JP2015186909A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】押圧検出装置やそれを利用したデバイスを製造する際の、引出電極の取り付け工程や、積層工程が簡略化された積層体を提供すること。
【解決手段】重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、DSC法で得られる結晶化度が20%〜80%であり、かつ、マイクロ波透過型分子配向計で測定される基準厚さを50μmとしたときの規格化分子配向MORcと前記結晶化度との積が40〜700である高分子圧電フィルム10と、前記高分子圧電フィルムの一方の主面上に設けられた導電層(例えば電極14A)と、前記高分子圧電フィルム10の他方の主面上に設けられた剥離可能な離型フィルム22Bと、前記高分子圧電フィルム10と前記剥離可能な離型フィルム22Bの間に設けられた粘着層20Bと、を有する積層体である。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層体に関する。
近年、光学活性を有するヘリカルキラル高分子(例えばポリ乳酸系高分子)を用いた高分子圧電材料が報告されている。
例えば、ポリ乳酸の成形物を延伸処理することで、常温で、10pC/N程度の圧電率を示す高分子圧電材料が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
ポリ乳酸系高分子を高分子圧電部材として用いた装置としては、例えば、ポリ乳酸から作製した圧電シートを備えた押圧検出装置として備えた押圧検出タッチパネルが提案されている(例えば、特許文献2〜5参照)。押圧検出装置タッチパネルは、タッチパネル上の二次元的な位置情報だけでなく、タッチパネル面を押した圧力を検出できるため、タッチパネルの操作方法を三次元に拡張することが可能である。
ヘリカルキラル高分子圧電部材を用いた押圧検出装置には、ヘリカルキラル高分子圧電部材から発生する電荷を検出するための電極が必要であり、特許文献5ではヘリカルキラル高分子圧電部材の二つの主面に直接電極が形成された押圧検出装置が提案されている。
特開平5−152638号公報 国際公開第2010/143528号 国際公開第2011/125408号 国際公開第2012/049969号 国際公開第2011/138903号
ここで、電極を有するヘリカルキラル高分子圧電部材、つまり導電層(例えば透明導電層)を有する高分子圧電フィルムを用いた押圧検出装置を押圧検出タッチパネル等のデバイスとして利用する際は、押圧検出装置とタッチパネルや他のデバイスを積層する必要がある。また、押圧検出装置自体を作製する過程において、高分子圧電フィルムの二つの主面(表裏両面)に、導電層を設ける場合がある。
しかしながら、ヘリカルキラル高分子圧電フィルムの二つの主面に導電層が形成されている場合、導電層を外部回路に接続する際に、ヘリカルキラル高分子圧電フィルムの二つの主面に設けられている導電層に対して、引出電極を取り付ける必要があり、生産工程が煩雑になる。
また、導電層を有するヘリカルキラル高分子圧電フィルムを用いた押圧検出装置を例えば、押圧検出タッチパネルとして利用する際には、押圧検出装置とタッチパネルや他のデバイスを積層する必要があり、押圧検出装置とタッチパネル等との間に接着剤や粘着剤を塗布して、貼り合わせる工程が生じる。
従って、本発明は、押圧検出装置やそれを利用したデバイス等の製品を製造する際の、引出電極の取り付け工程や、積層工程が簡略化される積層体を提供するものである。
[1] 重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、DSC法で得られる結晶化度が20%〜80%であり、かつ、マイクロ波透過型分子配向計で測定される基準厚さを50μmとしたときの規格化分子配向MORcと前記結晶化度との積が40〜700である高分子圧電フィルムと、
前記高分子圧電フィルムの一方の主面上に設けられた導電層と、
前記高分子圧電フィルムの他方の主面上に設けられた剥離可能な離型フィルムと、
前記高分子圧電フィルムと前記剥離可能な離型フィルムとの間に設けられた粘着層と、
を有する積層体。
[2] 前記粘着層の酸価が10mgKOH/g以下0.01mgKOH/g以上である[1]に記載の積層体。
[3] 前記導電層がパターニングされている[1]または[2]に記載の積層体。
[4] 前記高分子圧電フィルムと前記粘着層との間、及び、前記高分子圧電フィルムと前記導電層との間の少なくとも一方に、機能層を有する[1]〜[3]のいずれか1項に記載の積層体。
[5] 前記機能層が屈折率調整層、易接着層、ハードコート層、帯電防止層、及びアンチブロック層の少なくとも1つである[4]に記載の積層体。
[6] 前記剥離可能な離型フィルムを剥離した積層体の150℃30分間加熱したときの熱収縮率が、MD方向及びTD方向共に2.0%以下である[1]〜[5]のいずれか1項に記載の積層体。
[7] 前記導電層が透明導電層である[1]〜[6]のいずれか1項に記載の積層体。
[8] 前記高分子圧電フィルムは、可視光線に対する内部ヘイズが5%以下であり、前記高分子圧電フィルムの25℃において応力−電荷法で測定した圧電定数d14が1pC/N以上である、[1]〜[7]のいずれか1項に記載の積層体。
[9] 前記ヘリカルキラル高分子(A)が、下記式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖を有するポリ乳酸系高分子である[1]〜[8]のいずれか1項に記載の積層体。

[10] 前記ヘリカルキラル高分子(A)の光学純度が95.00%ee以上である[1]〜[9]のいずれか1項に記載の積層体。
[11] 前記ヘリカルキラル高分子(A)の含有量が80質量%以上である[1]〜[10]のいずれか1項に記載の積層体。
[12] 前記高分子圧電フィルムが、カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる1種類以上の官能基を有する重量平均分子量が200〜60000の安定化剤(B)を、前記ヘリカルキラル高分子(A)100質量部に対して0.01質量部〜10質量部含む[1]〜[11]のいずれか1項に記載の積層体。
本発明によれば、押圧検出装置やそれを利用したデバイス等の製品を製造する際の、引出電極の取り付け工程や、積層工程が簡略化される積層体を提供することができる。
本発明の積層体の一例を示す断面図である。 本発明の積層体を利用した製品の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の積層体を利用した製品の製造方法の一例を示す工程図である。
以下、本発明の一例である本実施形態について説明する。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、「フィルム」は、一般的に「フィルム」と呼ばれているものだけでなく、一般的に「シート」と呼ばれているものをも包含する概念である。
また、本明細書において、フィルムの主面とは、フィルムの厚み方向に対向する面のことを意味する。なお、「主面」を単に「面」とも称することがある。
≪積層体≫
本発明の積層体は、高分子圧電フィルムと、高分子圧電フィルムの一方の主面上に設けられた導電層と、高分子圧電フィルムの他方の主面上に設けられた剥離可能な離型フィルム(以下、「離型フィルム」ともいう)と、高分子圧電フィルムと離型フィルムとの間に設けられた粘着層と、を有する。
そして、高分子圧電フィルムは、重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、DSC法で得られる結晶化度が20%〜80%であり、かつ、マイクロ波透過型分子配向計で測定される基準厚さを50μmとしたときの規格化分子配向MORcと結晶化度との積が40〜700である。
本発明の積層体では、高分子圧電フィルムと高分子圧電フィルムの一方の主面上に設けられた導電層とを有する積層体本体における高分子圧電フィルムの他方の主面側に離型フィルムが設けられており、さらに、高分子圧電フィルムと離型フィルムとの間に粘着層を有している。そして、押圧検出装置やそれを利用したデバイス等の製品を製造する過程において、積層体から離型フィルムを剥離することにより、あらかじめ形成されている粘着層が露出され、この積層体を用いて、各製品を製造することができる。そのため、例えば、押圧検出タッチパネルとして利用する際の、押圧検出装置とタッチパネルや他のデバイスを積層する工程において、粘着層を設ける工程が削減される。また、導電層が高分子圧電フィルムの一方の面にのみ形成されているため、押圧検出装置やそれを利用したデバイスを製造する際に、引出電極を同じ方向から取り付けることが可能になる。
したがって、本発明の積層体は、上記構成を有することにより、押圧検出装置やそれを利用したデバイス等の製品を製造する際の、引出電極の取り付け工程や、積層工程が簡略化される積層体を提供することができる。
以下、図面を参照し、本発明の積層体の一例を説明する。
例えば、図1に示すように、積層体100は、高分子圧電フィルム10を有する。高分子圧電フィルム10の一方の主面上には、機能層としての中間層12Aと、導電層としての電極14Aと、をこの順に有する。一方、高分子圧電フィルム10の他方の主面上には、機能層としての中間層12Bと、粘着層20Bと、離型フィルム22Bと、をこの順に有する。
なお、中間層12A,12Bは、必要に応じて、積層体100に設けられる層である。つまり、導電層としての電極14A、及び粘着層20Bは、各々、高分子圧電フィルム10の主面に直接接して設けられていてもよい。
次に、積層体100を利用した製品の製造方法の一例について説明する。なお、製品の製造方法は、以下に説明する方法に限定されるわけではなく、目的とする製品に応じて、適宜、実施されるものである。
まず、図1に示すように、高分子圧電フィルム10と、高分子圧電フィルム10の一方の主面上に積層された中間層12A及び電極14Aと、高分子圧電フィルム10の他方の主面上に積層された中間層12B及び粘着層20Bと、を有する積層体本体100Aが、その粘着層20Bに離型フィルム22Bを貼り合せた状態で、製品の製造工程に供給される。
次に、図2Aに示すように、例えば、電極14Aと電気的に接続する引出電極18Aを形成する。その後、粘着層20Aが設けられた剥離可能な離型フィルム22Aと積層体100とを、粘着層20Aと電極14Aとが対向するように貼り合せる。
次に、図2Bに示すように、例えば、導電層としての電極14Bが設けられた基体24を準備し、この電極14Bと電気的に接続する引出電極18Bを形成する。その後、積層体100から離型フィルム22Bを剥離する。そして、離型フィルム22Bを剥離した積層体本体100Aと基体24とを、粘着層20Bと電極14Bとが対向するように貼り合わせる。
