JP2015187973A - リチウムイオン二次電池用負極活物質及びそれを用いたリチウムイオン二次電池負極並びにリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】リチウムイオン二次電池の放電容量、初期効率、入力特性、容量維持率等のHEV用、PHEV用などの車載用途にも対応し得る実用特性を備えた、単位体積(重量)あたりの容量が高いリチウムイオン二次電池用負極活物質、これを用いたリチウムイオン二次電池負極及びリチウムイオン二次電池を提供する。
【解決手段】真比重が2.00〜2.16g/cm3の炭素材料から形成されて、体積基準での粒子の粒度分布におけるD10が2〜5μm、D50が8〜12μm、D90が16〜26μm、及びD50−D10が5〜10μmの範囲にあり、タップ密度が0.4g/cc以上であり、窒素ガス吸着流通法によるBET比表面積が5.1〜9.0m2/gであるリチウムイオン二次電池用負極活物質であり、これを用いたリチウムイオン二次電池負極、及びリチウムイオン二次電池である。
【選択図】なし
【解決手段】真比重が2.00〜2.16g/cm3の炭素材料から形成されて、体積基準での粒子の粒度分布におけるD10が2〜5μm、D50が8〜12μm、D90が16〜26μm、及びD50−D10が5〜10μmの範囲にあり、タップ密度が0.4g/cc以上であり、窒素ガス吸着流通法によるBET比表面積が5.1〜9.0m2/gであるリチウムイオン二次電池用負極活物質であり、これを用いたリチウムイオン二次電池負極、及びリチウムイオン二次電池である。
【選択図】なし
Description
この発明は、リチウムイオン二次電池用負極活物質及びそれを用いたリチウムイオン二次電池負極並びにリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、作動電位が高いこと、電池容量が大きいこと、及びサイクル寿命が長い等の優れた特徴を活かし、かつ環境汚染が少ないことから、従来主流であったニッケル・カドミウム電池やニッケル水素電池に代わって広範囲で用いられている。
また、エネルギー問題や環境問題に対応するために、電気自動車やニッケル水素電池駆動のモーターとガソリンエンジンとを組み合わせたハイブリッド電気自動車(HEV:Hybrid Electric Assistant)、及びハンディビデオカメラ等の移動電子機器の電源として多く利用されており、今後もその需要は益々高くなると予想されている。
リチウムイオン二次電池の負極を構成する負極活物質として、安全性および寿命の面から炭素材料が一般的に用いられている。炭素材料のなかでも黒鉛材料は、少なくとも2000℃程度以上、通常は2600〜3000℃程度の高温で得られる、高エネルギー密度を持つ優れた材料であるが、高入出力特性やサイクル特性に課題を有している。このため、例えば電力貯蔵用や電気自動車等の高入出力用途や低温下での入出力特性用途には、黒鉛材料は適しておらず、それ以外の構造をもった炭素材料の利用が研究されている。
近年においては、HEVの更なる高性能化の観点から、リチウムイオン二次電池に対してさらなる高性能化が求められており、その性能の向上が急務となっている。具体的には、HEVのエネルギー源である電流を十分に供給できるように、リチウムイオン二次電池の放電容量が重要な特性として上げられる。加えて、充電電流量に比較して放電電流量が十分に高くなるように、放電容量に対する充電容量の割合、すなわち初期効率が高いことが要求される。さらに、短時間での充電を可能とすべく、リチウムイオン二次電池は高電流密度まで高い充電容量を維持することが好ましく、容量維持率が高いことも要求されている。すなわち、この様な出力特性、放電容量、初期効率、容量維持率の特性をバランス良く高めることが要求される。
この様なリチウムイオン二次電池を提供するため、負極活物質としてコークスや黒鉛等の炭素材料が多く検討されているが、上述した放電容量を増大させることはできるものの、初期効率は十分でない。また、実電池電圧が不十分であって近年の高出力特性を満足することができず、容量維持率の要件も満足することができない。
そこで、上記の黒鉛材料に代わって、石炭系及び/又は石油系(以下、「石炭系等」という。)の生コークス、又は、石炭系等のか焼コークスを単独で、あるいは混合して焼成することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極活物質が提案されている。
例えば、特許文献1には、2000℃以下の温度で焼成し、活物質表面を改質することで黒鉛に比べて広い結晶層間と微細孔容積を持つ活物質により、高入出力特性を発現することが示されている。また、特許文献2には、結晶層間を広げるために焼成時に触媒を用いることが提案されており、黒鉛製造時よりも低い焼成温度で処理することにより、黒鉛に比べて広い結晶層間を持つ活物質を製造できることが示されている。
