JP2015205779A - 化学強化ガラス板及びその衝撃試験方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】破損し難い化学強化ガラス板を提供する。【解決手段】表面、裏面及び端面を有し、前記端面に面取り部を有する化学強化ガラス板であって、前記表面及び裏面を鉛直面に対して20度以下の角度をなすように配置し、前記裏面を平板に接触させながら前記板ガラスを固定し、前記板ガラスを固定した状態で前記表面と面取り部との境界に直径40mmの衝撃子を衝突させる衝撃試験において、前記化学強化ガラス板の破壊時の平均エネルギーが0.1J以上であることを特徴とする化学強化ガラス板。【選択図】図1

Description

本発明は、化学強化により圧縮応力層が形成された化学強化ガラス板及びその衝撃試験方法に関する。
近年、携帯電話、携帯情報端末(PDA)等のフラットパネルディスプレイ装置において、ディスプレイの保護ならびに美観を高めるために、画像表示部分よりも広い領域となるように薄い板状のカバーガラスをディスプレイの前面に配置することが行われている。このようなフラットパネルディスプレイ装置に対しては、軽量・薄型化が要求されており、そのため、ディスプレイ保護用に使用されるカバーガラスも薄くすることが要求されている。しかし、カバーガラスの厚さを薄くしていくと、強度が低下し、使用中または携帯中の落下などによりカバーガラス自身が割れてしまうことがあり、ディスプレイ装置を保護するという本来の役割を果たすことができなくなるという問題があった。
このため従来のカバーガラスは、ガラス板を化学強化することで表面に圧縮応力層を形成しカバーガラスの強度を高めていた(例えば、特許文献1)。しかしながら、化学強化したカバーガラスであっても、ユーザーがフラットパネルディスプレイ装置を誤って落下させた場合等にはカバーガラスが破損してしまうことがあった。
特開2011−105598号公報
これまで、上記のようなカバーガラスの破損に対する研究及び破損に強いカバーガラスの開発に当たり、様々な強度試験方法が試みられてきた。具体的には、フラットパネルディスプレイ装置を組み立てた後、それらを相当数、地面などに落下させて破壊し、それら割れたガラスを評価したり、曲げ強度や面強度等で評価したりすることが行われてきた。
しかしながら、最終製品であるフラットパネルディスプレイ装置を地面に落下させることは、効率が悪いばかりかフラットパネルディスプレイ装置自体を無駄にしてしまうこととなる。また、曲げ強度や面強度の評価だけで実際にフラットパネルディスプレイ装置に搭載されたカバーガラスの破損を抑制できる評価は困難であった。加えて、従来の試験方法だけではカバーガラスの破損状況を漏れなく再現することは困難であった。従って、フラットパネルディスプレイ装置が製品となる前の段階で、化学強化ガラス板に対し実際にフラットパネルディスプレイ装置に搭載された場合の破損を再現させることが望まれていた。
そこで、本発明は、カバーガラスが実際にフラットパネルディスプレイ装置に搭載された場合の破損の一状況を再現し、その状況で破損し難い化学強化ガラス板を提供することを目的とする。
本発明の一態様の化学強化ガラス板は、表面、裏面及び端面を有し、前記端面に面取り部を有する化学強化ガラス板であって、
前記表面及び裏面を鉛直面に対して20度以下の角度をなすように配置し、前記裏面を平板に接触させながら前記板ガラスを固定し、前記板ガラスを固定した状態で前記表面と面取り部との境界に衝撃子を衝突させる衝撃試験において、前記化学強化ガラス板の裏面と面取り部との境界を起点とした破壊時の平均エネルギーが0.1J以上であることを特徴とする。
また、本発明の一態様の化学強化ガラス板の衝撃試験方法は、表面、裏面及び端面を有し、前記端面に面取り部を有するガラス板の衝撃試験方法であって、前記表面及び裏面を鉛直面に対して20度以下の角度をなすように配置し、前記裏面を平板に接触させながら前記ガラス板を固定する工程と、前記ガラス板を固定した状態で前記表面と面取り部との境界に衝撃子を衝突させる工程と、前記衝撃子の衝突後、前記ガラス板の裏面と面取り部との境界を起点とした破壊の有無を確認する工程を備えることを特徴とする。
カバーガラスが実際にフラットパネルディスプレイ装置に搭載された場合の破損の一態様を再現し、その状況で破損し難い化学強化ガラス板を提供することができる。
フラットパネルディスプレイ装置が落下する状況を模式的に示した説明図である。 本発明の実施形態に係る化学強化ガラス板の衝撃試験方法を模式的に示した説明図である。 ガラス表面の圧縮応力(CS)の異なる4種類のサンプルについて衝撃破壊強度とCSとの関係を示したグラフである。 図3に示したガラス板とは異なる4種類のガラス板について衝撃破壊強度とCSとの関係を示したグラフである。 厚さの異なるガラス板についてCNC研磨或いはブラシ研磨を実施し、衝撃破壊強度とCSとの関係を示したグラフである。 本発明の一実施形態によるガラス板を示す概略図である。 本発明の一実施形態によるガラス板のエッチング後の状態を示す概略図である。 本発明の一実施形態によるガラス板のエッチング後の状態の一部を拡大して示した概略図である。 図8の一部拡大図であり、本発明の一実施形態によるガラス板のエッチング後の状態を示す概略図である。 ブラシ研磨方法の説明図である。 ブラシ研磨方法の説明図である。 ブラシ研磨方法の説明図である。 図10における研磨を拡大して示した説明図である。 ブラシ研磨後のガラス板を実線で示し、ブラシ研磨前のガラス板を2点鎖線で示した断面図である。
