JP2015206904A - 画像形成装置 - Google Patents

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Shotaro Hoshi
翔太郎 星
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Masahiko Akafuji
昌彦 赤藤
高橋 朋子
Tomoko Takahashi
朋子 高橋
杉山 浩之
Hiroyuki Sugiyama
浩之 杉山
太一 浦山
Taichi Urayama
太一 浦山
隆介 間瀬
Ryusuke Mase
隆介 間瀬
吉田 隆司
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Abstract

【課題】装置のダウンタイムを発生させずに、像担持回転体上のフィルミングを除去することができる画像形成装置を提供する。【解決手段】感光体などの像担持回転体の表面上のフィルミング量を示すフィルミングカウンタ値Fなどのフィルミング指標値をフィルミング指標値取得手段により取得し、このフィルミング指標値が規定値以上のとき(S1のYes)は、像担持回転体と中間転写ベルト7などの中間転写回転体との線速差を第1の線速差よりも大きな第2の線速差に設定する(S2)。一方、フィルミング指標値が規定値未満のとき(S1のNo)は、第1の線速差に設定する。【選択図】図12

Description

本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリなどの画像形成装置に関するものである。
従来、トナーを用いて画像を形成する画像形成装置においては、像担持回転体たる感光体の表面にトナーやその添加剤によって像担持回転体表面にフィルム状の膜が形成される所謂フィルミングが発生することが知られている。
特許文献1には、画像形成動作が所定の枚数分行われるたびに画像形成動作を中断させてフィルミング除去モードを実行し、感光体のフィルミングを除去する画像形成装置が開示されている。この画像形成装置では、フィルミング除去モード時に、磁気ブラシクリーニング装置を画像形成動作時より低速で作動させつつ、感光体を回転させる。これにより、感光体をクリーニングする領域にキャリアの溜りが生じ、キャリア(磁気ブラシ)の感光体に対する接触圧、摩擦力が増加することによって感光体ドラムのフィルミングを除去する。
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置では、画像形成動作を中断してフィルミング除去を行っている。そのため、装置のダウンタイムが発生するという課題があった。
本発明は以上の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、装置のダウンタイムを発生させずに、像担持回転体上のフィルミングを除去することができる画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナー像を担持する像担持回転体と、前記像担持回転体に接触して前記像担持回転体上のトナー像が一次転写される中間転写回転体を有し、前記中間転写回転体のトナー像を、転写材に転写する転写手段と、前記像担持回転体を回転駆動させる像担持回転体駆動手段と、前記中間転写回転体を回転駆動させる中間転写回転体駆動手段とを備えた画像形成装置において、前記像担持回転体駆動手段および前記中間転写回転体駆動手段を制御して、前記像担持回転体と中間転写回転体との線速差を0を含む第1の線速差、または、前記第1の線速差よりも大きな第2の線速差に設定する線速設定手段と、前記像担持回転体の表面上のフィルミング量を示すフィルミング指標値を取得するフィルミング指標値取得手段とを備え、前記線速設定手段は、フィルミング指標値取得手段が取得したフィルミング指標値が規定値以上のとき、前記第2の線速差に設定することを特徴とするものである。
本発明によれば、装置のダウンタイムを発生させずに、像担持回転体上のフィルミングを除去することができる。
実施形態における複写機の概略構成図。 同複写機における感光体クリーニング装置のブレード部材が感光体に当接する部分を感光体の回転軸方向から見たときの説明図。 同複写機におけるブレード部材の線圧低下率を測定する測定器の斜視説明図。 同測定器の斜視説明図。 複写機における中間転写ベルト7や各色感光体2と、それらの駆動伝達系とを示す構成図。 同複写機の制御ブロック図。 同複写機におけるフィルミングカウンタの算出に用いる温度環境に応じた補正係数Aiの一例を示す表。 同複写機におけるフィルミングカウンタの算出に用いる画像面積率に応じた補正係数Biの一例を示す表。 温度環境および画像面積率に応じた補正係数の一例を示す表。 フィルミングカウンタのカウント値の変動の一例を示す表。 図10に示す表をグラフ化したもの。 線速差の設定フローチャート。 黒色線画像形成フローチャート。 実施形態のトナーにおける外添剤の一例を示す写真。 実施形態のトナーにおける外添剤の一例を示す写真。
以下、本発明を画像形成装置としての複写機に適用した一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態における複写機500の概略構成図である。
本実施形態の複写機500は、プリンタ部100、給紙部200及びプリンタ部100上に取り付けるスキャナ部300から構成される。
プリンタ部100は、4つの作像部としてのプロセスカートリッジ1Y,1M,1C,1K、各プロセスカートリッジのトナー像を中間転写ベルト7を介して転写紙Pに転写する転写手段たる中間転写ユニット10等を備えている。また、静電潜像形成手段としての露光装置6、定着手段としての定着装置12等を備えている。符号の後に付されるY、M、C、Kという添字は、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、黒用の部材であることを示している。4つのプロセスカートリッジ1Y,1M,1C,1Kは、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、以下、Y、M、C、Kという添字を適宜省略して説明する。
プロセスカートリッジ1は、像担持回転体である感光体2、帯電手段である帯電部材3、現像手段である現像装置4、及び、クリーニング手段である感光体クリーニング装置5を一体的に支持したユニット構成となっている。各プロセスカートリッジ1は、それぞれの不図示のストッパーを解除することにより、複写機500本体に対して着脱可能となっている。
感光体2は、図中の矢印で示すように、図中の時計周り方向に回転する。帯電部材3は、ローラ状の帯電ローラであり、感光体2の表面に圧接されており、感光体2の回転により従動回転する。作像時には、帯電部材3には図示しない高圧電源により所定のバイアスが印加され、感光体2の表面を一様に帯電する。本実施形態では、帯電手段として、感光体2の表面に接触するローラ状の帯電部材3を用いているが、帯電手段としてはこれに限るものではなく、コロナ帯電などの非接触帯電方式を用いてもよい。
露光装置6は、スキャナ部300で読み込んだ原稿画像の画像情報またはパーソナルコンピュータ等の外部装置から入力される画像情報に基づいて感光体2の表面を露光し、感光体2の表面に静電潜像を形成する。プリンタ部100が備える露光装置6は、レーザーダイオードを用いたレーザービームスキャナ方式を用いているが、露光手段としてはLEDアレイを用いるものなど他の構成でも良い。
感光体クリーニング装置5は、中間転写ベルト7と対向する位置を通過した感光体2の表面上に残留する転写残トナーのクリーニングを行う。その詳細については後述する。
4つのプロセスカートリッジ1は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色トナー像をそれぞれの感光体2上に形成する。4つのプロセスカートリッジ1は、中間転写ベルト7の表面移動方向に並列に配設され、それぞれの感光体2上に形成されたトナー像を中間転写ベルト7に順に重ね合わせるように転写し、中間転写ベルト7上に可視像を形成する。
図1において、中間転写回転体たる中間転写ベルト7は、複数の張架ローラに張架されて図1中の矢印A方向に移動する。各感光体2に対して中間転写ベルト7を挟んで対向する位置には一次転写手段としての一次転写ローラ8が配置されている。一次転写ローラ8には不図示の高圧電源により一次転写バイアスが印加され、感光体2との間で一次転写電界を形成する。感光体2と一次転写ローラ8との間で一次転写電界が形成されることにより、感光体2の表面上に形成されたトナー像が中間転写ベルト7の表面に転写される。中間転写ベルト7を張架する複数の張架ローラのうちの一つが不図示の駆動モータによって回転することによって中間転写ベルト7が図中の矢印A方向に表面移動する。表面移動する中間転写ベルト7の表面上に各色のトナー像が順次重ねて転写されることによって、中間転写ベルト7の表面上にフルカラー画像が形成される。
4つのプロセスカートリッジ1が中間転写ベルト7と対向する位置に対して、中間転写ベルト7の表面移動方向下流側には、張架ローラの一つである二次転写対向ローラ9aに対して中間転写ベルト7を挟んで対向する位置に二次転写ローラ9が配置されている。二次転写ローラ9は、中間転写ベルト7との間で二次転写ニップを形成する。二次転写ローラ9と二次転写対向ローラ9aとの間に所定の電圧を印加して二次転写電界を形成する。給紙部200から転写材である転写紙Pが給紙され、図1中の矢印C方向に搬送される。そして、転写紙Pが二次転写ニップを通過する際に、中間転写ベルト7の表面上に形成されたフルカラー画像が、二次転写ローラ9と二次転写対向ローラ9aとの間に形成された二次転写電界によって転写紙Pに転写される。
二次転写ニップに対して転写紙Pの搬送方向下流側に、定着装置12が配置されている。二次転写ニップを通過した転写紙Pは定着装置12に到達し、定着装置12における加熱及び加圧によって転写紙P上に転写されたフルカラー画像が定着され、画像が定着された転写紙Pは複写機500の装置外に出力される。一方、二次転写ニップで転写紙Pに転写されず中間転写ベルト7の表面上に残留したトナーは、転写ベルトクリーニング装置11によって回収される。
図1に示すように、中間転写ベルト7の上方には、各色トナーを収容するトナーボトル400Y,400M,400C,400Kが複写機500本体に対して着脱可能に配置されている。各色トナーボトル400に収容されたトナーは、各色に対応する不図示のトナー補給装置によって、各色の現像装置4に供給される。
次に、本実施形態における感光体クリーニング装置5について、説明する。
図2は、感光体クリーニング装置5のブレード部材5Aが感光体2に当接する部分を感光体2の回転軸方向から見たときの説明図である。
感光体クリーニング装置5は、複数の層から構成される弾性体をクリーニングブレードとして使用した積層構造のブレード部材5Aと、ブレード部材5Aの一端を保持するブレードホルダ5Bとを有する。ブレード部材5Aは、複数層として互いに永久伸びの値が異なる材質からなるエッジ層5c及びバックアップ層5dの二つの層によって構成されており、感光体2と当接する層がエッジ層5cであり、エッジ層5cの背面の層がバックアップ層5dである。そして、感光体クリーニング装置5は、ブレード部材5Aのブレードホルダ5Bによって保持される保持位置側とは反対側の端部のエッジ部5eを図2中の矢印C方向に表面移動する感光体2の表面に当接させて、感光体2の表面をクリーニングする構成である。エッジ部5eを備えるエッジ層5cはバックアップ層5dに比べて永久伸びの値が大きい材質によって形成されている。
エッジ層5cには、永久伸びが大きく、100%モジュラスの値が大きい材料を用い、バックアップ層5dにはエッジ層5cに比べて永久伸びが小さく、100%モジュラスの値が小さい材料を用いる。そして、エッジ層5cとバックアップ層5dとをあわせた積層構造のブレード部材5Aは、感光体クリーニング装置5に組み付けた状態での、線圧低下率が90[%]以上となるように適宜エッジ層5c及びバックアップ層5dの厚さを調整する。
線圧低下率[%]は、ブレード部材5Aを、プロセスカートリッジ1に組み付けた状態で、組付け直後からの線圧を160時間連続して測定し、組付け直後の線圧に対して、160時間後の線圧がどの程度変化しているかの割合を示している。
具体的には、(160時間放置後の線圧)/(初期線圧)×100で求まる値である。
図3及び図4は、線圧を測定する測定器110の説明図である。
組み付け状態におけるブレードの当接による線圧を測定する測定器110は、感光体2に相当する径で、ブレード部材5Aのエッジ層5cが接する場所に設けた受け台102を備える。受け台102は、長手方向に三分割された構成であり、ロードセル101にブレード部材5Aの作用力を伝える。ロードセル101は三つの受け台102のそれぞれに接触するように配置されており、ロードセル101としては、例えば、KYOWA製LMA−A-1〇Nを用いることが出来る。また、測定器110は、ロードセル101に作用する力を表示するためのパネル103を備える。パネル103としては、例えばKYOWA製計装パネルWGA−650を用いることが出来る。さらに、ロードセル101で測定される測定値を時系列に記録するためのロガー104(パーソナルコンピュータでのロギング)を用意し、実際の使用に即したレイアウトでブレード部材5Aを組み付ける。そして、記録された測定値について、ブレード組み付け時を初期値として、その値と所定の経過時間時の測定値とを比較することで、線圧の低下率を算出する。
図示の例では、測定に用いる受け台102を3分割しているが、受け台102の分割数は任意で良い。
感光体2に対するブレード部材5Aの食込み量d[mm]や当接圧f[g/cm]、当接角度α[°]などの設定は、エッジ層5cとバックアップ層5dと合わせたブレード部材5Aの材料物性を測定し、それに応じて設定すればよい。例えば、dは0<d<1.5、fは10≦f≦80、αは5≦α≦25の範囲で適宜設定すればよい。
上述のように、感光体2と当接するエッジ層5cには、高硬度で、100%モジュラスの値が高い材料を用いる。これは、感光体2と当接させたときに、ニップ幅が不必要に大きくなることがなく、近年の小粒径で円形度の高いトナーを阻止するのに必要な高いピーク圧力を得ることができるからである。また、画像パターンが異なることによって発生するブレードと感光体との間の摩擦力の変動に対しても、高硬度で100%モジュラスの値が高い材料を用いることで、ニップ幅の変動が小さく、当接圧力、ピーク圧力の変動を抑制することができる。このため、クリーニング性能の変動を抑え、安定したクリーニング性能(フィルミング除去性能)を維持することができる。
一方、バックアップ層5dには、エッジ層5cに比べて低硬度で、100%モジュラスの値が小さく、永久伸び値が小さな材料を用いる。エッジ層5cに用いるのに適した高硬度で、100%モジュラスの値が大きく、永久伸びの値が大きい材質のみからなるブレード部材では、そのヘタリによって経過時間や環境の変化によって安定した線圧を維持できなかった。これに対して、バックアップ層5dに低硬度で、100%モジュラスの値が小さく、永久伸びの値が小さい材質を用いることで、ブレード全体のヘタリを抑制する構成である。感光体2と当接するエッジ層5cには永久伸びが2[%]以上で100%モジュラスの値が高い材料を用いる。バックアップ層5dには永久伸びが2[%]以下の材料を用いる。これにより、小粒径、球形の重合トナーに対しても、ヘタリの発生がなく、初期から長期にわたって良好なクリーニング性能(フィルミング除去性能)を維持することができる。
また、本実施形態のブレード部材5Aとしては、エッジ層5cの粘弾性特性の環境変動を抑えることが望ましい。このため、エッジ層5cに用いるゴム材料は、反発弾性係数の変動が小さいゴム材料とする。また、エッジ層5cの反発弾性係数の温度変化が小さいゴム材料とする。これに加え、バックアップ層5dにもエッジ層同様(100%モジュラスの値、永久伸び値はエッジ層よりも小さく設定する)に、反発弾性係数の温度変化が小さい材料を用いる。これにより、環境変動に対する安定したトナー除去性能や、安定した耐久性能を得ることができる。すなわち、反発弾性係数の温度依存性が低ければ、温度依存に寄らず安定したクリーニングが行えるため、経時に渡って安定したクリーニング性能(フィルミング除去性能)を維持することが出来る。
