JP2015173008A - ワイヤーハーネスおよび止水剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】電線被覆材から止水剤への可塑剤の移行を、止水剤への可塑剤の添加によらずに抑制し、良好な止水性能を有するワイヤーハーネスを提供すること、そのようなワイヤーハーネスを構成する止水剤を提供すること。【解決手段】ワイヤーハーネス1は、可塑剤を含む絶縁性樹脂からなる被覆材10bにより導体10aが被覆された絶縁電線10が複数本束ねられた電線束を有し、被覆材10bの一部が除去されて内部の導体10aが露出した導体露出部3および導体露出部3に隣接する被覆部4における被覆材10bの表面が、150℃において1.0MPa以上の平衡弾性率を有する架橋樹脂からなる止水剤12により被覆されている。【選択図】図1

Description

本発明は、ワイヤーハーネスおよび止水剤に関し、さらに詳しくは、止水剤に被覆された部位を有するワイヤーハーネス、およびワイヤーハーネスに好適に用いることができる止水剤に関するものである。
自動車用ワイヤーハーネス等のスプライス部における止水方法として、例えば特許文献1に記載されるように、スプライス部に光硬化性を有する硬化性樹脂組成物と光透過性を有する保護シート(ラップフィルム)を巻付けて、保護シートの上から光照射して硬化性樹脂組成物を硬化させる方法がある。この種の止水剤は、電線導体を被覆するポリ塩化ビニル等よりなる被覆材に接触して配置される。電線に用いられる被覆材には通常、柔軟性の付与等を目的として、可塑剤が添加されている。よって、スプライス部が通電等によって加熱を受けると、止水剤が被覆材に接触している部位において、被覆材から止水剤へと可塑剤が移行する場合がある。すると、電線被覆材に対する止水剤の接着性が低下し、スプライス部への水等の浸入を招く恐れがある。そこで、特許文献1においては、被覆材に含有される可塑剤と同種の可塑剤を止水剤に添加しておくことにより、可塑剤の移行の防止を図っている。
特開2013−251166号公報
引用文献1に記載されるように、ワイヤーハーネスのスプライス部において、止水剤にあらかじめ可塑剤を含有させておくことは、電線被覆材から止水剤への可塑剤の移行を防ぐのに効果を有するが、止水剤への可塑剤の添加が、止水剤の特性に影響を与える可能性を排除することはできない。そこで、止水剤への可塑剤の添加によらず、電線被覆材から止水剤への可塑剤の移行を防ぐ方法を検討する余地がある。
本発明の目的は、電線被覆材から止水剤への可塑剤の移行を、止水剤への可塑剤の添加によらずに抑制し、良好な止水性能を有するワイヤーハーネスを提供すること、またそのようなワイヤーハーネスを構成する止水剤を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係るワイヤーハーネスは、可塑剤を含む絶縁性樹脂からなる被覆材により導体が被覆された絶縁電線が複数本束ねられた電線束を有し、前記被覆材の一部が除去されて内部の導体が露出した導体露出部および前記導体露出部に隣接する前記被覆材の表面が、150℃において1.0MPa以上の平衡弾性率を有する架橋樹脂からなる止水剤により被覆されていることを要旨とする。
ここで、前記止水剤を構成する架橋樹脂は、150℃において10MPa以上の平衡弾性率を有することが好ましい。
本発明にかかる止水剤は、150℃において1.0MPa以上の平衡弾性率を有する架橋樹脂からなることを要旨とする。
上記発明に係るワイヤーハーネスにおいては、止水剤が150℃において、1.0MPa以上の平衡弾性率を有する架橋樹脂よりなっている。架橋樹脂の平衡弾性率が大きくなるほど、架橋点間距離が小さくなるので、架橋構造の中を可塑剤分子が通過しにくくなり、架橋樹脂が150℃において1.0MPa以上の平衡弾性率を有することで、加熱を受けた際にも、被覆材から止水剤への可塑剤の移行を効果的に抑制することができる。これにより、可塑剤の移行による止水剤の接着性の低下を抑え、高い止水性能を維持することができる。架橋樹脂が150℃で10MPa以上の平衡弾性率を有する場合には、止水性能が一層高度に維持される。
