JP2015179071A - ひげぜんまいの製造方法及びひげぜんまい - Google Patents

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Abstract

【課題】機械式時計の調速機構において、ひげぜんまいを傾くことなく適正な位置に固定することができ、信頼性が高く、安定した高い時計精度の機械式時計を達成するひげぜんまい及びその製造方法を提供する。【解決手段】回転軸体と嵌合するための貫通孔3aを有するひげ玉3と、ひげ玉3と接続し、貫通孔を3a中心にしてひげ玉3に巻回されるコイル形状のぜんまい部2と、ぜんまい部2の端部に設けるひげ持4と、を有し、ひげ持の一平面に溝部7を有し、溝部7を有する一平面4aの部分に接着剤を設けて、他部品と接着する。【選択図】図1

Description

本発明は、機械式時計用のひげぜんまいとその製造方法とに関する。
従来の機械式時計においては、機械の運転を規則正しく一定の速度に保つために、ひげぜんまいとてん輪(てん真付)とで構成される調速機(てんぷ)が使われている。等時性のあるひげぜんまいの伸縮によりてん輪が規則正しく往復回転運動を行う。
てんぷには、がんぎ車とアンクルとで構成される脱進機という機構が接続されており、ぜんまいからエネルギーが伝達されて、振動を持続するようになっている。
知られているひげぜんまいは、金属を加工して形成する場合が多い。このため、その加工精度のばらつきや金属が有する内部応力の影響などによって、設計通りの形状が得られない場合がある。
ひげぜんまいは規則的にてんぷを振動させる必要があるから、設計通りの形状が得られないとてん輪も等時性のある運動ができなくなり、時計の歩度ずれが生じてしまう。時計の歩度とは、一日あたりの時計の進み又は遅れの程度を示すものである。
ところで近年、シリコン基板をエッチング加工することによって時計部品を製造する試みがなされている。従来の金属部品を用いる時計部品の製造に比べ軽量にできるという利点と、安価で大量生産ができる利点とがあると言われている。これにより、小型軽量の時計を製造することができると期待されている。
シリコン基板をエッチングする際、近年ではドライエッチング技術である反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)技術が進歩してきた。中でも、深掘りRIE(Deep RIE)技術が開発され、アスペクト比が高いエッチングが可能になってきた。
この技術によると、エッチングがフォトレジストなどでマスクした部分の下に回り込まないために、垂直深さ方向にマスクパターンを忠実に再現できるようになり、シリコン基板をエッチングする際に、時計部品を設計通りの形状で精度よく製造することが可能となってきた。
そもそもシリコンは、金属よりも温度特性がよい。従来のひげぜんまいの材料として用いられる金属よりも環境温度に対して変形しにくいという特徴がある。このことから、時計の調速機構にもこの技術を応用することが考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
このようにして製造されたひげぜんまいは、一方の端部のひげ玉に空けられた貫通穴にてん真を差し込んで勘合させ、他方の端部のひげ持は、ひげ持固定部品に接着剤で固定される。
そして、そのような用途に用いることができる接着剤も多くの提案をみるものである(例えば、特許文献2参照。)。
特開2007−256290号公報(第4頁、図2) 特開2004−75832号公報(第2頁〜第4頁)
しかし、特許文献1に示した従来技術に開示されているひげぜんまいをひげ持固定部品に固定する際に、ひげぜんまいとひげ持固定部品とが適正な位置に固定できないことが多かった。すなわち、ひげぜんまいが所定の位置からずれて固定されたり、傾いて固定されたりすることが多々あった。それは、特許文献2に示した接着剤を用いたとしても、同様である。
ひげぜんまいが所定の位置からずれたり傾いたりして固定されると、周囲の他部品と接触して破損してしまうという課題が生じてしまう。また、ひげぜんまいに不必要な応力がかかり、等時性のあるひげぜんまいの伸縮ができなくなり、所定の振動数が得られなくなってしまうといった課題も生じてしまう。
これらの問題は、ひげぜんまいのひげ持のひげ持固定部品との当接面がフラットな形状であるために生じるものである。
このため、ひげぜんまいの位置ずれや傾きは、接着剤の塗布量が多くなると顕著になる傾向になる。したがって、接着剤の塗布量の管理も難しくなり、生産性も低下させていた。
本発明の目的は、上記従来技術の課題に鑑み、機械式時計の調速機構において、傾くことなく適正な位置に固定することができるひげぜんまい及びその製造方法を提供することである。
前述した目的を達成するための本発明におけるひげぜんまいは、以下の製造方法を採用する。
