JP2015166603A - 変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造コストを低減することができる変速機を提供する。
【解決手段】入力軸111と、入力軸111と並行に設けられた第一出力軸121と、入力軸111と並行に設けられた第二出力軸122と、入力軸111に設けられた複数のドライブギヤ132〜134と、第一出力軸121に設けられ、複数のドライブギヤ132〜134とそれぞれ噛合する複数の第一出力軸側ドリブンギヤ142、144、146と、第二出力軸122に設けられ、複数のドライブギヤ132〜134とそれぞれ噛合する複数の第二出力軸側ドリブンギヤ143、145、147と、を有し、入力軸111と第一出力軸121の軸間距離aと、入力軸111と第二出力軸122の軸間距離が同一に構成されている。
【選択図】図1
【解決手段】入力軸111と、入力軸111と並行に設けられた第一出力軸121と、入力軸111と並行に設けられた第二出力軸122と、入力軸111に設けられた複数のドライブギヤ132〜134と、第一出力軸121に設けられ、複数のドライブギヤ132〜134とそれぞれ噛合する複数の第一出力軸側ドリブンギヤ142、144、146と、第二出力軸122に設けられ、複数のドライブギヤ132〜134とそれぞれ噛合する複数の第二出力軸側ドリブンギヤ143、145、147と、を有し、入力軸111と第一出力軸121の軸間距離aと、入力軸111と第二出力軸122の軸間距離が同一に構成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、入力軸の回転を複数段に変速して出力軸に伝達する変速機に関するものである。
従来から、特許文献1に示されるように、入力軸と並行に2つの出力軸を設け、入力軸に設けられたドライブギヤが、2つの出力軸のそれぞれに設けられたドリブンギヤの両方と噛合している構成の変速機がある。このような変速機は、出力軸が1つの構成と比較して、軸方向の寸法を抑えることができるので、多段化が容易である。
しかしながら、変速機が多段化されると、ドリブンギヤの種類が増えてしまい、変速機の製造コストが上昇してしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、製造コストを低減することができる変速機を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するためになされた、請求項1に係る変速機の発明は、原動機の駆動力が入力される入力軸と、前記入力軸に対して並行に設けられた第一出力軸と、前記入力軸に対して並行に設けられた第二出力軸と、前記入力軸に対して相対回転不能に、前記入力軸に設けられた複数のドライブギヤと、前記第一出力軸に対して相対回転可能に、前記第一出力軸に設けられ、前記複数のドライブギヤとそれぞれ噛合する複数の第一出力軸側ドリブンギヤと、前記第二出力軸に対して相対回転可能に、前記第二出力軸に設けられ、前記複数のドライブギヤとそれぞれ噛合する複数の第二出力軸側ドリブンギヤと、を有し、前記入力軸と前記第一出力軸の軸間距離と、前記入力軸と前記第二出力軸の軸間距離が同一に構成されている。
このように、本発明の変速機では、入力軸と第一出力軸の軸間距離と、入力軸と第二出力軸の軸間距離が同一である。このため、第一出力軸側ドリブンギヤと、当該第一出力軸側ドリブンギヤが噛合しているドライブギヤと噛合する第二出力軸側ドリブンギヤとを同一の部品にすることができる。