このように長所が挙げられている石炭系等生コークス及び石炭系等か焼コークスであるが、焼成温度が黒鉛材料に比べて低いために炭素の結晶性が低く、電極にした際の単位体積(重量)あたりの容量は低くなってしまうという問題がある。すなわち、一般的な黒鉛材料を用いた電極は容量が360mAh/g、体積密度が1.4〜1.8g/cm3であるのに対し、上記材料を用いた電極では容量が240〜340mAh/g、体積密度が1.0〜1.2g/cm3であるため、電極としての容量が低くなることになる。そのため石炭系等生コークス及び石炭系等か焼コークスにおいては活物質の容量増加と電極時の体積密度の増加という課題が内在している。
例えば、特許文献3にはリチウムイオン二次電池の高エネルギー密度化に対応すべく、破壊強度と比表面積が異なる2種類の黒鉛材料、すなわち中位径(D50)が13μm以上15μm以下の鱗片状人造黒鉛を擬似的に球形化処理した疑似球状黒鉛粒子と、中位径(D50)が12μm以上19μm以下のメソフェーズ小球体の球晶黒鉛化物を混合した後、小さなプレス圧でも高密度に充填され、かつ、適度な空隙が確保された負極活物質層を得ることが示されている。
また、特許文献4には高い電極密度であって、しかも電解液の浸透性に優れ、充放電による容量損失が少なく、かつサイクル性能の良いリチウムイオン二次電池用の負極活物質として、平均粒子径(D50)とD90/D10の関係が異なる3種類の黒鉛粉末を使用した例が示されている。
本発明は、リチウムイオン二次電池の放電容量、初期効率、入力特性、容量維持率等のHEV用、PHEV用などの車載用途にも対応し得る実用特性を備えた、単位体積(重量)あたりの容量が高いリチウムイオン二次電池を得ることができる負極活物質を提供することを目的とする。また、本発明は、そのリチウムイオン二次電池用負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池負極及びリチウムイオン二次電池を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、特定の原料に基づく活物質の粒度分布を一定範囲に制御しつつ、活物質の表面積を所定の値にすることで上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、真比重が2.00〜2.16g/cm3の炭素材料から形成されて、体積基準での粒子の粒度分布におけるD10が2〜5μm、D50が8〜12μm、D90が16〜26μm、及びD50−D10が5〜10μmの範囲にあり、タップ密度が0.4g/cc以上であり、窒素ガス吸着流通法によるBET比表面積(以下、BET比表面積と記述する)が5.1〜9.0m2/gであることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極活物質である。
このような活物質としては、好ましくは、石炭系及び/又は石油系(石炭系等)生コークスや石炭系等か焼コークスを単独あるいは混合して焼成して得られたものを用いるのが良い。
また、本発明は、上記リチウムイオン二次電池用負極活物質とバインダーとを混合して形成される合材層を集電体上に有した負極であって、該負極の断面を観察したときの活物質形状において、観察される活物質粒子数の80%以上は、楕円相当長短比(楕円相当短軸長さ/楕円相当長軸長さ)が0.05〜0.70であり、かつ、前記合材層の体積密度が1.10〜1.25g/cm3であることを特徴とするリチウムイオン二次電池負極である。
更に、本発明は、上記リチウムイオン二次電池負極と正極とがセパレータを介して対向してなることを特徴とするリチウムイオン二次電池である。
本発明によれば、例えばHEV用、PHEV用などの車載用途に要求される放電容量、初期効率、入力特性、容量維持率を満たしつつ、電極(負極)にした時の体積密度を高めて、性能バランスに優れたリチウムイオン二次電池を得ることができる負極活物質を提供することが出来る。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質は、真比重が2.00〜2.16g/cm3の範囲にある。このような真比重を与えるリチウムイオン二次電池用負極活物質は、石炭系及び/又は石油系(石炭系等)の生コークス、又は、石炭系等のか焼コークスを単独で、あるいは混合して焼成して得ることが出来る(本明細書中において「石炭系等」と言う場合は「石炭系及び/又は石油系」、すなわち、石炭系、石油系のいずれか一方であってもよく、両者の混合系であってもよいことを指す。)。上記真比重が2.00g/cm3に満たないと、リチウムイオン二次電池に適用した場合、充放電の際に副反応が発生し、容量や効率の低下につながる。また、上記真比重が2.16g/cm3を超えると、電池に適用した場合、入出力特性や容量維持率の特性が低下することとなる。なお、石炭系等生コークスとは、石油系及び/又は石炭系重質油を例えばディレードコーカー等のコークス化設備を用い、最高到達温度が400℃〜700℃程度の温度で24時間程度、熱分解・重縮合反応を実施して得たものを意味し、石炭系等か焼コークスとは、石炭系等生コークスに対してか焼処理を施したものを意味し、最高到達温度が800℃〜1500℃程度でか焼した石油系及び/又は石炭系のコークスを意味する。
