JP2015171967A - 金属被覆カーボンナノチューブの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電極に適したチタン被覆カーボンナノチューブを短時間で製造可能なチタン被覆カーボンナノチューブの製造方法を提供する。【解決手段】チタン基板TKに配置された垂直配向のカーボンナノチューブ2の周囲にチタン被覆膜が形成されてなるチタン被覆カーボンナノチューブの製造方法であって、成長用基板に垂直配向のカーボンナノチューブ2を成長させ、上記カーボンナノチューブ2の一端側(先端側または基端側)を整面し、上記カーボンナノチューブ2の整面された側をチタン基板TKに放電プラズマ焼結法で配置し、チタン供給板を、上記カーボンナノチューブ2に対面させるように配置し、上記カーボンナノチューブ2が配置されたチタン基板TKと、上記チタン供給板とを加熱することで、当該チタン基板およびチタン供給板のチタンを融点以下で真空昇華させて上記カーボンナノチューブ2に付着させ、上記チタン被覆膜を形成する。【選択図】図6
Description
本発明は、金属被覆カーボンナノチューブ、特にチタン被覆カーボンナノチューブの製造方法に関するものである。
カーボンナノチューブは、様々な特性を有する素材であり、多くの分野への応用が期待されている。特に近年では、高性能電子機器の需要増大により、二次電池の電極に用いられる垂直配向のカーボンナノチューブについて鋭意研究されている。
二次電池の電極に適したカーボンナノチューブの1つに、基板に配置された垂直配向のカーボンナノチューブであって、周囲に被覆膜が形成されてなるもの(被覆カーボンナノチューブ)がある。特に、基板および被覆膜がいずれもチタン(Ti)からなる被覆カーボンナノチューブ、つまりチタン被覆カーボンナノチューブは、高い電気伝導性および耐食性を有するので、二次電池の電極によく適している。
このような被覆カーボンナノチューブの被覆膜を容易に形成する方法として、カーボンナノチューブが配置された基板を加熱することで、この基板の材料を昇華させてカーボンナノチューブに付着させる発明が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、主として、基板がケイ素(Si)からなる例を想定して記載されており、また、ケイ素の他にチタンを用いてもよいことが記載されている。しかしながら、ケイ素基板にカーボンナノチューブを成長させることは容易であっても、チタン基板にカーボンナノチューブを成長させることは困難である。したがって、上記方法だと、基板がチタンからなる場合に、基板にカーボンナノチューブを直接成長させることができないので、製造時間を短くすることができない。
そこで、チタン基板にカーボンナノチューブを直接成長させず、ケイ素基板などカーボンナノチューブの成長に適した基板(成長用基板)にカーボンナノチューブを一旦成長させた上で、当該カーボンナノチューブをチタン基板に転写し、ホットプレスにより加熱して接着させるという方法が考えられる。しかしながら、この方法だと、チタン基板とカーボンナノチューブとの接着が悪くなるので、チタン被覆カーボンナノチューブの電気伝導性が低下する。さらに、上記方法だと、ホットプレスによる加熱が長時間に及ぶので、製造時間が長くなるだけでなく、チタンの相変態によりチタン基板が劣化するとともに、電気抵抗成分である炭化チタン(TiC)が生成する。なお、チタン基板が劣化すると、チタン被覆カーボンナノチューブの強度が低下し、また電気抵抗成分が生成すると、チタン被覆カーボンナノチューブの電気伝導性が低下する。
したがって、上記方法だと、製造されたチタン被覆カーボンナノチューブは、強度および電気伝導性が低下するので、電極に適しなくなるという問題もある。
そこで、本発明は、電極に適した金属被覆カーボンナノチューブを短時間で製造可能な金属被覆カーボンナノチューブの製造方法を提供することを目的とする。
