JP2015179013A - ひげぜんまいの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリコンからなる時計用ひげぜんまいを精度良く製造する製造方法を提供する。【解決手段】SOI基板の活性層の上部に、ひげ玉とぜんまい部とひげ持から構成されるひげぜんまいの形状に対応する第1のマスクパターン10と、第1のマスクパターン10の粗なる部位に第1のマスクパターン10に対して均一な間隔を持たせた第2のマスクパターン20とを形成する工程を設け、深掘りRIE技術を用いてドライエッチングを施して第1のマスクパターン10の下でひげぜんまいを形成し、第2のマスクパターン20の下で第2の活性層形状を形成し、リフトオフ工程を経てひげぜんまいと第2の活性層形状を分離する。第1のマスクパターン10と第2のマスクパターン20との間隔が近距離で均一間隔であることからサイドエッチングが起きず、寸法精度や垂直性の良いひげぜんまいが得られる。【選択図】図2

Description

本発明は、時計用のひげぜんまいに関し、特にシリコンを主成分とするひげぜんまいの製造方法に関する。
従来の機械式時計においては、機械の運転を規則正しく一定の速度に保つために、ひげぜんまいとてん輪(てん真付)とで構成される調速機(てんぷ)が使われている。等時性のあるひげぜんまいの伸縮によりてん輪が規則正しく往復回転運動を行う。
てんぷには、がんぎ車とアンクルとで構成される脱進機という機構が接続されており、ぜんまいからエネルギーが伝達されて、振動を持続するようになっている。
知られているひげぜんまいは、金属を加工して形成する場合が多い。このため、その加工精度のばらつきや金属が有する内部応力の影響などによって、設計通りの形状が得られない場合がある。
ひげぜんまいは規則的にてんぷを振動させる必要があるから、設計通りの形状が得られないとてん輪も等時性のある運動ができなくなり、時計の歩度ずれが生じてしまう。時計の歩度とは、一日あたりの時計の進み又は遅れの程度を示すものである。
ところで近年、シリコン基板をエッチング加工することによって時計部品を製造する試みがなされている。従来の金属部品を用いる時計部品の製造に比べ軽量にできるという利点と、安価で大量生産ができる利点とがあると言われている。これにより、小型軽量の時計を製造することができると期待されている。
シリコン基板をエッチングする際、近年ではドライエッチング技術である反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)技術が進歩してきた。中でも、深堀りRIE(Deep RIE)技術が開発され、アスペクト比が高いエッチングが可能になってきた。
この技術によると、エッチングがフォトレジストなどでマスクした部分の下に回り込まないために、垂直深さ方向にマスクパターンを忠実に再現できるようになり、シリコン基板をエッチングする際に、時計部品を設計通りの形状で精度よく製造することが可能となってきた(例えば、特許文献1参照。)。
そもそもシリコンは、金属よりも温度特性が良い。従来のひげぜんまいの材料として用いられる金属よりも環境温度に対して変形しにくいという特徴がある。このことから、時計の調速機構にもこの技術を応用することが考えられている。
特表2011−505003号公報(第6頁、図1)
特許文献1に示した従来技術に代表されるような、シリコンを深堀りRIE技術を用いてエッチングし、ひげぜんまいを形成すると、形状が設計通りにならないという問題が発
生することが判明した。
本来は、深堀りRIE技術を用いてシリコンをエッチングすると、設計通り、すなわち、マスクパターン通りにひげぜんまいができ上がるのである。
しかし、エッチングしてなる対象物がひげぜんまいの場合、そうならず、局所的なオーバーエッチングが生じてしまうのである。すなわち、マスクパターン通りにエッチングされる箇所と、マスクパターンより細くエッチングされてしまう箇所とがある。
