JP2015164116A - 蓄電デバイス - Google Patents

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Toshimitsu Kikuchi
利充 菊池
山田 欣司
Kinji Yamada
欣司 山田
賢一 黒澤
Kenichi Kurosawa
賢一 黒澤
原 武生
Takeo Hara
武生 原
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Abstract

【課題】電極活物質層の電気伝導性を向上させて、高い起電力および優れた充放電特性を発揮できると共に、充放電の繰り返しによるこれらの特性の劣化を低減できる蓄電デバイスを提供する。【解決手段】本発明に係る蓄電デバイスは、導電層、前記導電層の一方の表面に形成された第1活物質層、および前記導電層の他方の表面に形成された第2活物質層を有し、前記第1活物質層および前記第2活物質層のいずれか一方が正極活物質層、他方が負極活物質層として機能するバイポーラ電極と、固体電解質層と、を含み、前記固体電解質層を介して前記バイポーラ電極が積層された積層体を複数備え、前記固体電解質層が銀イオン伝導性固体電解質を含有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、蓄電デバイスに関する。詳しくは、銀電解質を含む固体電解質を用いる蓄電デバイスに関する。
自動車、航空機などの移動体に搭載する蓄電デバイスは、移動体の稼働中には常に振動および衝撃にさらされるため、高度の耐衝撃性が要求される。ペースメーカーに代表される体内埋め込み型医療機器の稼働に用いられる蓄電デバイスは、上記と同様の耐衝撃性のほか、小型化が可能であること、液漏れの可能性が可及的に低いこと、屈曲しても充放電特性が劣化しないことなどが要求される。
固体電解質を用いる蓄電デバイスは、上記の要求を満たすものとして期待され、研究が進められている。例えば特許文献1には、リチウムイオン伝導性のガラスセラミックスを含有する成形体を焼成して得られた固体電解質を有するリチウム一次電池、リチウムイオン二次電池が開示されている。また、特許文献2では、活物質層に含有される電解質粒子の粒径と活物質粒子の粒径との比を一定の範囲にコントロールすることにより、活物質層の電気伝導性の向上を試みている。
特開2007−134305号公報 国際公開第2013/021843号
しかしながら、特許文献1の技術によって得られる電池は、電極活物質層の電気伝導性が低いため、起電力および充放電特性が不十分であった。一方、特許文献2の技術によれば、活物質層の電気伝導性の向上には一定の効果を奏するが、得られる蓄電デバイスは、その充放電特性が充放電の繰り返しによって劣化するため、例えばリチウムイオン二次電池としての現実の使用に耐えるものではなかった。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、前記課題の少なくとも一部を解決することで、電極活物質層の電気伝導性を向上させて、高い起電力および優れた充放電特性を発揮できると共に、充放電の繰り返しによるこれらの特性の劣化を低減できる蓄電デバイスを提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係る蓄電デバイスの一態様は、
導電層、前記導電層の一方の表面に形成された第1活物質層、および前記導電層の他方の表面に形成された第2活物質層を有し、前記第1活物質層および前記第2活物質層のいずれか一方が正極活物質層、他方が負極活物質層として機能するバイポーラ電極と、
固体電解質層と、
を含み、前記固体電解質層を介して前記バイポーラ電極が積層された積層体を複数備え、
前記固体電解質層が、銀イオン伝導性固体電解質を含有することを特徴とする。
[適用例2]
適用例1の蓄電デバイスにおいて、
前記第1活物質層と前記第2活物質層が同じ活物質を含有することができる。
[適用例3]
本発明に係る蓄電デバイスの一態様は、
導電層、前記導電層の一方の表面に形成された第1活物質層、および前記導電層の他方の表面に形成された第2活物質層を有し、前記第1活物質層および前記第2活物質層のいずれか一方が正極活物質層、他方が負極活物質層として機能するバイポーラ電極と、
固体電解質層と、
を含み、前記固体電解質層を介して前記バイポーラ電極が積層された積層体を複数備え、
前記第1活物質層の厚みをT1、第2活物質層の厚みをT2としたした場合にT1/T2の値が0.8〜1.2であることを特徴とする。
[適用例4]
適用例3の蓄電デバイスにおいて、
前記第1活物質層と前記第2活物質層が同じ活物質を含有することができる。
[適用例5]
適用例3または適用例4の蓄電デバイスにおいて、
前記固体電解質層が、銀イオン伝導性固体電解質を含有することができる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか一例の蓄電デバイスにおいて、
前記導電層が1層以上存在し、その内の少なくとも1層が重合体を含有することができる。
[適用例7]
適用例6の蓄電デバイスにおいて、
前記重合体が、熱可塑性エラストマーであることができる。
[適用例8]
適用例6または適用例7の蓄電デバイスにおいて、
前記重合体を含有する導電層が、重合体を10〜95質量%含有することができる。
[適用例9]
適用例6ないし適用例8のいずれか一例の蓄電デバイスにおいて、
前記重合体が、スチレンに由来する繰り返し単位およびブタジエンに由来する繰り返し単位を含むことができる。
本発明に係る蓄電デバイスによれば、電極活物質層の電気伝導性を向上させることで、高い起電力および優れた充放電特性を発揮できると共に、充放電の繰り返しによるこれらの特性の劣化を低減できる。
本実施の形態に係る蓄電デバイスを模式的に示す断面図である。 本実施の形態に係る蓄電デバイスの一使用形態を示す平面図である。 本実施の形態に係る蓄電デバイスの一使用形態を示す概念図である。 本実施の形態に係る蓄電デバイスの一使用形態を示す概念図である。 本実施の形態に係る蓄電デバイスをヒートシンクとして利用する使用形態を示す概念図である。
以下、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に記載された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含むものとして理解されるべきである。
1.蓄電デバイス
1.1.蓄電デバイスの構造および特徴
本発明の一実施の形態に係る蓄電デバイスは、導電層、前記導電層の一方の表面に形成された第1活物質層、および前記導電層の他方の表面に形成された第2活物質層を有し、前記第1活物質層および前記第2活物質層のいずれか一方が正極活物質層、他方が負極活物質層として機能するバイポーラ電極と、固体電解質層と、を含み、前記固体電解質層を介して前記バイポーラ電極が積層された積層体を複数備えた構造を有している。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る蓄電デバイスを模式的に示す断面図である。図1に示すように、蓄電デバイス100は、導電層10、導電層10の一方の表面に形成された第1活物質層12、および導電層10の他方の表面に形成された第2活物質層14を有するバイポーラ電極16と、固体電解質層18と、を有している。図1に示す蓄電デバイス100では、バイポーラ電極16が第1活物質層12および第2活物質層14と接するように固体電解質層18によって挟持された基本構造が繰り返された積層体となっている。この基本構造のみで構成される蓄電デバイスでは、十分な電圧が得られないため、この基本構造を複数積層させた蓄電デバイスとする必要がある。基本構造を複数積層させた蓄電デバイスとすることにより、十分な電圧が得られるようになる。ただし、本実施の形態に係る蓄電デバイスでは、基本構造を複数積層された積層体の最表面に導電層が存在することが必要となる。この導電層10が、いわゆる集電体としての機能を有する。
