JP2015147840A - 導電性インク - Google Patents

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Takuya Tonomura
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Abstract

【課題】反転印刷法に好適に用いることができる導電性インクであって、十分な導電性及び基板との良好な密着性を有する導電膜パターンを低温で焼成することができる導電性インクを提供する。
【解決手段】反転印刷に用いる導電性インクであって、金属粒子と、糖アルコールと、フッ素系界面活性剤と、水と、を含み、表面張力が20mN/m以下であること、を特徴とする導電性インク。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体集積回路等の配線や電極パターンを形成するために用いる導電性インクであって、有機薄膜トランジスタ基板に対する配線や電極パターンの形成が可能な導電性インクに関する。より詳しくは、本発明は、反転印刷法を用いた配線や電極パターンの形成に好適に用いることができる導電性インクに関する。
従来から、基板の全面にスパッタや蒸着等で金属薄膜を形成させた後、フォトリソグラフィー法によって不要な部分をエッチングして必要な導電膜パターンを形成させる方法が知られている。しかしながら、当該方法は工程が煩雑であることに加え、高価な真空装置を用いる必要がある。
このため、より簡便かつ安価な導電膜パターンの形成方法が求められており、近年、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等の印刷法を用いた方法が提案されている。更に、より高精細なパターンが形成できる印刷手法として、反転印刷法やマイクロコンタクト印刷法等を用いた方法が提案されており、これらの印刷法に適した導電性インク、絶縁性インク、及び抵抗インク等の各種インクが開発されている。
特許文献1においては、凸版反転印刷法による微細な導電膜パターンを形成するための導電性インクが提案されており、具体的には、凸版反転印刷法により導電膜パターンを形成するための実質的にバインダー成分を含まない導電性インクであって、体積平均粒径(Mv)が10〜700nmの導電性粒子、離型剤、表面エネルギー調整剤、溶剤成分を必須成分とし、溶剤成分が25℃での表面エネルギーが27mN/m以上の溶剤と、大気圧下での沸点が120℃以下の揮発性の溶剤との混合物であり、25℃におけるインクの表面エネルギーが10〜21mN/mであることを特徴とする導電性インクが開示されている。
上記特許文献1に記載の導電性インクを用いることで、凸版反転印刷法により微細な導電膜パターンを転写不良が無く安定的に形成することができ、例えば導電性粒子として銀を用いた場合には形成した微細パターンを200℃以下の低温で焼成することで、比抵抗が10-5Ω・cmオーダー以下の優れた導電性を付与することができることに加え、転写性に優れるので、全転写にて微細パターンの形成が可能となる、としている。
また、特許文献2においては、糖類化合物を所定量配合した導電性インクが提案されており、具体的には、金属コロイド液および糖類化合物を含む導電性インクであって、糖類化合物が、金属コロイド液の固形分に対して3重量%以上15重量%以下含まれることを特徴とする導電性インクが開示されている。
上記特許文献2に記載の導電性インクを用いることで、高い導電性と基材への高い密着性とを示す導電膜パターンを形成することができる、としている。
国際公開第WO2008/111484号公報 国際公開第WO2009/016863号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の導電性インクを用いることで微細なパターンを形成させることはできるが、実質的にバインダーを含まないために、基板上に形成された導電膜パターンの密着性が乏しい場合が存在する。更に、導電性を発現するためには180℃以上の焼成温度が必要であり、耐熱性に劣る安価な基材を用いることができないという問題がある。
また、上記特許文献2に記載の導電性インクを反転印刷法に用いる場合、当該導電性インクをシリコーン樹脂に均一に塗布することができず、更には基材に転写することができない。つまり、上記特許文献2に記載の導電性インクは反転印刷法には用いることが困難である。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、反転印刷法に好適に用いることができる導電性インクであって、十分な導電性及び基板との良好な密着性を有する導電膜パターンを低温で焼成することができる導電性インクを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、反転印刷法に好適に用いることができる導電性インクであって、十分な導電性及び基板との良好な密着性を有する導電膜パターンを低温で焼成することができる導電性インクを得るためには、適当な量の金属粒子、糖アルコール、及びフッ素系界面活性剤等を含み、かつ、導電性インクの表面張力を適切に調整することが、上記目的を達成する上で極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
反転印刷に用いる導電性インクであって、
金属粒子と、
糖アルコールと、
フッ素系界面活性剤と、
水と、を含み、
表面張力が20mN/m以下であること、
を特徴とする導電性インクを提供する。