その理由はひげぜんまいの形状にある。ひげぜんまいは、一端をひげ玉に接続し、他端をひげ持に接続したぜんまい腕を、ひげ玉に巻回する形状である。なお、巻回されているぜんまい腕をぜんまい部と称する。
このため、平面的にみて、隣接する部分があるところと、そうではないところとがある。このような状態を、形状の密度に粗密があると称する。
例えば、ぜんまい部においては、ひげ玉の近傍は形状的に間隔が空いており、形状の密度が粗い状態である。順次巻回されているぜんまい部は隣接する他のぜんまい腕との間隔が狭く、形状の密度が狭い状態、つまり密である。
深堀りRIEでエッチング加工してなるひげぜんまいは、その形状通りのマスクパターンを用いる。ひげぜんまいの形状的な粗密は、マスクパターンの粗密でもある。
このため、このマスクパターンの粗密により、パターンが粗い部分にサイドエッチングが発生し、ひげぜんまいがエッチング加工し終わったときに、サイドエッチングが生じた部分のみ、マスクパターンよりも形状が細く加工されてしまうのである。
これは、深堀りRIEでのエッチングの際に、隣接するマスクパターンとの距離が遠いと(パターンの形状の密度が粗いと)、エッチングの最中に、プラズマ環境下で発生したイオンやラジカルがマスクパターンの横方向からも到来してしまい、サイドエッチングが進行してしまうことが原因である。
ちなみに、隣接するマスクパターンとの距離が近いと(パターンの形状の密度が密であると)、横方向から到来するイオンやラジカルは、その隣接するパターンが妨げになり、サイドエッチングが進行してしまうことはない。
すでに説明したように、マスクパターンはひげぜんまいの形状に由来するものであるから、自由にマスクパターンの粗密を変えることはできない。
このため、特許文献1に代表される従来技術では、設計通りの形状にひげぜんまいが加工できず、これを組み込んだ機械式時計は、歩度ずれを起こしてしまうのである。
この問題を解決する案としては、マスクパターンの密度が粗い部分は、エッチングを2回に分けて行う方法が知られている。
すなわち、まず設計よりも細い溝幅で第1回目のエッチングを行って垂直性を出した後に、再度マスクパターンを形成し、設計通りの広い溝幅で第2回目のエッチングを行うという方法である。
しかしながら、この方法は、エッチングを行う作業工程が2回必要になって大変手間のかかる作業になっていた。更に、2回目のエッチング工程では、1回目で形成した形状との正確な位置合わせが必要である。このため、不良率も高く、製造コストも高かった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、精度よくひげぜんまい製造できる製造方法を提供するものである。
上記の課題を解決するための手段として、本発明のひげぜんまいの製造方法は、以下の通りである。
回転軸体と嵌合するための貫通孔を有するひげ玉と、このひげ玉と接続し、貫通孔を中心にしてひげ玉に巻回されるコイル形状のぜんまい部と、ぜんまい部の端部に設けるひげ持とを有する、シリコンを主成分とするひげぜんまいの製造方法であって、シリコンを主成分とするベース層と、シリコン酸化膜層と、シリコンを主成分とする活性層と、を順次積層してなるSOI基板の活性層の上部に、ひげぜんまいの形状に対応する第1のマスクパターンと、この第1のマスクパターンの配置が、粗になるところに対応して配置される第2のマスクパターンと、を形成するマスクパターン形成工程と、第1、第2のマスクパターンにそれぞれ対応した形状に活性層をエッチング加工するエッチング工程と、シリコン酸化膜層を除去し、ひげぜんまいをベース層から切り離すリフトオフ工程と、を有することを特徴とするものである。
このような製造方法をとることにより、第1のマスクパターンと第2のマスクパターンとの間の配置間隔に粗密のない均一な配置間隔が得られる。これによって、サイドエッチングが進行せず、ひげぜんまいの厚みや垂直性において寸法精度の良いひげぜんまいが得られる。
また、本発明のひげぜんまいの製造方法は、第2のマスクパターンが形成される箇所は、ひげ玉の周囲、ぜんまい部の外周又はひげ持の周囲であるのが好ましい。
