JP2010003614A - 電極用集電体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水系の活物質組成物を用いて電極を製造する用途に好適な集電体、該集電体を用いた電極、ならびに該電極を用いた電池の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明によると、集電体31に活物質層35が保持された電極30の構成要素として用いられ、金属製集電基材32の表面にカーボン材料(導電材)含有ポリマー層33を有する集電体31を製造する方法が提供される。その方法は、カーボン材料と非水溶性ポリマー材料と該ポリマー材料を溶解する溶媒とを含む組成物を用意する工程と、該組成物を集電基材32に付与する工程と、該組成物が付与された集電基材32に140〜150℃で3〜5時間の熱処理を施してポリマー層33を形成する工程と、を包含する。
【選択図】図3

Description

本発明は、電池(例えばリチウムイオン電池)用電極の構成要素として用いられる集電体の製造方法に関し、詳しくは、金属製の基材(集電基材)の表面に導電材を含むポリマー層が設けられた構成の集電体を製造する方法に関する。また本発明は、かかる集電体を用いた電極および該電極を用いた電池に関する。
電荷担体として機能する化学種を放出し得る材料を集電体に保持した構成の電極が知られている。この種の電極の一例として、該化学種を可逆的に吸蔵および放出し得る材料(活物質)を金属製集電体に保持した構成の二次電池用電極が挙げられる。かかる電極は、対極との間に介在された電解質(典型的には非水電解質)を通じてリチウムイオンが行き来することにより充放電するリチウムイオン電池を構築する正極または負極として好ましく使用され得る。活物質を集電体に保持させる代表的な方法として、該活物質の粉末を溶媒に分散させたペーストまたはスラリー状の組成物(活物質組成物)を集電体に付与して活物質主体の層(活物質層)を形成する方法が挙げられる。この方法に使用する活物質組成物としては、環境負荷の軽減、材料費の低減、設備の簡略化、廃棄物の減量、取扱性の向上等の観点から、上記媒体(活物質粉末等の分散媒)を構成する溶媒が水系溶媒である水系の活物質組成物が好ましい。
しかしながら、活物質の内容によっては水系組成物の使用により電池容量の低下あるいは初期内部抵抗の増大による放電特性の低下といった問題が生じ得る。これらは組成物中に含まれる活物質と水との反応に起因し得る。例えば、正極活物質としてリチウムニッケル系酸化物等のリチウム遷移金属酸化物(リチウムと一種または二種以上の遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物をいう。以下同じ。)を用いる場合、水系溶媒に分散した正極活物質の表面でプロトンとリチウムイオンの交換反応が生じ、その結果として水系活物質組成物のpHが高い値(すなわちアルカリ性)となり得る。かかる高pHの水系活物質組成物を正極集電体(例えばアルミニウム製)に付与すると、該集電体の表面に高電気抵抗性を示す化合物(例えば酸化物、水酸化物)が生成し易くなることがある。このような高電気抵抗性化合物の生成は、電池の初期内部抵抗増大の要因(ひいては、高出力化を妨げる要因)となり得る。
この点に関し、特許文献1には、金属製集電体の表面に有機溶剤可溶性ポリマー(結着材)および導電材を含む層(導電層)を設け、この層を利用して水と集電体との直接接触を阻止することにより、該層の上から水系活物質組成物を付与して活物質層を形成する際に上記高電気抵抗性化合物が生成する事象を回避する技術が記載されている。
特開2006−4739号公報
導電材を含むポリマー層が金属表面に設けられた構成の集電体において、化学的安定性や導電性等の観点から好ましい導電材の候補としてカーボン材料が挙げられる。しかしながら、一般にカーボン材料は水分を吸着しやすい性質を有する。このため、カーボン材料を含むポリマー層を介して活物質層が設けられた構成の電極を用いて電池を構築すると、上記カーボン材料に吸着した水分が電池容器内に持ち込まれ得ることから、ポリマー層を有しない構成の電極を用いて同様に構築された電池に比べて電池容器内の水分量が多めになることが懸念される。かかる水分量の増加は、特に電池容器内の水分を嫌う非水系二次電池(非水系の電解質を備えた二次電池、典型的にはリチウムイオン電池)では好ましくない。例えばリチウムイオン電池では、電池容器内の水分が電解液と反応してガスや高電気抵抗性の化合物を生成する要因となり得る。
本発明の目的は、水系の活物質組成物を使用して電極(例えばリチウムイオン電池用正極)を製造する場合の問題をより高いレベルで解決し、より高性能な電極(例えば、より高性能な電池を構築し得る電極)を製造する方法を提供することである。本発明の他の目的は、かかる電極製造方法において好ましく使用される集電体の製造方法を提供することである。本発明のさらに他の目的は、上記電極を用いて構築されたリチウムイオン電池その他の電池ならびに該電池を備えた車両の提供である。
本発明によると、電極活物質を主成分とする活物質層が集電体に保持された電極の構成要素として用いられる集電体であって、金属製集電基材の表面に導電材としてのカーボン材料を含むポリマー層(導電材含有ポリマー層)を有する集電体を製造する方法が提供される。その集電体製造方法は、前記カーボン材料と、非水溶性ポリマー材料と、該ポリマー材料を溶解する溶媒と、を含むポリマー層形成用組成物を用意(購入、調製等)する工程を含む。また、前記ポリマー層形成用組成物を前記集電基材に付与(典型的には塗布)する工程を含む。また、前記組成物が付与された集電基材に所定の熱処理を施すことにより該集電基材の表面にポリマー層を形成する工程を含む。ここで、前記熱処理は、処理温度140〜150℃、処理時間3〜5時間の条件で行われる。