所定の材料を主成分とし、ひげ持で他部品と接着するひげぜんまいの製造方法であり、所定の材料を主成分とする基板のひげ持となる所定の部分に溝部を形成する工程と、基板をエッチングし、回転軸体と嵌合するための貫通孔を有するひげ玉と、ひげ玉と接続し、貫通孔を中心にしてひげ玉に巻回されるコイル形状のぜんまい部と、ぜんまい部の端部に設けるひげ持と、を有するひげぜんまいを形成するエッチング工程と、溝部を有するひげ持の一平面に接着剤を配置し、他部品と接着する工程と、を有することを特徴とする。
このような製造方法によれば、ひげぜんまいを適正な位置に傾くことなく固定させることができる。
また、所定の材料はシリコンであるのがよい。
シリコンであれば、半導体の製造に用いられているドライエッチング技術を用いて、非常に微細で深い溝を形成することができ、ひげぜんまいのひげ持のように非常に狭い領域にも溝を形成することができる。
前述した目的を達成するための本発明におけるひげぜんまいは、以下の構成を採用する。
回転軸体と嵌合するための貫通孔を有するひげ玉と、ひげ玉と接続し、貫通孔を中心にしてひげ玉に巻回されるコイル形状のぜんまい部と、ぜんまい部の端部に設けるひげ持と、を有するひげぜんまいであって、ひげ持の一平面に溝部を有し、溝部を有する一平面の部分に接着剤を設けて、他部品と接着されていることを特徴とする。
ひげ持に溝部を形成することで、溝部に接着剤が入り込むので、接着剤が横流れすることによってひげぜんまいが接着剤に引っ張られ移動してしまうこともなく、ひげぜんまいを適正な位置に固定させることができる。
また、ひげぜんまいは、シリコンで形成されているのがよい。
シリコンであれば、半導体の製造に用いられているドライエッチング技術を用いて、非常に微細で深い溝を形成することができ、ひげぜんまいのひげ持のように非常に狭い領域にも溝を形成することができる。
また溝部は、ひげ持の一平面からこれと対向する他平面まで貫通してもよい。
溝が貫通していると、他平面側から接合面である一平面に向けて接着剤を供給することができ、生産性が向上する。
また溝部は、ひげ持の一平面に複数設け、互いに溝部の深さが異なるようにしてもよい。
例えば、深さが浅い溝部を接着用にし、深さが深い溝部をマークや文字の形状としてこれを情報の認識用に用いることができる。
また溝部は、幾何学模様又は文字を構成しているようにしてもよい。
溝部の形状を、幾何学模様や文字、それらを組み合わせたものとし、例えば、型式番号や製造番号のようにひげぜんまいの仕様などを示す情報や、意味のあるものとしておけば、組み立ての際などに目視等でそれらを認識できて便利である。
ひげぜんまいを適正な位置にずれたり傾いたりすることなく固定させることができるので、周囲の他部品と接触することがなくなり破損がなくなる。
さらには、ひげぜんまいが適正な位置に固定されることで、ひげぜんまいに不要な応力がかからず、設計通りの所望の振動数を安定して得られるようになる。
本発明の第1の実施形態であるひげぜんまいの構成を説明する平面図である。 本発明の第1の実施形態であるひげぜんまいの要部を詳細に説明する拡大断面図である。 本発明の第1の実施形態であるひげぜんまいのひげ持とひげ持固定部品との接着状態と、従来のひげぜんまいのひげ持とひげ持固定部品との接着状態を詳細に説明する拡大断面図である。 本発明の第2の実施形態であるひげぜんまいの要部を詳細に説明する拡大断面図である。 本発明の第2の実施形態であるひげぜんまいのひげ持とひげ持固定部品との接着状態を詳細に説明する拡大断面図である。 本発明の第3の実施形態であるひげぜんまいの第1の製造方法を説明する断面図であって、溝部を形成する工程までを説明する図である。 本発明の第3の実施形態であるひげぜんまいの第1の製造方法を説明する断面図であって、ひげぜんまい形状を形成する工程までを説明する図である。 本発明の第3の実施形態であるひげぜんまいの第1の製造方法を説明する断面図であって、ひげ持固定部品に接着する工程を説明する図である。 本発明の第3の実施形態であるひげぜんまいの第2の製造方法を説明する断面図であって、溝部を形成する工程を説明する図である。 本発明の第3の実施形態であるひげぜんまいの第3の製造方法を説明する断面図であって、貫通している溝部を形成する工程を説明する図である。 本発明の第3の実施形態であるひげぜんまいの第3の製造方法を説明する断面図であって、ひげ持固定部品に接着する工程を説明する図である。
ひげぜんまいは、回転軸体と嵌合するための貫通孔を有するひげ玉と、ひげ玉と接続し、貫通孔を中心にしてひげ玉に巻回されるコイル形状のぜんまい部と、ぜんまい部の端部に設けるひげ持とを有し、ひげ持の一平面に溝部が形成されている。ひげ持の溝部を有する一平面の部分に接着剤を設けて、他部品であるひげ持固定部品と接着される。
ひげ持に設ける溝部に接着剤が入り込むことにより、接着剤が横流れしなくなる。溝部に入り込んだ接着剤は、ひげ持をひげ持固定部品との接着面側に引っ張るようになるため、ひげぜんまいの位置ずれや傾きを起こさないのである。
また、溝部に接着剤が入り込むため、塗布する接着剤の量が多少増えても、位置ずれや傾きを生じにくくすることもできる。