本発明における「反転印刷法」とは、シリコーン樹脂等のブランケット上にインクを塗布してインク塗布面を形成し、当該インク塗布面に非画像部を除去するための凸版を押圧して当該凸版に接触する部分のインクをブランケット上から除去した後、当該ブランケット上に残ったインクを被印刷体に転写する印刷方法である。
本発明の導電性インクにおいては、前記糖アルコールがグリセリン、エリスリトール、キシリトール、ソルビトールの群から選ばれる1または2以上の糖アルコールであること、が好ましく、前記糖アルコールの含有量が3重量%以下であること、がより好ましい。
また、本発明の導電性インクにおいては、更に、メタノール、エタノール、アセトン、イソプロピルアルコール、tert−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルの群から選ばれる1または2以上の低沸点溶剤を含むこと、が好ましい。
また、本発明の導電性インクにおいては、更に、有機変性シリコーンオイルを含むこと、が好ましく、前記水の含有量が10〜80重量%であること、が好ましい。
本発明の導電性インクによれば、反転印刷法に好適に用いることができる導電性インクであって、十分な導電性及び基板との良好な密着性を有する導電膜パターンを低温で焼成することができる導電性インクを実現することができる。
以下、(1)本発明の導電性インクの好適な一実施形態、(2)本発明の導電性インクの製造方法の好適な一実施形態、(3)本発明の導電性インクを用いた導電膜パターン及びその製造方法について詳細に説明する。なお、以下の説明では重複する説明は省略することがある。
(1)導電性インク
本実施形態の導電性インクは、金属粒子と、糖アルコールと、フッ素系界面活性剤と、水と、を含み、金属粒子と有機成分とからなる金属コロイド粒子を主成分とする固形分と、これら固形分を分散する分散媒とを含むものである。ただし、上記コロイド液において、「分散媒」は上記固形分の一部を溶解していても構わない。
このような金属コロイド液によれば、有機成分を含んでいるため、金属コロイド液中での金属コロイド粒子の分散性を向上させることができ、したがって、金属コロイド液中の金属成分の含有量を増やしても金属コロイド粒子が凝集しにくく、良好な分散安定性を保つことができる。なお、ここでいう「分散性」とは、金属コロイド液を調製した直後において、当該金属コロイド液中での金属粒子の分散状態が優れているか否か(均一か否か)を示すものであり、「分散安定性」とは、金属コロイド液を調整して所定の時間を経過した後において、当該金属コロイド液中での金属粒子の分散状態が維持されているか否かを示すものであり、「低沈降凝集性」ともいえる。
ここで、本実施形態における金属コロイド液の「固形分」とは、シリカゲル等を用いて金属コロイド液から分散媒を取り除いた後、例えば、30℃以下の常温(例えば25℃)で24時間乾燥させたときに残存する固形分のことをいい、通常は、金属粒子、残存有機成分及び残留還元剤等を含むものである。なお、シリカゲルを用いて金属コロイド液から分散媒を取り除く方法としては、種々の方法を採用することが可能であるが、例えばガラス基板上に金属コロイド液を塗布し、シリカゲルを入れた密閉容器に塗膜付ガラス基板を24時間以上放置することにより分散媒を取り除けばよい。
本実施形態の金属コロイド液において、好ましい固形分の濃度は1〜40質量%である。固形分の濃度が1質量%以上であれば、導電性インクにおける金属の含有量を確保することができ、導電効率が低くならない。また、固形分の濃度が40質量%以下であれば、金属コロイド液の粘度が増加せず取り扱いが容易で、工業的に有利であり、平坦な薄膜を形成することができる。より好ましい固形分の濃度は5〜30質量%である。
本発明の導電性インクは、糖アルコールを含むことを特徴とする。糖アルコールはグリセリン、エリスリトール、キシリトール、ソルビトールの群から選ばれる1または2以上の糖アルコールであること、が好ましく、糖アルコールの含有量は3重量%以下であること、がより好ましい。
糖アルコールは分子鎖中に複数の水酸基を有しており、基材との密着性を向上させることができる。加えて、分子量が小さいため、高分子量のものと比較して低温で揮発することから、低温焼成に有利である。更に、水酸基が高親水性を示すため、ブランケットで使用されるシリコーン樹脂(疎水性)との馴染が悪く、水酸基は皮膜中及び基材側を向くことになる。この結果、転写をさせるためのシリコーン樹脂とは剥離性がよく、基材とは良好な密着性を発揮することができる。
糖アルコールの添加量は3重量%以下であることが好ましい。添加量を3重量%以下とすることで、高い導電性と基材との良好な密着性を両立することができる。また、糖アルコールは保湿剤としても機能することから、導電性インクが適度に水を含んだ状態を維持できるため、反転印刷に適した粘度を長時間保つことができる。さらに添加量を2重量%以下とすることで、高い導電性と基材との良好な密着性、及び反転印刷適性をより良好に保つことができるため望ましい。
また、本発明の導電性インクにおいては、インクの乾燥性を高めるために水よりも高揮発性である溶剤を添加することが好ましい。当該溶剤を添加することにより、導電性インクを素早く印刷に適した粘度に調整することができる。
高揮発性の溶剤としては、メタノール、エタノール、アセトン、イソプロピルアルコール、tert−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルの群から選ばれる1または2以上の低沸点溶剤を用いることができる。これらは水との相溶性に優れており、任意の割合で容易に混合することが可能である。
更に、本発明の導電性インクにおいては、有機変性シリコーンオイルを含んでいることが好ましい。有機変性シリコーンオイルはシリコーン樹脂と導電性インクの双方に対して相溶性を示すため、シリコーン樹脂等のブランケットに対する導電性インクの濡れ性を向上させることができる。また、シリコーン自体は剥離性を有しているため、良好な転写性を発現させることができる。
