JP2015190097A - 剥離シート - Google Patents
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Abstract
【課題】耐油性及び剥離性に優れ、食品以外の物品はもとより、人体に対する安全性が要求される食品の包装材料としても有用な剥離シートを提供すること。
【解決手段】本発明の剥離シートは、基材シートの少なくとも片面側に、撥水剤を含有する剥離性層を有し、該基材シートと該剥離性層との間に、デンプン又はポリビニルアルコールを含む耐油性層を有する。好ましくは、前記撥水剤は3価クロムイオンの脂肪酸錯体である。好ましくは、前記デンプンは疎水化デンプンである。本発明の剥離シートは、食品を加熱加工する際の工程紙として用いることができる。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の剥離シートは、基材シートの少なくとも片面側に、撥水剤を含有する剥離性層を有し、該基材シートと該剥離性層との間に、デンプン又はポリビニルアルコールを含む耐油性層を有する。好ましくは、前記撥水剤は3価クロムイオンの脂肪酸錯体である。好ましくは、前記デンプンは疎水化デンプンである。本発明の剥離シートは、食品を加熱加工する際の工程紙として用いることができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、粘着性のある物を包む包装材料、加熱調理用の工程紙などとして有用な剥離シートに関する。
剥離シートは、従来は、各種ラベルや封緘紙などに用途において粘着剤が塗工された部分を被覆するのに用いられていたが、近年は、粘着性の高い内容物の保護シート、粘着性のある食品の包装シート、パンやケーキなどを焼成加工するためのクッキングシート、電子レンジなどの加熱調理器具で食品を加熱するための加熱用袋素材など、優れた剥離性が要求される種々の分野に用途が拡大している。
この種の剥離シートとしては、紙や樹脂フィルムなどからなる基材シートの片面にシリコーン樹脂などの剥離剤を塗工するなどして、剥離処理されたものが知られている。シリコーン樹脂を用いた剥離シートの具体例として、グラシン紙の表面にシリコーン樹脂を塗工したものが挙げられる。また、シリコーン樹脂が塗工されたシートの一例として、例えば特許文献1には、紙基材の少なくとも一方の表面上に、耐油度及び撥水度がそれぞれ特定範囲にある撥水・撥油・剥離性を有するシリコーン樹脂層を設けたものが記載されている。
しかし、シリコーン樹脂を用いた剥離シートは、用途によってはその高い剥離性能が却って不都合を招く場合がある。例えばパンの製造方法には、生地を所望の形状に成形した後、その成形生地を剥離シートで包装して包装体を得、その包装体を焼成型に入れて焼成する工程が含まれる場合があり、この剥離シートは、焼成前の成形生地に密着して配置されることで、焼成後のパンの形状を制御する役割を果たす。ところが、剥離シートの剥離性能が高すぎると、包装体の焼成中に剥離シートが成形生地から離れてしまう結果、焼成後に得られるパンの形状が崩れ、所望のパン形状が得られないおそれがある。また、グラシン紙やシリコーン樹脂はそれ自体が比較的高価であり、さらには、シリコーン樹脂は紙に対する浸透性が高いため、所望の剥離性を確保し得る塗工量のシリコーン樹脂を紙に塗工しようとした場合には、その塗工量を上回る多量のシリコーン樹脂を塗工する、シリコーン樹脂の塗工予定部分にシリコーン樹脂の浸透を防止し得る目止材を予め塗工する、などの手段を採る必要があり、製造コストの高騰を招くという問題もある。また一般に、シリコーン樹脂には、人体に有害というイメージが定着しており、シリコーン樹脂を用いた剥離シートは、食品に関わる用途には使用し難いのが実情である。
また、本出願人は先に、耐油性に優れるシート状物を提案した(特許文献2及び3)。この耐油性シート状物は、基材シートの少なくとも片面に、疎水化デンプンなどのデンプン及び/又はポリビニルアルコールと脂肪酸とを含む塗工層を設けた構成を有し、その優れた耐油性により、フライや天ぷらなどの食用油を使用した食品の包装材料として有用であり、また、シリコーン樹脂を含まないため人体に対して安全である。しかし、この耐油性シート状物は剥離性を有していないため、剥離性が要求される用途にはできなかった。
本発明は、耐油性及び剥離性に優れ、食品を含む幅広い物品の包装材料、加熱加工における工程紙などとして有用な剥離シートに関する。
本発明は、基材シートの少なくとも片面側に、撥水剤を含有する剥離性層を有し、該基材シートと該剥離性層との間に、デンプン又はポリビニルアルコールを含む耐油性層を有する剥離シートである。
