JP2015155292A - 車両用駆動装置 - Google Patents

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Satoru Kasuya
悟 糟谷
昌士 鬼頭
Masashi Kito
昌士 鬼頭
祐一 関
Yuichi Seki
祐一 関
浩樹 新谷
Hiroki Shintani
浩樹 新谷
亮介 近藤
Ryosuke Kondo
亮介 近藤
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Abstract

【課題】より多くの走行状態で適切な量の油を供給可能な構成を備えつつ、ロータ固定部材を径方向に適切に支持しながら小型化を図ることができる車両用駆動装置を実現する。
【解決手段】車両用駆動装置は、ポンプ駆動部材(60)を備えるとともに、ロータ固定部材(40)及び入力部材(10)と前記ポンプ駆動部材(60)との相対回転をそれぞれ規制する2つのワンウェイクラッチ(F1,F2)を備える。ロータ(Ro)と一体回転するロータ固定部材(40)が出力部材(50)に当接する当接部(A2)によって出力部材(50)に支持され、当接部(A2)が、径方向に見て2つのワンウェイクラッチ(F1,F2)の少なくとも一方と重複する部分を有するように配置されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、内燃機関に連結される入力部材と、回転電機と、回転電機のロータに固定されるロータ固定部材と、ロータ固定部材と一体回転しかつ車輪に駆動連結される出力部材と、オイルポンプと、を備える車両用駆動装置に関する。
車両用駆動装置において、各回転部材の支持構造は装置特性に影響を与え得る重要事項である。一般的には、各回転要素を適切に径方向に支持することを考慮して装置構造が決定される。例えば米国特許出願公開第2013/0291374号明細書(特許文献1)に記載された装置では、ロータ固定部材〔rotor drive element 23〕が、軸受のみを介してケース〔transmission casing 2〕に実質的に直接支持されている。また、出力部材〔transmission input shaft 3〕が、ロータ固定部材から独立に、ケースの内周面に径方向に支持されている。
また、車両用駆動装置においては、冷却や潤滑、制御等を適切に行うため、より多くの走行状態においてオイルポンプからの油の供給量を確保することが求められる場合がある。この点、特許文献1の装置では、2つのワンウェイクラッチ〔flywheel 30, 31〕を用いて、オイルポンプの駆動力源を、走行状態に応じて入力部材〔internal combustion engine-drive element 22〕と出力部材とで自動切替可能な構造を採用していると理解される。
しかし、特許文献1の装置では、2つのワンウェイクラッチが軸方向の異なる位置に配置され、さらにロータ固定部材を支持する軸受が2つのワンウェイクラッチのいずれとも異なる軸方向の位置に配置されている。このため、装置の軸長が拡大し、装置全体の大型化が避けられない。
米国特許出願公開第2013/0291374号明細書
そこで、より多くの走行状態で適切な量の油を供給可能な構成を備えつつ、ロータ固定部材を径方向に適切に支持しながら装置全体の小型化を図ることができる車両用駆動装置の実現が望まれる。
本開示に係る車両用駆動装置は、
内燃機関に駆動連結される入力部材と、
ロータ及びステータを有する回転電機と、
前記ロータと固定され、前記ロータと一体回転するロータ固定部材と、
前記ステータが固定されるケースに対して支持軸受を介して相対回転可能に径方向に支持されるとともに、前記ロータ固定部材と一体回転しかつ車輪に駆動連結される出力部材と、
オイルポンプに駆動連結されるポンプ駆動部材と、
前記ロータ固定部材の回転速度が前記入力部材の回転速度以上の場合に前記ロータ固定部材と前記ポンプ駆動部材との相対回転を規制する第一ワンウェイクラッチと、
前記入力部材の回転速度が前記ロータ固定部材の回転速度以上の場合に前記入力部材と前記ポンプ駆動部材との相対回転を規制する第二ワンウェイクラッチと、を備え、
前記ロータ固定部材は、前記出力部材に当接する当接部を備え、前記当接部によって前記出力部材に対して径方向に支持されるとともに、前記当接部と前記支持軸受とを介して前記ケースに対して相対回転可能に支持され、
前記当接部が、径方向に見て前記第一ワンウェイクラッチ及び前記第二ワンウェイクラッチの少なくとも一方と重複する部分を有するように配置されている。
この構成によれば、入力部材とロータ固定部材とのうち、回転速度の高い方によりポンプ駆動部材を駆動することができる。よって、ロータ固定部材と入力部材とのいずれかが回転していればポンプ駆動部材を駆動することができ、比較的多くの走行状態で適切な量の油を供給可能とすることができる。
また、ロータ固定部材が出力部材に対して当接する状態で径方向に直接支持されるので、ロータ固定部材が軸受を介して径方向に支持される構成に比べて、ロータ固定部材を径方向に適切に支持しながら径方向のコンパクト化を図ることができる。さらに、ロータ固定部材における出力部材との当接部が、径方向に見て第一ワンウェイクラッチ及び第二ワンウェイクラッチの少なくとも一方と重複するので、軸長短縮による小型化を図ることができる。よって、ロータ固定部材を径方向に適切に支持しながら装置全体の小型化を図ることができる。
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、以下の説明によってより明確になるであろう。
車両用駆動装置の概略構成を示す模式図 車両用駆動装置の部分断面図 図2の部分拡大図 図3の第一位置における要部断面図 図3の第二位置における要部断面図 図3の部分拡大図 車両用駆動装置の別態様を示す部分断面図 図7における要部断面図 車両用駆動装置の別態様を示す模式図
以下、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に記載する実施形態によって、本発明の範囲が限定される訳ではない。
本実施形態に係る車両用駆動装置1は、車両の車輪Wの駆動力源として内燃機関E及び回転電機MGの双方を備えた車両(ハイブリッド車両)を駆動するための車両用駆動装置(ハイブリッド車両用駆動装置)である。具体的には、車両用駆動装置1は、1モータパラレル方式のハイブリッド車両用の駆動装置として構成されている。
以下の説明では、特に明記している場合を除き、「軸方向L」、「径方向」、「周方向」は、入力軸10の回転軸心を基準として定義している。なお、各部材についての方向は、それらが車両用駆動装置1に組み付けられた状態での方向を表す。また、各部材についての方向や位置等に関する用語は、製造上許容され得る誤差による差異を有する状態を含む概念である。
また、以下の説明において、「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力(トルクと同義)を伝達可能に連結された状態を意味する。この概念には、2つの回転要素が一体回転するように連結された状態や、1つ以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態が含まれる。このような伝動部材には、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材(軸、歯車機構、ベルト等)が含まれ、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置(摩擦係合装置や噛み合い式係合装置等)が含まれても良い。
また、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
また、2つの部材の配置に関して、「ある方向に見て重複する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線に直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの部材の双方に交わる領域が少なくとも一部に存在することを意味する。この場合において、注目している部材の全領域において前記仮想直線が2つの部材の双方に交わる場合には、当該注目部材の配置(相手方部材に対する配置)に関して「ある方向に見て完全に重複する」と言う。一方、注目している部材の一部の領域においてのみ前記仮想直線が2つの部材の双方に交わる場合には、当該注目部材の配置(相手方部材に対する配置)に関して「ある方向に見て部分的に重複する」と言う。なお、3つ以上の部材の配置に関して言及する場合には、前記仮想直線が3つ以上の部材の全てに交わる領域が少なくとも一部に存在することを意味する。
図1に示すように、車両用駆動装置1は、内燃機関Eに駆動連結される入力軸10と、回転電機MGと、車輪Wに駆動連結される出力軸50と、変速装置TMと、車軸AXとを備えている。本実施形態では、車両用駆動装置1は、係合装置CLと、オイルポンプOPとをさらに備えている。係合装置CL、回転電機MG、出力軸50、及び変速装置TMは、入力軸10と車軸AXとを結ぶ動力伝達経路に、入力軸10の側から記載の順に設けられている。これらは、ケース(駆動装置ケース)2内に収容されている(図2を参照)。本実施形態では、入力軸10が「入力部材」に相当する。
内燃機関Eは、機関内部における燃料の燃焼により駆動されて動力を取り出す原動機(ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等)である。本実施形態では、内燃機関Eの出力軸である内燃機関出力軸(クランクシャフト等)が、入力軸10に駆動連結されている。本実施形態では、内燃機関出力軸は、ダンパDを介して入力軸10に連結されている。なお、内燃機関出力軸と入力軸10とが直接的に連結されていても良い。
入力軸10と回転電機MGとの間に、係合装置CLが介挿されている。係合装置CLは、内燃機関E及び入力軸10と回転電機MG及び出力軸50とを選択的に連結する。言い換えると、係合装置CLは、入力軸10と出力軸50とが連結された状態と、入力軸10と出力軸50とが解放された状態とを選択可能である。さらに言い換えると、係合装置CLは、入力軸10と出力軸50とを連結又は解放する。本実施形態では、係合装置CLは、油圧駆動式に構成されている。また、係合装置CLは、係合を解除した状態で車輪Wから内燃機関Eを切り離す、内燃機関切離装置として機能する。