また、エッジ層5c及びバックアップ層5dに用いるゴム材料としては、tanδピーク温度が10[℃]未満のものを用いる。これにより、10[℃]という低温環境でも、エッジ層5c及びバックアップ層5dがゴム材料として機能し、所望のクリーニング性を得ることができる。また、tanδピーク温度が10[℃]未満のゴム材料としては、tanδピーク温度が5[℃]未満の材料であれば5[℃]以上の環境下、tanδピーク温度が−20[℃]未満の材料であれば−20[℃]以上の環境下、でエッジ層5c及びバックアップ層5dがゴム材料として機能し、所望のクリーニング性を得ることができる。すなわち、エッジ層5c及びバックアップ層5dに用いるゴム材料のtanδピーク温度の値が低ければ低いほどより低温環境下での使用が可能になる。
なお、ブレード部材5Aはカウンター方式で感光体2に当接する構成であるが、当接方式としては、トレーリング方式でも適用可能である。
図5は、中間転写ベルト7や各色感光体2と、それらの駆動伝達系とを示す構成図である。感光体2Y,M,C,Kの回転軸部材には、感光体2よりも大きな径の感光体ギヤ151Y,M,C,Kが固定されており、感光体2Y,M,C,Kと一体となって回転する。感光体ギヤ151Y,M,C,Kには、感光体モータ154Y,M,C,Kのモータギヤが噛み合っている。感光体モータ154Y,M,C,Kの回転駆動力が感光体ギヤ151Y,M,C,Kを介して各感光体2Y,M,C,Kに伝達される仕組みである。
中間転写ベルト7のループ内側に配設された二次転写対向ローラ9aは、自らの回転駆動によって中間転写ベルト7を無端移動させる駆動ローラとしての機能を有している。二次転写対向ローラ9aの回転軸部材には、駆動回転体ギヤとしての駆動ローラギヤ161が固定されており、これにはベルト駆動モータ162のモータギヤが噛み合っている。ベルト駆動モータ162が回転すると、その回転駆動力が駆動ローラギヤ161を介して二次転写対向ローラ9aに伝わって、二次転写対向ローラ9aが回転駆動する。そして、これにより、中間転写ベルト7が図中反時計回り方向に無端移動せしめられる。
図6は、本複写機500の制御ブロック図である。
同図において、制御手段たる制御部600は,演算手段たるCPU(Central Processing Unit)や、記憶手段たるRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を有している。制御部600は、装置全体の制御を司るものであり、様々な機器やセンサが接続されているが、同図では、それら機器の一部だけを示している。制御部600は、ROM内に記憶している制御プログラムに基づいて、各機器の駆動を制御する。また、制御部600は、感光体モータ154Y,M,C,Kとベルト駆動モータ162を制御して、感光体2Y,M,C,Kと中間転写ベルト7との線速差を所定の線速差に設定する線速設定手段としての機能を有している。具体的には、制御部600は、後述するように、フィルミングによる画像劣化が生じる前の段階で、感光体2Y,M,C,Kと中間転写ベルト7との間の線速差を第1の線速差から、第1の線速差よりも大きな第2の線速差に設定する制御を行う。
電子写真方式の画像形成装置においては、省エネルギー化の要求が高まっている。消費エネルギーに最も影響するのは、樹脂製のトナーを熱エネルギーにより軟化、溶融させることで、転写紙上に定着する定着工程である。そのため、省エネルギー化の要求に応える有効な手段として、本実施形態では低温で定着可能な樹脂で構成されるトナー(低温定着トナー)を用いている。一般に、樹脂は、ガラス転移温度Tgにおいて結晶転移を起こすと同時に、固体状態から急激に溶融して粘度が低下し、転写紙への定着機能を発現する。トナーの樹脂として、例えば結晶性ポリエステル樹脂を使用することにより、樹脂のガラス転移温度Tgや分子量を下げすぎることなく、良好な低温定着トナーを得ることができる。(特開2008−065097号公報や特開2004−302458号公報参照)
低温定着トナーを使用する画像形成装置においては、経時使用により、感光体等の像担持回転体の表面に微量のトナーがフィルム状に固着するフィルミング現象が生じやすい。
ここで、感光体2へのトナー固着(フィルミング)の発生メカニズムについて説明する。
(STEP0:感光体表面のキズつき)
現像ローラ4aおよび感光体駆動時に現像ローラ4aに担持されている現像剤(キャリア)で感光体2にキズをつける。また、トナーの添加剤が感光体の画像領域にトナーとともに現像時に供給される。さらに、現像装置内でトナーから遊離した状態の添加剤がキャリアを介して感光体2に供給される。この添加剤は感光体2の回転に伴いクリーニング装置5まで運ばれる。クリーニングブレードでトナーと一部の添加剤はせき止められるが、一部の添加剤は感光体2を削りながらブレード部材5Aをすり抜ける。この添加剤のブレード部材5Aへのすり抜け時にも、感光体2にキズをつける。
(STEP1:感光体のキズにトナーが付着)
転写部において転写しきれなかった残トナーまたは、タンデム型画像形成装置においては上流から中間転写ベルト7によって運ばれてくるトナーが感光体2に転写されてしまう所謂逆転写トナーがクリーニング装置5まで運ばれる。クリーニング装置5へ運ばれた残トナーや逆転写トナーのほとんどは、ブレード部材5Aによりせき止められる。しかし一部トナーは、ブレード部材5Aをすり抜ける。このとき、STEP0で付けられた感光体表面のキズに微量のトナーが埋まり感光体へ付着する。
(STEP2:フィルミングの顕在化)
感光体表面のキズに埋まるようにして付着したトナーが核となり、ブレード部材5Aすり抜け時に、添加剤やトナーが付着し成長していき、フィルミングとして感光体上に顕在化する。
次に、フィルミングによって画質劣化の発生メカニズムについて説明する。トナーに含まれる添加剤の中には吸湿性を有するものがあり、そのような添加剤を含むフィルミングが感光体2表面に形成されると、感光体表面上の当該添加剤によるフィルミング部分が感光体表面周囲の空気中の水分を取り込む。このように水分を取り込んだフィルミング部分は、その電気抵抗値を下げることになるので、静電潜像の電位に影響を与える。例えば、露光によって感光体2の電荷発生層で発生した電荷は、本来、電荷輸送層を通じて露光された感光体表面部分(露光箇所)へ輸送され、帯電手段により帯電された当該露光箇所の電荷を打ち消すことで、当該露光箇所が所望の電位まで落とされる。しかしながら、水分を含んで電気抵抗値が下がったフィルミング部分が当該露光箇所の近傍に存在すると、電荷輸送層を通じて輸送されてきた電荷が当該フィルミング部分内で拡散するなどし、露光箇所へ輸送されない。その結果、当該露光箇所が所望の電位まで落ちることができない。このように露光箇所が所望の電位まで落ちないと、その静電潜像箇所にトナーが適切に付着せず又は静電潜像以外の箇所にトナーが付着してしまうなどして、白抜け画像や地汚れが形成されるなどの画質劣化を引き起こす。このようなフィルミングによる画質劣化は、特にハーフトーン画像を形成したときに顕在化する。
このようなフィルミング現象が生じると、感光体2上に適切なトナー像を形成することが難しくなり、画質劣化を引き起こす。そのため、長期にわたって安定して良好な画質を維持するためには、感光体2の表面に形成されたフィルミング(フィルム状の膜)を感光体2の表面とともにブレード部材5Aで長期的に均一かつ安定して削ることが必要となってくる。
ブレード部材5Aでの削りは、主にエッジ部5eの条件により変化することが、近年の研究において示されている。すなわちエッジ部5eの感光体2への当接圧、ブレード部材5Aに堰き止められるトナー量と、トナー添加剤の状態とに関係し、これらのバランスにより良好な削りが可能となる。
ブレード部材5Aにより、高い削り性能を得るためには、感光体表面に対して高い当接圧で接触することが好ましい。上述したように、エッジ層5cとして23℃における100%モジュラス値を6MPa〜12MPaの材料を使用することにより良好な削りを実現できる。
トナーは、低温定着性を持つ樹脂に対し、機能を付加する目的で添加剤を加えている。これらの添加剤は、ブレード部材5Aと感光体2との間に留まって、感光体表面を削る働きがある。削り状態、量は、添加剤の種類、量に関係している。本実施形態では、添加剤に、一次粒子が複数付着したような形状の合着粒子を含ませている。合着粒子の不規則な形状は、削る・除去する能力に優れる。合着粒子を含まない場合でも、添加剤によって感光体表面は削られるが、削り能力は低く、感光体2のフィルミング状態によっては、十分な削り量が得られない場合がある。
このように、本実施形態では、ブレード部材5Aの構成を上述のようにし、合着粒子を含む添加剤を使用することで、長期的に高いフィルミング除去性能を維持することができ、フィルミングの発生を抑制できる。しかし、それでも完全にフィルミングを除去することはできず、経時においてはフィルミングが発生する。
そこで、本実施形態においては、所定のタイミングで、感光体2と中間転写ベルト7と間の線速差を大きくし、中間転写ベルト7と感光体2とを擦れされて、感光体2上のフィルミングを除去するようにした。
ただし、フィルミング発生の初期段階から継続的又は断続的に、感光体2と中間転写ベルト7と間の線速差を大きくすると、感光体表面のキズつきを助長し、フィルミング量の増加スピードを増大させ、かえって感光体2の寿命を短くする結果を招く。
そこで、本実施形態においては、画像形成動作の動作時間又は該動作時間に相関関係のあるパラメータ値に基づく動作指標値を累積した累積動作指標値を、フィルミング指標値であるフィルミングカウンタのカウント値として用いる。そして、フィルミングカウンタのカウント値が規定値以上のとき、感光体2と中間転写ベルト7との線速差を大きくするという制御を制御部600により行う。
本実施形態で用いるフィルミングカウンタは、画像形成動作の動作時間に相関関係のあるパラメータ値として感光体2の走行距離を用い、これに基づく動作指標値を累積して得られる累積動作指標値をカウントするものである。感光体2の表面に付着するフィルミングの量は、おおよそ画像形成動作の動作時間に比例して増大するので、この累積動作指標値であるフィルミングカウンタのカウント値Fから感光体2の表面に付着しているフィルミング量を推定することが可能である。
ただし、感光体2の周囲温度が変わると、ブレード部材5Aの硬度が変動して、ブレード部材5Aによるフィルミング除去性能が変動する。また、感光体2の周囲温度が変わると、トナーの外添剤が感光体2の表面に固着しやすくなる。また、ブレード部材5Aのエッジ部5eにせき止められるトナー量が多くなるほど、感光体表面上のフィルミングを掻き取る効果が大きくなる。ブレード部材5Aのエッジ部5eにせき止められるトナー量は、画像面積率が大きくなるほど多くなる。これは、画像面積率が大きくなるほど、転写残トナーが多くなるからである。
よって、このようなブレード部材5Aによるフィルミング除去性能の変動やトナーの外添剤の固着しやすさ等を考慮し、感光体2の周囲温度や画像面積率に応じて感光体2の走行距離を補正して累積すれば、より適正なフィルミング量を推定することが可能である。そのため、本実施形態では、感光体2の走行距離に対し、温度環境に応じた補正係数Aiと、画像面積率に応じた補正係数Biとを乗じたものを累積したカウント値(累積動作指標値)をフィルミングカウンタによりカウントする。そして、このカウント値Fが規定値以上のときは、感光体2と中間転写ベルト7との線速差を、通常の画像形成時の線速差(第1の線速差)よりも大きくする。
図7は、温度環境に応じた補正係数Aiの一例を示す表である。
図8は、画像面積率に応じた補正係数Biの一例を示す表である。
図9は、温度環境および画像面積率に応じた補正係数(Ai×Bi)の一例を示す表である。
図10は、フィルミングカウンタのカウント値の変動の一例を示す表である。
図11は、図10に示す表をグラフ化したものである。
制御部600は、感光体2の走行距離が増える(例えば、1km)ごとに、フィルミングカウンタをカウントする。フィルミングカウンタをカウントする際、制御部600は、前回のカウントから今回のカウントまでの温度センサ602(図6参照)で検知した温度の平均値に対応する環境区分A1〜A7を図7に示す表に従って特定する。そして、特定した環境区分に対応する補正係数Aiを選択する。
また、制御部600は、制御部600に入力される画像データに基づいて、前回のカウントから今回のカウントまでの画像面積率の平均値に対応する面積区分B1〜B4を図8に示す表に従って特定する。そして、特定した面積区分と、前回のカウントから今回のカウントまでの温度の平均値とから、対応する補正係数Biを選択する。
次に、制御部600は、特定した補正係数Aiと補正係数Biと走行距離(1km)とを掛け合わせて、補正後の走行距離(個別フィルミングカウンタ計算値)を算出し、これをフィルミングカウンタのカウント値に加算する。
本実施形態においては、図7に示す表からわかるように、温度が低い環境においては、ブレード部材5Aの硬度が高く維持されて高いフィルミング除去性能が発揮される結果、フィルミング量を減らす効果が得られる。そのため、フィルミングカウンタのカウント値Fは上下動することになる。ただし、本実施形態の複写機内には、定着装置12に代表される多くの熱源が存在するので、画像形成動作が継続されると、フィルミング量を減らす効果が得られる低温環境を維持することは難しく、フィルミング量は徐々に増大する。
リコー社製MPC3503を用い、図10に示した例に従った画像面積率のチャートを、図10に示した例に従った温度環境変化の中で画像形成し、フィルミングカウント値が0.1変化する毎にハーフトーン画像を出力し、フィルミングによる画質劣化(白抜け)を評価した。その結果、フィルミングカウント値が0.8までは、ハーフトーン画像上での白抜けは、確認できなかった。フィルミングカウント値が0.9のときは、ハーフトーン画像上での白抜けはあるが、数が非常に少なく、画質的には、OKレベルであった。一方、フィルミングカウント値が1.0を超えると、ハーフトーン画像上での白抜けが目立つレベルとなり、画質的にNGレベルであった。そのため、本実施形態では、例えば規定値を0.9とし、フィルミングカウンタのカウント値Fがこの規定値以上となったら、感光体2と中間転写ベルト7との線速差を大きくするという制御を実施する。
中間転写ベルト7と感光体2との線速差は、[(感光体の線速−中間転写ベルト7の線速)/感光体の線速]×100%で表せる。
図12は、線速差の設定フローチャートである。
図12に示すように、不図示のパソコンや、不図示の操作部のスタートをユーザーが押して、画像形成指示信号を制御部600が受信したら、フィルミングカウンタのカウント値Fが規定値以上か否かをチェックする(S1)。規定値以下のとき(S1のNo)は、中間転写ベルト7と感光体2との線速差を、−0.1%とし、感光体2を中間転写ベルト7に対して若干遅い第1の線速差に設定する(S3)。一方、フィルミングカウンタのカウント値Fが規定値以上のとき(S1のYes)は、感光体2と中間転写ベルト7との線速を−4%とし、第1の線速差よりも大きな第2線速差に設定する(S2)。
感光体2と中間転写ベルト7との線速差を大きくすればするほど、フィルミング除去能力を高めることができる。しかし、線速差を大きくすると、虫食いなどの異常画像が発生するおそれがある。また、本出願人は、感光体2を中間転写ベルト7よりも速くした場合と、遅くした場合とで、画像の虫食い度合いを調べた。その結果、感光体2を中間転写ベルト7よりも遅くした方が、速くした場合に比べて虫食い度合いの程度がよいことが確認された。よって、感光体2を中間転写ベルト7よりも遅くした方が、虫食いに対する線速差の余裕度が大きくできる。従って、本実施形態では、第2線速差のとき、感光体2が中間転写ベルト7より遅くしている。感光体2を中間転写ベルト7よりも遅くすることにより、感光体2を中間転写ベルト7よりも速くした場合に比べて、線速差を大きく設定でき、フィルミング除去効果を高めることができる。
本実施形態では、感光体2と中間転写ベルト7との線速差を、−4.0%に設定することにより、虫食いなどの画像に悪影響を及ぼすことなく、感光体上のフィルミングを除去することができる。これにより、従来とは異なり、画像形成を中断せずとも、フィルミング除去動作を行うことができ、装置のダウンタイムが生じるのを抑制することができる。また、本実施形態では、第2の線速差を−4.0%に設定しているが、これは、一例であり、装置の構成により最適な値に設定すればよい。また、本実施形態では、第1の線速差を−0.1%に設定しているが、必ずしも線速差を設ける必要はなく、線速差を0に設定してもよい。