なお、例えば、ロールtoロール方式等により、離型フィルム22Bを剥離しながら、電極14Bが設けられた基体24と積層体本体100Aとを貼り合せてもよい。
このように得られた製品は、図示しないが、その後、押圧検出装置やそれを利用したデバイス等の製品の製造に供される。
以上説明したように、積層体100では、例えば、積層体100から剥離可能な離型フィルム22Bが剥離された積層体本体100Aと、基体24とを、粘着層20Bと電極14Bとが対向するように貼り合わせている。このため、製品を製造する中間工程において、積層体本体100Aの粘着層20Bを露出させて貼り合わせることができるため、粘着工程を設ける必要がなくなる。その結果、積層工程が簡略化され、製品の生産性を高めることができる。
また、積層体100を利用した製品の製造方法の一例において、積層体100の電極14A、及び基体24に設けられた電極14Bは、いずれも同じ方向から、各々、引出電極18A、18Bを形成することができる。このため、引出電極18A、18Bの形成が簡略化され、製品の生産性を高めることができる。
以下、本発明の積層体の各構成要素について説明する。なお、符号は省略して説明する。また、積層体100を利用した製品の製造方法で使用する各構成要素(引出電極、基体)についても説明する。
<高分子圧電フィルム>
高分子圧電フィルム(圧電体)としては、光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含む所定の高分子圧電フィルムが適用される。
〔光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)〕
ヘリカルキラル高分子(A)は、重量平均分子量が5万〜100万であり光学活性を有するヘリカルキラル高分子である。
ここで、「光学活性を有するヘリカルキラル高分子」とは、分子構造が螺旋構造であり分子光学活性を有する高分子を指す。
ヘリカルキラル高分子(A)は、上記の「光学活性を有するヘリカルキラル高分子」のうち、重量平均分子量が5万〜100万である高分子である。
上記ヘリカルキラル高分子(A)としては、例えば、ポリペプチド、セルロース誘導体、ポリ乳酸系高分子、ポリプロピレンオキシド、ポリ(β―ヒドロキシ酪酸)等を挙げることができる。
上記ポリペプチドとしては、例えば、ポリ(グルタル酸γ−ベンジル)、ポリ(グルタル酸γ−メチル)等が挙げられる。
上記セルロース誘導体としては、例えば、酢酸セルロース、シアノエチルセルロース等が挙げられる。
ヘリカルキラル高分子(A)は、高分子圧電フィルムの圧電性を向上する観点から、光学純度が95.00%ee以上であることが好ましく、96.00%ee以上であることがより好ましく、99.00%ee以上であることがさらに好ましく、99.99%ee以上であることがさらにより好ましい。特に、好ましくは100.00%eeである。ヘリカルキラル高分子(A)の光学純度を上記範囲とすることで、圧電性を発現する高分子結晶のパッキング性が高くなり、その結果、圧電性が高くなるものと考えられる。
ここで、ヘリカルキラル高分子(A)の光学純度は、下記式にて算出した値である。
光学純度(%ee)=100×|L体量−D体量|/(L体量+D体量)
すなわち、ヘリカルキラル高分子(A)の光学純度は、
『「ヘリカルキラル高分子(A)のL体の量〔質量%〕とヘリカルキラル高分子(A)のD体の量〔質量%〕との量差(絶対値)」を「ヘリカルキラル高分子(A)のL体の量〔質量%〕とヘリカルキラル高分子(A)のD体の量〔質量%〕との合計量」で割った(除した)数値』に、『100』をかけた(乗じた)値である。
なお、ヘリカルキラル高分子(A)のL体の量〔質量%〕とヘリカルキラル高分子(A)のD体の量〔質量%〕は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた方法により得られる値を用いる。具体的な測定の詳細については後述する。
上記ヘリカルキラル高分子(A)としては、光学純度を上げ、圧電性を向上させる観点から、下記式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖を有する高分子が好ましい。
上記式(1)で表される繰り返し単位を主鎖とする高分子としては、ポリ乳酸系高分子が挙げられる。
ここで、ポリ乳酸系高分子とは、「ポリ乳酸(L−乳酸及びD−乳酸から選ばれるモノマー由来の繰り返し単位のみからなる高分子)」、「L−乳酸又はD−乳酸と、該L−乳酸又はD−乳酸と共重合可能な化合物とのコポリマー」、又は、両者の混合物をいう。
ポリ乳酸系高分子の中でも、ポリ乳酸が好ましく、L−乳酸のホモポリマー(PLLA)又はD−乳酸のホモポリマー(PDLA)が最も好ましい。
ポリ乳酸は、乳酸がエステル結合によって重合し、長く繋がった高分子である。
ポリ乳酸は、ラクチドを経由するラクチド法;溶媒中で乳酸を減圧下加熱し、水を取り除きながら重合させる直接重合法;などによって製造できることが知られている。
ポリ乳酸としては、L−乳酸のホモポリマー、D−乳酸のホモポリマー、L−乳酸及びD−乳酸の少なくとも一方の重合体を含むブロックコポリマー、及び、L−乳酸及びD−乳酸の少なくとも一方の重合体を含むグラフトコポリマーが挙げられる。
上記「L−乳酸又はD−乳酸と共重合可能な化合物」としては、グリコール酸、ジメチルグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシカプロン酸、4−ヒドロキシカプロン酸、5−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシメチルカプロン酸、マンデル酸等のヒドロキシカルボン酸;グリコリド、β−メチル−δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の環状エステル;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テレフタル酸等の多価カルボン酸及びこれらの無水物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、1,4−ヘキサンジメタノール等の多価アルコール;セルロース等の多糖類;α−アミノ酸等のアミノカルボン酸;等を挙げることができる。
上記「L−乳酸又はD−乳酸と、該L−乳酸又はD−乳酸と共重合可能な化合物とのコポリマー」としては、らせん結晶を生成可能なポリ乳酸シーケンスを有する、ブロックコポリマー又はグラフトコポリマーが挙げられる。
また、ヘリカルキラル高分子(A)中におけるコポリマー成分に由来する構造の濃度は20mol%以下であることが好ましい。
例えば、ヘリカルキラル高分子(A)が、ポリ乳酸系高分子である場合、ポリ乳酸系高分子中における、乳酸に由来する構造と、乳酸と共重合可能な化合物(コポリマー成分)に由来する構造と、のモル数の合計に対して、コポリマー成分に由来する構造の濃度が20mol%以下であることが好ましい。
ポリ乳酸系高分子は、例えば、特開昭59−096123号公報、及び特開平7−033861号公報に記載されている乳酸を直接脱水縮合して得る方法;米国特許2,668,182号及び4,057,357号等に記載されている乳酸の環状二量体であるラクチドを用いて開環重合させる方法;などにより製造することができる。
さらに、上記各製造方法により得られたポリ乳酸系高分子は、光学純度を95.00%ee以上とするために、例えば、ポリ乳酸をラクチド法で製造する場合、晶析操作により光学純度を95.00%ee以上の光学純度に向上させたラクチドを、重合することが好ましい。
−重量平均分子量−
ヘリカルキラル高分子(A)の重量平均分子量(Mw)は、前述のとおり5万〜100万である。
ヘリカルキラル高分子(A)のMwが5万以上であることにより、高分子圧電フィルムの機械的強度が向上する。上記Mwは、10万以上であることが好ましく、20万以上であることがさらに好ましい。
一方、ヘリカルキラル高分子(A)のMwが100万以下であることにより、成形(例えば押出成形)によって高分子圧電フィルムを得る際の成形性が向上する。上記Mwは、80万以下であることが好ましく、30万以下であることがさらに好ましい。
また、ヘリカルキラル高分子(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、高分子圧電フィルムの強度の観点から、1.1〜5であることが好ましく、1.2〜4であることがより好ましい。さらに1.4〜3であることが好ましい。
なお、ヘリカルキラル高分子(A)の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用い、下記GPC測定方法により、測定された値を指す。ここで、Mnは、ヘリカルキラル高分子(A)の数平均分子量である。
−GPC測定装置−
Waters社製GPC−100
−カラム−
昭和電工社製、Shodex LF−804
−サンプルの調製−
ヘリカルキラル高分子(A)を40℃で溶媒(例えば、クロロホルム)へ溶解させ、濃度1mg/mLのサンプル溶液を準備する。
−測定条件−
サンプル溶液0.1mlを溶媒〔クロロホルム〕、温度40℃、1ml/分の流速でカラムに導入する。
カラムで分離されたサンプル溶液中のサンプル濃度を示差屈折計で測定する。ポリスチレン標準試料にてユニバーサル検量線を作成し、ヘリカルキラル高分子(A)の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を算出する。
ヘリカルキラル高分子(A)の例であるポリ乳酸系高分子としては、市販のポリ乳酸を用いることができる。
市販品としては、例えば、PURAC社製のPURASORB(PD、PL)、三井化学社製のLACEA(H−100、H−400)、NatureWorks LLC社製のIngeoTM biopolymer、等が挙げられる。
ヘリカルキラル高分子(A)としてポリ乳酸系高分子を用いるときに、ポリ乳酸系高分子の重量平均分子量(Mw)を5万以上とするためには、ラクチド法、又は直接重合法によりポリ乳酸系高分子を製造することが好ましい。
高分子圧電フィルムは、上述したヘリカルキラル高分子(A)を、1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
高分子圧電フィルム中におけるヘリカルキラル高分子(A)の含有量(2種以上である場合には総含有量)は、圧電定数をより高める観点から、高分子圧電フィルムの全量に対し、80質量%以上が好ましい。
〔安定化剤〕
高分子圧電フィルムは、更に、一分子中に、カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる1種類以上の官能基を有する重量平均分子量が200〜60000の安定化剤(B)を含有することが好ましい。これにより、耐湿熱性をより向上させることができる。
安定化剤(B)としては、国際公開第2013/054918号パンフレットの段落0039〜0055に記載された「安定化剤(B)」を用いることができる。