また、前記積層体は固体電解質層が銀イオン伝導性固体電解質を含有している場合、前記積層体を任意の形状および大きさに切り分けることにより、任意の容量を有する蓄電デバイスを製造することができる。すなわち、切り分けた面積に応じて容量を自由にコントロールすることができる。従来の固体電解質層を有する積層体を切り分ける場合、切断時に固体電解質層の崩壊や界面剥離が発生しやすく、短絡が発生することにより歩留まりが低下していた。しかしながら、銀イオン伝導性固体電解質を含有する固体電解質層によれば、このような問題が発生し難く、高い歩留まりで切り出すことが可能となる。
前記導電層が1層以上存在する場合、その内の少なくとも1層が重合体を含有することにより、前記積層体の密着性を向上させることができる。そのため、前記積層体を任意の形状および大きさに切り分ける際には、前記導電層の少なくとも1層に重合体を含有させておくことで各層の剥離(不良品の発生)を抑制することができ、歩留まりが向上する。導電層に含有される重合体については後述する。
本実施の形態に係る蓄電デバイスは、前記積層体を外装体で覆った構造であることができる。前記外装体は、前記積層体を収容し、正負極間の短絡を防止し、積層体内部への水分の侵入を防止する機能を有する。
外装体としては、ラミネートフィルムを用いることが好ましい。このラミネートフィルムの構成としては、例えば第1樹脂層と第2樹脂層との間に金属層が挟持された構造であることが好ましい。上記第1樹脂層を構成する樹脂の材質としては、例えばポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。上記第2樹脂層を構成する樹脂の材質としては、例えばエチレンビニルアセテート共重合体系樹脂、オレフィン系樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリラクチド系樹脂、ポリグリコリド系樹脂、ポリカプロラクトン系樹脂、ポリ(サッカリド)系樹脂、ポリ(エチレンオキシド)系樹脂、ポリ(エチレングリコール)系樹脂など、およびこれらのコポリマー等が挙げられる。上記金属層を構成する金属種としては、例えばアルミニウム、ステンレス等が挙げられる。各層の好ましい厚みは、例えば以下のとおりである。
・第1樹脂層:好ましくは10〜100μm、より好ましくは20〜50μm
・第2樹脂層:好ましくは10〜100μm、より好ましくは20〜50μm
・金属層:好ましくは10〜200μm、より好ましくは50〜100μm
本実施の形態に係る蓄電デバイスは、湿度に強い銀イオン伝導性固体電解質を含有する固体電解質層を有している場合には、外装体がない状態で大気下において充放電した場合であっても良好な充放電が可能である。
1.2.蓄電デバイスの各構成
以下、本実施の形態に係る蓄電デバイスの各構成について詳細に説明する。
1.2.1.バイポーラ電極
本実施の形態で用いられるバイポーラ電極は、導電層、前記導電層の一方の表面に形成された第1活物質層、および前記導電層の他方の表面に形成された第2活物質層を有し、前記第1活物質層および前記第2活物質層のいずれか一方が正極活物質層、他方が負極活物質層として機能するものである。
1.2.1.1.導電層
導電層の材料としては、電子伝導性を有するものであれば特に限定されずに使用することができる。導電層の材料としては、例えば金属材料、カーボン材料等が挙げられる。
上記金属材料としては、例えばCu、Ni、V、Au、Pt、Al、Mg、Fe、Ti、Co、Zn、Ge、In、Li、Ni、Taなどのほか、これらのうちの1種以上を含有する合金等が挙げられる。これらのうち、Al、Al合金、Cu、Cu合金またはステンレスを使用することが好ましい。上記カーボン材料としては、例えば炭素繊維不織布、炭素繊維織布、グラフェンシート、カーボンシート等が挙げられる。
導電層は、適当な基板上に上記の金属材料またはカーボン材料を蒸着したものであってもよい。上記基板としては、例えばポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ガラス、シリコン等が挙げられる。
本実施の形態で用いられる導電層としては、金属材料を用いることが好ましく、該金属材料を金属箔、エッチング金属箔、エキスパンドメタル等の形態で使用することがより好ましい。
導電層の厚みは特に限定されるものではないが、例えば0.5〜50μmの範囲とすることが好ましい。導電層として基板上に金属材料またはカーボン材料を蒸着したものを用いる場合には、上記の厚みは基板の厚みを含む数値である。
導電層としては、デバイスの切断折曲時や活物質の膨張収縮時にデバイス内部に発生する応力を緩和させ、高歩留りで屈曲性や充放電サイクル特性に優れたデバイスを得る観点から、重合体を含むことが望ましい。このような重合体としては、常温において導電層に優れた弾性を付与できることから、熱可塑性エラストマーであることが好ましい。熱可塑性エラストマーのガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−80℃〜+250℃、より好ましくは−75℃〜+130℃、さらに好ましくは−70℃〜+10℃である。
熱可塑性エラストマーとしては、例えばスチレン−ブタジエン系エラストマー、スチレン−イソプレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ナイロン系エラストマー等が挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン−ブタジエン系エラストマー、スチレン−エチレン−スチレン系エラストマー、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン系エラストマー、ポリアミド−ポリエーテル−ポリアミド系エラストマー、ポリアミド−ポリエーテル系エラストマー、ポリエステル−ポリエーテル系エラストマー、ポリウレタン−ポリエステル系エラストマー、ポリエステル−ポリエーテル−ポリエステル系エラストマー、及びポリウレタン−ポリエステル−ポリウレタン系エラストマーよりなる群から選択される1種以上を使用することが好ましく、スチレンに由来する繰り返し単位およびブタジエンに由来する繰り返し単位を有するスチレン−ブタジエン系エラストマーであることがより好ましい。なお、本明細書において「エラストマー」とはエラストマーが水素添加のように変性された重合体を含む概念である。
導電層中に重合体が占める量としては、10〜95質量%が好ましく、30〜90質量%がより好ましく、40〜85質量%が特に好ましい。導電層中に重合体が占める含有割合が前記範囲であると、デバイス内部に応力が発生した際の応力緩和を効果的に行うことができ、デバイス内部で割れや剥がれが生じることを効果的に抑制でき、デバイスの歩留りや特性が低下することをより抑制できる。
1.2.1.2.第1活物質層及び第2活物質層
本実施の形態で用いられる第1活物質層及び第2活物質層(以下、纏めて「電極活物質層」ともいう。)は、(A)電解質粒子と(B)活物質粒子とを少なくとも含有する組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)から作製することができる。電極活物質層は、上述の導電層上に直接形成されてもよいし、あるいは一旦基材シートの表面上に形成した後に導電層上に転写してもよい。後者の場合、基材シートとしては、例えばPET、ポリオレフィン、フッ素樹脂等からなるシートを使用することができる。
導電層または基材シートの表面上に電極活物質層を形成するには、例えば導電層または基材シートの表面上に組成物を塗布して塗膜を形成し、形成された塗膜から分散媒体を除去する方法によることができる。分散媒体除去後の塗膜に対して、任意的にプレス加工を行ってもよい。
上記の塗布に際しては、例えばドクターブレード法、リバースロール法、コンマバー法、グラビヤ法、エアーナイフ法等を適用することができる。分散媒体の除去は、塗布によって形成された塗膜を所定の温度下に所定時間静置する方法によって行うことができる。このときの温度は、20〜250℃であることが好ましく、50〜150℃であることがより好ましく;時間は1〜120分であることが好ましく、5〜60分であることがより好ましい。
分散媒体除去後の塗膜に対してプレス加工を行うには、例えば高圧スーパープレス、ソフトカレンダー、1トンプレス機等の適宜の加工機を使用することができる。プレス加工の条件は、用いる加工機および所望の相対密度(後述)に応じて、適宜に設定することが
できる。