次に、制御部600は、ベルト駆動モータ162や感光体154モータを制御して、設定した線速差(S4のYES)となったら、画像形成動作を開始する(S5)。
制御部600は、各色毎にフィルミングカウンタ値をカウントし、カウント値が0.9以上の色の感光体2の速度を低下させて、その感光体2と中間転写ベルト7の線速差を、−4.0%に設定する。また、例えば、各色いずれかのフィルミングカウンタ値が0.9以上となったら、中間転写ベルト7の線速を速くして、各感光体2Y,M,C,Kと中間転写ベルト7の線速差を−4.0%に設定してもよい。
また、線速差を大きくしたときの虫食いは、特に文字部などの線画像部で発生しやすい。単色画像と多色重ね画像では、線速差に対する余裕度が異なり、多色重ね画像の方が、単色画像に比べて線速差に対する虫食いの余裕度が大きい。通常、黒色線画像は、K色トナーのみで構成されるため、虫食いが発生しやすい。そこで、K色の感光体2Kと中間転写ベルト7との線速差が、−4.0%に設定されているとき、Y色トナー,M色トナー,C色トナーを重ねあせて黒色線画像を形成するのが好ましい。
図13は、黒色線画像形成フローチャートである。
図13に示すように、制御部600は、受信した画像データを解析し、黒色線画像部があるか否かをチェックする(S11)。画像に黒色文字部などの黒色線画像部がある場合(S11のYes)は、K色の作像部(プロセスカートリッジ1K)について、感光体2Kと中間転写ベルト7との線速差が、第2の線速差(−4.0%)に設定されているか否かをチェックする(S12)。感光体2Kと中間転写ベルト7との線速差が、第2の線速差(−4.0%)に設定されている場合(S12のYes)は、Y色,M色,C色の作像部(プロセスカートリッジ1Y,1M,1C)で、黒色線画像部を形成する。これにより、感光体2Kと中間転写ベルト7との線速差が−4.0%に設定されているときの黒色文字部などの黒色線画像の虫食いの発生を抑制することができる。
一方、感光体2Kと中間転写ベルト7との線速差が、第1の線速差(−0.1%)に設定されている場合(S12のNo)は、K色の作像部で黒色線画像を形成しても、虫食いが発生することがない。従って、この場合は、K色の作像部で黒色線画像を形成する。これにより、Y色,M色,C色のトナーを重ね合わせて黒色線画像を形成する場合に比べて、トナーの消費を抑えることができる。
また、感光体2と中間転写ベルト7との線速差を−4.0%にしたフィルミング除去モードを実行しているときは、計算した個別フィルミングカウンタ値に対して、所定の値を差し引いた値を、フィルミングカウンタによりカウントする。差し引く値は、感光体2と中間転写ベルト7の線速差により除去されるフィルミング除去量に対応する値である。そして、フィルミングカウント値が、規定値以下(例えば、0.8以下)となったら、感光体2と中間転写ベルト7との線速差を、−4.0%から、通常の−0.1%に戻す。これにより、感光体2と中間転写ベルト7との擦れによる感光体2の磨耗や中間転写ベルト7の磨耗を抑制しつつ、画質を維持することができる。
なお、本実施形態では、感光体上のフィルミングを除去するときの線速差を、−4.0%に設定しているが、装置の構成で適宜最適な線速差に設定すればよい。
次に、長期間使用しても、低温定着性、耐熱保存性、転写性、及びフィルミング性のいずれも満足するトナーとして、好適に使用可能な一例を説明する。
本実施形態のトナーは、トナー母体粒子と、外添剤とを含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
<外添剤>
前記外添剤としては、少なくとも合着粒子を含有すれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<<合着粒子>>
前記合着粒子は、一次粒子同士が合着されてなる非球形の二次粒子である。
なお、前記外添剤は、少なくとも前記合着粒子(二次粒子)を含めばよく、前記合着粒子(二次粒子)の他に、前記合着粒子の一次粒子の状態のものを含有させてもよい。
−一次粒子−
前記一次粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等の無機微粒子、有機微粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シリカが、トナー母体粒子への外添剤の埋没及び離脱を防ぐことができる点で好ましい。
前記一次粒子の体積平均粒子径(Da)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20nm〜150nmが好ましく、35nm〜150nmがより好ましい。前記一次粒子が、20nm未満であると、スペーサー効果の機能を果たすことができない。そのため、外部ストレスによるトナー母体粒子への外添剤の埋没を抑制できないことがある。150nmを超えると、トナーからの遊離が発生しやすく、感光体フィルミングを引き起こしやすくなることがある。
前記一次粒子の体積平均粒子径(Da)は、前記合着粒子中の一次粒子の粒子径(図14に示す全ての矢印の長さ)をもとに測定した。前記測定は、まず、前記二次粒子を適切な溶剤(テトラヒドロフラン(THF)等)に分散させる。次に、基板上で溶剤を除去して乾固させたサンプルを、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM、加速電圧:5kV〜8kV、観察倍率:8,000倍〜10,000倍)にて視野中の一次粒子の粒子径を計測することにより行う。前記一次粒子の粒子径の測定は、凝集した各粒子の最長長さ(図14に示す全ての矢印の長さ)の平均値を計測(計測した粒子数:100個以上200個以下)することにより行う。
−−二次粒子−−
前記二次粒子とは、上述のとおり、即ち合着粒子を指す。
前記二次粒子としては、例えば、前記一次粒子を後述する処理剤により化学結合させ、二次凝集させた粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゾルゲルシリカが好ましい。
前記二次粒子の体積平均粒子径(Db)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80nm〜200nmが好ましく、100nm〜180nmがより好ましく、100nm〜160nmが特に好ましい。前記体積平均粒子径が、80nm未満であると、スペーサー効果の機能を果たしにくく、外部ストレスによる埋没を抑制しにくく、200nmを超えると、トナーからの遊離が発生しやすく、感光体フィルミングを引き起こしやすくなる。
前記二次粒子の体積平均粒子径(Db)の測定は、まず、、前記二次粒子を適切な溶剤(テトラヒドロフラン(THF)等)に分散させたる。次に、基板上で溶剤を除去して乾固させたサンプルを、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM、加速電圧:5kV〜8kV、観察倍率:8,000倍〜10,000倍)にて視野中の合着粒子の粒子径を計測することにより行う。前記二次粒子の粒子径の測定は、凝集した粒子の最長長さ(図15に示す矢印の長さ)を計測(計測した粒子数:100個以上200個以下)することにより行う。
−合着粒子の合着度−
前記合着度(G)は、前記合着粒子(二次粒子)の体積平均粒子径と、前記合着粒子に含まれる一次粒子の体積平均粒子径との比(二次粒子の体積平均粒子径/一次粒子の体積平均粒子径)で表され、各体積平均粒子径は、上述の方法により測定されて算出される。
前記合着粒子の合着度(G)(二次粒子の体積平均粒子径/一次粒子の体積平均粒子径)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.5〜4.0が好ましく、2.0〜3.0がより好ましい。前記合着度(G)が、1.5未満であると、前記外添剤が前記トナー母体粒子表面の凹部へ転がり埋没しやすく、転写性に優れないことがある。前記合着度(G)が、4.0を超えると、トナーから前記外添剤が剥がれやすく、キャリア汚染や感光体に対して傷付けたりするため、経時での劣化にやや弱い。
前記合着度が1.3未満である合着粒子のトナー中における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー中の合着粒子に対して、10個数%以下が好ましい。前記合着粒子は、製造上、分布を有しており、前記合着度が1.3未満の粒子は、合着が進行していない粒子であり、ほぼ球形に近い状態として存在している。そのため、埋没抑制のために特徴づけている異形添加剤としての機能を果たしにくい。前記合着度が1.3未満の前記合着粒子の含有量の測定は、まず、上述の方法により、前記一次粒子及び前記二次粒子の体積平均粒子径を100個以上200個以下測定する。次に、得られた測定値から各合着粒子の合着度を算出し、前記合着度が1.3未満となる粒子の個数を測定個数で除して算出する。
−合着粒子の粒度分布指標−
前記合着粒子の粒度分布指標として、下記式(1)を満たす粒子を用いることにより、特に、トナーにおけるフィルミング性の問題を解決することができる。前記合着粒子として、下記式(1)で表されるように、粒度分布がシャープな粒子を用いることにより、特に、フィルミング性に優れるトナーとすることができる。
ただし、前記式(1)中、Db50は、前記合着粒子の粒子径(nm)を横軸とし、前記合着粒子の累積値(個数%)を縦軸としたときの前記合着粒子の累積分布を小粒子側から描いたときに、前記累積値が50個数%となる前記合着粒子の粒子径を表している。Db10は、前記累積値が10個数%となる前記合着粒子の粒子径を表している。
前記Db50は、例えば、前記合着粒子の粒子径(nm)を横軸とし、前記合着粒子の累積値(個数%)を縦軸としたときの前記合着粒子の累積分布により表している。計測した前記合着粒子の粒子数が200個であれば100個目、150個であれば75個目の前記合着粒子の粒子径をいう。
前記Db50の測定は、まず、前記合着粒子を適切な溶剤(テトラヒドロフラン(THF)等)に分散させる。その後、基板上で溶剤を除去して乾固させたサンプルを、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM、加速電圧:5kV〜8kV、観察倍率:8,000倍〜10,000倍)にて視野中の合着粒子の粒子径を計測する。そして、前記累積値が50%となる前記合着粒子の粒子径を測定することにより行う。前記合着粒子の粒子径は、凝集した粒子の最長長さ(図12に示す矢印の長さ)を計測(計測した粒子数:100個以上200個以下)することにより行う。
前記Db10は、例えば、前記合着粒子の粒子径(nm)を横軸とし、前記合着粒子の累積値(個数%)を縦軸としたときの前記合着粒子の累積分布により表される。計測した前記合着粒子の粒子数が200個であれば20個目、150個であれば15個目の前記合着粒子の粒子径をいう。
前記Db10の測定は、前記合着粒子を適切な溶剤(テトラヒドロフラン(THF)等)に分散させる。その後、基板上で溶剤を除去して乾固させたサンプルを、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM、加速電圧:5kV〜8kV、観察倍率:8,000倍〜10,000倍)にて視野中の合着粒子の粒子径を計測する。そして、前記累積値が10%となる前記合着粒子の粒子径を測定することにより行う。前記合着粒子の粒子径は、凝集した粒子の最長長さ(図12に示す矢印の長さ)を計測(計測した粒子数:100個以上200個以下)することにより行う。
前記「Db50/Db10」としては、1.2以下であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.15以下が好ましい。前記「Db50/Db10」が1.2を超えると、合着粒子の粒度分布が幅広く、小粒径の粒子が多くなる。即ち、「小粒径の粒子A」(合着が進んでおらず、一次粒子の状態で存在している粒子)又は「小粒径の粒子B」(合着は進んでいるが、一次粒子自体が小粒径である粒子)の少なくともどちらか一方が多いことを意味する。前記「小粒径の粒子A」が多いと、非球形の外添剤としての機能が果たしきれず、耐埋没性に劣るため、異常画像が発生することがある。前記「小粒径の粒子B」が多いと、スペーサー効果の機能を果たすことができず、外部ストレスによるトナー母体粒子への外添剤の埋没を抑制できないことがある。そのため、前記「小粒径の粒子A」及び前記「小粒径の粒子B」を低減させる必要がある。
前記「小粒径の粒子A」及び前記「小粒径の粒子B」を低減させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、分級処理により、予め小粒径の粒子を除去する方法が好ましい。
−合着粒子の形状−
前記合着粒子の形状としては、粒子同士が合着されてなる非球形の形状を有すれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、図13〜図12に示すように、粒子同士が2個以上合着されてなる非球形の形状などが挙げられる。前記合着粒子を用いることにより、トナーの高流動性を実現し、現像器内にて攪拌されるなどトナーに負荷が与えられた場合においても外添剤の埋没や転動が抑制されることで経時での高転写率を維持することが可能となる。また、前記合着粒子は、一定の攪拌条件下においても、粒子同士の凝集力(合着力)が維持されるため、トナーの耐久性が高い。
前記合着粒子の粒子同士が合着されていることを確認する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)にて観察することにより、確認する方法が好ましい。
−合着粒子の製造方法−
前記合着粒子の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゾルゲル法により製造する方法が好ましい。具体的には、前記一次粒子と、下記に説明する処理剤とを混合乃至焼成することにより化学結合させて二次凝集させ、前記二次粒子(合着粒子)とすることにより製造する方法が好ましい。なお、前記ゾルゲル法により合成する際には、前記処理剤を共存させて、一段反応にて合着粒子を調製してもよい。
−−処理剤−−
前記処理剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シラン系処理剤、エポキシ系処理剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記一次粒子として、シリカを用いた場合には、前記シラン系処理剤が形成するSi−O−Si結合の方が、前記エポキシ系処理剤が形成するSi−O−C結合よりも、熱に対して安定である点で、シラン系処理剤が好ましい。また、必要に応じて、処理助剤(水、1質量%酢酸水溶液等)を使用してもよい。
−−−シラン系処理剤−−−
前記シラン系処理剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、アルコキシシラン類(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等);シランカップリング剤(γ−アミノプロピルトルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン等);ビニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、N,N'−ビス(トリメチルシリル)ウレア、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ジメチルトリメチルシリルアミン、ヘキサメチルジシラザン、サイクリックシラザンの混合物などが挙げられる。
前記シラン系処理剤は、以下に示すように、前記一次粒子(例えば、シリカ一次粒子)を化学結合にさせて二次凝集を形成させる。
前記シラン系処理剤として、前記アルコキシシラン類、前記シラン系カップリング剤等を用いて前記シリカ一次粒子を処理した場合、下記式(A)に示すように、前記シリカ一次粒子に結合するシラノール基とシラン系処理剤に結合するアルコキシ基が反応し、脱アルコールにより、新たなSi−O−Si結合を形成して二次凝集する。
