JP2015193967A - 偽造防止用シート状物 - Google Patents

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敬治 室伏
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Abstract

【課題】特別な器具を使用せず簡易的に真贋を判定することが可能であり、かつ、高度な偽造防止効果を有する偽造防止用シート状物を提供する。【解決手段】外力を与えることにより発光する機能を有する応力発光材料をシート中に含有する偽造防止用シート状物であって、当該応力発光材料の少なくとも一部がシートを形成する繊維の被覆により、シートに内包されている偽造防止用シート状物。特に、応力発光材料がシート全体に分布すること、または、紙層間に存在するとよい。【選択図】なし

Description

本発明は、各種チケット、紙幣、小切手、株券、債券、商品券、カード、機密文書、パスポート、身分証明書等の偽造防止の用途で用いられ、偽造、改竄等の不正行為が困難な偽造防止用シート状物に関する。
従来、商品券等の偽造防止用紙に代表される偽造防止用シート状物は、不正な偽造又は変造を防止するために多種多様の偽造防止対策が施されている。偽造防止対策の一つは、容易に偽造できない高度な製造技術を用いて紙幣、商品券等のベースとなるシート状物を製造することである。その一例として、プラスチックフィルム等の基材を幅数mm程度のひも状に切断して得られるスレッドを用紙内に抄き込んだ「スレッド入り紙」と称される偽造防止用紙がある(例えば、特許文献1)。前記スレッドとしては、例えば、ホログラムパターンを有するもの、磁気的情報を記録したもの、特定の波長の光によって発色するもの、微小な文字を記載したもの、等の様々なスレッドが用途に応じて使用されている。
しかしながら、いったん偽造防止の技術を確立したとしても、新たな偽造の手段が次々と生み出されているのが現状であり、新たに出現する偽造手段に対抗すべく、新規の偽造防止技術が常に求められている。加えて、特別な器具を使わずとも簡易的に真贋を判定できる偽造防止技術が必要とされている。例えば、商品券等を買い取る店において、店員がその場で容易に商品券を真贋判定できるような技術が要求されている。
機械的な外力によって発光する材料が知られている。この発光は応力発光と呼ばれ、主に弾性領域や塑性領域での変形により繰り返し発光する現象であり、破壊を伴わない微少な応力によって光が放出されるものである。この応力発光材料は、ユーロピウムを発光中心として添加させたアルミン酸ストロンチウム(SrAl:Eu)やマンガンを発光中心として添加させた硫化亜鉛(ZnS:Mn)等が知られている。
特許文献2では、応力発光材料を含む印刷インキにより印刷されたシート状印刷物が提案されている。これは真贋判定に特別な機器を利用せず、目視で簡易的に真贋判定できる利便性を有した新規の偽造防止技術である。
しかしながら、印刷による付与自体は簡便に行えるため、応力発光材料を含む印刷インキによる印刷の場合、いったん応力発光材料さえ入手すれば、容易に偽造される懸念がある。また、応力発光材料を含む従来のシート状物は発光特性に劣り、特に、応力印加時の発光がぼやけた状態となる傾向にあった。
特開2003−306896号公報 特許第5182142号公報
本発明は、新たな偽造防止用の材料として、有効な新規の偽造防止材料を提供することを課題とし、特に、簡易的に真贋を判定することのできる偽造防止用シート状物を提供する。また、偽造防止用シート状物として改善された発光特性を有する偽造防止用シート状物を提供することを課題とする。
本発明者らは、偽造防止用シート状物として、応力発光材料をシート状物の内部に含有することにより、応力発光材料を印刷で付与する従来のシート状印刷物よりも高い偽造防止効果と優れた視認効果を得ることを見出した。
すなわち、本発明は、応力発光材料を含むシート状物であって、応力発光材料の少なくとも一部が、シート状物を形成する繊維の被覆により該シート状物に内包されている、偽造防止用シート状物である。
前記応力発光材料は、外力を与えることにより可逆的に発光することが好ましい。
前記繊維の少なくとも一部は、木材パルプ、非木材パルプ、再生パルプのいずれかを含むことが好ましい。
前記応力発光材料は、Z軸方向でシート全体に分布していることが好ましい。
前記シート状物が積層構造であることが好ましい。
前記応力発光材料が層間に存在することが好ましい。