このように、ひげぜんまいの特徴的な部分である、ひげ持部分設ける溝部は、その形状を、平面視で矩形や円形で構成することができる。また、ひげ玉との位置関係などに鑑みて、ひげぜんまいの伸縮運動に掛り、ひげ持がひげ玉方向に引かれる力を受けた際に、それに抗うような形状とすることもできる。
ひげ持に設ける溝部は、さまざまな形状とすることができるが、大切なことは、ひげ持のひげ持固定部品との当接面がフラットな形状にならなくするという点である。このようにすれば、接着剤とひげ持との接触面積も増え、ひげ持固定部材との固定力も増す。
以下、ひげぜんまいについて、図面を参照して詳細に説明する。
説明にあっては、最初に機械部品の構造を、第1及び第2の実施形態として説明し、次いで製造方法を、第3の実施形態として説明する。
まず、第1の実施形態として、図1と図2とを用いてひげぜんまいの概略の構成を説明し、次に、図3を用いてひげぜんまいの接着部の詳細な構成と、知られている従来のひげぜんまいの接着部の構成とを比較して説明する。
次に、第2の実施形態として、図4を用いてひげ持に貫通している溝部を設けたひげぜんまいの概略の構成を説明し、さらに、図5を用いてひげ持に貫通している溝部を設けたひげぜんまいの接着部の詳細な構成を説明する。
そして、第3の実施形態として、図6〜図8を用いて、ひげぜんまいの第1の製造方法を説明し、さらに図9を用いて、ひげぜんまいの第2の製造方法を説明し、さらに図10と図11とを用いて、ひげぜんまいの第3の製造方法を説明する。
なお、説明にあっては、必要部分のみを示す模式図とし、発明に関係のない部分は省略
している。また、同一の構成には同一の番号を付与するものとし、説明を省略する。
[ひげぜんまいの構成の説明:図1、図2]
図1と図2とを用いてひげぜんまいの第1の実施形態を説明する。
図1は、ひげぜんまいを説明する平面図であり、図1(a)はひげぜんまいの全体を示し、図1(b)はひげ持部分を拡大した様子を示している。図2は、ひげ持とぜんまい部を拡大した図面であって、図1に示す切断線A−A´における断面の様子を模式的に示す断面図である。
図1において、ひげぜんまい1は、中心部に図示しない回転軸体であるてん真と嵌合するための貫通孔3aを有するひげ玉3と、貫通孔3aを中心にしてひげ玉3に巻回されるように設計されたコイル形状のぜんまい部2と、ぜんまい部2の巻き終わりと接続しているひげ持4とから構成されている。ひげ持4には溝部7が形成されている。また、ぜんまい部2の巻き始めとひげ玉3とは接続部3bで接続している。
ひげぜんまい1は、材料としては、水晶、セラミックス、シリコン、シリコン酸化膜などを主成分とする材料から構成することができる。ひげぜんまい1の材料をシリコンとすれば、軽いひげぜんまいを構成できて便利である。
ひげぜんまい1を構成する材料がシリコンであるとすると、ひげぜんまい1の製造や加工に際して、シリコン半導体基板に対して行う深掘りRIE技術を用いることができ、半導体装置を製造する際と同様な公知の製造技術を用いることができる。
以後の説明にあっては、ひげぜんまい1の材料を、軽く加工しやすいという特徴を有するシリコンとする場合を例にして説明する。
上述のように、ひげぜんまい1は基材となるシリコン半導体基板をドライエッチングして形成するため、図1に示すように、ひげぜんまい1のぜんまい部2と、ひげ玉3と、ひげ持4とは、一体で形成されている。
上述の通り、ひげぜんまい1の全体を、図示しない回転軸体の軸方向から平面視したときの様子が図1(a)に示すものであり、図2は、切断線A−A´におけるひげ持4とぜんまい部2の2つの部分を拡大して示す断面図である。
ぜんまい部2は上述の通り一体で形成されており、ひげ玉3の周囲を巻回されているような形状を有している。切断線A−A´の部分は、ぜんまい部2の外周部分である。このぜんまい部2は上述のごとく1つの構造体であるが、図2に示すように、説明しやすいように断面で見たときのそれぞれの周回に当たる2つの部分に、ぜんまい腕20a、20bの名称を付与することにする。
図1(a)に示すように、ひげ持4の一平面4aには、溝部7を構成する2本の溝部を設けている。この2本の溝部は7a、7bの番号を付与することにする。2本の溝部7a、7bは、平面視では同様の形状を有している。
図1(a)に示す溝部は、平面視でひげ持4部分の長手方向の距離と略等しいような形状を有しているが、もちろんその形状はこれに限定されない。それについては、図1(b)を用いて後述する。
図1(a)、図2では、ひげ持4に平行に並べて配置された2本の溝部7a、7bを設
けた例を挙げたが、溝部の数は2本に限られるわけではなく、1本でも、3本以上でもかまわない。
また、複数の溝部7a、7bを設けた場合、必ずしも平行して配置される必要はなく、平面的に位置をずらすように配置してもよく、ひげ持4の一平面4a内であれば、自由に配置してかまわない。
また、溝部7a、7bは、ひげ持4の一平面4aから見たときに、三角形や多角形、円形や楕円形などの形状を有するようにしてもよい。図1(b)にその様子を示す。