回転電機MGは、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを果たすことが可能である。回転電機MGは、蓄電装置(バッテリやキャパシタ等)と電気的に接続されている。回転電機MGは、蓄電装置から電力の供給を受けて力行し、或いは、内燃機関Eのトルクや車両の慣性力により発電した電力を蓄電装置に供給して蓄電させる。回転電機MGは、出力軸50と一体回転するように駆動連結されている。本実施形態では、出力軸50が「出力部材」に相当する。
出力軸50は、変速装置TMに連結されている。出力軸50は、変速装置TMに対して回転を入力する変速入力軸(変速入力部材の一例)として機能する。本実施形態では、変速装置TMは、変速比を変更可能に備えた自動又は手動の変速機構と、カウンタギヤ機構と、差動歯車機構とを含んで構成されている。変速装置TMは、出力軸50に入力される回転及びトルクを、その時点における変速比に応じて変速するとともにトルク変換して、左右一対の車軸AX及び車輪Wに伝達する。これにより、車両用駆動装置1は、内燃機関E及び回転電機MGの少なくとも一方のトルクを車輪Wに伝達させて車両を走行させることができる。
本実施形態に係る車両用駆動装置1は、入力軸10と出力軸50とが同軸に配置されるとともに、車軸AXが入力軸10及び出力軸50とは平行かつ別軸に配置された複軸構成となっている。このような構成は、例えばFF(Front Engine Front Drive)車両に搭載される車両用駆動装置1の構成として適している。
図2に示すように、ケース2は、軸方向Lに分割形成された第一分割ケース部21と、第二分割ケース部22と、第三分割ケース部24とを有する。第一分割ケース部21は、主に変速装置TMを収容する。第二分割ケース部22は、軸方向Lで第一分割ケース部21よりも入力軸10側に設けられており、主に係合装置CL及び回転電機MGを収容する。第三分割ケース部24は、軸方向Lで第二分割ケース部22よりもさらに内燃機関E側に設けられており、第二分割ケース部22の内燃機関E側の開口を閉塞する。
第一分割ケース部21には、径方向に延びる円環板状の壁部を構成する軸支持部材28が回転電機MG側から固定されている。軸支持部材28は、ケース2を構成する部材の1つであり、後述するロータ固定部材40に対して軸方向Lにおける係合装置CL側とは反対側(変速装置TM側)に配置されている。この軸支持部材28は、例えばオイルポンプOPを構成するポンプ本体部を収容するポンプケースの構成部材(ポンプボディ及びポンプケースの少なくとも一方)を兼用するものである。この場合、軸支持部材28には、オイルポンプOPから吐出される油が流通する油路が形成されていても良い。軸支持部材28は、その径方向内側端部に、当該軸支持部材28の板状部分から回転電機MG側とは反対側(変速装置TM側)に向かって延びる筒状軸支持部29を有する。この筒状軸支持部29には、例えば油路を構成するための円筒状部材が含まれても良い。本実施形態では、第一分割ケース部21はケース2を構成する1つのケース部であり、「第一ケース部」と称することができる。また、軸支持部材28が「ケース壁」に相当する。
第一分割ケース部21に接合される第二分割ケース部22は、径方向に延びる円環板状の中間壁23を有する。中間壁23は、軸方向Lにおける軸支持部材28と回転電機MGとの間に配置されている。第二分割ケース部22に接合される第三分割ケース部24は、径方向に延びる円環板状の端部壁25を有する。端部壁25は、回転電機MGに対して軸方向Lで内燃機関E側に配置されている。端部壁25は、回転電機MGのステータSt、ロータRo、及び係合装置CLの外形に対して相補的に、径方向外側から径方向内側に向かうに従って軸支持部材28側(内燃機関E側とは反対側)に位置するように、段付板状に形成されている。端部壁25は、その径方向内側端部に、軸支持部材28側に向かう段差部26を有する(図3を参照)。この段差部26に、第一軸受B1が固定されている。第一軸受B1としては、通常のボールベアリングが用いられている。本実施形態では、第三分割ケース部24はケース2を構成する(第一分割ケース部21とは異なる)他の1つのケース部であり、「第二ケース部」と称することができる。
図3に示すように、第三分割ケース部24を軸方向Lに貫通する状態で、入力軸10が配置されている。入力軸10は、入力本体部11と、この入力本体部11よりも大径の筒状に形成された入力筒状部12と、入力本体部11と入力筒状部12とを連結するように径方向に延びる円環板状の入力連結部13とを有する。入力本体部11は、ダンパDに対する連結部となる中実部11Aと、この中実部11Aよりも出力軸50側に一体形成された中空部11Bとを含む。中空部11Bの径方向内側の空間に、出力軸50の端部が収納されている。入力筒状部12は、中空部11Bにおける開放側端部(中実部11A側とは反対側の端部)の位置から、軸支持部材28側に向かって延びている。入力連結部13は、端部壁25よりも軸支持部材28側(ケース2内)において、中空部11Bにおける開放側端部と入力筒状部12における端部壁25側の端部とを連結している。
入力軸10は、ケース2に対して相対回転可能に支持されている。本実施形態では、入力軸10は、第三分割ケース部24を構成する端部壁25の段差部26に固定されるとともに入力本体部11(本例では中空部11B)の外周面に接するように配置された第一軸受B1を介して、第三分割ケース部24に対して軸方向L及び径方向に支持されている。本実施形態では、第一軸受B1はケース2に対して入力軸10を相対回転可能に軸方向L及び径方向に支持する軸受であり、「入力軸受」と称することができる。第一軸受B1は、段差部26における軸支持部材28側を向く面(当接面26a)に当接した状態で、端部壁25に固定されている。入力本体部11と端部壁25との間には、シール部材も配置されている。
本実施形態では、係合装置CLは、摩擦係合装置として構成されている。係合装置CLは、摩擦板31と、内側支持部材32と、外側支持部材33と、押圧部材34とを有する。これらは、入力軸10及び出力軸50と同軸に配置されている。摩擦板31は、対となる内側板と外側板とを有する。内側板及び外側板はそれぞれ複数枚ずつ備えられており、これらは軸方向Lに沿って交互に配置されている。複数の内側板は、入力筒状部12と一体回転するように連結された内側支持部材32によって径方向内側から径方向に支持されている。複数の外側板は、外側支持部材33によって径方向外側から径方向に支持されている。外側支持部材33は、後述するロータ固定部材40と一体回転するように連結されている。押圧部材34は、供給される油圧に応じて軸方向Lに沿って移動して、複数の摩擦板31を圧接する。また、係合装置CLは、押圧部材34を反押圧方向側に向かって付勢するための付勢部材35も備えている。
係合装置CLは、回転電機MGの径方向内側であって径方向に見て回転電機MGと重複する部分を有するように配置されている。係合装置CLは、回転電機MGのロータRoの径方向内側であって径方向に見てステータSt及びロータRoと重複する部分を有するように配置されている。係合装置CLは、径方向に見てステータStと完全に重複するとともにロータRoと部分的に重複するように配置されている。本例では、内燃機関E側に位置するおよそ半分の摩擦板31と、ステータSt及びロータRoにおける軸支持部材28側のおよそ半分とが、径方向に見て重複するように配置されている。また、押圧部材34が、径方向に見てステータSt及びロータRoと完全に重複するように配置されている。
回転電機MGは、ケース2(本例では第二分割ケース部22)に固定されたステータStと、このステータStの径方向内側に回転自在に径方向に支持されたロータRoとを有する。ステータSt及びロータRoは、それぞれ軸方向Lに積層された積層鋼板を含む。ロータRoは、ステータStよりも僅かに長い軸方向寸法を有して構成されている。すなわち、ロータRoを構成する積層鋼板における軸方向Lの両端部は、ステータStを構成する積層鋼板における軸方向Lの両端部よりもそれぞれ僅かに軸方向Lの外側に位置している。ロータRoは、当該ロータRoに固定されるロータ固定部材と一体回転する。ロータRoは、当該ロータRoから径方向内側に延びるロータ固定部材40により、径方向に支持されている。この意味で、ロータ固定部材40は、ロータRoを径方向に支持する「ロータ支持部材」と称することもできる。
ロータ固定部材40は、筒状固定部41と、径方向連結部44と、筒状支持部48とを備えている。筒状固定部41及び筒状支持部48は、それぞれ軸方向Lに延びる円筒状に形成されている。このようにロータ固定部材40は2つの筒状部を有しており、本実施形態では、それらのうちの一方である筒状固定部41を「第一筒状部」と称することができ、他方である筒状支持部48を「第二筒状部」と称することができる。筒状固定部41(第一筒状部)は、外周面がロータRoに接する状態で、当該ロータRoを径方向内側から保持する。筒状固定部41は、係合装置CLの外側支持部材33と一体回転するように連結されている。
径方向連結部44は、筒状固定部41の軸方向Lにおける軸支持部材28側の端部から径方向内側に延びる、円環板状に形成されている。径方向連結部44は、係合装置CLに対して軸方向Lにおける軸支持部材28側を、径方向に沿って延びるように配置されている。径方向連結部44における径方向内側部分は、径方向外側部分に対して軸支持部材28側にオフセットして配置されている。径方向連結部44は、オフセット境界部となる径方向の中央部に、軸支持部材28側に向かう段差部45を有する。この段差部45を利用して、回転センサ90が配置されている。すなわち、段差部45にセンサロータ92が配置され、その径方向外側に対向配置されるセンサステータ91が、第二分割ケース部22の中間壁23に固定されている。センサステータ91及びセンサロータ92は、それぞれ軸方向Lに積層された積層鋼板を含む。センサロータ92は、センサステータ91よりも僅かに長い軸方向寸法を有して構成されている。
径方向連結部44は、段差部45よりも径方向内側の位置に、軸方向Lに貫通形成された貫通孔46を有する。貫通孔46は複数設けられており、これらは周方向に略均等に分散配置されている。この貫通孔46には、後述する伝達ギヤ機構70の連結軸75が配置されている。
筒状支持部48(第二筒状部)は、筒状固定部41よりも小径に形成され、筒状固定部41よりも径方向内側に配置されている。本実施形態では、筒状支持部48は、径方向連結部44の径方向内側の端部から、内燃機関E側に向かって延びるように設けられている。本実施形態では、筒状支持部48は、入力軸10を構成する入力本体部11の中空部11Bと同程度の外径及び内径を有している。筒状支持部48と中空部11Bとは、軸方向Lに所定の隙間を隔てて並んで配置されている。ロータ固定部材40を構成する筒状固定部41と筒状支持部48とは、径方向連結部44に対して軸方向Lの同じ側(内燃機関E側)に配置されている。筒状固定部41と径方向連結部44と筒状支持部48とは、全体として、内燃機関E側に向かって開口する中央筒部付きの碗状に形成されている。このロータ固定部材40の内部空間(筒状固定部41と径方向連結部44と筒状支持部48とによって囲まれる空間)に、入力軸10の入力筒状部12が配置されるとともにその入力筒状部12よりも径方向外側に係合装置CLが収納されている。入力筒状部12及び係合装置CLは、入力筒状部12よりも径方向外側に係合装置CLが位置する状態で、筒状固定部41と筒状支持部48との径方向の間に配置されている。