上記発明にかかる止水剤は、150℃において、1.0MPa以上の平衡弾性率を有することで、可塑剤を含む樹脂材料に接触した状態で加熱を受けても、可塑剤の移行を受けにくい。よって、ワイヤーハーネスのスプライス部等、止水剤と可塑剤を含む樹脂とが接触する部位において、高い止水性能を維持できる止水剤として使用することができる。
本発明のワイヤーハーネスの一例について、スプライス部付近の構造を模式的に示す図である。 架橋樹脂の平衡弾性率と架橋点間距離の関係の見積もりを示すグラフである。 可塑剤のサイズの見積もりを示す図であり、(a)はDINP、(b)はTOTMを示している。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明のワイヤーハーネス1の一例について、スプライス部11近傍の構造を模式的に示している。ワイヤーハーネス1は、上記特許文献1に記載されるワイヤーハーネスと同様の止水部2をスプライス部11の近傍に有しており、止水部2を構成する止水剤12の構成に特徴を有する。
[スプライス部近傍の構造]
ワイヤーハーネス1は、中途部位に、(中間)スプライス部11を有する。スプライス部11近傍においては、絶縁電線10の被覆材10bが剥離除去されて、内部の導体10aが露出した導体露出部3が形成されている。そして、導体露出部3を構成する複数の絶縁電線10の導体10aどうしが、スプライス部11において、圧着、溶接等によって接合されて、電気的に接続されている。スプライス部11において接合される絶縁電線10の数は、特に限定されるものではないが、図1に示した形態では、スプライス部11において、3本の絶縁電線10よりなる電線束と、1本の絶縁電線10が相互に接合されている。なお、スプライス部11は、図1のように絶縁電線10の端部を相互に接合するものであっても、ある絶縁電線10の長手方向中間部に別の絶縁電線10を枝分かれ状に接合するものであってもよいが、ここでは前者の場合を例として説明を行う。
スプライス部11を含む導体露出部3は、止水剤12および保護シート13により覆われて、止水部2として構成されている。止水剤12は、スプライス部11を含む導体露出部3と、被覆部4とを、一体的に被覆している。被覆部4は、導体露出部3の両端に隣接した、導体10aが被覆材10bに被覆された部位である。止水剤12は、導体露出部3を構成する複数の導体10aの間の空隙、および被覆部4を構成する複数の絶縁電線10の間の空隙にも浸透している。このように止水剤12が被覆部4を含む領域に密着して被覆していることにより、被覆材10bと導体10aの隙間等から、導体露出部3に水分が侵入するのを防止している。
保護シート13は、止水剤12の表面の変形に追随して変形可能な柔軟性を有する樹脂シートよりなり、止水剤12の表面に密着した状態で、少なくとも止水剤12の表面を覆っている。保護シート13は、必須に設けられるものではないが、設けられることで、止水剤12を保護することができるとともに、止水剤12がスプライス部11を被覆した構造を簡便に形成することができる。具体的には、保護シート13としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンおよびポリフッ化ビニリデンなどのオレフィン系樹脂等よりなるラップフィルムを用いることができる。後述するように、止水剤12が光硬化性を有する場合には、保護シート13は、止水剤12を硬化させる波長の光を透過するものであることが好ましい。
