JP2015131560A - 電動車両の制動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】バッテリの過充電防止を図りつつ、スイッチバック状態と通常状態との切り替わり時のトルクショックを防止できる電動車両の制動制御装置を提供する。
【解決手段】摩擦制動手段(5、21)と、車輪4に駆動力(Td)を発生させるとともに、車輪4に回生制動力(Tr)を発生させるモータ・ジェネレータ2と、摩擦制動手段(5、21)の摩擦制動力(Tb)ならびにモータ・ジェネレータ2の駆動力(Td)および回生制動力(Tr)を制御する制駆動力制御手段(8、20)とを備え、制駆動力制御手段(8、20)は、シフトポジションSPの進行方向と電動車両(1)の進行方向とが異なるスイッチバック状態において、バッテリ7の蓄電量(SOC)および車速Vsに基づいて摩擦制動力(Tb)と回生制動力(Tr)との配分を制御するようにする。
【選択図】図4

Description

本発明は、運転者の操作から独立して制動力を制御可能なブレーキ・バイ・ワイヤ形式の摩擦制動手段と回生制動力を発生させるモータ・ジェネレータとを備えた電動車両の制動制御装置に関する。
運転者の制動操作に依存せずに電子制御により、摩擦制動手段による通常制動とモータ・ジェネレータによる回生制動とを可能とし、且つABS(Antilock Brake System)またはVSA(Vehicle Stability Assist)制御が可能なブレーキ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このブレーキ装置は、ペダル反力発生装置であるペダルシミュレータを併用したモータ駆動タンデムシリンダにABS油圧ユニットまたはVSA油圧ユニットを組み合わせた構成とされている。
このブレーキ装置の制御部は、運転者による制動操作量(ブレーキペダル踏み込み量)に応じたブレーキ液圧の規範値を目標ブレーキ液圧に設定し、モータ駆動シリンダを駆動することにより、運転者が要求する液圧をホイールシリンダに発生させる。また、車両が電気自動車またはハイブリッド車である場合には、モータ・ジェネレータに回生制動力を発生させることがあり、回生制動を行う場合には、運転者が要求する制動力に対する摩擦制動力と回生制動力との配分制御が行われる。
燃費向上の観点からは、回生制動は頻繁にかつ大きな配分で行われることが望ましい。ところが、充電直後や長い下り坂を走行するときに回生制動を継続すると、バッテリが満充電となり、過充電によってバッテリを劣化させることになりかねない。そこで、バッテリが満充電になったときには回生制動に制限を加えることでバッテリの過充電を防止している。一方、満充電のときに一律に回生制動が制限されると、例えばRポジション(後退)で車両が後退しているときに運転者が変速機の操作レバーを操作してDポジションなどの前進ポジションに切り替えた場合に、制動力が発生しないために減速加速度が抜けたような運転フィールとなってしまう。
そこで本出願人は、坂路の走行中にバッテリが満充電状態である場合は、回生制動を禁止して摩擦制動により制動力を発生させる原則制御と、回生制動の禁止を解除して回生制動により制動力を発生させる例外制御とのいずれかにより制動力を制御し、運転者の操作を原因として、車両の移動方向が後退方向で且つシフトポジションが前進ポジションのスイッチバック状態となった場合には、制動力の制御を原則制御から例外制御に切り替えて回生制動を行うようにした発明を提案している(特許文献1参照)。
また、特許文献1は、スイッチバック状態となった場合であってもバッテリが過充電になるようにすることの他、バッテリの電気化学的満充電状態の蓄電量よりも小さい蓄電量で満充電状態とみなし、このみなし満充電から電気化学的満充電までの充電マージンを通常時(原則制御が行われるとき)にはバッテリに残しておき、スイッチバック状態となって例外制御が行われるときにはこの充電マージンを使用する(充電マージン部分に充電する)ことで過充電を防止することなども開示している。
国際公開第2013/084682号