図3に示すように、筒状支持部48は、出力軸50に取り付けられている。筒状支持部48は、出力軸50に対して当接する状態で出力軸50に取り付けられている。筒状支持部48は、その内周面が出力軸50の外周面に対して当接する状態で取り付けられている。本実施形態では、筒状支持部48は、出力軸50に対して径方向及び周方向の相対移動が規制される状態で出力軸50に取り付けられている。本実施形態では、筒状支持部48と出力軸50との取付部Aは、スプライン係合部A1とインロー嵌合部A2との組み合わせにより構成されている。筒状支持部48と出力軸50との取付部Aにおける第一位置P1にスプライン係合部A1が設けられ、第一位置P1よりも軸方向Lの内燃機関E側の第二位置P2にインロー嵌合部A2が設けられている。
スプライン係合部A1は、スプライン歯とスプライン溝との係合によって構成される係合部である。スプライン係合部A1には、インボリュートスプライン係合部、円弧状スプライン係合部、及び角形スプライン係合部等が含まれ、本実施形態では同様の構成を有するセレーション係合部も含まれるものとする。図4に、第一位置P1における筒状支持部48及び出力軸50の断面の一例が示されている。この図に示すように、本実施形態では、第一位置P1において、ロータ固定部材40における径方向内側部位である筒状支持部48の内周面は、スプライン状に形成されている。筒状支持部48の内周面は、径方向の凹凸を有するように形成されており、内周側凹凸面48aを構成している。また、出力軸50における径方向外側部位であるその外周面も、スプライン状に形成されている。出力軸50の外周面も、径方向の凹凸を有するように形成されており、外周側凹凸面50aを構成している。
筒状支持部48の内周側凹凸面48aと出力軸50の外周側凹凸面50aとは、互いに相補的に配置されている。本実施形態では、筒状支持部48の内周側凹凸面48aを構成する歯先48cと出力軸50の外周側凹凸面50aを構成する歯底50dとが対向し、かつ、筒状支持部48の内周側凹凸面48aを構成する歯底48dと出力軸50の外周側凹凸面50aを構成する歯先50cとが対向している。また、筒状支持部48の内周側凹凸面48aを構成する周方向一方側の歯側面48eと出力軸50の外周側凹凸面50aを構成する周方向他方側の歯側面50eとが対向している。筒状支持部48と出力軸50とは、これらが回転したとき、筒状支持部48及び出力軸50のうちの駆動側部材の回転方向側の歯側面と、被駆動側部材の反回転方向側の歯側面とが当接する。これにより、スプライン係合部A1は、主に筒状支持部48と出力軸50との周方向の相対移動を規制する。このスプライン係合部A1により、ロータ固定部材40と出力軸50との間で駆動力の伝達が可能となっている。
本実施形態のように取付部Aがスプライン係合部A1とインロー嵌合部A2とで構成される場合には、筒状支持部48の歯先48cと出力軸50の歯底50d、及び、筒状支持部48の歯底48dと出力軸50の歯先50cとは当接しない。つまり、インロー嵌合部A2が設けられているのであれば、筒状支持部48の歯先48cと出力軸50の歯底50dとが径方向に隙間を隔てて配置され、かつ、筒状支持部48の歯底48dと出力軸50の歯先50cとが径方向に隙間を隔てて配置される。ロータ固定部材40の径方向の支持をインロー嵌合部A2で行う場合には、ロータ固定部材40の軸心と出力軸50の軸心とがずれるとインロー嵌合部A2が先に当接するため、筒状支持部48の歯底48dと出力軸50の歯先50c、及び、筒状支持部48の歯先48cと出力軸50の歯底50dとは当接しない。また、当接しないようにインロー嵌合部A2の隙間と、筒状支持部48の歯底48dと出力軸50の歯先50c、及び、筒状支持部48の歯先48cと出力軸50の歯底50dとの隙間が設定されている。
インロー嵌合部A2は、互いに接する内周面と外周面との嵌合によって構成される係合部である。図5に、第二位置P2における筒状支持部48及び出力軸50の断面が示されている。この図に示すように、本実施形態では、第二位置P2において、ロータ固定部材40における径方向内側部位である筒状支持部48の内周面は、円筒状に形成されている。また、出力軸50における径方向外側部位であるその外周面も、円筒状に形成されている。インロー嵌合部A2は、筒状支持部48と出力軸50とが全周に亘って(周方向の全域に亘って)当接して構成されている。すなわち、第二位置P2において、筒状支持部48の円筒状内周面48bと出力軸50の円筒状外周面50bとが全周に亘って当接して、インロー嵌合部A2が構成されている。インロー嵌合部A2は、筒状支持部48と出力軸50との径方向の相対移動を規制する。このインロー嵌合部A2により、ロータ固定部材40を、出力軸50に対して他の部材(軸受等)を介することなく直接的に径方向に支持することが可能となっている。
本実施形態では、厳密には、インロー嵌合部A2における筒状支持部48側の部位(筒状支持部48の円筒状内周面48b)が、「当接部」に相当する。また、スプライン係合部A1における筒状支持部48側の部位(筒状支持部48の内周側凹凸面48a)が、「連結部」に相当し、より具体的には「スプライン連結部」に相当する。但し、本開示に係る技術の特徴を理解するに当たっては、インロー嵌合部A2の全体を「当接部」と考え、スプライン係合部A1の全体を「連結部」と考えても特に問題はない。また、本実施形態では、「連結部」を構成するスプライン係合部A1(厳密には筒状支持部48の内周側凹凸面48a)が、ロータ固定部材40における出力軸50に駆動力を伝達する「伝達部」を兼ねている。
本実施形態では、インロー嵌合部A2を形成する円筒面(円筒状内周面48b及び円筒状外周面50b)は、スプライン係合部A1を形成する凹凸面(内周側凹凸面48a及び外周側凹凸面50a)よりも小径となっている。インロー嵌合部A2を形成する円筒面は、スプライン係合部A1を形成する凹凸面における径方向内側の端面(歯先48c又は歯底50d)よりもさらに径方向内側に位置している。また、スプライン係合部A1とインロー嵌合部A2とは、同程度の軸方向Lの幅を有している。スプライン係合部A1とインロー嵌合部A2とは、軸方向Lに隣接して配置されている。「隣接」とは、注目している2つの部位が他の部位を間に介在させることなく隣り合っていることを意味する。本実施形態では、インロー嵌合部A2は、スプライン係合部A1に対して軸方向Lで入力軸10の入力本体部11側に隣接して設けられている。インロー嵌合部A2は、その全体が、径方向に見て入力軸10の入力筒状部12と重複するように配置されている。
出力軸50は、ケース2に対して相対回転可能な状態で支持されている。本実施形態では、出力軸50は、ケース2を構成する第一分割ケース部21に固定された軸支持部材28(ケース壁)により、径方向に支持されている。出力軸50は、軸方向Lにおける取付部A(ここでは特にインロー嵌合部A2)よりも変速装置TM側で、径方向に支持されている。また、出力軸50は、径方向連結部44に対して軸方向Lにおける後述する第一ワンウェイクラッチF1及び第二ワンウェイクラッチF2側とは反対側で、径方向に支持されている。
ケース2を構成する軸支持部材28(ケース壁)と出力軸50との径方向の間に、第二軸受B2及び第三軸受B3が配置されている(図2を参照)。第二軸受B2及び第三軸受B3は、軸方向Lにおける取付部A(ここでは特にインロー嵌合部A2)よりも変速装置TM側に配置されている。また、第二軸受B2及び第三軸受B3は、径方向連結部44に対して軸方向Lにおける後述する第一ワンウェイクラッチF1及び第二ワンウェイクラッチF2側とは反対側に配置されている。本実施形態では、対をなす第二軸受B2及び第三軸受B3が「支持軸受」に相当する。
出力軸50は、軸支持部材28の筒状軸支持部29における両端部において、第二軸受B2及び第三軸受B3を介して径方向に支持されている。出力軸50は、軸支持部材28に対して、第二軸受B2及び第三軸受B3によって径方向にのみ支持されている。出力軸50は、第二軸受B2及び第三軸受B3によって軸方向Lには支持されることなく径方向にのみ支持されている。第二軸受B2及び第三軸受B3としては、ニードルベアリングが用いられている。すなわち、第二軸受B2及び第三軸受B3として、一般的にボールベアリングよりも径方向サイズが小さいニードルベアリングが用いられている。本実施形態では、軸方向Lの比較的離間した2点で出力軸50をケース2(軸支持部材28)に対して径方向に支持するので、高い軸心精度で出力軸50を径方向に支持することができている。また、第二軸受B2及び第三軸受B3としてニードルベアリングを用いることで、径方向サイズの拡大を最小限に抑えることができている。
ロータ固定部材40は、出力軸50に当接するインロー嵌合部A2によって出力軸50に対して径方向に支持されている。ロータ固定部材40は、インロー嵌合部A2のみによって出力軸50に対して径方向に支持されている。ロータ固定部材40は、インロー嵌合部A2以外の部位によっては径方向に支持されることなく、インロー嵌合部A2のみによって出力軸50に対して径方向に支持されている。そして、ロータ固定部材40は、出力軸50に当接するインロー嵌合部A2によって出力軸50に対して径方向に支持されるとともに、そのインロー嵌合部A2と出力軸50と第二軸受B2及び第三軸受B3とを介してケース2に対して相対回転可能に径方向に支持されている。また、ロータ固定部材40は、出力軸50に当接するインロー嵌合部A2と、出力軸50と、第二軸受B2及び第三軸受B3とを介してケース2に対してセンタリングされている。このため、本実施形態の構造では、高い軸心精度でロータ固定部材40及びロータRoを径方向に支持することもできている。軸支持部材28を軸方向Lに貫通する出力軸50は、ロータ固定部材40をも軸方向Lに貫通する状態で配置され、さらにその内燃機関E側の端部が入力本体部11の中空部11Bの径方向内側空間に挿入されている。
図2及び図3に示すように、本実施形態に係る車両用駆動装置1は、オイルポンプOPを駆動するためのポンプ駆動機構として、ポンプ駆動部材60と伝達ギヤ機構70と駆動伝達機構80とをさらに備えている。これらは、ポンプ駆動部材60とオイルポンプOPとを結ぶ動力伝達経路に記載の順に設けられており、互いに駆動連結されている。
