JP2015162936A - 全閉型電動機 - Google Patents
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Abstract
【課題】機内空間を均一に冷却できる全閉型電動機を開発すること。
【解決手段】ケース2と、ケース2内において、回転自在に備えられた回転軸3と、回転軸3に固定された回転子4とを有するとともに、ケース2内においては、回転子4の外周に隙間を設けて対向配置された固定子5と、固定子5に設けられたコイルを有する。そして、ケース2内の空間は、回転子4と固定子5によって回転軸3に沿って分けられている。そして、一方の第1機内空間61側に第1ファン71を、他方の第2機内空間62側に第2ファン72を有している。また、この電動機は、第1ファン71により第1機内空間61の流体を第2機内空間62へ送る第1流路81と、第2ファン72により第2機内空間62の流体を第1機内空間61へ送る第2流路82を備えている。第2流路82は第1流路81とは別に設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】ケース2と、ケース2内において、回転自在に備えられた回転軸3と、回転軸3に固定された回転子4とを有するとともに、ケース2内においては、回転子4の外周に隙間を設けて対向配置された固定子5と、固定子5に設けられたコイルを有する。そして、ケース2内の空間は、回転子4と固定子5によって回転軸3に沿って分けられている。そして、一方の第1機内空間61側に第1ファン71を、他方の第2機内空間62側に第2ファン72を有している。また、この電動機は、第1ファン71により第1機内空間61の流体を第2機内空間62へ送る第1流路81と、第2ファン72により第2機内空間62の流体を第1機内空間61へ送る第2流路82を備えている。第2流路82は第1流路81とは別に設けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、機内空間へ外気を取り込まない全閉型電動機に関する。
全閉型電動機は、電動機本体の機内空間に外気が取り込まれないように閉ざされた電動機であり、塵埃の侵入が抑えられる。このため保守業務の省力化を図ることができる。反面、電動機本体の機内空間に外気を取り込む構成の電動機と比較して、機内で生じた熱を機外に排出する冷却性能が低くなる。
そこで、全閉型電動機の機内空間の内部の冷却性能を向上させるため、機内空間にファンを設けた全閉型電動機が知られている。
しかし、上述した従来の全閉型電動機は、回転子の軸方向片側の機内空間に設けた単一のファンにより両側の機内空間の空気を循環させるため、ファンに近接している側の機内空間を効果的に冷却できる反面、反対側の機内空間を十分に冷却できない。また、回転子の軸方向両側の機内空間にファンを設けることも考えられるが、互いのファンで発生した気流が干渉し循環風とならず、むしろ冷却性能の低下を招く可能性がある。
そこで、機内空間を均一に冷却できる全閉型電動機の開発が望まれている。
そこで、機内空間を均一に冷却できる全閉型電動機の開発が望まれている。
実施形態に係る全閉型電動機は、ケースと、このケース内において、回転自在に備えられた回転軸と、この回転軸に固定された回転子とを有するとともに、ケース内においては、回転子の外周に隙間を設けて対向配置された固定子と、固定子に設けられたコイルを有する。そして、上記ケース内の空間は、回転子と固定子によって回転軸に沿って分けられている。そして、一方の第1機内空間側に第1ファンを、他方の第2機内空間側に第2ファンを有している。また、この電動機は、上記第1ファンにより第1機内空間の流体を第2機内空間へ送る第1流路と、第2ファンにより第2機内空間の流体を第1機内空間へ送る第2流路を備えている。第2流路は第1流路とは別に設けられている。
以下、実施形態1について図面を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態1の全閉型電動機1は、ケース2を有している。ケース2は、円筒形状の外郭21とその両端を塞ぐ第1端壁22と第2端壁23とを有している。
