JP2015131985A - 金属/粘土鉱物複合ナノ粒子、金属/粘土鉱物複合ナノ粒子分散液及びそれらの製造方法 - Google Patents

金属/粘土鉱物複合ナノ粒子、金属/粘土鉱物複合ナノ粒子分散液及びそれらの製造方法 Download PDF

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【課題】内部構造の制御された複数の金属ナノ結晶からなる金属ナノ粒子、及び分散安定性に優れたその分散液、及びそれらの製造方法を提供する。【解決手段】層状剥離した粘土鉱物の水分散液に、貴金属種を含む複数の金属化合物を同時に添加した後、還元剤を添加し、それを室温で保持する方法、または、粘土鉱物の水分散液に一つの金属化合物を添加し分散させた後、還元剤を添加し、一定時間後に更に他の金属化合物を添加した後、室温で保持する方法によって、複数の金属ナノ結晶からなり、且つ、コアシェル構造などの制御された内部構造を有する金属/粘土鉱物複合ナノ粒子が得られること、また、極めて安定した金属/粘土鉱物複合ナノ粒子分散液が得られることを見出し、上記課題を解決した。【選択図】図1

Description

本発明は、金属ナノ粒子、その分散液及びそれらの製造方法に関する。
金属ナノ粒子は、その微小粒径に起因してバルク態と異なる多くの特性を示すことから、触媒、導電材料を始めとした各種分野で幅広い利用が検討されている。しかし、金属ナノ粒子の粒径をnmレベルの小粒径でできるだけ均質に且つ安価に合成すること、及び、金属ナノ粒子は活性が非常に高く粒子同士の不均一な凝集が生じやすいことから、安定した金属ナノ粒子分散液を調製することが広く求められてきた。
例えば、金属ナノ粒子の製造において、金属塩の溶液に還元剤を一挙に添加する従来の生成方法では金属粒子の核形成ならびにその成長の制御が容易でなく、nmレベルの粒子径のそろった均整な粒子を得ることが難しかった。これに対して、ポリオールを用いて還元した後、水溶性高分子を用いて分散性をあげる方法(非特許文献1)、連続フロー方式での製造方法(特許文献1)、ハロゲン化物イオンの存在下で還元させる方法(特許文献2)、異種金属を共存させる方法(特許文献3)などが提案されている。
一方、金属ナノ粒子が不均一に凝集したり沈殿したりするとナノ粒子としての性能が十分に発揮できないことに対する、分散液中又は再分散液中での金属ナノ粒子の安定な均一分散の達成に関しては、例えば、金属ナノ粒子の表面を特定の有機化合物で被覆する方法(特許文献4)、脂肪酸金属塩を形成させた後、二段階の置換を経て炭素鎖8〜20のアミンと原料由来の脂肪酸で金属ナノ粒子の表面を被覆する方法(特許文献5)、一端保護した有機化合物を別の有機化合物保護剤に置換する方法(特許文献6)、ポリエチレンイミンとポリエチレングリコールを含む高分子化合物の存在下で銀化合物を還元して銀ナノ粒子を製造する方法(特許文献7)、カルボキシル基を有する有機化合物からなる保護材で金属ナノ粒子表面を被覆する方法(特許文献8)などが提案されている。また、本発明者は、金属ナノ粒子及びその安定した分散液を得るために、層状剥離した無機層状鉱物の存在下で金属化合物を還元させる方法(特許文献9)を報告している。
一方、近年、複数の金属を用いた金属ナノ粒子、特にコアシェル構造などの制御された構造を有するナノ粒子は優れた触媒特性や光特性などを示す可能性から大きな注目を浴びている(非特許文献2)。製造法としても、複数の金属からなる金属ナノ粒子の分散性を向上させるためやコアシェル構造などの構造を構築させるための方法が提案されている(特許文献10〜特許文献13)。しかし、いずれも複雑な工程を要したり、高価な装置を用いたりして、簡便にして高効率な製造法は知られていない。このように、複数の金属ナノ結晶からなる金属ナノ粒子の内部構造を制御して合成し、且つ、分散性に優れたその金属ナノ粒子の分散液を得る簡便な方法はなく、これらの開発が求められていた。
特開2004−068072号 特開2008−274423号 特開2011−21271号 特開2006−089786号 特開2008−150701号 特開2008−297580号 特許第4573138号 特開2011−38128号 特開2013−163862号 特開2007−224420号 特許第3912391号 特表2009−510705号 特開2012−117097号
Pierre-Yves Silvert et. al, J. Mater. Chem., 1996, 6(4), 573-577. R.G.Chaudhuri, S.Paria, Chem. Rev., 2012, 112, 2373-2433.