ポンプ駆動部材60は、筒状に形成されたポンプ駆動筒状部61と、このポンプ駆動筒状部61の軸支持部材28側の端部から径方向外側に向かって延びるフランジ状のポンプ駆動板状部62とを有する。ポンプ駆動筒状部61は、ロータ固定部材40の筒状支持部48よりも径方向外側であって、且つ、入力軸10の入力筒状部12の径方向内側に、これらと同軸に径方向に所定の隙間を隔てて配置されている。
筒状支持部48の外周面とポンプ駆動筒状部61の内周面とに接する状態で、第一ワンウェイクラッチF1が配置されている。すなわち、筒状支持部48の外周面と第一ワンウェイクラッチF1とが当接し、かつ、第一ワンウェイクラッチF1とポンプ駆動筒状部61の内周面とが当接している。筒状支持部48の外周面と第一ワンウェイクラッチF1とが圧入されている。また、ポンプ駆動筒状部61の外周面と入力筒状部12の内周面とに接する状態で、第二ワンウェイクラッチF2が配置されている。すなわち、ポンプ駆動筒状部61の外周面と第二ワンウェイクラッチF2とが当接し、かつ、第二ワンウェイクラッチF2と入力筒状部12の内周面とが当接している。ポンプ駆動筒状部61の外周面と第二ワンウェイクラッチF2とが圧入されている。
出力軸50、筒状支持部48、第一ワンウェイクラッチF1、ポンプ駆動筒状部61、第二ワンウェイクラッチF2、及び入力筒状部12は、同軸に配置されている。これらは、径方向内側から径方向外側に向かって記載の順に配置されている。
筒状支持部48と回転電機MGと係合装置CLとが、径方向に見て重複する部分を有するように配置されている。筒状支持部48とロータRoと係合装置CLとが、径方向に見て重複する部分を有するように配置されている。本実施形態では、出力軸50と筒状支持部48との間のインロー嵌合部A2(筒状支持部48における出力軸50との当接部)が、径方向に見てロータRo及び係合装置CLと重複する部分を有するように配置されている。インロー嵌合部A2は、径方向に見てロータRo及び摩擦板31と重複する部分を有するように配置されている。インロー嵌合部A2は、径方向に見て摩擦板31(内側支持部材32に接する状態に配置されたプレッシャープレートを含む)と完全に重複するとともにロータRoと部分的に重複するように配置されている。
なお、出力軸50と筒状支持部48との間のスプライン係合部A1は、ロータRo及び摩擦板31とは異なる軸方向Lの位置に配置されており、本例ではロータRo及び摩擦板31に対して軸方向Lにおける変速装置TM側に配置されている。スプライン係合部A1は、径方向に見て径方向連結部44と重複する部分を有するように配置されている。また、スプライン係合部A1は、径方向に見て軸方向Lにおける変速装置TM側のコイルエンド部と重複する部分を有するように配置されている。また、スプライン係合部A1は、径方向に見て、径方向連結部44と中間壁23との間に配置された回転センサ90と重複する部分を有するように配置されている。
また、筒状支持部48と第一ワンウェイクラッチF1及び第二ワンウェイクラッチF2の少なくとも一方とが、径方向に見て重複する部分を有するように配置されている。本実施形態では、筒状支持部48は、径方向に見て第一ワンウェイクラッチF1及び第二ワンウェイクラッチF2の両方と重複する部分を有するように配置されている。筒状支持部48、第一ワンウェイクラッチF1、及び第二ワンウェイクラッチF2は、出力軸50、ポンプ駆動筒状部61、及び入力筒状部12とも、径方向に見て重複する部分を有するように配置されている。本実施形態では、出力軸50と筒状支持部48との間のインロー嵌合部A2(筒状支持部48における出力軸50との当接部)が、径方向に見てポンプ駆動筒状部61及び第一ワンウェイクラッチF1と完全に重複するように配置されている。インロー嵌合部A2は、径方向に見て第二ワンウェイクラッチF2及び入力筒状部12とも完全に重複するように配置されている。
なお、出力軸50と筒状支持部48との間のスプライン係合部A1は、第一ワンウェイクラッチF1及び第二ワンウェイクラッチF2と部分的に重複するように配置されている。本例では、スプライン係合部A1における内燃機関E側の一部と、第一ワンウェイクラッチF1及び第二ワンウェイクラッチF2における変速装置TM側の一部とが、径方向に見て重複するように配置されている。
第一ワンウェイクラッチF1や第二ワンウェイクラッチF2としては、同軸に配置される内輪及び外輪と、これらの間で選択的に駆動力を伝達する駆動力伝達部材(ローラやスプラグ等)とを有するものを用いることができる。
第一ワンウェイクラッチF1は、ロータ固定部材40とポンプ駆動部材60との相対回転を一方向に規制する。第一ワンウェイクラッチF1は、ロータ固定部材40とポンプ駆動部材60との相対回転を一方向にのみ許容する。第一ワンウェイクラッチF1は、ロータ固定部材40(回転電機MG)の回転数がポンプ駆動部材60の回転数よりも低い状態では相対回転を許容し、ロータ固定部材40の回転数が上昇してポンプ駆動部材60の回転数に等しくなると相対回転を規制する。ロータ固定部材40とポンプ駆動部材60との相対回転が規制されると、これらはロックされて一体回転する状態となる。
第二ワンウェイクラッチF2は、入力軸10とポンプ駆動部材60との相対回転を一方向に規制する。第二ワンウェイクラッチF2は、入力軸10とポンプ駆動部材60との相対回転を一方向にのみ許容する。第二ワンウェイクラッチF2は、入力軸10(内燃機関E)の回転数がポンプ駆動部材60の回転数よりも低い状態では相対回転を許容し、入力軸10の回転数が上昇してポンプ駆動部材60の回転数に等しくなると相対回転を規制する。入力軸10とポンプ駆動部材60との相対回転が規制されると、これらはロックされて一体回転する状態となる。
これら2つのワンウェイクラッチF1,F2は、ポンプ駆動部材60に対するロータ固定部材40の相対回転の規制方向と、ポンプ駆動部材60に対する入力軸10の相対回転の規制方向とが互いに同一方向となるように構成されている。これらは、互いに協働的に機能し、ロータ固定部材40の回転速度が入力軸10の回転速度以上の場合には、入力軸10とポンプ駆動部材60との相対回転が許容された状態で、第一ワンウェイクラッチF1によってロータ固定部材40とポンプ駆動部材60との相対回転が規制される。また、入力軸10の回転速度がロータ固定部材40の回転速度以上の場合には、ロータ固定部材40とポンプ駆動部材60との相対回転が許容された状態で、第二ワンウェイクラッチF2によって入力軸10とポンプ駆動部材60との相対回転が規制される。このため、ポンプ駆動部材60は、入力軸10(内燃機関E)及びロータ固定部材40(回転電機MG)のうちの回転数が高い方と同速で回転することになる。
ポンプ駆動板状部62は、軸方向Lにおけるロータ固定部材40の径方向連結部44の内側部分と入力筒状部12との間に、これらと軸方向Lに所定の隙間を隔てて配置されている。ポンプ駆動板状部62の外周部には、第一駆動ギヤ64が形成されている。第一駆動ギヤ64は、伝達ギヤ機構70を構成する第一伝達板状部71の外周部に形成された第一被駆動ギヤ72に噛み合っている。ポンプ駆動板状部62及び第一伝達板状部71は、軸方向Lに見て径方向連結部44の内側部分と重複し、且つ、径方向に見て径方向連結部44の外側部分と重複する部分を有するように配置されている。
伝達ギヤ機構70は、第一伝達板状部71に形成された第一被駆動ギヤ72と、第二伝達板状部73の外周部に形成された第二駆動ギヤ74と、第一伝達板状部71と第二伝達板状部73とを連結する連結軸75とを有する。第二伝達板状部73及び第二駆動ギヤ74は、ロータ固定部材40の径方向連結部44に対して第一伝達板状部71及び第一被駆動ギヤ72側とは反対側(軸支持部材28側)に配置されている。すなわち、第一伝達板状部71及び第一被駆動ギヤ72と第二伝達板状部73及び第二駆動ギヤ74とは、径方向連結部44を挟んで軸方向Lの両側に分かれて配置されている。
連結軸75は、軸方向Lに見てロータ固定部材40の径方向連結部44に形成された貫通孔46に対応する位置に配置されている。これにより、連結軸75が径方向連結部44を軸方向Lに貫通する状態で、伝達ギヤ機構70が配置されている。本実施形態では、伝達ギヤ機構70は「中間伝達機構」として機能する。貫通孔46の内周面と連結軸75の外周面とに接するように、これらの間には第四軸受B4が配置されている。第四軸受B4としては、ニードルベアリングが用いられている。第二駆動ギヤ74は、駆動伝達機構80を構成する駆動伝達筒状部81の外周部に形成された第二被駆動ギヤ82に噛み合っている。
駆動伝達機構80は、伝達ギヤ機構70を介して伝達されるポンプ駆動部材60の回転をオイルポンプOPに伝達する。第二被駆動ギヤ82が形成された駆動伝達筒状部81には、第一スプロケット83が固定されている。これにより、第二被駆動ギヤ82と第一スプロケット83とは一体回転する。第一スプロケット83は、第二被駆動ギヤ82に対して軸方向Lでポンプ駆動部材60及び伝達ギヤ機構70側とは反対側(軸支持部材28側)に配置されている。第一スプロケット83には、チェーン85が巻きかけられている。
本実施形態では、第二被駆動ギヤ82及び第一スプロケット83を有する駆動伝達筒状部81と、チェーン85とを含んで駆動伝達機構80が構成されている。図2や図3では図示は省略されているが、駆動伝達機構80には、出力軸50とは別軸に配置されるポンプ軸に固定された、チェーン85に巻きかけられる第二スプロケットも含まれている。
このように、本実施形態では、ポンプ駆動部材60と駆動伝達機構80とは、径方向連結部44を軸方向Lに貫通する状態で配置される伝達ギヤ機構70を介して駆動連結されている。このため、軸方向Lにおけるポンプ駆動部材60と駆動伝達機構80との間にロータ固定部材40の径方向連結部44が存在する場合であっても、ポンプ駆動部材60の回転を適切に駆動伝達機構80ひいてはオイルポンプOPに伝達できる。そして、上述した2つのワンウェイクラッチF1,F2との協働により、内燃機関E及び回転電機MGのうちの回転数の高い方のトルクによってオイルポンプOPを駆動することができる。オイルポンプOPの駆動により吐出された油は、油圧制御装置(図示せず)を介して、係合装置CL等の係合の状態の制御や、装置各部の潤滑及び冷却等のために供給される。
本実施形態に係る車両用駆動装置1において、入力軸10、係合装置CL、ロータRo及びロータ固定部材40、出力軸50、ポンプ駆動部材60、伝達ギヤ機構70、並びに駆動伝達機構80は、以下のようにして組み付けられる。