絶縁電線10の導体10aは、銅、銅合金、アルミニウム等の素線の単線あるいは撚り線等よりなる。そして、絶縁電線10の被覆材10bは、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)と可塑剤とから構成される軟質塩化ビニル樹脂よりなる。上記可塑剤としては、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジブチルフタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)等のフタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸ジイソデシル(DIDA)、トリメリット酸トリオクチル(TOTM)等の非フタル酸系可塑剤等が挙げられる。中でもDINPおよびTOTMは、自動車用ワイヤーハーネスに用いられる絶縁電線の被覆材に、一般的に添加されている可塑剤である。
[止水剤の構成]
止水剤12は、架橋樹脂、つまり架橋構造を有する樹脂の組成物より構成される。特に、導体露出部3および被覆部4に密着した構造を形成しやすいという観点から、止水剤12は、硬化性樹脂、なかでも光硬化性(特に紫外線硬化性)を有する樹脂の組成物よりなることが好ましい。またこの場合、光が直接照射されない部位での硬化を促進するために、硬化性樹脂が、光硬化性に加え、熱硬化性、湿気硬化性、カチオン重合硬化性、アニオン重合硬化性等、他の硬化性を併せ持つものであると、特に好ましい。架橋樹脂の具体的な樹脂種は、以下に規定するような平衡弾性率を与えるものであれば、特に限定されないが、紫外線硬化性樹脂の場合、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、シリコーンアクリレート等、アクリレート系の紫外線硬化性樹脂を例示することができる。また、架橋樹脂は、適宜添加剤を含んでいてもよい。
止水剤12を構成する架橋樹脂は、150℃において、1.0MPa以上の平衡弾性率を有する。このような平衡弾性率を有することにより、ワイヤーハーネス1への通電等に伴って止水剤12が加熱を受けても、可塑剤を含む被覆材10bと接触する被覆部4において、被覆材10bから止水剤12へと可塑剤が移行しにくくなっている。
もし、止水剤12を構成する架橋樹脂が、150℃において、1.0MPa未満の平衡弾性率を示すものであれば、被覆部4において、被覆材10bから止水剤12への可塑剤の移行が容易に起こってしまう。すると、止水剤12の被覆部4(および導体露出部3)への接着性が低下してしまい、導体露出部3への水等の浸入を阻止できなくなる可能性がある。これに対し、本実施形態にかかるワイヤーハーネス1においては、止水剤12が150℃において1.0MPa以上の平衡弾性率を有し、止水剤12への可塑剤の移行が抑制されることで、加熱環境等でのワイヤーハーネス1の使用を経ても、止水剤12が被覆部4および導体露出部3に密着した状態が保たれ、高い止水性能が維持されやすい。可塑剤の移行を一層効果的に抑制する観点から、止水剤12を構成する架橋樹脂は、150℃において10MPa以上の平衡弾性率を有することが好ましい。
架橋樹脂の平衡弾性率は、公知の方法によって測定すればよい。例えば、動的粘弾性測定による貯蔵弾性率の測定を、温度を変化させながら行う。そして、貯蔵弾性率が温度の上昇に対して急激に低下するガラス転移温度よりも高温の領域に存在する、貯蔵弾性率の対数値が緩やかにしか変化しない平坦領域における貯蔵弾性率の値を、平衡弾性率とすることができる。
[平衡弾性率と可塑剤移行の関係]
止水剤12を構成する架橋樹脂が150℃において1.0MPa以上の平衡弾性率を有することで、被覆材10bから止水剤12への可塑剤の移行が抑制され、その結果として高い止水性能が得られることは、後に実施例において示すように、実験的に実証されるが、以下のように、モデルを用いた計算によっても、導くことができる。
架橋樹脂の平衡弾性率は、架橋点密度との間に強い相関を有し、平衡弾性率が大きくなるほど、架橋点密度が高くなる。平衡弾性率E’(MPa)と架橋点密度n(mol/m)の間には、次の式(1)の関係が成り立つことが知られている。
n=E’/(3RT) (1)