以下、本発明の化学強化ガラスの割れ再現方法について説明するが、先ず、本発明者らの見出した、フラットパネルディスプレイ装置を落下させたときに発生するカバーガラスの破損のメカニズムについて説明する。なお、ここではカバーガラスの外側の面を表面と呼び、ディスプレイ側の面を裏面と呼ぶ。
図1はフラットパネルディスプレイ装置1が落下する状況を模式的に示した説明図である。図1に示すように、フラットパネルディスプレイ装置1が地面3(アスファルト・コンクリート)に落下する際に、カバーガラス2の端面と表面との境界部(以下表面端部と称する。)が最初に地面3に接触する。このような場合、カバーガラス表面端部には衝撃応力が発生する。本発明者らはこのような衝撃応力が伴う落下等によりカバーガラスが破損した場合、最初にアスファルト・コンクリート3に接触したカバーガラスの表面端部ではなく、カバーガラス2の端面と裏面との境界の領域(以下裏面端部と称する。)を起点に発生することが多いことを見出した。
この図1に示したようなフラットパネルディスプレイ装置1が地面3に落下した際にカバーガラス2に加わる衝撃力を再現し、衝撃強度を試験する方法について以下に説明する。
<衝撃試験方法>
図2は、本発明の実施形態に係る化学強化ガラス板の衝撃試験方法を模式的に示した説明図である。衝撃試験機300と、試験片である化学強化ガラス400が図示されている。図2において、衝撃子303が中立位置にある状態を実線で示し、衝撃子303が中立位置から持ち上げられた状態を1点鎖線で示す。
化学強化ガラス板400は、互いに平行な主平面である表面401、裏面402と、各主平面401、402とに対して垂直で平坦な端面403と、各主平面401、402と端面403との間に形成される面取り面404、405とを有する。この化学強化ガラス板400は、両主平面401、402の中心面に対して左右対称に形成されており、面取り面404、405は略同一の寸法形状を有する。
衝撃試験機300は、水平に配置される回転軸301と、回転軸301から垂直に延びる支持部材302と、指示部材302に同軸的に固定される円柱状の衝撃子303とを有する。衝撃子303は、例えば、半径が20mmで、質量307gである。衝撃子303は、回転軸301を中心に回転自在であり、支持部材302が鉛直になる中立位置から左右に回転自在である。
衝撃試験機300は、化学強化ガラス400の主平面401、402を鉛直面に対して20度以下の角度で傾斜して支持する治具304を有する。治具304によって、化学強化ガラス400は裏面402が治具304から浮き上がらないように固定されている。また、衝撃によってガラスに曲げが生じないように固定されている。これは、フラットパネルディスプレイ装置にカバーガラスが組み込まれた際に、カバーガラスの裏面が固定されている状況を再現している。そのため化学強化ガラス400の面取り面405よりも治具304の方が大きく、治具304が面取り面405の外側(図2における上方)に延在するように配置することが好ましい。ここで、化学強化ガラス400の主平面401、402を鉛直面に対して20度以下の角度で傾斜して支持することでフラットパネルディスプレイ装置の落下時の衝撃を再現している。
衝撃試験は、図2に1点鎖線で示すように、衝撃子303を中立位置から持ち上げ、重力で落として行う。衝撃子303は、重力によって回転軸401を中心に回転し、図2に実線で示すように、中立位置で化学強化ガラス400の表面401と面取り部404との境界部(表面端部)に衝突する。上記のように、化学強化ガラス400の主平面401、402を鉛直面に対して20度以下の角度で傾斜して支持することで、衝撃子303を表面端部に衝突させ、衝撃強度を測ることができる。
衝突時に化学強化ガラス400に印加される衝撃エネルギーは、支持部材302の重さ(16g)及び衝撃子303の重さ(307g)、衝撃子303の重心305の持ち上げられる高さHに基づいて算出される。
その後、化学強化ガラス400の裏面端部にクラックが生じたか否かを目視で調べる。クラックが生じなかった場合、衝撃子303を持ち上げる高さHを上げて、試験を繰り返し行う。衝撃子303を持ち上げる度に、化学強化ガラス400の位置を少しずつズラし、同じ位置を衝撃しないように試験を繰り返すことが好ましい。クラックが発生したときの最大の衝撃エネルギーが、衝撃破壊強度(J)として記録される。
図3は、ガラス表面の圧縮応力(CS)の異なる4種類のガラス板について衝撃破壊強度とCSとの関係を示したグラフである。図3に示すように、CSが大きくなれば衝撃破壊強度が向上していることが分かる。各サンプルはそれぞれ以下の表1に示したものを使用した。表1においてCNC(Computer Numerical Control)とは、ガラス板端面の研磨仕上げにCNC制御を用いた方法のことであり、砥石を用いたCNC研磨のことを指す。
Figure 2015205779
次に、図4は図3に示したガラス板とは異なる4種類のガラス板について衝撃破壊強度とCSとの関係を示したグラフである。ここで、図3に示したガラス板との大きな相違点としては、サンプルの端面の仕上げがCNC研磨からブラシ研磨となっている点である。
使用した各サンプルをそれぞれ以下の表2に示す。ブラシ研磨の詳細については後述する。