図1(b)は、溝部7の形状の例を5つ例示するものである。図形で構成される幾何学模様の例を3つ、文字の例を1つ、幾何学模様と文字とを組み合わせた例を1つ示している。
溝部7の形状における、幾何学模様の例は、溝部7が三角形である例、平行四辺形である例、円形と楕円形とを組み合わせた例を代表的な形状として示している。これら3例を組み合わせた形状でもよいことは無論である。また、この幾何学模様を特定の意味を有するマークや社章などとしてもよい。
溝部7の形状における、文字の例は、「A−1−2」とし、形成する文字を例えば、型式番号や製造番号のようにひげぜんまい1の仕様などを示すような文字や、特定の意味ある文字などとすれば、組み立ての際などに目視等でそれらを認識できて便利である。
溝部7の形状における、幾何学模様と文字とを組み合わせた例は、複数の波形状と文字との組み合わせである。この文字の溝部は符号70を付与しており、例示した文字は1文字の「A」であるが、複数の文字で構成してもよいことは無論である。
また、溝部7と溝部70とは、その溝の深さを異ならせてもよい。例えば、溝部7を浅く、溝部70を深くしてもよい。溝部70を型式番号や製造番号などの所定の情報用として用いるとき、溝部70の深さを深くすることでより認識しやすくなる。
なお、深さの異なる溝部の形成にあっては、例えば、まず溝部7と溝部70とを同じ深さになるようにエッチングして形成した後、溝部7を覆う耐エッチングマスクを施し、溝部70が所定の深さになるようにさらにエッチングを行うなど、公知の手法を用いることができる。
また、詳しくは後述するが、溝部7は貫通していてもよいが、例えば、溝部70は貫通させないようにしてもよく、もちろんその逆に、溝部7を貫通させず、溝部70を貫通させてもよい。
また、後述するひげ持4を接着剤で他部品を接着する際に、幾何学模様の溝部7の部分に接着剤が入り込むようにし、溝部70には接着剤が入り込まないように、接着剤を塗布してもよい。つまり、深さが浅い溝部7を接着用にし、深さが深い溝部70を情報の認識用に用いることができる。もちろん、用いる接着剤の種類や粘性などにより、溝部に入り込む距離が決まるから、用いる接着剤の種類に応じて溝の深さを決める。
また、ひげぜんまい1は、その稼働時においては、図示しないてん真と嵌合する貫通孔3aを中心にして伸縮運動をする。ひげ持4は図1には図示しない他部品であるひげ持固定部品に固定されているため、ひげぜんまい1の伸縮運動中は、ひげ持4はひげ玉3方向に引かれる力を受ける。
溝部7は、この力に抗うように、例えば、その力の方向と直交する方向に長い形状を有するような溝形状としてもよい。この場合は、ひげぜんまい1を組み付ける時計機構の形
状や仕様に鑑みて、予めその形状を決めるとよい。
また、溝部7は、
[ひげ持の接着部の説明:図3]
次に、ひげぜんまいのひげ持を接着剤で他部品を接着する構成を、図3を用いて説明する。
図3(a)は第1の実施形態によるひげぜんまい1の接着状態を示した図であり、図3(b)は本発明をより詳しく説明するために用いる、知られている従来のひげぜんまいの接着状態を示した図である。なお説明にあっては、ひげ持と2つのぜんまい腕を示す断面を用いて説明する。なお、図3は、図2に示す部分と同等部分を示す図であるが、図3(a)は図2に対して図面上、上下が逆になっており、ひげ持4の一平面4aは図面下側になっている。
図3(a)に示す本実施形態によるひげぜんまい1は、ひげぜんまい1のひげ持4の一平面4aには2本の溝部7a、7bが設けてあり、またひげ持4に並ぶようにしてぜんまい腕は20a、20bが形成されている。ひげ持4の溝部7a、7bが形成される一平面4aは、ひげぜんまいを固定するための部品であるひげ持固定部品6の接着面6aに接着剤5を介して接着される。
図3(b)に示す従来のひげぜんまいは、ひげ持4´は本実施形態のひげ持4に、ぜんまい腕20a´、20b´は本実施形態のぜんまい腕20a、20bに、それぞれ対応する構成である。そして、ひげ持固定部品6の接着面6aに接着剤5を介して接続される。
接着剤5にはフェノール樹脂とポリアミド樹脂を組み合わせた時計用接着剤が用いられることが多いが、エポキシ系の熱硬化性接着剤や一般にラックと呼ばれる昆虫から採取して得られる樹脂を主成分とした接着剤等を用いてもかまわない。
図3(a)に示す本実施形態のひげぜんまい1は、接着面であるひげ持4の一平面4aに溝部7a、7bを設けているため、接着剤5は毛細管現象で溝部7a、7bに入り込むことができる。接着剤5が溝部7a、7bに入り込むことによって、ひげ持4はひげ持固定部品6の接着面6a側に引っ張られるので、ひげ持4の一平面4aとひげ持固定部品6の接着面6aとが位置ずれを起こさず、ひげ持固定部品6の所定の位置にひげ持4を接着することができる。
一方、図3(b)に示す従来のひげぜんまいは、ひげ持4に溝部7a、7bを設けていないため、接着剤5がひげ持固定部品6の接着面6b上にとどまらず横流れしてしまう。このため、接着剤5につられてひげ持4´が所定の位置からずれた位置に接着されてしまったり、傾いて接着されてしまったりする。