かかる製造方法によると、上記所定条件で行われる熱処理によって、ポリマー層中の水分(典型的には、主としてポリマー層中のカーボン材料に吸着した水分)の量を効果的に減らすことができ、且つ該熱処理がポリマー層の性能に及ぼす影響(例えば導電性の低下)を抑えることができる。上記集電体上に活物質層を形成してなる電極によれば、該電極を用いて電池を構築する場合における電池容器内への水分持込量をより低減することができる。その結果、容器内水分に起因するガスの発生や高電気抵抗性化合物の生成が抑制されるので、より高性能な電池が製造され得る。また、上記集電体は表面にポリマー層を有するので、上記活物質層の形成に水系の活物質組成物を用いる場合においても、該ポリマー層によって上記水系組成物と金属製集電基材との接触を阻止し得る。したがって、上述のように集電体表面に高電気抵抗性化合物が生じる事象を抑えて、より高性能(例えば、より高出力)な電池を構築し得る電極を製造することができる。
ここに開示される方法の好ましい一態様では、前記熱処理において、前記処理時間の経過後、前記集電体を前記処理温度から常温まで10〜14℃/時間の冷却速度で徐冷する。かかる態様によると、より水分含有量が少なく且つ導電性のよい(例えば、より膜抵抗の低いポリマー層を備えた)集電体が製造され得る。
前記ポリマー層形成用組成物としては、前記カーボン材料と前記ポリマー材料とを凡そ10:90〜40:60の質量比で含むものを好ましく使用し得る。かかる組成物によると、より耐水性に優れたポリマー層が形成され得る。このように耐水性に優れたポリマー層を備えた集電体は、例えば該集電体に水系の活物質組成物を付与して電極を製造する用途に好適である。
本発明によると、また、電極活物質を主成分とする活物質層が集電体に保持された構成の電極(好ましくは非水系二次電池用電極、例えばリチウムイオン電池用正極)を製造する方法が提供される。その電極製造方法は、ここに開示されるいずれかの方法により製造された集電体を用意(購入、作製等)する工程と、電極活物質が水系溶媒に分散した水系活物質組成物を前記集電体に付与して活物質層を形成する工程とを包含する。
かかる製造方法によると、集電体の表面に設けられたポリマー層を利用して、水系活物質組成物と金属製集電基材との接触を阻むことができる。これにより、水系の活物質組成物の使用に拘らず、上述のように集電体表面に高電気抵抗性化合物が生じる事象を適切に防止することができる。また、上記集電体を用いて製造された電極は、より含有水分量が低減されたものとなり得ることから、電池容器内への水分持込量を抑えることができる。したがって、上記方法により製造された電極によると、より高性能(例えば、より高出力)な電池が構築され得る。
なお、本明細書において「電池」とは、電気エネルギーを取り出し可能な蓄電デバイス一般を指す用語であって、二次電池(リチウムイオン電池、金属リチウム二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のいわゆる蓄電池ならびに電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を包含する。)および一次電池を含む概念である。
本発明によると、また、ここに開示されるいずれかの電極を用いて構築された非水系二次電池が提供される。かかる二次電池は、電池容器内への水分持込量が抑えられ、且つ該電極を構成する集電体において上記高電気抵抗性化合物の生成が防止されていることから、より高性能なものとなり得る。ここに開示されるいずれかの方法により製造された電極を正極に用いて構築されたリチウムイオン電池は、本発明により提供される非水系電池の一典型例である。
本発明によると、また、ここに開示されるいずれかの方法により製造された電極を例えば正極に用いてなるリチウムイオン電池を備える車両が提供される。上記リチウムイオン電池は、車両に搭載されるリチウムイオン電池として適した高性能(例えば、安定して高出力を発揮すること)を実現するものであり得る。したがって、自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用の電源として好適に使用され得る。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示される技術は、例えば、集電体に活物質層が保持された構成の電極であって該活物質層の形成に水系の活物質組成物を用いる場合に該組成物の液性がアルカリ性となりやすい活物質(典型的には、水と接触してその液性をアルカリ側にシフトさせ得る活物質)を備えた各種の電極の製造、ならびに該電極の構成要素として好適な集電体の製造に好ましく適用され得る。上記活物質の代表例として、リチウムニッケル系酸化物、リチウムコバルト系酸化物等のリチウム遷移金属酸化物が挙げられる。