しなしながら、バッテリが満充電状態のときにスイッチバック状態となった場合に、例外制御に切り替えて回生制動を行ったとしても、坂道走行中などには回生制動が継続してバッテリが過充電になる虞がある。バッテリが過充電を確実に回避するために、バッテリが満充電状態でスイッチバック状態となった場合にも摩擦制動により制動力を発生させることが考えられる。ところが、スイッチバック状態となったときやスイッチバック状態となるときに摩擦制動により制動力を発生させると、スイッチバック状態とそれ以外の通常状態とが切り替わるタイミングでトルクショックが発生する。
具体的には、シフトポジションの進行方向が前進であり、車両の実際の進行方向が後退であるスイッチバック状態から、車両の実際の進行方向が前進である通常状態に切り替わるときには、摩擦ブレーキのブレーキトルクからモータの力行トルクに切り替えて加速してゆく必要があり、この切り替え時にトルクショックが発生する。一方、登坂路走行時にシフトポジションの進行方向が前進であり、車両の実際の進行方向が前進である通常状態から、車両がずり下がって後退し、スイッチバック状態となるときには、出力していたモータの力行トルクが急峻に制限されて摩擦ブレーキのブレーキトルクに切り替わるため、この切り替え時にトルクショックが発生する。
本発明は、このような背景に鑑みなされたもので、バッテリの過充電防止を図りつつ、スイッチバック状態と通常状態との切り替わり時のトルクショックを防止できる電動車両の制動制御装置を提供することを目的とする。
このような課題は、本発明の一側面によれば、運転者のブレーキ操作に関わらずに車輪(4)に摩擦制動力(Tb)を発生させる摩擦制動手段(5、21)と、バッテリ(7)からの電力供給によって駆動されて車輪(4)に駆動力(Td)を発生させるとともに、車輪(4)の回転エネルギを前記バッテリ(7)に回収する回生電力に変換することで車輪(4)に回生制動力(Tr)を発生させるモータ・ジェネレータ(2)と、前記摩擦制動手段(5、21)の前記摩擦制動力(Tb)ならびに前記モータ・ジェネレータ(2)の前記駆動力(Td)および前記回生制動力(Tr)を制御する制駆動力制御手段(8、20)と、前記バッテリ(7)の蓄電量(SOC)を検出する蓄電量検出手段(25)とを備えた電動車両(1)の制動制御装置であって、前記制駆動力制御手段(8、20)は、シフトポジション(SP)の進行方向と前記電動車両(1)の進行方向とが異なるスイッチバック状態において、前記バッテリの蓄電量(SOC)および車速(Vs)に基づいて前記摩擦制動力(Tb)と前記回生制動力(Tr)との配分を制御する電動車両の制動制御装置を提供することにより達成される。
この車両用ブレーキ装置によれば、スイッチバック状態であっても摩擦制動力と回生制動力との配分を制御して制動力(シフトポジションの進行方向への加速力)を発揮させることができるため、過剰な回生電力が発電されてバッテリが過充電となることを防止できる。また、バッテリの蓄電量だけでなく車速にも基づいて回生制動力の配分を制御するため、モータ・ジェネレータの駆動力との切り替え時における摩擦制動力を小さくしてトルクショックを防止することを可能にできる。
また、本発明の一側面によれば、前記制駆動力制御手段(8、20)は、前記バッテリの蓄電量(SOC)に基づいて設定された第1回生制限値(RPL1)と、車速(Vs)の絶対値に基づいて設定された第2回生制限値(RPL2)とのうち、より大きな値(RPL)に基づいて前記回生制動力(Tr)を制限する構成とすることができる。
バッテリの蓄電量に基づく第1回生制限値だけを用いる場合には、回生制動力が制限されることによって、トルクショックを防止するのに適した摩擦制動力の緩やかな切り替えを行えない虞がある。そこで、車速の絶対値に基づく第2回生制限値を併用し、両制限値のうちより大きな値に基づいて回生制動力を制限する構成とすることにより、回生制動力の制限によって摩擦制動力の緩やかな切り替えが行えなくなることを防止できる。
また、本発明の一側面によれば、前記制駆動力制御手段(8、20)は、前記回生制動力(Tr)を、前記モータ・ジェネレータ(2)の前記駆動力(Td)との切り替え時に最大となるように設定する構成とすることができる。
この構成によれば、モータ・ジェネレータの駆動力との切り替え時に摩擦制動力を最も小さくしてトルクショックを確実に防止することができる。
このように本発明によれば、バッテリの過充電防止を図りつつ、スイッチバック状態と通常状態との切り替わり時のトルクショックを防止できる電動車両の制動制御装置を提供することができる。