上記ケース2の内部には、第1端壁22の中心を貫通し、第2端壁23まで伸びる回転軸3が設けられている。回転軸3は、第1端壁22に設けた第1軸受10と第2端壁23に設けた第2軸受11より回転可能に支えられる。そして、回転軸3には、円筒状の回転子4が固設されている。また、回転軸3には、回転子4の第1端壁側に円板状の第1ファン71が固設され、回転子4の第2端壁側に円板状の第2ファン72が固設されている。さらに、円筒状の固定子5が、外郭21の内壁に沿って固設される。固定子5にはコイル51が埋め込まれている。そして、外郭21と固定子5の間には、円筒状の液冷冷却装置9が固設される。
固定子5は、磁性体であり、例えば、珪素鋼板等からなる環状の金属板を多数枚積層して構成されたものが用いられる。
そして、固定子5の内周側(回転軸側)には、軸方向に伸びた複数の溝(図示せず)が形成され、それらの溝に沿ってコイル51が埋め込まれるように配置されている。さらに、コイル51の回転軸3に沿った幅は固定子5の回転軸方向の幅よりも大きいため、コイル端部52が固定子5から突出している。
そして、ケース2内部は、それぞれ回転軸3と同軸に配置された固定子5、コイル51、回転子4により、第1ファン71側の第1機内空間61と第2ファン72側の第2機内空間62とに分けられている。
なお、回転子4とコイル51の間には、回転子4の回転に必要な隙間を有している。
なお、回転子4とコイル51の間には、回転子4の回転に必要な隙間を有している。
さらに詳述すると、図1及び図2に示すように、第1ファン71,第2ファン72は、回転子4とほぼ同半径の基台74を有し、その中心を回転軸3が貫通して延びている。そして、各基台74の軸方向の外側には、それぞれ複数枚の羽板73が放射状に配置されている。
そして、ケース2の外郭21は、第1機内空間61の内部で第1ファン71の回転により発生した気流を第2機内空間62へ送るための第1流路81と、第2機内空間62の内部で第2ファン72の回転により発生した気流を第1機内空間61へ送るための第2流路82を備えている。
第1流路81と第2流路82とは互いに独立した流路であるとともに、流れる流体の方向も互いに逆方向である。
第1流路81と第2流路82とは互いに独立した流路であるとともに、流れる流体の方向も互いに逆方向である。
上記のように、第1機内空間61から第2機内空間62へ流れる流体が通過する第1流路81と、第2機内空間62から第1機内空間61へ流れる流体が通過する第2流路82を独立した流路とすることにより、流路内及び機内空間において互いに逆方向に流れる流体が衝突することが無いため、流体速度が減衰することがなく、ケース2の機内空間を流体が効率的に循環することができる。このように機内空間に流体を流すことで、第1機内空間61と第2機内空間62に対して同じ条件で流体を流すことができ、機内空間全体を一様に冷却でき温度を均一化できる。
第1流路81及び第2流路82について、さらに詳細に説明する。第1流路81は、外郭21に設けられる外郭側流路81dと第2端壁23に設けられる第2端壁側流路81eとを含む。図2に示すように、外郭側流路81dはケース2の外郭21の内部を軸に沿って第2端壁23へ向かって貫通する。第1流路81の吸込口81aは、第1端壁22との接合部24近傍の外郭21の内壁の縁に形成される。吸込口81aは、図3に示すように、外郭21の内周部の一部を円弧状に削り取った構造を有する。言い換えると、吸込口81aは、外郭21の縁を内面から外面に向けて途中まで周状に削った構造を有する。吸込口81aの周方向の幅は、後述する分岐した外郭側流路81dを束にした周方向の幅とほぼ等しい。
第1ファン71により送り出される空気は、吸込口81aを介して外郭側流路81dへ導入される。なお、実施形態1においては、外郭21の強度を考慮して、外郭側流路81dの内部に軸に沿った4本の補強リブ81cを配置した。言い換えれば、外郭側流路81dは、4本の補強リブ81cによって、外郭側流路開口部81f(図2)の手前まで5つの細い流路に分岐されている(図4)。なお、補強リブ81cの本数や、太さ、軸方向への距離等については、適宜調整可能である。
実施形態1において補強リブ81cは、吸込口81aを始端として、外郭21の第2端壁23との接合部25の手前において終端する。その後、図2のF5方向の断面図(図5)に示すように外郭側流路81dは1つの流路となり、外郭側流路開口部81fと接続し、第2端壁23の凸部23aの内部へ設けられた第2端壁側流路81eへ続く。そして、第2端壁側流路81eは、第2端壁23の軸受11の外周近くに設けられた排出口81bへ至る。