本発明が解決しようとする課題は、内部構造の制御された複数の金属ナノ結晶からなる金属ナノ粒子、及び分散安定性に優れたその分散液、及びそれらの製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究に取り組んだ結果、層状剥離した粘土鉱物、特に層状剥離した水膨潤性粘土鉱物の水分散液に、貴金属種を含む複数の金属化合物を同時に添加した後、還元剤を添加し、それを室温で保持する方法、または、粘土鉱物の水分散液に一つの金属化合物を添加し分散させた後、還元剤を添加し、一定時間後に更に他の金属化合物を添加し室温で保持する方法によって、複数の金属ナノ結晶からなり、且つ、コアシェル構造などの制御された内部構造を有する金属/粘土鉱物複合ナノ粒子が得られること、また、極めて安定した金属/粘土鉱物複合ナノ粒子分散液が得られることを発見したことに基づき、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、コアシェル構造を形成している複数の金属ナノ結晶及び層状剥離した粘土鉱物からなる金属/粘土鉱物複合ナノ粒子を提供する。
また、本発明は、コアシェル構造の最外層が微細な凹凸構造を有する金属/粘土鉱物複合ナノ粒子を提供する。
また、本発明は、複数金属ナノ結晶の少なくとも一種が貴金属ナノ結晶である金属/粘土鉱物複合ナノ粒子を提供する。
また、本発明は、粘土鉱物が水中で層状剥離可能な水膨潤性粘土鉱物である金属/粘土鉱物複合ナノ粒子を提供する。
また、本発明は、金属/粘土鉱物複合ナノ粒子と層状剥離した粘土鉱物と分散媒体を含んでなる金属/粘土鉱物複合ナノ粒子分散液を提供する。
また、本発明は、層状剥離した粘土鉱物を含む水分散液に、複数の金属化合物を同時に添加した後、還元剤を添加し、それらを保持することを特徴とする金属/粘土鉱物複合ナノ粒子及びその分散液の製造方法を提供する。
また、本発明は、層状剥離した粘土鉱物を含む水分散液に、少なくとも一種の金属化合物を添加した後、還元剤を添加し、その後、時間をおいて他の金属化合物を添加し、更にそれらを保持することを特徴とする金属/粘土鉱物複合ナノ粒子及びその分散液の製造方法を提供する。
また、本発明は、還元剤を添加した後、超音波をかけることを特徴とする金属/粘土鉱物複合ナノ粒子及びその分散液の製造方法を提供する。
更に、本発明は、金属化合物を還元するための保持温度が5〜50℃であることを特徴とする金属/粘土鉱物複合ナノ粒子及びその分散液の製造方法を提供する。
本発明によると、貴金属を含む複数の金属からなり、内部構造がコアシェル型に制御された金属/粘土鉱物複合ナノ粒子が得られること、また、最表面部に微細な凹凸構造を有するものが得られること、更に、分散性・分散安定性に優れた金属/粘土鉱物複合ナノ粒子分散液が得られることなどが達成され、例えば、優れた触媒性能や導電性などを有する材料として用いられる。
実施例1で得られたPdナノ結晶−Ptナノ結晶−粘土鉱物複合ナノ粒子のTEM観察写真。 実施例1で得られたPdナノ結晶−Ptナノ結晶−粘土鉱物複合ナノ粒子1個の直径に沿ったPd,Pt,Siの元素分析測定結果。 実施例1で得られたPdナノ結晶−Ptナノ結晶−粘土鉱物複合ナノ粒子におけるMg(a),Pt(b)、Pd(c)のエネルギー分散X線マッピング測定結果。(d)は、(b)と(c)の結果を合わせたもの。 実施例1で得られたPdナノ結晶−Ptナノ結晶−粘土鉱物複合ナノ粒子のX線光電子スペクトル測定結果。 実施例1で得られたPdナノ結晶−Ptナノ結晶−粘土鉱物複合ナノ粒子の広角X線回析測定結果(iii)。(i)及び(ii)は比較サンプル((i)Ptナノ結晶/粘土鉱物、(ii)Pdナノ結晶/粘土鉱物)の測定結果。 (a)実施例2で得られたAuナノ結晶−Pdナノ結晶−粘土鉱物複合ナノ粒子のTEM観察写真。(b)実施例2で得られたAuナノ結晶−Pdナノ結晶−粘土鉱物複合ナノ粒子におけるAuとPdのエネルギー分散X線マッピング測定を合わせた結果。Auナノ結晶がコア、Pdナノ結晶がシェルとなるように配置されたコアシェル構造をとっている。 (a)実施例3で得られたAuナノ結晶−Ptナノ結晶−粘土鉱物複合ナノ粒子のTEM観察写真。(b)実施例3で得られたAuナノ結晶−Ptナノ結晶−粘土鉱物複合ナノ粒子におけるAuとPtのエネルギー分散X線マッピング測定を合わせた結果。Auナノ結晶がコア、Ptナノ結晶がシェルとなるように配置されたコアシェル構造をとっている。 実施例2で得られたAuナノ結晶−Pdナノ結晶−粘土鉱物複合ナノ粒子のX線光電子スペクトル測定結果。 実施例3で得られたAuナノ結晶−Ptナノ結晶−粘土鉱物複合ナノ粒子のX線光電子スペクトル測定結果。 実施例2で得られたAuナノ結晶−Pdナノ結晶−粘土鉱物複合ナノ粒子の広角X線回析測定結果(iii)。(i)及び(ii)は比較サンプル((i)Auナノ結晶/粘土鉱物、(ii)Pdナノ結晶/粘土鉱物)の測定結果。 実施例4で得られたPtナノ結晶−Pdナノ結晶−粘土鉱物複合ナノ粒子のTEM観察写真。 実施例4で得られたPtナノ結晶−Pdナノ結晶−粘土鉱物複合ナノ粒子におけるPtとPdのエネルギー分散X線マッピング測定を合わせた結果。Ptナノ結晶がコア、Pdナノ結晶がシェルとなるように配置されたコアシェル構造をとっている。 実施例5で得られたPtナノ結晶−Coナノ結晶−粘土鉱物複合ナノ粒子のTEM観察写真。
本発明における金属/粘土鉱物複合ナノ粒子は、2種またはそれ以上の複数の金属ナノ結晶からなることが必須である。金属の種類は必ずしも限定されないが、少なくとも1種は貴金属であるものがより好ましく用いられる、特に好ましくは、ナノ粒子の最外層に貴金属があるものである。貴金属としては、例えば、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウムなどが挙げられ、特に好ましくは、金、白金、パラジウムである。その他の金属としては、銅、ニッケル、鉄、コバルト、アルミニウム、亜鉛、クロム、鉄、モリブデン、ジルコニウム、ルテニウム、タンタル、水銀、インジウム、スズ、鉛、タングステンなどがあげられ、より好ましくは、鉄、ニッケル、銅、コバルトである。
金属/粘土鉱物複合ナノ粒子の粒子径としては、ナノ粒子としての特徴を有するのであれば特に限定されるものではないが、金属/粘土鉱物複合ナノ粒子分散液とした場合に良好な分散安定性を有するためには、本発明の金属ナノ粒子の平均粒子径は1〜300nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは5〜150nmの範囲、特に好ましくは10〜100nmの範囲である。また、形状は一般に球状であるが、本発明における製造条件を制御することで、異型形状、瓢箪状、ロッド状、リボン状などの形状にすることも可能である。
本発明における金属/粘土鉱物複合ナノ粒子は、複数の金属ナノ結晶と層状剥離した粘土鉱物が含まれていることが必須である。金属/粘土鉱物複合ナノ粒子中の金属ナノ結晶含有量は、安定した金属/粘土鉱物複合ナノ粒子又はその分散液が得られれば良く、目的に応じて広い範囲から選択される。
更に、本発明における金属/粘土鉱物複合ナノ粒子は、複数の金属ナノ結晶が粒子内でランダムに分布してなくて高次構造を形成しているものが必須である。より好ましくは、中心部(コア)と外周部(シェル)が異なる金属ナノ粒子からなるコアシェル構造を形成しているものであり、更に好ましくは、シェル部に貴金属ナノ結晶などの高機能性ナノ結晶を含むコアシェル構造を有するものである。また、最外表面が平滑でなく、微細な凹凸を有するものは特に好ましい。コアとシェルを形成する金属種は、下記に示す製造方法により、異なる金属種の中から実用に適したものを選択できる。また、コア及びシェル部はそれぞれが単独の金属ナノ結晶からなるものであっても、どちらか一つまたは両方ともが複数の金属ナノ結晶からなるものであってもよい。更に、コア及びシェルの質量比率は、目的に応じて任意に制御することが可能である。