そこで、本発明は、電極に適した金属被覆カーボンナノチューブを短時間で製造可能な金属被覆カーボンナノチューブの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る金属被覆カーボンナノチューブの製造方法は、金属基板に配置された垂直配向のカーボンナノチューブの周囲に金属被覆膜が形成されてなる金属被覆カーボンナノチューブの製造方法であって、
成長用基板に垂直配向のカーボンナノチューブを成長させ、
上記カーボンナノチューブの一端側を整面し、
上記カーボンナノチューブの整面された側を金属基板に配置し、
上記カーボンナノチューブが配置された金属基板を加熱することで、当該金属基板を融点以下で真空昇華させて上記カーボンナノチューブに付着させ、上記金属被覆膜を形成するものである。
成長用基板に垂直配向のカーボンナノチューブを成長させ、
上記カーボンナノチューブの一端側を整面し、
上記カーボンナノチューブの整面された側を金属基板に配置し、
上記カーボンナノチューブが配置された金属基板を加熱することで、当該金属基板を融点以下で真空昇華させて上記カーボンナノチューブに付着させ、上記金属被覆膜を形成するものである。
また、本発明の請求項2に係る金属被覆カーボンナノチューブの製造方法は、金属基板に配置された垂直配向のカーボンナノチューブの周囲に金属被覆膜が形成されてなる金属被覆カーボンナノチューブの製造方法であって、
成長用基板に垂直配向のカーボンナノチューブを成長させ、
上記カーボンナノチューブの一端側を整面し、
上記カーボンナノチューブの整面された側を金属基板に配置し、
金属供給板を、上記カーボンナノチューブに接触させず、上記カーボンナノチューブに対面させるように配置し、
上記カーボンナノチューブが配置された金属基板と、上記金属供給板とを加熱することで、当該金属基板および金属供給板の金属を融点以下で真空昇華させて上記カーボンナノチューブに付着させ、上記金属被覆膜を形成するものである。
成長用基板に垂直配向のカーボンナノチューブを成長させ、
上記カーボンナノチューブの一端側を整面し、
上記カーボンナノチューブの整面された側を金属基板に配置し、
金属供給板を、上記カーボンナノチューブに接触させず、上記カーボンナノチューブに対面させるように配置し、
上記カーボンナノチューブが配置された金属基板と、上記金属供給板とを加熱することで、当該金属基板および金属供給板の金属を融点以下で真空昇華させて上記カーボンナノチューブに付着させ、上記金属被覆膜を形成するものである。
さらに、本発明の請求項3に係る金属被覆カーボンナノチューブの製造方法は、請求項1または2に記載の金属被覆カーボンナノチューブにおいて、金属被覆膜が、金属基板と同じ成分の金属、金属基板と同じ成分の金属炭化物、金属基板と同じ成分の金属酸化物、またはこれらの組み合わせたものからなるものである。
また、本発明の請求項4に係る金属被覆カーボンナノチューブの製造方法は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の金属被覆カーボンナノチューブにおいて、カーボンナノチューブの整面された側を金属基板に配置する方法が、焼結法であるものである。
上記金属被覆カーボンナノチューブの製造方法によると、短時間で金属被覆カーボンナノチューブを製造することができるとともに、金属被覆カーボンナノチューブを電極に一層適した性能にすることができる。
以下、本発明の実施の形態に係る金属被覆カーボンナノチューブ(具体的にはチタン被覆カーボンナノチューブ)の製造方法について説明する。
まず、上記チタン被覆カーボンナノチューブの構成について図1に基づき説明する。
まず、上記チタン被覆カーボンナノチューブの構成について図1に基づき説明する。
図1に示すように、チタン被覆カーボンナノチューブ1は、基板TKに配置された垂直配向のカーボンナノチューブ2と、カーボンナノチューブ2の周囲に形成された被覆膜3とから構成される。上記カーボンナノチューブ2は、太さが数nm〜数百nmで、長さが数μm〜数mmである。上記基板TKおよび被覆膜3は、チタン(Ti)からなるので、以下ではそれぞれチタン基板TKおよびチタン被覆膜3という。このように、上記チタン被覆カーボンナノチューブ1は、チタン基板TKおよびチタン被覆膜3がいずれもチタンからなるので、高い電気伝導性を有する。