ここで、Rは気体定数8.31(J/(K・mol))である。また、Tは平衡弾性率測定時の温度(K)であり、150℃(=423K)とすればよい。
そして、架橋樹脂の架橋構造を立方格子状の網目の集合体と近似すると、平均の架橋点間距離d(nm)は、架橋点密度n(mol/m)と以下のような関係を有する。
n=(d・10・N (2)
はアボガドロ数である。
従って、式(1)および式(2)を用いることにより、(平均)架橋点間距離dと平衡弾性率E’との関係を見積もることができる。図2に、T=150℃として見積もった、架橋点間距離dと平衡弾性率E’の関係を示す。これを見ると、架橋点間距離は、平衡弾性率E’に対して単調減少の挙動を示していることが確認される。
止水剤12に可塑剤が移行しないようにするためには、上記で見積もられる架橋点間距離が、可塑剤のサイズよりも小さくなるようにすればよい。すると、可塑剤の分子が、架橋樹脂の網目状の架橋構造を通過することができず、止水剤12と被覆材10bの界面から、止水剤12の内部へと拡散できないことになる。
図3に、上記で列挙した被覆材10bに添加しうる可塑剤の代表として、(a)DINPおよび(b)TOTMについて、サイズの見積もりを示す。ここで、図示した各部位の長さは、結合1か所あたりの長さを、ベンゼン環におけるC−C結合長である0.139nmに近似して、幾何的な計算を行うことで見積もった。
図3によれば、どちらの可塑剤においても、最も長い部分の長さが、約2nmとなっている。止水剤12を構成する架橋樹脂の架橋点間距離が、この長さよりも短ければ、可塑剤は、止水剤12中を通過することができないとみなすことができる。図2によると、おおむね、平衡弾性率が1〜2MPaの時に架橋点間距離が2nm程度となっており、見積もられた可塑剤のサイズと対応している。つまり、止水剤12を構成する架橋樹脂の平衡弾性率が1〜2MPaよりも大きければ、上記のようなサイズを有する可塑剤が通過することができず、止水剤12中に移行するのが抑えられることになる。
これは、後に実施例において示されるように、架橋樹脂の平衡弾性率が1.0MPa以上であれば可塑剤の移行による止水性能の低下が効果的に抑制されるという実験結果とよく一致している。つまり、上記モデルにおいては、架橋樹脂の架橋構造および可塑剤の分子サイズの見積もりを、単純化した近似モデルを用いて行っており、また架橋樹脂と可塑剤の間の化学的相互作用を考慮していないにもかかわらず、可塑剤の移行の抑制に必要な平衡弾性率を見積もることができている。
[ワイヤーハーネスの製造方法]
上記ワイヤーハーネス1の止水部2は、特許文献1や、特開2012−80633号公報に記載されているのと同様の方法によって、作製することができる。
止水剤12が紫外線硬化性を有し、保護シート13が紫外線透過性を有する場合を例にすると、以下のように、保護シート13を介して止水剤12を硬化させることで、簡便に止水剤12をスプライス部11近傍に配置して硬化させることができる。つまり、まず、スプライス部11を含む導体露出部3と両端の被覆部4とを被覆できる程度の大きさの保護シート13を広げ、保護シート13上に未硬化の止水剤12を供給する。そして、保護シート13上に配置された止水剤12上にスプライス部11を載置する。さらに、保護シート13をスプライス部11および止水剤12の外周に巻き付けるようにして、保護シート13でスプライス部11および止水剤12を覆う。この際、適宜保護フィルム13を絞り込むようにするなどして、止水剤12を導体露出部3の導体10aの間、および絶縁電線10の間に浸透させるようにすればよい。
次に、保護シート13の外側から、紫外線を止水剤12に照射する。これにより、止水剤12を硬化させる。この際、止水剤12が、硬化するまでの間に、収縮し、あるいは、電線露出部3または絶縁電線10の間に進入しようとすること等が原因で、止水剤12の表面が凹んでしまうことがあるが、保護シート13が止水剤12の表面の形状変化に追随して凹凸変形することにより、止水剤12の表面と保護シート13の密着性が維持され、それらの間の隙間の発生が抑制される。
