする同期機制御装置。
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