有機変性タイプとしては、水や上記高揮発性溶剤との相溶性を高めるために、ポリエーテル変性が望ましく、例えば、信越化学株式会社製の側鎖型ポリエーテル変性シリコーンオイルであるKFシリーズ(例えば、KF−353、KF−640、KF−642等)を好適に用いることができる。
本発明の導電性インクにおいては、水の含有量が10〜80wt%の範囲にあることが好ましい。水を使用することで揮発性溶剤の環境負荷に与える影響を低減することができ、環境に優しい導電性インクを実現することができる。加えて、ブランケットを膨潤させることがほとんどないため、ブランケットの変形を引き起こすことがないという利点を有する。
本発明の導電性インクにおいては、表面張力が20mN/m以下である。表面張力を20mN/m以下と十分に下げることで、シリコーン樹脂等のブランケットへの導電性インクの濡れ性を十分に担保することができる。表面張力を20mN/m以下にすることは、上記の本発明の導電性インクの成分比を調整することによって実現できる。なお、表面張力の下限は13mN/m程度であればよい。なお、本発明においていう表面張力とは、プレート法(Wilhelmy法)という原理で測定して得られるものであり、例えば、協和界面科学(株)製の全自動表面張力計CBVP−Z等により測定することができる。
(1−1)金属粒子を含むコロイド液
続いて、本実施形態の導電性インクを構成する金属コロイド液についてより詳細に説明する。この金属コロイド液としては、例えば金属成分(金属粒子)と有機成分とからなる金属コロイド粒子を主成分とする固形分と、これら固形分を分散する分散媒と、を含む種々の金属コロイド液を用いることができる。
本実施形態の金属コロイド液は、固形分に対して10℃/分の昇温速度で熱重量分析を行ったときの100〜500℃における重量損失が10質量%以下であることが好ましい。上記固形物を500℃まで加熱すると、有機物などが酸化分解され、大部分はガス化されて消失する。このため、500℃までの加熱による減量は、ほぼ固形分中の有機物の量に相当し得る。
上記重量損失が多いほど金属コロイドの分散安定性は優れるが、多過ぎると有機物が不純物として導電性インクに残留して、導電膜パターンの導電性を低下させる。特に100℃程度の低温での加熱によって導電性の高い導電膜パターンを得るためには、上記重量損失が10質量%以下であることが好ましい。一方、上記重量損失が少な過ぎるとコロイド状態での分散安定性が損なわれるため、0.01質量%以上であることが好ましい。より好ましい重量損失は0.05〜4.5質量%である。
金属コロイド液の固形分に含まれるべき金属コロイド粒子の形態に関しては、例えば、金属成分からなる粒子の表面に有機成分が付着して構成されている金属コロイド粒子、上記金属成分からなる粒子をコアとして、その表面が有機成分で被覆されて構成されている金属コロイド粒子、金属成分と有機成分とが均一に混合されて構成されている金属コロイド粒子等が挙げられるが、特に限定されない。金属成分からなる粒子をコアとして、その表面が有機成分で被覆されて構成されている金属コロイド粒子、又は金属成分と有機成分とが均一に混合されて構成されている金属コロイド粒子が好ましい。なお、当業者は、上述した形態を有する金属コロイド粒子を、当該分野における周知技術を用いて適宜調製することができる。
本実施形態の金属コロイド液における金属コロイド粒子(金属粒子を含む。)の平均粒径は1〜400nm以下であるのが好ましく、更には、70nm以下であるのがより好ましい。金属コロイド粒子の平均粒径が1nm以上であれば、良好な導電膜パターンを形成可能な導電性インクが得られ、金属コロイド粒子製造がコスト高とならず実用的である。また、400nm以下であれば、金属コロイド粒子の分散安定性が経時的に変化しにくく、好ましい。なお、本実施形態の金属コロイド液を用いて得られる導電性インクにおいても、金属コロイド粒子(金属粒子を含む。)の平均粒径(メディアン径)はこの範囲と略同じである(近似できる)。
なお、金属コロイド液における粒子の粒径は固形分濃度によって変動し、一定とは限らない。また、導電性インクが、任意成分として、後述する樹脂成分、有機溶剤又は表面張力調整剤等を含む場合、平均粒径が400nm超の粒子成分を含む場合があるが、沈降を生じて本発明の効果を著しく損なわない成分であれば400nm超の平均粒径を有する粒子成分を含んでもよい。
ここで、金属コロイド液における粒子の平均粒径は、動的光散乱法(ドップラー散乱光解析)によるもので、例えば、(株)堀場製作所製動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550で測定した体積基準のメディアン径(D50)で表すことができる。具体的には、純水10mL中に金属コロイド液を数滴滴下し、手で振動し分散させて測定用試料を調製する。ついで、測定用試料3mLを、(株)堀場製作所製動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550、のセル内に投入し、下記の条件にて測定する。
・測定条件
データ読み込み回数:100回
セルホルダー内温度:25℃
・表示条件
分布形態:標準
反復回数:50回
粒子径基準:体積基準
分散質の屈折率:0.200−3.900i(銀の場合)
分散媒の屈折率:1.33(水が主成分の場合)
・システム条件設定
強度基準:Dynamic
散乱強度レンジ上限:10000.00
散乱強度レンジ下限:1.00