前記シラン系処理剤として、前記クロロシラン類を用いて前記シリカ一次粒子を処理した場合、前記クロロシラン類のクロル基と、前記シリカ一次粒子に結合するシラノール基とが脱塩化水素反応により、新たなSi−O−Si結合するシラノール基が脱水反応により、新たなSi−O−Si結合を形成して二次凝集する。また、前記シラン系処理剤として、前記クロロシラン類を用いて前記シリカ一次粒子を処理した場合、系に水が共存する際には、まずクロロシラン類が水に加水分解してシラノール基を生成し、該シラノール基とシリカ一次粒子に結合するシラノール基が脱水反応により、新たなSi−O−Si結合を形成して二次凝集する。
前記シラン系処理剤として、シラザン類を用いて前記シリカ一次粒子を処理した場合、アミノ基とシリカ一次粒子に結合するシラノール基が脱アンモニアすることにより、新たなSi−O−Si結合を形成して二次凝集する。
ただし、前記式(A)中、Rは、アルキル基を示す。
−−−エポキシ系処理剤−−−
前記エポキシ系処理剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フエノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。
前記エポキシ系処理剤は、下記式(B)に示すように、前記シリカ一次粒子を化学結合させて二次凝集を形成させる。前記エポキシ系処理剤を用いて前記シリカ一次粒子を処理した場合、前記シリカ一次粒子に結合するシラノール基が、前記エポキシ系処理剤のエポキシ基酸素原子及びエポキシ基に結合する炭素原子を付加することにより、新たなSi−O−C結合を形成して二次凝集する。
前記処理剤と前記一次粒子との混合質量比(一次粒子:処理剤)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100:0.01〜100:50が好ましい。なお、前記処理剤の量が多いほど、合着度が高くなる傾向にある。
前記処理剤と前記一次粒子との混合方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の混合機(スプレードライヤー等)により混合する方法などが挙げられる。なお、前記混合する際は、前記一次粒子を調製した後に前記処理剤を混合して調製してもよいし、前記一次粒子を調製する際に前記処理剤を共存させて、一段反応にて調製してもよい。
前記処理剤と前記一次粒子との焼成温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100℃〜2,500℃が好ましい。なお、前記焼成温度が高いほど、合着度が高くなる傾向にある。
前記処理剤と前記一次粒子との焼成時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5時間〜30時間が好ましい。
前記外添剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー母体粒子100質量部に対して、0.5質量部〜4.0質量部が好ましい。
<トナー母体粒子>
前記トナー母体粒子は、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有する。
<<結着樹脂>>
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、スチレン・アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ジエン系樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂、クマリン樹脂、アミドイミド樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、低温定着性に優れ、画像表面を平滑化できる点で、低分子量化しても十分な可撓性を有する点で、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂と前記他の結着樹脂とを組み合わせた樹脂が好ましい。
−ポリエステル樹脂−
前記ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、未変性ポリエステル樹脂、変性ポリエステル樹脂が好ましい。前記未変性ポリエステル樹脂及び前記変性のポリエステル樹脂は、低温定着性及び耐ホットオフセット性を向上する点で、少なくとも一部が相溶していることが好ましい。このため、変性ポリエステル樹脂及び未変性ポリエステル樹脂は、類似の組成であることが好ましい。
−−未変性ポリエステル樹脂−−
前記未変性ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性ポリエステル樹脂等の未変性のポリエステル樹脂などが挙げられる。
前記未変性ポリエステル樹脂の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1KOHmg/g〜50KOHmg/gが好ましく、5KOHmg/g〜30KOHmg/gがより好ましい。前記酸価が50KOHmg/gを超えると、帯電安定性、特に環境変動に対する帯電安定性が低下することがある。一方、前記酸価が好ましい範囲であると、帯電性安定性に優れ、紙への定着時に紙とトナーとの親和性が良くなり、低温定着性が向上する点で有利である。
前記未変性ポリエステル樹脂の水酸基価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5KOHmg/g以上が好ましい。なお、前記水酸基価の測定方法は、例えば、JIS K0070−1966に準拠した方法を用いて測定する方法などが挙げられる。前記測定方法について、具体例に説明する。まず、試料0.5gを100mLのメスフラスコに精秤し、これにアセチル化試薬5mLを加える。次に、100±5℃の温浴中で1時間〜2時間加熱した後、フラスコを温浴から取り出して放冷する。更に、水を加えて振り動かして無水酢酸を分解する。次に、無水酢酸を完全に分解させるために、再びフラスコを温浴中で10分以上加熱して放冷した後、有機溶剤でフラスコの壁を十分に洗う。更に、電位差自動滴定装置DL−53 Titrator(メトラー・トレド社製)及び電極DG113−SC(メトラー・トレド社製)を用いて、23℃で水酸基価を測定する。そして、解析ソフト(LabX Light Version 1.00.000)を用いて解析する。前記装置の校正は、トルエン120mLとエタノール30mLの混合溶剤を用いる。前記水酸基価の測定条件は、表1に記載の通りである。
−−−未変性ポリエステル樹脂の合成方法−−−
前記未変性ポリエステル樹脂の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、下記一般式(1)で表されるポリオールと、下記一般式(2)で表されるポリカルボン酸とをポリエステル化することにより合成する方法などが挙げられる。
ただし、前記一般式(1)中、Aは、炭素数1〜20のアルキル基、アルキレン基、置換基を有してもよい芳香族基又はヘテロ環芳香族基を表し、mは、2〜4の整数を表す。
ただし、前記一般式(2)中、Bは、炭素数1〜20のアルキル基、アルキレン基、置換基を有してもよい芳香族基又はヘテロ環芳香族基を表し、nは、2〜4の整数を表す。
−−−−ポリオール−−−−
前記一般式(1)で表されるポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールA酸化エチレン付加物、ビスフェノールA酸化プロピレン付加物、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA酸化エチレン付加物、水素化ビスフェノールA酸化プロピレン付加物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
−−−−ポリカルボン酸−−−−
前記一般式(2)で表されるポリカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(トリメリット酸)等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
−−変性ポリエステル樹脂−−
前記変性ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、「活性水素基含有化合物」及び「前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体」を、伸長反応乃至架橋反応して得られる樹脂などが挙げられる。
−−−活性水素基含有化合物−−−
前記「活性水素基含有化合物」は、水相中で、前記「活性水素基含有化合物と反応可能な重合体」が伸長反応乃至架橋反応する際の伸長剤、架橋剤等として作用する化合物である。活性水素基を有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。しかし、前記「活性水素基含有化合物と反応可能な重合体」が後述するイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーである場合、高分子量化が可能となる点で、アミン類が好ましい。
前記活性水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基(アルコール性水酸基又はフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられる。これらは、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
前記活性水素基含有化合物である前記アミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ジアミン、3価以上のポリアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸、これらのアミン類のアミノ基をブロックしたものなどが挙げられる。前記ジアミンとしては、例えば、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4'ジアミノジフェニルメタン等);脂環式ジアミン(4,4'−ジアミノ−3,3'ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等);脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)などが挙げられる。前記3価以上のポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。前記アミノアルコールとしては、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。前記アミノメルカプタンとしては、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。前記アミノ酸としては、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。前記これらのアミン類のアミノ基をブロックしたものとしては、例えば、前記これらのアミン類(ジアミン、3価以上のポリアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸等)のいずれかとケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジアミン、ジアミンと少量の3価以上のポリアミンとの混合物が好ましい。
−−−活性水素基含有化合物と反応可能な重合体−−−
前記「活性水素基含有化合物と反応可能な重合体」としては、前記「活性水素基含有化合物」と反応可能な基を少なくとも有する重合体であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。しかし、溶融時の高流動性及び透明性に優れ、高分子成分の分子量を調節し易く、低温定着性及び離型性に優れる点で、ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)が好ましい。また、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(以下、「ポリエステルプレポリマー」と称する)がより好ましい。
前記ポリエステルプレポリマーの1分子当たりに含まれるイソシアネート基の平均数としては、1以上が好ましく、1.2〜5がより好ましく、1.5〜4がより好ましい。前記平均数が、1未満であると、ウレア結合生成基で変性されているポリエステル樹脂(RMPE)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記ポリエステルプレポリマーの質量平均分子量(Mw)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。しかし、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布で、3,000〜40,000が好ましい。また、4,000〜30,000がより好ましい。前記質量平均分子量(Mw)が、3,000未満であると、耐熱保存性が悪化することがある。40,000を超えると、低温定着性が悪化することがある。前記質量平均分子量(Mw)の測定は、例えば、以下のようにして行うことができる。まず、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度でカラム溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mLの流速で流す。試料濃度を0.05質量%〜0.6質量%に調整した樹脂のテトラヒドロフラン試料溶液を50μL〜200μL注入して測定する。試料における分子量の測定は、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、及び4.48×10のポリスチレン試料(Pressure Chemical Co.又は東洋ソーダ工業社製)を用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いることが好ましい。なお、検出器としてはRI(屈折率)検出器を用いることができる。
前記ポリエステルプレポリマーの合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ポリオールとポリカルボン酸との重縮合物、及び活性水素基含有ポリエステル樹脂を、ポリイソシアネートと反応させて合成することができる。具体的には、前記ポリオールと前記ポリカルボン酸とを公知のエステル化触媒(チタンテトラブトキシド、ジブチルチンオキサイド等)の存在下、150℃〜280℃に加熱する。必要により適宜減圧しながら生成し、水を溜去して水酸基含有ポリエステルを得た後に、40℃〜140℃にて、前記水酸基含有ポリエステル樹脂に前記ポリイソシアネートを反応させることにより合成する方法などが挙げられる。
−−−−ポリオール−−−−
前記ポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等)、アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等)、脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等)、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)、前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物、前記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物等のジオール;多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等)、3価以上のフェノール類(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等の3価以上のポリオール;ジオールと3価以上のポリオールとの混合物;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ポリオールは、前記ジオール単独、前記ジオールと少量の前記3価以上のポリオールとの混合物が好ましい。前記ジオールとしては、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物(ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物等)が好ましい。