電極を構成する集電体のうち金属部(集電基材)の材質が、アルカリ性の水系組成物と接触することにより表面に高電気抵抗性を示す化合物を生成し得る材質である場合には、ここに開示される技術を適用することによる効果が特によく発揮され得る。かかる材質の代表例として、アルミニウム(Al)、アルミニウムを主成分とする合金(アルミニウム合金)等のアルミニウム材料が挙げられる。他の例としては、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)等の両性金属およびこれらの金属のいずれかを主成分とする合金が挙げられる。
使用する集電体または集電基材の形状は、得られた電極を用いて構築される電池(典型的には二次電池)の形状等に応じて異なり得るため特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。ここに開示される技術は、例えばシート状もしくは箔状の集電体または集電基材を用いた電極の製造に好ましく適用することができる。かかる方法により製造された電極を用いて構築される電池の好ましい一態様として、シート状の正極および負極を典型的にはシート状のセパレータとともに捲回してなる電極体(捲回電極体)を備える電池が挙げられる。該電池の外形は特に限定されず、例えば直方体状、扁平形状、円筒状等の外形であり得る。
ここに開示される技術が好ましく適用される電極の典型例として、リチウム遷移金属酸化物を活物質とし、該活物質を主成分とする活物質層がアルミニウム材料製の集電体に保持された構成のリチウムイオン電池用正極が挙げられる。以下、主としてリチウムイオン電池用正極の構成要素として用いられる集電体の製造、該集電体を用いたリチウムイオン電池用正極の製造ならびに該電極を用いて構築されたリチウムイオン電池に適用する場合を例として本発明をより詳しく説明するが、本発明の適用対象をかかる集電体、電極または電池に限定する意図ではない。
リチウムイオン電池用正極の活物質(活物質層の主成分)たるリチウム遷移金属酸化物(典型的には粒子状)としては、この種のリチウムイオン電池の正極活物質として機能し得る層状構造の酸化物あるいはスピネル構造の酸化物を適宜選択して使用することができる。例えば、リチウムニッケル系酸化物、リチウムコバルト系酸化物およびリチウムマンガン系酸化物から選択される一種または二種以上のリチウム遷移金属酸化物の使用が好ましい。ここに開示される技術の特に好ましい適用対象は、正極活物質としてリチウムニッケル系酸化物を用いてなる(典型的には、正極活物質が実質的にリチウムニッケル系酸化物からなる)正極である。リチウムニッケル系酸化物は、リチウムコバルト系酸化物やリチウムマンガン系酸化物に比べて、水系溶媒に分散された場合にLiがより溶出しやすい(したがって水性活物質組成物の液性をアルカリ側にシフトさせる作用が強い)傾向にある。したがって、正極活物質としてリチウムニッケル系酸化物を用いる電極の製造においては、ここに開示される方法を適用することによる効果が特によく発揮され得る。
ここで「リチウムニッケル系酸化物」とは、LiとNiとを構成金属元素とする酸化物の他、LiおよびNi以外に他の一種または二種以上の金属元素(すなわち、LiおよびNi以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)をNiよりも少ない割合(原子数換算。LiおよびNi以外の金属元素を二種以上含む場合にはそれらのいずれについてもNiよりも少ない割合)で含む複合酸化物をも包含する意味である。かかる金属元素は、例えば、Co,Al,Mn,Cr,Fe,V,Mg,Ti,Zr,Nb,Mo,W,銅,Zn,Ga,In,Sn,LaおよびCeからなる群から選択される一種または二種以上の元素であり得る。同様に、「リチウムコバルト系酸化物」とはLiおよびCo以外に他の一種または二種以上の金属元素をCoよりも少ない割合で含む複合酸化物をも包含する意味であり、「リチウムマンガン系酸化物」とはLiおよびMn以外に他の一種または二種以上の金属元素をMnよりも少ない割合で含む複合酸化物をも包含する意味である。
このようなリチウム遷移金属酸化物(典型的には粒子状)としては、例えば、従来公知の方法で調製・提供されるリチウム遷移金属酸化物粉末(以下、活物質粉末ということもある。)をそのまま使用することができる。例えば、平均粒径が凡そ1μm〜25μm(典型的には凡そ2μm〜15μm)の範囲にある二次粒子によって実質的に構成されたリチウム遷移金属酸化物粉末を、ここに開示される技術における正極活物質として好ましく採用することができる。
ここに開示される方法に使用される正極活物質組成物は、このような活物質が水系溶媒に分散した形態の水系組成物であり得る。また、ここに開示される正極活物質は、かかる水系組成物を用いて形成されたものであり得る。ここで「水系溶媒」とは、水または水を主体とする混合溶媒を指す概念である。該混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶剤(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。例えば、該水系溶媒の凡そ80質量%以上(より好ましくは凡そ90質量%以上、さらに好ましくは凡そ95質量%以上)が水である水系溶媒の使用が好ましい。特に好ましい例として、実質的に水からなる水系溶媒が挙げられる。特に限定するものではないが、正極活物質組成物の固形分濃度(不揮発分、すなわち活物質層形成成分の割合)は、例えば凡そ40〜60質量%程度であり得る。