真比重が上記範囲を与えるリチウムイオン二次電池用負極活物質を得る方法について詳述すれば、最初に、石炭系等重質油を例えばディレードコーカー等のコークス化設備を用い、最高到達温度が400℃〜700℃程度の温度で24時間程度、熱分解・重縮合反応を進めることによって石炭系等生コークスを得る。その後、得られた石炭系等生コークスの塊を必要に応じて所定の大きさに粉砕する。粉砕には、工業的に用いられる粉砕機を使用することができる。具体的にはアトマイザー、レイモンドミル、インペラーミル、ボールミル、カッターミル、ジェットミル、ハイブリダイザー、オリエントミル等を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。また粉砕の工程においてこれらの装置を1種類又は2種類以上使用してもよく、1種類の装置で複数回粉砕して用いてもよい。
ここで使用される石炭系等重質油は、石油系重質油であっても石炭系重質油であっても構わないが、石炭系重質油の方が芳香属性に富んでおり、S、V、Fe等の不純物が少なく、揮発分も少ないため、石炭系重質油を使用する方が好ましい。
また、石炭系等か焼コークスを製造するには、上記のようにして得た石炭系等生コークスを低酸素雰囲気下で最高到達温度800℃〜1500℃でか焼するようにする。か焼する際の処理温度は、好ましくは1000℃〜1500℃、より好ましくは1200℃〜1500℃の範囲である。か焼コークスを製造する際の石炭系等生コークスのか焼には、大量処理が可能なリードハンマー炉、シャトル炉、トンネル炉、ロータリーキルン、ローラーハースキルンあるいはマイクロウェーブ等の設備を用いることができるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらのか焼設備は、連続式又はバッチ式のどちらでもよい。次いで、得られた石炭系等か焼コークスの塊を、生コークスの場合と同様に、工業的に用いられるアトマイザー等の粉砕機を用いて所定の大きさに粉砕する。また、粉砕したコークス粉は分級により微粉をカットしたり、粗粉を篩などで除去したりすることによって所定の粒度に整粒することができる。
上記で得られた生コークス、及びか焼コークスは、好ましくは、更に焼成処理を行うのがよい。焼成温度は、最高到達温度で800℃以上1500℃以下とすることがよい。焼成温度が上限を超えると、コークス材料の結晶成長が過剰に促進され、真比重を2.16g/cm3以下とすることが困難となる。真比重が2.16g/cm3を超えると、焼成時にコークスの結晶構造が黒鉛のように配向していき、結晶層間距離が狭くなってしまい、上記のように入出力特性や容量維持率などの構造起因の特性が低下してしまうことになる。また、焼成温度が下限を下回ると、結晶構造が未発達となり、真比重が2.00g/cm3以下となるだけでなく、原料由来の官能基(OH基やCOOH基など)がコークス表面に残存し、上記したように電池として充放電した際に副反応が発生することになり、容量や効率の低下につながる。また、焼成処理の最高到達温度での保持時間は特に制限されないが、30分以上が好ましい。更に、焼成雰囲気については、アルゴンあるいは窒素等の不活性ガス雰囲気であるのがよい。
また、焼成処理は、石炭系等生コークス、又は、か焼コークスを単独で、あるいは混合して焼成してもよく、その過程において、複数回の焼成に分けて行うようにしてもよい。また、本発明における活物質の諸条件を満たす範囲であれば、必要に応じて造粒などの形状制御工程を含めたり、活物質の表面を有機、無機成分で改質したり、コートする工程を含めてもよく、更には、金属成分を表面に均一又は分散して形成するようにしてもよい。
また、負極活物質の真比重の測定については、液相置換法(別名ピクノメータ法)により測定する。具体的にはピクノメータに粉体(活物質)を入れ、蒸留水などの溶媒液を加え、真空脱気などの方法によりサンプル表面の空気と溶媒液を置換し、正確なサンプル重量と体積を求めることで真比重値を算出する。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質は、その負極活物質の粒度分布におけるD10が2〜5μm、D50が8〜12μm、D90が16〜26μmであり、かつD50−D10が5〜10μmの範囲にあることが必要である。好ましくは、D10が2〜4μm、D50が8〜12μm、D90が18〜24μmであり、かつD50−D10が6〜10μmの範囲である。このことは、原料として石炭系等生コークス、石炭系等か焼コークスのいずれか一方を単独で、或いは混合して焼成して得られたものの粉砕後の粒子が、上記のような粒度分布を有することを意味する。また、このときの負極活物質のBET比表面積は5.1〜9.0m2/gとなるようにする。上記のような粒度分布の負極活物質は、場合によっては焼成処理した石炭系等生コークスや石炭系等か焼コークスを、単独で又は混合してオリエントミルなどにより粗粉砕を行い、次いで、ハンマーミルやジェットミルなどによって微粉砕して、必要に応じて微粉は風力分級などによって除去することによって得ることができる。これらの粉砕方法や分級方法については特に制限されるものではなく、一般的な方法を用いることができる。