また、図3(b)に示す従来のひげぜんまいの場合は、ひげ持固定部品6の接着面6aに乗る接着剤の量の管理も重要であり、接着剤の量が多くなり過ぎるとひげ持4´がさらに傾いてしまうことがある。これはひげ持固定部品6の接着面6aに盛られた接着剤の形状にも関係する。
いずれにしても、このような問題は、ひげ持と接着面5aとの対向面がフラットであることが主な原因である。
以上のように、ひげぜんまい1は、ひげ持4の一平面4aとひげ持固定部品6の接着面6aとを傾斜せずに対向させて接着できるから、所定の位置に位置ずれなく接着できるので周囲の他部品と接触して破損する危険性が少ない。また、ひげぜんまい1がひげ持固定部品6に対して傾くことなく接着できるのでひげぜんまいに不要な応力がかからず、等時
性のあるひげぜんまいの伸縮にすることができ、設計通りの所望の振動数が得られやすい。
また、ひげ持4の一平面4aに溝部7a、7bを設けることで、接着剤5との接触面積を広くすることができるので、接着強度が上がるという利点も有している。
そして、この溝部7a、7bに接着剤5が入り込むため、多少接着剤5の量が多少多くなっても、従来技術のようにひげ持4が傾いて接着されることはないという製造上の利点も有している。
[ひげ持に貫通している溝を設けたひげぜんまいの構成の説明:図4]
図4を用いてひげぜんまいの第2の実施形態を説明する。
図4は、ひげ持に貫通している溝を設けたひげぜんまいのひげ持とぜんまい部を拡大した図面であり、図2に示す部分と同等部分を示す図である。なお、ひげぜんまいの平面形状は図1に示す平面形状と同様である。
図4に示すように、本実施形態のひげぜんまいのひげ持4には、一平面4aから対向する他平面4bに向けて貫通している溝部17を構成する、2本の溝部17a、17bが設けてある。
図4では、ひげ持4に平行に並べて配置された2本の貫通している溝部17a、17bを設けた例を挙げたが、溝部の数は2本に限られるわけではなく、1本でも、3本以上でもかまわない。
また、複数の貫通している溝部17を設けた場合、必ずしも平行して配置される必要はなく、平面的に位置をずらすように配置してもよく、ひげ持4の一平面4a内であれば、自由に配置してかまわない。
また、貫通している溝部17は、ひげ持4の一平面4aから見たときに、三角形や多角形、円形や楕円形などの形状を有するようにしてもよい。
[ひげ持の接着部の説明:図5]
次に、本発明の貫通した溝部が設けられたひげ持を接着剤で他部品を接着する構成を、図5を用いて説明する。図5は第2の実施形態によるひげぜんまいの接着状態を示した図である。
図5に示すように、本実施形態のひげぜんまいのひげ持4には一平面4aから対向する他平面4bに向けて貫通している2本の溝部17が設けてあり、ひげ持4の貫通している溝部17が形成されている一平面4aは、ひげぜんまいを固定するための部品であるひげ持固定部品6の接着面6aに接着剤5を介して接着される。
本実施形態のように、ひげ持4に形成される溝部17が貫通していたとしても、接着剤5は毛細管現象で溝部17に入り込む。接着剤5が溝部17に入り込むことによって、ひげ持4はひげ持固定部品6の接着面6a側に引っ張られるので、位置ずれを起こさずにひげ持固定部品6の所定の位置にひげ持4を接着することができる。
また、溝部17が貫通していると、以下のような利点も有する。
すなわち、溝部17が貫通していると、ひげ持4の一平面4aとひげ持固定部品6の接着面6aとを対向させて位置あわせした後に、ひげ持4の他平面4bの方からに開口した溝部17に向かって接着剤5を注入することができる。このようにすれば、接着剤5の量や滴下する場所などを確認しながら作業が進められるため、作業性が向上する。その結果
、生産に要するタクトタイムも短縮できるから生産性が向上し、時計のコストダウンに寄与できる。
なお、上記の説明では、ひげ持4の一平面4aとひげ持固定部品6の接着面6aとを対向させて接着する例を示したが、ひげ持4の他平面4bとひげ持固定部品6の接着面6aとを接着するようにしてもよいことは無論である。
次に、第3の実施形態としてひげぜんまいの製造方法について、工程図を用いて説明する。
第1の製造方法は、主に図6、図7を用いて説明する。第2の製造方法は、主に図8を用いて説明する。第3の製造方法は、主に図9を用いて説明する。第4の製造方法は、主に図10を用いて説明する。
なお、製造方法はひげぜんまい全体を形成する技術であるが、本発明の特徴であるひげ持に設けた溝部を見やすくするために、ひげ持とぜんまい腕部分を拡大した図2の断面図を用いて説明する。したがって、説明にあっては適宜図1も参照されたい。また、ひげぜんまいの材料はシリコン、接着剤の材料はフェノール樹脂とポリアミド樹脂とを組み合わせた時計用接着剤を用いた例で説明する。
[第1の製造方法の説明:図3、図6、図7、図8]
まず、ひげぜんまいの第1の製造方法を説明する。