このため、ドリブンギヤの種類を低減することができ、変速機の製造コストを低減することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記複数の第一出力軸側ドリブンギヤは、変速機の偶数段を形成し、前記複数の第二出力軸側ドリブンギヤは、変速機の奇数段を形成し、車輪に回転連結された最終ギヤと、前記第一出力軸に設けられ、前記最終ギヤと噛合する第一出力ギヤと、前記第二出力軸に設けられ、前記最終ギヤと噛合する第二出力ギヤと、を有し、前記最終ギヤの歯数を前記第一出力ギヤの歯数によって除した値を第一最終減速比とし、前記第一最終減速比と異なる値であり、前記最終ギヤの歯数を前記第二出力ギヤの歯数によって除した値を第二最終減速比とし、前記第一最終減速比と前記第二最終減速比のうち大きい方の減速比を小さい方の減速比によって除した値を第一比とし、前記複数のドライブギヤのうちいずれか一つの前記ドライブギヤを低速段側ドライブギヤとし、前記複数のドライブギヤのうち前記低速段側ドライブギヤよりも次に歯数が多い前記ドライブギヤを高速段側ドライブギヤとし、前記低速段側ドライブギヤと噛合している前記第一出力軸側ドリブンギヤ又は前記第二出力軸側ドリブンギヤの歯数を前記低速段側ドライブギヤの歯数によって除した値を低速段側減速比とし、前記高速段側ドライブギヤと噛合している前記第一出力軸側ドリブンギヤ又は前記第二出力軸側ドリブンギヤの歯数を前記高速段側ドライブギヤの歯数によって除した値を高速段側減速比とし、前記低速段側減速比を前記高速段側減速比によって除した値を第二比とし、前記第一比の二乗値が前記第二比と殆ど同じに設定されている。
このように、第一比の二乗値が第二比と殆ど同じに設定されているので、各変速段のステップ比が殆ど同一となる。このため、原動機から出力された駆動トルクが、変速機において適正な駆動トルクに変換されて、車輪に出力される。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記第二出力軸に対して相対回転可能に、前記第二出力軸に設けられ、前記第一出力軸側ドリブンギヤと噛合するリバースアイドラーギヤ又は、前記第一出力軸に対して相対回転可能に、前記第一出力軸に設けられ、前記第二出力軸側ドリブンギヤと噛合するリバースアイドラーギヤを有する。
このように、リバース段を形成するリバースアイドラーギヤは第二出力軸又は第一出力軸に設けられている。このため、リバースアイドラーギヤを軸支する専用の軸を設ける必要が無く、変速機の大型化が防止される。
請求項4に係る発明は、請求項1〜請求項3に記載の発明において、前記複数の第一出力軸側ドリブンギヤ及び前記複数の第二出力軸側ドリブンギヤのうちいずれか一つは、変速機の1速を形成する1速ドリブンギヤであり、前記1速ドリブンギヤが設けられている軸に設けられている第一出力軸側ドリブンギヤ又は前記複数の第二出力軸側ドリブンギヤのうち、前記1速ドリブンギヤは、軸線方向に関して前記入力軸において前記駆動力が入力される側に設けられている。
一般的に、変速機の筐体は、原動機やクラッチが取り付く部分、つまり、軸線方向に関して入力軸において駆動力が入力される側が径方向に大きい。上記のとおり、ギヤ径の大きい1速ドリブンギヤは、軸線方向に関して入力軸において駆動力が入力される側、つまり、変速機の筐体が径方向に大きい部分に設けられているので、軸線方向に関して入力軸において駆動力が入力される側と反対側の筐体の大型化が防止される。このため、軸線方向に関して入力軸において駆動力が入力される側と反対側の筐体の外周側に、補機等の機器を配置することができ、当該部分を有効に使用することができる。
(車両の構成)
図1に基づき、本実施形態の変速機100が搭載された車両1について説明する。図1に示すように、車両1は、エンジン2、クラッチ3、制御部5、デファレンシャル8、車輪9、変速機100を有している。
図1に基づき、本実施形態の変速機100が搭載された車両1について説明する。図1に示すように、車両1は、エンジン2、クラッチ3、制御部5、デファレンシャル8、車輪9、変速機100を有している。
エンジン2は、ガソリンや軽油等の炭化水素系燃料を使用するガソリンエンジンやディーゼルエンジン等である。クラッチ3は、エンジン2の駆動軸21と変速機100の入力軸111との間に設けられている。クラッチ3は、駆動軸21と入力軸111を接続又は切断するものである。クラッチ3は、制御部5によって制御されるクラッチアクチュエータ31によって、接続状態又は切断状態にされる。