このようにして形成される電極活物質層は、その膜厚が0.1〜1,000μmであることが好ましく、40〜150μmであることがより好ましい。正極用と負極用とで同じ種類の電極活物質層を使用し、膜厚差によって正負極を生じさせる場合には、正極用の膜厚としては0.1〜500μmであることが好ましく、20〜120μmであることがより好ましく;負極用の膜厚としては0.1〜500μmであることが好ましく、20〜120μmであることがより好ましい。
また、前記第1活物質層の厚みをT1、前記第2活物質層の厚みをT2としたときの比率T1/T2の値が0.8〜1.2であることが好ましい。第1活物質層と第2活物質層との厚みの比率を前記範囲とすることで、充放電に伴う活物質層の体積変化を、集電体の両面に形成された第1活物質層と第2活物質層の両面で抑制することができるため、バイポーラ電極が充放電に伴う活物質層の体積変化に応じて反り返ったり、変形したりすることを抑制することができる。比率T1/T2の値を0.8〜1.2とする場合には、活物質がAgおよびVを少なくとも含有し、活物質中のVに対するAgの組成比が0.35〜0.20であることにより、上記の効果がより顕著に発揮される。
電極活物質層の密度は、1.0〜15g/cmであることが好ましく、1.5〜12g/cmであることがより好ましい。電極活物質層の相対密度は、70〜99.99%の範囲内であることが好ましく、80〜99.9%の範囲内であることがより好ましい。電極活物質層の相対密度は、電極活物質層の実際の密度を電極活物質層の理論密度で除することによって求めることができる。電極活物質層の理論密度は、固形組成物比重に固形組成物体積分率をかけることによって求めることができる。
以下、電極活物質層を作製するために用いられる組成物に含まれる成分について詳細に説明する。
<(A)電解質粒子>
本実施の形態で用いられる組成物は、(A)電解質粒子を含有する。(A)電解質粒子としては、イオン伝導性を有する無機化合物である固体電解質材料を使用することが好ましい。伝導されるイオン種としては、リチウムイオン、銀イオン等の金属イオンが挙げられる。
リチウムイオン伝導性の固体電解質材料としては、例えばリチウム原子を含有する非晶質酸化物系固体電解質材料、リチウム原子を含有する非晶質硫化物系固体電解質材料、リチウム原子を含有する結晶質固体電解質材料等が挙げられる。上記リチウム原子を含有する非晶質酸化物系固体電解質材料としては、例えばLiO−B−P、LiO−SiO、LiO−B、LiO−B−ZnO等が挙げられる。上記リチウム原子を含有する非晶質硫化物系固体電解質材料としては、例えばLiS−SiS、LiI−LiS−SiS、LiI−LiS−P、LiI−LiS−B、LiPO−LiS−SiS、LiPO−LiS−SiS、LiPO−LiS−SiS、LiI−LiS−P、LiI−LiPO−P、LiS−P等が挙げられる。上記リチウム原子を含有する結晶質固体電解質材料としては、例えばLiI、LiI−Al、LiN、LiN−LiI−LiOH、Li1+xAlTi−x(PO(0≦x≦2)、Li1+x+yTi2−xSi3−yO1(A=AlまたはGa;0≦x≦0.4;0<y≦0.6)、[(A1/2Li1/21−x]TiO(A=La、Pr、NdまたはSm;B=SrまたはBa;0≦x≦0.5)、LiLaTa12、LiLaZr12、LiBaLaTa12、LiPO(4−3/2x)
(x<1)、Li3.6Si0.60.4等が挙げられる。
銀イオン伝導性の固体電解質材料としては、例えばMAg(M=RbまたはK)、AgWO、5AgI−3AgO−2V、4AgI−AgO−V、3AgI−AgSiO、AgI−AgO−2B、AgI−AgO−MoO、AgI−AgO−WO−B、AgI−AgO−CrO、AgI−AgO−P、AgCl−AgWO、AgBr−AgWO等が挙げられる。これらのうち、水分、酸素および高温に対する安定性が高いことから、AgWOが好ましい。
(A)電解質粒子のメジアン径(Da)は、10〜50μmであることが好ましく、20〜45μmであることがより好ましい。(A)電解質粒子のイオン伝導性は、表面の方が内部よりも高いと考えられている。そのため、上記粒径範囲の(A)電解質粒子を使用することにより、イオン伝導性に寄与する表面積を適正な値に設定できると共に、上記の導電パスを確保し、金属イオンの移動抵抗を低減することもできるため好ましい。
<(B)活物質粒子>
本実施の形態で用いられる組成物は、(B)活物質粒子を含有する。(B)活物質粒子としては、金属イオンを吸蔵し、放出できる活物質材料であることが好ましい。吸蔵・放出される金属イオン種は、上記(A)電解質粒子によってイオン伝導されるイオン種と同じものであることが好ましく、例えばリチウムイオン、銀イオン等が挙げられる。
リチウムイオンを吸蔵・放出する活物質材料としては、例えばリチウム原子を含有する金属系活物質、リチウム原子を含有する酸化物系活物質、リチウム原子を含有する硫化物系活物質、リチウムコバルト窒化物系活物質等が挙げられる。上記リチウム原子を含有する金属系活物質としては、例えばリチウム金属、リチウム合金(例えばLiM、M=Sn、Si、Al、Ge、SbおよびPよりなる群から選択される少なくとも1種)等が挙げられる。上記リチウム原子を含有する酸化物系活物質としては、例えばコバルト酸リチウム(Li(1−x)CoO、x=0〜0.5)、ニッケル酸リチウム(Li(1−x)NiO、x=0〜0.5)、LiNi1/3Mn1/3Co1/3、マンガン酸リチウム(LiMn)、Li1+xMn2−x−y(M=Al、Mg、Co、Fe、NiおよびZnよりなる群から選択される1種以上;0≦x+y≦2)、LiCoSn(ただし、x、y、zは各々0.05≦x≦1.1、0.85≦y≦1、0.001≦z≦0.1を表す)、Li(1−x)Co(1−y)Ni(0.5<x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1)、チタン酸リチウム、リン酸リチウム(LiMPO、M=Fe、Mn、CoおよびNiよりなる群から選択される1種以上)、リチウムシリコン酸化物等が挙げられる。上記リチウム原子を含有する硫化物系活物質としては、例えば硫化チタン(TiS)等が挙げられる。
銀イオンを吸蔵・放出する活物質材料としては、例えば銀金属、銀シェブレル化合物、五酸化バナジウム−銀化合物(Ag、x=0.9〜0.1)等が挙げられる。特にx=0.7〜0.4である場合、第1活物質層と第2活物質層に含有される活物質の充放電に伴う体積変化を、集電体の両面に形成された第1活物質層と第2活物質層の両面で抑制することができるため、バイポーラ電極が充放電に伴う活物質層の体積変化に応じて反り返ったり、変形したりすることを抑制することができる。
リチウムイオンおよび銀イオンの双方を吸蔵・放出する活物質材料としては、例えばリチウム原子および銀原子のいずれも含有しない合金系活物質、リチウム原子および銀原子のいずれも含有しない酸化物系活物質、リチウム原子および銀原子のいずれも含有しない硫化物系活物質、リチウム原子および銀原子のいずれも含有しないハロゲン化金属系活物
質、カーボン系活物質、導電性高分子系活物質、フッ素化合物等が挙げられる。上記リチウムおよび銀のいずれも含有しない合金としては、例えばMgM(M=Sn、GeおよびSbよりなる群から選択される少なくとも1種)、NSb(N=In、CuおよびMnよりなる群から選択される少なくとも1種)等が挙げられる。上記リチウム原子および銀原子のいずれも含有しない酸化物系活物質としては、例えば酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)、MnO、MoO、V、V13、Fe、Fe、スズ酸化物等が挙げられる。上記リチウム原子および銀原子のいずれも含有しない硫化物系活物質としては、例えばTiS、TiS、MoS、FeS等が挙げられる。上記リチウム原子および銀原子のいずれも含有しないハロゲン化金属系活物質としては、例えばCuF、NiF等が挙げられる。上記カーボン系活物質としては、例えばフッ化カーボン、グラファイト、ハードカーボン、気相成長炭素繊維、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。上記導電性高分子系活物質としては、例えばポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン等が挙げられる。