図6はひげぜんまいの第1の製造方法を説明する断面図であって、溝部を形成する工程までを説明する図である。図7はひげぜんまいの第1の製造方法を説明する断面図であって、ひげぜんまい形状を形成する工程までを説明する図である。図8はひげぜんまいの第1の製造方法を説明する断面図であって、ひげ持固定部品に接着する工程を説明する図である。
図6(a)に示すように、少なくともひげぜんまい1が取り出せる大きさの面積と厚みとを有するシリコンの基板200を準備する。ひげぜんまいの生産性を考慮に入れれば、ひげぜんまい1が多数個取り出せる大きさの基板200である方が好ましい。
次に、図6(b)に示すように、基板200に、ひげぜんまい1のひげ持4の溝部7a、7bを形成するために、この溝部に相当する部分が開口したマスク8を、一般に広く知られているフォトリソグラフィ技術で形成する。マスク8は、例えばシリコン酸化膜である。特に限定しないが、このマスク8は1μmの膜厚で形成する。
そして、図6(c)に示すように、処理時間を管理しながら混合ガス30(SF+C)を用いて、基板200をRIE技術でドライエッチングすることにより、所定の幅と深さの溝部7a、7bが形成される。
その後に、マスク8のみを除去することで、図6(d)に示すような溝部7a、7bが深掘りされた基板200を得る。このマスク8の除去は、例えば、基板200をフッ化水素酸を主成分とする公知のエッチング液に浸漬して行う。
なお、これら溝部7a、7bの深さをそれぞれ異ならせる場合には、例えば、この後、溝部7aのみを覆う耐エッチングマスクを施し、溝部7bが所定の深さになるように、さらにエッチングを行えばよい。
次に、図7(a)に示すように、基板200のぜんまい部2となるぜんまい腕20a、
20bの幅に相当する部分と、ひげ持4の幅に相当する部分(溝部は覆われている)を覆うようにマスク9を知られているフォトリソグラフィ技術で形成する。上述の通りこのマスク9は図示しないがひげぜんまい1の全体を形作る形状である。マスク9は、例えばシリコン酸化膜である。特に限定しないが、このマスク9は、基板200の表面より2μmの膜厚となるように形成する。
その後、図7(b)に示すように、混合ガス30(SF+C)を用いて、基板200を深掘りRIE技術でドライエッチングする。これにより、基板200からぜんまい腕20a、20bおよびひげ持4を離断する。この状態では、図示はしないが、ひげぜんまい1は基板200から独立して切り出されており、ひげ玉3の貫通孔3aも貫通している。
その後に、マスク9のみを除去することで、図7(c)に示すようにひげぜんまい1の形状を得る。このマスク9の除去は、例えば、基板200をフッ化水素酸を主成分とする公知のエッチング液に浸漬して行う。
次に、ひげ持4をひげ持固定部品6に接着する方法について説明する。
まず、図8(a)に示すようにひげ持固定部品6の接着面6aにディスペンサー11から適量の接着剤5を滴下する。本実施形態では、接着剤5の滴下にエアパルス方式のディスペンサー11を使用したが、メカニカル方式のディスペンサー11であっても、チュービング方式のディスペンサー11であってもよい。
その後、図8(b)に示すように、接着剤5が滴下されたひげ持固定部品6の接着面6aに、ひげ持4の一平面4aを対向させた状態で、位置あわせしながら近づけ接触させる。
このとき、ひげぜんまい1全体を固定する治具などを用いて、ぜんまい部2が撓まないよう注意しながらひげぜんまい1をひげ持固定部品6に接近させて接触させるとよい。
すると図3(a)に示すように、ひげ持4の一平面4aに設けた溝部7a、7bに接着剤5が毛細管力で吸い上げられる。この毛細管力は接着面6aに対して垂直方向に働くので、接着剤5が接着面6aの水平方向に流れる横流れ現象を抑えることができる。その結果、ひげ持4が接着剤5につられて移動してしまう位置ずれを防ぐことができ、ひげ持固定部品6の所定の位置にひげ持4を接着することができる。
接着剤5の硬化方法は接着剤5の種類によって異なるが、本実施形態で用いたフェノール樹脂とポリアミド樹脂とを組み合わせた時計用接着剤の場合、規定の温度と熱印加時間とにより熱硬化させればよい。
以上説明した第1の製造方法は、ひげ持4の一平面4aに貫通しない溝部7a、7bを設け接着する手法であるが、この第1の製造方法を用いれば、図6(c)に示す溝部7a、7bを深掘りする工程で処理時間を調整することで溝部7a、7bの深さを任意に調整することができる。溝部7a、7b内に接着剤5が隙間無く充填される程度の深さにするのが望ましい。
また、この第1の製造方法によれば、ひげ持4の一平面4aにだけ溝部7a、7bが形成されるので、ひげぜんまい1の接着する側の面を判別しやすいという利点もある。ひげ持4に溝部7a、7bが形成されている面側が接着される面であると、目視や光学手段を用いた公知の形状認識手段を用いて判別しやすくなるのである。そうすると、作業性が向上する。
[第2の製造方法の説明:図3、図9]
次に、第2の製造方法を説明する。