変速機100は、入力軸111の回転速度をデファレンシャル8のリングギヤ8aの回転速度によって除した変速比が異なる複数の変速段のうち1の変速段を形成して、変速比を変化させて変速を実行する有段変速機である。この変速機100の構造については、後で詳細に説明する。
一対の車輪9は、一対のドライブシャフト7を介して、デファレンシャル8に連結されている。デファレンシャル8は、一対の車輪9の差動を吸収するものである。デファレンシャル8は、後述する第一出力ギヤ151及び第二出力ギヤ152と噛合し、回転駆動力が入力されるリングギヤ8a(最終ギヤ)を有している。このような構成によって、デファレンシャル8のリングギヤ8aは、車輪9に回転連結されている。制御部5は、変速機100を制御するものである。
(変速機の構成)
変速機100は、入力軸111、第一出力軸121、第二出力軸122、第一ドライブギヤ131〜第四ドライブギヤ134、第一ドリブンギヤ141〜第七ドリブンギヤ147、リバースアイドラーギヤ148、第一出力ギヤ151、第二出力ギヤ152、第一連結機構T1〜第四連結機構T4を有する。
変速機100は、入力軸111、第一出力軸121、第二出力軸122、第一ドライブギヤ131〜第四ドライブギヤ134、第一ドリブンギヤ141〜第七ドリブンギヤ147、リバースアイドラーギヤ148、第一出力ギヤ151、第二出力ギヤ152、第一連結機構T1〜第四連結機構T4を有する。
入力軸111は、変速機100の筐体(不図示)に回転可能に支承されている。入力軸111には、クラッチ3を介してエンジン2の駆動力が入力される。なお、軸線方向に関して入力軸111において駆動力が入力される側を変速機100の前方とし、これと反対側を変速機100の後方とする。
図1〜図3に示すように、第一出力軸121及び第二出力軸122は、入力軸111に対して並行に、変速機100の筐体に回転可能に支承されている。図1や図2に示すように、入力軸111と第一出力軸121の軸間距離aと、入力軸111と第二出力軸122の軸間距離bは、等しくなっている。
第一ドライブギヤ131〜第四ドライブギヤ134は、入力軸111に対して相対回転不能に、入力軸111に設けられた固定ギヤである。第一ドライブギヤ131〜第四ドライブギヤ134の順にギヤ径が大きくなっていて、歯数が多くなっている。
第一ドリブンギヤ141、第二ドリブンギヤ142、第四ドリブンギヤ144、及び第六ドリブンギヤ146は、第一出力軸121に対して遊転可能に、第一出力軸121に設けられた遊転ギヤである。なお、第一ドリブンギヤ141は、第一出力軸121の前方に設けられ、第二ドリブンギヤ142、第四ドリブンギヤ144、及び第六ドリブンギヤ146は、第一ドリブンギヤ141の後方に設けられている。
第三ドリブンギヤ、第五ドリブンギヤ145、第七ドリブンギヤ147は、及びリバースアイドラーギヤ148は、第二出力軸122に対して遊転可能に、第二出力軸122に設けられた遊転ギヤである。
第一ドライブギヤ131は、第一ドリブンギヤ141と噛合している。第二ドライブギヤ132は、第二ドリブンギヤ142と第三ドリブンギヤ143の両方と噛合している。第三ドライブギヤ133は、第四ドリブンギヤ144と第五ドリブンギヤ145の両方と噛合している。第四ドライブギヤ134は、第六ドリブンギヤ146と第七ドリブンギヤ147の両方と噛合している。
第一ドリブンギヤ141、第二ドリブンギヤ142、第四ドリブンギヤ144、第六ドリブンギヤ146の順に、ギヤ径が小さくなっていて、歯数が少なくなっている。第三ドリブンギヤ143、第五ドリブンギヤ145、第七ドリブンギヤ147の順に、ギヤ径が小さくなっていて、歯数が少なくなっている。
上述したように、軸間距離aと軸間距離bは等しいので、第二ドリブンギヤ142と第三ドリブンギヤ143のギヤ径(歯数)は、同一となっている。同様に、第四ドリブンギヤ144と第五ドリブンギヤ145のギヤ径(歯数)は、同一となっている。同様に、第六ドリブンギヤ146と第七ドリブンギヤ147のギヤ径(歯数)は、同一となっている。本実施形態では、第二ドリブンギヤ142と第三ドリブンギヤ143、第四ドリブンギヤ144と第五ドリブンギヤ145、第六ドリブンギヤ146と第七ドリブンギヤ147は、それぞれ、同一部品となっている。