本実施形態の金属コロイド液の金属成分である金属粒子としては、特に限定されるものではないが、本実施形態の導電性インクを用いて得られる被膜の導電性を良好にすることができるため、上記金属のイオン化列が水素より貴であることが好ましい。上記金属のイオン化列が水素より貴である金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、レニウム等を挙げることができる。なかでも、前記金属は、金、銀及び銅からなる群より選択される少なくとも1種の貴金属であることがより好ましい。これらの金属は単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。併用する方法としては、複数の金属を含む合金粒子を用いる場合や、コア−シェル構造や多層構造を有する金属粒子を用いる場合がある。
例えば、上記金属コロイド液として銀コロイド液を用いる場合、本実施形態の導電性インクを用いて形成した被膜の導電率が良好となるが、マイグレーションの問題を考慮する必要がある。ここで、銀及びその他の金属からなる混合コロイド溶液を用いることによって、マイグレーションを起こりにくくすることができる。当該「その他の金属」としては、上述のイオン化列が水素より貴である金属、即ち金、銅、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、レニウム等が好ましく、金、銅、白金、パラジウムがより好ましい。
本実施形態の金属コロイド液において、金属コロイド粒子中の「有機成分」は、上記金属成分とともに実質的に金属コロイド粒子を構成する有機物のことである。当該有機成分には、金属中に最初から不純物として含まれる微量有機物、後述する製造過程で混入した微量の有機物が金属成分に付着した有機物、洗浄過程で除去しきれなかった残留還元剤、残留分散剤等のように、金属成分に微量付着した有機物等は含まれない。なお、上記「微量」とは、具体的には、金属コロイド粒子中1質量%未満が意図される。
本実施形態における金属コロイド粒子は、有機成分を含んでいるため、金属コロイド液中での分散安定性が高い。そのため、金属コロイド液中の金属成分の含有量を増大させても金属コロイド粒子が凝集しにくく、その結果、良好な分散性が保たれる。
金属コロイド粒子中の有機成分の含有量は、0.5〜30質量%であるのが好ましい。有機成分の含有量が0.5質量%以上であれば、得られる金属コロイド粒子の貯蔵安定性が良くなる傾向があり、30質量%以下であれば、得られる金属コロイド粒子を用いて製造される導電性インクの導電性が良い傾向がある。有機成分のより好ましい含有量は1〜20質量%であり、更に好ましい含有量は1〜10質量%である。
上記有機成分としては、例えば、分散剤又は還元剤として用いられる有機物が挙げられる。分散剤としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸等の有機酸;例えば、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三リチウム、クエン酸一カリウム、クエン酸水素二ナトリウム、クエン酸二水素カリウム、リンゴ酸二ナトリウム、酒石酸二ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、酒石酸水素カリウム、酒石酸水素ナトリウム、グリコール酸ナトリウム等のイオン性化合物;例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物等の界面活性剤;例えば、ゼラチン、アラビアゴム、アルブミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルセルロース類、アルカンチオール類等の高分子物質等が挙げられるが、分散媒に溶解しかつ分散効果を示すものであれば特に限定されず、これらは単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
また、分散剤は、COOH基とOH基とを有し、かつ、(COOH基の数)≧(OH基の数)であるヒドロキシ酸又はその塩であることが好ましい。このような分散剤を使用すれば、100℃程度の低温で焼成しても高い導電性を示す導電膜パターンを形成可能な導電性インクを得ることができる。特に、COOH基とOH基とを合わせて3個以上有し、かつ(COOH基の数)が(OH基の数)以上であるヒドロキシ酸又はその塩を用いると、金属コロイド粒子の分散安定性が向上するため、導電性に優れた導電膜パターンを得ることができる。
このような分散剤としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸等の有機酸;例えば、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三リチウム、クエン酸一カリウム、クエン酸水素二ナトリウム、クエン酸二水素カリウム、リンゴ酸二ナトリウム、酒石酸二ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、酒石酸水素カリウム、酒石酸水素ナトリウム、グリコール酸ナトリウム等のイオン性化合物が挙げられ、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三リチウム、リンゴ酸二ナトリウム、酒石酸二ナトリウム等が好ましい。
また、還元剤としては、適当な溶媒に溶解して還元作用を示すものであれば特に限定されないが、タンニン酸又はヒドロキシ酸が好適に用いられる。タンニン酸又はヒドロキシ酸は、還元剤として機能すると同時に、分散剤としての効果を発揮する。これらの還元剤又は分散剤を、単独で用いても、複数組み合わせて用いてもよい。