まず、変速装置TMが収容された第一分割ケース部21に対して軸支持部材28が組み付けられる。軸支持部材28は、出力軸50に外挿された状態で第一分割ケース部21に固定される。これにより、出力軸50は、軸支持部材28を介してケース2(第一分割ケース部21)に相対回転可能に径方向に支持される。具体的には、軸支持部材28の径方向内側端部を軸方向Lに沿って延びる筒状軸支持部29の両端部において、第二軸受B2及び第三軸受B3によって、出力軸50が軸支持部材28を介してケース2に径方向に支持される。
次に、第一分割ケース部21に固定された軸支持部材28に対して、駆動伝達機構80が組み付けられる。駆動伝達機構80を構成する駆動伝達筒状部81は、第一スプロケット83にチェーン85が巻きかけられた状態で、筒状軸支持部29を含む軸支持部材28に相対回転可能に支持される。具体的には、筒状軸支持部29の外周面に接するとともに当該筒状軸支持部29における入力軸10側の側面に接するように配置される第五軸受B5によって、駆動伝達筒状部81を含む駆動伝達機構80が軸方向L及び径方向に位置決めされる。第五軸受B5としては、ボールベアリングが用いられる。その後、第一分割ケース部21に対して内燃機関E側から第二分割ケース部22が接合される。
次に、第一分割ケース部21に固定された軸支持部材28及び当該軸支持部材28に対して径方向に支持された出力軸50に対して、ロータRo及びロータ固定部材40、並びに伝達ギヤ機構70が組み付けられる。本実施形態では、ロータRo及びロータ固定部材40と、ロータ固定部材40を軸方向Lに貫通配置される伝達ギヤ機構70と、第一ワンウェイクラッチF1とが、予め組み付けられて中間ユニットが構成される。なお、第一ワンウェイクラッチF1は、ロータ固定部材40の筒状支持部48の外周面に、径方向連結部44側とは反対側の端部から軸方向Lに沿って圧入されている。そして、その中間ユニットが、筒状支持部48にて出力軸50に取り付けられるとともに、軸支持部材28に対して軸方向Lに位置決めされる。このとき、軸方向Lにおける軸支持部材28とロータ固定部材40の径方向連結部44との間には、これらの両方に接するように第六軸受B6(スラストベアリング)が配置される。なお、中間ユニットは、軸方向Lにおける軸支持部材28側とは反対側(内燃機関E側)から組み付けられる。ロータ固定部材40は、取付部Aにて、出力軸50に対して径方向に位置決めされる。
次に、軸支持部材28及び出力軸50に対して位置決めされたロータ固定部材40及び第一ワンウェイクラッチF1に対して、ポンプ駆動部材60が組み付けられる。なお、ポンプ駆動部材60の組み付け前に、ポンプ駆動筒状部61の外周面に第二ワンウェイクラッチF2が圧入されている。ポンプ駆動部材60は、径方向連結部44に対して軸方向Lに位置決めされるとともに、筒状支持部48に対して径方向に位置決めされる。このとき、ポンプ駆動部材60は、ポンプ駆動筒状部61の内周面が第一ワンウェイクラッチF1の外周面に接するように配置される。また、軸方向Lにおけるポンプ駆動部材60のポンプ駆動板状部62と径方向連結部44との間には、これらの両方に接するように第七軸受B7(スラストベアリング)が配置される。
次に、ロータ固定部材40及びこのロータ固定部材40に対して位置決めされたポンプ駆動部材60及び第二ワンウェイクラッチF2に対して、係合装置CL及び入力軸10が組み付けられる。入力軸10は、当該入力軸10の入力筒状部12とロータ固定部材40の筒状固定部41との間に係合装置CLが配置される状態で、ポンプ駆動部材60に対して軸方向L及び径方向に位置決めされる。このとき、軸方向Lにおける入力軸10の入力連結部13とポンプ駆動部材60のポンプ駆動筒状部61との間には、これらの両方に接するように第八軸受B8(スラストベアリング)が配置される。また、入力筒状部12は、ポンプ駆動筒状部61の外周面に圧入された第二ワンウェイクラッチF2の外周面に、その内周面が接するように配置される。本実施形態では、軸受B6〜B8のそれぞれが「スラスト軸受」に相当する。
次に、第二分割ケース部22の内燃機関E側の開口を塞ぐように、第二分割ケース部22に対して内燃機関E側から第三分割ケース部24が接合される。第三分割ケース部24の端部壁25に形成された段差部26には、その内周面とケース2の内部側(軸支持部材28側)を向く当接面26aとに接する状態で、第一軸受B1が圧入されて固定されている。入力軸10に対して内燃機関E側から外挿するようにして第三分割ケース部24が組み付けられる際、第一軸受B1は、入力軸10の入力本体部11の外周面に接するように配置される。これにより、入力軸10は、第一軸受B1のみを介してケース2に対して相対回転可能に軸方向L及び径方向に支持されるとともに、径方向に位置決めされる。なお、その際、入力連結部13と第一軸受B1との間に、隙間調整部材95が配置される。
このように、本実施形態では、第一分割ケース部21に軸支持部材28が固定されるとともに、軸支持部材28、径方向連結部44、ポンプ駆動部材60、及び入力連結部13が、相互間にスラスト軸受を介して軸方向Lに並んで配置される。これにより、第一分割ケース部21に固定された軸支持部材28に対して、出力軸50、駆動伝達機構80、伝達ギヤ機構70、ロータ固定部材40、ポンプ駆動部材60、及び入力軸10が適切に位置決めされる。また、入力軸10の入力本体部11に対して内燃機関E側から、第一軸受B1が固定された第三分割ケース部24が外挿されるところ、軸方向Lにおける入力連結部13と第一軸受B1との間に隙間調整部材95が配置される。このため、隙間調整部材95の厚みに応じて、上記の各構成部品間の軸方向Lのクリアランスを適正量に調整することができる。
本実施形態では、各構成部品間の軸方向Lのクリアランスと、回転電機MGを構成するステータSt及びロータRoのサイズとに基づいて、隙間調整部材95の厚み(図6に示す“α”)が設定されている。より具体的には、軸支持部材28から第一軸受B1までの軸方向Lのクリアランスの総和(図6において“β”で表される隙間)が、ロータRoの軸長とステータStの軸長との差分の半分以下となるように、隙間調整部材95の厚み(α)が設定されている。なお、図6は、軸支持部材28から隙間調整部材95までの各構成部品を全て軸支持部材28側に寄せて配置した状態を示している。
隙間調整部材95がない場合の軸支持部材28から第一軸受B1までの軸方向Lのクリアランスの総和(図6において“γ”で表される隙間)は、第二分割ケース部22と第三分割ケース部24との接合面(これを“基準面Ps”と称する;図2を参照)を基準として求めることができる。すなわち、隙間調整部材95がない場合の総クリアランス(γ)は、軸支持部材28に各構成部品が直接的又は間接的に軸方向Lに支持された状態での基準面Psから入力連結部13の内燃機関E側の面までの離間長さと、基準面Psから第一軸受B1の軸支持部材28側の面までの離間長さとの差として求めることができる。従って、上述したように各構成部品を組み付ける手順における終盤の段階で、隙間調整部材95がない場合の総クリアランス(γ)を容易に実測することができる。
一方、用いられる回転電機MGのステータSt及びロータRoのサイズから、ロータRoの軸長とステータStの軸長との差分も容易に求まるので、当該差分に基づいて限界クリアランス(δ)が設定される。本例では、限界クリアランス(δ)は、ロータRoの軸長とステータStの軸長との差分の半分の値に設定されている。そして、隙間調整部材95の厚み(α)は、隙間調整部材95がない場合の総クリアランス(γ)から隙間調整部材95の厚み(α)を差し引いて求められる実際の総クリアランス(β)が、限界クリアランス(δ)以下となるように設定されている。
本実施形態では、隙間調整部材95が入力連結部13と第一軸受B1との間に配置されるため、隙間調整部材95の厚み(α)を容易かつ適切に決定することができる。そして、車両用駆動装置1の個体毎に求められる適正な厚み(α)の隙間調整部材95を選択して用いることで、各構成部品間の軸方向Lのクリアランスを容易に適正量に調整することができる。そして、ロータ固定部材40及びロータRoが軸方向Lに最大限移動したとしても、軸方向LにおいてステータStが占める領域内に、常にロータRo全体を収めることができる。
また、本実施形態では、ロータ固定部材40が、その径方向内側端部に形成された筒状支持部48にて出力軸50に取り付けられるため、出力軸50を介してロータ固定部材40をケース2に径方向に支持することができる。よって、比較的高い支持精度でロータRo及びロータ固定部材40をケース2に径方向に支持することができる。また、ロータ固定部材40が軸受を介して径方向に支持される構成に比べて、ロータ固定部材40を径方向に適切に支持しながら径方向のコンパクト化を図ることができる。さらに、出力軸50と筒状支持部48と第一ワンウェイクラッチF1とポンプ駆動筒状部61と第二ワンウェイクラッチF2と入力筒状部12とが同軸に配置されるとともに径方向に見て重複するので、装置の大型化を抑制することができる。その際、ポンプ駆動筒状部61が軸方向Lで占める領域に各構成部品が同軸に密集して配置されるので、より積極的に、装置軸長を短縮させることができる。
また、本実施形態では、筒状支持部48とロータRoとが径方向に見て重複する部分を有するように配置され、さらに係合装置CLも径方向に見てこれらと重複する部分を有するように配置される。これにより、装置の大型化を抑制できるとともに、ロータRoの軸方向中心(重心)に近い領域で、当該ロータRoを、ロータ固定部材40を介して出力軸50に径方向に支持することができる。また、比較的重量のある係合装置CLを利用して、ロータRoの軸方向中心における近い領域で、出力軸50に対する筒状支持部48の固定状態を安定化させることができる。これにより、より高い支持精度でロータRo及びロータ固定部材40をケース2に径方向に支持することができる。
また、ロータ固定部材40は、上述したようにインロー嵌合部A2によって出力軸50に対して径方向にのみ支持されるとともに、そのインロー嵌合部A2と出力軸50と第二軸受B2及び第三軸受B3とを介してケース2に対して相対回転可能に径方向に支持されている。また、ロータ固定部材40は、軸方向Lの一方側(変速装置TM側)では、第六軸受B6を介してケース2を構成する軸支持部材28(ケース壁)に軸方向Lに支持されている。ロータ固定部材40は、軸方向Lの他方側(内燃機関E側)では、第七軸受B7、ポンプ駆動部材60、第八軸受B8、入力連結部13、隙間調整部材95、及び第一軸受B1を介して、ケース2を構成する端部壁25に軸方向Lに支持されている。このように、本実施形態では、ロータ固定部材40の径方向の支持構造(主にインロー嵌合部A2並びに第二軸受B2及び第三軸受B3で実現)と、軸方向Lの支持構造(主に軸受B1,B6〜B8で実現)とを分離させている。このため、径方向の支持と軸方向Lの支持とを分離させずに1箇所で行う構造とは異なり、第二軸受B2及び第三軸受B3としてボールベアリングではなくニードルベアリングを用いることができる。よって、ロータ固定部材40を1箇所で軸方向L及び径方向に支持する構造に比べて、径方向における小型化を図ることができる。