次に、上記チタン被覆カーボンナノチューブ1の概略的な製造方法について説明する。
この製造方法は、成長用基板SKに垂直配向のカーボンナノチューブ2を成長させる成長工程と、上記カーボンナノチューブ2の一端側を整面する整面工程と、上記カーボンナノチューブ2の整面された側をチタン基板TKに放電プラズマ焼結法で配置する配置工程と、上記チタン基板TKに配置されたカーボンナノチューブ2の周囲にチタン被覆膜3を形成する被覆工程とを具備する。特に、本発明の要旨は、電極に適したチタン被覆カーボンナノチューブ1を短時間で製造可能とするために、上記整面工程と配置工程とを組み合わせた点にある。
この製造方法は、成長用基板SKに垂直配向のカーボンナノチューブ2を成長させる成長工程と、上記カーボンナノチューブ2の一端側を整面する整面工程と、上記カーボンナノチューブ2の整面された側をチタン基板TKに放電プラズマ焼結法で配置する配置工程と、上記チタン基板TKに配置されたカーボンナノチューブ2の周囲にチタン被覆膜3を形成する被覆工程とを具備する。特に、本発明の要旨は、電極に適したチタン被覆カーボンナノチューブ1を短時間で製造可能とするために、上記整面工程と配置工程とを組み合わせた点にある。
特に、上記製造方法は、次のような第1〜第5の特徴を有する。
第1の特徴としては、
チタン基板に配置された垂直配向のカーボンナノチューブの周囲にチタン被覆膜が形成されてなるチタン被覆カーボンナノチューブの製造方法であって、
成長用基板に垂直配向のカーボンナノチューブを成長させ、
上記カーボンナノチューブの一端側を整面し、
上記カーボンナノチューブの整面された側をチタン基板に放電プラズマ焼結法で配置し、
上記カーボンナノチューブが配置されたチタン基板を加熱することで、当該チタン基板のチタンを融点以下で真空昇華させて上記カーボンナノチューブに付着させ、上記チタン被覆膜を形成するものである。
第1の特徴としては、
チタン基板に配置された垂直配向のカーボンナノチューブの周囲にチタン被覆膜が形成されてなるチタン被覆カーボンナノチューブの製造方法であって、
成長用基板に垂直配向のカーボンナノチューブを成長させ、
上記カーボンナノチューブの一端側を整面し、
上記カーボンナノチューブの整面された側をチタン基板に放電プラズマ焼結法で配置し、
上記カーボンナノチューブが配置されたチタン基板を加熱することで、当該チタン基板のチタンを融点以下で真空昇華させて上記カーボンナノチューブに付着させ、上記チタン被覆膜を形成するものである。
第2の特徴としては、
チタン基板に配置された垂直配向のカーボンナノチューブの周囲にチタン被覆膜が形成されてなるチタン被覆カーボンナノチューブの製造方法であって、
成長用基板に垂直配向のカーボンナノチューブを成長させ、
上記カーボンナノチューブの一端側を整面し、
上記カーボンナノチューブの整面された側をチタン基板に放電プラズマ焼結法で配置し、
チタン供給板を、上記カーボンナノチューブに対面させるように配置し、
上記カーボンナノチューブが配置されたチタン基板と、上記チタン供給板とを加熱することで、当該チタン基板およびチタン供給板のチタンを融点以下で真空昇華させて上記カーボンナノチューブに付着させ、上記チタン被覆膜を形成するものである。
チタン基板に配置された垂直配向のカーボンナノチューブの周囲にチタン被覆膜が形成されてなるチタン被覆カーボンナノチューブの製造方法であって、
成長用基板に垂直配向のカーボンナノチューブを成長させ、
上記カーボンナノチューブの一端側を整面し、
上記カーボンナノチューブの整面された側をチタン基板に放電プラズマ焼結法で配置し、
チタン供給板を、上記カーボンナノチューブに対面させるように配置し、
上記カーボンナノチューブが配置されたチタン基板と、上記チタン供給板とを加熱することで、当該チタン基板およびチタン供給板のチタンを融点以下で真空昇華させて上記カーボンナノチューブに付着させ、上記チタン被覆膜を形成するものである。
第3の特徴としては、