本発明におけるコアシェル構造を有する金属/粘土鉱物ナノ粒子およびその分散液を製造する方法としては、粘土鉱物存在下で複数の金属化合物の還元力の差を用いる方法(還元力が高い方がコアとなる)、及び、粘土鉱物存在下で金属化合物を添加する順序を用いる方法(先に添加して還元させる方がコアとなる)が有効であり、前者の方法は極めて簡便にコアシェル構造を有する金属/粘土鉱物複合ナノ粒子が得られる点で特に好ましい。また、後者の方法は、金属種の還元力に関わらず、任意の金属ナノ結晶をコアまたはシェルにすることが出来る点で特に好ましい。
本発明においてコアシェル構造を有する複数の金属ナノ結晶及び安定したその水分散液を得るには、層状剥離した粘土鉱物を併せて用いることが必須である。本発明における粘土鉱物としては、層状に剥離することができるものであることが必須であり、好ましくは水又は水溶液中で膨潤して層状剥離するものであること、より好ましくは金属化合物を含む水溶液中でマクロに凝集せず、層状剥離した状態で分散できるものである。層状剥離の状態としては10層以下に層状剥離していることが好ましく、より好ましくは3層以下、特に好ましくは1層又は2層の厚みに層状剥離して分散しているものである。更に、層状剥離した粘土鉱物としては、水媒体中で金属化合物イオンと静電相互作用するもの、及び/または、金属化合物を還元又は還元を促進する性質を有するものが特に好ましい。かかる粘土鉱物としては、例えば、水膨潤性スメクタイト類や水膨潤性雲母などの水中で膨潤し、層状剥離した状態で微分散することが可能な表面負電荷を有する無機層状粘土鉱物が用いられる。具体的には、水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロナイト、水膨潤性サポナイト及び水膨潤性合成雲母などが挙げられる。また、粘度鉱物の層状剥離を容易にするため、有機分散剤を無機層状鉱物に含ませたものを用いることもできる。例えば、有機分散剤としては、リン酸塩やピロリン酸塩などがあげられる。
本発明における金属/粘土鉱物複合ナノ粒子及びその分散液を得る具体的な手法としては、以下の方法が好ましく用いられる。即ち、層状剥離した粘土鉱物を含む水分散液に、複数の金属化合物を同時に添加した後、還元剤を添加し、それらを保持することによる方法、または、層状剥離した粘土鉱物を含む水分散液に、少なくとも一種の金属化合物を添加した後、還元剤を添加し、その後、時間をおいて他の金属化合物を添加し、更にそれらを保持する方法である。ここで、前法において、複数の金属化合物を同時に添加するということは、正確に同時でなくても、殆ど時間をおかず連続して添加することでもよく、予め複数の金属化合物を混合した溶液を添加してもよい。また、後法において、時間をおいて他の金属化合物を添加する場合の時間としては、先に添加した金属化合物が還元された後に加えるのが好ましい。更に、金属/粘土鉱物複合ナノ粒子の分散液の製造法としては、上記のようにワンポットで製造するほか、得られた金属/粘土鉱物複合ナノ粒子分散液から金属/粘土鉱物複合ナノ粒子を精製した後、水または粘土鉱物水分散液に再分散させる方法も用いられる。
また、本発明における金属/粘土鉱物複合ナノ粒子の製造法において、金属化合物を添加した後、超音波をかけることは、全体として均一な金属/粘土鉱物複合ナノ粒子及びその分散液を製造するのに有効である。超音波をかける時間は必ずしも限定されないが、好ましくは10秒〜100分の間から選択される。
また、本発明における金属化合物の金属ナノ結晶への還元は室温付近で行うことが最も好ましい。即ち、還元反応は5〜80℃の範囲で行えるが、明確なコアシェル構造などの内部構造の形成、及び安定した分散液の調製のためには、好ましくは5〜50℃、より好ましくは、10〜40℃、特に好ましくは、15〜35℃の範囲で行うことである。