ひげ玉の周囲、ぜんまい部の外周又はひげ持の周囲は第1のマスクパターンが粗なる分布をなす。そのため、その部分に第2のマスクパターンを設けると、全体的に均一に分布するマスクパターンが得られる。
また、本発明のひげぜんまいの製造方法は、第2のマスクパターンは、第1のマスクパターンと第2のマスクパターンとの距離よりも小さいスリットを有する形状であるのが好ましい。
第2のマスクパターンに小さいスリットがあることによって、リフトオフ工程において、第2のマスクパターンの下で形成される形状品がスリットの部分で複数に分割されて分離する。従って、第2のマスクパターンの下で形成される形状品は取り出し易くなる。スリットの幅が第1のマスクパターンと第2のマスクパターンとの距離よりも小さいことにより、スリットのある部位でのエッチング幅は他の部位のエッチング幅とあまり変わらず、エッチングの影響は非常に小さいものとなって寸法精度の良いひげぜんまいが得られる。
また、本発明のひげぜんまいの製造方法は、マスクパターン形成工程は、ひげぜんまいの一部と接続部で接続する枠の形状に対応する第3のマスクパターンを形成する工程をさらに備え、リフトオフ工程の後に、接続部を破壊することで枠とひげぜんまいとを離断する離断工程を有するのが好ましい。
枠の形状に対応する第3のマスクパターンを形成することにより、枠の一部に接続したひげぜんまいが得られる。そうすると、リフトオフ工程でひげぜんまいがエッチング液槽に落下することがない。その後、枠との接続部でひげぜんまいを離断する離断工程を設け
ると、ひげぜんまいを取り出す時にひげぜんまいに傷などの損傷を与えることなく外観的に綺麗な状態のひげぜんまいが得られる。
本発明によれば、ひげぜんまいの厚み寸法や垂直性に精度の良い品質特性が得られる。そして、ひげぜんまいの調速性能を高める効果を生む。
ひげぜんまいの形状を説明する平面図である。 本発明のひげぜんまいのマスクパターンを説明する平面図である。 本発明のひげぜんまいの製造方法を説明する断面図である。 本発明のひげぜんまいのマスクパターンを説明する平面図であって、第3のマスクパターンを説明する図である。 本発明のひげぜんまいの製造方法を説明する平面図であり、リフトオフ工程の後の状態を示す図である。 第2のマスクパターンに設けるスリットを説明する平面図である。 第2のマスクパターンに設けるスリットを説明する平面図である。
本発明のひげぜんまいの製造方法は、ひげぜんまいを製造する際に用いる、ひげぜんまいの形状に対応する第1のマスクパターンの粗密を解消するために、第2のマスクパターンを設けている点が特徴である。
これにより、第1のマスクパターンのパターンの密度が粗い場所でもサイドエッチングが発生せず、マスクパターン通りにひげぜんまいをエッチングできるのである。
また、ひげぜんまいの周囲に枠の形状の第3のマスクパターンを設けることで、リフトオフ工程でのひげぜんまいのエッチング液槽への落下を防ぎ、作業性を向上させることができる。
以下、本発明のひげぜんまいの製造方法を、図1〜図7を用いて説明する。説明にあって用いる図面は模式図とし、発明に関係のない部分は省略するか簡素化して記載する。そして、同一の構成には同一の番号を付与し、詳細な説明は省略する。
[ひげぜんまいの形状説明:図1]
まず、図1を用いてひげぜんまい11の形状を説明する。
ひげぜんまい11は、シリコンを主成分とする基板から後述する手法で加工される。その形状は、中心部に図示しない回転軸体を嵌合させるための貫通孔11a1を有するひげ玉11aを有する。ひげ玉11aに一端を接続し、このひげ玉11aの貫通孔11a1の中心を基準点にして複数巻回されるコイル形状のぜんまい腕からなるぜんまい部11bを有する。そして、ぜんまい部11bの他端に接続するひげ持11cで構成している。これらひげ玉11a、ぜんまい部11b、ひげ持11cは一体で形成されている。
[ひげぜんまいのマスクパターンの説明:図1、図2]
次に、図1及び図2を用いてひげぜんまい11を製造するためのマスクパターンを説明する。