Figure 2015205779
図4に示すように、ブラシ研磨を実施することで衝撃破壊強度を大幅に向上させることができることが分かる。端面の仕上げをブラシ研磨とすることでCNC研磨と比較して端面に存在するクラックの起点となる微小な傷を除去することができるため、衝撃破壊強度が向上すると考えられる。
次いで、図5は厚さの異なるガラス板についてCNC研磨或いはブラシ研磨を実施し、衝撃破壊強度とCSとの関係を示したグラフである。図5に示すように、前記した衝撃破壊強度を高める要素としてCS及び端面の仕上げとともにガラス板の厚さも衝撃破壊強度を変更させる要因であることが分かる。なお、この場合のガラス板の厚さはガラスの端面の厚さを指す。従って、ガラス板全体に亘って厚さを厚くしても良いし、端面の板厚のみを厚くしても良い。
なお、裏面端部の衝撃破壊強度は実用上0.1J以上であることが好ましい。この衝撃破壊強度を満たすために、CS、ブラシ研磨の有無、板厚等のパラメータを適宜組み合わせて実施することができるが曲げ強度等の観点からCSは500MPa以上であることが好ましい。また、ガラス板の厚さは0.6mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましくは、1.0mm以上がさらに好ましい。
ここで、ブラシ研磨を実施した化学強化ガラスについて説明する。図6は、本発明の一実施形態によるガラス板を示す概略図である。ガラス板10は、表裏の主面11、12と、2つの主面11、12に隣接する端面13とを有する。2つの主面11、12は互いに平行な平坦面である。
端面13は、2つの主面11、12に対して垂直な平坦部14と、各主面11、12と平坦部14との間に形成される面取り部15、16とで構成される。平坦部14は、ガラス板10よりも大面積の板ガラスを切断して得られる切断面のままでもよいし、切断面を加工して得られる加工面でもよい。
面取り部15、16は、例えば矩形状の主面11、12の4辺に対応して4つ設けられてもよいし、1つのみ設けられてもよく、その設置数は特に限定されない。破損を好適に低減するためには、すべての辺において設けられることが好ましい。
面取り部15、16は、切断面或いは加工面と主面の角部を除去してなる。面取り部15、16は、例えば主面11、12に対して斜めの平坦面または曲面である。図6において面取り部15、16は、同じ寸法形状を有するが、異なる寸法形状を有してもよい。
なお、本実施形態の面取り部15、16は、主面11、12に対して斜めの平坦面であるが、板厚方向視(X方向視)において主面11、12から平坦部14にかけて外方に徐々に突出する面であればよく、湾曲面であってもよい。この場合、平坦部14がなく、面取り部15、16同士がつながっていてもよく、面取り部15、16は略同じ曲率半径を有してもよい。
ガラス板10は、両主面11、12に各主面11、12から所定の深さで形成される化学強化層(圧縮応力層)21、22を有する。圧縮応力層は、ガラスをイオン交換用の処理液に浸漬して形成される。ガラス表面に含まれる小さなイオン半径のイオン(例えば、Liイオン、Naイオン)が大きなイオン半径のイオン(例えば、Kイオン)に置換され、ガラス表面に表面から所定の深さで圧縮応力層が形成される。応力の釣り合いのため、引張応力層がガラスの内部に形成される。
なお、本実施形態の2つの圧縮応力層21、22は、同じ表面圧縮応力、及び同じ厚さを有するが、異なる表面圧縮応力、異なる厚さを有してもよい。図7は、本発明の一実施形態によるガラス板のエッチング後の状態を示す概略図である。図7において、ガラス板10のエッチング後の状態を実線で示し、ガラス板10のエッチング前の状態を2点鎖線で示す。図8は、図7の一部拡大図であって、エッチング面17と、エッチング面17に形成されるピット18と、エッチング面17の理想面19との関係を示す。
本実施形態では、端面13の所定部分13a、13bをエッチングしたとき、エッチング面17に深さ1μm以上(好ましくは深さ0.8μm以上、より好ましくは深さ0.6μm以上)のピット18がない。所定部分13a、13bは、側面13のうち、面取り部15、16に隣接する主平面11、12からの板厚方向における距離Hが板厚Eの1/5以内(H≦1/5×E)の部分のことである。
「エッチング」は、ガラス板10の全体をエッチング液に浸漬して室温(25℃)で行われる。エッチング液としては、5質量%のフッ酸(HF)と、95質量%の純水を含む水溶液が用いられる。エッチング液はガラス板10の表面や内部に形成される潜傷に浸入し、潜傷を拡げて明瞭化する。
「エッチング量」は、浸漬時間で制御される。具体的には、あらかじめ同一組成のガラスを用いて所定時間エッチングを行ってエッチングレートを算出した後、所望のエッチング量となるように浸漬時間を調整してエッチングを行う。なお、ガラスの種類によっては、前記エッチングレートを調整するためにフッ酸濃度を変更することがある。
「ピットの深さ」とは、JIS B0671−2:2002に定められる突出谷部深さRvkの測定法に基づいて求める。
ここで、深さ1μm以上のピット18の有無を調べる対象を、側面13の上記部分13a、13bに限定したのは、上記部分13a、13bに微小傷が存在した場合、該微小傷を基点としてガラス板10が破損することがあるからである。
本実施形態では、上記部分13a、13bを例えば深さ10μmエッチングした際のエッチング面17の表面のピット18を測定している。エッチングは潜傷を明瞭化するために実施され、深さは10μmに限定されない。