前記ポリオールのイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。しかし、例えば、0.5質量%〜40質量%が好ましく、1質量%〜30質量%がより好ましく、2質量%〜20質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、トナーの耐熱保存性と低温定着性との両立が困難となることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
−−−−ポリカルボン酸−−−−
前記ポリカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等);炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸等);炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等);3価以上のポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸等)、ジカルボン酸と3価以上のポリカルボン酸との混合物などが挙げられ、これらのポリカルボン酸から選択されるいずれかの酸無水物又は低級アルキルエステル物を用いてもよい。前記低級アルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等が挙げられる。前記ジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合質量比(DIC:TC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
前記ポリオールと前記ポリカルボン酸とを重縮合反応させる際の混合比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。しかし、例えば、ポリオールにおける水酸基[OH]と、ポリカルボン酸(PC)におけるカルボキシル基[COOH]との当量比([OH]/[COOH])が、通常、2/1〜1/1が好ましく、1.5/1〜1/1がより好ましく、1.3/1〜1.02/1が特に好ましい。
−−−−ポリイソシアネート−−−−
前記ポリイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート等);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4'−ジイソシアネート、4,4'−ジイソシアナト−3,3'−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4'−ジイソシアネート等);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等);イソシアヌレート類(トリス−イソシアナトアルキル−イソシアヌレート、トリイソシアナトシクロアルキル−イソシアヌレート等);これらのフェノール誘導体;オキシム、カプロラクタム等でブロックしたものなどが挙げられる。これらは、1種単独でも使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネートの前記ポリエステルプレポリマー中における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5質量%〜40質量%が好ましく、1質量%〜30質量%がより好ましく、2質量%〜20質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、耐熱保存性と低温定着性との両立が困難となることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記ポリイソシアネートのイソシアネート基[NCO]と前記活性水素基含有ポリエステル樹脂(水酸基含有ポリエステル樹脂の場合)の水酸基[OH]との当量比[NCO]/[OH]としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。しかし、5/1〜1/1が好ましく、4/1〜1.2/1がより好ましく、3/1〜1.5/1が特に好ましい。前記当量比[NCO]/[OH]が、1/1未満であると、耐オフセット性が悪化することがあり、5/1を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記ポリイソシアネートと、前記水酸基含有ポリエステル樹脂とを反応させる場合、必要に応じて、有機溶剤を用いることができる。該有機溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレン等);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等);エステル類(酢酸エチル等);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等);エーテル類(テトラヒドロフラン等)等のイソシアネート基に対して不活性な溶剤などが挙げられる。
−−−変性ポリエステル樹脂の合成方法−−−
前記変性ポリエステル樹脂の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、(1)前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を含むトナー材料の溶解乃至分散液を、前記活性水素基含有化合物と共に、水系媒体(水相)中に乳化乃至分散させ、油滴を形成する。そして、該水系媒体中で両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより合成させてもよい。(2)前記トナー材料の溶解乃至分散液を、予め前記活性水素基含有化合物を添加した水系媒体中に乳化乃至分散させ、油滴を形成する。そして、該水系媒体中で両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより合成させてもよい。また、(3)前記トナー材料の溶解乃至分散液を、水系媒体中に添加混合させた後で、前記活性水素基含有化合物を添加し、油滴を形成する。そして、該水系媒体中で粒子界面から両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより合成させてもよい。なお、(3)の場合、生成するトナー表面に優先的に変性ポリエステル樹脂が生成され、該トナー粒子に濃度勾配を設けることが可能となる。前記伸長反応乃至架橋反応は、必要に応じて、反応停止剤(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン、ケチミン化合物等のモノアミンをブロックしたものなど)により停止させてもよい。本実施形態のトナーは、前記架橋反応乃至伸長反応したポリエステル樹脂が共存しているので、従来のポリエステル系トナーと比較してガラス転移温度が低くても良好な耐熱保存性を示す。
前記変性ポリエステル樹脂の数平均分子量として、前記ウレア変性ポリエステル樹脂の場合、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000〜10,000が好ましく、1,500〜60,00がより好ましい。
前記変性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30℃〜70℃が好ましく、40℃〜65℃がより好ましい。前記ガラス転移温度(Tg)が、30℃未満であると、トナーの耐熱保存性が悪化することがあり、70℃を超えると、低温定着性が十分でないことがある。なお、前記ガラス転移温度(Tg)の測定は、TG−DSCシステムTAS−100(理学電機社製)を用いて、以下の方法により測定する。まず、トナー約10mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットにのせ、電気炉中にセットする。室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10min間放置し、室温まで試料を冷却して10min放置する。その後、窒素雰囲気下、150℃まで昇温速度10℃/minで加熱して示差走査熱量計(DSC)によりDSC曲線を計測する。得られたDSC曲線から、TG−DSCシステムTAS−100システム中の解析システムを用いて、ガラス転移温度(Tg)近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点からガラス転移温度(Tg)を算出する。
前記変性ポリエステル樹脂としては、前記合成方法により得られる樹脂であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ウレア変性ポリエステル樹脂が好ましい。
−−−ウレア変性ポリエステル樹脂−−−
前記ウレア変性ポリエステル樹脂は、ウレア結合のほかに、ウレタン結合を含んでいてもよい。この場合、該ウレア結合と該ウレタン結合との含有モル比(ウレア結合/ウレタン結合)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。しかし、100/0〜10/90が好ましく、80/20〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が特に好ましい。前記含有モル比(ウレア結合/ウレタン結合)におけるウレア結合が10未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記ウレア変性ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)〜(10)に記載の樹脂などが挙げられる。
(1)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(2)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(3)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(4)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(5)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーを、ヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(6)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(7)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをエチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(8)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(9)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸/ドデセニルコハク酸無水物の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(10)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をトルエンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
前記ウレア変性ポリエステル樹脂の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ワンショット法により製造することができる。具体的には、前記活性水素基含有化合物としてのアミン類と、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体としてのイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーとを水系媒体中で伸長反応乃至架橋反応させて製造する方法などが挙げられる。前記伸長反応乃至架橋反応としては、特に制限はなく、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と前記活性水素基含有化合物との組み合わせに応じて適宜選択することができる。反応時間としては、10分間〜40時間が好ましく、2時間〜24時間がより好ましい。
前記ウレア変性ポリエステル樹脂の合成において、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーと、前記アミン類との混合比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。しかし、前記ポリエステルプレポリマー中のイソシアネート基[NCO]と、前記アミン類中のアミノ基[NHx]との混合当量比[NCO]/[NHx]として、1/3〜3/1が好ましい。また、1/2〜2/1がより好ましく、1/1.5〜1.5/1が特に好ましい。前記混合当量比([NCO]/[NHx])が、1/3未満であると、低温定着性が低下することがある。3/1を超えると、ウレア変性ポリエステル樹脂の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記ウレア変性ポリエステル樹脂の合成において、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーと、前記アミン類とを反応させる場合、必要に応じて、有機溶剤を用いることができる。該溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレン等);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等);エステル類(酢酸エチル等);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等);エーテル類(テトラヒドロフラン等)等のイソシアネート基に対して不活性な溶剤などが挙げられる。
<<着色剤>>
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料、顔料等、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントレッド、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトポンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤の前記トナーに対する含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。しかし、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。前記含有量が、1質量%未満であると、トナーの着色力の低下が見られ、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