図2は図1に示すひげぜんまい11を形成するためのマスクパターンである。図2に示すマスクパターンは、ひげぜんまいの形状に対応する第1のマスクパターン10と、この第1のマスクパターン10の配置に粗密がなくなるような形状を有する第2のマスクパターン20とから構成している。
すでに説明したように、ひげぜんまい11の形状は、平面的に隙間の広い部分と狭い部分があって、形状に粗密さがある。図2に示す第1のマスクパターン10は、図1に示すひげぜんまい11と形状が同一であるから、もちろん、図2に示す第1のマスクパターン10の形状にも粗密がある。
図1に示すひげぜんまい11で、形状の密度が粗い(平面的に隙間の広い)部分は、ひげ玉11aの貫通孔11a1の内周部12a1、ひげ玉11aの外周部12a、ぜんまい部11bの外周部12cである。特に、外周部12cは、ぜんまい部11bとひげ持11cとの間は、広く開いている。これに対し、形状が密な(平面的に隙間が狭い部分)部分は、ぜんまい部11bを構成するぜんまい腕が整然と巻回されている巻回部12bである。
図2に示すように、このひげ玉11aの貫通孔11a1の内周部12a1に対応するマスクパターンと、ひげ玉11aの外周部12aに対応するマスクパターンと、ぜんまい部11bの外周部12cに対応するマスクパターンとには、それぞれ第2のマスクパターン20を設けている。
この第2のマスクパターン20は、図2にはそれぞれ第2のマスクパターン20a1、第2のマスクパターン20a、第2のマスクパターン20cの符号を付与している。
この第2のマスクパターン20を有することにより、第1のマスクパターン10の形状に粗密な部分がなくなり、隣接する部位との間隔が一定になる。
すでに説明したように、隣接するマスクパターンが近くなると(マスクパターンが密になると)、その隣接するマスクパターンが横方向から到来するイオンやラジカルの遮蔽物となり、サイドエッチングの発生を防止することができるのである。そうすると、第1のマスクパターン10の形状通りのひげぜんまい11を作ることができる。
図2にしめす第2のマスクパターン20は、第1のマスクパターン10を構成するマスクパターン、例えば、ぜんまい腕に相当するマスクパターン部位と同じ太さの細長形状としてもよい。第2のマスクパターン20は、ひげぜんまいの形状に鑑みて自由に変更できる。
[製造方法の説明:図2〜図5]
次に、上記の形状をなすひげぜんまい11の製造方法を図2〜図5を用いて説明する。
図3は、製造工程を説明するために、図2の平面図の一部を抜き出し模式的に示した断面図であって、ひげぜんまい11の中心部にあるひげ玉11aとそれに連結するゼンマイ部11bの一部領域を取り出して描いた図である。
図3(a)に示すように、SOI(Silicon on insulator)基板を準備する。SOI基板1は、シリコン(Si)を主成分とする、例えば厚み400〜500μmのベース層2上に、厚み1〜3μmのからなるシリコン酸化膜層(SiO2層)3を形成し、更に、シリコン酸化膜層3の上にシリコン(Si)を主成分とする活性層4を形成してなる3層構造である。
活性層4は、ひげぜんまい11を構成する層であるので、その厚みは製造するひげぜんまいによって決める。なお、ひげぜんまい11の生産性を考慮に入れれば、ひげぜんまい11が多数個取り出せる大きさのSOI基板1である方が好ましい。
次に、図3(b)に示すように、SOI基板1の活性層4上に、所定の膜厚のレジスト膜5をスピンコート法などの公知の手法で形成する。
レジスト膜5を形成するためのレジスト液には、ポジ型とネガ型があり、用いるマスクフィルムと共に適宜に選択する。本発明の実施形態の説明においては、ポジ型のレジスト液を用いる例で説明する。
レジスト膜5を塗布した後は、例えば80〜100°Cの温度でプリベーク処理を行ってレジスト液に含まれる有機溶剤を蒸発させ、レジスト膜5を活性層4に密着させる。
次に、図3(c)に示すように、公知の技術を用いて第1のマスクパターン10と第2のマスクパターン20とを形成する。