また、エッチングの有無にかかわらず上記部分13a、13bにおける潜傷を測定し、その潜傷深さの測定を行った。
ここで、「潜傷深さ」は以下のような工程により測定を行った。まずガラス板10をエッチングした後、ガラス基板の主平面を所定量研磨して洗浄と乾燥を行い、エッチング処理により円形状ピットまたは楕円形状ピットとなった加工変質層を光学顕微鏡で観察する。ここで、「加工変質層」とは、形状付与や面取り及び研削等の加工工程において、ガラス基板に生じたキズやクラック等が存在する層をいう。例えば、光学顕微鏡の対物レンズは20倍を使用し、観察視野635μm×480μmで観察を行った。この工程を複数回繰り返し、円形状ピットまたは楕円形状ピットが観察されなくなった時点におけるガラス板10のエッチング量を、「潜傷深さ」とした。
本実施形態のガラス板10において、DOLに対し潜傷深さが0.9以下となるように化学強化を行うことで、面取り部に潜傷が存在していたとしても圧縮応力層の効果を得ることができるため好ましい。より好適な実施形態としてはDOLに対し潜傷深さが0.7以下であり、さらに好ましくは0.5以下である。ここでのDOLは面取り部におけるDOLを測定することが好ましいが、面取り部と主面との境界領域から10mm内側のDOLを測定しても構わない。その領域のDOLが面取り部の潜傷深さに対して0.9以下であれば同様の効果を得ることができる。より詳細な評価として、ガラス板の4辺の各辺の中央において面取り部と主面との境界領域から10mm内側のDOLと面取り部の潜傷深さがそれぞれ0.9以下となるようにしても構わない。
次に、ブラシ研磨方法について説明する。図9〜図11は、ブラシ研磨方法の説明図である。図9は、素板(もといた)であるガラス板110を含む積層体130と、積層体130の外縁部を研磨するブラシ140とを示す。図10は、積層体130の外縁部をブラシ140で研磨している状態を拡大して示す。図11はブラシ研磨後のガラス板110Aを実線で示し、ブラシ研磨前のガラス板110を2点鎖線で示す。
本実施形態のガラス板のブラシ研磨方法は、ガラス板110同士の間にスペーサ120を介在させて、積層体130を作製する積層工程と、積層体130の外縁部をブラシ140で研磨する研磨工程とを有する。また、ガラス板の製造方法は、ガラス板110をブラシ140で研磨して得られるガラス板110Aとスペーサ120とを分離する分離工程をさらに有する。
積層体130は、図9に示すように、複数のガラス板110と、ガラス板110同士の間に介在される板状のスペーサ120とを有する。ガラス板110と、スペーサ120とは交互に重ねられたうえで、クランプなどの治具で挟んで固定される。ガラス板110とスペーサ120との間に、ガラス板110の損傷を防止するための保護シートが配設されてもよい。保護シートは、樹脂などで構成される。
なお、本実施形態のガラス板110とスペーサ120とは治具で固定されるとしたが、固定方法は特に限定されない。例えば、固定方法はガラス板110とスペーサ120とを接着する方法であってもよい。接着剤としては、研磨工程後の分離工程において除去可能なものが用いられ、例えば熱軟化性の樹脂が用いられる。ガラス板110とスペーサ120の間に接着剤層を形成する代わりに、スペーサ120自体を接着剤層として用いてもよい。
各ガラス板110は、例えばガラス板110よりも大面積の板ガラスを化学強化した後、切断して複数枚取りされることがある。板ガラスの種類、化学強化方法、切断方法については、上記の内容と同様であるので説明を省略する。
各ガラス板110は、図10に示すように、2つの主平面111、112と、2つの主平面111、112に隣接する側面113とを有する。2つの主平面111、112は、互いに平行な平坦面である。側面113は切断面であって、主平面111、112と垂直な平坦面である。
各ガラス板110は、図6に示すガラス板10と同様に、両主平面111、112に各主平面111、112から所定の深さで形成される圧縮応力層を有する。圧縮応力層の間には、応力の釣り合いのため、引張応力層が形成される。また、各ガラス板110は、図6に示すガラス板10と同様に、側面113に、化学強化による引張応力が残留する領域が存在する。
各ガラス板110は、図10に示すように、略同じ寸法形状を有し、積層方向視(図中、矢印X方向)において互いに外縁が重なるように積層されている。よって、各ガラス板110の外縁部が均等に研磨される。
各スペーサ120は、ガラス板よりも軟質の材料が用いられ、例えば、ポリプロピレン樹脂や発泡ウレタン樹脂などで構成される。
各スペーサ120は、略同じ寸法形状を有する。各スペーサ120は、積層方向視(図中、矢印X方向視)においてガラス板110の外縁よりも内側に配置され、ガラス板110同士の間に溝状の隙間160を形成する。
ブラシ140は、図9に示すようにロールブラシであって、積層体130の積層方向と平行な回転軸141、回転軸141に対して略垂直に保持されるブラシ毛142などで構成される。ブラシ140は、回転軸141を中心に回転されながら、積層体130の外縁に沿って相対的に移動され、積層体130の外縁に向かって研磨材を含有するスラリーを吐出し、積層体130の外縁部をブラシ研磨する。研磨材としては、酸化セリウム、ジルコニアなどが用いられる。研磨材の粒径(D50)は、例えば5μm以下であり、好ましくは2μm以下である。