安定化剤(B)として用い得る、一分子中にカルボジイミド基を含む化合物(カルボジイミド化合物)としては、モノカルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド化合物、環状カルボジイミド化合物が挙げられる。
モノカルボジイミド化合物としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ビス−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、等が好適である。
また、ポリカルボジイミド化合物としては、種々の方法で製造したものを使用することができる。従来のポリカルボジイミドの製造方法(例えば、米国特許第2941956号明細書、特公昭47−33279号公報、J.0rg.Chem.28,2069−2075(1963)、Chemical Review 1981,Vol.81 No.4、p619−621)により、製造されたものを用いることができる。具体的には特許4084953号公報に記載のカルボジイミド化合物を用いることもできる。
ポリカルボジイミド化合物としては、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、ポリ(N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド)、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルフェニレン−2,4−カルボジイミド、等が挙げられる。
環状カルボジイミド化合物は、特開2011−256337号公報に記載の方法などに基づいて合成することができる。
カルボジイミド化合物としては、市販品を用いてもよく、例えば、東京化成社製、B2756(商品名)、日清紡ケミカル社製、カルボジライトLA−1(商品名)、ラインケミー社製、Stabaxol P、Stabaxol P400、Stabaxol I(いずれも商品名)等が挙げられる。
安定化剤(B)として用い得る、一分子中にイソシアネート基を含む化合物(イソシアネート化合物)としては、イソシアン酸3−(トリエトキシシリル)プロピル、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、等が挙げられる。
安定化剤(B)として用い得る、一分子中にエポキシ基を含む化合物(エポキシ化合物)としては、フェニルグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。
安定化剤(B)の重量平均分子量は、上述のとおり200〜60000であるが、200〜30000がより好ましく、300〜18000がさらに好ましい。
分子量が上記範囲内ならば、安定化剤(B)がより移動しやすくなり、耐湿熱性改良効果がより効果的に奏される。
安定化剤(B)の重量平均分子量は、200〜900であることが特に好ましい。なお、重量平均分子量200〜900は、数平均分子量200〜900とほぼ一致する。また、重量平均分子量200〜900の場合、分子量分布が1.0である場合があり、この場合には、「重量平均分子量200〜900」を、単に「分子量200〜900」と言い換えることもできる。
高分子圧電フィルムが安定化剤(B)を含有する場合、上記高分子圧電フィルムは、安定化剤を1種のみ含有してもよいし、2種以上含有してもよい。
高分子圧電フィルムが安定化剤(B)を含む場合、安定化剤(B)の含有量は、ヘリカルキラル高分子(A)100質量部に対し、0.01質量部〜10質量部であることが好ましく、0.01質量部〜5質量部であることがより好ましく、0.1質量部〜3質量部であることがさらに好ましく、0.5質量部〜2質量部であることが特に好ましい。
上記含有量が0.01質量部以上であると、耐湿熱性がより向上する。
また、上記含有量が10質量部以下であると、透明性の低下がより抑制される。
安定化剤(B)の好ましい態様としては、カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる1種類以上の官能基を有し、且つ、数平均分子量が200〜900の安定化剤(B1)と、カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる1種類以上の官能基を1分子内に2以上有し、且つ、重量平均分子量が1000〜60000の安定化剤(B2)とを併用するという態様が挙げられる。なお、数平均分子量が200〜900の安定化剤(B1)の重量平均分子量は、大凡200〜900であり、安定化剤(B1)の数平均分子量と重量平均分子量とはほぼ同じ値となる。
安定化剤として安定化剤(B1)と安定化剤(B2)とを併用する場合、安定化剤(B1)を多く含むことが透明性向上の観点から好ましい。
具体的には、安定化剤(B1)100質量部に対して、安定化剤(B2)が10質量部〜150質量部の範囲であることが、透明性と耐湿熱性の両立という観点から好ましく、50質量部〜100質量部の範囲であることがより好ましい。
以下、安定化剤(B)の具体例(安定化剤B−1〜B−3)を示す。
以下、上記安定化剤B−1〜B−3について、化合物名、市販品等を示す。
・安定化剤B−1 … 化合物名は、ビス−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドである。重量平均分子量(この例では、単なる「分子量」に等しい)は、363である。市販品としては、ラインケミー社製「Stabaxol I」、東京化成社製「B2756」が挙げられる。
・安定化剤B−2 … 化合物名は、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)である。市販品としては、重量平均分子量約2000のものとして、日清紡ケミカル社製「カルボジライトLA−1」が挙げられる。
・安定化剤B−3 … 化合物名は、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルフェニレン−2,4−カルボジイミド)である。市販品としては、重量平均分子量約3000のものとして、ラインケミー社製「Stabaxol P」が挙げられる。また、重量平均分子量20000のものとして、ラインケミー社製「Stabaxol P400」が挙げられる。
<その他の成分>
高分子圧電フィルムは、必要に応じ、その他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等の公知の樹脂;シリカ、ヒドロキシアパタイト、モンモリロナイト等の公知の無機フィラー;フタロシアニン等の公知の結晶核剤;安定化剤(B)以外の安定化剤;等が挙げられる。
無機フィラー及び結晶核剤としては、国際公開第2013/054918号パンフレットの段落0057〜0058に記載された成分を挙げることもできる。
<高分子圧電フィルムの物性>
高分子圧電フィルムは、圧電定数が大きいこと(好ましくは、25℃において応力−電荷法で測定した圧電定数d14が1pC/N以上であること)が好ましい。更に、高分子圧電フィルムは、透明性、縦裂強度(即ち、特定方向についての引裂強さ。以下同じ。)に優れることが好ましい。
〔圧電定数(応力−電荷法)〕
高分子圧電フィルムの圧電定数は、次のようにして測定される値をいう。
まず、高分子圧電フィルムを、高分子圧電フィルムの延伸方向(例えばMD方向)に対して45°なす方向に150mm、45°なす方向に直交する方向に50mmにカットして、矩形の試験片を作製する。次に、昭和真空SIP−600の試験台に得られた試験片をセットし、Alの蒸着厚が約50nmとなるように、試験片の一方の面にAlを蒸着する。次いで試験片の他方の面にも同様にしてAlを蒸着する。以上のようにして、試験片の両面にAlの導電層を形成する。
両面にAlの導電層が形成された150mm×50mmの試験片(高分子圧電フィルム)を、高分子圧電フィルムの延伸方向(例えばMD方向)に対して45°なす方向に120mm、45°なす方向に直交する方向に10mmにカットして、120mm×10mmの矩形のフィルムを切り出す。これを、圧電定数測定用サンプルとする。
得られたサンプルを、チャック間距離70mmとした引張試験機(AND社製、TENSILON RTG−1250)に、弛まないようにセットする。クロスヘッド速度5mm/minで、印加力が4Nと9Nとの間を往復するように周期的に力を加える。このとき印加力に応じてサンプルに発生する電荷量を測定するため、静電容量Qm(F)のコンデンサーをサンプルに並列に接続し、このコンデンサーCm(95nF)の端子間電圧Vmを、バッファアンプを介して測定する。発生電荷量Q(C)は、コンデンサー容量Cmと端子間電圧Vmとの積として計算する。圧電定数d14は下式により計算される。
14=(2×t)/L×Cm・ΔVm/ΔF
t:サンプル厚(m)
L:チャック間距離(m)
Cm:並列接続コンデンサー容量(F)
ΔVm/ΔF:力の変化量に対する、コンデンサー端子間の電圧変化量比
圧電定数は高ければ高いほど、高分子圧電フィルムに印加される電圧に対する前記フィルムの変位が大きくなり、また、逆に高分子圧電フィルムに印加される力に対し発生する電圧が大きくなり、高分子圧電フィルムとしては有用である。
具体的には、25℃における応力−電荷法で測定した圧電定数d14は1pC/N以上が好ましく、3pC/N以上がより好ましく、4pC/N以上がさらに好ましい。また、圧電定数の上限は特に限定されないが、後述する透明性などのバランスの観点からは、光学活性を有するヘリカルキラル高分子(光学活性高分子)を用いた高分子圧電フィルムでは、50pC/N以下が好ましく、30pC/N以下がより好ましい。
また、同様に、透明性とのバランスの観点からは、共振法で測定した圧電定数d14が15pC/N以下であることが好ましい。
なお、本明細書中において、「MD方向」とはフィルムの流れる方向(Machine Direction)、すなわち、延伸方向であり、「TD方向」とは、前記MD方向と直交し、フィルムの主面と平行な方向(Transverse Direction)である。
〔透明性(内部ヘイズ)〕
高分子圧電フィルムの透明性は、内部ヘイズを測定することにより評価することができる。
高分子圧電フィルムは、可視光線に対する内部ヘイズが5%以下でことが好ましく、透明性及び縦裂強度をより向上させる観点からは、2.0%以下がより好ましく、1.0%以下が更に好ましい。高分子圧電フィルムの前記内部ヘイズの下限値は特に限定はないが、下限値としては、例えば0.01%が挙げられる。
ここで、高分子圧電フィルムの内部ヘイズは、高分子圧電フィルムの外表面の形状によるヘイズを除外したヘイズを指す。