本実施の形態で用いられる(B)活物質粒子には、正極用活物質粒子および負極用活物質粒子としての明確な区別はない。正負の電極用として同じ種類の活物質粒子を用いてもよいし、相異なる種類の活物質粒子を用いてもよい。正負の電極用として同じ種類の活物質粒子を用いる場合には、正負極の膜厚を同じにして用いてもよいし、膜厚に差を設けて用いてもよい。正負の電極用として相異なる種類の活物質粒子を用いる場合には、フェルミ順位の高い方の材料からなる電極を正極用として用いる。
(B)活物質粒子のメジアン径(Da)は、5〜100μmであることが好ましく、15〜50μmであることがより好ましい。上記粒径範囲の(B)活物質粒子を使用することにより、大粒径化による活物質の電子パス形成向上効果と小粒径化による活物質内における電荷を担う金属イオンの拡散必要距離の低減効果といった両効果バランスが良好となるため、電子抵抗やイオン抵抗が低減されることとなり好ましい。
<その他の添加剤>
本実施の形態で用いられる電極活物質層は、上記のような(A)電解質粒子および(B)活物質粒子を必須の成分として含有する組成物から作製されるが、前記組成物は、必要に応じてこれら以外のその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば分散媒体、結着剤、電極劣化防止剤、導電助剤等が挙げられる。
・分散媒体
電極活物質層を作製するため組成物がスラリー状である場合、このような電極用スラリーに使用することのできる分散媒体としては、上記(A)電解質粒子および(B)活物質粒子を安定に分散し、かつ、これらの変質を可及的に抑制するとの観点から、非極性液状有機媒体を使用することが好ましい。
上記非極性液状有機媒体としては、例えば脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。上記脂肪族炭化水素としては、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン等が挙げられる。上記脂環式炭化水素としては、例えばシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、シクロドデカン等が挙げられる。上記芳香族炭化水素としては、例えばトルエン、キシレン、メシチレン、クメン等が挙げられる。これらの非極性液状有機媒体は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
・結着剤
本実施の形態で使用される組成物には、(A)電解質粒子と(B)活物質粒子との間、およびこれらと導電層との間の結着を強固とし、電極に柔軟性を付与する観点から、結着
剤を添加することができる。
このような結着剤としては、例えばメチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチルセルロース(EC)等のセルロース類;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリアルキレンオキサイド(例えばポリエチレンオキサイド)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)等のフッ素系ポリマー;(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリブタジエンの水素添加物、ポリオレフィン、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリ乳酸、キチン、キトサン等の、電極用スラリーにおけるバインダーとして公知の材料を使用することができる。
結着剤は、上記のような材料からなり、そのガラス転移温度(Tg)が、好ましくは−80℃〜+250℃、より好ましくは−75℃〜+130℃、さらに好ましくは−70℃〜+10℃のエラストマーであることが好適である。特には、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン−エチレン系エラストマー、スチレン−ブタジエン系エラストマー、ポリアミド−ポリエーテル系エラストマー、ポリエステル−ポリエーテル系エラストマー、及びポリウレタン−ポリエステル系エラストマーよりなる群から選択される1種以上を使用することが好ましい。
・電極劣化防止剤
電極劣化防止剤は、本実施の形態で用いられる電極活物質層が上記のような結着剤を含有する場合、該結着剤、活物質、電解質の劣化を防止し、もって活物質シートの劣化を防止するために使用することができる。
このような電極劣化防止剤としては、例えばマレイミド化合物を好適に使用することができ、具体的には下記一般式(1)および(2)のそれぞれで表される化合物を挙げることができる。
Figure 2015164116
(上記式(1)中のXは、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、ニトロフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルケニル基もしくはシクロヘキシル基であるか、あるいは炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルフェニル基であり;
上記式(2)中のXは、1,6−へキシレン基、フェニレン基もしくは3−メチル−1,2−フェニレン基であるか、あるいは下記式
Figure 2015164116
(上記式中のYは、酸素原子、メチレン基または−SO−である。)で表される2価の基である。)
上記電極劣化防止剤が固体状である場合、メジアン径が100μm以下、好ましくは0.001〜10μmの粉末状態で使用することが好ましい。
・導電助剤
導電助剤としては、炭素材料、金属(ただし、リチウムおよび銀を除く。)などを使用することができる。上記炭素材料としては、例えばアセチレンブラック等のカーボンブラックが挙げられる。上記金属としては、例えばニッケル等が挙げられる。導電助剤は、メジアン径が100μm以下、好ましくは0.001〜50μmの粉末状態で使用することが好ましい。
<各成分の含有割合>
本実施の形態で用いられる組成物における各成分の好ましい含有割合は、それぞれ以下の通りである。
・(A)電解質粒子と(B)活物質粒子との使用割合:(A)電解質粒子の質量(Ma)と(B)活物質粒子の質量(Mb)との比(Ma/Mb)として、好ましくは70/30〜1/99、より好ましくは50/50〜5/95
・結着剤:組成物の全量に対して、好ましくは30容積%以下、より好ましくは20〜1容積%
・電極劣化防止剤:結着剤100質量部に対して、好ましくは80質量部以下、より好ましくは50〜1質量部
・導電助剤:(B)活物質粒子100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは1〜15質量部
・分散媒体:組成物中の固形分濃度(組成物中の分散媒体以外の成分の合計質量が組成物の全質量に対して占める割合)として、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは10〜80質量%
1.2.2.固体電解質層
本実施の形態で用いられる固体電解質層は、銀イオン伝導性固体電解質を含有することが好ましい。固体電解質層が銀イオン伝導性固体電解質を含有することにより、前記積層体を任意の形状および大きさに切り分けることにより、任意の容量を有する蓄電デバイスを製造することができる。すなわち、切り分けた面積に応じて容量を自由にコントロールすることができる。従来の固体電解質層を有する積層体を切り分ける場合、切断時に固体電解質層の崩壊や界面剥離が発生しやすく、短絡が発生することにより歩留まりが低下していた。しかしながら、銀イオン伝導性固体電解質を含有する固体電解質層であれば、このような問題が発生し難く、高歩留まりで切り出すことが可能となる。
また、銀イオン伝導性固体電解質は湿度に対して非常に強いため、本実施の形態に係る蓄電デバイスを外装体がない状態で大気下において充放電した場合であっても良好な充放電が可能となる。
固体電解質層の形状は、例えば薄膜状、粉末の圧縮体状等であることができる。固体電解質層の厚みは、好ましくは0.1〜1000μmであり、より好ましくは1〜100μ
mである。