図9はひげぜんまいの第2の製造方法を説明する断面図であって、溝部を形成する工程を説明する図である。この製造方法は、ぜんまい腕20a、20bとひげ持4の形成と同時に溝部7a、7bも形成する製造方法である。この第2の製造方法を用いれば、製造工程を削減することができるため、生産性を向上したい場合に適している製造方法である。
まず、少なくともひげぜんまい1が取り出せる大きさの面積と厚みとを有するシリコンの基板200を準備する。そして次に、図9(a)に示すように、基板200のぜんまい部2となるぜんまい腕20a、20bの幅に相当する部分と、ひげ持4の幅に相当する部分が覆われるように、さらにひげぜんまい1のひげ持4の溝部7a、7bを形成するための溝部に相当する部分が開口したマスク10を、一般に広く知られているフォトリソグラフィ技術で形成する。マスク10は、例えばシリコン酸化膜である。特に限定しないが、このマスク10は2μmの膜厚で形成する。
なお、この第2の製造方法では、溝部に相当する部分の開口部の幅を狭く形成する点が特徴である。本実施形態では幅が10μmの溝部形状で開口部を形成した。
その後、図9(b)に示すように、混合ガス30(SF+C)を用いて、基板200を深掘りRIE技術で、基板200からぜんまい腕20a、20bおよびひげ持4が離断されるまでドライエッチングする。ドライエッチングの処理時間はぜんまい腕20a、20bおよびひげ持4が離断された直後に終了する程度の時間が望ましい。
一方、処理が終了したその時点で10μmの幅で狭く開口させた溝部7a、7bの開口部では、エッチングレート(単位時間にエッチングされる速度)が遅いため、貫通せずに処理が終了する。なぜなら、溝部7a、7bの幅が狭いと混合ガスの供給が少なくなってしまう(溝部の底部までエッチングガスが到達しにくい)からである。
本実施形態では、100μmの厚さの基板200をエッチングしたところ、ぜんまい腕20a、20bおよびひげ持4が離断された時点で、溝部7a、7bは貫通せずに深さが90μmの溝形状で形成することができた。
その後に、マスク10のみを除去することで、ひげぜんまい1の形状を得る。このマスク10の除去は、例えば、基板200をフッ化水素酸を主成分とする公知のエッチング液に浸漬して行う。
その後の接着工程は、すでに説明した第1の製造方法で示した方法と同様に、ひげ持固定部品6に接着するため、その説明は省略する。
以上の製造方法によって、図3(a)と同等のひげ持4の一平面4aに溝部7a、7bが形成され、ひげ持固定部品6の接着面6aに接着された構造を得ることができる。
なお、本第2の製造方法では、溝部7a、7bの幅を狭くすればするほど、エッチングレートは遅くなるので、溝部7a、7bの深さを浅くしたい場合には、溝部の幅を狭くすればよい。
[第3の製造方法の説明:図5、図9、図10、図11]
次に、第3の製造方法を説明する。
図10は、ひげぜんまいの第3の製造方法を説明する断面図であって、貫通している溝部を形成する工程を説明する図である。図11は、ひげぜんまいの第3の製造方法を説明
する断面図であって、ひげ持固定部品に接着する工程を説明する図である。この製造方法は、第2の製造方法と同様に、製造工程を削減することができるため、生産性を向上したい場合に適しているというメリットがある。
まず、少なくともひげぜんまい1が取り出せる大きさの面積と厚みとを有するシリコンの基板200を準備する。そして次に、図9(a)に示す、すでに説明した第2の製造方法のように、基板200のぜんまい部2となるぜんまい腕20a、20bの幅に相当する部分と、ひげ持4の幅に相当する部分が覆われるように、さらにひげぜんまい1のひげ持4の溝部17a、17bを形成するための溝部に相当する部分が開口したマスク10を、一般に広く知られているフォトリソグラフィ技術で形成する。マスク10は、例えばシリコン酸化膜である。特に限定しないが、このマスク8は2μmの膜厚で形成する。
なお、この第3の製造方法では溝部に相当する部分の開口部の幅は広い方が望ましい。溝部に相当する部分の開口部の幅が狭いと、後述の次工程でおこなうドライエッチング処理においてエッチングレートが遅くなってしまい、処理時間が長くなってしまうからである。本実施形態では、幅が20μmの溝部形状で開口部を形成した。
その後、図10に示すように、混合ガス30(SF+C)を用いて、基板200を深掘りRIE技術で、基板200からぜんまい腕20a、20bおよびひげ持4が離断され、同時に溝部17a、17bが貫通するまでドライエッチングする。
その後に、マスク10のみを除去することで、ひげぜんまい1の形状を得る。このマスク10の除去は、例えば、基板200をフッ化水素酸を主成分とする公知のエッチング液に浸漬して行う。
次に、第3の製造方法におけるひげ持4をひげ持固定部品6に接着する方法について説明する。
まず、図11(a)に示すように、ひげ持固定部品6の接着面6aに、ひげ持4の一平面4aを対向させた状態で、ひげ持4をひげ持固定部品6の所定の位置に配置する。