本発明が適用された自動車の概略ブロック図 登坂路を前進走行していた自動車が後退して降坂したときの動作を示すタイムチャート 登坂路を後退していた自動車が前進して登坂したときの動作を示すタイムチャート 制駆動力制御の概念を示す模式図 蓄電率と第1回生電力制限値との関係を示すグラフ 車速絶対値と回生電力制限値との関係を示すグラフ 図1に示すブレーキ装置による回生トルクの配分制御のフローチャート
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本明細書では、加速、減速、加速力、減速力、加速度、減速度などは、操作レバーにより選択されたシフトポジションSPの進行方向(以下、単に「操作レバーの進行方向」という。)を基準とするものとする。例えば、操作レバーがD(ドライブ)ポジション(操作レバーの進行方向は前方)にある状態で電動車両(以下、単に自動車1と記す。)が後退中(実際の進行方向は後方)に、マイナスの車速Vsが0に近づくときは、自動車1は(前方へ)加速していると表現する。
また、駆動や駆動力は、原則的には自動車1を動かそうとする動作や動かそうとする力であり、制動や制動力は、原則的には自動車1を停止させようとする動作や停止させようとする力であるが、例外的に操作レバーの進行方向を基準としてこれらを用いることがある。例えば、操作レバーがD(ドライブ)ポジションにあるときには、原則に従い、モータ・ジェネレータ2による前方への加速や加速力を駆動や駆動力と言い、モータ・ジェネレータ2やブレーキ装置による後方への加速(本明細書に表示法に従えば減速)や加速力(同じく減速力)を制動や制動力と言う。一方、例えば操作レバーがD(ドライブ)ポジションにあるにも拘わらず自動車1が後退しているときなど、操作レバーの進行方向と自動車1の実際の進行方向とが相反するスイッチバック状態においては、操作レバーの進行方向と逆方向に回転しているモータ・ジェネレータ2の回生トルクTrによる制動や制動力(請求項1の回生制動力に対応する。)、および摩擦ブレーキ5による制動や制動力(請求項1の摩擦制動力に対応する。)を駆動や駆動力と言うことがある。
図1は、この実施形態に係る自動車1の概略ブロック図である。自動車1は、動力を発生するモータ・ジェネレータ2を備え、モータ・ジェネレータ2の回転軸は、トランスミッション3等を介して車輪4に接続される。車輪4には、摩擦制動力を付与するための摩擦ブレーキ5が付設されている。
モータ・ジェネレータ2には、3相の結線を介してインバータ6(電力変換装置)が接続され、インバータ6には、バッテリ7が接続されるとともに、インバータ6を駆動制御してモータ・ジェネレータ2を制御するモータECU(Electronic Control Unit)8が接続される。
バッテリ7は、エネルギーストレージであり、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池またはキャパシタ等を利用することができる。この実施形態では、リチウムイオン二次電池を利用している。
バッテリ7には、充放電電流を制御する充放電回路22が内蔵されている。この充放電回路22の充放電電流を制御するとともに、バッテリ7の蓄電状態である蓄電率SOC(State Of Charge)を検出するSOC検出部25と充電電流(回生電力)を制限する回生制限部26とを備えるバッテリECU9が、前記バッテリ7に接続されている。バッテリECU9で検出されたバッテリ7の蓄電率SOC等はモータECU8に供給される。
モータECU8には、操作量センサ12によりアクセル操作量Aとして検出されたアクセルペダル10の操作量や、操作量センサ14によりブレーキ操作量Bとして検出されたブレーキペダル13の操作量、シフトポジションセンサ16によりシフトポジションSPとして検出されたセレクトレバー15の操作位置、車速センサ17により検出された車速Vs、モータ・ジェネレータ2を構成するレゾルバ等の回転数センサにより検出されたモータ回転数Nmおよびモータ回転方向Md等がそれぞれ供給される。なお、シフトポジションSPは、P(Parking)ポジション、R(リバース)ポジション、N(ニュートラル)ポジション、D(ドライブ)ポジションおよびB(ブレーキ)ポジションを含む。モータ回転方向Mdは、正転(前進)、停止および逆転(後退)を含む。