上記正極活物質組成物は、典型的には、正極活物質および水系溶媒の他に、該組成物から形成される正極活物質層の導電性を高める導電材を含有する。かかる導電材としては例えばカーボン粉末やカーボンファイバー等のカーボン材料が好ましく用いられる。あるいは、ニッケル粉末等の導電性金属粉末等を用いてもよい。これらのうち一種のみを用いてもよく二種以上を併用してもよい。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック)、グラファイト粉末、等のカーボン粉末を用いることができる。これらのうちアセチレンブラックを好ましく採用することができる。例えば、構成粒子(典型的には一次粒子)の平均粒径が凡そ10nm〜200nm(例えば凡そ20nm〜100nm)の範囲にある粒状導電材(例えば、アセチレンブラック等の粒状カーボン材料)の使用が好ましい。
その他、上記正極活物質組成物は、一般的なリチウムイオン電池正極の製造において正極活物質組成物(典型的には水系組成物)に配合され得る一種または二種以上の材料を必要に応じて含有することができる。そのような材料の例として、正極活物質の結着材(バインダ)として機能し得る各種のポリマー材料が挙げられる。かかるポリマー材料としては、水系の活物質組成物を調製するにあたって結着材として従来用いられているポリマー材料を適宜選択して使用することができる。有機溶剤に対して実質的に不溶性であって水に溶解または分散するポリマー材料の使用が好ましい。例えば、水に溶解する(水溶性の)ポリマー材料としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール(PVA);等の水溶性ポリマーが挙げられる。なかでもCMCを好ましく採用し得る。また、水に分散する(水分散性の)ポリマー材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重含体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂、酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエンブロック共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)、アラビアゴム等のゴム類が例示される。なかでもPTFE等のフッ素系樹脂を好ましく使用し得る。このようなポリマー材料のうち一種のみを用いてもよく二種以上を併用してもよい。
正極活物質層全体に占める正極活物質の割合(典型的には、正極活物質組成物の固形分に占める正極活物質の割合と概ね一致する。)は、凡そ50質量%以上(典型的には50〜95質量%)であることが好ましく、凡そ75〜90質量%であることがより好ましい。導電材を含む組成の正極活物質層では、該活物質層に占める導電材の割合を例えば凡そ3〜25質量%とすることができ、凡そ3〜15質量%とすることが好ましい。この場合において、該活物質層に占める正極活物質の割合は凡そ80〜95質量%(例えば85〜95質量%)とすることが適当である。
また、正極活物質および導電材以外の正極活物質層形成成分(例えばポリマー材料)を含有する組成物では、それら任意成分の合計含有割合(正極活物質層形成成分全体に占める割合)を凡そ7質量%以下とすることが好ましく、凡そ5質量%以下(例えば凡そ1〜5質量%)とすることがより好ましい。上記任意成分の合計含有割合が凡そ3質量%以下(例えば凡そ1〜3質量%)であってもよい。
ここに開示される電極製造方法では、導電材としてのカーボン材料を含むポリマー層が集電基材の表面に設けられた構成の集電体を使用し、該ポリマー層の上から上記集電体に正極活物質組成物を付与して活物質層を形成する。以下、かかる集電体(ポリマー層付集電体)の製造方法、ポリマー層の構成および形成方法につき詳しく説明する。
上記ポリマー層は、非水溶性ポリマー材料(典型的には、中性からアルカリ性の水に対して実質的に不溶性のポリマー材料)と、導電材としてのカーボン材料とを含有する。
上記非水溶性ポリマー材料としては、集電体表面に耐水性のある被膜を形成し得る一種または二種以上の材料を適宜選択して使用することができる。当該電極を用いて構築される電池(典型的にはリチウムイオン電池)の電解質(典型的には液状の電解質、すなわち電解液)や電池反応に対して耐性を有する材料を採用することが好ましい。かかる非水溶性ポリマー材料として、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体(PEO−PPO)等を用いることができる。なかでもPVDFの使用が好ましい。
上記カーボン材料としては、カーボン粉末(粒状カーボン材料)、カーボンファイバー(繊維状カーボン材料)等の各種カーボン材料から選択される一種または二種以上を適宜使用し得る。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック)、グラファイト粉末、等のカーボン粉末を用いることができる。これらのうちアセチレンブラックを好ましく採用することができる。例えば、構成粒子(典型的には一次粒子)の平均粒径が凡そ10nm〜200nm(例えば凡そ20nm〜100nm)の範囲にあるカーボン粉末(アセチレンブラック等)の使用が好ましい。また、カーボンファイバーとしては、PAN系、ピッチ系等の一般的な炭素繊維の他、カーボンナノチューブ(単層でも多層でもよい)、気相法により合成された炭素繊維(いわゆる気相法炭素繊維、例えば昭和電工株式会社から入手可能な商品名「VGCF」)等が例示される。例えば、繊維長10μm〜20μm程度の繊維状カーボン材料を好ましく使用することができる。粒状カーボン材料と繊維状カーボン材料とを任意の割合で併用してもよい。