前記偽造防止用シート状物は、JAPAN TAPPI No.40に準拠したガーレー剛度が1.55mN以下であることが好ましい。
前記偽造防止用シート状物のガーレー剛度は、0.40mN以下であることが更に好ましい。
前記偽造防止用シート状物は、屈折変形可能であり、屈折変形時に屈折部位が発光することが好ましい。また、前記屈折変形時に、前記屈折部位が複数形成され、前記複数の屈折部位の相対位置が変動することが更に好ましい。
本発明の偽造防止用シート状物は、以下に記載する効果を奏するため、各種チケット、紙幣、小切手、株券、債券、商品券、カード、機密文書、パスポート、身分証明書等の偽造防止対策として好適に使用することができる。
(1)特別な機器を使用せずとも、外力による発光を目視確認することにより容易に真贋判定が可能となる。
(2)印刷により応力発光材料が付与されたシート状物とは異なる発光効果を示し、偽造防止効果を高めることが可能となる。
(3)応力発光材料が繊維に被覆されているため、単にシート状物の表面に印刷等で応力発光材料を配置させるよりも製造技術や特別な設備が必要である。よって、偽造を企てる者にとっては、偽造がより困難となる。
(4)応力発光材料が繊維で被覆されているため、印刷により応力発光材料が付与されたシート状物に比べて加工処理時の物理的接触や引っ掻き等による応力発光材料の脱落や損傷が軽減できる。
(5)偽造防止用シート状物の剛度を制御することで、優れた発光特性を有する。特に、応力印可時に稲妻のようなシャープな発光を実現することができる。
本発明の偽造防止用シート状物は、少なくとも1種の応力発光材料を含む。用語「応力発光材料」は、外部から加えられた力によって発光する材料であり、「応力発光性材料」又は「応力発光性物質」と同義である。すなわち、応力発光材料は、外部から加えられた力を受けて材料自体が発光するという性質を有し、かつその力に比例して発光強度が変化する。例えば、応力発光材料を含有する箇所を指で折り曲げたり爪で圧力を加えたりした際に、その物理的な力に応答してシート状物の表面が発光するように設計しておけば、誰でもその真贋の判定を容易に識別することができる。
本発明の偽造防止用シート状物は、応力発光材料の少なくとも一部が繊維により被覆されて、当該応力発光材料がシート状物に内包されていればよい。応力発光材料を繊維で被覆させるには、後述するような製造手法による設備が必要となるので、同じシート状物を偽造するには技術的な負担やコスト負担を要する。そのため、シート表面に印刷や貼合などで応力発光材料を設けた偽造防止用シート状物よりも本発明の偽造防止用シート状物は偽造が困難となる。また、偽造防止用シート状物中に応力発光材料が内包されることで、引っ掻きや加工処理時の物理的な接触等による応力発光材料の脱落や損傷を防ぐことができる。
本発明では、応力発光材料のシート状物への付与方法には特に限定はなく公知の手段が使用できる。例えば、偽造防止用シート状物の原料調製の段階で応力発光材料を含有させてもよく、シート状物の抄造段階で付与させてもよい。あるいは、偽造防止用シート状物が積層構造とする場合は層間に応力発光材料が付与されてもよい。また、偽造防止用シート状物の全面に応力発光材料が備えられていてもよく、部分的に備えられていてもよい。特に、応力発光材料を任意の形状となるようにシート状物へ配置させることで、偽造防止効果の向上や意匠性の向上が可能となる。
前記原料調製の段階での応力発光材料の添加は、特に添加場所の限定はなく、例えば抄紙法の場合はミキシングエンジンやマシンチェストなど、ワイヤーパートまでの段階で添加することができる。
前記抄造段階では、例えば、工程中に水分散した応力発光材料を噴霧することによりシート状物へ付与することが挙げられる。噴霧方法として、スプレー方式が考えられ、スプレーノズルの調整やパーテーションの使用などにより、シート状物の部分的に応力発光材料を付与することができる。
本発明では、偽造防止用シート状物を積層構造とすることが好ましい。その層間に応力発光材料を付与することで、応力発光材料の歩留まりが向上し、その結果発光強度を高くすることができる。積層構造層間に応力発光材料を付与する場合、応力発光材料単独で付与するとシート状物の層間強度が低下するため、応力発光材料と併せて澱粉、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を同時に付与すると、層間強度の低下を軽減することが可能である。前記の層間に応力発光材料を付与する方法として、例えば前記スプレー方式等の噴霧することが挙げられる。