上記銀イオン伝導性固体電解質材料としては、例えばMAg(M=RbまたはK)、AgWO、5AgI−3AgO−2V、4AgI−AgO−V、3AgI−AgSiO、AgI−AgO−2B、AgI−AgO−MoO、AgI−AgO−WO−B、AgI−AgO−CrO、AgI−AgO−P、AgCl−AgWO、AgBr−AgWO等が挙げられる。これらのうち、水分、酸素および高温に対する安定性が高いことから、AgWOが好ましい。
固体電解質層は、銀イオン伝導性固体電解質材料のみから構成されていてもよく、あるいは銀イオン伝導性固体電解質材料以外のその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば不織布、織布、網状体等が挙げられる。
上記網状体は、固体電解質層の機械的強度を補強する目的で使用することができる。上記網状体としては、例えば延伸などの加工を行い多孔質化した重合体膜等が挙げられる。上記網状体を使用する場合、固体電解質層は、該網状体の開口部に固体電解質およびその他の成分(ただし網状体を除く。)を充填し、該充填後の網状体の上下を厚み5〜25μm程度の固体電解質層で挟持した構造とすることができる。網状体の開口率は、15%〜65%の範囲が好ましい。ここで開口率とは、網状体単位面積当たりの総開口部の面積の割合(百分率)で定義される。開口率が15%未満では固体電解質層の伝導率が小さくなることがあり、開口率が65%を超えると固体電解質層の強度が不足することがある。
上記網状体の厚みは、10〜150μmとすることが好ましく、網状体の1開口部当たりの平均面積は、1.6×l0−3mm〜9×10−2mmであることが好ましい。また、隣接する開口部間の幅は、20μm〜120μmであることが好ましい。不織布の場合の目付け量は、5g/m〜50g/mであることが好ましい。
網状体を構成する材料としては、例えばナイロン6、ナイロン66、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等が挙げられる。
固体電解質層における銀イオン伝導性固体電解質材料の含有割合は、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは85質量%以上である。
1.3.蓄電デバイスの製造方法
本実施の形態に係る蓄電デバイスの製造方法は、上記のような構造を有する限り、その製造方法は特に限定されない。本実施の形態に係る蓄電デバイスは、例えば以下の方法によって製造することができる。すなわち、上述した積層体となるように各層を積層し、得られた積層体を外装体によって密閉する方法である。各層を積層して積層体を形成した後、ホットプレス等を用いて該積層体を熱圧縮してもよい。
このようにして製造された蓄電デバイスは、起電力が高く、充放電特性に優れると共に、充放電の繰り返しによっても起電力および充放電特性が劣化することがない。
1.4.蓄電デバイスの形状と使用方法
本実施の形態に係る蓄電デバイスの形状は、上記のような構造を有する限り特に限定されない。本実施の形態に係る蓄電デバイスの形状は、例えばコイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角型、扁平型など、適宜の形状であることができる。また、本実施の形態に係る蓄電デバイスは、電解液を使用しないため、積層構造を製造後、実装方法に応じて適時切断、穴あけ、曲げ加工などを行い、その形状を自由に加工することができる。
図2は、本実施の形態に係る蓄電デバイスの一使用形態を示す平面図である。図2の例では、基板20の上にコンデンサまたはセンサ等の突起物22a、22b、22c、22dが形成された実装基板26のスペースに、本実施の形態に係る蓄電デバイスを適用する場合のイメージを表している。図2に示すように、蓄電デバイス101は、実装基板26に形成された突起物22a、22b、22c、22dに対応する部分を切ったり、穴を開けたりたりすることができる。そして、実装基板26に蓄電デバイス101を貼り合わせることにより、蓄電デバイスによって占領されるスペースを小さくすることができ、省スペース化を実現することが可能となる。
図3は、本実施の形態に係る蓄電デバイスの一使用形態を示す概念図である。図3の例では、実装基板30の凹部32に、本実施の形態に係る蓄電デバイスを適用する場合のイメージを表している。図3に示すように、切断することにより凸部が形成された蓄電デバイス102を実装基板30の凹部32に嵌め込むことにより、蓄電デバイスによって占領されるスペースを小さくすることができ、省スペース化を実現することが可能となる。
図4は、本実施の形態に係る蓄電デバイスの一使用形態を示す概念図である。図4の例では、実装基板40のスペース42に、本実施の形態に係る蓄電デバイスを適用する場合のイメージを表している。本実施の形態に係る蓄電デバイスは、上述のように曲げ加工が可能である。そのため、図4(A)および図4(B)に示すように、蓄電デバイス103を屈曲させて実装基板40のスペース42に嵌め込むことにより、蓄電デバイスによって占領されるスペースを小さくすることができ、省スペース化を実現することが可能となる。
さらに、本実施の形態に係る蓄電デバイスは、全固体であるため、熱伝導性が電解液を使用する蓄電デバイスよりも大きく向上している。また、電解液の加熱分解によるガス発生などの危険性がないため、耐熱性が大きく向上している。このため、発熱体を冷却するためのヒートシンクとしても利用することができる。
図5は、本実施の形態に係る蓄電デバイスをヒートシンクとして利用する使用形態を示す概念図である。図5(A)に示す例では、基盤50に対して複数の蓄電デバイス104を略垂直に立てて並べている。一方、図5(B)に示す例では、基盤50の中心付近の蓄電デバイス104は基盤50に対して略垂直に立てられており、その周囲の蓄電デバイス104は外周方向に向かって湾曲させて設置されている。このような構造とすることにより、放熱効果がより効果的に発現できるものと考えられる。本実施の形態に係る蓄電デバイスをヒートシンクとして利用することにより、放熱のみを目的とするヒートシンクを別途設置する必要がなくなり、小スペース化を達成することができる。
たとえば、ゼーベック効果などにより熱エネルギーを電力エネルギーに変換する電熱素子のヒートシンクとして本実施の形態に係る蓄電デバイスを利用することにより、発電された電力を蓄電できるだけでなく、放熱効果を向上させることにより発電効率を向上させることができる。
また、本実施の形態に係る蓄電デバイスは、全固体であるため、機械的衝撃や振動に対する耐久性が、電解液を使用する蓄電デバイスよりも大きく向上している。このため、振動発電などの耐衝撃性が要求される装置に好適に使用することができる。なお、本実施の形態に係る蓄電デバイスの耐熱性と高い機械強度は、太陽電池のパネル補強材としても活用することができる。
2.実施例
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例、比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
2.1.電解質粒子および活物質粒子の調製
以下に記載の各粒子の調製は、必要に応じて下記の操作を下記に記載のスケールで繰り返すことにより、以降の使用における必要量を確保した。
(1)電解質粒子の調製1
一軸型自動乳鉢(日陶科学(株)製、型番「ANM−1000」)を用いて、電解質粒子としてのAgWO(日本無機化学工業(株)製、純度98%)50gを、大気中、25℃および50%RHの環境下において、120rpmの条件で1時間粉砕処理することにより電解質粒子(AgWO)を得た。こうして得られた電解質粒子を表1中では、「AgWO」と表記した。
(2)電解質粒子の調製2
アルゴン雰囲気下で露点が−80℃以下となるよう制御されたグローブボックス内で、Si((株)高純度化学研究所製、純度99.99%)28gおよびS((株)高純度化学研究所製、純度99.999%)64gの各結晶粉末を、ジルコニアボールとともにジルコニア製の容器に入れ、遊星ボールミル装置(Fritsch社製、型番「P−5」)を用いて160時間処理し、SiSを調製した。
引き続き、アルゴン雰囲気下で露点が−80℃以下となるよう制御されたグローブボックス内で、上記で調製したSiSおよびこれと同じモル数のLiS(フルウチ化学(株)製、純度99.9%)の粉末を、合計で50gとなるように合わせて混合し、一軸型自動乳鉢(日陶科学(株)製、型番「ANM−1000」)を用いて、120rpmの条件で1時間粉砕処理することによりLiS−SiS電解質粒子(LiS−SiS)を得た。こうして得られた電解質粒子を表1中では、「LiS−SiS」と表記した。