ポリマー層における導電材/ポリマー材料の質量比(典型的には、ポリマー層形成用組成物に含まれる導電材/ポリマー材料の質量比と概ね一致する。)は、例えば凡そ60/40以下(典型的には凡そ10/90〜60/40)とすることができ、凡そ50/50以下(典型的には凡そ20/80〜50/50、例えば凡そ30/70〜40/60)とすることが好ましい。該質量比が上記範囲よりも小さすぎると、ポリマー層において十分な導電経路(導電パス)を確保することが困難となり、電極の導電性が低下傾向となることがある。一方、導電材/ポリマー材料の質量比が上記範囲よりも大きすぎると、ポリマー層の耐水性が低下傾向となることがある。
かかるポリマー層は、典型的には、上記導電材と非水溶性ポリマー材料とを適当な(典型的には、該ポリマー材料を溶解可能な)溶媒に添加混合して調製されたポリマー層形成用組成物を、金属製(典型的にはアルミニウム材料製)の集電基材の表面に付与する操作を含む方法により形成され得る。該組成物の調製に用いる溶媒は、使用する非水溶性ポリマー材料との組み合わせを考慮して適宜選択することができる。例えば、従来の溶剤系活物質組成物の調製に用いられる各種の有機溶剤(非水系溶媒)から選択される一種または二種以上を使用することができる。かかる有機溶剤として、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メチルエチルケトン、トルエン等が例示される。これらのうち例えばNMPを好ましく採用することができる。特に限定するものではないが、ポリマー層形成用組成物の固形分濃度(不揮発分、すなわちポリマー層形成成分の割合。以下「NV」と表記する。)は例えば凡そ1〜30質量%(好ましくは凡そ5〜20質量%)程度であり得る。NVが高すぎると、ポリマー層形成用組成物の取扱性(例えば、該組成物を集電体(特に箔状集電体)に付与する際の塗工性等)が低下しやすくなることがある。また、NVが低すぎると、使用する有機溶剤量が多くなるのでコスト高となりがちである。
ポリマー層形成用組成物を集電基材の表面に付与する操作は、従来公知の適当な塗布装置(スリットコーター、ダイコーター、コンマコーター、グラビアコーター等)を使用して好適に行うことができる。上記組成物の塗布量は特に限定されないが、少なすぎると該組成物から形成されるポリマー層の耐水性が低下しやすく、多すぎると該ポリマー層(ひいては電極)の導電性が低下しがちとなることがある。これら耐水性と導電性との兼ね合いから、通常は、該塗布量を集電基材の片面当たり凡そ0.1〜10g/m(固形分基準)とすることが適当であり、例えば凡そ1〜5g/m(固形分基準)とすることが好ましい。最終的に形成されるポリマー層の厚みが例えば凡そ0.1μm〜10μm(より好ましくは凡そ1μm〜5μm)となるように上記塗布量を設定することが好ましい。
次いで、上記ポリマー層形成用組成物が付与された集電基材を140〜150℃に3〜5時間加熱する熱処理を行う。熱処理温度を上記範囲とするのは、150℃よりも高温(例えば160℃)になると該熱処理を経て形成されるポリマー層の膜抵抗が大幅に上昇し(すなわち導電性の低下。図6参照)、140℃よりも低温(例えば130℃)になると加熱時間に対する含有水分量の減りかたが明らかに鈍くなるためである(図7参照)。また、熱処理時間を上記範囲とするのは、5時間を超えるとポリマー層の膜抵抗が急に上昇し(図6参照)、3時間未満では含有水分量の低減効果が少ないためである(図7参照)。処理温度を140〜150℃とし、且つ処理時間を3〜5時間とすることにより、含有水分量を効果的に低減し、且つ膜抵抗の上昇を抑えることができる。
本発明を実施するに当たり、上記のように処理温度が高すぎるかまたは処理時間が長すぎることにより膜抵抗が上昇する理由を明らかにする必要はないが、例えば、ポリマー層に含まれるポリマー成分(非水溶性ポリマー材料)の結晶性が高くなる結果、カーボン材料同士の接触が阻げられて膜抵抗が上昇することが考えられる。
なお、上記組成物の調製に用いられた溶媒(典型的には有機溶媒)は、上記熱処理の初期段階で揮発除去され得る。あるいは、集電基材に付与されたポリマー層形成用組成物をまず乾燥させ(上記溶媒を揮発除去し)て未処理のポリマー層を形成し、その後、任意のタイミングで(例えば、上記乾燥に引き続いて、あるいは時間をおいて)該未処理ポリマー層に熱処理を施してもよい。上記組成物の乾燥(未処理ポリマー層の形成)は、自然乾燥により行ってもよく、必要に応じて適当な乾燥促進手段(送風機、ヒータ等)を用いてもよい。このときの乾燥時間は、生産性の観点から、上記熱処理条件よりも短時間(好ましくは凡そ5分以下、例えば凡そ1分以下、典型的には5秒以上)とすることができる。また、上記組成物の乾燥温度としては、上記熱処理温度と同等以下(典型的には常温以上)の温度が好ましい。
上記熱処理を行うにあたっては、上記処理時間の経過後、上記集電基材を上記処理温度(140〜150℃)から常温まで凡そ10〜14℃/時間の速度でゆっくりと冷却(徐冷)することが好ましい。このことによって、より水分含有量が少なく且つ導電性のよい集電体が製造され得る。冷却速度を上記範囲とするのは、図8に示すように、冷却速度が大きすぎると冷却に伴って周囲の水分がポリマー層に吸着することにより含有水分量が上昇する現象がみられ、冷却速度が小さすぎるとポリマー成分の結晶化が進行するため膜抵抗が低下するためである。また、冷却速度が小さすぎると冷却に要する時間が長くなるため、その間に周囲の水分が吸着されて含有水分量が上昇する。上記冷却速度を採用することにより、より含有水分量が少なく且つ膜抵抗の低い集電体を得ることができる。