一方、第2流路82は、外郭21に設けられる外郭側流路82dと第1端壁22に設けられる第1端壁側流路82eとからなる。図2に示すように、外郭側流路82dは第1端壁22へ向かって貫通する。第2流路82の吸込口82aは、第2端壁23との接合部25近傍の外郭21の内壁の縁に形成される。吸込口82aは、図3に示すように、外郭21の内周部の一部を円弧状に削り取った構造を有する。言い換えると、吸込口82aは、外郭21の縁を内面から外面に向けて途中まで周状に削った構造を有する。吸込口82aの周方向の幅は、後述する分岐した外郭側流路82dを束にした周方向の幅とほぼ等しい。
第2ファン72により送出される空気は、吸込口82aを介して外郭側流路82dへ導入される。なお、実施形態1においては、外郭21の強度を考慮して、外郭21内部を貫通する外郭側流路82dの内部に軸に沿った4本の補強リブ82cを配置した。言い換えれば、外郭側流路82dは、4本の補強リブ82cによって、外郭側流路開口部82f(図2)の手前まで5つの細い流路に分岐されている(図4)。
実施形態1において補強リブ82cは、吸込口82aを始端として、外郭21の第1端壁22との接合部24の手前において終端する。その後、外郭側流路81dと同じように、外郭側流路82dも1つの流路となり、第1端壁22の第1端壁側流路82eと接続する。第1端壁側流路82eは、第1端壁22の内部を軸受10へ向かって貫通し、その外周近くに設けられた排出口82bへ至る。なお、補強リブ82cの本数や、太さ、軸方向への距離等については、適宜調整可能である。
次に第1端壁22の構造について説明する。図1に示すように第1端壁22の外側面は凸凹構造を有する。具体的には、本実施形態1の第1端壁22は、略扇型の3つの凸部22aと略扇型の3つの凹部22bとを周方向に交互に有する。図2に示すように、凸部22aは、第1端壁22を肉厚にした部分であって、第1端壁側流路82eと排出口82bを備えている。凹部22bは、第1端壁22を肉薄にした部分であって、外郭21と接合部24で接合しケース2を遮蔽する蓋となる。
図6に示すように、第1端壁22は、その中心に回転軸3が貫通する軸孔32を有し、軸孔32の外周に軸受10を備えている。軸受10の外側に排出口82bが3ヶ所設けられる。言い換えれば、排出口82bは、第1ファン71の羽板73よりも回転軸3側に設けられる。
第1端壁22の周縁部には第1端壁側流路82eの第1端壁側流路開口部82gが3ヶ所設けられている。第1端壁側流路開口部82gと外郭21の外郭側流路開口部82fは連通される。第1端壁側流路82eは、一部破線で示すように第1端壁22の内部を貫通し、外郭側流路82dからの空気を排出口82bへ導くように配置される。
一方、図7に示す第2端壁23は、第1端壁22と基本的な構成は変わらないが、流路配置が逆になっている。具体的には、凸部23aの内部には、破線で示される第2端壁側流路81eが設けられている。また、軸受11の外周には、第2端壁側流路81eを通過してきた空気を排出する排出口81bが設けられている。排出口81bは、第2ファン72の羽板73よりも回転軸3側に設けられる。また、第2端壁23の凹部23bが、第2ファン72からの空気を外郭21に設けられた吸込口82aへ誘導する構成となっている。なお、実施形態1においては、第1端壁22、第2端壁23ともに、その外側面に凸凹構造を設けたが、内部に上記流路を備えることができればよく、凸凹構造に限定されない。
上記のように第1機内空間61と第2機内空間62を、互いに独立した第1流路81と第2流路82で連通したことにより、第1機内空間61から第2機内空間62へ流れる空気と第2機内空間62から第1機内空間61へ流れる空気が、図2に矢印で示したようにぶつかり合うことがない。よって、全閉型電動機1内を安定して空気が循環する(図2)。
ここで、第1ファン71及び第2ファン72について補足説明する。図1及び図2に示すように、第1ファン71と第2ファン72は、ともにラジアルタイプのファンとした。第1ファン71と第2ファン72は、回転子4を回転軸3に沿って挟むように配置される。第1機内空間61側に第1ファン71が配置され、第2機内空間62側に第2ファン72が配置される。
第1ファン71は、回転子4と略同径の円板状の基台74を有し、その中心を回転軸3が貫通する。そして、第1端壁22に対向する面の周縁部に、複数枚の羽板73が取り付けられている。また、第2ファン72は、回転子4と略同径の円板状の基台74を有し、その中心に回転軸3が貫通する。そして、第2端壁23に対向する面の周縁部に、複数枚の羽板73が取り付けられている。