上述した負極活物質の粒度分布について、D10が2μmに満たないと比表面積が過度に増加して、得られた二次電池の初期効率が低下する。D90が26μmを超えると粗大な粉の存在により電極作製時に均一で滑らかな表面性状の電極が得ることが難しくなる。D50−D10が5μm未満であると粒子の粒度分布がシャープとなり、粒径が小さい微粉の割合が大きくなり電極作製時に粒子が最密充填構造を形成することが難しくなり、結果、電極密度が低下することになる。またD50−D10が10μmを超えると、結果的にD90が26μmを越えるような粗大な粒子が存在する可能性が高くなる。26μmを越えるような粗大粒子は電極表面の平滑性を低下させ集電体との密着性の低下やセパレータ側の損傷や粗大粒子の粉落ちなど悪い影響を及ぼすことが懸念される。またD10が5μmより大きくなるとD10が2μm以下の微粉の割合が小さくなり粒子が最密充填構造を形成するのが難しくなる。このような理由から、本発明においては上述した粒度分布が必要となる。なお、D50−D10は活物質粒子の粒度分布における分布形状の広がりを表す。従来の中心値であるD50では粒度分布の広がりを規定しておらず、本発明で示した分布の広がりを有することで充填性に優れた電極を作製することができることを見出した。また、上記粒度分布を有する負極活物質の原料であるコークス粉は、前述の石炭系等生コークス粉、石炭系等か焼コークス粉のいずれか一方を単独で用い得られたものであっても、或いはその両方を混合して用い得られたものであってもよい。
ここで、負極活物質(炭素材料)の粒度分布測定について、本発明では、LMS―30(セイシン企業社製)の装置を用いて、分散媒は水+活性剤を用いて測定をおこなった。粒子の存在比率の基準としては、レーザー回折・散乱法を用いて体積分布を測定し、体積基準による累積分布を用いて粒度分布評価をおこなった。すなわち、負極活物質の粒度分布はレーザー回折・散乱法により測定し、その粒度分布における累積10体積%粒子径をD10とした。同様に、累積50体積%粒子径をD50とし、累積90体積%粒子径をD90として、また、D50とD10との差をD50−D10とした。
本発明における負極活物質は、粉砕して粒度分布を制御する過程において扁平状、燐片状の形状となる。負極活物質の形状としては、作製した電極断面を観察すると観察される活物質粒子数の80%以上は、楕円相当長短比(楕円相当短軸長さ/楕円相当長軸長さ)が0.05〜0.70となる。楕円相当長短比が0.70超のとき、負極活物質はより球状の形状となり、同じ粒度分布においても細密充填のしかたやタップ密度が変化し、電極密度や電池性能が変化する。また、楕円相当長短比が0.05未満のとき、負極活物質はより針状の形状となり、同じく充填のしかたやタップ密度が変化するだけでなく、負極活物質の表面積が大きくなりすぎて、副反応など電池性能を下げる現象が起きる。そのため、本発明では、バインダーと混合して形成される合材層を集電体上に有した電極(負極)の断面から観察したときの負極活物質形状において、観察される負極活物質粒子数の80%以上が、楕円相当長短比(楕円相当短軸長さ/楕円相当長軸長さ)で0.05〜0.70となるような負極活物質を用いる。
上記の電極断面の観察手法としては、合材層の厚みが50μm以上の電極を作製し、機械研磨法、ミクロトーム法、CP(Cross−section Polisher)法、集束イオンビーム(FIB)法などの方法により電極断面を作製し、SEM等の方法にて最小粒子径サイズ1μm以上の粒子サイズをすべて観察する。観察した粒子について、楕円相当長短比(楕円相当短軸長さ/楕円相当長軸長さ)を計測する。観察断面において粒子の分布のバラつきなどがあるため20視野以上の観察が好ましい。粒子サイズの測定については画像解析ソフト(WinRooF:三谷商事株式会社製)などを用いて解析してもいい。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質は、電極作製時の初期密度を上げるためにそのタップ密度が0.4g/cc以上であり、0.4〜0.8g/ccの範囲とすることが好ましい。タップ密度が0.4g/ccに満たないと電極作製時の負極活物質同士の接触が不十分となり導通パスの減少となるため電池性能が低下する、また、密度を上げるためにプレス圧力を増加させると変形量が大きくなるため負極活物質が割れたりして、表面積の増加、電極の密着性の低下による更なる導通パスの低減などにつながり、電池性能低下につながる。そのためプレス前の充填密度をあげるためにタップ密度を指標として少なくとも0.4g/ccにしておく必要がある。また、0.8g/cc超にするためには、例えばD10が1μm未満の微粉の割合を増やしたり、D90付近の粗大粒子の割合を増やしたりする必要があり、その結果負極活物質の表面積が大きくなったり、粗大粒子の影響で電極の均一性や性能が乱れたりして、電池性能の低下につながるためタップ密度を0.8g/cc超にする必要はない。