このようにして得られた集電体(ポリマー層付集電体)に上記ポリマー層の上から活物質組成物を付与する操作は、集電基材の表面にポリマー層形成用組成物を付与する操作と同様にして行うことができる。その塗布物を乾燥することによって(このとき必要に応じて適当な乾燥促進手段(ヒータ等)を用いてもよい。)正極活物質層が形成される。活物質組成物の塗布量は特に限定されず、正極および電池の形状や用途に応じて適宜異なり得る。例えば、ポリマー層と活物質層との厚み比率(ポリマー層:活物質層)が概ね1:5〜1:100(典型的にはプレス後の厚み比率)となるように、活物質層を比較的厚く形成することが好ましい。
このようにして得られた積層物(正極)を所望により厚み方向にプレスすることによって、目的とする厚みの正極シートを得ることができる。上記プレスを行う方法としては、従来公知のロールプレス法、平板プレス法等を適宜採用することができる。
ここに開示される方法により集電体および電極(例えばリチウムイオン電池用正極)を製造する好ましい一態様を、図3に示す電極断面図(集電体の片面側のみを示している。)に沿って説明すれば、以下のとおりである。すなわち、まず集電基材(例えばアルミニウム箔)32を用意する(ステップS100)。一方、カーボン材料(例えばアセチレンブラック)と非水溶性ポリマー材料(例えばPVDC)と該ポリマー材料を溶解する溶媒(例えばNMP)とを含むポリマー層形成用組成物を用意する(ステップS110)。そして、集電基材32の片面または両面(典型的には両面)に、ステップS110で用意したポリマー層形成用組成物を付与する。次いで、その付与物に上述の熱処理を施してポリマー層33を形成する(ステップS120)。このようにして、集電基材32の表面にポリマー層33が設けられた集電体31が製造される。
次に、上記で得られた集電体31に対し、活物質(例えばリチウムニッケル系酸化物粉末)と導電材とポリマー材料とを含む水系の活物質組成物をポリマー層33の上から付与し、該付与物を乾燥させて活物質層35を形成する(ステップS130)。その後、必要に応じて全体をプレスしたり所望の大きさに裁断したりして、目的とする厚みおよびサイズの電極30を得る。
ここで、集電体に水系活物質組成物を付与してから該付与物を乾燥させるまでの時間は、当該電極を構成するポリマー層の耐水性の程度を考慮して設定することができる。例えば、該ポリマー層の耐水期間(例えば、後述する耐水性試験により把握され得る。)よりも短時間のうちに上記活物質組成物を乾燥させる(水系溶媒を除去する)とよい。このことによって、高性能な(例えば、上記高電気抵抗性化合物の生成がよりよく防止された、すなわち高出力の電池を構築するのに適した)電極を安定的に製造することができる。電極の生産効率やライン設計の自由度等の観点から、ここに開示される集電体の実用上好ましい一態様では、該集電体が、後述する耐水性試験において凡そ2分以上の耐水性(耐水期間)を実現するポリマー層を備える。上記耐水期間が凡そ3分以上(さらに好ましくは凡そ4分以上)であるポリマー層を備えることがより好ましい。また、後述する膜抵抗測定において、膜抵抗が凡そ8mΩ/cm以下(より好ましくは凡そ6mΩ/cm以下、特に好ましくは凡そ5mΩ/cm以下)となる集電体が好ましい。また、カールフィッシャー法による水分測定において、含有水分量が凡そ275ppm以下(より好ましくは250ppm以下、さらに好ましくは凡そ200ppm以下、特に好ましくは凡そ175ppm以下)となる集電体が好ましい。
本発明により提供される集電体および該集電体を用いて製造された電極(例えば正極)は、各種形態の電池の構築に好ましく利用され得る。例えば、上記集電体を用いてなる正極と、負極集電体に負極活物質層が保持された負極と、該正負極間に配置される電解質と、典型的には正負極集電体を離隔するセパレータ(上記電解質が固体である場合には該電解質をセパレータとしても利用し得る。)とを備えるリチウムイオン電池の構成要素として好適である。かかる電池を構成する外容器の構造(例えば金属製の筐体やラミネートフィルム製の袋体)やサイズ、あるいは正負極集電体を主構成要素とする電極体の構造(例えば捲回構造や積層構造)等について特に制限はない。
以下、本発明により提供される正極および該正極を備えるリチウムイオン電池の一実施形態につき、図1〜4に示す模式図を参照しつつ説明する。
図示されるように、本実施形態に係るリチウムイオン電池10は、金属製(樹脂製またはラミネートフィルム製も好適である。)の筐体12を備えており、この筐体12の中には、長尺シート状の正極シート30、セパレータ50A、負極シート40およびセパレータ50Bをこの順に積層し次いで扁平形状に捲回することにより構成された捲回電極体20が収容される。
正極30は、ここに開示されるいずれかの方法を適用して製造されたものであって、長尺シート状の集電基材32の片面または両面に上述した方法でポリマー層33を形成してなる正極集電体31と、該集電体のポリマー層33上に形成された正極活物質層35とを備える。これらの層33,35は、例えば集電基材32の略同一範囲に(互いに略完全に重なり合うように)形成することができる。あるいは、活物質層35よりも広範囲に(例えば、ポリマー層33の形成範囲が正極活物質層35の形成範囲よりも若干広くなるように)ポリマー層33が設けられていてもよい。少なくとも活物質層35が形成される範囲の全体にポリマー層33が設けられていることが好ましい。