したがって、回転軸3が回転すると、回転軸3に固定された回転子4、第1ファン71及び第2ファン72が共に回転する。そして、第1ファン71及び第2ファン72の回転により、第1機内空間61と第2機内空間62の空気が第1流路81及び第2流路82を経由して相互に循環する。
具体的には、空気で満たされた第1機内空間61では、第1ファン71の中心から外周方向に向かう空気の流れが発生する。よって第1機内空間61の空気は、第1流路81の吸込口81aから外郭側流路81dへと流れる。吸込口81aから外郭側流路81dへ流入した空気は、第2端壁23の内部に設けられた、第2端壁側流路81eを通り、第2ファン72の羽板73よりも回転軸3側に設けられた排出口81bから排出されて、第2機内空間62へと至る。
一方、第2機内空間62においては、第2ファン72の中心から外周方向に向かう空気の流れが発生する。この結果、吸込口82aから外郭側流路82dへと空気が流れる。外郭側流路82dへ流入した空気は、第1端壁22の内部に設けられた、第1端壁側流路82eを通り、第1ファン71の羽板73よりも回転軸3側に設けられた排出口82bから排出されて、第1機内空間61へと至る。
上記のようにして、図2に矢印で示す機内空間における空気の循環が生じる。図2では、空気の循環を断面内に沿った平面的な矢印で表しているが、実際の空気は、第1機内空間61および第2機内空間62において、全閉型電動機1の回転によって旋回され、撹拌されながら流れる。
ラジアルタイプのファンは、ファンの回転方向が逆になっても、風量と流速に差が生じない。このため、例えば、本実施形態1の全閉型電動機1が車両に用いられる場合において、前方へ進行する場合にも、後方に進行する場合(全閉型電動機1の回転軸3を逆回転させるような場合)においても、空気の流れる方向が変わるだけで、安定した冷却性能を保持することができる。
なお、本実施形態1に記載はされていないが、電動機の使用方法や、使用される環境等によっては、流路の配置やファンの角度を調整することにより、軸流ファンを用いることも可能である。
続いて、実施形態1の全閉型電動機1における液冷冷却装置9について説明する。
図1から図3に示すように、外郭21の外郭側流路81d及び外郭側流路82dの内側であって、固定子5と接触する位置に液冷冷却装置9を配置した。上記冷却装置9を設けることにより、空気を循環させるのみの方法と比較して、より効果的に機内空間を循環する空気を冷却することが可能となる。また、液冷冷却装置9と接触している固定子5を直接冷却することも可能である。
液冷冷却装置9は、円筒形状であって、固定子5の外周面に接触して配置される。液冷冷却装置9は、その外周部で、外郭21の内部に設けられた外郭側流路81d及び外郭側流路82dと熱的に接触する。つまり、液冷冷却装置9は、外郭21の内壁を介して外郭側流路81d、82dと接触する。このため、外郭側流路81d、82dを通過する空気の熱は、外郭21の内壁を介して、液冷冷却装置9を通過する冷却液に伝えられる。
具体的には、第1機内空間61において、空気はコイル51や固定子5などの高温部位から熱を奪い昇温する。暖められた空気は、第1ファン71の回転により、吸込口81aへ送り出される。暖められた空気は、外郭側流路81dの軸側の面、言い換えれば、外郭21の内壁と接触する。内壁は、液冷冷却装置9と接触しており、暖められた空気は内壁を介して、液冷冷却装置9により熱を交換され冷却される。冷却された空気は、第2端壁側流路81eを通り、排出口81bから第2機内空間62へ排出される。
そして、第2機内空間62へ排出された空気は、再びコイル51や固定子5などの高温部位から熱を奪い昇温する。暖められた空気は、第2ファン72の回転により、吸込口82aへ送り出される。この空気は、外郭側流路82dの軸側の面、言い換えれば、外郭21の内壁と接触する。内壁は、液冷冷却装置9と接触しており、暖められた空気は内壁を介して、液冷冷却装置9により熱を交換され冷却される。冷却された空気は、第1端壁側流路82eを通り、排出口82bから第1機内空間61へ排出される。
ここで、液冷冷却装置9の構造について図8及び図9を用いて説明する。