〔その他の実施形態〕
最後に、車両用駆動装置のその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の実施形態では、隙間調整部材95が、軸方向Lにおける入力軸10の入力連結部13と第一軸受B1との間に配置されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。軸支持部材28から第一軸受B1までの軸方向Lのクリアランスの総和(β)が適正量に調整されるのであれば、隙間調整部材95は、軸支持部材28、径方向連結部44、ポンプ駆動部材60、及び入力連結部13の、いずれかの相互間に配置されても良い。
(2)上記の実施形態では、隙間調整部材95の厚み(α)が、各構成部品間の軸方向Lのクリアランスと、回転電機MGを構成するステータSt及びロータRoのサイズとに基づいて設定されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、これらに加え、さらに回転センサ90を構成するセンサステータ91及びセンサロータ92のサイズにも基づいて隙間調整部材95の厚み(α)が設定されても良い。この場合、例えばロータRoの軸長とステータStの軸長との差分と、センサロータ92の軸長とセンサステータ91の軸長と差分とのうち、小さい方の値の半分の値を限界クリアランス(δ)として、隙間調整部材95の厚み(α)を設定すると良い。
(3)上記の実施形態では、筒状支持部48と出力軸50との取付部Aを構成するスプライン係合部A1とインロー嵌合部A2とが、同程度の軸方向Lの幅を有している構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。スプライン係合部A1の軸方向Lの幅とインロー嵌合部A2の軸方向Lの幅との比率は、任意であって良い。伝達可能トルクを大きく確保する観点からは、インロー嵌合部A2の軸方向Lの幅に比べてスプライン係合部A1の軸方向Lの幅が大きく設定されることが好ましい。この場合において、インロー嵌合部A2の割合が「0%」とされても良く、例えば図7に示すように、軸方向Lの全域に亘るスプライン係合部A1により取付部Aが構成されても良い。取付部Aがスプライン係合部A1のみによって構成される場合には、当該スプライン係合部A1を構成する凹凸面(内周側凹凸面48a及び外周側凹凸面50a)によって、筒状支持部48と出力軸50との径方向及び周方向の相対移動が規制される。この場合、スプライン係合部A1における筒状支持部48側の部位(筒状支持部48の内周側凹凸面48a)が、「当接部」と「連結部」及び「伝達部」とを兼ねることになる。
取付部Aがスプライン係合部A1のみによって構成される場合には、筒状支持部48の歯先48cと出力軸50の歯底50dとが当接し、又は、筒状支持部48の歯底48dと出力軸50の歯先50cとが当接することが好ましい(図8を参照)。より詳しくは、ロータ固定部材40の径方向の支持をスプライン係合部A1のみで行う場合には、ロータ固定部材40の軸心と出力軸50の軸心とがずれると、筒状支持部48の歯底48dと出力軸50の歯先50c、及び、筒状支持部48の歯先48cと出力軸50の歯底50dの一方が先に当接し、他方は当接しない。また、筒状支持部48の歯底48dと出力軸50の歯先50c、及び、筒状支持部48の歯先48cと出力軸50の歯底50dの一方が当接し、他方は当接しないように、それぞれの間の隙間が設定されている。
(4)上記の実施形態では、筒状支持部48と出力軸50との取付部Aが、スプライン係合部A1とインロー嵌合部A2との組み合わせにより構成された例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。筒状支持部48と出力軸50とが径方向及び周方向の相対移動が規制される状態で取り付けられるのであれば、例えば、互いに係合するキーとキー溝とを用いた係合部と、インロー嵌合部A2との組み合わせにより、取付部Aが構成されても良い。また、軸方向Lの全域に亘る、キーとキー溝とを用いた係合部や、溶接等によって固着されたインロー嵌合部A2等により、取付部Aが構成されても良い。これらの場合、それぞれにおける取付部Aの構成態様に応じて「当接部」並びに「連結部」及び「伝達部」が定まる。
(5)上記の実施形態では、インロー嵌合部A2を形成する円筒面(円筒状内周面48b及び円筒状外周面50b)が、スプライン係合部A1を形成する凹凸面(内周側凹凸面48a及び外周側凹凸面50a)よりも小径に構成された例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。インロー嵌合部A2を形成する円筒面が、スプライン係合部A1を形成する凹凸面と同径又はそれよりも大径に構成されても良い。また、スプライン係合部A1とインロー嵌合部A2とは、必ずしも軸方向Lに隣接していなくても良く、他の部位を介在させて軸方向Lに離間する状態で近接して配置されても良い。
(6)上記の実施形態では、筒状支持部48の内周面と出力軸50の外周面とが当接するように構成され、筒状支持部48の内周面における出力軸50の外周面に当接する部位(円筒状内周面48b)によって「当接部」が形成される例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば出力軸50に連結された円筒状の出力筒状部の内周面と筒状支持部48の外周面とが当接するように構成され、筒状支持部48の外周面における出力筒状部の内周面に当接する部位によって「当接部」が形成されても良い。この場合、筒状支持部48、出力筒状部、及び第一ワンウェイクラッチF1は、径方向内側から径方向外側に向かって記載の順に配置されても良い。
(7)上記の実施形態では、筒状支持部48の外周面と第一ワンウェイクラッチF1とが当接している構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。筒状支持部48と第一ワンウェイクラッチF1とが、それらの間に他の部材を介在させた状態で設けられても良い。同様に、第一ワンウェイクラッチF1とポンプ駆動筒状部61、ポンプ駆動筒状部61と第二ワンウェイクラッチF2、及び第二ワンウェイクラッチF2と入力筒状部12の各組に関しても、それぞれの部材間に他の部材が介在されても良い。
(8)上記の実施形態では、筒状支持部48、第一ワンウェイクラッチF1、ポンプ駆動筒状部61、第二ワンウェイクラッチF2、及び入力筒状部12が、径方向内側から径方向外側に向かって記載の順に配置されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。入力筒状部12、第二ワンウェイクラッチF2、ポンプ駆動筒状部61、第一ワンウェイクラッチF1、及び筒状支持部48が、径方向内側から径方向外側に向かって記載の順に配置されても良い。
(9)上記の実施形態では、筒状支持部48が、径方向に見て第一ワンウェイクラッチF1及び第二ワンウェイクラッチF2の両方と重複する部分を有するように配置されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば図8に模式的に示すように、筒状支持部48が径方向に見て第二ワンウェイクラッチF2とは重複することなく第一ワンウェイクラッチF1のみと重複する部分を有するように配置されても良い。この場合、第一ワンウェイクラッチF1と第二ワンウェイクラッチF2とが軸方向Lに並んで配置され、これらが軸方向Lに見て重複する部分を有するように配置されても良い。また、筒状支持部48は、第一ワンウェイクラッチF1に内接する大径部と、第二ワンウェイクラッチF2に外接する小径部とを有する有段筒状に形成されても良い。さらに、筒状支持部48が径方向に見て第一ワンウェイクラッチF1とは重複することなく第二ワンウェイクラッチF2のみと重複する部分を有するように配置されても良い(図示せず)。
(10)上記の実施形態では、第二軸受B2及び第三軸受B3が、軸方向Lにおける取付部Aよりも変速装置TM側(径方向連結部44に対して軸方向Lにおける2つのワンウェイクラッチF1,F2側とは反対側)に配置されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。第二軸受B2及び第三軸受B3が、軸方向Lにおける取付部Aよりも内燃機関E側(径方向連結部44に対して軸方向Lにおける2つのワンウェイクラッチF1,F2側)に配置されても良い。
(11)上記の実施形態では、2つ一組のニードルベアリング(第二軸受B2及び第三軸受B3)が、ケース2に対して出力軸50を相対回転可能に径方向に支持する「支持軸受」として設けられる構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば単一の軸受が「支持軸受」として設けられても良い。また、必ずしもニードルベアリングである必要はなく、場合によってはボールベアリングが「支持軸受」として設けられても良い。
(12)上記の実施形態では、第一分割ケース部21に固定された軸支持部材28(ケース壁)が、ポンプケースの構成部材を兼用する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば軸支持部材28は、オイルポンプOPとは無関係な、出力軸50を径方向に支持するための専用の支持壁等であっても良い。
(13)上記の実施形態では、駆動伝達機構80が、チェーン機構で構成されている例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。駆動伝達機構80は、例えばベルト機構やギヤ機構等で構成されても良い。
(14)上記の実施形態では、駆動伝達機構80が回転電機MGよりも軸支持部材28側に配置されるとともに、伝達ギヤ機構70がロータ固定部材40の径方向連結部44を軸方向Lに貫通する状態で配置された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、駆動伝達機構80が回転電機MGよりも端部壁25側に配置されても良い。この場合、伝達ギヤ機構70は、例えば入力連結部13を軸方向Lに貫通する状態で配置されても良い。
(15)上記の実施形態では、係合装置CLとして油圧駆動式の摩擦係合装置が設けられている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。係合装置CLは、例えば電磁式の摩擦係合装置であっても良いし、噛み合い式の係合装置等であっても良い。