モータECU8には、さらにブレーキECU20が接続される。ブレーキECU20は、操作量センサ14から供給されるブレーキ操作量Bなどに基づいて液圧モジュレータ21を駆動し、摩擦ブレーキ5を介して車輪4に摩擦制動力を発生させる。ブレーキECU20は、液圧モジュレータ21を駆動することで運転者のブレーキ操作に関わらずに車輪4に摩擦制動力を発生させることができるブレーキ・バイ・ワイヤを構成する。
モータECU8は、シフトポジションSPおよびアクセル操作量Aなどに応じてモータ・ジェネレータ2に発生させるべき駆動力(力行トルクTdおよび回生トルクTrを含む)を設定してモータ・ジェネレータ2を駆動制御するとともに、ブレーキECU20との協調制御により、モータ・ジェネレータ2を発電機として作動させ、車輪4に回生制動力を発生させた場合には、バッテリECU9との協調制御により、モータ・ジェネレータ2の回生電力を、インバータ6を通じてバッテリ7に回収させる。このようにしてモータECU8、ブレーキECU20およびバッテリECU9は、回生制動による制動力と摩擦制動による制動力との協調制御を行う。
上記のモータECU8、バッテリECU9、およびブレーキECU20の各ECUは、それぞれマイクロコンピュータを含む計算機であり、CPU(中央処理装置)、メモリであるROM(EEPROMも含む。)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、その他、A/D変換器、D/A変換器等の入出力装置、計時部としてのタイマ等を有しており、前記CPUが前記ROMに記録されているプログラムを読み出し実行することで各種機能実現部(機能実現手段)、たとえば制御部、演算部、および処理部等として機能する。
バッテリECU9、モータECU8およびブレーキECU20は、CAN(Controller Area Network)等の通信ネットワークに係る図示しない通信線を通じて相互にデータを利用する等、通信可能に接続されている。なお、通信ネットワークは、無線ネットワークとしてもよい。
この実施形態において、バッテリECU9は、上述したように、バッテリ7の蓄電率SOCを検出するSOC検出部25として機能するとともに、モータ・ジェネレータ2からインバータ6を通じてバッテリ7に充電される回生電流(回生電力)を制限する回生制限部26等として機能する。
モータECU8は、蓄電率SOCに基づいてバッテリ7が満充電状態であるか否かを判定する満充電状態判定部23として機能し、さらに、満充電状態判定部23の判定結果等に基づき、自動車1に対する制動力の制御を行う制動力制御部24等として機能する。満充電状態判定部23は、バッテリECU9に設けてもよいし、バッテリECU9の回生制限部26は、モータECU8に設けてもよい。
ここで、モータECU8の制動力制御部24は、基本的には、走行中にバッテリ7が満充電状態でない場合は、モータ・ジェネレータ2の回生制動により自動車1に対して制動力を付与する一方、走行中にバッテリ7が満充電状態である場合は、モータ・ジェネレータ2の回生制動を禁止して摩擦ブレーキ5による摩擦制動により自動車1に対して制動力を付与する原則制御と、回生制動を許可して回生制動により自動車1に対し制動力を付与する例外制御とのいずれか一方の制御により制動力を付与する。
制動力制御部24は、自動車1の進行方向を前方から後方または後方から前方に反転させる運転者のセレクトレバー15の操作(DポジションからRポジションまたはRポジションからDポジションへのシフト操作)、あるいは自動車1の進行方向の反転(前進から後退または後退から前進)を原因として、自動車1の実際の進行方向とシフトポジションSPの進行方向とが相違するスイッチバック状態となった場合には、制動力の制御を原則制御から例外制御に切り替える機能等を有する。なお、スイッチバック状態以外の状態(自動車1の実際の進行方向とシフトポジションSPの進行方向とが一致する場合や、自動車1が停止している場合など。)は、通常状態と呼ぶものとする。
基本的には以上のように構成されるこの実施形態に係る自動車1の制御装置としてのモータECU8の動作について、次に、図2のタイムチャートを参照しながら説明する。