本発明において、負極活物質のタップ密度については、タップデンサーKYT−400(セイシン企業社製)の装置を用いて、シリンダー体積100cc、タッピング距離38mm、タップ回数300回での測定値を用いた。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質は、BET比表面積が5.1〜9.0m2/gである。このBET比表面積は炭素材料の結晶状態起因による粉砕時の形状、および粉砕後の粒度分布によって決まる。BET比表面積が5.1m2/gより小さいとリチウムイオンの充放電速度が遅くなるため望ましくなく、9.0m2/gより大きいとタップ密度が上がらず電極密度が上がらないため好ましくない。BET比表面積は、リチウムイオンが炭素構造に出入りする際の表面反応の速度に影響するため、適切な値に制御することが重要となる。
本発明において、BET比表面積は窒素ガス吸着流通法で求めたものであり、BELSORP−miniII(日本ベル社製)の装置を用いた。
本発明は、上記リチウムイオン二次電池用負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池負極でもあり、負極は、集電体上(一般的に銅箔)に上記リチウムイオン二次電池用負極活物質とバインダーとを混合して形成される合材層とからなる。
バインダーには、一般には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素系樹脂粉末あるいはポリイミド(PI)系樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の水溶性粘結剤が用いられる。
集電体上への合材層の形成は、上述の負極活物質とバインダーとを、溶媒を用いてスラリーを作製し、集電体上(一般的に銅箔)に塗布、乾燥し、その後、任意の条件でプレスすることにより行なうことができる。用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミドあるいは、水、アルコール等が用いられる。
より具体的には、例えば、負極活物質とバインダーとを重量比で93〜97:7〜3の比(負極活物質:バインダー)で混錬し、このスラリーを所定厚みの銅箔上に塗布し、60〜120℃の乾燥条件で溶媒を乾燥し、その後、線圧100〜600kg/cmでプレスすることによって負極電極とすることが出来るが、この際の製造条件を上記範囲とすることで、体積密度が1.10〜1.25g/cm3の範囲の電極が得られる。ここで、プレス時の線圧を上げ過ぎると電極の体積密度は高くなるが、活物質が変形、破壊してしまい、電極内での接触が悪くなり、容量や効率の低下につながるため上記の体積密度になるプレス条件を設定することが望ましい。
このようにして製造された負極を用いて本発明のリチウムイオン二次電池とすることができる。本発明のリチウムイオン二次電池は、上記した負極と正極間にセパレータが存するように配置されている。負極と正極とはセパレータを介して対向しており、相対する正極としては、リチウム含有遷移金属酸化物LiM(1)xO2(式中、xは0≦x≦1の範囲の数値であり、式中M(1)は遷移金属を表し、Co、Ni、Mn、Ti、Cr、V、Fe、Zn、Al、Sn、Inの少なくとも1種類からなる)、あるいはLiM(1)yM(2)2−yO4(式中、yは0≦y≦1の範囲の数値であり、式中、M(1)、M(2)は遷移金属を表し、Co、Ni、Mn、Ti、Cr、V、Fe、Zn、Al、Sn、Inの少なくとも1種類からなる、遷移金属カルコゲン化合物(Ti、S2、NbSe、等)、バナジウム酸化物(V2O5、V6O13、V2O4、V3O6、等)およびリチウム化合物、一般式MxMo6Ch6−y(式中、xは0≦x≦4、yは0≦y≦1の範囲の数値であり、式中Mは遷移金属をはじめとする金属、Chはカルコゲン金属を表す)で表されるフュブレル相化合物、あるいは活性炭、活性炭素繊維等の正極活物質を例示することができる。
また、上記正極と負極との間を満たす電解質としては、従来公知のものをいずれも使用することができ、例えばLiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiB(C6H5)、LiCl、LiBr、Li3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(CF3)3SO2)3C,Li)CF3CH2OSO2)2N、Li(CF3CF2CH2OSO2)2N、Li(HCF2CF2CH2OSO2)2N、Li((CF3)2CHOSO2)2N、LiB[C6H3(CF3)2]4等の1種または2種以上の混合物を挙げることができる。
また、非水系電解質としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,1−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ―ブチロラクタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチルー1,3−ジオキソラン、アニソール、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、クロロニトリル、プロピオニトリル、ホウ酸トリメチル、ケイ酸テトラメチル、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、酢酸エチル、トリメチルオルトホルメート、ニトロベンゼン、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、3−メチルー2−オキサゾリドン、エチレングリコール、サルファイト、ジメチルサルファイト等の単独溶媒もしくは2種類以上の混合溶媒を使用できる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。ただし、これらの実施例によって、本発明の内容が制限されるものではない。なお、真比重、粒度分布、タップ密度、及びBET比表面積の測定は、上述した方法で行った。