(3)活物質粒子の調製1
一軸型自動乳鉢(日陶科学(株)製、型番「ANM−1000」)を用いて、活物質粒子としてのAg0.7(日本無機化学工業(株)製、純度98%)50gを、大気中、25℃および50%RHの環境下において、120rpmの条件で1時間粉砕処理することにより活物質粒子(Ag0.7)を得た。こうして得られた活物質粒子を表1中では、「Ag0.7」と表記した。
(4)活物質粒子の調製2
一軸型自動乳鉢(日陶科学(株)製、型番「ANM−1000」)を用いて、活物質粒子としてのAg0.6(日本無機化学工業(株)製、純度98%、ICP分析値Ag/V=0.29)50gを、大気中、25℃および50%RHの環境下において、120rpmの条件で1時間粉砕処理することにより活物質粒子(Ag0.58)を得た。こうして得られた活物質粒子を表1中では、「Ag0.58」と表記した。
(5)活物質粒子の調製3
一軸型自動乳鉢(日陶科学(株)製、型番「ANM−1000」)を用いて、活物質粒子としてのLiCoO(ハヤシ化成(株)製、純度99%)50gを、大気中、25℃および50%RHの環境下において、120rpmの条件で1時間粉砕処理することにより活物質粒子(LiCoO)を得た。こうして得られた活物質粒子を表1中では、「L
iCoO」と表記した。
(6)活物質粒子の調製4
一軸型自動乳鉢(日陶科学(株)製、型番「ANM−1000」)を用いて、活物質粒子としてのグラファイト(日立化成(株)製)50gを、大気中、25℃および50%RHの環境下において、120rpmの条件で1時間粉砕処理することにより活物質粒子を得た。こうして得られた活物質粒子を表1中では、「C」と表記した。
2.2.活物質シートの作製
(1)活物質シートの作製1
雰囲気を露点−90℃以下に制御されたアルゴン雰囲気グローブボックス内にて容量100mLのポリプロピレン製遮光瓶((株)サンプラテック製)中で、上記「(1)電解質粒子の調製1」において得た電解質粒子37g、上記「(3)活物質粒子の調製1」または「(4)活物質粒子の調製2」において得た活物質粒子37g、更に4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン0.2g、スチレン−ブタジエン系エラストマー(JSR(株)製、商品名「TR2000」)0.3g、スチレン−エチレン−ブタジエン系エラストマー(クレイトンポリマージャパン(株)製、商品名「G1652」)2gおよびトルエン23.5gを混合した。
容量100mLのポリプロピレン製遮光瓶((株)サンプラテック製)中に、上記で得た混合物の全量(100g)および直径5mmのジルコニアボール30gを仕込み、瓶を密栓した。この密栓後の瓶を、ペイントシェーカー((株)東洋精機製作所製)に取り付け、大気中、25℃および50%RH下にて1.5時間混合した。次いで、ステンレススチール#80ふるい(JIS Z 8801)を用いてジルコニアボールを分離することにより、固形分濃度76.5質量%の活物質シート用スラリーを得た。
得られた活物質シート用スラリーを、厚さ38μmのPETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、型番「A71」)上へ、塗工機((株)安田精機製作所製、型番「No.542−AB」)を用いて大気中、25℃および50%RHの環境下500μmにてドクターブレード法によって均一に塗布して成膜した。
上記成膜されたPETフィルムを、防爆オーブン(楠本化成(株)製、型番「HT220S」)中で、大気中、80℃の条件で0.5時間加熱して溶媒を留去し、PETから剥離することにより厚み100μmの活物質シートを製造した。
(2)活物質シートの作製2
使用するドクターブレードを420μmとした以外は上記「(1)活物質シートの作製1」と同様にして、厚み85μmの活物質シートを得た。
(3)活物質シートの作製3
使用する電解質粒子を上記「(2)電解質粒子の調製2」で得たLiS−SiSとし、使用する活物質粒子を上記「(5)活物質粒子の調製3」で得たLiCoOとした以外は、上記「(1)活物質シートの作製1」と同様にして、厚み100μmの活物質シートを得た。
(4)活物質シートの作製4
使用する電解質粒子を上記「(2)電解質粒子の調製2」で得たLiS−SiSとし、使用する活物質粒子を上記「(6)活物質粒子の調製4」で得たグラファイトとした以外は、上記「(1)活物質シートの作製1」と同様にして、厚み100μmの活物質シートを得た。
2.3.電解質シートの作製
(1)電解質シートの作製1
雰囲気を露点−90℃以下に制御されたアルゴン雰囲気グローブボックス内にて容量100mLのポリプロピレン製遮光瓶((株)サンプラテック製)中で、上記「(1)電解質粒子の調製1」において調製した電解質粒子56g、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン4g、スチレン−ブタジエン系エラストマー(JSR(株)製、商品名「TR2000」)1g、スチレン−ブタジエン系エラストマー(クレイトンポリマージャパン(株)製、商品名「G1652」)4gおよびトルエン35gを混合した。
容量100mLのポリプロピレン製遮光瓶((株)サンプラテック製)中に、上記で得た混合物の全量(100g)および直径5mmのジルコニアボール30gを仕込み、瓶を密栓した。この密栓後の瓶を、ペイントシェーカー((株)東洋精機製作所製)に取り付け、大気中、25℃および50%RHの環境下において1.5時間混合した。次いで、ステンレススチール#80ふるい(JIS Z 8801)を用いてジルコニアボールを分離することにより、固形分濃度65質量%の電解質シート用スラリーを得た。
得られた電解質シート用スラリーを、厚さ38μmのPETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、型番「A71」)上へ、塗工機((株)安田精機製作所製、型番「No.542−AB」)を用いて大気中、25℃および50%RHの環境下、塗工ギャップ170μmおよび塗工速度5.8cm/秒の条件にてドクターブレード法によって均一に塗布して成膜した。
上記成膜されたPETフィルムを、防爆オーブン(楠本化成(株)製、型番「HT220S」)中で、大気中、80℃の条件で0.5時間加熱して溶媒を留去し、PETフィルム上から剥離することにより厚さ60μmの電解質シートを製造した。
(2)電解質シートの作製2
使用する電解質粒子を上記「(2)電解質粒子の調製2」で得たLiS−SiSとした以外は、上記「(1)電解質シートの作製1」と同様にして電解質シートを得た。
2.4.導電シートの作製
(1)導電シートの製造1
容量100mLのポリプロピレン製遮光瓶((株)サンプラテック製)中で、ケッチェンブラックEC(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製、比重1.6g/cm)1.25g、スチレン−ブタジエン系エラストマー(クレイトンポリマージャパン(株)製、商品名「G1652」、比重0.9g/cm)2.5gおよびトルエン22.6gおよび直径5mmのジルコニアボール30gを仕込み、瓶を密栓した。この密栓後の瓶を、ペイントシェーカー((株)東洋精機製作所製)に取り付け、大気中、25℃および50%RHの環境下において1.5時間混合した。次いで、ステンレススチール#80ふるい(JIS Z 8801)を用いてジルコニアボールを分離することにより、導電シート用スラリーを得た。
得られた導電シート用スラリーを、厚さ38μmのPETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、型番「A71」)上へ、塗工機((株)安田精機製作所製、型番「No.542−AB」)を用いて大気中、25℃および50%RHの環境下、塗工ギャップ100μmおよび塗工速度5.8cm/秒の条件にてドクターブレード法によって均一に塗布して成膜した。
上記成膜されたPETフィルムを、防爆オーブン(楠本化成(株)製、型番「HT22