以下に本発明の実施例および比較例を示す。なお、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
[試験試料の作製]
図1に示すように、ポリ塩化ビニル(PVC)被覆電線を3本と1本で接合し、スプライス部を形成した。用いたPVC被覆電線は、被覆材中に可塑剤としてDINPを30質量%含有している。
表1に示す各種平衡弾性率を150℃にて有するウレタンアクリレートからなる紫外線硬化性樹脂組成物を止水剤とし、PVC製のラップフィルムを保護シートとして、スプライス部の周囲に配置した。つまり、保護シート上の中央に止水剤を塗布し、上記スプライス部を載置した後、保護フィルムを絞り込んで止水剤を導体間および絶縁電線間に浸透させるようにしながら、保護シートをスプライス部および止水剤の外周に巻き付けた。
そして、中心波長が385nmのLED照射機を用い、上記保護シートで巻き込んだ止水剤に紫外線を照射して硬化させることで、止水部を形成し、各実施例および比較例にかかるワイヤーハーネスを作製した。
[評価方法]
(平衡弾性率の測定)
各紫外線硬化性樹脂組成物を紫外線照射によって硬化させ、厚さ200μm、幅3mmのシートを形成して、動的粘弾性測定を行った。測定に際し、チャック間距離を30mm、歪みを±10μm、振動数を1Hz、昇温速度を2℃/min.とした。得られた貯蔵弾性率の対数値の温度依存性のグラフにおいて、150℃が平坦領域にあることを確認したうえで、150℃における貯蔵弾性率の値を、平衡弾性率とした。
(可塑剤の移行量の測定)
上記で得られたワイヤーハーネスの止水部全体を、120℃の恒温槽にて3日間放置した。その後、止水剤を構成する紫外線硬化性樹脂中の可塑剤の組成分析を行い、紫外線硬化性樹脂中に含まれる可塑剤の量(単位:質量%)を測定することで、可塑剤の移行量を見積もった。
(PVCに対する止水剤の接着力)
いわゆるTピール試験法によって、PVC被覆材と止水剤との間の接着力を測定した。つまり、14cm長のPVC被覆電線2本を並列にして両端を19mm幅のテープで固定し、片端から約8cmの電線間表裏を止水材で硬化接着したものを120℃の恒温槽にて3日間放置したのち、電線同士が接着していない端の固定テープを剥がして、2本の電線を接着している根元付近で±90°に曲げてT形状の試料を作製した。そして、この電線2本を引張り試験器にて速度20mm/分で引張り、応力(N)/接着断面長(m)を接着力とした。接着断面長は、PVC被覆電線の外径の2分の1である。
(止水性能の評価)
1.高温放置
上記で得られたワイヤーハーネスを、直線状に保ったまま、120℃にて放置した。その後、止水性能試験を行った。つまり、各ワイヤーハーネスの止水部全体を水中に浸漬し、ワイヤーハーネスを構成する全ての電線の端末から200kPaの圧縮空気を導入して、止水部から空気漏れが発生するかどうかを、目視にて判定した。止水部から空気漏れが発生した場合には、止水性能が低下していると判断した。各実施例および比較例にかかるワイヤーハーネスについて、10試料に対して同様の試験を行い、止水部から空気漏れが発生しなかった良品の数を表1に示す。表1には、併せて、10試料中全てが良品であったものを合格「○」、10試料中に空気漏れが発生した試料が存在したものを不合格「×」として示す。なお、この試験は、配策されたワイヤーハーネスが車載環境で使用される際に、通電等によって加熱を受ける状態に対応するものである。
2.高温放置後繰り返し曲げ