上記第1または第2の特徴として説明したチタン被覆カーボンナノチューブの製造方法において、カーボンナノチューブの整面される一端側が、当該カーボンナノチューブの先端側であるものである。
上記第1または第2の特徴として説明したチタン被覆カーボンナノチューブの製造方法において、カーボンナノチューブの整面される一端側が、当該カーボンナノチューブの先端側であるものである。
第4の特徴としては、
上記第1または第2の特徴として説明したチタン被覆カーボンナノチューブの製造方法において、カーボンナノチューブの整面される一端側が、当該カーボンナノチューブの基端側であるものである。
上記第1または第2の特徴として説明したチタン被覆カーボンナノチューブの製造方法において、カーボンナノチューブの整面される一端側が、当該カーボンナノチューブの基端側であるものである。
第5の特徴としては、
上記第1乃至第4のいずれか1つの特徴として説明したチタン被覆カーボンナノチューブの製造方法において、チタン被覆膜が、チタン、炭化チタン、酸化チタン、またはこれらを組み合わせたものからなるものである。
上記第1乃至第4のいずれか1つの特徴として説明したチタン被覆カーボンナノチューブの製造方法において、チタン被覆膜が、チタン、炭化チタン、酸化チタン、またはこれらを組み合わせたものからなるものである。
以下、上記実施の形態をより具体的に示した実施例に係るチタン被覆カーボンナノチューブ1の製造方法ついて説明する。
以下、本実施例1に係るチタン被覆カーボンナノチューブ1の製造方法について図2〜図7に基づき説明する。
[成長工程]
本実施例1に係る成長工程では、熱CVD法など公知の方法により、図2に示すように、成長用基板SKに垂直配向のカーボンナノチューブ2を成長させる。上記成長用基板SKは、垂直配向のカーボンナノチューブ2を成長させるのに適した基板であり、例えばケイ素(Si)からなるものである。本実施例1に係る垂直配向のカーボンナノチューブ2は、図3に示すように、後に整面工程で先端側が整面されるので、高さが均一でなくてもよい。
[成長工程]
本実施例1に係る成長工程では、熱CVD法など公知の方法により、図2に示すように、成長用基板SKに垂直配向のカーボンナノチューブ2を成長させる。上記成長用基板SKは、垂直配向のカーボンナノチューブ2を成長させるのに適した基板であり、例えばケイ素(Si)からなるものである。本実施例1に係る垂直配向のカーボンナノチューブ2は、図3に示すように、後に整面工程で先端側が整面されるので、高さが均一でなくてもよい。
[整面工程]
本実施例1に係る整面工程では、図3に示すように、成長用基板SKに成長させた垂直配向のカーボンナノチューブ2の高さが均一になるように、当該カーボンナノチューブ2の先端側をカッターCなどで切断する。これにより、垂直配向のカーボンナノチューブ2は、丸みを帯びた先端部分(キャップともいう)が成長用基板SKと平行に切り落とされ、先端が平面状になる。なお、整面工程では、垂直配向のカーボンナノチューブ2の高さが均一になるのであれば、上記切断に限定されるものではなく、レーザー照射または大気加熱などで、カーボンナノチューブ2の先端側を焼き飛ばしてもよい。上記レーザー照射は、垂直配向の個々のカーボンナノチューブ2と平行のレーザーを当該カーボンナノチューブ2の先端から照射して、レーザーが照射された部分からカーボンナノチューブ2を焼き飛ばす方法である。また、上記大気加熱は、カーボンナノチューブ2を大気中(酸素雰囲気下であればよい)で400〜600℃に加熱して、カーボンナノチューブ2の脆く酸化しやすい先端部を焼き飛ばす方法である。