本発明によれば、耐油性及び剥離性に優れ、食品以外の物品はもとより、人体に対する安全性が要求される食品の包装材料としても有用な剥離シートが提供される。本発明の剥離シートは、耐熱性に優れ、食品を加熱調理する際の通常の加熱温度域では変性し難いため、食品を加熱加工する際の工程紙としても有用であり、例えば、パン類、菓子類などの製造時における生地の焼成工程において生地を包む包装材料として有用である。
本発明の剥離シートは、基材シートと、該基材シートの少なくとも片面側に設けられた剥離性層及び耐油性層とを有する。剥離性層及び耐油性層は、基材シートの両面側それぞれに設けられていても良い。耐油性層は基材シートから相対的に近く、剥離性層は基材シートから相対的に遠い。剥離性層は、通常、剥離シートの厚み方向の最外方に位置して、剥離シートの表面を形成する。
基材シートとしては、塗工適性を有するシート状物であれば良く、例えば、紙;樹脂フィルム;織布:乾式法、湿式法、スパンボンド法等の各種製法による不織布;前記のうちの1種又は2種以上を積層してなる複合シート等が挙げられる。基材シートの坪量及び厚みは、特に制限されないが、通常、基材シートの坪量は30〜60g/m2、好ましくは40〜50g/m2の範囲であり、基材シートの厚みは50〜100mmの範囲である。
本発明に係る基材シートを構成する紙としては、公知の湿式抄紙法で製造可能なものを用いることができる。紙の主原料である繊維としては、例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の木材パルプ;他、麻、竹、藁、ケナフ、三椏、楮、木綿等の非木材パルプ;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂からなる合成繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。紙には、必要に応じ、繊維以外の他の成分、例えば、澱粉、ポリアクリルアミド、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン等の紙力増強剤又は定着剤、サイズ剤、填料、濾水歩留り向上剤、耐水化剤、定着剤、消泡剤、スライムコントロール剤等の1種又は2種以上が含有されていても良い。本発明に係る基材シートを構成する樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート等の高分子材料からなるフィルム等が挙げられる。
本発明に係る耐油性層は、少なくともデンプン又はポリビニルアルコールを含み、デンプン及びポリビニルアルコールの両方を含んでいても構わない。耐油性層は、デンプン又はポリビニルアルコールを含むことにより耐油性、即ち、外部からの油の浸透を遮断する性質を有する。耐油性層に含有される成分として特に好ましいのはデンプンである。一般に、デンプンを含む塗工層は、ポリビニルアルコールを含む塗工層に比して表面のべとつきが少なく、製造装置の汚染などの不都合を起こし難い。
耐油性層に含有されるデンプンは、通常のデンプン(未加工デンプン)でも良く、通常のデンプンを加工してなる加工デンプンでも良い。加工デンプンとしては、例えば、グラフト化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルデンプン、カチオンデンプン、酢酸デンプン、リン酸デンプン、リン酸ジデンプン、グリセロールジデンプン、白色デキストリン、黄色デキストリン、ブリティッシュガム、マルトデキストリン、酸化デンプン、酸処理デンプン、エーテル化デンプン、エステル化デンプン、架橋デンプン、焙焼デンプン、酵素変性デンプンなどが挙げられる。この他、造粒された粒状デンプン、多孔質化した吸油性デンプンなども使用できる。耐油性層に含有されるデンプンは、1種のみでも良く、複数種でも良い。
耐油性層に含有されるデンプンの給源は特に制限されず、例えば、タピオカ、ジャガイモ、トウモロコシ、小麦、米などが挙げられる。特に、タピオカを給源とするタピオカデンプンは、耐油性層に高い耐油性を付与し得るため、本発明で好ましく用いられる。
耐油性層に含有されるデンプンとして特に好ましいものは疎水化デンプンである。疎水化デンプンは、未加工デンプンを疎水化処理して得られる。この疎水化処理としては、例えば、1)デンプンをアルミン酸アルカリ又は水酸化アルカリの存在下でオルガノシラン水溶液と密に接触させる方法、2)デンプンをシリコーンやアルケニルで誘導体化する方法、3)水性系においてオクテニルコハク酸無水物やドゼセニルコハク酸無水物などの有機酸無水物とデンプンとを反応させる方法、4)デンプンにアクリロニトリルなどの疎水性モノマーや疎水性不飽和単量体を共重合させる方法、5)エーテル化、エステル化により炭化水素基を含む疎水基をデンプンに付与させる方法、6)デンプンをコハク酸デンプンアルキルとする方法、などが挙げられるが、これらの方法に制限されるものではない。また、疎水化デンプンの原料となるデンプン、即ち疎水化処理されるデンプンは、特に制限されないが、タピオカデンプンを原料とする疎水化デンプンは、特に耐油性層に架橋剤を含有させた場合、その架橋剤との反応により、耐油性層に優れた耐油性を付与し得るため、本発明で好ましく用いられる。