なお、タンニン酸としては、一般に「タンニン酸」に分類されるものであれば特に限定されず、ガロタンニン酸、五倍子タンニン等も含まれる。タンニン酸の含有量は、金属イオン1価/gに対して、0.01〜6gであることが好ましい。例えば1価の銀イオンの場合、銀イオン1g当たりのタンニン酸の含有量は0.01〜6gであり、3価の金イオンの場合は、金イオン1g当たりのタンニン酸の含有量は0.0 3〜18gである。タンニン酸の含有量が少な過ぎると還元反応が不十分であり、多過ぎると過剰に吸着して導電性インク中に残存することがある。タンニン酸のより好ましい含有量は、0.02〜1.5gである。
本実施形態の金属コロイド液は、金属成分(金属粒子)と有機成分とからなる金属コロイド粒子を主成分とする固形分を分散する分散媒を含む。なお、当該分散媒は固形分の一部を溶解するものであってもよい。かかる分散媒としては、金属コロイド粒子を首尾よく分散し得る分散媒であれば特に限定されないが、水及び/又は水溶性有機分散媒等の水性分散媒が挙げられる。水性分散媒である水及び/又は水溶性有機分散媒を用いると、本実施形態の導電性インクを製造する際、環境に対する悪影響が少ないため好ましい。
なお、水溶性有機分散媒としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限はなく用いることができ、例えば、導電性インクの任意成分として後述する水溶性有機溶剤を用いることができるが、水と混合して用いる場合、得られる混合物が水性となるように、例えば、75体積%以下の有機分散媒を用いるのが好ましい。
本実施形態の金属コロイド液は、その他の成分として、上記有機成分とは異なる界面活性剤を含有していてもよい。多成分溶媒系の導電性インクにおいては、乾燥時の揮発速度の違いによる被膜表面の荒れ及び固形分の偏りが生じ易い。本実施形態の金属コロイド液に界面活性剤を添加することによってこれらの不利益を抑制し、均一な導電膜パターンを形成することができる導電性インクが得られる。
本実施形態において用いることのできる界面活性剤としては、特に限定されず、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤の何れを用いることができ、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、4級アンモニウム塩等が挙げられる。中でも反転印刷法においてはシリコーン樹脂に導電性インクを均一に塗布する必要があることから、表面自由エネルギーを十分に低下させることができるフッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤を用いることが好ましい。
界面活性剤の含有量は少な過ぎると効果が得られず、多過ぎると被膜中で残量不純物となるため、導電性が阻害されるおそれがある。好ましい界面活性剤の含有量は、金属コロイド液の分散媒100質量部に対して0.01〜5質量部である。
(1−2)水を含む分散媒
本実施形態の導電性インクは、水を含む分散媒を含む。上記のように、金属粒子を含む金属コロイド液が水を含む場合もあるが、導電性インクの濃度調整のために、上記金属コロイド液に更に水を添加する場合もある。
本実施形態の導電性インクの粘度は、1〜100cpsの粘度範囲であることが望ましく、1〜20cpsの粘度範囲がより好ましい。当該粘度範囲とすることにより、シリコーン樹脂上に導電性インクを均一かつ薄膜状に塗布することができる。塗布する方法には汎用の塗布方法を利用することができ、アプリケータ法、バーコーター法、キャピラリーコータ法、及びスピンコーティング法等を例示することができる。
本実施形態の導電性インクの粘度の調整は、固形分濃度の調整、各成分の配合比の調整、増粘剤の添加等によって行うことができる。また、粘度は、振動式粘度計(例えばCBC(株)製のVM−100A−L)により測定できる。測定は振動子に液を浸漬させて行い、測定温度は常温(20〜25℃)とすればよい。
(2)導電性インクの製造方法
本実施形態の導電性インクを製造するためには、まず、金属コロイド液を調製する。ついで、この金属コロイド液と、上記各種成分とを混合することにより、本実施形態の導電性インクを得ることができる。また、金属コロイド液に十分な水が含まれている場合は、水を追加的に混合する必要が無い場合もある。
(2−1)金属コロイド液の調製方法
本実施形態の金属コロイド液を調製する方法としては、特に限定されないが、例えば、金属コロイド粒子を含む分散液を調製し、次いで、その分散液の洗浄を行う方法等が挙げられる。金属コロイド粒子を含む溶液を調製する工程としては、例えば、下記のように、分散剤を用いて分散媒中に分散させた金属塩(又は金属イオン)を還元させればよく、還元手順としては、化学還元法に基づく手順が採用されていればよい。
即ち、上記のような金属粒子及び有機成分を含む金属コロイド液は、金属粒子を構成する金属の金属塩と、有機成分と、分散媒と、を含む原料水溶液を還元することにより調製することができる。この還元によって、有機成分が金属粒子の表面の少なくとも一部に局在化し、所望する金属コロイド液が得られる。
本実施形態の金属コロイド液を調製するための原料水溶液(成分の一部が溶解せず分散していてもよい。)に含まれる分散媒は、水性であり、例えば、水又は水と水溶性有機分散媒との混合物からなる水性分散媒を用いることができる。
金属コロイド液に含有させるための金属成分を得るための出発材料としては、種々の公知の金属塩又はその水和物を用いることができ、例えば、硝酸銀、硫酸銀、塩化銀、酸化銀、酢酸銀、亜硝酸銀、塩素酸銀、硫化銀等の銀塩;例えば、塩化金酸、塩化金カリウム、塩化金ナトリウム等の金塩;例えば、塩化白金酸、塩化白金、酸化白金、塩化白金酸カリウム等の白金塩;例えば、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、酸化パラジウム、硫酸パラジウム等のパラジウム塩等が挙げられるが、適当な分散媒中に溶解し得、かつ還元可能なものであれば特に限定されない。また、これらは単独で用いても複数併用してもよい。