前記着色剤としては、前記樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリエステル樹脂、スチレン又はその置換体の重合体(ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等)、スチレン系共重合体(スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレンービニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレンーアクリロニトリルーインデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記マスターバッチの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記マスターバッチ用の樹脂、前記着色剤、及び有機溶剤等を高せん断力で混合乃至混練して製造する方法などが挙げられる。なお、前記有機溶剤は、前記着色剤と前記結着樹脂との相互作用を高めるために添加される。また、前記マスターバッチの他の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。しかし、着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができ、乾燥させる必要がない点で、フラッシング法が好ましい。フラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを、前記結着樹脂及び有機溶剤とともに混合乃至混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去して製造する方法である。なお、前記混合乃至混練する際には、3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、離型剤、層状無機鉱物、磁性材料、クリーニング性向上剤、流動性向上剤、帯電制御剤などが挙げられる。
−離型剤−
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、植物系ワックス(カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等)、動物系ワックス(ミツロウ、ラノリン等)、鉱物系ワックス(オゾケライト、セルシン等)、石油ワックス(パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等)等のロウ類及びワックス類;合成炭化水素ワックス(フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等)、合成ワックス(エステル、ケトン、エーテル等)等の天然ワックス以外のもの;1,2−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド;低分子量の結晶性高分子であるポリメタクリル酸n−ステアリル、ポリメタクリル酸n−ラウリル等のポリアクリレートのホモポリマー又はコポリマー(アクリル酸n−ステアリルーメタクリル酸エチル共重合体等)等の側鎖に長鎖アルキル基を有する結晶性高分子;などが挙げられる。これらの中でも、融点が50℃〜120℃のワックスが好ましい。これは、定着ローラとトナー界面の間で離型剤として効果的に作用することができるため、定着ローラにオイル等の離型剤を塗布しなくても高温耐オフセット性を向上させることができるからである。
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃〜120℃が好ましく、60℃〜90℃がより好ましい。融点が、50℃未満であると、ワックスが保存性に悪影響を与えることがあり、120℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。なお、前記離型剤の融点は、示差走査熱量計(TG−DSCシステム、TAS−100、理学電機社製)を用いて、最大吸熱ピークを測定することにより求められる。
前記離型剤の溶融粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5cps〜1,000cpsが好ましく、10cps〜100cpsがより好ましい。前記溶融粘度が、5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1,000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。
前記離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40質量%以下が好ましく、3質量%〜30質量%がより好ましい。前記含有量が、40質量%を超えると、トナーの流動性が悪化する。
前記離型剤は、前記トナー母体粒子中に分散した状態で存在することが好ましく、そのためには、前記離型剤と前記結着樹脂とは相溶しないことが好ましい。前記離型剤が、前記トナー母体粒子中に微分散する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トナー製造時の混練の剪断力をかけて分散させる方法などが挙げられる。
前記離型剤の分散状態は、トナー粒子の薄膜切片を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより確認することができる。前記離型剤の分散径は、小さい方が好ましいが、小さすぎると定着時の染み出しが不十分な場合がある。したがって、倍率1万倍で前記離型剤を確認することができれば、前記離型剤が分散した状態で存在していることになる。1万倍で前記離型剤が確認できない場合、微分散していたとしても、定着時の染出しが不十分となる。
−層状無機鉱物−
前記変性層状無機鉱物としては、数nmの厚みの層が積層された無機鉱物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、アタパルジャイト、セピオライト、これらの混合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、トナーを造粒する際に異形化でき、電荷調節機能を果たすと共に、低温定着に優れる点で、変性層状無機鉱物が好ましい。モンモリロナイト系の基本結晶構造を持つ層状無機鉱物を有機カチオンで変性させた変性層状無機鉱物がより好ましい。トナー特性に影響を与えず、容易に粘度調整ができる点で、有機変性モンモリロナイト、ベントナイトが特に好ましい。
前記変性層状無機化合物は、前記層状無機鉱物を少なくとも一部を有機物イオンにより変性させることが好ましい。前記層状無機鉱物を少なくとも一部を有機物イオンで変性することにより、適度な疎水性を持ち、トナー組成物及び/又はトナー組成物前駆体を含む油相が非ニュ−トニアン粘性を持ち、トナーを異形化することができる。
前記変性層状無機鉱物のトナー母体粒子中における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05質量%〜5質量%が好ましい。
−磁性材料−
磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライトなどが挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
−クリーニング性向上剤−
前記クリーニング性向上剤としては、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためにトナーに添加される剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子などが挙げられる。前記ポリマー微粒子の体積平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、0.01μm〜1μmがより好ましい。
−流動性向上剤−
流動性向上剤とは、表面処理を行って疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止する剤のことである。例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。なお、前記流動性向上剤を、シリカ、酸化チタン等により表面処理してもよく、この場合、疎水性シリカ、疎水性酸化チタン等として使用することが好ましい。
−帯電制御剤−
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系化合物などが挙げられる。
前記帯電制御剤の商品名としては、例えば、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージNEG VP2036、NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、LR−147(以上、日本カーリット社製)などが挙げられる。
前記帯電制御剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。しかし、前記結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.2質量部〜5質量部がより好ましい。前記含有量が、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くことがある。前記帯電制御剤は、マスターバッチ、樹脂とともに溶融混練した後、溶解分散させてもよい。また、前記有機溶剤に、直接溶解乃至分散する際に加えてもよい。また、トナー表面にトナー粒子を作成した後に固定化させてもよい。
<トナーの製造方法>
前記トナーの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉砕法により製造する方法、重合法により製造する方法などが挙げられる。これらの中でも、トナーを小粒径化することができる点で、重合法により製造する方法が好ましい。
<<粉砕法>>
前記粉砕法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トナー材料を溶融乃至混練し、粉砕乃至分級することによりトナー母体粒子を製造する方法などが挙げられる。なお、前記トナーの平均円形度を0.97〜1.0にする目的で、得られたトナーの母体粒子に対し、機械的衝撃力を与えて形状を制御してもよい。この場合、該機械的衝撃力を与える方法としては、例えば、ハイブリタイザー、メカノフュージョンなどの装置を用いる方法などが挙げられる。また、このようにして製造されたトナー母体粒子に対し、外添剤で処理することにより、本発明のトナーが得られる。
<<重合法>>
前記重合法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、懸濁重合法、溶解懸濁重合法、乳化重合凝集法などが挙げられる。これらの中でも、乳化重合凝集法が好ましく、溶解懸濁法がより好ましい。
−乳化重合凝集法−
前記乳化重合凝集法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。しかし、凝集工程、融合工程、洗浄乃至乾燥工程、及び外添処理工程を含むことが好ましい。具体的には、トナー組成物又はトナー組成物前駆体を含む油相を、水相(水系媒体)に分散乃至乳化して造粒することによりトナー母体粒子を製造する方法などが挙げられる。また、このようにして製造されたトナー母体粒子に対し、外添剤で処理することにより、本発明のトナーが得られる。
−−凝集工程−−
前記凝集工程は、乳化重合させて調製した樹脂粒子分散液、少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物、及び着色剤分散液、必要に応じて離型剤分散液を混合し、凝集粒子分散液を調製する工程である。前記凝集粒子分散液中の凝集粒子は、ヘテロ凝集により凝集されている。前記凝集粒子の安定化、及び粒径/粒度分布制御を目的として、前記凝集粒子とは極性が異なるイオン性界面活性剤や、金属塩等の一価以上の電荷を有する化合物を添加することができる。
前記凝集工程は、乳化剤の乳化力をpHで調整して凝集を発生させ、凝集粒子を調整することができる。同時に粒子の凝集を安定かつ迅速に、より狭い粒度分布を持つ凝集粒子を得る方法ために、凝集剤を添加しても良い。前記凝集剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、一価以上の電荷を有する化合物が好ましい。具体的には、ノニオン性界面活性剤等の水溶性界面活性剤類、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等の酸類、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硝酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅、炭酸ナトリウム等の無機酸の金属塩、酢酸ナトリウム、蟻酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム等の脂肪族酸、芳香族酸の金属塩、ナトリウムフェノレート等のフェノール類の金属塩、アミノ酸の金属塩、トリエタノールアミン塩酸塩、アニリン塩酸塩等の脂肪族、芳香族アミン類の無機酸塩類などが挙げられる。これらの中でも、無機酸の金属塩が、前記凝集粒子の安定性、凝集剤の熱や経時に対する安定性、及び洗浄時の除去に優れる点で、好ましい。前記凝集剤の添加量としては、特に制限はなく、電荷の価数により異なる。しかし、一価の場合は3質量%以下、二価の場合は1質量%以下、三価の場合は0.5質量%以下が好ましい。前記添加量としては、少ない方が好ましく、価数の多い化合物の方が添加量を少なくすることができる点で有利である。
−−融合工程−−
前記融合工程は、前記凝集粒子分散液を加熱融合して前記トナー母体粒子を形成する工程である。前記融合工程の前段で、凝集粒子分散液にその他の微粒子分散液を添加混合して凝集粒子の表面に微粒子を均一に付着して付着粒子を形成する付着工程を設けることができる。また、少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物の付着を強固なものにするために、付着工程を設けることができる。付着工程は、少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物を付着させ、その他の微粒子分散液を添加混合して凝集粒子の表面に微粒子を均一に付着して付着粒子を形成する工程である。これらの付着粒子はヘテロ凝集等により形成される。この付着粒子分散液も前記と同様に樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱して融合し、融合粒子を形成する。前記融合粒子は、水系媒体中に着色融合粒子分散液として存在しており、これを洗浄工程において水系媒体から融合粒子を取り出すのと同時に、前記各工程において混入した不純物等を除去乃至乾燥し、粉体としてのトナーを得る。
−−洗浄工程−−
前記洗浄工程は、前記融合粒子に対して、酸性又は塩基性の水を数倍量加えて攪拌した後、ろ過して得られた固形分に対して、酸性又は塩基性の水を数倍量加えて攪拌した後、ろ過を行う。これを数回繰り返し、ろ液のpHが約7になるまで繰り返し、着色されたトナーを得る。
−−乾燥工程−−
前記乾燥工程は、前記洗浄工程で得たトナーをガラス転移点未満の温度で乾燥する。この時、必要に応じて乾燥空気を循環させてもよいし、真空条件下で加熱してもよい。
−溶解懸濁法−
前記溶解懸濁法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。しかし、水系造粒により製造する方法が好ましく、油相調製工程、水相調製工程、乳化乃至分散工程、溶剤除去工程、洗浄乃至乾燥工程、及び外添剤処理工程を含むことにより製造する方法がより好ましい。
前記溶解懸濁法の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。しかし、少なくとも前記結着樹脂及び前記着色剤を有機溶媒中に溶解乃至分散させ、該溶解乃至分散物を水相中に添加し乳化乃至分散させ、該乳化乃至分散液から前記有機溶媒を除去して得られるトナー母体粒子と、外添剤とを混合して、トナーを製造する方法が好ましい。
前記溶解懸濁法の中でも、エステル伸長法が好ましい。該エステル伸長法の具体例としては、少なくとも前記活性水素基含有化合物、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体、前記結着樹脂、及び前記着色剤を有機溶媒中に溶解乃至分散させる。次に、該溶解乃至分散物を水相中に添加し乳化乃至分散させ、該乳化乃至分散液中で前記活性水素基含有化合物及び前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を伸長乃至架橋反応させる。そして、該乳化乃至分散液から前記有機溶媒を除去して得られるトナー母体粒子と、外添剤とを混合して、トナーを製造する方法である。
−−油相調製工程−−