特に好ましい疎水化デンプンは、「デンプンの水酸基を炭素数6〜22個の炭化水素基で置換してなる疎水化デンプン」である。この特定の疎水化デンプンは、水性系において有機酸無水物とデンプンとを反応させることによって得られる。この特定の疎水化デンプンは、特に耐油性層に架橋剤を含有させた場合、その架橋剤との反応により、耐油性層に優れた耐油性を付与し得るため、本発明で好ましく用いられる。
耐油性層におけるデンプンの含有量は、耐油性層の全質量に対して、好ましくは50〜100質量%、さらに好ましくは80〜100質量%である。耐油性層におけるデンプンの含有量が少なすぎると、耐油性の向上効果に乏しくなる。
耐油性層に含有されるポリビニルアルコールは、完全鹸化でも良く、部分鹸化でも良い。また、カルボキシル基、シアノール基などで変性されていても構わない。耐油性能の面から、カルボキシル基又はシアノール基で変性されたポリビニルアルコールであることが好ましい。また、耐油性、透気抵抗度、製袋適性のバランスの観点から、耐油性層に含有されるポリビニルアルコールは、鹸化度85〜100%、平均重合度300〜2500であることが好ましい。耐油性層におけるポリビニルアルコールの含有量は、耐油性層の全質量に対して、好ましくは50〜100質量%、さらに好ましくは80〜100質量%である。
耐油性層には、デンプン及び/又はポリビニルアルコールに加えてさらに、架橋剤を含有させることができる。耐油性層にデンプン又はポリビニルアルコールと共に架橋剤を含有させると、耐油性の一層の向上が期待できる。特に疎水化デンプンと架橋剤との組み合わせは、耐油性の向上に効果的である。
架橋剤としては、例えば、グリオキザール、ジアルデヒド、ポリアクロレイン、N−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、活性化ビニル化合物、各種エステル、ジイソシアネートなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの架橋剤の中でも特に、エピクロルヒドリンなどのエポキシ化合物は、架橋反応の安定性、製造コスト、人体への安全性などの観点から、本発明で好ましく用いられる。架橋剤の含有量は、最小限の使用量で最大の効果を得る観点から、耐油性層中のデンプンとポリビニルアルコールとの合計固形分質量に対して固形分換算で、好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは5〜15質量%である。
耐油性層の塗工量は、好ましくは0.5〜20g/m2、さらに好ましくは1〜10g/m2である。耐油性層の塗工量が少なすぎると、実用上十分な耐油性を確保し難く、また多すぎても、耐油性の向上効果は頭打ちとなって効果的ではない。尚、本明細書において「塗工量」は、特に説明しない限り、固形分換算での塗工量を意味する。
本発明に係る剥離性層は、少なくとも撥水剤を含有する。剥離性層は、本発明の剥離シートで食品などの被包装体を包んだ際に、被包装体に付着し難く、被包装体から容易に剥離し得るような易剥離性を付与するものであり、撥水剤はその易剥離性を確保するための必須成分である。撥水剤は、強い撥水性を発揮することによって、液体の透過に対して抵抗性を有する剤であり、通常、常温(25℃)で固体の組成物である。
剥離性層に含有される撥水剤として特に好ましいものは3価クロムイオンの脂肪酸錯体である。特に、Zaclon社から市販されているQuilon(登録商標)Cは、3価クロムイオンの脂肪酸錯体として本発明で好ましく用いられる。
尚、本発明の剥離シートを、食品を加熱加工する際の工程紙として使用する場合などは、該剥離シートには、食品を加熱する際の一般的な加熱温度(150〜200℃程度)では変性しない耐熱性が必要となるため、剥離性層に含有される撥水剤としてはそのような耐熱性を有するものが好ましい。斯かる観点から、剥離性層に含有される撥水剤としては、ワックス系撥水剤及びアクリル系撥水剤は好ましくない。ワックス系撥水剤は、例えばパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、蜜蝋、カルナバウロウ、ワセリンなどが挙げられる。
剥離性層における撥水剤の含有量は、剥離性層の全質量に対して、好ましくは80〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%である。剥離性層における撥水剤の含有量が少なすぎると、剥離性の向上効果に乏しくなる。