液冷冷却装置9は、円筒形状の構造を有している。そして液冷冷却装置9の内部を冷却液が還流することにより、外郭側流路81d、82d内を通過する空気と熱を交換して冷却する。液冷冷却装置9の冷却液が還流する冷却液流路91、94は、熱の交換が効率的に行える流路形状であれば特に限定されない。
例えば図8に示すように、外郭21の内側に収められた液冷冷却装置9の円筒形の構造の内部に軸に沿ってコイル状の冷却液流路91を設ける。これは冷却液流路91内において回転軸3の回転方向または逆方向に冷却液を還流させる液冷冷却装置9(図8)である。また、図8の液冷冷却装置9の変形例として、周方向に蛇行する冷却液流路94を設けた液冷冷却装置9を図9に示した。
そして、上記液冷冷却装置9には、冷却液流路91、94に冷却液を還流させるため、全閉型電動機1の外部に設けられた冷却液を送り出すためのポンプ(図示しない)が設けられている。そして冷却液は、ポンプにより流入口92から冷却液流路91、94へ流入され、流出口93から排出されてポンプへ還流する。固定子5等で暖められた空気から冷却液へ移動した熱は、冷却液によって全閉型電動機1の外部に設けられた冷却液循環系にある放熱器(図示しない)へと運ばれ、外部空気などを利用して放熱される。なお、液冷冷却装置9の冷却液としては、冷却能を有していれば特に制限されないが、例えば、水や不凍液などを使用できる。なお、実施形態1においては、冷却効率の安定と省スペース化のため外郭21に外郭側流路81d、82d及び液冷冷却装置9を組み込み一体的に設けた。
次に図10に記載された実施形態2について説明する。
図10は、実施形態2に係る全閉型電動機12の縦断面図であり、図11は全閉型電動機12の空冷冷却装置14,17,18の流路断面を示す横断面図である。なお、図中において実施形態1と同一の要素については同一の参照符号を付す。
図10に示すように、本実施形態2の全閉型電動機12は、ケース2を有している。ケース2は、円筒形状の外郭21とその両端を塞ぐ第1端壁22と第2端壁23とを含む。
上記ケース2の内部には、第1端壁22の中心を貫通し、第2端壁23まで伸びる回転軸3が設けられている。回転軸3は第1端壁22に設けた第1軸受10と第2端壁23に設けた第2軸受11より回転可能に支えられる。そして、回転軸3には、円筒状の回転子4が固設されている。また、回転軸3には、回転子4の第1端壁22側に円板状の第1ファン71が固設され、回転子4の第2端壁23側に同じく円板状の第2ファン72が固設されている。さらに、円筒状の固定子5が、外郭21の内壁に沿って固設される。そして、固定子5と回転子4の間に固定子5に固設されたコイル51が設けられる。
そして、ケース2の内部は、それぞれ回転軸3と同軸に配置された固定子5、コイル51、回転子4により、第1ファン71側の第1機内空間61と第2ファン72側の第2機内空間62とに分けられている。なお、回転子4とコイル51の間には、回転子4の回転に必要な隙間が設けられている。
第1ファン71は、回転子4とほぼ同半径の基台74と、基台74の第1端壁22と対向する面の周縁部に複数枚設けられた羽板73と、を含むラジアルファンである。第2ファン72は、回転子4とほぼ同半径の基台74と、基台74の第2端壁23と対向する面の周縁部に複数枚設けられた羽板73と、を含むラジアルファンである。
実施形態2として示した全閉型電動機12と上述の実施形態1の全閉型電動機1との大きな構成上の違いは、実施形態1では冷却手段として液冷冷却装置9を用いているのに対して、実施形態2の全閉型電動機12においては3つに分けた空冷冷却装置14,17,18を用いている点である。以下、空冷冷却装置14について説明する。
図10、図11に示すように、空冷冷却装置14は、第1機内空間61の内部で第1ファン71の回転により発生した空気を第2機内空間62へ送るための第1流路15と、第2機内空間62の内部で第2ファン72の回転により発生した空気を第1機内空間61へ送るための第2流路16(図10では一部のみを図示)を有する。また、空冷冷却装置14は、軸方向に間隔を空けて並んだ複数の放熱板141(本実施形態2では7枚)を有する。各放熱板141は、外郭21の表面から径方向に離れるように延設されている。この空冷冷却装置14は、ケース2の外郭21の外周面上に突出して一体に配置される。