また、上記原料水溶液においてこれらの金属塩を還元する方法は特に限定されず、例えば、還元剤を用いる方法、紫外線等の光、電子線、超音波又は熱エネルギーを照射する方法等が挙げられる。なかでも、操作の容易の観点から、還元剤を用いる方法が好ましい。
上記還元剤としては、例えば、ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、フェニドン、ヒドラジン等のアミン化合物;例えば、水素化ホウ素ナトリウム、ヨウ素化水素、水素ガス等の水素化合物;例えば、一酸化炭素、亜硫酸等の酸化物;例えば、硫酸第一鉄、酸化鉄、フマノレ酸鉄、乳酸鉄、シュウ酸鉄、硫化鉄、酢酸スズ、塩化スズ、二リン酸スズ、シュウ酸スズ、酸化スズ、硫酸スズ等の低原子価金属塩;例えば、ホルムアルデヒド、ハイドロキノン、ピロガロール、タンニン、タンニン酸、サリチル酸、D−グルコース等の糖等の有機化合物等が挙げられるが、分散媒に溶解し上記金属塩を還元し得るものであれば特に限定されない。上記還元剤を使用する場合は、光及び/又は熱を加えて還元反応を促進させてもよい。
上記金属塩、分散剤及び還元剤を用いて金属コロイド液を調製する具体的な方法としては、例えば、上記金属塩を純水等に溶かして金属塩溶液を調製し、その金属塩溶液を徐々に分散剤と還元剤とが溶解した水溶液中に滴下する方法等が挙げられる。
上記のようにして得られた金属コロイド液には、金属コロイド粒子の他に、還元剤の残留物や分散剤が存在しており、液全体の電解質濃度が高い傾向にある。このような状態の液は、電導度が高いので、金属コロイド粒子の凝析が起こり、沈殿し易い。そこで、上記金属コロイド粒子を含む溶液を洗浄して余分な電解質を取り除くことにより、電導度が10mS/cm以下の金属コロイド液を得ることができる。
上記洗浄方法としては、例えば、得られた金属コロイド液を一定時間静置し、生じた上澄み液を取り除いた上で、純水を加えて再度撹枠し、更に一定期間静置して生じた上澄み液を取り除く工程を幾度か繰り返す方法、上記の静置の代わりに遠心分離を行う方法、限外濾過装置やイオン交換装置等により脱塩する方法等が挙げられる。なかでも、脱塩する方法が好ましい。また、脱塩等した液は、適宜濃縮してもよい。
(2−2)導電性インクの調製方法
本実施形態の導電性インクは、上記金属コロイド液と、上記の水及び増粘剤とを混合することによって製造することができる。その他の任意の成分をここで混合してもよく、また、金属コロイド液に十分な水が含まれている場合は、水を追加的に混合する必要が無い場合もある。ここにおける混合方法は特に限定されるものではなく、攪拌機やスターラー等を用いて従来公知の方法によって行うことができる。
複数の金属を含む導電性インクを得る場合、その製造方法としては特に限定されず、例えば、銀とその他の金属とからなる導電性インクを製造する場合には、上述した金属コロイド液の製造において、銀コロイド液とその他の金属のコロイド液とを別々に製造し、その後混合してもよく、銀イオン溶液とその他の金属イオン溶液とを混合し、その後に還元してもよい。
また、本実施形態の導電性インクは、上記金属コロイド液を含むため、電導度を10mS/cm以下とすることができる。従来の導電性インクは、存在する電解質成分の濃度に敏感に反応して凝集沈降するので、分散安定性(貯蔵性)が損なわれることがあった。しかし、10mS/cm以下の電導度を有していることによって、本実施形態の導電性インクは、十分な分散安定性を有し、ガラス容器中での保管によるアルカリ分の流出、空気中の炭酸ガスの溶解による経時的な電解質濃度の上昇による貯蔵安定性の悪化等を防止することができる。
さらに、10mS/cm以下の電導度を有している導電性インクは分散安定性が高いため、固形分濃度が高い導電性インクの製造が容易となり、容積を減ずることができ、流通時および運搬時の取り扱いを容易にすることができる。高濃度の導電性インクは、後で適当な分散媒を用いて、使用に最適な濃度に調整してもよい。
(3)導電膜パターン(導電膜パターン付基材)及びその製造方法
本実施形態の導電性インクを用いれば、上記導電性インクを基材に塗布する導電性インク塗布工程と、前記基材に塗布した前記導電性インクを300℃以下の温度(好ましくは180℃未満)で焼成して導電膜パターンを形成する導電膜パターン形成工程と、により、基材と、前記基材の表面の少なくとも一部に形成される導電膜パターンと、を含む導電膜パターン付基板を製造することができる。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、前記導電性インク塗布工程での導電性インクとして、上述した本実施形態の導電性インクを用いれば、導電膜パターン形成工程において、前記基材に塗布した前記導電性インクを180℃未満の温度で焼成しても、優れた導電性を有する導電膜パターンがより確実に得られることを見出した。
反転印刷法においては、まず、ブランケット上に導電性インクを塗布して導電性インク塗布面を形成する。ブランケットとしては、シリコーンからなるシリコーンブランケットが好ましい。ブランケットの表面に導電性インク塗布面を形成した後、所定時間放置することにより、低沸点溶剤が揮発およびブランケット中に吸収されることにより導電性インクの粘度が上昇する。