高分子圧電フィルムの内部ヘイズは、厚さ0.03mm〜0.05mmの高分子圧電フィルムに対して、JIS−K7105に準拠して、ヘイズ測定機〔(有)東京電色社製、TC−HIII DPK〕を用いて25℃で測定したときの値であり、測定方法の詳細は実施例において詳述する。
〔規格化分子配向MORc〕
規格化分子配向MORcは、ヘリカルキラル高分子(A)の配向の度合いを示す指標である「分子配向度MOR」に基づいて定められる値である。
ここで、分子配向度MOR(Molecular Orientation Ratio)は、以下のようなマイクロ波測定法により測定される。すなわち、高分子圧電フィルム(例えば、フィルム状の高分子圧電材料)を、周知のマイクロ波分子配向度測定装置(マイクロ波透過型分子配向計ともいう)のマイクロ波共振導波管中に、マイクロ波の進行方向に高分子圧電フィルムの面(フィルム面)が垂直になるように配置する。そして、振動方向が一方向に偏ったマイクロ波を試料に連続的に照射した状態で、高分子圧電フィルムをマイクロ波の進行方向と垂直な面内で0〜360°回転させて、試料を透過したマイクロ波強度を測定することにより分子配向度MORを求める。
規格化分子配向MORcは、基準厚さtcを50μmとしたときの分子配向度MORであって、下記式により求めることができる。
MORc=(tc/t)×(MOR−1)+1
(tc:補正したい基準厚さ、t:高分子圧電フィルムの厚さ)
規格化分子配向MORcは、公知の分子配向計、例えば王子計測機器株式会社製マイクロ波方式分子配向計MOA−2012AやMOA−6000等により、4GHzもしくは12GHz近傍の共振周波数で測定することができる。
高分子圧電フィルムは、規格化分子配向MORcが1.0〜15.0であることが好ましく、2.0〜10.0であることがより好ましく、4.0〜10.0であることが更に好ましい。
規格化分子配向MORcが1.0以上であれば、延伸方向に配列する光学活性高分子の分子鎖(例えばポリ乳酸分子鎖)が多く、その結果、配向結晶の生成する率が高くなり、より高い圧電性を発現することが可能となる。
規格化分子配向MORcが15.0以下であれば、縦裂強度が更に向上する。
また、高分子圧電フィルムと中間層との密着性をより向上させる観点からは、規格化分子配向MORcは、7.0以下であることが好ましい。
規格化分子配向MORcは、例えば、高分子圧電フィルムが延伸フィルムである場合には、延伸前の加熱処理条件(加熱温度及び加熱時間)や、延伸条件(延伸温度及び延伸速度)等によって制御されうる。
なお、規格化分子配向MORcは、位相差量(レターデーション)をフィルムの厚さで除した複屈折率Δnに変換することもできる。具体的には、レターデーションは大塚電子株式会社製RETS100を用いて測定することができる。またMORcとΔnとは大凡、直線的な比例関係にあり、かつΔnが0の場合、MORcは1になる。
例えば、ヘリカルキラル高分子(A)がポリ乳酸系高分子であり、かつ、高分子圧電フィルムの複屈折率Δnを測定波長550nmで測定した場合、規格化分子配向MORcの好ましい範囲の下限である2.0は、複屈折率Δn 0.005に変換できる。また、後述する、高分子圧電フィルムの規格化分子配向MORcと結晶化度の積の好ましい範囲の下限である40は、高分子圧電フィルムの複屈折率Δnと結晶化度の積が0.1に変換することができる。
〔結晶化度〕
高分子圧電フィルムの結晶化度は、DSC法によって求められるものである。
本発明にかかる高分子圧電フィルムの結晶化度は、20%〜80%である。結晶化度が20%以上であることにより、高分子圧電フィルムの圧電性が高く維持される。結晶化度が80%以下であることにより、高分子圧電フィルムの透明性が高く維持され、また、結晶化度が80%以下であることにより、延伸時に白化や破断がおきにくいので、高分子圧電フィルムを製造しやすい。
従って、高分子圧電フィルムの結晶化度は20%〜80%であるが、上記結晶化度は、好ましくは25%〜70%であり、より好ましくは30%〜50%である。
〔規格化分子配向MORcと結晶化度との積〕
高分子圧電フィルムの規格化分子配向MORcと結晶化度との積は40〜700であり、好ましくは75〜680、より好ましくは90〜660、さらに好ましくは125〜650、特に好ましくは150〜350である。上記の積が40〜700の範囲にあれば、高分子圧電フィルムの圧電性と透明性とのバランスが良好であり、かつ寸法安定性も高く、後述する圧電素子として好適に用いることができる。
本発明にかかる高分子圧電フィルムでは、例えば、高分子圧電フィルムを製造する際の結晶化及び延伸の条件を調整することにより、上記の積を上記範囲に調整することができる。
〔形状及び膜厚〕
高分子圧電フィルムの形状には特に制限はないが、フィルム形状が好ましい。
また、高分子圧電フィルムの膜厚(例えば、フィルム形状である場合の高分子圧電フィルムの膜厚)には特に制限はないが、10μm〜400μmが好ましく、20μm〜200μmがより好ましく、20μm〜100μmが更に好ましく、20μm〜80μmが特に好ましい。但し、高分子圧電フィルムが複数層からなる多層膜の場合には、上記膜厚は多層膜全体における厚さを表す。
<導電層(電極)>
導電層は、高分子圧電フィルムから発生する電荷を検出するための電極である。導電層は、高分子圧電フィルムの一方の面の全面に設けられていてもよいが、パターニングされていることがよい。
導電層は、透明導電層であってもよく、非透明導電層であってもよい。但し、導電層は、タッチパネル等の製品に積層体を利用する場合、透過率の低下及び呈色を抑制する観点から、透明導電層であることがよい。
ここで、「透明」とは、導電層の内部ヘイズが20%以下、全光線透過率が80%以上であることをいう。
尚、導電層の内部ヘイズHcは、以下の式により計算される。
Hc=H−Hp
H:高分子圧電フィルムと導電層との積層体の内部ヘイズ
Hp:導電層形成前または導電層を除去した後の高分子圧電フィルムの内部ヘイズ
但し、高分子圧電フィルムの内部ヘイズの測定方法は前述の通りである。積層体の内部ヘイズも、高分子圧電フィルムの内部ヘイズと同様の方法によって測定する。
ここで、導電層の全光線透過率も、導電層の内部ヘイズHcと同様の方法によって測定する。
〔材料〕
導電層の材料としては、金属膜や導電性金属酸化物膜、導電性高分子膜、金属または導電性金属酸化物を含む樹脂等の導電性組成物等、導通を示すものであれば、特に限定されるものではない。
透明導電層の材料としては、透過率の低下及び呈色を抑制する観点から、例えば、酸化インジウム−スズ、インジウム酸化物、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム−亜鉛等を用いることが好ましい。尚、これらの酸化物は、金属等のドーパントがドープされていてもよい。また、これら酸化物は、結晶状態でも非晶状態でもよい。
また、透明導電層の材料には、銀ナノワイヤー、カーボンナノチューブ、グラフェンや、それらを含む樹脂組成物を用いることもできる。
このような透明導電層の表面抵抗としては、デバイスの消費電力の観点から2000Ω/sq以下が好ましく、1000Ω/sqがより好ましく、500Ω/sq以下がさらに好ましく、200Ω/sq以下が特に好ましい。
一方、非透明電極層の材料としては、金、銀、白金、銅、アルミニウム、カーボンブラック、若しくはこれらの複合物、またはこれらを含有するペースト材料が好ましい。
〔膜厚〕
導電層の膜厚は、透過率の低下及び呈色を抑制する観点から、5nm〜500nmが好ましく、10nm〜200nmがより好ましく、10nm〜60nmが更に好ましい。
〔形成方法〕
導電層を形成する方法としては、従来一般的に用いられていた公知の方法が適宜使用できるが、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法、電子線蒸着法、ゾル−ゲル法、ウェットコーティング法が挙げられる。
<粘着層>
〔材料〕
粘着層は、粘着性を有する層である。粘着層としては両面をセパレータでラミネートしてある両面テープ(OCA;Optical Clear Adhensive)の粘着層を用いることができる。
また、上記粘着層は、溶剤系、無溶剤系、水系などの粘着コート液、UV硬化型OCR(Optical Clear Resin)、ホットメルト接着剤、などを用いて形成することもできる。
OCAとしては、光学用透明粘着シートLUCIACSシリーズ(日東電工株式会社製)や高透明両面テープ5400Aシリーズ(積水化学工業株式会社製)、光学粘着シートOpteriaシリーズ(リンテック株式会社製)、高透明性接着剤転写テープシリーズ(住友スリーエム株式会社製)、SANCUARYシリーズ(株式会社サンエー化研製)などが挙げられる。
粘着コート液としては、SKダインシリーズ(綜研化学株式会社製)、ファインタックシリーズ(DIC株式会社製)、ボンコートシリーズ、LKGシリーズ(藤倉化成株式会社製)、コーポニールシリーズ(日本合成化学工業株式会社製)などが挙げられる。
粘着層としては、高分子圧電フィルムの加熱を防ぐ観点から、OCAの粘着層、OCRを用いて形成された粘着層、高分子圧電フィルム以外の部材に粘着コート液を塗布して形成した粘着層、高分子圧電フィルム以外の部材にホットメルト接着剤を使用して形成した粘着層が好ましい。
粘着層の材料としては、特に限定されるものではないが、樹脂を含むことが好ましい。
樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、セルロース系樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン−エポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、クロロプレンゴム系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、水性高分子-イソシアネート系樹脂、スチレン-ブタジエンゴム系樹脂、ニトリルゴム系樹脂、アセタール樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、臭素樹脂、デンプン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
〔膜厚〕
粘着層の膜厚は、特に限定されるものではないが、粘着層の密着力の維持と透過率の低下を抑制する観点から、5μm以上の範囲が好ましく、7μm〜100μmの範囲がより好ましく、7μm〜60μmの範囲が更に好ましく、10μm〜30μmの範囲が特に好ましい。
〔粘着層の酸価〕
粘着層の酸価は、0.01mgKOH/g〜10mgKOH/gが好ましく、0.05mgKOH/g〜5mgKOH/gがより好ましく、0.1mgKOH/g〜1mgKOH/gがさらに好ましい。粘着層の酸価を、0.01mgKOH/g〜10mgKOH/gとすることで、高分子圧電フィルムの安定性(特に、耐湿熱性)を保ちつつ、かつ、高分子圧電フィルムと粘着層との密着力を高めることができる。