(実施例1)
石炭系重質油よりキノリン不溶分を除去した精製ピッチを用い、ディレードコーキング法によって500℃の温度で24時間熱処理して製造した塊状コークス(生コークス)を得て、オリエントミルおよびジェットミルにて微粉砕し、平均粒径(D50)が10.5μmの生コークス片(微粉砕生コークス)を得た。
石炭系重質油よりキノリン不溶分を除去した精製ピッチを用い、ディレードコーキング法によって500℃の温度で24時間熱処理して製造した塊状コークス(生コークス)を得て、オリエントミルおよびジェットミルにて微粉砕し、平均粒径(D50)が10.5μmの生コークス片(微粉砕生コークス)を得た。
上述のようにして得た生コークス片を、ロータリーキルンによって低酸素雰囲気下で入口付近温度700℃から出口付近温度1500℃(最高到達温度)の温度で1時間以上か焼してか焼コークスを得た。このか焼コークスを上記と同じジェットミルにて単位時間あたりの処理量、処理時のガス流速を適切に調整して微粉砕を実施し、その後風力分級により3μm以下の微粉の大部分を除去することで、真比重が2.15g/cm3であり、D10が3.7μm、D50が10.2μm、D90が19.7μm、及びD50−D10が6.5μmのリチウムイオン二次電池用負極活物質を得た。この負極活物質のタップ密度は0.52g/cm3であり、また、窒素ガス吸着流通法によるBET比表面積は6.7m2/gであった。
次いで、このリチウムイオン二次電池用負極活物質に対して、バインダーとしてスチレン−ブタジエンゴム(SBR、JSR株式会社製)とカルボキシメチルセルロース(CMC、日本製紙株式会社製)をスラリー固形分の5質量%となるように加え、混錬してスラリーを作製した。得られたスラリーを厚さ15μmの銅箔の表面に均一になるように塗布して60〜120℃の温度で乾燥し、その後300kg/cmの線圧でプレスすることによりシート状の負極電極を得た。この電極の体積密度は1.15g/cm3であった。このシートから直径15mmφの円形に切り出すことにより試験用の負極電極を作製した。この試験用の負極電極単極での電極特性を評価するために、対極には約15.5mmφに切り出した金属リチウムを用いた。なお、作製した電極をCP法により切断し、その断面をFE−SEMで観察したところ(倍率1500倍)、視野角75μm×30μmの範囲内で観察される活物質粒子のうち、楕円相当長短比0.05〜0.70の範囲である活物質粒子は88%であることが確認された。なお、観察視野については、ばらつきを低減させるために20視野の平均値を用いた。
また、電解液としてエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(体積比1:1混合)にLiPF6を1mol/lの濃度で溶解したものを用い、セパレータとしてプロピレンの多孔質膜を用いて、上記の試験用負極電極を用いてコインセルを作製し、リチウムイオン二次電池を作製した。作製した電池の容量は1mA/cm2であった。25℃の恒温下、端子電圧の充電下限電圧を0V、放電の上限電圧を1.5Vとした電圧範囲で1mA/cm2の定電流放電と20mA/cm2の定電流放電を実施した際の比より、充電維持率を算出した。結果を表1に示す。
また、上記のリチウムイオン二次電池を用いて、負極活物質の重量当たりの電流密度30mA/gの定電流で1.5Vから0Vまで充電し、その後90分間定電圧充電して初回放電容量を測定し、30分間休止した後に電流密度30mA/gの定電流で0Vから1.5Vまで放電を行い、初回充電容量を測定し、次式にて表される初回充電容量に対する初回放電容量の割合より、初期効率を算出した。結果を表1に示す。
初期効率(%) = 100 × 初回放電容量 / 初回充電容量
なお、表1の判定は負極活物質の体積あたりの容量、急速充電性、及び、初期効率を評価したものであって、体積密度が1.10〜1.25g/cm3であり、かつ初期効率が80%を超え、さらに充電維持率が40%を超える場合は〇、そうでない場合は×とした。
初期効率(%) = 100 × 初回放電容量 / 初回充電容量
なお、表1の判定は負極活物質の体積あたりの容量、急速充電性、及び、初期効率を評価したものであって、体積密度が1.10〜1.25g/cm3であり、かつ初期効率が80%を超え、さらに充電維持率が40%を超える場合は〇、そうでない場合は×とした。
(実施例2〜3、比較例1〜3)