また、本発明においては層状剥離した粘土鉱物と共に還元剤を併用することが必須である。本発明における還元剤としては、金属化合物を還元し、複数の金属ナノ結晶を合成できるものであれば良く、必ずしも限定されるものではないが、より好ましくは、層状剥離した粘土鉱物の存在下で、金属化合物を還元し、微細な金属ナノナノ結晶を調製できるものが用いられる。用いられる還元剤としては、例えば、水素、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素アンモニウムなどのホウ素化合物、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどのアルデヒド類、アスコルビン酸、クエン酸、クエン酸ナトリウムなどの酸類、プロピルアミン、ブチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、メチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミンなどのアミン類、ヒドラジン、炭酸ヒドラジンなどのヒドラジン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ類などが挙げられる。これらのなかでも、水素化ホウ素ナトリウムまたはアスコルビン酸はより好ましく、特に貴金属ナノ結晶の調製やコアシェル構造形成のためには、アスコルビン酸が特に好ましい。また、還元剤の使用量は、金属化合物中の金属イオンを還元するのに必要な量以上であれば特に限定されるものではなく、上限は特に規定するものではないが、金属イオンの10モル倍以下であることが好ましく、2モル倍以下であることがより好ましい。また、還元剤の添加方法も限定されるものではなく、例えば、還元剤をそのまま、又は水溶液やその他の溶媒に溶解、分散させて混合させることができる。
また本発明においては、金属化合物の還元を制御したり、還元を促進する物質として、水溶性有機高分子(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのポリオール類、ポリビニルピロリドン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミンなどの水溶性高分子の一種以上又は共重合体)を上記還元剤と共に用いることも有効に用いられる。
本発明における金属化合物としては、水溶性金属化合物であって、還元反応によって金属ナノ結晶が得られるものが用いられる。例えば、金属カチオンと対アニオンとの塩類のもの、あるいは金属が対アニオンの中に含まれるものなどが用いられる。例えば、銀の場合、硝酸銀、酸化銀、酢酸銀、フッ化銀、銀アセチルアセトナート、安息香酸銀、クエン酸銀、銀ヘキサフルオロフォスジェート、乳酸銀、亜硝酸銀、ペンタフルオロプロピオン酸銀など、白金やパラジウムの場合は塩化白金カリウム(K2PtCl4)や塩化パラジウムカリウム(K2PdCl4)など、金の場合は四塩化金ナトリウム水和物(Na(AuCl4)・2H2O)、ニッケルや鉄の場合は塩化ニッケル(NiCl2)や塩化鉄(FeCl3)など、コバルトや銅の場合は硫酸コバルト水和物(CoSO4・7H2O)や硫酸銅水和物(CuSO4・5H2O)などがあげられる。
本発明における金属/粘土鉱物複合ナノ粒子分散液の分散媒体としては、好ましくは水が用いられるが、他の有機溶媒や水溶性物質を含む水溶液も用いられる。また、一端、水又は水溶液を用いて金属ナノ粒子分散液を調製した後、媒体を有機溶媒に変更することも可能である。
本発明で得られる金属ナノ粒子分散液は、金属/粘土鉱物複合ナノ粒子が小さく且つ均一であることに加えて、共存する層状剥離した粘土鉱物の働きで、優れた分散安定性を有する。また、得られた金属/粘土鉱物複合ナノ粒子分散液は、含まれる粘土鉱物の濃度により、低粘度のゾルから、高粘度、そしてゲル状態まで、粘度を広範囲に制御することができる。また、撹拌状態ではゾルで、静置状態ではゲルとなるものも調製可能である。いずれにおいても金属/粘土鉱物複合ナノ粒子分散液は優れた分散安定性を示す。例えば、本発明における金属/粘土鉱物複合ナノ粒子分散液は、数日以上、好ましくは数ヶ月以上にわたって安定であり不均一な凝集や沈殿を生じることがない。
本発明における金属/粘土鉱物複合ナノ粒子は、得られた金属/粘土鉱物複合ナノ粒子分散液をスプレードライなどの方法で直接粒子状態とした後、乾燥及び/又は熱処理する方法や、金属/粘土鉱物複合ナノ粒子分散液を高分子、紙、ガラス、セラミック、金属などの基材上に、そのまま、もしくは他の有機及び/又は無機素材と混合した後、塗布し、引き続き、乾燥及び/又は熱処理する方法により得られる。また、金属ナノ粒子を基材の上でミクロなパターン形成を行わせることも有効に用いられる。