本発明では、シート状物中における応力発光材料の分布を変えることができる。特に本発明の偽造防止用シート状物は、従来の印刷による応力発光材料の付与とは異なり、シート状物のZ軸方向(厚さ方向)でも均一に応力発光材料を分布させることができる。例えば、応力発光材料がZ軸方向でシート全体に分布したシート状物とするには、原料段階で繊維と応力発光材料を混合した単一原料を用意して、抄造すればよい。一方で、応力発光材料をZ軸方向の一部に局在させるには、例えばシート状物を3層以上の多層構造として、特定の中間層にのみ応力発光材料を付与すればよい。応力発光材料のZ軸方向での分布状態により発光の見え方は異なり、目的とする用途や発光の視認性によって適宜選択できる。
本発明で使用する応力発光材料は、無機蓄光材料と同様に、ユーロピウム添加アルミン酸ストロンチウムなどの基本構造式を有する。しかし、無機蓄光材料と異なり、Srへの格子欠陥の与え方など構造を高度に制御した無機結晶骨格の中に発光中心となる元素が存在する。これにより、無機蓄光材料よりも高い発光強度が得られる。応力発光材料の例としては、発光中心の元素としてユーロピウムを添加したアルミン酸ストロンチウム(SrAl24:Eu、緑色に発光)、発光中心としてマンガンを添加した硫化亜鉛(ZnS:Mn、黄緑色に発光)、特開2004−43656号公報に開示されているウルツ鉱型構造とせん亜鉛鉱型構造との共存構造を有する複合半導体結晶、特開2004−059746号公報に開示されているストロンチウム及びアルミニウム含有複合金属酸化物、特開2006−124725号公報に開示されているバリウムの複合酸化物等などが挙げられる。また、本発明の偽造防止用シート状物は、例えば商品券のように消費者、小売店、発行会社等、使用される場面に応じて真贋判定が繰り返し行われることが想定されるため、加圧するたびに発光が生じるような可逆的な応力発光材料を使用することが好ましい。また、可視光領域の中で特に人間の視感度が高い500〜600nmの緑色領域で発光する前記アルミン酸ストロンチウムを用いると肉眼でも確認が容易となり、好ましい。
本発明の偽造防止用シート状物は、2種類以上の応力発光材料を用いることが好ましい。異なる応力発光の波長を示す2種類以上の応力発光材料を付与することで、偽造がさらに困難となるため偽造防止効果が高まるからである。
本発明の偽造防止用シート状物に使用される繊維は、無機系又は有機系の各種の繊維を単独で、或いは、複数種類組み合わせて使用することができる。無機系繊維としては、例えば、ガラス、金属、セラミックス、炭素等からなる繊維が挙げられる。また、有機系繊維としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ボリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、及び、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、からなる繊維が挙げられる。特に耐熱性の点では無機系繊維が好ましく、一方で柔軟性の点では有機系繊維が好ましい。
前記繊維として、特に木材パルプ、非木材パルプ、再生パルプのいずれかを含むと、湿式抄紙等でシート状物を形成することで繊維間の水素結合によりシート状物の強度を向上させることができるので好ましい。例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の木材パルプ;他、麻、竹、藁、ケナフ、三椏、楮、木綿等の非木材パルプ;レーヨン、キュプラ等の再生パルプ等が挙げられる。これら木材パルプ、非木材パルプ、再生パルプの添加量は、繊維全体の10質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更により好ましい。これら以外の繊維としては、特に限定はないが合成繊維や無機繊維等を使用できる。合成繊維としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリエステル、ポリエステル誘導体、アクリル系重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンゾイミダゾール、ポリ−p−フェニレンベンゾビスチアゾール、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリテトラフルオロエチレン、これらの誘導体からなる単繊維又はこれらの樹脂を2種類以上複合してなる複合繊維が挙げられる。無機繊維としては、シリカ・アルミナ繊維、アルミナ繊維、ガラス繊維、マイクロガラス繊維、ジルコニア繊維、窒化珪素繊維、炭化珪素繊維等が挙げられる。