ブラシ140は、チャンネルブラシであって、複数のブラシ毛142が植毛された長尺の部材(チャンネル)を回転軸141に螺旋状に巻き付けてなる。
ブラシ毛142は、ポリアミドなどの樹脂で主に構成され、アルミナ(Al)や炭化ケイ素(SiC)、ダイヤモンドなどの研磨材を含んでもよい。ブラシ毛142は、線状に形成され、先細り状の先端部を有してもよい。
本実施形態では、隙間160の幅W1が、ブラシ毛142の最大直径Aの1.25倍以上(W1≧1.25×A)である。そのため、図5に示すように、ブラシ毛142が隙間160内に滑らかに挿入され、ガラス板110の主平面111、112と側面113との角部がブラシ毛142で曲面に面取りされる。
隙間160の幅W1は、好ましくは1.33×A以上、さらに好ましくは1.5×A以上である。隙間160の幅W1は、ブラシ研磨の効率を向上するため、ガラス板110の板厚Eよりも小さくてよい。
ブラシ140で研磨されたガラス板110Aは、図11に実線で示すように、2つの主平面111A、112Aと、2つの主平面111A、112Aに隣接する側面113Aとを有する。2つの主平面111A、112Aは互いに平行な平坦面である。側面113Aは、主平面111A、112Aに対して垂直な平坦部114Aと、各主平面111A、112Aと平坦部114Aとの間に形成される面取り部115A、116Aとで構成される。面取り部115A、116Aは、板厚方向視(X方向視)において主平面111A、112Aから平坦部114Aにかけて外方に徐々に突出する曲面である。
平坦部114Aは、図11に2点鎖線で示すガラス板110の側面を柔らかいブラシ毛142で研磨してなる。面取り部115A、116Aは、図11に2点鎖線で示すガラス板110の主平面と側面との角部をブラシ毛142の外周面で研磨してなる。
ガラス板110Aの側面113Aは、スペーサ120によって調整された隙間にブラシ毛142を挿入し、粒径が5μm以下の研磨材を含むスラリーを用いて研磨されているので、側面113Aの所定部分を深さ10μmエッチングしたとき、エッチング面に深さ1μm以上のピットがない。所定部分は、側面113Aのうち、面取り部115A、116Aに隣接する主平面111A、112Aからの板厚方向における距離が板厚の1/5以内の部分のことである。
また、以下に記載するようにブラシ研磨のための積層体を形成する前に、ガラス板の外縁部を研削する工程をさらに有しても構わない。図12〜図14は、本発明の第3の実施形態によるガラス板の製造方法の説明図である。図12は、素板(もといた)であるガラス板110及びガラス板110の外縁部を研削する回転砥石240を示す。図13は、回転砥石240で研削されたガラス板110Bを含む積層体130Bの外縁部をブラシ140(図10参照)で研磨している状態を拡大して示す。図14は、ブラシ研磨後のガラス板110Cを実線で示し、ブラシ研磨前のガラス板110Bを2点鎖線で示す。
ガラス板の製造方法は、ガラス板110の外縁部を円盤状の回転砥石240で研削する研削工程と、ガラス板110を研削して得られるガラス板110B同士の間にスペーサ120を介在させて、積層体130Bを作製する積層工程と、積層体130Bの外縁部をブラシ140で研磨する研磨工程とを有する。また、ガラス板の製造方法は、ガラス板110Bをブラシ140で研磨して得られるガラス板110Cとスペーサ120とを分離する分離工程をさらに有する。
回転砥石240の外周面241には、周方向に延びる環状の研削溝242が形成されている。研削溝242の壁面は、アルミナや炭化ケイ素、ダイヤモンドなどの砥粒を含む。砥粒の粒度(JIS R6001)は、例えば#300〜#2000である。粒度はJIS R6002に基づいて測定される。粒度が小さくなるほど、粒径が大きくなるので、研削効率がよい。
回転砥石240は、回転砥石240の中心線を中心に回転されながら、ガラス板110の外縁に沿って相対的に移動され、ガラス板110の外縁部を研削溝242の壁面で研削する。研削時に水などの冷却液が用いられてよい。
回転砥石240で研削されたガラス板110Bは、図13に示すように、2つの主平面111B、112Bと、2つの主平面111B、112Bに隣接する側面113Bとを有する。側面113Bは、回転砥石240で研削された研削面であって、主平面111B、112Bに対して垂直な平坦部114Bと、各主平面111B、112Bと平坦部114Bとの間に形成される面取り部115B、116Bとで構成される。面取り部115B、116Bは、例えば主平面111B、112Bに対して斜めの平坦面である。
なお、本実施形態の面取り部115B、116Bは、主平面111B、112Bに対して斜めの平坦面であるが、板厚方向視(X方向視)において主平面111B、112Bから平坦部114Bにかけて外方に徐々に突出する面であればよく、湾曲面であってもよい。この場合、平坦部114Bがなく、面取り部115B、116B同士がつながっていてもよく、面取り部115B、116Bは略同じ曲率半径を有してもよい。
積層体130Bは、回転砥石240で研削された複数のガラス板110Bと、ガラス板110B同士の間に介在される板状のスペーサ120とを有する。ガラス板110Bと、スペーサ120とは、交互に重ねられたうえで、クランプなどの治具で挟んで固定される。ガラス板110Bとスペーサ120との間に、ガラス板110Bの損傷を防止するための保護シートが配設されてもよい。保護シートは、樹脂などで構成される。なお、ガラス板110Bとスペーサ120とを固定する方法として、別の固定方法が用いられてもよい。