第一出力ギヤ151は、第一出力軸121に相対回転不能に設けられている。第二出力ギヤ152は、第二出力軸122に相対回転不能に設けられている。図2に示すように、第一出力ギヤ151と第二出力ギヤ152はデファレンシャル8のリングギヤ8aと噛合している。このような構成によって、第一出力ギヤ151及び第二出力ギヤ152は、車輪9に回転連結されている。図3に示すように、リバースアイドラーギヤ148と第一ドリブンギヤ141は、噛合している。
第一連結機構T1は、第一ドリブンギヤ141を第一出力軸121に相対回転不能に連結し、第二ドリブンギヤ142を第一出力軸121に相対回転不能に連結するものである。第一連結機構T1は、第一ドリブンギヤ141と第二ドリブンギヤ142の間に設けられている。第一連結機構T1は、第一ハブH1、第一係合部材E1、第二係合部材E2、第一スリーブS1、及び第一シフトフォークF1を有している。
第一ハブH1は、第一出力軸121に相対回転不能に設けられている。第一係合部材E1は、第一ドリブンギヤ141に固定されている部材である。第二係合部材E2は、第二ドリブンギヤ142に固定されている部材である。第一スリーブS1は、第一ハブH1の外周に軸方向移動自在にスプライン嵌合されている。第一スリーブS1は、第一係合部材E1と第二係合部材E2とそれぞれ係合する。
第一連結機構T1の第一スリーブS1は、図1に示す「中立位置」(図4のN)では第一係合部材E1及び第二係合部材E2のいずれにも係合されていない。第一スリーブS1の外周には、第一シフトフォークF1が係合している。
第一シフトフォークF1により第一スリーブS1が第一ドリブンギヤ141側に移動されれば、第一スリーブS1が第一係合部材E1と係合し、第一ドリブンギヤ141が第一出力軸121に相対回転不能に連結される。第一シフトフォークF1により第一スリーブS1が第二ドリブンギヤ142側にシフトされれば、第一スリーブS1が第二係合部材E2と係合し、第二ドリブンギヤ142が第一出力軸121に相対回転不能に連結される。
第二連結機構T2は、第四ドリブンギヤ144を第一出力軸121に相対回転不能に連結し、第六ドリブンギヤ146を第一出力軸121に相対回転不能に連結するものである。第二連結機構T2は、第四ドリブンギヤ144と第六ドリブンギヤ146の間に設けられている。第二連結機構T2は、第二ハブH2、第四係合部材E4、第六係合部材E6、第二スリーブS2、第二シフトフォークF2を有している。第二連結機構T2は、第二ハブH2が第四ドリブンギヤ144と第六ドリブンギヤ146の間の第一出力軸121に固定され、第四係合部材E4が第四ドリブンギヤ144に固定され、第六係合部材E6が第六ドリブンギヤ146に固定されている点が、第一連結機構T1と異なっているだけである。
第二シフトフォークF2により第二スリーブS2が第四係合部材E4側に移動されれば、第四ドリブンギヤ144が第一出力軸121に相対回転不能に連結される。第二シフトフォークF2により第二スリーブS2が第六係合部材E6側に移動されれば、第六ドリブンギヤ146が第一出力軸121に相対回転不能に連結される。
第三連結機構T3は、リバースアイドラーギヤ148を第二出力軸122に相対回転不能に連結し、第三ドリブンギヤ143を第二出力軸122に相対回転不能に連結するものである。第三連結機構T3は、リバースアイドラーギヤ148と第三ドリブンギヤ143の間に設けられている。第三連結機構T3は、第三ハブH3、リバース係合部材ER、第三係合部材E3、第三スリーブS3、及び第三シフトフォークF3を有している。第三連結機構T3は、第三ハブH3がリバースアイドラーギヤ148と第三ドリブンギヤ143の間の第二出力軸122に固定され、リバース係合部材ERがリバースアイドラーギヤ148に固定され、第三係合部材E3が第三ドリブンギヤ143に固定されている点が、第一連結機構T1と異なっているだけである。