前記繊維を用いて偽造防止用シート状物を形成する手法は特に限定はなく、公知の湿式抄紙法、不織布の湿式法又は乾式法を用いることができる。例えば長網抄紙機、短網抄紙機、円網抄紙機、あるいはこれらのコンビネーション抄紙機などの公知の湿紙抄紙技術、エアレイド法、サーマルボンド法、スパンボンド法等の製造方法が挙げられる。
本発明の偽造防止用シート状物は、繊維以外の他の成分を含有することができる。例えば、澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン等のバインダー又は定着剤、サイズ剤、填料、濾水歩留り向上剤、耐水化剤、定着剤、消泡剤、スライムコントロール剤等の1種又は2種以上が適宜使用できる。
本発明の偽造防止用シート状物は、そのガーレー剛度を制御することで、当該偽造防止用シート状物に応力を印可した際に稲妻のようなシャープな発光を実現できる。
斯くして、本発明の偽造防止用シート状物は、JAPAN TAPPI No.40に準拠したガーレー剛度が1.55mN以下であることが好ましく、0.40mN以下であることがより好ましい。
本発明の偽造防止用シート状物のJAPAN TAPPI No.40に準拠したガーレー剛度は、例えば、繊維の種類や配合量、繊維とともに配合する他の成分の種類や配合量、シート状物の坪量や密度、シート状物に含まれる応力発光材料の種類及び配合量等によって制御することが可能である。
本発明の偽造防止用シート状物は、上記の特定のガーレー剛度範囲を有するので、人力で変形可能である。したがって、本発明の偽造防止用シート状物は、人力によって機械的な外力を本発明の偽造防止用シート状物に付与することで発光可能である。
例えば、本発明の偽造防止用シート状物は、手で屈折変形可能であり、屈折部位に機械的な外力を容易に集中させることができる。そして、本発明の偽造防止用シート状物は、上記の特定のガーレー剛度範囲を有するので、屈折部位が少なくとも直線を含む幾何学形状を形成可能である。このために、本発明の偽造防止用シート状物は、応力印可時に稲妻のようなシャープな発光を実現することができる。このように、本発明の偽造防止用シート状物は優れた発光特性を有する。
従来、偽造防止用シート状物の発光特性と当該シート状物のガーレー剛度との関係は知られておらず、また、偽造防止用シート状物の発光特性を当該シート状物のガーレー剛度を特定の範囲とすることで制御可能であることも認識されていなかった。ましてや、応力印可時に稲妻のようなシャープな発光を実現するために、偽造防止用シート状物のガーレー剛度を1.55mN以下とすべきことは全く認識されていなかった。したがって、本発明の偽造防止用シート状物は高い技術的意義を備えるものである。
本発明の偽造防止用シート状物は上記のとおり人力で屈折変形可能であるが、屈折変形時に屈折部位が発光することが好ましい。屈折部位に外力が集中すること、並びに、当該屈折部位が少なくとも直線を含む幾何学形状を形成することによって、少なくとも線状の発光部位を含む応力発光を実現することができる。
また、本発明の偽造防止用シート状物は、前記屈折変形時に、前記屈折部位が複数形成され、当該複数の屈折部位の相対位置が変動可能であることが好ましい。この場合、本発明の偽造防止用シート状物を手でくしゃくしゃに、又は、瞬間的に変形させることが可能であり、その際に、屈折部位の相対位置が短時間に変動することによって、発光部位の相対位置が短時間(例えば、1〜2秒間)に変動し、暗闇では、あたかも、稲妻が走るような発光形態を実現することができる。稲妻状発光のために本発明の偽造防止用シート状物に印可される外力は小さい方が好ましいが、稲妻状に発光する限り、本発明の偽造防止用シート状物に印可される外力は大きくてもよい。したがって、稲妻状発光のための本発明の偽造防止用シート状物の屈折変形度は小さい方が好ましいが、稲妻状に発光する限り、本発明の偽造防止用シート状物の屈折変形度は大きくてもよい。特に、本発明の偽造防止用シート状物は、屈折変形時にシート状物に折目が生じるようなシャープな屈折変形を生じることが好ましい。これにより、稲妻状の発光がより容易となる。