他方、負極40は、長尺シート状の負極集電体42とその表面に形成された負極活物質層45とを備える。負極集電体42としては、銅等の金属から成るシート材(典型的には銅箔等の金属箔)を好ましく使用し得る。負極活物質としては、少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む炭素材料(例えば天然黒鉛)を好適に使用することができる。このような負極活物質をバインダ(正極側の活物質層におけるポリマー材料と同様のもの等を使用することができる。)および必要に応じて用いられる導電材(正極側の活物質層と同様のもの等を使用することができる。)と混合して調製した負極活物質組成物(好ましくは水系組成物)を負極集電体42の片面または両面に塗布する。次いで該塗布物を乾燥させることにより、集電体42の所望する部位に負極活物質層45を形成することができる(図4)。特に限定するものではないが、負極活物質100質量部に対するバインダの使用量は例えば0.5〜10質量部の範囲とすることができる。
また、正負極シートと重ね合わせて使用されるセパレータ50A,50Bとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂から成る多孔質フィルムを好適に使用し得る。
図2に示すように、正極シート30および負極シート40の長手方向に沿う一方の端部には上記活物質組成物を塗布せず、よって活物質層35,45が形成されない部分を設けておく。正負極シート30,40を二枚のセパレータ50A,50Bとともに重ね合わせる際には、両活物質層35,45を重ね合わせるとともに正極シートの活物質層非形成部分と負極シートの活物質層非形成部分とが長手方向に沿う一方の端部と他方の端部に別々に配置されるように、正負極シート30,40をややずらして重ね合わせる。この状態で計四枚のシート30,40,50A,50Bを捲回し、次いで得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平形状の捲回電極体20が得られる。
次いで、得られた捲回電極体20を筐体12に収容するとともに(図4)、上記正極および負極の活物質層非形成部分を、一部が筐体12の外部に配置される外部接続用正極端子14および外部接続用負極端子16の各々と電気的に接続する。そして、適当な非水電解液(例えば、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との混合溶媒にLiPF等のリチウム塩(支持塩)を適当量溶解させたもの)を筐体12内に配置(注液)し、筐体12の開口部を当該筐体とそれに対応する蓋部材13との溶接等により封止して、リチウムイオン電池10の構築(組み立て)が完了する。なお、筐体12の封止プロセスや電解液の配置(注液)プロセスは、従来のリチウムイオン電池の製造で行われている手法と同様にして行うことができ、本発明を特徴付けるものではない。
本発明に係るリチウムイオン電池は、上記のように優れた性能(出力性能等)を有することから、例えば、自動車等の車両に搭載されるモータ(電動機)用電源として好適に使用され得る。かかるリチウムイオン電池は、それらの複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態で使用されてもよい。したがって本発明は、図5に模式的に示すように、かかるリチウムイオン電池(組電池の形態であり得る。)10を電源として備える車両(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車)1を提供する。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
<例1>
カーボン材料を含むポリマー層がアルミニウム箔の表面に設けられた構成の集電体を作製した。すなわち、平均粒径48nmのアセチレンブラック(AB)(導電材)とPVDF(非水溶性ポリマー材料)とを、これら材料の質量比が30:70となり且つNVが約10.5質量%となるようにNMP(PVDFを溶解する有機溶剤)と混合して、溶剤系のポリマー層形成用組成物を調製した。このポリマー層形成用組成物を厚さ15μmの長尺状アルミニウム箔(集電基材)の両面に塗布した。上記組成物の塗布にはグラビアコーターを用い、その塗布量は、最終的に形成されるポリマー層の厚さが約2μmとなるように調整した。次いで、上記組成物の塗布された集電基材を所定の処理温度に所定の処理時間保持した後、同温度から常温まで6℃/hrの速度で冷却して集電体を得た。上記処理温度は130℃、140℃、150℃および160℃の四水準とし、上記処理時間は各所理温度毎に1時間、3時間、5時間、7時間および9時間の五水準とした。
得られた集電体を二枚の銅板の間に挟んで2500Nの圧力を加え、JIS K7194に準じた四端子四探針法により乾式膜抵抗[Ω・cm]を測定した。また、上記で得られた集電体を、温度25℃、露点−39℃の環境下に1日間保持した後、一般的なカールフィッシャー法により該集電体に含まれる水分量(含有水分量)を測定した。それらの結果を表1、図6および図7に示す。
Figure 2010003614