その後、図11(b)に示すように、ひげ持4の一平面4aからひげ持4の接着面6aとは対向していない他平面4b側の溝部17a、17bの開口部に向かってディスペンサー11により適量の接着剤5を滴下する。接着剤5の滴下は、図11(b)に示すように、ディスペンサー11を移動させることによって溝部ごとにおこなう。本実施形態では、接着剤5の滴下にエアパルス方式のディスペンサー11を使用したが、メカニカル方式のディスペンサー11であっても、チュービング方式のディスペンサー11であってもよい。
溝部17a、17bに向かって滴下された接着剤5は毛細管現象によって溝部内に吸い込まれひげ持固定部品6の接着面6aに到達し、図5に示すように、ひげ持4とひげ持固定部品6とが接着剤5によって固定される。本実施形態では、接着剤5としてフェノール樹脂とポリアミド樹脂とを組み合わせた時計用接着剤を用い、規定の温度と熱印加時間とにより熱硬化させた。
以上説明した第3の製造方法を用いた場合、ひげ持4を所定の接着位置に位置合わせした後に接着するので、目視や光学手段を用いた公知の位置認識手段を用いて位置決めし易く、接着位置の精度を高くすることができる利点がある。その結果、より安定した接着が可能になる。
以上説明した実施形態は、本発明を限定するものではなく、主旨を逸脱なければ変形も可能である。
例えば、溝部は、ひげ持の一平面から側面まで延在するようにしてもよい。そうすると接着剤が側面の溝部にも回り込むようになると共に、ひげ持の表面積も増えるため、ひげ持固定部品とより強固に接着できる。
また、ひげ持に貫通している溝部を設けた第2の実施形態にあっては、接着剤の滴下の際に、ひげ持や溝部の位置を認識し易くするため、平面視の溝部の形状を「+」のようなマークの形状としてもよい。そうすると、目視や光学手段を用いた公知の形状認識手段を用いて、より判別しやすくなる。
また、ひげ持ちの他平面にもさらに別の溝部を設けてもよい。つまり、ひげ持の一平面に貫通していない溝部を設け、他平面にも溝部を設けるのである。
その際、他平面に設ける溝部の形状を、例えば、幾何学模様や文字などからなる識別可能なものや、型式番号や製造番号のようなもの、特定の意味を有するマークや社章などとしておけば、ひげぜんまいをひげ持固定部品と接着した後でも、他平面側からひげぜんまいの仕様や特徴などを目視等で認識できて便利である。
また、説明では、ひげ持にのみ溝部を設けている例を示したが、溝部をぜんまい腕まで延在させてもよい。そうすると、ぜんまい腕の断面は四角形から多角形になり、角部が増えることにより剛性が上がり、機械式時計に不測の衝撃が加わり、ひげぜんまいが他部品と接触してしまったとしても、それによる破壊を防止することができる。
本発明は、機械式時計の調速機構において、ひげぜんまいを傾くことなく適正な位置に固定することができるから、信頼性が高く、安定した高い時計精度の機械式時計に好適である。
1 ひげぜんまい
2 ぜんまい部
3 ひげ玉
3a 貫通孔
3b 接続部
4 ひげ持
4a 一平面
4b 他平面
5 接着剤
6 ひげ持固定部品
6a 接着面
7、7a、7b、17、17a、17b、70 溝部
8、9、10 マスク
11 ディスペンサー
20a、20b ぜんまい腕
30 混合ガス
200 基板

Claims (7)

  1. 所定の材料を主成分とし、ひげ持で他部品と接着するひげぜんまいの製造方法であり、
    前記所定の材料を主成分とする基板の前記ひげ持となる所定の部分に溝部を形成する工程と、
    前記基板をエッチングし、回転軸体と嵌合するための貫通孔を有するひげ玉と、前記ひげ玉と接続し、前記貫通孔を中心にして前記ひげ玉に巻回されるコイル形状のぜんまい部と、前記ぜんまい部の端部に設ける前記ひげ持と、を有する前記ひげぜんまいを形成するエッチング工程と、
    前記溝部を有する前記ひげ持の一平面に前記接着剤を配置し、他部品と接着する工程と、
    を有することを特徴とするひげぜんまいの製造方法。
  2. 前記所定の材料はシリコンであることを特徴とする請求項1に記載のひげぜんまいの製造方法。
  3. 回転軸体と嵌合するための貫通孔を有するひげ玉と、前記ひげ玉と接続し、前記貫通孔を中心にして前記ひげ玉に巻回されるコイル形状のぜんまい部と、前記ぜんまい部の端部に設けるひげ持と、を有するひげぜんまいであって、
    前記ひげ持の一平面に溝部を有し、
    前記溝部を有する一平面の部分に接着剤を設けて、他部品と接着されている
    ことを特徴とするひげぜんまい。
  4. 前記ひげぜんまいは、シリコンで形成されている
    ことを特徴とする請求項3に記載のひげぜんまい。
  5. 前記溝部は、前記ひげ持の前記一平面からこれと対向する他平面まで貫通している
    ことを特徴とする請求項3又は4に記載のひげぜんまい。
  6. 前記溝部は、前記ひげ持の前記一平面に複数設け、互いに溝部の深さが異なる
    ことを特徴とする請求項3又は4に記載のひげぜんまい。
  7. 前記溝部は、幾何学模様又は文字を構成している
    ことを特徴とする請求項3から6のいずれか1つに記載のひげぜんまい。
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