一方の流路について詳述する。図10に示すように、第1流路15は、空冷冷却装置14内に設けられる連結流路15cと第2端壁23の内部を貫通する第2端壁側流路15dを含む。第1流路15の吸込口15aは、外郭21の第1機内空間61側の内壁に設けられる。連結流路15cは、吸込口15aから第2端壁23へ向かって回転軸3に沿って延びている。第2端壁側流路15dは、第2端壁23の内部を通り、軸受11と第2ファン72の羽板73の間に設けた排出口15bまで延びている。
図11に示すように、連結流路15cは、途中で4本の細い流路に分岐されて、空冷冷却装置14の図示右側部分を通過している。4本に分岐した連結流路15cは、上述した7枚の放熱板141を貫通するように設けられている(図10)。これら4本の連結流路15cは、7枚の放熱板141を通過した後、合流して一つの流路となり、第2端壁側流路15dへ接続される。連結流路15cの分岐の本数や、太さ、軸方向への距離等については、適宜調整可能である。なお、放熱板141と連結流路15cは、連結流路15cの熱を放熱板141に伝導可能に接合されている。例えば、連結流路15cと放熱板141は溶接により接合されている。
他方、第2流路は、空冷冷却装置14に設けられる連結流路16c(図10では一部のみを図示)と第1端壁22側に設けられる第1端壁側流路16dを含む。連結流路16cは、図11に示すように、空冷冷却装置14の図示左側部分を通過している。連結流路16cの構造は、連結流路15cとほぼ同じであるが、吸込口16aと排出口16bが、連結流路15cとは逆の配置となっている。したがって、連結流路16cを流れる空気は、連結流路15cを流れる空気と逆方向になる。
次に、空冷冷却装置14を介した空気の循環と熱の移動について図10及び図11を用いて説明する。
第1機内空間61内の空気は、第1機内空間61から第2機内空間62に向けて、図10に矢印で示した方向に第1流路15を介して流れる。なお、図10においては、空気の循環を断面図の矢印で示したが、第1機内空間61内の空気は、第1ファン71によって旋回、攪拌されながら第2機内空間62に向けて送り出される。
具体的には、第1機内空間61において、空気はコイル51や固定子5などの高温部位から熱を奪い昇温する。暖められた空気は、第1ファン71の回転により、吸込口15aへ送り出される。そして、この空気は、第1流路15の連結流路15cに流入する。連結流路15cに流入した空気は空冷冷却装置14を通過する。そして、流路内の空気の熱が流路に伝わり、上述した7枚の放熱板141を介して吸熱され、流路内の空気が冷却される。冷却された空気は、第2端壁23に向かって送られ、第2端壁側流路15dを通り、第2ファン72の羽板73と軸受11の間に設けられた排出口15bから第2機内空間62へ排出される。
そして、第2機内空間62へ排出された空気は、再度、コイル51や固定子5などの高温部位から熱を奪い昇温する。暖められた空気は、連結流路15cと逆に設けられた第2流路16の吸込口16aへ送り出され、空冷冷却装置14において再び冷却されて、第1端壁側流路16dを通り、第1ファン71の羽板73と軸受10の間に設けられた排出口16bから第1機内空間61へ排出される。なお、空冷冷却装置14内の連結流路16cの構造は、連結流路15cと同じである。
次に、他の2つの空冷冷却装置17,18について説明する。図10においては、これら2つの空冷冷却装置は開示されていない。
図11に示すように、全閉型電動機12は、空冷冷却装置14の他に外郭21の外周部に別の2つの空冷冷却装置17及び18が備えられている。一方の空冷冷却装置17は、第2機内空間62から第1機内空間61へ空気を流通させる連結流路16cのみを有する。他方の空冷冷却装置18は、第1機内空間61から第2機内空間62へ空気を流通させる連結流路15cのみを有する。これら2つの空冷冷却装置17及び18の構造は、上述の空冷冷却装置14を2分割したような構造であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
また、実施形態2においては、空冷冷却装置14,17及び18の設置例として、外郭21の外周上の3ヶ所に固設した場合を示したが、これに限られることなく、冷却効率や設置スペース等により、空冷冷却装置の数やレイアウトは適宜調節可能である。