図2のタイムチャートは、登坂路において駆動力が勾配抵抗よりも小さくなったことにより、Dポジションで前進走行していた自動車1が後退(ずり下がり)したときの各項目の変化を示しており、この過程のなかでも上述したスイッチバック状態が発生している。図2のタイムチャートには、シフトポジションSPとアクセル操作量Aとにより決まるドライバ要求駆動力を(a)に、車速Vsを(b)に、自動車1の走行状態を(c)にそれぞれ示している。
自動車1の走行中、(a)のモータ・ジェネレータ2の力行トルクTdによって実現されるドライバ要求駆動力が勾配抵抗と同等である時点t0から時点t1の間は、自動車1は(b)の車速Vsをプラス側で一定に保っている。時点t1においてドライバ要求駆動力が低下し、勾配抵抗よりも低くなると、(b)の車速Vsは低下し、時点t2においてマイナスになり、自動車1が後退(ずり下がり)状態となる。このとき、シフトポジションSPはDポジション(前進)のままであるため、(c)に示すようにシフトポジションSPの進行方向と自動車1の実際の進行方向とが異なるスイッチバック状態となる。
また時点t2において車速Vsがマイナスになり、(a)のドライバ要求駆動力がプラス側のままであることから、時点t1まで同方向のモータ・ジェネレータ2の力行トルクTdによって実現されていたドライバ要求駆動力は、時点t2において逆転中のモータ・ジェネレータ2の回生トルクTrによって発揮されるように切り替わる。一方、回生トルクTrのみによって車速Vsを0に維持することはできないため、時点t2以降、不足する駆動力は摩擦ブレーキ5の制動力(後退を抑制しようとするブレーキトルクTb)によって賄われる。
回生トルクTrは、時点t2以降、次第に小さく設定され、時点t3で0になる。つまり、回生トルクTrは、モータ・ジェネレータ2の力行トルクTdとの切り替え時点が最も大きな値となるように設定されている。回生トルクTrの大きさは、車速Vsに依存して次第に小さくなるように設定される。詳細は後述する。一方、摩擦ブレーキ5のブレーキトルクTbは、総駆動力がドライバ要求駆動力と一致するように、回生トルクTrとは逆に次第に大きくなっている。
(a)のドライバ要求駆動力が時点t4で勾配抵抗と同じ大きさになると、(b)の車速Vsは一定となる。なお、時点t4はドライバの操作に応じた任意の点であり、時点t3と間に前後関係は何らない。
そして、ドライバ要求駆動力が、スイッチバック状態における駆動トルクから通常状態における制動トルクに切り替わる時点t2において、モータ・ジェネレータ2の力行トルクTdから回生トルクTrへの切り替えが行われるだけであるため、駆動力の変動によって自動車1に前後Gが発生することが防止される。
図3は、登坂路で自動車1がDポジションのまま後退(ずり下がり)しているスイッチバック状態において、駆動力が勾配抵抗よりも大きくなったことにより、前進走行していた自動車1が前進に転じて通常状態に移行したときの各項目の変化を示している。図3のタイムチャートにも、図2と同様に、シフトポジションSPとアクセル操作量Aとにより決まるドライバ要求駆動力を(a)に、車速Vsを(b)に、自動車1の走行状態を(c)にそれぞれ示している。
自動車1の後退(ずり下がり)中、(a)の摩擦ブレーキ5のブレーキトルクTbによって実現されるドライバ要求駆動力が勾配抵抗と同等である時点t10から時点t11の間は、(b)の車速Vsはマイナス側で一定に保たれている。時点t11においてドライバ要求駆動力が増加し、勾配抵抗よりも大きくなると、(b)の車速Vsは増大し、時点t13においてプラスになって自動車1が前進状態となる。このとき、自動車1の実際の進行方向とシフトポジションSP(Dポジション)の進行方向(前進)とが一致するため、スイッチバック状態から通常状態となる。
(a)のドライバ要求駆動力は、時点t11までは摩擦ブレーキ5のブレーキトルクTbによって実現されている。また、(b)の車速Vsがプラスになる時点t13以降は、ドライバ要求駆動力はモータ・ジェネレータ2の力行トルクTdによって実現される。
一方、時点t11から時点t13までのある時点t12において、回生トルクTrが再度出力され始める。本実施形態では、回生トルクTrは、(b)の車速Vsが上昇(絶対値が低下)したことにより、時点t11よりも後の時点t12から徐々に出力され始め、車速Vsがプラスに転じる時点t13の直前において駆動力の100%を負担する。つまり、回生トルクTrは、車速Vsに応じて設定され、モータ・ジェネレータ2の力行トルクTdとの切り替え時において最大となっている。摩擦ブレーキ5の制動力が負担する駆動力は、時点t12から総駆動力がドライバ要求駆動力と一致するように徐々に小さくなり、時点t13において0となっている。