か焼コークスを得た後のジェットミル粉砕時の条件を変更した以外は、それぞれ実施例1と同様の操作を行い、表1に示すような粒度分布が異なるリチウムイオン二次電池用負極活物質を得た。得られた負極活物質の特性を表1に示す。また、実施例1と同様にして作製した電極の断面を観察したところ、楕円相当長短比0.05〜0.70の範囲である活物質粒子はいずれのサンプルも85〜89%であることが確認された。それらを用いて、実施例1と同様に負極電極及びリチウムイオン二次電池を得て、それぞれ充電維持率及び初期効率を調べた。結果を表1に示す。
か焼コークスを得た後のジェットミル粉砕時の条件を変更した以外は、それぞれ実施例1と同様の操作を行い、表1に示すような粒度分布が異なるリチウムイオン二次電池用負極活物質を得た。得られた負極活物質の特性を表1に示す。また、実施例1と同様にして作製した電極の断面を観察したところ、楕円相当長短比0.05〜0.70の範囲である活物質粒子はいずれのサンプルも85〜89%であることが確認された。それらを用いて、実施例1と同様に負極電極及びリチウムイオン二次電池を得て、それぞれ充電維持率及び初期効率を調べた。結果を表1に示す。
(実施例4)
生コークス片を、ロータリーキルンによって低酸素雰囲気下で入口付近温度700℃から出口付近温度1000℃(最高到達温度)の温度で1時間以上か焼してか焼コークスを得た以外は、実施例1と同様の操作を行い、リチウムイオン二次電池を得た。得られた負極活物質の特性を表1に示す。また、実施例1と同様にして作製した電極の断面を観察したところ、楕円相当長短比0.05〜0.70の範囲である活物質粒子は90%であることが確認された。また、実施例1と同様にして充電維持率及び初期効率を調べた。結果を表1に示す。
生コークス片を、ロータリーキルンによって低酸素雰囲気下で入口付近温度700℃から出口付近温度1000℃(最高到達温度)の温度で1時間以上か焼してか焼コークスを得た以外は、実施例1と同様の操作を行い、リチウムイオン二次電池を得た。得られた負極活物質の特性を表1に示す。また、実施例1と同様にして作製した電極の断面を観察したところ、楕円相当長短比0.05〜0.70の範囲である活物質粒子は90%であることが確認された。また、実施例1と同様にして充電維持率及び初期効率を調べた。結果を表1に示す。
(比較例4)
生コークス片を、ロータリーキルンによって低酸素雰囲気下で入口付近温度700℃から出口付近温度1800℃(最高到達温度)の温度で1時間以上熱処理してか焼コークスを得た以外は、実施例1と同様の操作を行い、リチウムイオン二次電池を得た。得られた負極活物質の特性を表1に示す。また、実施例1と同様にして作製した電極の断面を観察したところ、楕円相当長短比0.05〜0.70の範囲である活物質粒子は87%であることが確認された。また、実施例1と同様にして充電維持率及び初期効率を調べた。結果を表1に示す。
生コークス片を、ロータリーキルンによって低酸素雰囲気下で入口付近温度700℃から出口付近温度1800℃(最高到達温度)の温度で1時間以上熱処理してか焼コークスを得た以外は、実施例1と同様の操作を行い、リチウムイオン二次電池を得た。得られた負極活物質の特性を表1に示す。また、実施例1と同様にして作製した電極の断面を観察したところ、楕円相当長短比0.05〜0.70の範囲である活物質粒子は87%であることが確認された。また、実施例1と同様にして充電維持率及び初期効率を調べた。結果を表1に示す。
(実施例5)
石炭系重質油よりキノリン不溶分を除去した精製ピッチを用い、ディレードコーキング法によって500℃の温度で24時間熱処理して製造した石炭系塊状コークス(生コークス)を得て、得られた石炭系塊状コークス(生コークス)をロータリーキルンによって低酸素雰囲気下で入口付近温度800℃から出口付近温度1500℃(最高到達温度)の温度で1時間以上か焼して石炭系塊状か焼コークスを得た。
石炭系重質油よりキノリン不溶分を除去した精製ピッチを用い、ディレードコーキング法によって500℃の温度で24時間熱処理して製造した石炭系塊状コークス(生コークス)を得て、得られた石炭系塊状コークス(生コークス)をロータリーキルンによって低酸素雰囲気下で入口付近温度800℃から出口付近温度1500℃(最高到達温度)の温度で1時間以上か焼して石炭系塊状か焼コークスを得た。
上述のようにして得た石炭系塊状か焼コークスを、ジェットミルにて単位時間あたりの処理量、処理時のガス流速を適切に調整して微粉砕を実施し、その後風力分級により3μm以下の微粉の大部分を除去して石炭系か焼コークスを得た。得られた石炭系か焼コークスを、ローラーハースキルンによって窒素ガス雰囲気下で最高到達温度1500℃で1時間以上焼成することで、真比重が2.15g/cm3であり、D10が3.0μm、D50が10.2μm、D90が20.0μm、及びD50−D10が7.2μmのリチウムイオン二次電池用負極活物質を得た。この負極活物質のタップ密度は0.55g/cm3であり、また、窒素ガス吸着流通法によるBET比表面積は6.6m2/gであった。
また、実施例1と同様にして作製した電極の断面を観察したところ、楕円相当長短比0.05〜0.70の範囲である活物質粒子は89%であることが確認された。また、実施例1と同様にして充電維持率及び初期効率を調べた。結果を表1に示す。