(16)上記の実施形態では、筒状支持部48(インロー嵌合部A2)とロータRoとが径方向に見て重複する部分を有するように配置された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。筒状支持部48とロータRoとが軸方向Lにおける異なる位置に配置され、これらが径方向に見て重複しないように構成されても良い。
(17)上記の実施形態では、筒状支持部48(インロー嵌合部A2)と係合装置CLとが径方向に見て重複する部分を有するように配置された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。筒状支持部48と係合装置CLとが軸方向Lにおける異なる位置に配置され、これらが径方向に見て重複しないように構成されても良い。
(18)上記の実施形態では、ロータRoと係合装置CLとが径方向に見て重複する部分を有するように配置された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。ロータRoと係合装置CLとが軸方向Lにおける異なる位置に配置され、これらが径方向に見て重複しないように構成されても良い。また、係合装置CLを備えることなく、入力軸10とロータ固定部材40とが常時連結された構成であっても良い。
(19)上記の実施形態では、本発明をFF(Front Engine Front Drive)車両に搭載される車両用駆動装置に適用した例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えばFR(Front Engine Rear Drive)車両や4WD(Four-Wheel Drive)車両に搭載される車両用駆動装置にも、同様に本発明を適用することができる。
(20)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎないと理解されるべきである。従って、当業者は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
〔実施形態の概要〕
以上をまとめると、本開示に係る車両用駆動装置は、好適には、以下の各構成を備える。
[1]
内燃機関(E)に駆動連結される入力部材(10)と、
ロータ(Ro)及びステータ(St)を有する回転電機(MG)と、
前記ロータ(Ro)と固定され、前記ロータ(Ro)と一体回転するロータ固定部材(40)と、
前記ステータ(St)が固定されるケース(2)に対して支持軸受(B2,B3)を介して相対回転可能に径方向に支持されるとともに、前記ロータ固定部材(40)と一体回転しかつ車輪(W)に駆動連結される出力部材(50)と、
オイルポンプ(OP)に駆動連結されるポンプ駆動部材(60)と、
前記ロータ固定部材(40)の回転速度が前記入力部材(10)の回転速度以上の場合に前記ロータ固定部材(40)と前記ポンプ駆動部材(60)との相対回転を規制する第一ワンウェイクラッチ(F1)と、
前記入力部材(10)の回転速度が前記ロータ固定部材(40)の回転速度以上の場合に前記入力部材(10)と前記ポンプ駆動部材(60)との相対回転を規制する第二ワンウェイクラッチ(F2)と、を備え、
前記ロータ固定部材(40)は、前記出力部材(50)に当接する当接部(A2)を備え、前記当接部(A2)によって前記出力部材(50)に対して径方向に支持されるとともに、前記当接部(A2)と前記支持軸受(B2,B3)とを介して前記ケース(2)に対して相対回転可能に支持され、
前記当接部(A2)が、径方向に見て前記第一ワンウェイクラッチ(F1)及び前記第二ワンウェイクラッチ(F2)の少なくとも一方と重複する部分を有するように配置されている。
この構成によれば、入力部材とロータ固定部材とのうち、回転速度の高い方によりポンプ駆動部材を駆動することができる。よって、ロータ固定部材と入力部材とのいずれかが回転していればポンプ駆動部材を駆動することができ、比較的多くの走行状態で適切な量の油を供給可能とすることができる。
また、ロータ固定部材が出力部材に対して当接する状態で径方向に直接支持されるので、ロータ固定部材が軸受を介して径方向に支持される構成に比べて、ロータ固定部材を径方向に適切に支持しながら径方向のコンパクト化を図ることができる。さらに、ロータ固定部材における出力部材との当接部が、径方向に見て第一ワンウェイクラッチ及び第二ワンウェイクラッチの少なくとも一方と重複するので、軸長短縮による小型化を図ることができる。よって、ロータ固定部材を径方向に適切に支持しながら装置全体の小型化を図ることができる。
[2]
前記ロータ固定部材(40)は、筒状に形成された筒状支持部(48)を有し、
前記当接部(A2)が、前記筒状支持部(48)の内周面に形成されて前記出力部材(50)の外周面に当接している。
この構成によれば、筒状支持部の内周面に形成される当接部と、これに当接する出力部材の外周面とにより、ロータ固定部材が出力部材に対して径方向に支持される構造を適切に実現できる。
[3]
前記出力部材(50)、前記筒状支持部(48)、及び前記第一ワンウェイクラッチ(F1)が、径方向内側から径方向外側に向かって記載の順に配置されている。
この構成によれば、ロータ固定部材が当接部によって出力部材に対して径方向に支持され、かつ、第一ワンウェイクラッチがロータ固定部材とポンプ駆動部材との相対回転を規制可能な構造を合理的かつ容易に実現できる。
[4]
前記筒状支持部(48)の外周面と前記第一ワンウェイクラッチ(F1)とが当接している。
この構成によれば、第一ワンウェイクラッチがロータ固定部材とポンプ駆動部材との相対回転を規制可能な構造を実現しつつ、径方向のコンパクト化を図ることができる。
[5]
前記ロータ固定部材(40)は、前記ロータ(Ro)に接する筒状固定部(41)と、前記筒状固定部(41)と前記筒状支持部(48)とを径方向に連結する径方向連結部(44)と、をさらに有し、
前記径方向連結部(44)に対して軸方向(L)の一方側に前記第一ワンウェイクラッチ(F1)が配置されているとともに、軸方向(L)における前記第一ワンウェイクラッチ(F1)側とは反対側に前記ケース(2)を構成するケース壁(28)が配置され、
前記支持軸受(B2,B3)は、前記径方向連結部(44)に対して軸方向(L)における前記第一ワンウェイクラッチ(F1)側とは反対側で、前記ケース壁(28)と前記出力部材(50)との間に配置されている。
この構成によれば、軸方向における径方向連結部に対して第一ワンウェイクラッチ側とは反対側に設けられるケース壁を利用して、そのケース壁に対して支持軸受を介して出力部材を実質的に直接支持することができる。よって、出力部材の軸心精度を高く維持することができるとともに、その出力部材に当接して径方向に支持されるロータ固定部材の軸心精度をも高く維持することができる。
[6]
前記筒状支持部(48)の内周面に、前記出力部材(50)と一体回転するように前記出力部材(50)に連結するスプライン連結部(A1)がさらに形成され、
前記当接部(A2)は、前記筒状支持部(48)の内周面における前記スプライン連結部(A1)よりも小径の円筒面によって形成され、
前記スプライン連結部(A1)と前記当接部(A2)とが軸方向(L)に隣接して配置されている。
この構成によれば、筒状支持部のスプライン連結部にて、ロータ及びロータ固定部材と出力部材とが一体回転するように連結することができる。また、筒状支持部の円筒面からなる当接部にて、ロータ及びロータ固定部材と出力部材との軸心合わせを容易に行うことができる。また、当接部を形成する円筒面をスプライン連結部よりも小径に形成することで、当該当接部をスプライン連結部に比べて肉厚とすることができ、強度を高めることができる。そして、そのような当接部をスプライン連結部に対して軸方向に隣接して配置することで、筒状支持部の径方向外側に配置される部材の軸方向に沿った圧入に対する十分な強度を容易に確保することができる。
[7]
前記第一ワンウェイクラッチ(F1)、前記ポンプ駆動部材(60)、前記第二ワンウェイクラッチ(F2)、及び入力部材(10)が、径方向内側から径方向外側に向かって記載の順に配置され、
前記当接部(A2)が、径方向に見て前記第一ワンウェイクラッチ(F1)及び前記第二ワンウェイクラッチ(F2)の両方と重複する部分を有するように配置されている。
この構成によれば、第一ワンウェイクラッチがロータ固定部材とポンプ駆動部材との相対回転を規制可能であり、かつ、第二ワンウェイクラッチが入力部材とポンプ駆動部材との相対回転を規制可能な構造を合理的かつ容易に実現できる。また、ロータ固定部材における出力部材との当接部が、径方向に見て第一ワンウェイクラッチ及び第二ワンウェイクラッチの両方と重複するので、装置軸長をさらに短縮して装置全体のさらなる小型化を図ることができる。
[8]
前記入力部材(10)と前記出力部材(50)とを選択的に駆動連結する係合装置(CL)をさらに備え、
前記ロータ固定部材(40)は、外周面が前記ロータ(Ro)と接する筒状固定部(41)と、前記当接部(A2)を形成する筒状支持部(48)と、前記筒状固定部(41)と前記筒状支持部(48)とを径方向に連結する径方向連結部(44)と、を有し、
前記係合装置(CL)が、前記筒状固定部(41)と前記径方向連結部(44)と前記筒状支持部(48)とによって囲まれる空間に配置され、
前記当接部(A2)が、径方向に見てさらに前記ロータ(Ro)及び前記係合装置(CL)と重複する部分を有するように配置されている。
この構成によれば、係合装置を備えることにより、例えば内燃機関の燃焼停止中に入力部材と回転電機との連結を解除することができ、内燃機関の燃焼停止状態での車両の走行中のエネルギ効率を高めることができる。また、そのような係合装置を追加的に備える場合であっても、筒状固定部と径方向連結部と筒状支持部とによって囲まれる空間に係合装置を配置することで、当該係合装置とロータとを径方向に見て重複させることができ、軸長短縮による小型化を図ることができる。
[9]
前記ケース(2)に固定され、前記出力部材(50)を径方向に支持する軸支持部材(28)を備え、
前記ロータ固定部材(40)は、外周面が前記ロータ(Ro)と接する筒状固定部(41)と、前記当接部(A2)を形成する筒状支持部(48)と、前記筒状固定部(41)と前記筒状支持部(48)とを径方向に連結する径方向連結部(44)と、を有し、
前記入力部材(10)は、筒状に形成された入力筒状部(12)と、前記入力筒状部(12)よりも小径の入力本体部(11)と、前記入力筒状部(12)と前記入力本体部(11)とを連結するように径方向に延びる入力連結部(13)と、を有し、