剥離性層には、撥水剤以外の他の成分を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜含有させることができ、例えば、この種の塗工層に通常含有される塗工適性を向上させるための各種薬剤を含有させることができる。この剥離性層における必須成分以外の他の成分の取り扱いは、耐油性層にも適用され得る。本発明の好ましい実施形態は、基材シート、耐油性層及び剥離性層がいずれもシリコーン樹脂を含まないため、人体に対して安全、製造コストが抑えられる、という効果を奏する。
剥離性層の塗工量は、好ましくは0.05〜0.3g/m2、さらに好ましくは0.1〜0.2g/m2である。剥離性層の塗工量が少なすぎると、実用上十分な剥離性を確保し難く、逆に多すぎると、特に、剥離性層に含有されている撥水剤が酸性である場合は、長時間の加温によってシートの劣化が発生するおそれがある。
本発明の剥離シートにおいて、基材シートと耐油性層との間、及び耐油性層と剥離性層との間には、これら以外の他の層が介在されていても構わないが、本発明の好ましい実施形態の1つは、基材シートと耐油性層と剥離性層とが他の層を介在させずに積層一体化され、且つ剥離性層が剥離シートの厚み方向の最外方に位置して該剥離シートの表面を形成している形態である。本発明の剥離シートは、この種の塗工紙と同様に製造することができ、例えば、基材シートの片面側又は両面側それぞれに、公知の塗工装置を用いて耐油性層及び剥離性層を順次塗設することで製造することができる。
本発明の耐油性シートは耐油性に優れており、より具体的には、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.41(キット法)に従って測定した耐油度がキット値で4以上、さらに好ましくは5以上である。キット値が大きいほど、耐油性に優れる。
本発明の剥離シートは、その優れた耐油性及び剥離性により、食品を含む幅広い物品の包装材料、加熱加工における工程紙などとして有用であり、例えば、から揚げ、天ぷら、ドーナツなどの揚げ物食品又はバター、マーガリンの如き、食用油を使用した食品を包んだり載せたりするための包装材料;パンやケーキなどを焼くための工程紙としてのクッキングシートなどに好適である。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により制限されるものではない。
〔実施例1〕
木材パルプとして、針葉樹晒クラフトパルプ100質量%を使用し、ダブルディスクリファイナーでカナディアンスタンダードフリーネスによる叩解度が270mlの原料パルプスラリーを調製した。この原料パルプスラリーに、エピクロルヒドリン系湿潤紙力増強剤を対パルプ質量当たり固形分濃度で0.5質量%、ロジンサイズ剤を対パルプ質量当たり固形分濃度で0.5質量%、硫酸アルミニウムを4質量%それぞれ添加して原料スラリーを調製し、この原料スラリーを常法に従って湿式抄紙して坪量44g/m2の紙を得、これを基材シートとした。
また別途、耐油性層用塗工液及び剥離性層用塗工液をそれぞれ調製した。耐油性層用塗工液の組成は、疎水化デンプン(Natinoal Starch 製、Filmkote370)100質量%であった。剥離性層用塗工液の組成は、撥水剤(Zalcon製、Quilon(登録商標)C)100質量%であった。
基材シートの両面それぞれに前記耐油性層用塗工液を、片面当たりの塗工量が固形分換算で3g/m2となるように塗工して耐油性層を設け、さらに両耐油性層それぞれに前記剥離性層用塗工液を、片面当たりの塗工量が固形分換算で0.04g/m2となるように塗工して剥離性層を設け、目的とするシート状物(剥離シート)を得た。実施例1のシート状物は、基材シートと耐油性層と剥離性層とが他の層を介在させずに積層一体化され、且つ該剥離性層が該シート状物の厚み方向の最外方に位置して該シート状物の表面を形成している。
木材パルプとして、針葉樹晒クラフトパルプ100質量%を使用し、ダブルディスクリファイナーでカナディアンスタンダードフリーネスによる叩解度が270mlの原料パルプスラリーを調製した。この原料パルプスラリーに、エピクロルヒドリン系湿潤紙力増強剤を対パルプ質量当たり固形分濃度で0.5質量%、ロジンサイズ剤を対パルプ質量当たり固形分濃度で0.5質量%、硫酸アルミニウムを4質量%それぞれ添加して原料スラリーを調製し、この原料スラリーを常法に従って湿式抄紙して坪量44g/m2の紙を得、これを基材シートとした。
また別途、耐油性層用塗工液及び剥離性層用塗工液をそれぞれ調製した。耐油性層用塗工液の組成は、疎水化デンプン(Natinoal Starch 製、Filmkote370)100質量%であった。剥離性層用塗工液の組成は、撥水剤(Zalcon製、Quilon(登録商標)C)100質量%であった。