回転砥石240で研削された各ガラス板110Bは、略同じ寸法形状を有し、積層方向視(図中、矢印X方向)において互いに外縁が重なるように積層されている。よって、各ガラス板110Bの外縁部が均等に研磨される。研磨時に水などの冷却液が用いられてよい。
各スペーサ120は、略同じ寸法形状を有し、積層方向視(図中、矢印X方向視)において、各ガラス板110Bの研削面(平坦部114B及び面取り部115B、116B)よりも内側に配置され、ガラス板110B同士の間に隙間160Bを形成する。
本実施形態では、隙間160Bの幅W2がブラシ毛142の最大直径Aの1.25倍以上(W2≧1.25×A)である。そのため、図13に示すように、ブラシ毛142が隙間160B内に滑らかに挿入され、ガラス板110Bの主平面111B、112Bと面取り部115B、116Bとの境界部がブラシ毛142で曲面に面取りされる。このとき、面取り部115B、116Bと平坦部114Bとの境界部もブラシ毛142で曲面に面取りされる。
隙間160Bの幅W2は、好ましくは1.33×A以上、さらに好ましくは1.5×A以上である。隙間160Bの幅W2は、ブラシ研磨の効率を向上するため、ガラス板110Bの板厚Eよりも小さくてよい。
ブラシ140で研磨されたガラス板110Cは、図14に実線で示すように、2つの主平面111C、112Cと、2つの主平面111C、112Cに隣接する側面113Cとを有する。2つの主平面111C、112Cは互いに平行な平坦面である。側面113Cは、主平面111C、112Cに対して垂直な平坦部114Cと、各主平面111C、112Cと平坦部114Cとの間に形成される面取り部115C、116Cとで構成される。面取り部115C、116Cは、板厚方向視(X方向視)において主平面111C、112Cから平坦部114Cにかけて外方に徐々に突出する面である。
ガラス板110Cの側面113Cは、スペーサ120によって調整された隙間にブラシ毛を挿入し、粒径5μm以下の研磨材を含むスラリーを用いて研磨されているので、側面113Cの所定部分をエッチングした際にエッチング面に深さ1μm以上のピットがない。所定部分は、側面113Cのうち、面取り部115C、116Cに隣接する主平面111C、112Cからの板厚方向における距離が板厚の1/5以内の部分のことである。よって、第1の実施形態と同様の曲げ強度に優れたガラス板110Cが得られる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上記の実施形態に種々の変形や置換を加えることができる。
例えば、実施形態の回転砥石の外周面には、研削溝が形成されているが、形成されてなくてもよい。研削溝がない場合、回転砥石の外周面で研削されたガラス板の側面は主平面に垂直な面となる。そのため、研削溝がない場合、研削によって図11に2点鎖線で示す素板110と略同じ形状のガラス板が得られ、その後のブラシ研磨で図11に実線で示すガラス板110Aと略同じ形状のガラス板が得られる。
また、研削溝のある回転砥石で研削する代わりに、ガラス板の角部をシートで研磨してもよい。また、研削溝のある回転砥石で研削する代わりに、研削溝のない回転砥石で研削した後に、研削されたガラス板の角部をシートで研磨してもよい。
本発明の強化ガラス板を得るための化学強化処理の方法としては、ガラス表層のNaと溶融塩中のKとをイオン交換できるものであれば特に限定されないが、例えば加熱された硝酸カリウム溶融塩にガラスを浸漬する方法が挙げられる。なお、本発明において硝酸カリウム溶融塩または硝酸カリウム塩はKNOの他、KNOと10質量%以下のNaNOを含有するものなどを含む。
ガラスに所望の表面圧縮応力を有する化学強化層(圧縮応力層)を形成するための化学強化処理条件はガラス板であればその厚みなどによっても異なるが、350〜550℃の硝酸カリウム溶融塩に2〜20時間ガラス基板を浸漬させることが典型的である。経済的な観点からは350〜500℃、2〜16時間の条件で浸漬させることが好ましく、より好ましい浸漬時間は2〜10時間である。
本発明のガラス板は概略矩形を呈しているが、正面視においてコーナーが曲線状になっていても、辺部において面方向外側または内側に突出またはくぼみを有していてもよい。
本発明におけるガラス板の製造方法に特に制限はないが、例えば種々の原料を適量調合し、約1400〜1800℃に加熱し溶融した後、脱泡、攪拌などにより均質化し、周知のフロート法、ダウンドロー法、プレス法などによって板状に成形し、徐冷後所望のサイズに切断して製造される。
本発明のガラス板のガラスのガラス転移点Tgは400℃以上であることが好ましい。400℃未満ではイオン交換時に表面圧縮応力が緩和してしまい、十分な応力を得られないおそれがある。より好ましくは550℃以上である。
本発明のガラス板のガラスの粘度が10dPa・sとなる温度T2は好ましくは1800℃以下、より好ましくは1750℃以下である。
本発明のガラスの粘度が10dPa・sとなる温度T4は1350℃以下であることが好ましい。
本発明のガラス板のガラスの比重ρは2.37〜2.55であることが好ましい。
本発明のガラス板のガラスのヤング率Eは65GPa以上であることが好ましい。68GPa未満ではガラスのカバーガラスとしての剛性や破壊強度が不十分となるおそれがある。