本発明の積層体において、粘着層の酸価は、粘着層1g中の遊離酸を中和するのに要するKOHの量(mg)を指す。このKOHの量(mg)は、溶媒に溶解又は膨潤させた粘着層を、フェノールフタレインを指示薬として0.005M KOH(水酸化カリウム)エタノール溶液によって滴定することにより測定される。
<剥離可能な離型フィルム>
〔材料〕
剥離可能な離型フィルムの材料としては、離型性(剥離性)を有する材料が好適に用いられる。離型フィルムは、単独のフィルムであってもよく、複数層からなる多層フィルムであってもよい。離型フィルムが、複数層からなる多層フィルムである場合、離型フィルムは、離型性を有する材料が粘着層と対向する面に設けられた構造に形成されていることが好ましい。この場合、離型フィルムは、基材と離型性を有する材料とを含む構造に形成されていてもよい。
離型性を有する材料としては、例えば、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のオレフィン樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、スチレン(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン、エチレン酢酸ビニル等のビニル樹脂;等が挙げられる。
また、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ワックス樹脂等が挙げられる。
離型フィルムは、これらの単独のフィルムであってもよく、複数層からなる多層フィルムであってもよい。この場合、離型フィルムは、離型性を有する材料が粘着層と対向する面に設けられた構造に形成されていることが好ましい。中でも、粘着層との剥離性をより向上させる点から、粘着層と対向する面に設ける離型性を有する材料は、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アルキッド樹脂、ワックス樹脂を用いることがより好ましく、シリコーン樹脂を用いることがさらに好ましい。
シリコーン樹脂としては、例えば、両末端シラノール官能性ジメチルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサン又はメチルメトキシシロキサンとを有機錫系触媒の存在下で反応させたもの(熱縮合反応型);分子鎖両末端又は両末端及び側鎖にビニル基を有するメチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンとを白金系触媒の存在下で反応させたもの(熱付加反応型);アルケニル基とメルカプト基を含有するシロキサンに光重合剤を加えたもの(紫外線硬化型(ラジカル付加型));熱付加反応型と同じ白金系触媒を用いたもの(紫外線硬化型(ヒドロシリル型));(メタ)アクリル基を含有するシロキサンに光重合剤を加えたもの(紫外線硬化型(ラジカル重合型));エポキシ基を含有するシロキサンにオニウム塩光開始剤を添加したもの(紫外線硬化型(カチオン重合型));ラジカル重合性基含有シロキサン(電子線硬化型、但し官能基はなくてもよく、また光開始剤がなくてもよい);が挙げられる。また、シリコーン樹脂の形態は、溶剤型、エマルジョン型、無溶剤型等の中から適宜選択して用いることができる。
〔基材〕
離型フィルムが基材と離型性を有する材料とを含む構造に形成されている場合、基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、トリアセチルセルロース、セロハン、レーヨン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリアミド、若しくはポリスルホン等の樹脂が挙げられ、これらの一軸又は二軸延伸フィルム;不織布;発泡体等が挙げられる。また、基材としては、ガラス;金属箔;セラミック;紙等の中から選択することもできる。
〔その他の材料〕
離型フィルムには、粘着層と対向する面以外の層に、必要に応じて、帯電防止剤、オリゴマー移行抑制剤、平滑化剤、易接着剤等のその他の材料を含む層を設けてもよい。例えば、離型フィルムが基材と離型性を有する材料とを含む構造に形成される場合には、基材と離型性を有する材料とが互いに対向する面、及び基材の離型性を有する材料と対向する面と反対側の面のいずれか一方、または両方の面に、上記のその他の材料を含む層を設けることができる。
〔膜厚〕
離型フィルムの膜厚は、特に限定されるものではないが、離型のしやすさ及びハンドリングの観点から、5μm以上の範囲が好ましく、10μm〜100μmの範囲がより好ましく、20μm〜80μmの範囲が更に好ましく、30μm〜80μmの範囲が特に好ましい。
〔離型フィルムの剥離可能性(離型性)〕
離型フィルムを剥離可能にするためには、粘着層と高分子圧電フィルムとの粘着力が粘着層と離型フィルムとの粘着力よりも大きいことが好ましい。
〔形成方法〕
離型フィルムを形成する方法としては、従来一般的に用いられていた公知の方法が適宜使用できる。例えば、離型フィルムは、離型フィルムを形成する樹脂を製膜機により押出製膜することで形成されてもよい。離型フィルムが、複数層からなる多層フィルムである場合には、製膜した各々の離型フィルムを接着剤により多層に形成してもよく、多層製膜機により共押出製膜して多層に形成してもよい。
また、離型フィルムが基材と離型性を有する材料とを含む構造に形成された複数層からなる多層フィルムである場合、製膜した基材と、製膜した離型性を有する材料とを接着剤により多層に形成してもよく、製膜した基材上に離型性を有する材料を押出製膜して多層に形成してもよく、または基材を構成する材料と、離型性を有する材料とを多層製膜機により共押出製膜して多層に形成してもよい。
さらに、ウェットコート法により形成してもよい。例えば、離型フィルムをウェットコート法で形成する場合、離型フィルムを形成するための材料(樹脂、添加剤等)が分散または溶解されたコート液(離型フィルム用塗工液)を粘着層上に塗布することで形成させることができる。また、離型フィルムが基材と離型性を有する材料とを含む構造に形成された複数層からなる多層フィルムである場合、離型フィルム用塗工液を基材上に塗布することで形成させることができる。
離型性を有する材料をウェットコート法により形成する場合、上記離型性を有する材料を溶液又はエマルション液等の塗布液とし、これをロールコーター、コンマコーター、ダイコーター、メイヤーバーコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター等の公知の方法で粘着層上、又は基材上に塗布・乾燥することで形成してもよい。
なお、離型フィルムが、複数層からなる多層フィルムである場合には、離型フィルムの粘着層と対向する面と反対側の面、又は離型フィルムの粘着層と対向する面と反対側の面に接する基材等に、コロナ放電処理、フレーム処理、オゾン処理等の表面活性化処理、あるいはアンカー処理剤を用いたアンカーコーティング処理を施してもよい。これらのような処理によって多層フィルムの密着性が向上するため、粘着層との離型性より向上させることができる。
<機能層(中間層)>
機能層(中間層)は、本発明の積層体において、高分子圧電フィルムと粘着層との間、及び、高分子圧電フィルムと導電層の間の少なくとも一方に、任意に設けられる層である。
〔材料〕
機能層の材料としては、特に限定されるものではないが、例えば金属や金属酸化物等の無機物;樹脂等の有機物;樹脂と微粒子とを含む複合組成物;などが挙げられる。樹脂としては、例えば、温度や活性エネルギー線で硬化させることで得られる硬化物を利用することもできる。つまり、樹脂としては、硬化性樹脂を利用することもできる。
硬化性樹脂としては、例えばアクリル系化合物、メタクリル系化合物、ビニル系化合物、アリル系化合物、ウレタン系化合物、エポキシ系化合物、エポキシド系化合物、グリシジル系化合物、オキセタン系化合物、メラミン系化合物、セルロース系化合物、エステル系化合物、シラン系化合物、シリコーン系化合物、シロキサン系化合物、シリカ−アクリルハイブリット化合物、及びシリカ−エポキシハイブリット化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の材料(硬化性樹脂)が挙げられる。
これらの中でも、アクリル系化合物、エポキシ系化合物、シラン系化合物がより好ましい。
金属としては、例えば、Al、Si、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、In、Sn、W、Ag、Au、Pd、Pt、Sb、Ta及びZrから選ばれる少なくとも一つ、又は、これらの合金が挙げられる。
金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化イッテルビウム、及び酸化タンタル、またこれらの複合酸化物の少なくとも1つが挙げられる。
微粒子としては上述したような金属酸化物の微粒子や、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂などの樹脂微粒子などが挙げられる。さらにこれらの微粒子の内部に空孔を有する中空微粒子も挙げられる。
微粒子の平均一次粒径としては、透明性の観点から1nm以上500nm以下が好ましく、5nm以上300nm以下がより好ましく、10nm以上200nm以下が更に好ましい。500nm以下であることで可視光の散乱が抑制され、1nm以上であることで微粒子の二次凝集が抑制され、透明性の維持の観点から望ましい。
〔膜厚〕
機能層の膜厚は、特に限定されるものではないが、0.01μm〜10μmの範囲が好ましい。
厚さが0.01μm以上であることにより、例えば機能層が後述するハードコート層などの機能を発現する。
一方、厚さが10μm以下であることにより、積層体において電極(導電層)を設けた際に電極により大きな電荷が発生する。
上記厚さの上限値は、より好ましくは6μm以下であり、更に好ましくは3μm以下である。また、下限値はより好ましくは0.2μm以上であり、更に好ましくは0.3μm以上である。
但し、機能層が複数の機能層からなる多層膜の場合には、上記厚さは多層膜全体における厚さを表す。また、機能層は高分子圧電フィルムの両面にあってもよい。また、機能層の屈折率は、それぞれが異なる値であってもよい。
〔機能層の種類(用途)〕
機能層としては、様々な機能層が挙げられる。機能層として、例えば、易接着層、ハードコート層、屈折率調整層、アンチリフレクション層、アンチグレア層、易滑層、アンチブロック層、保護層、接着層、帯電防止層、放熱層、紫外線吸収層、アンチニュートンリング層、光散乱層、偏光層、ガスバリア層、色相調整層などが挙げられる。また、機能層としては、これらの機能のうちの2つ以上を兼ね備えた層であってもよい。これらの中でも、機能層としては、屈折率調整層、易接着層、ハードコート層、帯電防止層、及びアンチブロック層の少なくとも1つが好ましい。