基材シートの両面それぞれに前記耐油性層用塗工液を、片面当たりの塗工量が固形分換算で3g/m2となるように塗工して耐油性層を設け、さらに両耐油性層それぞれに前記剥離性層用塗工液を、片面当たりの塗工量が固形分換算で0.04g/m2となるように塗工して剥離性層を設け、目的とするシート状物(剥離シート)を得た。実施例1のシート状物は、基材シートと耐油性層と剥離性層とが他の層を介在させずに積層一体化され、且つ該剥離性層が該シート状物の厚み方向の最外方に位置して該シート状物の表面を形成している。
〔実施例2〜4〕
耐油性層及び剥離性層の組成及び塗工量を適宜変更した以外は実施例1と同様にしてシート状物を得た。
耐油性層及び剥離性層の組成及び塗工量を適宜変更した以外は実施例1と同様にしてシート状物を得た。
〔比較例1〕
剥離性層を設けなかった以外は実施例1と同様にしてシート状物を得た。比較例1のシート状物は、基材シートの両面それぞれに耐油性層のみが設けられている。
剥離性層を設けなかった以外は実施例1と同様にしてシート状物を得た。比較例1のシート状物は、基材シートの両面それぞれに耐油性層のみが設けられている。
〔比較例2〕
耐油性層を設けなかった以外は実施例1と同様にしてシート状物を得た。比較例1のシート状物は、基材シートの両面それぞれに剥離性層のみが設けられている。
耐油性層を設けなかった以外は実施例1と同様にしてシート状物を得た。比較例1のシート状物は、基材シートの両面それぞれに剥離性層のみが設けられている。
〔試験評価〕
各実施例及び比較例のシート状物について、前記方法(キット法)により耐油度(キット値)を測定すると共に、剥離強度を測定した。その結果を下記表1に示す。剥離強度の測定は、FINAT Test Method No.10に準じて行い、その際、接着テープとしてTESA社製07475を用いた。剥離強度の測定値は、小さいほど剥離しやすく、剥離性に優れるとして高評価となるが、小さすぎると(剥離性が高すぎると)、前述したように、例えば加熱加工における工程紙として用いた場合などに不都合が生じるおそれがある。斯かる観点から、FINAT Test Method No.10に準じて測定される剥離シートの剥離強度は、好ましくは1〜110N/25mm、さらに好ましくは10〜30N/25mmである。
各実施例及び比較例のシート状物について、前記方法(キット法)により耐油度(キット値)を測定すると共に、剥離強度を測定した。その結果を下記表1に示す。剥離強度の測定は、FINAT Test Method No.10に準じて行い、その際、接着テープとしてTESA社製07475を用いた。剥離強度の測定値は、小さいほど剥離しやすく、剥離性に優れるとして高評価となるが、小さすぎると(剥離性が高すぎると)、前述したように、例えば加熱加工における工程紙として用いた場合などに不都合が生じるおそれがある。斯かる観点から、FINAT Test Method No.10に準じて測定される剥離シートの剥離強度は、好ましくは1〜110N/25mm、さらに好ましくは10〜30N/25mmである。
表1に示す通り、比較例1は、耐油性層のみを有し、剥離性層を有していないため、両層を有する各実施例に比して、剥離強度の値が大きく、剥離性に劣る結果となった。また比較例2は、剥離性層のみを有し、耐油性層を有していないため、耐油度がゼロであり、耐油性を有していない結果となった。以上のことから、耐油性及び剥離性に優れた剥離シートを得るためには、各実施例のように、基材シート側から順に、デンプン又はポリビニルアルコールを含む耐油性層と撥水剤を含有する剥離性層とを順次設けることが有効であることがわかる。また、実施例1と実施例3との対比から、剥離性の向上(剥離強度の低下)のためには、非フッ素系且つ非シリコーン系撥水剤として3価クロムイオンの脂肪酸錯体を用いることが特に有効であることがわかる。
Claims (4)
- 基材シートの少なくとも片面側に、撥水剤を含有する剥離性層を有し、該基材シートと該剥離性層との間に、デンプン又はポリビニルアルコールを含む耐油性層を有する剥離シート。
- 前記撥水剤が3価クロムイオンの脂肪酸錯体である請求項1に記載の剥離シート。
- 前記デンプンが疎水化デンプンである請求項1又は2に記載の剥離シート。
- 食品を加熱加工する際の工程紙として用いられる請求項1〜3のいずれか一項に記載の剥離シート。
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CN108239891A (zh) * | 2017-10-21 | 2018-07-03 | 无锡德华彩印包装有限公司 | 一种防粘络合物水溶液及防粘络合物水溶液防粘纸 |
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