次いで本発明を実施例により、より具体的に説明するが、もとより本発明は、以下に示す実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1、比較例1)
水膨潤性層状粘土鉱物であるスメクタイト類の一種である合成ヘクトライト(ラポナイトXLG:Rockwood社)を2質量%含む均一透明な(水中で層状剥離した)粘土鉱物水分散液10mlに、25℃で、20mMのK2PtCl4水溶液10mlと20mMのK2PdCl4水溶液10mlを添加し、次いで0.4Mのアスコルビン酸水溶液4mlを添加した後、10分間(室温で)超音波にかけた。得られた液を24時間、25℃で保持した。その結果、沈殿のない、均一な黒色水分散液が得られた。これを遠心分離(一万回転、10分間)することにより固体を沈殿回収した後、再度水に分散した。この遠心分離−沈殿−再分散を3回繰り返して、精製した固体及びその水分散液を得た。水分散液を透過型電子顕微鏡(TEM)用のカーボン膜の上に垂らし、溶媒(水)を乾燥により除いてから、TEM(日本電子製JEM−2200TFE:200kV)測定を行った。得られた結果を図1に示す。平均粒径70nmの粒子が観測され、その外周部は微細な凹凸構造を有することが確認された。単一ナノ粒子の元素分析結果を図2に示す。また、Mg,PtおよびPdのエネルギー分散X線マッピング測定(走査TEM検出器付きJEM-2200TFE(200kV)使用)結果を各々、図3(a)、(b)及び(c)に、また、図3(b)と(c)を併せた結果を図3(d)に示す。更に、X線光電子スペクトル測定(日本電子製ESCALab MKII(MgK)使用)結果を図4に、広角X線回析測定(理学電機製Rigaku SmartLab(CuK)使用)結果を図5に示す。以上の結果から、水分散液には、平均粒径が65nmのPdナノ結晶−Ptナノ結晶−粘土鉱物からなる金属/粘土鉱物複合ナノ粒子が形成していること、且つ、Pdナノ結晶をコア、Ptナノ結晶をシェルとするコアシェル構造を有していることが明らかとなった。得られたPt−Pd−粘土鉱物複合ナノ粒子の窒素吸着法によるBET表面積測定(BEL Japan Inc製BELSORP-mini II使用)結果は290.7m2/gであり、非常に高い値を示した。
得られたPd−Pt−粘土鉱物複合ナノ粒子の触媒活性を調べるため、以下の実験を行った。60mMのNaBH4水溶液0.5mlを、0.12mMの4−ニトロフェノール水溶液2.5mlに加えた。3mgのPd−Pt−粘土鉱物複合ナノ粒子を添加し、撹拌して保持した(25℃)。金属/粘土鉱物複合ナノ粒子を添加した後の、60秒毎の紫外線吸収スペクトル(250−550nm)測定した結果、4−ニトロフェノールが4−アミノフェノールに還元されるのが観測され、表1に示す速度定数と活性パラメーターが得られた。市販の白金触媒(PtBlack)を用いた場合(比較例1)に比べて、高い触媒活性を示すことが確認された。
(実施例2、3)
実施例2では、K2PtCl4水溶液の代わりに20mMのNa(AuCl4)2H2O水溶液10mlを用いること、実施例3では、K2PdCl4水溶液の代わりに20mMのNa(AuCl4)2H2O水溶液10mlを用いること以外は、実施例1と同様にして実験を行った。実施例1と同様にして測定したTEM測定結果及びエネルギー分散X線マッピング測定結果を図6(a)及び(b)(実施例2)、図7(a)及び(b)(実施例3)に、また、X線光電子スペクトル測定結果を図8(実施例2)及び図9(実施例3)に示す。更に実施例2の広角X線回折測定結果を図10に示す。以上のことから、実施例2では、Auナノ結晶−Pdナノ結晶−粘土鉱物複合ナノ粒子(平均粒径60nm、Auナノ結晶がコア、Pdナノ結晶がシェル)及びその分散液が得られたこと、実施例3では、Auナノ結晶−Ptナノ結晶−粘土鉱物複合ナノ粒子(平均粒径55nm、Auナノ結晶がコア、Pdナノ結晶がシェル)及びその分散液が得られたことが明らかとなった。実施例2のAuナノ結晶−Pdナノ結晶−粘土鉱物複合ナノ粒子のBET表面積は343.5m2/gであった。