本実施例1に係る整面工程では、図3に示すように、成長用基板SKに成長させた垂直配向のカーボンナノチューブ2の高さが均一になるように、当該カーボンナノチューブ2の先端側をカッターCなどで切断する。これにより、垂直配向のカーボンナノチューブ2は、丸みを帯びた先端部分(キャップともいう)が成長用基板SKと平行に切り落とされ、先端が平面状になる。なお、整面工程では、垂直配向のカーボンナノチューブ2の高さが均一になるのであれば、上記切断に限定されるものではなく、レーザー照射または大気加熱などで、カーボンナノチューブ2の先端側を焼き飛ばしてもよい。上記レーザー照射は、垂直配向の個々のカーボンナノチューブ2と平行のレーザーを当該カーボンナノチューブ2の先端から照射して、レーザーが照射された部分からカーボンナノチューブ2を焼き飛ばす方法である。また、上記大気加熱は、カーボンナノチューブ2を大気中(酸素雰囲気下であればよい)で400〜600℃に加熱して、カーボンナノチューブ2の脆く酸化しやすい先端部を焼き飛ばす方法である。
[配置工程]
本実施例1に係る配置工程では、図4に示すように、垂直配向のカーボンナノチューブ2から成長用基板SKを剥離し、図5に示すように、カーボンナノチューブ2の整面された側をチタン基板TKに載置する。その後、図6に示すように、放電プラズマ焼結法により、カーボンナノチューブ2をチタン基板TKに接着させる。すなわち、カーボンナノチューブ2の整面された側をチタン基板TKに載置して接着させる作業が、カーボンナノチューブ2を基板に配置する作業となる。
本実施例1に係る配置工程では、図4に示すように、垂直配向のカーボンナノチューブ2から成長用基板SKを剥離し、図5に示すように、カーボンナノチューブ2の整面された側をチタン基板TKに載置する。その後、図6に示すように、放電プラズマ焼結法により、カーボンナノチューブ2をチタン基板TKに接着させる。すなわち、カーボンナノチューブ2の整面された側をチタン基板TKに載置して接着させる作業が、カーボンナノチューブ2を基板に配置する作業となる。
上記放電プラズマ焼結法では、真空雰囲気下で、カーボンナノチューブ2の上面側とチタン基板TKの下面側とからパンチGで挟み込んで加圧Pおよび通電E(+−)する。チタン基板TKに載置されたカーボンナノチューブ2は、この通電E(+−)、つまり直流パルス電圧の印加により加熱される。この加熱は、ホットプレス法のような外部の熱源から時間をかけてするものとは異なり、短時間でチタン基板TKとカーボンナノチューブ2とを接着するとともに、チタン基板TKとカーボンナノチューブ2との化学反応を抑制する。また、チタン基板TKは、加熱される時間が短くなるので、チタンの相変態による劣化が抑制される。上記放電プラズマ焼結法の条件は、例えば、上記真空雰囲気下が5Paであり、上記加圧Pが20MPaであり、上記通電Eにより加熱される温度が900℃であり、この温度で保持される時間が5分である。
[被覆工程]
本実施例1に係る被覆工程では、図7(a)に示すように、カーボンナノチューブ2側が上面となるようにし、次に上記基板Kの周囲にスペーサSを配置し、さらにスペーサSにチタン供給板Mを載置して上記カーボンナノチューブ2に対面させるように配置する。上記スペーサSおよび/またはチタン供給板Mは、チタンからなる。ここで、チタン供給板Mの下面とカーボンナノチューブ2の上端面との距離sは、短いほど好ましい。また、チタン供給板Mの下面とカーボンナノチューブ2の上端面とが平行に近いほど好ましい。
本実施例1に係る被覆工程では、図7(a)に示すように、カーボンナノチューブ2側が上面となるようにし、次に上記基板Kの周囲にスペーサSを配置し、さらにスペーサSにチタン供給板Mを載置して上記カーボンナノチューブ2に対面させるように配置する。上記スペーサSおよび/またはチタン供給板Mは、チタンからなる。ここで、チタン供給板Mの下面とカーボンナノチューブ2の上端面との距離sは、短いほど好ましい。また、チタン供給板Mの下面とカーボンナノチューブ2の上端面とが平行に近いほど好ましい。
次に、上記チタン基板TKに配置されたカーボンナノチューブ2、スペーサSおよびチタン供給板Mを、真空雰囲気下(10−2Pa以下)で加熱する。なお、加熱温度は基板Kおよびチタン供給板Mの融点以下(900〜1600℃)で、加熱時間はチタン被覆膜3の所望厚さに依存する(10分〜10時間程度)。図7(b)に示すように、加熱されたチタン基板TKからチタンが昇華し、昇華したチタンはカーボンナノチューブ2に下側(チタン基板TK側)から付着する。一方、加熱されたチタン供給板Mからチタンが昇華し、カーボンナノチューブ2に上側(チタン基板TKの反対側)から付着する。なお、チタン供給板Mの下面(カーボンナノチューブ2の上端面に対面する側)において、カーボンナノチューブ2の直上方の範囲Mrから優先的にチタンが昇華する。こうして、図7(c)に示すように、カーボンナノチューブ2に付着した材料により、チタン被覆膜3が形成される。