本発明の偽造防止用シート状物は、外力を除去した場合に、元の形状に戻る必要はなく、変形状態を維持してもよいが、可逆的に屈折変形可能であることが好ましい。これにより、例えば、手でくしゃくしゃに変形させたとしても、本発明の偽造防止用シート状物は元の形状に戻ることができる。なお、完全に元の形状に戻る必要はなく、一部に、折り目等の屈折変形部位が残存してもよい。
本発明の偽造防止用シート状物は、10〜100g/mの坪量を有することが好ましく、20〜90g/mの坪量を有することがより好ましく、30〜80g/mの坪量を有することが更により好ましい。
本発明の偽造防止用シート状物は、10〜250μmの厚みを有することが好ましく、15〜125μmの厚みを有することがより好ましく、20〜100μmの厚みを有することが更により好ましい。
本発明の偽造防止用シート状物は、性能を損なわない範囲で種々の処理を施してもよい。例えば、コロナ放電処理、プライマー塗工処理、エンボス処理、透明着色層の設置等を適宜行うことができる。
本発明の偽造防止用シート状物には、偽造防止効果を高める目的で各種の偽造防止技術を付与してもよい。例えば、透かし、スレッド、細片、有色繊維、蛍光繊維、磁性繊維、蛍光粒子、蛍光材料、ホログラムラベル、示温材料、パール材料、フォトクロミック材料、ケミカルリアクション等を公知の手法により加えることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。なお、下記ガーレー剛度は、JAPAN TAPPI No.40に準拠して測定したものである。
[実施例1]
<紙料の調製>
NBKP20質量部、LBKP80質量部を400mlC.S.F.に叩解し、紙力増強剤(商品名「ポリストロン117」、荒川化学工業(株)製)0.4質量部、サイズ剤(商品名「サイズパインE50」、荒川化学工業(株)製)1.0質量部、硫酸バンドを2.0質量部、さらに応力発光材料として発光中心としてユウロピウムを添加したアルミン酸ストロンチウム(SrAl:Eu)の粉体15.0質量部を加え紙料を調製した。
<シート状物の抄造>
長網抄紙機を使用して坪量90g/mの偽造防止用シート状物を抄造した。このガーレー剛度は1.51mNであった。得られたシート状物は、指などの加圧により、鮮明な発光が確認された。また印刷とは異なり、シート状物表面のみが発光するのではなく、シート状物の内側も含め、全体的に光を発するような、抄紙タイプ特有の視認性が確認された。
[実施例2]
<紙料の調製>
NBKP20質量部、LBKP80質量部を400mlC.S.F.に叩解し、紙力増強剤(商品名「ポリストロン117」、荒川化学工業(株)製)0.4質量部、サイズ剤(商品名「サイズパインE50」、荒川化学工業(株)製)1.0質量部、硫酸バンドを2.0質量部、下記第1層および第3層用の紙料を調製した。なお、下記の第2層用の紙料として、応力発光材料として発光中心としてユウロピウムを添加したアルミン酸ストロンチウム(SrAl:Eu)の粉体20.0質量部を同紙料へ更に加え調製した。
<シート状物の抄造>
円網抄紙機を使用して坪量90g/mの偽造防止用シート状物を抄造した。層構造は3層で、第1層(20g/m)と第3層(20g/m)は前記の応力発光材料を添加していない紙料を使用し、第2層(40g/m)のみ前記の応力発光材料を固形分で10g/m添加した紙料を使用した。得られたシート状物は、指などの加圧により、鮮明な発光が確認された。また実施例1に比べ、さらにシート状物内側からの発光がより顕著に確認された。
[実施例3]
<紙料の調製>
NBKP20質量部、LBKP80質量部を400mlC.S.F.に叩解し、これに紙力増強剤(商品名「ポリストロン117」、荒川化学工業(株)製)0.4質量部、サイズ剤(商品名「サイズパインE50」、荒川化学工業(株)製)1.0質量部、硫酸バンドを2.0質量部を加え紙料を調製した。
<シート状物の抄造>
円網抄紙機を使用して坪量90g/mの偽造防止用シート状物を抄造した。層構造は2層で、第1層(40g/m)と第2層(40g/m)のすき合わせの段階で、応力発光材料として発光中心としてユウロピウムを添加したアルミン酸ストロンチウム(SrAl:Eu)の粉体を1%のポリビニルアルコールの溶解液とともに層間に付与した。付与方法はスプレーによる層間噴霧であり、固形分で10g/mをシート状物全面に付与した。得られたシート状物は、実施例2と同様の視認性が確認された。加えて、実施例2に比べ、応力発光材料の歩留まりが良く、同添加量を添加した場合、発光強度は実施例2よりも強くなる傾向であった。
[実施例4]
<紙料の調製>