上記で得られたワイヤーハーネスを、直線状に保ったまま、120℃にて放置した後、室温にて止水部を曲げ直径30mmで±90°曲げて戻す動作を10回繰り返した。その後、上記と同様に、止水性能試験を行った。10試料について同様の試験を行い、良品の数を表1に示す。表1には、併せて、10試料中全てが良品であったものを特に優れている「◎」とし、10試料中5試料以上が良品であったものを優れている「○」とし、10試料中良品が5試料未満であったものを不合格「×」として示す。なお、この試験は、車載環境にあるワイヤーハーネスが受ける負荷として想定されるよりも厳しい負荷を印加し、上記の高温放置後の止水性能試験にて評価されるよりも、一層高度な止水性能を有するかどうかを評価するものである。
<結果および考察>
表1に、各実施例および比較例にかかるワイヤーハーネスについて、評価結果をまとめて示す。
Figure 2015173008
表1によると、止水剤を構成する樹脂の平衡弾性率が大きいほど、PVC被覆電線からの可塑剤の移行量が少なくなっており、PVCに対する接着力が大きくなっている。つまり、止水剤を構成する樹脂の平衡弾性率が大きいほど、可塑剤の移行を抑制でき、その結果、可塑剤の移行によるPVC被覆電線に対する接着力の低下を抑制できることが分かる。
そして、止水剤を構成する樹脂の平衡弾性率が1.0MPa未満となっている比較例1においては、高温放置後の防水性能試験において、良品が10試料中2試料しか見られなかったのに対し、平衡弾性率が1.0MPa以上となっている実施例1〜6においては、いずれも、全てが良品となっている。このことは、止水剤を構成する樹脂の平衡弾性率が1.0MPa以上であることで、可塑剤の移行を抑制し、十分な防水性能を維持できることを示している。この結果は、図2に結果を示したモデルに基づく予測にも合致するものである。
さらに、より厳しい負荷に対応する高温放置後の繰り返し曲げを行った状態での防水性能試験においては、止水剤を構成する樹脂の平衡弾性率が10MPa以上となっている実施例1〜3にかかるワイヤーハーネスにおいて、10試料中全てが良品となっている。このことは、止水剤を構成する樹脂の平衡弾性率が10MPa以上であることで、一層高度に可塑剤の移行を抑制し、PVCに対する接着性を確保できるため、非常に高い止水性能が得られることを示している。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、上記で説明したワイヤーハーネスにおいては、スプライス部を含む電線露出部と、導体露出部に隣接する被覆部を覆って止水剤が形成されたが、止水剤が配置される部位はこれに限られず、ワイヤーハーネスにおいて、導体が露出した部位と、それに隣接する可塑剤を含む被覆材に被覆された部位を含む、任意の部位に止水剤を配置することができる。
また、上記においては、可塑剤の分子サイズの見積もりを、電線被覆材に用いられる代表的な可塑剤であるDINPおよびTOTMを用いて行ったが、これらよりも著しく分子サイズの大きい、または小さい可塑剤を用いる場合には、適宜可塑剤のサイズを見積もったうえで、図2に示した平衡弾性率と架橋点間距離の関係に基づき、その可塑剤のサイズに対応する架橋点間距離を与える平衡弾性率の値以上となるように、架橋樹脂の平衡弾性率を選択すればよい。
1 ワイヤーハーネス
2 止水部
3 導体露出部
4 被覆部
10 絶縁電線
10a 導体
10b 被覆材
11 スプライス部
12 止水剤
13 保護シート

Claims (3)

  1. 可塑剤を含む絶縁性樹脂からなる被覆材により導体が被覆された絶縁電線が複数本束ねられた電線束を有し、前記被覆材の一部が除去されて内部の導体が露出した導体露出部および前記導体露出部に隣接する前記被覆材の表面が、150℃において1.0MPa以上の平衡弾性率を有する架橋樹脂からなる止水剤により被覆されていることを特徴とするワイヤーハーネス。
  2. 前記止水剤を構成する架橋樹脂は、150℃において10MPa以上の平衡弾性率を有することを特徴とする請求項1に記載のワイヤーハーネス。
  3. 150℃において1.0MPa以上の平衡弾性率を有する架橋樹脂からなることを特徴とする止水剤。
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