上記導電性インク塗布面に所定のパターンに応じた版が形成された凸版を押圧すると、当該凸版に接触する部分の導電性インクがブランケット上から除去される。このとき、導電性インクが適度な凝集性を有することにより、導電性インクが構造破壊すること無しにブランケットからの剥離と、凸版への付着とが確実に行われ、ブランケットへの望ましくない残留が抑制される。この結果、ブランケット上に残った導電性インクにより、凸版のパターンに応じた導電性インクのパターンがブランケット上に形成される。
ブランケット上に残ったウェット状態もしくは半乾燥状態の導電性インクを、被印刷体に転写する。この際、導電性インクが適度な凝集性を有することにより、ブランケットからの剥離と、被印刷体への付着とが確実に行われ、ブランケットへの望ましくない残留が抑制される。この結果、被印刷体には、凸版に形成されたパターンに対して反転したパターンにより導電膜パターンが形成される。
本実施形態において用いることのできる基材としては、導電性インクを塗布して加熱により焼成して導電膜パターンを搭載することのできる、少なくとも1つの主面を有するものであれば、特に制限はないが、耐熱性に優れた基材であるのが好ましい。また、先に述べたように、本実施形態の導電性インクは、従来の導電性インクに比較して低い温度で加熱して焼成しても十分な導電性を有する導電膜パターンを得ることができるため、この低い焼成温度よりも高い温度範囲で、従来よりも耐熱温度の低い基材を用いることが可能である。
このような基材を構成する材料としては、例えば、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ビニル樹脂、フッ素樹脂、液晶ポリマー、セラミックス、ガラス又は金属等を挙げることができる。また、基材は、例えば板状又はストリップ状等の種々の形状であってよく、リジッドでもフレキシブルでもよい。基材の厚さも適宜選択することができる。接着性若しくは密着性の向上又はその他の目的ために、表面層が形成された基材や親水化処理等の表面処理を施した基材を用いてもよい。
上記のように塗布した後の塗膜を、300℃以下(好ましくは180℃未満)の温度に加熱することにより焼成し、本実施形態の導電膜パターン(導電膜パターン付基材)を得ることができる。
上記焼成を行う方法は特に限定されるものではなく、例えば従来公知のギアオーブン等を用いて、基材上に塗布または描画した上記導電性インクの温度が300℃以下(好ましくは180℃未満)となるように焼成することによって導電膜パターンを形成することができる。上記焼成の温度の下限は必ずしも限定されず、基材上に導電膜パターンを形成できる温度であって、かつ、本発明の効果を損なわない範囲で上記有機成分等を蒸発又は分解により除去できる温度であることが好ましい(本発明の効果を損なわない範囲で一部が残存していてもよいが、望ましくは全て除去されるのが好ましい。)。
本実施形態の導電性インクによれば、100℃程度の低温加熱処理でも高い導電性を発現する導電膜パターンを形成することができるため、比較的熱に弱い基材上にも導電膜パターンを形成することができる。また、焼成時間は特に限定されるものではなく、焼成温度に応じて、基材上に導電膜パターンを形成できる。
本実施形態においては、上記基材と導電膜パターンとの密着性を更に高めるため、上記基材の表面処理を行ってもよい。上記表面処理方法としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理、電子線処理等のドライ処理を行う方法、基材上にあらかじめプライマー層や導電性インク受容層を設ける方法等が挙げられる。
このようにして本実施形態の導電膜パターン(導電膜パターン付基材)を得ることができる。このようにして得られる本実施形態の導電膜パターンは、例えば、0.1〜5μm程度、より好ましくは0.1〜1μmである。本実施形態の導電性インクを用いれば、厚さが0.1〜5μm程度であっても、十分な導電性を有する導電膜パターンが得られる。なお、本実施形態の導電膜パターンの体積抵抗値は、15μΩ・cm以下である。
なお、本実施形態の導電膜パターンの厚みtは、例えば、下記式を用いて求めることはできる(導電膜パターンの厚さtは、レーザー顕微鏡(例えば、キーエンス製レーザー顕微鏡VK−9510)で測定することも可能である。)。
式:t=m/(d×M×w)
m:導電膜パターン重量(スライドガラス上に形成した導電膜パターンの重さを電子天秤で測定)
d:導電膜パターン密度(g/cm3)(銀の場合は10.5g/cm3
M:導電膜パターン長(cm)(スライドガラス上に形成した導電膜パターンの長さをJIS1級相当のスケールで測定)
w:導電膜パターン幅(cm)(スライドガラス上に形成した導電膜パターンの幅をJIS1級相当のスケールで測定)
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の導電性インク及び当該導電性インクを用いた導電膜パターン(導電膜パターン付基材)の製造方法について更に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
10N−NaOH水溶液を3mL添加してアルカリ性にした水50mLに、クエン酸3ナトリウム2水和物17g、タンニン酸0.36gを溶解した。得られた溶液に対して3.87mol/L硝酸銀水溶液3mLを添加し、2時間攪拌を行い銀コロイド水溶液を得た。得られた銀コロイド水溶液に対し、導電率が30μS/cm以下になるまで透析することで脱塩を行った。透析後、2100rpm(920G)、10分の条件で遠心分離を行うことで、粗大金属コロイド粒子を除去した。
この銀コロイド液中の固形分を、乾燥重量法によって求めた。ここで得られた固形分をについて、セイコー電子工業社製TG/DTA300を用いて昇温速度10℃/分で室温から500℃までの大気中における熱重量変化を求め、100℃から500℃までの重量減少を計算した。銀コロイド水溶液中の固形分は55重量%であり、熱重量分析による500℃昇温時の重量減少は1.9重量%であった。