NBKP20質量部、LBKP80質量部を400mlC.S.F.に叩解し、これに紙力増強剤(商品名「ポリストロン117」、荒川化学工業(株)製)0.4質量部、サイズ剤(商品名「サイズパインE50」、荒川化学工業(株)製)1.0質量部、硫酸バンドを2.0質量部加え紙料を調製した。
<シート状物の抄造>
円網抄紙機を使用して坪量90g/mの偽造防止用シート状物を抄造した。層構造は2層で、第1層(40g/m)と第2層(40g/m)のすき合わせの段階で、応力発光材料として発光中心としてユウロピウムを添加したアルミン酸ストロンチウム(SrAl:Eu)の粉体を1%のポリビニルアルコールの溶解液とともに層間に付与した。付与方法はスプレーによる層間噴霧であり、固形分で10g/mをシート状物に付与した。なお、噴霧の際には、スプレーノズルの調整やパーテーションにより、シート状物の一部分に対し連続してストライプ状になるように応力発光材料を付与した。得られたシート状物は、実施例3と同様の視認性が確認された。加えて、応力発光材料がストライプ状に付与されることにより意匠性がさらに向上した。また、シート状物全面への付与に比べ、応力発光材料の使用量が大幅に抑えられる傾向であった。
[実施例5]
抄造後の坪量を70g/mとした以外は、実施例1と同様にして偽造防止用シート状物を得た。このガーレー剛度は0.36mNであった。
[実施例6]
抄造後の坪量を105g/mとした以外は、実施例1と同様にして偽造防止用シート状物を得た。このガーレー剛度は2.22mNであった。
[屈折変形による発光]
明所に5分間静置した偽造防止用シート状物を暗幕下に入れ、シート状物の両端を両手で持ち、両手をそれぞれ上下左右に動かすことによりシート状物に瞬間的な屈折変形を生じさせた。
この結果、実施例5の偽造防止用シート状物は屈折変形時に、いくつもの稲妻状の発光が容易に発生した。実施例1の偽造防止用シート状物は、実施例5よりも稲妻状の発光が少なかったが、印可する外力を高めて屈折変形度を大きくすることで、いくつもの稲妻状の発光が発生した。一方、実施例6の偽造防止用シート状物は、印可する外力を高めて屈折変形度を大きくしても、発光が不鮮明でぼやけており、稲妻状の発光は観察されなかった。
本発明の偽造防止用シート状物は、容易に真贋を判定できるという特徴を利用して、各種チケット、紙幣、小切手、株券、債券、商品券、カード、機密文書、パスポート、身分証明書等の偽造防止効果を要求される用途に好適に使用できる。また、本発明の偽造防止用シート状物は、その変形時に、暗闇では、あたかも、稲妻が走るようなシャープな発光を実現することができるので、発光の目視が容易である。したがって、本発明の偽造防止用シート状物は、例えば、建築物の外面に貼付することによって地震等による建築物の歪みを視覚化したり、歩道表面に貼付することによって当該表面を通過する歩行者又は自転車の存在を夜間でも視覚化する等の歪みの可視化に有用である。

Claims (10)

  1. 応力発光材料を含むシート状物であって、応力発光材料の少なくとも一部が、シート状物を形成する繊維の被覆により該シート状物に内包されている、偽造防止用シート状物。
  2. 前記応力発光材料が、外力を与えることにより可逆的に発光する、請求項1に記載の偽造防止用シート状物。
  3. 前記繊維の少なくとも一部が、木材パルプ、非木材パルプ、再生パルプのいずれかを含む、請求項1又は請求項2に記載の偽造防止用シート状物。
  4. 前記応力発光材料がZ軸方向でシート全体に分布している、請求項1〜3のいずれかに記載の偽造防止用シート状物。
  5. 前記シート状物が積層構造である、請求項1〜4のいずれかに記載の偽造防止用シート状物。
  6. 前記応力発光材料が層間に存在する、請求項5に記載の偽造防止用シート状物。
  7. JAPAN TAPPI No.40に準拠したガーレー剛度が1.55mN以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の偽造防止用シート状物。
  8. 前記ガーレー剛度が0.40mN以下である、請求項7に記載の偽造防止用シート状物。
  9. 屈折変形可能であり、屈折変形時に屈折部位が発光する、請求項7又は8に記載の偽造防止用シート状物。
  10. 前記屈折変形時に、前記屈折部位が複数形成され、
    前記複数の屈折部位の相対位置が変動する、請求項9に記載の偽造防止用シート状物。
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