本発明のガラス板のガラスのポアソン比σは0.25以下であることが好ましい。0.25超ではガラスの耐クラック性が不十分となるおそれがある。
次に、本発明のガラス板のガラス組成について、特に断らない限りモル百分率表示含有量を用いて説明する。
SiOはガラスの骨格を構成する成分であり必須であり、また、ガラス表面に傷(圧痕)がついた時のクラックの発生を低減させる、または化学強化後に圧痕をつけた時の破壊率を小さくする成分である。SiOが56%未満ではガラスとしての安定性や耐候性またはチッピング耐性が低下する。SiOは好ましくは58%以上、より好ましくは60%以上である。SiOが75%超ではガラスの粘性が増大して溶融性が低下する。
Alはイオン交換性能及びチッピング耐性を向上させるために有効な成分であり、表面圧縮応力を大きくする成分であり、または110°圧子で圧痕をつけた時のクラック発生率を小さくする成分であり、必須である。Alが5%未満ではイオン交換により、所望の表面圧縮応力値または圧縮応力層厚みが得られなくなる。好ましくは9%以上である。Alが20%超ではガラスの粘性が高くなり均質な溶融が困難になる。Alは好ましくは15%以下、典型的には14%以下である。
SiO及びAlの含有量の合計SiO+Alは80%以下であることが好ましい。80%超では高温でのガラスの粘性が増大し、溶融が困難となるおそれがあり、好ましくは79%以下、より好ましくは78%以下である。また、SiO+Alは70%以上であることが好ましい。70%未満では圧痕がついた時のクラック耐性が低下し、より好ましくは72%以上である。
NaOはイオン交換により表面圧縮応力層を形成させ、またガラスの溶融性を向上させる成分であり、必須である。NaOが8%未満ではイオン交換により所望の表面圧縮応力層を形成することが困難となり、好ましくは10%以上、より好ましくは11%以上である。NaOが22%超では耐候性が低下する、または圧痕からクラックが発生しやすくなる。好ましくは21%以下である。
Oは必須ではないがイオン交換速度を増大させるため、10%以下の範囲で含有してもよい。10%超では圧痕からクラックが発生しやすくなる、または硝酸カリウム溶融塩中のNaNO濃度による表面圧縮応力の変化が大きくなるおそれがある。KOは5%以下、より好ましくは0.8%以下、さらに好ましくは0.5%以下、典型的には0.3%以下である。硝酸カリウム溶融塩中のNaNO濃度による表面圧縮応力の変化を小さくしたい場合にはKOは含有しないことが好ましい。
MgOは表面圧縮応力を大きくする成分であり、また溶融性を向上させる成分であり、必須である。応力緩和を抑制したい場合などにはMgOを含有させることが好ましい。MgOを含有しない場合は化学強化処理を行う際に溶融塩温度のばらつきに起因して応力緩和の度合いが化学強化処理槽の場所により変化しやすくなり、その結果安定した圧縮応力値を得ることが困難になるおそれがある。また、MgOが14%超ではガラスが失透しやすくなり、または硝酸カリウム溶融塩中のNaNO濃度による表面圧縮応力の変化が大きくなるおそれがあり、好ましくは13%以下である。
前記SiO−MgOは、好ましくは64%以下、より好ましくは62%以下、典型的には61%以下である。
前記Al−MgOは、好ましくは9%以下、より好ましくは8%以下である。
SiO、Al、NaO及びMgOの含有量の合計は98%以上であることが好ましい。当該合計が98%未満ではクラック耐性を維持しつつ所望の圧縮応力層を得ることが困難になるおそれがある。典型的には98.3%以上である。
ZrOは必須ではないが、高温での粘性を低下させるために、または表面圧縮応力を大きくするために5%までの範囲で含有してもよい。ZrOが5%超では圧痕からクラックが発生する可能性が高まるおそれがある。そのため、2%以下が好ましく、1%以下がさらに好ましく、典型的にはZrOは含有しない。
は必須ではないが、高温での溶融性またはガラス強度の向上等のために6%以下の範囲で含有してもよい。Bが6%超では均質なガラスを得にくくなり、ガラスの成型が困難になるおそれがある、またはクラック耐性が低下するおそれがある。典型的にはBは含有しない。
SiO、Al、NaO及びMgOの含有量の合計は好ましくは98%以上である。
本発明のガラス板の好ましいガラス成分は本質的に以上で説明した成分からなるが、本発明の目的を損なわない範囲でその他の成分を含有してもよい。そのような成分を含有する場合、それら成分の含有量の合計は2%未満であることが好ましく、より好ましくは1%以下である。以下、上記その他成分について例示的に説明する。
ZnOはガラスの高温での溶融性を向上するために例えば2%まで含有してもよい場合があるが、好ましくは1%以下であり、フロート法で製造する場合などには0.5%以下にすることが好ましい。ZnOが0.5%超ではフロート成型時に還元し製品欠点となるおそれがある。典型的にはZnOは含有しない。
TiOはガラス中に存在するFeイオンと共存することにより、可視光透過率を低下させ、ガラスを褐色に着色するおそれがあるので、含有するとしても1%以下であることが好ましく、典型的には含有しない。
LiOは歪点を低くして応力緩和を起こりやすくし、その結果安定した表面圧縮応力層を得られなくする成分であるので含有しないことが好ましく、含有する場合であってもその含有量は1%未満であることが好ましく、より好ましくは0.05%以下、特に好ましくは0.01%未満である。