第三シフトフォークF3により第三スリーブS3がリバース係合部材ER側に移動されれば、リバースアイドラーギヤ148が第二出力軸122に相対回転不能に連結される。第三シフトフォークF3により第三スリーブS3が第三係合部材E3側に移動されれば、第三ドリブンギヤ143が第二出力軸122に相対回転不能に連結される。
第四連結機構T4は、第五ドリブンギヤ145を第二出力軸122に相対回転不能に連結し、第七ドリブンギヤ147を第二出力軸122に相対回転不能に連結するものである。第四連結機構T4は、第五ドリブンギヤ145と第七ドリブンギヤ147の間に設けられている。第四連結機構T4は、第四ハブH4、第五係合部材E5、第七係合部材E7、第四スリーブS4、第四シフトフォークF4を有している。第四連結機構T4は、第四ハブH4が第五ドリブンギヤ145と第七ドリブンギヤ147の間の第二出力軸122に固定され、第五係合部材E5が第五ドリブンギヤ145に固定され、第七係合部材E7が第七ドリブンギヤ147に固定されている点が、第一連結機構T1と異なっているだけである。
第四シフトフォークF4により第四スリーブS4が第五係合部材E5側に移動されれば、第五ドリブンギヤ145が第二出力軸122に相対回転不能に連結される。第四シフトフォークF4により第四スリーブS4が第七係合部材E7側に移動されれば、第七ドリブンギヤ147が第二出力軸122に相対回転不能に連結される。
なお、上述した第一連結機構T1〜第四連結機構T4には、シンクロナイザリングを備えたシンクロナイザ機構と、シンクロナイザリングを有さないドグクラッチの両方が含まれる。
変速機100は、制御部5の指令に基づいて、第一シフトフォークF1〜第四シフトフォークを移動させるシフトアクチュエータ(不図示)を備えている。制御部5は、図4に示す係合表に従って、シフトアクチュエータを駆動させて、各変速段を形成する。
なお、第三連結機構T3によって、リバースアイドラーギヤ148が第二出力軸122に連結されて、リバース段が形成されると、エンジン2からの回転駆動力が、入力軸111、第一ドライブギヤ131、第一ドリブンギヤ141、リバースアイドラーギヤ148、第二出力軸122、第二出力ギヤ152、リングギヤ8aの順に伝達されて、回転駆動力が逆転される。
(減速比及び最終減速比)
本実施形態の変速機100の各変速段の「減速比」、「総減速比」、第一最終減速比Rf1、第二最終減速比Rf2は、図5の表に示すように設定されている。
ここで、「減速比」とは、ドリブンギヤ141〜147の歯数を、当該ドリブンギヤ141〜147と噛合しているドライブギヤ131〜134の歯数によって除した値である。
第一最終減速比Rf1とは、リングギヤ8aの歯数を、第一出力ギヤ151の歯数によって除した値である。
第二最終減速比Rf2とは、リングギヤ8aの歯数を、第二出力ギヤ152の歯数によって除した値である。
「総減速比」とは、「減速比」と第一最終減速比Rf1を乗算した値、又は「減速比」と第二最終減速比Rf2を乗算した値である。
本実施形態の変速機100の各変速段の「減速比」、「総減速比」、第一最終減速比Rf1、第二最終減速比Rf2は、図5の表に示すように設定されている。
ここで、「減速比」とは、ドリブンギヤ141〜147の歯数を、当該ドリブンギヤ141〜147と噛合しているドライブギヤ131〜134の歯数によって除した値である。
第一最終減速比Rf1とは、リングギヤ8aの歯数を、第一出力ギヤ151の歯数によって除した値である。
第二最終減速比Rf2とは、リングギヤ8aの歯数を、第二出力ギヤ152の歯数によって除した値である。
「総減速比」とは、「減速比」と第一最終減速比Rf1を乗算した値、又は「減速比」と第二最終減速比Rf2を乗算した値である。
本実施形態の変速機100では、図6に示すように、1速と2速の関係を除いて、2速から7速に関して、各変速段間のステップ比(低速段側総減速比/高速段側総減速比)が殆ど同一となっている。以下に、2速から7速に関して、各変速段間のステップ比が殆ど同一となるような各「減速比」と第一最終減速比Rf1、第二最終減速比Rf2の設定方法について説明する。
まず、第一比Aを、下式(1)のように設定する。