レジスト膜5へのマスクパターンの形成は、例えば、次に示す手法を用いる。
まず、図示しない所定のガラス表面に、クロム(Cr)などを主成分とする第1のマスクパターンに相当する第1のクロムパターンと、第2のマスクパターンに相当する第2のクロムパターンとを有するガラスマスクを用意する。
次に、ガラスマスクを公知の露光装置に載置し、このガラスマスクを通してSOI基板1の表面のレジスト膜5に所定の波長の紫外線を照射してレジスト膜5を露光させる。後に露光した部分を現像して、第1のマスクパターン10と第2のマスクパターン20とを転写する。
次に、図3(d)に示すように、図3(c)に示す第1のマスクパターン10及び第2のマスクパターン20の形状通りに、活性層4をエッチングする。活性層4のエッチングは、深堀りRIE技術を用いてドライエッチングを行う。
深堀りRIEによるエッチングの最中にあっては、第1のマスクパターン10の横方向から侵入しようとするイオンやラジカルが、第2のマスクパターン20により遮蔽されるので、第1のマスクパターン10の下部の活性層にはサイドエッチングが抑制され、第1のマスクパターン10の形状通りに活性層がエッチングされる。
ところで、第2のマスクパターン20は、第1のマスクパターン10に対するサイドエッチングの防壁となるが、第2のマスクパターン20自体の下部の活性層は、部分的にサイドエッチングが起きてしまう。しかし、この第2のマスクパターン20によりエッチングされる活性層は、そもそもひげぜんまいの形状に関するものではないので、問題はない。
ここで、エッチングされた活性層には、説明しやすいように、それぞれ名称を付与する。第1のマスクパターン10に対応する活性層、すなわち、ひげぜんまいを構成する活性層は、第1の活性層形状10a、10bとする。第2のマスクパターン20に対応する活性層、すなわち、サイドエッチングを防止するための防壁となった活性層は、第2の活性層形状20a、20bとする。
次に、図3(e)に示すように、レジスト層である第1のマスクパターン10と第2のマスクパターン20とを、例えば、アセトンなどの有機溶剤を用いて剥離する。
これにより、第1の活性層形状10a、10bと第2の活性層形状20a、20bとが露出する。
次に、図3(f)に示すように、第1の活性層形状10a、10b及び第2の活性層形状20a、20bをベース層2から切り離す。この工程は、公知のリフトオフと呼ばれる技術を用いて行う。リフトオフ工程は、シリコン層には耐性がありシリコン酸化膜は溶解する薬剤、例えば、フッ酸(フッ化水素酸)を入れた液槽を用意し、これにSOI基板1
を浸漬してなる。
このリフトオフ工程により、シリコン酸化膜層3のみが溶解するので、第1の活性層形状10a、10b及び第2の活性層形状20a、20bは、ベース層2と分離するのである。
第1の活性層形状10a、10b及び第2の活性層形状20a、20bは、リフトオフ工程で、フッ酸の液槽の底部に向かい漂いながら落下してしまうが、その液槽にシリコン製などの網形状のフィルタを設けておけば、液槽の底部までの落下を防止できる。そうすれば、第1の活性層形状10a、10b、つまり、ひげぜんまいのみ掬うことができる。
このとき、当該フィルタは、第2の活性層形状20a、20bは通過させ、ひげぜんまい11のみを通過させないような大きさの網目や穴形状にすれば、ひげぜんまい11と第2の活性層形状20a、20bとを簡単に選別することができる。
もちろん、リフトオフ工程で、ひげぜんまい11をフッ酸の液槽に落下させないようにすることもできる。以下、図4及び図5を用いて説明する。
[第3のマスクパターンの説明:図4、図5]
図4は、図2に対応するマスクパターンを示す平面図であり、第3のマスクパターン30を説明する図である。
図4に示すように、第3のマスクパターン30は、枠の形状で第1のマスクパターン10及び第2のマスクパターン20の周囲を囲うと共に、ひげぜんまい11の一部、例えば、ひげ持11cの端部部分と接続部35にて接続している。なお、第3のマスクパターン30は、第2のマスクパターン20とは接していない。