0S」)中で、大気中、80℃の条件で0.5時間加熱して溶媒を留去し、PETフィルム上から剥離することにより、重合体を67質量%含有する厚さ9μmの導電シートを作製した。こうして得られた導電シートを表中では、「カーボンシートA」と表記した。
(2)導電シートの製造2
ケッチェンブラックの添加量を0.7g、スチレン−ブタジエン系エラストマー(クレイトンポリマージャパン(株)製、商品名「G1652」)の添加量を3.05gとした以外は、上記「(1)導電シートの製造1」と同様にして重合体を81質量%含有する導電シートを得た。こうして得られた導電シートを表中では、「カーボンシートB」と表記した。
(3)導電シートの製造3
ケッチェンブラックの添加量を2g、スチレン−ブタジエン系エラストマー(クレイトンポリマージャパン(株)製、商品名「G1652」)の添加量を1.75gとした以外は、上記「(1)導電シートの製造1」と同様にして重合体を47質量%含有する導電シートを得た。こうして得られた導電シートを表中では、「カーボンシートC」と表記した。
(4)導電シートの製造4
ケッチェンブラックの添加量を2.75g、スチレン−ブタジエン系エラストマー(クレイトンポリマージャパン(株)製、商品名「G1652」)の添加量を1gとした以外は、上記「(1)導電シートの製造1」と同様にして重合体を27質量%含有する導電シートを得た。こうして得られた導電シートを表中では、「カーボンシートD」と表記した。
2.5.蓄電デバイスの製造
(1)実施例1
第1活物質層(正極活物質層)としてAg0.7とAgWOを用いて製造した活物質シート(100μm)1枚、固体電解質層としてAgWOを用いて製造した電解質シート1枚、第2活物質層(負極活物質層)としてAg0.7とAgWOを用いて製造した活物質シート(100μm)2枚を順に重ね合わせ、厚さ6mmのSUS製板で挟み込んだ。その後、アズワン製熱プレス機を用い175℃、400kg/cmのプレス条件で10分熱プレスを行い、SUS製板を除去することで第1活物質層、固体電解質層、第2活物質層の順に積層された積層体を得た。
次いで、上記積層体を80mm角4枚に切り抜いた。切り抜いた積層体4枚と、別途80mm角に切り抜いた厚さ18μmの銅箔を導電層として用い、最外部から導電層、第2活物質層、固体電解質層、第1活物質層と順々になるよう、積層体と導電シートを交互積層させた状態で、175℃、400kg/cmのプレス条件で10分間加圧し、積層体と銅箔導電シートからなる蓄電デバイスを製造した。
(2)実施例2
厚さ30μmのアルミ箔を導電層として用いた以外は、上記実施例1と同様にして蓄電デバイスを得た。
(3)実施例3
カーボンシートA(厚さ9μm)、銅箔(厚さ18μm)、カーボンシートA(厚さ9μm)の順に積層されたシートを導電層として用いた以外は、上記実施例1と同様にして蓄電デバイスを得た。
(4)実施例4
銅箔の厚みを25μmとした以外は、上記実施例3と同様にして蓄電デバイスを得た。
(5)実施例5
銅箔の厚みを10μmとした以外は、上記実施例3と同様にして蓄電デバイスを得た。
(6)実施例6
カーボンシートA(厚さ9μm)を導電層として用いた以外は、上記実施例1と同様にして蓄電デバイスを得た。
(7)実施例7
カーボンシートB(厚さ9μm)を導電層として用いた以外は、上記実施例1と同様にして蓄電デバイスを得た。
(8)実施例8
カーボンシートC(厚さ9μm)を導電層として用いた以外は、上記実施例1と同様にして蓄電デバイスを得た。
(9)実施例9
カーボンシートD(厚さ9μm)を導電層として用いた以外は、上記実施例1と同様にして蓄電デバイスを得た。
(10)実施例10
実施例6における、切り抜いた積層体の使用枚数を2枚、カーボンシートAの使用枚数を3枚とした以外は、実施例6と同様にして蓄電デバイスを得た。
(11)実施例11
実施例6における、切り抜いた積層体の使用枚数を8枚、カーボンシートAの使用枚数を9枚とした以外は、実施例6と同様にして蓄電デバイスを得た。
(12)実施例12
第1活物質層(正極活物質層)としてAg0.58とAgWOを用いて製造した活物質シート(100μm)1枚、固体電解質層としてAgWOを用いて製造した電解質シート1枚、第2活物質層(負極活物質層)としてAg0.58とAgWOを用いて製造した活物質シート(100μm)1枚を順に重ね合わせ、厚さ6mmのSUS製板で挟み込んだ。その後、アズワン製熱プレス機を用い175℃、400kg/cmのプレス条件で10分熱プレスを行い、SUS製板を除去することで第1活物質層、固体電解質層、第2活物質層の順に積層された積層体を得た。
次いで、上記積層体を80mm角4枚に切り抜いた。切り抜いた積層体4枚と、別途80mm角に切り抜いたカーボンシートA(厚さ9μm)、銅箔(厚さ18μm)、カーボンシートA(厚さ9μm)の順に積層されたシートを導電層として用い、最外部から導電層、第2活物質層、固体電解質層、第1活物質層と順々になるよう、積層体と導電シートを交互積層させた状態で、175℃、400kg/cmのプレス条件で10分間加圧し、積層体と銅箔導電シートからなる蓄電デバイスを製造した。
(13)実施例13
カーボンシートA(厚さ9μm)を導電層として用いた以外は、上記実施例12と同様にして蓄電デバイスを得た。
(14)実施例14
第2活物質層(負極活物質層)としてAg0.58とAgWOを用いて製造した活物質シート(85μm)(「(2)活物質シートの作製2」で作製された活物質シート)1枚を用いた以外は、上記実施例13と同様にして蓄電デバイスを製造した。
(15)実施例15
第1活物質層(正極活物質層)としてAg0.58とAgWOを用いて製造した活物質シート(85μm)(「(2)活物質シートの作製2」で作製された活物質シート)1枚を用いた以外は、上記実施例13と同様にして蓄電デバイスを製造した。
(16)比較例1
SUS製板上に第1活物質シート(正極活物質シート)としてLiCoOを用いて製造した活物質シート(「(2)活物質シートの作製3」で作製された活物質シート)2枚、電解質シートとしてLiS−SiSを用いて製造した電解質シート1枚、第2活物質シート(負極活物質シート)としてグラファイトを用いて製造した活物質シート(「(3)活物質シートの作製4」で作製された活物質シート)1枚、更にSUS製板を順に積層し、アズワン製熱プレス機を用い175℃400kg/cmのプレス条件で10分熱プレスを行い第1活物質シート、電解質シート、第2活物質シートの順となるリチウム電解質を含む積層体を得た。実施例1における銀電解質を含む積層体を、リチウム電解質を含む上記の積層体とした以外は、実施例1と同様にして蓄電デバイスを得た。
(17)比較例2
実施例2における銀電解質を含む積層体を、比較例1で作製したリチウム電解質を含む積層体とした以外は、実施例2と同様にして蓄電デバイスを得た。
(18)比較例3
実施例1における、切り抜いた積層体の使用枚数を1枚、銅箔の使用枚数を2枚とした以外は、実施例1と同様にして蓄電デバイスを得た。
2.6.蓄電デバイスの評価
<初期放電特性の評価>
製造した蓄電デバイスの最外部に取り出しタブとしてアズワン製銅箔粘着テープ831Sを貼り付けた。25℃50%RHの恒温槽内にて蓄電デバイスの充放電特性を評価した。それぞれの蓄電デバイスについて表1に示した充電カットオフ電圧、0.1mA/cmの電流密度にて定電流充電(以下「CC充電」という。)を行った。更に、表1に示したカットオフ電圧、0.1mA/cmの電流密度にて定電流放電(以下「CC放電」という。)を行うことで初期放電評価を実施した。その際の放電容量を初期放電容量、平均放電電圧を表1に併せて記載した。初期放電容量としては0.1mAh/cm以上が良好であり、0.12mAh/cm以上がより良好であると判断できる。平均放電電圧としては、0.7V以上が良好であり、0.7V未満は不良であると判断できる。
<容量保持率の評価>
それぞれの蓄電デバイスについて表1に示した充電カットオフ電圧、0.1mA/cmの電流密度にてCC充電を行った。更に、表1に示したカットオフ電圧にて、電流密度を0.5mA/cmとしてCC放電を行った。続いて、蓄電デバイスについて表1に示した充電カットオフ電圧、0.1mA/cmの電流密度にてCC充電を行った。更に、電流密度を1.0mA/cmとしてCC放電を行った。それぞれの放電容量を高速放電容量とした。容量保持率(%)=(高速放電容量/初期放電容量)×100とした。0.