A=Rf1/Rf2…(1)
A:第一比
Rf1:第一最終減速比
Rf2:第二最終減速比
Rf1>Rf2
A=Rf1/Rf2…(1)
A:第一比
Rf1:第一最終減速比
Rf2:第二最終減速比
Rf1>Rf2
同一の値である2速の減速比R2と3速の減速比R3を、第一減速比R1stとする。同一の値である4速の減速比R4と5速の減速比R5を、第二減速比R2ndとする。同一の値である6速の減速比R6と7速の減速比R7を、第三減速比R3rdとする。
第二比Bを、下式(2)のように設定する。
B=低速段側減速比/高速段側減速比=R1st/R2nd=R2nd/R3rd…(2)
B:第二比
R1st:第一減速比(低速段側減速比)
R2nd:第二減速比(高速段側減速比(第一減速比が低速段側減速比の場合)、低速段側減速比(第三減速比が高速段側減速比の場合))
R3rd:第三減速比(高速段側減速比)
B=低速段側減速比/高速段側減速比=R1st/R2nd=R2nd/R3rd…(2)
B:第二比
R1st:第一減速比(低速段側減速比)
R2nd:第二減速比(高速段側減速比(第一減速比が低速段側減速比の場合)、低速段側減速比(第三減速比が高速段側減速比の場合))
R3rd:第三減速比(高速段側減速比)
本実施形態の変速機100では、第一比Aと第二比Bが、下式(3)となるように設定されている。
A2≒B…(3)
すると、上式(1)〜(3)により、第一最終減速比Rf1及び第二最終減速比Rf2は、下式(4)の関係となり、下式(5)の関係となる。
(Rf1/Rf2)2≒R1st/R2nd≒R2nd/R3rd
Rf1/Rf2≒√(R1st/R2nd)≒√(R2nd/R3rd)…(4)
A2≒B…(3)
すると、上式(1)〜(3)により、第一最終減速比Rf1及び第二最終減速比Rf2は、下式(4)の関係となり、下式(5)の関係となる。
(Rf1/Rf2)2≒R1st/R2nd≒R2nd/R3rd
Rf1/Rf2≒√(R1st/R2nd)≒√(R2nd/R3rd)…(4)
このように、第一減速比R1st〜第三減速比R3rd、第一最終減速比Rf1、及び第二最終減速比Rf2を設定することにより、図6に示すように、2速から7速に関して、各変速段間のステップ比が殆ど同一となる。
なお、1速に関しては、車両1の登坂性能を確保するために、1速の減速比R1が大きく設定されている。
(本実施形態の効果)
以上の説明から明らかなように、入力軸111と第一出力軸121の軸間距離aと、入力軸111と第二出力軸122の軸間距離bが同一である。このため、第一出力軸121に設けられているドリブンギヤ142、144、146(第一出力軸側ドリブンギヤ)と、当該第一出力軸側ドリブンギヤが噛合しているドライブギヤ132、133、134と噛合する第二出力軸122に設けられているドリブンギヤ143、145、147(第二出力軸側ドリブンギヤ)とを同一の部品にすることができる。このため、ドリブンギヤの種類を低減することができ、変速機の製造コストを低減することができる。
以上の説明から明らかなように、入力軸111と第一出力軸121の軸間距離aと、入力軸111と第二出力軸122の軸間距離bが同一である。このため、第一出力軸121に設けられているドリブンギヤ142、144、146(第一出力軸側ドリブンギヤ)と、当該第一出力軸側ドリブンギヤが噛合しているドライブギヤ132、133、134と噛合する第二出力軸122に設けられているドリブンギヤ143、145、147(第二出力軸側ドリブンギヤ)とを同一の部品にすることができる。このため、ドリブンギヤの種類を低減することができ、変速機の製造コストを低減することができる。
上述したように、上式(3)に示すように、第一比Aの二乗値と第二比Bが殆ど同じとなるように、ドライブギヤ132〜134やドリブンギヤ142〜147、出力ギヤ151、152の歯数を設定すると、図6に示すように、2速〜7速に関して、各変速段のステップ比が殆ど同一となる。このため、エンジン2等の原動機から出力された駆動トルクが、変速機100において適正な駆動トルクに変換されて車輪9に出力される。また、変速機100においてアップ変速が実行された場合に、2速〜7速に関して、各変速段間において原動機の回転速度の減少割合が殆ど同一となり、車両1の加速性能が向上する。