上記のように、実施形態2においても実施形態1と同様の効果を有することができる。すなわち、第1流路15と第2流路16とする互いに独立した流路を設け、第1流路15と第2流路16を流れる空気の方向を互いに逆方向としたことにより、流路内及び機内空間において、互いに流れる空気が衝突することが無い。したがって、流れる空気の速度が減衰することがない。また、第1機内空間61と第2機内空間62を流れる空気の速度が均一に保たれる。よって、ケース2の機内空間を空気が効率的に循環する。このように、第1機内空間61と第2機内空間62内において、同じ条件で空気を循環させることができるため、機内空間の温度を均一化できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更、置き換え、変更を行うことができる。
これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に含まれるものである。
これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に含まれるものである。
1,12…全閉型電動機、2…ケース、21…外郭、22…第1端壁、23…第2端壁、24…接合部、25…接合部、3…回転軸、31…出力端、32…軸孔、4…回転子、5…固定子、51…コイル、52…コイル端、61…第1機内空間、62…第2機内空間、71…第1ファン、72…第2ファン、73…羽板、74…基台、81…第1流路、81a…吸込口、81b…排出口、81c…補強リブ、81d…外郭側流路、81e…第2端壁側流路、81f…外郭側流路開口部、82…第2流路、82a…吸込口、82b…排出口、82c…補強リブ、82d…外郭側流路、82e…第1端壁側流路、82f…外郭側流路開口部、9…液冷冷却装置、90…内部冷却装置、91…冷却液流路、92…流入口、93…流出口、94…冷却液流路、10…第1軸受、11…第2軸受、14…空冷冷却装置、141…放熱板、15…第1流路、15a…吸込口、15b…排出口、15c…連結流路、15d…第2端壁側流路、16…第2流路、16a…吸込口、16b…排出口、16c…連結流路、16d…第1端壁側流路、17…空冷冷却装置、18…空冷冷却装置。
Claims (9)
- ケースと、
前記ケース内に設けられ、回転自在に支持された回転軸と、
前記回転軸に固定された回転子と、
前記ケース内設けられ、前記回転子の外周に隙間を設けて対向配置された固定子と、
前記固定子に設けられたコイルと、
を有する全閉型電動機において、
前記ケース内を前記回転子と前記固定子により前記回転軸方向に隔てられた第1機内空間及び第2機内空間と、
前記第1機内空間に設けられた第1ファンと、
前記第2機内空間に設けられた第2ファンと、
前記第1ファンにより前記第1機内空間の流体を前記第2機内空間へ送る第1流路と、
前記第2ファンにより前記第2機内空間の流体を前記第1機内空間へ送る前記第1流路とは別の第2流路と
を備えたことを特徴とする全閉型電動機。 - 前記第1流路の吸込口が前記第1ファンによる流体の送出し側に対向し、前記第1流路の排出口が前記第2ファンによる流体の吸込側に対向するとともに、前記第2流路の吸込口が前記第2ファンによる流体の送出し側に対向し、前記第2流路の排出口が前記第1ファンによる流体の吸込側に対向することを特徴とする請求項1に記載の全閉型電動機。
- 前記第1ファン及び前記第2ファンがラジアルタイプのファンである請求項1または2に記載の全閉型電動機。
- 前記第1流路の吸込口が前記第1ファンの回転の外側に設けられるとともに、前記第1流路の排出口が前記第2ファンの回転の内側に設けられ、前記第2流路の吸込口が前記第2ファンの回転の外側に設けられるとともに、前記第2流路の排出口が前記第1ファンの回転の内側に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の全閉型電動機。
- 前記第1流路及び前記第2流路が単一の外郭部材に設けられている請求項1〜4のいずれかに記載の全閉型電動機。
- 前記第1流路および前記第2流路の少なくとも一方に冷却装置を備えている請求項1〜5のいずれかに記載の全閉型電動機。
- 前記冷却装置が前記外郭部材と一体に設けられている請求項5に記載の全閉型電動機。
- 前記冷却装置は前記固定子と前記外郭部材との間で両者に接触して設けられている請求項5に記載の全閉型電動機。
- 前記冷却装置の冷媒が液体または気体である請求項6〜8のいずれかに記載の全閉型電動機。
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