5mA/cmにおける容量保持率は80%以上が良好であり、90%以上がより良好であると判断できる。1.0mA/cmにおける容量保持率は50%以上が良好であり、75%以上がより良好であると判断できる。
<サイクル維持率の評価>
それぞれの蓄電デバイスについて表1に示したカットオフ電圧にて、0.1mA/cmの電流密度にて、CC充放電サイクル評価を行った。200回目の放電容量をサイクル容量とし、サイクル維持率(%)=(サイクル容量/初期放電容量)×100とした。サイクル維持率は、90%以上が良好であり、95%以上がより良好であると判断できる。
2.7.評価結果
下表1に、実施例および比較例で用いた蓄電デバイスの層構成、ならびに評価結果を示す。
Figure 2015164116
実施例1〜2の導電層として金属箔を用いた銀電解質を含む4積層セルは、平均放電電
圧が約1.5V程度と良好であり、容量保持率やサイクル維持率も概ね良好であった。
実施例3〜5の導電層として金属箔およびカーボンシートを用いた銀電解質を含む4積層セルは、平均放電電圧が約1.5V程度と良好であることに加え、サイクル維持率が特に良好であった。直列積層セルにおいて導電層は正極と負極に挟まれており、また正極と負極は充放電時にそれぞれ膨張収縮が逆に起こるため、導電層に大きなせん断負荷がかかる。特にリチウム等と比較してイオンサイズが大きい銀イオンが活物質に脱挿入される際の電極膨張収縮は大きいと考えられる。柔軟性に富み応力緩和できる重合体を含むカーボンシートを用いたことにより、直列積層セル特有の集電層へのせん断負荷を大きく緩和できたため良好なサイクル維持率が得られたと考えられる。
実施例6〜9の導電層としてカーボンシートを用いた銀電解質を含む4積層セルは、平均放電電圧が約1.5V程度と良好であることに加え、容量保持率とサイクル維持率が特に良好であった。容量保持率が向上した詳細な原因は不明であるが、金属箔とカーボンシート間の界面抵抗が高いため、金属箔を含まないことで良好な容量保持率が発現したと推測される。
実施例10〜11の導電層としてカーボンシートを用いた銀電解質を含む積層数を変更したセルは、容量保持率とサイクル維持率と屈曲評価が特に良好であったが、平均放電電圧は0.7V以上と概ね良好な値であった。この結果より、積層数を変更しても特に問題はなく、電圧は積層数により変更できることが判った。
実施例12における平均放電電圧が約1.5V程度と良好であることに加え、サイクル維持率が特に良好であった。直列積層セルにおいて導電層は正極と負極に挟まれており、また正極と負極は充放電時にそれぞれ膨張収縮が逆に起こるため、導電層に大きなせん断負荷がかかる。特にリチウム等と比較してイオンサイズが大きい銀イオンが活物質に脱挿入される際の電極膨張収縮は大きいと考えられる。柔軟性に富み応力緩和できる重合体を含むカーボンシートを用いたことにより、直列積層セル特有の集電層へのせん断負荷を大きく緩和できたため良好なサイクル維持率が得られたと考えられる。また、実施例12は負極シートを1枚のみしか用いていないためデバイスが薄いにも関わらず容量やサイクル特性が良好であり、電池の薄型化や高エネルギー密度化に有効であることが判った。また、正極と負極に同一シートを用いているため、第1活物質層(正極活物質層)、固体電解質層、第2活物質層(負極活物質層)の順に積層された積層体が対象構造であり、更に、積層体と導電層を積層してなる蓄電デバイスも対象構造となる。電気化学的に蓄電デバイスが対象構造となるため、蓄電デバイスの正極負極を区別する必要がなくなり、細かく切出した後の小型蓄電デバイスの管理が容易となる。また、蓄電デバイス実装時の逆接続の懸念もなくなり好ましい。また、蓄電デバイスが物理構造的に対象であるため、蓄電デバイス製造時や実装時の熱履歴に対して蓄電デバイスの反りが起こりにくく好ましい。さらに、実施例13〜15によれば、金属箔を含まず正極活物質シートと負極活物質シートの厚みの比率が0.8〜1.2の範囲内にあることにより、良好な充放電特性が得られることが判明した。
一方、比較例1〜2のリチウム電解質を含む積層体を含む4積層セルは、充電が完了せずに放電を行うことができなかった。比較例1では、充電時、正極接触面に存在する銅箔が溶解するなどして不安定な状態となり、充電できなかったものと推測される。比較例2では、充電時に負極接触面においてアルミニウムがLi合金化することで、充電できなかったものと推測される。
比較例3では、積層体の使用枚数が1枚の単層構造としたため、平均電圧が0.4Vと低くなってしまい、実用に適するものとはならなかった。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を包含する。また本発明は、上記の実施形態で説明した構成の本質的でない部分を他の構成に置き換えた構成を包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成をも包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成をも包含する。
10…導電層、12…第1活物質層、14…第2活物質層、16…バイポーラ電極、18…固体電解質層、20…基板、22a,22b,22c,22d…コンデンサまたはセンサ等の突起物、26,30,40…実装基板、32…凹部、42…スペース、50…基盤、100,101,102,103,104…蓄電デバイス

Claims (9)

  1. 導電層、前記導電層の一方の表面に形成された第1活物質層、および前記導電層の他方の表面に形成された第2活物質層を有し、前記第1活物質層および前記第2活物質層のいずれか一方が正極活物質層、他方が負極活物質層として機能するバイポーラ電極と、
    固体電解質層と、
    を含み、前記固体電解質層を介して前記バイポーラ電極が積層された積層体を複数備え、
    前記固体電解質層が、銀イオン伝導性固体電解質を含有することを特徴とする、蓄電デバイス。
  2. 前記第1活物質層と前記第2活物質層が同じ活物質を含有する、請求項1に記載の蓄電デバイス。
  3. 導電層、前記導電層の一方の表面に形成された第1活物質層、および前記導電層の他方の表面に形成された第2活物質層を有し、前記第1活物質層および前記第2活物質層のいずれか一方が正極活物質層、他方が負極活物質層として機能するバイポーラ電極と、
    固体電解質層と、
    を含み、前記固体電解質層を介して前記バイポーラ電極が積層された積層体を複数備え、
    前記第1活物質層の厚みをT1、第2活物質層の厚みをT2としたした場合にT1/T2の値が0.8〜1.2である蓄電デバイス。
  4. 前記第1活物質層と前記第2活物質層が同じ活物質を含有する、請求項3に記載の蓄電デバイス。
  5. 前記固体電解質層が、銀イオン伝導性固体電解質を含有することを特徴とする、請求項3または請求項4に記載の蓄電デバイス。
  6. 前記導電層が1層以上存在し、その内の少なくとも1層が重合体を含有する、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
  7. 前記重合体が、熱可塑性エラストマーである、請求項6に記載の蓄電デバイス。
  8. 前記重合体を含有する導電層が、重合体を10〜95質量%含有する、請求項6または請求項7に記載の蓄電デバイス。
  9. 前記重合体が、スチレンに由来する繰り返し単位およびブタジエンに由来する繰り返し単位を含む、請求項6ないし請求項8のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
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