上述したように、リバースアイドラーギヤ148は第二出力軸122に設けられている。このため、リバースアイドラーギヤ148を軸支する専用の軸を設ける必要が無く、変速機100の大型化が防止される。
一般的に、変速機100の筐体は、エンジン2やクラッチ3が取り付く部分、つまり、変速機100の前方側が径方向に大きい。ドリブンギヤ141、142、144、146のうち、ギヤ径の大きい第一ドリブンギヤ141(1速ドリブンギヤ)は、変速機100の前方側、つまり、変速機100の筐体が径方向に大きい部分に設けられているので、変速機100後方側の筐体の大型化が防止される。このため、変速機100後方側の筐体の外周側に、補機等の機器を配置することができ、当該部分を有効に使用することができる。
(別の実施形態)
以上説明した実施形態では、変速機100は自動変速機である。しかし、変速機100は、手動変速機であっても差し支え無く、このような実施形態にも、本発明の技術的思想が適用可能なことは言うまでも無い。また、入力軸111に駆動力を出力する原動機は、モータであっても差し支え無い。
以上説明した実施形態では、変速機100は自動変速機である。しかし、変速機100は、手動変速機であっても差し支え無く、このような実施形態にも、本発明の技術的思想が適用可能なことは言うまでも無い。また、入力軸111に駆動力を出力する原動機は、モータであっても差し支え無い。
以上説明した実施形態では、2速〜7速について、各変速段間のステップ比が殆ど同一となるように、ドライブギヤ132〜134、ドリブンギヤ142〜147、及び出力ギヤ151、152の歯数を設定している。しかし、1速以上について、各変速段間のステップ比が殆ど同一となるように、ドライブギヤ131〜134、ドリブンギヤ141〜147、及び出力ギヤ151、152の歯数を設定した実施形態であっても差し支え無い。
本実施形態では、リバースアイドラーギヤ148は、第二出力軸122に設けられている。しかし、リバースアイドラーギヤ148が第一出力軸121に対して相対回転可能に、第一出力軸121に設けられ、このリバースアイドラーギヤ148が、第二出力軸122に設けられたドリブンギヤと噛合する実施形態であっても差し支え無い。
ドライブギヤ132〜134やドリブンギヤ142〜147、出力ギヤ151、152の歯数は整数であることから、第一比Aの二乗値と第二比Bが完全に同一となるように、ドライブギヤ132〜134やドリブンギヤ142〜147、出力ギヤ151や152の歯数を設定することは困難である。しかし、上述した手法によって、各変速段間のステップ比が殆ど同一となるように設定された変速機は、本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
2…エンジン(原動機)、8a…リングギヤ(最終ギヤ)、100…変速機、111…入力軸、121…第一出力軸、122…第二出力軸、131…第一ドライブギヤ、132…第二ドライブギヤ、133…第三ドライブギヤ、134…第四ドライブギヤ、141…第一ドリブンギヤ(1速ドリブンギヤ)、142…第二ドリブンギヤ(第一出力軸側ドリブンギヤ)、143…第三ドリブンギヤ(第二出力軸側ドリブンギヤ)、144…第四ドリブンギヤ(第一出力軸側ドリブンギヤ)、145…第五ドリブンギヤ(第二出力軸側ドリブンギヤ)、146…第六ドリブンギヤ(第一出力軸側ドリブンギヤ)、147…第七ドリブンギヤ(第二出力軸側ドリブンギヤ)、148…リバースアイドラーギヤ
Claims (4)
- 原動機の駆動力が入力される入力軸と、
前記入力軸に対して並行に設けられた第一出力軸と、
前記入力軸に対して並行に設けられた第二出力軸と、
前記入力軸に対して相対回転不能に、前記入力軸に設けられた複数のドライブギヤと、
前記第一出力軸に対して相対回転可能に、前記第一出力軸に設けられ、前記複数のドライブギヤとそれぞれ噛合する複数の第一出力軸側ドリブンギヤと、