このように、上記実施例1に係るチタン被覆カーボンナノチューブ1の製造方法によると、成長工程に要する時間が短くなるとともに、配置工程でチタン基板TKとカーボンナノチューブ2とが短時間で接着されるので、短時間でチタン被覆カーボンナノチューブ1を製造することができる。
また、配置工程でチタン基板TKとカーボンナノチューブ2との化学反応が抑制され、つまり電気抵抗成分である炭化チタン(TiC)の生成が抑制されるので、チタン被覆カーボンナノチューブ1の電気伝導性が向上する。さらに、配置工程でカーボンナノチューブ2の整面された側をチタン基板TKに載置して接着させるので、カーボンナノチューブ2とチタン基板TKとの接着が良く、チタン被覆カーボンナノチューブ1の電気伝導性がより向上する。一方、配置工程でチタン基板TKの劣化が抑制されるので、チタン基板TK自体の機械的強度の低下を抑制する。このように、チタン被覆カーボンナノチューブ1の電気伝導性および強度が向上するので、チタン被覆カーボンナノチューブ1を電極に一層適した性能にすることができる。
以下、本実施例2に係るチタン被覆カーボンナノチューブ1の製造方法について図8および図9に基づき説明する。
整面工程において、上記実施例1では、カーボンナノチューブ2の先端側を整面すると説明したが、本実施例2では、カーボンナノチューブ2の基端側(成長用基板SK側)を整面するものである。
整面工程において、上記実施例1では、カーボンナノチューブ2の先端側を整面すると説明したが、本実施例2では、カーボンナノチューブ2の基端側(成長用基板SK側)を整面するものである。
以下、本実施例2に係るチタン被覆カーボンナノチューブ1の製造方法について図8および図9に基づき説明するが、上記実施例1と異なる構成に着目して説明するとともに、上記実施例1と同一の構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
[整面工程]
本実施例2に係る整面工程では、図8に示すように、カーボンナノチューブ2の基端側を整面する。これにより、カーボンナノチューブ2の一端側(基端側)が整面されるだけでなく、カーボンナノチューブ2から成長用基板SKが分離するので、配置工程でカーボンナノチューブ2から成長用基板SKを剥離する作業が不要になる。
本実施例2に係る整面工程では、図8に示すように、カーボンナノチューブ2の基端側を整面する。これにより、カーボンナノチューブ2の一端側(基端側)が整面されるだけでなく、カーボンナノチューブ2から成長用基板SKが分離するので、配置工程でカーボンナノチューブ2から成長用基板SKを剥離する作業が不要になる。
[配置工程]
本実施例2に係る配置工程では、上記実施例1と同様に、カーボンナノチューブ2の整面された側をチタン基板TKに載置する。しかし、カーボンナノチューブ2の整面された側は、上記実施例1だと先端側であるのに対し、本実施例2だと基端側である。このため、チタン基板TKに載置するのは、上記実施例1だと、カーボンナノチューブ2の先端側であるのに対し、本実施例2だと、図9に示すように、カーボンナノチューブ2の基端側である。これ以外の配置工程における作業は、上記実施例1と同様である。
本実施例2に係る配置工程では、上記実施例1と同様に、カーボンナノチューブ2の整面された側をチタン基板TKに載置する。しかし、カーボンナノチューブ2の整面された側は、上記実施例1だと先端側であるのに対し、本実施例2だと基端側である。このため、チタン基板TKに載置するのは、上記実施例1だと、カーボンナノチューブ2の先端側であるのに対し、本実施例2だと、図9に示すように、カーボンナノチューブ2の基端側である。これ以外の配置工程における作業は、上記実施例1と同様である。