時点t13において、(b)の車速Vsがプラスに転じた後は、(a)のドライバ要求駆動力は、正転方向に回転するモータ・ジェネレータ2の力行トルクTdによって実現される。そして、ドライバ要求駆動力が、摩擦ブレーキ5のブレーキトルクTbから徐々にモータ・ジェネレータ2の回生トルクTrに切り替わり、後退状態から前進状態に切り替わる時点t13においては、モータ・ジェネレータ2の回生トルクTrから力行トルクTdへの切り替えが行われるだけであるため、駆動力の変動によって自動車1に前後Gが発生することが防止される。
なお、図2および図3の例ともに、Dポジションでの走行中におけるスイッチバック状態と通常状態とが切り替わるときを示しているが、Rポジションでの走行中にも同様の事象が生じうる。また、図2および図3の例ともに、勾配抵抗が一定の登坂路においてドライバ要求駆動力が変化したことにより、スイッチバック状態と通常状態とが切り替わっているが、ドライバがシフトポジションSPを変更するときにも同様の事象が生じうる。
図4は、このような制駆動力制御の概念を模式的に示した図である。図4は、横軸を車速Vsとし、縦軸をドライバ要求駆動力とし、ドライバ要求駆動力を一定としたときのモータ・ジェネレータ2の力行トルクTdおよび回生トルクTr、並びに摩擦ブレーキ5のブレーキトルクTbの変化を示している。
図2に示したように通常状態からスイッチバック状態になるときは、車速Vsが時間とともに低下してゆくため、各トルクは図中右側から左側に向かうように変化する。つまり、回生トルクTrは、力行トルクTdとの切り替わり時においてドライバ要求駆動力の100%とされ、車速Vsの低下に伴って低下し、所定車速において0%となる。
一方、図3に示したようにスイッチバック状態から通常状態になるときは、車速Vsが時間とともに上昇してゆくため、各トルクは図中左側から右側に向かうように変化する。つまり、回生トルクTrは、所定車速から出力され始め、車速Vsの上昇に伴って増大し、力行トルクTdとの切り替わり時においてドライバ要求駆動力の100%となる。
所定車速を小さく(その絶対値を大きく)設定するほど、摩擦ブレーキ5のブレーキトルクTbの変化が小さくなるため、摩擦ブレーキ5の応答性が低くとも所望の性能(設定されたブレーキトルクTb)を発揮することができる。
他方、図5は、バッテリ7の蓄電率SOCの値に対応して設定される、充電電流すなわち回生電力の制限値(以下、第1回生電力制限値RPL1と称する。)を示している。第1回生電力制限値RPL1は、蓄電率SOCが満充電率に近づくにつれて、車速Vsに関わらずにより小さな値になり、満充電率で充電が制限されるように、蓄電率SOCが満充電率の値のときに0になる。満充電率は、バッテリ蓄電限界の100%であってもよく、蓄電限界(100%)となる前に充電マージンを残すように、任意に設定した100%よりも小さな値としてもよい。
このように、第1回生電力制限値RPL1は、蓄電率SOCが比較的大きいときには、車速Vsに関わらず小さな値に設定される。そのため、スイッチバック状態と通常状態との切り替えの際に蓄電率SOCが大きいと、第1回生電力制限値RPL1が小さな値となって図4の回生トルクTrを出力できなくなることがある。
そこで、本実施形態では、図6に示すように、車速Vsに応じた図4の回生トルクTrに対応する回生電力の値を第2回生電力制限値RPL2とし、スイッチバック状態のときには、第1回生電力制限値RPL1と第2回生電力制限値RPL2とのうちのより大きな値を採用して最終回生電力制限値RPLとする。これにより、スイッチバック状態と通常状態との切り替えの際、より正確には、車速Vsが0〜所定車速までの間に、トルクショックを防止するのに適した摩擦制動力の緩やかな切り替えが担保される。
図7は、モータECU8、バッテリECU9およびブレーキECU20により協調制御されるドライバ要求駆動力の回生トルクTrへの配分制御のフローチャートを示している。
モータECU8は、操作量センサ12、14が検出するアクセル操作量Aに基づいて、自動車1に要求されるドライバ要求駆動力を算出する(ステップST1)。次に、モータECU8は、図5に示すような特性のテーブルを参照し、蓄電率SOCに応じた第1回生電力制限値RPL1を設定する(ステップST2)。その後、モータECU8は、自動車1がスイッチバック状態にあるか否かを判定する(ステップST3)。