高分子圧電フィルムの両方の主面側に機能層を備える場合は、2つの機能層は同じ機能層であっても、異なる機能層であっても良い。
また、機能層を形成することにより、高分子圧電フィルム表面のダイラインや打痕などの欠陥が埋められ、外観が向上するという効果もある。この場合は高分子圧電フィルムと機能層との屈折率差が小さいほど高分子圧電フィルムと機能層と界面の反射が低減し、より外観が向上する。
〔形成方法〕
機能層を形成する方法としては、従来一般的に用いられていた公知の方法が適宜使用できるが、例えば蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学蒸着(CVD)法、めっき法などのドライコーティング法、ウェットコート法が挙げられる。ウェットコート法としては、例えばロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法、グラビアコート法が挙げられる。
例えば、機能層が硬化樹脂である場合、硬化樹脂層を形成するための材料(硬化性樹脂、添加剤、溶剤等)が分散または溶解されたコート液を塗布することで、硬化樹脂層が形成される。
さらに必要に応じて、上記の通り塗布された前記材料(硬化性樹脂等)に対して乾燥により溶剤を揮発させたり、熱や活性エネルギー線(紫外線、電子線、放射線等)照射により硬化性樹脂を硬化させる。
尚、硬化樹脂層に含まれる材料としては、上記硬化性樹脂の中でも、活性エネルギー線(紫外線、電子線、放射線等)照射により硬化された活性エネルギー線硬化樹脂が好ましい。活性エネルギー線硬化樹脂を含むことで、製造効率が向上し、また硬化樹脂層の形成によって生じる高分子圧電フィルムの性能低下をより抑制することができる。
また、上記硬化樹脂層は、架橋密度を高める観点から、三次元架橋構造を有する三次元架橋樹脂を含むことが好ましい。
三次元架橋構造を有する硬化物を作製する手段としては、硬化性樹脂として重合性官能基を3つ以上有するモノマー(3官能以上のモノマー)を用いる方法、重合性官能基を3つ以上有する架橋剤(3官能以上の架橋剤)を用いる方法等が挙げられ、また架橋剤として有機過酸化物などの架橋剤を用いる方法も挙げられる。尚、これらの手段を複数組み合わせて用いてもよい。
3官能以上のモノマーとしては、例えば、1分子中に3つ以上の(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリル化合物や、1分子中に3つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物等が挙げられる。
本明細書中において、「(メタ)アクリル基」とは、アクリル基及びメタクリル基の少なくとも一方を表す。
また、「1分子中に3つ以上の(メタ)アクリル基を有する」とは、1分子中にアクリル基及びメタクリル基の少なくとも一方を有し、かつ、1分子中におけるアクリル基及びメタクリル基の総数が3つ以上であることを指す。
ここで、硬化樹脂層に含まれる材料が三次元架橋構造を有する硬化物であるか否かを確認する方法としては、ゲル分率を測定する方法が挙げられる。
具体的には、硬化樹脂層を溶剤に24時間浸漬した後の不溶分からゲル分率を導くことができる。特に溶剤が水などの親水性の溶媒でも、トルエンのような親油性の溶媒でも、ゲル分率が一定以上のものが三次元架橋構造を有すると推定することができる。
ウェットコート法による硬化樹脂層の用途としては、前記に列挙した何れの層にも適用が可能である。ウェットコート法の場合、コート液を高分子圧電フィルムの延伸前原反に塗工した後に高分子圧電フィルムを延伸しても、高分子圧電フィルム原反を延伸後にコート液を塗布してもよい。
ウェットコート法による硬化樹脂層の(1層の)厚さとしては、数十nm〜10μmの範囲が好ましい。
また硬化樹脂層にはその目的に応じて屈折率調整剤や紫外線吸収剤、レベリング剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤などの各種有機物、無機物を添加することもできる。
尚、高分子圧電フィルム表面と硬化樹脂層との密着性や、高分子圧電フィルム表面への塗工性を向上させる観点から、コロナ処理やイトロ処理、オゾン処理、プラズマ処理などによって高分子圧電フィルム表面を処理することもできる。
〔比誘電率〕
また、機能層としての硬化樹脂層の比誘電率は1.5以上であることが好ましく、更には2.0以上20000以下がより好ましく、2.5以上10000以下が更に好ましい。
比誘電率が上記範囲であることにより、積層体における機能層としての硬化樹脂層上に、更に中間層(他の機能層)を介して電極(導電層)を設けた際に電極により大きな電荷が発生する。
尚、硬化樹脂層の比誘電率は、以下の方法により測定される。
高分子圧電フィルムの片面に硬化樹脂層を形成した後、昭和真空SIP−600を用いて高分子圧電フィルムと硬化樹脂層との積層体の両面に約50nmのAlを蒸着する。この積層体より50mm×50mmのフィルムを切り出す。この試験片をHEWLETT PACKARD社製LCR METER 4284Aに接続して静電容量Cを測定し、以下の式で硬化樹脂層の比誘電率εcを計算する。
εc=(C×d×2.7)/(ε×2.7×S−C×dp)
d:硬化樹脂層厚さ、ε:真空誘電率、S:試験片面積、dp:高分子圧電フィルムの厚さ
〔機能層の内部ヘイズ〕
また、機能層の内部ヘイズは、10%以下であることが好ましく、更には0.0%以上5%以下がより好ましく、0.01%以上2%以下が更に好ましい。
内部ヘイズが上記範囲であることにより、優れた透明性が発揮され、例えばタッチパネル等として有効に利用し得る。
尚、機能層の内部ヘイズHcは、以下の式により計算される。
Hc=H−Hp
H:高分子圧電フィルムと機能層との積層体の内部ヘイズ
Hp:機能層形成前または機能層を除去した後の高分子圧電フィルムの内部ヘイズ
但し、高分子圧電フィルムの内部ヘイズの測定方法は前述の通りである。積層体の内部ヘイズも、高分子圧電フィルムの内部ヘイズと同様の方法によって測定する。
<引出電極>
引出電極の構成成分及び形成方法としては、導電層(電極)と同様の構成成分及び形成方法が挙げられる。
引出電極としてはFPC(フレキシブルプリント基板)などが挙げられる。
取り出し電極の接続方法としては、例えば、導電層(電極)の端部に対して、ACF(異方性導電フィルム)、ACP(異方性導電ペースト)、はんだ等を用いて接続する方法が挙げられる。
<基体>
導電層(電極)が設けられ、離型フィルムを剥離した後の積層体と貼り合わせる基体の材料としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン/ポリプロピレン共重合樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリブテン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、アセチルセルロース樹脂等が挙げられる。
<積層体の物性>
〔熱寸法安定性(熱収縮率)〕
本発明の積層体は、離型フィルムを剥離した状態で、150℃で30分間加熱したときの熱収縮率が、MD方向及びTD方向共に2.0%以下であることが好ましい。
積層体は、形成された導電層を結晶化させる工程や、積層体をデバイスとして利用する際の導電層と外部回路との接続工程等で、積層体の全体や一部が加熱される場合があるが、熱収縮率が大きい場合、形成された電極層の破損やパターンズレ、引出電極との接続不良、積層体の変形が発生する可能性があるため、熱収縮率が低い方が好ましい。
離型フィルムを剥離した積層体の熱寸法安定性は、150℃で、30分間処理したときの熱収縮率を、MD方向及びTD方向でそれぞれ測定し、その熱収縮率で評価される。具体的には、以下の方法により、積層体の熱収縮率を算出する。
積層体の熱収縮率は、MD方向に100mm×TD方向に100mmの正方形に切り出したサンプル片(離型フィルムを剥離したサンプル片)を、150℃のオーブンに30分静置し、オーブンから取り出した後、室温にてサンプル片のMD方向およびTD方向の寸法を測定する。測定した値を使用し、以下の計算式から熱収縮率を算出する。
熱収縮率=100×(オーブンに静置する前のサンプル片の寸法−オーブンに静置後、室温で測定したサンプル片の寸法)/オーブンに静置する前のサンプル片の寸法
<積層体の用途>
本発明の積層体は、スピーカー、ヘッドホン、タッチパネル、リモートコントローラー、マイクロホン、水中マイクロホン、超音波トランスデューサ、超音波応用計測器、圧電振動子、機械的フィルター、圧電トランス、遅延装置、センサー、加速度センサー、衝撃センサー、振動センサー、感圧センサー、触覚センサー、電界センサー、音圧センサー、ディスプレイ、ファン、ポンプ、可変焦点ミラー、遮音材料、防音材料、キーボード、音響機器、情報処理機、計測機器、医用機器などの種々の分野で利用することができる。
また、本発明の積層体は、表示装置と組み合わせたタッチパネルとして用いることもできる。表示装置としては、例えば、液晶パネル、有機ELパネルなどを用いることもできる。
また、本発明の積層体は、感圧センサーとして、他方式のタッチパネル(位置検出部材)と組み合わせて用いることもできる。位置検出部材の検出方式としては抗膜方式、静電容量方式、表面弾性波方式、赤外線方式、光学方式等が挙げられる。
また、積層体を繰り返し重ね、積層圧電素子として用いることもできる。例としては積層体を繰り返し重ね、最後に電極(導電層)で覆われていない積層体の面を電極(導電層)で覆ったものが挙げられる。
また、積層圧電素子に複数の積層体における高分子圧電フィルムが含まれる場合は、ある層の高分子圧電フィルムに含まれるヘリカルキラル高分子(A)の光学活性がL体ならば、他の層の高分子圧電フィルムに含まれるヘリカルキラル高分子(A)はL体であってもD体であってもよい。高分子圧電フィルムの配置は圧電素子の用途に応じて適宜調整することができる。
例えば、L体のヘリカルキラル高分子(A)を主たる成分として含む高分子圧電フィルムの第1の層が電極を介してL体のヘリカルキラル高分子(A)を主たる成分として含む第2の高分子圧電フィルムと積層される場合は、第1の高分子圧電フィルムの一軸延伸方向(主たる延伸方向)を、第2の高分子圧電フィルムの一軸延伸方向(主たる延伸方向)と交差、好ましくは直交させると、第1の高分子圧電フィルムと第2の高分子圧電フィルムの変位の向きを揃えることができ、積層圧電素子全体としての圧電性が高まるので好ましい。
一方、L体のヘリカルキラル高分子(A)を主たる成分として含む高分子圧電フィルムの第1の層が電極を介してD体のヘリカルキラル高分子(A)を主たる成分として含む第2の高分子圧電フィルムと積層される場合は、第1の高分子圧電フィルムの一軸延伸方向(主たる延伸方向)を、第2の高分子圧電フィルムの一軸延伸方向(主たる延伸方向)と略平行となるように配置すると第1の高分子圧電フィルムと第2の高分子圧電フィルムの変位の向きを揃えることができ、積層圧電素子全体としての圧電性が高まるので好ましい。