(実施例6〜7)
石炭系塊状か焼コークスを得た後のジェットミル粉砕時の条件を変更した以外は、それぞれ実施例5と同様の操作を行い、表1に示すような粒度分布が異なるリチウムイオン二次電池用負極活物質を得た。得られた負極活物質の特性を表1に示す。また、実施例1と同様にして作製した電極の断面を観察したところ、楕円相当長短比0.05〜0.70の範囲である活物質粒子はいずれのサンプルも82〜90%であることが確認された。それらを用いて実施例1と同様にして負極電極及びリチウムイオン二次電池を得て、充電維持率及び初期効率を調べた。結果を表1に示す。
石炭系塊状か焼コークスを得た後のジェットミル粉砕時の条件を変更した以外は、それぞれ実施例5と同様の操作を行い、表1に示すような粒度分布が異なるリチウムイオン二次電池用負極活物質を得た。得られた負極活物質の特性を表1に示す。また、実施例1と同様にして作製した電極の断面を観察したところ、楕円相当長短比0.05〜0.70の範囲である活物質粒子はいずれのサンプルも82〜90%であることが確認された。それらを用いて実施例1と同様にして負極電極及びリチウムイオン二次電池を得て、充電維持率及び初期効率を調べた。結果を表1に示す。
(実施例8)
石炭系か焼コークスを、ローラーハースキルンによって窒素ガス雰囲気下で最高到達温度1000℃で1時間以上焼成した以外は、実施例5と同様の操作を行い、リチウムイオン二次電池を得た。得られた負極活物質の特性を表1に示す。また、実施例1と同様にして作製した電極の断面を観察したところ、楕円相当長短比0.05〜0.70の範囲である活物質粒子は88%であることが確認された。また、実施例1と同様にして充電維持率及び初期効率を調べた。結果を表1に示す。
石炭系か焼コークスを、ローラーハースキルンによって窒素ガス雰囲気下で最高到達温度1000℃で1時間以上焼成した以外は、実施例5と同様の操作を行い、リチウムイオン二次電池を得た。得られた負極活物質の特性を表1に示す。また、実施例1と同様にして作製した電極の断面を観察したところ、楕円相当長短比0.05〜0.70の範囲である活物質粒子は88%であることが確認された。また、実施例1と同様にして充電維持率及び初期効率を調べた。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明の要件を満たしたリチウムイオン二次電池用負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池は、高い充電維持率を示し、急速充電特性を有したまま、体積密度も1.10g/cm3を超え、また表面積増加により懸念される初期効率も高い値を保持できていることが分かる。
また、負極活物質の真比重が大きくなると、急速充電特性が損なわれてくることも分かる。これは焼成温度が高くなることなどにより炭素の結晶化が進み、黒鉛のように層間距離が狭くなってくることが原因のひとつであると思われる。
以上、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
Claims (4)
- 真比重が2.00〜2.16g/cm3の炭素材料から形成されて、体積基準での粒子の粒度分布におけるD10が2〜5μm、D50が8〜12μm、D90が16〜26μm、及びD50−D10が5〜10μmの範囲にあり、タップ密度が0.4g/cc以上であり、窒素ガス吸着流通法によるBET比表面積が5.1〜9.0m2/gであることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極活物質。
- 活物質が、石炭系及び/又は石油系の生コークス、又は、石炭系及び/又は石油系のか焼コークスのいずれか一方を単独で、或いは両方を混合して焼成して得られたものである請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
- 請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質とバインダーとを混合して形成される合材層を集電体上に有した負極であって、該負極の断面を観察したときの活物質の形状において、観察される活物質粒子数の80%以上は、楕円相当長短比(楕円相当短軸長さ/楕円相当長軸長さ)が0.05〜0.70であり、かつ、前記合材層の体積密度が1.10〜1.25g/cm3であることを特徴とするリチウムイオン二次電池負極。
- 請求項3に記載のリチウムイオン二次電池負極と正極とがセパレータを介して対向してなることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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JP2018006271A (ja) * | 2016-07-07 | 2018-01-11 | 新日鉄住金化学株式会社 | リチウムイオン二次電池負極用炭素材料、その中間体、その製造方法、及びそれを用いた負極又は電池 |
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