ステップST3でスイッチバック状態でないと判定された場合(No)、モータECU8は、第1回生電力制限値RPL1を最終回生電力制限値RPLに設定し(ステップST4)、ステップST1で求めたドライバ要求駆動力を、車速Vsに基づいて最終回生電力制限値RPLの範囲内で回生トルクTrに割り当て(ステップST5)、上記手順を繰り返す。なお、この場合には、スイッチバック状態でないため、回生トルクTrは0に設定され、ドライバ要求駆動力のすべてがモータ・ジェネレータ2の力行トルクTdに割り当てられる。
一方、ステップST3でスイッチバック状態であると判定された場合(Yes)、モータECU8は、図6に示すような特性のテーブルを参照し、車速Vsの絶対値に応じた第2回生電力制限値RPL2を設定し(ステップST6)、第1回生電力制限値RPL1と第2回生電力制限値RPL2とのうち、値がより大きな方を最終回生電力制限値RPLに設定する(ステップST7)。
その後、モータECU8は、ステップST1で求めたドライバ要求駆動力を、車速Vsに基づいて最終回生電力制限値RPLの範囲内で回生トルクTrに割り当て(ステップST5)、上記手順を繰り返す。なお、この場合には、スイッチバック状態であるため、回生トルクTrは車速Vsに応じた値に設定され、残りのドライバ要求駆動力は摩擦ブレーキ5のブレーキトルクTbに割り当てられる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、上記実施形態の電動自動車は、電動自動車であってもハイブリッド自動車であってもよい。さらに、各部材や部位の具体的構成や配置、数量、数値、具体的制御態様などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。一方、上記実施形態に示した制動装置の各構成要素は必ずしも全てが必須ではなく、適宜選択することができる。
1 自動車(電動車両)
2 モータ・ジェネレータ
4 車輪
5 摩擦ブレーキ(摩擦制動手段)
7 バッテリ
8 モータECU(制駆動力制御手段)
20 ブレーキECU(制駆動力制御手段)
21 液圧モジュレータ(摩擦制動手段)
25 SOC検出部(蓄電量検出手段)
RPL 最終回生電力制限値
RPL1 第1回生電力制限値(第1回生制限値)
RPL2 第2回生電力制限値(第2回生制限値)
SOC 蓄電率(蓄電量)
SP シフトポジション
Tb ブレーキトルク(摩擦制動力)
Td 力行トルク(駆動力)
Tr 回生トルク(回生制動力)
Vs 車速

Claims (3)

  1. 運転者のブレーキ操作に関わらずに車輪に摩擦制動力を発生させる摩擦制動手段と、
    バッテリからの電力供給によって駆動されて車輪に駆動力を発生させるとともに、車輪の回転エネルギを前記バッテリに回収する回生電力に変換することで車輪に回生制動力を発生させるモータ・ジェネレータと、
    前記摩擦制動手段の前記摩擦制動力ならびに前記モータ・ジェネレータの前記駆動力および前記回生制動力を制御する制駆動力制御手段と、
    前記バッテリの蓄電量を検出する蓄電量検出手段と
    を備えた電動車両の制動制御装置であって、
    前記制駆動力制御手段は、シフトポジションの進行方向と前記電動車両の進行方向とが異なるスイッチバック状態において、前記バッテリの蓄電量および車速に基づいて前記摩擦制動力と前記回生制動力との配分を制御することを特徴とする電動車両の制動制御装置。
  2. 前記制駆動力制御手段は、前記バッテリの蓄電量に基づいて設定された第1回生制限値と、車速の絶対値に基づいて設定された第2回生制限値とのうち、より大きな値に基づいて前記回生制動力を制限することを特徴とする請求項1に記載の車電動車両の制動制御装置。
  3. 前記制駆動力制御手段は、前記回生制動力を、前記モータ・ジェネレータの前記駆動力との切り替え時に最大となるように設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動車両の制動制御装置。
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