第3のマスクパターン30は、図3(c)に示すように、第1のマスクパターン10及び第2のマスクパターン20を形成した後に、これらのマスクパターンと同様な手法を用いて第3のマスクパターン30をレジスト膜5の上部に設ける。
または、すでに説明した図示しないガラスマスクに予め第3のマスクパターン30に対応する第3のクロムパターンを形成しておいてもよい。
そうすると、第1のマスクパターン10及び第2のマスクパターン20のレジスト膜5へのマスクパターンの転写の際に、第3のマスクパターン30も転写できる。レジスト膜5へのマスクパターンの転写が1度で済むので便利である。
このようにしてレジスト膜5を第1から第3のマスクパターンの形状に形成した後、深堀りRIE技術を用いて活性層をエッチングする。そして、レジスト膜5を剥離する。
その後、リフトオフ工程を経てベース層2から活性層を分離すると、その活性層は、図5に示すような形状となる。ここで、第3のマスクパターン30に対応する活性層、すなわち、ひげぜんまいの周囲を囲う枠形状の活性層は、第3の活性層形状30aとする。
すでに説明したように、第1のマスクパターン10のひげ持11cの一部と、第3のマスクパターン30の接続部35で接続しているから、第2のマスクパターン20は、リフトオフ工程により取れ落ちてしまうが、第1のマスクパターン10は、接続部35に相当する第3の活性層形状30aの接続部35aの部分で接続され、そのまま残るのである。
これにより、ひげぜんまい11に対応する第1のマスクパターン10と第2の活性層形状である第2のマスクパターン20とを選別することができる。
その後、図5に示す状態から、図1に示すひげぜんまい11を取り出すには、接続部3
5aの部分を破断することでなす。
この破断は、例えば、ピンセットによる手動での破断や、ダイシングソーのような機械による破断を用いることができる。
なお、ひげぜんまい11の生産性を考慮に入れ、ひげぜんまい11が多数個取り出せる大きさのSOI基板1を用いたときは、複数のひげぜんまいの周囲に設ける第3のマスクパターン30同士を接続しておけば、深堀りRIE技術によるドライエッチングの後、第3の活性層形状35aを把持すれば、複数のひげぜんまいを一度に搬送できて便利である。
以上、このような製造工程によって、図1に示すひげぜんまい11が形成される。
大切なことは、図2、図3(c)で示したように、第1のマスクパターン10と第2のマスクパターン20との間は、ほぼ均一であるという点である。
以上説明した例は、第2のマスクパターン20は、第1のマスクパターン10の粗密を解消するために、場所に合ったパターンの太さを有していたが、それに限定されない。
ひげぜんまい11の形状にもよるが、第1のマスクパターン10の粗密が均一になるのであれば、第2のマスクパターン20は、つまり第1のマスクパターン11と同じ太さにしてもよいのである。
[第2のマスクパターンにスリットを設ける構成の説明:図6、図7]
次に、第2のマスクパターン20に、スリットを設ける例を説明する。
図6は、第2のマスクパターン20に設けるスリット22を説明する平面図である。スリット22の大きさと第1のマスクパターン10との距離の関係を示している。図7は、スリット22の異なる形状を説明する平面図である。
すでに説明している通り、リフトオフ工程により、活性層のひげぜんまい11の形状である第1の活性層形状10a、10bと同じく第2のマスクパターン20の形状である第2の活性層形状20a、20bとは、ベース層2と分離する。このとき、第2の活性層形状20a、20bは、第1の活性層形状10a、10bと干渉せずに分離することが好ましい。このため、第2の活性層形状20a、20bを小形状にするために、第2のマスクパターン20にスリット22を設けるのである。
図6に示すように、第2のマスクパターン20に設けるスリット22の幅mは、第2のマスクパターン20と第1のマスクパターン10との距離wよりも小さくするのが望ましい。なぜなら、スリット22の幅mが距離wより大きくなると、第2のマスクパターン20を設けない場合と同様に、スリット22と平面的に対向する第1のマスクパターン10の部分にサイドエッチングが発生してしまうためである。