本発明の積層体を用いた前記圧電素子は、スピーカーやタッチパネル等、上述の種々の圧電デバイスに応用することができる。特に、透明性のある電極を備えた圧電素子は、スピーカー、タッチパネル、アクチュエータ等への応用に好適である。
<積層体の製造方法>
積層体の製造方法の一例として、高分子圧電フィルムと、高分子圧電フィルムの一方の主面上に導電層を有し、高分子圧電フィルムの他方の主面上に、離型フィルムと、高分子圧電フィルムと離型フィルムとの間に粘着層と、を有する積層体の製造方法について説明する。
まず、高分子圧電フィルムを製造する。高分子圧電フィルムを製造する方法としては、例えば、既述の光学活性高分子を含む非晶状態のシートに対して結晶化及び延伸(いずれが先であってもよい)を施す方法が挙げられる。
また、非晶状態のシートとは、光学活性高分子(ヘリカルキラル高分子(A))単体又は光学活性高分子を含む混合物を、光学活性高分子の融点Tm以上の温度に加熱し、その後、急冷して得られたシートを示す。急冷する温度としては、例えば、50℃が挙げられる。
高分子圧電フィルムを製造する方法において、高分子圧電フィルム(または非晶状態のシート)の原料としては、前記光学活性高分子(ポリ乳酸系高分子など)を1種単独で用いてもよいし、既述の光学活性高分子(ポリ乳酸系高分子など)の2種以上の混合物、または、既述の光学活性高分子の少なくとも1種とその他の成分の少なくとも1種との混合物を用いてもよい。
上述の混合物は、溶融混練して得られた混合物であることが好ましい。
具体的には、例えば、光学活性高分子を混合する場合や、1種類以上の光学活性高分子にその他の成分(例えば上述の無機フィラーや結晶核剤)を混合する場合は、混合する光学活性高分子を(必要に応じその他の成分とともに)、溶融混練機〔東洋精機社製、ラボプラストミキサー〕を用い、ミキサー回転数30rpm〜70rpm、180℃〜250℃の条件で、5分〜20分間溶融混練することで、複数種の光学活性高分子のブレンド体や光学活性高分子と無機フィラーなどの他の成分とのブレンド体を得ることができる。
また、高分子圧電フィルムは、光学活性高分子を含むシート(好ましくは非晶状態のシート)を主として1軸方向に延伸する工程と、アニール処理工程と、をこの順で含む製造方法によっても製造できる。
また、高分子圧電フィルムは、高分子圧電フィルムと中間層との密着力をより向上させ、かつ、高分子圧電フィルムの耐湿熱性及び引裂強さをより向上させる観点から、高分子圧電フィルムに含まれる高分子のアクリル末端の比率を調整してもよい。
具体的には、高分子圧電フィルムは、20mgの前記高分子圧電フィルムを0.6mLの重水素化クロロホルムに溶解させた溶液についてH−NMRスペクトルを測定し、測定されたH−NMRスペクトルに基づき、下記式(X)により、前記高分子圧電フィルムに含まれる高分子のアクリル末端の比率を求めたときに、前記高分子のアクリル末端の比率が、2.0×10−5〜10.0×10−5であってもよい。
前記高分子のアクリル末端の比率 = 前記高分子のアクリル末端に由来するピークの積分値/前記高分子の主鎖中のメチンに由来するピークの積分値 ・・・ 式(X)
また、高分子圧電フィルムは、色相を調整するために、着色剤を少なくとも1種含有していてもよい。着色剤として、例えば、黄色味を補正するためのブルーイング剤が挙げられる。
次に、高分子圧電フィルムの一方の主面上に導電層を形成する。
導電層は、公知の方法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法、電子線蒸着法、ゾル−ゲル法、ウェットコーティング法)により高分子圧電フィルム上に導電層を形成した後、パターン形成手段(マスキング、リソグラフィ等)を用いて、導電層の一部を酸やアルカリでエッチングして形成することができる。また、高分子圧電フィルムの一部をパターンマスクやメンディングテープ等でマスキングした上で、公知の方法で高分子圧電フィルムの一部に導電層をパターニングして形成することができる。また、バートコート法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法などにより、導電層の材料を含む組成物を、高分子圧電フィルムに部分的に付与して形成することができる。
次に、高分子圧電フィルムの他方の主面上に、剥離可能な離型フィルムと、高分子圧電フィルムと剥離可能な離型フィルムとの間に粘着層を設ける。
高分子圧電フィルムの他方の主面上に、離型フィルムと粘着層とを設ける方法としては、例えば、高分子圧電フィルムの他方の主面上に粘着層を設け、この粘着層と離型フィルムとを積層する方法や、離型フィルム上に粘着層を設け、この粘着層と、高分子圧電フィルムの他方の主面とを積層する方法等が挙げられる。
高分子圧電フィルムの他方の主面上に粘着層を設け、この粘着層と離型フィルムとを積層する方法としては、従来一般的に用いられていた公知の方法が適宜使用できる。
粘着層を形成する方法としては、例えば、ウェットコート法が挙げられる。ウェットコート法は、例えば、粘着層を形成するための材料が分散または溶解されたコート液(粘着層形成用コート液)を高分子圧電フィルムの他方の主面上に塗布し、必要に応じて乾燥等の操作を行うことで、粘着層が形成される。
その後、例えば、ロールtoロール方式等の周知な方法により、この粘着層に離型フィルムをラミネートすることで形成することができる。また、離型フィルム用塗工液を粘着層上に塗布することで形成させることができる。
また、離型フィルム上に粘着層を設け、この粘着層と、高分子圧電フィルムの他方の主面とを積層する方法としては、従来一般的に用いられていた公知の方法が適宜使用できる。
例えば、離型フィルム上に粘着層を形成する方法としては、例えば、上述のウェットコート法が挙げられ、粘着層形成用コート液を離型フィルム上に塗布し、必要に応じて乾燥等の操作を行うことで、離型フィルム上に粘着層が形成される。
その後、例えば、ロールtoロール方式等の周知な方法により、この粘着層が設けられた離型フィルムの粘着層側の面と高分子圧電フィルムの他方の主面とをラミネートすることで形成することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<製造例1 高分子圧電フィルム(ポリ乳酸フィルム:PLAフィルム)の作製)>
ヘリカルキラル高分子(A)として、NatureWorks LLC社製のポリ乳酸系高分子(品名:IngeoTM biopolymer、銘柄:4032D、重量平均分子量Mw:20万、融点(Tm):166℃、ガラス転移温度(Tg):57℃〜60℃)を、原料として用意した。そして、この原料100質量部に対して、下記添加剤X(安定化剤(B))を1.0質量部添加してドライブレンドし原料を作製した。
作製した原料を押出成形機ホッパーに入れて、220℃〜230℃に加熱しながらTダイから押し出し、50℃のキャストロールに0.3分間接触させて、厚さ150μmの予備結晶化シートを製膜した(予備結晶化工程)。予備結晶化シートの結晶化度を測定したところ6%であった。
得られた予備結晶化シートを70℃に加熱しながらロールツーロールで、延伸速度3m/分で延伸を開始し、3.5倍までMD方向に一軸延伸した(延伸工程)。得られたフィルムの厚さは47.2μmであった。
その後、一軸延伸したフィルムを、ロールツーロールで、145℃に加熱したロール上に15秒間接触させアニール処理し、その後急冷を行って、高分子圧電フィルムを作製した(アニール処理工程)。
−添加剤X(安定化剤(B))−
添加剤Xとしては、ラインケミー社製Stabaxol P400(20質量部)、ラインケミー社製Stabaxol I(50質量部)、及び日清紡ケミカル社製カルボジライトLA−1(30質量部)の混合物を用いた。
上記混合物における各成分の詳細は以下のとおりである。
Stabaxol I … ビス−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド(分子量(=重量平均分子量):363)
Stabaxol P400 … ポリ(1,3,5−トリイソプロピルフェニレン−2,4−カルボジイミド)(重量平均分子量:20000)
カルボジライトLA−1 … ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)(重量平均分子量:約2000)
<ヘリカルキラル高分子(A)の物性測定>
上記ヘリカルキラル高分子(A)について、以下の方法で光学純度を測定した。また、既述の方法で重量平均分子量及び分子量分布を測定した。結果を表1に示す。
〔光学純度〕
上記高分子圧電フィルムに含まれるヘリカルキラル高分子(A)(ポリ乳酸)の光学純度を、以下のようにして測定した。
まず、50mLの三角フラスコに1.0gのサンプル(上記高分子圧電フィルム)を秤り込み、ここに、IPA(イソプロピルアルコール)2.5mL及び5.0mol/L水酸化ナトリウム溶液5mLを加え、サンプル溶液とした。
次に、このサンプル溶液が入った三角フラスコを温度40℃の水浴に入れ、ポリ乳酸が完全に加水分解するまで、約5時間攪拌した。
上記約5時間の撹拌後のサンプル溶液を室温まで冷却した後、1.0mol/L塩酸溶液を20mL加えて中和し、三角フラスコを密栓してよくかき混ぜた。
次に、上記でかき混ぜたサンプル溶液の1.0mLを25mLのメスフラスコに取り分け、ここに下記組成の移動相を加え、25mLのHPLC試料溶液1を得た。
得られたHPLC試料溶液1をHPLC装置に5μL注入し、下記HPLC測定条件にてHPLC測定を行った。得られた測定結果から、ポリ乳酸のD体に由来するピークの面積とポリ乳酸のL体に由来するピークの面積とを求め、L体の量とD体の量とを算出した。得られた結果に基づき、光学純度(%ee)を求めた。
その結果、光学純度は、97.0%eeであった。なお、下記表1において、「LA」はポリ乳酸を表す。
−HPLC測定条件−
・カラム
光学分割カラム、(株)住化分析センター製 SUMICHIRAL OA5000
・HPLC装置
日本分光社製 液体クロマトグラフィ
・カラム温度
25℃
・移動相の組成
1.0mM−硫酸銅(II)緩衝液/IPA=98/2(V/V)
(この移動相において、硫酸銅(II)、IPA、及び水の比率は、硫酸銅(II)/IPA/水=156.4mg/20mL/980mLである。)
・移動相流量
1.0mL/分
・検出器
紫外線検出器(UV254nm)
<高分子圧電フィルムの物性測定>
上記高分子圧電フィルムについて、以下の方法で、融点Tm、結晶化度及び内部ヘイズを測定した。また、既述の方法で圧電定数(応力−電荷法)及び規格化分子配向MORcを測定した。結果を表1に示す。
〔融点Tm及び結晶化度〕
高分子圧電フィルムを10mg正確に秤量し、示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製DSC−1)を用い、昇温速度10℃/分の条件で測定し、融解吸熱曲線を得た。得られた融解吸熱曲線から、融点Tm及び結晶化度を得た。