得られた複合ナノ粒子を用いて4−ニトロフェノールの還元反応に対する触媒活性を実施例1と同様に測定した結果を表1に示す。いずれも比較触媒(Pt-Black)より高い活性を示し、特にAuナノ結晶−Pdナノ結晶−粘土鉱物複合ナノ粒子は優れた触媒活性を示した。
(実施例4)
粘土鉱物水分散液に加える金属化合物水溶液および還元剤の添加順序が異なる、即ち、最初にK2PtCl4水溶液を加え、次いで、アスコルビン酸水溶液を加え、3時間後に、K2PdCl4水溶液を加えること以外は実施例1と同様にして実験を行った。実施例1と同様にして測定したTEM測定結果及びエネルギー分散X線マッピング測定結果を図11及び図12に示す。これらから、平均粒径が54nm、Ptナノ結晶がコア、Pdナノ結晶がシェルのPtナノ結晶−Pdナノ結晶−粘土鉱物複合ナノ粒子が得られたことが明らかとなった。
(実施例5、6)
アスコルビン酸水溶液の代わりに0.1MのNaBH4水溶液10gを用いること、及び第二の金属化合物水溶液をNaBH4水溶液添加してから24時間後に行うこと、また、第二の金属化合物水溶液として、K2PdCl4水溶液の代わりに20mMのCoSO47H2Oの水溶液10gを用いること(実施例5)または20mMのNiCl2水溶液10gを用いること(実施例6)を除くと、実施例4と同様にして実験を行った。その結果、実施例5では平均21nmのPtナノ結晶−Coナノ結晶−粘土鉱物複合ナノ粒子が、また、実施例6では平均10nmのPtナノ結晶−Niナノ結晶−粘土鉱物複合ナノ粒子が得られることが明らかとなった。図13に実施例5で得られたPtナノ結晶−Coナノ結晶−粘土鉱物複合ナノ粒子のTEM写真を示す。これらの複合ナノ粒子0.05gを用いて実施例1と同様にして4−ニトロフェノールの還元反応に対する触媒活性を調べた結果を表1に示す。いずれも極めて高い触媒活性を示した。
(比較例2)
粘土鉱物を用いない、即ち、粘土鉱物水分散液のかわりに水を用いること以外は実施例1と同様に実験を行った。その結果、均一な黒色水分散液は得られず、黒色の凝集沈殿物が得られた。
表1
Figure 2015131985

Claims (9)

  1. コアシェル構造を形成している複数の金属ナノ結晶及び層状剥離した粘土鉱物からなる金属/粘土鉱物複合ナノ粒子。
  2. コアシェル構造の最外層が微細な凹凸構造を有する請求項1記載の金属/粘土鉱物複合ナノ粒子。
  3. 前記複数金属ナノ結晶の少なくとも一種が貴金属ナノ結晶である請求項1または2記載の金属/粘土鉱物複合ナノ粒子。
  4. 前記粘土鉱物が水中で層状剥離可能な水膨潤性粘土鉱物である請求項1〜3のいずれか一つに記載の金属/粘土鉱物複合ナノ粒子。
  5. 請求項1〜4に記載の金属/粘土鉱物複合ナノ粒子と層状剥離した粘土鉱物と分散媒体を含んでなる金属/粘土鉱物複合ナノ粒子分散液。
  6. 層状剥離した粘土鉱物を含む水分散液に、複数の金属化合物を同時に添加した後、還元剤を添加し、それらを保持してなる請求項1〜5に記載の金属/粘土鉱物複合ナノ粒子及びその分散液の製造方法。
  7. 層状剥離した粘土鉱物を含む水分散液に、少なくとも一種の金属化合物を添加した後、還元剤を添加し、その後、時間をおいて他の金属化合物を添加し、更にそれらを保持してなる請求項1〜5に記載の金属/粘土鉱物複合ナノ粒子及びその分散液の製造方法。
  8. 還元剤を添加した後、超音波をかけることを特徴とする請求項6または7に記載の金属/粘土鉱物複合ナノ粒子及びその分散液の製造方法。
  9. 金属化合物を還元するための保持温度が5〜50℃であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一つに記載の金属/粘土鉱物複合ナノ粒子及びその分散液の製造方法。
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