このように、本実施例2に係るチタン被覆カーボンナノチューブ1の製造方法によると、上記実施例1の効果も奏する上に、配置工程でカーボンナノチューブ2から成長用基板SKを剥離する作業が不要になるので、より短時間でチタン被覆カーボンナノチューブ1を製造することができる。
ところで、上記実施例1および2では、整面工程で詳しく説明しなかったが、カーボンナノチューブ2から成長用基板SKの剥離または分離によりカーボンナノチューブ2の垂直配向が崩れるのであれば、これを防止するためにも、整面工程の直前にカーボンナノチューブ2を樹脂で固定してもよい。この樹脂は上記放電プラズマ焼結法により真空雰囲気下で加熱されて焼き飛ばされるので、カーボンナノチューブ2から上記樹脂を除去する作業に時間を要しない。
また、上記実施の形態では、チタン基板TK、チタン被覆膜3およびチタン供給板Mがチタンからなるとして説明したが、チタン系材料(例えば、チタン、チタン炭化物、チタン酸化物、またはこれらを組み合わせたもの)からなるものでもよく、カーボンナノチューブを直接成長させることが困難な金属であればよい。
TK チタン基板
SK 成長用基板
M チタン供給板
S スペーサ
1 チタン被覆カーボンナノチューブ
2 カーボンナノチューブ
3 チタン被覆膜
SK 成長用基板
M チタン供給板
S スペーサ
1 チタン被覆カーボンナノチューブ
2 カーボンナノチューブ
3 チタン被覆膜
Claims (4)
- 金属基板に配置された垂直配向のカーボンナノチューブの周囲に金属被覆膜が形成されてなる金属被覆カーボンナノチューブの製造方法であって、
成長用基板に垂直配向のカーボンナノチューブを成長させ、
上記カーボンナノチューブの一端側を整面し、
上記カーボンナノチューブの整面された側を金属基板に配置し、
上記カーボンナノチューブが配置された金属基板を加熱することで、当該金属基板を融点以下で真空昇華させて上記カーボンナノチューブに付着させ、上記金属被覆膜を形成することを特徴とする金属被覆カーボンナノチューブの製造方法。 - 金属基板に配置された垂直配向のカーボンナノチューブの周囲に金属被覆膜が形成されてなる金属被覆カーボンナノチューブの製造方法であって、
成長用基板に垂直配向のカーボンナノチューブを成長させ、
上記カーボンナノチューブの一端側を整面し、
上記カーボンナノチューブの整面された側を金属基板に配置し、
金属供給板を、上記カーボンナノチューブに接触させず、上記カーボンナノチューブに対面させるように配置し、
上記カーボンナノチューブが配置された金属基板と、上記金属供給板とを加熱することで、当該金属基板および金属供給板の金属を融点以下で真空昇華させて上記カーボンナノチューブに付着させ、上記金属被覆膜を形成することを特徴とする金属被覆カーボンナノチューブの製造方法。 - 金属被覆膜が、金属基板と同じ成分の金属、金属基板と同じ成分の金属炭化物、金属基板と同じ成分の金属酸化物、またはこれらの組み合わせたものからなることを特徴とする請求項1または2に記載の金属被覆カーボンナノチューブの製造方法。
- カーボンナノチューブの整面された側を金属基板に配置する方法が、焼結法であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の金属被覆カーボンナノチューブの製造方法。
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JP2019139975A (ja) * | 2018-02-09 | 2019-08-22 | 株式会社アルバック | リチウム硫黄二次電池用正極の形成方法、リチウム硫黄二次電池用正極 |
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2014
- 2014-03-12 JP JP2014048262A patent/JP2015171967A/ja active Pending
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