第2のマスクパターン20に設けるスリット22は、図6に示す形状に限定されない。例えば、図7(a)に示すように、平面的に曲線で形成してもよい。また、図7(b)に示すように複数の直線を組み合わせてもよい。
また、図6及び図7を用いて説明したスリット22は、第2のマスクパターン20に1つ設ける例であるが、スリット22は第2の活性層形状20a、20bを小形状にするために設けるものであるから、所定の間隔で複数設けることが好ましい。
以上説明したひげぜんまいの製造方法は、もちろんこれに限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。
例えば、第1のマスクパターン10と第3のマスクパターン30との接続部は、ひげぜ
んまいのひげ持部分を例示したが、もちろんこの部位に限定しない。また、接続部を複数設けたり、ダイシングソーのような機械による破断を容易にするために、隣接するひげぜんまいと接続部が直線状に並ぶように配置するようなマスクパターンとしてもよい。
この発明によれば、シリコンを主成分とするひげぜんまいをマスクパターン通りに形成できるから、歩度がずれない精度の良い機械式時計に好適である。
1 SOI基板
2 ベース層
3 シリコン酸化膜層
4 活性層
5 レジスト膜
10 第1のマスクパターン
10a、10b 第1の活性層形状
11 ひげぜんまい
11a ひげ玉
11a1 貫通孔
11b ぜんまい部
11c ひげ持
20 第2のマスクパターン
20a、20b 第2の活性層形状
22 スリット
30 第3のマスクパターン
30a 第3の活性層形状
35 接続部
35a 第3の活性層形状30aにおける接続部

Claims (4)

  1. 回転軸体と嵌合するための貫通孔を有するひげ玉と、前記ひげ玉と接続し、前記貫通孔を中心にして前記ひげ玉に巻回されるコイル形状のぜんまい部と、前記ぜんまい部の端部に設けるひげ持とを有する、シリコンを主成分とするひげぜんまいの製造方法であって、
    シリコンを主成分とするベース層と、シリコン酸化膜層と、シリコンを主成分とする活性層と、を順次積層してなるSOI基板の前記活性層の上部に、
    前記ひげぜんまいの形状に対応する第1のマスクパターンと、
    前記第1のマスクパターンの配置が、粗になるところに対応して配置される第2のマスクパターンと、
    を形成するマスクパターン形成工程と、
    前記第1、第2のマスクパターンにそれぞれ対応した形状に前記活性層をエッチング加工するエッチング工程と、
    前記シリコン酸化膜層を除去し、前記ひげぜんまいを前記ベース層から切り離すリフトオフ工程と、
    を有することを特徴とするひげぜんまいの製造方法。
  2. 前記第2のマスクパターンが形成される箇所は、前記ひげ玉の周囲、前記ぜんまい部の外周又は前記ひげ持の周囲である
    ことを特徴とする請求項1に記載のひげぜんまいの製造方法。
  3. 前記第2のマスクパターンは、前記第1のマスクパターンと前記第2のマスクパターンとの距離よりも小さいスリットを有する形状である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のひげぜんまいの製造方法。
  4. 前記マスクパターン形成工程は、
    前記ひげぜんまいの一部と接続部で接続する枠の形状に対応する第3のマスクパターンを形成する工程をさらに備え、
    前記リフトオフ工程の後に、前記接続部を破壊することで前記枠と前記ひげぜんまいとを離断する離断工程と、
    を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のひげぜんまいの製造方法。
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