前記油相調製工程は、少なくとも前記結着樹脂、及び前記着色剤などを含むトナー材料を、有機溶剤に溶解乃至分散させて油相(トナー材料の溶解乃至分散液)を調製する工程である。また、前記トナー材料における前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体以外の成分は、後述する水相の調製において、水系媒体中に添加混合してもよい。また、トナー材料の溶解乃至分散液を水系媒体に添加する際に、溶解乃至分散液と共に水系媒体に添加してもよい。前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、溶剤除去が容易である点で、沸点が150℃未満の有機溶剤が好ましい。前記沸点が150℃未満の有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酢酸エチル、トルエン、キシレン、ベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等が好ましく、酢酸エチルも好ましい。前記有機溶剤の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。しかし、前記トナー材料100質量部に対し40質量部〜300質量部が好ましく、60質量部〜140質量部がより好ましく、80質量部〜120質量部が特に好ましい。
−−水相調製工程−−
前記水相調製工程は、水相(水系媒体)を調製する工程である。前記水相としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、水と混和可能な溶剤、これらの混合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水が好ましい。前記混和可能な溶剤としては、例えば、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブ(登録商標)等)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)などが挙げられる。
−−乳化乃至分散工程−−
前記乳化乃至分散工程は、前記油相を、前記水相中に分散させて乳化乃至分散物を得る工程である。前記トナー材料は、必ずしも、前記水相中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよく、例えば、前記着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。前記トナー材料100質量部に対する水相の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50質量部〜2,000質量部が好ましく、100質量部〜1,000質量部がより好ましい。前記使用量が、50質量部未満であると、前記トナー材料の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られないことがあり、2,000質量部を超えると、経済的でないことがある。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
前記乳化乃至分散工程において使用される分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤、フルオロアルキル基を有するカチオン界面活性剤、無機化合物(リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等)、微粒子ポリマー(MMAポリマー微粒子1μm、MMAポリマー微粒子3μm、スチレン微粒子0.5μm、スチレン微粒子2μm、スチレン−アクリロニトリル微粒子ポリマー1μm等)などが挙げられる。これらの中でも、非常に少量でその効果をあげることができる点で、フルオロアルキル基を有する界面活性剤が好ましい。
前記分散剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、樹脂微粒子分散液の場合、0.01質量%〜1質量%が好ましく、0.02質量%〜0.5質量%がより好ましく、0.1質量%〜0.2質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.01質量%未満の場合、乳化乃至分散物のpHが十分に塩基性でない状態で凝集が生じることがある。前記分散剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、着色剤分散液又は離型剤分散液の場合、0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましく、0.5質量%〜0.2質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.01質量%未満では、凝集時に各粒子間の安定性が異なるため、特定粒子の遊離が生じることがあり、10質量%を超えると、粒子の粒度分布が広くなったり、粒子径の制御が困難になることがある。
前記分散剤の商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−l21(以上、旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29、FC−135(以上、住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−l02、DS−202(以上、ダイキン工業社製)、メガファックF−ll0、F−l20、F−113、F−150、F−191、F−812、F−824、F−833(以上、大日本インキ社製)、エクトップEF−102、l03、104、105、112、123A、123B、132、306A、501、201、204、(以上、トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F−300、F150(以上、ネオス社製)、SGP、SGP−3G(以上、総研社製)、PB−200H(花王社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)などが挙げられる。
前記分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、トナーの帯電面の点で、反応後、洗浄除去することが好ましい。更に、粒度分布がシャープとなり、トナー材料の粘度を低くする点で、ポリエステルプレポリマーの反応後の変性ポリエステルを可溶する溶剤を使用することが好ましい。前記溶剤としては、除去が容易である点で、沸点が100℃未満の揮発性の溶剤が好ましい。例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、メタノールなどの水混和性溶剤が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。
前記分散剤を使用した場合には、分散安定剤を用いることが好ましい。前記分散安定剤として高分子系保護コロイドを用いた場合には、水に不溶な有機微粒子等により分散液滴を安定化させる物質であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸又は無水マレイン酸等の酸類;アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等の水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等のビニルアルコール又はビニルアルコールのエ一テル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルアルコールとカルボキシル基含有化合物とのエステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド及びこれらのメチロール化合物;アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等の酸クロライド類;ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等の窒素原子又はその複素環を有する化合物等のホモポリマー又は共重合体;ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等のポリオキシエチレン系;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類;などが使用できる。
前記分散安定剤として、リン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能な化合物などを用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去することが好ましい。なお、前記リン酸カルシウム塩の除去は、その他酵素による分解などの操作によって行ってもよい。
前記乳化乃至分散工程において使用される分散機としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機などが挙げられる。これらの中でも、分散体(油滴)の粒子径を2μm〜20μmに制御することができる点で、高速せん断式分散機が好ましい。前記高速せん断式分散機を用いた場合、回転数、分散時間、分散温度等の条件は、目的に応じて適宜選択することができる。前記回転数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000rpm〜30,000rpmが好ましく、5,000rpm〜20,000rpmがより好ましい。前記分散時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、バッチ方式の場合、0.1分間〜5分間が好ましい。前記分散温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、加圧下において、0℃〜150℃が好ましく、40℃〜98℃がより好ましい。なお、一般に、前記分散温度が高温である方が分散は容易である。
−−溶剤除去工程−−
前記溶剤除去工程は、前記乳化乃至分散物(乳化スラリー等の分散液)から有機溶剤を除去する工程である。前記有機溶剤を除去する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、反応系全体を徐々に昇温させて油滴中の有機溶剤を蒸発させる方法、分散液を乾燥雰囲気(空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体)中に噴霧(スプレードライヤー、ベルトドライアー、ロータリーキルン等)して油滴中の有機溶剤を除去する方法などが挙げられる。この方法により短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。前記有機溶剤が除去されると、トナー母体粒子が形成される。
−−洗浄乃至乾燥工程−−
前記洗浄乃至乾燥工程は、前記トナー母体粒子を洗浄乃至乾燥する工程である。前記トナー母体粒子は、更に分級等を行ってもよい。前記分級は、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離などにより、微粒子部分を取り除くことにより行ってもよいし、乾燥後に分級操作を行ってもよい。なお、得られた不要の微粒子又は粗粒子は、再び微粒子の形成に用いることができる。その際、微粒子又は粗粒子は、ウェット状態でも構わない。
−−外添剤処理工程−−
前記外添剤処理工程は、乾燥後の前記トナー母体粒子と、本発明において規定する特定のパラメータを満たす前記合着粒子を含有する前記外添剤とを混合して処理する工程である。前記トナー母体粒子と、前記外添剤とを混合することにより、本発明のトナーが得られる。前記混合に用いる装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)が好ましい。なお、前記トナー母体粒子の表面から前記外添剤等の粒子が脱離することを抑制するために、機械的衝撃力を印加してもよい。前記機械的衝撃力を印加する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高速で回転する羽根を用いて混合物に衝撃力を印加する方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させて粒子同士又は粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などが挙げられる。前記方法に用いる装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
<<トナーの特性>>
前記トナーにおける質量平均粒径(Dw)と個数平均粒径(Dn)との比(Dw/Dn)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.30以下が好ましく、1.00〜1.30がより好ましい。前記比(Dw/Dn)が1.00未満であると、二成分現像剤では、現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力の低下やクリーニング性の悪化につながり易い。また、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがある。前記比(Dw/Dn)が1.30を超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
前記トナーの平均円形度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.94〜0.99が好ましい。前記平均円形度が、0.94未満であると、現像時の画像均一性が悪化し、電子写真感光体から像担持回転体又は像担持回転体から記録材へのトナー転写効率が低下し均一転写が得られなくなることがある。また、本発明のトナーは、水系媒体中で乳化処理をして作成されたものであり、特にカラートナーにおける小粒径化や、平均円形度が前記の範囲の形状を得るために効果的である。前記平均円形度の測定は、フロー式粒子像分析装置(FPIA−2000;シスメックス社製)を用いて測定を行なった。所定の容器に、予め不純固形物を除去した水100mL〜150mLを入れ、分散剤として界面活性剤0.1mL〜0.5mLを加え、更に、測定試料0.1g〜9.5g程度を加えた。試料を分散した懸濁液を超音波分散器で約1分間〜3分間、分散処理を行ない、分散液濃度を3,000個/μL〜10,000個/μLにしてトナーの形状及び分布を測定した。
(現像剤)
前記現像剤は、少なくとも本発明のトナー、及び前記キャリアを含む。なお、前記現像剤が、2成分系現像剤である場合には、本発明のトナーとキャリアとを混合して用いればよく、1成分系現像剤である場合には、本発明のトナーを1成分系の磁性トナー又は非磁性トナーとして用いればよい。
<キャリア>
前記キャリアは、磁性を有する芯粒子、及び該芯粒子を被覆する被覆樹脂を含み、更に必要に応じて導電性微粉末、シランカップリング剤等を含む。前記キャリア及び前記キャリアの骨格となる芯粒子の粒子径の選定が重要である。
前記キャリアと前記トナーとの含有量比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記キャリア100質量部に対して、前記トナーを1質量部〜10質量部含むことが好ましい。
前記キャリアの重量平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15μm〜40μmであることが好ましい。前記重量平均粒径が、15μm未満であると、転写時にキャリアも転写されるキャリア付着が生じることがあり、40μmを超えると、キャリア付着は起りにくいが、高画像濃度を得るためにトナー濃度を高くした場合、地汚れが発生しやすくなる。また、潜像のドット径が小さい場合、ドット再現性のバラツキが大きくなり、ハイライト部の粒状性が悪くなることがある。
−芯粒子−
前記芯粒子としては、前記キャリアに1,000エルステッド(Oe)の磁場を印加したときに、磁化量が40emu/g以上となる芯粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、鉄、コバルトなどの強磁性体、マグネタイト、ヘマタイト、Li系フェライト、MnZn系フェライト、CuZn系フェライト、NiZn系フェライト、Ba系フェライト、Mn系フェライトなどが挙げられる。前記芯粒子は、磁性材料の破砕物粒子を、フェライト、マグネタイト等の芯粒子を用いる場合には、まず、焼成前の一次造粒品を分級する。次に、焼成した粒子を、分級処理により異なる粒度分布をもつ粒子粉体に分級した後、複数の粒子粉体を混合することで得ることができる。