前記ケース(2)は、前記軸支持部材(28)が固定される第一ケース部(21)と、前記第一ケース部(21)よりも前記入力部材(10)側に設けられる第二ケース部(24)と、を有し、
前記ケース(2)に対して前記入力本体部(11)を相対回転可能に径方向に支持する入力軸受(B1)が前記第二ケース部(24)に固定され、
前記軸支持部材(28)、前記径方向連結部(44)、前記ポンプ駆動部材(60)、及び前記入力連結部(13)が、相互間にスラスト軸受(B6,B7,B8)を介して軸方向(L)に並んで配置され、
前記入力軸受(B1)が、前記第二ケース部(24)における前記軸支持部材(28)側を向く当接面(26a)に当接した状態で配置され、
軸方向(L)における前記入力連結部(13)と前記入力軸受(B1)との間に、隙間調整部材(95)が配置されている。
この構成によれば、第二ケース部に固定された入力軸受を介して入力部材がケースに固定されるため、高い支持精度で入力部材を回転可能に径方向に支持することができる。また、軸方向に並んで配置される軸支持部材、径方向連結部、ポンプ駆動部材、入力連結部、及び入力軸受に対して、入力連結部と入力軸受との間に隙間調整部材が配置されるため、各構成部品間の軸方向のクリアランスを適正量に調整することができる。よって、各構成部品の軸方向のガタツキを最小限に抑えることができる。さらに、そのような隙間調整部材が、第一ケース部に固定される軸支持部材に対して相互に位置決めされる径方向連結部、ポンプ駆動部材、及び入力連結部と、第二ケース部に固定される入力軸受との間に配置されるため、隙間調整部材の厚みを容易かつ適切に決定できる。
[10]
前記ロータ(Ro)が前記ステータ(St)よりも長い軸方向寸法を有し、
前記軸支持部材(28)から前記入力軸受(B1)までの軸方向(L)のクリアランスの総和(β)が、前記ロータ(Ro)の軸長と前記ステータ(St)の軸長との差分の半分以下となるように、前記隙間調整部材(95)の厚みが設定されている。
この構成によれば、ロータ支持部材及びロータが軸方向に最大限移動したとしても、軸方向においてステータが占める領域内に、常にロータ全体を収めることができる。よって、回転電機の性能の低下を抑制することができる。
[11]
前記ケース(2)に固定され、前記出力部材(50)を径方向に支持する軸支持部材(28)と、
前記軸支持部材(28)に対して前記ポンプ駆動部材(60)側に配置され、前記ポンプ駆動部材(60)の回転を前記オイルポンプ(OP)に伝達する駆動伝達機構(80)と、をさらに備え、
前記ロータ固定部材(40)は、軸方向(L)における前記ポンプ駆動部材(60)と前記駆動伝達機構(80)との間において径方向に延びる径方向連結部(44)を有し、
前記出力部材(50)が、前記軸支持部材(28)及び前記ロータ固定部材(40)を軸方向(L)に貫通する状態で配置され、
前記ポンプ駆動部材(60)と前記駆動伝達機構(80)とが、前記出力部材(50)に対して径方向外側において、前記径方向連結部(44)を軸方向(L)に貫通する状態で配置される中間伝達機構(70)を介して駆動連結されている。
この構成によれば、軸方向におけるポンプ駆動部材と駆動伝達機構との間にロータ固定部材の径方向連結部が介在する場合であっても、径方向連結部に貫通配置される中間伝達機構を介して、ポンプ駆動部材の回転を適切に駆動伝達機構に伝達できる。また、ポンプ駆動部材の回転が中間伝達機構及び駆動伝達機構を介してオイルポンプに伝達されるため、オイルポンプの配置自由度を高めることができる。
本開示に係る車両用駆動装置は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができれば良い。
本発明は、例えばハイブリッド車両用の駆動装置に利用することができる。
1 車両用駆動装置
2 ケース
10 入力軸
11 入力本体部
12 入力筒状部
21 第一分割ケース部(第一ケース部)
24 第三分割ケース部(第二ケース部)
26a 当接面
28 軸支持部材(ケース壁)
40 ロータ固定部材
41 筒状固定部(第一筒状部)
44 径方向連結部
48 筒状支持部(第二筒状部)
48a 内周側凹凸面
48b 円筒状内周面
48c 歯先
48d 歯底
48e 歯側面
50 出力軸(出力部材)
50a 外周側凹凸面
50b 円筒状外周面
50c 歯先
50d 歯底
50e 歯側面
60 ポンプ駆動部材
61 ポンプ駆動筒状部
70 伝達ギヤ機構(中間伝達機構)
80 駆動伝達機構
95 隙間調整部材
E 内燃機関
D ダンパ
CL 係合装置
MG 回転電機
St ステータ
Ro ロータ
TM 変速装置
W 車輪
OP オイルポンプ
F1 第一ワンウェイクラッチ
F2 第二ワンウェイクラッチ
A 取付部
A1 スプライン係合部(連結部、伝達部)
A2 インロー嵌合部(当接部)
B1 第一軸受(入力軸受)
B2 第二軸受(支持軸受)
B3 第三軸受(支持軸受)
B6 第六軸受(スラスト軸受)
B7 第七軸受(スラスト軸受)
B8 第八軸受(スラスト軸受)
L 軸方向

Claims (10)

  1. 内燃機関に駆動連結される入力部材と、
    ロータ及びステータを有する回転電機と、
    前記ロータと固定され、前記ロータと一体回転するロータ固定部材と、
    前記ステータが固定されるケースに対して支持軸受を介して相対回転可能に径方向に支持されるとともに、前記ロータ固定部材と一体回転しかつ車輪に駆動連結される出力部材と、
    オイルポンプに駆動連結されるポンプ駆動部材と、
    前記ロータ固定部材の回転速度が前記入力部材の回転速度以上の場合に前記ロータ固定部材と前記ポンプ駆動部材との相対回転を規制する第一ワンウェイクラッチと、
    前記入力部材の回転速度が前記ロータ固定部材の回転速度以上の場合に前記入力部材と前記ポンプ駆動部材との相対回転を規制する第二ワンウェイクラッチと、を備え、
    前記ロータ固定部材は、前記出力部材に当接する当接部を備え、前記当接部によって前記出力部材に対して径方向に支持されるとともに、前記当接部と前記支持軸受とを介して前記ケースに対して相対回転可能に支持され、
    前記当接部が、径方向に見て前記第一ワンウェイクラッチ及び前記第二ワンウェイクラッチの少なくとも一方と重複する部分を有するように配置されている車両用駆動装置。
  2. 前記ロータ固定部材は、筒状に形成された筒状支持部を有し、
    前記当接部が、前記筒状支持部の内周面に形成されて前記出力部材の外周面に当接している請求項1に記載の車両用駆動装置。
  3. 前記出力部材、前記筒状支持部、及び前記第一ワンウェイクラッチが、径方向内側から径方向外側に向かって記載の順に配置されている請求項2に記載の車両用駆動装置。
  4. 前記筒状支持部の外周面と前記第一ワンウェイクラッチとが圧入されている請求項3に記載の車両用駆動装置。
  5. 前記ロータ固定部材は、前記ロータに接する筒状固定部と、前記筒状固定部と前記筒状支持部とを径方向に連結する径方向連結部と、をさらに有し、
    前記径方向連結部に対して軸方向の一方側に前記第一ワンウェイクラッチが配置されているとともに、軸方向における前記第一ワンウェイクラッチ側とは反対側に前記ケースを構成するケース壁が配置され、
    前記支持軸受は、前記径方向連結部に対して軸方向における前記第一ワンウェイクラッチ側とは反対側で、前記ケース壁と前記出力部材との間に配置されている請求項2から4のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
  6. 前記筒状支持部の内周面に、前記出力部材と一体回転するように前記出力部材に連結するスプライン連結部がさらに形成され、
    前記当接部は、前記筒状支持部の内周面における前記スプライン連結部よりも小径の円筒面によって形成され、
    前記スプライン連結部と前記当接部とが軸方向に隣接して配置されている請求項2から5のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
  7. 前記第一ワンウェイクラッチ、前記ポンプ駆動部材、前記第二ワンウェイクラッチ、及び入力部材が、径方向内側から径方向外側に向かって記載の順に配置され、
    前記当接部が、径方向に見て前記第一ワンウェイクラッチ及び前記第二ワンウェイクラッチの両方と重複する部分を有するように配置されている請求項1から6のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
  8. 前記入力部材と前記出力部材とを選択的に連結する係合装置をさらに備え、
    前記ロータ固定部材は、外周面が前記ロータと接する筒状固定部と、前記当接部を形成する筒状支持部と、前記筒状固定部と前記筒状支持部とを径方向に連結する径方向連結部と、を有し、
    前記係合装置が、前記筒状固定部と前記径方向連結部と前記筒状支持部とによって囲まれる空間に配置され、
    前記当接部が、径方向に見てさらに前記ロータ及び前記係合装置と重複する部分を有するように配置されている請求項7に記載の車両用駆動装置。
  9. 前記ケースに固定され、前記出力部材を径方向に支持する軸支持部材を備え、
    前記ロータ固定部材は、外周面が前記ロータと接する筒状固定部と、前記当接部を形成する筒状支持部と、前記筒状固定部と前記筒状支持部とを径方向に連結する径方向連結部と、を有し、
    前記入力部材は、筒状に形成された入力筒状部と、前記入力筒状部よりも小径の入力本体部と、前記入力筒状部と前記入力本体部とを連結するように径方向に延びる入力連結部と、を有し、
    前記ケースは、前記軸支持部材が固定される第一ケース部と、前記第一ケース部よりも前記入力部材側に設けられる第二ケース部と、を有し、
    前記ケースに対して前記入力本体部を相対回転可能に径方向に支持する入力軸受が前記第二ケース部に固定され、
    前記軸支持部材、前記径方向連結部、前記ポンプ駆動部材、及び前記入力連結部が、相互間にスラスト軸受を介して軸方向に並んで配置され、
    前記入力軸受が、前記第二ケース部における前記軸支持部材側を向く当接面に当接した状態で配置され、
    軸方向における前記入力連結部と前記入力軸受との間に、隙間調整部材が配置されている請求項1から8のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
  10. 前記ロータが前記ステータよりも長い軸方向寸法を有し、
    前記軸支持部材から前記入力軸受までの軸方向のクリアランスの総和が、前記ロータの軸長と前記ステータの軸長との差分の半分以下となるように、前記隙間調整部材の厚みが設定されている請求項9に記載の車両用駆動装置。
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