〔内部ヘイズ〕
以下の方法により、高分子圧電フィルムの内部ヘイズ(以下、内部ヘイズ(H1)ともいう)を得た。
まず、ガラス板2枚の間に、シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製信越シリコーン(商標)、型番:KF96−100CS)のみを挟んだ積層膜を準備し、この積層膜の厚さ方向のヘイズ(以下、ヘイズ(H2)とする)を測定した。
次に、上記のガラス板2枚の間に、シリコーンオイルで表面を均一に塗らした上記高分子圧電フィルムを挟んだ積層膜を準備し、この積層膜の厚さ方向のヘイズ(以下、ヘイズ(H3)とする)を測定した。
次に、下記式のようにこれらの差をとることにより、高分子圧電フィルムの内部ヘイズ(H1)を得た。
内部ヘイズ(H1)=ヘイズ(H3)−ヘイズ(H2)
ここで、ヘイズ(H2)及びヘイズ(H3)の測定は、それぞれ、下記測定条件下で下記装置を用いて行った。
測定装置:東京電色社製、HAZE METER TC−HIIIDPK
試料サイズ:幅30mm×長さ30mm
測定条件:JIS−K7105に準拠
測定温度:室温(25℃)
<実施例1>
製造例1で作製した高分子圧電フィルムの一方の主面に対し酸化スズを36質量%含有した酸化インジウムをターゲットとしてスパッタリングを行い、低屈折率層面の一部に実厚み15nm、屈折率1.95のITOを透明導電層として形成した積層体を得た。
さらに透明導電層を形成した面とは反対の主面に対し、粘着剤塗工液(綜研化学株式会社製SKダイン1811L(固形分濃度23質量%、溶媒:酢酸エチル)100質量部及び、綜研化学株式会社製TD−75 0.2質量部を混合したもの)をアプリケーターで塗布し、60℃にて10分間乾燥した。
アクリル系粘着層面に対して離型フィルム(三井化学東セロ株式会社製SP−PET O3−BU)の離型面をローラーで貼り合わせた後、7日間室温で熟成させて透明導電層/高分子圧電フィルム/粘着層/離型フィルムで構成される積層体を作製した。
<実施例2>
粘着剤塗工液を綜研化学株式会社製SKダイン2094(固形分濃度25質量%、溶媒:酢酸エチル)100質量部及び、綜研化学株式会社製TD−75 0.2質量部を混合したものに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電層/高分子圧電フィルム/粘着層/離型フィルムで構成される積層体を作製した。
<比較例1>
粘着層及び離型フィルムを形成しなかった以外は実施例1と同様にして、透明導電層/高分子圧電フィルムで構成される積層体を作製した。
<評価>
〔耐湿熱性試験〕
実施例1、及び実施例2で得られた積層体について、耐湿熱性試験を行った。
実施例1、及び実施例2で得られた積層体の製造直後(製造から24時間以内)の高分子圧電フィルムの重量平均分子量を測定した(初期Mw)。次に、実施例1、及び実施例2で得られた積層体の製造直後(製造から24時間以内)の高分子圧電フィルムから、長手方向50mm×幅方向50mmの矩形の試験片を用意し、この試験片を85℃85%RHに保った恒温恒湿器内に吊り下げ、96時間保持した。この試験片について高分子圧電フィルムの重量平均分子量を測定し(耐湿熱試験後Mw)、下記式で表されるMw変化率について以下の基準で評価した。
式: Mw変化率=耐湿熱試験後Mw/初期Mw
〔評価基準〕
○:Mw変化率≧0.8
△:0.8>Mw変化率≧0.5
×:Mw変化率<0.5
表2に示すように、本実施例は、粘着層が形成されているため、粘着層形成工程が不要であり、粘着層形成工程が省略できるので、押圧検出装置やそれを利用したデバイス等の製品を製造する際の、積層工程が簡略化されることがわかる。また、透明導電層(電極)が一方の主面上にのみ設けられてことにより、引出電極を片面側からのみ取り付けるため、押圧検出装置やそれを利用したデバイス等の製品を製造する際の、引出電極の取り付け工程が簡略化されることがわかる。
<参考例1>(中間屈折率層)
固形分として、平均粒子径が0.02μmの酸化ジルコニウム微粒子を58質量部、ウレタンアクリレート(日本合成化学工業株式会社製、紫光UV7600B)42質量部及び光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式社製、IRGACURE 184)5質量部を混合した後、メチルエチルケトンで上記固形分が10質量%になるように希釈し、中間層用塗工液を調製した。
酸化ジルコニウム微粒子としては、酸化ジルコニウム微粒子の分散液(シーアイ化成株式会社製ZRMEK25%−F47)を使用し、固形分が上記質量部になるように分散液を混合した。
製造例1で作製した高分子圧電フィルムに、上記中間層用塗工液をワイヤーバーで塗布し、60℃にて5分間乾燥後、メタルハライドランプで積算光量400mJ/cmの紫外線を照射することで厚さ100nmの中間層を形成した以外は実施例1と同様にして、透明導電層/中間層/高分子圧電フィルム/粘着層/離型フィルムで構成される積層体を作製した。
<参考例2>(高屈折率層/低屈折率層)
固形分として、平均粒子径が0.02μmの酸化ジルコニウム微粒子を58質量部、ウレタンアクリレート(日本合成化学工業株式会社製、紫光UV7600B)42質量部及び光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式社製、IRGACURE 184)5質量部を混合した後、メチルエチルケトンで上記固形分が10質量%になるように希釈し、高屈折率層用塗工液を調製した。
酸化ジルコニウム微粒子としては、酸化ジルコニウム微粒子の分散液(シーアイ化成株式会社製ZRMEK25%−F47)を使用し、固形分が上記質量部になるように分散液を混合した。
製造例1で作製した高分子圧電フィルムに、上記中間層用塗工液をワイヤーバーで塗布し、60℃にて5分間乾燥後、メタルハライドランプで積算光量400mJ/cmの紫外線を照射することで厚さ40nmの高屈折率層を形成し、
次に高屈折率層面に対してシリコンをターゲットとして酸素分圧を調整してスパッタリングを行い、厚み40nm、屈折率1.46のSiOを低屈折率層として形成した以外は実施例1と同様にして、透明導電層/低屈折率層/高屈折率層/高分子圧電フィルム/粘着層/離型フィルムで構成される積層体を作製した。
<参考例3>(中間屈折率層+アンチブロックハードコート層)
中間層を形成する前の高分子圧電フィルムの両面に以下の手順でアンチブロックハードコート層を形成した後に中間層を形成した以外は、参考例1と同様にして透明導電層/中間屈折率層/アンチブロックハードコート層/高分子圧電フィルム/アンチブロックハードコート層/粘着層/離型フィルムで構成される積層体を作製した。
アンチブロックハードコート層は、高分子圧電フィルムの主面にアクリル樹脂系塗工液(東洋インキ社製、アンチブロックハードコートLIODURAS TYAB−014)をアプリケーターで塗布し、60℃にて5分間乾燥後、メタルハライドランプで積算光量1000mJ/cmの紫外線を照射することで形成した。アンチブロックハードコート層の厚さは2μmであった。
10 高分子圧電フィルム
12A 中間層(機能層)
12B 中間層(機能層)
14A 電極(導電層)
14B 電極(導電層)
18A 引出電極
18B 引出電極
20A 粘着層
20B 粘着層
22A 離型フィルム
22B 離型フィルム
24 基体

Claims (12)

  1. 重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、DSC法で得られる結晶化度が20%〜80%であり、かつ、マイクロ波透過型分子配向計で測定される基準厚さを50μmとしたときの規格化分子配向MORcと前記結晶化度との積が40〜700である高分子圧電フィルムと、
    前記高分子圧電フィルムの一方の主面上に設けられた導電層と、
    前記高分子圧電フィルムの他方の主面上に設けられた剥離可能な離型フィルムと、
    前記高分子圧電フィルムと前記剥離可能な離型フィルムとの間に設けられた粘着層と、
    を有する積層体。
  2. 前記粘着層の酸価が10mgKOH/g以下0.01mgKOH/g以上である請求項1に記載の積層体。
  3. 前記導電層がパターニングされている請求項1または請求項2に記載の積層体。
  4. 前記高分子圧電フィルムと前記粘着層との間、及び、前記高分子圧電フィルムと前記導電層との間の少なくとも一方に、機能層を有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記機能層が屈折率調整層、易接着層、ハードコート層、帯電防止層、アンチブロック層の少なくとも一つである請求項4に記載の積層体。
  6. 前記剥離可能な離型フィルムを剥離した積層体の150℃30分間加熱したときの熱収縮率が、MD方向及びTD方向共に2.0%以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記導電層が透明導電層である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記高分子圧電フィルムは、可視光線に対する内部ヘイズが5%以下であり、前記高分子圧電フィルムの25℃において応力−電荷法で測定した圧電定数d14が1pC/N以上である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 前記ヘリカルキラル高分子(A)が、下記式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖を有するポリ乳酸系高分子である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 前記ヘリカルキラル高分子(A)の光学純度が95.00%ee以上である請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の積層体。
  11. 前記ヘリカルキラル高分子(A)の含有量が80質量%以上である請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の積層体。
  12. 前記高分子圧電フィルムが、カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる1種類以上の官能基を有する重量平均分子量が200〜60000の安定化剤(B)を、前記ヘリカルキラル高分子(A)100質量部に対して0.01質量部〜10質量部含む請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の積層体。
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