上記銀コロイド液と、表1に示すその他の成分を添加・混合して、実施例1〜9、及び比較例1〜3の導電性インクを得た。なお、表1に示す成分の量は重量%で示している。
[評価試験]
(1)導電性インクの表面張力測定
実施例1〜9で得られた実施導電性インク1〜9、及び比較例1〜3で得られた比較導電性インク1〜3の表面張力を、全自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学(株)製)により測定した。測定には白金プレートを用い、自動測定で行った。測定温度は常温(20〜25℃)とした。結果を表1に示した。
(2)導電性インクの濡れ性評価
実施例1〜9で得られた実施導電性インク1〜9、及び比較例1〜3で得られた比較導電性インク1〜3を用い、シリコーン製ブランケット上にバーコーター(No.7)で各種導電性インクを塗布し、ブランケットに対する導電性インクの濡れ性を目視評価した。濡れ性が良好な場合は○、不良な場合は×とし、結果を表1に示した。
(3)印刷形状の評価
次に、導電性インクを塗布したブランケット上にガラス凸版を押圧し、非画像部(不要部分)を転写して除去した。更に、ブランケット材に基材(PEN:ポリエチレンナフタレート)を押圧することでパターンを基材に転写した。得られたパターン形状を目視観察することで、印刷形状を評価した。印刷形状が良好な場合は○、許容範囲の場合は△、不良の場合は×とし、結果を表1に示した。パターンは細線とし、ライン幅10、20、30、50、100μm、長さ10mmとした。
(4)導電膜パターンの導電性評価
次に、基材に転写されたパターン(ライン幅100μm、長さ10mm)を150℃×30分の条件で焼成し、パターンの抵抗値を測定した。具体的には、横川メータ&インスツルメンツ(株)製の携帯用ダブルブリッジ2769を用いてダブルブリッジ法により体積抵抗率を求めた。以下の式に基づき、測定端子間距離と導電膜パターンの厚みから体積抵抗値を換算した。得られた結果を表1に示した。
式:(体積抵抗率ρv)=
(抵抗値R)×(被膜幅w)×(被膜厚さt)/(端子間距離L)
(5)導電膜パターンの密着性評価
焼成後の導電膜パターンについて、粘着テープを用いた剥離試験を行った。具体的には、基材に対する導電膜パターンの密着性を、メンディングテープNo.810(住友スリーエム(株)製)を用いて評価した。メンディングテープを導電膜パターンに完全に付着させてから1分後に、当該テープの一方の端を持ち、基材に対して90度の角度を保ちながら一気に引き剥がすことによって、剥離を行った。導電膜パターンが剥離されなかった場合は○、僅かに剥離が認められた場合は△、顕著な剥離が認められた場合は×とし、結果を表1に示した。
Figure 2015147840
表1に示した結果から明らかなように、導電性インクに適量の糖アルコールを添加し、導電性インクの表面張力を20mN/m以下とすることで、ブランケットへの濡れ性、印刷形状、体積比抵抗値、及び密着性の全てで良好な評価結果が得られている(実施例1〜9)。これに対し、糖アルコールを含まない比較例1では濡れ性及び密着性が不良となっている。
ここで、糖アルコールの添加量が十分でない実施例8(0.2重量%)では印刷形状がその他の実施例に劣り、糖アルコールの添加量が過剰な実施例9(4.0重量%)では体積抵抗値が50μΩ・cmと高くなっている。
また、フッ素系界面活性剤を含まない比較例2ではブランケットへの濡れ性が全く確保できず(印刷形状は評価不可)、フッ素系界面活性剤を含むものの表面張力が高い比較例3ではブランケットへの濡れ性が不十分であった。

Claims (6)

  1. 反転印刷に用いる導電性インクであって、
    金属粒子と、
    糖アルコールと、
    フッ素系界面活性剤と、
    水と、を含み、
    表面張力が20mN/m以下であること、
    を特徴とする導電性インク。
  2. 前記糖アルコールがグリセリン、エリスリトール、キシリトール、ソルビトールの群から選ばれる1または2以上の糖アルコールであること、
    を特徴とする請求項1に記載の導電性インク。
  3. 前記糖アルコールの含有量が3重量%以下であること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載の導電性インク。
  4. 更に、メタノール、エタノール、アセトン、イソプロピルアルコール、tert−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルの群から選ばれる1または2以上の低沸点溶剤を含むこと、
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性インク。
  5. 更に、有機変性シリコーンオイルを含むこと、
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性インク。
  6. 前記水の含有量が10〜80重量%であること、
    を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の導電性インク。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2018110632A1 (ja) * 2016-12-14 2019-10-24 国立研究開発法人科学技術振興機構 伸縮性導電体、伸縮性導電体形成用ペーストおよび伸縮性導電体の製造方法

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