前記芯粒子を分級する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ふるい分け機、重力分級機、遠心分級機、慣性分級機などの従来公知の分級方法を使用することができるる。生産性が良好で分級点の変更が容易にできることから重力分級機、遠心分級機、慣性分級機といった風力分級機を使用することが好ましい。
−被覆樹脂−
前記被覆樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、アミノ系樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニリデン系樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シリコーン樹脂が好ましい。
−キャリアの製造方法−
前記キャリアの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記芯粒子の表面に被覆層を形成することにより製造する方法などが挙げられる。前記芯粒子の表面に被覆層を形成するための方法としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。例えば、スプレードライ法、浸漬法、パウダーコーティング法などが挙げられるが、均一な被覆層の形成に有効な点で、流動層型コーティング装置を用いる方法が好ましい。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、以下の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
トナー像を担持する感光体2などの像担持回転体と、像担持回転体に接触して像担持回転体上のトナー像が一次転写される中間転写ベルト7などの中間転写回転体を有し、中間転写回転体のトナー像を、転写紙Pなどの転写材に転写する中間転写ユニット10などの転写手段と、前記像担持回転体を回転駆動させる感光体モータ154などの像担持回転体駆動手段と、前記中間転写回転体を回転駆動させるベルト駆動モータ162などの中間転写回転体駆動手段とを備えた複写機500などの画像形成装置において、像担持回転体駆動手段および中間転写回転体駆動手段を制御して、像担持回転体と中間転写回転体との線速差を0を含む第1の線速差、または、第1の線速差よりも大きな第2の線速差に設定する制御部600などの線速設定手段と、像担持回転体の表面上のフィルミング量を示すフィルミング指標値を取得するフィルミング指標値取得手段とを備え、線速設定手段は、フィルミング指標値取得手段が取得したフィルミング指標値が規定値以上のとき、第2の線速差に設定する。
上述したように、上記特許文献1においては、磁気ブラシクリーニング装置で感光体などの像担持回転体表面のフィルミングを除去するために、転写残トナーを良好にクリーニングできる速度より低速で磁気ブラシを回動させる必要がある。そのため、画像形成動作中に、磁気ブラシの回転速度を落として、フィルミング除去動作を行ってしまうと、磁気ブラシでトナーを良好に捉えることができず、クリーニング不良が発生してしまう。従って、特許文献1では、画像形成動作を中断してフィルミング除去を行う必要があり、装置のダウンタイムに繋がってしまっていた。
そこで、本出願人は、鋭意研究した結果、像担持回転体と中間転写回転体との線速差が、画質に影響を及ぼさないレベルでも、像担持体と中間転写回転体との擦れにより、フィルミング除去効果を得ることができることを見出した。これにより、特許文献1とは異なり、画像形成動作を中断せずに、像担持回転体上のフィルミングを除去することができ、フィルミング除去動作による装置のダウンタイムが発生するのを防止することが可能となる。
しかし、フィルミングの初期段階から、像担持回転体と中間転写回転体との線速差をフィルミング除去効果が得られる線速差に設定すると、像担持回転体と中間転写回転体との間の擦れによる像担持回転体表面や中間転写回転体の表面が傷つき、像担持回転体や中間転写回転体の寿命の低下させてしまう。
(態様1)は、以上の背景に基づいてなされたものであり、像担持回転体の表面上のフィルミング量を示すフィルミング指標値をフィルミング指標値取得手段により取得し、このフィルミング指標値が規定値以上のとき、像担持回転体と中間転写回転体との線速差を第1の線速差よりも大きな第2の線速差に設定する。フィルミング量とそのフィルミングに起因した画質劣化が発生する時期との間にはある程度の相関関係がある。よって、規定値を適切に設定することで、フィルミングに起因した画質劣化が発生してしまう時点よりも前の適切なタイミングで、像担持回転体と中間転写回転体との線速差を第1の線速差よりも大きな第2の線速差に設定して、像担持回転体上のフィルミングを除去することができる。
また、第2の線速差を、画質に影響が及ばず、かつ、フィルミング除去可能な線速差に設定することで、第2の線速差の設定時に画像形成動作を行うことができる。これにより、装置のダウンタイムを発生させずに、フィルミングを除去することができる。
また、フィルミング指標値が規定値未満で、フィルミング量が少なくないときは、像担持回転体と中間転写回転体との線速差が小さな第1の線速差に設定することで、像担持回転体と中間転写回転体との間の擦れによる像担持回転体表面や中間転写回転体の表面を傷つきを抑制でき、像担持回転体や中間転写回転体の寿命の低下を抑制することができる。
(態様2)
(態様1)において、少なくとも、第2の線速差のときの感光体2などの像担持回転体の線速が、中間転写ベルト7などの中間転写回転体の線速よりも遅い。
実施形態で説明したように、感光体2などの像担持回転体を中間転写ベルト7などの中間転写回転体よりも遅くすることで、速くした場合に比べて、線速差に対する虫食いの余裕度が大きい。よって、感光体2などの像担持回転体を中間転写ベルト7などの中間転写回転体よりも遅くすることで、画質に影響を及ぼすことなく、線速差を大きくすることができる。これにより、良好に像担持回転体上のフィルミングを除去することができる。
(態様3)
(態様1)または(態様2)において、制御部600などのフィルミング指標値取得手段は、画像形成動作の動作時間又は感光体2の走行距離などの動作時間に相関関係のあるパラメータ値に基づく個別フィルミングカウンタ計算値等の動作指標値を累積した累積動作指標値を、フィルミングカウンタなどのフィルミング指標値として取得する。
像担持回転体の表面上のフィルミング量を示すフィルミング指標値としては、例えば、像担持回転体上に形成した基準画像の表面電位が挙げられるが、この場合、電位センサなどの専用の装置を設ける必要がある。一方、本態様のような画像形成動作の動作時間に関連する累積動作指標値は、フィルミングに起因した画質劣化が発生する時期との間に十分な相関関係があり、専用の装置を用いずに取得できるものである。よって、本態様によれば、潜像担持体の表面上のフィルミング量を示すフィルミング指標値を、簡易な構成で取得することができる。
(態様4)
(態様3)において、画像形成装置内部の温度を検出する温度センサ602などの温度検出手段を有し、制御部600などのフィルミング指標値取得手段は、画像形成動作時における当該画像形成装置内部の温度と、形成する画像の画像面積率とに応じて重み付けされた個別フィルミングカウンタ計算値などの動作指標値を累積した累積動作指標値を、フィルミングカウンタなどのフィルミング指標値として取得する。
(態様4)によれば、温度や画像面積率の違いによるフィルミング量の増加スピードの違いを考慮した累積動作指標値を得ることができるので、実際のフィルミング量とより高い相関関係のあるフィルミング指標値を得ることができる。よって、フィルミング指標値とフィルミングに起因した画質劣化が発生する時期との間の相関関係も高まり、より適切なタイミングで除湿手段を動作させることができる。
(態様5)
(態様1)乃至(態様4)いずれかにおいて、感光体2などの像担持回転体を有し、黒色を含む互いに異なる色に対応する複数のプロセスカートリッジ1Y,M,C,Kなどの作像部を備え、黒色の作像部の像担持体回転体と中間転写回転体との線速差が第2の線速差に設定されているとき、黒色線画像を、Y色のトナー、C色のトナーおよびM色のトナーを重ね合わせて形成する
実施形態で説明したように、Y色,M色,C色のトナーを重ね合わせて黒色線画像を形成することで、K色トナーのみで黒色線画像を形成する場合に比べて、黒色線画像の虫食いの発生を抑制することができる。
(態様6)
(態様1)乃至(態様5)のいずれかにおいて、互いに永久伸びの値が異なる材質からなるエッジ層5c及びバックアップ層5d等の複数の層によって構成される積層構造のブレード部材5Aと、該ブレード部材の一端を保持するブレードホルダ5B等の保持部材とを有し、該ブレード部材の他端の先端稜線部であるエッジ部5eを前記像担持回転体の表面に当接させて、該像担持回転体の表面をクリーニングする感光体クリーニング装置5等のクリーニング手段を備えており、前記ブレード部材を前記像担持回転体に当接させた状態で所定の方法で測定する線圧低下率が90[%]以上であることを特徴とする。
これによれば、長期にわたって安定してブレード部材によるフィルミング除去性能を維持することができる。
(態様7)
(態様6)において、前記ブレード部材の複数の層のうち前記エッジ部を備えるエッジ層5cは、バックアップ層5dなどの他の層に比べて永久伸びの値が大きい材質によって形成されることを特徴とする。
これによれば、より高いフィルミング除去性能を得ることができる。
(態様8)
(態様6)又は(態様7)において、前記ブレード部材の複数の層のうち前記エッジ部を備えるエッジ層5cを形成する材料の、23[℃]における100%モジュラスの値が6[MPa]以上12[MPa]以下であることを特徴とする。
これによれば、像担持回転体の表面に対するブレード部材の当接圧を上げることができ、より高いフィルミング除去性能を得ることができる。
(態様9)
(態様1)乃至(態様8)いずれかにおいて、前記トナー像を構成するトナーは、少なくとも合着粒子を含有した外添剤を含み、該合着粒子が一次粒子同士で合着されてなる非球形の二次粒子であることを特徴とする。
これによれば、外添剤がトナー母体粒子から離脱しにくく、長期間使用しても感光体の表面にフィルミングしにくい。よって、フィルミングによる画質劣化が起きにくい。
(態様10)
(態様1)〜(態様9)のいずれかにおいて、前記トナー像を構成するトナーは、少なくとも結晶性ポリエステルを含むことを特徴とする。
これによれば、フィルミングしにくいので、フィルミングによる画質劣化が起きにくい。
1:プロセスカートリッジ
2:感光体
5A:ブレード部材
5c:エッジ層
5d:バックアップ層
5e:エッジ部
7:中間転写ベルト
154:感光体モータ
162:ベルト駆動モータ
500:複写機
600:制御部
602:温度センサ
特開平5−72853号公報

Claims (10)

  1. トナー像を担持する像担持回転体と、
    前記像担持回転体に接触して前記像担持回転体上のトナー像が一次転写される中間転写回転体を有し、前記中間転写回転体のトナー像を、転写材に転写する転写手段と、
    前記像担持回転体を回転駆動させる像担持回転体駆動手段と、
    前記中間転写回転体を回転駆動させる中間転写回転体駆動手段とを備えた画像形成装置において、
    前記像担持回転体駆動手段および前記中間転写回転体駆動手段を制御して、前記像担持回転体と中間転写回転体との線速差を0を含む第1の線速差、または、前記第1の線速差よりも大きな第2の線速差に設定する線速設定手段と、
    前記像担持回転体の表面上のフィルミング量を示すフィルミング指標値を取得するフィルミング指標値取得手段とを備え、
    前記線速設定手段は、フィルミング指標値取得手段が取得したフィルミング指標値が規定値以上のとき、前記第2の線速差に設定することを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1に記載の画像形成装置において、
    少なくとも、前記第2の線速差のときの前記像担持回転体の線速が、前記中間転写回転体の線速よりも遅いことを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
    前記フィルミング指標値取得手段は、画像形成動作の動作時間又は該動作時間に相関関係のあるパラメータ値に基づく動作指標値を累積した累積動作指標値を、前記フィルミング指標値として取得することを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項3に記載の画像形成装置において、
    画像形成装置内部の温度を検出する温度検出手段を有し、
    前記フィルミング指標値取得手段は、画像形成動作時における当該画像形成装置内部の温度と、形成する画像の画像面積率とに応じて重み付けされた動作指標値を累積した累積動作指標値を、前記フィルミング指標値として取得することを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1乃至4いずれかに記載の画像形成装置おいて
    前記像担持回転体を有し、黒色を含む互いに異なる色に対応する複数の作像部を備え、
    黒色の作像部の像担持体回転体と中間転写回転体との線速差が前記第2の線速差に設定されているとき、黒色線画像を、Y色のトナー、C色のトナーおよびM色のトナーを重ね合わせて形成することを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置において、
    互いに永久伸びの値が異なる材質からなる複数の層によって構成される積層構造のブレード部材と、該ブレード部材の一端を保持する保持部材とを有し、該ブレード部材の他端の先端稜線部であるエッジ部を前記像担持回転体の表面に当接させて、該像担持回転体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えており、
    前記ブレード部材を前記像担持回転体に当接させた状態で所定の方法で測定する線圧低下率が90[%]以上であることを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項6に記載の画像形成装置において、
    前記ブレード部材の複数の層のうち前記エッジ部を備えるエッジ層は、他の層に比べて永久伸びの値が大きい材質によって形成されることを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項6又は7に記載の画像形成装置において、
    前記ブレード部材の複数の層のうち前記エッジ部を備えるエッジ層を形成する材料の、23[℃]における100%モジュラスの値が6[MPa]以上12[MPa]以下であることを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項1乃至8いずれかに記載の画像形成装置において、
    前記トナー像を構成するトナーに外添される外添剤は、少なくとも合着粒子を含有し、合着粒子が一次粒子同士で合着されてなる非球形の二次粒子であることを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項1乃至9いずれかに記載の画像形成装置において、
    前記トナー像を構成するトナーが、結晶ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020101772A (ja) * 2018-12-25 2020-07-02 コニカミノルタ株式会社 画像形成装置、清掃方法および清掃プログラム

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JP7225789B2 (ja) 2018-12-25 2023-02-21 コニカミノルタ株式会社 画像形成装置、清掃方法および清掃プログラム

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