また、LiOは化学強化処理時にKNOなどの溶融塩中に溶出することがあるが、Liを含有する溶融塩を用いて化学強化処理を行うと表面圧縮応力が著しく低下する。LiOはこの観点からは含有しないことが好ましい。
CaOは高温での溶融性を向上させる、または失透を起こりにくくするために5%以下の範囲で含有してもよい。CaOが5%超ではイオン交換速度またはクラック発生に対する耐性が低下する。典型的にはCaOは含有しない。
SrOは必要に応じて含有してもよいが、MgO、CaOに比べてイオン交換速度を低下させる効果が大きいので含有する場合であってもその含有量は1%未満であることが好ましい。典型的にはSrOは含有しない。
BaOはアルカリ土類金属酸化物の中でイオン交換速度を低下させる効果が最も大きいので、BaOは含有しないこととするか、含有する場合であってもその含有量は1%未満とすることが好ましい。
SrOまたはBaOを含有する場合それらの含有量の合計は1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.3%未満である。
CaO、SrO、BaO及びZrOのいずれか1以上を含有する場合それら4成分の含有量の合計は1.5%未満であることが好ましい。当該合計が1.5%以上ではイオン交換速度が低下するおそれがあり、典型的には1%以下である。
ガラスの溶融の際の清澄剤として、SO、塩化物、フッ化物などを適宜含有してもよい。ただし、タッチパネルなどディスプレイ装置の視認性を上げるため、可視域に吸収をもつFe、NiO、Crなど原料中の不純物として混入するような成分はできるだけ減らすことが好ましく、各々質量百分率表示で0.15%以下であることが好ましく、より好ましくは0.05%以下である。
<実施例>
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
実施例として、板厚の異なるガラス板を複数準備(0.6mm、1.0mm、1.1mm)し、それぞれのガラス板に対して化学強化処理を行った。その化学強化後のサンプルに対し端面をブラシ研磨したものとCNC研磨したものを用意し、それぞれ衝撃強度を測定した。その結果を以下の表3に示す。なお、表3において各数値は平均値を示しており、CNC研磨には♯600の砥石を用いて研磨を行った。
実施例1〜6、8は端面仕上げがブラシ研磨により行われており、いずれも高い0.1J以上の高い衝撃強度を有する。一方、比較例1〜6はいずれも端面仕上げがCNC研磨により行われており、いずれも衝撃強度が0.1Jよりも小さい値となった。
実施例7は1000MPa以上の高いCSを有しており、端面仕上げにブラシ研磨を行わなくても、0.1J以上の高い衝撃強度を有した。
以上の実施例より、衝撃強度は端面仕上げ、CS及び板厚にそれぞれ依存し、それらを調整することによって0.1J以上の衝撃強度を有するガラス板を作成することができる。
Figure 2015205779
ディスプレイ装置のカバーガラスなどに利用できる。また、太陽電池基板や航空機用窓ガラスなどにも利用することができる。
10 ガラス板
11、12 主面
13 端面
13a、13b 端面の所定部分
15、16 面取り部
17 エッチング面
18 ピット
21、22 化学強化層(圧縮応力層)
23 引張応力層

Claims (6)

  1. 表面、裏面及び端面を有し、前記端面に面取り部を有する化学強化ガラス板であって、
    前記表面及び裏面を鉛直面に対して20度以下の角度をなすように配置し、前記裏面を平板に接触させながら前記板ガラスを固定し、前記板ガラスを固定した状態で前記表面と面取り部との境界に直径40mmの衝撃子を衝突させる衝撃試験において、前記化学強化ガラス板の破壊時の平均エネルギーが0.1J以上であることを特徴とする化学強化ガラス板。
  2. 前記面取り部に隣接する主面からの板厚方向における距離が板厚の1/5以内の部分において、エッチングした際にエッチング面に深さ1μm以上のピットがないことを特徴とする請求項1に記載の化学強化ガラス板。
  3. 前記板ガラスの端面の厚さは0.6mm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の化学強化ガラス板。
  4. 前記板ガラスは表面に圧縮応力層を有し、前記圧縮応力層の圧縮応力が500MPa以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の化学強化ガラス板。
  5. 表面、裏面及び端面を有し、前記端面に面取り部を有するガラス板の衝撃試験方法であって、
    前記表面及び裏面を鉛直面に対して20度以下の角度をなすように配置し、前記裏面を平板に接触させながら前記ガラス板を固定する工程と、
    前記ガラス板を固定した状態で前記表面と面取り部との境界に衝撃子を衝突させる工程と、
    前記衝撃子の衝突後、前記ガラス板の裏面と面取り部との境界を起点とした破壊の有無を確認する工程を備えることを特徴とした化学強化ガラス板の衝撃試験方法。
  6. 前記衝撃子は、支持部材を介して水平方向に延びる回転軸に接続されており、前記衝撃子を持ち上げて前記回転軸を中心に回転させて前記支持部材が鉛直となる中立位置で前記板ガラスに衝突させることを特徴とする請求項5記載の化学強化ガラス板の衝撃試験方法。
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