前記第二出力軸に対して相対回転可能に、前記第二出力軸に設けられ、前記複数のドライブギヤとそれぞれ噛合する複数の第二出力軸側ドリブンギヤと、を有し、
前記入力軸と前記第一出力軸の軸間距離と、前記入力軸と前記第二出力軸の軸間距離が同一に構成されている変速機。 - 前記複数の第一出力軸側ドリブンギヤは、変速機の偶数段を形成し、
前記複数の第二出力軸側ドリブンギヤは、変速機の奇数段を形成し、
車輪に回転連結された最終ギヤと、
前記第一出力軸に設けられ、前記最終ギヤと噛合する第一出力ギヤと、
前記第二出力軸に設けられ、前記最終ギヤと噛合する第二出力ギヤと、を有し、
前記最終ギヤの歯数を前記第一出力ギヤの歯数によって除した値を第一最終減速比とし、
前記第一最終減速比と異なる値であり、前記最終ギヤの歯数を前記第二出力ギヤの歯数によって除した値を第二最終減速比とし、
前記第一最終減速比と前記第二最終減速比のうち大きい方の減速比を小さい方の減速比によって除した値を第一比とし、
前記複数のドライブギヤのうちいずれか一つの前記ドライブギヤを低速段側ドライブギヤとし、
前記複数のドライブギヤのうち前記低速段側ドライブギヤよりも次に歯数が多い前記ドライブギヤを高速段側ドライブギヤとし、
前記低速段側ドライブギヤと噛合している前記第一出力軸側ドリブンギヤ又は前記第二出力軸側ドリブンギヤの歯数を前記低速段側ドライブギヤの歯数によって除した値を低速段側減速比とし、
前記高速段側ドライブギヤと噛合している前記第一出力軸側ドリブンギヤ又は前記第二出力軸側ドリブンギヤの歯数を前記高速段側ドライブギヤの歯数によって除した値を高速段側減速比とし、
前記低速段側減速比を前記高速段側減速比によって除した値を第二比とし、
前記第一比の二乗値が前記第二比と殆ど同じに設定されている請求項1に記載の変速機。 - 前記第二出力軸に対して相対回転可能に、前記第二出力軸に設けられ、前記第一出力軸側ドリブンギヤと噛合するリバースアイドラーギヤ又は、
前記第一出力軸に対して相対回転可能に、前記第一出力軸に設けられ、前記第二出力軸側ドリブンギヤと噛合するリバースアイドラーギヤを有する請求項1又は請求項2に記載の変速機。 - 前記複数の第一出力軸側ドリブンギヤ及び前記複数の第二出力軸側ドリブンギヤのうちいずれか一つは、変速機の1速を形成する1速ドリブンギヤであり、
前記1速ドリブンギヤが設けられている軸に設けられている第一出力軸側ドリブンギヤ又は前記複数の第二出力軸側ドリブンギヤのうち、前記1速ドリブンギヤは、軸線方向に関して前記入力軸において前記駆動力が入力される側に設けられている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の変速機。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017082280A1 (ja) * | 2015-11-12 | 2017-05-18 | いすゞ自動車株式会社 | デュアルクラッチ式変速機 |
CN109838510A (zh) * | 2019-03-29 | 2019-06-04 | 牛清锋 | 并列交替输出换挡变速箱 |
CN109854689A (zh) * | 2019-01-31 | 2019-06-07 | 牛清锋 | 内撑式换挡机构变速箱 |
-
2014
- 2014-03-03 JP JP2014040665A patent/JP2015166603A/ja active Pending
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WO2017082280A1 (ja) * | 2015-11-12 | 2017-05-18 | いすゞ自動車株式会社 | デュアルクラッチ式変速機 |
CN109854689A (zh) * | 2019-01-31 | 2019-06-07 | 牛清锋 | 内撑式换挡机构变速箱 |
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