図6、図7によく示されるように、処理温度が150℃から160℃になると膜抵抗が大幅に上昇し、処理温度が140℃から130℃になると加熱時間に対する含有水分量の減りかたが明らかに鈍くなった。また、熱処理時間が5時間から7時間になるとポリマー層の膜抵抗が急に上昇し、3時間未満では含有水分量の低減効果が少なかった。これらの結果から、処理温度を140〜150℃とし、且つ処理時間を3〜5時間とすることにより、含有水分量が少なく且つ膜抵抗の低い高性能な集電体が得られることが確認された。
なお、各熱処理条件で得られた集電体の表面(すなわちポリマー層の表面)に0.1モル/Lの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を滴下して300秒間(すなわち5分間)放置し、ポリマー層が剥れるまでの時間(耐水期間)を観測する耐水性試験を行ったところ、いずれの集電体においても300秒後にも剥がれはみられなかった。すなわち、これら集電体の耐水期間はいずれも5分以上であった。
<例2>
例1で用いたものと同じポリマー層形成用組成物を、同様にして厚さ15μmの長尺状アルミニウム箔(集電基材)の両面に塗布した。次いで、上記組成物の塗布された集電基材を150℃に3時間保持した後、同温度から常温まで所定の速度で冷却して集電体を得た。上記冷却速度は、6℃/時間、8℃/時間、10℃/時間、12℃/時間、14℃/時間および16℃/時間の六水準とした。
得られた集電体につき、例1と同様にして乾式膜抵抗[Ω・cm]および含有水分量を測定した。それらの結果を表2および図8に示す。なお、図8において、実線は冷却速度と膜抵抗との関係を表し、点線は冷却速度と含有水分量との関係を表している。
Figure 2010003614
図8によく示されるように、冷却速度が8℃/時間から6℃/時間に遅くなると膜抵抗が急に上昇する。したがって、導電性の観点からは冷却速度を8℃/時間以上とすることが好ましい。また、含有水分量に関しては冷却速度10〜14℃/時間において顕著な低減効果がみられ、冷却速度を10℃/時間から8℃/時間とした場合および14℃/時間から16℃/時間とした場合にはいずれも含有水分量が増加した。これらの結果から、冷却速度を10〜14℃/時間とすることにより、より含有水分量が少なく且つ膜抵抗の低い集電体が得られることが確認された。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
一実施形態に係る電池を示す模式的斜視図である。 一実施形態に係る電池を構成する正負極およびセパレータを示す模式的平面図である。 一実施形態に係る電極の構造を示す模式的断面図である。 図1のIV−IV線断面図である。 一実施形態に係るリチウムイオン電池を備えた車両(自動車)を示す模式的側面図である。 処理温度および処理時間と膜抵抗との関係を示すグラフである。 処理温度および処理時間と含有水分量との関係を示すグラフである。 冷却速度と膜抵抗および含有水分量との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 車両(自動車)
10 リチウムイオン電池(電池)
12 筐体
20 捲回電極体
30 正極(電極)
31 正極集電体(集電体)
32 集電基材
33 ポリマー層
35 正極活物質層(活物質層)
40 負極
50A,50B セパレータ

Claims (7)

  1. 電極活物質を主成分とする活物質層が集電体に保持された電極の構成要素として用いられる集電体であって金属製集電基材の表面に導電材としてのカーボン材料を含むポリマー層を有する集電体を製造する方法であって:
    前記カーボン材料と非水溶性ポリマー材料と該ポリマー材料を溶解する溶媒とを含むポリマー層形成用組成物を用意する工程;
    前記ポリマー層形成用組成物を前記集電基材に付与する工程;および、
    その組成物が付与された集電基材に所定の熱処理を施すことにより該集電基材の表面にポリマー層を形成する工程;
    を包含し、
    ここで、前記熱処理は、処理温度140〜150℃、処理時間3〜5時間の条件で行われる、電極用集電体の製造方法。
  2. 前記熱処理において、前記処理時間の経過後、前記集電基材を前記処理温度から常温まで10〜14℃/時間の冷却速度で徐冷する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ポリマー層形成用組成物は、前記カーボン材料と前記ポリマー材料とを10/90〜60/40の質量比で含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 電極活物質を主成分とする活物質層が集電体に保持された構成の電極を製造する方法であって:
    請求項1から3のいずれか一項に記載の方法により製造された集電体を用意する工程;および、
    電極活物質が水系溶媒に分散した水系活物質組成物を前記集電体に付与して活物質層を形成する工程;
    を包含する、電極製造方法。
  5. 請求項5に記載の方法により製造された電極を用いて構築された、非水系二次電池。
  6. 請求項5に記載の方法により製造された電極を正極に用いて構築された、リチウムイオン電池。
  7. 請求項6に記載のリチウムイオン電池を備える車両。
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